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発明の名称 電力系統における負荷周波数制御方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−86649(P2001−86649A)
公開日 平成13年3月30日(2001.3.30)
出願番号 特願平11−256058
出願日 平成11年9月9日(1999.9.9)
代理人 【識別番号】100062926
【弁理士】
【氏名又は名称】東島 隆治
【テーマコード(参考)】
5G066
5H590
【Fターム(参考)】
5G066 AA05 AE09 
5H590 AA02 AA21 BB09 CA01 CA05 CA11 CA29 CC01 CE01 EA07 EA14 EB07 EB14 EB21 EB28 FA05 GA06 GA09 GB05 HA01 HA06 HA09 JA02
発明者 福田 尚人 / 出野 賢一 / 佐々木 鉄雄
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 多くの発電機が接続された電力系統において、消費電力の変動により生じる系統周波数および連系線潮流の変化を検出し、基準周波数(50Hz又は60Hz)との偏差もしくは需給不平衡量を得るステップ、前記の偏差もしくは需給不平衡量が所定値以上のとき、前記消費電力の変動を補うために必要な電力の制御必要量を算出するステップ、各発電機に固有の発電電力の制御特性及び各発電機の発電電力の制御状態に応じて、制御対象の各発電機に優先順位を設定するステップ、前記制御必要量を、前記優先順位の高い発電機から順に、各発電機毎に定まる所定の電力値づつ割り当てるステップを有する電力系統における負荷周波数制御方法。
【請求項2】 前記制御特性が、制御信号に対して出力が変化し始めるまでの応答遅れ時間と、制御信号を受けたときの発電電力の単位時間当たりの変化量である変化速度とであり、前記制御状態は、各発電機の発電電力の増加又は減少である請求項1記載の電力系統における負荷周波数制御方法。
【請求項3】 前記各発電機毎に定まる所定の電力値は、各発電機において増加可能又は減少可能な発電電力値である請求項1記載の電力系統における負荷周波数制御方法。
【請求項4】 制御特性である、出力変化速度、及び制御状態である、LFCとEDCによる出力の変化方向が同じである状態、指令値と実出力との差がある状態、実出力が指令値に達していない状態、最適なλ値に近づく方向とLFCの出力変化方向が同じである状態、から選択した2つ又はそれ以上の組合せに基づいて発電機の優先順位を決めることを特徴とする請求項1記載の電力系統における負荷周波数制御方法。
【請求項5】 多くの発電機が接続された電力系統において、消費電力の変動により生じる系統周波数および連系線潮流の変化を検出し、基準周波数(50Hz又は60Hz)との偏差もしくは需給不平衡量を得るステップ、前記の偏差もしくは需給不平衡量が所定値以上のとき、前記消費電力の変動を補うために必要な電力の制御必要量を算出するステップ、前記の制御必要量に応じて、前記発電機の発電電力の増減を指令する負荷周波数制御信号(以下、LFC信号という)を生成するステップ、及び前記LFC信号を受ける各発電機についてあらかじめ測定されている、LFC信号に対する応答遅れ時間あるいは発電電力の変化速度とに基づいて、各発電機に、前記出力が変化し始めるまでの応答遅れ時間の長いものから短いものへ順次順位が上がる第1の優先順位を設定し、前記発電電力の単位時間当たりの変化量である変化速度の遅いものから速いものへ順次順位が上がる第2の優先順位を設定するステップを有し、前記第1及び第2の優先順位を総合し所定の定め方で決めた総合優先順位の高い発電機ほど、前記LFC信号の印加によって指令される、前記消費電力の変動を補う制御必要量の割当量を多くし、総合優先順位の低い発電機ほど、前記制御必要量の割当量を少なくするか割り当てないことを特徴とする電力系統における負荷周波数制御方法。
