米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 計算機;電気通信 -> 三洋電機株式会社

発明の名称 無線基地装置、送信指向性制御方法および送信指向性制御プログラム
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2003−78472(P2003−78472A)
公開日 平成15年3月14日(2003.3.14)
出願番号 特願2001−263900(P2001−263900)
出願日 平成13年8月31日(2001.8.31)
代理人 【識別番号】100064746
【弁理士】
【氏名又は名称】深見 久郎 (外3名)
【テーマコード(参考)】
5K059
5K067
【Fターム(参考)】
5K059 CC01 CC04 DD31 
5K067 AA01 BB02 CC24 EE02 EE10 KK02 KK03
発明者 森 康一 / 中尾 正悟
要約 課題
ダイバーシチ端末における受信性能が劣化することなく、空間多重接続を維持することができる無線基地装置、送信指向性制御方法および送信指向性制御プログラムを提供する。

解決手段
アダプティブアレイ基地局1000において、ユーザ信号処理部50は、複数のアンテナ11,12に対するアダプティブアレイ処理により、所望の端末に対する送信指向性を有する電波を送出する。さらに、ユーザ信号処理部50は、接続している端末装置がダイバーシチ端末装置であるか否かを判定した結果に応じて、ダイバーシチ端末装置に対する送信指向性を所定期間だけ変更する。
特許請求の範囲
【請求項1】 移動体通信システムにおける無線基地装置であって、前記移動体通信システムは、前記無線基地装置に空間多重接続が可能なダイバーシチ受信を行なう複数のダイバーシチ端末装置を含み、前記無線基地装置は、複数のアンテナと、前記複数のアンテナに対するアダプティブアレイ処理により、所望の端末に対する送信指向性を有する電波を送出するためのアダプティブアレイ制御手段と、前記無線基地装置に接続している端末装置がダイバーシチ端末装置であるか否かを判定する端末種別判定手段と、前記端末種別判定手段による判定結果に応じて、ダイバーシチ端末装置に対する送信指向性を所定期間だけ変更する送信指向性制御手段とを備える、無線基地装置。
【請求項2】 前記無線基地装置と前記ダイバーシチ端末装置との間で授受される信号は、複数のスロットから成り、各前記スロットは、既知の信号列からなるプリアンブル区間と、通信されるデータを含むデータ区間とを含み、前記送信指向性制御手段は、前記ダイバーシチ端末装置との間の送信信号が前記プリアンブル区間であることを検知して、前記送信指向性を前記プリアンブル区間だけ変更する、請求項1に記載の無線基地装置。
【請求項3】 前記端末種別判定装置は、前記無線基地装置に接続している端末装置における下り信号の受信性能および前記端末装置からの上り信号の品質を評価する手段と、前記下り信号の受信性能が低くかつ前記上り信号の品質が良好であると評価されたときに前記端末装置をダイバーシチ端末装置と判定する手段とを含む、請求項1または2に記載の無線基地装置。
【請求項4】 移動体通信システムにおいて、複数のアンテナに対するアダプティブアレイ処理により、所望の端末に対する送信指向性を有する電波を送出するアダプティブアレイ無線基地装置の送信指向性制御方法であって、前記移動体通信システムは、前記無線基地装置に空間多重接続が可能なダイバーシチ受信を行なう複数のダイバーシチ端末装置を含み、前記送信指向性制御方法は、前記無線基地装置に接続している端末装置がダイバーシチ端末装置であるか否かを判定するステップと、判定結果に応じて、前記ダイバーシチ端末装置に対する送信指向性を所定期間だけ変更するステップとを備える、送信指向性制御方法。
【請求項5】 前記無線基地装置と前記ダイバーシチ端末装置との間で授受される信号は、複数のスロットから成り、各前記スロットは、既知の信号列からなるプリアンブル区間と、通信されるデータを含むデータ区間とを含み、前記送信指向性を変更するステップは、前記ダイバーシチ端末装置との間の送信信号が前記プリアンブル区間であることを検知して、前記送信指向性を前記プリアンブル区間だけ変更するステップを含む、請求項4に記載の送信指向性制御方法。
【請求項6】 前記判定するステップは、前記無線基地装置に接続している端末装置における下り信号の受信性能および前記端末装置からの上り信号の品質を評価するステップと、前記下り信号の受信性能が低くかつ前記上り信号の品質が良好であると評価されたときに前記端末装置をダイバーシチ端末装置と判定するステップとを含む、請求項4または5に記載の送信指向性制御方法。
