米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 計算機;電気通信 -> 日立マクセル株式会社

発明の名称 記録再生レーザーパワーの設定方法及び記録再生装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2003−208740(P2003−208740A)
公開日 平成15年7月25日(2003.7.25)
出願番号 特願2002−4259(P2002−4259)
出願日 平成14年1月11日(2002.1.11)
代理人 【識別番号】100099793
【弁理士】
【氏名又は名称】川北 喜十郎
【テーマコード(参考)】
5D075
【Fターム(参考)】
5D075 AA03 CC29 CD11 
発明者 井戸 寛 / 石崎 修
要約 課題
記録または再生用の最適なレーザーパワーを短時間で且つ適切に求めることができるレーザーパワーの設定方法及び記録再生装置を提供する。

解決手段
光磁気記録媒体のテスト記録再生領域にテストパターンを記録レーザーパワー及び再生レーザーパワーの少なくとも一方を変化させながらテスト記録再生する。テストパターンに基づく再生信号から求めた記録マーク数と、記録に用いた記録マーク数との差を求め、その差が所定数以下になるときの記録または再生レーザーパワーの範囲内から記録または再生レーザーパワーを設定する。こうして設定されたレーザーパワーは低エラーレートで情報を再生できる最適なレーザーパワーである。このように記録マークの数をカウントするだけであるので、極めて簡単に最適レーザーパワーを設定することができる。
特許請求の範囲
【請求項1】 情報が磁区として記録される記録層と、該記録層の磁区が転写され且つ転写された磁区が拡大される磁区拡大再生層とを備える光磁気記録媒体の記録用または再生用レーザーのレーザーパワーの設定方法において、上記光磁気記録媒体のテスト記録再生領域において単一テストパターンを記録レーザーパワー及び再生レーザーパワーの少なくとも一方を変化させながらテスト記録再生し、テストパターンに基づく再生信号と、記録に用いたテストパターンの信号との違いに基づくエラー数を求め、該エラー数が所定数以下になるときの記録または再生レーザーパワーの範囲内から記録または再生レーザーパワーを設定することを特徴とするレーザーパワーの設定方法。
【請求項2】 上記単一テストパターンが1チャネルビット長または光スポット径以上のマーク長の記録マークの繰り返しパターンであり、上記エラー数を、記録したときの記録マーク数と再生信号から求められる記録マーク数との差から求めることを特徴とする請求項1に記載のレーザーパワーの設定方法。
【請求項3】 上記エラー数を、再生信号波形中に含まれる、上記テストパターンに基づく再生信号波形とは異なる再生信号波形の数から求めることを特徴とする請求項1に記載のレーザーパワーの設定方法。
【請求項4】 更に、上記光磁気記録媒体のテスト記録再生領域に光スポット径以上のマーク長を有する記録マークを用いたテストパターンをテスト記録することと、上記テストパターンを再生して再生信号の最大値Smax及び最小値Sminをそれぞれ求めることと、上記記録マークと同一極性の磁界を印加して初期化し、初期化した領域を再生して初期化信号レベルSini+を求めることと、上記記録マークと逆極性の磁界を印加して初期化し、初期化した領域を再生して初期化信号レベルSini-を求めることと、最大値SmaxがSini+の90%以下、または最小値SminがSini-の110%以上になるようにレーザーパワーを設定することとを含むことを特徴とする請求項1に記載のレーザーパワーの設定方法。
【請求項5】 情報が磁区として記録される記録層と、該記録層の磁区が転写され且つ転写された磁区が拡大される磁区拡大再生層とを備える光磁気記録媒体の記録用または再生用レーザーのレーザーパワーの設定方法において、上記光磁気記録媒体のテスト記録再生領域に光スポット径以上のマーク長を有する記録マークを用いたテストパターンをテスト記録することと、上記テストパターンを再生して再生信号の最大値Smax及び最小値Sminをそれぞれ求めることと、上記記録マークと同一極性の磁界を印加して初期化し、初期化した領域を再生して初期化信号レベルSini+を求めることと、上記記録マークと逆極性の磁界を印加して初期化し、初期化した領域を再生して初期化信号レベルSini-を求めることと、最大値SmaxがSini+の90%以下、または最小値SminがSini-の110%以上になるようにレーザーパワーを設定することとを含むことを特徴とするレーザーパワーの設定方法。
【請求項6】 記録再生変調方式としてNRZ、NRZI、NRZI+、(1−7)及び(2−7)のいずれか一種を用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の記録再生レーザーパワー設定方法。
【請求項7】 情報が磁区として記録される記録層と、該記録層の磁区が転写され且つ転写された磁区が拡大される磁区拡大再生層とを備える光磁気記録媒体の記録再生装置において、上記光磁気記録媒体に記録または再生レーザーを照射するための光源と、上記光磁気記録媒体のテスト記録再生領域に単一のテストパターンを記録し、記録したテストパターンを再生する記録再生手段と、上記記録再生手段により得られたテストパターンに基づく再生信号と、記録に用いたテストパターンの信号とからエラー数を求め、該エラー数が所定数以下になるときの記録または再生レーザーパワーの範囲から記録または再生レーザーパワーを設定する手段とを備えることを特徴とする記録再生装置。
【請求項8】 上記記録または再生レーザーパワーを設定する手段は、上記再生手段により得られたテストパターンに基づく再生信号から記録マークの数をカウントするためのカウンターを備えることを特徴とする請求項7に記載の記録再生装置。
【請求項9】 情報が磁区として記録される記録層と、該記録層の磁区が転写され且つ転写された磁区が拡大される磁区拡大再生層とを備える光磁気記録媒体の記録再生装置において、上記光磁気記録媒体のテスト記録再生領域に光スポット径以上のマーク長を有する記録マークを用いたテストパターンをテスト記録する手段と、上記テストパターンを再生して再生信号の最大値Smax及び最小値Sminをそれぞれ求める手段と、上記記録マークと同一極性の磁界を印加して初期化し、初期化した領域を再生して初期化信号レベルSini+を求める手段と、上記記録マークと逆極性の磁界を印加して初期化し、初期化した領域を再生して初期化信号レベルSini-を求める手段と、最大値SmaxがSini+の90%以下、または最小値SminがSini-の110%以上になるようにレーザーパワーを設定する手段とを含むことを特徴とする記録再生装置。
