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発明の名称 復調装置、放送システム及び半導体デバイス
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2003−18230(P2003−18230A)
公開日 平成15年1月17日(2003.1.17)
出願番号 特願2001−201982(P2001−201982)
出願日 平成13年7月3日(2001.7.3)
代理人 【識別番号】100092152
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 毅巖
【テーマコード(参考)】
5C064
5K004
【Fターム(参考)】
5C064 DA02 
5K004 AA05 FG02 FJ01
発明者 大石 昇治
要約 課題
位相雑音の補正制御を効率よく高精度に行い、品質及び信頼性の向上を図る。

解決手段
デジタル信号生成手段21は、変調された入力信号の同期検波を行った後に、A/D変換をして、位相軸に対応したデジタル信号を生成する。タイミング再生手段22は、デジタル信号のシンボルタイミングを抽出して、タイミング再生を行う。キャリア再生手段23は、位相雑音補正信号にもとづいて、タイミング再生後のデジタル信号の位相差のゲインを設定し、ゲインに応じて発振した発振信号により、位相雑音を抑制する方向に、シンボルを回転させてキャリア再生を行う。位相雑音補正手段24は、位相差がプラス側に増加したときには増加分の値、マイナス側に増加したときには増加分の−1倍の値である位相雑音補正信号を出力する。
特許請求の範囲
【請求項1】 変調信号の復調を行う復調装置において、変調された入力信号の同期検波を行った後に、A/D変換をして、位相軸に対応したデジタル信号を生成するデジタル信号生成手段と、前記デジタル信号のシンボルタイミングを抽出して、タイミング再生を行うタイミング再生手段と、位相雑音補正信号にもとづいて、タイミング再生後のデジタル信号の位相差のゲインを設定し、前記ゲインに応じて発振した発振信号により、位相雑音を抑制する方向に、シンボルを回転させてキャリア再生を行うキャリア再生手段と、前記位相差がプラス側に増加したときには増加分の値、マイナス側に増加したときには増加分の−1倍の値である前記位相雑音補正信号を出力する位相雑音補正手段と、を有することを特徴とする復調装置。
【請求項2】 前記キャリア再生手段は、I、Qチャネルのデジタル信号の前記位相差を検出する位相比較器と、前記位相差を平滑化して、前記ゲインで出力するループフィルタと、前記ループフィルタの出力ゲインに応じて前記発振信号を出力する数値制御発振器と、前記発振信号にもとづいて、前記シンボルを回転させるべき関数値を生成する関数値生成器と、前記デジタル信号と前記関数値との演算を行って、前記シンボルを回転させて、ベースバンド信号を生成する複素乗算器と、から構成されることを特徴とする請求項1記載の復調装置。
【請求項3】 前記ループフィルタは、前記位相雑音補正信号の値を前記位相差に加算することによって前記ゲインを設定する第1のゲイン設定、または前記位相雑音補正信号の値に応じて自律的に前記ゲインを設定する第2のゲイン設定、のいずれかを行うことを特徴とする請求項2記載の復調装置。
【請求項4】 前記位相雑音補正手段は、1シンボル分遅延した位相差をa、現在の位相差をbとした場合に、以下の条件での前記位相雑音補正信号の出力cは、a>0かつb−a>0ならば、c=b−a(>0)
a<0かつb−a<0ならば、c=b−a(<0)
とし、前記条件以外の場合にはc=0とすることを特徴とする請求項1記載の復調装置。
【請求項5】 前記位相雑音補正手段は、nシンボル前からm(n>m)シンボル前までの位相差の平均値をa、m−1シンボル前から現在のシンボルまでの位相差の平均値をbとした場合に、以下の条件での前記位相雑音補正信号の出力cは、a>0かつb−a>0ならば、c=b−a(>0)
a<0かつb−a<0ならば、c=b−a(<0)
とし、前記条件以外の場合にはc=0とすることを特徴とする請求項1記載の復調装置。
【請求項6】 前記位相雑音補正手段は、nシンボル前からm(n>m)シンボル前までの位相差の平均値をa、m−1シンボル前から現在のシンボルまでの位相差の平均値をb、しきい値をthとした場合に、以下の条件での前記位相雑音補正信号の出力cは、a>0かつb−a>thならば、c=b−a(>0)
a<0かつb−a<thならば、c=b−a(<0)
とし、前記条件以外の場合にはc=0とすることを特徴とする請求項1記載の復調装置。
【請求項7】 前記キャリア再生手段の出力からC/Nを検出するC/N検出制御手段をさらに有し、前記C/N検出制御手段は、検出した前記C/Nにもとづいて、前記位相雑音補正信号の出力制御を行うことを特徴とする請求項1記載の復調装置。
