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発明の名称 磁気テープおよび磁気テープカートリッジ
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2003−203329(P2003−203329A)
公開日 平成15年7月18日(2003.7.18)
出願番号 特願2002−358373(P2002−358373)
出願日 平成14年8月13日(2002.8.13)
代理人 【識別番号】100077920
【弁理士】
【氏名又は名称】折寄 武士
【テーマコード(参考)】
5D006
5D091
【Fターム(参考)】
5D006 CB01 CB07 CC03 DA00 
5D091 AA02 BB08 CC05 GG06 HH20
発明者 吉村 賢 / 土井 嗣裕
要約 課題
[(記録トラック幅)−(再生トラック幅)]が16μm以下(特に10μm以下)と狭い場合であっても、オフトラックによる再生出力の低下が生じにくいサーボ特性に優れた磁気テープおよび磁気テープカートリッジを提供する。

解決手段
磁性層またはバックコート層にトラッキング制御用のサーボ信号が記録され、[(記録トラック幅)−(再生トラック幅)]が16μm以下である磁気テープ3において、テープ走行時に走行基準側となる一方のテープエッジ3aまたはその反対側となるテープエッジに存在するエッジウィーブ量α[μm]が1.5μm以下であり、テープ幅方向の熱膨張係数が(0〜10)×10-6/℃である構成とする。
特許請求の範囲
【請求項1】 非磁性支持体と、この非磁性支持体の一面に設けられた磁性層と、非磁性支持体の反対面に設けられたバックコート層とを有し、かつ磁性層またはバックコート層にはトラッキング制御用のサーボ信号が記録され、[(記録トラック幅)−(再生トラック幅)]が16μm以下である磁気テープであって、テープ走行時に走行基準側となる一方のテープエッジまたはその反対側となるテープエッジに存在するエッジウィーブ量α[μm]が1.5μm以下であり、テープ幅方向の熱膨張係数が(0〜10)×10-6/℃であることを特徴とする磁気テープ。
【請求項2】 箱状のケース本体の内部に、請求項1記載の磁気テープを巻装した1個のリールが配置されており、当該磁気テープに記録されたサーボ信号によってトラッキング制御されることを特徴とする磁気テープカートリッジ。
【請求項3】 サーボ信号は磁気テープの磁性層またはバックコート層に磁気信号として記録されている請求項2記載の磁気テープカートリッジ。
【請求項4】 サーボ信号は磁気テープのバックコート層に光学信号として記録されている請求項2記載の磁気テープカートリッジ。
【請求項5】 磁気テープにおける磁気記録信号は、磁気抵抗効果型素子を利用した再生ヘッドによって再生される請求項2ないし4のいずれかに記載の磁気テープカートリッジ。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として、記録容量、アクセス速度、転送速度が高い磁気テープおよびこれを備えた磁気テープカートリッジに関し、特にトラックサーボ用の磁気信号または光学信号が記録され、磁気抵抗効果素子を利用した再生ヘッド(以下、MRヘッド)によって磁気記録信号が再生される磁気テープと、これを備えたデータバックアップ用として好適な1リール型の磁気テープカートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】磁気テープは、オーディオテープ、ビデオテープ、コンピユーターテープなど種々の用途があるが、特にデータバックアップ用の磁気テープ(バックアップテープ)の分野ではバックアップ対象となるハードディスクの大容量化に伴い、1巻当たり100GB以上の記憶容量のものも商品化されており、今後ハードディスクのさらなる大容量化に対応するためこの種のバックアップテープの高容量化は不可欠となっている。また、アクセス速度、転送速度を大きくするため、テープの送り速度、テープとヘッド間の相対速度を高めることも必要不可欠となっている。
【0003】バックアップテープ1巻当たりの高容量化のためには、テープ全厚を薄くして1巻あたりのテープ長さを長くすること、磁性層厚さを0.3μm以下と極めて薄くすることで厚さ減磁を小さくして記録波長を短くすること、記録トラック幅を狭くしてテープ幅方向の記録密度を高くすることが必要である。
【0004】磁性層厚さを0.3μm以下と極めて薄くすると、耐久性が劣化するなどの問題が生じるので、これを防止するために非磁性支持体と磁性層との間に少なくとも一層の下塗層を設ける必要がある。また、記録波長を短くすると、磁性層と磁気ヘッドとのスペーシングの影響が大きくなるので、磁性層の大きな突起やへこみがあると、スペーシングロスによる出力の低下により、エラーレートが高くなる。
【0005】記録トラック幅を狭くしてテープ幅方向の記録密度を高くすると、磁気テープからの漏れ磁束が小さくなるため、再生ヘッドに微小磁束でも高い出力が得られる磁気抵抗効果型素子を使用したMRヘッドを使用する必要がある。
【0006】MRヘッド対応の磁気記録媒体には、例えば特許文献1〜3等に記載されたものがある。これらの公報に記載された磁気記録媒体では、その磁束(残留磁束密度と厚さの積)を特定の値以下にしてMRヘッドの出力の歪を防止したり、磁性層表面のへこみを特定の値以下にしてMRヘッドのサーマル・アスペリティを低減させたりしている。
【0007】また、記録トラック幅を狭くすると、オフトラックによる再生出力の低下が問題になるので、これを避けるためにトラックサーボが必要になる。トラックサーボ方式には、光学トラックサーボ方式(特許文献4〜6)や磁気サーボ方式があるが、いずれの方式を採用するにしても、箱状のケース本体の内部に磁気テープを収めた磁気テープカートリッジ(カセットテープともいう)においては、磁気テープ巻装用のリールを一つしか持たない1リール型(単リール型)にして、その上でカートリッジから引き出した磁気テープにトラックサーボを行う必要がある。これは、テープ走行速度を高める(例えば2.5m/s以上にする)と、テープ繰り出し用とテープ巻き取り用の2つのリールを持った2リール型では安定走行できないためである。また、2リール型ではカートリッジサイズが大きくなり、体積当たりの記憶容量が小さくなる。
【0008】先に述べたようにトラックサーボ方式には磁気サーボ方式と光学サーボ方式があるが、前者は、後述する図10に示すようなサーボトラックバンドを磁気記録により磁性層に形成し、これを磁気的に読み取ってサーボトラッキングを行うものであり、後者は、凹部アレイからなるサーボトラックバンドをレーザー照射等でバックコート層に形成し、これを光学的に読み取ってサーボトラッキングを行うものである。なお、磁気サーボ方式にはバックコート層にも磁性を持たせ、このバックコート層に磁気サーボ信号を記録する方式(例えば特許文献7)があり、また光学サーボ方式にはバックコート層に光を吸収する材料等で光学サーボ信号を記録する方式(例えば特許文献8)もある。
【0009】ここで、前者の磁気サーボ方式を例にとってトラックサーボの原理を簡単に説明する。図10に示すように、磁気サーボ方式を採用する磁気テープ3では、磁性層にそれぞれテープ長手方向に沿って延びる、例えば約2.8mm間隔のトラックサーボ用のサーボバンド200とデータ記録用のデータトラック300とが設けられる。このうちサーボバンド200は、各々サーボトラック番号を磁気的に記録した複数のサーボ信号記録部201からなる。磁気テープに対してデータの記録・再生を行う磁気ヘッドアレイ(図7参照)は、両端に一対(順走行用と逆走行用)のサーボトラック用MRヘッドと、両端のサーボトラック用MRヘッドに挟まれた例えば8×1対の記録・再生用ヘッド(記録ヘッドは磁気誘導型ヘッドで構成され、再生ヘッドはMRヘッドで構成される)とを有しており、サーボ信号を読み取ったサーボトラック用MRヘッドからの信号に基づいて磁気ヘッドアレイ全体が連動して動くことで、記録・再生用ヘッドがテープ幅方向に移動してデータトラック(例えば、8×1対の記録・再生ヘッドが搭載された磁気ヘッドアレイでは、サーボトラック一対に対応して8本のデータトラックが存在する)に到達する。
【0010】このとき、磁気テープは、その長手方向に沿った両端部(テープエッジ)のうちの一方のテープエッジが、例えば、磁気記録再生装置(テープ駆動装置)に備えられたガイドローラのフランジ内面によってテープ幅方向位置を規制された状態で走行するが(図8参照)、図4に一部拡大して模式的に示したように、磁気テープ3のテープエッジ3aには、通常、エッジウィーブまたはエッジウェーブと呼ばれる波打ち状の凹凸(テープ幅方向の端面がテープ長手方向に沿って波打つことによってできた凹凸)が存在する。そのため、磁気テープ3は上記の走行基準となるフランジ内面に沿って走行していてもその幅方向の位置が微妙に変動する。しかし、先に述べたようなサーボ方式を採用することで、磁気テープの位置がその幅方向に微妙に変動してもこれに伴って磁気ヘッドアレイ全体がテープ幅方向に移動して、記録・再生用ヘッドは絶えず正しいデータトラックに到達する。
【0011】このような場合において、テープ走行速度をV、エッジウィーブの周期をfとした時の周波数[(V/f):s-1=Hz]が80Hz以上(特に200Hz以上)と高いエッジウィーブαがあると、磁気ヘッドアレイが追随できず、トラックずれという問題が発生する。ただ、このようなトラックずれが生じたとしても、記録トラック幅が30μm以上と広く、[(記録トラック幅)−(再生トラック幅)]が16μmを超える場合(例えば記録トラック幅が約80μmで再生トラック幅が約50μmであるような場合)は、さほど問題視する必要はない。なぜなら、記録トラック幅が30μm以上と広く、[(記録トラック幅)−(再生トラック幅)]が16μmを超える場合は、数μm程度のトラックずれがあっても記録トラック幅が再生トラック幅に比べて充分広く、再生トラックは記録トラック上を走行するので、出力低下にはつながらないからである。
【0012】また、温度環境や湿度環境の変化があると、これに伴う磁気テープの幅方向の伸縮によりトラックずれを生じることがある。磁気テープの温度・湿度膨張係数を小さくしてこのような問題を解決しようとする方法には、特許文献9〜13等に記載されたものがある。しかし、このような温度・湿度環境の変化に伴うトラックずれが生じたとしても、記録トラック幅が30μm以上と広く、[(記録トラック幅)−(再生トラック幅)]が16μmを越える場合は、上記と同様の理由により、さほど問題視する必要はない。なお、磁気テープ長手方向の湿度膨張や温度膨張は、記録波長等の変化の原因とはなるが、これについては回路補正が可能である。
