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発明の名称 ワーク保持部の設計支援装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2003−178108(P2003−178108A)
公開日 平成15年6月27日(2003.6.27)
出願番号 特願2001−377491(P2001−377491)
出願日 平成13年12月11日(2001.12.11)
代理人 【識別番号】100072349
【弁理士】
【氏名又は名称】八田 幹雄 (外4名)
【テーマコード(参考)】
3D114
5B046
【Fターム(参考)】
3D114 AA20 BA01 BA26 BA40 CA05 CA20 JA20 
5B046 AA04 KA06
発明者 松本 将師 / 山本 昌樹
要約 課題
最適な保持部の受け形状および/または保持位置の共通解を決定できる、ワーク保持部の設計支援装置を提供する。

解決手段
複数種類のワークが混合して搬送される多種混流ラインに配置された一のワーク保持装置のワーク保持部によって、複数種類のワークを共通して保持するために、ワーク保持部の受け形状およびワークにおける保持すべき保持位置を決定するために用いられる設計支援装置20であって、各ワークの外形形状に関する三次元データを記憶した第1記憶手段21と、多種混流ライン、各ワークおよびワーク保持部に要求される種々の条件を記憶した第2記憶手段22と、第1記憶手段21に記憶された三次元データに基づいて、すべてのワークを保持し得る受け形状の候補および保持位置の候補を抽出する抽出手段23と、抽出された受け形状の候補および保持位置の候補の中から、第2記憶手段22に記憶された条件を満足する受け形状および保持位置を決定する決定手段23と、を有するワーク保持部の設計支援装置20。
特許請求の範囲
【請求項1】 複数種類のワークが混合して搬送される多種混流ラインに配置された一のワーク保持装置のワーク保持部によって、前記複数種類のワークを共通して保持するために、前記ワーク保持部の受け形状およびワークにおける保持すべき保持位置を決定するために用いられる設計支援装置であって、各ワークの外形形状に関する三次元データを記憶した第1記憶手段と、前記多種混流ライン、前記各ワークおよび前記ワーク保持部に要求される種々の条件を記憶した第2記憶手段と、前記第1記憶手段に記憶された三次元データに基づいて、すべてのワークを保持し得る前記受け形状の候補および前記保持位置の候補を抽出する抽出手段と、抽出された前記受け形状の候補および保持位置の候補の中から、前記第2記憶手段に記憶された条件を満足する受け形状および保持位置を決定する決定手段と、を有するワーク保持部の設計支援装置。
【請求項2】 前記抽出手段は、前記第1記憶手段に記憶された三次元データに基づいて、すべてのワークを型抜きし得る大きさを有する仮想的な型についての仮想型データを算出する第1算出手段と、算出された前記仮想型データをそれぞれのワークの三次元データで型抜きした残りの部分を、前記受け形状の候補および前記保持位置の候補として算出する第2算出手段と、を含んでいることを特徴とする請求項1に記載のワーク保持部の設計支援装置。
【請求項3】 前記多種混流ラインに要求される条件は、前記ワーク保持部が存在し得るための条件、および/または、ワークを搬送する搬送手段がワークを変位し得るための条件を含み、前記各ワークに要求される条件は、前記ワーク保持部による保持に耐え得るための条件、および/または、当該ワークに取り付けられる他の部品との干渉を回避するための条件を含み、前記ワーク保持部に要求される条件は、大きさ、個数、保持しているワークの重心などの受け部として成立するための条件を含んでいることを特徴とする請求項1に記載のワーク保持部の設計支援装置。
【請求項4】 前記ワークは、車両ボディであることを特徴とする請求項1に記載のワーク保持部の設計支援装置。
【請求項5】 前記ワークは、車両ボディにマウントされるエンジン、ガソリンタンクなどの車載部品であることを特徴とする請求項1に記載のワーク保持部の設計支援装置。
