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発明の名称 防曇鏡およびその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2003−116689(P2003−116689A)
公開日 平成15年4月22日(2003.4.22)
出願番号 特願2001−320696(P2001−320696)
出願日 平成13年10月18日(2001.10.18)
代理人
発明者 池澤 綾子 / 宮内 雅浩 / 下吹越 光秀
要約 課題
結露過程の微小な水滴による曇りも防止し、長期にわたって高度な防曇性能を発揮し得る防曇鏡を提供する。

解決手段
透明なガラス基材の裏面に反射膜が形成され、前記反射膜を覆うように樹脂被膜が形成され、前記透明なガラス基材の表面に結晶性SnO2を含有する被膜が形成された防曇鏡であって、前記結晶性SnO2を含有する被膜は鏡に対し垂直方向に成長し且つ成長方向の端面がその周囲に対して突出した凸状表面である複数の柱状物からなり、前記凸状表面には微細な凹凸が形成されており、前記微細凹凸のサイズの平均値rが5〜100nmであって、前記複数の隣り合った柱状物の間に細長い隙間が形成されており、その隙間の幅dは該隙間に隣り合った柱状物の水平方向の長さよりも短いことを特徴とする防曇鏡。
特許請求の範囲
【請求項1】 透明なガラス基材の裏面に反射膜が形成され、前記反射膜を覆うように樹脂被膜が形成され、前記透明なガラス基材の表面に結晶性SnO2を含有する被膜が形成された防曇鏡であって、前記結晶性SnO2を含有する被膜は鏡に対し垂直方向に成長し且つ成長方向の端面がその周囲に対して突出した凸状表面である複数の柱状物からなり、前記凸状表面には微細な凹凸が形成されており、前記微細凹凸のサイズの平均値rが5〜100nmであって、前記複数の隣り合った柱状物の間に細長い隙間が形成されており、その隙間の幅dは該隙間に隣り合った柱状物の水平方向の長さよりも短いことを特徴とする防曇鏡。
【請求項2】 鏡面研磨された金属部材の表面に透明な樹脂被膜が形成され、更に前記透明な樹脂被膜の表面に結晶性SnO2を含有する被膜が形成された防曇鏡であって、前記結晶性SnO2を含有する被膜は鏡に対し垂直方向に成長し且つ成長方向の端面がその周囲に対して突出した凸状表面である複数の柱状物からなり、前記凸状表面には微細な凹凸が形成されており、前記微細凹凸のサイズの平均値rが5〜100nmであって、前記複数の隣り合った柱状物の間に細長い隙間が形成されており、その隙間の幅dは該隙間に隣り合った柱状物の水平方向の長さよりも短いことを特徴とする防曇鏡。
【請求項3】 鏡面研磨された金属部材の表面に結晶性SnO2を含有する被膜が形成された防曇鏡であって、前記結晶性SnO2を含有する被膜は鏡に対し垂直方向に成長し且つ成長方向の端面がその周囲に対して突出した凸状表面である複数の柱状物からなり、前記凸状表面には微細な凹凸が形成されており、前記微細凹凸のサイズの平均値rが5〜100nmであって、前記複数の隣り合った柱状物の間に細長い隙間が形成されており、その隙間の幅dは該隙間に隣り合った柱状物の水平方向の長さよりも短いことを特徴とする防曇鏡。
【請求項4】 樹脂基材の表面に反射膜が形成され、前記反射膜の表面に透明な樹脂被膜が形成され、更に前記透明な樹脂被膜の表面に結晶性SnO2を含有する被膜が形成された防曇鏡であって、前記結晶性SnO2を含有する被膜は鏡に対し垂直方向に成長し且つ成長方向の端面がその周囲に対して突出した凸状表面である複数の柱状物からなり、前記凸状表面には微細な凹凸が形成されており、前記微細凹凸のサイズの平均値rが5〜100nmであって、前記複数の隣り合った柱状物の間に細長い隙間が形成されており、その隙間の幅dは該隙間に隣り合った柱状物の水平方向の長さよりも短いことを特徴とする防曇鏡。
【請求項5】 樹脂基材の表面に反射膜が形成され、前記反射膜の表面に結晶性SnO2を含有する被膜が形成された防曇鏡であって、前記結晶性SnO2を含有する被膜は鏡に対し垂直方向に成長し且つ成長方向の端面がその周囲に対して突出した凸状表面である複数の柱状物からなり、前記凸状表面には微細な凹凸が形成されており、前記微細凹凸のサイズの平均値rが5〜100nmであって、前記複数の隣り合った柱状物の間に細長い隙間が形成されており、その隙間の幅dは該隙間に隣り合った柱状物の水平方向の長さよりも短いことを特徴とする防曇鏡。
【請求項6】 前記柱状物の水平方向の長さの平均値Lが50〜500nmであることを特徴とする請求項1〜5に記載の防曇鏡。
【請求項7】 前記柱状物の高さの平均値Hが100〜3000nmであることを特徴とする請求項1〜6に記載の防曇鏡。
【請求項8】 前記結晶性SnO2を含有する被膜は高周波マグネトロンスパッタによって形成されてなることを特徴とする請求項1〜7に記載の防曇鏡。
【請求項9】 前記結晶性SnO2を含有する被膜は、高周波マグネトロンスパッタのターゲットとしてSnO2を用い、高周波出力を250W〜600Wとし、基材温度100℃〜600℃として形成されてなることを特徴とする請求項1〜8に記載の防曇鏡。
【請求項10】 前記結晶性SnO2を含有する被膜に更にシロキサン結合を有する物質ないしアルミノシリケート化合物を含有してなることを特徴とする請求項1〜9に記載の防曇鏡。
【請求項11】 前記防曇鏡が洗面所で使用されることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の防曇鏡。
