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発明の名称 画像処理装置、画像処理方法、プログラム及び記録媒体
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2003−60916(P2003−60916A)
公開日 平成15年2月28日(2003.2.28)
出願番号 特願2001−247231(P2001−247231)
出願日 平成13年8月16日(2001.8.16)
代理人 【識別番号】100089233
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 茂明 (外2名)
【テーマコード(参考)】
5B057
5C022
5C077
【Fターム(参考)】
5B057 BA02 CA01 CA02 CA08 CA12 CA16 CB01 CB02 CB08 CB12 CB16 CC01 CE02 CE11 CE17 CH08 
5C022 AA13 AB51 AC42 AC69
5C077 LL01 MP01 MP08 PP02 PP15 PP37 PQ08 PQ12 PQ19 TT09
発明者 山中 睦裕
要約 課題
対象となる画像に応じて適切な復元を行う。

解決手段
デジタルカメラ1は復元処理のための複数の復元処理モードを有しており、復元処理モードにはそれぞれの対象とする画像に適する処理内容が設定されている。撮影の際には、取得した画像の特性を解析し、その特性に適する復元処理モードを選択する。その後、選択された復元処理モードに応じて、復元領域、画素値の制限値、演算終了条件を設定してから、復元処理を行う。これにより、画像に応じて適切な復元を行うことが実現される。
特許請求の範囲
【請求項1】 画像処理装置であって、劣化した対象画像から非劣化画像を復元する復元処理のための互いに相違する処理内容が設定された複数の処理モードから少なくとも1つの処理モードを選択する選択手段と、選択された前記少なくとも1つの処理モードに基づいて前記復元処理を行う復元手段と、を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】 請求項1に記載の画像処理装置において、前記復元手段は、前記対象画像中の前記復元処理の対象となる復元領域を設定する領域設定手段を備え、前記処理内容には、前記領域設定手段が前記復元領域を設定するための手法が含まれていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】 請求項1または2に記載の画像処理装置において、前記復元手段は、前記復元処理に伴う反復演算における拘束条件となる画素値の制限値を設定する制限値設定手段を備え、前記処理内容には、前記制限値設定手段が前記画素値の制限値を設定するための手法が含まれていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載の画像処理装置において、前記処理内容には、前記復元処理に伴う反復演算における演算終了条件が含まれていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載の画像処理装置において、前記複数の処理モードには、文書画像に適する処理内容が設定された処理モードが含まれていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかに記載の画像処理装置において、前記対象画像の特性を解析する解析手段、をさらに備え、前記選択手段は、解析された前記対象画像の特性に基づいて前記複数の処理モードから前記少なくとも1つの処理モードを選択することを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】 請求項1ないし5のいずれかに記載の画像処理装置において、前記対象画像の特性を解析する解析手段と、解析された前記対象画像の特性に基づいて前記対象画像の領域を少なくとも1つの特性領域に分類する手段と、をさらに備え、前記選択手段は、前記複数の処理モードから前期特性領域のそれぞれに適した処理モードを領域処理モードとしてそれぞれ選択し、前記復元手段は、前記領域処理モードに基づいて前記特性領域のそれぞれに対して前記復元処理を行うことを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】 画像を処理する方法であって、劣化した対象画像から非劣化画像を復元する復元処理のための互いに相違する処理内容が設定された複数の処理モードから少なくとも1つの処理モードを選択する選択工程と、選択された前記少なくとも1つの処理モードに基づいて前記復元処理を行う復元工程と、を備えることを特徴とする画像処理方法。
【請求項9】 コンピュータを、劣化した対象画像から非劣化画像を復元する復元処理のための互いに相違する処理内容が設定された複数の処理モードから少なくとも1つの処理モードを選択する選択手段と、選択された前記少なくとも1つの処理モードに基づいて前記復元処理を行う復元手段と、を備える画像処理装置として機能させるためのプログラム。
【請求項10】 請求項9に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、劣化した対象画像から非劣化画像を復元する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、CCDに代表される受光素子配列を用いて画像データとして取得される画像に対し、画像の劣化を復元する様々な技術が提案されている。画像の劣化とは、撮像対象から得られるべき理想的な画像に対して実際に得られた画像が劣化していることをいい、例えば、デジタルカメラを用いて得られる画像は、絞り値、焦点距離、ピント位置等に依存する収差等により画像が劣化する。
【0003】このような劣化した画像に対して、従来より、画像の劣化をモデル化することで取得された画像を理想的な画像に近づける復元が行われてきた。例えば、画像の劣化は各受光素子に入射すべき光束がガウス分布に従って広がりながら入射することにより生じるものとみなして画像全体に復元関数を作用させたり、画像のエッジを強調するフィルタ(いわゆる、アパーチャ補正フィルタ)を画像全体に作用させる等して画像の復元が行われてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような復元の対象となる画像には、撮影対象が風景などの中間調を含む画像や、撮影対象が原稿などの均一な下地上に文字を含む画像等、種々の画像が存在している。
【0005】しかしながら、このような種々の画像に対して同様の処理内容で復元を行った場合には、それぞれの特性の相違に起因して、復元すべき領域が復元されない、復元によりノイズを強調してしまうなどの悪影響を与えてしまうこととなっていた。
