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発明の名称 光磁気記録媒体の記録方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2003−178496(P2003−178496A)
公開日 平成15年6月27日(2003.6.27)
出願番号 特願2002−305906(P2002−305906)
出願日 平成6年6月10日(1994.6.10)
代理人 【識別番号】100078134
【弁理士】
【氏名又は名称】武 顕次郎
【テーマコード(参考)】
5D075
【Fターム(参考)】
5D075 AA03 CC01 CC11 CD11 EE03 FF04 
発明者 島▲崎▼ 勝輔 / 粟野 博之 / 吉弘 昌史 / 大貫 悟 / 石塚 和子 / 太田 憲雄
要約 課題
磁区端部の安定形成が可能で、ジッターを低減した光磁気記録媒体の記録方法を提供する。

解決手段
希土類−遷移金属非晶質合金系記録材料で、磁気的性質として、温度T[K]に対してq(T/Tc)=Hc/4πMs〔Hc:保磁力、Ms:飽和磁化、Tc:キュリ−温度〕の式により与えられるq(T/Tc)の値がq(T/Tc)≧1となるTの領域が、1≧T/Tc≧0.7で示される温度範囲に存在する特性を有する磁性膜を備えた光磁気記録媒体を使用し、光磁気記録媒体にレーザーを照射して情報を記録する際、磁区の長さを記録されるべき情報に応じて変調する光磁気記録媒体の記録方法で、再生光パルスPr、プレヒートパルスPa、磁区形成のためのレーザーパルスPw1、Pw2の強度関係を、Pr<Pa<Pw1<Pw2とした。
特許請求の範囲
【請求項1】 希土類−遷移金属非晶質合金系記録材料で、磁気的性質として、温度T[K]に対してq(T/Tc)=Hc/4πMsただし式中Hc:保磁力[Oe]、Ms:飽和磁化[emu/cc]、Tc:キュリ−温度[K]、の式により与えられるq(T/Tc)の値がq(T/Tc)≧1となるTの領域が、少なくとも1≧T/Tc≧0.7で示される温度範囲に存在する特性を有する磁性膜を備えた光磁気記録媒体を使用し、その光磁気記録媒体にレーザーを照射して情報を記録する際に、磁区の長さを記録されるべき情報に応じて変調する光磁気記録媒体の記録方法であって、再生光パルスPrと、プレヒートパルスPaと、磁区形成のためのレーザーパルスPw1、Pw2の強度関係を、Pr<Pa<Pw1<Pw2としたことを特徴とする光磁気記録媒体の記録方法。
【請求項2】 希土類−遷移金属非晶質合金系記録材料で、磁気的性質として、温度T[K]に対してq(T/Tc)=Hc/4πMsただし式中Hc:保磁力[Oe]、Ms:飽和磁化[emu/cc]、Tc:キュリ−温度[K]、の式により与えられるq(T/Tc)の値がq(T/Tc)≧1となるTの領域が、少なくとも1≧T/Tc≧0.7で示される温度範囲に存在する特性を有する磁性膜を備えた光磁気記録媒体を使用し、その光磁気記録媒体にレーザーを照射して情報を記録する際に、磁区の長さを記録されるべき情報に応じて変調し、前記磁区の最短記録磁区長が0.75μm以下となる情報信号の変調を行なう光磁気記録媒体の記録方法であって、再生光パルスPrと、プレヒートパルスPaと、磁区形成のためのレーザーパルスPw1、Pw2の強度関係を、Pr<Pa<Pw1<Pw2としたことを特徴とする光磁気記録媒体の記録方法。
【請求項3】 請求項1記載の光磁気記録媒体の記録方法において、前記磁区の長さを記録されるべき情報に応じて変調し、前記磁区の最短記録磁区長が0.75μm以下となる情報信号の変調を行なうことを特徴とする光磁気記録媒体の記録方法。
【請求項4】 光磁気記録媒体にレーザーを照射して情報を記録する際に、磁区の長さを記録されるべき情報に応じて変調する光磁気記録媒体の記録方法であって、再生光パルスPrと、プレヒートパルスPaと、磁区形成のためのレーザーパルスPw1、Pw2の強度関係を、Pr<Pa<Pw1<Pw2としたことを特徴とする光磁気記録媒体の記録方法。