【請求項6】 前記総合優先順位は、前記第1及び第2の優先順位を示すそれぞれの数値の和の値に基づいて決めることを特徴とする請求項5記載の電力系統における負荷周波数制御方法。
【請求項7】 前記総合優先順位は、前記第2の優先順位内で同順位のものに対して、第1の優先順位に基づいて順序付けすることを特徴とする請求項5記載の電力系統における負荷周波数制御方法。
【請求項8】 前記総合優先順位は、前記第1の優先順位内で同順位のものに対して、第2の優先順位に基づいて順序付けすることを特徴とする請求項5記載の電力系統における負荷周波数制御方法。
【請求項9】 前記制御必要量を、総合優先順位の高い一部の発電機にのみ割り当てることを特徴とする請求項5記載の電力系統における負荷周波数制御方法。
【請求項10】 前記第1の優先順位の高い一部の発電機にのみ、前記一部の発電機のうちで第1の優先順位の高いものほど、割当量が多くなるように前記制御必要量を割り当てることを特徴とする請求項5記載の電力系統における負荷周波数制御方法。
【請求項11】 前記第2の優先順位の高い一部の発電機にのみ、前記一部の発電機のうちで第2の優先順位の高いものほど、割当量が多くなるように前記制御必要量を割り当てることを特徴とする請求項5記載の電力系統における負荷周波数制御方法。
【請求項12】 経済的な発電を行うために、多数の発電機のうちの発電コストの低い発電機の発電電力を多くし、発電コストの高い発電機の発電電力を少なくするように発電電力を割り当てる、経済負荷配分制御(以下、EDCという)の指令値における発電電力の増減を示す変化方向と、前記LFC信号の発電電力の増減を示す変化方向とが同じである発電機であって、前記第1及び第2の優先順位内の少なくとも一方の優先順位の高い一部の発電機において、前記優先順位の高い発電機ほど前記制御必要量の割当量を多くし、前記優先順位の低い発電機ほど前記制御必要量の割当量を少なくすることを特徴とする請求項5記載の電力系統における負荷周波数制御方法。
【請求項13】 各発電機について前記EDCの指令値と、実際の出力値との出力偏差を検出し、検出されたそれぞれの出力偏差を相互に比較するステップを更に有し、前記出力偏差が大きい一部の発電機にのみ、前記出力偏差が大きい発電機ほど前記制御必要量の割当量を多くし、出力偏差が少ない発電機ほど前記制御必要量の割当量を少なくすることを特徴とする請求項12記載の電力系統における負荷周波数制御方法。
【請求項14】 発電電力が前記EDCの指令値に達していない前記第1及び第2の優先順位、及び出力偏差の大きさで定まる優先順位の内の少なくとも1つにおいて優先順位の高い一部の発電機において、前記優先順位の高いものほど前記制御必要量の割当量を多くし、前記優先順位の低いものほど前記制御必要量の割当量を少なくすることを特徴とする請求項12記載の電力系統における負荷周波数制御方法。
【請求項15】 発電機の実際の発電電力が最適な増分燃料費に近づく方向と、LFC信号の発電電力の増減を示す変化方向とが同じであるとともに、前記第1及び第2の優先順位、及び出力偏差の大きさで定まる優先順位の内の少なくとも1つにおいて優先順位の高い一部の発電機において、前記優先順位の高いものほど制御必要量の割当量を多くすることを特徴とする請求項12記載の電力系統における負荷周波数制御方法。
【請求項16】 EDCの指令値に基づく発電出力の増減の変化方向と、LFCの指令値に基づく発電出力の増減の変化方向が同一の発電機に、前記第1の優先順位と第2の優先順位及び出力偏差の大きさで定まる優先順位の内のいずれか一方の優先順位に従って、優先順位の高い発電機から順に制御必要量を割り当てることを特徴とする請求項12記載の電力系統における負荷周波数制御方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電力系統における負荷周波数制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電気事業者の電力系統では、原子力発電所、火力発電所、水力発電所(揚水発電所を含む)等に設けられた電源である各発電機から電力が供給されている。