米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 計算機;電気通信 -> 日立マクセル株式会社

発明の名称 磁気記録媒体
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2003−157517(P2003−157517A)
公開日 平成15年5月30日(2003.5.30)
出願番号 特願2002−350963(P2002−350963)
出願日 平成13年10月31日(2001.10.31)
代理人 【識別番号】100077920
【弁理士】
【氏名又は名称】折寄 武士
【テーマコード(参考)】
5D006
【Fターム(参考)】
5D006 BA19 CC03 
発明者 谷 正和 / 蒔田 義幸 / 吉本 規寿 / 吉田 健一郎
要約 課題
エラーレートが低く、オフトラックの小さい、MRヘッド対応磁気記録媒体の提供。

解決手段
非磁性支持体、下塗層、磁性層、バックコート層からなる磁気記録媒体において、磁性層の厚さを0.30μm以下、中心線平均表面粗さRaを3.2nm以下に設定し、磁性層とスライダ材料との摩擦係数をμmSL 、磁性層とSUSとの摩擦係数をμmSUS、バックコート層とSUSとの摩擦係数をμBSUSとした時の[(μmSL )/(μmSUS)]を0.7〜1.3に設定し、かつ[(μmSL )/(μBSUS)]を0.8〜1.5に設定する。これにより、オフトラックが小さい優れた磁気記録媒体が得られる。
特許請求の範囲
【請求項1】 非磁性支持体上の一面に、少なくとも一層の下塗層と、磁性層とがこの順に形成され、反対面にバックコート層を有する磁気記録媒体において、磁性層の厚さが0.30μm以下、中心線平均表面粗さRaが3.2nm以下で、磁性層とスライダ材料との摩擦係数をμmSL 、磁性層とSUS(SUS304)との摩擦係数をμmSUS、バックコート層とSUS(SUS304)との摩擦係数をμBSUSとした時の[(μmSL )/(μmSUS)]が0.7〜1.3で、かつ[(μmSL )/(μBSUS)]が0.8〜1.5であることを特徴とする磁気記録媒体。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録容量、アクセス速度、転送速度が高い磁気記録媒体に関し、特に磁気抵抗効果型素子(MR素子)を利用した再生ヘッド(以下、MRヘッド)を使用するデータバックアップ用磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】磁気テープは、オーディオテープ、ビデオテープ、コンピユータ用テープなど種々の用途があるが、特にデータバックアップ用テープの分野ではバックアップ対象となるハードディスクの大容量化に伴い、1巻当たり数十GB以上の記憶容量のものが商品化されており、今後ハードディスクのさらなる大容量化に対応するためバックアップテープの高容量化は不可欠である。また、アクセス速度、転送速度を大きくするため、テープの送り速度、テープとヘッド間の相対速度を高めることが必要不可欠である。
【0003】バックアップテープ1巻当たりの高容量化のためには、テープ全厚を薄くして1巻あたりのテープ長さを長くすること、磁性層厚さを0.3μm以下と極めて薄くすることで厚さ減磁を小さくして記録波長を短くすることと共に、トラック幅(テープ上の信号パターン幅)を15μm以下と狭くして幅方向の記録密度を高くすることが必要である。
【0004】磁性層厚さを0.3μm以下と極めて薄くすると、耐久性が劣化したりするので、非磁性支持体と磁性層との間に少なくとも一層の下塗層を設ける必要がある。また、記録波長を短くすると、磁性層と磁気ヘッドとのスペーシングの影響が大きくなるので、磁性層に大きな突起があると、スペーシングロスにより、出力ピークの半値幅(以下、PW50)が広くなったり出力が低下したりして、エラーレートが高くなる。
【0005】トラック幅を15μm以下と狭くして幅方向の記録密度を高くすると磁気記録媒体からの漏れ磁束が小さくなるため、再生ヘッドに微小磁束でも高い出力が得られる磁気抵抗効果型素子を使用した再生ヘッド(以下、MRヘッド)を使用する必要がある。
【0006】従来、MRヘッド対応の磁気記録媒体においては、磁気記録媒体の磁束(残留磁束密度と厚さの積)を特定の値に制御してMRヘッドの出力の歪を防止したり(例えば特許文献1、2参照)、磁性層表面のへこみを特定の値以下にしてMRヘッドのサーマル・アスペリティを低減したり(例えば特許文献3参照)することが提案されている。
【0007】
【特許文献1】特開平11−238225号公報(特許請求の範囲、段落番号0007〜0011、実施例)
【特許文献2】特開2000−40217号公報(特許請求の範囲、段落番号0006〜0009、実施例)
【特許文献3】特開2000−40218号公報(特許請求の範囲、段落番号0005〜0014、0023、実施例、図2、図3)
【0008】従来の磁気ヘッドは記録用の磁気誘導型ヘッドと再生用の磁気誘導型ヘッドとを貼り合わせたチップをそのまま使用する。一方、図2および図3に模式的に示すようにMRヘッド20は、記録用の磁気誘導型の記録ヘッド21と複合した形でスライダ22に埋めこんで使用される。これらの図において、符号20aはMR素子、21a・21bは記録ヘッド21を構成する磁気素子、21cは書き込みギャップ、23はシールド材を示す。また、MRヘッド20はスライダ面22aより25nm程度引っ込んだ状態で埋め込まれている。すなわち、従来のヘッドは非常に小さいチップからなり、ナイフエッジが磁気テープに食い込むような形態で走行するのに対して、図2および図3に示したようなMRヘッド20は大きなスライダ22に引っ込んだ状態で埋め込まれているので、スライダ22に対して磁気テープ30が接触しながら走行する。また、磁気テープ30がMRヘッド20の方に膨らむようにして磁気テープ30とMRヘッド20とがコンタクトする。このようにコンタクト形態が従来とは大幅に異なっているので、一口にスペーシングロスの低減といっても、磁気テープに要求される特性は全く異なっている。さらに、MRヘッド20はMR素子20aが非常に薄い薄膜から構成されるので、摩耗し易いという問題点もある。なお、図2および図3に示したごとく、磁気テープ30がフォワード方向およびバック方向のいずれの方向に走行しても記録・再生できるように、MRヘッド20および記録ヘッド21は通常は対で設けられ、また複数のトラックを同時に読み書きできるように図2の左右方向に複数設けられる。