【0013】さらに、本発明者らが調べたところ、記録トラック幅が30μm以下と狭く、[(記録トラック幅)−(再生トラック幅)]が16μm以下と狭い場合であっても、特定の条件の下では、それほど問題とはならないことも確認された。すなわち、(a)エッジウィーブに伴うトラックずれが大きくても、温度・湿度変化に伴うトラックずれが小さいときや、(b)温度・湿度変化に伴うトラックずれが大きくても、エッジウィーブに伴うトラックずれが小さいときは、オフトラックに伴う再生出力低下は殆ど問題にはならなかった。
【0014】
【特許文献1】特開平11−238225号公報【特許文献2】特開2000−40217号公報【特許文献3】特開2000−40218号公報【特許文献4】特開平11−213384号公報【特許文献5】特開平11−339254号公報【特許文献6】特開2000−293836号公報【特許文献7】特開平11−126327号公報【特許文献8】特開平11−126328号公報【特許文献9】特開平4−106723号公報【特許文献10】特開平9−219016号公報【特許文献11】特開平4−106723号公報【特許文献12】特開平11−96545公報【特許文献13】特開平11−250449号公報【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、より詳細に検討した結果、記録トラック幅が28μm以下とさらに狭く、[(記録トラック幅)−(再生トラック幅)]が16μm以下と狭い場合には、エッジウィーブ量および温度・湿度膨張係数(熱・湿度膨張係数)がそれぞれ単独では問題にならない程度に小さくても、オフトラックによる再生出力低下につながる場合があることが判明した。すなわち、装置間で記録ヘッドと再生ヘッドの位置に数μmのばらつきがあるが、最悪の組み合わせではこのばらつき量が倍化されるので、エッジウィーブに伴うトラックずれと、温度・湿度環境変化に伴うトラックずれとが加算されて、再生出力の低下が起こる。この現象は、[(記録トラック幅)−(再生トラック幅)]が10μm以下の場合に顕著である。
【0016】また、記録トラック幅を21μm以下とさらに狭くしたときには、従来問題にならなかった約2μm程度のエッジウィーブでもオフトラックによる再生出力の低下が見られた。これは、再生出力を確保するために、再生トラック幅を従来と同じにする必要があり、その結果としてオフトラックマージンが小さくなったことによる。さらに、このように記録トラック幅が21μm以下と狭い場合には、エッジウィーブの絶対値だけではなく、エッジウィーブの周期やテープの走行速度もオフトラックに複雑な関係を持つことがわかった。
【0017】そこで、記録トラック幅が21μm以下と狭い磁気テープにサーボ方式を適用するに当たって、そのエッジウィーブの周期および量、記録トラック幅、再生トラック幅ならびにテープ走行速度とヘッド追随性との関係等について詳しく調べた。その結果、図4に示したようにテープエッジに存在する周期がfのエッジウィーブ量〔当該テープエッジのテープ幅方向(図4のY−Y’方向)の変位量〕をα、テープ走行速度をV[mm/s]、記録トラック幅をTw[μm]、再生トラック幅Tr[μm]とした時に、〔α/(Tw−Tr)〕、〔α/(Tw−Tr)〕×(V/f)がそれぞれ特定値を越えると、PES(positioning errorsignal、位置ずれ量のばらつきを表す数値、標準偏差1の値)が大きくなり、トラッキングエラーを引き起こすことが明らかになった。このような問題は、磁気ヘッドアレイ全体が大きい質量を有しているので、〔α/(Tw−Tr)〕、〔α/(Tw−Tr)〕×(V/f)がそれぞれ特定値を超えると、これに伴って生じる磁気テープの幅方向の動きに磁気ヘッドアレイの動きが追随できなくなる結果、PESが大きくなり、オフトラックマージンの小さい場合はオフトラックが大きくなったために生じたものと推定される。
【0018】本発明は、上述したような問題に対処するもので、記録トラック幅が28μm以下(特に21μm以下)と狭く、[(記録トラック幅)−(再生トラック幅)]が16μm以下(特に10μm以下)と狭い場合であっても、オフトラックによる再生出力の低下が生じにくい磁気テープおよび磁気テープカートリッジを提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目的を達成するため、鋭意検討した結果、記録トラック幅および再生トラック幅との関係さらにはテープ走行速度との関係においてエッジウィーブの量を特定のものとし、そのうえで磁気テープの幅方向の熱膨張係数を特定値以下にすると、記録トラック幅が28μm以下(特に21μm以下)と狭く、[(記録トラック幅)−(再生トラック幅)]が16μm以下(特に10μm以下)と狭い場合において温度変化があったときでも、磁気テープのオフトラックが生じにくくなることを見いだした。
【0020】このような知見に基づき、本発明は、非磁性支持体と、この非磁性支持体の一面に設けられた磁性層と、非磁性支持体の反対面に設けられたバックコート層とを有し、かつ磁性層またはバックコート層にはトラッキング制御用のサーボ信号が記録され、[(記録トラック幅)−(再生トラック幅)]が16μm以下である磁気テープにおいて、テープ走行時に走行基準側となる一方のテープエッジまたはその反対側となるテープエッジに存在するエッジウィーブ量α[μm]が1.5μm以下であり、テープ幅方向の熱膨張係数が(0〜10)×10-6/℃である構成としたものである。
【0021】また、非磁性支持体と、この非磁性支持体の一面に設けられた磁性層と、非磁性支持体の反対面に設けられたバックコート層とを有し、かつ磁性層またはバックコート層にはトラッキング制御用のサーボ信号が記録され、[(記録トラック幅)−(再生トラック幅)]が16μm以下(特に10μm以下)で、4000mm/s以上のテープ走行速度で使用される磁気テープにおいて、テープ走行速度をV[mm/s]、テープ走行時に走行基準側となる一方のテープエッジまたはその反対側となるテープエッジに存在する周期がf[mm]のエッジウィーブ量をα[μm]、記録トラック幅をTw[μm]、再生トラック幅をTr[μm]とした時に、それぞれ下記の条件を満たす構成とするのが望ましい。
【0022】まず、第1の望ましい構成は、[α/(Tw−Tr)]が0.2以下、すなわち[α/(Tw−Tr)]≦0.2となるように設定し、かつテープ幅方向の湿度膨張係数を(0〜14)×10-6/%RH、テープ幅方向の熱膨張係数を(0〜10)×10-6/℃としたものである。ここで、[α/(Tw−Tr)]は、0.14以下が好ましく、0.10以下がさらに好ましく、0が最も好ましい。このような範囲にすることにより、[ (記録トラック幅)−(再生トラック幅) ] が16μm以下と狭い場合で、かつ、記録再生時の温度変化や湿度変化があった時でも、オフトラックが生じにくくなるからである。
【0023】湿度膨張係数を(0〜14)×10-6/%RHとしたのは、この範囲を超えると、テープ膨張・収縮により再生信号を読み取れなくなり、オフトラックが生じてしまうためである。このようなオフトラックの発生を更に確実に防止するには、テープ幅方向の湿度膨張係数は(0〜7)×10-6/%RHが好ましく、(0〜5)×10-6/%RHがより好ましく、0が最も好ましい。なお、本発明者らの実験では湿度膨張係数が負になることはなかったが、湿度膨張係数が負の場合もオフトラックの原因になることは言うまでもない。
【0024】テープ幅方向の熱膨張係数を(0〜10)×10-6/℃としたのは、この範囲を超えると、テープが熱による膨張、収縮により、記録信号を読み取る再生信号が読み取れなくなり、オフトラックが生じてしまうためである。このようなオフトラックの発生を更に確実に防止するには、テープ幅方向の熱膨張係数は(0〜7)×10-6/℃が好ましく、(0〜5)×10-6/℃がさらに好ましく、0が最も好ましい。なお、本発明者らの実験では熱膨張係数(温度膨張係数)が負になることはなかったが、熱膨張係数が負の場合もオフトラックの原因になることは言うまでもない。
【0025】次に、第2の望ましい構成は、第1の望ましい構成で採用した[α/(Tw−Tr)]に周波数(V/f)の要素を加味したもので、[α/(Tw−Tr)]×(V/f)が14[s-1]以下、すなわち[α/(Tw−Tr)]×(V/f)≦14[s-1]となるように設定したものであり、それ以外の構成は第1の望ましい構成と同様である。この第2の望ましい構成において、[α/(Tw−Tr)]×(V/f)は、8[s-1]以下が好ましく、さらに好ましくは6[s-1]以下、最も好ましくは0である。テープの走行速度が速くなってもPESが小さくなってテープの記録再生出力のオフトラックによる低下が少なくなるためである。なお、湿度膨張係数および熱膨張係数の好ましい範囲については、本発明ないし第1の望ましい構成の場合と同様である。
【0026】第3の望ましい構成は、上記の第1の望ましい構成で採用した条件と第2の望ましい構成で採用した条件のいずれをも満たすようにしたものであり、[α/(Tw−Tr)]が0.2以下、[α/(Tw−Tr)]×(V/f)が14[s-1]以下、テープ幅方向の湿度膨張係数が(0〜14)×10-6/%RH、熱膨張係数が(0〜10)×10-6/℃である構成としたものである。
【0027】第4の望ましい構成は、上記の第1〜3の望ましい構成において、[(記録トラック幅)−(再生トラック幅)]を10μm以下としたものである。
【0028】また、本発明に係る磁気テープカートリッジは、先に述べた本発明に係る磁気テープを巻装した1個のリールを箱状のケース本体の内部に配置し、当該磁気テープに記録したサーボ信号によってトラッキング制御するようにしたものである。この場合のサーボ信号は、磁気テープの磁性層またはバックコート層に磁気信号として記録したものであってもよいし、磁気テープのバックコート層に光学信号として記録したものであってもよい。さらに、磁気テープにおける磁気記録信号は、磁気抵抗効果型素子を利用した再生ヘッドによって再生されるものであることが好ましい。
【0029】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態について説明する。
〈磁気テープの積層構造と構成材料の湿度膨張係数および熱膨張係数〉図1の(a)〜(c)は、本発明に係る磁気テープの積層構成例を示したものである。図中の符号3は磁気テープ、符号31は非磁性支持体、符号32は下塗層、符号33は磁性層、符号34はバックコート層、符号35は中間層をそれぞれ示す。
