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発明の名称 磁気記録媒体
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2003−257011(P2003−257011A)
公開日 平成15年9月12日(2003.9.12)
出願番号 特願2002−52298(P2002−52298)
出願日 平成14年2月27日(2002.2.27)
代理人 【識別番号】100077920
【弁理士】
【氏名又は名称】折寄 武士
【テーマコード(参考)】
3C049
5D006
【Fターム(参考)】
3C049 AA05 AA07 AA12 CA01 
5D006 BA04 BA19
発明者 伊藤 文雄 / 川上 伸二 / 三浦 元也
要約 課題
出力の向上と出力変動の抑制を図ることができ、しかもMRヘッドの耐摩耗性およびヘッド汚れを改善することができる磁気記録媒体を提供する。

解決手段
非磁性支持体上の一面に、少なくとも一層の下塗層と、磁性層とがこの順に形成され、反対面にバックコート層を有する磁気記録媒体において、直径が5mmで中心線平均表面粗さRaが10nm±1nmである円柱状のテストピースに、当該磁気記録媒体を巻付け角9°で接触させて相対速度4.0m/秒、走行張力0.92N(0.094kgf)(1/2インチテープ)で摺動させた状態における前記テストピースに対する動摩擦係数μが0.01≦μ≦0.035である構成とする。
特許請求の範囲
【請求項1】 非磁性支持体上の一面に、少なくとも一層の下塗層と、磁性層とがこの順に形成され、反対面にバックコート層を有する磁気記録媒体であって、直径が5mmで中心線平均表面粗さRaが10nm±1nmである円柱状のテストピース(材質:SUS304)に、当該磁気記録媒体を巻付け角9°で接触させて相対速度4.0m/秒、走行張力0.92N(0.094kgf)(1/2インチテープ)で摺動させた状態における前記テストピースに対する動摩擦係数μが0.01≦μ≦0.035であることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項2】 走行張力が一定[0.92N(0.094kgf)]の条件で磁気記録媒体の相対速度を2.5m/秒(V1 )から4.0m/秒(V2 )に変化させた場合において、磁気記録媒体の相対速度がV1 であるときの動摩擦係数をμ1とし、磁気記録媒体の相対速度がV2 であるときの動摩擦係数をμ2 としたときに、相対速度の変化量(ΔV=V2 −V1 )に対する動摩擦係数の変化量(Δμ=μ2 −μ1 )の割合(Δμ/ΔV)が、−0.025≦(Δμ/ΔV)≦−0.005(単位は(s/m))である請求項1記載の磁気記録媒体。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録容量、アクセス速度、転送速度が高い磁気記録媒体に関し、特にインダクティブ・MR複合ヘッドを用いたデータバックアップシステム用磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気テープは、オーディオテープ、ビデオテープ、コンピユータ用テープなど種々の用途があるが、特にデータバックアップ用テープの分野ではバックアップ対象となるハードディスクの大容量化に伴い、1巻当たり100GB以上の記憶容量のものが商品化されており、今後ハードディスクのさらなる大容量化に対応するためバックアップテープの高容量化は不可欠である。加えて、アクセス速度、転送速度を大きくするため、テープ−ヘッド間の相対速度を高めることが必要不可欠である。
【0003】また、高記録密度化を図るために、近年においては信号再生用ヘッドとして従来のインダクティブ・ヘッド(電磁誘導型ヘッド)を使用した磁気記録再生システムから、磁気抵抗効果膜に電流を流し、その抵抗変化を電圧として検出する磁気抵抗効果型ヘッド(MRヘッド)を採用した磁気記録再生システムに移行しつつある。MRヘッドは、素子の抵抗変化の大きな膜と電流密度およびヘッド構造設計によりヘッド自身の高出力化をはかることができる。このようなMRヘッドを採用したシステムでは、一般に記録用にはインダクティブ・ヘッドを用いるため、記録用のインダクティブ・ヘッドと再生用のMRヘッドとを一体化したインダクティブ・MR複合ヘッドを採用している。
【0004】一方、磁気テープ自体においても、前記の1巻あたりの記憶容量の向上とテープ−ヘッド間の相対速度の高速化に対応するために、磁性層の改良、具体的には強磁性粉の磁気特性・分散性の向上による高記録密度化(記録波長とトラック幅の低減)や、テープの全厚を薄くして1巻あたりのテープ長さを長くする高記憶容量化、さらには非磁性支持体、下塗層、磁性層の機械的特性の最適化等によるテープ−ヘッド間のコンタクトの改良等が図られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、先に述べたような大容量の磁気記録再生システムでは、アクセス速度、転送速度を速める必要から、テープ−ヘッド間の相対速度がさらに増大される傾向にある。しかし、このようにテープ−ヘッド間の相対速度を大きくすると、磁気ヘッドと磁気テープとのコンタクトが不安定になり、その結果、出力変動が生じてエラー特性が劣化しやすくなる。
