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発明の名称 ネットワークを介した印刷仲介システム
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2003−15854(P2003−15854A)
公開日 平成15年1月17日(2003.1.17)
出願番号 特願2002−129640(P2002−129640)
出願日 平成13年4月5日(2001.4.5)
代理人 【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人 明成国際特許事務所
【テーマコード(参考)】
2C061
5B021
5B089
【Fターム(参考)】
2C061 AP01 HJ06 HK19 HQ17 HX10 
5B021 AA01 EE00 NN00
5B089 GA11 GB02 JA36 JB15 KB10 KC48 MC03 MC06
発明者 久松 豊 / 片田 寿治 / 向山 昌典
要約 課題
ネットワークを介した印刷において、印刷所要時間、料金等の推定精度を向上する。

解決手段
ネットワークにクライアント、サーバ、プリンタが接続されたシステムを構築する。クライアントは、印刷すべきコンテンツを指定してサーバに印刷要求を送信する。サーバは、指定されたプリンタにコンテンツを仲介して印刷を行わせる。この際、サーバ内には、過去の印刷所要時間等に関する履歴データが履歴保持部196に保持されている。この履歴データは、コンテンツのデータ量など所定のパラメータと対応付けられている。サーバは、ユーザから指定されたコンテンツについてパラメータ値を求め、この履歴データを参照して、所要時間等を予測する。過去の実績を用いることにより、所要時間等の推定精度を向上することができる。
特許請求の範囲
【請求項1】 ネットワークに接続されたクライアントと印刷装置の間に介在し、クライアントからの指示によって印刷データを該印刷装置に仲介して、前記ネットワークを介した印刷を実現する印刷仲介サーバであって、前記印刷データに関する所定のパラメータと、前記印刷の所要時間および料金の少なくとも一方との関係に関する履歴を保持する履歴保持部と、該クライアントからの指示によって、印刷データを取得する取得部と、該印刷データについて、前記所定のパラメータに基づく指標化を行う指標化部と、該パラメータに基づいて前記履歴保持部を参照し、前記印刷データについて前記所要時間および料金の少なくとも一方を予測する予測部とを備える印刷仲介サーバ。
【請求項2】 請求項1記載の印刷仲介サーバであって、さらに、前記印刷データについて、所要時間または料金の実績を取得する実績取得部と、前記指標化部で得られたパラメータと、前記実績とを関連付けて、前記履歴保持部に登録する履歴更新部とを備える印刷仲介サーバ。
【請求項3】 請求項1記載の印刷仲介サーバであって、前記印刷データを、前記印刷装置に依存しない汎用形式にファイル変換した上で、前記印刷装置に送信する送信部を備え、前記履歴には、該ファイル変換の所要時間および料金の少なくとも一方に関する履歴が含まれる印刷仲介サーバ。
【請求項4】 請求項1記載の印刷仲介サーバであって、前記指標化部は、前記印刷データに含まれる画像データについての指標化を行う画像指標化部と、前記印刷データに含まれる文字データについての指標化を行う文字指標化部とを備える印刷仲介サーバ。
【請求項5】 請求項1記載の印刷仲介サーバであって、前記指標化部による指標化には、前記印刷データについての加工指示に関わる指標化が含まれる印刷仲介サーバ。
【請求項6】 請求項1記載の印刷仲介サーバであって、前記ネットワークには、複数種類の印刷装置が接続されており、前記履歴保持部は、該種類ごとに前記履歴を保持する印刷仲介サーバ。
【請求項7】 ネットワークに接続されたクライアントと印刷装置の間に介在する印刷仲介サーバを用いて、クライアントからの指示によって印刷データを該印刷装置に仲介して、前記ネットワークを介した印刷を実現する印刷仲介方法であって、前記印刷データに関する所定のパラメータと、前記印刷の所要時間および料金の少なくとも一方との関係に関する履歴を保持する工程と、該クライアントからの指示によって、印刷データを取得する工程と、該印刷データについて、前記所定のパラメータに基づく指標化を行う工程と、該パラメータに基づいて前記履歴を参照し、前記印刷データについて前記所要時間および料金の少なくとも一方を予測する工程とを備える印刷仲介方法。
【請求項8】 ネットワークに接続されたクライアントと印刷装置の間に介在する印刷仲介サーバを用いて、クライアントからの指示によって印刷データを該印刷装置に仲介して、前記ネットワークを介した印刷を実現するためのコンピュータプログラムであって、前記印刷データに関する所定のパラメータと、前記印刷の所要時間および料金の少なくとも一方との関係に関する履歴を保持する機能と、該クライアントからの指示によって、印刷データを取得する機能と、該印刷データについて、前記所定のパラメータに基づく指標化を行う機能と、該パラメータに基づいて前記履歴を参照し、前記印刷データについて前記所要時間および料金の少なくとも一方を予測する機能とを、前記印刷仲介サーバによって実現するためのコンピュータプログラム。
【請求項9】 ネットワークに接続されたクライアントと印刷装置の間に介在する印刷仲介サーバを用いて、クライアントからの指示によって印刷データを該印刷装置に仲介して、前記ネットワークを介した印刷を実現するためのコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読みとり可能な記録媒体であって、前記コンピュータプログラムは、前記印刷データに関する所定のパラメータと、前記印刷の所要時間および料金の少なくとも一方との関係に関する履歴を保持する機能と、該クライアントからの指示によって、印刷データを取得する機能と、該印刷データについて、前記所定のパラメータに基づく指標化を行う機能と、該パラメータに基づいて前記履歴を参照し、前記印刷データについて前記所要時間および料金の少なくとも一方を予測する機能とを、前記印刷仲介サーバによって実現するためのコンピュータプログラムである記録媒体。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ネットワークに接続されたクライアントと印刷装置の間を仲介して、印刷を実行させる技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、コンピュータの出力装置として種々のプリンタが使用されている。プリンタは双方向パラレルインタフェースなど所定のケーブルを利用してコンピュータと1対1に接続されて(以下、「ローカル接続」と呼ぶ)、コンピュータからデータを受け取って印刷を行う。近年では、LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)の普及により、プリンタをネットワークに接続し、同じくネットワークに接続された複数のコンピュータで共有する態様も広まっている。