【請求項6】 複数種類の第1ワークが混合して搬送される第1多種混流ラインに配置された一の第1ワーク保持装置の第1ワーク保持部によって、前記複数種類の第1ワークを共通して保持するために、前記第1ワーク保持部の第1受け形状および第1ワークにおける保持すべき第1保持位置と前記第1ワークに組み付けられる部品である第2ワークが混合して搬送される第2多種混流ラインに配置された一の第2ワークの保持装置の第2ワーク保持部によって、前記複数種類の第2ワークを共通して保持するために、前記第2ワーク保持部の第2受け形状および第2ワークにおける保持すべき第2保持位置と、を少なくとも決定するために用いられる設計支援装置であって、各第1ワークの外形形状に関する三次元データを記憶した第1記憶手段と、前記第1多種混流ライン、前記各第1ワークおよび前記第1ワーク保持部に要求される種々の条件を記憶した第2記憶手段と、各第2ワークの外形形状に関する三次元データを記憶した第3記憶手段と、前記第2多種混流ライン、前記各第2ワークおよび前記第2ワーク保持部に要求される種々の条件を記憶した第4記憶手段と、前記第1記憶手段に記憶された三次元データに基づいて、すべての第1ワークを保持し得る前記第1受け形状の候補および前記第1保持位置の候補を抽出する第1抽出手段と、前記第3記憶手段に記憶された三次元データに基づいて、すべての第2ワークを保持し得る前記第2受け形状の候補および前記第2保持位置の候補を抽出する第2抽出手段と、抽出された前記第1受け形状と第2受け形状との候補および第1保持位置と第2保持位置との候補に基づいて、各々が干渉せずに成立可能な組み合わせを抽出する第3抽出手段と、前記第3抽出手段の結果に基づいて、前記第2記憶手段および前記第4記憶手段に記憶された条件を満足する受け形状および保持位置を決定する決定手段と、を有するワーク保持部の設計支援装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多種混流ラインに配置されるワーク保持部の形状と保持位置とを決定するために用いられるワーク保持部の設計支援装置に関する。
【0002】
【従来の技術】多種のワークが混流する自動車の生産ラインにおいて、ボディ本体、エンジン、トランスミッション、ガソリンタンクなどの大型部品を組み付け、または搭載していく際に使用するワーク保持部の設計については、同一ラインに投入される複数の混流するワークの種類のすべてを受けることが可能であるワーク保持部を見出すことが要求される。
【0003】従来は、設計者がこれまでの経験、類似事例、既存設備などからの情報を基に、受ける対象となる部品のCADデータや図面を使用し、二次元の情報としてワーク保持部の受け形状と保持位置を作成していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の作業では、設計を担当する技術者の熟練の度合いによってワーク保持部の完成度が左右され、また、部品の種類が多いほど設計の煩雑さが増していた。
【0005】ボディ本体、エンジン、ガソリンタンクなどの大型部品を生産ライン上で取り付ける場合は、各ワークを保持する保持部が必要となる。前述したワークは、ボディ本体を含め大型で重量があるため、確実に、かつ簡単に保持する保持部が要求される。
【0006】多種混流する生産ラインにおいて、複数のワークを一つの保持部で保持するための受け形状および保持位置は、最初に、一つのワークにのみ対応する保持部を作成した後に、他のワークに対応する保持部と比較しつつ共通解を見出していた。ここで、最初に作成する保持部は、設計者の経験や類似事例、既存設備などからの情報を基にCADデータまたは図面について検討を行うため、検討の開始となった保持部が適当でない場合があり、検討結果が最適な受け形状および/または保持位置とならないことが多い。また、共通解が見つからない場合は、再度、一つのワークにのみ対応する保持部を作成する検討からやり直していたため、検討の作業が膨大かつ煩雑となっていた。
【0007】さらに、検討の作業中の保持部は、二次元の情報として簡略化して考えられることが多く、多種のワークとの共通解を見出していく段階で、実際の三次元におけるワーク同士の干渉などの不具合を確認するのが困難であった。
【0008】また受け位置の共通解は、「仮に決定される保持部の受け形状および保持位置」周辺でしか検討できないため、大型部品のさまざまな受け方の選択肢が三次元的に存在するのにも拘わらず、既存位置を踏襲した位置となり、共通解が見つからない場合は保持部を切り替え方式にして対応するなど、生産設備の構造の複雑化と設備費用の上昇とを招いている。
【0009】従来の具体例としてボディ受け(トリムライン・フィクスチャ)を例に挙げて説明すれば次のとおりである。