【請求項8】 デジタル衛星放送の通信を行う放送システムにおいて、送信すべき信号を変調して変調信号を生成する変調手段と、前記変調信号を無線信号に変換するアップコンバータと、前記無線信号をアンテナを通じて衛星へ向けて送信する送信手段と、から構成される放送送信装置と、前記衛星から地上へ向けて送信された信号を受信する受信手段と、受信信号の周波数変換を行って、復調すべき信号を生成するダウンコンバータと、前記ダウンコンバータから出力される、送信側で変調された信号の同期検波を行った後に、A/D変換をして、位相軸に対応したデジタル信号を生成するデジタル信号生成手段と、前記デジタル信号のシンボルタイミングを抽出して、タイミング再生を行うタイミング再生手段と、位相雑音補正信号にもとづいて、タイミング再生後のデジタル信号の位相差のゲインを設定し、前記ゲインに応じて発振した発振信号により、位相雑音を抑制する方向に、シンボルを回転させてキャリア再生を行うキャリア再生手段と、前記位相差がプラス側に増加したときには増加分の値、マイナス側に増加したときには増加分の−1倍の値である前記位相雑音補正信号を出力する位相雑音補正手段と、から構成される放送受信装置と、を有することを特徴とする放送システム。
【請求項9】 デジタル衛星放送で、変調された信号を復調する放送受信装置において、衛星から地上へ向けて送信された信号を受信する受信手段と、受信信号の周波数変換を行って、復調すべき信号を生成するダウンコンバータと、前記ダウンコンバータから出力される、送信側で変調された信号の同期検波を行った後に、A/D変換をして、位相軸に対応したデジタル信号を生成するデジタル信号生成手段と、前記デジタル信号のシンボルタイミングを抽出して、タイミング再生を行うタイミング再生手段と、位相雑音補正信号にもとづいて、タイミング再生後のデジタル信号の位相差のゲインを設定し、前記ゲインに応じて発振した発振信号により、位相雑音を抑制する方向に、シンボルを回転させてキャリア再生を行うキャリア再生手段と、前記位相差がプラス側に増加したときには増加分の値、マイナス側に増加したときには増加分の−1倍の値である前記位相雑音補正信号を出力する位相雑音補正手段と、を有することを特徴とする放送受信装置。
【請求項10】 変調信号の復調を行う回路素子が同一基板内に集積化された半導体デバイスにおいて、変調された入力信号の同期検波を行った後に、A/D変換をして、位相軸に対応したデジタル信号を生成するデジタル信号生成手段と、前記デジタル信号のシンボルタイミングを抽出して、タイミング再生を行うタイミング再生手段と、位相雑音補正信号にもとづいて、タイミング再生後のデジタル信号の位相差のゲインを設定し、前記ゲインに応じて発振した発振信号により、位相雑音を抑制する方向に、シンボルを回転させてキャリア再生を行うキャリア再生手段と、前記位相差がプラス側に増加したときには増加分の値、マイナス側に増加したときには増加分の−1倍の値である前記位相雑音補正信号を出力する位相雑音補正手段と、を有することを特徴とする半導体デバイス。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は復調装置、放送システム及び半導体デバイスに関し、特に変調信号の復調を行う復調装置、デジタル衛星放送の通信を行う放送システム及び変調信号の復調を行う回路素子が同一基板内に集積化された半導体デバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】デジタル変復調技術の1つにPSK(Phase Shift Keying)がある。PSKはキャリア(搬送波)のパラメータとして位相を変化させる変調方式であり、衛星通信等の分野で広く使用されている。
【0003】図16は従来のPSK復調機の概略構成を示す図である。PSK復調機400は、ローカルオシレータ401、乗算器402a、402b、π/2移相器403、再生部404、位相雑音補正部405から構成される。
【0004】ローカルオシレータ401は、送信側で変調に用いたキャリアと同一の周波数、同位相の正弦波を発振する。π/2移相器403は、ローカルオシレータ401からの局発信号をπ/2移相する。乗算器402aは、入力信号とローカルオシレータ401からの局発信号との積をとる。乗算器402bは、入力信号とπ/2移相器403の出力との積をとる。
【0005】再生部404は、乗算器402a、402bの出力信号の低周波成分を通過させ、A/D変換を施して、位相軸に対応したデジタル信号を生成し、タイミング再生、キャリア再生を行ってベースバンド信号の復調を行う。