【請求項5】 請求項1、請求項2および請求項4のいずれか1項記載の光磁気記録媒体の記録方法において、前記磁区の端部に情報が記録されていることを特徴とする光磁気記録媒体の記録方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光磁気記録媒体の記録方法に係り、さらに詳しくは、マークエッジ記録を代表とする磁区の長さを変調することにより情報を記録する方法に適した光磁気記録媒体の記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光磁気記録には、図16に示すように記録磁区の中心部に情報に対応させて記録する方式(以下、ピットポジション記録と略記する)と、図17に示すように記録する磁区の長さを変調することにより情報を記録する方式(以下、磁区長記録と略記する)とがある。
【0003】この磁区長記録は、前記ピットポジション記録に比較してより高密度な記録が可能であるという特長を有しており、それの代表的な方法としては、磁化の方向が切替わる点、すなわち磁区の端部に情報を記録させる方式(以下、マークエッジ記録という)、パーシャルレスポンス方式および最尤複号法(PRML)による再生を前提とした微細な磁区長を変調することによって情報を記録する方式などがある。
【0004】この磁区長記録においては、磁区形状の安定性がピットポジション記録と比較してより重要となる。媒体に記録再生された信号は、様々な要因により変動する。たとえば、媒体感度のばらつき、記録・再生時の温度変化、装置のばらつき、レーザー光の焦点ずれ、書き換えの繰り返しによる特性の変化等であり、これらが記録磁区長の変動要因となる。
【0005】しかるに、ピットポジション記録においては、記録磁区の中心に情報を対応させているため、図18(a)に示すように記録磁区の長さが多少変動しても、中心位置にはその影響がほとんどない。なお、同図において実線と点線の間は変動の幅を示した線であり、図19においても同様である。
【0006】従ってピットポジション記録では再生信号〔図18(b)参照〕の時間微分の処理をしてしまえば図18(c)に示すように0点との交点はほとんど動かず、各種変動要因に対し比較的安定であり、高いS/Nを得ようとすれば形状が均一な記録磁区を形成できれば良かった。
【0007】ところが磁区長記録の場合、たとえ形状の均一な記録磁区が形成できても、次のような根本的問題がある。すなわち第一に、記録される磁区の長さが異なるため、各磁区の形成時にその前に記録された磁区からの熱の影響が一定でない。この熱的な状態がまちまちなため、図19(a)に示すように記録される磁区端部の位置が安定しないという、この方式独自の問題が記録時に発生する。しかも、これは2回の微分処理を施しても0レベルでのスライスをかけた際の検出点の移動(ずれ)として残る。その結果として、記録レーザーパワーの変動に対するジッターの増大、エラーの増加の要因となる。重ねてこれは環境温度の変動等に対する不安定性に結びつく。
【0008】第二に、書換えの繰返しを行った際、希土類遷移金属の非晶質合金である磁性膜が熱により構造緩和を起こし、これに伴い磁気特性も変化する。このため記録される磁区端部の位置はさらに使用履歴にも依存して不安定となる。
【0009】なお、光磁気記録媒体に関しては例えば特許文献1,2などが挙げられる。
【0010】
【特許文献1】特開平4−305834号公報【0011】
【特許文献2】特開平3−241549号公報【0012】
【発明が解決しようとする課題】磁区長記録においては記録密度を向上できるという大きな利点があるものの、前記の通り記録レーザーパワーの変動や環境温度の変動等により記録磁区端部のふらつきが発生し、記録が不安定であるという根本的な問題を持っていた。
【0013】これは記録される磁区の長さが異なるため、各磁区の記録時の熱的な状態が一定でないことから発生する。特に書き換えの繰り返しによる特性変化などは、媒体上の各記録地点ごとに書き換えの履歴が異なるために、装置による補正も対応しきれない状況にあり、これが磁区長記録における問題であった。