【請求項7】 移動体通信システムにおいて、複数のアンテナに対するアダプティブアレイ処理により、所望の端末に対する送信指向性を有する電波を送出するアダプティブアレイ無線基地装置のための送信指向性制御プログラムであって、前記移動体通信システムは、前記無線基地装置に空間多重接続が可能なダイバーシチ受信を行なう複数のダイバーシチ端末装置を含み、前記送信指向性制御プログラムは、コンピュータに、前記無線基地装置に接続している端末装置がダイバーシチ端末装置であるか否かを判定するステップと、判定結果に応じて、前記ダイバーシチ端末装置に対する送信指向性を所定期間だけ変更するステップとを実行させる、送信指向性制御プログラム。
【請求項8】 前記無線基地装置と前記ダイバーシチ端末装置との間で授受される信号は、複数のスロットから成り、各前記スロットは、既知の信号列からなるプリアンブル区間と、通信されるデータを含むデータ区間とを含み、前記送信指向性を変更するステップは、前記ダイバーシチ端末装置との間の送信信号が前記プリアンブル区間であることを検知して、前記送信指向性を前記プリアンブル区間だけ変更するステップを含む、請求項7に記載の送信指向性制御プログラム。
【請求項9】 前記判定するステップは、前記無線基地装置に接続している端末装置における下り信号の受信性能および前記端末装置からの上り信号の品質を評価するステップと、前記下り信号の受信性能が低くかつ前記上り信号の品質が良好であると評価されたときに前記端末装置をダイバーシチ端末装置と判定するステップとを含む、請求項7または8に記載の送信指向性制御プログラム。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、無線基地装置、送信指向性制御方法および送信指向性制御プログラムに関し、特に、複数のダイバーシチ端末と通信している移動体通信システムにおいて、空間多重接続を維持することが可能な無線基地装置、送信指向性制御方法および送信指向性制御プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、急速に発達しつつある移動体通信システム(たとえば、Personal Handyphone System:以下、PHS)では、電波の周波数利用効率を高めるために、同一周波数の同一タイムスロットを空間的に分割することにより複数ユーザの無線端末装置(端末)を無線基地局(基地局)に空間多重接続させることができるPDMA(Path Division Multiple Access)方式が提案されている。
【0003】このPDMA方式では、アダプティブアレイ技術が採用されており、各ユーザ端末のアンテナからの上り信号は、基地局のアレイアンテナによって受信されアダプティブアレイ処理により受信指向性を伴って分離抽出される。一方、基地局から当該端末への下り信号は、端末のアンテナに対する送信指向性を伴ってアレイアンテナから送信される。
【0004】このようなアダプティブアレイ処理は周知の技術であり、たとえば、文献1:菊間信良著の「アレーアンテナによる適応信号処理」(科学技術出版)の第35頁〜第49頁の「第3章 MMSEアダプティブアレー」に詳細に説明されているので、ここではその動作原理についての説明を省略する。
【0005】なお、以下の説明においては、このようなアダプティブアレイ処理を用いて端末に対する下りの送信指向性制御を行なう基地局を、「アダプティブアレイ基地局」と称する。
【0006】一方、端末としては、複数のアンテナを用いて選択ダイバーシチ受信(以下、「ダイバーシチ受信」と呼ぶ)を行なうものが知られている。このような端末としては、ホイップアンテナおよびチップアンテナと呼ばれる2つのアンテナを内蔵したものが一般的であり、以下このような端末を「ダイバーシチ端末」と称する。また、ダイバーシチ受信を行なわない1アンテナの端末を通常端末と称する。
【0007】このようなダイバーシチ端末は、通常、送信時には、一方のアンテナ(一般にホイップアンテナ)を送信アンテナとして固定し、受信時には、ホイップアンテナおよびチップアンテナのうち受信レベルの高い方のアンテナを受信アンテナとして選択するように動作する。
【0008】このようなダイバーシチ端末は、接続する相手先の基地局が送信指向性制御を行なうアダプティブアレイ基地局であるか、それ以外の無指向性の基地局であるかに関わりなく、上述のダイバーシチ受信を実行するのが一般的である。
【0009】図8は、端末と基地局との接続状態を模式的に示す図であり、特に、アダプティブアレイ基地局1に対して、2つのダイバーシチ端末U1およびU2が、アダプティブアレイ処理により空間多重接続している状態を模式的に示す図である。
