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発明の名称 二次電池を含む電力系統の周波数制御方法及びその装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−37085(P2001−37085A)
公開日 平成13年2月9日(2001.2.9)
出願番号 特願平11−208116
出願日 平成11年7月22日(1999.7.22)
代理人 【識別番号】100062926
【弁理士】
【氏名又は名称】東島 隆治
【テーマコード(参考)】
5G066
【Fターム(参考)】
5G066 AA05 AE09 JA01 JB03 
発明者 芦谷 武彦 / 大久保 昌利 / 佐々木 鉄雄
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 電力を発電する発電部と、電力を消費する負荷と、発電部と負荷とを接続する電路とを有する電力系統において、発電部からの電力発電量と負荷の電力消費量の需給不均衡に伴って変動する周波数を計測し、あらかじめ定められている基準周波数からの偏差を検出する周波数偏差検出器、及び前記電力系統に交流・直流変換装置を有する充放電制御装置を介して接続され、前記周波数偏差検出器の検出結果に基づいて周波数の変動を抑制するように充電又は放電を行う二次電池を有する電力系統の周波数制御装置。
【請求項2】 電力を発電する発電部と、電力を消費する負荷と、発電部と負荷とを接続する電路とを有する電力系統において、発電部からの電力発電量と負荷の電力消費量の需給不均衡に伴って変動する周波数を計測し、あらかじめ定められている基準周波数からの偏差を検出する周波数偏差検出器、前記周波数偏差検出器の検出信号を受け、前記偏差が所定の範囲を超えたとき前記発電部の発電電力を制御するための負荷周波数制御信号(LFC信号)を前記発電部に与える負荷周波数制御装置、及び交流・直流変換装置を有する充放電制御装置を経て前記電力系統に接続され、前記の偏差が所定の範囲以下のとき、電力を前記電力系統に放電し、又は電力系統の電力により充電される二次電池を有し、前記LFC信号による発電部の発電電力の制御と前記二次電池の充放電によって、電力の需給不均衡を解消して電力系統の周波数変動を抑制する電力系統の周波数制御装置。
【請求項3】 前記二次電池がナトリウム硫黄電池である請求項1又は2記載の電力系統の周波数制御装置。
【請求項4】 前記二次電池がレドックスフロー電池である請求項1又は2記載の電力系統の周波数制御装置。
【請求項5】 前記二次電池は、定格値より大きい電力で充放電する過負荷運転を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の電力系統の周波数制御装置。
【請求項6】 過負荷運転可能範囲を拡大するため前記レドックスフロー電池の電解液の流量を、充放電電力の増減に応じて増減させる循環ポンプを備える請求項4記載の電力系統の周波数制御装置。
【請求項7】 前記二次電池の、完全に放電された状態から充電を開始してその電池に充電できる全電力量と、ある時点で既に充電されている電力量との割合で定義される充電深度を計測する充電深度計測装置、及び前記充電深度が所定の範囲内に保たれるように二次電池の充放電を制御する制御手段を備える請求項1又は2記載の電力系統の周波数制御装置。
【請求項8】 前記充電深度の範囲が、充電時に95%以下、放電時に5%以上であることを特徴とする請求項7記載の電力系統の周波数制御装置。
【請求項9】 電力を発電する発電部と、電力を消費する負荷と、発電部と負荷とを接続する電路とを有する電力系統において、発電部からの電力発電量と負荷の電力消費量の需給不均衡に伴って変動する周波数を計測し、あらかじめ定められている基準周波数からの偏差を検出するステップ、及び前記電力系統に交流・直流変換装置を介して接続され、前記偏差を検出するステップの検出結果に基づいて、周波数の変動を抑制するように二次電池の充電又は放電を行うステップを有する電力系統の周波数制御方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、二次電池システムを用いた電力系統の周波数制御方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電力事業の電力系統では、原子力発電所、火力発電所、水力発電所(揚水発電所を含む)等の電源が用いられている。これらの電源は、電力の需給に不均衡が生じると、その周波数が変動する。これらの電源の内、原子力発電所は常に一定の電力を出力するように運用されている。原子力発電所を除く他の電源は、負荷の消費電力の変動、すなわち需要変動に対応して中央給電指令所から出される出力制御の信号に基づいて出力調整を行っている。その結果、前記の出力調整による各電源からの供給電力と負荷の消費電力とのバランスを保って周波数を基準周波数(50Hzまたは60Hz)に対して所定の偏差(例えば制御目標±0.1Hz)内に維持している。