【0014】また、従来においては形状が均一な記録磁区を形成することによる変調性ノイズの低減を目的として磁性膜の磁気特性を論じていたが、磁区長記録における記録時の熱的な状態の不定に基づく記録磁区端部のふらつきや、書換え繰返し後の安定性などは今まで全く意識されず、その最適な特性関係も検討されていなかった。
【0015】本発明の目的は、従来の磁区長記録が有していた前記の問題を解決し、磁区長記録に適した、即ち記録時の熱的な状態が不定な場合にも磁区端部の安定形成が可能であり、かつ書換え繰返し後にも磁区端部の安定形成が可能で、さらにジッターを低減した、信頼性の高い光磁気記録媒体の記録方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らはこの目的を達成するために、磁気的性質が異なる数多くの希土類−遷移金属非晶質合金を用いた光磁気記録媒体を作製し、その全てについて磁区長記録を行い、その安定性につき吟味しそれを集大成してみたところ、以下に示す条件を満たすもののみが安定な記録が行えるという驚くべき事実を解明したのである。
【0017】すなわち本発明の第1の手段は、希土類−遷移金属非晶質合金系記録材料で、磁気的性質として、温度T[K]に対してq(T/Tc)=Hc/4πMsただし式中Hc:保磁力[Oe]、Ms:飽和磁化[emu/cc]、Tc:キュリ−温度[K]、の式により与えられるq(T/Tc)の値がq(T/Tc)≧1となるTの領域が、少なくとも1≧T/Tc≧0.7で示される温度範囲に存在する特性を有する磁性膜を備えた光磁気記録媒体を使用し、その光磁気記録媒体にレーザーを照射して情報を記録する際に、磁区の長さを記録されるべき情報に応じて変調する光磁気記録媒体の記録方法であって、再生光パルスPrと、プレヒートパルスPaと、磁区形成のためのレーザーパルスPw1、Pw2の強度関係を、Pr<Pa<Pw1<Pw2としたことを特徴とするものである。
【0018】本発明の第2の手段は、希土類−遷移金属非晶質合金系記録材料で、磁気的性質として、温度T[K]に対してq(T/Tc)=Hc/4πMsただし式中Hc:保磁力[Oe]、Ms:飽和磁化[emu/cc]、Tc:キュリ−温度[K]、の式により与えられるq(T/Tc)の値がq(T/Tc)≧1となるTの領域が、少なくとも1≧T/Tc≧0.7で示される温度範囲に存在する特性を有する磁性膜を備えた光磁気記録媒体を使用し、その光磁気記録媒体にレーザーを照射して情報を記録する際に、磁区の長さを記録されるべき情報に応じて変調し、前記磁区の最短記録磁区長が0.75μm以下となる情報信号の変調を行なう光磁気記録媒体の記録方法であって、再生光パルスPrと、プレヒートパルスPaと、磁区形成のためのレーザーパルスPw1、Pw2の強度関係を、Pr<Pa<Pw1<Pw2としたことを特徴とするものである。
【0019】本発明の第3の手段は前記第1の手段において、前記磁区の長さを記録されるべき情報に応じて変調し、前記磁区の最短記録磁区長が0.75μm以下となる情報信号の変調を行なうことを特徴とするものである。
【0020】本発明の第4の手段は、光磁気記録媒体にレーザーを照射して情報を記録する際に、磁区の長さを記録されるべき情報に応じて変調する光磁気記録媒体の記録方法であって、再生光パルスPrと、プレヒートパルスPaと、磁区形成のためのレーザーパルスPw1、Pw2の強度関係を、Pr<Pa<Pw1<Pw2としたことを特徴とするものである。
【0021】本発明の第5の手段は前記第1の手段、第2の手段または第4の手段において、前記磁区の端部に情報が記録されていることを特徴とするものである。
【0022】
【発明の実施の形態】図20は、記録時にレーザー光が照射された部分の磁性膜の温度分布を示す模式図であり、記録レーザーパワーの変動によって実線と一点鎖線の間で温度が変動している状態を示している。なお図中のTcは、磁性膜(希土類−遷移金属非晶質合金)のキュリ−温度を示している。
【0023】温度変化に対する保磁力の変動が図21(a)のように比較的なだらかな磁性膜においては、レーザー光を照射した部分の保磁力分布は同図(b)のようになる。このプロファイルにおいて、印加される外部磁界との交点が、磁区の境界、すなわちエッジ部となり、同図(c)に示すような記録磁区が形成される。
