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発明の名称 無線基地局装置および多重接続制御方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2003−78479(P2003−78479A)
公開日 平成15年3月14日(2003.3.14)
出願番号 特願2001−269222(P2001−269222)
出願日 平成13年9月5日(2001.9.5)
代理人 【識別番号】100064746
【弁理士】
【氏名又は名称】深見 久郎 (外3名)
【テーマコード(参考)】
5K022
5K059
5K067
【Fターム(参考)】
5K022 FF00 
5K059 CC03 CC07 DD31
5K067 AA11 AA23 CC02 CC04 CC24 DD23 EE02 EE10 HH21 KK02 KK03
発明者 正岡 伸博
要約 課題
周波数オフセット等をモニタすることにより、安定な受信特性を実現できるアダプティブアレイ無線基地局の無線装置を提供する。

解決手段
アレイアンテナ♯1〜♯4からの受信信号ベクトルX(t)に対しては、ユーザ信号処理部USPにおいてアダプティブアレイ処理が行なわれる。スワップ検出部SDPは、推定されたオフセット量Δθやエラー発生頻度等に基づいてスワップの発生を検知する。制御部CNPは、スワップの発生が検出されることに応じて、所定時間、複数の端末に対して音声出力を停止させる音声停止制御信号を送信する。
特許請求の範囲
【請求項1】 複数の端末からの受信信号に対して、空間多重接続を行うための無線基地局装置であって、複数のアンテナを含むアレイアンテナと、前記複数のアンテナからの信号を受けて所定の端末からの信号を分離して抽出するためのアダプティブアレイ処理手段と、前記複数の端末からの信号のスワップの発生を検出するためのスワップ検出手段と、前記スワップ検出手段により前記スワップの発生が検出されることに応じて、所定時間、前記複数の端末に対して音声出力を停止させる音声停止制御信号を送信するための送信制御手段とを備える、無線基地局装置。
【請求項2】 前記受信信号は、時間軸方向に複数のスロットに分割して伝送され、各スロットにおいて複数の端末に対し空間多重接続を行うことが可能であって、前記送信制御手段は、前記スワップの発生が検知されると、当該スワップの発生したスロットに空間多重接続する複数の端末に対して、前記音声停止制御信号を送信する、請求項1記載の無線基地局装置。
【請求項3】 前記送信制御手段は、前記スワップの発生が検知されると、前記音声停止制御信号を前記所定時間送信した後に、受信信号のレベルに応じて、前記スワップの発生したスロットに空間多重接続する複数の端末に対して、他のスロットへのチャンネル切換および他の基地局への送受信対象の切換のいずれかを指示する、請求項2記載の無線基地局装置。
【請求項4】 前記スワップ検出手段は、所定のタイミングで前記受信信号の周波数オフセットを抽出するためのオフセット推定手段と、前記複数の端末と前記周波数オフセットとを対応付けて記憶するための記憶手段とを含み、前記スワップ検出手段は、各前記端末と対応付けられた前記周波数オフセットの値の変化と所定のしきい値との比較結果に基づいて、前記スワップの発生を検出する、請求項1〜3いずれか1項に記載の無線基地局装置。
【請求項5】 複数の端末からの受信信号に対して、空間多重接続を行うための無線基地局装置であって、複数のアンテナを含むアレイアンテナと、前記複数のアンテナからの信号を受けて所定の端末からの信号を分離して抽出するためのアダプティブアレイ処理手段とを備える無線基地局装置における多重接続制御方法であって、前記複数の端末からの信号のスワップの発生を検出するステップと、前記スワップの発生が検出されることに応じて、所定時間、前記複数の端末に対して音声出力を停止させる音声停止制御信号を送信するステップとを備える、多重接続制御方法。
【請求項6】 前記受信信号は、時間軸方向に複数のスロットに分割して伝送され、各スロットにおいて複数の端末に対し空間多重接続を行うことが可能であって、前記音声停止制御信号は、前記スワップの発生が検知されることに応じて、当該スワップの発生したスロットに空間多重接続する複数の端末に対して、送信される、請求項5記載の多重接続制御方法。
【請求項7】 前記スワップの発生が検知されると、前記音声停止制御信号を前記所定時間送信した後に、前記受信信号のレベルに応じて、前記スワップの発生したスロットに空間多重接続する複数の端末に対して、他のスロットへのチャンネル切換および他の基地局への送受信対象の切換のいずれかを指示するステップをさらに備える、請求項6記載の多重接続制御方法。
【請求項8】 前記スワップの発生を検出するステップは、所定のタイミングで前記受信信号の周波数オフセットを抽出するステップと、前記複数の端末と前記周波数オフセットとを対応付けて記憶するステップと、各前記端末と対応付けられた前記周波数オフセットの値の変化と所定のしきい値との比較結果に基づいて、前記スワップの発生を検出するステップとを含む、請求項5〜7いずれか1項に記載の多重接続制御方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、携帯電話等の無線通信において、基地局に用いられる無線装置の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、急速に発達しつつある移動体通信システム(たとえばPersonal Handyphone System:以下、PHS)では、電波の周波数利用効率を高めるために、同一周波数の同一タイムスロットを空間的に分割することにより複数ユーザの移動端末装置を無線基地システムにパス多重接続させることができるPDMA(Path Division Multiple Access)方式が提案されている。このPDMA方式では、各ユーザの移動端末装置からの信号は、周知のアダプティブアレイ処理により分離抽出される。なお、PDMA方式は、また、空間多重接続方式(SDMA方式(Spatial Division Multiple Access))とも呼ばれる。