【0003】電力系統における供給電力の制御(以下、需給制御という)を行うために、発電機の出力を制御する制御信号としては、現在、主に次の2つの信号を使用している。1つは、数分から約20分程度の周期での需要変動に対応して各発電機の出力制御を行うLFC信号(Load Frequency Control signal,負荷周波数制御信号)である。「LFC」は負荷周波数制御の略称であり、前記の周期の需要変動により需給に不均衡が生じたとき、周波数が基準周波数の所定の範囲から逸脱しないように発電機の出力を制御することをいう。もう1つは、LFC信号が対象とするよりも長い周期(20分以上)の大幅な需要変動に対応して各発電機の出力制御を行うEDC信号(Economic load Dispatching Control signal,経済負荷配分制御信号)である。LFC信号が対象とするよりも短い周期(数分以下)の変動幅が狭い需要変動については、各発電機に設けられているガバナフリー機能により、電力系統の周波数変動に応じて自動的に発電機の出力を制御している。電力系統の運用に際しては、これらの各機能を活用し、電力系統の需要変動に応じて各発電機の出力を適切に制御することで、電力系統の周波数が基準周波数に対して所定の偏差内に保たれるように制御している。しかしながら、発電機の出力の制御だけでは、需要変動に対応できない場合もある。そのような場合には、種々の電力貯蔵技術を用いて、需要の少ないときに電力を貯蔵し、需要の多いときには貯蔵した電力を放出して需要変動に対応する場合がある。
【0004】電力貯蔵技術としては、ナトリウム硫黄電池やレドックスフロー電池等の二次電池を用いた二次電池システムの開発が進められている。二次電池システムは、化学反応を利用した直流電源を、交流・直流変換器を介して電力系統に連係しているので前記の各種電源に比較して、出力制御信号に対する出力応答性が高いという特徴を有している。また、二次電池の特徴として、数秒から数分程度の短時間ならば過負荷運転ができる。ただし、電池容量や電池特性及び設計仕様により、最大過負荷時間は変化する。過負荷運転とは、二次電池の定格電力(二次電池の容量を考慮して、最も高い効率を達成すべく所定の時間一定電力で充放電する際の電力を指す)を超える電力で充電又は放電をすることを言う。二次電池はこの能力を有するので、需給調整能力という観点から既存の各種電源に比べてより優れた電力設備であると言える。
【0005】前記の2種の二次電池は現時点において、技術的にほぼ完成された状況にある。例えば、数百kW級の設備が、オフィスビルなどでピークカットを目的とした電力貯蔵設備として実際に運用されている。また、数千kW級の大容量の設備についても、実用段階の電力貯蔵設備として検討が進められており、電力系統における需給制御分野での運用が検討されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】電気事業用の火力発電機(以下火力機という)の大部分は、需要が急増した際に対応できるように通常の運転時にはその出力を定格出力よりも低い値に抑制した運転を行っている。需要変動が生じたときに、出力を増減して周波数の変動を所定の許容偏差内に保つことができるように、定常運転時の火力機等発電機の出力を定格以下に抑制し余裕を持たせることを「LFC調整容量を確保する」といい、この余裕の出力を「LFC調整容量」という。LFC調整容量を確保するために、1日の内の需要が最大となる時間帯においても、発電効率が最も高い定格出力での運転が出来ず、定格より低い出力で運転をするため、発電効率上最適な運転が行えない状況にある。そこで、火力機によるLFC調整容量の確保のための出力抑制運転を極力しなくてもよい新たな技術を導入し、電力系統の最適な運用を行う必要がある。
【0007】火力機はその特性上、出力制御信号に対する応答に時間遅れを生じることが知られている。このことは、仮に基準周波数からの偏差が大きくなり、前記のLFC信号を用いて火力機に対し出力制御を行ったとしても、場合によっては、需要の変動に追従しない場合がある。需要変動に追従しない発電機の出力の変動は、周波数にじょう乱を発生させる原因となる。従って系統運用に際しては、需要変動への応答性の高い発電機が望まれる。すなわち、敏速な出力制御が可能な電源があれば、需要変動の発生に際して、直ちに変動分に相当する出力制御が行なわれて、需給バランスを維持することができる。