【0024】前述のように記録時における磁区端の変動は、記録時の温度プロファイル、磁性膜の磁気特性、あるいは環境温度など様々な要因により発生する。磁区長記録を行う場合は、各磁区形成時にその直前に記録されていた磁区の大きさが異なるため、そこからの熱の影響が一定でない事の影響が最も大きい。これらは記録時の照射レーザーパワーの変動として総括して扱うことができる。各変動の発生を想定した場合、磁区端部がどのように移動するかを図20ならびに図21(a)〜(c)点線および一点鎖線にて模式的に示した。
【0025】この移動(ずれ)量を小さくするためには、磁性膜の保磁力の温度特性としては、図22(a)のようにキュリー温度Tcから低温側に向かって急俊に立ち上がっている方が適していることが、同図(b),(c)の結果より分かる。
【0026】また自発磁化に関しては、その大きさに比例した磁界を磁性膜内部に発生させている。記録温度付近でこれが大きい場合には磁壁が不安定になると考えられるので、キュリ−温度付近で自発磁化は小さい方が適していると言える。
【0027】これら保磁力と飽和磁化のそれぞれの温度特性が相互に複雑に関連して記録磁区の安定性に影響しているのであるが、発明者らの諸種の実験によりこれがq(T/Tc)=Hc/4πMsという一つの簡単な因子により整理しうることが帰納的に解明された。
【0028】そして、自発磁化が磁性膜内部に発生する磁界4πMsと、磁壁の移動を阻止できる最大の磁界値を示す磁壁抗磁力であるHcの比を1以下(Hc/4πMs≧1)にすることにより、自発磁化による磁壁の移動が抑制できることを確認した。
【0029】それらの実験結果の中から、磁気特性の異なる代表的な光磁気記録媒体A〜Eについてq値の温度変化特性を図9に示す。これらの例は実施例の項で示す記録媒体のデータであり、構成などに関する詳細は後述する。同図の横軸の温度はキュリー温度で規格化されており(T/Tc)、縦軸はq値を示している。
【0030】図10は図9に示される記録媒体A〜Eに対してマ−クエッジ記録を行い、再生した信号の検出窓に対するゆらぎ、すなわちジッタ−を測定した結果を示す図である。これは記録レ−ザ−パワ−を変化させてジッタ−の安定性を評価したものである。
【0031】図9においてq値の上昇が急俊なほど、図10に示すように記録パワ−に対するジッタ−の変化が小さいことがわかる。中でも記録媒体DとEは他の記録媒体A〜Cと比較して明らかにジッタ−が大きく、記録パワ−に対するジッタ−の変化も大きい。
【0032】また図11は記録媒体A〜Eに対してそれぞれ106 回の書き換えを繰り返した後にマ−クエッジ記録を行い、初期と比較してジッタ−の変化を測定した結果を示す図である。
【0033】この結果においても磁区端部の安定性が図9の順に対応している。すなわち、記録媒体A、Bは、繰返し書き換え後も磁区端部がほとんど変化せず、ジッタ−が増大しない。記録媒体Cはわずかにジッタ−が増大しているが、1ns程度であり検出窓に対する許容範囲には十分収まっている。一方、記録媒体DおよびEは、ドラスティックに変動している。106 回の書換え後のジッターの増加が1ns程度に収まるものは信頼性に優れた記録媒体として評価できる。
【0034】このような形で多くの記録媒体のデ−タを整理していくと、記録媒体A、B、Cのようにq(T/Tc)の値が1以上となるTの領域が少なくとも1≧T/Tc≧0.7で示される温度範囲に存在するような媒体については、記録レ−ザ−パワ−変化に対するジッタ−の安定性が良好であり、かつ、書き換えを繰り返した後の記録磁区端の変化も小さいことがわかった。
【0035】この中でも記録媒体A、Bのようにq(T/Tc)の値が1以上となるTの領域が1≧T/Tc≧0.8で示される温度範囲に存在するような媒体は、書き換えを繰り返した後の記録磁区端の変化もほとんどなく、最適な記録が可能である。T/Tcが1の付近でq値が1以下となる事に関しては、磁区端が決定される温度よりも高温領域であるため問題とならないと考えられる。