【0003】さらに、IPP(Internet Printing Protocol)と呼ばれるプロトコルを用いることにより、インターネットに接続された任意のクライアント、印刷装置間で印刷することも可能となってきた。但し、出力先は、URI(Uniform ResourceIndicator)が既知の印刷装置に限定される。つまり、IPPを適用しただけでは、出力先をネットワーク上で自由に選択可能な利便性の高い印刷を実現することはできない。
【0004】上述したいずれの態様においても、従来、プリンタとコンピュータとの接続状態は、予め定まっているのが通常であった。換言すれば、従来、印刷はコンピュータの所有者ごとに決まった場所で行われるのが通常であった。
【0005】一方、近年では、インターネットなどの情報基盤の発達、いわゆるノート型のコンピュータや携帯電話など情報基盤にアクセスする端末の携帯性の向上に伴い、場所を選ばずに情報へのアクセスが可能となってきた。かかる傾向に基づき、出力先をネットワーク上で自由に選択して印刷を行うことができる技術が望まれつつあった。例えば、情報を取得したら直ちに最寄りの印刷装置を利用して印刷を行うことができる技術が望まれつつあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ネットワーク上で印刷先を自由に選択可能とした場合の実用上の課題として、印刷の所要時間および料金の推定が挙げられる。
【0007】かかる印刷環境では、ユーザは印刷物を安価に手早く入手することを目的としていることが多い。印刷前に所要時間、料金等の推定値をユーザに提供することは、かかる目的に照らし、有効性が高い。また、大量の印刷ジョブによって印刷装置が単一のユーザに占有されることを回避するためには、所要時間に上限値を設け、実行の可否を判断することが有効である。ここに例示したように、印刷前の所要時間、料金等の推定値は、ネットワークを介した印刷の実用性向上に有効な情報となる。
【0008】しかし、次の要因により、所要時間、料金等を精度良く推定することは非常に困難であった。第1に、一般に、ネットワークには、多種多様な印刷装置が接続されており、印刷装置の能力によって印刷に要する所要時間等は変動する。第2に、仲介時には、印刷データについて、ファイル変換その他の加工を行う必要が生じることが多く、これらの加工に伴う所要時間等は、印刷データの容量には依存しない。
【0009】本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、ネットワークを介した印刷において、所要時間等を精度良く推定する技術を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】上記課題の少なくとも一部を解決するために、本発明では、ネットワークに接続されたクライアントと印刷装置の間に介在し、クライアントからの指示によって印刷データを該印刷装置に仲介して、前記ネットワークを介した印刷を実現する印刷仲介サーバにおいて、統計処理を適用することにより、所要時間、料金等の推定精度の向上を図った。ここで、ネットワークには、インターネットのような広域的なネットワーク、およびローカルエリアネットワーク、イントラネットのような比較的限定されたネットワークの双方が含まれる。
【0011】統計データを保存するため、本発明の印刷仲介サーバでは、印刷データに関する所定のパラメータと、印刷の所要時間および料金の少なくとも一方との関係に関する履歴を保持する履歴保持部を設ける。パラメータは、印刷データの容量など、所要時間等と相関を有する任意の量を適用することができる。履歴は、過去の印刷実績に基づく所要時間等の値であり、上述のパラメータと対応付けられて記憶される。履歴は、過去の実績をそのまま記憶するものとしてもよいし、過去の実績を一つの較正曲線に加工して記憶するものとしてもよい。
【0012】印刷仲介サーバには、印刷データの仲介時に利用されるユニットとして、取得部、指標化部、予測部を備える。取得部は、クライアントからの指示によって、印刷データを取得する。印刷データの取得先は、クライアント自身であってもよいし、他のサーバであっても良い。後者の場合には、クライアントからは、印刷データの所在を示す情報を受け取ることになる。
【0013】指標化部は、取得した印刷データについて、所定のパラメータに基づく指標化を行う。例えば、印刷データの容量をパラメータとして用いる場合には、取得した印刷データの容量を算出する。予測部は、こうして得られたパラメータに基づいて、履歴保持部を参照し、印刷データについて所要時間および料金の少なくとも一方を予測する。
【0014】本発明の印刷仲介サーバによれば、過去の履歴に基づいて所要時間等を推定するため、これらの推定精度を向上することができる。ネットワークを介した印刷では、所要時間等に影響を与える不確定要素が多数存在するため、過去の履歴に基づく統計処理が特に有用である。また、印刷仲介サーバを介した印刷では、各印刷装置の利用実績をこのサーバで一元管理することができるため、上述の統計処理を容易かつ有効に適用可能である。
【0015】本発明においては、印刷データについて、所要時間または料金の実績を取得し、その実績に基づいて履歴を随時更新することが望ましい。印刷実行時に印刷データについての指標化が行われているから、このパラメータと実績とを関連付けて履歴保持部に登録することにより、履歴の更新を行うことができる。登録は、履歴保持の形式に応じて行うことができる。例えば、パラメータと対応付けて実績をそのまま保持してもよい。また、パラメータに基づいて実績を加工して保持してもよい。推定に際し、複数のパラメータが用いられる場合には、各パラメータが所要時間等に与える影響に応じて実績値を配分して保持してもよい。
【0016】本発明は、印刷データを、印刷装置に依存しない汎用形式にファイル変換した上で、印刷装置に送信する場合に有用性が高い。かかる場合には、ファイル変換の所要時間および料金の少なくとも一方に関する履歴を含めることが望ましい。ファイル変換に要する所要時間等は、データ容量などから単純に推定することが困難であるため、統計処理を用いることにより、推定精度を大きく向上することができる。