【0010】図8を参照して、ダイバーシチ端末U1は、送信時には、送信アンテナとして固定されているホイップアンテナ2aで上り信号を送信し、アダプティブアレイ基地局1はアレイアンテナ1aでこれを受信する。
【0011】一方、ダイバーシチ端末U2も、送信時には、送信アンテナの固定されているホイップアンテナ3aで上り信号を送信し、アダプティブアレイ基地局1は、アレイアンテナ1aでこれを受信する。
【0012】これに対して、アダプティブアレイ基地局1からは、実線で示す指向性(送信電力レベルに相当)でダイバーシチ端末U1に対する下り信号が送信され、破線で示す指向性(送信電力レベルに相当)でダイバーシチ端末U2に対する下り信号が送信される。
【0013】ダイバーシチ端末U1に対する送信指向性は、ダイバーシチ端末U1の上り信号を送信したホイップアンテナ2aに対してビームが向けられ、干渉源となるダイバーシチ端末U2のアンテナ3aに対してヌルが向けられる。
【0014】一方、ダイバーシチ端末U2に対する送信指向性は、ダイバーシチ端末U2の上り信号を送信したアンテナ3aに対してビームが向けられ、干渉源となるダイバーシチ端末U1のホイップアンテナ2aに対してヌルが向けられる。
【0015】この結果、ダイバーシチ端末U1のアンテナ2aで受信した信号は、アダプティブアレイ基地局から当該ダイバーシチ端末U1への下り信号レベル(実線)に対して、アダプティブアレイ基地局1からダイバーシチ端末U2に対する下り信号レベル(破線)が相対的に小さく、干渉成分の小さい信号、いわゆるDU比が高い信号となっている。ダイバーシチ端末U2についても同様である。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前述のように、ダイバーシチ端末では、ホイップアンテナを送信アンテナとして固定し、受信時にはホイップアンテナおよびチップアンテナのうち受信レベルの高い方のアンテナを受信アンテナとして選択するように動作する。
【0017】ここで、ダイバーシチ端末U1のチップアンテナ2bに着目すると、このアンテナは上り信号の送信には用いられてはおらず、そのため、ダイバーシチ端末U2に対する送信指向性(破線)のヌルは向けられていない。
【0018】このため、ダイバーシチ端末U1のチップアンテナ2bでは、このダイバーシチ端末U2に対する送信電力(実線)に加えて、ダイバーシチ端末U2に対する送信電力(破線)をも受信することとなり、チップアンテナ2bにおける受信レベルがホイップアンテナ2aにおける送信レベルを上回り、チップアンテナ2bが受信用アンテナとして選択される可能性が出てくる。
【0019】もしも、チップアンテナ2bが受信用アンテナとして選択されると、アダプティブアレイ基地局1から当該ダイバーシチ端末U2への下り信号レベル(実線)に対して、アダプティブアレイ基地局1からダイバーシチ端末U2に対する下り信号レベル(破線)が相対的に大きくなり、干渉成分の大きなDU比が低い信号となってしまう。
【0020】ダイバーシチ端末U1において、このようなDU比の低い受信信号を復調しようとしても、復調信号のフレームエラーが発生し正確な復調はできない可能性が高くなる。
【0021】このように、ダイバーシチ端末がアダプティブアレイ基地局のサービスエリア内に複数存在しているような移動体通信システムでは、複数のダイバーシチ端末がアダプティブアレイ基地局に空間多重接続している場合、ダイバーシチ端末におけるDU比が低下し、干渉波によってその受信性能が劣化することになる。
【0022】その結果、ダイバーシチ端末は空間多重接続を維持することができなくなるという問題があった。
【0023】それゆえに、この発明の目的は、複数のダイバーシチ端末と基地局が空間多重接続する移動体通信システムにおいて、ダイバーシチ端末における受信性能が劣化することなく、空間多重接続を維持することができる無線基地装置、送信指向性制御方法および送信指向性制御プログラムを提供することである。
【0024】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の無線基地装置は、移動体通信システムにおける無線基地装置であって、移動体通信システムは、無線基地装置に空間多重接続が可能なダイバーシチ受信を行なう複数のダイバーシチ端末装置を含み、無線基地装置は、複数のアンテナと、複数のアンテナに対するアダプティブアレイ処理により、所望の端末に対する送信指向性を有する電波を送出するためのアダプティブアレイ制御手段と、無線基地装置に接続している端末装置がダイバーシチ端末装置であるか否かを判定する端末種別判定手段と、端末種別判定手段による判定結果に応じて、ダイバーシチ端末装置に対する送信指向性を所定期間だけ変更する送信指向性制御手段とを備える。