【0006】ここで、ローカルオシレータ401から発振される局発信号の周波数成分をfLとすると、実際のローカルオシレータ401から発振される信号の周波数成分は、fL±Δfとなる。Δfは、周波数ずれや位相ノイズ等を含んだ周波数の不安定部位を表している。
【0007】このように、ローカルオシレータ401の出力には、周波数の不安定部位が含まれる(発振周波数が変動する)。そして、この局発信号を用いてキャリア再生を行っているため、ベースバンド信号は、位相雑音(位相ジッタ)を含んだものとなる。この位相雑音が大きければ、その分、Iチャネル、Qチャネルの信号の位相差もより開いてしまう状態になる。
【0008】したがって、位相雑音が大きい場合には、これにすみやかに追従して、位相雑音の影響を抑制する方向に制御して、位相差のない信号を即座に生成する必要がある。このために、通常のキャリア再生の制御に対して、位相雑音の補正制御をあらたに加えて、ベースバンド信号のシンボルをできるだけ速く、正常なシンボル位置に戻すことが重要である。
【0009】従来の位相雑音の補正制御として、図に示すPSK復調機400では、まず、位相雑音補正部405が、シンボルの位相方向のばらつきと、振幅方向のばらつきとの比率を算出し、算出結果による補正値を生成する。そして、再生部404は、シンボルの位相回転を、位相雑音補正部405で生成された補正値にもとづいて行うことで、位相雑音の影響を抑制していた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような従来のPSK復調機400では、位相雑音の補正制御として、シンボルの位相方向のばらつきと、振幅方向のばらつきとの比率にもとづく補正制御を行っているため、特にアンテナを通じて無線信号に混入するノイズの影響を容易に受けやすく、位相雑音補正の精度が悪いといった問題があった。
【0011】さらに、従来の位相雑音補正制御では、低C/N(Carrier to Noise ratio)の状態では、コンスタレーション上のシンボル分布に対して、隣り合うシンボルの隙間がなくなってしまう現象が生じる可能性があり、このような場合には、位相雑音の補正がまったく不可能となってしまい、無線通信制御の品質の低下を引き起こしていた。
【0012】本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、位相雑音の補正制御を効率よく高精度に行い、品質及び信頼性の向上を図った復調装置を提供することを目的とする。
【0013】また、本発明の他の目的は、位相雑音の補正制御を効率よく高精度に行い、品質及び信頼性の向上を図った放送システムを提供することである。さらに、本発明の他の目的は、位相雑音の補正制御を効率よく高精度に行い、品質及び信頼性の向上を図った半導体デバイスを提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明では上記課題を解決するために、図1に示すような、変調信号の復調を行う復調装置20において、変調された入力信号の同期検波を行った後に、A/D変換をして、位相軸に対応したデジタル信号を生成するデジタル信号生成手段21と、デジタル信号のシンボルタイミングを抽出して、タイミング再生を行うタイミング再生手段22と、位相雑音補正信号にもとづいて、タイミング再生後のデジタル信号の位相差のゲインを設定し、ゲインに応じて発振した発振信号により、位相雑音を抑制する方向に、シンボルを回転させてキャリア再生を行うキャリア再生手段23と、位相差がプラス側に増加したときには増加分の値、マイナス側に増加したときには増加分の−1倍の値である位相雑音補正信号を出力する位相雑音補正手段24と、を有することを特徴とする復調装置20が提供される。
【0015】ここで、デジタル信号生成手段21は、変調された入力信号の同期検波を行った後に、A/D変換をして、位相軸に対応したデジタル信号を生成する。タイミング再生手段22は、デジタル信号のシンボルタイミングを抽出して、タイミング再生を行う。キャリア再生手段23は、位相雑音補正信号にもとづいて、タイミング再生後のデジタル信号の位相差のゲインを設定し、ゲインに応じて発振した発振信号により、位相雑音を抑制する方向に、シンボルを回転させてキャリア再生を行う。位相雑音補正手段24は、位相差がプラス側に増加したときには増加分の値、マイナス側に増加したときには増加分の−1倍の値である位相雑音補正信号を出力する。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の復調装置の原理図である。復調装置20は、変調信号の復調を行う。なお、n相PSK変調された信号の復調を行うものとして以降説明する。