【請求項12】 防曇鏡の製造方法であって、基材に結晶性SnO2を含有する被膜を高周波マグネトロンスパッタによって形成することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の防曇鏡の製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、防曇鏡およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鏡の表面に結露した水滴が付着すると像が見えなくなる。すなわち、曇りという現象のために鏡像の視認ができなくなり、この弊害は、一般家庭においては、浴室、洗面所等で顕著に見られる。鏡の曇りを防止する手段として、基材表面に親水性の被膜を形成することが従来行われている。親水性の被膜としては、例えば特開平10-36144公報の様に、光触媒活性を有する無機親水性膜の上に更に多孔質の無機酸化物膜を形成する方法がある。この方法によれば、表面に吸着した水滴を無機酸化膜の多孔質の開口部から膜内部に吸収することによって曇りを防止し、下層の光触媒活性を有する無機親水性膜に紫外光を照射することによって、表面に付着した汚れなどの親水性を阻害する物質を前記光触媒活性を有する無機親水性膜の光触媒反応によって分解し、よって親水性の効果の持続性を高めることができる。しかし、この方法では光触媒反応を生じさせるために紫外光を照射する必要があり、室内の光の弱い場所では防曇性能の持続力が弱いという欠点があった。
【0003】また、防曇機能を有する部材として、例えば特開平11-100234の様に、部材の表面に凹凸構造を施すことによって、親水性を強調した部材が提案されている。この部材は、浴室のような高湿度で結露水が多く付着し、かつ付着した水滴が大きく成長しやすい状況での曇りは防止できる。浴室内では鏡に対してシャワー等による水かけ操作ができ、鏡の表面に容易に水膜を形成させることができるため、浴室内の環境における鏡の防曇の技術的難易度はそれ程高くない。一方、洗面化粧台に装着されている鏡に対しては一般的に水かけ操作はできず、この環境で結露によって生じる水滴の大きさは浴室環境で生じるものよりも小さい。このため、洗面化粧台の鏡の防曇技術は難易度が高く、前記防曇性部材を持ってしても、曇りが防止できないという欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記の欠点を解決し、結露過程の比較的小さな水滴による曇りを防止するためになされたもので、長期にわたって高度な防曇性能を発揮し得る防曇鏡を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】透明なガラス基材の裏面に反射膜が形成され、前記反射膜を覆うように樹脂被膜が形成され、前記透明なガラス基材の表面に結晶性SnO2を含有する被膜が形成された防曇鏡であって、前記結晶性SnO2を含有する被膜は鏡に対し垂直方向に成長し且つ成長方向の端面がその周囲に対して突出した凸状表面である複数の柱状物からなり、前記凸状表面には微細な凹凸が形成されており、前記微細凹凸のサイズの平均値rが5〜100nmであって、前記複数の隣り合った柱状物の間に細長い隙間が形成されており、その隙間の幅dは該隙間に隣り合った柱状物の水平方向の長さよりも短いことを特徴とする防曇鏡。
【0006】一般に、平坦な固体表面と水との接触角がθを記述する式としてはYoungの式が知られている。
【0007】
【数1】

【0008】ここでγSVは固体−気体の界面自由エネルギー、γSLは固体−液体の界面自由エネルギー、γLVは液体−気体の界面自由エネルギーである。
【0009】一方で表面に凹凸のある固体表面と水との接触角θ'を記述する式としてはWenzelの式が知られている。
【0010】
【数2】

【0011】ここでrは表面が平坦であると仮定した時の表面積に対する実際の表面積の比で、表面に凹凸がある場合、rは1よりも大きくなる。即ち、平坦な表面における水接触角θが90°よりも小さい(親水的な)表面に対してはθ'<θとなり、水滴は濡れ広がり易くなる。
【0012】また、一般に親水性部材からなる細孔においては、開口部に水滴または水膜の一部が達すると毛管吸引力が働くために、前記水膜を構成する水は細孔内に吸収される。
【0013】本発明の防曇鏡における防曇作用を簡単に述べると、以下の通りである。本発明の防曇鏡においては、鏡表面に形成された結晶性SnO2を含有する被膜が鏡に垂直方向に成長した複数の柱状物からなり、前記複数の隣り合った柱状物の間に細長い隙間が形成されているため、前記細長い隙間の開口部に水滴または水膜の一部が達すると、毛管吸引力によって前記水滴または水膜は被膜内部に吸収される。更に前記柱状物の成長方向の端面が周に対して中央部が突出した凸状表面であって、前記凸状表面に更に微細な凹凸構造が形成されているため、前記Wenzelの式に示される表面積増大の効果によって、該柱状物表面に付着した水滴は濡れ広がり易い。濡れ広がった水滴は水膜となり、この水膜の一部が前記細長い隙間の開口部に達することによって、塗れ広がった水膜は被膜内部に吸収される。このため、洗面所における結露のように微小な水滴が原因である曇りを好適に防止し、高度な防曇性能を発揮することができる。
【0014】本発明の一実施態様においては、前記結晶性SnO2を含有する被膜は鏡に対し垂直方向に成長した複数の柱状物からなり、前記柱状物の成長方向の端面はその周囲に対して中央部が突出した凸状表面からなる。且つ前記凸状表面には微細な凹凸が形成されており、前記微細凹凸のサイズの平均値rが5〜100nmである。前記態様においては、結露の初期過程で生じる水滴のサイズが可視光を散乱する閾値である100nmに達する前に前記Wenzel式に示される表面積増大の効果によって好適に濡れ広げることができ、よって結露初期過程の微小水滴による曇りを防止することができる。
【0015】本発明の好ましい実施態様においては、前記柱状物の水平方向の長さの平均値Lは50〜500nmである。前記態様によれば、柱状物の水平方向の長さの平均値が500nm以下であるために濡れ広げられた水膜を効率よく吸収することができる。また柱状物の水平方向の長さの平均値が50nm以上であるために、柱状物の表面に安定して凹凸構造を形成することができ、被膜の強度を高くすることもできる。
【0016】本発明の好ましい実施態様においては、前記柱状物の垂直方向の高さの均膜値Hが100nm〜3000nmである。前記態様によれば、柱状物の高さが100nm以上であるため膜強度を得ることができ、結晶性のよい膜とすることができる。また、柱状物の高さが3000nm以下であるため、膜の白濁を防ぐことができ、該被膜は実質的に透明である。