【請求項10】 上記最大値Smax及び最小値Sminをそれぞれ求める手段、初期化信号レベルSini+を求める手段及び初期化信号レベルSini-を求める手段は、信号レベルを検出するサンプルホールドを含むことを特徴とする請求項9に記載の記録再生装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光磁気記録媒体の記録または再生レーザーパワーの設定方法に関し、より詳細には、情報が磁区として記録される記録層と、記録層に記録された磁区が転写され且つ転写された磁区が拡大される磁区拡大再生層とを備える光磁気記録媒体の記録再生用のレーザーパワーの設定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光記録媒体は持ち運びの可能なメモリとして広く利用されており、近年のモバイル情報通信機器の発達により、更なる簡易性や大記憶容量性が要望されている。
【0003】光記録媒体の基板には、通常、予めスパイラル状に溝(トラック)が形成されており、かかる溝をレーザー光で走査することにより情報の記録再生を行う。光磁気記録媒体の場合、情報記録マークは記録層に磁区として記録される。記録層の磁区の磁化の向きに応じて光磁気的性質(磁気光学効果、例えば、カー効果)が異なることから、磁化の向きの互いに異なる磁区を2種類のマークとして機能させている。
【0004】記録媒体においては、大量の情報を記録するために記録容量を増大することが望まれている。光記録媒体の記録容量を増大するには、例えば、トラック間隔を狭めるとともに記録マークのトラック方向における間隔を狭くすることが考えられる。しかし、トラック間隔や情報記録マークの間隔がレーザー光のスポット径(λ/NA λ:レーザーの波長,NA:絞り込みレンズの開口数)より狭まると、光スポット内に複数の記録マークが含まれるようになるため記録マークの分別ができなくなるという問題がある。
【0005】光磁気記録媒体の分野において、この問題に対する一つの解決策として磁気超解像技術(MSR技術)が知られている。この磁気超解像技術に従う光磁気記録媒体(以下、光磁気超解像媒体という)は、情報が記録される記録層の他に、再生時に記録層の磁区が転写される再生層、転写磁界を制御するための補助磁性層などの磁性層を有する。この技術では、再生レーザー光の照射により光磁気記録媒体の光スポット内に磁気的なマスクを形成し、光スポットよりも小さな開口部(アパーチャー)と呼ばれる領域を通じて記録層の磁区を読み出す。この技術によれば、レーザーの分解能を実効的に超えて情報を再生することが可能である。しかしながら、磁気超解像技術では磁気的マスクにより実効的なスポット径を小さくするために再生信号振幅が小さくなり、結果的に、小さい記録マークを十分なS/Nで再生することは困難であった。
【0006】この問題を解決する方法として、例えば、特開平8−7350号公報に開示されているような磁区拡大再生方式(MAMMOS;Magnetic Amplifying Magneto-Optical System)が知られている。磁区拡大再生方式では、情報記録層と磁区拡大再生層とを備える光磁気記録媒体(以下、磁区拡大媒体という)が用いられ、再生時に、レーザー光及び外部磁界の少なくとも一方を変調して適用することによって、或いは、外部磁界なしでレーザー光のみを変調して適用することによって、情報記録層に形成されている記録マーク(記録磁区)を磁区拡大再生層に転写し、転写された磁区を外部磁界により磁区拡大再生層で拡大させる。磁区拡大再生層で拡大した磁区からは増幅された再生信号が検出されるので、記録層に微小な記録マークを形成しても、それを十分な信号強度で再生することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記のように磁区拡大媒体を用いれば、レーザーの分解能を越えて、マーク長の短い記録マークを十分なS/Nで分別して再生することができる。この媒体においては、記録条件と再生条件が互いに大きな相関関係を有するため、記録再生する際の記録再生レーザー光のパワーを最適に設定することは極めて重要である。また、ランド/グルーブ基板を用いて磁区拡大媒体を構成した場合は、ランド部とグルーブ部の熱的状態の違い、或いはそれに付随して発生する磁性状態の違いから、ランド部とグルーブ部をそれぞれ記録再生する際の記録再生レーザーパワーを独立に最適化する必要がある。このため記録再生レーザーパワーを決定する過程は一層複雑になるという問題がある。
【0008】また、光記録媒体においては、速やかに情報を記録再生するために、ユーザーデータ及び管理データを記録再生するためのレーザーパワーを短時間で求めることが望まれる。また、様々な環境下で使用したときでも、媒体の個々の特性に応じて速やかに最適記録再生レーザーパワーを決定することも重要である。
【0009】本発明は、かかる要望に応えるためになされたものであり、その目的は、記録層に記録された記録磁区を再生層に転写し拡大させるタイプの光磁気記録媒体にユーザーデータ或いは各種管理データを記録または再生する際の最適なレーザーパワーを短時間で且つ適切に求めることができるレーザーパワーの設定方法を提供することにある。
【0010】本発明の別の目的は、短時間で記録再生に最適なレーザーパワーを設定することができ、媒体を装填したときに速やかに記録再生動作を実行することが可能な記録再生装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の態様に従えば、情報が磁区として記録される記録層と、該記録層の磁区が転写され且つ転写された磁区が拡大される磁区拡大再生層とを備える光磁気記録媒体の記録用または再生用レーザーのレーザーパワーの設定方法において、上記光磁気記録媒体のテスト記録再生領域において単一テストパターンを記録レーザーパワー及び再生レーザーパワーの少なくとも一方を変化させながらテスト記録再生し、テストパターンに基づく再生信号と、記録に用いたテストパターンの信号との違いに基づくエラー数を求め、該エラー数が所定数以下になるときの記録または再生レーザーパワーの範囲内から記録または再生レーザーパワーを設定することを特徴とするレーザーパワーの設定方法が提供される。