【0003】図11は周波数分割多重接続(Frequency Division Multiple Access:FDMA),時分割多重接続(Time Division Multiple Access :TDMA)および空間多重分割接続(Spatial Division Multiple Access:SDMA)の各種の通信システムにおけるチャネルの配置図である。
【0004】まず、図11を参照して、FDMA,TDMAおよびSDMAについて簡単に説明する。図11(a)はFDMAを示す図であって、異なる周波数f1〜f4の電波でユーザ1〜4のアナログ信号が周波数分割されて伝送され、各ユーザ1〜4の信号は周波数フィルタによって分離される。
【0005】図11(b)に示すTDMAにおいては、各ユーザのデジタル化された信号が、異なる周波数f1〜f4の電波で、かつ一定の時間(タイムスロット)ごとに時分割されて伝送され、各ユーザの信号は周波数フィルタと基地局および各ユーザ移動端末装置間の時間同期とにより分離される。
【0006】一方、最近では、携帯型電話機の普及により電波の周波数利用効率を高めるために、SDMA方式が提案されている。このSDMA方式は、図11(c)に示すように、同じ周波数における1つのタイムスロットを空間的に分割して複数のユーザのデータを伝送するものである。このSDMAでは各ユーザの信号は周波数フィルタと基地局および各ユーザ移動端末装置間の時間同期とアダプティブアレイなどの相互干渉除去装置とを用いて分離される。
【0007】図12は、従来のSDMA用基地局の送受信システム2000の構成を示す概略ブロック図である。
【0008】図12に示した構成においては、送受信の指向性をつくるために、4本のアンテナ♯1〜♯4が設けられている。
【0009】受信動作においては、アンテナの出力は、RF回路2101に与えられ、RF回路2101において、受信アンプで増幅され、局部発振信号によって周波数変換された後、フィルタで不要な周波数信号が除去され、A/D変換されて、デジタル信号としてデジタルシグナルプロセッサ2102に与えられる。
【0010】デジタルシグナルプロセッサ2102には、チャネル割当基準計算機2103と、チャネル割当装置2104と、アダプティブアレイ2100とが設けられている。チャネル割当基準計算機2103は、2人のユーザからの信号がアダプティブアレイによって分離可能かどうかを予め計算する。その計算結果に応じて、チャネル割当装置2104は、周波数と時間とを選択するユーザ情報を含むチャネル割当情報をアダプティブアレイ2100に与える。アダプティブアレイ2100は、チャネル割当情報に基づいて、4つのアンテナ♯1〜♯4からの信号に対して、リアルタイムに重み付け演算を行なうことで、特定のユーザの信号のみを分離する。
【0011】[アダプティブアレイアンテナの構成]図13は、アダプティブアレイ2100のうち、1人のユーザに対応する送受信部2100aの構成を示すブロック図である。図13に示した例においては、複数のユーザ信号を含む入力信号から希望するユーザの信号を抽出するため、n個の入力ポート2020−1〜2020−nが設けられている。
【0012】各入力ポート2020−1〜2020−nに入力された信号が、スイッチ回路2010−1〜2010−nを介して、ウエイトベクトル制御部2011と乗算器2012−1〜2012−nとに与えられる。
【0013】ウエイトベクトル制御部2011は、入力信号と予めメモリ2014に記憶されている特定のユーザの信号に対応したユニークワード信号と加算器2013の出力とを用いて、ウエイトベクトルw1i〜wniを計算する。ここで、添字iは、i番目のユーザとの間の送受信に用いられるウエイトベクトルであることを示す。
【0014】乗算器2012−1〜2012ーnは、各入力ポート2020−1〜2020−nからの入力信号とウエイトベクトルw1i〜wniとをそれぞれ乗算し、加算器2013へ与える。加算器2013は、乗算器2012−1〜2012−nの出力信号を加算して受信信号SRX(t)として出力し、この受信信号SRX(t)は、ウエイトベクトル制御部2011にも与えられる。
【0015】さらに、送受信部2100aは、アダプティブアレイ無線基地局からの出力信号STX(t)を受けて、ウエイトベクトル制御部2011により与えられるウエイトベクトルw1i〜wniとそれぞれ乗算して出力する乗算器2015−1〜2015−nを含む。乗算器2015−1〜2015−nの出力は、それぞれスイッチ回路2010−1〜2010−nに与えられる。つまり、スイッチ回路2010−1〜2010−nは、信号を受信する際は、入力ポート2020−1〜2020−nから与えられた信号を、信号受信部1Rに与え、信号を送信する際には、信号送信部1Tからの信号を入出力ポート2020−1〜2020−nに与える。
【0016】[アダプティブアレイの動作原理]次に、図13に示した送受信部2100aの動作原理について簡単に説明する。
【0017】以下では、説明を簡単にするために、アンテナ素子数を4本とし、同時に通信するユーザ数PSを2人とする。このとき、各アンテナから受信部1Rに対して与えられる信号は、以下のような式で表わされる。
【0018】
【数1】

【0019】ここで、信号RXj (t)は、j番目(j=1,2,3,4)のアンテナの受信信号を示し、信号Srxi (t)は、i番目(i=1,2)のユーザが送信した信号を示す。
【0020】さらに、係数hjiは、j 番目のアンテナに受信された、i 番目のユーザからの信号の複素係数を示し、nj (t)は、j番目の受信信号に含まれる雑音を示している。
【0021】上の式(1)〜(4)をベクトル形式で表記すると、以下のようになる。
【0022】
【数2】

【0023】なお式(6)〜(8)において、[…]T は、[…]の転置を示す。ここで、X(t)は入力信号ベクトル、Hi はi番目のユーザの受信信号係数ベクトル、N(t)は雑音ベクトルをそれぞれ示している。
【0024】アダプティブアレイアンテナは、図13に示したように、それぞれのアンテナからの入力信号に重み係数w1i〜wniを掛けて合成した信号を受信信号SRX(t)として出力する。なお、ここでは、アンテナの本数nは4である。