【0006】本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、対象となる画像に応じて適切な復元を行うことを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、請求項1の発明は、画像処理装置であって、劣化した対象画像から非劣化画像を復元する復元処理のための互いに相違する処理内容が設定された複数の処理モードから少なくとも1つの処理モードを選択する選択手段と、選択された前記少なくとも1つの処理モードに基づいて前記復元処理を行う復元手段と、を備えている。
【0008】また、請求項2の発明は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記復元手段は、前記対象画像中の前記復元処理の対象となる復元領域を設定する領域設定手段を備え、前記処理内容には、前記領域設定手段が前記復元領域を設定するための手法が含まれていることを特徴とする。
【0009】また、請求項3の発明は、請求項1または2に記載の画像処理装置において、前記復元手段は、前記復元処理に伴う反復演算における拘束条件となる画素値の制限値を設定する制限値設定手段を備え、前記処理内容には、前記制限値設定手段が前記画素値の制限値を設定するための手法が含まれている。
【0010】また、請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の画像処理装置において、前記処理内容には、前記復元処理に伴う反復演算における演算終了条件が含まれている。
【0011】また、請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の画像処理装置において、前記複数の処理モードには、文書画像に適する処理内容が設定された処理モードが含まれている。
【0012】また、請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の画像処理装置において、前記対象画像の特性を解析する解析手段、をさらに備え、前記選択手段は、解析された前記対象画像の特性に基づいて前記複数の処理モードから前記少なくとも1つの処理モードを選択することを特徴とする。
【0013】また、請求項7の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の画像処理装置において、前記対象画像の特性を解析する解析手段と、解析された前記対象画像の特性に基づいて前記対象画像の領域を少なくとも1つの特性領域に分類する手段と、をさらに備え、前記選択手段は、前記複数の処理モードから前期特性領域のそれぞれに適した処理モードを領域処理モードとしてそれぞれ選択し、前記復元手段は、前記領域処理モードに基づいて前記特性領域のそれぞれに対して前記復元処理を行うことを特徴とする。
【0014】また、請求項8の発明は、画像を処理する方法であって、劣化した対象画像から非劣化画像を復元する復元処理のための互いに相違する処理内容が設定された複数の処理モードから少なくとも1つの処理モードを選択する選択工程と、選択された前記少なくとも1つの処理モードに基づいて前記復元処理を行う復元工程と、を備えている。
【0015】また、請求項9の発明は、プログラムであって、コンピュータを、劣化した対象画像から非劣化画像を復元する復元処理のための互いに相違する処理内容が設定された複数の処理モードから少なくとも1つの処理モードを選択する選択手段と、選択された前記少なくとも1つの処理モードに基づいて前記復元処理を行う復元手段と、を備える画像処理装置として機能させる。
【0016】また、請求項10の発明は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、請求項9に記載のプログラムを記録している。
【0017】なお、この発明における「選択手段」は、前記複数の処理モードから前記少なくとも1つの処理モードを選択する選択指示を操作者から受け付ける手段と、前記複数の処理モードから前記少なくとも1つの処理モードを自動的に選択する手段と、の両者の概念を含む用語である。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
【0019】<1.第1の実施の形態><1−1.デジタルカメラの構成>図1ないし図3はこの発明の第1の実施の形態に係るデジタルカメラ1の外観を示す図であり、図1は正面図、図2は背面図、図3は左側面図である。なお、図1および図2ではメモリカード91が装着される様子を図示しており、図3ではメモリカード91を図示していない。
【0020】デジタルカメラ1の主な構成は通常のデジタルカメラと同様であり、図1に示すように正面には被写体からの光をCCDへと導くレンズユニット2、および、被写体に向けてフラッシュ光を発するフラッシュ11が配置され、レンズユニット2の上方には被写体を捉えるためのファインダ12が配置される。
【0021】また、上面には撮影操作の際に押されるシャッタボタン13が配置され、図3に示すように左側面にはメモリカード91を装着するためのカードスロット14が設けられる。
【0022】デジタルカメラ1の背面には図2に示すように、撮影により取得された画像や操作画面を表示するための液晶ディスプレイ15、撮影モードと再生モードとを切り替える切替スイッチ161、操作者の選択入力を受け付ける操作ボタン162等が配置される。
【0023】図4はレンズユニット2近傍におけるデジタルカメラ1の内部構造を示す縦断面図である。レンズユニット2は複数のレンズにより構成されるレンズ系21および絞り22を内蔵しており、レンズユニット2の背後には2次元の受光素子配列を有する単板カラーCCD32が配置される。すなわち、デジタルカメラ1では、レンズ系21および絞り22が被写体からの光をCCD32へと導く光学系を構成している。
【0024】図5はデジタルカメラ1の動作に係る主な構成を示すブロック図である。なお、図5では、シャッタボタン13、切替スイッチ161および操作ボタン162を操作部16として図示している。
【0025】図5に示すCPU41、ROM42およびRAM43は、デジタルカメラ1の全体の動作を制御する構成であり、CPU41、ROM42およびRAM43とともに各種構成が適宜バスラインに接続される。そして、CPU41がRAM43を作業領域としつつROM42内のプログラム421に従って演算処理を行うことにより、デジタルカメラ1の各部の動作や画像処理が行われる。
【0026】レンズユニット2にはレンズ系21および絞り22とともにこれらを駆動するレンズ駆動部211および絞り駆動部221が設けられており、測距センサの出力や被写体の明るさに応じてレンズ系21および絞り22がCPU41により適宜制御される。