【0010】ある一車種に対応する保持部の受け形状および位置を仮に決定し、この保持部に他の車種をCADデータ上もしくは図面上であてがい、ボディ本体を前後や上下に移動しつつあてがいながら二車種間の成立解を出し、さらに他の車種をあてがい、さらなる共通解を出していくステップを、混流車種分だけ繰り返す。共通解が存在しない場合には、また最初から検討をやり直す必要も出て来る。さらに、この「仮に決定される保持部」をベースに混流車種間で共通解を見出す作業を繰り返していく過程において、「仮に決定される保持部の受け形状および保持位置」が、設計者の経験や類似事例、既存設備から想定される解と大きく異なっている場合、その解と同等になるまで上記の検討を何度も行わなければならない。
【0011】その一方で、受けるワークは大型であり、重量も大きく、確実にワークを受けないと落下や滑りによる被害が大きく、さらにはボディへの組み付け作業が出来ないなどの弊害をもたらすため、容易に且つ確実に対象部品を保持できる保持部の受け形状および保持位置の決定方法が求められる。
【0012】ところで、ワークを保持するには、そのワークが保持される部分の形状を用いることが確実である。しかし、ワークが一種類の場合はこれで良いが、多種のワークを一つの保持部で受けようとすると、従来は前述した検討の過程を経る必要があった。
【0013】本発明は、「ワーク形状を型抜きしたものが、保持部そのものである」ことに着目し、CADデータ上で、仮想型を型抜きする三次元的な解析手法を、最終解に収束するまで繰り返し、さらに様々な生産要件を織り込むことで、設計者の経験や類似事例、既存設備にとらわれずに、保持部が切り替え式であることを要しない、最適な保持部の受け形状および/または保持位置の共通解を決定できる、ワーク保持部の設計支援装置を提供する。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、下記する手段により達成される。
【0015】(1)複数種類のワークが混合して搬送される多種混流ラインに配置された一のワーク保持装置のワーク保持部によって、前記複数種類のワークを共通して保持するために、前記ワーク保持部の受け形状およびワークにおける保持すべき保持位置を決定するために用いられる設計支援装置であって、各ワークの外形形状に関する三次元データを記憶した第1記憶手段と、前記多種混流ライン、前記各ワークおよび前記ワーク保持部に要求される種々の条件を記憶した第2記憶手段と、前記第1記憶手段に記憶された三次元データに基づいて、すべてのワークを保持し得る前記受け形状の候補および前記保持位置の候補を抽出する抽出手段と、抽出された前記受け形状の候補および保持位置の候補の中から、前記第2記憶手段に記憶された条件を満足する受け形状および保持位置を決定する決定手段と、を有するワーク保持部の設計支援装置。
【0016】(2)前記抽出手段は、前記第1記憶手段に記憶された三次元データに基づいて、すべてのワークを型抜きし得る大きさを有する仮想的な型についての仮想型データを算出する第1算出手段と、算出された前記仮想型データをそれぞれのワークの三次元データで型抜きした残りの部分を、前記受け形状の候補および前記保持位置の候補として算出する第2算出手段と、を含んでいることを特徴とする(1)に記載のワーク保持部の設計支援装置。
【0017】(3)前記多種混流ラインに要求される条件は、前記ワーク保持部が存在し得るための条件、および/または、ワークを搬送する搬送手段がワークを変位し得るための条件を含み、前記各ワークに要求される条件は、前記ワーク保持部による保持に耐え得るための条件、および/または、当該ワークに取り付けられる他の部品との干渉を回避するための条件を含み、前記ワーク保持部に要求される条件は、大きさ、個数、保持しているワークの重心などの受け部として成立するための条件を含んでいることを特徴とする(1)に記載のワーク保持部の設計支援装置。
【0018】(4)前記ワークは、車両ボディであることを特徴とする(1)に記載のワーク保持部の設計支援装置。
【0019】(5)前記ワークは、車両ボディにマウントされるエンジン、ガソリンタンクなどの車載部品であることを特徴とする(1)に記載のワーク保持部の設計支援装置。