【0012】本発明においては、光記録媒体として、情報を磁区として記録するための記録層と、記録層に存在する記録磁区を転写し拡大するための磁区拡大再生層とを備える光磁気記録媒体(磁区拡大媒体)を用いる。かかる磁区拡大媒体は、記録層と再生層以外に、例えば、ゲート層と呼ばれる、再生層の磁区の拡大を適正化するための磁性層を備えていてもよい。磁区拡大媒体においては、最も短い記録マークから最も長い記録マークを、再生信号を劣化させることなく、ほぼ同じ信号振幅で再生することができる。従って最も短い記録マークであっても十分なS/Nで再生可能となっている。
【0013】かかる磁区拡大媒体においては、記録再生時のレーザーパワーが適切に選択されていないと、短い記録マークを再生したときに光スポット内に記録マークが存在するにも係わらず再生信号が検出されない場合があった。その頻度は最短記録マークにおいて比較的多く発生することがわかっている。したがって、最短記録マークのみに注目し、最短記録マークを正確に再生可能な記録再生レーザーパワーを設定することにより全体の再生エラーを低減することができる。本発明では、かかる磁区拡大媒体の特性を積極的に利用して、磁区拡大媒体にユーザーデータや各種管理データを記録または再生する際の適切な記録再生レーザーパワーを求める。以下、本発明のレーザーパワーの設定方法について説明する。
【0014】本発明では、磁区拡大媒体のテスト記録再生領域において単一のテストパターンを記録または再生レーザーパワーを種々の値に変化させてテスト記録再生する。そして、記録の際に用いたテストパターンと実際に検出された再生信号とに基づいてエラー数を求める。次いで、エラー数が所定数以下となる記録または再生レーザーパワーの範囲を特定し、その範囲から記録または再生レーザーパワーを選択する。上記所定数は、テストパターンを再生したときにエラー訂正により訂正できる範囲のエラー数に基づいて設定することができ、例えば、1チャンネルビット長の繰り返しのテストパターンを再生したときのエラーレートが10−3以下となるようなエラー数にすることができる。最も望ましくはゼロである。このように本発明では、テスト記録再生からエラー数のみを求めて記録または再生レーザーパワーの最適範囲を特定する。
【0015】テスト記録再生の単一のテストパターンには、例えば、1チャンネルビット長の記録マークの繰り返しパターンや、光スポット径以上のマーク長の記録マークの繰り返しパターンを用いることができる。記録の際に用いたテストパターンと実際に検出された再生信号とに基づいて求められるエラー数は、例えば、記録したときの記録マーク数と再生により得られる記録マーク数の差から求めることができる。すなわち、記録層に記録されているにもかかわらず再生されなかった記録マークの数(以下、欠落数という)を検出することによりエラー数を求める。また、再生信号から記録マーク数を直接求める代わりに、再生信号波形から、記録の際に用いたテストパターンに基づく波形と異なる波形を検出してその数を求めてもよい。例えば単一テストパターンとして1Tチャンネルビットのパターンを用いた場合、3T、5T、7Tチャンネルビット長の波形は、1Tチャンネルビット長の波形がそれぞれ1,2、3・・・個連続して欠落した波形に対応する。したがって、3T、5T、7T・・・チャンネルビット長の波形を検出してその数を求めることによってエラー数を概算することができる。3T、5T、7T・・・チャンネルビット長の波形の全ての波形を検出してその数を求めてもよいが、3Tチャンネルビット長の波形のみを検出してエラー数を概算してもよい。これは、3Tチャンネルビット長の波形の検出頻度が、5T、7T・・・などの3T以外のチャンネルビット長の波形の検出頻度に比べて圧倒的に多いためである。かかる方法によれば、再生信号から全ての記録マークの数を求める必要がないので極めて短時間にレーザーパワーの範囲を特定することができる。エラー数は可能な限りゼロであることが好ましいが、エラー訂正により訂正できる程度のエラー数であれば不都合はない。
【0016】本発明においては、エラー数が所定数以下となるレーザーパワー範囲から、ユーザーデータの記録または再生で用いるレーザーパワーを選択する際、エラー数の最も少ないときのレーザーパワーを選択することができる。或いは、駆動装置の消費電力の低減の観点から、エラー数が所定数以下となるレーザーパワー範囲内で最も低レーザーパワーの記録または再生レーザーを選択してもよい。
【0017】ところで、一般に、最適な再生レーザーパワー及び記録レーザーパワーを求めるためには、再生レーザーパワーと記録レーザーパワーのいずれか一方を固定して他方の最適レーザーパワーを求めた後、更にこの最適レーザーパワーのもとで、もう一方の最適レーザーパワーを求めるというルーチンを繰り返すことが必要である。従来技術の欄に記載したように、磁気拡大媒体においては、再生条件と記録条件が互いに大きな相関関係を持つため、このルーチンの回数は多くなる。場合によっては、最適な再生記録レーザーパワー条件が得られない場合もある。また初期値としてどの程度の大きさのレーザーパワーを選択するかによっても、その後のルーチン回数や条件の収束具合に差が生じる。
【0018】そこで、本発明の記録または再生レーザーパワーの設定においては、再生レーザーパワーを固定した状態で最初に暫定的に記録レーザーパワーを求め、次いで、かかる記録レーザーパワーを固定した状態で再生レーザーパワーを求め、そして、求めた再生レーザーパワーを固定して記録レーザーパワーを求める方法が、最適な記録再生レーザーパワーを決定する上で最も効率がよい。具体的には、まず、光磁気記録媒体の所定領域にテストパターンを種々の記録レーザーパワーの記録レーザーを用いて記録し、それぞれの記録レーザーパワーでテスト記録したテストパターンを所定の再生レーザーパワーの再生レーザーを用いて再生する。そしてテスト記録に用いたテストパターンと実際に得られた再生信号からエラー数を求め、エラー数が所定数以下となるときの記録レーザーパワーの範囲を特定する。かかる範囲の中から記録レーザーパワーPw1を選択して設定する。こうして、まず記録レーザーパワーを暫定的に設定する。
