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発明の名称 伝熱促進方法および沸騰伝熱面
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2002−228389(P2002−228389A)
公開日 平成14年8月14日(2002.8.14)
出願番号 特願2001−27386(P2001−27386)
出願日 平成13年2月2日(2001.2.2)
代理人
発明者 高松 洋 / 本田 博司
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 伝熱壁に高さ10nm〜1000nmの凹凸体が密集した面粗さの沸騰伝熱面を形成する表面処理を行なうことを特徴とする伝熱促進方法。
【請求項2】 前記表面処理がスパッタリングまたは化学蒸着法により伝熱壁に薄膜を形成することを特徴とする請求項1記載の伝熱促進方法。
【請求項3】 伝熱壁の表面または請求項2記載の薄膜表面に湿式エッチングを行なって高さ10nm〜1000nmの凹凸体が密集した面粗さを形成することを特徴とする伝熱促進方法。
【請求項4】 液体の沸騰が生じる面に高さ10nm〜1000nmの凹凸体が密集した面粗さを有することを特徴とする沸騰伝熱面。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体などの伝熱面と冷却液との間、または高温流体から低温流体に熱を伝える熱交換器の隔壁(伝熱壁)と低温流体との間などの熱伝達を良くする伝熱促進方法および沸騰伝熱面に関し、特に伝熱面が液体で濡れ易くても熱伝達を良好にできるようにした伝熱促進方法及び沸騰伝熱面に関する。
【0002】
【従来の技術】発熱表面と冷却液との間、または高温流体から低温流体に熱を伝える熱交換器の隔壁と低温流体との間の熱伝達など、液体を伝熱面に接して冷却する技術分野において、特に冷却能率の向上を要求されるものに、前者では半導体素子および回路の冷却など、後者ではハロゲン化炭化水素などの冷媒の蒸発器などがある。例えば、近年コンピュータの演算処理の高速化を目的とした半導体チップの発熱密度は指数関数的に増大してきた。従来の汎用コンピュータに用いられてきたバイポーラチップのマルチチップモジュールに代わってCMOSチップを用いる技術が開発されたことにより発熱密度が一旦減少したため、チップの高性能冷却技術の開発に対する要求が一段落しているが、さらに高速化が進むと発熱密度が再び増加することになる。このような半導体関係では、信頼性の面からチップの温度は85℃以下に保つ必要があり、このための高性能冷却技術の開発が必要となる。
【0003】ところで、沸騰する液体と接する伝熱面(発熱表面または伝熱壁の表面)からの熱伝達を良くするためには、発泡を促進することが重要である。そのためには伝熱面表面に気泡核が残存し易い構造を有することが有利であり、リエントラントキャビティと呼ばれる入口が内部よりも小さい形の窪みが有効と考えられてきた。また、沸騰熱伝達は伝熱面の表面粗さが粗い程良いとされている。従って、沸騰熱伝達を促進するためには、数μmから数百μmのサイズの粗さやキャビティを形成するような以下の表面処理技術が開示されている。
(a)レーザー照射によって微細な孔を多数形成する方法(米国特許4,050,507)。
(b)微小量の塗料を塗布後にメッキを行ない、ついで塗料を除去することによって表面に微細孔を形成する方法(特開昭56−16693号)。
(c)金属粒子を積み上げた後に金属被膜を形成して多孔質層を形成する方法(特開昭55−63397号)。
(d)微粒子や銀箔を接着剤の溶液に混ぜたものを塗布し、乾燥させることによって多孔質層を形成する方法(ASME Journal of Heat Transfer,Vol.117,pp.387-393,1995) 。
(e)研磨剤を用いてサンドブラスト法または液体ホーニング法により表面を多孔質面にする方法(特開昭52−97458号)。