【0020】(6)複数種類の第1ワークが混合して搬送される第1多種混流ラインに配置された一の第1ワーク保持装置の第1ワーク保持部によって、前記複数種類の第1ワークを共通して保持するために、前記第1ワーク保持部の第1受け形状および第1ワークにおける保持すべき第1保持位置と前記第1ワークに組み付けられる部品である第2ワークが混合して搬送される第2多種混流ラインに配置された一の第2ワークの保持装置の第2ワーク保持部によって、前記複数種類の第2ワークを共通して保持するために、前記第2ワーク保持部の第2受け形状および第2ワークにおける保持すべき第2保持位置と、を少なくとも決定するために用いられる設計支援装置であって、各第1ワークの外形形状に関する三次元データを記憶した第1記憶手段と、前記第1多種混流ライン、前記各第1ワークおよび前記第1ワーク保持部に要求される種々の条件を記憶した第2記憶手段と、各第2ワークの外形形状に関する三次元データを記憶した第3記憶手段と、前記第2多種混流ライン、前記各第2ワークおよび前記第2ワーク保持部に要求される種々の条件を記憶した第4記憶手段と、前記第1記憶手段に記憶された三次元データに基づいて、すべての第1ワークを保持し得る前記第1受け形状の候補および前記第1保持位置の候補を抽出する第1抽出手段と、前記第3記憶手段に記憶された三次元データに基づいて、すべての第2ワークを保持し得る前記第2受け形状の候補および前記第2保持位置の候補を抽出する第2抽出手段と、抽出された前記第1受け形状と第2受け形状との候補および第1保持位置と第2保持位置との候補に基づいて、各々が干渉せずに成立可能な組み合わせを抽出する第3抽出手段と、前記第3抽出手段の結果に基づいて、前記第2記憶手段および前記第4記憶手段に記憶された条件を満足する受け形状および保持位置を決定する決定手段と、を有するワーク保持部の設計支援装置。
【0021】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、多種混流ラインにおけるワーク保持部の受け形状および保持位置について、複数種類のワークの共通解を見出すことで、一種類の保持部で対応することができ、保持部の切り替え等の機械構造を排することができる。また、生産要件を各種設定することにより、設計者の経験に因ることなく、その性能を有効に発揮できる保持部の受け形状および保持位置を決定することができる。さらに、CADのデータと生産要件のデータとを関連づけて実行されるようプログラミングすることで、複数ワーク間での煩雑な検討工数を削減することができる。
【0022】請求項2に記載の発明によれば、仮想型データを各部品の三次元データによって型抜きした残りの部分が、その保持部の受け形状および保持位置である考え方を基本とした検討を複数種類のワークに対して繰り返していくため、保持部を常に三次元の情報として捉えることができ、その結果、保持部の共通解を見出す範囲を対象ワークの全種類に拡大することができる。
【0023】請求項3に記載の発明によれば、型抜きされたワーク保持部は、各ワークを確実に保持することができ、また、ワーク間の干渉を回避することができる。
【0024】請求項4に記載の発明によれば、自動車の生産ラインにおいて、最も大型で重量のあるワークである車両ボディについて、検討時間の削減や検討結果の精度向上を図ることができる。
【0025】請求項5に記載の発明によれば、形状が複雑で大型のワークであるエンジンやガソリンタンクなどの車載部品を車両ボディにマウントするときに当該車載部品を保持するワーク保持部の設計においても同様の考え方を用いて、検討時間の削減や検討結果の精度向上を図ることができる。
【0026】請求項6に記載の発明によれば、異なるラインを経て搬送されてくる第1ワークと第2ワークとを組み付ける場合に、干渉を起こさずに組み付けることができる第1ワーク保持部と第2ワーク保持部とを決定することができ、より汎用性の高いワーク保持部の受け形状および位置を決定することが可能となる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0028】図1は、本発明の一実施形態に係るワーク保持部の設計支援装置20の構成を示す機能ブロック図である。
【0029】本実施形態のワーク保持部の設計支援装置20は、複数種類のワークとしての車両ボディが混合して搬送され生産される多種混流ラインに配置された一のワーク保持装置のワーク保持部によって、複数種類のワークを共通して保持するために、ワーク保持部の受け形状およびワークにおける保持すべき保持位置を決定するために用いられる。