【0030】図1の(a)は中間層を設けない場合、すなわち非磁性支持体31の一方の面に下塗層32と磁性層33をこの順に積層形成し、反対側の面にバックコート層34を形成した場合を示す。この場合、テープ幅方向の湿度膨張係数がなるべく小さく且つ熱膨張係数が負でその絶対値の値が大きい非磁性支持体[例えば、(0〜5)×10-6/%RH、(−10〜0)×10-6/℃]31を使用して、通常の下塗層32、磁性層33、バックコート層34を形成してもよいが、非磁性支持体31と下塗層32との湿度膨張係数および熱膨張係数(以下、この両係数を合わせて温湿度膨張係数または温度・湿度膨張係数ともいう)の差が大きいので、界面の接着強度が弱くなったり、磁気テープ3が反る等の弊害が起こる恐れがある。これを避けるには、上記の非磁性支持体31上に形成する下塗層32の結合剤の一部(20〜50重量%)を、湿度膨張係数が(10〜140)×10-6/%RH、熱膨張係数が(10〜70)×10-6/℃、ガラス転移点が200〜350℃のポリアミドイミド樹脂で置換してやればよい。ポリアミドイミド樹脂は、通常下塗層に使用される塩化ビニル系樹脂やポリウレタン系樹脂に比べて湿度膨張係数や熱膨張係数が小さく、したがって前記のような置換を行うことによって非磁性支持体31と下塗層32との温湿度膨張係数の差が小さくなるからである。
【0031】図1の(b)は非磁性支持体31と下塗層32との間に中間層35を設けた設けた場合、図1の(c)は非磁性支持体31と下塗層32との間および非磁性支持体31とバックコート層34との間に中間層35をそれぞれ設けた場合を示す。中間層35は、例えば、非磁性支持体31と隣接する層(下塗層32または/およびバックコート層34)との温度・湿度膨張係数の差が大きい場合に、両者の接着性を向上させる目的で設けることができる。その場合の中間層35の構成材料としては、温度・湿度膨張係数の値が非磁性支持体と通常の結合剤樹脂の中間にある等の理由で、例えばポリアミドイミド樹脂を用いるのが好ましい。
【0032】また、下塗層やバックコート層に、平均粒子径(板面方向の各粒子の最大径)が10〜200nm(より好ましくは10〜100nm)の非磁性板状粒子(例えば、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化鉄)を添加してもよい。下塗層やバックコート層にこのような非磁性板状粒子を添加すると、塗布するときに機械的配向により板面が基材(非磁性支持体)面に平行になるように並びやすく、また、板状粒子の板面方向の相互作用が強いため、磁気テープの膜面方向の温度膨張係数や湿度膨張係数が小さくなるためである。
【0033】〈磁気テープカートリッジの構造〉図2は本発明が適用される磁気テープカートリッジの一般的な構造を示し、図3はその内部構造を示す。図2において、磁気テープカートリッジは、上下ケース1a・1bを蓋合わせ状に接合してなる角箱状のケース本体1を有し、ケース本体1の内部に配置した1個のリール2に磁気テープ3を巻装している。ケース本体1の前壁6の一側端には、テープ引出口4が開口してある。テープ引出口4は、スライド開閉可能なドア5で開閉できるようになっている。リール2に巻装した磁気テープ3をケース外へ引き出し操作するために、磁気テープ3の繰り出し端にテープ引出具7が連結されている。符号20は、ドア5を閉じ勝手に移動付勢するためのドアばねを示す。
【0034】図3において、リール2は、上鍔部21と下鍔部22、および下鍔部22と一体に成形されて上向きに開口する有底筒状の巻芯部23とからなる。巻芯部23の底壁23cは、ケース底壁の駆動軸挿入口1c上に位置している。巻芯部23の底壁23cの外周には、テープ駆動装置(磁気記録再生装置)側の部材に係合するギヤ歯が形成されており、底壁23cの中心には、テープ駆動装置側のロック解除ピン(図示せず)の挿入を許す底孔23dが設けられている。ケース本体1内には、不使用時にリール2の不用意な回転を阻止するリールロック機構が備えられている。符号12は、このリールロック機構を構成するブレーキボタンを示し、符号17は、同じくブレーキボタン12を図中の下方に付勢するスプリングを示している。
【0035】上記の磁気テープカートリッジに備えられた磁気テープ3は、図8に示すように、テープ走行時に走行基準側となる一方のテープエッジ3aのテープ幅方向外方への位置が規制された状態で、当該磁気テープ3に記録されたサーボ信号によってトラッキング制御される。
【0036】リール2においては、図9に一部拡大して示すように、テープ走行時に走行基準側となる一方のテープエッジ3a側(図4および図8参照)に位置する巻芯部23の一端側23aがその他端側23bよりも大径となるように、巻芯部23の外周面が0.1〜1度のテーパ角βを有するテーパ状に形成されている。加えて、巻芯部23の直ぐ外側に位置するリール内周部内側において対向する鍔部内面間の間隔S1が、「テープ幅の上限値」+「0.204〜0.224mm」の範囲に設定されているとともに、リール外周部内側において対向する鍔部内面側の間隔S2(図3参照)が、「テープ幅の上限値」+「0.484〜0.504mm」の範囲に設定されている。これらの構成は、例えば図7に示すような磁気記録再生装置(テープ駆動装置)において、磁気テープ3を走行させたときに、図8に示すように先の一方のテープエッジ3a側がガイドローラ70のフランジ内面(走行基準となる面)に確実に沿うようにすることにより、磁気テープ3の幅方向の微振動をできるだけ抑制ないし防止し、これによってトラックサーボが良好に行われるようにするためのものである。同様の目的で、磁気テープ3のカーバチャーについてはテープ長さ1m当り2mm以下とし、磁気テープ3の走行時に走行基準側になる一方のテープエッジ3a側に凹とするのが望ましい。
【0037】なお、図7に示した磁気記録再生装置においては、磁気テープカートリッジのケース本体1から引き出した磁気テープ3を所定の経路に沿って走行させるためにガイドローラ70が備えられている。この図では、一対のガイドローラ70・70間にヘッド部80が配置されている。また、図8中の符号71・72はガイドローラ70の両端に設けられているフランジ、符号73は両フランジ71・72間の溝、符号Hはその溝幅、符号Lは磁気テープ3の幅をそれぞれ示しており、L<Hである。また、1/2インチ幅の磁気テープ3を備えた磁気テープカートリッジでは、リール内周部内側において対向する鍔部内面間の間隔S1は12.860mm〜12.880mm、リール外周部内側において対向する鍔部内面間S2は、13.140mm〜13.160mmである。リール内周部内側において対向する鍔部内面からリール外周部内側において対向する鍔部内面に至る部分は、リール2を径方向に切断した断面形状において略直線である。
【0038】以上の場合において、サーボ信号は磁気テープの磁気記録面またはバックコート層に磁気信号として記録したものであってもよいし、磁気テープのバックコート層に凹部や光を吸収する材料で光学信号を形成したものであってもよい。つまり、本発明の磁気テープカートリッジは、磁気サーボ方式および光学サーボ方式のいずれにも適用できるものである。
【0039】また、高記録密度化のためには、本発明の磁気テープカートリッジは磁気テープにおける磁気記録信号が、磁気抵抗効果型素子を利用した再生ヘッド(MRヘッド)によって再生されるものであることが好ましい。さらに、磁気サーボ方式では、サーボ信号もMRヘッドによって再生されるものであることが好ましい。
【0040】〈磁気テープのエッジ構造〉本発明は、記録容量、アクセス速度、転送速度が高い磁気テープ、具体的には〔(記録トラック幅)−(再生トラック幅)〕つまりオフトラックマージンが16μm以下と小さく、4000mm/s以上の速度で走行駆動される磁気テープを対象としている。このような磁気テープでは、オフトラックマージンが従来のものよりも小さく、しかもテープ走行速度が速いので、従来においてはトラックずれが生じなかったようなテープ幅方向の変動であってもトラックずれが生じる可能性がある。このため、オフトラックを防止する観点からはエッジウィーブ量をできるだけ小さくするのが好ましいが、そのための技術的な困難性、言い換えれば実現性を考慮すると、オフトラックマージンや、さらにはテープ走行速度および当該エッジウィーブの周期との関連においてエッジウィーブ量を特定範囲のものとするのが効果的である。
【0041】このような観点から、本発明では、図2および図3に例示したような磁気テープカートリッジに使用する磁気テープ3において、図4に示すように、テープエッジ部3aまたは3a’に存在する周期fのエッジウィーブによるテープ幅方向(図4のY−Y’方向)の変位量、つまりエッジウィーブ量を、次式(1)または(2)を満たすように設定するのが望ましい。
[ α/(Tw−Tr) ]≦0.2 ・・・(1)
[ α/(Tw−Tr) ]×(V/f)≦14[ s -1 ] ・・・(2)
ただし、α:テープ走行時に走行基準側となる一方のテープエッジまたはその反対側となるテープエッジに存在するエッジウィーブの量(エッジウィーブ量)[単位:μm]、Tw:記録トラック幅[単位:μm]、Tr:再生トラック幅[単位:μm]、V:磁気テープのテープ走行速度[単位:mm/s]、f:当該エッジウィーブの周期[単位:mm]
である。なお、図4では磁気テープ3の走行方向をX−X’で示してある。
【0042】〔(記録トラック幅)−(再生トラック幅)〕が16μm以下(特に10μm以下)と小さく、しかもテープ走行速度が4000mm/s以上と速い場合において、上記の[ α/(Tw−Tr) ]が0.09を超えると、湿度変化や温度変化に伴うテープ幅方向の寸法変化によるトラックずれがあったときに、エッジウィーブによるトラックずれが相乗的に作用して、オフトラックが生じやすくなる。この点は、後述する実施例および比較例の結果によって確認することができる。
【0043】また、オフトラックの生じやすさは、テープ走行速度Vとエッジウィーブの周期fとの比(V/f)、つまりテープの走行時に周期fのエッジウィーブによって生じるテープ幅方向の振れの周波数とも関係し、この(V/f)と上記の[ α/(Tw−Tr) ]との積が5[ s -1=Hz ]を超えた場合もオフトラックが生じやすくなる。なお、磁気テープ3のオフトラックに影響を及ぼすエッジウィーブの周期f[ mm ]は、通常、f/V≦0.0125[単位:s(秒)]、つまり80≦V/f[ s-1=Hz ]である。特に、200≦V/f[s-1]を満たす周期fのエッジウィーブがあるとオフトラック量が大きくなる。これは、例えば図7に示したようなテープドライブに備えられた磁気ヘッドアレイ80は全体として大きい質量を有しているので、テープ走行速度Vが大きくなるほど、長い周期のエッジウィーブでも磁気ヘッドアレイ80の動きが追随できなくなるためである。