【0025】さて、以上のような準備の下に、たとえば、1番目のユーザが送信した信号Srx1 (t)を抽出する場合のアダプティブアレイの動作は以下のようになる。
【0026】アダプティブアレイ2100の出力信号y1(t)は、入力信号ベクトルX(t)とウエイトベクトルW1 のベクトルの掛算により、以下のような式で表わすことができる。
【0027】
【数3】

【0028】すなわち、ウエイトベクトルW1 は、j番目の入力信号RXj (t)に掛け合わされる重み係数wj1(j=1,2,3,4)を要素とするベクトルである。
【0029】ここで式(9)のように表わされたy1(t)に対して、式(5)により表現された入力信号ベクトルX(t)を代入すると、以下のようになる。
【0030】
【数4】

【0031】ここで、アダプティブアレイ2100が理想的に動作した場合、周知な方法により、ウエイトベクトルW1 は次の連立方程式を満たすようにウエイトベクトル制御部2011により逐次制御される。
【0032】
【数5】

【0033】式(12)および式(13)を満たすようにウエイトベクトルW1 が完全に制御されると、アダプティブアレイ2100からの出力信号y1(t)は、結局以下の式のように表わされる。
【0034】
【数6】

【0035】すなわち、出力信号y1(t)には、2人のユーザのうちの第1番目のユーザが送信した信号Srx1 (t)が得られることになる。
【0036】一方、図13において、アダプティブアレイ2100に対する入力信号STX(t)は、アダプティブアレイ2100中の送信部1Tに与えられ、乗算器2015−1,2015−2,2015−3,…,2015−nの一方入力に与えられる。これらの乗算器の他方入力にはそれぞれ、ウエイトベクトル制御部2011により以上説明したようにして受信信号に基づいて算出されたウエイトベクトルw1i,w2i,w3i,…,wniがコピーされて印加される。
【0037】これらの乗算器によって重み付けされた入力信号は、対応するスイッチ2010−1,2010−2,2010−3,…,2010−nを介して、対応するアンテナ♯1,♯2,♯3,…,♯nに送られ、送信される。
【0038】ここで、ユーザPS1,PS2の識別は以下に説明するように行なわれる。すなわち、携帯電話機の電波信号はフレーム構成をとって伝達される。携帯電話機の電波信号は、大きくは、無線基地局にとって既知の信号系列からなるプリアンブルと、無線基地局にとって未知の信号系列からなるデータ(音声など)から構成されている。
【0039】プリアンブルの信号系列は、当該ユーザが無線基地局にとって通話すべき所望のユーザかどうかを見分けるための情報の信号列を含んでいる。アダプティブアレイ無線基地局1のウエイトベクトル制御部2011は、メモリ2014から取出したユーザAに対応したユニークワード信号と、受信した信号系列とを対比し、ユーザPS1に対応する信号系列を含んでいると思われる信号を抽出するようにウエイトベクトル制御(重み係数の決定)を行なう。
【0040】
【発明が解決しようとする課題】通話の確立を行うための動作中は、基地局に対して接続要求してきた端末を特定するための情報が基地局と端末との間でやり取りされる。
【0041】しかしながら、たとえば、PHSのシステムなどでは、一旦、通話が確立してしまうと、上述したユニークワード信号(UW信号)中には特にユーザを特定する情報が含まれていないのが一般的であるために、基地局は通話を行っている端末を識別することは原理的にできない。これは、上述したようなPDMA方式ばかりでなく、従来のたとえば、TDMA方式のPHSシステムでも同様である。
【0042】従来のTDMA方式のPHSシステムでは、隣接する基地局間で、通話中のユーザ同士が入れ替わってしまったり、特定の基地局との間で通話中の端末との交信に他の端末からの電波が割り込んでしまったりすることがあることが知られている。このような交信の不良は、スワップ(SWAP)と呼ばれる。
【0043】さらに、上述したPDMA方式による移動体通信システムにおいては、各移動端末装置から送信された信号が無線基地局に到来する受信タイミング(同期位置とも称する)は、端末装置の移動による端末装置−基地局の距離の変化や、電波の伝搬路特性の変動など、種々の要因により変動する。PDMA方式の移動体通信システムにおいて同一タイムスロットに複数のユーザの移動端末装置がパス多重接続している場合において、それぞれの移動端末装置からの受信信号の受信タイミングが上述の理由により変動して互いに近接したり、場合によっては時間的前後関係が交差したりすることがある。
【0044】受信タイミングが近づきすぎると、複数の移動端末装置からの受信信号同士の相関値が高くなり、アダプティブアレイ処理によるユーザごとの信号抽出の精度が劣化することになる。このため、各ユーザに対する通話特性も劣化することになる。この場合、PHSでは、上述したように、各移動端末装置からの受信信号は、各フレームごとにすべてのユーザに共通の既知のビット列からなる参照信号(ユニークワード信号)区間を含んでおり、複数ユーザの移動端末装置からの受信信号の受信タイミングが一致するようなことになれば、受信信号の参照信号区間が重なってユーザ同士を識別分離することができなくなり、ユーザ間の混信(上述したSWAP)を引き起こすこととなる。
【0045】さらに、PDMA方式の移動体通信システムにおいて、各タイムスロットに多重接続するユーザの数、すなわちパス多重度が増大すると、各スロット内における送信タイミング間隔は必然的に狭くなっていき、その結果、受信タイミングの近接や交差が起こりうる事態となる。そのような場合には、前述のように、通話特性が劣化したり、ユーザ間の混信が発生する可能性が生じてくる。
【0046】図14は、PDMA方式のPHSシステムのスワップの一つの形態を示す概念図である。
【0047】図14においては、基地局CS1との間で1つのパスを通じて通話中のユーザ1の端末PS1と、基地局CS1との間で他のパスを通じて通話中のユーザ2の端末PS2との間で交信する信号が入れ替わってしまった場合を示している。
【0048】また、図15は、PDMA方式ののPHSシステムのスワップの他の形態を示す概念図である。