【0036】さらに本発明では、前述のような特長を有する光磁気記録媒体を使用して、情報を記録する際にレーザーパルスを分割して、レーザー強度ならびに照射時間を調整することにより、形成される磁区の幅を揃えるとともに磁区の長さを変調して、この種の光磁気記録媒体の特長を十分に発揮して、ジッターをさらに低減して、信頼性の向上が図れる。
【0037】次に本発明の具体的な実施例について説明する。
(実施例1)図1に実施例1に係る記録媒体の構成を示す。レーザー光案内溝とプレピットを施したポリカーボネートからなる基板上にSiON誘電膜(膜厚約1000Å)、Tb29Fe53Co13Nb5 磁性膜(膜厚約200Å)、SiON誘電膜(膜厚約300Å)、Al反射膜(膜厚約700Å)をマグネトロンスパッタリング法により真空製膜し、保護のための樹脂を塗布し硬化させた。
【0038】磁性膜は、少なくともTb,Fe,Coを含む材料の代表例としてのTb29Fe53Co13Nb5 非晶質垂直磁化膜を用いた。この磁性膜はキュリー温度Tcが約200℃、補償温度Tcompが約80℃である。その磁気特性は図2の通りであり、図9〜11の記録媒体Aに相当するqの温度変化を示す。
【0039】(実施例2)図3に示すように、磁性膜としてTb31Fe53Co16を使用した以外は実施例1と同様な積層構造の記録媒体を使用した。
【0040】この磁性膜はキュリー温度Tcが約240℃で、補償温度Tcompが約80℃である。その磁気特性は図4の通りであり、図9〜11の記録媒体Bに相当するqの温度変化を示す。
【0041】(実施例3)図5に示すように、磁性膜として遷移金属に富むTb19Fe64Co9 Nb8 を使用した以外は実施例1と同様な積層構造の記録媒体を使用した。
【0042】この磁性膜はキュリー温度Tcが約180℃で、補償温度Tcompは室温以下である。その磁気特性は図6の通りであり、図9〜11の記録媒体Cに相当するqの温度変化を示す。
【0043】(比較例1)図7に示すように、磁性膜として遷移金属に富むTb18Fe63Co16Nb3 を使用した以外は実施例1と同様な積層構造の記録媒体を使用した。
【0044】この磁性膜はキュリー温度Tcが約240℃で、補償温度Tcompは室温以下である。その磁気特性は図8の通りであり、図9〜11の記録媒体Dに相当するqの温度変化を示す。
【0045】これらの各記録媒体に対してマークエッジ記録を行った際のジッター特性を図10に示す。記録の条件は、レーザー波長780nm,レンズのN.A.が0.55の光ヘッドを用いて、線速9.42m/secで、最短磁区長0.75μm、最短ギャップ長0.75μmになる1−7変調ランダムデータを記録し、その再生信号を104 回、検出窓内での揺らぎを測定してジッターの標準偏差値を求めた。
【0046】図10は、記録レーザーパワーの変動に対するジッターの標準偏差値の変化を示す図である。記録される磁区の長さが異なり、各磁区の記録時の熱的な状態が一定でないために発生する磁区端部のふらつきにより、この記録パワーの変動に対するジッターの増大が発生する。これは環境温度の変動等に対する安定性の指標でもある。
【0047】また図11は、書き換えの繰り返し(106 回)によるジッターの標準偏差値の変化を示す図である。これは非晶質合金である磁性膜が熱により構造緩和を起こし、これに伴う磁気特性の変化によるものである。本発明の実施例1〜3の通り、記録パワ−の変動に対するジッターの増大、書き換えの繰り返しによるジッターの増大共にq値が少なくとも1≧T/Tc≧0.7の範囲で1以上となる記録媒体では小さく抑えられている。また実施例3のように遷移金属元素に富む組成においてもqの値が本発明の範囲のものはジッターの増大が抑制され、磁区端部の安定形成が可能である。
【0048】図12は、前述した光磁気記録媒体に適した記録方法、特に記録磁区端を制御するための技術を説明する図である。同図において(a)は情報記録時のレーザーパルスの出力状態を示す図で、縦軸のPrは再生光パルス、Paは各磁区の書き始めの状態を一定にするためのプレヒートパルス、Pw1 とPw2 は実質上の磁区形成のためのレーザーパルスで、両者のかね合いで磁区幅Wが一定に保持される。同図に示すようにレーザーパルスの強度関係は、Pr<Pa<Pw1 <Pw2 となっている。