【0009】加えて、MRヘッドはトラック幅が非常に狭いので、MRヘッドのトラッキングサーボのために、サーボ信号が設けられる。トラックサーボ方式には磁気サーボ方式や光学サーボ方式があるが、前者は、サーボバンドを磁気記録により磁性層に形成し、これを磁気的に読み取ってサーボトラッキングを行うものであり、後者は、凹部アレイからなるサーボバンドをレーザー照射等でバックコート層に形成し、これを光学的に読み取ってサーボトラッキングを行うものである。なお、これら以外に、磁気サーボ方式にはバックコート層にも磁性を持たせ、このバックコート層に磁気サーボ信号を記録する方式があり、また光学サーボ方式にはバックコート層に光を吸収する材料等で光学サーボ信号を記録する方式もある。
【0010】テープの送り速度やテープとヘッド間の相対速度の高速化に対応するためには、サーボ信号をトレースしながら高速走行する必要があるが、スライダ材料(例えば、アルミナ/チタニア/カーバイド)やガイドローラ材料等に対する磁性層やバックコート層との摩擦係数の最適化が不充分であると、磁気テ−プが蛇行してトラッキングずれ(オフトラック)が起こり、PW50が広くなったり出力が低下したりして、エラーレートが高くなるという問題がある。
【0011】本発明は、MRヘッドに対応した磁気テープのスペーシングロスの低減と、磁気テープの蛇行によるオフトラックの低減とを図ることにより、エラーレートを向上させることを目的とする。また、本発明の磁気記録媒体と組み合わせて使用されるMRヘッドの摩耗低減を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目的を達成するため、鋭意検討した結果、磁性層とスライダ材料(例えば、アルミナ/チタニア/カーバイド)との動摩擦係数(以下単に摩擦係数という)をμmSL 、磁性層とSUS(SUS304、以下単にSUSという)との摩擦係数をμmSUS、バックコート層とSUSとの摩擦係数をμBSUSとした時の(μmSL /μmSUS)および(μmSL /μBSUS)を特定の値に制御することにより、磁気テ−プの蛇行によるオフトラックが低減され、エラーレートが向上することを見出した。このオフトラック低減によるエラーレートの向上効果は、トラック幅を15μm以下とした場合に特に大きい。
【0013】本発明は、以上の知見をもとにして完成されたもので、非磁性支持体上の一面に、少なくとも一層の下塗層と、磁性層とがこの順に形成され、反対面にバックコート層を有する磁気記録媒体において、磁性層の厚さが0.30μm以下、中心線平均表面粗さRaが3.2nm以下で、磁性層とスライダ材料との摩擦係数をμmSL 、磁性層とSUSとの摩擦係数をμmSUS、バックコート層とSUSとの摩擦係数をμBSUS、とした時の[(μmSL )/(μmSUS)]が0.7〜1.3で、かつ[(μmSL )/(μBSUS)]が0.8〜1.5である磁気記録媒体に係るものである。なお、本発明でいう摩擦係数は先にも述べたように動摩擦係数を意味し、その具体的な測定法は後述する実施例で説明する。
【0014】
【発明の実施の形態】非磁性支持体上の少なくとも一面に、少なくとも一層の下塗層と、磁性層とがこの順に形成された磁気記録媒体において、磁性層の厚さを0.3μm以下とした磁気記録媒体は、磁性層が極めて薄く厚み損失が小さいので磁気ヘッド走行方向の記録密度が高い。磁性層の厚さは、0.01〜0.3μmが好ましく、0.01〜0.25μmがより好ましく、0.01〜0.2μmがさらに好ましく、0.01〜0.15μmがいっそう好ましい。この範囲がより好ましいのは、0.01μm未満では均一な磁性層が得にくく、0.3μmを越えると厚さ損失により、再生出力が小さくなるためである。
【0015】磁性層の中心線平均表面粗さ(Ra)は3.2nm以下が好ましく、0.5〜3.2nmがより好ましく、0.7〜2.9nmがさらに好ましく、0.7〜2.5nmがいっそう好ましい。この範囲が好ましいのは、磁性層のRaが0.5nm未満では磁気テープの走行が不安定になり、Raが3.2nmを越えると、スペーシングロスにより、PW50が広くなったり出力が低下したりして、エラーレートが高くなるためである。
【0016】磁性層の凹凸の中心値をP0 、磁性層の最大の凸量をP1 とした時の(P1 −P0 )は、30nm以下が好ましく、5〜30nmがより好ましく、5〜25nmがさらに好ましく、5〜20nmがいっそう好ましい。この範囲が好ましいのは、磁性層の(P1 −P0 )が5nm未満では磁気テープの走行が不安定になる場合があり、(P1 −P0 )が30nmを越えると、スペーシングロスにより、PW50が広くなったり出力が低下したりして、エラーレートが高くなるためである。また、(P1 −P0 )を30nm以下にすると、MRヘッドとの衝突によるサーマル・アスペリティの低減にも有効である。さらに、上記の条件を満たすと共に、磁性層の最大の凸量をP1 、順次第2番目、第3番目、第4番目、第5番目、・・・、第19番目、第20番目の凸量をP2 、P3 、P4 、P5 、・・・、P19、P20とした時の(P1 −P20)が5nm以下であることが好ましい。(P1 −P20)は1.8nm以下がより好ましく、1.5nm以下がさらに好ましく、1.0nm以下が特に好ましい。この範囲が好ましいのは、(P1 −P20)を5nm(より好ましくは1.8nm)以下にすると、スライダ(アルミナ/チタニア/カーバイド)から約25nm引っ込んで埋め込まれたMRヘッドと磁気テープが均一に当たるのでコンタクトが良くなり、PW50の低減と出力の向上によって、エラーレートが低くなるためである。また、このような均一な突起があると、摩擦係数が低くなると共に、MRスライダ(AlTiC;アルミナ/チタニア/カーバイド)との引っ掛かりが低減され、スムーズな走行性が得られるという副次的な効果もある。なお、最大の凸量と第20番目の凸量の差が重要な理由は、MRヘッドがスライダ面から約25nm引っ込んだ形態で埋め込まれていることと関係があると考えられるが、明確な理由は不明である。現在のところは、実験事実を述べるに留める。