【0017】ここで、汎用形式としては、例えばPDF形式を用いることができる。その他、Postscript(登録商標)などのページ記述言語を用いることができる。これらの形式を利用すれば、印刷物のレイアウトを比較的容易に維持することができる利点がある。また、これらの形式であれば、ほぼ全ての印刷データを変換可能であるため、本発明を幅広い印刷データに適用できる利点がある。
【0018】本発明では、種々のパラメータおよび指標化を用いることができる。例えば、印刷データに含まれる画像データについての指標化と、印刷データに含まれる文字データについての指標化を個別に行うものとしてもよい。これらは、所要時間等に与える影響が相違するため、個別に指標化することにより、推定精度の向上を図ることができる。
【0019】また、印刷データについての加工指示に関わる指標化を含めることも有用である。この指標化には、印刷データについての加工の有無、加工の種類に応じた指標化が含まれる。加工には、例えば、先に例示したファイル変換、印刷データの拡大または縮小、1ページに複数ページを印刷するレイアウト変更、余白へのバナー等の挿入などが含まれる。これらの加工は、所要時間等に影響を与えるため、これらを指標化することにより、推定精度の向上を図ることができる。
【0020】本発明は、複数種類の印刷装置が接続されたネットワークに有効活用することができる。かかる場合には、その種類ごとに区分けして履歴を保持することが望ましい。こうすることにより、印刷装置の能力に応じた推定を精度良く行うことが可能となる。印刷装置の種類に加え、印刷装置への通信速度によって更に細分化してもよい。
【0021】本発明は、上述した印刷仲介サーバとしての態様の他、印刷仲介方法など種々の態様で構成することが可能である。また、これらの方法をコンピュータによって実現するコンピュータプログラム自身またはこれと同視し得る信号として構成してもよい。更に、これらのコンピュータプログラムを記録した記録媒体として構成してもよい。
【0022】ここで記憶媒体としては、フレキシブルディスクやCD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置などコンピュータが読取り可能な種々の媒体を利用できる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について、ネットワークを介した印刷を行うシステムの実施例に基づき説明する。
A.基盤となるシステム構成:A1.システム概要:A2.機能概要:A3.機能ブロック構成:B.所要時間の推定:C.所要時間予測処理:D.履歴更新処理:E.効果および変形例:E1.料金の推定:E2.履歴データの変形例:【0024】A.基盤となるシステム構成:A1.システム概要:図1は印刷システムの全体構成を示す説明図である。実施例は、インターネットを介した印刷を実現するシステムを例示した。同様の構成を、LAN(LocalArea Network)やいわゆるパソコン通信などの比較的限定的なネットワーク環境に適用することも可能である。
【0025】本実施例において、インターネットINTには、種々のサーバおよびクライアントが接続されている。説明の便宜上、図では、階層的に接続された状態を示したが、これらの機器はインターネットINTを介して互いに情報の授受を行うことができる。また、説明および図示の便宜上、数個の機器を示すにとどまるが、周知の通り、接続数に上限はない。実施例は、このようにインターネットINTを介して多数のサーバ、クライアント等が接続されたシステム構成下で、任意のプリンタへの印刷を実現するものである。
【0026】実施例では、クライアントとして、インターネットへのアクセス機能を有する携帯電話MP11,MP12,MP21,MP22,MP31,MP32等を用いた場合を例示した。これらの携帯電話MP11等は、サービスプロバイダSP1,SP2,SP3を介してインターネットにアクセスすることができる。クライアントは、携帯電話に限られるものではなく、パーソナルコンピュータを用いることも可能である。
【0027】インターネットINTには、コンテンツプロバイダCP1,CP2も接続されている。これらのコンテンツプロバイダCP1等は、本実施例において、印刷対象となるコンテンツを提供する主体である。コンテンツプロバイダには、インターネットINTにおけるWebページの提供者が含まれる。
【0028】実施例において、印刷先となるのは、印刷ステーションPS11等である。印刷ステーションPS11等はインターネットを介したデータの授受が可能なプリンタを意味する。例えば、インターネットに接続されたコンピュータと、そのコンピュータにローカル接続されたプリンタとの組み合わせで印刷ステーションを構築することができる。印刷ステーションは、各個人宅、オフィスなど利用者が比較的限定された場所に設置されていてもよいし、店舗やホテルなど公共的な場所に設置されていてもよい。
【0029】実施例では、クライアントMP11等からの指示によって、コンテンツプロバイダCP1等から提供されるコンテンツを、印刷ステーションに受け渡すことにより、印刷が行われる。実施例においては、クライアントと印刷ステーションとの間のデータの仲介は、上位層および下位層の2種類のサーバによって行われる。
【0030】上位層サーバは、図中に印刷仲介システム(プリントポータル)PPとして示した。下位層サーバは、プリンティングサービスプロバイダPSP1,PSP2として示した。
【0031】下位層サーバ、即ちプリンティングサービスプロバイダPSP1等は、印刷ステーションPS11等を管理する機能を奏する。図の例では、プリンティングサービスプロバイダPSP1は、印刷ステーションPS11〜PS14を管理する。プリンティングサービスプロバイダPSP2は、印刷ステーションPS21〜PS24を管理する。印刷ステーションPS11等がそれぞれ店舗に設けられている場合を考えると、プリンティングサービスプロバイダPSP1等は、各事業主ごとに設けることができる。事業主Aは、プリンティングサービスプロバイダPSP1を用いて、自己の本店、支店等に設けられた印刷ステーションPS11〜PS14を管理し、事業主Bは、プリンティングサービスプロバイダPSP2を用いて、印刷ステーションPS21〜PS24を管理するのである。こうすることにより、各事業主ごとに印刷ステーションを管理することができるとともに、印刷データを仲介する際に、料金その他の面で事業主固有のサービスを付加することも可能となる。