【0025】請求項2記載の無線基地装置は、請求項1記載の無線基地装置の構成に加えて、無線基地装置とダイバーシチ端末装置との間で授受される信号は、複数のスロットから成り、各スロットは、既知の信号列からなるプリアンブル区間と、通信されるデータを含むデータ区間とを含み、送信指向性制御手段は、ダイバーシチ端末装置との間の送信信号がプリアンブル区間であることを検知して、送信指向性をプリアンブル区間だけ変更する。
【0026】請求項3記載の無線基地装置は、請求項1または2に記載の無線基地装置の構成に加えて、端末種別判定装置は、無線基地装置に接続している端末装置における下り信号の受信性能および端末装置からの上り信号の品質を評価する手段と、下り信号の受信性能が低くかつ上り信号の品質が良好であると評価されたときに端末装置をダイバーシチ端末装置と判定する手段とを含む。
【0027】請求項4記載の送信指向性制御方法は、移動体通信システムにおいて、複数のアンテナに対するアダプティブアレイ処理により、所望の端末に対する送信指向性を有する電波を送出するアダプティブアレイ無線基地装置の送信指向性制御方法であって、移動体通信システムは、無線基地装置に空間多重接続が可能なダイバーシチ受信を行なう複数のダイバーシチ端末装置を含み、送信指向性制御方法は、無線基地装置に接続している端末装置がダイバーシチ端末装置であるか否かを判定するステップと、判定結果に応じて、ダイバーシチ端末装置に対する送信指向性を所定期間だけ変更するステップとを備える。
【0028】請求項5記載の送信指向性制御方法は、請求項4記載の送信指向性制御方法の構成に加えて、無線基地装置とダイバーシチ端末装置との間で授受される信号は、複数のスロットから成り、各スロットは、既知の信号列からなるプリアンブル区間と、通信されるデータを含むデータ区間とを含み、送信指向性を変更するステップは、ダイバーシチ端末装置との間の送信信号がプリアンブル区間であることを検知して、送信指向性をプリアンブル区間だけ変更するステップを含む。
【0029】請求項6記載の送信指向性制御方法は、請求項4または5記載の送信指向性制御方法の構成に加えて、判定するステップは、無線基地装置に接続している端末装置における下り信号の受信性能および端末装置からの上り信号の品質を評価するステップと、下り信号の受信性能が低くかつ上り信号の品質が良好であると評価されたときに端末装置をダイバーシチ端末装置と判定するステップとを含む。
【0030】請求項7記載の送信指向性制御プログラムは、移動体通信システムにおいて、複数のアンテナに対するアダプティブアレイ処理により、所望の端末に対する送信指向性を有する電波を送出するアダプティブアレイ無線基地装置のための送信指向性制御プログラムであって、移動体通信システムは、無線基地装置に空間多重接続が可能なダイバーシチ受信を行なう複数のダイバーシチ端末装置を含み、送信指向性制御プログラムは、コンピュータに、無線基地装置に接続している端末装置がダイバーシチ端末装置であるか否かを判定するステップと、判定結果に応じて、ダイバーシチ端末装置に対する送信指向性を所定期間だけ変更するステップとを実行させる。
【0031】請求項8記載の送信指向性制御プログラムは、請求項7記載の送信指向性制御プログラムの構成に加えて、無線基地装置とダイバーシチ端末装置との間で授受される信号は、複数のスロットから成り、各スロットは、既知の信号列からなるプリアンブル区間と、通信されるデータを含むデータ区間とを含み、送信指向性を変更するステップは、ダイバーシチ端末装置との間の送信信号がプリアンブル区間であることを検知して、送信指向性をプリアンブル区間だけ変更するステップを含む。
【0032】請求項9記載の送信指向性制御プログラムは、請求項7または8記載の送信指向性制御プログラムの構成に加えて、判定するステップは、無線基地装置に接続している端末装置における下り信号の受信性能および端末装置からの上り信号の品質を評価するステップと、下り信号の受信性能が低くかつ上り信号の品質が良好であると評価されたときに端末装置をダイバーシチ端末装置と判定するステップとを含む。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0034】図1は、この発明の送信電力およびその送信指向性制御の原理を模式的に示す概念図である。より特定的には、まず、アダプティブアレイ基地局に対しダイバーシチ端末U1(図示せず)が接続しているものとする。このような状態において、上述した図8と同様に、さらに、ダイバーシチ端末U2が、アダプティブアレイ基地局にアダプティブアレイ処理を用いることで空間多重接続するときに、ダイバーシチ端末U2における所望波と干渉波の状態を、図1は模式的に示している。