【0049】図15においては、基地局CS1との間で1つのパスを通じて信号PS1で通話中のユーザ1の端末PS1の交信に対して、基地局CS1との間で他のパスを通じて通話中であったユーザ2の端末PS2からの信号PS2が割り込んでしまった場合を示している。
【0050】以上のようなスワップが起った場合、信号PS1と信号PS2との間では、かけられているスクランブルが異なるために、本来、交信中のユーザの端末には、他の端末に対応する信号は、雑音となって聞こえることになる。
【0051】それゆえに、この発明の目的は、基地局との間で交信をす移動体通信端末間でのスワップの発生を検知して、良好な通信品質を維持することが可能な無線基地局装置および多重接続制御方法を提供することである。
【0052】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成するために、本発明に係る無線基地局装置は、複数の端末からの受信信号に対して、空間多重接続を行うための無線基地局装置であって、複数のアンテナを含むアレイアンテナと、複数のアンテナからの信号を受けて所定の端末からの信号を分離して抽出するためのアダプティブアレイ処理手段と、複数の端末からの信号のスワップの発生を検出するためのスワップ検出手段と、スワップ検出手段によりスワップの発生が検出されることに応じて、所定時間、複数の端末に対して音声出力を停止させる音声停止制御信号を送信するための送信制御手段とを備える。
【0053】好ましくは、受信信号は、時間軸方向に複数のスロットに分割して伝送され、各スロットにおいて複数の端末に対し空間多重接続を行うことが可能であって、送信制御手段は、スワップの発生が検知されると、当該スワップの発生したスロットに空間多重接続する複数の端末に対して、音声停止制御信号を送信する。
【0054】さらに、好ましくは、送信制御手段は、スワップの発生が検知されると、音声停止制御信号を所定時間送信した後に、受信信号のレベルに応じて、スワップの発生したスロットに空間多重接続する複数の端末に対して、他のスロットへのチャンネル切換および他の基地局への送受信対象の切換のいずれかを指示する。
【0055】さらに、好ましくは、スワップ検出手段は、所定のタイミングで受信信号の周波数オフセットを抽出するためのオフセット推定手段と、複数の端末と周波数オフセットとを対応付けて記憶するための記憶手段とを含み、スワップ検出手段は、各端末と対応付けられた周波数オフセットの値の変化と所定のしきい値との比較結果に基づいて、スワップの発生を検出する。
【0056】この発明の他の局面に従うと、複数の端末からの受信信号に対して、空間多重接続を行うための無線基地局装置であって、複数のアンテナを含むアレイアンテナと、複数のアンテナからの信号を受けて所定の端末からの信号を分離して抽出するためのアダプティブアレイ処理手段とを備える無線基地局装置における多重接続制御方法であって、複数の端末からの信号のスワップの発生を検出するステップと、スワップの発生が検出されることに応じて、所定時間、複数の端末に対して音声出力を停止させる音声停止制御信号を送信するステップとを備える。
【0057】好ましくは、受信信号は、時間軸方向に複数のスロットに分割して伝送され、各スロットにおいて複数の端末に対し空間多重接続を行うことが可能であって、音声停止制御信号は、スワップの発生が検知されることに応じて、当該スワップの発生したスロットに空間多重接続する複数の端末に対して、送信される。
【0058】さらに好ましくは、多重接続制御方法は、スワップの発生が検知されると、音声停止制御信号を所定時間送信した後に、受信信号のレベルに応じて、スワップの発生したスロットに空間多重接続する複数の端末に対して、他のスロットへのチャンネル切換および他の基地局への送受信対象の切換のいずれかを指示するステップをさらに備える。
【0059】さらに好ましくは、スワップの発生を検出するステップは、所定のタイミングで受信信号の周波数オフセットを抽出するステップと、複数の端末と周波数オフセットとを対応付けて記憶するステップと、各端末と対応付けられた周波数オフセットの値の変化と所定のしきい値との比較結果に基づいて、スワップの発生を検出するステップとを含む。
【0060】
【発明の実施の形態】[実施の形態1]図1は、本発明の実施の形態1のSDMA基地局1000の構成を示す概略ブロック図である。
【0061】図1を参照して、SDMA基地局1000は、複数本のアンテナ、たとえば、アンテナ♯1〜♯4で構成されるアレイアンテナへ送信信号を与え、あるいは、受信信号を受け取るための送受信部TRP1〜TRP4と、送受信部TRP1〜TRP4からの信号を受け取り、たとえば、ユーザ1に対応する信号の処理を行う信号処理部USP1と、送受信部TRP1〜TRP4からの信号を受け取り、ユーザ1に対応する信号の処理を行う信号処理部USP2と、信号処理部USP1およびUSP2からのオフセット周波数信号Δθ1およびΔθ2に基づいて、スワップの発生を検出するためのSWAP検出部SDPと、信号処理部USP1およびUSP2からの信号に対して復調処理や時分割処理等を行うためのモデム部MDPおよびベースバンド部BBPと、SDMA基地局1000の動作を制御するための制御部CNPとを備える。
【0062】送受信部TRP1は、送信時の高周波信号処理を行うための送信部TP1と、受信時の高周波信号処理を行うための受信部RP1と、アンテナ#1と送信部TP1と受信部RP1との接続を、送信モードまたは受信モードであるかに応じて切り替えるためのスイッチSW部SW1とを含む。他の送受信部TRP2〜TRP4の構成も同様である。
【0063】なお、以上の説明では、アンテナ数は4本とし、ユーザとしては、2人であるものとしたが、より一般に、アンテナ数はN本(N:自然数)であり、ユーザは、アンテナ本数に応じた自由度に対応するユーザまで多重が可能である。
【0064】受信時には、アンテナ♯1〜♯4で受信した信号が受信部RP1〜RP4に与えられるようにスイッチSW1〜SW4は切換わる。受信部RP1〜RP4に与えられる受信信号は、そこで、増幅、周波数変換などの各種のアナログ信号処理が施され、A/D変換器(図示せず)によりデジタル信号に変換されて、ユーザ信号処理部USPに与えられる。