【0044】さらに、上記の(Tw−Tr)≦16[ μm ]、特に(Tw−Tr)≦10[μm ]で且つ4000≦V[mm/s]の範囲においては、記録トラック幅Twと再生トラック幅Trとの差(Tw−Tr)が小さくなればなるほど、またエッジウィーブ量αが大きくなればなるほど、オフトラックが生じやすくなる。(Tw−Tr)が小さければオフトラックマージンが少なくなるためであり、エッジウィーブ量が大きければそれだけテープ走行時に磁気テープが幅方向に大きく変動しやすくなるためである。磁気テープの走行速度Vが4000mm/sの時、オフトラックに影響するエッジウィーブの周期fは50mm以下(特に20mm以下)である。この周期のエッジウィーブ量αを2μm以下(好ましくは1μm以下)に設定すると、オフトラック量が小さく、良好なサーボトラック特性が得られる。特に、テープエッジに存在する周期fが20mm以下のエッジウィーブによるテープ幅方向の変動量を1μm以下に設定すると、さらに良好なサーボトラック特性が得られる。
【0045】〈動摩擦係数〉テープ走行異常もオフトラックの原因になる。テープ走行異常の原因には、(1)磁気テープの磁性層とスライダ(材料:ALTIC;アルミナ/チタニア/カーバイド)との動摩擦係数と、磁気テープの磁性層とガイドローラ(材質:アルミニウム)との動摩擦係数(磁気テープの磁性層とアルミニウムとの動摩擦係数は、磁気テープの磁性層とSUSとの動摩擦係数と等しいので、通常測定法が確立された後者で代用する)のアンバランス、(2)サーボ信号書き込みヘッドの形状不適切、等がある。特に、磁気テープとスライダ(ALTIC)との動摩擦係数が高いと、磁気ヘッドアレイが磁気テープの幅方向に移動する際に、磁気テープも幅方向に動くためにオフトラック量が大きくなる。したがって、磁気テープ磁性層とスライダ(材料:ALTIC)の動摩擦係数は、0.35以下にする必要がある。より好ましくは0.1〜0.3、さらに好ましくは0.1〜0.25である。通常、磁気テープ磁性層とSUSとの動摩擦係数は0.1〜0.3、磁気テープバックコート層とSUSとの動摩擦係数は0.1〜0.3である。なお、これらの動摩擦係数を0.10未満にすることは難しい。
【0046】また、磁性層とスライダ材料との動摩擦係数をμmsl 、磁性層とSUSとの動摩擦係数をμmsusとした時の[(μmsl )/(μmsus)]を0.7〜1.3とすれば磁気テープの走行異常によるPES上昇が小さくなる。さらに、バックコート層とSUSとの動摩擦係数をμbsusとした時の[(μmsl )/(μbsus)]を0.8〜1.5とすれば磁気テープの走行異常によるオフトラックが小さくなる。
【0047】以下に、各構成要素毎の好ましい形態をさらに詳しく述べる。
〈非磁性支持体〉非磁性支持体の幅方向の湿度膨張係数は、(0〜10)×10-6/%RHの範囲が好ましく、(0〜6)×10-6/%RHがより好ましく、(0〜5)×10-6/%RHが一層好ましい。この範囲が好ましいのは、この範囲を外れた場合(特に湿度膨張係数が負のとき)に、非磁性支持体と中間層との界面や非磁性支持体と下塗層との界面あるいは非磁性支持体とバックコート層との界面において接着不良が生じたり、界面が剥離する可能性があるためである。
【0048】非磁性支持体の幅方向の熱膨張係数は、〔(−10)〜8〕×10-6/℃が好ましく、〔(−10)〜5〕×10-6/℃がより好ましく、〔(−10)〜0〕×10-6/℃が一層好ましい。この範囲が好ましいのは、この範囲を外れた場合に、上記の場合と同じく非磁性支持体と中間層との界面や非磁性支持体と下塗層との界面あるいは非磁性支持体とバックコート層との界面において接着不良が生じたり、界面が剥離するおそれがあるためである。また、熱膨張係数がこの範囲にあると、熱サイクルでテープを走行させたとき、オフトラック量が低減し、サーボ特性のエラーの低減が図れる。
【0049】非磁性支持体の厚さは、7.0μm以下が好ましく、2.0〜7.0μmがより好ましい。この範囲の厚さの非磁性支持体がより好ましいのは、2μm未満では製膜が難しく、またテープ強度が小さくなり、7.0μmを越えるとテープ全厚が厚くなり、テープ1巻当りの記憶容量が小さくなるためである。
【0050】非磁性支持体の長手方向のヤング率Eは、非磁性支持体の厚さによって異なるが、通常4.9GPa(500kg/mm2 )以上のものが使用される。5.88GPa(600kg/mm2 )以上が好ましく、6.86GPa(700kg/mm2 )以上がさらに好ましい。この範囲のヤング率の非磁性支持体が好ましいのは、5.88GPa(600kg/mm2 )未満では、磁気テープの強度が弱くなったり、磁気テープの走行が不安定になるためである。また、非磁性支持体の厚さTが、5.0μmと薄くなると剛性(E・T3 )が小さくなりテープ強度が弱くなるので、6.86GPa(700kg/mm2 )以上のヤング率のものが好ましく使用される。
【0051】長手方向のヤング率をMD、幅方向のヤング率をTDとした時の比(MD/TD)は、0.1〜1.8が好ましく、0.3〜1.7がより好ましく、0.5〜1.6がさらに好ましい。この範囲が好ましいのは、ヘッドタッチが良くなるためである。このような非磁性支持体には、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、芳香族ポリアミドフィルム、芳香族ポリイミドフィルム等があるが、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムが安価なのでより好まれる。
【0052】非磁性支持体には、通常、磁性層形成面、バックコート層形成面共に、中心線平均表面粗さRaが5.0〜10nmのものが使用されるが、磁性層の表面粗さRaを小さくしてスペーシングロスを小さくする目的で、磁性層形成面のRaを1.0〜5.0nmとした非磁性支持体(バックコート層形成面のRaは5.0〜10nm)が使用される場合がある。このような非磁性支持体はデュアルタイプと呼ばれ、2種の非磁性支持体を貼り合わせて作製される。
【0053】〈下塗層〉下塗層の厚さは、0.3〜3.0μmが好ましく、0.5〜2.5μmがより好ましい。この範囲が好ましいのは、0.3μm未満では磁気記録媒体の耐久性が悪くなる場合があり、3.0μmを越えると磁気記録媒体の耐久性向上効果が飽和するばかりでなく、磁気テープの場合は全厚が厚くなって、1巻当りのテープ長さが短くなり、記憶容量が小さくなるためである。
【0054】下塗層には、導電性改良の目的でカーボンブラック(CB)、塗料粘度やテープ剛性の制御を目的に非磁性粒子を添加する。下塗層に使用する非磁性粒子としては、酸化チタン、酸化鉄、アルミナ(酸化アルミニウム)、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化珪素等があるが、好ましくは酸化鉄単独または酸化鉄とアルミナの混合系が使用される。下塗層に、下塗層中の全無機粉体の重量を基準にして、粒径10〜100nmのカーボンブラックを15〜35重量%、長軸長0.05〜0.20μm、短軸長5〜200nmの非磁性の酸化鉄または板面方向の粒径(平均粒子径)が10〜200nm(より好ましくは10〜100nm)の酸化鉄を35〜83重量%、必要に応じて粒径10〜100nmのアルミナまたは板面方向の粒径(平均粒子径)が10〜100nmのアルミナを0〜20重量%含有させると、ウエット・オン・ウエットで、その上に形成した磁性層の表面粗さが小さくなるので好ましい。なお、粒状または無定形の非磁性酸化鉄を使用する場合には粒径5〜200nmの酸化鉄が好ましい。さらに、表面の平滑性を損なわない範囲で100nm以上の大粒径カーボンブラックを添加することを排除するものではない。その場合のカーボンブラック量は、小粒径カーボンブラックと大粒径カーボンブラックの和を上記範囲内にすることが好ましい。
【0055】下塗層に添加するカーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等を使用できる。通常、粒径が5〜200nmのものが使用されるが、粒径10〜100nmのものが好ましい。この範囲が好ましいのは、カーボンブラックがストラクチャーを持っているため、粒径が10nm以下になるとカーボンブラックの分散が難しく、100nm以上では平滑性が悪くなるためである。カーボンブラック添加量は、カーボンブラックの粒子径によって異なるが、15〜35重量%が好ましい。この範囲が好ましいのは、15重量%未満では導電性向上効果が乏しく、35重量%を越えると効果が飽和するためである。粒径15〜80nmのカーボンブラックを15〜35重量%使用するのがより好ましく、粒径20〜50nmのカーボンブラックを20〜30重量%用いるのがさらに好ましい。このような粒径・量のカーボンブラックを添加することにより電気抵抗が低減され、かつ走行むらが小さくなる。
【0056】下塗層に添加する非磁性の酸化鉄としては、針状の場合、長軸長0.05〜0.20μm、短軸長(粒径)5〜200nmのものが好ましく、板状の場合、板面方向の粒径(平均粒子径)が10〜200nm(より好ましくは10〜100nm)の酸化鉄、粒状または無定形のものでは、粒径5〜200nmが好ましい。粒径5〜150nmがより好ましく、粒径5〜100nmがさらに好ましい。なお、針状のものが磁性層の配向がよくなるのでより好ましい。また、板状の場合、磁気テープの温度・湿度膨張係数が小さくなるので好ましい。添加量は、35〜83重量%が好ましく、40〜80重量%がより好ましく、50〜75重量%がさらに好ましい。この範囲の粒径(針状の場合は短軸長)が好ましいのは、粒径5nm未満では均一分散が難しく、200nmを越えると下塗層と磁性層の界面の凹凸が増加するためである。同様の理由で板状の場合、板面方向の粒径(平均粒子径)が10〜200nmが好ましく、10〜100nmがより好ましい。この範囲の添加量が好ましいのは、35重量%未満では塗膜強度向上効果が小さく、83重量%を越えると反って塗膜強度が低下するためである。
【0057】下塗層には酸化鉄に加えてアルミナを添加してもよい。アルミナの粒径は、10〜100nmが好ましく、20〜100nmがより好ましく、30〜100nmがさらに好ましい。この範囲の粒径が好ましいのは、粒径10nm未満では均一分散が難しく、100nmを越えると下塗層と磁性層の界面の凹凸が増加するためである。同様の理由で板状の場合、板面方向の粒径(平均粒子径)が10〜100nmが好ましい。アルミナの添加量は、通常0〜20重量%であるが、2〜10重量%がより好ましく、4〜8重量%がさらに好ましい。