(f)磁性鉄粉を積層し、メッキによってデンドライト層(ブラシ状の構造)を形成する方法(米国特許3,706,127)
(g)鋼管の表面に長さ0.05μm〜2.0μmの酸化銅の針状体を多数形成する方法(特開平11−211376号)。
(h)アルミニウム粒子のサンドブラストを行なった後にKOH溶液によるエッチングによって表面粗さを形成する方法(特開平54−96965号)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、表面構造のスケールが数μmより大きい場合には、表面を濡らし易いフッ化炭化水素などの液体に対しては有効な発泡核を確保しにくい欠点がある。また、(c),(d),(f)のように表面に多孔質性の層が形成される場合には高い熱負荷の場合に性能が低下する、(b)〜(f)のように表面処理工程に微粒子を用いる方法では半導体素子のように不純物を嫌う場合には使用しにくい、(f),(g)の場合には対象に制限がある、などの問題がある。
【0005】本発明は、上述のような従来の問題点を解決するために成されたものであって、その目的とするところは、表面を濡らし易い液体の場合でも沸騰熱伝達を良好にする簡便な方法及び沸騰伝熱面を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、表面が液体で濡れ易く沸騰熱伝達が余り良いとは言えないシリコンウエハ伝熱面のフッ化炭化水素の沸騰実験について鋭意研究を重ねた結果、従来の基準では伝熱面が十分に滑らかと判断される程度の表面加工を行なうことにより、無垢のシリコン面に比べて飛躍的な熱伝達の向上が得られることを発見した。そのことから本発明は、下記のスパッタリング、化学蒸着(CVD)、湿式エッチングなどの加工技術を採用して微細な粗さ(10nm〜1000nm)を伝熱面の表面に加工することにより、無垢平滑な伝熱面より沸騰熱伝達の性能を飛躍的に改善することが可能となった。
【0007】本発明請求項1記載の伝熱促進方法では、伝熱壁に高さ10nm〜1000nmの凹凸体が密集した面粗さの沸騰伝熱面を形成する表面処理を行なうことを特徴とする。
【0008】請求項2記載の伝熱促進方法では、請求項1記載の伝熱促進方法において、前記表面処理がスパッタリングまたは化学蒸着法により伝熱壁に薄膜を形成することを特徴とする。
【0009】請求項3記載の伝熱促進方法では、伝熱壁の表面または請求項2記載の薄膜表面に湿式エッチングを行なって高さ10nm〜1000nmの凹凸体が密集した面粗さを形成することを特徴とする。
【0010】請求項4記載の沸騰伝熱面では 液体の沸騰が生じる面に高さ10nm〜1000nmの凹凸体が密集した面粗さを有することを特徴とする。
【0011】
【発明の作用および効果】本発明では、伝熱面の表面に1000nm以下の微細な粗さを形成させることにより、沸騰熱伝達を向上させるというものである。本発明における微細な粗さは、従来の沸騰熱伝達の研究や沸騰伝熱面に用いられる粗さとはそのスケールが極めて小さく、従来であれば平滑とみなされるオーダーであるところに特徴がある。この微細な粗さは、伝熱面の表面処理で形成できるので、伝熱面表面の一次加工で拡大伝熱面を形成する従来の伝熱促進技術と組み合わせて用いることも可能である。従って、半導体素子の冷却、熱交換器の伝熱面などの多くの沸騰熱伝達利用機器で熱伝達の向上に用いることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】本実施の形態の伝熱促進方法および沸騰伝熱面を説明する。表面積10×10mm2 、厚さ0.5mmのシリコンチップ表面にスパッタリングによりSiO2 の薄膜を加工した。次いで、HFとNH4 Fの水溶液により湿式エッチングを施し、表面に微細な粗さを形成した。前記シリコンチップ表面へのスパッタリングは、高周波2極スパッタリング法を用い、圧力2.5×10-6Torr、100Wで実施した。尚、膜厚は凹凸体の高さに直接関係するものではなく、厚めが好ましい場合は凹凸体の高さに関係なく厚く設定することもできる。前記HFとNH4 Fの水溶液には、それぞれ49%HFおよび40%NH4 F水溶液を用い、その水溶液の重量比は1:14、温度20℃とした。前記湿式エッチングにおいては、4分間浸漬した。尚、上記各種条件はこれに限定されるものではなく、様々な条件に設定できるのは勿論である。
