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発明の名称 発光素子及びその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−76864(P2001−76864A)
公開日 平成13年3月23日(2001.3.23)
出願番号 特願平11−252668
出願日 平成11年9月7日(1999.9.7)
代理人
発明者 山田 裕康
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】光を透過する基板と、前記基板上に、該基板との間に間隙を有するように形成され、光を透過し、該基板側の面に光の進行方向を変化させる変化手段を有する第1電極と、前記第1電極の前記基板とは反対側の面上に形成され、印加される電圧に応じて発光する発光層と、前記発光層上に形成され、光を反射する第2電極と、から構成されることを特徴とする発光素子。
【請求項2】前記第1電極は、前記変化手段として、表面に凹凸形状を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】前記第1電極は、前記変化手段として、表面の所定位置に形成された、光を反射する反射物質を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項4】前記第1電極は、前記変化手段として、表面の所定位置に形成された、該第1電極とは屈折率の異なる屈折物質を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項5】光を透過する基板上に、光を透過し、該基板側の面に光の進行方向を変化させる変化手段を有する第1電極を、該基板との間に間隙を有するようにして形成する第1電極形成工程と、前記第1電極の前記基板とは反対側の面上に、印加される電圧に応じて発光する発光層を形成する発光層形成工程と、前記発光層上に、光を反射する第2電極を形成する第2電極形成工程と、を備えることを特徴とする発光素子の製造方法。
【請求項6】前記第1電極形成工程は、前記変化手段として、前記第1電極の片面に凹凸を形成する工程を備える、ことを特徴とする請求項5に記載の発光素子の製造方法。
【請求項7】前記第1電極形成工程は、前記基板上の所定領域に、表面に凹凸を有する犠牲膜を形成する犠牲膜形成工程と、前記犠牲膜上に前記第1電極を形成することによって、該第1電極の片面に凹凸を形成する変化手段形成工程と、前記犠牲膜を除去することによって、前記間隙を形成する除去工程と、を備えることを特徴とする請求項6に記載の発光素子の製造方法。
【請求項8】前記第1電極形成工程は、前記変化手段として、前記第1電極の片面の所定位置に、光を反射する反射物質を設置する工程を備える、ことを特徴とする請求項5に記載の発光素子の製造方法。
【請求項9】前記第1電極形成工程は、前記基板上の所定領域に犠牲膜を形成する犠牲膜形成工程と、前記犠牲膜の表面に前記反射物質を形成する反射物質形成工程と、前記反射物質を形成された前記犠牲膜上に前記第1電極を形成することによって、該第1電極の片面に前記反射物質を設置する変化手段形成工程と、前記犠牲膜を除去することによって、前記間隙を形成する除去工程と、を備えることを特徴とする請求項8に記載の発光素子の製造方法。
【請求項10】前記第1電極形成工程は、前記変化手段として、前記第1電極の片面の所定位置に、該第1電極とは屈折率の異なる屈折物質を設置する工程を備える、ことを特徴とする請求項5に記載の発光素子の製造方法。
【請求項11】前記第1電極形成工程は、前記基板上の所定領域に犠牲膜を形成する犠牲膜形成工程と、前記犠牲膜の表面に前記屈折物質を形成する屈折物質形成工程と、前記屈折物質を形成された前記犠牲膜上に前記第1電極を形成することによって、該第1電極の片面に前記屈折物質を設置する変化手段形成工程と、前記犠牲膜を除去することによって、前記間隙を形成する除去工程と、を備えることを特徴とする請求項10に記載の発光素子の製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発光素子及びその製造方法に関し、特に、外部への光の取り出し効率を向上可能な発光素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、表示装置等に用いられる発光素子として、例えば図8(a)及び図8(b)に示すような構成の有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子がある。なお、図8(b)は、図8(a)のA−A’断面図である。有機EL素子は、図8に示すように、ガラス基板110と、透明電極120と、層間絶縁膜130と、発光層140と、対向電極150と、から構成されている。