【0030】図示するように、ワーク保持部の設計支援装置20は、設計された車両ボディの各々の外形形状に関する三次元データを記憶した第1記憶部21と、多種混流ライン、各車両ボディおよびワーク保持部に要求される種々の条件を記憶した第2記憶部22と、これら第1と第2の記憶部が接続された演算部23と、を有している。演算部23には、キーボードやデジタイザなどの入力部24と、ディスプレイ装置やプリンタ装置などの表示部25も接続されている。
【0031】演算部23は、第1記憶部21に記憶された車両形状から、第2記憶部22の条件を参照し、ワーク保持部の成立の可否を判定する判定モジュールを備えている。より詳しくは、演算部23は、第1記憶部21に記憶された三次元データに基づいて、すべての車両ボディを保持し得る前記受け形状の候補および前記保持位置の候補を抽出する機能と、抽出された前記受け形状の候補および保持位置の候補の中から、第2記憶部22に記憶された条件を満足する受け形状および保持位置を決定する機能とを備えている。さらに、演算部23は、受け形状の候補および保持位置の候補を抽出する際には、第1記憶部21に記憶された三次元データに基づいて、すべての車両ボディを型抜きし得る大きさを有する仮想的な型についての仮想型データを算出し、算出された仮想型データをそれぞれの車両ボディの三次元データで型抜きした残りの部分を、前記受け形状の候補および前記保持位置の候補として算出している。演算部23が、抽出手段、決定手段、第1算出手段および第2算出手段に相当する。
【0032】作業者がワーク保持部についての検討を行う際には、入力部24により、検討対象である車両ボディのアンダーフロアの種類を入力する。決定されたワーク保持部の受け形状および保持位置の結果は、表示部25を介して作業者に表示される。
【0033】図2は、第2記憶部22に記憶された、多種混流ライン、前記各ワークおよびワーク保持部に要求される種々の条件の一例を示す図である。
【0034】多種混流ラインに要求される条件は、ワーク保持部が存在し得るための条件、および/または、車両ボディを搬送する搬送手段が車両ボディを変位し得るための条件を含んでいる。各ワークに要求される条件は、ワーク保持部による保持に耐え得るための条件、および/または、当該車両ボディに取り付けられる他の部品との干渉を回避するための条件を含んでいる。ワーク保持部に要求される条件は、大きさ、個数、保持しているワークの重心などの受け部として成立するための条件を含んでいる。
【0035】ワーク保持部が存在し得るための条件を保持部の存在要件とする。保持部の存在要件には、保持部の存在可能領域と、保持部の水平度と、保持部の高さ制限とが定義されている。搬送手段であるコンベアに載せることができない寸法のワークを検討対象から除外するために設けられている。保持部の存在可能領域は、検討対象である被保持車両を通すコンベアの寸法によって制限されるものである。保持部の水平度は、ワークが滑りなど無く安全に保持するために定義されている。保持部の高さ制限は、実際のコンベアに保持部を介して車両を載せた場合に、高さ方向での干渉を回避するために定義されている。これらの要件に加え、各工場における設備やラインの差異によって、これらの要件を変更、追記、削除することにより、保持部について各工場の実状に沿った適切な制限を定義することができる。
【0036】車両ボディを搬送する搬送手段が車両ボディを変位し得るための条件をコンベア要件とする。コンベア要件には、設備上の制約と、作業領域の確保とを考慮し、一台目に検討される車両によって仮に決定される保持部に対し、二台目以降の車両にも適応する保持部を検討する際に、二台目以降のボディの移動が許容される範囲が定義されている。
【0037】ワーク保持部による保持に耐え得るための条件と、当該車両ボディに取り付けられる他の部品との干渉を回避するための条件とを含む要件をボディ要件とする。ボディ要件には、保持部で受けられる面として、最も適切であるアンダーフロアを構成するフロアパネルの強度と、アンダーフロアの取り付け部品と生産設備との周辺クリアランスに関する判断基準が定義されている。フロアパネルの強度の要件には、仮に決定される保持部によって車両を受けた場合に、車両が変形を起こさない範囲が定義されている。アンダーフロアはさまざまなフロアパネルの集合体であることから、これらのフロアパネルについて、保持部が受けても良いか、すなわちフロアパネルの変形の有無に関するデータ設定しておく。フロア取り付け部品との周辺クリアランスの定義は、干渉等を注意しなければならない部品、たとえばブラケットやボルト類についてボディ要件に定義しておき、ボディ上面図(またはフロア下面)から見て、周囲に一定のクリアランスを設けるような範囲を定義している。