【0035】図1に示す空間多重接続状態は、以下の点において、図8に示した状態と異なっている。
【0036】すなわち、アダプティブアレイ基地局は、ダイバーシチ端末U2が、チップアンテナあるいはホイップアンテナのいずれを受信アンテナとするかを決定する際に、それまでダイバーシチ端末U1と送信していた指向性を崩し、言い換えると、送信指向性の位相をずらすことで、ダイバーシチ端末U2のホイップアンテナ3aに対して、わざと干渉波のレベルが高くなるような送信指向性を実現する。
【0037】これにより、ダイバーシチ端末U2のホイップアンテナ3aの受信電力を、このような送信指向性の変更を行なわない場合に比べて大きくすることができる。したがって、チップアンテナ3bではなく、ホイップアンテナ3aが受信アンテナとして選択される可能性が高くなる。
【0038】すなわち、まず、このような指向性を崩す前においては、「ホイップアンテナの受信電力」と「チップアンテナの受信電力」とは以下のように表わされる。
【0039】(ホイップアンテナの受信電力)=(所望波のビーム)
(チップアンテナの受信電力)=(所望波のサイドローブ)+(干渉波のサイドローブ)
これに対して、上述したように、送信指向性を崩す処理を行なうと、「ホイップアンテナの受信電力」および「チップアンテナの受信電力」は、送信指向性を崩す処理をした場合の干渉波を「干渉波´」と表現すると、以下のように変更される。
【0040】(ホイップアンテナの受信電力)=(所望波のビーム)=(干渉波′のサイドローブ)
(チップアンテナの受信電力)=(所望波のサイドローブ)+(干渉波′のサイドローブ)
なお、上述した「ダイバーシチ端末が、チップアンテナおよびホイップアンテナのいずれを受信アンテナとするかを決定する際」とは、後に説明するようなアダプティブアレイ基地局からの送信信号の「プリアンブル区間」である。
【0041】このようにして「プリアンブル区間」でアダプティブアレイ基地局からの送信指向性を崩した後、復調などの端末側に必要なデータの区間では、本来の送信指向性に戻す処理を行なう。
【0042】このような処理を行なえば、空間多重の成功確率を向上させることが可能となる。
【0043】図2は、図1に関連して説明した送信指向性制御を行なうための、この発明の実施の形態によるアダプティブアレイ基地局1000の構成を示す概略ブロック図である。
【0044】図2を参照して、アダプティブアレイ基地局1000は、複数本のアンテナ、たとえば、アンテナ11、12からなるアレイアンテナを備えている。
【0045】アンテナ11、12は、それぞれ、無線部21、22に接続される。無線部21および22は、全く同じ構成を有しており、無線部21の構成のみ図示し説明することとする。
【0046】無線部21は、スイッチ110と、送信部111と、受信部112と、D/A変換器113と、A/D変換器114とを備えている。
【0047】受信時には、アンテナ11で受信した信号が受信部112に与えられるようにスイッチ110は切換わる。受信部112に与えられる受信信号は、そこで、増幅、周波数変換などの各種のアナログ信号処理が施され、A/D変換器114によりデジタル信号に変換されて、ユーザ信号処理部50に与えられる。
【0048】ユーザ信号処理部50は、後述するアダプティブアレイ処理により、各ユーザの信号を分離抽出する。分離抽出された各ユーザの受信信号は、通常のモデム部60およびベースバンド処理およびTDMA/TDD処理部70に与えられて、必要な復調処理および時分割処理が施され、元の信号に復元されて、公衆回路網90に供給される。
【0049】一方、送信時には、公衆回路網90から与えられた送信信号は、ベースバンド処理およびTDMA/TDD処理部70およびモデム部60に与えられて必要な時分割処理および変調処理が施され、ユーザ信号処理部50に与えられる。
【0050】ユーザ信号処理部50においては、後述するように、下り送信指向性が制御され、無線部21のD/A変換器113でアナログ信号に変換される。
【0051】アナログ信号に変換された送信信号は、送信部111で、増幅、周波数変換など、無線送信に必要な各種のアナログ信号処理が施される。
【0052】送信時には、スイッチ110は、送信部111とアンテナ11とを接続するように切換わり、送信部111で無線処理された送信信号は、アンテナ11から送信される。
【0053】無線部22を介しても、基本的には同様の処理が実行され、アンテナ11および12により、アダプティブアレイ処理が施された送信指向性を有する電波が送出される。