【0058】下塗層に添加する樹脂には、ポリアミド樹脂やポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂などが考えられるが、上記中間層で述べた理由からポリアミドイミド樹脂が好ましい。同様の理由でポリアミドイミド樹脂の湿度膨張係数は(10〜140)×10-6/%RHが好ましく、(20〜70)×10-6/%RHがより好ましい。同様に熱膨張係数は(10〜70)×10-6/℃が好ましく、(20〜60)×10-6/℃がより好ましい。また、ポリアミドイミド樹脂には、非磁性粉末等の分散性向上のため、後記するように−SO3 M等の官能基を含有させることが好ましい。
【0059】同様に上記の理由によりポリアミドイミド樹脂のガラス転移点は200〜350℃が好ましく、250〜320℃がより好ましい。また、上記と同様の理由からポリアミドイミド樹脂の分子量は、1万〜10万が好ましい。
【0060】〈潤滑剤〉下塗層と磁性層からなる塗布層に、役割の異なる潤滑剤を使用することができる。下塗層には全粉体に対して0.5〜4.0重量%の高級脂肪酸を含有させ、0.2〜3.0重量%の高級脂肪酸のエステルを含有させると、磁気テープと走行系のガイドやMRヘッドのスライダ等との動摩擦係数が小さくなるので好ましい。この範囲の高級脂肪酸添加が好ましいのは、0.5重量%未満では、動摩擦係数低減効果が小さく、4.0重量%を越えると下塗層が可塑化してしまい強靭性が失われるからである。また、この範囲の高級脂肪酸のエステル添加が好ましいのは、0.2重量%未満では、動摩擦係数低減効果が小さく、3.0重量%を越えると磁性層への移入量が多すぎるため、磁気テープと走行系のガイド等が貼り付く等の副作用があるためである。脂肪酸としては、炭素数10以上の脂肪酸を用いるのが好ましい。炭素数10以上の脂肪酸としては、直鎖、分岐、シス・トランスなどの異性体のいずれでもよいが、潤滑性能にすぐれる直鎖型が好ましい。このような脂肪酸としては、たとえば、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸などが挙げられる。これらの中でも、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸などが好ましい。
【0061】磁性層には強磁性粉末に対して0.2〜3.0重量%の脂肪酸アミドを含有させ、0.2〜3.0重量%の高級脂肪酸のエステルを含有させると、磁気テープと走行系のガイドローラやMRヘッドのスライダ等との動摩擦係数が小さくなるので好ましい。この範囲の脂肪酸アミドが好ましいのは、0.2重量%未満ではヘッドスライダ/磁性層の動摩擦係数が大きくなりやすく、3.0重量%を越えるとブリードアウトしてしまいドロップアウトなどの欠陥が発生するからである。脂肪酸アミドとしてはパルミチン酸、ステアリン酸等の炭素数が10以上の脂肪酸アミドが使用可能である。また、上記範囲の高級脂肪酸のエステル添加が好ましいのは、0.2重量%未満では動摩擦係数低減効果が小さく、3.0重量%を越えると磁気テープと走行系のガイド等が貼り付く等の副作用があるためである。なお、磁性層の潤滑剤と下塗層の潤滑剤の相互移動を排除するものではない。
【0062】磁気テープの磁性層とMRヘッドのスライダとの動摩擦係数はPESを小さくするため0.35以下にする必要がある。より好ましくは0.1〜0.3、さらに好ましくは0.1〜0.25である。この範囲がより好ましいのは、0.30を越えると、スライダ汚れによるスペーシングロスが起こりやすいためである。また、磁気ヘッドアレイが磁気テープ幅方向に移動する際に、磁気テープも幅方向に動くために、オフトラック量が大きくなる。なお、0.10未満は実現が困難である。通常、磁気テープ磁性層とSUSとの動摩擦係数は0.1〜0.3で、0.10〜0.25が好ましく、0.12〜0.20がより好ましい。この範囲が好ましいのは、0.25を越えるとガイドローラが汚れやすくなるためである。なお、この動摩擦係数を0.10未満にすることは難しい。また、磁性層とスライダ材料との動摩擦係数をμmsl 、磁性層とSUSとの動摩擦係数をμmsusとした時の[(μmsl )/(μmsus)]を0.7〜1.3が好ましく、0.8〜1.2がより好ましい。この範囲が好ましいのは、磁気テープの走行異常によるトラッキングずれ(オフトラック)が小さくなるためである。
【0063】〈磁性層〉磁性層の厚さは、通常0.3μm以下で、0.01〜0.3μmが好ましく、0.01〜0.20μmがより好ましく、0.01〜0.15μmがさらに好ましく、0.01〜0.10μmがいっそう好ましい。この範囲がより好ましいのは、0.01μm未満では均一な磁性層が得にくく、0.3μmを越えると厚さ損失により、再生出力が小さくなったり、当該磁性層における残留磁束密度(Br)と厚さ(δ)との積(Brδ)が大きくなり過ぎて、MRヘッドの飽和による再生出力の歪が起こりやすくなるためである。
【0064】長手方向の残留磁束密度と厚さの積は0.0018〜0.06μTmが好ましく、0.0036〜0.050μTmがより好ましい。この範囲が好ましいのは、0.0018μTm未満では、MRヘッドによる再生出力が小さく、0.06μTmを越えるとMRヘッドによる再生出力が歪みやすいからである。このような磁性層からなる磁気記録媒体は、記録波長を短くでき、しかも、MRヘッドで再生した時の再生出力を大きくでき、しかも再生出力の歪が小さく出力対ノイズ比を大きくできるので好ましい。
【0065】磁性層の保磁力は、120〜320kA/m(1508〜4021Oe)が好ましく、140〜320kA/m(1759〜4021Oe)がより好ましく、160〜320kA/m(2011〜4021Oe)がさらに好ましい。この範囲が好ましいのは、120kA/m未満(1508Oe)では記録波長を短くすると反磁界減磁で出力低下が起こり、320kA/m(4021Oe)を超えると磁気ヘッドによる記録が困難になるためである。
【0066】磁性層の中心線平均表面粗さRaは通常5nm以下であり、3.2nm以下が好ましく、0.5〜3.2nmがより好ましく、0.7〜3.2nmがさらに好ましく、0.7〜2.9nmがいっそう好ましい。この範囲がより好ましいのは、0.5nm未満では磁気テープの走行が不安定になり、Raが3.2nmを超えると、スペーシングロスにより、PW50(再生出力の半値幅)が広くなったり出力が低下したりして、エラーレートが高くなるためである。
【0067】磁性層に添加する磁性粉には、Fe粉末、Fe−Co粉末やFe−Nd−B粉末等のような強磁性鉄系金属粉末、六方晶バリウムフェライト粉末が使用される。強磁性鉄系金属粉末、六方晶バリウムフェライト粉末の保磁力は、120〜320kA/m(1508〜4021Oe)が好ましく、飽和磁化量は、強磁性鉄系金属粉末では、120〜200A・m2 /kg(120〜200emu/g)が好ましく、130〜180A・m2 /kg(130〜180emu/g)がより好ましい。六方晶バリウムフェライト粉末では、50〜70A・m2 /kg(50〜70emu/g)が好ましい。なお、この磁性層の磁気特性と、強磁性粉末の磁気特性は、いずれも試料振動形磁束計で外部磁場1.28MA/m(16kOe)での測定値をいうものである。
【0068】本発明の磁気記録媒体において使用するFe粉末、Fe−Co粉末等の針状の強磁性鉄系金属粉末の平均長軸長としては、0.03〜0.2μmが好ましく、0.03〜0.18μmがより好ましく、0.04〜0.15μmがさらに好ましく、0.04〜0.10μmがいっそう好ましい。この範囲が好ましいのは、平均長軸長が0.03μm未満となると、磁性粉の凝集力が増大するため塗料中への分散が困難になり、0.2μmより大きいと、保磁力が低下し、また粒子の大きさに基づく粒子ノイズが大きくなる。また、Fe−Nd−B粉末のような粒状の強磁性鉄系金属粉末では、同様の理由により、粒径10〜100nmが好ましい。さらに、六方晶バリウムフェライト粉末では、同様の理由により、板径5〜200nmが好ましい。なお、上記の平均長軸長、粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)にて撮影した写真の粒子サイズを実測し、100個の平均値により求めたものである。また、この強磁性鉄系金属粉末のBET比表面積は、35m2 /g以上が好ましく、40m2 /g以上がより好ましく、50m2 /g以上が最も好ましい。六方晶バリウムフェライト粉末のBET比表面積は、1〜100m2 /gが好ましい。
【0069】下塗層、磁性層に含有させる結合剤としては、ポリアミドイミド樹脂のほか、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、塩化ビニル−水酸基含有アルキルアクリレート共重合体、ニトロセルロース(セルロース系樹脂)などの中から選ばれる少なくとも1種とポリウレタン樹脂との組み合わせを用いることができる。中でも、塩化ビニル−水酸基含有アルキルアクリレート共重合体とポリウレタン樹脂を併用するのが好ましい。ポリウレタン樹脂には、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテルポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタンなどがある。
【0070】官能基として−COOH、−SO3 M、−OSO3 M、−P=O(OM)3 、−O−P=O(OM)2 [Mは水素原子、アルカリ金属塩基又はアミン塩を示す]、−OH、−NR’R''、−N+ R''' R''''R''''' [R' 、R''、R'''、R''''、R''''' は水素または炭化水素基を示す]、エポキシ基を有する高分子からなるウレタン樹脂等の結合剤が使用される。このような結合剤を使用するのは、上述のように磁性粉等の分散性が向上するためである。2種以上の樹脂を併用する場合には、官能基の極性を一致させるのが好ましく、中でも−SO3 M基どうしの組み合わせが好ましい。
【0071】これらの結合剤は、磁性層では強磁性粉末100重量部に対して、また下塗層ではカーボンブラックと非磁性粉末との合計量100重量部に対して、7〜50重量部、好ましくは10〜35重量部の範囲で用いられる。特に、結合剤として、塩化ビニル系樹脂5〜30重量部とポリウレタン樹脂2〜20重量部とを複合して用いるのが最も好ましい。