【0017】本発明の防曇鏡においては、前記結晶性SnO2を含有する被膜は高周波マグネトロンスパッタによって作製されることが望ましい。前記作製法によれば、スパッタでSnO2膜を作製することによって結晶性SnO2膜を容易に得ることができ、スパッタ条件を好適に制御することによって前記結晶性SnO2被膜の構造を鏡に対して垂直に成長した複数の柱状物の集合として且つ前記柱状物の成長方向の端面をその周囲に対して中央部が突出した凸状表面とし、且つ前記凸状表面に微細な凹凸を形成させることが可能である。また、スパッタにおいて高周波電源を用いることにより、酸化物ターゲットを用いることができるため結晶性のよいSnO2被膜を得ることができる。更にマグネトロンスパッタを用いるため、高速かつ高効率でスパッタを行うことができる。また、高周波マグネトロンスパッタで成膜される被膜は硬度が高く、耐熱、耐薬品性に優れている。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明における反射膜は、銀、クロム、アルミニウム、鉄、チタン、スズ、ニッケル、コバルト、シリコン、銅、白金から選択される少なくとも1つが好適に使用できる。
【0019】請求項1に係る実施の形態を、図1に基づいて説明する。図1は請求項1に係る実施の態様の断面図である。透明なガラス基材の裏面に反射膜が形成され、この反射膜が外気と接触しない様に樹脂被膜で封止されている。また、透明なガラス基材の表面には、優れた防曇機能を発揮する結晶性SnO2被膜が形成されている。ガラス基材としては、一般にフロート法で作製したものを使用することができる。反射膜を封止するための樹脂被膜は、透明であっても不透明であっても構わない。反射膜を封止するための樹脂被膜として、アクリル酸エステル共重合体、オレフィンビニルアルコール共重合体、アルキド樹脂、アミノ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、セルロースプラスチック、塩化ポリエーテル、クマロン樹脂、塩素化ポリエチレン、アリル樹脂、エチレン−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エポキシ樹脂、フラン樹脂、フッ素樹脂、FRP、ケトン樹脂、メタクリル−スチレン共重合体、ニトリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、メタクリル樹脂、ポリプロピレン、ポリスルホン、ポリスチレン、スチレン共重合体、ポリウレタン、酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、熱可塑性エラストマー、シリコーン、不飽和ポリエステル樹脂、変性ポリオレフィン、SAN樹脂、MBS樹脂、EVA樹脂、、AAS樹脂、ABS樹脂、ACS樹脂からなる群より選択される少なくとも一つが好適に使用できる。
【0020】請求項2に係る実施の形態を、図2に基づいて説明する。図2は請求項2に係る実施の態様の断面図である。金属部材の表面のうち、少なくとも一方の面は鏡面研磨加工が施してあって、前記鏡面研磨加工が施してある表面に透明な樹脂被膜が形成され、更に前記透明な樹脂被膜の上に優れた防曇機能を発揮する結晶性SnO2被膜が形成されている。前記金属部材としては、銀、クロム、アルミニウム、鉄、チタン、スズ、ニッケル、コバルト、シリコン、銅、白金から選択される少なくとも1つが好適に使用できる。また、透明な樹脂被膜としては、アクリル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリオレフィン、塩化ビニル樹脂等から選択される少なくとも一つが好適に使用できる。
【0021】請求項3に係る実施の形態を、図3に基づいて説明する。図3は請求項3に係る実施の態様の断面図である。金属部材の表面のうち、少なくとも一方の面は鏡面研磨加工が施してあって、前記鏡面研磨加工が施してある金属部材の上に、優れた防曇機能を発揮する結晶性SnO2被膜が形成されている。前記金属部材としては、銀、クロム、アルミニウム、鉄、チタン、スズ、ニッケル、コバルト、シリコン、銅、白金から選択される少なくとも1つが好適に使用できる。
【0022】請求項4に係る実施の形態を、図4に基づいて説明する。図4は請求項4に係る実施の態様の断面図である。樹脂基材の裏面に反射膜が形成され、前記反射膜の上に透明な樹脂被膜が形成され、さらにこの上に優れた防曇機能を発揮する結晶性SnO2被膜が形成されている。前記樹脂基材は、透明であっても不透明であっても構わない。樹脂基材としては、アクリル酸エステル共重合体、オレフィンビニルアルコール共重合体、アルキド樹脂、アミノ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、セルロースプラスチック、塩化ポリエーテル、クマロン樹脂、塩素化ポリエチレン、アリル樹脂、エチレン−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エポキシ樹脂、フラン樹脂、フッ素樹脂、FRP、ケトン樹脂、メタクリル−スチレン共重合体、ニトリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、メタクリル樹脂、ポリプロピレン、ポリスルホン、ポリスチレン、スチレン共重合体、ポリウレタン、酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、熱可塑性エラストマー、シリコーン、不飽和ポリエステル樹脂、変性ポリオレフィン、SAN樹脂、MBS樹脂、EVA樹脂、、AAS樹脂、ABS樹脂、ACS樹脂からなる群より選択される少なくとも一つが好適に使用できる。また、反射膜の上に形成させる透明な樹脂被膜としては、アクリル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリオレフィン、塩化ビニル樹脂等から選択される少なくとも一つが好適に使用できる。