【0006】そこで、このようなコンタクト不良による出力変動を低減するために、走行張力を大きくしてテープ−ヘッド間の接触力を強くする等の対策がなされているが、接触力を強くするとMRヘッドの磁気抵抗素子部に磁性層表面の突起等が接触する頻度が多くなる。そのため、磁気抵抗素子部が摩耗し、感度低下、安定動作性の低下、初期抵抗値のずれ等の致命的な問題が発生する恐れがある。また磁気テープに大きな負担が掛かって磁性層が傷つきやすくなり、損傷した磁性層から離脱した含有材料がヘッドに付着しやすくなる結果、ヘッド汚れによる再生出力の劣化等の問題も生じる。
【0007】本発明は、このような問題に対処するもので、出力変動の抑制(出力特性の向上)を図ること、およびMRヘッドの耐摩耗性、ヘッド汚れを改善することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目的を達成するため、鋭意検討した結果、直径が5mmで且つ中心線平均表面粗さRaが10nm±1nmである円柱状のテストピース(材質:SUS304)に、当該磁気記録媒体を巻付け角9°で接触させて相対速度4.0m/秒、走行張力0.92N(0.094kgf)で摺動させた状態における前記テストピースに対する動摩擦係数が、ヘッド出力およびヘッドの耐摩耗性と良い相関を示すことを見出した。この動摩擦係数は磁性層の表面形状、動的な剛性、摺動特性を合成した特性値であり、従来の静的に測定された摩擦係数、表面形状、剛性等よりも、実機特性を解析するのに優れている。
【0009】本発明者らはさらに詳細に前記動摩擦係数とヘッド出力およびヘッドの耐摩耗性との関係を調べた結果、前記動摩擦係数を特定の範囲とすることにより、あるいは更に前記動摩擦係数の速度変化(テストピースに対する磁気記録媒体の相対走行速度の変化)に対する勾配、すなわち磁気記録媒体の相対速度を変化させた場合における当該相対速度の変化量に対する動摩擦係数の変化量の割合を特定の特異的範囲にすることにより、高出力で出力変動が少なくなると同時に、MRヘッドの磁気抵抗素子の偏摩耗やヘッド汚れも少なくなることを見出した。
【0010】本発明は、以上の知見をもとにして完成したもので、非磁性支持体上の一面に、少なくとも一層の下塗層と、磁性層とがこの順に形成され、反対面にバックコート層を有する磁気記録媒体において、下記の特性を備えていることを特徴とする。すなわち、本発明の磁気記録媒体は、直径が5mmで中心線平均表面粗さRaが10nm±1nmである円柱状のテストピース(材質:SUS304)に、当該磁気記録媒体を巻付け角9°で接触させて相対速度4.0m/秒、走行張力0.92N(0.094kgf)(1/2インチテープ)で摺動させた状態における前記テストピースに対する動摩擦係数μが0.01≦μ≦0.035である点に特徴がある。
【0011】また、本発明の磁気記録媒体は、このような構成に加え、走行張力が一定[0.92N(0.094kgf)]の条件で磁気記録媒体の相対速度を2.5m/秒(V1 )から4.0m/秒(V2 )に変化させた場合において、磁気記録媒体の相対速度がV1 であるときの動摩擦係数をμ1 とし、磁気記録媒体の相対速度がV2 であるときの動摩擦係数をμ2 としたときに、相対速度の変化量(ΔV=V2 −V1 )に対する動摩擦係数の変化量(Δμ=μ2 −μ1 )の割合(Δμ/ΔV)が、−0.025≦(Δμ/ΔV)≦−0.005(単位は(s/m))である点にも特徴がある(請求項2)。
【0012】本構成の磁気記録媒体は、後述するLRT処理(ラッピング/ロータリー/ティッシュ処理)により磁性層表面の突起を一定条件で均一に除去することにより得られる。
【0013】
【発明の実施の形態】まず、本発明の磁気記録媒体を特徴づける動摩擦係数(以下、摩擦係数ともいう)μの測定方法について説明し、その後に磁気記録媒体の構成要素等について詳述する。
【0014】<摩擦係数の測定方法>(A)測定系の構成:図1に示すように、走行速度が2.5〜4.0m/秒で可変な磁気テープ1の走行系に、アーム3を介してロードセル2[(最大荷重:0.98N(100gf))に接続した直径5mm、中心線平均表面粗さ(Ra)9〜11nm(10nm±1nm)]の円柱状のテストピース4を取り付ける。このとき磁気テープ1の走行方向とテストピース4の軸方向とが直交し、かつ磁気テープ1の磁性層表面がテストピース4の外周面に接触するように、テストピース4をセットする。この状態で、磁気テープ1を、ガイドローラ5で支持して走行させ、そのときにテストピース4に働く摩擦力をロードセル2で測定し、その摩擦力より後述する(2)式を用いて摩擦係数を得る。このときのテストピース4への磁気テープ1の巻付け角θは、図2に示すように9°とする。なお、テストピースのRaを10nm±1nmの範囲にしたのは、この範囲であれば、動摩擦係数μに差がないためである。
【0015】なお、使用したテストピース4の材質はSUS304である。このテストピース4は、アーム3の先端部に設けたテストピース保持部6における断面V字状の溝6aに、図3に示すように保持部材7・7を用いて当該溝6aから離脱しないように取り付ける。各保持部材7は、テストピース保持部6にネジ8を用いてそれぞれ固定する。
【0016】(B)摩擦係数の計算:図4(a)に示すように、水平な面Hの上に重量W1 の物Mが載置されている最も単純なモデルを考える。このモデルで、物Mへ水平に外力F1 を加えたときに生じる摩擦力f1 は、f1 =μ11 (1)
である。これを図1の測定系に当てはめると、図4(b)に表記した通りテープテンションTの水平成分Tcosθを水平力F2 、垂直成分Tsinθを垂直力W2 とみなせ、測定している摩擦力f2 は、f2 =μTsinθ (2)