【0017】さらに、スライダに埋め込まれたMRヘッドを使用する磁気テープでは、[(P1 −P0 )/Ra]は12以下が好ましく、10以下がさらに好ましく、8以下がさらに好ましく、6以下がいっそう好ましい。[ (P1 −P0 )/Ra ]について12以下が好ましいのは、MR素子が磨耗した場合にも、MRヘッドと磁気テープが均一に当たり、PW50が狭く出力が高く維持されてエラーレートが低くなるためである。このような磁気テープは、磁性層に施すラッピング/ロータリ/ティシュ処理(LRT処理)の処理条件のコントロールによって得られる。
【0018】磁性層とスライダ材料(例えば、アルミナ/チタニア/カーバイド)との摩擦係数をμmSL 、磁性層とSUSとの摩擦係数をμmSUS、バックコート層とSUSとの摩擦係数をμBSUSとした時の[(μmSL )/(μmSUS)]を0.7〜1.3に設定し、かつ[(μmSL )/(μBSUS)]を0.8〜1.5に設定すると、磁気テープの蛇行によるオフトラックが低減され、エラーレートが向上する。この効果は、トラック幅が5μm以下の場合に特に大きい。[(μmSL )/(μmSUS)]が0.85〜1.15で、かつ[(μmSL )/(μBSUS)]が1.0〜1.3であればより好ましく、[(μmSL )/(μmSUS)]が0.9〜1.1で、かつ[(μmSL )/(μBSUS)]が1.0〜1.3であればさらに好ましい。このような磁気テープは、(1)磁性層に高級脂肪酸のエステルとともに脂肪酸アミドを含有させ、あるいは磁性層中の架橋剤量を減少させる等の工夫を磁性層に施し、(2)バックコート層に粒径300nm〜400nmの大粒径カーボンブラックと、粒径5nm〜200nmの小粒径カーボンブラックとを含有させるとともに、(3)上記のLRT処理(詳細は後述する)を磁性層に施すことにより得られる。
【0019】磁性層の保磁力は、120〜320kA/mが好ましく、140〜320kA/mがより好ましく、160〜320kA/mがさらに好ましい。磁性層の保磁力が120kA/m未満では記録波長を短くすると反磁界減磁で出力低下が起こり、320kA/mを越えると磁気ヘッドによる記録が困難になることがある。
【0020】長手方向の残留磁束密度と厚さの積は0.0018〜0.06μTmが好ましく、0.0036〜0.050μTmがより好ましく、0.004〜0.045μTmがさらに好ましく、0.004〜0.040μTmがいっそう好ましい。長手方向の残留磁束密度と厚さの積が0.0018μTm未満では、MRヘッドによる再生出力が小さく、0.06μTmを越えるとMRヘッドによる再生出力が歪みやすくなることがある。このような磁性層からなる磁気記録媒体は、記録波長を短くでき、しかも、MRヘッドで再生した時の再生出力を大きくすることができ、さらには再生出力の歪を低減できて出力対ノイズ比を大きくできるので好ましい。
【0021】下塗層の厚さは、0.3〜3.0μmが好ましく、0.5〜2.5μmがより好ましく、0.5〜2.0μmがさらに好ましく、0.5〜1.5μmがいっそう好ましい。下塗層の厚さが0.3μm未満では磁気記録媒体の耐久性が悪くなる場合があり、3.0μmを越えると磁気記録媒体の耐久性向上効果が飽和するばかりでなく、磁気テープの場合は全厚が厚くなって、1巻当りのテープ長さが短くなり、記憶容量が小さくなることがある。
【0022】バックコート層の厚さは、0.2〜0.8μmが好ましい。この範囲が好ましいのは、0.2μm未満では磁気記録媒体の走行性が悪くなり、0.8μmを越えると磁気記録媒体の全厚が厚くなって、1巻当りのテープ長さが短くなり、記憶容量が小さくなるためである。バックコート層の中心線平均表面粗さ(Ra)は2〜15nmが好ましく、3〜8nmがより好ましい。バックコート層のRaが2nm未満では磁気テープの走行が不安定になることがあり、Raが15nmを越えると、裏写により、磁性層の表面粗さが大きくなって、スペーシングロスが大きくなることがある。このようなバックコート層は、粒径5nm〜100nmの小粒径カーボンブラックと粒径300〜400nmの大粒径カーボンブラックとを、小粒径カーボンブラックと大粒径カーボンブラック合計の添加量が無機粉体重量を基準にして60〜98重量%となるように含有し、粒子径が0.1μm〜0.6μmの酸化鉄を、無機粉体重量を基準にして2〜40重量%含有させ、カレンダ処理を行うことによって得られる。なお、大粒径カーボンブラックの添加量は、通常、小粒径カーボンブラックの5〜15重量%である。
【0023】以下に、各構成要素毎の好ましい形態を述べる。
〈非磁性支持体〉非磁性支持体の厚さは、7.0μm以下が好ましく、2.0〜7.0μmがより好ましく、2〜6.5μmがさらに好ましく、2.5〜6.0μmがいっそう好ましい。この範囲の厚さの非磁性支持体が好ましいのは、2μm未満では製膜が難しく、またテープ強度が小さくなり、7.0μmを越えるとテープ全厚が厚くなり、テープ1巻当りの記憶容量が小さくなるためである。
【0024】非磁性支持体の長手方向のヤング率は、非磁性支持体の厚さによって異なるが、通常5.07GPa(500kg/mm2 )以上のものが使用される。このヤング率は6.08GPa(600kg/mm2 )以上が好ましく、7.09GPa(700kg/mm2 )以上が好ましい。また、非磁性支持体の厚さが5.0μm以下の場合は、10.13GPa(1000kg/mm2 )以上のヤング率のものが好ましく使用される。非磁性支持体の長手方向のヤング率が6.08GPa(600kg/mm2 )未満では、磁気テープの強度が弱くなったり、磁気テープの走行が不安定になったりすることがある。
【0025】非磁性支持体の長手方向のヤング率をMD、幅方向のヤング率をTDとした時の比(MD/TD)が0.6〜1.8である非磁性支持体を用いると、MRヘッドとの当たりが良くなるので好ましい。MD/TDの好ましい範囲は、ヘリキャルスキャンタイプとリニアレコーディングタイプとで異なっており、ヘリキャルスキャンタイプで好ましいMD/TDの範囲は、0.6〜1.2で、0.6〜1.0がより好ましく、0.60〜0.80がさらに好ましい。この範囲が好ましいのは、メカニズムは現在のところ不明であるが、磁気ヘッドのトラックの入り側から出側間の出力のばらつき(フラットネス)が大きくなるためである。リニアレコーディングタイプでは、1.0〜1.8が好ましく、1.1〜1.7がより好ましく、1.2〜1.6がさらに好ましい。この範囲が好ましいのは、ヘッドタッチが良くなるためである。このような非磁性支持体には、ポリエチレンナフタレートフィルム、芳香族ポリアミドフィルム、芳香族ポリイミドフィルム等がある。