【0054】なお、図2のアダプティブアレイ基地局1000は、制御部80を備えており、制御部80においては、後に説明する手続に従って、モデム部60およびベースバンド処理およびTDMA/TDD処理部70からの情報に基づいて、端末の種別を判定するための「ダイバーシチ端末判定部」、多重接続が行なわれているかを判定するための「多重判定部」や、現在の通信信号が「プリアンブル区間」であるか否かを判定するための「通信区間判定部」とが設けられている。
【0055】制御部80の動作については後により詳しく説明することにする。図3は、アダプティブアレイ基地局1000と端末との間で送受信される信号の構成を説明するための概念図である。
【0056】1フレームの信号は8スロットに分割され、前半の4スロットがたとえば送信用であり後半の4スロットがたとえば受信用である。
【0057】図3に示した例では、1つの受信用および1つの送信用のスロットを1組として3または4ユーザに対して1フレームの信号を割当てられている。
【0058】また、各フレームについては、ユニークワード信号(参照信号)区間を含み、巡回符号による誤り検出(CRC:cyclic redundancy check)が可能な構成となっているものとする。アダプティブアレイ基地局1000は、予め記憶しているユニークワード信号と、受信した信号系列とを対比し、特定のユーザに対応する信号系列を含んでいると思われる信号を抽出するようにウエイトベクトル制御(アダプティブアレイ処理のための重み係数の決定)を行なう。
【0059】ここで、同一タイムスロットに複数のユーザの移動端末装置がパス多重接続している場合において、それぞれの移動端末装置からの受信信号の受信タイミングをずらすことで各ユーザを識別するために、基地局1000から各端末に対しての送信タイミングが、基準となる送信タイミングからずらされているものとする。
【0060】図4は、図3に示した送受信信号の構成をより詳しく説明するための概念図である。
【0061】図4を参照して、1フレーム(5msec)の間に、送信用の4スロットと、それに後続する受信用の4スロットが含まれている。
【0062】送信用の1スロットは、120シンボル(240ビット)の信号からなる。この1スロットは、その先頭部分は既知の信号列を含み、それに続いて、音声などのデータ信号を含んでいる。
【0063】「既知の信号列」としては、その先頭にはランプ部分Rや、スタートシンボルSSや、端末との間で同期をとるためのプリアンブル信号PRや、アダプティブアレイ処理を行なうにあたり、参照信号として用いられるユニークワードUWや、チャネル種別を表わす信号CI等が含まれている。
【0064】図4において、制御用スロットは、通話を確立するための期間中において、端末と基地局との間でデータの授受を行なうためのスロットであり、通信用スロットとは、各端末と基地局との間で通話のための信号を授受するためのスロットである。
【0065】受信側のスロットについても、基本的には同様の構成を有し、受信スロットは、既知の信号系列からなる区間と、音声などのデータを含む区間とからなる。
【0066】ここで、本発明において、送信指向性をずらすことで、ダイバーシチ端末においてホイップアンテナを選択される確率を高めるための処理を行なう「プリアンブル区間」とは、フレームフォーマット内において、上記データ区間の前に存在し、同期をとるため等に使用される「既知の信号列」のうち、通信プロトコル上は「受信エラーが起きること自体は前提として認められている区間」を意味するものとする。たとえば、PHSのフレームフォーマットでは、図4中の「プリアンブル信号の区間(PR)」が、このような「プリアンブル区間」に相当する。
【0067】したがって、このような「プリアンブル区間」で、受信エラーが起きたとしても、通話状態にエラーが発生したとは、システム上判断されない。つまり、逆に、このような「プリアンブル区間」において、送信指向性を崩す処理を行なったとしても、通話状態の維持には影響を与えることがない。
【0068】図5は、図2に示したユーザ信号処理部50の構成を示す機能ブロック図である。
【0069】なお、図2に示したユーザ信号処理部50および制御部80の処理は、実際には、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)を用いてソフトウェアで実現される。
【0070】図5を参照して、ユーザ信号処理部50は、ユーザA信号処理部50aと、ユーザB信号処理部50bとから構成される。
【0071】ユーザA信号処理部50aおよびユーザB信号処理部50bは全く同じ構成を有しており、ユーザA信号処理部50aの構成のみに図示して説明することとする。
【0072】図2のアンテナ11に対応する無線部21の受信部112からA/D変換器114を介して与えられたデジタルの受信信号およびアンテナ12に対応する無線部22の図示しない受信部から図示しないA/D変換器を介して与えられたデジタル受信信号が、ユーザA信号処理部50aおよびユーザB信号処理部50bに共通に与えられる。