と表せる。ここから測定時の動摩擦係数μが求められる。
【0017】<非磁性支持体>磁非磁性支持体は、その長手方向のヤング率が5.88GPa(600kg/mm2)以上で、かつ幅方向のヤング率が3.92GPa(400kg/mm2 )以上であることが好ましく、さらに長手方向にヤング率が9.8GPa(1000kg/mm2 )以上で、かつ幅方向のヤング率が7.84GPa(800kg/mm2 )以上がより好ましい。非磁性支持体の長手方向のヤング率が5.88GPa(600kg/mm2 )以上がよいのは、長手方向のヤング率が5.88GPa(600kg/mm2 )未満では、テープ走行が不安定になる場合があるためである。非磁性支持体の幅方向のヤング率が3.92GPa(400kg/mm2 )以上がよいのは、幅方向のヤング率が3.92GPa(400kg/mm2 )未満では、テープのエッジダメージが発生しやすくなる場合があるためである。このような特性を満足する非磁性支持体には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、二軸延伸の芳香族ポリアミドベースフィルム、芳香族ポリイミドフィルム等がある。
【0018】非磁性支持体の厚さは、用途によって異なるが、通常、2〜7μmのものが使用される。より好ましくは2.5〜4.5μmである。この範囲の厚さの非磁性支持体が使用されるのは、2μm未満では製膜が難しく、またテープ強度が小さくなり、7μmを越えるとテープ全厚が厚くなり、テープ1巻当りの記憶容量が小さくなるためである。また、非磁性支持体の下塗層・磁性層形成面の表面粗さ(Ra)は2.5nm以上20nm以下がより好ましい。2.5nm以上20nm以下がより好ましいのは、2.5nm以上であれば、塗布特性(塗布時の非磁性支持体の走行特性)に優れ、20nm以下であれば、下塗層を薄くしても下塗層表面及び磁性層表面の凹凸が小さくなるためである。なお、下塗層や磁性層の構成については後述する。
【0019】<磁性層>テープ長手方向の保磁力が135kA/m〜280kA/m(1700〜3500Oe)、テープ長手方向の残留磁束密度が0.18T(1800G)以上が好ましい。この範囲が好ましいのは、保磁力が135kA/m未満では、反磁界によって出力が減少し、280kA/mを超えるとヘッドによる書き込みが困難になるためである。残留磁束密度が0.18T以上が好ましいのは、0.18T未満では出力が低下するためである。保磁力が160kA/m〜240kA/m(2000〜3000Oe)、残留磁束密度が0.2〜0.4T(2000〜4000G)のものがより好ましい。なお、この磁性層の磁気特性と、強磁性鉄系金属粉の磁気特性は、いずれも試料振動形磁束計で外部磁場1.28MA/m(16kOe)での測定値をいうものである。
【0020】磁性層に添加する磁性粉には、強磁性粉末、具体的には強磁性鉄系金属粉を使用する。磁性粉の保磁力は、135kA/m〜280kA/m(1700〜3500Oe)が好ましく、飽和磁化量は、120〜200A・m2 /kg(120〜200emu/g)が好ましく、130〜180A・m2 /kg(130〜180emu/g)がより好ましい。強磁性鉄系金属粉の平均長軸長は、上述したように80nm以下が好ましく、20〜60nmがより好ましい。この範囲が好ましいのは、80nmより大きいと粒子の大きさに基づく粒子ノイズが大きくなり、平均長軸長が10nm未満となると、保磁力が低下し、また磁性粉の凝集力が増大するため塗料中への分散が困難になるためである。なお、上記の平均長軸長は、走査型電子顕微鏡(SEM)にて撮影した写真の粒子サイズを実測し、100個の平均値により求めたものである。また、この強磁性鉄系金属粉のBET比表面積は、35〜85m2 /gが好ましく、40〜80m2 /gがより好ましく、50〜70m2 /gが最も好ましい。
【0021】磁性層には、強磁性鉄系金属粉に対して0.5〜3.0重量%の脂肪酸アミドを含有させ、0.2〜3.0重量%の高級脂肪酸のエステルを含有させるのが好ましい。このようにすると、テープとヘッドとの摩擦係数が小さくなるからである。この範囲の脂肪酸アミドが好ましいのは、0.2重量%未満ではヘッド/磁性層界面での直接接触が起りやすく焼付き防止効果が小さく、3.0重量%を越えるとブリードアウトしてしまいドロップアウトなどの欠陥が発生する。脂肪酸アミドとしてはパルミチン酸、ステアリン酸等のアミドが使用可能である。また、上記範囲の高級脂肪酸のエステル添加が好ましいのは、0.2重量%未満では摩擦係数低減効果が小さく、3.0重量%を越えるとテープとヘッドとが貼り付く等の副作用があるためである。なお、磁性層の潤滑剤と下塗層の潤滑剤の相互移動を排除するものではない。
【0022】磁性層(後述する下塗層についても同様)には結合剤を使用する。結合剤としては、例えば、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、塩化ビニル−水酸基含有アルキルアクリレート共重合体、ニトロセルロースなどの中から選ばれる少なくとも1種とポリウレタン樹脂とを組み合わせたものを使用することができる。中でも、塩化ビニル−水酸基含有アルキルアクリレート共重合体とポリウレタン樹脂を併用するのが好ましい。ポリウレタン樹脂には、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテルポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタンなどがある。