【0023】請求項5に係る実施の形態を、図5に基づいて説明する。図5は請求項5に係る実施の態様の断面図である。樹脂基材の裏面に反射膜が形成され、この上に優れた防曇機能を発揮する結晶性SnO2被膜が形成されている。前記樹脂基材は、透明であっても不透明であっても構わない。前記樹脂基材としては、図4で説明したものを好適に使用することができる。
【0024】本発明の実施の形態のうち、結晶性SnO2を含有する被膜の構造を図6に基づいて説明する。図6は本発明の一実施態様の断面模式図およびその一部拡大図であるが、本発明において微細凹凸のサイズの平均値rとは、走査型電子顕微鏡(日立製作所、S-4100)を用いて加速電圧15kV、倍率60万倍として約1200×4000nmの範囲の二次電子像に観察される表面微細凹凸から無作為に10個の単位凸構造を選び、前記単位凸構造の周の長さから単位凸構造を円と近似して求められる直径の平均値である。
【0025】本発明において柱状物の水平方向とは、鏡の表面に平行な方向であって、柱状物の成長方向に略垂直な方向であり、柱状物の水平方向の長さの平均値Lとは、本発明の防曇鏡の無作為に選んだ5点における断面を、走査型電子顕微鏡を用いて加速電圧15kV、倍率60万倍として二次電子像を観察した時の前記柱状物の水平方向の長さの平均値であり、複数の隣り合った柱状物の間に形成された隙間の幅dとは前記走査型電子顕微鏡を用いた断面観察において柱状物の間に形成されて見える隙間の水平方向の長さである。隙間の幅dが該隙間に隣り合った柱状物の水平方向の長さよりも短いとは、前記走査型電子顕微鏡を用いた断面観察において、無作為に選んだある隙間の幅dが、該隙間に隣接する柱状物の幅Lに対して短いというということを表している。
【0026】本発明において柱状物の高さHとは、前記柱状物の頂点から鏡に対して垂直な法線を引いた時の、柱状物頂点から鏡表面までの長さであって、本発明の防曇鏡の無作為に選んだ5点における断面を、走査型電子顕微鏡を用いて加速電圧15kV、倍率60万倍として二次電子像を観察した時の前記柱状物の高さの平均値である。
【0027】本発明において高周波マグネトロンスパッタとは、ターゲットと基材の間に高周波を流すことによってスパッタし、且つ磁場によってプラズマをターゲット付近に集めて効率的に成膜する形式のスパッタであって、前記高周波は数MHz以上の周波数である。高周波マグネトロンスパッタを用いて成膜条件を好適に制御することによって、柱状物および微細凹凸構造からなる被膜を形成することができ、特別な後処理をする必要がない。また、結晶性のよい緻密な膜を成膜でき、膜強度も高くできる。高周波マグネトロンスパッタでSnO2膜を形成するときのターゲットとしては、SnO2をターゲットとして用いてもよいし、Snをターゲットとして用いて反応性スパッタとしてもよい。
【0028】本発明の防曇鏡の前記結晶性SnO2を含有する被膜の好適な態様として、SnO2をターゲットとして、高周波出力を250W〜600Wとし、基材温度100℃〜600℃として高周波マグネトロンスパッタで形成させる。前記態様によれば、ターゲットにSnO2を使用するため、結晶性のよいSnO2被膜を得ることが容易である。さらに高周波電源の出力が250W以上であるためにAr+イオンのエネルギーがSnO2ターゲットを効率的にスパッタでき、また600W以下であるために反跳イオンによる基材および被膜の損傷を防止することができる。基材温度は100℃以上としているため結晶性のよいSnO2被膜が得られ、また基材温度を600℃以下としているため、前記複数の柱状物からなる構造からバルク構造への、再結晶による転移を防ぐ事ができる。これらの条件を満たすことによって、ルチル型のSnO2が(1 1 1)方向および(2 1 1 )方向に自形をもった状態で柱状に成長する。柱状物の成長方向の端面は(1 1 1) (2 1 1 )面の自形が形成されているため、ピラミッド型の突出した構造を有している。また、この条件で成膜することによって突出した表面には凹凸が形成される。
【0029】本発明の防曇鏡を製造する方法として、本発明の防曇鏡の具体的な態様毎に説明する。請求項1に記載の防曇鏡を製造する方法として、結晶性SnO2を含有する被膜をガラス基材に成膜した後に、裏面の反射膜をコーティング、更にその後に前記反射膜を封止するための樹脂被膜を形成させても良い。この場合、結晶性SnO2被膜を熱処理する際、温度の上限はガラス軟化点まで上げられる。すなわち、この製造方法における、SnO2被膜を形成させる際の基材の熱処理温度として、100℃〜600℃の範囲が好適に使用できる。基材の熱処理温度が高いほど、SnO2被膜の結晶性が向上し、防曇特性、被膜硬度が優れるため、更に好ましい態様における基材の熱処理温度として、400℃〜600℃の範囲が好適に使用できる。請求項1に記載の防曇鏡を製造する方法として、ガラス基材の裏面に反射膜をコーティングをした後に、結晶性SnO2を含有する被膜をガラス基材の表面に形成させ、更にその後に前記反射膜を封止するための樹脂被膜を形成させることで製造し得る。この場合、結晶性SnO2被膜を熱処理する際、温度の上限は反射膜の酸化反応が始まる温度まで上げられる。すなわち、この製造方法における、SnO2被膜を形成させる際の基材の熱処理温度として、100℃〜500℃の範囲が好適に使用できる。基材の熱処理温度が高いほど、SnO2被膜の結晶性が向上し、防曇特性、被膜硬度が優れるため、更に好ましい態様における基材の熱処理温度として、400℃〜500℃の範囲が好適に使用できる。請求項1に記載の防曇鏡を製造する方法として、ガラス基材の裏面に反射膜をコーティング、更に反射膜を封止するための樹脂被膜を形成させたものに、結晶性SnO2を含有する被膜を形成させても良い。この場合、結晶性SnO2被膜を熱処理する際、温度の上限は樹脂被膜の劣化が顕著になる温度まで上げられる。すなわち、この製造方法における、SnO2被膜を形成させる際の基材の熱処理温度として、100℃〜150℃の範囲が好適に使用できる。