これらの電源の内、原子力発電所のものを除く他の電源は、電力を消費する負荷の消費電力の変動、すなわち需要変動に対応し、中央給電指令所からの供給制御信号に基づいて出力調整を行っている。この出力調整により、上記の各電源からの供給電力と需要電力のバランスが保たれ、電力系統の周波数が基準値(50Hzまたは60Hz)に対して所定の偏差内に維持されている。需要電力の増減に応じて供給電力を増減させ、電力系統の周波数を基準値の所定の偏差内に維持する制御のための供給制御信号として、主に次の2つの制御信号が使用されている。1つは、変動周期が数分から10数分程度で、変動幅がそれほど大きくない需要変動に対応して各発電機の出力制御を行うことを目的とする負荷周波数制御信号(以下、LFC信号という、LFCはLoad Freuency Controlの頭文字である)である。
【0003】LFCは、負荷の需要電力の増減によって周波数が基準周波数の所定の範囲から逸脱しないように発電機の出力を制御することをいう。もう1つの制御信号はLFC信号が対象とするよりも長い周期の大幅な需要変動に対応して各発電機の出力制御を行うことを目的とした、経済負荷配分制御信号(以下、EDC信号という、EDCはEconomic load Dispatching Controlの頭文字である)である。LFC信号が対象とするよりも短い数分以下の周期の小幅の需要変動については、各発電機に設けられているGF(ガバナフリー)機能により、電力系統の周波数変動に応じて自動的に発電機の出力を制御している。電力系統の運用に際しては、これらの各制御機能を活用することにより、電力系統内の需要変動に応じて発電機の出力を制御して、電力系統の周波数を基準値に対して所定の偏差内に保っている。
【0004】火力発電機(以下火力機という)においては、昭和40年代前半まで主流であった、出力が400MW程度までのドラムボイラ機に代わり、近年はより大容量化した多くの貫流ボイラ機が系統に接続される状況にある。ドラムボイラ機はプラント内にドラムを有し、このドラムが熱容量上のバッファとなることから、周波数の変動に対応して増減した出力を一定時間維持することが可能である。一方、貫流ボイラ機では、水がそのまま蒸気管のなかで蒸気となり、過熱機・タービンへと送られる。このため、ドラムボイラ機に比べて熱容量が小さく、出力を増加したときその出力を維持できる時間が比較的短く、2〜3分で低下する。
【0005】この貫流ボイラ機の出力が低下する時間範囲は、本来、GF機能で出力制御をする。このような貫流ボイラ機の特性が電力系統の周波数変動に与える影響は、系統内での貫流ボイラ機の使用比率が高まる程大きくなる。すなわち周波数低下が一定時間継続した場合、GF機能で対応するべき周期範囲における比較的長周期の変動に対して十分に対応することができなくなる。このため、GF機能でもLFCでも制御できない周期の出力変動が発生し、系統周波数が乱れる原因の一つになっている。したがって、近年の周波数制御においては、現在GF機能が分担している周期範囲の出力変動をも対象としてLFCを行う必要があり、この周期範囲において高速に対応可能な周波数制御方法が必要である。
【0006】従来のLFCを更に細かく分けると、定周波数制御(以下、FFCという、Flat Frequency Controlの頭文字)と、周波数偏倚連系線潮流制御(以下、TBCという、Tie line Bias Controlの頭文字)の2つに分けられる。FFCは、先に記したように周波数の基準値からの偏差(△F)を検出し、偏差△Fが少なくなるように発電機出力を調整して電力系統の周波数を一定に保つ制御である。TBCは、偏差△Fと、他の電力系統(例えば、他の複数の電力会社の電力系統)との電力のやりとりを示す連系線潮流変化(△Pt)とを検出し、これらから周波数を一定に制御するために必要な電力(以下、制御必要量という)を算出して、その制御必要量に応じて発電機の出力を調整するものである。