【0023】官能基としてCOOH、SO3 M,OSO2 M,P=O(OM)3 ,O−P=O(OM)2 [これらの式中のMは水素原子、アルカリ金属塩基又はアミン塩のいずれかである]、OH、NR12 ,N+345 [これらの式中のR1、R2 、R3 、R4 、R5 は水素または炭化水素基である]、エポキシ基を有する高分子からなるウレタン樹脂等の結合剤を使用するのが好ましい。このような結合剤を使用するのが好ましいのは、上述のように磁性粉等の分散性が向上するためである。2種以上の樹脂を併用する場合には、官能基の極性を一致させるのが好ましく、中でも−SO3 M基どうしの組み合わせが好ましい。これらの結合剤は、強磁性鉄系金属粉100重量部に対して、7〜50重量部、好ましくは10〜35重量部の範囲で用いられる。特に、結合剤として、塩化ビニル系樹脂5〜30重量部と、ポリウレタン樹脂2〜20重量部とを、複合して用いるのが最も好ましい。
【0024】これらの結合剤とともに、結合剤中に含まれる官能基などと結合させて架橋する熱硬化性の架橋剤を併用するのが望ましい。この架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどや、これらのイソシアネート類とトリメチロールプロパンなどの水酸基を複数個有するものとの反応生成物、上記イソシアネート類の縮合生成物などの各種のポリイソシアネートが好ましい。これらの架橋剤は、結合剤100重量部に対して、通常10〜50重量部の割合で用いられる。より好ましくは15〜35重量部である。
【0025】また、磁性層には従来公知の研磨材を添加することができるが、これらの研磨材としては、α−アルミナ、β−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダム、人造ダイアモンド、窒化珪素、炭化珪素、チタンカーバイト、酸化チタン、二酸化珪素、窒化ホウ素、など主としてモース硬度6以上のものが単独または組合せで使用されるが、これらの中でもアルミナは高硬度で少量の添加量でヘッドクリーニング効果に優れるため特に好ましい。研磨材の粒径としては、磁性層厚さにもよるが、通常平均粒径で20〜400nmとすることが好ましく、粒径30〜300nmがより好ましい。添加量は強磁性鉄系金属粉に対して5〜20重量%が好ましい。より好ましくは8〜18重量%である。
【0026】磁性層には、導電性向上と表面潤滑性向上を目的に従来公知のカーボンブラック(CB)を添加することができる。この種のCBとしては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラックなどを使用できる。その場合、粒径が5nm〜200nmのものを使用できるが、粒径が10nm〜100nmのものを使用するのが好ましい。粒径が10nm以下になるとCBの分散が難しく、100nm以上では多量のCBを添加することが必要になり、何れの場合も表面が粗くなって、出力低下の原因になるためである。CBの添加量は強磁性鉄系金属粉に対して0.2〜5重量%が好ましい。より好ましくは0.5〜4重量%である。
【0027】<下塗層>非磁性支持体と磁性層との間には、耐久性の向上等を目的として下塗層を設ける。下塗層には、先の磁性層において使用した結合剤と同様の結合剤を添加するが、その他にアルミナを添加する。下塗層に添加するアルミナの粒径は、100nm以下が好ましく、添加量は、全無機粉体の重量を基準にして2〜30重量%が好ましい。100nm以下のアルミナが良いのは、下塗層・磁性層形成面の表面粗さ(Ra)が2.5nm以上の平滑度が低い非磁性支持体を使用し、下塗層が1.5μm以下と薄い場合に、アルミナの粒径が100nmを超えると、下塗層表面の平滑効果が不充分になるためである。10〜100nmがより好ましく、30〜90nmのアルミナ添加がさらに好ましく、50〜90nmが一層好ましい。この範囲のアルミナ添加量が好ましいのは、2重量%未満では塗料流動性が不充分で、30重量%を越えると反って下塗層・磁性層表面の凹凸が大きくなるためである。アルミナの添加量は、6〜25重量%がより好ましく、8〜20重量%がさらに好ましく、11〜20重量%が一層好ましい。下塗層に添加するアルミナは、コランダム相を主体とするアルミナが好ましい。コランダム相を主体とするアルミナ(α化率:30%以上)が好ましいのは、σ、θやγアルミナ等を使用した場合に比べて少量で下塗層のヤング率が高くなり、テープ強度が増すためである。なお、上記粒径のアルミナと共に、3重量%未満の100〜800nmのαアルミナを添加することを排除するものではない。
【0028】このように、下塗層に上記アルミナを、上記量含有させると、下塗層と磁性層界面の凹凸が小さくなり、テープエッジの波打ち(エッジウイーブ)による出力のばらつきも改善される。特に、コランダム相を主体とするアルミナを添加すると、その効果が大きい。また、テープ強度も高くなる。上記粒径と量のアルミナの他に、導電性向上を目的にカーボンブラックを、強度を高める目的で、非磁性の酸化物鉄を添加する。