【0072】これらの結合剤とともに、結合剤中に含まれる官能基などと結合させて架橋する熱硬化性の架橋剤を併用するのが望ましい。この架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどや、これらのイソシアネート類とトリメチロールプロパンなどの水酸基を複数個有するものとの反応生成物、上記イソシアネート類の縮合生成物などの各種のポリイソシアネートが好ましい。これらの架橋剤は、結合剤100重量部に対して、通常5〜50重量部の割合で用いられる。より好ましくは7〜35重量部である。なお、磁性層に使用する架橋剤の量を、下塗層に使用する量の1/2程度(30%〜60%)にすれば、MRヘッドのスライダに対する動摩擦係数が小さくなるので好ましい。この範囲が好ましいのは、30%未満では、磁性層の塗膜強度が弱くなりやすく、60%を越えるとスライダに対する動摩擦係数を小さくするために、後述するLRT処理条件を強くする必要があり、コストアップにつながるからである。
【0073】磁性層には、導電性向上と表面潤滑性向上を目的に従来公知のカーボンブラック(CB)を添加することができる。これらのカーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等を使用できる。粒子径が5〜100nmのものが使用されるが、粒径10〜100nmのものが好ましい。この範囲が好ましいのは、粒径が5nm未満になるとカーボンブラックの分散が難しく、100nmを超えると多量のカーボンブラックを添加することが必要になり、何れの場合も表面が粗くなり、出力低下の原因になるためである。カーボンブラックの添加量は強磁性粉末に対して0.2〜5重量%が好ましく、0.5〜4重量%がより好ましく、0.5〜3.5重量%がさらに好ましく、0.5〜3重量%がいっそう好ましい。この範囲が好ましいのは、0.2重量%未満では効果が小さく、5重量%を超えると、磁性層表面が粗くなりやすいからである。
【0074】〈バックコート層〉走行性向上を目的に、厚さ0.2〜0.8μmの従来公知のバックコート層を使用できる。この範囲が良いのは、0.2μm未満では走行性向上効果が不充分となり、0.8μmを超えるとテープ全厚が厚くなって1巻当たりの記憶容量が小さくなるためである。バックコート層とSUSとの動摩擦係数は0.10〜0.30が好ましく、0.10〜0.25がより好ましい。この範囲が好ましいのは、0.10未満になるとガイド部分で滑りやすく走行が不安定になり、0.30を越えるとガイドローラが汚れやすくなるためである。また、[(μmsl )/(μbsus)]は0.8〜1.5が好ましく、0.9〜1.4がより好ましい。この範囲が好ましいのは、磁気テープの蛇行によるトラッキングずれ(オフトラック)が小さくなるためである。
【0075】バックコート層のカーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等を使用できる。通常、小粒径カーボンブラックと大粒径カーボンブラックを使用する。小粒径カーボンブラックには、粒子径が5〜100nmのものが使用されるが、粒径10〜100nmのものがより好ましい。この範囲がより好ましいのは、粒径が10nm未満になるとカーボンブラックの分散が難しく、粒径が100nmを超えると多量のカーボンブラックを添加することが必要になり、何れの場合も表面が粗くなり、磁性層への裏移り(エンボス)原因になるためである。大粒径カーボンブラックとして、小粒径カーボンブラックの5〜15重量%、粒径250〜400nmの大粒径カーボンブラックを使用すると、表面も粗くならず、走行性向上効果も大きくなる。小粒径カーボンブラックと大粒径カーボンブラック合計の添加量は無機粉体重量を基準にして60〜98重量%が好ましく、70〜95重量%がより好ましい。バックコート層の中心線平均表面粗さRaは3〜15nmが好ましく、4〜10nmがより好ましい。
【0076】また、バックコート層には、強度向上を目的に、粒子径が0.1〜0.6μmの酸化鉄、アルミナを添加するのが好ましい。これの粒子径は0.2〜0.5μmがより好ましい。酸化鉄、アルミナを合わせた添加量は無機粉体重量を基準にして2〜40重量%が好ましく、5〜30重量%がより好ましい。また、10〜200nm(より好ましくは10〜100nm)の非磁性板状酸化物(酸化セリウム、アルミナ、酸化鉄、酸化珪素、酸化ジルコニウム)を添加すると、磁気テープの温度・湿度膨張係数が小さくなるので、より好ましい。
【0077】バックコート層には結合剤として、ポリアミドポリイミド樹脂の他、前述した磁性層や下塗層に用いるのと同じ樹脂を用いることができるが、これらの中でも摩擦係数を低減し走行性を向上するため、セルロース系樹脂とポリウレタン樹脂を複合して併用することが好ましい。結合剤の含有量は通常、カーボンブラックと前記無機非磁性粉末との合計量100重量部に対して40〜150重量部で、50〜120重量部が好ましく、60〜110重量部がより好ましく、70〜110重量部がさらに好ましい。この範囲が好ましいのは、50重量部未満では、バックコート層の強度が不十分で、120重量部を越えると摩擦係数が高くなりやすいためである。セルロース系樹脂を30〜70重量部、ポリウレタン系樹脂を20〜50重量部使用することが好ましい。また、さらに結合剤を硬化するために、ポリイソシアネート化合物などの架橋剤を用いることが好ましい。
【0078】バックコート層には架橋剤として、前述した磁性層や下塗層に用いる架橋剤を使用する。架橋剤の量は、結合剤100重量部に対して、通常10〜50重量部の割合で用いられる。好ましくは10〜35重量部、より好ましくは10〜30重量部である。この範囲が好ましいのは、10重量部未満では、バックコート層の塗膜強度が弱くなりやすく、35重量部を越えるとSUSに対する動摩擦係数が大きくなるためである。
【0079】バックコート層に磁気サーボ信号を記録する特殊用途のバックコート層には、通常、磁性層に使用する上述の強磁性粉末を30〜60重量部、バックコート層に使用する上述のカーボンブラックを40〜70重量部、必要に応じて、バックコート層に使用する上述の酸化鉄、アルミナを2〜15重量部添加する。また、結合剤には、強磁性粉末、カーボンブラック、無機非磁性粉末との合計量100重量部に対して、上記バックコート層に用いる樹脂を通常、40〜150重量部、好ましくは50〜120重量部使用する。また、架橋剤には、上述の架橋剤を結合剤100重量部に対して通常10〜50重量部の割合で用いることができる。上述の磁性層で述べたと同じ理由で、保磁力は120〜320kA/m、残留磁束密度と膜厚の積は、0.018〜0.06μTmが好ましい。
【0080】〈LRT処理(ラッピング/ロータリー/ティッシュ処理)〉磁気テープを製造するに当たっては、磁性層に対し、次に述べるラッピング、ロータリーおよびティッシュの各処理からなるLRT処理を施す。これにより、表面の平滑性、MRヘッドのスライダ材料やシリンダ材料との動摩擦係数や表面粗さ、表面形状が最適化され、磁気テープの走行性の向上、スペーシングロスの低減、MR再生出力の向上を図ることができる。
【0081】(1)ラッピング処理: 研磨テープ(ラッピングテープ)を、回転ロールによってテープ送り(標準:400m/分)と反対方向に一定の速さ(標準:14.4cm/分)で移動させ、上部からガイドブロックによって押さえることによってテープ磁性層表面と接触させる。この時の磁気テープ巻き出しテンションおよびラッピングテープのテンションを一定(標準:各100g、250g)として磁気テープに対する研磨処理を行う。この工程で使用する研磨テープ(ラッピングテープ)は、例えば、M20000番、WA10000番あるいはK10000番のような研磨砥粒の細かい研磨テープ(ラッピングテープ)である。なお、研磨ホイール(ラッピングホイール)を研磨テープ(ラッピングテープ)の代りにまたは併用して使用することを排除するものではないが、頻繁に交換を要する場合は、研磨テープ(ラッピングテープ)のみを使用する。
【0082】(2)ロータリー処理: 空気抜き用溝付ホイール[標準:幅1インチ(25.4mm)、直径60mm、空気抜き用溝2mm幅、溝の角度45度、協和精工株式会社製]と磁性層とを、一定の接触角度(標準:90度)でテープと反対方向に一定の回転速度(通常:200〜3000rpm、標準:1100rpm)で接触させて処理を行う。
【0083】(3)ティッシュ処理: ティッシュ[例えば東レ株式会社製の織布トレシー]を回転棒で各々バックコート層および磁気層面をテープ送りと反対方向に一定の速度(標準:14.0mm/分)で送り、磁気テープに対するクリーニング処理を行う。
【0084】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例の部は重量部を示す。
【0085】
実施例1:《下塗層用塗料成分》
(1)
・酸化鉄粉末(平均粒径:0.11×0.02μm) 68部・α−アルミナ(平均粒径:0.07μm) 8部・カーボンブラック(平均粒径:25nm、吸油量:55g/cc) 24部・ステアリン酸(潤滑剤) 2.0部・塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体 (含有−SO3 Na基:0.7×10-4当量/g) 8.8部・ポリアミドイミド樹脂のエタノール/トルエン(1/1)25%溶液 17.6部 [ポリアミドイミド樹脂のみの重量: 4.4部]
(Tg:260℃、 湿度膨張係数=120×10-6/%RH、 熱膨張係数=(57×10-6/℃)
・シクロヘキサノン 25部・メチルエチルケトン 40部・トルエン 10部(2)
・ステアリン酸ブチル(潤滑剤) 1部・シクロヘキサノン 70部・メチルエチルケトン 50部・トルエン 20部(3)
・ポリイソシアネート 2.0部 (架橋剤、日本ポリウレタン社製コロネートL)
・シクロヘキサノン 10部・メチルエチルケトン 15部・トルエン 10部【0086】
《磁性層用塗料成分》
(1)
・強磁性鉄系金属粉 100部 〔Co/Fe:25wt%、 Y/Fe :9.3wt%、 Al/Fe:3.5wt%、 Ca/Fe:0wt%、 σs :155A・m2 /kg、 Hc:188.2kA/m、 pH:9.4、 平均長軸長:0.10μm〕
・塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体 12.3部 (含有−SO3 Na基:0.7×10-4当量/g)
・ポリエステルポリウレタン樹脂 5.5部 (含有−SO3 Na基:1.0×10-4当量/g)
・α−アルミナ(平均粒径:0.12m) 8部・α−アルミナ(平均粒径:0.07m) 2部・カーボンブラック 1.0部 (平均粒径:75nm、DBP吸油量:72cc/100g)
・メタルアシッドホスフェート 2部・パルミチン酸アミド 1.5部・ステアリン酸n−ブチル 1.0部・テトラヒドロフラン 65部・メチルエチルケトン 245部・トルエン 85部(2)