【0013】図1は上記の方法で表面微細粗さを形成したシリコンチップ1の表面を走査プローブ顕微鏡で測定した結果であり、実験で用いたチップのデータである。この図では10ミクロン×10ミクロンの範囲の表面の面粗さ2が3次元的に表されている。縦軸のフルスケールは1000nmであるので、この面には最大で200nm程度の高さの凹凸3が形成されていることになる。また、高さ数10nm程度の小さい凹凸4が観察される。このような処理を施したシリコンチップおよび無垢のシリコンチップを不伝導性液体FC−72中に浸漬し、直流による通電加熱を行なって沸騰熱伝達特性を測定した。
【0014】図2は沸騰熱伝達の性能を表す沸騰曲線と呼ばれる図であり、熱流束q(単位面積当たり単位時間に伝わる熱量)と加熱度ΔTsat (伝熱面温度と液体の飽和温度との差)との関係を示している。試験液体はフロリナートFC−72というフッ化炭化水素の液体で、大気圧における沸点は56℃である。この実験結果は、大気圧で液体温度を31℃に保った場合の例である。丸印(Smooth)はシリコンウェハを切り出しただけの10mm×10mmの無垢のチップに対するデータ、三角印(Rough)は表面処理により図1に示すような表面粗さを有するチップに対するデータを示す。
【0015】丸印の場合、熱流束を徐々に増加すると、加熱度が約17Kで少し温度が低下している。これが沸騰の開始を表している。その後、熱流束の増加とともに加熱度が増加するが、その勾配は未沸騰域(17K以下の領域)よりはるかに大きい。つまり、少しの温度上昇で大きな熱流束の増大が図れるので、沸騰が生じると熱伝達は非常に良くなるといえる。データは21W/cm2 で終わっている。これは、これ以上の熱流束では突然、伝熱面の温度が上昇することを示しており、この限界点を極大熱流束点という。
【0016】沸騰熱伝達が良いということは、同じ伝熱面温度で高い熱流束が得られる、または、同じ熱流束に対して伝熱面温度が低い(実際は伝熱面温度と液体温度の差が小さい)ことである。従って、図2の線が上または左にあるほど熱伝達が良好であるといえる。三角印と丸印とを比較すると、例えば加熱度が20Kの場合、熱流束がそれぞれ21W/cm2 と11W/cm2 であるので、三角印の熱伝達性能が丸印の約2倍であることになる。また、上述の極大熱流束点は、健全な沸騰状態を維持できる限界を表すので、この点もできるだけ高く、そして、左(低温度)にある方がよい。この点でも、無垢の面が21W/cm2 であるのに対し、微細な表面粗さを有する面では36W/cm2 である。以上、要するに微細表面粗さを有する面は平滑面と比べて極めて熱伝達性が良い。
【0017】以上、本発明の実施の形態を説明したが、具体的な構成は前記実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更などがあっても本発明に含まれる。表面処理はスパッタリングで行なう他、均質なアモルファス膜を生成する通常の温度、圧力、原料濃度、流量などとは異なる条件の下で熱CVDによる成膜を行ない、表面が滑らかでなく、10nm〜1000nmに入る程度の粗さの多結晶構造の異常成長膜を作成することもできる。また、アルミニウムなどの金属の場合、電解腐食などの電気化学的な方法を用いて金属表面に微細な粗さを形成することも可能である。スパッタリングによる表面処理を行なった後、湿式エッチングを行なって表面粗さを設けたが、必要とする表面粗さの程度によっては、スパッタリング、または化学蒸着法のみで得ることもできる。




 

 


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