【0003】透明電極120は、ガラス基板110上に複数設けられ、所定間隔で互いに平行となるように形成されている。層間絶縁膜130は、透明電極120間を埋めるように、ガラス基板110上に形成され、透明電極120同士を電気的に分離する。発光層140は、透明電極120及び層間絶縁膜130上に形成され、その材質は、例えば有機EL(エレクトロルミネッセンス)材等である。また、発光層140は、印加される電圧に応じて発光する。
【0004】対向電極150は、発光層140上に複数設けられ、所定間隔で透明電極120にほぼ垂直となるように形成されている。また、対向電極150は、Al(アルミニウム)等の金属から形成され、光を反射する。以上のように構成された発光素子(有機EL素子)では、透明電極120と対向電極150との間に電圧が印加されることによって、発光層140が発光する。発光層140から放出された光は、直接又は対向電極150に反射されて、透明電極120に入射する。そして、透明電極120に入射した光は、ガラス基板110を介して外部へ出射する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記したような構成の発光素子(有機EL素子)では、透明電極120は、ガラス基板110に接触するように形成され、その界面は平坦である。このため、透明電極120の屈折率(ITOの場合約2.00)がガラス基板110の屈折率(約1.45)よりも大きい場合、発光層140から透明電極120内に伝搬された光が、透明電極120とガラス基板110との界面で全反射されてしまう場合がある。このように、ガラス基板110と透明電極120との界面で光が全反射されると、その光は、透明電極120と対向電極150との間で反射を繰り返して吸収されてしまう。
【0006】また、ガラス基板110の透明電極120とは反対側の面は、外部の空気(又は、真空)に接している。ガラス基板110、透明電極120、及び、外部の空気(又は、真空)の屈折率は互いに異なるため、ガラス基板110内に入射した光が、必ず外部へ出射するとは限らない。特に、ガラス基板110から外部への入射角が約45以上の光は、ガラス基板110と外部との界面で全反射され、ガラス基板110内に閉じ込められたり、ガラス基板110の端面から出射してしまう場合がある。
【0007】以上のように、従来の発光素子では、発光素子内部に閉じ込められたり、ガラス基板110の端面から出射する利用不可能な光が多い。このため、外部に出射する利用可能な光は、発光層140で放射された光の約20%しか得ることができない。即ち、従来の発光素子では、利用可能な光の外部への取り出し効率が悪いという問題がある。また、光の取り出し効率が悪いため、無駄に消費される電力が大きいという問題がある。
【0008】また、上記発光素子で、ガラス基板110を介さず、透明電極120が直接外部の大気(又は、真空)に接触するような構成にしても、透明電極120の屈折率は、大気(真空)の屈折率よりも大きいため、透明電極120と外部との界面で光が全反射しやすく、光の取り出し効率はより悪くなってしまう。従って、本発明は、光の取り出し効率が高い発光素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の第1の観点にかかる発光素子は、光を透過する基板と、前記基板上に、該基板との間に間隙を有するように形成され、光を透過し、該基板側の面に光の進行方向を変化させる変化手段を有する第1電極と、前記第1電極の前記基板とは反対側の面上に形成され、印加される電圧に応じて発光する発光層と、前記発光層上に形成され、光を反射する第2電極と、から構成されることを特徴とする。
【0010】この発明によれば、発光層から放出された光の進行方向を、第1電極の変化手段によって様々な方向に変化させることができる。このため、第1電極から外部へ出射せず、第1電極の変化手段によって反射された光も、第1電極と第2電極との間で数回反射を繰り返すことによって、外部に出射させることができる。このようにして、発光層から放出された光を高い効率で外部に出射させることができ、小さい動作電圧で従来と同様の明るさを得ることができる。
【0011】前記第1電極は、前記変化手段として、表面に凹凸形状を有してもよい。前記第1電極は、前記変化手段として、表面の所定位置に形成された、光を反射する反射物質を有してもよい。前記第1電極は、前記変化手段として、表面の所定位置に形成された、該第1電極とは屈折率の異なる屈折物質を有してもよい。