【0008】発電機の出力制御に時間遅れがあるので、需要変動に対応する発電機の出力分担を考慮して、通常は複数台の発電機によりLFC調整容量を分担している状況にある。現状の電力系統における需給制御技術で効率の良いシステムを構築するためには、LFC調整容量を分担している既存の電源よりも高速な出力制御が可能な新たな電源により代替する必要がある。なお、電力系統の通常運用において、既存の電源の内、火力機に比べて出力応答性の高いすなわち出力制御が容易な可変速揚水発電機が電力系統に並列に接続されている場合は、接続されていない場合に比較して周波数の偏差を小さくできることが知られている。
【0009】電力系統における電源特性の変化として、火力機の大型化による出力特性の変化が挙げられる。火力機のプラントでは、昭和40年代前半頃まで主流であった、出力が400MW(メガワット)程度までのドラムボイラ機に変わり、それ以後はより大型で大出力の貫流ボイラ機が多く使用されるようになった。ドラムボイラ機はプラント内にドラムを有し、これが熱容量のバッファとして働く。需要変動による周波数の変動に対応して、このバッファ機能により出力を増減して一定時間所望の出力を維持することが可能である。一方、貫流ボイラ機は、水が蒸気管のなかで蒸気となり、直接過熱機とタービンへ送られる。そのため、ドラムボイラ機のようなバッファ機能を有していない。
【0010】図6の(a)は、LFCが行われない程度の小幅な周波数変動を伴う電力需要の増加による、周波数の基準周波数f0から変化を示すグラフである。図6の(b)は、電力需要の急増に対応する、ドラムボイラ機の発電機出力の変化を示し、(c)は貫流ボイラ機の発電機出力の変化を示す。ドラムボイラ機では、図6の(b)に示すように、時刻t0で周波数が低下し始めると出力をPa1に増加させる指令が出される。この指令により、時刻t0よりやや遅れて発電機出力が増加し、時刻t1で出力指令値Pa1に到達して以後その状態を保つ。貫流ボイラ機では、図6の(c)に示すように、時刻t1より遅れてt2で発電機出力が出力指令値Pb1に達するが、時刻t3で低下し始める。時刻t3以後の貫流ボイラ機の出力が低下する時間領域は、本来、ガバナフリー機能(以下GF機能という)で出力を制御する領域である。この様に熱容量のバッファを持たない貫流ボイラ機の出力特性が電力系統の周波数に与える影響は、電力系統内で貫流ボイラ機を用いる比率が高まる程大きくなり、周波数低下が一定時間継続した場合、系統運用者が想定しているLFC調整容量に相当する出力増加が得られないことになる。したがって、近年の周波数制御においては、GF機能をも対象としたLFCを検討して行く必要が生じており、これに対応可能な電力系統技術が必要である。
【0011】我が国では多数の原子力機が稼働しているが、原子力機は、電力需要が一日の中で最低となる深夜等の軽負荷期においても、経済性の観点から常に一定出力で運転している。この軽負荷期に運転される各電源の構成によっては、供給電力が過剰となる場合がある。また、原子力機はLFC運転を行っていないため、軽負荷期に周波数を調整するために出力制御をする電力設備は、一部の火力機と水力機(場合によっては可変速揚水機)にかぎられる。その結果、LFC調整容量が不足することがあり、周波数を基準周波数に維持することが困難となり、周波数変動が大きくなることがある。この周波数変動の抑制に対応可能な新技術の導入による周波数制御方式が望まれている。
【0012】現状の電力系統の運用においては、例えば、需要増大期に、老朽化して平常は使用していない低能率の火力機の運転を行うことによりLFC調整容量を確保する場合がある。この様な老朽化した火力機はエネルギー変換効率が低いため、燃料費用の低減、ひいては化石燃料の有効活用の観点から運用効率に改善の余地がある。必要なLFC調整容量を確保する目的とは言え、低効率の火力機の稼働数が増加することは二酸化炭素(CO2)、窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)等の排出量が増加することになる。このため、環境保全や公害に対する社会的要求から見てもできる限り排出量を減らす必要がある。そこで、このような老朽化した火力機を使わなくても、必要なLFC調整容量が確保できるような新技術の導入が望まれている。
【0013】今後の電力系統の運用を取り巻く環境の変化として電力市場の自由化がある。この自由化に伴い、太陽光や風力といった「再生可能エネルギー」を利用した多数の電源が電力系統に連系してくるものと考えられる。これらの電源は自然界の再生可能エネルギーを活用しているので、気象条件に大きく影響され、通常の運転において、常に一定の電力を供給することは困難である。この様な発電出力の不安定な多くの電源が系統に連系され電源構成に占める割合が大きくなった場合、これらの電源から常時一定の発電出力を得ることが困難な状況から出力変動が大きくなり、周波数を基準周波数に維持することが困難となる状況が発生するものと考えられる。そこで、これらの発電出力の不安定な電源の増加に伴う大きな出力変化に対しても瞬時に対応可能な新技術の構築が必要な状況にある。