【0030】請求項2に記載の防曇鏡を製造する方法として、鏡面研磨加工を施した金属部材の上に樹脂被膜を形成させ、更にその上に、結晶性SnO2を含有する被膜を形成させる。この場合、結晶性SnO2被膜を熱処理する際、温度の上限は樹脂被膜の劣化が顕著になる温度まで上げられる。すなわち、この製造方法における、SnO2被膜を形成させる際の基材の熱処理温度として、100℃〜150℃の範囲が好適に使用できる。請求項2に記載の防曇鏡を製造する方法として、フィルム状の樹脂膜の上に結晶性SnO2被膜を形成させたものを鏡面研磨加工した金属部材の表面に接着させても良い。この場合、結晶性SnO2被膜を熱処理する際、温度の上限は樹脂膜の劣化が顕著になる温度まで上げられる。すなわち、この製造方法における、SnO2被膜を形成させる際の基材の熱処理温度として、100℃〜150℃の範囲が好適に使用できる。また、樹脂膜の接着剤としては、透明であることが望ましく、その組成は樹脂膜と同様であっても異なっていてかまわない。
【0031】請求項3に記載の防曇鏡を製造する方法として、鏡面研磨加工を施した金属部材の上に、結晶性SnO2を含有する被膜を形成させることで製造し得る。この場合、結晶性SnO2被膜を熱処理する際、温度の上限は反射膜の酸化反応が始まる温度まで上げられる。すなわち、この製造方法における、SnO2被膜を形成させる際の基材の熱処理温度として、100℃〜500℃の範囲が好適に使用できる。基材の熱処理温度が高いほど、SnO2被膜の結晶性が向上し、防曇特性、被膜硬度が優れるため、更に好ましい態様における基材の熱処理温度として、400℃〜500℃の範囲が好適に使用できる。
【0032】請求項4に記載の防曇鏡を製造する方法として、樹脂基材の表面に反射膜を形成させ、更にその上に透明な樹脂被膜を形成させた後に、結晶性SnO2を含有する被膜を形成させることで製造し得る。この場合、結晶性SnO2被膜を熱処理する際、温度の上限は樹脂基材および樹脂被膜の劣化が顕著になる温度まで上げられる。すなわち、この製造方法における、SnO2被膜を形成させる際の基材の熱処理温度として、100℃〜150℃の範囲が好適に使用できる。請求項4に記載の防曇鏡を製造する方法として、フィルム状の樹脂膜の上に結晶性SnO2被膜を形成させたものと、表面に反射膜をコートした樹脂基材を接着させても良い。この場合、結晶性SnO2被膜を熱処理する際、温度の上限は樹脂被膜の劣化が顕著になる温度まで上げられる。すなわち、この製造方法における、SnO2被膜を形成させる際の基材の熱処理温度として、100℃〜150℃の範囲が好適に使用できる。また、樹脂膜の接着剤としては、透明であることが望ましく、その組成は樹脂膜と同様であっても異なっていてかまわない。
【0033】請求項5に記載の防曇鏡を製造する方法として、樹脂基材の表面に反射膜をコーティングした後に、結晶性SnO2を含有する被膜を形成させることで製造し得る。この場合、結晶性SnO2被膜を熱処理する際、温度の上限は反射膜の酸化反応が始まる温度まで上げられる。すなわち、この製造方法における、SnO2被膜を形成させる際の基材の熱処理温度として、100℃〜500℃の範囲が好適に使用できる。基材の熱処理温度が高いほど、SnO2被膜の結晶性が向上し、防曇特性、被膜硬度が優れるため、更に好ましい態様における基材の熱処理温度として、400℃〜500℃の範囲が好適に使用できる。
【0034】前記結晶性SnO2を含有する被膜には、更にシロキサン結合を有する物質および/またはアルミノシリケート化合物を含有してもよい。こうすることによって、前記結晶性SnO2を含有する被膜の表面が更に親水的になり、よって結晶性SnO2を含有する被膜の防曇性能およびその維持力を向上させることができる。
【0035】前記シロキサン結合を有する物質としては、メチルトリクロルシラン、メチルトリブロムシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリt−ブトキシシラン;エチルトリクロルシラン、エチルトリブロムシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリt−ブトキシシラン;n−プロピルトリクロルシラン、n−プロピルトリブロムシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリイソプロポキシシラン、n−プロピルトリt−ブトキシシラン;n−ヘキシルトリクロルシラン、n−ヘキシルトリブロムシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリイソプロポキシシラン、n−ヘキシルトリt−ブトキシシラン;n−デシルトリクロルシラン、n−デシルトリブロムシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n−デシルトリイソプロポキシシラン、n−デシルトリt−ブトキシシラン;n−オクタデシルトリクロルシラン、n−オクタデシルトリブロムシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、n−オクタデシルトリイソプロポキシシラン、n−オクタデシルトリt−ブトキシシラン;フェニルトリクロルシラン、フェニルトリブロムシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリt−ブトキシシラン;テトラクロルシラン、テトラブロムシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン;ジメチルジクロルシラン、ジメチルジブロムシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン;ジフェニルジクロルシラン、ジフェニルジブロムシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン;フェニルメチルジクロルシラン、フェニルメチルジブロムシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン;トリクロルヒドロシラン、トリブロムヒドロシラン、トリメトキシヒドロシラン、トリエトキシヒドロシラン、トリイソプロポキシヒドロシラン、トリt−ブトキシヒドロシラン;ビニルトリクロルシラン、ビニルトリブロムシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリt−ブトキシシラン;トリフルオロプロピルトリクロルシラン、トリフルオロプロピルトリブロムシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−メタアクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリt−ブトキシシラン;β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン;および、それらの部分加水分解物;およびそれらの混合物を使用することができる。