【0017】デジタル信号生成手段21は、ローカルオシレータ210a、π/2移相器210b、乗算器211a、211b、LPF(ローパスフィルタ)212a、212b、A/D(アナログ/デジタル)変換器213a、213bから構成される。
【0018】ローカルオシレータ210aは、送信側で変調に用いたキャリアと同一の周波数、同位相の正弦波を発振する。π/2移相器210bは、ローカルオシレータ210aからの局発信号をπ/2移相する。乗算器211aは、入力信号とローカルオシレータ210aからの局発信号との積をとる。乗算器211bは、入力信号とπ/2移相器210bの出力との積をとる。
【0019】LPF212a、212bは、乗算器211a、211bの出力信号の低周波成分を通過させる。A/D変換器213a、213bは、LPF212a、212bのそれぞれの出力にA/D変換を施して、I軸、Q軸の位相軸に対応したデジタル信号を生成する。このように、デジタル信号生成手段21は、n相PSK変調信号を準同期直交検波して、デジタル化したI軸チャネル及びQ軸チャネルの信号を出力する。
【0020】タイミング再生手段22は、デジタル信号のシンボルタイミングを抽出して、タイミング再生を行う。そして、キャリア再生手段23は、抽出されたタイミングにもとづいて、変調信号からベースバンド信号を抽出する。
【0021】本発明のキャリア再生手段23では、位相雑音補正手段24から送信された位相雑音補正信号にもとづいて、タイミング再生後のデジタル信号の位相差のゲインを設定する。そして、ゲインに応じて発振した発振信号により、位相雑音(位相ジッタ)を抑制する方向に、シンボルを回転させてキャリア再生を行う。キャリア再生手段23の内部構成は図5で後述する。
【0022】位相雑音補正手段24は、I軸の信号とQ軸の信号との位相差が、プラス側に増加したときには増加分の値を、マイナス側に増加したときには増加分の−1倍の値を位相雑音補正信号として出力する。位相雑音補正制御の内容の詳細については図6以降で後述する。
【0023】次に本発明が解決したい問題点について、8PSKの場合を例にして詳しく説明する。図2は高C/Nで位相雑音がない場合の8PSKコンスタレーションを示す図である。横軸がI軸、縦軸がQ軸である。
【0024】位相雑音が存在した場合には、シンボルは、図の双方向の矢印Bのように位相方向に変動する。従来の技術では、位相方向のばらつきをP、振幅方向のばらつきをAとして、PとAの比率P/Aを算出し、算出結果をあらかじめ設定したしきい値と比較する。そして、しきい値との大小によって補正値を生成していた。なお、図の場合では、P/A=1であり、位相雑音のない理想的な状態を示している。
【0025】図3は高C/Nで位相雑音がある場合の8PSKコンスタレーションを示す図である。高C/Nで位相雑音があると、シンボルは位相方向に変動するため、イメージとしては、シンボルは位相方向に膨らんだ楕円状で表現できる。このような場合、P/A>1となり、位相雑音の影響大とみなすことができる。
【0026】図4は低C/Nで位相雑音がある場合の8PSKコンスタレーションを示す図である。低C/Nで位相雑音があると、隣り合うシンボルの隙間がなくなってしまう現象が生じる可能性があり、この場合、図からわかるように、Pの幅の検出が不可能となる。すなわち、従来技術の方式では、位相雑音の補正が不可能となってしまう。
【0027】このように、従来の技術では、高C/Nの場合に限って、位相雑音の補正を行うことができ、混入ノイズの影響を受けた場合には、位相雑音補正制御の精度を保つことができなかった(特に、シンボルの隙間がなくなるほどの低C/Nになると補正不可能であった)。本発明の復調装置20では、ノイズの影響下に対しても、効率よく位相雑音を補正し、復調制御の品質の向上を図るものである。
【0028】次にキャリア再生手段23の構成について説明する。図5はキャリア再生手段23の内部構成と、キャリア再生手段23及び位相雑音補正手段24の接続関係を示す図である。キャリア再生手段23は、複素乗算器23a、位相比較器23b、ループフィルタ23c、数値制御発振器23d、関数値生成器(以下、sinθ,cosθ生成器とする)23eから構成される。
【0029】また、位相雑音補正手段24には、位相比較器23bの出力である位相差が入力され、位相雑音補正手段24は、出力である位相雑音補正信号をループフィルタ23cに送信する。
【0030】複素乗算器23aは、タイミング再生手段22から出力されたI、Qチャネルの信号と、sinθ,cosθ生成器23eから出力された関数値(sinθ及びcosθ)との複素乗算を行って、シンボルをθ〔rad〕回転させて、ベースバンド信号を生成する。
【0031】位相比較器23bは、複素乗算器23aから出力されたI、Qチャネルのデジタル信号の位相を比較して位相差を検出する。ループフィルタ23cは、位相比較器23bから出力された位相差を平滑化し、位相雑音補正信号にもとづくゲインで出力する。