【0073】以下に、ユーザA信号処理部50aに与えられたこれらのデジタル信号の処理について説明する。
【0074】ユーザA信号処理部50aに与えられたこれらの信号に対しては、図5に示す機能ブロック図に従って、基地局1000において、ソフトウェア的にアダプティブアレイ処理が施される。
【0075】図5を参照して、無線部21、22よりユーザA信号処理部50aに与えられた2系統のデジタル受信信号からなる受信信号ベクトルは、乗算器MR1、MR2のそれぞれの一方入力に与えられるとともに、受信ウェイトベクトル計算機52aに与えられる。
【0076】受信ウェイトベクトル計算機52aは、後述するアダプティブアレイアルゴリズムにより、アンテナごとのウェイトからなるウェイトベクトルを算出し、乗算器MR1、MR2のそれぞれの他方入力に与えて、対応するアンテナからの受信信号ベクトルとそれぞれ複素乗算する。加算器AD1によりその複素乗算結果の総和であるアレイ出力信号が得られる。
【0077】上述のような複素乗算和の結果であるアレイ出力信号は、復調およびエラー判定部51aによって、ビットデータへの復調およびエラー判定がなされた後、分離抽出されたユーザAからの受信信号として、図2のモデム部60に供給される。
【0078】同様に、ユーザB信号処理部50bからは、分離抽出されたユーザBからの受信信号がモデム部60に供給される。
【0079】受信ウェイトベクトル計算機52aでは、RLS(Recursive Least Squares)アルゴリズムやSMI(Sample Matrix Inversion)アルゴリズムのようなアダプティブアレイアルゴリズムを使用している。
【0080】このようなRLSアルゴリズムやSMIアルゴリズムは、アダプティブアレイ処理の分野では周知の技術であり、上述した文献1に詳細に説明されているので、ここではその説明を省略する。
【0081】一方、図2のモデム部60からの送信信号が、送信信号変調部53aによって変調され、乗算器MT1、MT2のそれぞれの一方入力端子に与えられ、乗算器MT1、MT2のそれぞれの他方入力端子には、受信ウェイトベクトル計算機52aで計算された受信ウェイトベクトルが、送信ウェイトベクトル54aでコピーされて、送信ウェイトベクトルとして印加される。
【0082】ただし、この送信ウェイトベクトル計算機54aから出力される送信ウェイトベクトルの値は、送信指向性制御装置55aの制御により変更される。すなわち、送信指向性制御装置55aは、多重接続が行なわれているかを示す多重情報や、接続中の端末がダイバーシチ端末であるか否かを示すダイバーシチ端末情報や、現在通信中の区間がプリアンブル区間であるか否かを示す通信区間情報を制御部80から受けて、送信指向性を変更するための処理を行う。
【0083】より詳しくは、プリアンブル区間においては、送信ウェイトベクトル計算機54aは、受信ウェイトベクトル計算機52aで計算された受信ウェイトベクトルをコピーして乗算器MT1,MT2のそれぞれの一方入力端子に与える。これに対して、複数のダイバーシチ端末が多重接続しようとする場合において、「プリアンブル区間」においては、送信ウェイトベクトル計算機54aは、送信指向性制御装置55aに制御されて、その送信指向性を変更させた上で、乗算器MT1およびMT2のそれぞれの一方入力端子に与える。
【0084】このように、ユーザA信号処理部50aおよびユーザB信号処理部50bのそれぞれにおいて送信ウェイトベクトルとの複素乗算で重み付けされた2系統のデジタル送信信号は、それぞれ無線部21、22に与えられる。
【0085】無線部21、22に与えられるデジタル送信信号は、それぞれアンテナ11、12を介して送信される。
【0086】受信時と同じアンテナ11、12を介して送信される信号には、受信信号と同様に特定の端末をターゲットとするウェイトベクトルによる重み付けがされているため、これらのアンテナから送信された電波信号は、原則として、この特定の端末をターゲットとする送信指向性をもって送出されることになる。
【0087】図6は、図1に示したこの発明の送信指向性制御方法を実現するために、アダプティブアレイ基地局1000のDSP(図2のユーザ信号処理部50および制御部80に相当)によって実行される動作を説明するためのフローチャートである。
【0088】図6を参照して、まず、基地局1000において、ユーザ1と通話中であるものとする(ステップS100)。