【0012】本発明の第2の観点にかかる発光素子の製造方法は、光を透過する基板上に、光を透過し、該基板側の面に光の進行方向を変化させる変化手段を有する第1電極を、該基板との間に間隙を有するようにして形成する第1電極形成工程と、前記第1電極の前記基板とは反対側の面上に、印加される電圧に応じて発光する発光層を形成する発光層形成工程と、前記発光層上に、光を反射する第2電極を形成する第2電極形成工程と、を備えることを特徴とする。
【0013】この発明によっても、発光層から放出された光の進行方向を、第1電極の変化手段によって様々な方向に変化させることができる。このため、第1電極から外部へ出射せず、第1電極の変化手段によって反射された光も、第1電極と第2電極との間で数回反射を繰り返すことによって、外部に出射させることができる。このようにして、発光層から放出された光を高い効率で外部に出射させることができ、小さい動作電圧で従来と同様の明るさを得ることができる。
【0014】前記第1電極形成工程は、前記変化手段として、前記第1電極の片面に凹凸を形成する工程を備えてもよい。前記第1電極形成工程は、前記基板上の所定領域に、表面に凹凸を有する犠牲膜を形成する犠牲膜形成工程と、前記犠牲膜上に前記第1電極を形成することによって、該第1電極の片面に凹凸を形成する変化手段形成工程と、前記犠牲膜を除去することによって、前記間隙を形成する除去工程と、を備えてもよい。
【0015】前記第1電極形成工程は、前記変化手段として、前記第1電極の片面の所定位置に、光を反射する反射物質を設置する工程を備えてもよい。前記第1電極形成工程は、前記基板上の所定領域に犠牲膜を形成する犠牲膜形成工程と、前記犠牲膜の表面に前記反射物質を形成する反射物質形成工程と、前記反射物質を形成された前記犠牲膜上に前記第1電極を形成することによって、該第1電極の片面に前記反射物質を設置する変化手段形成工程と、前記犠牲膜を除去することによって、前記間隙を形成する除去工程と、を備えてもよい。
【0016】前記第1電極形成工程は、前記変化手段として、前記第1電極の片面の所定位置に、該第1電極とは屈折率の異なる屈折物質を設置する工程を備えてもよい。前記第1電極形成工程は、光を透過する基板上の所定領域に犠牲膜を形成する犠牲膜形成工程と、前記犠牲膜の表面に前記屈折物質を形成する屈折物質形成工程と、前記屈折物質を形成された前記犠牲膜上に前記第1電極を形成することによって、該第1電極の片面に前記屈折物質を設置する変化手段形成工程と、前記犠牲膜を除去することによって、前記間隙を形成する除去工程と、を備えてもよい。
【0017】
【発明の実施の形態】次に、本発明の第1の実施の形態にかかる発光素子について図面を参照して説明する。図1(a)及び図1(b)は、第1の実施の形態にかかる発光素子の構成図である。なお、図1(b)は、図1(a)のA−A’断面図である。
【0018】発光素子は、図1に示すように、ガラス基板10と、透明電極20と、層間絶縁膜30と、発光層40と、対向電極50と、から構成されている。透明電極20は、ガラス基板10上に複数設けられ、所定間隔で互いに平行になるように形成されている。透明電極20は、光学的に透明な電極であり、例えばITO(Indium Tin Oxide)等から形成されている。また、透明電極20とガラス基板10との間には間隙60が存在し、透明電極20の間隙60側の表面には、凹凸が形成されている。なお、この凹凸は、後述するように、反射や屈折によって、発光層40から放出された光の進行方向を様々に変化させるために形成されている。
【0019】層間絶縁膜30は、透明電極20間を埋めるようにガラス基板10上に形成され、透明電極20同士を電気的に分離する。また、層間絶縁膜30は、間隙60内への物質の侵入を防止し、間隙60上に形成された透明電極20の強度を確保する。発光層40は、透明電極20及び層間絶縁膜30上に複数設けられ、所定間隔で透明電極20に対してほぼ直角になるように形成されている。また、発光層40は、例えば有機EL(エレクトロルミネッセンス)材から形成され、印加される電圧に応じて発光する。対向電極50は、発光層40上に形成されている。また、対向電極50は、例えばCa(カルシウム)やLi(リチウム)やAl(アルミニウム)等から形成され、光を反射する。