【0019】次いで、こうして設定された記録レーザーパワーPw1の記録レーザーを用いて光磁気記録媒体の所定領域に上記と同様にテストパターンをテスト記録し、テスト記録したテストパターンを種々の再生レーザーパワーの再生レーザーを用いて再生する。得られた再生信号から、それぞれの再生レーザーパワーごとにエラー数を求め、エラー数が所定数以下となるときの再生レーザーパワーの範囲を特定する。そして、かかる範囲内から最適再生レーザーパワーPr1を設定する。
【0020】次いで、光磁気記録媒体の所定領域にテストパターンを種々の記録レーザーパワーでテスト記録し、それぞれの記録レーザーパワーでテスト記録したテストパターンを上記再生レーザーパワーPr1で再生し、得られた再生信号から、記録レーザーパワーごとにエラー数を求める。そして、エラー数が所定数以下となるときの記録レーザーパワーの範囲を特定し、かかる範囲から最適記録レーザーパワーPw2を設定する。こうして設定された最適レーザーパワーの記録または再生レーザーを用いてユーザーデータや管理データを記録することにより、エラーの発生を著しく低減することができる。このように、本発明のレーザーパワーの設定方法では、単一のテストパターンを用いてエラー数を検出するだけで最適レーザーパワーを設定することができる。したがって、極めて短時間で、ユーザーデータの記録再生動作を実行することができる。
【0021】本発明において、テスト記録再生領域にテストパターンを記録する際に最初に用いるテストパターンとして、光スポット以上のマーク長の記録マークの繰り返しパターンを用いるか、或いは1チャンネルビット長の記録マークの繰り返しパターンを用いるかは任意に選択することができ、両方のパターンを併用することも可能である。最初に前者のテストパターンを用いる方が最適再生レーザーパワーを求めるに際しその収束具合が良い。更に、その場合、最初に磁区拡大現象が起こらない程度に再生レーザーパワーを下げておいて、本発明のレーザーパワーの設定方法に従って記録レーザーパワーの暫定値を決定し、次いで、かかる記録レーザーパワーの下で再生レーザーパワーを決定し、最後に、かかる再生レーザーパワーの下で記録レーザーパワーを決定する。この方法を用いることで、より早く最適な記録再生レーザーパワーを設定することができる。
【0022】本発明において、テスト記録再生に用いるテストパターン長が1kビット以上あれば、精度良く最適な記録または再生レーザーパワーを求めることができる。テストパターン長を更に長くすれば一層精度良く最適記録再生レーザーパワーを求めることが可能である。
【0023】本発明のレーザーパワーの設定方法を用いてレーザーパワーが設定される磁区拡大媒体は、基板として、ランド/グルーブ基板、クロストーク・クロスライトを防ぐための溝(以下、ガードバンドという)と記録再生を行なう領域及びアドレス等を備えた溝とを有するイン・グルーブ基板或いはオン・グルーブ基板を用いることができる。
【0024】本発明の第2の態様に従えば、情報が磁区として記録される記録層と、該記録層の磁区が転写され且つ転写された磁区が拡大される磁区拡大再生層とを備える光磁気記録媒体の記録用または再生用レーザーのレーザーパワーの設定方法において、上記光磁気記録媒体のテスト記録再生領域に光スポット径以上のマーク長を有する記録マークを用いたテストパターンをテスト記録することと、上記テストパターンを再生して再生信号の最大値Smax及び最小値Sminをそれぞれ求めることと、上記記録マークと同一極性の磁界を印加して初期化し、初期化した領域を再生して初期化信号レベルSini+を求めることと、上記記録マークと逆極性の磁界を印加して初期化し、初期化した領域を再生して初期化信号レベルSini-を求めることと、最大値SmaxがSini+の90%以下、または最小値SminがSini-の110%以上になるようにレーザーパワーを設定することとを含むことを特徴とするレーザーパワーの設定方法が提供される。
【0025】磁区拡大媒体においては、光スポット以上のマーク長の記録マークを再生したときに、再生信号に、図7に示すようなDC成分の揺らぎが生じる場合があった。かかる再生信号のDC成分変動は、記録層の磁区が磁区拡大再生層に転写拡大した後に働く収縮力が不十分であることに起因すると考えられる。本発明者の知見によると、再生レーザーパワーが最適値より小さいときに特に変動が大きくなる傾向があることがわかっている。また、光スポット径よりも長い記録マークが記録層に記録されている場合、記録層と再生層と間の磁気的な結合力が記録マークの長さ方向において差が生じていると考えられる。それゆえ、磁区拡大に関する不良よりも、磁区収縮に関する不良が顕著に起きるようになると考えられる。この時、磁区収縮の不良に伴い、一度磁区拡大が起きると磁区拡大が継続して起こることにより、再生信号が+極性側か−極性側に振られたままになる。結果的に再生信号のDC成分に揺らぎが生じたように見えるようになる。
【0026】そこで、本発明の第2の態様のレーザーパワーの設定方法では、異なる極性の外部磁界をそれぞれ印加することによって初期化された媒体を再生した時に検出されるそれぞれの信号レベルと、テスト記録再生領域に記録したテストパターンを再生して得られる光磁気信号レベルとに基づいてレーザーパワーを設定する。すなわち、本発明では、種々の再生レーザーパワーでテストパターンを再生して光磁気信号の最大値(最大信号レベル)Smaxと最小信号レベルSminとを求める。また、記録マークと同一極性(以下、+極性とする)の外部磁界を印加して初期化し、その初期化された領域を再生して初期化信号レベルSini+を求め、記録マークと逆極性(以下、−極性とする)の外部磁界を印加して初期化し、この初期化された領域を再生して初期化信号レベルSini-を求める。そして、光磁気信号の最大値Smaxが初期化信号レベルSini+の90%以下、または光磁気信号の最小値Sminが初期化信号レベルSini-の110%以上になるようにレーザーパワーを設定する。こうしてレーザーパワーを設定することにより、再生信号のDC成分の揺らぎを殆ど発生させることなく情報を再生することができる。
【0027】本発明の第3の態様に従えば、情報が磁区として記録される記録層と、該記録層の磁区が転写され且つ転写された磁区が拡大される磁区拡大再生層とを備える光磁気記録媒体の記録再生装置において、上記光磁気記録媒体に記録または再生レーザーを照射するための光源と、上記光磁気記録媒体のテスト記録再生領域に単一のテストパターンを記録し、記録したテストパターンを再生する記録再生手段と、上記記録再生手段により得られたテストパターンに基づく再生信号と、記録に用いたテストパターンの信号とからエラー数を求め、該エラー数が所定数以下になるときの記録または再生レーザーパワーの範囲から記録または再生レーザーパワーを設定する手段とを備えることを特徴とする記録再生装置が提供される。