【0029】下塗層には、帯電の防止等を目的としてカーボンブラックを添加する。添加するカーボンブラック(CB)としては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等を使用できる。粒子径が5nm〜200nmのものが使用されるが、粒径10〜100nmのものが好ましい。この範囲が好ましいのは、カーボンブラックがストラクチャーを持っているため、粒径が10nm以下になるとCBの分散が難しく、100nm以上では平滑性が悪くなるためである。CB添加量は、CBの粒子径によって異なるが、15〜40重量%が好ましい。この範囲が好ましいのは、15重量%未満では導電性向上効果が乏しく、40重量%を越えると効果が飽和するためである。粒径15nm〜80nmのCBを15〜35重量%使用するのがより好ましく、粒径20nm〜50nmのCBを20〜30重量%用いるのがさらに好ましい。このような粒径・量のカーボンブラックを添加することにより電気抵抗が低減され、静電ノイズの発生やテープ走行むらが小さくなる。
【0030】下塗層には、塗膜強度の向上等を目的として、非磁性の酸化鉄を添加することができる。添加する非磁性の酸化鉄としては、粒径50〜400nmのものが好ましく、添加量は、35〜83重量%が好ましい。この範囲の粒径が好ましいのは、粒径50nm未満では均一分散が難しく、400nmを越えると下塗層と磁性層の界面の凹凸が増加するためである。この範囲の添加量が好ましいのは、35重量%未満では塗膜強度向上効果が小さく、83重量%を越えると反って塗膜強度が低下するためである。
【0031】下塗層のヤング率は、磁性層のヤング率の80〜99%が好ましい。下塗層ヤング率が磁性層のそれより低い方がよいのは、下塗層が一種のクッションの作用をするためである。
【0032】<バックコート層>非磁性支持体の反対面、つまり下塗層や磁性層が形成される面とは反対側の面には、走行性の向上等を目的として、バックコート層を設けることができる。バックコート層の厚さは0.2〜0.8μmとするのが好ましい。この厚みが0.2μm未満では、走行性向上効果が不充分で、0.8μmを越えるとテープ全厚が厚くなり、1巻当たりの記憶容量が小さくなるためである。
【0033】バックコート層にも、帯電防止等のためカーボンブラック(CB)を添加するのが好ましい。この場合のCBとしては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等を使用できる。また、通常は、CBとして小粒径カーボンと大粒径カーボンを使用する。小粒径カーボンには、粒径が5nm〜200nmのものを使用てきるが、粒径10nm〜100nmのものを使用するのがより好ましい。粒径が10nm以下になるとCBの分散が難しく、粒径が100nm以上では多量のCBを添加することが必要になり、何れの場合も表面が粗くなって磁性層への裏移り(エンボス)原因になるためである。大粒径カーボンとして、小粒径カーボンの5〜15重量%、粒径300〜400nmの大粒径カーボンを使用すると、表面も粗くならず、走行性向上効果も大きくなる。小粒径カーボンと大粒径カーボン合計の添加量は無機粉体重量を基準にして60〜98重量%が好ましく、70〜95重量%がより好ましい。表面粗さRaは3〜8nmが好ましく、4〜7nmがより好ましい。
【0034】また、バックコート層には、強度向上を目的に、粒子径が100nm〜600nmの酸化鉄を添加するのが好ましい。添加する酸化鉄の粒子径は、200nm〜500nmがより好ましい。添加量は無機粉体重量を基準にして2〜40重量%が好ましく、5〜30重量%がより好ましい。上述のテープを組み込んだカセットテープは、1巻当たりの容量が大きく、ハードディスクドライブのバックアップ用テープとして、信頼性も高く、特に優れている。
【0035】バックコート層には結合剤として、前述した磁性層や下塗層に用いるのと同じ樹脂を用いることができるが、これらの中でも摩擦係数を低減し走行性を向上させるため、セルロース系樹脂とポリウレタン樹脂を複合して併用することが好ましい。結合剤の含有量は通常、カーボンブラックと前記無機非磁性粉末との合計量100重量部に対して40〜150重量部で、50〜120重量部が好ましく、60〜110重量部がより好ましく、70〜110重量部がさらに好ましい。この範囲が好ましいのは、50重量部未満では、バックコート層の強度が不十分で、120重量部を越えると摩擦係数が高くなりやすいためである。セルロース系樹脂を30〜70重量部、ポリウレタン系樹脂を20〜50重量部使用することが好ましい。また、さらに結合剤を硬化するために、ポリイソシアネート化合物などの架橋剤を用いることが好ましい。
【0036】バックコート層には架橋剤として、前述した磁性層や下塗層に用いる架橋剤を使用する。架橋剤の量は、結合剤100重量部に対して、通常10〜50重量部の割合で用いられる。好ましくは10〜35重量部、より好ましくは10〜30重量部である。この範囲が好ましいのは、10重量部未満では、バックコート層の塗膜強度が弱くなりやすく、35重量部を越えるとSUSに対する動摩擦係数が大きくなるためである。
【0037】<潤滑剤>下塗層と磁性層からなる塗布層に、役割の異なる潤滑剤を使用する。下塗層には全粉体に対して0.5〜4.0重量%の高級脂肪酸を含有させ、0.2〜3.0重量%の高級脂肪酸のエステルを含有させると、磁気テープと走行系のヘッドおよびガイドローラ等との摩擦係数が小さくなるので好ましい。高級脂肪酸の添加量が0.5重量%未満では、摩擦係数低減効果が小さく、4.0重量%を越えると下塗層が可塑化してしまい強靭性が失われることがある。また、この範囲の高級脂肪酸のエステル添加が好ましいのは、0.5重量%未満では、摩擦係数低減効果が小さく、3.0重量%を越えると磁性層への移入量が多すぎるため、磁気テープと走行系のヘッドおよびガイドローラ等が貼り付く等の副作用があるためである。