【0026】〈下塗層〉上述のように、下塗層の厚さは、0.3〜3.0μmが好ましく、0.5〜2.5μmがより好ましく、0.5〜2.0μmがさらに好ましく、0.5〜1.5μmがいっそう好ましい。この範囲が好ましいのは、0.3μm未満では磁気記録媒体の耐久性が悪くなる場合があり、3.0μmを越えると磁気記録媒体の耐久性向上効果が飽和するばかりでなく、磁気テープの場合は全厚が厚くなって、1巻当りのテープ長さが短くなり、記憶容量が小さくなるためである。
【0027】下塗層には、導電性改良の目的でカーボンブラック、塗料粘度やテープ剛性の制御を目的に非磁性粒子を添加する。下塗層に使用する非磁性粒子としては、酸化チタン、酸化鉄、アルミナ等があるが、酸化鉄単独または酸化鉄とアルミナの混合系が使用される。下塗層に、下塗層中の全無機粉体の重量を基準にして、粒径10〜100nmのカーボンブラックを15〜35重量%、長軸長0.05〜0.20μm、短軸長5〜200nmの非磁性の酸化鉄を35〜83重量%、必要に応じて粒径10〜100nmのアルミナを0〜20重量%含有させると、ウエット・オン・ウエットで、その上に形成した磁性層の表面粗さが小さくなるので好ましい。なお、非磁性酸化鉄は通常針状であるが、粒状または無定形の非磁性酸化鉄を使用する場合には粒径5〜200nmの酸化鉄が好ましい。なお、表面の平滑性を損なわない範囲で100nm以上の大粒径カーボンブラックを添加することを排除するものではない。その場合のカーボンブラック量は、小粒径カーボンブラック量と大粒径カーボンブラック量との和を上記範囲内にすることが好ましい。大粒径カーボンブラック量は通常、全カーボンブラック量の20重量%以下である。
【0028】下塗層に添加するカーボンブラック(以下、CBともいう)としては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等を使用できる。通常、粒径が5nm〜100nmのものが使用されるが、粒径10nm〜100nmのものが好ましい。この範囲が好ましいのは、CBがストラクチャーを持っているため、粒径が10nm未満になるとCBの分散が難しく、100nmを越えると平滑性が悪くなるためである。CB添加量は、CBの粒子径によって異なるが、15〜35重量%が好ましい。この範囲が好ましいのは、15重量%未満では導電性向上効果が乏しく、35重量%を越えると効果が飽和するためである。粒径15nm〜80nmのCBを15〜35重量%使用するのがより好ましく、粒径20nm〜50nmのCBを20〜30重量%用いるのがさらに好ましい。このような粒径・量のカーボンブラックを添加することにより電気抵抗が低減され、かつ走行むらが小さくなる。
【0029】下塗層に添加する非磁性の酸化鉄としては、針状の場合、長軸長0.05〜0.20μm、短軸長(粒径)5〜200nmのものが好ましく、粒状または無定形のものでは、粒径5〜200nmが好ましい。粒径0.05〜150nmがより好ましく、粒径0.05〜100nmがさらに好ましい。なお、針状のものが磁性層の配向がよくなるのでより好ましい。添加量は、35〜83重量%が好ましく、40〜80重量%がより好ましく、50〜75重量%がさらに好ましい。この範囲の粒径(針状の場合は短軸長)が好ましいのは、粒径5nm未満では均一分散が難しく、200nmを越えると下塗層と磁性層の界面の凹凸が増加するためである。この範囲の添加量が好ましいのは、35重量%未満では塗膜強度向上効果が小さく、83重量%を越えると却って塗膜強度が低下することがあるためである。
【0030】下塗層には酸化鉄に加えてアルミナを添加してもよい。アルミナの粒径は、10〜100nmが好ましく、20〜100nmがより好ましく、30〜100nmがさらに好ましい。粒径10nm未満では均一分散が難しく、100nmを越えると下塗層と磁性層の界面の凹凸が増加することがある。アルミナの添加量は、通常0〜20重量%であるが、2〜10重量%がより好ましく、4〜8重量%がさらに好ましい。
【0031】〈潤滑剤〉下塗層と磁性層からなる塗布層に、役割の異なる潤滑剤を使用する。下塗層には全粉体に対して0.5〜4.0重量%の高級脂肪酸を含有させ、0.2〜3.0重量%の高級脂肪酸のエステルを含有させると、磁気テープと走行系のヘッドおよびガイドローラ等との摩擦係数が小さくなるので好ましい。高級脂肪酸の添加量が0.5重量%未満では、摩擦係数低減効果が小さく、4.0重量%を越えると下塗層が可塑化してしまい強靭性が失われることがある。また、この範囲の高級脂肪酸のエステル添加が好ましいのは、0.5重量%未満では、摩擦係数低減効果が小さく、3.0重量%を越えると磁性層への移入量が多すぎるため、磁気テープと走行系のヘッドおよびガイドローラ等が貼り付く等の副作用があるためである。
【0032】磁性層に、強磁性粉末に対して0.2〜3.0重量%の脂肪酸アミドを含有させ、0.2〜3.0重量%の高級脂肪酸のエステルを含有させると、磁気テープと走行系のキャプスタンやMRヘッドのスライダ等との摩擦係数が小さくなるので好ましい。前記脂肪酸アミドの含有量が0.2重量%未満ではヘッドスライダ/磁性層の摩擦係数が大きくなりやすく、3.0重量%を越えるとブリードアウトしてしまいドロップアウトなどの欠陥が発生することがある。脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸などの高級脂肪酸が使用される。脂肪酸エステルとしては、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸アミル、ステアリン酸イソオクチル、ミリスチン酸オクチル、ステアリン酸ブトキシエチル、モノ−ステアリン酸無水ソルビタン、ジ−ステアリン酸無水ソルビタン、トリ−ステアリン酸無水ソルビタンなどが使用される。脂肪酸アミドとしては、パルミチン酸、ステアリン酸等の上記高級脂肪酸のアミドが使用可能である。また、上記範囲の高級脂肪酸のエステル添加が好ましいのは、0.2重量%未満では摩擦係数低減効果が小さく、3.0重量%を越えると磁気テープと走行系のヘッドおよびガイドローラ等が貼り付く等の副作用があるためである。なお、磁性層の潤滑剤と下塗層の潤滑剤の相互移動を排除するものではない。MRヘッドのスライダとの摩擦係数は0.30以下が好ましく、0.25以下がより好ましい。この範囲が好ましいのは、0.30を越えると、スライダ汚れによるスペーシングロスが起こりやすいためである。なお、0.10未満は実現が困難である。SUSとの摩擦係数は0.10〜0.25が好ましく、0.12〜0.20がより好ましい。この範囲が好ましいのは、0.10未満になるとヘッドおよびガイドローラ部分で滑りやすく走行が不安定になり、0.25を越えるヘッドおよびガイドローラが汚れやすくなるためである。また、[(μmSL )/(μmSUS)]は0.7〜1.3が好ましく、0.8〜1.2がより好ましい。この範囲が好ましいのは、磁気テ−プの蛇行によるトラッキングずれ(オフトラック)が小さくなるためである。