【0065】ユーザ信号処理部USPは、信号処理部USP1およびUSP2におけるアダプティブアレイ処理により、各ユーザの信号を分離抽出する。分離抽出された各ユーザの受信信号は、通常のモデム部MDPおよびベースバンド処理部BBPに与えられて、必要な復調処理および時分割処理が施され、元の信号に復元されて、公衆回路網PCNに供給される。
【0066】一方、送信時には、公衆回路網PCNから与えられた送信信号は、ベースバンド処理処理部BBPおよびモデム部MDPに与えられて必要な時分割処理および変調処理が施され、ユーザ信号処理部USPに与えられる。
【0067】ユーザ信号処理部USPにおいては、後述するように、必要に応じて下り送信指向性が制御され、送信部TP1〜TP4のD/A変換器(図示せず)でアナログ信号に変換される。
【0068】アナログ信号に変換された送信信号は、送信部TP1〜TP4で、さらに、増幅、周波数変換など、無線送信に必要な各種のアナログ信号処理が施される。
【0069】送信時には、スイッチSW1〜SW4は、送信部TP1〜TP4とアンテナ♯1〜♯4とを接続するように切換わり、送信部TP1〜TP4で無線信号処理された送信信号は、アンテナ♯1〜♯4から送信される。
【0070】SDMA基地局1000は、さらに、後に説明するように、スワップ検出のために端末を一意に識別するためのデータPS−IDとこの端末の周波数オフセットとの対応関係を記録するための記憶部6と、スワップ検出部SDPからスワップ検出の通知を受けた後、スワップの検出されたスロット内の端末のすべてに対して、ミュート状態(出力音声が無音の状態)を指示する所定の時間をカウントするためのタイマー部8とを備える。
【0071】以下では、SDMA基地局1000は、上述したPHSシステムの基地局であるものとして、説明を行う。
【0072】PHSの通信方式としては、送信受信のためのそれぞれ4スロット(1スロット:625μs)からなる1フレーム(5ms)を基本単位としたTDMA方式が採用されている。このフレームの構成は、SDMA方式でも同様である。このようなPHSの通信方式は、たとえば、「第2世代コードレス通話システム」として標準化がなされている。
【0073】図2は、本発明において、端末とSDMA基地局1000との間で授受される信号の構成を説明するための概念図である。
【0074】1フレームの信号は8スロットに分割され、前半の4スロットがたとえば受信用であり後半の4スロットがたとえば送信用である。
【0075】各スロットは120シンボルから構成され、図2に示した例では、たとえば、1フレームの信号は、1つの受信用および1つの送信用のスロットを1組として3組のスロットが3ユーザに対する通話チャネルに、残りの1組のスロットが制御チャネルにそれぞれ割当てられている。
【0076】また、各フレームについては、上述したユニークワード信号(参照信号)区間を含み、巡回符号による誤り検出(CRC:cyclic redundancy check)が可能な構成となっているものとする。
【0077】さらに、同一タイムスロットに複数のユーザの移動端末装置がパス多重接続している場合において、それぞれの移動端末装置からの受信信号の受信タイミングをずらすことで各ユーザを識別するために、基地局1000から各端末に対しての送信タイミングが、基準となる送信タイミングからずらされているものとする。
【0078】PHSシステムでは、同期確立の制御手順の際に、まず、制御チャネルによるリンクチャネルの確立が行われた後に、干渉波(U波:Undesired wave)測定処理を行ない、さらに割り当てられたチャネルにより通話条件の設定処理を行った後に通話が開始される。このような手順については、PHSの規格である第2世代コードレス通話システム標準規格RCR STD−28(発行:(社団法人)電波産業界)に詳しく開示されている。
【0079】図3は、このような通話シーケンスフローを示す図である。以下、図3を参照して、簡単にその説明を行なう。
【0080】まずPHS端末からCチャネル(コントロールチャネル:CCH)を用いてリンクチャネル確立要求信号(LCH確立要求信号)を基地局に対し送信する。PHS基地局は、空きチャネル(空き通話チャネル:空きTチャネル)を検出し(キャリアセンス)、Cチャネルを用いて空きTチャネルを指定するリンクチャネル割当信号(LCH割当信号)をPHS端末側に送信する。
【0081】PHS端末側では、PHS基地局から受信したリンクチャネル情報に基づき、指定されたTチャネルに、ある一定以上のパワーの干渉波信号が受信されていないか測定(U波測定)し、一定のパワー以上の干渉波信号が検出されない場合、すなわち、他のPHS基地局がこの指定されたTチャネルを使用していない場合には、指定されたTチャネルを用いて同期バースト信号を基地局に送信し、基地局からも同期バースト信号を端末側に返信して同期確立を完了する。
【0082】一方、指定されたTチャネルに、ある一定以上のパワーの干渉波信号が検出されていた場合、すなわち他のPHS基地局により使用中の場合には、PHS端末は再度リンクチャネル確立要求信号から制御手順を繰返すことになる。
【0083】このようにして、PHSシステムにおいては、干渉波が小さく良好な通信特性が得られるチャネルを用いて、端末と基地局との間で通信チャネルの接続が行なわれている。
【0084】同期バーストにより、基地局と端末との間の同期が確立すると、制御信号用のスロットによる制御チャネル(Fast Associated Control Channel : FACCH)や、後に説明するように各スロットに含まれる信号による制御チャネル(Slow Associated Control Channel : SACCH)を通じて、通話条件の設定が基地局と端末との間で行われる。ここで、「通話条件の設定」とは、「呼の設定」や通話チャネルの「機能の設定」や、スクランブル用の「秘匿鍵」の設定や、「端末の認証」などの手続きを行うことを意味する。
【0085】このような「通話条件の設定」の後に、基地局と端末との間で、割り当てられたチャンネルを介して、通話のための通信が行われる。