【0032】上位層サーバ、即ちプリントポータルPPは、プリンティングサービスプロバイダPSP1,PSP2を管理する。従って、プリントポータルPPは、プリンティングサービスプロバイダPSP1,PSP2を介して間接的に印刷ステーションPS11等を管理することになる。プリンティングサービスプロバイダPSP1,PSP2の事業主が異なる場合でも、上位層サーバではこれらに共通する機能を提供することができる。例えば、クライアントMP11等が印刷を実行する際に、統一的なインタフェース画面を提供することができ、ユーザの利便性を向上することができる。
【0033】上位層サーバ、下位層サーバは、このように機能的に区分されたものであり、必ずしも各サーバが単一のサーバで構築されている必要はない。以下で説明する上位層サーバ、下位層サーバの機能は、それぞれ分散処理によって、複数のサーバで提供するものとしても構わない。
【0034】A2.機能概要:実施例の各システムの内部構造等は後述する。ここでは、サーバ等の機能理解を容易にするため、メールを印刷する場合を例にとって、プリントポータルを利用した印刷方法を具体的に説明する。
【0035】図2は電子メール印刷時のデータの授受を示す説明図である。図3は電子メール印刷時のタイムチャートである。図4は電子メール印刷時のインタフェース例を示す説明図である。これらの図を参照して、各ユニットの機能について説明する。なお、電子メールの場合は、メールサービスCPがコンテンツプロバイダに相当する。
【0036】最初に、ユーザはクライアントMPからメールサービスCPにアクセスし、自己宛のメールを確認し、印刷すべきメールを選択する。図4には、携帯電話の表示部DISPに表示されるインタフェース画面例を示した。左側の画面は、4通のメールMail1〜Mail4が自己宛に届いており、Mail2およびMail4が印刷対象として選択されていることを示している。このインタフェースはメールサービスCPによって提供される。ユーザが画面上の「iPrint」ボタンを押すことによって、印刷の実行要求が、メールサービスCPからプリントポータルPPに送信される(図3中のSa01および図2参照)。
【0037】メールサービスCPは、コンテンツプロバイダとしてプリントポータルPPに予め登録することにより、画面上に「iPrint」ボタンの設置が許可される。このボタンは、プリントポータルPPへのリンクとして機能する。「iPrint」ボタンによって印刷が要求されると、クライアントMPのアクセス先がプリントポータルPPに変更される。これと併せて、メールサービスCPからプリントポータルPPには、印刷データ、即ちMail2およびMail4のデータが送信される(図3中のSa02および図2参照)。
【0038】次に、プリントポータルPPによって、印刷先および印刷条件を指定するためのインタフェースがクライアントMPに提供される(図3中のSa03および図2参照)。ここでは、印刷先について通常の指定方法、即ちリストから選択する方法を説明する。本実施例のシステムは、印刷ステーションとクライアントの通信を利用して、煩雑な操作なく印刷先を指定することも可能である。かかる態様については、後述する。
【0039】図4の中央には印刷先指定用のインタフェース例を示した。印刷先の指定では、ユーザが利用可能な印刷ステーションがリストアップされる。出力先のリストは、段階的に表示するものとしてもよい。例えば、図4に例示する「○○ストア」を選択すると、その系列の各店舗がリストアップされるという態様を採ることができる。最初の階層で、プリンティングサービスプロバイダを選択させるものとしてもよい。選択可能な印刷ステーションが多数に亘る場合には、階層および各階層で表示されるリストが増えることになる。
【0040】図4の右側には印刷条件指定用のインタフェース例を示した。印刷条件としては、印刷用紙のサイズ、レイアウト、解像度などの項目が挙げられる。「印刷用紙」メニューを選択すると、A4サイズ、B5サイズなど印刷用紙の詳細設定を行うことができる。「レイアウト」メニューを選択すると、1ページ/枚、2ページ/枚などレイアウトに関する詳細設定を行うことができる。その他のメニューも同様である。印刷設定は、これらに限らず、利便性を考慮して種々の項目を設けることができる。
【0041】ユーザがこれらのインタフェースを利用して印刷先、印刷条件の設定を行うとその情報は、プリントポータルPPに送信される(図3のSa04および図2参照)。プリントポータルPPは、この情報に基づいて印刷ジョブを送信すべきプリンティングサービスプロバイダPSP1を選択し、ジョブの転送を行う(図3のSa05および図2参照)。ユーザが印刷先として指定した印刷ステーションPS11を管理するプリティングサービスプロバイダPSP1が、ジョブの送信先として選択される。
【0042】印刷ジョブを受け取ったプリンティングサービスプロバイダPSP1は、印刷ステーションPS11を選択し、ジョブの転送を行う(図Sa07および図2参照)。ユーザが指定した印刷ステーションPS11が送信先として選択される。
【0043】プリントポータルPPおよびプリンティングサービスプロバイダPSP1で仲介される過程において、印刷データは、汎用フォーマットであるPDFに変換される。PDFファイルは、印刷仲介時のセキュリティ向上のため、一定のパスワードを用いた暗号化されたファイルとして生成される。これらのファイル変換処理については、後で詳述する。印刷ステーションPS11は、このPDFファイルを解析して、印刷を実行する。
【0044】図3中のSa06で示した通り、プリンティングサービスプロバイダPSP1から印刷ステーションPS11への転送に先立って、クライアントMPに対し、印刷先、印刷条件の確認表示を行うものとしてもよい。また、この時点では、ユーザから指定された印刷条件等の確認標示の他、指定内容に基づいてプリントポータルが推定した内容、例えば、印刷所要時間および料金の推定値を表示してもよい。印刷完了後に、印刷結果のレポートを印刷ステーションPS11からプリントポータルPPに送信するものとしてもよい。このレポートにより、プリントポータルPPは、印刷が正常に完了したことを検知し、課金処理などの後処理を行うことが可能となる。
【0045】ここでは、上位層サーバであるプリントポータルPP、下位層サーバであるプリンティングサービスプロバイダPSP1等の2つによって印刷を仲介する場合を例示した。仲介用のサーバを2層に分けることには、次の利点がある。
【0046】下位層サーバはビジネス上の系列ごとに構築することができるため、各系列固有のサービスを維持し、他の事業主との差別化を図ることができる。各事業主は、プリントポータルPPに登録されたユーザおよびコンテンツプロバイダを比較的容易に自己の利用者として取り込むことが可能となる利点もある。