【0007】電力系統の周波数を一定に保つための制御対象である各発電機においては、LFC信号に対する応答遅れ時間と出力変化速度が個々の発電機によって違っていることが知られている。このことは、例えば系統の周波数の基準周波数からの偏差が大きくなり、LFC信号を用いて発電機に対し出力制御が行われた場合、出力変化速度が小さいあるいは応答遅れ時間の長い発電機の出力が、需給不平衡を拡大するように動作することがある。即ち、需要変動に適切に追従していない発電機の出力変動は、系統の周波数にじょう乱を発生させる原因になる。従って系統運用に際しては、需要変動に対する応答性の良い発電機を用いることが望まれる。発電機の敏速な出力制御が可能であれば、需要が変動したとき、直ちに変動分に相当する電力を直ちに供給するように発電機を制御することができ、容易に需給の平衡を維持することができる。
【0008】図5は、ある電力系統の通常運用において、LFCの応答が遅い発電機が周波数の制御に悪影響を及ぼしている例を示す実測値のグラフである。図5において、横軸は時刻である。縦軸の右側の目盛は系統の周波数偏差Δf(Hz)であり、その変化を実線のグラフで示している。縦軸の左側の目盛は、発電機の出力(MW:メガワット)及び指令値(MW)である。一点鎖線は応答遅れ時間が長い発電機Aの実出力を示し、二点鎖線は応答遅れ時間が短い発電機Bの実出力を示す。点線aは発電機Aの指令値であり、点線bは発電機Bの指令値である。この例では、周波数偏差が正の方向に増大し、下げパルスが出て12時7分30秒(図中の矢印A)以後、応答遅れ時間の短い発電機Bの出力は低下しつつあるにもかかわらず、応答遅れ時間の長い発電機Aは一点鎖線で示すように出力を増加させつつある。このような状態は周波数偏差Δfをさらに大きくするおそれがある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来のLFCでは、LFCの対象となる全ての発電機に対して一斉に同一の制御信号(出力増加信号、または出力減少信号)を送出している。例えば所定の比率で各LFC対象発電機に制御必要量を配分しそれに応じたLFC信号を送出している場合でも全てのLFC対象発電機にLFC信号を送出している。このため、LFC調整能力の高い発電機、すなわち出力変化速度が速いあるいは応答遅れ時間が短い発電機の能力を十分に活用していないことになり、周波数の調整に悪影響を及ぼしている。もしLFC調整能力の高い発電機をLFC調整能力の低い発電機より優先して活用すれば高速な制御が可能となり、基準周波数からの偏差をより小さくすることが可能となる。しかし従来はそのようにはしていなかった。
【0010】火力機は種類によっては、LFC信号に追従するように出力を変化させると総発電量が同じであっても効率が低下して経済性が悪化するということが実測から知られている。LFCにおいて、LFC調整能力の高い種類の火力機を最大限に活用し、LFC調整能力の低い火力機は出力を一定にして運転すれば、経済性を向上させることができるがそのようにはしていなかった。
【0011】また、全発電機にLFC信号を送出することは、経済負荷配分制御(EDC)との協調という観点からも問題がある。発電機の制御状態を考慮せずに、例えば、EDCによって発電電力を増加しつつある発電機に対して、LFCによって発電電力を減少させるように制御(逆制御)を行うと、経済的な負荷配分を阻害するだけでなく、発電機の応答遅れにもつながる恐れがある。
【0012】さらに、制御必要量の確保という観点からも、発電機の制御状態を考慮せずにLFCを行うと、増減可能な電力の余裕を示すLFC調整容量の上下の余裕に偏りが生じ、どちらか一方のLFC調整容量が足りなくなることがある。