【0020】次に、以上のように構成された発光素子の製造方法について説明する。図2(a)〜図2(h)は、上記発光素子の各製造工程を示す断面図である。始めに、CVD(化学気相堆積)法等によって、図2(a)に示すように、ガラス基板10上に膜厚が約50nmのメタル膜60aを形成する。なお、メタル膜60aの材質は、例えばCr(クロム)とZn(亜鉛)との合金である。
【0021】次に、フォトリソグラフィーやエッチング等によって、図2(b)に示すように、複数のメタル膜60aを紙面垂直方向に互いに平行に延在するようにパターニングする。メタル膜60aのパターニング後、メタル膜60aのガラス基板10とは反対側の表面領域をエッチングする。この際、例えばメタル膜60aを構成するCr及びZnの何れか一方のみが実質的にエッチングされる条件(エッチング剤の種類やエッチング温度等)で、メタル膜60aの表面領域をエッチングする。これによって、図2(c)に示すように、メタル膜60aのガラス基板10とは反対側の面に凹凸が形成される。
【0022】その後、CVD法等によって、メタル膜60a及びガラス基板10上にITOを堆積させる。そして、フォトリソグラフィー等によるエッチングによって、ITOをパターニングし、図2(d)に示すように、複数の透明電極20をメタル膜60aの延在方向と直交する方向に延在し且つ互いに平行に配置されるように形成する。この際、ガラス基板10とは反対側の表面に凹凸を有するメタル膜60a上に透明電極20を形成するため、透明電極20にもメタル膜60aの凹凸を逆にした凹凸が形成される。なお、透明電極20の凹凸は、光の進行方向を様々に変化させるために形成されるため、上記メタル膜60aの凹凸を、発光層40から放出される光の波長と同程度か又はそれ以上の大きさとなるように形成する。
【0023】そして、ウエットエッチング等によって、図2(e)に示すように、メタル膜60aを除去して間隙60を形成する。この際、透明電極20のエッチングレートがメタル膜60aのエッチングレートに比べて十分小さくなるような条件(例えば、エッチング液としてTW液を用いる)で、メタル膜60aをエッチングする。なお、上記したように、透明電極20は所定間隔で形成されているため、透明電極20間ではメタル膜60aが露出されており、その露出部分からエッチングが開始される。
【0024】間隙60の形成後、図2(f)に示すように、ガラス基板10及び透明電極20上に層間絶縁膜30を形成する。この際、間隙60を埋めてしまわないように、例えば高い粘性を有するレジスト材料を塗布することによって、層間絶縁膜30を形成する。続いて、フォトリソグラフィー等によって、図2(g)に示すように、発光層40及び対向電極50の形成パターンに対応するように、層間絶縁膜30をパターニングする。具体的には、発光層40及び対向電極50の形成領域に対応する部分の層間絶縁膜30を除去する。
【0025】その後、例えばメタルマスクを用いたCVD法等により、図2(h)に示すように、透明電極20及び層間絶縁膜30上の所定領域に、発光層40及び対向電極50をこの順で形成する。以上のようにして、図1に示した発光素子を完成する。
【0026】以上のように、ガラス基板10と透明電極20との間に間隙60を形成し、透明電極20に凹凸を形成することによって、発光層40から放出された光を、効率よく外部へ取り出すことができることを以下に示す。以上のように形成された発光素子では、透明電極20と対向電極50との間に所定の電圧が印加されることによって、電圧を印加された部分の発光層40が発光する。
【0027】発光層40から放出された光は、例えば図3(a)に示すように、透明電極20内に直接入射したり、又は、対向電極50によって反射された後に透明電極20内に入射する。発光層40から透明電極20内に入射した光は、透明電極20と間隙60との界面に入射する。
【0028】透明電極20から間隙60への入射角が小さい場合、例えば図3(b)に示すように、光は間隙60内に直接入射する。間隙60中には空気が入っており、その屈折率は、透明電極20の屈折率よりも小さい。このため、透明電極20と間隙60との界面が平坦であると、入射角が大きい場合、光が全反射して透明電極20と対向電極50との間に閉じ込められてしまう場合がある。
【0029】しかし、透明電極20には凹凸が形成されているため、透明電極20と間隙60との界面で光が一度全反射しても、例えば、図3(b)に示すように、光は透明電極20と対向電極50との間で数回反射を繰り返す間に臨界反射角より小さい角度になって間隙60との界面に入射されて、間隙60内を透過する。図4は、透明電極20と間隙60との界面を拡大した図であり、光の進行方向がどのように変化するかを示している。なお、図4に示した凹凸形状は、理解を容易にするために簡略化されており、実際に形成される凹凸形状が図4と一致する必要はない。