【0032】数値制御発振器23dは、VCO(Voltage Controlled Oscillator)のような機能を持っており、入力信号のレベルに応じて発振する。すなわち、ループフィルタ23cのゲイン出力に応じて発振して、発振信号を出力する。sinθ,cosθ生成器23eは、発振信号の値に応じて、sinθ及びcosθの値を生成する。
【0033】次に本発明の位相雑音の補正制御について詳しく説明する。図6、図7は位相雑音と位相差の関係を説明するための図である。図6はコンスタレーションを示す図であり(例としてQPSKを考える)、プラスとマイナスの極性を図のように設定する。また、図7は位相比較器23bの出力(位相差)を示している。縦軸が位相差、横軸が時間である。
【0034】図6のコンスタレーション上で、最初、正常な位置にあるシンボルS0に対して、位相雑音がプラスの極性側に増加して、次の周期のシンボルが、シンボルS1に変化した場合(矢印Y1)、図7の位相差波形でこれを見ると、位相差0の点d1から、点d2へのプラス側に位相差が変化した状態に対応する。また、図6のコンスタレーション上で、シンボルS1が次の周期でシンボルS0に変化する場合(正常位置に戻る場合であり、矢印Y2)、図7の位相差波形でこれを見ると、点d3から点d4への位相差変化に対応する。
【0035】一方、図6のコンスタレーション上で、正常な位置にあるシンボルS0に対して、位相雑音がマイナスの極性側に増加して、次の周期のシンボルが、シンボルS2に変化した場合(矢印Y3)、図7の位相差波形でこれを見ると、位相差0の点d4から点d5へのマイナス側に位相差が変化した状態に対応する。また、図6のコンスタレーション上で、シンボルS2が次の周期でシンボルS0に変化する場合(正常位置に戻る場合であり、矢印Y4)、図7の位相差波形でこれを見ると、点d6から点d7への位相差変化に対応することになる。
【0036】このように、位相雑音がプラス側に増加すれば、位相差もプラス側に増加し、位相雑音がマイナス側に増加すれば、位相差もマイナス側に増加することがわかる。また、位相雑音の大きさと位相差の大きさも比例する。
【0037】したがって、本発明の位相雑音補正手段24では、位相比較器23bから出力される位相差を、位相雑音情報として利用し、この位相差にもとづいた位相雑音補正信号を補正値とする。すなわち、位相差がプラス側に増加したときには、増加分の値を位相雑音補正信号とし、位相差がマイナス側に増加したときには、増加分の−1倍の値を位相雑音補正信号として出力する。
【0038】図8は位相雑音補正手段24の構成を示す図である。位相雑音補正手段24は、遅延手段24a、演算手段24bから構成される(この構成の場合を第1の実施の形態とする)。
【0039】遅延手段24aは、位相差を1シンボル分遅延させる。ここで、1シンボル分遅延した位相差をa、現在の位相差をbとした場合に、演算手段24bは以下のようにして、位相差a、bを演算して位相雑音補正信号cを出力する。
【0040】
【数1】
a>0かつb−a>0ならば、c=b−a(>0) …(1a)
a<0かつb−a<0ならば、c=b−a(<0) …(1b)
また、式(1a)、(1b)の条件以外の場合には、c=0とする。
【0041】ここで、式(1a)は、図7で示す区間t1に該当し、式(1b)は、区間t3に該当し、c=0の場合は、区間t2、t4に該当する。すなわち、位相差がプラス側、またはマイナス側に増加する場合には、その増加分を位相雑音補正信号として出力し、区間t2、t4のように、位相差が減少する場合には(正常位置に戻る区間の場合には)、位相雑音補正信号は出力しない。
【0042】図9は位相差と位相雑音補正信号の関係を示す図である。区間t1では、位相雑音補正手段24は、プラスレベルの位相雑音補正信号c1を生成し、区間t3では、マイナスレベルの位相雑音補正信号c2を生成する。
【0043】ここで例えば、時間t1aのときの位相雑音補正手段24とキャリア再生手段23の動作について考える。時間t1aのとき、位相比較器23bは、位相差としてレベルH1を出力する。位相雑音補正手段24は、位相雑音補正信号c1のレベルh1を出力する。
【0044】ループフィルタ23cは、位相雑音補正信号の値と位相差とを加算して、(H1+h1)のゲインを出力する。したがって、数値制御発振器23dは、(H1+h1)のゲインの入力信号を受信して、この入力レベルに応じた発振信号を生成する。
【0045】以降、sinθ,cosθ生成器23eで、発振信号にもとづくsinθ、cosθが生成され、複素乗算器23aによって、I、Qチャネルの信号とsinθ、cosθとの複素乗算が行われ、シンボルをθ〔rad〕回転させる(複素乗算器23aの動作としては、ループフィルタ23cの出力がプラス側のゲインであれば、シンボルのθを図6の矢印Y2の方向に動かす。また、ループフィルタ23cからのプラス側のゲインが大きいほど、シンボルのθを矢印Y2の方向に速く動かすことになる)。