【0014】上記の問題に対処するために、これまでに公開されている二次電池を用いた周波数制御に関する従来技術について、以下に説明する。特開平5−168171号公報では、配電低圧系統に連系する、太陽電池電源システムと二次電池の組合せによる太陽電池電源システムを提案している。この従来技術では、常時運用において二次電池を電力貯蔵設備としてのみ使用している。気象条件等による常時運用中の太陽電池電源システムの出力変動を二次電池で補間すると言った、電力系統から見た周波数の一定制御に寄与する運用は考慮されていない。
【0015】特開平8−140285号公報では、二次電池であるナトリウム硫黄電池を用いて系統周波数の変動を最小限に抑える電力貯蔵分散電源システムを提案している。このシステムは配電系統へ連系するシステムであり、電力供給の基幹系統での運用を考慮したものではない。また、電力系統の中央一括制御(例えば中央給電指令所からの制御)による既存の他の電源との協調を考慮した運用については触れられていない。また、連系する電力系統間での連系線潮流変動を抑制することを含めた周波数制御の検討は行われていない。従ってこのシステムでは、周波数変動は抑制できるが、連系線潮流変動は抑制できない。またこのシステムでは、LFCが対象とする時間領域での負荷変動への対応を考慮していない。例えば逐次予測による補正は、1時間から30分先の補正である。また、既存の発電機により分担してきたLFC調整容量を代替して受持つための二次電池システムの運用は考慮されていない。
【0016】特開平9−270269号公報では、ナトリウム硫黄電池を用いた、電力貯蔵、電力系統のピークカット装置及び周波数・電圧安定化装置などのシステムを提案している。この従来例はおもに電池システムの仕様に関するものであり、システムの運用による系統制御に関するものではない。
【0017】本発明が解決しようとする課題をまとめると以下のようになる。系統運用上必要なLFC調整容量を確保するための火力機の出力抑制運転は運用効率向上の観点から見ると不合理であり、出力抑制運転をすることなくLFC調整容量を確保できることが求められていた。火力機の出力制御に対する応答遅れ特性から、需要変動によっては、その出力が需要変動に追従しない場合がある。この応答遅れにより、火力機のLFC運用自体が系統周波数の外乱要因とならない様に応答遅れなしでLFC調整容量が確保できることが求められていた。火力機の出力制御に対する応答遅れ特性を考慮し、LFC調整容量を確保するためには複数台の火力機によってLFC調整容量を分担しなければならないが、設備の効率運用の観点からLFC調整容量を確保する新しい手段を設け、LFC調整容量を分担する火力機の数を減らすことが求められていた。火力機のなかで貫流ボイラ機の運転台数の比率が高まると、電力需要が増加して周波数低下が数分以上継続する状況下においては供給電力が不足しLFC調整容量を確保できないおそれがある。この不足する供給電力を短時間に補完して周波数変動を抑制できるLFC調整容量の確保手段が必要であった。
【0018】夜間など電力需要が減少する時間帯で、系統に接続される電源の数が減少した場合、LFC調整容量が不足し、周波数変動が大きくなる場合がある。これを抑制するためのLFC調整容量確保手段が必要であった。需要増大時にLFC調整容量を確保するために、老朽化した低能率火力機を運転すると、運転効率や環境保全(CO2,NOx,SOxの排出抑制)の観点から問題がありこの様な老朽化した火力機を使わなくても、必要なLFC調整容量が確保できる事が求められていた。多数の再生可能エネルギー電源が系統に連系した場合、その出力変動に伴い周波数変動が大きくなることがある。このような出力変動を高速で抑制するためのLFC調整容量の確保が可能な技術の導入が必要であった。以上のことから明らかなように、ある電力系統の全体としての運用効率を高く保ち、不足分電力を応答の遅れなく短時間に補充することにより必要なLFC調整容量を確保する方法及びその装置の実現が、電力系統の周波数制御方法及びその装置における課題であった。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明の電力系統の周波数制御装置は、電力を発電する発電部と、電力を消費する負荷と、発電部と負荷とを接続する電路とを有する電力系統において発電部からの電力発電量と負荷の電力消費量の需給不均衡に伴って変動する周波数を計測し、あらかじめ定められている基準周波数からの偏差を検出する周波数偏差検出器、及び前記電力系統に交流・直流変換装置を介して接続され、前記周波数偏差検出器の検出結果に基づいて周波数の変動を抑制するように充電又は放電を行う二次電池を有する。二次電池の高速な出力応答性、ならびに短時間の場合に許容される過負荷運転能力を利用し、電力系統の需要変動に応じて二次電池を充放電して出力制御を行う。これにより、電力系統における常時及び緊急時の需給バランスを瞬時に維持することが可能となり、前記の各課題を解決することができる電力系統の周波数制御装置を提供することができる。