【0038】磁性層に、強磁性粉末に対して0.2〜3.0重量%の脂肪酸アミドを含有させ、0.2〜3.0重量%の高級脂肪酸のエステルを含有させると、磁気テープと走行系のキャプスタンやMRヘッドのスライダ等との摩擦係数が小さくなるので好ましい。前記脂肪酸アミドの含有量が0.2重量%未満ではヘッドスライダ/磁性層の摩擦係数が大きくなりやすく、3.0重量%を越えるとブリードアウトしてしまいドロップアウトなどの欠陥が発生することがある。脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸などの高級脂肪酸が使用される。脂肪酸エステルとしては、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸アミル、ステアリン酸イソオクチル、ミリスチン酸オクチル、ステアリン酸ブトキシエチル、モノ−ステアリン酸無水ソルビタン、ジ−ステアリン酸無水ソルビタン、トリ−ステアリン酸無水ソルビタンなどが使用される。脂肪酸アミドとしては、パルミチン酸、ステアリン酸等の上記高級脂肪酸のアミドが使用可能である。また、上記範囲の高級脂肪酸のエステル添加が好ましいのは、0.2重量%未満では摩擦係数低減効果が小さく、3.0重量%を越えると磁気テープと走行系のヘッドおよびガイドローラ等が貼り付く等の副作用があるためである。なお、磁性層の潤滑剤と下塗層の潤滑剤の相互移動を排除するものではない。MRヘッドのスライダとの摩擦係数(μmSL )は0.30以下が好ましく、0.25以下がより好ましい。この範囲が好ましいのは、0.30を越えると、スライダ汚れによるスペーシングロスが起こりやすいためである。なお、0.10未満は実現が困難である。SUSとの摩擦係数(μmSUS)は0.10〜0.25が好ましく、0.12〜0.20がより好ましい。この範囲が好ましいのは、0.10未満になるとヘッドおよびガイドローラ部分で滑りやすく走行が不安定になり、0.25を越えるヘッドおよびガイドローラが汚れやすくなるためである。また、[(μmSL )/(μmSUS)]は0.7〜1.3が好ましく、0.8〜1.2がより好ましい。この範囲が好ましいのは、磁気テープの蛇行によるトラッキングずれ(オフトラック)が小さくなるためである。
【0039】<LRT処理(ラッピング/ロータリー/ティッシュ処理)>磁性層については、次に述べるラッピング、ロータリーおよびティッシュの各処理からなるLRT処理を施すことにより、磁気テープ表面の突起が除去され、磁気テープが均一に浮上するので、テストピースに対する動摩擦係数が小さくすることができる。
【0040】(1)ラッピング処理: 研磨テープ(ラッピングテープ)を、回転ロールによってテープ送り(標準:400m/分)と反対方向に一定の速さ(標準:14.4cm/分)で移動させ、上部からガイドブロックによって押さえることによってテープ磁性層表面と接触させる。この時の磁気テープ巻き出しテンションおよびラッピングテープのテンションを一定(標準:各100g、250g(1/2インチ幅))として磁気テープに対する研磨処理を行う。この工程で使用する研磨テープ(ラッピングテープ)は、例えば、M20000番、WA10000番あるいはK10000番のような研磨砥粒の細かい研磨テープ(ラッピングテープ)である。なお、研磨ホイール(ラッピングホイール)を研磨テープ(ラッピングテープ)の代りにまたは併用して使用することを排除するものではないが、頻繁に交換を要する場合は、研磨テープ(ラッピングテープ)のみを使用する。
【0041】(2)ロータリー処理: 空気抜き用溝付ホイール[標準:幅1インチ(25.4mm)、直径60mm、空気抜き用溝2mm幅、溝の角度45度、協和精工株式会社製]と磁性層とを、一定の巻付け角(標準:90度)でテープ送りと反対方向に一定の回転速度(通常:200〜3000rpm、標準:1100rpm)で接触させることにより、磁気テープに対する処理を行う。
【0042】(3)ティッシュ処理: ティッシュ[例えば東レ株式会社製の織布トレシー]を回転棒で各々バックコート層および磁気層面をテープ送りと反対方向に一定の速度(標準:14.0mm/分)で送り、磁気テープに対するクリーニング処理を行う。
【0043】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例とともに説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例の部は重量部を示す。
【0044】
(実施例1)
≪下塗層用塗料成分≫(1)
酸化鉄粉末(平均粒径:0.11×0.02μm) 68部 アルミナ(α化率:50%、粒径:0.05μm) 8部 カーボンブラック(平均粒径:20nm) 24部 ステアリン酸 2.0部 塩化ビニル共重合体 10部 (含有−SO3 Na基:0.7×10-4当量/g)
ポリエステルポリウレタン樹脂 4.5部 (Tg:40℃、含有−SO3 Na基:1×10-4当量/g)
シクロヘキサノン 25部 メチルエチルケトン 40部 トルエン 10部(2)
ステアリン酸ブチル 1部 シクロヘキサノン 70部 メチルエチルケトン 50部 トルエン 20部(3)
ポリイソシアネート 4.5部 シクロヘキサノン 10部 メチルエチルケトン 15部 トルエン 10部【0045】
≪磁性層用塗料成分≫(1)