【0038】ワーク保持部に要求される条件を保持部としての成立要件とする。保持部としての成立要件には、保持部の水平度と、保持部の面積と、保持部の一辺の長さと、保持部の個数と、車両の重心とに関する判断基準が定義されている。保持部の水平度は、車両が滑りなど無く安全に保持するために必要な要件である。保持部の面積と保持部の一辺の長さとは、保持部の大きさとして最低限要求されるものである。保持部の個数と車両の重心とは、保持部がボディを保持するための機能を有するか定義する。具体的にはボディを安全に保持できるかなど、実際に保持部の図面が書ける程度の現実解まで絞り込む要件を定義する。この要件も、工場による設備、生産ラインの違いをパラメータに反映していけば、要求に促した受け形状を解として得ることができる。
【0039】次に、本実施形態の作業の流れを説明する。
【0040】多種混流する生産ラインでのワーク保持部(トリムライン・フィクスチャ)を一例として共通解を決定していく流れについて説明する。図3は、複数種類のボディが混合して搬送される多種混流ラインにおけるワーク保持部を設計するためのメインフローを示す概略フローチャート、図4は、図3中のサブルーチンを示す概略フローチャートである。図5〜12は、ワーク保持部の設計過程で算出される仮想型を順を追って示したものである。
【0041】共通解を決定する作業は、CADを活用したコンピュータプログラムのソフトウエア上で行われる。第2記憶部22に用意される各種要件のパラメータを操作することによって、実際のラインやボディの実状に促した保持部の共通解を決定していくことができる。
【0042】図3のステップS1では、検討対象の車両ボディのアンダーフロアの種類を入力部24より入力する。これは、車両ボディにおいては、組立の容易さと強度との観点から、保持部が受ける部分はアンダーフロアが適しているためである。したがって、混流を想定する車両の種類の全てにおいて、アンダーフロアに付く部品も含めて入力する。
【0043】S2およびS3では、保持部の原形となる仮想型を算出する。これは、保持されるボディを覆うことができる大きさであることが要求される。したがって、多種混流ラインに流すことが想定される中で、最大の形状であるアンダーフロア11(図5、6参照)を選択(S2)し、これを覆うことができる仮想型12(図6参照)を算出する(S3)。
【0044】S4では、仮想型12を1台目のボディのアンダーフロア11によって三次元的に型抜きをしていく。この場合の仮想型12に対するアンダーフロア11の位置は任意であるが、このアンダーフロア11の位置が以降のアンダーフロアとの位置合わせの基準となる。仮想型12は、一台目のボディのアンダーフロア11形状をかたどった型、仮想型13(図7参照)になる。
【0045】S5では、仮想型13に対して保持部の存在要件を適用する。このステップでは、仮想型13において要件を満たさない部分に関するデータを削除していくと、図8に示す仮想型14を経て図9に示す仮想型15となる。図9において、矢印で示される範囲が保持部の存在可能領域として残された部分に該当する。
【0046】図3および図4に示すS6では、2台目以降の混流車種について、最終台目まで検討を繰り返す。
【0047】S11では、対象となるボディは2台目からであることを明示している。
【0048】S12ではコンベア要件を適用し、2台目のボディの位置を1台目で型抜きした仮想型15を基準に算出する。コンベアの進行方向に対して前後方向および高さ方向は、1台目と2台目とのアンダーフロアの基準となる前方向の位置を合致させて検討を開始し、コンベア要件の制限の中で、共通解となり得る位置に2台目のアンダーフロアを動かす。共通解を算出したところで最終結果の一部としてボディ位置が出力される。
【0049】S13では、S12で決定された2台目のボディ位置に基づき、仮想型15を型抜きしていく。結果は1台目と2台目の共通した図10に示される仮想型16である。
【0050】S14では、ボディ要件を適用し、アンダーフロアにおいて受けることが可能な部位について制限を加える。さらに、アンダーフロアに取り付く部品についても考慮を加える。干渉等を注意しなければならない部品やブラケットやボルト類について、クリアランスの部分も考慮して仮想型16から削除すると、図11に示す仮想型17が得られる。