【0036】前記アルミノシリケート化合物はシリケート化合物のSiの一部をAlで置換した化合物であって、更に電荷を補償するためにH+やLi+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Fr+などのアルカリ金属イオンやBe2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Ra2+などのアルカリ土類金属イオンが含有されていてもよい。前記シリケート結合を有する化合物のSiの一部をAlで置換した物や、ゼオライトなどを使用することができる。
【0037】以下に、結晶性SnO2を含有する被膜に更にシロキサン結合を有する物質および/またはアルミノシリケート化合物を含有させる具体的な構造について図7〜図9に基づき説明する。図7〜図9は本発明に係る防曇鏡断面の模式図である。
【0038】結晶性SnO2を含有する被膜に更にシロキサン結合を有する物質および/またはアルミノシリケート化合物を含有する防曇鏡としては、図7に示すように、前記柱状物と微細凹凸構造を有する結晶性SnO2を含有する被膜の内部にシロキサン結合を有する物質および/またはアルミノシリケート化合物が含有されている。シロキサン結合、アルミノシリケート結合の1部は、外気に接触するように表面に露出していても構わない。
【0039】結晶性SnO2を含有する被膜に更にシロキサン結合を有する物質および/またはアルミノシリケート化合物を含有する防曇鏡としての他の実施態様においては、図8に示すように、前記柱状物と微細凹凸構造を有する親水性被膜表面に、更にシロキサン結合を有する物質および/またはアルミノシリケート化合物が、外気と接触するように存在している。
【0040】結晶性SnO2を含有する被膜に更にシロキサン結合を有する物質および/またはアルミノシリケート化合物を含有する防曇鏡としての他の実施態様においては、図9に示すように、前記柱状物と微細凹凸構造を有する親水性被膜表面に、更にシロキサン結合を有する物質および/またはアルミノシリケート化合物を含有する層が形成されている。前記シロキサン結合を有する物質および/またはアルミノシリケート化合物を含有する層は連続膜でも不連続膜であってもよく、多孔質や島状となっていてもよい。
【0041】前記図7に示すような、柱状物と微細凹凸構造を有する結晶性SnO2を含有する被膜の内部にシロキサン結合を有する物質および/またはアルミノシリケート化合物が含有されている被膜の製造方法としては、前記結晶性SnO2を含有する被膜の構造を害さない方法であればよいが、好適には、前記シロキサン結合を有する物質および/またはアルミノシリケート化合物は、前記結晶性SnO2を含有する被膜と連続して、あるいは同時に高周波マグネトロンスパッタによって形成することができる。これによれば、結晶性SnO2を含有する被膜の形成と連続または同時に前記シロキサン結合を有する物質および/またはアルミノシリケート化合物を形成できるため、工程が単純である。また、連続または同時に高周波マグネトロンスパッタで成膜するため、膜強度を高くすることができ、真空系を切らないため不純物の混入を避けることもできる。
【0042】前記図8に示すような、柱状物と微細凹凸構造を有する結晶性SnO2を含有する被膜表面にシロキサン結合を有する物質および/またはアルミノシリケート化合物が、外気と接触するように存在している被膜の製造方法としては、前記結晶性SnO2を含有する被膜の構造を害さない方法であればよいが、好適には、前記シロキサン結合を有する物質および/またはアルミノシリケート化合物は、前記結晶性SnO2を含有する被膜と連続して、高周波マグネトロンスパッタによって形成することができる。これによれば、結晶性SnO2を含有する被膜の形成と連続して前記シロキサン結合を有する物質および/またはアルミノシリケート化合物を形成できるため、工程が単純である。また、連続または同時に高周波マグネトロンスパッタで成膜するため、膜強度を高くすることができ、真空系を切らないため不純物の混入を避けることができる。
【0043】前記図8に示すような、柱状物と微細凹凸構造を有する結晶性SnO2を含有する被膜表面にシロキサン結合を有する物質および/またはアルミノシリケート化合物が、外気と接触するように存在している被膜の他の製造方法としては、ドライプロセスを用いることができる。ドライプロセスとしては、例えば真空蒸着法・スパッタ法・イオンプレーティング法などのPVD法や、CVD法などが利用できる。
【0044】前記図8に示すような、柱状物と微細凹凸構造を有する結晶性SnO2を含有する被膜表面にシロキサン結合を有する物質および/またはアルミノシリケート化合物が、外気と接触するように存在している被膜の他の製造方法としては、ウェットプロセスを用いることもできる。ウェットプロセスで形成する場合の出発原料としては、例えば、金属塩、コロイド、アルコキシド、キレート化合物、アセテート化合物からなる群より選択される少なくとも1種類を含む原料を使用することができる。例えば、シリカ、シリコーン、アルキルシリケート、アルカリシリケート、アクリルシリコーン等が好適に使用できる。ウェットプロセスの成膜方法としては、例えばスピンコートやディップコートなどのゾルゲル法や、塗布法、めっき法などが利用できる。