【0047】下位層サーバが、個別の系列で構築されている場合でも、上位層サーバは、統一的なインタフェースをユーザに提供することができる。従って、プリントポータルの利便性を向上することができる。
【0048】また、ユーザはプリントポータルPPに登録等を行えば、その管理下にある種々の下位層サーバを容易に利用可能となる。下位層サーバごとに利用登録等の煩雑な作業を行う必要性がないため、利便性を向上することができる。コンテンツプロバイダにとっても同様の利益がある。即ち、コンテンツプロバイダも、プリントポータルPPに利用登録を行えば、自己の提供するコンテンツの利用者および印刷先を容易に増やすことができる。
【0049】もちろん、印刷仲介システムは、2層のサーバを用いるものには限定されない。プリントポータルとプリンティングサービスプロバイダとの機能とを兼ね備えた単一層のサーバによって構築してもよい。
【0050】A3.機能ブロック構成:図5はプリントポータルの機能ブロックを示す説明図である。説明の便宜上、図1と符号を変えてあるが、同一名称のユニットの機能に相違はない。
【0051】図示する通り、プリントポータル100には、大きく分けて、コアモジュール130、ファイル変換部110、アプリケーション部180の3つの機能ブロックが備えられている。本実施例では、これらの機能ブロックは、それぞれソフトウェア的に構築される。
【0052】ファイル変換部110は、印刷データを仲介する際に、そのフォーマットを所定の中間ファイルに変換する機能を奏する。本実施例では、汎用的なフォーマットとして、PDFを用いるものとした。
【0053】アプリケーション部180は、印刷データを仲介するというプリントポータルPPの主機能の他に、種々の付加的な機能を実現する。この機能には、例えば、後述する印刷所要時間の推定などが含まれる。
【0054】コアモジュール130は、ファイル変換部110、アプリケーション部180と連携して、印刷データを仲介する機能を奏する。このため、コアモジュール130は、コンテンツプロバイダ10、サービスプロバイダ30、プリンティングサービスプロバイダ50などとの通信も司る。なお、プリンティングサービスプロバイダ50には、プリントポータルPPとの接続に際してのプロトコルの柔軟性を確保するためのインタフェース52が設けられている。
【0055】図6はコアモジュール130の内部構成を示す説明図である。これらは例示に過ぎず、機能ブロックは、他に種々の構成が可能である。
【0056】制御部132は、プリントポータル100の各機能ブロックの動作制御、インターネットINTを介した外部との情報伝達等の制御を行う。この制御には、ユーザ等の登録管理、印刷ジョブのステータスの制御、印刷要求の受付およびキャンセル、出力先となるプリンタの検索などが含まれる。また、プリントポータル100が外部とやりとりするためのインタフェース画面の提供も行う。
【0057】登録管理部134は、プリントポータルPPを利用するユーザ、コンテンツプロバイダ10、プリンティングサービスプロバイダ50の登録および管理を行う。登録管理部134は、このためのインタフェース画面を生成する機能、登録に関するデータ等を所定のデータベースに保存、変更等する機能を提供する。
【0058】キューイングシステム140は、各機能ブロックの動作を中継する。本実施例では、各機能ブロックは、いわゆるオブジェクト指向のソフトウェアで構築されている。各機能ブロックは、キューイングシステム140に登録されたメッセージを参照して、処理対象となるべきジョブの存在を検知し、それぞれの処理を実行する。処理が完了すると、処理が完了した旨のメッセージをキューイングシステム140に登録する。このようにして、キューイングシステム140を中継役として、各機能ブロックが、それぞれの処理を実行することにより、プリントポータルPPは印刷要求を受け付けから印刷完了までの一連の処理を実現する。
【0059】一連の処理を実現するため、キューイングシステム140には、コンテンツ取得キュー、ファイル変換キュー、ジョブ送信キュー、ジョブキャンセルキューなどが用意されている。
【0060】コンテンツ取得部160は、コンテンツプロバイダ10にアクセスし、ユーザから印刷対象として指定されたコンテンツを取得する機能を奏する。取得されたコンテンツは、コンテンツ保持部162に一時的に保持される。コンテンツ取得部160は、キューイングシステム140に備えられたコンテンツ取得キューを参照し、そこに蓄積されたメッセージに従って、上述の動作を行う。コンテンツを取得した後は、キューイングシステム140のファイル変換キューにコンテンツのファイル変換を要求するメッセージを登録する。
【0061】ファイル変換部110は、コンテンツをPDFフォーマットに変換する機能を奏する。また、この変換時に併せて所定のパスワードを用いた暗号化処理を行う。ファイル変換部110は、コンテンツがPDFファイルである場合でも、暗号化処理も含めてPDFへの再変換を行う。PDFは汎用的なフォーマットであるため、かかるフォーマットに変換して、印刷データを仲介することにより、多種多様なプリンタへの出力を容易に実現することができる利点がある。また、印刷物のレイアウトを比較的忠実に維持できる利点もある。更に、文書、画像などほぼ全ての印刷データからの変換が可能であるため、幅広いコンテンツを印刷対象とすることができる利点もある。汎用的なフォーマットとして、Postscript(登録商標)などのページ記述言語を用いるものとしてもよい。
【0062】本実施例では、サーバの負荷軽減のため、ファイル変換部110は、コアモジュール130とは別のサーバで構築するものとした。従って、コアモジュール130には、ファイル変換部110との間でデータの授受を行うために、DFインタフェース136を設けた。
【0063】DFインタフェース136は、キューイングシステム140のファイル変換キューに蓄積されたメッセージに応じてファイル変換部110にデータを受け渡す。また、ファイル変換部110から処理済みのPDFファイルを受け取ると、キューイングシステム140のジョブ送信キューに、印刷ジョブの送信メッセージを登録する。DFインタフェース136を省略し、ファイル変換部110が、キューイングシステム140へのアクセスを行うように構築することも可能である。
【0064】PSPインタフェース138は、印刷ジョブをプリンティングサービスプロバイダ50に送信する機能を奏する。PSPインタフェース138は、キューイングシステム140のジョブ送信キューに蓄積されたメッセージに従い、印刷ジョブを指定されたプリンティングサービスプロバイダ50に送信する。ジョブキャンセルキューに蓄積されたジョブキャンセルのメッセージも同様に送信する。これらの送信は、HTTP(Hypertext Transport Protocol)など、プリンティングサービスプロバイダ50によって設定された種々のプロトコルによって行われる。