【0033】〈磁性層〉磁性層の厚さは上述のように、通常0.3μm以下で、0.01〜0.3μmが好ましく、0.01〜0.25μmがより好ましく、0.01〜0.2μmがさらに好ましく、0.01〜0.15μmがいっそう好ましい。この範囲がより好ましいのは、0.01μm未満では均一な磁性層が得にくく、0.3μmを越えると厚さ損失により、再生出力が小さくなったり、当該磁性層における残留磁束密度(Br)と厚さ(δ)との積(Brδ)が大きくなり過ぎて、MRヘッドの飽和による再生出力の歪が起こりやすくなるためである。また、上述のように、磁性層の保磁力は、120〜320kA/mが好ましく、140〜320kA/mがより好ましく、160〜320kA/mがさらに好ましい。磁性層の保磁力が120kA/m未満では記録波長を短くした場合に反磁界減磁で出力低下が起こり、320kA/mを越えると磁気ヘッドによる記録が困難になることがある。長手方向の残留磁束密度と厚さの積は0.0018〜0.06μTmが好ましく、0.0036〜0.050μTmがより好ましく、0.004〜0.045μTmがさらに好ましく、0.004〜0.040μTmがいっそう好ましい。この範囲が好ましいのは、0.0018μTm未満では、MRヘッドによる再生出力が小さく、0.06μTmを越えるとMRヘッドによる再生出力が歪みやすいからである。
【0034】磁性層に添加する磁性粉には、強磁性鉄系金属粉末、六方晶バリウムフェライト粉末が使用される。強磁性鉄系金属粉末、六方晶バリウムフェライト粉末の保磁力は、120〜320kA/mが好ましく、飽和磁化量は、強磁性鉄系金属粉末では、120〜200A・m2 /kg(120〜200emu/g)が好ましく、130〜180A・m2 /kg(130〜180emu/g)がより好ましい。六方晶バリウムフェライト粉末では、50〜70A・m2 /kg(50〜70emu/g)が好ましい。なお、この磁性層の磁気特性と、強磁性粉末の磁気特性は、いずれも試料振動形磁束計で外部磁場1.28MA/m(16kOe)での測定値をいうものである。
【0035】本発明の磁気記録媒体において使用する強磁性鉄系金属粉末の平均長軸長としては、0.03〜0.2μmが好ましく、0.03〜0.18μmがより好ましく、0.04〜0.15μmがさらに好ましい。この範囲が好ましいのは、平均長軸長が0.03μm未満となると、磁性粉の凝集力が増大するため塗料中への分散が困難になり、0.2μmより大きいと、保磁力が低下し、また粒子の大きさに基づく粒子ノイズが大きくなるからである。また、六方晶バリウムフェライト粉末では、同様の理由により、板径5〜200nmが好ましい。なお、上記の平均長軸長、粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)にて撮影した写真の粒子サイズを実測し、100個の平均値により求めたものである。また、この強磁性鉄系金属粉末のBET比表面積は、35m2 /g以上が好ましく、40m2 /g以上がより好ましく、50m2 /g以上が最も好ましい。六方晶バリウムフェライト粉末のBET比表面積は、1〜100m2 /g以上が好ましい。
【0036】下塗層、磁性層に含有させる結合剤としては、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、塩化ビニル−水酸基含有アルキルアクリレート共重合体、ニトロセルロースなどの中から選ばれる少なくとも1種とポリウレタン樹脂との組み合わせを用いることができる。中でも、塩化ビニル−水酸基含有アルキルアクリレート共重合体とポリウレタン樹脂を併用するのが好ましい。ポリウレタン樹脂には、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテルポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタンなどがある。
【0037】官能基としてCOOH、SO3 M、OSO2 M、P=O(OM)3 、O−P=O(OM)2 [Mは水素原子、アルカリ金属塩基又はアミン塩]、OH、NR'R''、N+ R''' R''''R''''' [R' 、R''、R''' 、R''''、R''''' は水素または炭化水素基]、エポキシ基を有する高分子からなるウレタン樹脂等の結合剤が使用される。このような結合剤を使用するのは、上述のように磁性粉等の分散性が向上するためである。2種以上の樹脂を併用する場合には、官能基の極性を一致させるのが好ましく、中でも−SO3 M基どうしの組み合わせが好ましい。
【0038】これらの結合剤は、強磁性粉末100重量部に対して、7〜50重量部、好ましくは10〜35重量部の範囲で用いられる。特に、結合剤として、塩化ビニル系樹脂5〜30重量部と、ポリウレタン樹脂2〜20重量部とを、複合して用いるのが最も好ましい。
【0039】これらの結合剤とともに、結合剤中に含まれる官能基などと結合させて架橋する熱硬化性の架橋剤を併用するのが望ましい。この架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどや、これらのイソシアネート類とトリメチロールプロパンなどの水酸基を複数個有するものとの反応生成物、上記イソシアネート類の縮合生成物などの各種のポリイソシアネートが好ましい。これらの架橋剤は、結合剤100重量部に対して、通常10〜50重量部の割合で用いられる。より好ましくは10〜35重量部である。なお、磁性層に使用する架橋剤の量を、下塗層に使用する量の1/2程度(30%〜60%)にすれば、MRヘッドのスライダに対する摩擦係数が小さくなるので好ましい。この範囲が好ましいのは、30%未満では、磁性層の塗膜強度が弱くなりやすく、60%を越えるとスライダに対する摩擦係数を小さくするために、LRT処理条件を強くする必要があり、コストアップにつながるためである。