【0046】このように、時間t1aで位相差がプラス側に移動する場合には、位相差レベルH1だけでなく、位相雑音補正信号c1のレベルh1の分も加算された信号に応じて発振した、数値制御発振器23dからの発振信号にもとづいて、キャリア再生が行われるので、プラスの極性にずれたシンボルを正常なシンボル位置に即座に戻すことが可能になる。
【0047】本発明では、位相差が大きければ大きいほど、より速く位相差をなくす方向に制御が行われることになるため(追従性能を向上させたことになる)、例えば、図6で示すシンボルS1が、シンボルS0に即座に戻ることになる。
【0048】また、位相差がマイナス側に増加した場合でも上記と同様であり、時間t3aのときを考えると、位相比較器23bは、位相差のレベル−H3を出力する。位相雑音補正手段24は、位相雑音補正信号c2の値−h3を出力する。
【0049】ループフィルタ23cは、位相雑音補正信号の値と位相差とを加算して、−(H3+h3)のゲインを出力する。以降、上記と同様にして、−(H3+h3)のレベルの信号に応じて発振した、数値制御発振器23dからの発振信号にもとづいて、キャリア再生が行われる(複素乗算器23aの動作としては、ループフィルタ23cの出力がマイナス側のゲインであれば、シンボルのθを図6の矢印Y4の方向に動かす。また、ループフィルタ23cからのマイナス側のゲインが大きいほど、シンボルのθを矢印Y4の方向に速く動かすことになる)。これにより、マイナスの極性にずれたシンボルを、正常なシンボル位置に即座に戻すことが可能になる(図6で示すシンボルS2が、シンボルS0に即座に戻ることになる)。
【0050】なお、上記の説明では、ループフィルタ23cは、位相雑音補正信号の値と位相差の値を加算することによって、ゲインを設定する構成としたが(第1のゲイン設定)、位相雑音補正信号の値に応じて、ループフィルタ23cが自律的にゲインを設定する(第2のゲイン設定)ような構成にしてもよい(例えば、位相雑音補正信号を受信した場合に、ループフィルタ23cの内部制御により、その値を倍にしたゲインで出力するなど)。
【0051】次にループフィルタ23cの出力信号の位相遅れについて説明する。図10はループフィルタ23cの出力信号の位相遅れを説明するための図である。ループフィルタ23cに入力された信号は、ループフィルタ23cの位相特性により、出力位相は遅れることになる。
【0052】ここで、プラス側に増加した位相差及び位相雑音補正信号c1が入力したときのループフィルタ23cの出力をフィルタ出力信号f1、マイナス側に増加した位相差及び位相雑音補正信号c2が入力したときのループフィルタ23cの出力をフィルタ出力信号f2とする。
【0053】本発明では、区間t1、t3のみに、増加分に応じた位相雑音補正信号c1、c2を出力する構成としているために、図に示すように、フィルタ出力信号f1、f2が位相雑音補正信号c1、c2に比べて、点線の波形のように大きく位相が遅れた場合でも、位相差と同じ極性を維持することができる。
【0054】図11は位相遅れが生じた場合の問題点を示す図である。ここで、位相比較器23bの出力段に増幅部を設けて、位相比較器23bから出力された位相差を、この増幅部でゲインを上げることで、本発明と同様な効果を得ようとした場合を考える。
【0055】位相比較器23bからの出力を増幅部で2倍にし、この信号gをループフィルタ23cに入力し、以降同様な制御を行うものとする。この場合、増幅部の位相特性により、増幅部の出力信号の位相は、入力の位相差に対して遅れることになる。
【0056】図に示すように、信号gが入力の位相差に対して大きく遅れた場合、区間t5では、位相差と信号gの極性が逆の状態が生じてしまう。すると、この区間t5では、シンボルを正常位置に戻す方向とは逆方向に、シンボル回転させるといった不都合なことが生じてしまう。
【0057】一方、本発明では、位相差がプラス側またはマイナス側に増加するときのみ、ループフィルタ23cの出力ゲインを上げて、位相雑音補正制御を行い、複素乗算器23aの応答性を向上させているため、図10で上述したように、ループフィルタ23cの出力位相が大きく遅れた場合でも、極性を維持することができ、精度の向上を図ることが可能になる。
【0058】次に本発明の第2の実施の形態について説明する。図12は第2の実施の形態の位相雑音補正手段の構成を示す図である。第2の実施の形態である位相雑音補正手段24−2は、位相差の平均値から、位相雑音補正信号を生成するものであり、遅延手段24a−2、演算手段24b−2、平均化手段24c−1、24c−2から構成される。