【0030】透明電極20と間隙60との界面で全反射された光は、発光層40に入射したり、図4に示すように、もう一度、透明電極20と間隙60との界面に入射する成分がある。また、透明電極20の凹凸形状により、1回目の入射と2回目の入射とでは、光の入射角が異なる。このため、2回目に入射した光は、反射されて発光層40内に再入射したり、屈折して間隙60内に入射する成分がある。また、反射して発光層40内に再入射した光は、対向電極50によって反射され、上記と同様に、透明電極20と間隙60との界面に再入射する成分がある。このようにして、発光層40から放出された光は、透明電極20と対向電極50との間で数回反射されることによって、その多くの成分が間隙60内を透過することができる。
【0031】以上のように、透明電極20に凹凸が形成され、間隙60が存在することによって、発光層40から放出された光の大部分は、間隙60内を透過する。間隙60中には、上記したように空気が入っており、間隙60の屈折率は、ガラス基板10の屈折率よりも小さい。このため、間隙60とガラス基板10との界面で全反射は起こらない。また、空気と真空の屈折率はほぼ等しく、ガラス基板10は、両側を実質的に等しい屈折率の物質(空気)によって挟まれているため、間隙60に入射した光は、実質的に全てガラス基板10内に入射する。
【0032】また、ガラス基板10の間隙60とは反対側の面は、外部の大気(又は、真空)に接触している。即ち、ガラス基板10は、空気(又は、空気と真空)によって挟まれた状態となっている。このため、間隙60からガラス基板10内に入射した光は、実質的に全てガラス基板10から外部に出射する。
【0033】以上のように、ガラス基板10と透明電極20との間に間隙60を形成することによって、ガラス基板10内に光が閉じ込められることなく、外部に出射するようにすることができる。これによって、発光層40から放出された光を、高い効率で外部へ取り出すことができる。また、従来よりも小さい電圧で、従来と同程度の光を外部に取り出すことができるので、従来よりも消費電力を小さくすることができる。
【0034】次に、本発明の第2の実施の形態にかかる発光素子について図面を参照して説明する。図5(a)及び図5(b)は、第2の実施の形態にかかる発光素子の構成図である。なお、図5(b)は、図5(a)のA−A’断面図である。
【0035】第2の実施の形態にかかる発光素子は、図5に示すように、第1の実施の形態と実質的に同一構成である。但し、透明電極20の間隙60側の表面には、ドットパターン20aが形成されており、このドットパターン20aによって、発光層40から放出された光の進行方向が様々な方向に変化される。また、ドットパターン20aは、光を反射する物質、又は、透明電極20とは屈折率の異なる物質から形成されている。
【0036】次に、以上のような構成の発光素子の製造方法について説明する。図6(a)〜図6(f)は、上記発光素子の各製造工程を示す断面図である。図6(a)に示すように、ガラス基板10上に膜厚が約50nmのメタル膜60aを形成してパターニングするところまでは、第1の実施の形態と実質的に同一である。
【0037】図6(a)に示すようにCr等の複数のメタル膜60aを紙面垂直方向に互いに平行に延在するようにパターニングした後、CVD法等によって、図6(b)に示すように、ガラス基板10及びメタル膜60a上に、例えば酸化チタン膜20bを形成する。続いて、フォトリソグラフィーやエッチング等によって、図6(c)に示すように、酸化チタン膜20bをパターニングしてドットパターン20aを形成する。なお、上記したように、ドットパターン20aは、入射された光の進行方向を様々に変化させるために形成される。このため、ドットパターン20aを、発光層40から放出される光の波長と同程度か又はそれ以上の大きさとなるように形成する。
【0038】その後、CVD法等によって、ガラス基板10、ドットパターン20a、及び、メタル膜60a上にITOを堆積させる。そして、フォトリソグラフィーやエッチング等によって、ITOをパターニングし、図6(d)に示すように、複数の透明電極20をメタル膜60aの延在方向と直交する方向に延在し且つ互いに平行に配置されるように形成する。
【0039】そして、例えばウエットエッチング等によって、図6(e)に示すように、メタル膜60aを除去して間隙60を形成する。この際、透明電極20及びドットパターン20aのエッチングレートがメタル膜60aのエッチングレートに比べて十分小さくなるような条件(例えば、エッチング液としてTW液を用いる)で、メタル膜60aをエッチングする。なお、透明電極20は所定間隔で形成されているため、透明電極20間ではメタル膜60aが露出されており、その露出部分からエッチングが開始される。