【0040】導電性向上と表面潤滑性向上を目的に従来公知のCBを添加することができる。これらのCBとしては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等を使用できる。粒径が5nm〜100nmのものが使用されるが、粒径10nm〜100nmのものが好ましい。この範囲が好ましいのは、粒径が5nm以下になるとCBの分散が難しく、100nm以上では多量のCBを添加することが必要になり、何れの場合も表面が粗くなり、出力低下の原因になるためである。添加量は強磁性粉末に対して0.2〜5重量%が好ましく、0.5〜4重量%がより好ましく、0.5〜3.5重量%がさらに好ましく、0.5〜3重量%がいっそう好ましい。この範囲が好ましいのは、0.2重量%未満では効果が小さく、5重量%を越えるCBを添加すると、磁性層表面が粗くなりやすいからである。
【0041】〈バックコート層〉走行性向上を目的に、厚さ0.2〜0.8μmの従来公知のバックコート層を使用できる。この範囲が良いのは、0.2μm未満では、走行性向上効果が不充分であり、0.8μmを越えるとテープ全厚が厚くなって1巻当たりの記憶容量が小さくなるためである。バックコート層とSUSとの摩擦係数は0.10〜0.30が好ましく、0.10〜0.25がより好ましい。この範囲が好ましいのは、0.10未満になるとガイドローラ部分で滑りやすく走行が不安定になり、0.30を越えるとガイドローラが汚れやすくなるためである。また、[(μmSL )/(μBSUS)]は0.8〜1.5が好ましく、0.9〜1.4がより好ましい。この範囲が好ましいのは、磁気テープの蛇行によるトラッキングずれ(オフトラック)が小さくなることがあるためである。
【0042】バックコート層のカーボンブラック(CB)としては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等を使用できる。通常、小粒径カーボンと大粒径カーボンを使用する。小粒径カーボンには、粒径が5nm〜100nmのものを使用することができるが、粒径10nm〜100nmのものがより好ましい。この範囲がより好ましいのは、粒径が10nm以下になるとCBの分散が難しく、粒径が100nm以上では多量のCBを添加することが必要になり、何れの場合も表面が粗くなり、磁性層への裏移り(エンボス)原因になるためである。大粒径カーボンとして、粒径300〜400nmのカーボンを小粒径カーボンの添加量に対して5〜15重量%の割合で添加すると、表面も粗くならず、走行性向上効果も大きくなる。小粒径カーボンと大粒径カーボン合計の添加量は無機粉体重量を基準にして60〜98重量%が好ましく、70〜95重量%がより好ましい。バックコート層の中心線平均表面粗さRaは2〜15nmが好ましく、3〜8nmがより好ましい。
【0043】また、バックコート層には、強度向上を目的に、粒子径が0.1μm〜0.6μmの酸化鉄を添加するのが好ましく、0.2μm〜0.5μmがより好ましい。添加量は無機粉体重量を基準にして2〜40重量%が好ましく、5〜30重量%がより好ましい。
【0044】バックコート層には結合剤として、前述した磁性層や下塗層に用いるのと同じ樹脂を用いることができるが、これらの中でも摩擦係数を低減し走行性を向上させるため、セルロース系樹脂とポリウレタン樹脂を複合して併用することが好ましい。結合剤の含有量は通常、カーボンブラックと前記無機非磁性粉末との合計量100重量部に対して40〜150重量部で、50〜120重量部が好ましく、60〜110重量部がより好ましく、70〜110重量部がさらに好ましい。この範囲が好ましいのは、50重量部未満では、バックコート層の強度が不十分で、120重量部を越えると摩擦係数が高くなりやすいためである。セルロース系樹脂を30〜70重量部、ポリウレタン系樹脂を20〜50重量部使用することが好ましい。また、さらに結合剤を硬化するために、ポリイソシアネート化合物などの架橋剤を用いることが好ましい。
【0045】バックコート層には架橋剤として、前述した磁性層や下塗層に用いる架橋剤を使用する。架橋剤の量は、結合剤100重量部に対して、通常10〜50重量部の割合で用いられる。好ましくは10〜35重量部、より好ましくは10〜30重量部である。この範囲が好ましいのは、10重量部未満では、バックコート層の塗膜強度が弱くなりやすく、35重量部を越えるとSUSに対する動摩擦係数が大きくなるためである。
【0046】磁気サーボ信号が記録される特殊用途のバックコート層には、磁性層に使用する上述の強磁性粉末を30〜60重量部、バックコート層に使用する上述のカーボンブラックを40〜70重量部、必要に応じて、バックコート層に使用する上述の酸化鉄、アルミナを2〜15重量部添加する。また、結合剤には、強磁性粉末、カーボンブラック、無機非磁性粉末との合計量100重量部に対して、上記バックコート層に用いる樹脂を通常、40〜150重量部、好ましくは50〜120重量部使用する。また、架橋剤には、上述の架橋剤を結合剤100重量部に対して、通常10〜50重量部の割合で用いることができる。上述の磁性層で述べたのと同じ理由で、保磁力は120〜320kA/m、残留磁束密度Brと膜厚の積は、0.018〜0.06μTmが好ましい。
【0047】〈LRT(ラッピング/ロータリ/ティシュ)処理〉LRT処理の概略を図1を用いて説明する。図1中の符号1は磁気テープ30用の送り出しロール、2は送りロール、3は研磨テープ(ラッピングテープ)、4は研磨テープ用のブロック、5は研磨テープ用の回転ロール、6はアルミ製のロータリホイール、7は磁気テープ30のバックコート層30b側に対する不織布面当て用の回転棒、8は磁性層30a側に対する不織布面当て用の回転棒、9は不織布(ティシュ)、10は不織布用の回転ロール、11はフィードローラ、12は巻き取りロールを示す。
【0048】(1)ラッピング処理: 図1に示すように研磨テープ(ラッピングテープ)3は、回転ロール5によって磁気テープ30の送り方向(テープ送り速度は、標準:400m/min )と反対方向に一定の速さ(標準:14.4cm/min )で移動し、図中の下部側からガイドブロック4によって押さえられることによって磁気テープ30の磁性層30a側と接触し、この時の磁気テープ巻き出しテンションおよび研磨テープ3のテンションを一定(標準:各100g、250g)として研磨処理を行う。この工程で使用する研磨テープ(ラッピングテープ)3は、例えば、M20000番、WA10000番あるいはK10000番のような研磨砥粒の細かいラッピングテープである。なお、研磨ホイール(ラッピングホイール)を研磨テープ(ラッピングテープ)3の代りにまたは併用して使用することを排除するものではないが、頻繁に交換を要する場合は、研磨テープ(ラッピングテープ)3のみを使用する。