【0028】かかる記録再生装置は本発明の第1の態様のレーザーパワーの設定方法を実行することができるので、極めて短時間で最適な記録または再生レーザーパワーが設定されてユーザーデータの記録または再生を実行することができる。かかる記録再生装置はモバイル用に極めて最適である。
【0029】本発明の記録再生装置において、制御回路は、例えば、媒体に記録したテストパターンを再生して得られた再生信号をデジタル信号に変換するためのAD変換器と、デジタル信号に変化されたテストパターンに基づく再生信号を2値化するための2値化回路と、2値化回路により2値化された信号から記録マークに基づく信号数をカウントするカウンターを用いて構成し得る。制御回路は、テストパターンの記録マークの数と、カウンターによりカウントされた記録マークに基づく信号数との差をエラー数として求め、そのエラー数が所定数以下となるレーザーパワーの範囲を求めることができる。更に、制御回路は、かかるレーザーパワーの範囲から所定のレーザーパワーを選択してユーザーデータの記録または再生用のレーザーパワーに設定することができる。また、制御回路は、例えば、2値化回路により2値化された信号から、テストパターンに基づく再生信号とは異なる信号を検出し、その信号の数をエラー数として求めることもできる。
【0030】本発明の記録再生装置において、例えば、磁区拡大媒体が、テスト領域とその領域の位置を正確に示すための同期プレピット或いはウォブル溝を備えている場合は、その同期プレピット或いはウォブル溝から再生信号を検出するための同期信号検出回路を備え得る。
【0031】本発明の第4の態様に従えば、情報が磁区として記録される記録層と、該記録層の磁区が転写され且つ転写された磁区が拡大される磁区拡大再生層とを備える光磁気記録媒体の記録再生装置において、上記光磁気記録媒体のテスト記録再生領域に光スポット径以上のマーク長を有する記録マークを用いたテストパターンをテスト記録する手段と、上記テストパターンを再生して再生信号の最大値Smax及び最小値Sminをそれぞれ求める手段と、上記記録マークと同一極性の磁界を印加して初期化し、初期化した領域を再生して初期化信号レベルSini+を求める手段と、上記記録マークと逆極性の磁界を印加して初期化し、初期化した領域を再生して初期化信号レベルSini-を求める手段と、最大値SmaxがSini+の90%以下、または最小値SminがSini-の110%以上になるようにレーザーパワーを設定する手段とを含むことを特徴とする記録再生装置が提供される。かかる記録再生装置は、本発明の第2の態様のレーザーパワーの設定方法を実行することができるので、再生信号のDC成分の揺らぎを殆ど発生させることなく情報を再生することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明のレーザーパワーの設定方法について実施例により具体的に説明する。
【0033】
【実施例1】図1に、本実施例で用いた磁区拡大媒体の概略断面図を示す。磁区拡大媒体は、図に示すように、基板1上に、エンハンス層2、情報再生層(磁区拡大再生層)3、補助磁性層(ゲート層)4、情報記録層5、記録補助層6、第1ヒートシンク層7、第2ヒートシンク層8及び紫外線硬化樹脂層9を備える。基板1には、トラックピッチ0.6μm、板厚0.6mmのL/G(ランド/グルーブ)基板を用いた。エンハンス層2は、多重干渉効果により光磁気信号並びにエンボス信号及び溝信号を増幅するための層であり、窒化シリコンを用いて形成した。エンハンス層2の膜厚は60nmとした。情報記録層5としてはTbFeCoを用い、情報再生層(磁区拡大再生層)3としてGdFeを用いた。情報記録層3から情報再生層5への転写拡大を制御するための補助磁性層(ゲート層)4にはTbGdFeを用いた。記録補助層6は、記録に要する磁界を低減するための層であり、面内磁化膜であるGdFeCoを用いて形成した。情報記録層5、情報再生層3、補助磁性層4及び記録補助層6の膜厚はそれぞれ30nm、60nm、10nm、10nmとした。また、第1ヒートシンク層7及び第2ヒートシンク層8は、媒体に発生する熱を制御するための層であり、第1ヒートシンク層としてSiNを用い、第2ヒートシンク層としてAl合金を用いた。本実施例では、第1ヒートシンク層の膜厚が20nm、第2ヒートシンク層の膜厚が30nmの媒体(以下、サンプル1とする)と、第1ヒートシンク層の膜厚が20nm、第2ヒートシンク層の膜厚が40nmの媒体(以下、サンプル2とする)とを用意した。
【0034】図2に本発明に従う記録再生装置を模式的に示した。図2においては、媒体上にレーザー光を照射するための光学系(100〜112)と、回路系(200〜205)を模式的に示した。なお、光ヘッド及び磁気ヘッドを媒体の目的のトラック上を走査させるためのサーボ系については省略した。以下に、図2の記録再生装置について説明する。
【0035】上記記録再生装置において、レーザー100から出射した光は、コリメータレンズ101によって平行光にされ、ビーム成型プリズム102及び103を通り、ビームスプリッタ104及び105を透過した後、立ち上げミラー111で反射され、光ヘッドの対物レンズ112によって磁区拡大媒体10上に集光される。磁区拡大媒体10に記録されているプリピットからの反射光は、ビームスプリッタ104によってディテクター107の方向に向けられ、ディテクター107によりプレピット信号として検出される。検出されたプレピット信号に基づいて同期回路201は正確に信号を同期させる。ここで、プレピット信号は、磁区拡大媒体にテスト記録再生を行なうために設けたテスト記録再生領域のアドレスからの信号に対応する。また、磁区拡大媒体10に記録された記録マークからの反射光は、ビームスプリッタ105によってビームスプリッタ106の方向に向けられ、1/2波長板110を透過した後、ビームスプリッタ106で2方向に分割される。分割されたそれぞれの反射光はディテクター108及び109に導かれ、光磁気信号として検出される。ディテクター108及び109によって検出された光磁気信号は、増幅回路200に入力され、その差信号が計算される。更に、必要に応じて、その差信号をフィルタリングや増幅することができる。