【0065】コアモジュール130には、ユーザデータベース150、プリンタデータベース152など種々のデータベースが容易されている。ここでは、2種類のみを例示したが、更に多数のデータベースを用意しても構わない。これらのデータベースは、登録管理部134によって、管理される。また、コアモジュール130内での処理の他、アプリケーション部180によっても利用される。
【0066】ユーザデータベースは、プリントポータル100を利用するユーザごとに、ファイルが用意されており、ユーザに対応する属性情報として、ユーザ名、ユーザIDなどが記憶されている。プリンタデータベース152は、各プリンタについて、プリンタ名、識別番号等が登録されている。識別番号とは、プリントポータル100を利用した印刷時にプリンタを特定するために利用されるインデックスである。
【0067】本実施例のシステムは、以上で説明した構成によって、先に図2〜図4で説明した印刷を実現する。
【0068】B.所要時間の推定:本実施例において、印刷所要時間を推定するための構成について説明する。図7は印刷所要時間を推定するための機能ブロックを示す説明図である。本実施例では、アプリケーション部180の内部にこれらの機能ブロックを設けるものとしたが、かかる態様に限定されるものではない。
【0069】本実施例では、これらの機能ブロックにより、過去の実績に基づいて所要時間の推定を行う。所要時間に関する過去の実績は、履歴保持部196に履歴データとして保持されている。履歴データは、例えば、コンテンツのデータ量などのパラメータと、所要時間との対応関係として保持される。
【0070】ユーザから印刷要求が行われると、指標化部190は、コンテンツ保持部162に保持されたコンテンツを取得し、その内容を解析して指標化を行う。指標化とは、履歴データに対応したパラメータの値を求める処理を意味する。例えば、コンテンツのデータ量をパラメータとして履歴データが保持されている場合、指標化部190は取得したコンテンツのデータ量を求める。
【0071】こうして得られたパラメータ値は、所要時間予測部192に受け渡される。所要時間予測部192は、このパラメータ値に基づいて履歴データを参照し、所要時間を求める。所要時間は、コアモジュール130に受け渡され、ユーザが使用するクライアントに表示等される。
【0072】所要時間は、ユーザに出力せず、プリントポータルの内部処理にのみ用いるものとしてもよい。例えば、単一のユーザによる印刷装置の独占を回避するため、各印刷装置に所要時間の上限値を設け、上述の推定値から、この上限値を超えることが予想されるコンテンツについては、印刷を拒否する旨の通知を行うことができる。所要時間の推定値に基づいて、選択可能な印刷装置を制限するものとしてもよい。
【0073】一方、履歴データは、印刷の実績に基づいて逐次更新される。印刷が完了すると、アプリケーション部180の履歴更新部194が印刷所要時間の実績値を取得する。履歴更新部194は、指標化部190から、印刷が行われたコンテンツについてのパラメータ値を取得する。パラメータ値は、所要時間の推定時に求められているから、履歴更新部194は、印刷が完了するまで、この値を保持しておいてもよい。
【0074】履歴更新部194は、こうして取得されたパラメータ値と実績値に基づいて履歴データの更新データを生成する。更新データの形式は、履歴データの保持形式によって異なる。生成された更新データが、履歴保持部196に登録されることにより、履歴データの更新が完了する。
【0075】C.所要時間予測処理:図8は所要時間予測処理のフローチャートである。先に説明した通り、アプリケーション部180に設けられた各機能ブロックが連携して行う処理であり、ハードウェア的には、プリントポータルのCPUが実行する処理である。
【0076】この処理では、CPUは予測対象となるコンテンツを取得する(ステップS10)。通常、このコンテンツは、ユーザからの指定によってプリントポータルが取得し、コンテンツ保持部162に保持されている。
【0077】次に、取得したコンテンツの指標化を行う(ステップS12)。指標化は、所要時間に影響を与える種々のパラメータについて行われる。適用可能なパラメータ例は、次の通りである。
【0078】
A群…データの転送時間に関連するパラメータ:コンテンツのデータ量;
画像データの有無;
カラー印刷およびモノクロ印刷の指定種別;
広告付加要求の有無;
ネットワークのデータ通信速度 など【0079】転送時間は、基本的には、転送するデータ量および転送速度によって決まる。本実施例では、コンテンツは、印刷ステーションに送信するまでの間に、プリントポータルでファイル変換、広告付加などの加工が施される可能性がある。かかる場合を考慮し、ここでは、加工前のコンテンツの内容、加工についてのユーザの指示等をパラメータとして含めた。
【0080】
B群…印刷処理に関連するパラメータ:印刷ステーションの機種;
印刷ステーションの印刷速度;
コンテンツのページ数;
画像データの有無;
カラー印刷およびモノクロ印刷の指定種別 など【0081】印刷処理に要する時間は、基本的には、印刷データの量、プリンタの処理能力によって決まる。また、PDFその他のページ記述言語では、画像データの有無によっても所要時間は大きく変動する。B群では、印刷を行う時点で影響のあるパラメータを列挙した。
【0082】
C群…ファイル変換に関連するパラメータ:コンテンツのデータ量;
画像データの有無;
カラー印刷およびモノクロ印刷の指定種別;
コンテンツの縮小その他のレイアウト指定 など【0083】本実施例では、コンテンツをPDFにファイル変換して印刷ステーションに出力する。このファイル変換に要する時間も、印刷の所要時間に大きく影響を与える。ファイル変換は、必ずしもデータ量にのみ依存するものではなく、画像の有無など多くの要因によって変動する。C群には、これらの要因に関連するパラメータを列挙した。
【0084】
D群…処理待ちに関するパラメータ:印刷要求の受信時刻 など【0085】プリントポータルを介した印刷では、印刷ステーションへの転送、ファイル変換などに要求が集中し、処理待ちが生じる可能性がある。一般に、印刷要求の集中は、時間によって一定の変動を示すことが多い。D群では、かかる観点から、処理待ちに影響するパラメータとして印刷要求の受信時刻を用いた。類似のパラメータとして、所要時間の予測を行う時点での時刻を用いても良い。時刻のみならず、曜日、月日などを併せて考慮してもよい。処理待ちに関しては、パラメータを用いた推定に依らず、リアルタイムに待ち時間を検出するものとしてもよい。