本発明は電力系統に接続された各種の発電機を、それぞれのLFC調整能力に応じて制御する負荷周波数制御方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の電力系統における負荷周波数制御方法は、多くの発電機が接続された電力系統において、消費電力の変動により生じる系統周波数および連系線潮流の変化を検出し、基準周波数(50Hz又は60Hz)との偏差もしくは需給不平衡量を得るステップ、前記の偏差もしくは需給不平衡量が所定値以上のとき、前記消費電力の変動を補うために必要な電力の制御必要量を算出するステップ、各発電機に固有の発電電力の制御特性及び各発電機の発電電力の制御状態に応じて、制御対象の各発電機に優先順位を設定するステップ、前記制御必要量を、前記優先順位の高い発電機から順に、各発電機毎に定まる所定の電力値づつ割り当てるステップを有する。各発電機に、それぞれの制御特性及び制御状態に応じて制御必要量を割り当てることにより、制御特性の良いすなわちLFC調整能力の高い発電機が活用されることになり、周波数調整の精度が向上する。
【0014】本発明の他の観点の電力系統における負荷周波数制御方法は、多くの発電機が接続された電力系統において、消費電力の変動により生じる系統周波数および連系線潮流の変化を検出し、基準周波数(50Hz又は60Hz)との偏差もしくは需給不平衡量を得るステップ、前記の偏差もしくは需給不平衡量が所定値以上のとき、前記消費電力の変動を補うために必要な電力の制御必要量を算出するステップ、前記の制御必要量に応じて、前記発電機の発電電力の増減を指令する負荷周波数制御信号(以下、LFC信号という)を生成するステップ、及び前記LFC信号を受ける各発電機についてあらかじめ測定されている、LFC信号に対する応答遅れ時間と発電電力の変化速度との内の少なくとも1つに基づいて、各発電機に、前記応答遅れ時間の長いものから短いものへ順次順位が上がる第1の優先順位を設定し、前記発電電力の変化速度の遅いものから速いものへ順次順位が上がる第2の優先順位を設定するステップを有し、前記第1及び第2の優先順位を総合して、総合優先順位の高い発電機ほど、前記LFC信号の印加によって指令される、前記消費電力の変動を補う制御必要量の割当量を多くし、総合優先順位の低い発電機ほど、前記制御必要量の割当量を少なくするか又は割り当てないことを特徴とする。
【0015】個々の発電機が有する制御特性を考慮し、LFCに適した優先順位の高い発電機である出力変化速度およびLFCの応答遅れ時間の速い発電機に対して制御必要量の割当量を多くし、出力変化速度が低くかつ応答遅れ時間の長い発電機に対する制御必要量の割当量を少なくするか全く割り当てない。これにより消費電力が変動したとき、出力変化速度が高く応答遅れ時間の短い発電機が消費電力の変動量を敏速に補い、需要変動に敏速に追従する高精度の制御が可能となる。LFCに適さない発電機はLFCから除外されるので、LFCにおける過制御やハンチングを防止することができる。LFCを受けない発電機の出力は定格値に保たれるので高効率で運転することが可能となり、経済的な運用ができる。
【0016】また出力変化速度が速くかつLFC応答遅れ時間が短い発電機により消費電力の変動を敏速に補うので、GF機能で対応するべき周期範囲における比較的長周期の変動に対し十分に対応することができる。
【発明の実施の形態】
【0017】以下、図1から図4を用いて本発明の好適な実施例を説明する。図1は、本発明の負荷周波数制御方法が適用される電力系統の一例を示すブロック図である。本発明が適用される電力系統は図1に示すものに限定されるものではなく、複数の電力事業者の電力系統が接続された連系線電力系統にも適用可能である。図1は、中央給電指令所の出力指令制御部20からのLFC信号とEDC信号を用いて各発電機を制御する周波数制御システムを示す。図2は本発明の負荷周波数制御方法の各ステップを示すフローチャートである。図1において、電力系統1は発電部2と、需要家すなわち負荷8とを結ぶ系統である。この系統は、発電部2として、原子力発電機群3、水力発電機群4、火力発電機群5を有している。これらの発電機群は電路7により負荷8に接続されている。水力発電機群4、火力発電機群5はLFC対象電源であり、電力の需要変動に応じてその出力が制御される。LFCは変動周期が数分から20分の周期を持つ需要変動に対応するための出力制御である。原子力発電機群3は常に一定の電力を発電しており、LFCの対象外の発電機である。