強磁性鉄系金属粉 100部 (Co/Fe:30at%、 Y/(Fe+Co):3at%、 Al/(Fe+Co):5wt%、 Ca/Fe:0wt%、 σs:155A・m2 /kg、 Hc:188.2kA/m、 pH:9.4、 長軸長:0.10μm)
塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体 11部 (含有−SO3 Na基:0.7×10-4当量/g)
ポリエステルポリウレタン樹脂 5部 (含有−SO3 Na基:1.0×10-4当量/g)
α−アルミナ(平均粒径:0.15μm) 15部 カーボンブラック 2.0部 (平均粒径:75nm、DBP吸油量:72cc/100g)
メチルアシッドホスフェート 2部 パルミチン酸アミド 1.5部 ステアリン酸n-ブチル 1.0部 テトラヒドロフラン 65部 メチルエチルケトン 245部 トルエン 85部(2)
ポリイソシアネート 4部 シクロヘキサノン 167部【0046】上記の下塗層用塗料成分において(1)をニーダで混練したのち、(2)を加えて攪拌の後サンドミルで滞留時間を60分として分散処理を行い、これに(3)を加え攪拌・濾過した後、下塗層用塗料とした。これとは別に、上記の磁性層用塗料成分(1)の所定量をニーダで混練したのち、残りの溶剤を加え、サンドミルで滞留時間を45分として分散し、これに磁性層用塗料成分(2)を加え攪拌・濾過後、磁性塗料とした。上記の下塗層用塗料を、芳香族ポリアミドフイルム(厚さ3.9μm、長手方向ヤング率=9.5GPa、MD/TD=0.70、商品名:ミクトロン、東レ株式会社製)からなる非磁性支持体(以下、単に支持体ともいう)上に、乾燥、カレンダ後の厚さが0.8μmとなるように塗布し、この下塗層上に、さらに上記の磁性塗料を磁場配向処理、乾燥、カレンダー処理後の磁性層の厚さが0.08μmとなるように塗布し、磁場配向処理後、乾燥し、磁気シートを得た。なお、磁場配向処理は、ドライヤ前にN−N対抗磁石(5kG)を設置し、ドライヤ内で塗膜の指蝕乾燥位置の手前側75cmからN−N対抗磁石(5kG)を2基50cm間隔で設置して行った。塗布速度は100m/分とした。
【0047】
≪バックコート層用塗料成分≫ カーボンブラック(平均粒径:20nm) 80部 カーボンブラック(平均粒径:350nm) 10部 酸化鉄(粒径:0.3μm) 10部 ニトロセルロース 45部 ポリウレタン樹脂(SO3 Na基含有) 30部 シクロヘキサノン 260部 トルエン 260部 メチルエチルケトン 525部【0048】上記バックコート層用塗料成分をサンドミルで滞留時間45分として分散した後、ポリイソシアネート15部を加えてバックコート層用塗料を調整し濾過後、上記で作製した磁気シートの磁性層の反対面に、乾燥、カレンダ後の厚みが0.2μmとなるように塗布し、乾燥させた。
【0049】このようにして得られた磁気シートを金属ロールからなる7段カレンダで、温度100℃、線圧200kg/cmの条件で鏡面化処理した。
【0050】磁気シートをコアに巻いた状態で70℃で72時間エージングしたのち、1/2インチ幅に裁断し、これを200m/分で走行させながら磁性層表面について下記のLRT処理を行い、磁気テープを作製した。
【0051】≪LBT処理(ラッピング/ロータリー/ティッシュ処理)≫(1)ラッピング処理: 研磨テープ(ラッピングテープ)を、回転ロールによってテープ送り(標準:400m/分)と反対方向に一定の速さ(標準:14.4cm/分)で移動させ、上部からガイドブロックによって押さえることによってテープ磁性層表面と接触させる。この時の磁気テープ巻き出しテンションおよびラッピングテープのテンションを一定(標準:各100g、250g)として磁気テープに対する研磨処理を行う。この工程で使用する研磨テープ(ラッピングテープ)は、例えば、M20000番、WA10000番あるいはK10000番のような研磨砥粒の細かい研磨テープ(ラッピングテープ)である。なお、研磨ホイール(ラッピングホイール)を研磨テープ(ラッピングテープ)の代りにまたは併用して使用することを排除するものではないが、頻繁に交換を要する場合は、研磨テープ(ラッピングテープ)のみを使用する。
【0052】(2)ロータリー処理: 空気抜き用溝付ホイール[標準:幅1インチ(25.4mm)、直径60mm、空気抜き用溝2mm幅、溝の角度45度、協和精工株式会社製]と磁性層とを、一定の接触角度(標準:90度)でテープ送りと反対方向に一定の回転速度(通常:200〜3000rpm、標準:1100rpm)で接触させることにより、磁気テープに対する処理を行う。
【0053】(3)ティッシュ処理: ティッシュ[例えば東レ株式会社製の織布トレシー]を回転棒で各々バックコート層および磁気層面をテープ送りと反対方向に一定の速度(標準:14.0mm/分)で送り、磁気テープに対するクリーニング処理を行う。
【0054】上記のようにして得られた磁気テープを、カートリッジに組み込み、コンピュータ用テープを作製した。
【0055】(比較例1)カレンダ温度を75℃に変えたこと、および上記LRT処理に代えて従来法であるラッピング、ブレードおよびティッシュの各処理からなるLBT処理(条件は下記の通り)を行ったこと以外は、実施例1と同様にして比較例1の磁気テープを作製した。