・ポリイソシアネート 2.0部 (架橋剤、日本ポリウレタン社製コロネートL)
・シクロヘキサノン 167部【0087】上記下塗層用塗料成分において(1)をニーダで混練したのち、(2)を加えて攪拌の後サンドミルで滞留時間を60分として分散処理を行い、これに(3)を加え攪拌・濾過した後、下塗層用塗料とした。これとは別に、上記の磁性層用塗料成分(1)をニーダで混練したのち、サンドミルで滞留時間を45分として分散し、これに磁性層用塗料成分(2)を加え攪拌・濾過後、磁性塗料とした。そして、ポリエチレンナフタレートフイルム(PEN、厚さ6.2μm、湿度膨張係数=5.6×10-6/%RH、熱膨張係数=(−7.4)×10-6/℃、MD=6.50GPa、MD/TD=0.54、帝人社製)からなる非磁性支持体上に上記の下塗層用塗料を、乾燥・カレンダ後の厚さが1.8μmとなるように塗布し、この下塗層上に、さらに上記の磁性塗料を磁場配向処理、乾燥、カレンダー処理後の磁性層の厚さが0.15μmとなるようにウエット・オン・ウエット方式で塗布し、磁場配向処理後、ドライヤを用いて乾燥し、磁気シートを得た。なお、磁場配向処理は、ドライヤ前にN−N対抗磁石(5kG)を設置し、ドライヤ内で塗膜の指蝕乾燥位置の手前側75cmからN−N対抗磁石(5kG)を2基50cm間隔で設置して行った。塗布速度は100m/分とした。
【0088】
《バックコート層用塗料成分》
・カーボンブラック(平均粒径:25nm) 80部・カーボンブラック(平均粒径:370nm) 10部・酸化鉄(平均長軸長:0.4μm、 10部 平均軸比(長手方向の長さ/幅方向の長さ):約10)
・ニトロセルロース 44部・ポリウレタン樹脂(−SO3 Na基含有) 30部・シクロヘキサノン 260部・トルエン 260部・メチルエチルケトン 525部【0089】上記バックコート層用塗料成分をサンドミルで滞留時間45分として分散した後、架橋剤であるポリイソシアネート(日本ポリウレタン社製コロネートL)13部を加えてバックコート層用塗料を調整し濾過した後、上記で作製した磁気シートの磁性層の反対面に、乾燥・カレンダ後の厚みが0.5μmとなるように塗布し、乾燥した。このようにして得られた磁気シートを金属ロールからなる7段カレンダで、温度100℃、線圧150×9.8N/cm(150kg/cm)の条件で鏡面化処理し、磁気シート(磁気テープ原反)をコアに巻いた状態で70℃で72時間エージングした。
【0090】〈スリッティング処理〉つぎに、図5に示したスリッティングシステム100を用いて磁気シート原反Gを裁断して1/2インチ幅の磁気テープ3とした。図5中の符号60は刃物駆動部、符号61・62は互いに反対方向に回転駆動される上下の刃物群、符号90・91は磁気テープ原反Gの走行経路に沿って配置したガイドをそれぞれ示す。ここで、図5中に記載されているテンションカットローラ50のサクション吸引部の拡大断面図を図6に示す。このサクション吸引部は、図示しない吸引源に連通されて磁気テープ原反を吸引する吸引部51と、外周面に磁気テープ原反が接触するテープ接触部52とからなり、これらを、テンションカットローラ50の外周面に沿って一定間隔をあけて交互に配置した構成である。図示例では、テンションカットローラ50の外周面において、一つの吸引部51の終端から直ぐ隣の吸引部51の終端までの周方向距離、つまり吸引部51の周期T1は13.5mmである。吸引部51には、多孔金属を埋め込みメッシュサクションとした。このようなテンションカットローラ50を備えたスリッティングシステム100を使用し、そのサクションの吸引圧を1.33×104 Pa(100mmHg)、テンションカットローラ50に対する磁気テープ原反Gの巻付角を188度に設定して、磁気テープ原反Gに対するスリッティングを行った。なお、図示はしないが、図5中の刃物駆動部60に駆動モータからの動力を伝える動力伝達装置において、その構成要素である駆動ベルトには平ベルト、カップリングにはゴムカップリングを使用して、駆動モータからの振動をカットした。ついで、下記の条件でLRT処理を行った。
【0091】〈LRT(ラッピング/ロータリー/ティッシュ)処理〉(1)ラッピング処理: 研磨テープ(ラッピングテープ)を、回転ロールによってテープ送り(400m/分)と反対方向に14.4cm/分の速さで移動させ、上部からガイドブロックによって押さえることによってテープ磁性層表面と接触させる。この時の磁気テープ巻き出しテンションを100g及びラッピングテープのテンションを250gとして磁気テープに対する研磨処理を行った。
【0092】(2)ロータリーアルミホイール処理: 幅1インチ(25.4mm)、直径60mmで2mm幅の空気抜き用溝付きのホイール(溝の角度45度、協和精工株式会社製)と磁性層とを接触角度90度でテープと反対方向に回転速度1100rpmで接触させて磁気テープに対する処理を行った。
【0093】(3)ティッシュ処理: 東レ株式会社製の織布トレシーを回転棒で各々バックコート層及び磁気層面をテープ送りと反対方向に14.0mm/分の速度で送り、磁気テープに対するクリーニング処理を行った。
【0094】サーボライター(日立マクセル社製)を用いて、磁気テープの磁性層に4m/秒(4000mm/秒)の速度で磁気サーボ信号を書き込み、この磁気テープをリールに巻装してケース本体内に組み込むことにより、図2および図3に示したコンピュータ用の磁気テープカートリッジを作製した。
【0095】この場合に使用したリール2は、これの巻芯部23の外周を、走行基準側になる図中の上側のテープエッジ側で大径となるように、0.5度のテーパ角度(β)を有するテーパ状に形成したものである。また、リール内周部内側の鍔部内面間の間隔S1は、磁気テープ幅Lの上限値である12.656mmに対して+0.214mmであり、リール外周部内側の鍔部内面間の間隔S2は、磁気テープ幅の上限値に対して+0.494mmである。
【0096】実施例2:実施例1において20μmとした記録トラック幅(Tw)を27.5μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして磁気テープおよび磁気テープカートリッジを作製した。
【0097】実施例3〜9および比較例1〜5:一部条件を表1〜表11に示したように変更した点を除き、実施例1と同様にして実施例3〜9および比較例1〜5の各磁気テープおよびコンピュータ用の磁気テープカートリッジをそれぞれ作製した。なお、表1〜表3において、下塗層、磁性層、バックコート層およびスリッタ条件の各欄に記載した「U−1」〜「U−4」、「M」、「B−1」〜「B−3」、「S−1」〜「S−3」の内容は、表6〜表11に記載したとおりである。ここで、表11中の「13.5mmピッチ」は、サクション吸引部が、テンションカットローラ50の外周面に沿って13.5mm間隔ごとに配置されてはいるが、実施例1等で採用したような多孔金属を埋め込んでなるメッシュサクションではなく、通常の孔状構造のものであることを示す。
【0098】表7および表10に使用した板状酸化鉄、板状アルミナは次のようにして作製した。
【0099】〈板状酸化鉄粒子の合成〉375モルの水酸化ナトリウムと50リットルの2−アミノエタノールを400リットルの水に溶解し、アルカリ水溶液を作製した。このアルカリ水溶液とは別に、37モルの塩化第二鉄(III)七水和物を200リットルの水に溶解して塩化第二鉄水溶液を作製した。この塩化第二鉄水溶液とアルカリ水溶液を12℃に保持した状態で、このアルカリ水溶液に、塩化第二鉄水溶液を滴下して、水酸化鉄を含む沈殿物を作製した。このときのpHは、11.3であった。次に室温で約20時間放置した後、1000倍の水で洗浄した後、上澄液を除去し、水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを11.3に調整し、オートクレーブに仕込んで、150℃で2時間の水熱処理を施した。
【0100】この処理により、板状のゲーサイト(α−FeOOH)を得た。さらに、このゲーサイトに対してSiO2 換算で、1wt%になるようにケイ酸ナトウム溶液を攪拌しなが添加し、塩酸によりpHを7.3に調整して、SiO2 による被覆処理を行った。ろ過・乾燥後、空気中、600℃で1時間加熱処理を行って、α−酸化鉄粒子とした。加熱処理後、未反応物や残存物を除去するために、さらに超音波分散機を使って水洗し、ろ過乾燥した。
【0101】得られたα−酸化鉄粒子について、X線回折スペクトルを測定したところ、アルファへマタイトに対応するスペクトルが観測された。さらに、透過電子顕微鏡さらに、透過電子顕微鏡で形状観察を行い、100個の粒子の粒子径(各粒子の最大径)を測定したところ、平均粒子径が50nmの六角板状の粒子であることがわかった。
【0102】〈板状アルミナ粒子の合成〉375モルの水酸化ナトリウムと50リットルの2−アミノエタノールを400リットルの水に溶解し、アルカリ水溶液を作製した。このアルカリ水溶液とは別に、37モルの塩化アルミニウム(III)七水和物を200リットルの水に溶解して、塩化アルミニウム水溶液を作製した。前記アルカリ水溶液に前記塩化アルミニウム水溶液を滴下して、水酸化アルミニウムを含む沈殿物を作製し、その後塩酸を滴下することにより、pHを10.2にした。この沈殿物を懸濁液の状態で20時間熟成させたのち、約1000倍の水で水洗した。次に、上澄み液を除去した後、この沈殿物の懸濁液を、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH10.0に再調整し、オートクレーブに仕込み、200℃で2時間、水熱処理を施した。
【0103】得られた水熱処理生成物を、ろ過し、90℃で空気中乾燥した後、乳鉢で軽く解砕し、空気中600℃で1時間の加熱処理を行って酸化アルミニウム粒子とした。加熱処理後、未反応物や残存物を除去するために、さらに超音波分散機を使って水洗し、ろ過乾燥した。
【0104】得られた酸化アルミニウム粒子について、X線回折スペクトルを測定したところ、γ−アルミナに対応するスペクトルが観測された。さらに、透過電子顕微鏡で形状観察を行ったところ、粒子径分布が30〜50nmの四角板状の粒子であることがわかった。得られた酸化アルミニウム粒子を、さらに空気中1250℃で1時間、加熱処理した。得られた酸化アルミニウム粒子を、X線回折スペクトルを測定したところ、α−アルミナに対応するスペクトルが観測された。さらに、透過電子顕微鏡で形状観察を行い、100個の粒子の粒子径(各粒子の最大径)を測定したところ、平均粒子径が50nmの四角板状の粒子であった。
【0105】
【表1】