【0018】中央給電指令所に設けられている出力指令制御部20は、LFC装置(負荷周波数制御装置)22の入力端に接続された周波数検出器21を有し、電力系統1の電路7において周波数を測定し、基準周波数(50Hzまたは60Hz)との偏差Δfを検出してLFC装置22に印加する。LFC装置22の出力端21Aは、LFC制御対象の、水力発電機群4、火力発電機群5の制御入力端に接続されている。LFC装置22から系統要求量信号を出力する出力端21Bは加算器23の負入力端に接続されている。加算器23の出力端はEDC装置25の入力端25Aに接続されている。EDC装置25の出力端25Bは前記のLFC制御対象電源の制御入力端に接続されている。EDC装置25の他の出力端25Cは、加算器24の負入力端に接続されている。加算器24の正入力端には、各発電機の実際の出力値が入力される。
【0019】あらかじめ決めれられている電力系統の測定地点で測定した周波数と系統の基準周波数との偏差「△f」もしくは地域要求量(当該制御地域内の需給の変動による不平衡量)「△Pt−K△f」(ここで、△fは基準周波数からの偏差、△Ptは連系線潮流の基準電力値からの偏差、Kは系統定数で正の値である。)を検出する(図2のフローチャートのステップ31)。あらかじめ定められた基準値以上の周波数変動あるいは需給不平衡量が生じた場合に(同ステップ32)、中央給電指令所からLFC信号を各発電機に与えてその出力の制御を行う。このとき、基準周波数に戻すために必要な電力である制御必要量を算出する(同ステップ33)。この制御必要量をあらかじめ定められた優先順位(同ステップ34)の高い発電機(LFC調整能力の高い発電機)から順に割当て(同ステップ35)、割当てた発電機に制御必要量を指令するLFC信号を送出する(同ステップ36)。
【0020】発電機出力の制御に用いるLFC信号としては、現在パルス信号と指令値信号があるが、本発明は、各発電機に配分した制御必要量に見合う指令値の信号を送出できるものであれば良く、パルス方式、指令値方式のどちらに対しても有効である。図2のフローチャートのステップ34で行う優先順位の決定について、以下にその方法を具体例を用いて説明する。
【0021】優先順位の決め方の一例として、出力変化速度が速い、すなわちLFC信号を受信してから出力が変化するまでの時間が短い発電機を優先させる方法について図3のフローチャートを参照して説明する。例えば、電力系統に4台の発電機1、2、3及び4が接続されている状態において、系統周波数と基準周波数との偏差の絶対値が所定値以上になった場合(Δf<0)、基準周波数に戻すために必要な発電機の制御必要量が50MWであったとする。発電機1から発電機4の出力変化速度がそれぞれ8MW/分、6MW/分、20MW/分、25MW/分であり、出力を増やすことができる余裕(以下、上げ余力)が現在それぞれ15MW、20MW、20MW、25MWであったとする(図3のフローチャートのステップ41)。上記の状態において、優先順位は、出力変化速度が大きい順となり、発電機4が1位、発電機3が2位、発電機1が3位、発電機2が4位となる(同ステップ42)。
【0022】次にステップ43で優先順位が高い発電機から順に上げ余力分だけ制御必要量の50MWを割当てていく。つまり、優先順位1位の発電機4に制御必要量50MWのうち25MWを割当て、優先順位2位の発電機3に残り25MWのうち20MWを割当てる。そして、優先順位3位の発電機1に残りの5MWを割当てる。ここで制御必要量50MWの割当てが終わったので優先順位4位の発電機2には制御必要量を割当てない。制御必要量を割当てた発電機1から3にLFC信号を送出する(同ステップ44)。優先順位の決定に用いた出力変化速度は各発電機に固有の「制御特性」であり、出力の上げ余力は各発電機の「制御状態」である。以上のように、出力変化速度の速い発電機(上記の例では発電機3及び4)に出力変化速度の遅い発電機1よりも多くの制御必要量を割当て、特に遅い発電機2には全く割当てないことにより、需要変動に迅速に追従する制御が可能となる。また出力変化速度の遅い発電機2に対するLFC信号の送出を抑制し出力を変化させないことで過制御を防止することができるだけでなく、遅い発電機を出力一定で高効率の運用をすることが可能となり、経済的な電力系統の周波数制御が可能となる。