【0045】前記図9に示すような、柱状物と微細凹凸構造を有する結晶性SnO2を含有する被膜表面にシロキサン結合を有する物質および/またはアルミノシリケート化合物を含有する層が形成されている被膜の製造方法としては、前記結晶性SnO2を含有する被膜の構造を害さない方法であればよいが、好適には、前記シロキサン結合を有する物質および/またはアルミノシリケート化合物を含有する層は、前記結晶性SnO2を含有する被膜と連続して、高周波マグネトロンスパッタによって形成することができる。これによれば、結晶性SnO2を含有する被膜の形成と連続して前記シロキサン結合を有する物質および/またはアルミノシリケート化合物を含有する層を形成できるため、工程が単純である。また、連続または同時に高周波マグネトロンスパッタで成膜するため、膜強度を高くすることができ、真空系を切らないため不純物の混入を避けることができる。
【0046】前記図9に示すような、柱状物と微細凹凸構造を有する結晶性SnO2を含有する被膜表面にシロキサン結合を有する物質および/またはアルミノシリケート化合物を含有する層が形成されている被膜の他の製造方法としては、ドライプロセスを用いることができる。ドライプロセスとしては、例えば真空蒸着法・スパッタ法・イオンプレーティング法などのPVD法や、CVD法などが利用できる。
【0047】前記図9に示すような、柱状物と微細凹凸構造を有する結晶性SnO2を含有する被膜表面にシロキサン結合を有する物質および/またはアルミノシリケート化合物を含有する層が形成されている被膜の他の製造方法としては、ウェットプロセスを用いることもできる。ウェットプロセスで形成する場合の出発原料としては、例えば、金属塩、コロイド、アルコキシド、キレート化合物、アセテート化合物からなる群より選択される少なくとも1種類を含む原料を使用することができる。例えば、シリカ、シリコーン、アルキルシリケート、アルカリシリケート、アクリルシリコーン等が好適に使用できる。ウェットプロセスの成膜方法としては、例えばスピンコートやディップコートなどのゾルゲル法や、塗布法、めっき法などが利用できる。
【0048】本発明の防曇鏡の表面、すなわち外気に接触する面にはSnO2を含有する被膜が形成されている。SnO2はスパッタによって結晶性の良好な被膜を形成し、その際柱状成長しやすいため、本発明に係る材料として適している。
【0049】本発明の防曇鏡は光触媒活性を有している。つまり、この防曇鏡にSnO2を励起し得る光を照射した場合、付着した有機物を分解したり、SnO2自身が水との親和性が高い状態に変換させることができる。即ち、本発明の防曇鏡に光を照射することで防曇性能を長期間維持することができる。蛍光灯等のような光強度の弱い室内照明のみ照射した場合でも高度に親水化した状態が維持されており、太陽光を照射した場合においても防曇性能が発揮されるのはいうまでもない。
【0050】更に、結晶性SnO2を含有する被膜に更にシロキサン結合を有する物質および/またはアルミノシリケート化合物を含有させた防曇鏡においては、SnO2が光触媒活性を有するために、SnO2を励起し得る光を該防曇鏡に照射した場合、シロキサン結合を有する物質およびアルミノシリケート化合物中のSi原子に結合した有機基が、SnO2の光励起による光触媒作用によって水酸基に置換され、該被膜の親水性を向上させ、よって防曇性能を向上させることができる。このため、前記シロキサン結合を有する物質および/またはアルミノシリケート化合物として、Si原子に有機基の結合した物質を使用することも可能である。
【0051】更に、本発明の防曇鏡に含まれるSnO2は極超絶縁抵抗計(東亜電波工業、SM-10E)で測った表面抵抗率が108Ω以下の電気伝導性を有するため、塵、埃等の帯電物質の付着を抑制することができ、良好な防曇性能を長期間維持することができる。
【0052】本発明の防曇鏡は、驚くべき事に、50日間水との接触角に換算して5°以下の高度に親水性な状態を維持することができる。疎水化した表面は、光照射や水拭きなどの洗浄で、容易に元の高度に親水化した状態を再現させることができる。また、本発明のSnO2被膜は実質的に透明であり、鏡像の視認性を損ねることはない。
【0053】本発明に係るSnO2を含有する被膜の硬度は高い。本発明に係るSnO2を含有する被膜に対し、JIS、K-5400に記載の鉛筆引っかき試験に従って評価した鉛筆硬度は6H以上である。このため、耐摩耗性、耐衝撃性に優れている。また、耐薬品性、耐熱性も非常に優れている。
【0054】本発明の防曇鏡は洗面化粧台の鏡として好適に使用できる。洗面所において曇りが顕著になる際、浴室などの湿度が高くて結露し易い環境よりも、結露水の水滴の大きさが小さい。従来の防曇技術では小さな水滴に対する防曇機能は不充分であって、洗面化粧台においては長期間の防曇機能を達成するのは困難であった。一方、本発明の防曇鏡は洗面化粧台の様な結露水の水滴の大きさが小さい場合においても、2ヵ月以上の長期間にわたって良好な防曇効果を発揮することが出来る。また、本発明の防曇鏡は、浴室などの結露水の水滴の大きさが大きくなる環境においても良好な防曇機能を発揮することはいうまでもない。また、自動車のサイドミラー、道路に設置されたカーブミラー等の雨水の付着によって鏡の視認性が悪くなる用途に対しても、本発明の防曇鏡は好適に使用できる。
【0055】
【実施例】実施例1Pyrexガラスからなる基材に、SnO2焼結体をターゲットとして高周波マグネトロンスパッタで以下の条件でSnO2被膜を成膜した。基材温度:400℃、高周波電源出力:400W、スパッタ時の真空度:0.8Pa、アルゴン流量:40cm3min-1、酸素流量:2cm3min-1、基板ホルダーの回転速度:6rpm、スパッタ時間:8時間。以下の実施例及び比較例に示す基板ホルダーとは、基材を固定し回転中心をターゲットのプラズマエリアより外に持つ回転板であって、これを回転することによって基材はプラズマエリア内外を連続かつ周期的に回転する。
【0056】比較例1Pyrexガラスからなる基材に、Sn金属をターゲットとして高周波マグネトロンスパッタで以下の条件でSnO2被膜を成膜した。基材温度:400℃、高周波電源出力:400W、スパッタ時の真空度:0.8Pa、アルゴン流量:45cm3min-1、酸素流量:5cm3min-1、基板ホルダーの回転速度:0rpm(基板回転なし)、スパッタ時間:30分。