【0049】同図(b)は、前記レーザーパルスPa,Pw1 ,Pw2 によって形成された記録磁区の形状を示す図である。前記レーザーパルスPw1 のみによって最小の磁区長Lを有する記録磁区が形成され、レーザーパルスPw1 とレーザーパルスPw2 とを組み合わせて、レーザーパルスPw2 の数、(すなわち照射時間)によって磁区長Lの長さが任意に調整できる。
【0050】この図に示すように、記録時のレーザーパルスを分割してそれぞれ強度や照射時間を調整する記録方法を本発明の光磁気記録媒体に適用することにより、さらにジッターを低減することができ、記録時の信頼性が向上する。
【0051】なお、本発明において、磁性膜を構成する希土類−遷移金属非晶質合金のキュリー温度Tcと補償温度Tcompとの関係は、特に補償温度Tcomp>50℃で、かつキュリー温度Tc>補償温度Tcompの関係であることが望ましい。
【0052】図13は、本発明の第1変形例を示す光磁気記録媒体の構成図である。この変形例の場合、TbFeCoからなる第1の磁性膜の他に、カー回転角が大きいGdFeCoからなる第2の磁性膜が基板側に設けられ、再生信号の増大を図った構成になっている。
【0053】図14は、本発明の第2変形例を示す光磁気記録媒体の構成図である。この変形例の場合、TbDyFeCoからなる第1の磁性膜の他に、GdFeCoからなる第2の磁性膜、TbFeCoからなる第3の磁性膜が形成され、ダイレクトオーバーライトが可能な構成になっている。
【0054】図15は、本発明の第3変形例を示す光磁気記録媒体の構成図である。この変形例の場合、TbFeCoからなる第1の磁性膜の他に、GdFeCoからなる第2の磁性膜が形成され、両膜の間にTbFeCoNbからなる切断層が設けられ、磁気超解像再生が可能な構成になっている。
【0055】これら変形例に示したように各種磁性膜を積層した構成においても、少なくとも一つの磁性膜の磁気特性のq値が1≧T/Tc≧0.7、好ましくは1≧T/Tc≧0.8の範囲で1以上であれば、磁区長記録を行った際に磁区端部の安定化の効果が得られ、記録パワ−の変動に対するジッターの増大および書き換えの繰り返しによるジッターの増大が抑制される。
【0056】そして複数の磁性膜を磁気的に結合させて積層した記録媒体においては、少なくとも1つ以上の磁性膜に本発明の磁気特性をもつ磁性膜を積層すると、この磁性膜で磁区端部が安定化される。そして、磁性膜の交換結合力により、この端部が他の磁性膜に転写されて、結果として多層膜全体の磁区がこの磁性膜の磁区に揃うことになる。すなわち、本発明の磁気特性を有する磁性膜を積層膜のどこに配置しても、磁性膜間の交換結合力を通じてこの効果を得ることができる。
【0057】記録を高密度化する際にエラ−レ−トを低くするための信号処理技術の一つにパーシャルレスポンス方式及び最尤複号法(PRML)がある。この技術を用いると記録密度を1.2倍以上に向上できる。これらを利用する場合にも、高密度化に伴い記録磁区の大きさはますます微小化する。これに伴い、記録磁区の端部のゆらぎの影響も大きく現われる。しかるにこれらの信号処理方式を利用することを前提に、微小な磁区で記録を行う場合にも本発明の記録媒体は適している。なお本発明の趣旨は、磁気的性質として、温度T[K]に対してq(T/Tc)=Hc/4πMsの式により与えられるq(T/Tc)の値がq(T/Tc)≧1となるTの領域が少なくとも1≧T/Tc≧0.7で示される温度範囲に存在することを特徴とする光磁気記録媒体に対して、マークエッジ記録を代表とする磁区の長さを変調することにより情報を記録することにあり、本の実施例ならびに変形例に示した構成に限定されるものではない。
【0058】
【発明の効果】本発明は前述のような構成をとることにより、各磁区の記録時の熱的な状態が一定でないために発生する記録磁区端部のふらつきを抑制し、かつ書換え繰返し後にも磁区端部の安定な形成を可能として、さらにジッターを低減した、信頼性の高い光磁気記録媒体の記録方法を提供することができる。




 

 


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