【0106】
【表2】

【0107】
【表3】

【0108】
【表4】

【0109】
【表5】

【0110】
【表6】

【0111】
【表7】

【0112】
【表8】

【0113】
【表9】

【0114】
【表10】

【0115】
【表11】

【0116】各実施例および比較例で得られた磁気テープおよび磁気テープカートリッジについて、以下に示すような特性の評価を行った。
【0117】〈エッジウィーブのテープ幅方向変動量およびテープ長手方向周期の測定〉走行基準側となるテープエッジにおけるエッジウィーブのテープ幅方向変動量(エッジウィーブ量)αは、サーボライター(日立マクセル社製)にテープ幅方向変動量測定装置(日立マクセル社製)を取り付け、テープ長さ50mにわたって行った。ついで、得られたテープ幅方向変動量のフーリエ解析を行い、テープ幅方向変動量つまりエッジウィーブ量αおよびテープ長手方向周期fの測定を行った。
【0118】〈オフトラック量(温・湿度膨張)の測定〉温度10℃、湿度10%RHから温度29℃、湿度80%RHに環境が変化したときのトラック位置の最大ズレ量(サーボトラックから1400μm離れた位置のトラックずれ)をテープの熱膨張係数、湿度膨張係数から求めた。
【0119】〈オフトラック膨張〉サーボをヘッドが追随する際にテープの膨張・収縮によってサーボ信号にトラッキング不良が生じる。表1〜表5中に記載した「オフトラック膨張」は、このテープの膨張・収縮によるオフトラックを意味する。オフトラック量は、市販のヒューレットパッカード(HP)社製ドライブ(モデル:Ultrium 230i)により測定した。
【0120】〈同一装置出力低下〉改造したLTOドライブを用いて温度10℃、湿度10%RHで記録(記録波長0.55μm)を行い、温度10℃、湿度10%RHで再生したときの出力を基準にして、温度29℃、湿度80%RHで再生したときの出力を測定し、出力の低下(%)を求めた。記録ヘッドおよび再生ヘッド(MRヘッド)については、表1〜表5に記載したトラック幅のものを使用した。
【0121】〈3μmトラックずれの装置で再生〉表1〜表5中に記載した「3μmトラックずれの装置で再生」は、再生トラック幅が3μmずれた装置で測定したときの再生出力の低下率を意味する。
【0122】表1〜表5中の「特性」欄に、以上の測定結果を示す。これを見ると分かるように、3μmトラックずれの装置で再生した場合において、比較例1〜5に係る磁気テープおよび磁気テープカートリッジでは同一装置での出力低下はなかったが、オフトラックによる出力の低下が5%以上であったのに対し、本発明実施例に係る磁気テープおよび磁気テープカートリッジでは、オフトラックによる出力の低下が3.5%以下であった。中でも実施例1・2・5・6・8の場合は、出力の低下が2%以下であり、特にオフトラック特性に優れた磁気テープおよび磁気テープカートリッジが得られることが分かる。
【0123】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、記録トラック幅が28μm以下(特に21μm以下)と狭く、[(記録トラック幅)−(再生トラック幅)]が16μm以下と狭い場合においてオフトラックが生じにくくなるので、エラーレートの低いサーボ特性に優れた磁気テープおよび磁気テープカートリッジが得られる。こうして、例えばコンピュータ用のバックアップテープとして好適な信頼性の高い磁気テープおよび磁気テープカートリッジが実現できる。




 

 


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