【0036】磁区拡大媒体10のテスト記録再生領域を再生レーザーで走査することにより、光ディスクに予め同期用として記録されている記録マークに基づく光磁気信号と、テスト記録再生領域に記録されたテストパターンに基づく光磁気信号とが検出される。同期用の記録マークに基づく光磁気信号は、AD変換器202によりデジタル処理された後、2値化回路203によって2値化され、第2同期回路202により同期される。また、テストパターンに基づく光磁気信号は、AD変換器202によりデジタル処理された後、2値化回路203によって2値化される。カウンター205は、2値化回路203により2値化された光磁気信号の信号数、すなわち記録マークに基づく信号をカウントし、その信号数を制御回路に出力する。制御回路207では、設定されていた記録マーク数と実際に検出された信号マーク数とを比較してそれらの差を求めることができる。また、制御回路207は、マーク数の差が所定数以下となるレーザーパワーの範囲を特定し、その範囲の中から記録再生レーザーパワーを決定することができる。決定された記録再生レーザーパワーに基づいてレーザー駆動回路によりレーザーを駆動させることができる。また、振幅検出回路206は、サンプルホールドとコンパレータとを備えることができ、サンプルホールドにより磁区拡大媒体からテストパターンなどの種々の光磁気信号の振幅が検出され、コンパレータによりそれぞれの光磁気信号同士の振幅が比較される。
【0037】ここで上記記録再生装置を用いて記録再生レーザーパワーを設定する方法としては以下の2通りの手段を用いることができる。
【0038】(1) 記録の際に設定した記録マーク数(テストパターン中の記録マーク数)と、それを再生して検出されたマーク数との差を、記録または再生レーザーパワー毎にメモリ上に一時的に保存しておき、マーク数の差が所定数以下となる記録または再生レーザーパワー範囲を調べる手段。
【0039】(2)テストパターンを再生して得られる再生信号波形から、記録マークが検出されないために再生信号波形に欠落が生じることにより出現する特定波形パターンを検出し、その特定波形パターンの検出数が所定数以下となる記録または再生レーザーパワー範囲を調べる手段。
【0040】特に(2)の方法に従う場合は、次のような効果が得られる。例えば1チャンネルビットの繰り返しパターンをテスト記録再生パターンとして用いた場合、本来は、図3(a)に示すような再生信号波形が検出される。なお、図3において再生信号波形の下段の信号波形は、再生信号波形をA/D変換した後、2値化して得られた信号波形である。ところが、何らかの原因で記録マークが検出されず、再生信号波形に欠落が発生すると、1Tチャンネルビット長の再生信号波形の他に、図3(b)に示すような3Tチャンネルビット長、5Tチャンネルビット長などの奇数チャンネルビット長の再生信号波形が検出される。したがって、これら異常なチャンネルビット長の再生信号波形を検出して、その数を求めることにより、正常な再生信号波形の検出をモニターする代わりとして用いることが可能である。更に、連続して波形欠落が生じる割合よりも一個だけ波形が欠落する場合が圧倒的に多いという特徴があることから、1Tチャンネルビット長の再生信号波形以外の奇数チャンネルビット長の信号波形としては、特に3Tチャンネルビット長の再生信号波形が現れやすい。すなわち、少なくとも3Tチャンネルビット長の記録マークからの再生信号を検出すれば効果が得られる。この方法は回路規模を大幅に少なくすることができるので極めて有効である。
【0041】ここで、図2に示した記録再生装置(ドライブ)を用いて種々の記録レーザーパワーのレーザー光を照射することによってテストパターンをテスト記録し(試し書き)、それらを再生することによって最適な記録用レーザーパワーを決定する方法を図9のフローチャートにより説明する。
【0042】最初に、記録再生装置の記録用レーザーパワーを最小値Pwminに設定する(ステップS1)。本実施例では、最小値Pwmin〜最大値Pwmaxまで記録レーザーパワーを変化させて最適な記録レーザーパワーを求める。
【0043】記録用レーザーパワーPwを最小値Pwminからn段階回に分けて最大値Pwmaxまで増加させながらテスト記録再生領域にテストパターンをレーザーパワーごとに順に記録する(ステップS2)。これによりテスト記録再生領域にはそれぞれの記録レーザーパワーで記録されたテストパターンが順に記録される。
【0044】次いで、テストパターンを所定の再生レーザーパワーで再生し(ステップS3)、得られた再生信号から記録マークの数をカウントする(ステップS4)。テストパターン中の記録マーク数と、それぞれの記録レーザーパワーで記録されたテストパターンを再生して再生信号から得られたマーク数とを比較してマーク数の差を求める(ステップS5)。求めたマーク数の差が所定数(例えば5個)以下となる記録レーザーパワーを順次メモリに格納する(ステップS6)。メモリに格納されている記録レーザーパワー範囲から最もレーザーパワーの低いレーザーを記録用レーザーとして設定する(ステップS7)。そして、最適記録レーザーパワー設定用のプログラムを終了する。
【0045】上記手順により最適記録レーザーパワーを見出すことができる。ここでは、最も低パワーのレーザーを設定したが、マーク数の差が最も少なかったときのレーザーパワーを設定してもよい。
【0046】つぎに、最適再生レーザーパワーを設定する具体的な手順を図10のフローチャートにより説明する。本実施例では、再生レーザーパワーを、最小値Prmin〜最大値Prmaxまで数段階に変化させて最適な再生レーザーパワーを求める。
【0047】まず、上記手順に従って設定された最適記録レーザーパワーの記録レーザーを用いてテスト記録再生領域にテストパターンを記録する(ステップS11)。次いで、記録再生装置の再生用レーザーパワーを最小値Prminに設定する(ステップS12)。記録したテストパターンを再生レーザーパワーで再生する(ステップS13)。再生により得られた再生信号から記録マークの数をカウントする(ステップS14)。