【0057】比較例2Pyrexガラスからなる基材に、Sn金属をターゲットとして高周波マグネトロンスパッタで以下の条件でSnO2被膜を成膜した。基材温度:水冷(基板ホルダー裏面に通水)、高周波出力:400W、スパッタ時の真空度:0.8Pa、アルゴン流量:40cm3min-1、酸素流量:10cm3min-1、基板ホルダーの回転速度:6rpm、スパッタ時間:8時間。
【0058】前記実施例1および比較例12のサンプルを、X線回折分析装置(マックサイエンス、MXP-18)、走査型電子顕微鏡(日立製作所、S-4100)によって分析し、表面抵抗を極超絶縁計(東亜電波工業、SM-10E)によって測定した。表面抵抗は室温で測定した。また、防曇性能を以下の方法で試験した(防曇試験1)。サンプル作成後、シリカゲルによって乾燥状態を保ち光を遮断したデシケーター内に2ヶ月保管した。その後デシケーターからサンプルを取り出し、接触角測定、防曇性能評価を行った。接触角は接触角測定機(協和界面科学、CA-X150)で測定した。防曇性能は、表面温度20℃に保った鏡にサンプルを貼り付け、28℃/相対湿度75%の空気を流したときの鏡像の視認性によって評価した。
【0059】X線回折分析の結果から、実施例1および比較例12はルチル型SnO2の良好な結晶構造を有することが認められた。
【0060】また、走査型電子顕微鏡観察によって、実施例1のSnO2膜の構造は図10に示すように水平方向の長さが50〜400nmの柱状物からなり、表面に、20〜50nmの凹凸構造が形成されている構造であることが認められた。比較例1の構造は図11に示すように80nm程度の柱状物からなる構造であることが認められた。比較例2の構造は、図13に示すように緻密な被膜上に20nm程度の凹凸構造が形成された構造であることが認められた。
【0061】また、実施例1および比較例12の表面抵抗は106〜108Ω以下であり、帯電防止効果を発揮し得る電気伝導性を持つことが認められた。
【0062】実施例1および比較例12の水接触角測定および防曇性能評価結果は以下のようになった。2ヶ月保管後の実施例1の水接触角は3°であり、防曇試験では曇らず、実施例1のサンプルを貼り付けた鏡に写った像がはっきりと確認できた。比較例1の水接触角測定および防曇性能評価結果は以下のようになった。2ヶ月保管後の比較例1の水接触角は3°であったが、防曇試験では曇り、サンプル表面に水滴や不均一な水膜が形成されたことによって比較例1のサンプルを貼り付けた鏡に写った像はぼやけてしまった。比較例2の水接触角測定および防曇性能評価結果は以下のようになった。2ヶ月保管後の比較例2の水接触角は3°であったが、防曇試験では曇り、サンプル表面に水滴や不均一な水膜が形成されたことによって比較例2のサンプルを貼り付けた鏡に写った像はぼやけてしまった。
【0063】実施例2実施例1で得たサンプルと以下に示す比較例3および4を、サンプル表面での紫外光照度計(TOPCON、UVR-2)で測った紫外光照度が2μW/cm2となるように蛍光灯照射下に設置して屋内で曝露を実施し、接触角の変化を100日間測定した。更に100日後よりはサンプル表面での紫外光照度が380μW/cm2となるようにブラックライト照射下に設置して屋内曝露での接触角変化を測定した。
【0064】比較例3Pyrexガラスからなる基材にに市販のコロイダルシリカゾル(日産化学、ST-OS)を固形分濃度2wt%に調製してスピンコート法で成膜し、500℃の電気炉で30分乾燥、充分に冷ました後市販のTiO2アルコキシド(日本曹達、NDH510C)をディップコート法によって成膜し、500℃の電気炉で30分間乾燥させた。
【0065】比較例4Pyrexからなる基材に市販のコロイダルシリカゾル(日産化学、ST-OS)を固形分濃度2wt%に調製し、スピンコート法で成膜し、500℃の電気炉で30分乾燥させた。
【0066】実施例2および比較例3・4の上記蛍光灯照射下およびブラックライト照射下での屋内曝露における接触角変化を図13に示す。実施例2は50日間蛍光灯照射下での屋内曝露においては接触角10°以下を保ち、100日間で35°まで疎水化したが、その後のブラックライト照射下での屋内曝露においては急速に親水化し、50時間以内に接触角は10°以下まで下がった。比較例3は初期から接触角が高く、蛍光灯照射下の屋内曝露において更に接触角が上昇したが、ブラックライト照射したでの屋内曝露では急激に親水化し、約100時間で接触角は10°以下まで下がった。比較例3については、蛍光灯照射下での屋内曝露で比較例3より低い接触角を保ったが、実施例2よりは接触角は高かった。また、ブラックライト照射下での屋内曝露では接触角は下がらなかった。
【0067】実施例3実施例1で得たサンプルにコロイダルシリカ(日産化学、ST-01)をスピンコートによって成膜した。コロイダルシリカは固形分濃度を0.1%に調整し、1500rpmで10秒間スピンコート成膜した。この膜を150℃で30分間乾燥し、実施例2を得た。このサンプルの防曇性能を以下の方法で試験した(防曇試験2)。サンプルに紫外光照度1.6μW/cm2照の蛍光灯を照射しながら室内で2ヶ月間大気曝露し、接触角測定および防曇性能評価を行った。防曇性能は、表面温度20℃に保った鏡にサンプルを貼り付け、28℃/相対湿度75%の空気を流したときの鏡像の視認性によって評価した。
【0068】実施例3のサンプルは紫外光照度1.6μW/cm2の蛍光灯を照射しながら室内で2ヶ月間大気曝露した後でも水接触角は3°であり、前記防曇試験で曇らず、実施例3のサンプルを貼り付けた鏡に写った像がはっきりと確認できた。
【0069】実施例4実施例1で得たサンプルに対し、JIS、K-5400に記載されている鉛筆引っかき試験に従ってSnO2被膜の硬さを評価した。
【0070】実施例1で得たSnO2被膜の鉛筆硬度は7H以上であり、高周波マグネトロンスパッタで成膜したSnO2被膜は硬度が高く、洗面化粧台の鏡として好適に利用することが可能であることが明らかになった。
【0071】
【発明の効果】本発明によれば、長期にわたって高度な防曇性能を発揮し得る鏡を提供することが可能となる。




 

 


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