【0027】CCD32はA/D変換器33に接続されており、レンズ系21および絞り22を介して形成された被写体の像を画像信号としてA/D変換器33へと出力する。画像信号はA/D変換器33にて例えば8ビットのデジタル信号(以下、「画像データ」といい、適宜、単に「画像」ともいう。)に変換された後、画像メモリ34に記憶される。すなわち、光学系、CCD32およびA/D変換器33により被写体の画像が画像データとして取得される。
【0028】補正部44は、画像メモリ34中の画像データに対してホワイトバランス補正、ガンマ補正、ノイズ除去、色補正、色強調等の各種画像処理を施す。補正後の画像データはVRAM(ビデオRAM)151へと転送され、これにより、液晶ディスプレイ15に画像が表示される。また、操作者の操作により、必要に応じて画像データがカードスロット14を介してメモリカード91に記録される。
【0029】また、デジタルカメラ1では、取得された画像データに対して光学系の影響による劣化を復元する処理が行われるようになっている。復元処理は、CPU41がROM42内のプログラム421に従って演算処理を行うことにより実現される。
【0030】デジタルカメラ1は、この復元処理のための複数の復元処理モードを有しており、復元処理モードにはそれぞれの対象とする画像データに適する処理内容が設定されている。復元処理モードに設定された処理内容はROM42に予め記憶されている。
【0031】復元処理モードには、均一な下地上に文字や図形などがある原稿等を被写体とした画像データ(以下、「文書画像」という。)を対象とする「文書画像モード」と、風景などを被写体とした中間調を含む画像データ(以下、「中間調画像」という。)を対象としたモードとが含まれている。さらに、中間調画像を対象としたモードにはビルなどの建物を被写体とした画像データ(以下、「建物画像」という。)を対象とする「建物画像モード」と、建物以外を被写体とした画像データ(以下、「一般画像」という。)を対象とする「一般画像モード」とが含まれている。
【0032】つまり、本実施の形態においては、復元処理の対象とする画像データの特性により、画像データの種別を大まかに文書画像と中間調画像とに分類し、さらに中間調画像の種別を建物画像と一般画像とに分類しており、デジタルカメラ1はこれらの画像データの種別それぞれに適する復元処理モードを備えている。
【0033】操作者は、これらの復元処理モードから画像データに適した一の復元処理モードを操作ボタン162を介して手動で選択することが可能であるが、デジタルカメラ1に対象とする画像データを解析させて復元処理モードを自動的に選択させることも可能となっている。復元処理モードの選択を自動選択とするか、手動選択とするかは操作ボタン162の操作により切り換えることができる。手動選択である場合、操作ボタン162は操作者からの復元処理モードの選択を受け付ける手段となり、操作者は所望の復元処理モードを選択することにより、種々の被写体(すなわち取得する画像データの特性)に応じた復元を行わせることができる。手動選択の場合は、撮影を行う前に予め復元処理モードが選択され、選択された復元処理モードはRAM43に記憶される。
【0034】<1−2.劣化関数>次に、デジタルカメラ1における画像の劣化について説明する。画像の劣化とは、デジタルカメラ1のCCD32、A/D変換器33等を介して取得される画像が、理想的な画像とはならない現象をいう。このような画像の劣化は、被写体上の一点から出た光線がCCD32上にて一点に集まることなく広がりを有する分布となるために生じる。換言すれば、理想的な画像が取得される場合においてCCD32の1つの受光素子(すなわち、画素)に入射すべき光束が、広がりをもって周囲の受光素子に入射するために画像の劣化が生じる。
【0035】デジタルカメラ1では、レンズ系21、絞り22により主として構成される光学系による画像の劣化の復元が行われるようになっている。
【0036】図6は光学系による画像の劣化を説明するための図である。図6の符号71は画像全体を示しており、理想的な画像ないしは非劣化画像(すなわち、光学系の影響による劣化を受けない画像をいい、以下、「理想画像」という。)としては符号701にて示す領域が明るくなるものとすると、実際に得られる画像(以下、「取得画像」という。)では、レンズ系21の焦点距離およびピント位置(ズームレンズではレンズの繰り出し量に相当する。)、並びに、絞り22の絞り値に応じて領域701よりも広がった領域711が明るくなる。すなわち、理想的には領域701に対応するCCD32上の領域に入射すべき光束が、実際には領域711に対応する領域に広がって入射する。
【0037】また、画像71の周辺部においても、理想画像の場合に符号702にて示す領域が明るいものとすると、取得画像においては符号712にて示すように略楕円状に広がった領域が明るくなる。
【0038】図7ないし図9はレンズユニット2の光学的影響による画像の劣化をCCD32の受光素子レベルで説明するための模式図である。図7はレンズユニット2の影響がない状態(すなわち、理想画像が取得される状態)において、3×3の受光素子配列の中央の受光素子のみに強度1の光束が入射する様子を示している。これに対し、図8および図9はレンズユニット2の影響により図7に示す状態が変化する様子を示している。
【0039】図8はCCD32の中央近傍の様子の一例を示しており、中央の受光素子に強度1/3の光が入射し、上下左右の隣接する受光素子に強度1/6の光が入射する様子を示している。すなわち、中央の受光素子に入射すべき光束がレンズユニット2の影響により周囲に広がって入射する様子を示している。図9はCCD32の周縁部の様子の一例を示しており、中央の受光素子に強度1/4の光が入射しつつ左上から右下へと広がりをもって光が入射する様子を示している。
【0040】このような画像の劣化特性は、理想画像の各画素の画素値を図8や図9に例示する画素値の分布へと変換する関数(すなわち、点像分布に基づく2次元フィルタ)として表現できることから、劣化関数(あるいは、劣化フィルタ)と呼ばれる。
【0041】光学系の影響による劣化特性を示す劣化関数は、レンズ系21による焦点距離、ピント位置、および、絞り22の絞り値に基づいて受光素子の位置ごとに(すなわち、画素の位置ごとに)予め求めることができる。そこで、デジタルカメラ1では、レンズユニット2からレンズの配置に関する情報および絞り値を得て画素の位置に応じた劣化関数を求め、この劣化関数に基づいて取得画像の復元を実現している。
【0042】このような劣化関数は、一般的には、焦点距離、ピント位置、絞り値、および、CCD32上の(すなわち、画像中の画素の)2次元座標等をパラメータとする非線形関数となる。
【0043】なお、以上の説明では、画素ごとに劣化関数が求められるものとして説明したが、劣化関数としては複数画素の劣化関数をまとめたものや全画素分の劣化関数をまとめたもの(すなわち、複数画素の劣化に相当する変換行列)が求められるようになっていてもよい。