【0048】テスト記録したときのテストパターン中の記録マーク数と、テストパターンを再生して再生信号から得られたマーク数とを比較してマーク数の差を求める(ステップS15)。求めたマーク数の差が所定数以下か判断し(ステップS16)、所定数以下の場合は、再生に用いた再生レーザーパワーをメモリに格納する(ステップS17)。次いで、再生レーザーパワーを所定パワーだけ増加させ(ステップS18)、増加させた再生レーザーパワーが最大パワーPrmaxよりも大きいか判断する(ステップS19)。最大パワーよりも小さい場合はステップS13の再生に戻る。増加させた再生レーザーパワーが最大パワーPrmaxよりも大きい場合は、メモリに格納されている再生レーザーパワーの範囲のうち、中心値に対応するパワーを再生レーザーとして設定する(ステップS20)。
【0049】ステップS15において、マーク数が所定数以下でない場合は、再生レーザーパワーを所定パワーだけ増加させる(ステップS21)。増加させた再生レーザーパワーが最大パワーPrmaxよりも大きいかどうかを判断し(ステップS22)、小さい場合にはステップS13の再生に戻る。再生レーザーパワーが最大値よりも大きい場合はステップS20に移り、メモリに格納されている再生レーザーパワーの範囲のうち、中心値に対応するパワーを再生レーザーとして設定する(ステップS20)。そして、最適再生レーザーパワー設定用のプログラムを終了する。
【0050】ここでは、メモリに格納されている再生レーザーパワーの範囲のうち、中心値に対応するパワーを設定したが、マーク数の差が最も少なかったときのレーザーパワーを設定してもよい。
【0051】また、上述の最適記録レーザーパワーの設定手順と最適再生レーザーパワーの設定手順を複数回繰り返して更に最適な記録または再生レーザーパワーを求めてもよい。また、2回目以降の記録パワー選択時においては、メモリに格納されている記録レーザーパワー範囲のうち、中心値に対応するパワーを記録レーザーパワーとするのが好適である。
【0052】操作方法としては、磁区拡大を起こさない程度の低い再生レーザーパワーにおいて暫定的に記録レーザーパワーを決め、次いでその記録レーザーパワーのもとで再生レーザーパワーを決定し、最後に再度記録レーザーパワーの最適値を該再生レーザーパワーのもとで決定するという順序が最適な記録再生レーザーパワーを決定する上で最も効率が良かった。本実施例では、暫定的な記録レーザーパワーを決定するための初期再生レーザーパワーは、線速3.6m/sにおいて1mWとした。
【0053】上記手順に従って次の条件によりサンプル1及び2についての最適レーザーパワーを設定した。ここでは、テストパターンとして、2kビットの1Tチャンネルビット長に対応するマークの繰り返しパターン、及び8チャンネルビット長に対応する繰り返しパターンを用いた。1Tチャンネルビット長は0.13μmとした。再生レーザーパワーは、1mWから4mWまでステップ0.1mWで変化させ、記録レーザーパワーは、5mWから12mWまでステップ0.5mWで変化させてテスト記録再生を行った。記録再生変調方式はNRZIとし、光パルス磁界変調方式により記録した。なお、記録再生変調方式としてはNRZI以外にも、NRZ、NRZI+、(1−7)または(2−7)の変調方式を用いても以下に説明する実施例と同様な効果を得ることができた。以下、測定された結果について説明する。
【0054】図4(a)には、サンプル1及び2についてのビットエラーレート(BER)の記録レーザーパワー依存性を示した。ビットエラーレートの測定には、エラーレート測定用の装置を用い、線速は3.6m/sとし、記録再生変調方式としてNRZIを用いた。サンプル1及び2は、それぞれ、記録レーザーパワー8mW及び9mWでBERが1E−4以下になり、8.5mW〜10.5mW及び9.5mW〜11.5mWの範囲においてBERが最も低下している。
【0055】図4(b)には、図2に示した記録再生装置を用いて検出された1Tチャンネルビットの欠落数と記録レーザーパワーとの関係を示した。サンプル1及び2は、それぞれ、記録レーザーパワー9mW〜11.5mW及び9.5mW〜11.5mWにおいて、検出された欠落数が5個以下であることが判った。また上記の記録レーザーパワー以外では急激に欠落数が増加することがわかった。
【0056】図4(b)には、8Tチャンネルビットの欠落数と記録レーザーパワーとの関係を示した。サンプル1及び2は、それぞれ記録レーザーパワー8.5〜11.5mW及び9mW〜11.5mWにおいて、検出された欠落数が5個以下であることが判った。したがって、1Tチャンネルビット或いは8Tチャンネルビットの記録レーザーパワーに対する欠落数を調べ、欠落数が所定数以下、例えば、5個以下の範囲内の記録レーザーパワーの範囲の記録レーザーを用いることにより、1E−4以下のBERで情報を再生できることがわかる。
【0057】図5(a)には、サンプル1及び2のビットエラーレート(BER)の再生レーザーパワー依存性を示した。図5(a)からわかるように、サンプル1及び2は、それぞれ、再生レーザーパワー2.25及び2.4mWにおいて、BERが1E−4以下になり、2.4mW〜2.6mW及び2.5mW〜2.7mWにおいてBERが最も低下している。
【0058】図5(b)には、図2に示した記録再生装置を用いて検出された1Tチャンネルビットの欠落数と再生レーザーパワーとの関係を示した。サンプル1及び2は、それぞれ、再生レーザーパワー2.4mW〜2.7mW及び2.5mW〜2.8mWの範囲において、検出された欠落数が5個以下であることが判った。また上記の再生レーザーパワー以外では急激に欠落数が増加することが分かった。
【0059】また、図5(c)には、8Tチャンネルビットの欠落数と再生レーザーパワーとの関係を示した。サンプル1及び2は、それぞれ、再生レーザーパワー2.3mW〜2.8mW及び2.5mW〜2.8mWの範囲において、検出された欠落数が5個以下であることが判った。従って1Tチャンネルビット或いは8Tチャンネルビットの欠落数を種々の再生レーザーパワーにおいて調べ、欠落数が所定数以下(例えば、5個以下)になるように再生レーザーパワーを調節すれば、1E−4以下のBERで情報を再生することができる。
【0060】