【0086】実際の所要時間予測処理に用いるパラメータは、予測処理の目的、プリントポータルでの処理、コンテンツのデータフォーマット等に応じて異なる。例えば、印刷要求を発行してから、現実に印刷物が入手できるまでの時間を所要時間としてユーザに提示する場合には、A〜D群の全てを考慮することが望ましい。各群についての具体的なパラメータは、任意に選択可能である。
【0087】この他、印刷開始から終了までの時間を所要時間としてユーザに提示する場合には、B群に関するパラメータを用いればよい。ファイル変換などプリントポータルで所定の処理を行った上で印刷ステーションにデータが転送され、印刷可能な状態に至るまでの時間を所要時間とする場合には、A群、C群に関するパラメータを用いれば良い。このように、適用するパラメータは、所要時間の定義および予測目的等に応じて適宜選択可能である。
【0088】CPUはこうして指標化されたパラメータ値に基づいて履歴データの補間を行って、所要時間を算出し(ステップS14)、結果を出力する(ステップS16)。
【0089】図中に履歴データの様子を示した。ここでは、履歴データは、パラメータA,B,Cの3種類に対応した3次元のテーブルで保持されているものとした。各パラメータは、所定の間隔で量子化されているものとする。履歴データとしては、量子化された各パラメータ値に対応した格子点ごとに、所要時間が保持される。指標化されたパラメータに対応する点は、これらの格子点と一致するとは限らないため、CPUは周囲の格子点を用いて補間演算を行う。補間演算は、周知の技術が適用可能であるため、詳細な説明を省略する。
【0090】図では、3種類のパラメータを用いる場合を例示したが、パラメータの数はこれに限定されるものではない。各パラメータは一定間隔で量子化されている場合を例示したが、間隔は不定でも構わない。パラメータごとに異なる間隔であっても良い。実施例中では、単一の3次元テーブルを示したが、複数種類のテーブルを使い分けても良い。例えば、印刷ステーションの機種ごとにかかるテーブルを用意し、指定された出力先に応じてこれらのテーブルを使い分けてもよい。
【0091】D.履歴更新処理:図9は履歴更新処理のフローチャートである。本実施例では、印刷が実行される度に、その実績値に基づいて履歴データの更新を行う。この処理も、所要時間予測処理(図8)と同様、アプリケーション部180の各機能ブロックが連携して行う処理である。
【0092】この処理が開始されると、CPUは、印刷が行われたコンテンツについて、パラメータ値と所要時間の実績を入力する(ステップS20)。パラメータ値は、所要時間予測処理のステップS12で算出されているから、この値を保持しておくものとしてもよいし、再度算出するものとしてもよい。
【0093】実績値の取得方法は、所要時間の定義に応じて種々の方法を採り得る。一例として、印刷要求を発行してから、現実に印刷物が入手できるまでの時間を所要時間とする場合を考える。この場合には、例えば、プリントポータルが印刷要求を受信した時刻、および印刷ステーションから印刷完了の通知を受信した時刻に基づいて、プリントポータル内で所要時間を算出することができる。
【0094】別の例として、印刷開始から終了までの時間を所要時間とする場合を考える。この場合には、印刷ステーションにおいて、所要時間を計測し、その結果を印刷完了通知と共に、プリントポータルに送信すればよい。
【0095】更に、ファイル変換などプリントポータルで所定の処理を行った上で印刷ステーションにデータが転送され、印刷可能な状態に至るまでの時間を所要時間とする場合を考える。この場合には、例えば、印刷ステーションがデータを受信した時刻およびプリントポータル内で処理を開始した時刻とから所要時間を求めればよい。このように、実績値の取得方法は、所要時間の定義に応じて適宜選択可能である。上述の各定義に対しても、例示した方法の他、種々の方法で実績値を取得することが可能である。
【0096】次に、CPUは取得したパラメータ、実績値を履歴データに反映させるための量子化処理を行い、履歴データの補正量を決定する(ステップS22)。その後、得られた補正量を反映させて履歴の更新を行う(ステップS24)。
【0097】量子化処理について説明する。先に説明した通り、本実施例では、所定の間隔でパラメータを量子化して設定された格子点に対応付けて履歴データが保持されている。コンテンツ印刷時の実績値は、必ずしもこの格子点に対応しているとは限らない。従って、履歴データに反映させるためには、実績値に基づき、格子点における補正量を求める必要がある。本実施例では、この処理を量子化処理と呼ぶ。
【0098】図中に量子化処理の概要を併せて示した。図の煩雑さを避けるため、履歴データでは、一つのパラメータと対応付けて所要時間が保持されているものとした。
【0099】パラメータ値がA1,A2の2点が格子点に相当し、履歴データにおいて、この格子点に対応する所要時間は点T1,T2で表されるものとする。格子点を線形補間するものとすれば、印刷対象となったコンテンツのパラメータ値がAである場合、推定値は点Tで表される値となる。これに対し、実績値が点Rで表される値であったとすれば、両者には誤差eが生じる。この誤差eに基づき、点T1,T2をそれぞれ補正する処理が量子化処理である。
【0100】格子点A1,A2における補正後の履歴データは、点Tc1,Tc2で表されるものとする。推定値と実績値とを一致させるためには、点Tc1,Tc2の線形補間の結果が点Rとなることが望ましい。本実施例では、次式により、かかる条件を満足する点Tc1,Tc2を求めた。 これは、誤差eの推定値Tに対する比率を、それぞれ従前の履歴データに反映させる方法である。
【0101】
e1=T1×e/T;
e2=T2×e/T;
ここで、T1,T2,Tは、それぞれ点T1,T2,Tに相当する所要時間;
eは、推定値Tと実績値Rとの誤差;
e1は、格子点A1における所要時間の補正値;
e2は、格子点A2における所要時間の補正値;
【0102】量子化処理は、上述の方法に限定されるものではない。別の方法として線形計画法を用いて補正量を決定してもよい。例えば、次の条件下で線形計画法を適用する方法が挙げられる。
補正後の履歴データの線形補間が点Rとなる条件;
履歴データの補正量e1,e2は、誤差eと同符号である条件;
補正量e1,e2の絶対値の総和が最小となる条件;