【0044】<1−3.画像復元>次に、劣化関数を用いた取得画像の復元について説明する。取得画像は、理想画像の各画素に劣化関数を作用させた劣化画像であると考えられる。このため、理想画像の画素値の配列をベクトルX、取得画像の画素値の配列をベクトルY、各画素の劣化関数を全画素についてまとめた理想画像全体に作用させる劣化関数(以下「画像劣化関数」という。)を行列Hとすると、ベクトルXとベクトルYとはY=HXの関係を満たすものと想定することができる。
【0045】ここで、取得画像であるベクトルYと画像劣化関数である行列Hは既知となるため、連立一次方程式Y=HXを解くことによりベクトルXが求められ、求められたベクトルXが劣化前の非劣化画像(すなわち、復元後の画像)となるわけである。
【0046】本実施の形態では、この連立一次方程式Y=HXを解くために反復法を用いる。図10は、この反復法を用いた復元処理の流れを示す図である。この復元処理は、劣化前の画像を推定し(以下、推定された画像を「推定画像」という。)、この推定画像を反復的に順次更新していくことで劣化前の非劣化画像を求めるようになっている。
【0047】具体的にはまず、初期状態の推定画像として取得画像が用いられる(ステップS1)。次に、推定画像に劣化関数(正確には、画像劣化関数である行列H)を作用させ(ステップS2)、得られた画像と取得画像との相違が残差Dとして求められる。残差Dは、推定画像の画素値の配列をベクトルXとし、Wを重み行列(単位行列であってもよい)とすると次の数1により求められる(ステップS3)。すなわち、残差Dは取得画像(ベクトルY)と推定画像を劣化させた画像(ベクトルHX)との各画素の画素値の差の2乗和(または、荷重2乗和)である。
【0048】
【数1】

【0049】次に、この残差Dに基づいて推定画像の画素値の修正量が求められ(ステップS5)、この修正量と各画素に設定される更新度合いとを乗算することにより各画素の更新量が求められる(ステップS6)。そして、各画素の更新量を推定画像に適用することにより推定画像の更新が行われる(ステップS7)。
【0050】その後、予め設定された演算終了条件となるまで(ステップS4)推定画像の更新を繰り返す反復演算が行われ、最終的に得られる推定画像が復元後の画像となる。
【0051】なお、この復元方法の詳細について言及された文献としては、例えば、"RESTORATION OF A SINGLE SUPER-RESOLUTION IMAGE FROM SEVERAL BLURRED, NOISY AND UNDER-SAMPLED MEASURED IMAGES"(M.Elad and A.Feuer, IEEE Trans., On Image Processing, Vol.6 No.12 pp1646-1658 Dec/1997) が挙げられる。また、反復法の細部については様々な他の手法を利用することももちろん可能である。
【0052】なお、ステップS7における更新度合いとは求められた画素値の修正量をどれだけ更新量に反映させるかの割合であり、デジタルカメラ1では画素ごとにこの更新度合いを予め設定している。更新度合いが0となる画素は更新されず、更新度合いが0以外の画素のみが更新されるため、更新度合いは反復演算の拘束条件となり解の収束安定性の向上に貢献する。本明細書においては、更新される画素が含まれる領域、すなわち復元される領域を「復元領域」ともいう。デジタルカメラ1は、復元領域の設定手法(すなわち、更新度合いの設定手法)を復元処理モードごとに相違させ、復元を行う画像に応じて適切な復元領域を設定するようにしている。
【0053】また、デジタルカメラ1では、推定画像の画素値がとりうる範囲を制限値(上限値と下限値)で予め設定し、反復演算中に更新された推定画像の画素値が制限値で設定した範囲を外れた場合は、当該画素値を強制的に制限値にするようにしている。この制限値は反復演算の拘束条件となり解の収束安定性を向上させるとともに、制限値の設定により画素値が異常値となることを防ぐことができる。なお、デジタルカメラ1では、制限値の設定手法においても復元処理モードごとに相違させており、復元を行う画像に応じて適切な制限値を設定するようにしている。
【0054】また、一般的に、反復演算による復元処理は取得画像に含まれるノイズを強調する特性がある。このため、反復演算の反復回数を増やせば復元度は増加するがノイズが強調され、逆に、反復演算の反復回数を減らせばノイズが抑制されるが復元度は低下することとなる。このため、デジタルカメラ1では、復元処理モードごとに相違する演算終了条件(ステップS4)を設定し、復元を行う画像に応じて復元度およびノイズ抑制のいずれかを優先させて、画像に応じて最適な復元を行うようにしている。なお、これらの復元処理モードごとの設定についてはさらに後述する。
【0055】<1−4.デジタルカメラの動作>次に、画像の復元を行うデジタルカメラ1の動作について説明する。図11は撮影の際のデジタルカメラ1の動作の流れを示す図であり、図12は復元の際のデジタルカメラ1の動作の流れを示す図であり、図13はデジタルカメラ1の撮影に係る機能構成を示すブロック図である。図13において、劣化関数算出部403、復元部405(復元領域設定部411、制限値設定部412、終了条件設定部413および反復演算部414を含む)、モード決定部406および画像解析部407は、CPU41がROM42内のプログラム421に基づいて演算処理を実行することによりCPU41、ROM42、RAM43等により実現される機能を示している。
【0056】シャッタボタン13が押されると、CCD32上に被写体の像を形成すべくデジタルカメラ1の光学系の制御が行われる(ステップS11)。すなわち、CPU41によりレンズ駆動部211および絞り駆動部221に制御信号が与えられ、レンズ系21を構成する複数のレンズの配置が制御されるとともに、絞り22が制御される。
【0057】一方、レンズ駆動部211および絞り駆動部221からは、レンズ配置に関する情報および絞り値が劣化関数を求めるための劣化情報として劣化関数算出部403へと送られる(ステップS12)。その後、露光が行われ(ステップS13)、CCD32等により取得された被写体の画像が画像データとして画像メモリ34に記憶される。以後の画像処理は画像メモリ34に記憶された画像データに対して行われる。
【0058】劣化関数算出部403では、レンズ駆動部211および絞り駆動部221から与えられた劣化情報を用いて、レンズ系21および絞り22の影響を考慮した各画素の劣化関数が求められる(ステップS14)。求められた劣化関数は、復元部405が扱えるようにRAM43に記憶される。
【0059】劣化関数が求められると、モード決定部406により復元処理モードが決定され、決定された復元処理モードに基づいて復元部405により取得画像の復元処理が行われる(ステップS15)。これにより、復元処理モードに応じて、取得画像における光学系の影響による劣化が復元される。