【0020】本発明の他の観点の電力系統の周波数制御装置は、電力を発電する発電部と、電力を消費する負荷と、発電部と負荷とを接続する電路とを有する電力系統において、発電部からの電力発電量と負荷の電力消費量の需給不均衡に伴って変動する周波数を計測し、あらかじめ定められている基準周波数からの偏差を検出する周波数偏差検出器、前記周波数偏差検出器の検出信号を受け、前記偏差が所定の範囲を超えたとき前記発電部の発電電力を制御するための負荷周波数制御信号(LFC信号)を前記発電部に与える負荷周波数制御装置、及び交流・直流変換装置を有する充放電制御装置を経て前記電力系統に接続され、前記の偏差が所定の範囲以下のとき、電力を前記電力系統に放電し、又は電力系統の電力により充電される二次電池を有し、前記LFC信号による発電部の発電電力の制御と前記二次電池の充放電によって、電力の需給不均衡を解消して電力系統の周波数変動を抑制する。偏差が所定の範囲以下の小幅な需給不均衡に対しては、二次電池の充電により電力系統からの電力を貯蔵し、又は二次電池の放電により貯蔵した電力を供給する。二次電池の高速応答性により小幅な需給不均衡を敏速に解消することができる。前記の偏差が所定範囲を超えたときは大幅な需給不均衡が生じているので、LFC信号により、発電部の電力発電量を制御して、大幅な需給不均衡を解消することができる。
【0021】本発明の電力系統の周波数制御方法は、電力を発電する発電部と、電力を消費する負荷と、発電部と負荷とを接続する電路とを有する電力系統において、発電部からの電力発電量と負荷の電力消費量の需給不均衡に伴って変動する周波数を計測し、あらかじめ定められている基準周波数からの偏差を検出するステップ、及び前記電力系統に交流・直流変換装置を有する充放電制御装置を介して接続され、前記偏差を検出するステップの検出結果に基づいて、周波数の変動を抑制するように二次電池の充電又は放電を行うステップを有する。二次電池の高速な出力応答性、ならびに短時間の場合に許容される過負荷運転能力を利用し、電力系統の需要変動に応じて二次電池を充放電して出力制御を行う。これにより、電力系統における常時及び緊急時の需給バランスを瞬時に維持することが可能となり、前記の各課題を解決することができる電力系統の周波数制御方法を提供することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施例について図1から図5を参照して説明する。
《実施例1》実施例1は、多数の電源(発電機)の発電電力を制御する中央給電指令所から各電源を制御するために出される供給制御信号である、LFC信号とEDC信号を利用して二次電池システムの入出力を制御し、電力系統の周波数を基準周波数の所定の偏差内に維持することを可能とする周波数制御方法及びその装置に関する。図1は、二次電池システム30を含む周波数制御装置のブロック図であり、図2は、二次電池システム30のブロック図である。図1において、電力系統1は、発電部2と、需要家すなわち負荷8とを結ぶ系統である。この系統は、発電部2として、原子力発電機群3、水力発電機群4、火力発電機群5及び太陽電池や風力発電機などの再生可能エネルギー電源群6を有している。これらの発電機群及び電源群は電路7により負荷8に接続されている。
【0023】電路7には、二次電池システム30が接続されており、その中に設けられた二次電池36に電路7を経て電力を貯蔵し、又は貯蔵した電力を電路7に供給する。この内、水力発電機群4,火力発電機群5及び二次電池システム30はLFC対象電源であり、電力の需要変動に応じてその出力が制御される。LFCは変動周期が数分から20分の周期を持つ需要変動に対応するための出力制御である。原子力発電機群3は常に一定の電力を発電しており、LFCの対象外の発電機である。再生可能エネルギー電源群6はその出力が自然状況に応じて常に変動しているので制御不可能であり、LFC対象外の電源である。