【0086】図4は、図2に示した送受信信号の構成をより詳しく説明するための概念図である。
【0087】図4を参照して、1フレーム(5msec)の間に、上述したとおり、受信用の4スロットと、それに後続する送信用の4スロットが含まれている。
【0088】1スロットは、120シンボル(240ビット)の信号からなる。この1スロットは、その先頭部分は既知の信号列を含み、それに続いて、音声などのデータ信号を含んでいる。
【0089】まず、基地局から端末に対して送られる「下り同期バースト」について説明する。
【0090】下り同期バーストの「既知の信号列」としては、その先頭に存在する、信号が立上る(あるいは立下がる)ため時間に対応するランプビットRに続いて、有意なデータの始まりを示すスタートシンボルSSや、端末が同期をとるために使用するプリアンブル信号PRや、アダプティブアレイ処理を行なうにあたり、参照信号として用いられるユニークワードUWや、チャネル種別を表わす信号CI等が含まれている。
【0091】次に、下り同期バーストの「データ信号」としては、上記信号CIの後ろに、基地局を識別するためのデータCS−IDと、端末を一意に識別するためのデータPS−IDとが含まれる。これらデータ信号に続いて、誤り検出符号CRCが設けられる。
【0092】次に、基地局から端末に対して送られる「下りFACCH」について説明する。
【0093】下りFACCHの「既知の信号列」としても、その先頭に存在する、ランプビットRに続いて、スタートシンボルSSや、プリアンブル信号PRや、ユニークワードUWや、チャネル種別を表わす信号CI等が含まれている。
【0094】次に、下りFACCHの「データ信号」としては、上記信号CIの後ろに、上述したSACCH信号SAと、制御情報としてのFACCH信号とが含まれる。これらデータ信号に続いて、やはり、誤り検出符号CRCが設けられる。
【0095】最後に、基地局から端末に対して送られる通話情報を伝達するための「下りTチャネル(TCH)」について説明する。
【0096】下りTCHの「既知の信号列」の構成は、下りFACCHと同様である。さらに、下りTCHの「データ信号」としては、下りFACCHと同様に、上記信号CIの後ろに、上述したSACCH信号SAが含まれ、FACCH信号の代わりに通話情報Iが含まれる。これらデータ信号に続いて、やはり、誤り検出符号CRCが設けられる。
【0097】したがって、下りFACCHと下りTCHとは、データ信号として、FACCH情報が含まれるか、あるいは通話情報Iが含まれるかが相違するものの、その他の構成は基本的に同様である。
【0098】また、以上の説明では、下り信号について説明したが、SDMA基地局1000が受信する上りの信号も基本的には同様の構成を有する。
【0099】[周波数オフセットの検出の構成]まず、本発明に係るSDMA基地局1000の動作を説明する前提として、スワップ検出部SDPの構成および動作について説明する。
【0100】携帯電話等において送受信に用いられる変調方式としては、一般にPSK変調を基調とする変調方式のQPSK変調等が用いられる。
【0101】PSK変調では、搬送波に同期した信号を受信信号に積算することによる検波を行なう同期検波が一般に行なわれる。
【0102】同期検波においては、変調波中心周波数に同期した複素共役搬送波を局部発振器により生成する。しかし、同期検波を行なう場合、通常、送信側と受信側の発振器には周波数オフセットと呼ばれる周波数誤差が存在する。この誤差によって、受信機側においては、受信信号をIQ平面上に表わした場合、受信信号点の位置が回転してしまう。このため、周波数オフセットを補償しなければ同期検波を行なうことが困難である。
【0103】このような周波数オフセットは、上述したような送受信期間の局部発振周波数の精度のみならず、設定誤差、温度変動、経時変化等により発生し、受信機に入力される信号にキャリア周波数成分が残留することにより、受信特性が急激に劣化してしまうという問題が生じる。
【0104】このようなキャリア(搬送波)周波数オフセットを検出して補償することが必要となる。本発明においては、以下に説明するように、この検出された周波数オフセットの値を用いてスワップの発生を検出する。
【0105】すなわち、SDMA基地局1000は、リンク確立時に、端末からの同期バーストを受信すると、この同期バースト中に含まれる端末を特定するためのデータPS−IDと、その端末の周波数オフセットの値とを対応付けて、記憶部6に記録する。端末の発振周波数と基地局の発振周波数のずれである周波数オフセットの値は、短時間で見るとその変動は小さく、端末固有の値とみなすことができる。
【0106】通話中も、SDMA基地局1000は、端末からの信号を受信するたびに周波数オフセットを計算する。
【0107】SDMA基地局1000は、当該スロットに受信エラーがなく、かつ、そのスロットにおける周波数オフセットの値が、記憶している周波数オフセットの値と比較して所定のしきい値以内であれば、通話中の端末からの信号であるとみなして、記憶している当該端末についての周波数オフセットの値を更新する。一方、SDMA基地局1000のスワップ検出部SDPは、受信エラーがあり、かつ周波数オフセットの値が所定のしきい値を超えて変動していれば、スワップが発生しているものと判定する。
【0108】以下、さらに詳しく説明する。図5は、図1に示したユーザ1信号処理部USP1の構成を示す概略ブロック図である。なお、ユーザ2信号処理部USP2も同様の構成を有する。
【0109】なお、図1に示したユーザ信号処理部USPおよび制御部CNPの処理は、実際には、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)を用いてソフトウェアで実現される。