【0049】(2)ロータリ処理: 図1に示す空気抜き用溝付ロータリホイール[標準:幅1インチ(25.4mm)、直径60mmφ、空気抜き用溝2mm幅、溝の角度45度、協和精工社製]6を、磁気テープ30の走行方向(図中に矢印で示す)と反対方向に一定の回転速度(通常:200〜3000rpm、標準:1100rpm)で回転させつつ、磁気テープ30の磁性層30aに対して一定の接触角度(標準:90度)で接触させることにより、磁性層30aの表面処理を行う。
【0050】(3)ティシュ処理: ティシュ(不織布、例えば東レ社製のトレシー)を、磁気テープの30の送り方向と反対方向に一定の速度(標準:14.0mm/min )で送り、回転棒7・8でそれぞれ磁気テープ30のバックコート層30bおよび磁気層30aの表面に押し当ててクリーニング処理を行う。
【0051】本発明のテープを組み込んだカセットテープは、1巻当たりの容量が大きく、MR再生ヘッドを使用した場合のPW50が小さく、再生出力が高いので、エラーレートが低く、ハードディスクドライブのバックアップ用テープとして、信頼性も高く、特に優れている。
【0052】
【実施例】以下に実施例によって本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例、比較例の部は重量部を示す。
【0053】
実施例1:《下塗層用塗料成分》
(1)
酸化鉄粉末(平均粒径:0.11×0.02μm) 68部 α−アルミナ(平均粒径:0.07μm) 8部 カーボンブラック(平均粒径:25nm、吸油量:55g/cc) 24部 ステアリン酸 2.0部 塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体 0.8部 (含有−SO3 Na基:0.7×10-4当量/g)
ポリエステルポリウレタン樹脂 4.4部 (Tg:40℃、含有−SO3 Na基:1×10-4当量/g)
シクロヘキサノン 25部 メチルエチルケトン 40部 トルエン 10部(2)
ステアリン酸ブチル 1部 シクロヘキサノン 70部 メチルエチルケトン 50部 トルエン 20部(3)
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン社製コロネートL) 4.4部 シクロヘキサノン 10部 メチルエチルケトン 15部 トルエン 10部【0054】
《磁性層用塗料成分》
(1)
強磁性鉄系金属粉 100部 (Co/Fe:20at%、Y/(Fe+Co):3at%、 Al/(Fe+Co):5wt%、Ca/Fe:0wt%、 σs :155A・m2 /kg、Hc:149.6kA/m、 pH:9.4、長軸長:0.10μm)
塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体 12.3部 (含有−SO3 Na基:0.7×10-4当量/g)
ポリエステルポリウレタン樹脂 5.5部 (含有−SO3 Na基:1.0×10-4当量/g)
α−アルミナ(平均粒径:0.12μm) 8部 α−アルミナ(平均粒径:0.07μm) 2部 カーボンブラック 1.0部 (平均粒径:75nm、DBP吸油量:72cc/100g)
メタルアシッドホスフェート 2部 パルミチン酸アミド 1.5部 ステアリン酸n−ブチル 1.0部 テトラヒドロフラン 65部 メチルエチルケトン 245部 トルエン 85部(2)
ポリイソシアネート 2.0部 シクロヘキサノン 167部【0055】上記の下塗層用塗料成分において(1)をニーダで混練したのち、(2)を加えて攪拌の後サンドミルで滞留時間を60分として分散処理を行い、これに(3)を加え攪拌・濾過した後、下塗層用塗料とした。これとは別に、上記の磁性層用塗料成分(1)をニーダで混練したのち、サンドミルで滞留時間を45分として分散し、これに磁性層用塗料成分(2)を加え攪拌・濾過後、磁性塗料とした。上記の下塗層用塗料を、ポリエチレンナフタレートフイルム(厚さ6.2μm、MD=6.08GPa、MD/TD=1.3、帝人社製)からなる支持体上に、乾燥、カレンダ後の厚さが1.8μmとなるように塗布し、この下塗層上に、さらに上記の磁性塗料を磁場配向処理、乾燥、カレンダー処理後の磁性層の厚さが0.15μmとなるようにウエット・オン・ウエットで塗布し、磁場配向処理後、ドライヤを用いて乾燥し、磁気シートを得た。なお、磁場配向処理は、ドライヤ前にN−N対抗磁石(5kG)を設置し、ドライヤ内で塗膜の指蝕乾燥位置の手前側75cmからN−N対抗磁石(5kG)を2基50cm間隔で設置して行った。塗布速度は100m/分とした。
【0056】
《バックコート層用塗料成分》
カーボンブラック(平均粒径:25nm) 80部 カーボンブラック(平均粒径:370nm) 10部 酸化鉄(長軸長:0.4μm、軸比:約10) 10部 ニトロセルロース 45部 ポリウレタン樹脂(SO3 Na基含有) 30部 シクロヘキサノン 260部 トルエン 260部 メチルエチルケトン 525部【0057】上記バックコート層用塗料成分をサンドミルで滞留時間45分として分散した後、ポリイソシアネート15部を加えてバックコート層用塗料を調整し濾過した後、上記で作製した磁気シートの磁性層の反対面に、乾燥、カレンダ後の厚みが0.5μmとなるように塗布し、乾燥した。このようにして得られた磁気シートを金属ロールからなる7段カレンダで、温度100℃、線圧150kg/cmの条件で鏡面化処理し、磁気シートをコアに巻いた状態で70℃で72時間エージングしたのち、1/2インチ幅に裁断し、下記の条件でLRT処理を行った。このようにして得られた磁気テープを、カートリッジに組み込み、コンピュータ用テープを作製した。バックコート層のRaは8nmであった。
【0058】〈LRT(ラッピング/ロータリ/ティシュ)処理〉(1)ラッピング処理: 図1に示すように研磨テープ(ラッピングテープ)3を、回転ロール5によって磁気テープ30の送り方向(磁気テープ送り速度:標準で400m/min )と反対方向に14.4cm/min の速さで移動させ、図中の下部からガイドブロック4によって押さることによって磁気テープ30の磁性層30aの表面と接触させ、この時の磁気テープ巻き出しテンションを100g、研磨テープ3のテンションを250gとして研磨処理を行った。