【0024】中央給電指令所に設けられている出力指令制御部20は、LFC装置(負荷周波数制御装置)22の入力端に接続された周波数検出器21を有し、電力系統1の電路7において周波数を測定し、基準周波数(50Hz又は60Hz)との偏差△fを検出してLFC装置22に印加する。LFC装置22の出力端21Aは、LFC制御対象の、水力発電機群4,火力発電機群5及び二次電池システム30の制御入力端に接続されている。LFC装置22から系統要求量信号を出力する出力端21Bは加算器23の負入力端に接続されている。加算器23の正入力端は加算器24の出力端に接続されている。加算器23の出力端はEDC装置25の入力端25Aに接続されている。EDC装置25の出力端25Bは前記のLFC制御対象電源の制御入力端に接続されている。EDC装置25の他の出力端25Cは、加算器24の負入力端に接続されている。加算器24の正入力端には、各発電機の実際の出力値が入力される。
【0025】図2は二次電池システム30の詳細な構成を示すブロック図である。図において、二次電池システム30の端子29は発電部2から負荷8に至る電路7に接続されている。実際には、電力系統の開閉所50(変電所の場合もある)において、電路7に接続されている。端子29は、互いに直列接続された周波数検出器31、遮断器32及び変圧器33を経て、充放電制御装置34に接続されている。充放電制御装置34は交流・直流変換装置(図示省略)を有しており、電圧・電流計測装置35を経て二次電池36に接続されている。二次電池は、例えばナトリウム硫黄電池である。二次電池システム30内には演算処理部を含む電力制御部37が設けられ、その入力端37Aに、出力指令制御部20から出力されるLFC信号とEDC信号が入力される。電力制御部37の入力端37Bには周波数検出器31の検出出力が入力され、入力端37Cには充放電制御装置34に内蔵された出力測定装置によって測定された実出力値の測定信号が入力される。実出力値は、出力指令制御部20にも入力される。電圧・電流計測装置35で測定された電圧・電流値の測定信号は充電深度計測装置38に入力される。充電深度計測装置38は、次に説明する「充電深度」を計測し、計測値を電力制御部37の入力端37Dに入力する。「充電深度」とは二次電池の完全に放電された状態から充電を開始して、その電池に充電することのできる全電力量(充電容量)と、ある時点で既に充電されている電力量との割合である。電力制御部37の出力端37Eは充放電制御装置34の入力端に接続されている。
【0026】二次電池システム30は100MW程度の小容量火力機と同程度あるいはそれ以上の容量の二次電池を用い、主に送電系統に接続される。また必要に応じて配電系統に前記の容量よりも小容量の分散電源として複数の二次電池システムを並列接続して、必要となる二次電池容量を確保してもよい。
【0027】次に本実施例の周波数制御方法を説明する。あらかじめ決められている測定地点の電路7において、周波数検出器21及び31により系統の周波数の基準周波数からの偏差「Δf」を検出する。異なる電力事業者間の電力流通を示す連系線潮流を制御する場合は偏差△fの代わりに「ΔPt+KΔf」(ΔPtは連系線潮流の周波数の基準値からの偏差、Kは系統定数、Δfは基準周波数からの偏差を表す)検出してもよい。偏差△fが所定の偏差範囲(例えば、±0.04Hz)を超えた場合には、出力指令制御部20からLFC信号を出力して二次電池システム30の出力制御を行う。本実施例のLFCの制御対象は、周期が20分程度以下の需要変動であり、この周期範囲の需要変動をLFCにより補償する。
【0028】需要変動の周期が数分以下の短周期でかつ変動幅の狭い変動に対する出力制御について以下に説明する。系統の周波数は周波数検出器21及び31の両方で検出されるが、例えば±0.04Hz以下の偏差△fは二次電池システム30内の周波数検出器31により検出される。周波数検出器31から出力される偏差△fを示す検出信号は電力制御部37に入力される。電力制御部37はこの検出信号に基づく出力制御信号を充放電制御装置34に印加する。出力制御信号は、偏差△fが負の値のときは、二次電池36が放電して端子29から電路7に電力が供給されるように、充放電制御装置34を制御する。偏差△fが正の値のときは、端子29から二次電池システムに電力が流入し、二次電池36が充電されるように、充放電制御装置34は制御される。
【0029】周波数偏差が±0.04Hzを超える周波数変動は、出力指令制御部20内の周波数検出器21によって検出され、偏差検出信号がLFC装置22に入力される。LFC装置22は、入力された偏差検出信号に基づいてLFC信号を端子21Aに出力する。LFC信号は水力発電機群4及び火力発電機群5の制御部(図示省略)及び二次電池システム30電力制御部37に印加される。LFC信号は、パルスコード信号であり、各発電機及び二次電池の出力の増減を指令するコード情報を有している。LFC信号を受けた電力制御部37は、出力制御信号を充放電制御装置34に与え、二次電池36の充電又は放電を制御する。