【0060】画像の復元の際には、図12に示すように、まず、モード決定部406により復元処理モードの選択が自動選択であるか、手動選択であるが判定される(ステップS101)。手動選択である場合は、モード決定部406は操作者の操作部16の操作により予め選択されてRAM43に記憶されている復元処理モードを読み込み、復元処理に用いる復元処理モードを決定する(ステップS104)。
【0061】一方、自動選択である場合は、画像解析部407が取得画像の特性を解析して取得画像の種別を判定し(ステップS102)、その結果に基づいてモード決定部406が取得画像に最適な復元処理モードを自動選択して復元処理に用いる復元処理モードを決定する(ステップS103)。
【0062】具体的には、まず、画像解析部407が取得画像のヒストグラムを解析して、取得画像が文書画像であるか中間調画像であるかを判定する。図14は取得画像が文書画像である場合のヒストグラムの例を示す図であり、図15は取得画像が中間調画像である場合におけるヒストグラムの例を示す図である。文書画像はその大部分の画素が下地となる画素であるため、そのヒストグラムにおいては図14に示すように顕著なピークが存在し、最大ピークにおける画素値の周辺に画素が集中する。一方、中間調画像のヒストグラムにおいては、図15に示すようにピークは存在するがそのピークは顕著ではなく、低域から高域まで幅広い範囲に画素が存在することとなる。
【0063】このため、画像解析部407は、取得画像のヒストグラムにおける最大ピークの画素値から所定範囲内にある画素値となる画素が、画像全体の画素の一定割合以上の場合は文書画像であると判定を行い、それ以外の場合は中間調画像であると判定する。
【0064】取得画像が中間調画像であると判定した場合は、さらに画像解析部407は取得画像が建物画像であるかそれ以外の一般画像であるかを判定する。一般に、建物画像は、自然の風景や人物等を被写体とする一般画像よりも明瞭なエッジが多い。このため、画像解析部407は取得画像をフーリエ変換し、高周波成分(エッジ)が所定より多い場合は建物画像であると判定し、それ以外の場合は一般画像であると判定する。また、建物を撮影する場合、被写体である建物は比較的遠景になると推定できる。このため、測距センサ等から得られる撮影距離が一定以上になることを建物画像を判定する条件に追加してもよく、これによればより正確に建物画像を判定することができる。
【0065】取得画像の種別の判定結果はモード決定部406に送られ、文書画像と判定された場合は「文書画像モード」が、建物画像であると判定された場合は「建物画像モード」が、その他の一般画像であると判定された場合は「一般画像モード」が、それぞれモード決定部406により選択されて復元処理に用いる復元処理モードとして決定される。
【0066】復元処理に用いる復元処理モードが決定すると、次に、この復元処理モードに基づいて(ステップS105)、復元領域設定部411が復元領域を設定し(ステップS106,S109)、制限値設定部412が反復演算の画素値の制限値を設定し(ステップS107,S110)、終了条件設定部413が反復演算の演算終了条件を設定する(ステップS108,S111)。
【0067】まず、復元領域設定部411が復元領域を設定する手法について説明する。既述のように、画像の劣化はある画素に入射すべき光束が周囲の画素に広がりをもって入射することにより発生することから、ある画素とその近傍の画素との画素値が同一である場合は画像の劣化は発生しない。つまり、理想画像において位置的に画素値が変化する領域においてのみ画像の劣化が発生することとなるため、この領域に対応する取得画像の領域を復元すべき復元領域として設定する。
【0068】文書画像においては、その大部分を占める無地の下地領域と、文字や図形などのインク領域とが存在するが、このうち下地領域は画素値が均一となるため劣化は発生しない。つまり、取得画像において下地領域は復元する必要はなく、インク領域のみを復元すべき復元領域とすればよいこととなる。
【0069】このため、復元処理モードが「文書画像モード」の場合は、取得画像の画素値に基づいて復元領域の設定を行って(ステップS106)、下地領域の画素値(以下、「下地画素値」という。)となる画素値を有する画素は非復元領域とし、下地画素値以外の画素値を有する画素は復元領域とする。ここで、下地画素値は、取得画像のヒストグラム(図14参照)の最大ピークを判定することにより容易に取得することができる。
【0070】図16は、取得画像中の劣化が発生している領域の画素の画素値の例を示している。図16中、符号SVは下地画素値を示し、波線は劣化前の状態を示している。取得画像のヒストグラムから下地画素値が求められると、下地画素値に基づいて画素値に対する閾値が図16の如く設定される。この閾値TAと各画素の画素値とが比較されることにより、画素値に基づいて画素が分類され、分類された画素ごとに更新度合いがそれぞれ設定される。閾値TAの数はいくつであってもよく、閾値TAの数を増やすことで更新度合いの設定をきめ細かく行うことができる。
【0071】下地画素値がインク領域の画素値より高い場合には、最大の閾値(図16では、閾値TA1)以上となる画素は下地領域であると判定され、更新度合いが0に設定される(非復元領域とされる)。逆に、下地画素値がインク領域の画素値より低い場合には、最小の閾値以下となる画素は下地領域であると判定され、更新度合いが0に設定される。
【0072】このように、「文書画像モード」においては、画素値に基づいて復元領域の設定を行うことで、復元すべき領域を確実に復元領域とすることができるとともに、例えば、白い下地のように復元が不必要な領域を確実に非復元領域とすることができる。
【0073】一方、中間調画像中には文書画像の下地領域のように画素値が均一な領域が存在しているわけではないため、文書画像のように画素値のみで復元領域を判断することができない。このため、復元処理モードが「建物画像モード」または「一般画像モード」である場合は、取得画像の画素勾配に基づいて復元領域の設定が行われる(ステップS109)。
【0074】ここで画素勾配とは、対象となる画素(以下、「対象画素」という。)と近傍の画素との画素値の相違をいう。取得画像における各画素の画素勾配を求める手法としてはどのような手法が用いられてもよいが、例えば、対象画素と近傍の画素との画素値の差の総和を用いることができる。また、対象画素と近傍の画素との画素値の差の2乗の総和や両画素値の比の総和を画素勾配として用いることも可能である。