【0089】続いて、ユーザ1に加えてユーザ2と多重通信も行なっているか否かの判定が行なわれ(ステップS102)、ユーザ2との多重通信でない場合は、送信指向性制御装置55aおよび図示しない送信指向性制御装置55bからの送信指向性の変更制御を行なうことなく、送信ウェイトベクトル計算機54aおよび図示しない送信ウェイトベクトル計算機54bは、通常の送信指向性制御と同様に、送信ウェイトベクトル計算機52aおよび52aからの信号をコピーして通信を続行する(ステップS120)。
【0090】一方、ステップS102において、ユーザ2と多重通信を行なっていると判断された場合は、続いて、ユーザ2がダイバーシチ端末であるか否かの判定が行なわれる(ステップS104)。ユーザ2の端末がダイバーシチ端末でない場合は、やはり送信指向性制御を行なうことなくそのままの状態で通信状態を維持する(ステップS120)。
【0091】一方、ユーザ2の端末がダイバーシチ端末である場合(ステップS104)、さらに、現在の通信区間がユーザ2との間の通信信号のプリアンブル区間であるかの判定が行なわれる(ステップS106)。プリアンブル区間でない場合は、送信指向性の制御をやはり行なわない(ステップS120)。
【0092】一方、ステップS106において、プリアンブル区間であると判定された場合には、ユーザ1に対する電波の送信指向性を崩すために、送信ウェイトベクトルの位相をずらす処理を、送信指向性制御装置55aが行なう(ステップS108)。
【0093】続いて、プリアンブル区間が終了したか否かの判定が行なわれ(ステップS110)、プリアンブル区間が終了するまで待機状態となる。プリアンブル区間が終了したと判定されると、処理は送信指向性を変更する制御を行なわない通常の送信指向性制御に復帰する(ステップS120)。
【0094】図7は、図6に説明した処理のうち、ステップS104において、ユーザ2の端末がダイバーシチ端末であるか否かを判定するために行われる処理を説明するためのフローチャートである。
【0095】ユーザ2の端末受信において、下りエラーが一定量を超え、端末側から通信チャネルを変更するように要求があるか否かの判定が行なわれる(ステップS200)。このような要求を「端末起動干渉回避要求」と呼ぶ。
【0096】このような端末起動干渉回避要求があった場合、続いて、上り受信に対してエラーが存在するかの判定が行なわれ(ステップS202)、上り信号に対してもエラーが存在する場合は、通常端末と判定する(ステップS210)。
【0097】一方、ステップS202において、上りエラーが存在しないと判定された場合、続いて、上り受信電力が十分であるか否かの判定が行なわれる(ステップS204)。
【0098】ステップS204において、上り受信電力が十分でないと判定されると、対象となる端末が通常端末であると判定される(ステップS210)。
【0099】一方、ステップS204において、上り受信電力が十分であると判定されたときには、対象となる端末が、ダイバーシチ端末であると判定され、このような端末のID(以下PSIDと呼ぶ)が、無線基地局ないし、公衆電話回線90を介して接続しているホスト制御部に記憶される(ステップS220)。
【0100】すなわち、空間多重接続している場合に、上りの通信性能はよいにもかかわらず、下りの通信性能が劣化しているときは、その端末をダイバーシチ端末であると判定するものである。
【0101】以上のような処理を、バックグラウンドの処理として行うことで、通信中の端末がダイバーシチ端末であるか否かの判定を行なっておく。これにより、図6に示したフローにおいて、ステップS104で、多重通信中の端末がダイバーシチ端末であるか否かの判定を行なうことが可能になる。
【0102】以上のように、上り下りの信号の劣化を対比することで、間接的に端末の種別を判定することが可能であるが、この発明による送信電力の制御は、このような端末種別判定方法に限定されるものではない。たとえば、端末種別を特定する何らかの情報(フラグ)のやり取りによって、端末種別を明示的に判定するような構成としてもよい。
【0103】今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0104】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、ダイバーシチ端末に対する送信電力に対して、対象となる端末のプリアンブル区間において、他のユーザの送信指向性をずらす制御を行なうことにより、ダイバーシチ端末の送信時に使用したアンテナが受信用アンテナとしても選択される可能性を高め、これによりダイバーシチ端末における受信性能の劣化を防止することができる。さらに、複数のダイバーシチ端末に対して、アダプティブアレイ基地局に対する空間多重接続を維持することを可能とする。




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013