【0040】間隙60の形成後は第1の実施の形態と同様にして、図6(f)に示すように、層間絶縁膜30、発光層40、及び、対向電極50を形成し、図5に示した発光素子を完成する。以上のように、ガラス基板10と透明電極20との間に間隙60を形成し、透明電極20にドットパターン20aを形成することによって、第1の実施の形態と同様に、発光層40から放出された光の大部分を間隙60内に入射させることができる。これによって、発光層40から放出された光を、高い効率で発光素子の外部に出射させることができる。
【0041】また、従来よりも小さい電圧で、従来と同程度の光を外部に取り出すことができるので、従来よりも消費電力を小さくすることができる。なお、第1及び第2の実施の形態では、厚さが20〜50nm、幅が100μm以下(具体的には、2〜40μm)となるようにメタル膜60aをパターニングして、間隙60を形成してもよい。また、このようなサイズにメタル膜60aをパターニングすることによって、ウエットエッチングによって透明電極20下のメタル膜60aを除去することができ、且つ、発光層40及び対向電極50の形成時に、間隙60中深くに材料物質が侵入することを防止できる。このため、層間絶縁膜30の形成を省略することができる。
【0042】また、第1及び第2の実施の形態で、層間絶縁膜30を形成しない場合、透明電極20と対向電極50とのショートを防止するために、透明電極20と対向電極50との間の全面に発光層40を形成し、さらに、例えば図7に示すように、対向電極50を間隙60の位置からずらして形成してもよい。この場合も、上記したように間隙60の上方では光散乱により効率よく光がガラス基板110に照射されるため、透明電極20と対向電極50との間に間隙60がある領域70では、光出射率が高いので輝度が高い。また、透明電極20と対向電極50との間に間隙60がない領域80、90は所定の電圧により発光するが、光の拡散が多くないため領域70ほど高い輝度にはならない。
【0043】なお、第1及び第2の実施の形態では、層間絶縁膜30を、蒸着、スパッタリング、及び、CVD(化学気相堆積)法等によって形成してもよい。これらの方法でも、層間絶縁膜30がガラス基板10の表面にほぼ垂直な方向に成長するため、間隙60を埋めることなく層間絶縁膜30を形成することができる。また、第1及び第2の実施の形態では、上記したように、透明電極20に凹凸又はドットパターン20aを形成することによって、発光層40からの光の大部分が間隙60内に入射する。このため、上記発光素子からガラス基板10を除いても、上記と同程度の、光の取り出し効率を得ることができる。
【0044】また、第1の実施の形態では、メタル膜60aの表面層のみに異なる種類の金属等を含むようにしてもよい。例えばCr膜の表面にZn等を所定濃度でドーピングしてメタル膜60aを形成してもよい。また、このドーピング濃度は、凹凸の大きさ等に応じて設定してもよい。また、本発明は、アクティブマトリックス構造の発光素子やセグメント表示の発光素子等、電極の形成パターンによらず適用することができる。即ち、上記したようにして、透明な基板と透明電極との間に間隙を形成し、透明電極の基板側の面に凹凸やドットパターンを形成することによって、電極の形成パターンによらず高い効率で光を外部に取り出すことができる。また、上記したように、メタル膜60aは、間隙60を形成する際に除去されるので、メタル膜60a以外の膜(犠牲膜)を使用してもよい。この場合、上記したように、ウエットエッチング等によって除去可能であれば、犠牲膜の材質は、SiO2等の絶縁物やポリシリコン等の導電物など、何でも使用可能である。
【0045】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明によって、発光層から放出された光の進行方向を、第1電極の変化手段(凹凸、反射物質、又は、屈折物質)によって様々な方向に変化させることができる。このため、第1電極から外部へ出射せず、第1電極の変化手段によって反射された光も、第1電極と第2電極との間で数回反射を繰り返すことによって、外部に出射させることができる。このようにして、発光層から放出された光を高い効率で外部に出射させることができ、小さい動作電圧で従来と同様の明るさを得ることができる。




 

 


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