【0059】(2)ロータリホイール処理: 図1に示す幅1インチ(25.4mm)、直径60mmφ、溝幅2mmの空気抜き用溝付アルミ製ロータリホイール(溝角度45度、協和精工社製)6を磁気テープ30の送り方向と反対方向に回転(回転速度1100rpm)させて、磁性層30aに対して接触角度90度で接触させることにより、磁性層30aの表面処理を行った。
【0060】(3)ティシュ処理: 不織布(ここでは、東レ社製の不織布トレシー)9を、磁気テープ30の送り方向と反対方向に14.0mm/min の速度で送り、回転棒7、8で各々バックコート層30bおよび磁性層30aの表面に押し当てて、これらの表面に対するクリーニング処理を行った。
【0061】実施例2〜10:一部条件を表1〜表3の条件に変更したことを除き、実施例1と同様にして実施例2〜10のコンピュータ用磁気テープを作製した。
【0062】比較例1:LRT処理を行わなかったことを除き、実施例1と同様にして比較例1のコンピュータ用テープを作製した。
【0063】比較例2:LRT処理の代りに下記のLBT処理を行ったことを除き、実施例1と同様にして比較例2のコンピュータ用テープを作製した。
【0064】〈LBT処理〉磁気テープを400m/min で走行させながら磁性層表面をラッピングテープ研磨、ブレード研磨そして表面拭き取りの後処理を行い、磁気テ−プを作製した。この時、ラッピングテープ(研磨テープ)にはK10000、ブレードには超硬刃、表面拭き取りには東レ製トレシーを用い、走行テンション30gで処理を行った。上記のようにして得られた磁気テープを、カートリッジに組み込み、コンピュータ用磁気テープを作製した。
【0065】比較例3:LBT処理を10回行ったことを除き、比較例2と同様にして比較例3のコンピュータ用テープを作製した。
【0066】比較例4〜6:一部条件を表5の条件に変更したことを除き、比較例2と同様にして比較例4〜6のコンピュータ用磁気テープを作製した。
【0067】特性の評価は、以下のようにして行った。
〈PW50、再生出力およびエラーレート等の測定〉PW50、再生出力およびエラーレート(ERT)の測定は、薄手テープも測定できるように改造したLTOドライブを用いて記録(記録波長0.55μm)・再生することによって求めた。PW50は、比較例1テープのPW50を1とした時の値、再生出力は、比較例1テープを0dBとした時の値、出力劣化はそれぞれの磁気テープの初期値を0dBとして記録再生を100回行った後の値である。
【0068】〈磁性層の表面粗さ、凹凸の中心値および凸量の評価〉ZYGO社製汎用三次元表面構造解析装置NewView5000による走査型白色光干渉法にてScan Lengthを5μmで測定した。測定視野は、350μm×260μmである。磁性層の中心線平均表面粗さをRaとし、凹凸の中心値をP0 、最大の凸量(第1番目の凸量)をP1 、順次第2番目、第3番目、第4番目、第5番目、・・・、第19番目、第20番目の凸量を、P2 、P3 、P4 、P5 、・・・、P19、P20とした時の(P1 −P0 )と(P1 −P20)および[(P1 −P0 )/Ra]を求めた。
【0069】〈MRヘッドの突出量と、磨耗量の測定〉DI(Digital Instrument)社製の走査型プローブ顕微鏡(Nano Scopea/Dimension-3100 Tapping mode AFM)で、80μm×80μmの視野を測定し、傾き、ノイズ等の補正をしたのち、断面プロファイルの解析を行い、MRヘッドの突出量、走行前後の磨耗量を測定した。
【0070】〈磁性層とスライダ材料およびSUSとの摩擦係数の測定〉[SUS]外径5mmのSUSピン(SUS304)に磁気テープを角度90°、荷重0.64Nで掛け、磁気テープの同一箇所を送り速度20mm/sec で繰り返し10回摺動させた時の摩擦係数を測定した。
【0071】[スライダ材料]外径7mmのALTICのピンに磁気テープを角度90°、荷重0.64Nで掛け、磁気テープの同一箇所を送り速度20mm/sec で繰り返し10回摺動させた時の摩擦係数を測定した。
【0072】〈非磁性支持体のヤング率(MD、TD)の測定〉小型引っ張り試験機(横浜システム社製)を用い、23℃、50%RHの環境での歪み・引っ張り強度を測定した。試料の測定長さは10mm、引っ張り速度10%歪み/分で引っ張り、得られた強度の0.3%歪みの値をもとに、0.3%伸び弾性率を評価した。この評価は試料の長手方向と幅方向で行った。
【0073】以上の測定結果を表1〜表5に示す。表中の略号の意味は、以下の通りである。
・μmSL :磁性層とスライダ材料との摩擦係数・μmSUS:磁性層とSUSとの摩擦係数・μBSUS:バックコート層とSUSとの摩擦係数・Brδ:磁性層の残留磁束密度(Br)と厚さ(δ)との積・Hc:磁性層の保磁力・BC:バックコート層・CB:カーボンブラック・MD/TD:非磁性支持体の長手方向のヤング率(MD)と幅方向のヤング率(TD)との比・磁性面表面粗度Ra:磁性層の中心線平均表面粗さRa【0074】
【表1】

【0075】
【表2】

【0076】
【表3】

【0077】
【表4】

【0078】
【表5】

【0079】
【発明の効果】表1ないし表5に示した実施例1〜10および比較例1〜6から明らかなように、非磁性支持体、下塗層、磁性層、バックコート層からなる磁気記録媒体であって、磁性層の厚さが0.30μm以下、中心線平均表面粗さRaが3.2nm以下で、磁性層の凹凸の中心値をP0 、該磁性層の最大の凸量をP1 、第20番目の凸量をP20とした時の(P1 −P0 )が30nm以下で、かつ(P1 −P20)が5nm以下である磁気記録媒体は、エラーレートが小さい優れた磁気記録媒体である。このような効果は、(P1 −P20)を1.8nm以下とした磁気記録媒体において特に顕著である。また、磁性層とスライダ材料との摩擦係数をμmSL 、磁性層とSUSとの摩擦係数をμmSUS、バックコート層とSUSとの摩擦係数をμBSUSとした時の[(μmSL )/(μmSUS)]が0.7〜1.3で、かつ[(μmSL )/(μBSUS)]が0.8〜1.5である磁気記録媒体は、オフトラックが小さい優れた磁気記録媒体である。




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013