【0051】S15では、保持部としての成立要件のうち、保持部の水平度と保持部の面積と保持部の一辺の長さと、すなわち水平度と大きさとを適用する。保持部が安全にボディを保持し得る受け形状の制限を加えることで、仮想型17より該当する部位を削除する。図11の仮想型17において、候補51は保持部の保持部の1辺の長さが規定値を満たしていない。また、候補52は保持部の傾きが規定値よりも大きいため、ボディが滑るおそれがある。これらを削除したものが、図12に示す仮想型18である。
【0052】S16では、仮想型18について保持部の成立要件を適用する。ボディを安全に保持できるか、受けの大きさは基準を満たしているかなど、実際に保持部の図面が書ける程度の現実解まで絞り込む。ここで、仮想型18が要件を満たしていない場合は、2台目のボディ位置を改めて決定し直す。
【0053】S17では、仮想型18が2台分の共通解であることを確認する。1台目で決定された保持部に対して2台目のボディ位置を任意に決めて型抜きしたが、1台目の保持部候補が2台目の型抜きおよび加工によって消失してしまったのでは、共通解として成立しない。これを防止するため、少なくとも2台目までの共通解としての保持部が2台目の保持部として成立することが確認された時点で、1台目の保持部も、そこに残っていることを確認する。本実施形態では、一例として、2台分のボディに対応する際には、2回型抜きされ、さらにボディ要件により加工された後の保持部には、少なくとも1台目を受けることができる面積が2分の1存在していることを収束条件としている。なお、収束条件は、この例に限定されず、任意の条件を設定し得る。
【0054】図13(A)〜(C)は、1から3台目までの保持部の一部を用い、保持部の受け面積の残存量を示したものである。
【0055】図13(A)は、1台目の仮想型から型抜きされた状態を示している。面61aが1台目を保持する受け面となる。図13(B)は、1台目で仮に決定された保持部を2台目の要件で型抜きおよび加工した結果、1台目と2台目との保持部の受け面積が2分の1ずつになっていることを示している。面61bが1台目を、面62aが2台目を、それぞれ保持部の受け面とする。図13(C)は、1台目と2台目との共通解である図13(B)に示す保持部を3台目の要件で型抜きおよび加工した結果、1台目から3台目までの各保持部の受け面積が3分の1ずつになっていることを示している。面61cが1台目を、面62bが2台目を、面63aが3台目を、それぞれ保持部の受け面とする。このように、仮に決定される共通解の保持部の総面積に対して、共通解の台数分の1ずつの面積が各車種において残っていることが必要となる。すなわち、n台目までの共通解に対しては、各車種の保持部の受け面積がn分の1ずつ残っていることとなる。
【0056】以降、上述したS12からS17までを最終台目まで繰り返すために、S18では検討された車種の次の車種を対象に選択し、S19では対象として選択された車種が最終台目か否かを確認する。
【0057】それぞれの要件を満たさないときは、再度検討を行い、ルーチンを繰り返しながら共通解を決定する。最後に残った仮想型が1台目からn台目までを共通に保持できる保持部の受け形状と保持位置となる(S7)。
【0058】本実施形態によれば、自動車の生産ラインにおいて、最も大型で重量のあるワークである車両ボディについて、検討時間の削減や検討結果の精度向上を図ることができる。
【0059】車両ボディの多種混流ラインにおける保持部の受け形状および保持位置について、複数種類のワークの共通解を見出すことで、一種類の保持部で対応することができ、保持部の切り替え等の機械構造を排することができる。また、生産要件を各種設定することにより、設計者の経験に因ることなく、その性能を有効に発揮できる保持部の受け形状および保持位置を決定することができる。さらに、CADのデータと生産要件のデータとを関連づけて実行されるようプログラミングすることで、複数ワーク間での煩雑な検討工数を削減することができる。
【0060】また、仮想型データを各車両ボディの三次元データによって型抜きしたものが、その保持部の受け形状および保持位置である考え方を基本とした検討を複数種類の車両ボディに対して繰り返していくため、保持部を常に三次元の情報として捉えることができ、その結果、保持部の共通解を見出す範囲を対象車両の全種類に拡大することができる。