【0075】図17は、取得画像中の劣化が発生している領域の画素の画素勾配の例を示している。各画素の画素勾配が求められると、画像全体の明るさに基づいて画素勾配に対する閾値TBが図17の如く設定される。この閾値TBと各画素の画素勾配とが比較されることにより、画素勾配に基づいて画素が分類され、分類された画素ごとに更新度合いがそれぞれ設定される。このとき、各画素の画素勾配が高いものほど更新度合いが高く設定される。また、最小の閾値(図17の例では、閾値TB3)以下となる画素は、更新度合いが0に設定されて非復元領域とされる。閾値TBの数はいくつであってもよく、閾値TBの数を増やすことで更新度合いの設定をきめ細かく行うことができる。
【0076】なお、一般に、建物画像はエッジが一般画像よりも明瞭であるため、復元領域を限定することができることから、「建物画像モード」の閾値TBは「一般画像モード」における閾値TBよりも高い基準に設定される。つまり、「一般画像モード」より高い範囲の画素勾配を有する画素が復元領域として設定される。
【0077】このように、復元処理モードごとに復元領域を設定する手法を相違させることにより、復元の対象となる画像に応じて、復元が必要となる領域を適切に復元領域として設定することができる。
【0078】次に、制限値設定部412が画素値の制限値を設定する手法について説明する。既述のように、画素値の制限値は反復演算中における拘束条件として設定するものである。具体的には、画素値が理論上とりうる範囲の上限値と下限値とを設定する。
【0079】文書画像は無地の下地領域とインク色の混色で再現されるインク領域とから構成されるため、その画素値は下地画素値とインク領域の画素値(以下、「インク画素値」という。)との間の範囲に限定される。このため、復元処理モードが「文書画像モード」の場合は、取得画像のヒストグラム(図14参照)のピーク値から下地画素値とインク画素値を取得し、これらのうち高い画素値が上限値、低い画素値が下限値として設定される(ステップS107)。
【0080】一方、中間調画像は自然界の種々のものが被写体とされる画像であるため、その画素値は0以上のどのような値ともなりうる。このため、復元処理モードが「建物画像モード」または「一般画像モード」の場合は、画素値を上限値により制限することはできないため、下限値に0を設定するのみとする(ステップS110)。なお、あくまで反復演算中における画素値の上限値を制限しないことであり、例えば画素値が8ビットで表される場合に、反復演算中に画素値が255を越える値となった場合でも、反復演算の終了後には当該画素値は255とされる。
【0081】このように、復元処理モードごとに画素値の制限値を設定する手法を相違させることにより、復元の対象となる画像に応じて適切な制限値を設定することができ、反復演算の解の収束安定性を向上させることができる。
【0082】次に、終了条件設定部413が設定する反復演算の演算終了条件について説明する。演算終了条件は、換言すれば、反復演算において解が収束したとみなすための条件である。この解が収束したとみなす方法(以下、「収束判定方法」という。)としては種々のものが考えられるが、以下、3つの具体例を説明する。デジタルカメラ1ではいずれの収束判定方法が採用されてもよい。
【0083】第1の収束判定方法は、反復演算の回数が所定の回数に達した場合に解が収束したものとみなす方法である。この方法が採用される場合は、演算終了条件として反復演算の反復回数が設定される。
【0084】また、第2の収束判定方法は、反復演算中に算出される残差(既述した、推定画像に劣化関数を作用させた画像と取得画像との残差D)が所定の閾値以下となった場合に解が収束したものとみなす方法である。この方法が採用される場合は、演算終了条件として残差に対する閾値が設定される。
【0085】また、第3の収束判定方法は、前回の残差と算出された残差との変化率が所定の閾値以下となった場合に解が収束したとみなす方法である。この方法が採用される場合は、演算終了条件として残差の変化率に対する閾値が設定される。
【0086】既述のように、反復演算をする回数を増やせば復元度は増加するがノイズが強調され、逆に、反復演算をする回数を減らせばノイズが抑制されるが復元度は低下する。つまり、演算終了条件を変更することにより、復元度を優先させるか、ノイズ抑制を優先するかを調節することができる。
【0087】文書画像においては、ノイズの目立ちやすい下地領域は非復元領域として設定されるため、ノイズが強調されても復元後の画像へあまり影響を与えることはない。また、復元により画像中のエッジを強調するほど、文字などを認識しやすくなる。このため、復元処理モードが「文書画像モード」である場合は復元度を優先するように演算終了条件を設定する(ステップS110)。
【0088】また、一般画像においては、画素勾配により復元領域を設定していることから、ノイズが発生している領域を復元すべき復元領域であるとして誤って設定してしまうことが多い。このことから、復元度を優先するとノイズが目立ってしまい、却って画質を低下させることにつながる。このため、復元処理モードが「一般画像モード」である場合は、ノイズ抑制を優先するように演算終了条件を設定する(ステップS111)。なお、建物画像は文書画像と一般画像の中間的な特性を有するため、復元処理モードが「建物画像モード」である場合は、復元度とノイズ抑制とのバランスを考慮した演算終了条件を設定する。
【0089】具体的には、第1の収束判定方法が採用される場合は、「文書画像モード」では比較的多い反復回数が、「一般画像モード」では比較的少ない反復回数が、「建物画像モード」では「文書画像モード」と「一般画像モード」との中間的な反復回数がそれぞれ演算終了条件として設定される。また、第2または第3の収束判定方法が採用される場合は、「文書画像モード」では比較的小さい閾値が、「一般画像モード」では比較的大きい閾値が、「建物画像モード」では「文書画像モード」と「一般画像モード」との中間的な閾値がそれぞれ演算終了条件として設定される。これらの演算終了条件として設定される値は、予め統計的に求められてRAM43に記憶されている。
【0090】このように、デジタルカメラ1では、復元処理モードごとに演算終了条件を相違させるため、復元の対象となる画像中の被写体にとって好ましい画質となる復元後の画像を得ることができる。
【0091】以上のようにして、復元処理モードに基づいて、復元領域、画素値の制限値、演算終了条件がそれぞれ設定されると、これらに基づいて反復演算部414が既述の反復演算(図10参照)により、画像の復元処理を行う(ステップS112)。
【0092】復元後の画像は補正部44により、ホワイトバランス補正、ガンマ補正、ノイズ除去、色補正、色強調等の各種画像処理が施され(図11:ステップS16)、補正後の画像のデータが画像メモリ34に記憶される。さらに、画像メモリ34内の画像データは適宜、カードスロット14を介してメモリカード91に保存される(ステップS17)。
【0093】以上説明してきたように、本実施の形態のデジタルカメラ1では光学系の影響による画像の劣化を、選択された復元処理モードに基づいて復元することから、復元の対象となる画像に最適な復元を行うことができる。