【0056】≪LBT(ラッピング/ブレード/ティッシュ)処理≫(1)ラッピング処理: 研磨テープ(ラッピングテープ)を、回転ロールによってテープ送り(400m/分)と反対方向に14.4cm/分の速さで移動させ、上部からガイドブロックによって押さえることによってテープ磁性層表面と接触させる。この時の磁気テープ巻き出しテンションを100g及びラッピングテープのテンションを250gとして磁気テープに対する研磨処理を行った。
【0057】(2)ブレード処理: 研磨処理に続き、磁気テープ(送り速度:400m/分)に超硬製ブレードを押し当てて、ロータリー処理に代えて磁気テープに対するブレード処理を行った。
【0058】(3) ティッシュ処理: 東レ株式会社製の織布トレシーを回転棒で各々バックコート層及び磁気層面をテープ送りと反対方向に14.0mm/分の速度で送り、磁気テープに対するクリーニング処理を行った。
【0059】(比較例2)非磁性支持体をPET(ポリエチレンテレフタレート)に変え、磁性層、下塗り層、バックコート層の厚みを表1に示した値に変えた以外は、比較例1と同様にして比較例2の磁気テープを作製した。
<評価>評価は、前述の方法で求めた動摩擦係数に関するもののほか、以下の項目について行った。
【0060】・支持体の中心線平均表面粗さ(支持体Ra):表面粗さ計SE−3FA(小坂研究所製)を用いて測定した。バックコート層が形成される側の支持体表面を平滑な半円筒状ガラス上に張り付けたうえで、下塗層および磁性層が形成される側の支持体表面の中心線平均表面粗さを、触針5μmR、倍率縦10万倍、カットオフ0.08mmの条件で測定した。
【0061】・磁性層表面の中心線平均表面粗さRa:上記の支持体の場合と同様にして測定した。
【0062】・支持体のヤング率:実施例および比較例で使用した支持体から幅10mm、長さ150mmの支持体片を切り出して試料とし、インストロンタイプ万能引張り試験機にて試料の荷重−伸び曲線を測定して、長手方向ヤング率(MD)および幅方向ヤング率(TD)を求めた。その場合、チャック間隔100mm、引張り速度20mm/秒にて試料を引っ張り、記録されたチャートの0.3%伸びの荷重からヤング率を計算した。
【0063】・塗布層のヤング率:実施例および比較例で作製した磁気テープから幅12.7mm、長さ150mmのテープ片を切り出して試料とし、支持体の場合と同様にして荷重−伸び曲線を測定しヤング率を計算した。
【0064】・再生出力および出力変動:試料テープをDLT1規格のカートリッジに巻取り、DLT1ドライブにて記録・再生を行った。再生信号はDLT1ドライブのMRヘッドの出力端子から、デジタルオシロスコープで測定し、0.1秒間の再生出力の平均値AVR、最大値Max、最小値Minから、〔(Max−Min)/AVR〕×100(%)を出力変動とした。
【0065】・ヘッド寿命:DLT1規格のカートリッジに試料テープを巻取り、これをDLT1ドライブにて、連続記録再生を行い再生出力の値が初期の値の75%以下になるまでの時間を測定した。
【0066】・ヘッド汚れ:DLT1ドライブにて、テープ速度3.3m/秒、テープテンション1.1Nの条件で16時間の連続記録再生後、ヘッドのテープ摺動面を200倍の測定顕微鏡で観察した。判定は、「◎」・・・テープ摺動面に汚れほとんど無し、「○」・・・ヘッドギャップ近傍を除くテープ摺動面の一部に汚れあり、「△」・・・ヘッドギャップ近くまで汚れあり、「×」・・・ヘッドギャップ部にまで汚れがかぶり目詰まりを起こしている、とした。
【0067】以上の測定結果を表1に示す。
【0068】
【表1】

【0069】・摩擦係数のテープ速度依存性およびテープテンション依存性:以上に加え、先に述べた測定系で、テープテンションを0.92N(0.094kg)に設定した場合において、テープ速度(相対速度)を、2.54m/秒(V1 )としたときの動摩擦係数(μ1 )と、4.0m/秒(V2 )としたときの動摩擦係数(μ2 )とを測定した。測定結果を図5に示す。なお、図5に示した比較例は、表1の比較例1のものであり、見やすくするために表1中の比較例2のグラフは省略した。
【0070】また、上記の測定値から、各テープテンション下におけるテープ速度の変化量(ΔV=V2 −V1 )に対する動摩擦係数の変化量(Δμ=μ2 −μ1 )の割合(Δμ/ΔV)を求め、これを表1中の「テープ速度に対する動摩擦係数変化」の値とした。
【0071】表1を見ると、先に述べた条件下において0.01≦μ≦0.035で且つ−0.025≦(Δμ/ΔV)≦−0.005である本発明実施例の磁気テープでは、μおよび(Δμ/ΔV)の範囲が前記の範囲を外れている各比較例の磁気テープに比べて、ヘッド汚れが生じにくく、ヘッド寿命が長くなっていることがわかる。また、出力変動については、各比較例テープ1・2では5%であったのに対し、本発明実施例の磁気テープでは4%であった。したがって、本発明実施例テープは各比較例テープよりも出力変動が小さく、出力劣化が少ない(出力特性が良い)こともわかる。
【0072】
【発明の効果】以上のように、本発明の磁気記録媒体によれば、直径が5mmで且つ中心線平均表面粗さRaが10nm±1nmである円柱状のテストピースに、上記磁気記録媒体を巻付け角9°で接触させて相対速度4m/秒、走行張力0.92N(0.094kgf)で摺動させた状態における前記テストピースに対する動摩擦係数を特定の範囲としたことにより、出力変動の抑制(出力特性の向上)を図ることができ、しかもMRヘッドの耐摩耗性およびヘッド汚れを改善することができる。




 

 


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