【0030】本実施例における二次電池システム30は、充電及び放電時に、定格電流以上の電流(以下、過大電流という)で充放電する「過負荷運転」を前提として、二次電池36の容量が設計されている。また、二次電池36の充電深度を充電深度計測装置38で計測し、計測値を電力制御部37の端子37Dに入力している。これにより、電力制御部37は交流・直流制御装置34に出力制御信号を与えて、二次電池36の充電深度が所定の値に保たれるように、充放電を制御する。本実施例では、充電深度が70〜80%程度となるまで充電を行い、同20〜30%程度となるまで放電を行うことにする。充電深度は充電時を95%、放電時を5%程度にすることもできる。充電深度を上記の範囲に保つことにより、200〜250%程度の過負荷運転が可能となる。上記の充電深度の範囲は二次電池の種類、特性、目的とする運用形態により個々に検討して決める。
【0031】二次電池システム30は、化学反応を利用する直流電源である。化学反応を利用することから、出力制御の応答性は、従来の火力機や水力機に比較して著しく良く、高速応答が可能である。この高速応答性を活用することにより、高速かつ精度の高いLFCを行うことが可能となる。二次電池システム30は、短時間であれば過負荷運転が可能であるので、常時の系統運用に必要とされるLFC調整容量に関し、従来の火力機や水力機等で確保していたLFC調整容量より少ない定格容量の二次電池で必要なLFC調整容量を確保することが可能である。ただし、電池容量や電池特性及び設計仕様により、最大過負荷時間は変化する。ところで、電力系統における基準周波数からの周波数変動は、ほぼ正規分布となることが知られている。例えば、二次電池36の過大電流による放電を必要とする状態があまり長くない時間続いた後には、同程度の時間の過大電流による充電が継続的、あるいは断続的に発生することが多い。このことから、二次電池システム30の過負荷運転時の系統との電力の授受に関しては、電力変換上のロス分を無視すれば、平均値がほぼ0となることになる。このような電力系統の特性と二次電池の過負荷能力を活用することにより、LFC調整容量の2ないし3分の1の定格容量の二次電池36を用いて、所望のLFC調整容量を確保した運転を行うことが可能となる。これにより、設備投資コストを押さえた電力システムの設計が可能となる。二次電池36の充電深度の20〜30%まで放電されたとき、あるいは70〜80%まで充電されたとき、二次電池36の充放電を停止する。それ以後のLFCは水力発電機群4及び火力発電機群5によって行われる。
【0032】LFC装置22は、周波数検出器21から入力される周波数偏差△fを示す信号に基づいて、電力系統1の電力需要変動を補うために必要な電力を示すデータであるLFC系統要求量を出力し、加算器23の負入力端に印加する。一方、発電部2と電池システム30から、それらの出力電力を示すデータである実出力値が加算器24の正入力端に印加される。加算器24の負入力端にはEDC装置25の端子25Cから出るデータの出力指令値が印加され、この指令値から前記実出力値を減算して出力指令値と実出力値との差が求められる。この差は加算器23の正入力端に印加される。加算器23において、この差と系統要求量との差である制御誤差が求められ、EDC装置25の入力端子25Aに印加される。EDC装置25は、この制御誤差に基づいて、端子25BからEDC信号を出力し、水力発電機群4、火力発電機群5及び二次電池システム30に印加する。EDC信号は、変動周期が20分程度以上であり、かつかなり大幅な需要変動を抑制するための制御を行う。EDCでは、主として水力発電機群4と火力発電機群5の個々の発電機を、あらかじめ設定されている最も発電効率が高く、従って、最も経済的な運転状態となるように制御しつつ出力を増減させている。
【0033】図3の(a)は夏季平日の1日の電力系統における消費電力の変動を示すグラフであり、(b)は周波数変動を考慮した同1日の二次電池の出力変動を示すグラフである。図3の(b)の縦軸は、二次電池の出力の定格出力に対する割合を示し、正値は放電を表し、負値は充電を表している。±P1は、使用する二次電池の設計上の許容過負荷の定格負荷に対する百分比である。本実施例の動作及び効果をまとめると、以下のようになる。変動周期が20分程度以下の短周期でかつ小幅な需要変動に対しては、まず二次電池36の充放電により対応する。二次電池36の充電深度が20%から80%の範囲にある間は二次電池の充放電を行う。放電により充電深度が20%より小さくなり、または、充電により充電深度が80%を超えると、二次電池36の充放電を停止し、水力発電機群4及び火力発電機群5の出力の増減により、需要変動に対応する。