【0110】図5を参照して、ユーザ1信号処理部USP1は、アンテナ♯1〜♯4からの信号が受信部RP1〜RP4においてデジタル信号に変換された受信信号ベクトルX(t)をそれぞれ受けて、ウェイトベクトルW(t)の要素と各々乗算するための乗算器12−1〜12−4と、乗算器12−1〜12−4の出力を受けて加算し受信信号y(t)として出力する加算器14と、加算器14の出力を受けて、受信信号が1スロットの信号のうち参照信号が存在する区間を受信中であるか参照信号がない区間(データ部)を受信中であるか否かを検出する判定部40と、1スロットの信号中に含まれるシンボル(たとえば120シンボル)のうちプリアンブルに含まれる参照信号を予め保持し信号d(t)として出力するメモリ30と、メモリ30からの出力と、信号y(t)とを受けて、判定部40に制御されて、周波数オフセットΔθを検出するための周波数オフセット推定部16と、受信信号ベクトルX(t)と周波数オフセット推定部16からの出力とを受けて、周知のアダプティブアレイ処理により、ウェイトベクトルW(t)を算出するためのウェイト計算部10とを備える。
【0111】ここで、受信信号ベクトルX(t)は4本のアンテナのそれぞれからの信号を要素とするベクトルである。
【0112】加算器14による複素乗算和の結果であるアレイ出力信号y(t)は、復調部42によって、ビットデータへの復調およびエラー判定がなされた後、分離抽出されたユーザ1からの受信信号として、モデム部MDPに供給される。
【0113】同様に、ユーザ2信号処理部USP2からは、分離抽出されたユーザ2からの受信信号がモデム部MDPに供給される。
【0114】受信ウェイトベクトル計算部10では、RLS(Recursive Least Squares)アルゴリズムやSMI(Sample Matrix Inversion)アルゴリズムのようなアダプティブアレイアルゴリズムを使用している。
【0115】このようなRLSアルゴリズムやSMIアルゴリズムは、アダプティブアレイ処理の分野では周知の技術であり、文献1:菊間信良著の「アレーアンテナによる適応信号処理」(科学技術出版)の第35頁〜第49頁の「第3章 MMSEアダプティブアレー」に詳細に説明されているので、ここではその説明を省略する。
【0116】一方、図1のモデム部MDPからの送信信号が、送信信号変調部44によって変調され、乗算器15−1〜15−4のそれぞれの一方入力端子に与えられ、乗算器15−1〜15−4のそれぞれの他方入力端子には、通常の空間多重接続による通信中においては、受信ウェイトベクトル計算部10で計算された受信ウェイトベクトルが、基本的には送信ウェイトベクトル計算部17でコピーされて、送信ウェイトベクトルとして印加される。
【0117】したがって、受信時と同じアンテナ#1〜#4を介して送信される信号には、受信信号と同様に特定の端末をターゲットとするウェイトベクトルによる重み付けがされているため、これらのアンテナから送信された電波信号は、原則として、この特定の端末をターゲットとする送信指向性をもって送出されることになる。
【0118】ただし、この送信ウェイトベクトル計算部17から出力される送信ウェイトベクトルの値は、スワップ検出部SDPの検出結果に応じて送信指向性制御装置18の制御により変更される。すなわち、送信指向性制御装置18は、制御部CNPの制御を受けて、スワップが検出された場合に、後に説明するように、各端末へのチャネルの切替やハンドオーバーを指示するための制御信号を送出する際に送信指向性を変更するための処理を行う。
【0119】図6は、図5に示した周波数オフセット推定部16の構成を説明するための概略ブロック図である。
【0120】図6を参照して、周波数オフセット推定部16は、加算器14の出力y(t)を判定部40を介して受けて、信号y(t)の位相をIQ平面上の所定の位相点に強制的に同期させるための強制位相同期処理部20を含む。
【0121】ここで、たとえば、信号y(t)は複数の端末のうち所望の端末からの信号を抽出した信号であり、たとえば、QPSK変調された信号であるものとする。したがって、強制位相同期処理部20は、QPSK変調された信号のIQ平面上の所定の位相に対応する信号点に強制的に同期させる処理を行なうことになる。
【0122】以下では、強制位相同期処理部20から出力される信号をレプリカ信号d′(t)と呼ぶことにする。
【0123】周波数オフセット推定部16は、さらに、強制位相同期処理部からのレプリカ信号d′(t)とメモリ30からの参照信号d(t)とを受けて、判定部40により制御されて、いずれか一方を出力するスイッチ回路50と、スイッチ回路50からの出力と加算器14からの出力の符号を反転させた上で加算するための加算器70とを備える。受信ウェイトベクトル計算部10は、加算器70からの出力を受けて、周知のアダプティブアレイ処理により、ウェイトベクトルW(t)を算出する。
【0124】周波数オフセット推定部16は、さらに、加算器70から出力される誤差信号e(t)の符号を反転させた信号と、スイッチ回路50から出力される参照信号d(t)またはレプリカ信号d′(t)とを加算する加算器80と、スイッチ回路50からの出力を受けて複素共役の信号d*(t)複素共役処理部60と、複素共役処理部60の出力と加算器80の出力とを乗算するための乗算器90と、乗算器90の出力を受けてその虚数部を抽出することで、周波数オフセットΔθ1を抽出するオフセット抽出部100とを備える。
【0125】以上のような構成により、アレイアンテナにより受信した信号から周波数オフセットを推定することが可能となる。
【0126】[スワップ発生検出の構成]
(周波数オフセット値によるスワップ発生の検出)この周波数オフセット値は、各端末の発信器に特有の値を持つので、通常であれば周波数オフセットの推定値が短時間に大きく変動することはない。しかしながら、ユーザの端末間でスワップが生じた場合には、周波数オフセットの推定値の入れ替わり、もしくは、急変が起ることになる。したがって、SWAP検出部SDPは、この周波数オフセット値を受信ごとにモニタすることにより、この値の変化が所定のしきい値を超えたかどうかにより、スワップの発生を検出することが可能となる。
【0127】(エラー分布によるスワップの検出)図2において説明したとおり、同一タイムスロットに複数のユーザの移動端末装置がパス多重接続している場合において、各ユーザを識別するために、それぞれの移動端末装置からの受信信号の受信タイミングは、正常な受信中ではたとえば、時間Δtだけずれている。
【0128】図7は、このような信号PS1と信号PS2の受信タイミングを示す概念図である。