【実施例2】実施例1では、テスト記録の際の記録マーク数と、再生により検出された記録マーク数との差を調べることにより、最適な記録再生レーザーパワーを設定する方法について説明したが、本実施例では、検出される再生信号波形の信号レベルに基づいてレーザーパワーを決定する方法について説明する。媒体としては実施例1と同じ媒体(サンプル1及び2)を用いた。磁区拡大媒体において、記録マークが検出されないのは、記録層の情報磁区に関わらず再生層において磁区拡大が連続的に起こっているときである。すなわち、磁区拡大媒体の磁区拡大再生層の磁区が光スポット内一杯に広がり、光磁気信号が+極性側或いは−極性側に飽和している状態にある。例えば、ある再生レーザーパワーでテストパターンを再生したときに、得られた波形の信号レベルが、正常に磁区拡大再生されて得られる値よりも大きい場合は、記録マークの欠落数も多く、その再生レーザーパワーは最適ではないといえる。このときの再生波形は、例えば図7に示したようになる。以下に、本実施例の再生レーザーパワーの設定方法について説明する。
【0061】まず、サンプル1及び2のテスト記録再生領域の所定領域に、記録マークと同一極性(以下、+極性という)の磁界を印加して初期化し、初期化した領域を再生して初期化信号レベルSini+を検出した。次いで、サンプル1及び2のテスト記録再生領域の別の領域に記録マークと逆極性(以下、−極性という)の磁界を印加して初期化し、初期化した領域を再生して初期化信号レベルSini-を検出した。つぎに、サンプル1及び2のテスト記録再生領域の更に別の領域に、テストパターンとして、光スポット径以上のマーク長を有する記録マーク(例えば、8Tチャンネルビット長の記録マーク)の繰り返しパターンを記録した後、テストパターンを再生して再生信号振幅の最大値(以下、最大信号レベルという)Smaxと最小値(以下、最小信号レベルという)Sminを検出した。そして、種々の再生レーザーパワーにおいてテストパターンを再生し、テストパターンに基づく最大信号レベルSmaxが上記初期化信号レベルSini+に対して90%以上、或いはテストパターンに基づく最小信号レベルSminが上記初期化信号レベルSini-に対して110%以下となるマーク数を検出した。図6に、再生レーザーパワーと検出されたマーク数(検出数)との関係を示した。図6より、図4のビットエラーレートが十分低下する再生レーザーパワー(2.4mW以上)と、検出されたマークの数(図中、検出数)が少なくなる再生レーザーパワーはほぼ一致することがわかる。また、図6には、再生レーザーパワーとレベル差との関係を示した。ここで、レベル差は、初期化レベルの差((Sini+)−(Sini-))に対応する。
【0062】従って再生レーザーパワーを低い値から高い値へ変更しながらテストパターンを再生し、得られた再生信号の最大値Smaxが初期化信号レベルSini+に対して90%以上であるマークの数が十分少なくなる再生レーザーパワー、すなわち、再生信号の最大値Smaxが初期化信号レベルSini+の90%以下となる再生レーザーパワーを用いれば、エラーレートの低い再生ができる。或いは、得られた再生信号の最小値Sminが初期化信号レベルSini-に対して110%以下であるマークの数が十分少なくなる再生レーザーパワー、換言すれば、再生信号の最小値Sminが初期化信号レベルSini-の110%以上となる再生レーザーパワーを用いれば、エラーレートの低い再生ができる。テストパターンの最大信号レベル及び最小信号レベルと、初期化した領域の初期化信号レベルとの差の検出には、図2においてサンプルホールドとコンパレータを備えた振幅検出器206を用いた。本発明における再生信号の最大値及び最小値、初期化信号レベルを求める手段は、図2における振幅検出器206に含まれるサンプルホールドに対応する。また本発明における再生信号の最大値Smaxが初期化信号レベルSini+の90%以下、または再生信号の最小値Sminが初期化信号レベルSini-の110%以上になるようにレーザーパワーを設定する手段は、図2における振幅検出器に含まれるコンパレータと制御回路207に対応する。コンパレータは、最大値Smaxと初期化信号レベルSini+、及び、最小値Sminと初期化信号レベルSini-の信号レベルを比較することができ、制御回路は、再生信号の最大値Smaxが初期化信号レベルSini+の90%以下、或いは再生信号の最小値Sminが初期化信号レベルSini-の110%以上となるような再生レーザーパワーを設定することができる。
【0063】なお、上記再生レーザーパワーの設定において、テストパターンを再生するときDC磁場を印加すると操作の収束具合が良かった。本実施例では20Oeの再生磁界を印加したときに決定された再生レーザーパワー値が、エラーレートが最低になる再生レーザーパワー値と最も近い値になった。また上記の手段の精度を高めるには、テストパターンを再生することにより得られる再生波形から、磁区拡大再生のエラーに起因する再生波形と、基板の傷や媒体を構成する層の成膜状態など媒体の欠陥に起因する再生波形とを分ける必要がある。図8(a)には、磁区拡大再生のエラーに起因する再生波形と、媒体の欠陥に起因する再生波形とが含まれた再生信号波形を模式的に示した。そこで、本実施例においては以下に示す操作を行なった。まず、予め媒体のテスト記録再生領域をDC消去した後、その領域を再生する。媒体上を再生レーザーで走査して再生信号を検出したときに、信号振幅が上記初期化信号レベルSini+対して90%以上となる信号と、初期化信号レベルSini-に対して110%以下となる信号とがともに検出される媒体上の位置を特定する。図8(b)に、上記初期化信レベルSini+対して90%以上となる信号と、初期化信号レベルSini-に対して110%以下となる信号との検出位置を模式的に示した。テストパターンの再生を行う際には、図8(b)に示した媒体の欠陥の位置からの信号を除外して再生信号を検出する。これにより、磁区拡大再生のエラーに起因する再生波形だけを特定することが可能となる。
【0064】以上、本発明のレーザーパワーの設定方法について具体的に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0065】
【発明の効果】本発明によれば、磁区拡大媒体の記録再生に最適な記録再生レーザーパワーを極めて簡単に短時間で求めることができる。また、本発明の記録再生装置によれば、テスト記録再生のための回路の規模を小さくでき、速やかに最適な記録レーザーパワーを見出すことができるので、記録再生装置に媒体を装填してからユーザーがデータを記録再生可能になるまでの時間を短縮することができる。本発明の記録再生装置はモバイル用として極めて最適である。




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013