【0059】遅延手段24a−2は、図の例では、位相差を1シンボル分遅延させる遅延ブロックを7段有している。また、平均化手段24c−1は、入力位相差p0と、1段目から3段目の遅延ブロックでそれぞれ遅延された位相差p1〜p3との平均値を求める。平均化手段24c−2は、4段目から7段目の遅延ブロックでそれぞれ遅延された位相差p4〜p7との平均値を求める。
【0060】ここで、nシンボル前からm(n>m)シンボル前までの位相差の平均値をa、m−1シンボル前から現在のシンボルまでの位相差の平均値をbとした場合に、演算手段24b−2は以下のようにして、位相差a、bを演算して位相雑音補正信号cを出力する(この例では、n=7、m=4であり、aは平均化手段24c−2の出力、bは平均化手段24c−1の出力)。
【0061】
【数2】
a>0かつb−a>0ならば、c=b−a(>0) …(2a)
a<0かつb−a<0ならば、c=b−a(<0) …(2b)
また、式(2a)、(2b)の条件以外の場合には、c=0とする。
【0062】このように、位相雑音補正手段24−2では、位相差の平均値が、プラス側に増加したときには増加分を出力し、マイナス側に増加したときには増加分の−1倍を出力する構成となっている。
【0063】このように位相差の平均値を用いることにより、隣り合うシンボルの隙間がなくなる程度の低C/Nに対しても、位相比較器23bの出力位相差の増加度合いを検出することができる。
【0064】すなわち、位相比較器23bにノイズを含んだI、Qチャネルの信号が入力して、その信号から生成された位相差に対して、第2の実施の形態では位相差の平均化処理を行っているので、ノイズの影響をある程度除去することになる(隣り合うシンボルの隙間がなくなるような低C/Nの場合でも、位相差の増加度合いを検出するには、平均化処理で十分対応できる)。なお、上記の例では平均値の算出に4シンボルを用いているが、シンボル数を増加させると、さらに低C/Nに対応することが可能になる。
【0065】次に第3の実施の形態について説明する。図13は第3の実施の形態の位相雑音補正手段の構成を示す図である。第3の実施の形態である位相雑音補正手段24−3は、位相差の平均値と、あらかじめ設定したしきい値から、位相雑音補正信号を生成するものであり、演算手段24b−3の入力部に、あらたにしきい値が入力される。その他の構成は図12で示した構成と同様である。
【0066】しきい値をthとすると、演算手段24b−3は以下のようにして、位相差a、bを演算して位相雑音補正信号cを出力する【0067】
【数3】
a>0かつb−a>thならば、c=b−a(>0) …(3a)
a<0かつb−a<thならば、c=b−a(<0) …(3b)
また、式(3a)、(3b)の条件以外の場合には、c=0とする。
【0068】このように、しきい値を設けて位相差の増加分を判断することにより、混入ノイズが原因で発生する位相差の微少な増減による誤動作を防止することが可能になる。すなわち、第1、第2の実施の形態の場合では、位相差がプラス方向またはマイナス方向のいずれの増加に対しても、b−a>0,<0を判定条件としているため、わずかな差分でも位相差の増加ありとみなすことになるが、この微小差分は位相雑音によるものではなく、混入ノイズが原因で発生する場合も考えられる。
【0069】したがって、第3の実施の形態では、b−a>th,<thを判定条件として、ある一定値を超えたものだけを、位相雑音ありとみなして制御している。これにより、位相雑音補正制御の柔軟性を増すことができ、精度の向上を図ることが可能になる。
【0070】次に第4の実施の形態について説明する。図14は第4の実施の形態の構成を示す図である。第4の実施の形態は、C/N検出制御手段25を設け、C/Nの値に応じて、位相雑音補正信号の出力制御を行うものである。
【0071】C/N検出制御手段25は、複素乗算器23aの出力からC/Nを検出する。セレクタ26は、C/N検出制御手段25からのセレクト信号にもとづいて、位相雑音補正信号または“0”出力のいずれかの信号を選択して、ループフィルタ23cへ送信する。
【0072】C/N検出制御手段25は、検出したC/Nが、あらかじめ設定されている設定C/N値より小さい場合には、セレクタ26が“0”を選択するようなセレクト信号を出力する。また、検出したC/Nが、設定C/N値より大きい場合には、セレクタ26が位相雑音補正手段24からの位相雑音補正信号を選択するようなセレクト信号を出力する。
【0073】ここでは、設定C/N値を、位相雑音補正手段24が誤動作を生じるほどの大きさのC/Nの値とする。したがって、設定C/N値よりも、検出したC/Nが小さければ、ノイズの影響が強く、位相雑音補正手段24が正常動作していないものとして、位相雑音補正手段24の出力をシャットダウンする。