【0129】図7に示すように、たとえば、ユーザの割り込みによるスワップが発生すると、端末PS2は、端末PS1向けの信号を自分への信号と誤認してしまうために、端末PS2は、端末PS1が送信するべきタイミングで上り信号を送出することになる。このため、端末PS1からの受信信号と端末PS2からの受信信号に、受信タイミングのずれがなくなってしまう。
【0130】このようなスワップの発生した状態では、SDMA基地局1000からみると割り込んだユーザPS2がいなくなったように見えるために、ユーザPS2については、参照信号エラー(UWエラー)が発生する。
【0131】一方、割り込まれたユーザPS1の方では、ユニークワード信号は信号PS1と信号PS2で一致するために、UWエラーは発生しないものの、情報データ(音声信号等)については、信号PS1と信号PS2とが互いに異なるために、ユーザPS1の信号について受信エラー(CRCエラー)が頻発するようになる。
【0132】したがって、ユーザ2人が空間多重により通信している場合に、一方のユーザについては、UWエラーが発生し、他方のユーザについては、CRCエラーが発生しているならば、上述したオフセット周波数の値の変化と併せて、スワップが発生したものと判定できる。
【0133】上述した例では、たとえば、ユーザPS2については、UWエラーは100%発生することになり、ユーザPS1については、CRCエラーが50%の頻度で発生するというような事態が発生しうる。このような事態は、正常な送受信が行われている限り、発生し得ないものである。
【0134】[スワップ検出後の基地局1000の動作]図8は、図1に示したSDMA基地局1000がスワップを検出した場合の動作を説明するためのフローチャートである。
【0135】SDMA基地局1000は、スワップが検出されると(ステップS100)、そのスワップの検出されたスロットで接続するユーザの端末に対して、通話情報の代わりに特に意味を持たないFACCH信号の送出を行う。端末の側では、受信した信号がFACCH信号であることを検知すると、その間は、通話情報が送信されてきていないものとして、ミュート状態(無音状態)となる(ステップS102)。SDMA基地局1000では、スワップ検出後、タイマー部8が、スワップ検出からの経過時間をカウントしている。
【0136】続いて、スワップ状態から復帰しているかの判定を行う(ステップS103)。スワップが発生している状態は、通信システムとしては、不安定な状態であるために、所定時間内にスワップが解消し、もとの状態に復帰している可能性がある。したがって、スワップ状態から復帰していれば、タイマ部8をオフ状態として(ステップS104)、処理は終了する(ステップS112)。
【0137】一方、ステップS103においてスワップ状態から復帰していない場合、さらに、タイマ部8のカウントが所定時間に達していなければ(ステップS105)、処理はステップS102に復帰する。
【0138】一方、ステップS105において、所定の時間が経過したと判断されると、続いて、当該スロットにおいて受信レベルが規定の値よりも小さいか否かの判定が行われる(ステップS106)。
【0139】ステップS106において、受信レベルが規定の値以上であると判断されると、スワップの発生している端末は、両方とも、基地局1000から遠い位置ではないと推定されるので、基地局1000と当該スロットで交信中の全ての端末に対して、他のスロットに通信チャネル(TCH)の切替を行うように指示する(ステップS108)。このようにすれば、当該スロットで交信していた全ての端末が他のスロットで改めて通信を始めるので、スワップにより、各端末に発生していた雑音が鳴り止むことになる。これにより、スワップへの対処が終了する(ステップS112)。
【0140】一方、ステップS106において、受信レベルが規定値よりも小さいと判断されると、スワップの発生している端末は、両方とも、基地局1000から遠い位置にあると推定されるので、基地局1000と当該スロットで交信中の全ての端末に対して、他の基地局にハンドオーバーするように指示する(ステップS110)。このようにすれば、当該スロットで交信していた全ての端末が他の基地局を介して通信を始めるので、スワップにより、各端末に発生していた雑音が鳴り止むことになる。これにより、スワップへの対処が終了する(ステップS112)。
【0141】以上説明したような構成によりスワップを検出し、スワップの発生したスロットで接続する端末に対してスワップへの対処処理を行うことで、端末において、スワップによる不快な雑音の発生を抑制することが可能となる。
【0142】ここで、ステップS108においてチャネル切替の指示を制御チャネルにより送出する場合や、ステップS110においてハンドオーバーの指示を制御チャネルにより送出する場合には、「オムニ送信」を用いる。
【0143】以下、「オムニ送信」について簡単に説明する。図9は、通常の空間多重接続による通信中において、基地局1000から端末PS1およびPS2へ送出される送信信号の指向性を示す概念図である。
【0144】図10は、オムニ送信による通信において、基地局1000から端末PS1およびPS2へ送出される送信信号の指向性を示す概念図である。
【0145】図9に示すとおり、空間多重接続による通信中においては、所望のユーザの端末に対して指向性を有し、他のユーザに対してはヌル方向となるように指向性が制御される。
【0146】これに対して、オムニ送信では、図10に示すとおり、各ユーザの端末の対しても特に指向性を有さない無指向性の電波が送出される。これにより、スワップが発生している場合でも、当該スロットで接続するすべてのユーザに対して、通話チャネルの切替やハンドオーバーの指示を送信することができる。
【0147】今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0148】
【発明の効果】以上説明したとおり、本願発明によれば、基地局においてスワップの発生を検出できるので、端末において、スワップによる不快な雑音の発生を抑制することが可能となる。




 

 


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