【0023】図4は、従来の負荷周波数制御方法と本発明の負荷周波数制御方法とを比較するためにシミュレーションを行った結果を示すグラフである。シミュレーションの評価指標として、24時間のLFC信号の送信回数と周波数標準偏差を用いている。LFC信号の送信回数が多いことは、LFCがなされているにもかかわらずその効果がなかなか現れず、偏差Δfが減少しないため、LFC信号が連続的に出されていることを示す。また周波数標準偏差が大きいことは、LFCが有効に作動していないことを示している。図4の(a)及び(b)の縦軸はそれぞれLFC信号の送信回数と周波数標準偏差を示し、横軸はともに以下に詳しく説明するケース1から8を示している。このシミュレーションでは、3基の発電機A、B及びCが用いられる。発電機A及びBは火力機であり、発電機Cは水力発電機である。LFCにおける出力変化速度及び応答遅れ時間は、発電機Cが最も大きく、発電機Aが最も小さく、発電機Bは発電機CとAの間にある。図4の(a)において、縦線のハッチングを施した棒グラフは発電機Aを示し、斜線のハッチングを施した棒グラフは発電機Bを示す。ハッチングを施してない棒グラフは発電機Cを示す。
【0024】図4の(a)及び(b)において、ケース1は、従来のLFCにおけるシミュレーション結果である。ケース2から8は優先順位を決める条件を様々に変えたときの本発明のシミュレーション結果である。ケース2は、出力変化速度の速い発電機ほど高い優先順位を与えた場合である。ケース3は、応答遅れ時間の短い発電機ほど高い優先順位を与えた場合である。ケース4は、LFCとEDCによる出力の変化方向が同一の発電機に高い優先順位を与えた場合である。ケース5は、指令値と実出力との差の大きい発電機ほど高い優先順位を与えた場合である。ケース6は、実出力がEDCの指令値に達していない発電機に高い優先順位を与えた場合である。ケース7は、最適なλ値に近づく方向とLFCの出力変化方向が同一の発電機に高い優先順位を与えた場合である。λ値とは、増分燃料費を示す値であり、最も少ない燃料の増加で、最も大きな実出力の増加が実現されるλ値を「最適なλ値」という。ケース8は、ケース2とケース5を組み合わせて優先順位を決める場合である。
【0025】上記のシミュレーションの結果、図4の(a)に示すLFC信号の送信回数については、ケース1が約2300回であるのに対して、ケース2から8では、最大でも約400回であり、大幅に減少していることがわかる。ケース2から8については、LFC信号の送信回数はいずれも発電機Cに対して最も多く、発電機Bに対しては発電機Cより少なく、発電機Aに対しては最も少ない。このことは、発電機Cが発電機AやBに比べより多くLFCに関与していることを示している。図4の(b)の周波数標準偏差については、ケース1が約0.04Hzであるのに対して、ケース2から8は、いずれも0.034Hz以下であり、かなりの改善効果が得られた。優先順位を以下に説明する方法で決めてもよい。すなわち各発電機のLFCの応答遅れ時間に基づく第1の優先順位と、出力変化速度に基づく第2の優先順位を求め、第1及び第2の優先順位を示す数値の和の値に基づいて総合優先順位を決める。
【0026】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、発電機個々の制御特性および制御状態を考慮して、その時の目的に応じて発電機に優先順位を付け、優先順位の高い発電機から制御必要量を割当て、LFC調整能力の高い発電機または経済的に有利な発電機を最大限活用することにより、合理的かつ効率的な発電機の運用が可能となる。




 

 


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