【0061】さらに、型抜きされた車両ボディの保持部は、各車両ボディを確実に保持することができ、車両ボディと保持部との干渉をも回避することができる。
【0062】次に、他の実施形態を示す。ここでは、ボディ本体に取り付けられる車載部品が多種混流する生産ラインについて適用される保持部の設計支援装置30について説明する。
【0063】前述した実施形態におけるプロセスと同様に、車載部品の多種混流する生産ラインの保持部についても受け形状および保持位置を決定することができる。
【0064】図14は、他の実施形態に係る、複数種類のガソリンタンクが混合して搬送される多種混流ラインにおける保持部を決定する際の概念図である。入力部により、ガソリンタンクの三次元データを入力した後、仮想型データを算出し、仮想型によって受けられる面側で型抜きしていく。図14では、分かりやすいように、それぞれの三次元データと、仮想ブロックから抜いた型の様子を示したが、実際には1つの仮想ブロックにてプロセスは進行していく。この場合も第2記憶部に記憶された各要件を適用し、その工程のライン形態や搭載設備のサイズ制限や可動範囲など、さまざまな規制値をパラメータとして入れ込むことで、より精度良く実状に促した受け形状を決定していくことができる。
【0065】さらに他の実施形態を以下に示す。
【0066】前述した2つの実施形態は、単一の多種混流ラインに適用されるワーク保持部の設計支援装置であった。ここでは、複数の多種混流ラインが合流する生産ラインに適用されるワーク保持部の設計支援装置30について説明する。
【0067】各多種混流ラインは、それぞれ、車両ボディの多種混流ラインと、車両ボディに組み付けられるエンジンやガソリンタンクなどの車両部品の多種混流ラインとである。
【0068】図15は、この実施形態に係る設計支援装置30の構成を示す機能ブロック図である。図15に示すように、入力部36と、演算部35と、表示部37と、第1記憶部31と、第2記憶部32と、第3記憶部33と、第4記憶部34とを有している。ここで、第1記憶部31と第3記憶部33とには、それぞれ車両ボディと、ボディに組み付けられる部品であるエンジンやガソリンタンクなどの車載部品とにおける三次元データが記憶されている。第2記憶部32と第4記憶部34とには、それぞれボディ本体と、車載部品とにおける保持部に要求される種々の条件が記憶されている。
【0069】本実施形態は、自動車の生産ラインにおいて、ボディ本体と車載部品とは、それぞれ別のラインで作成された後に互いに組み合わせることが行われていることを考慮している。それぞれの保持部の受け形状と保持位置が決定された後に、互いの多種混流ラインが合流した場合に、相互のラインの関係を考慮しないと、それらの保持部がそのまま使用できなくなり、あらためて別の保持部に切り替えることになり、作業効率の向上が図れない。
【0070】本実施形態によれば、第1記憶部31に記憶された三次元データに基づいて、すべての車両ボディを保持し得る保持部の受け形状の候補および保持位置の候補が演算部35によって算出される。また、第3記憶部33に記憶された三次元データに基づいて、すべての車載部品を保持し得る保持部の受け形状の候補および保持位置の候補が算出される。さらに、抽出された車両ボディの保持部の受け形状と車載部品の受け形状との候補および各々の保持位置との候補に基づいて、各々が干渉せずに成立可能な組み合わせを算出し、この結果に基づいて、第2記憶部32および第4記憶部34に記憶された条件を満足する受け形状および保持位置を決定することができる。
【0071】これにより保持部の概要を仮に決定した後に、保持部として成立するための要件を、それぞれの決定手段によって絞り込んでいくことができる。ボディ本体の保持部と車載部品の保持部との決定のプロセスを組み合わせることにより、ボディ本体の保持部と搭載部品の保持部を同時に決定することが可能となり、より汎用性の高い保持部の受け形状および保持位置を決定することができる。
【0072】ここでは、2つの多種混流する生産ラインが合流することを検討する設計支援装置30をあげたが、3つ以上の多種混流する生産ラインに、ボディ本体と車載部品とが混在して搬送される場合にも本設計支援装置30は適用できる。




 

 


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