【0074】また、設定C/N値よりも、検出したC/Nが大きければ、位相雑音補正手段24が正常動作しているものとして、位相雑音補正手段24の出力をループフィルタ23cに与える。このような、C/Nの状態に応じた制御を行うことで、より位相雑音補正制御の品質の向上を図ることが可能になる。
【0075】次に本発明の復調装置を適用した放送システム及び放送受信装置について説明する。図15は放送システムの概略構成を示す図である。放送システム1は、放送送信装置100、テレビ受像機5が接続する放送受信装置200、衛星3とから構成される。
【0076】放送送信装置100に対し、変調手段101は、送信すべき信号を変調して変調信号を生成する。アップコンバータ102は、変調信号を無線信号に変換する。送信手段103は、無線信号をアンテナ100aを通じて衛星3へ向けて送信する。
【0077】放送受信装置200に対し、受信手段201は、衛星3から地上へ向けて送信された信号をアンテナ200aを通じて受信し、LNA(Low Noise Amplifier)で増幅する。ダウンコンバータ202は、増幅された受信信号の周波数変換(中間周波数帯への変換)を行い、BPF(バンドパスフィルタ)で帯域制限して、復調すべき信号を生成する。
【0078】復調装置203(上述した第1〜第4の実施の形態の構成を有する)は、ダウンコンバータ202から出力される、送信側で変調された信号の復調制御を行う。その後は、デコーダ部(図示せず)でMPEGの動画像再生処理等を行って、再生データを生成し、テレビ受像機5へ送信する。また、テレビ受像機5は、再生された信号を表示する。なお、本発明の復調装置は、変調信号の復調を行う回路素子が同一基板内に集積化された半導体デバイスとして実用化されるものである。
【0079】以上説明したように、本発明によれば、キャリア再生に対して、位相比較器23bの出力がプラス側に増加したときには増加分をループフィルタ23cに出力し、マイナス側に増加したときには増加分の−1倍をループフィルタ23cに出力して、位相雑音の補正制御を行う構成とした。これにより、無線信号に混入するノイズの影響を受けにくい、位相雑音の補正制御を、効率よく高精度に行うことができるので、無線通信制御の品質及び信頼性の向上を図ることが可能になる。なお、上記の説明では、復調装置の適用例として、衛星通信の受信装置に適用したが、衛星通信以外の無線受信装置に幅広く適用することが可能である。
【0080】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の復調装置は、位相軸に対応したデジタル信号の位相差が、プラス側に増加したときには増加分の値、マイナス側に増加したときには増加分の−1倍の値である位相雑音補正信号を生成し、この位相雑音補正信号にもとづいて、タイミング再生後のデジタル信号の位相差のゲインを設定し、このゲインに応じて発振した発振信号により、位相雑音を抑制する方向に、シンボルを回転させてキャリア再生を行う構成とした。これにより、無線信号に混入するノイズの影響を受けにくい、位相雑音の補正制御を、効率よく高精度に行うことができるので、無線通信制御の品質及び信頼性の向上を図ることが可能になる。
【0081】また、本発明の放送システムは、放送受信側で、位相軸に対応したデジタル信号の位相差が、プラス側に増加したときには増加分の値、マイナス側に増加したときには増加分の−1倍の値である位相雑音補正信号を生成し、この位相雑音補正信号にもとづいて、タイミング再生後のデジタル信号の位相差のゲインを設定し、このゲインに応じて発振した発振信号により、位相雑音を抑制する方向に、シンボルを回転させてキャリア再生を行う構成とした。これにより、無線信号に混入するノイズの影響を受けにくい、位相雑音の補正制御を、効率よく高精度に行うことができるので、無線通信制御の品質及び信頼性の向上を図ることが可能になる。
【0082】さらに、本発明の半導体デバイスは、位相軸に対応したデジタル信号の位相差が、プラス側に増加したときには増加分の値、マイナス側に増加したときには増加分の−1倍の値である位相雑音補正信号を生成し、この位相雑音補正信号にもとづいて、タイミング再生後のデジタル信号の位相差のゲインを設定し、このゲインに応じて発振した発振信号により、位相雑音を抑制する方向に、シンボルを回転させてキャリア再生を行う構成とした。これにより、無線信号に混入するノイズの影響を受けにくい、位相雑音の補正制御を、効率よく高精度に行うことができるので、無線通信制御の品質及び信頼性の向上を図ることが可能になる。




 

 


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