【0034】二次電池によりLFC調整容量を確保するので、火力機がLFC調整容量を分担する必要はない。従って火力機の出力抑制運転をする必要はなく、最も効果の高い定格出力で運転することができる。二次電池はLFCの制御速度が速いので、敏速かつ正確な電力制御が行われ、貫流ボイラ機の運転台数の比率が高くなっても、LFC調整容量が不足することはない。また二次電池で調整容量確保するので、老朽化した低能率出力機を運転する必要はない。多数の再生可能エネルギー電源が系統して連系され、気象状況の急変によりその出力が急速に変動した場合でも、二次電池の速いLFC応答性によりその出力変動を補うことができる。なお、LFC信号の制御対象とならない程度の小さな周波数変動に関しては、二次電池システムが運転されている系統にて測定される周波数(当該システムにて測定)変動を検出し、従来の水力機や火力機と同様に応答するガバナフリー特性を有することで、微少な周波数に対応した運転が行える。また、系統事故などにより、二次電池システムが運転されている系統が単独系統となった場合は、単独系統内にて基準周波数を保つ出力制御を行うようにすればよい。
【0035】《実施例2》実施例2は、二次電池システム40の二次電池として、レドックスフロー電池41を用いた周波数制御装置であり、そのブロック図を図4に示す。その他の構成は図1と同じである。レドックスフロー電池41は、バナジウムの酸化還元反応を利用した二次電池であり、電池セルスタック部分とバナジウムの電解液を貯蔵する電解液タンク42、43ならびにその電解液を循環させる循環ポンプ44、45から構成される。レドックスフロー電池は、電解液タンク42、43の容積を増やすことにより電池の容量を増やすことが出来ることから、大規模な電源としての使用に適した二次電池である。レドックスフロー電池の過負荷運転可能範囲(過負荷時間は数秒から数十秒程度)の一例を図5に示す。
【0036】図5から分かるように、充電深度にもよるが、充電、放電のそれぞれ図に示す運転範囲において、過負荷運転を行うことが可能であり、最大約300%程度の過負荷運転を行うことが可能である。電力系統での運転に際しては、この充電深度を二次電池の電圧や電流を測定して充電深度計測装置38により計測し、どの程度の過負荷運転が可能であるかを二次電池システム40の電力制御部46で判定し、LFC信号及びEDC信号に応じて出力制御を行う。過負荷運転を行うことを前提とする為、充電時の充電深度は最大でも約70〜80%程度を目標として運転する。電池容量については、その使用目的に応じて、電解液タンク容積を変更すればよく、特に系統運用に必要な電力を確保するには必要量に応じて電解液タンクの容積を大きくすればよい。
【0037】レドックスフロー電池は、電解液の流量を変えることにより、単位時間当たり電池セルを通過する電荷量を多くするとともに、電解液濃度を均一にすることが出来るため、短時間における過負荷運転能力の拡大が可能である。実施例2では大容量のレドックスフロー電池を用いることにより、例えば、大規模電源が系統事故により電力系統から遮断された場合、即応性の高い瞬動予備力を有する電源として働き、系統の周波数を維持する運用に利用することが出来る。また、レドックスフロー電池は水力機や火力機にくらべて著しく応答性が良く、周波数変動への応答性が良いため、系統運用に必要とされる従来のLFC調整容量よりも少ない容量で、従来と同様の周波数変動抑制効果を得ることが出来る。また、二次電池の過負荷能力を活用することにより、必要なLFC調整容量よりも少ない定格容量の二次電池システムにより従来と同様の周波数維持が可能であり、設備投資を抑制した電力システムを構成することが出来る。
【0038】太陽光発電や風力発電などは、自然エネルギーを利用している為、その運用に際し、天候状況に影響を受ける。系統運用者から見た場合、常時の供給電源としては不安定な出力変動を伴う電源である。これらの電源が今後より多く系統に連系し、電源構成に占める比率が高まった場合、基準周波数の維持には、この不安定な電源の出力変動を補完する電源が必要である。この補完用の電源設備として、二次電池を用いるとその高速応答特性と大きな電力容量を利用し供給力の変動を一定に維持することで、周波数変動を抑制した運用が可能となる。
【0039】
【発明の効果】以上の各実施例で詳しく説明したように本発明によれば、二次電池システムを用いて電力系統の常時および緊急時の周波数制御を行うことにより、既存の周波数制御方式に比較して、より高速かつ効率的な運用が可能となる。




 

 


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