【0094】<2.第2の実施の形態>次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。第1の実施の形態においては1枚の取得画像の全体に対して同様の復元処理を行っていたが、第2の実施の形態では1枚の取得画像の領域をその特性によって分類し、分類されたそれぞれの領域の特性に適した復元処理を行う。
【0095】第2の実施の形態におけるデジタルカメラ1は図1ないし図5に示した構成と同様であり、基本動作も図11と同様であるため、適宜、同符号を用いて説明する。
【0096】図18は、本実施の形態におけるデジタルカメラ1の動作のうち、図11に示すステップS15の内容を示す図である。また、図19は本実施の形態におけるデジタルカメラ1の機能構成を示すブロック図であり、第1の実施の形態の機能構成(図13参照)に対して特性領域分類部408が追加された構成となっている。なお、特性領域分類部408もCPU41、ROM42、RAM43等により実現される機能である。
【0097】図20は、デジタルカメラ1によって取得された取得画像の例を示す図である。図20に示す取得画像72中には、均一な背景に文字等がある領域(以下、「文字領域」という。)721と、自然の風景等の中間調の領域(以下、「中間調領域」という。)722が混在している。このような取得画像72の場合には、文字領域721に対しては「文書画像モード」の処理内容に基づく復元処理を行うことが好ましく、中間調領域722に対しては「一般画像モード」の処理内容に基づく復元処理を行うことが好ましい。つまり、1枚の取得画像の中に特性が異なる領域が混在している場合は、その領域の特性に適した復元処理モードに基づいて復元処理を行うことが好ましい。
【0098】このため、第2の実施の形態に係るデジタルカメラ1では、取得画像を復元する際に、まず、画像解析部407が取得画像の特性の解析を行って、この解析結果に基づいて特性領域分類部408がその特性ごとに取得画像中の領域を分類するようにしている。
【0099】具体的には、画像解析部407が、取得画像を例えば10×10画素の単位領域に分割し、分割した単位領域ごとに第1の実施の形態における取得画像の種別の判定と同様の処理を行う。すなわち、単位領域ごとにそのヒストグラムを解析して、文字領域であるか中間調領域であるかを判定する。さらに、中間調領域と判定した単位領域ごとにフーリエ変換を行って、ビルなどの建物がある領域(以下、「建物領域」という。)であるか、その他の自然風景などの領域(以下、「一般領域」という。)であるかを判定する(ステップS201)。
【0100】単位領域ごとにその特性が判定されると、特性領域分類部408が判定された特性ごとに単位領域を分類する。すなわち、文字領域と判定された全ての単位領域をまとめて1つの文字領域とし、建物領域として判定された全ての単位領域をまとめて1つの建物領域とし、さらに、一般領域として判定された全ての単位領域をまとめて1つの一般領域として分類する。これにより、取得画像の領域全体が、少なくとも1つの特性ごとの領域(以下、「特性領域」という。)に分類されることとなる(ステップS202)。分類された特性領域ごとの特性などの情報は、モード決定部406および復元部405に送られる。
【0101】次に、復元部405により一の特性領域が復元処理の処理内容を設定する対象領域(以下、「注目特性領域」という。)として決定される(ステップS203)。そして、特性領域分類部408からの情報に基づいてモード決定部406が注目特性領域に適する復元処理モードを選択し、注目特性領域に対する復元処理の復元処理モードを決定する(ステップS204)。
【0102】次に、注目特性領域に対して決定された復元処理モードに基づいて、復元領域設定部411が復元領域を設定し(ステップS205)、制限値設定部412が反復演算の画素値の制限値を設定し(ステップS206)、終了条件設定部413が反復演算の演算終了条件を設定する(ステップS207)。これらの復元領域、画素値の制限値および演算終了条件は、第1の実施の形態と同様に、復元処理モードに応じて設定される。
【0103】一の注目特性領域に対して、復元領域、画素値の制限値、演算終了条件の設定が完了すると、他の特徴領域がある場合(ステップS208)は、次の注目特性領域が決定されて(ステップS203)、再度、注目特性領域の復元処理モードに基づいて復元領域、画素値の制限値、演算終了条件が設定される。
【0104】このようにして、全ての特徴領域に対してそれぞれ復元処理モードが決定されて、この復元処理モードに応じた復元領域、画素値の制限値、演算終了条件の設定がされる。
【0105】次に、反復演算部414が既述の反復演算(図10参照)により、画像の復元処理が行われる(ステップS209)。この復元処理は、特性領域のそれぞれに設定された復元領域、画素値の制限値、演算終了条件に基づいて、画像全体(特性領域のすべて)に対して同時に行われる。なお、演算終了条件は特性領域ごとに相違することとなるが、演算が終了した(すなわち、収束したとみなされた)特性領域は、更新度合いを0に設定して以降の反復演算においてその画素値が更新されないようにすればよい。
【0106】以上説明してきたように、本実施の形態のデジタルカメラ1では、取得画像の領域をその特性に基づいて特性領域に分類し、この特性領域に最適な復元処理モードに基づいて復元することから、一つの対象画像において特性が異なる領域が混在している場合においても、それぞれの特性領域の特性に最適な復元処理を行うことができる。
【0107】<3.第3の実施の形態>次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。図21は本発明の第3の実施の形態に係る全体構成を示す図である。第1および第2の実施の形態では、デジタルカメラ1にて画像の復元が行われるようになっているが、第3の実施の形態では、コンピュータ5にて画像の復元が行われるようになっている。すなわち、画像復元機能を有しないデジタルカメラ1からコンピュータ5にデータを転送することにより、デジタルカメラ1にて取得された画像をコンピュータ5にて復元するようになっている。
【0108】本実施の形態に係るデジタルカメラ1は、画像の復元を行わないという点を除いて、第1の実施の形態のデジタルカメラ1と同様である。すなわち、図1ないし図5に示した構成と同様であり、図13に示す機能構成のうち復元部405、モード決定部406及び画像解析部407を除いた構成を有している。
【0109】デジタルカメラ1からのデータはメモリカード91を介してコンピュータ5へとデータが転送されるが、デジタルカメラ1とコンピュータ5とを接続する通信ケーブル92などを介して転送されるようになっていてもよい。