【0103】量子化処理は、この他、種々の方法を適用可能である。補間に用いられる格子点における履歴データのみを考慮して量子化処理を行ったが、更に周辺の格子点における履歴データを考慮して量子化処理を行っても良い。また、本実施例では、実績値Rに一致させるよう補正量を決定したが、従前の履歴データと実績値Rに重み値を乗じて所要時間の期待値を求め、この期待値に一致させるよう補正量を決定してもよい。
【0104】本実施例では、パラメータを所定の間隔で量子化して得られた格子点に対応づけて履歴データを保持しているため、量子化処理が必要となった。これに対し、履歴データとして、コンテンツのパラメータ値と実績値とを、そのまま対応づけて保持してもよい。かかる場合には、図9のステップS22に示した量子化処理は不要となる。但し、この場合には、補間演算が若干複雑となり、補間演算時に、コンテンツのパラメータ値の近傍に存在する履歴データを抽出する処理が必要となる。一般に、履歴データがN次元空間の場合には、補間演算時に、N+1個の履歴データを抽出する必要が生じる。
【0105】E.効果および変形例:以上で説明した本実施例の印刷システムによれば、ネットワークを介して出力先に関する自由度の高い印刷を実現することができる。この際、印刷の所要時間を履歴データに基づいて高い精度で推定することが可能となる。推定された所要時間は、ユーザまたは印刷システムにとって有益な情報となり、印刷システムの利便性を向上することができる。例えば、ユーザは、この時間に基づき印刷を行うか否かを判断することができる。システム側は、所要時間が極端に長い印刷要求の実行を拒否し、印刷ステーションが単一のユーザによって実質的に占有されることを回避することが可能となる。
【0106】E1.料金の推定:実施例では、所要時間を推定したが、同様の方法で印刷に要する料金を推定することも可能である。料金の推定を行う場合には、パラメータに対応して料金を保持する履歴データを用いればよい。料金に関連するパラメータとしては、次のパラメータが考えられる。
【0107】
E群…データの転送料金に関連するパラメータ:コンテンツのデータ量;
画像データの有無;
カラー印刷およびモノクロ印刷の指定種別;
広告付加要求の有無;
ネットワークのデータ通信速度 など【0108】転送料金は、課金方法によってパラメータが異なる。通信時間に応じて課金される場合には、転送するデータ量および転送速度によって料金が決まる。通信されるパケット量に応じて課金される場合には、コンテンツのデータ量によって料金が決まる。
【0109】
F群…印刷処理における料金に関連するパラメータ:印刷ステーションの機種;
コンテンツのページ数;
印刷用紙のサイズ、種類;
画像データの有無;
カラー印刷およびモノクロ印刷の指定種別 など【0110】印刷処理における料金は、基本的には、消耗品の量で決まる。例えば、普通紙、専用紙など印刷用紙の種類およびそのサイズであり、印刷に消費されるインクまたはトナーの量である。
【0111】
G群…ファイル変換に関連するパラメータ:コンテンツのデータ量;
画像データの有無;
カラー印刷およびモノクロ印刷の指定種別;
コンテンツの縮小その他のレイアウト指定 など【0112】ファイル変換処理が有料で行われる場合には、その負荷に応じて料金が変動することになる。
【0113】
H群…コンテンツ提供に関するパラメータ:有料コンテンツか否か など【0114】料金に関するパラメータは、これらに限定されるものではなく、実情に応じて、種々設定可能である。
【0115】E2.履歴データの変形例:図10は変形例としての所要時間予測処理のフローチャートである。変形例の処理では、履歴データの形態が実施例と異なるため、履歴データの補間処理(ステップS14A)が実施例と相違する。
【0116】実施例では、N個のパラメータによって形成されるN次元空間で定義された格子点に所要時間を対応づける場合を例示した。これに対し、変形例では、パラメータごとに個別に所要時間を対応づける場合を例示する。例えば、コンテンツのうち、画像部分に関連するパラメータ、文字部分に関連するパラメータを区別して履歴データを用意する場合に相当する。
【0117】図示する通り、変形例の履歴保持部196Aにおける履歴データでは、パラメータAに対して所要時間を与える曲線が保持されている。パラメータAの値がVaである場合には、この履歴データに基づき、所要時間がTaと求まる。この値は、所要時間に対するパラメータAによる影響を与える値となる。同様にして、パラメータB,Cなど履歴データとして用意された各パラメータに対して所要時間が求められる。
【0118】こうして得られた各所要時間に対し、それぞれ実際の所要時間に与える影響の程度を考慮して設定された重み値Wa,Wb,Wc等を乗じて、総和Σを演算することにより、所要時間の推定値が求められる。
【0119】変形例においても、複数種類の履歴データを用意し、これらを使い分けるものとしても良い。例えば、印刷ステーションに応じて履歴データを使い分けることができる。
【0120】図11は変形例における履歴更新処理のフローチャートである。履歴データの形式の相違により、更新後の履歴を設定する処理、即ち実績値を履歴データに反映する処理(ステップS22A)が実施例と相違する。
【0121】図中に変形例における実績値の反映方法の概要を併せて示した。あるパラメータに対する従前の履歴データが実線Lで表されるものとする。パラメータ値Vaに対し、従前の履歴データによる推定値は点Taで表されるのに対し、実績値は点Trで表されるものとする。
【0122】かかる場合の実績値の反映は種々の方法で可能である。例えば、図中に破線で示すように、点Trを通過するように、局所的に履歴データを変更するものとしてもよい。
【0123】また、パラメータと所要時間の全体的な相関関係を考慮して履歴データを変更するものとしてもよい。ここに例示したパラメータについては、所要時間は単調増加の相関がある。従って、履歴データは、図中に一点鎖線で示す通り、単調増加傾向を維持しつつ、実績値Trを通過するように変更される。かかる変更は、実績値Trにおける微分係数が0以上となる条件下で履歴データを設定することにより、実現可能である。ここでは、単調増加傾向の場合を例示したが、単調減少傾向、極大値または極小値を持つ傾向など、パラメータと所要時間の相関に応じた設定が可能である。
【0124】以上、本発明の種々の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができることはいうまでもない。例えば、以上の各処理はソフトウェアで実現する他、ハードウェア的に実現するものとしてもよい。




 

 


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