【0110】図22は、メモリカード91に記録されるデータの構造を示す模式図である。デジタルカメラ1では、通常のデジタルカメラ1と同様の手法にて画像を画像データとして取得するが、同時に、光学系が画像に与える劣化特性を示す劣化関数も求めるようになっており、画像データ911と劣化関数912とが組み合わされてメモリカード91へと出力される。
【0111】コンピュータ5は、CPU、ROM、RAM、固定ディスク、ディスプレイ、カードスロット等を備えた汎用のコンピュータで構成される。コンピュータ5には予め磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の記録媒体8を介して復元処理を行うプログラムが固定ディスクに記憶されており、コンピュータ5内のCPUがRAMを作業領域としてプログラムに従った処理を行うことにより、コンピュータ5内にて画像の復元処理が実行される。
【0112】コンピュータ5は、第1および第2の実施の形態における復元処理のいずれの動作にも利用可能である。例えば、第1の実施の形態の復元処理に利用する場合には、図13に示す復元部405、モード決定部406及び画像解析部407がCPU、RAM等により実現される。また、第2の実施の形態の復元処理に利用する場合には、図19に示す復元部405、モード決定部406、画像解析部407及び特性領域分類部409がCPU、RAM等により実現される。復元処理モードごとの処理内容は復元処理を行うプログラムと同様に固定ディスクに予め記憶される。
【0113】デジタルカメラ1にて撮影が行われる際には、図11に示す動作のうちステップS15の動作を除いた動作が行われる。これにより、レンズ系21および絞り22の影響を考慮した各画素の劣化関数と、撮影されて補正処理が行われた画像データが取得される。その後、図22に示すように画像データおよび劣化関数がカードスロット14を介してメモリカード91に出力される。
【0114】メモリカード91に画像データおよび劣化関数が保存されると、メモリカード91がコンピュータ5のカードスロットに装着され、コンピュータ5が画像データおよび劣化関数を読み込んで復元処理に必要なデータを準備する。
【0115】その後、コンピュータ5が第1の実施の形態の復元処理を行う場合には、画像解析部407が画像の種別を判定し、モード決定部406が復元処理モードを決定し、復元部405が復元処理モードに基づいて復元領域、画素値の制限値及び演算終了条件を設定して復元処理を行う。これらの動作は図12に示す動作と同様である。
【0116】また、コンピュータ5が第2の実施の形態の復元処理を行う場合には、画像解析部407が画像を解析し、特性領域分類部408が画像を特性領域に分類し、モード決定部406が特性領域それぞれの復元処理モードを決定し、この復元処理モードに基づいて復元部405が特性領域のそれぞれに対して復元領域、画素値の制限値及び演算終了条件を設定して復元処理を行う。これらの動作は、図18に示す動作と同様である。画像の復元が完了すると、復元後の画像が固定ディスクに保存される。
【0117】以上のように、本実施の形態では、デジタルカメラ1が画像データとともに劣化関数を外部へ出力するようになっており、コンピュータ5が復元処理モードに基づいた復元処理を行うようになっている。これにより、デジタルカメラ1が行うべき処理量の低減を図ることができる。
【0118】<4.変形例>以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0119】例えば、上記実施の形態では、劣化関数として、レンズ系21および絞り22の影響による劣化関数について説明したが、光学ローパスフィルタに係る劣化関数や、手ぶれに係る劣化関数など他の種類の劣化関数が求められる(または、予め準備される)ようになっていてもよい。また、レンズ系21の劣化関数のみ、あるいは、絞り22に関する劣化関数のみなど、1種類の劣化関数のみを用いて画像の特定種類の劣化のみが復元されるようになっていてもよい。
【0120】また、上記実施の形態では、復元処理モードとして「文書画像モード」、「建物画像モード」及び「一般画像モード」があるものとして説明したが、人物画像に適したモードや、スポーツシーンに適したモードなど他の復元処理モードが予め準備されていてもよい。
【0121】また、上記実施の形態では、CPUがプログラムに従って演算を行うことにより、各種機能が実現されると説明したが、演算処理の全部または一部は専用の電気的回路により実現されてもよい。特に、反復演算を行う箇所をロジック回路にて構築することにより、高速な演算が実現される。
【0122】また、デジタルカメラ1による画像の復元に係るプログラム421は、予めメモリカード91等の記録媒体を介してデジタルカメラ1にインストールされるようになっていてもよい。
【0123】さらに、この発明は、デジタルカメラ1により取得される画像の復元に限定されるものではなく、受光素子配列を用いて画像を取得する他の撮像装置、例えば、電子顕微鏡やフィルムスキャナ等により取得される画像の復元にも利用される。もちろん、受光素子配列は2次元配列に限定されるものではなく、スキャナのように1次元配列であってもよい。
【0124】
【発明の効果】以上、説明したように、請求項1ないし10の発明によれば、処理モードごとに復元処理の処理内容を相違させるため、対象画像に適する処理モードを選択することにより、対象画像に応じて適切な復元を行うことができる。
【0125】また、請求項2の発明によれば、処理モードごとに復元領域を設定する手法を相違させるため、対象画像に応じた復元領域を設定することができ、対象画像に適切な復元を行うことができる。
【0126】また、請求項3の発明によれば、反復演算における拘束条件となる画素値の制限値を設定する手法を処理モードごとに相違させるため、対象画像に応じて適切な拘束条件を設定することができ、より解の収束安定性を向上させることができる。
【0127】また、請求項4の発明によれば、復元処理において反復演算を繰り返すほど、より画像が復元されることとなる一方、ノイズが多くなるといった弊害も発生するが、処理モードごとに反復演算の演算終了条件を相違させるため、対象画像中の被写体にとって好ましい画質となる復元後の画像を得ることができる。
【0128】また、請求項5の発明によれば、文書画像に適する処理内容が設定された処理モードが含まれているため、文書画像に最適な復元を行うことができる。
【0129】また、請求項6の発明によれば、処理モードが自動的に選択されるため、操作者に意識されることなく、対象画像の特性に基づいて対象画像に適切な復元を行うことができる。
【0130】また、請求項7の発明によれば、対象画像において特性が異なる領域が混在している場合においても、それぞれの領域の特性に基づいて適切な復元を行うことができる。




 

 


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