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発明の名称 飛行時間型質量分析計
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−283768(P2001−283768A)
公開日 平成13年10月12日(2001.10.12)
出願番号 特願2000−97276(P2000−97276)
出願日 平成12年3月31日(2000.3.31)
代理人 【識別番号】100092495
【弁理士】
【氏名又は名称】蛭川 昌信 (外7名)
【テーマコード(参考)】
5C038
【Fターム(参考)】
5C038 FF04 
発明者 貫名義裕
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 多段加速場によりイオン溜からイオンを飛行させ、イオン検出器近傍で再加速して検出する飛行時間型質量分析計であって、再加速電圧に応じて2次収束条件を満たす各加速場の電圧を設定するようにしたことを特徴とする飛行時間型質量分析計。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は多段加速部を有するリフレクタ型分光部、ポストアクセル型イオン検出器を組み込んだ高性能の飛行時間型質量分析計に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年の高速電子回路技術や真空技術の急速な進展に伴い、飛行時間型質量分析計(TOFMS)でも、10,000を上回る高分解能スペクトルが得られるようになってきており、微量の生体高分子のソフトイオン化法であるESI法やMALDI法により質量数10,000〜100,000を質量分析する装置として、高感度高分解能TOFMSの要望が年々強くなってきている。高分解能マススペクトルを安定して得るためには、優れた分光計の設計が不可欠である。周知のように、TOFMS飛行方向に空間的拡がり(δ)をもつイオンビームでも高分解能マススペクトルを得るためには、イオン加速部に2段加速法が採用されている。2段加速法を採用することによって、一次の空間収束条件が成立する。さらに2段加速法とTOFMSの分光部にミラー反射型のリフレクタを使用し、このイオン光学計の各パラメータを最適化すれば、δに関する完全二次収束条件を満たす分光計の設計が可能である。
【0003】リフレクタ部は一段と二段型があり、二段リフレクタ部を採用した場合、飛行してくるイオンが現在多用されているイオン透過率約80%の2枚の金属メッシュ(またはグリッド)を往復で計4回通過しなければならない。このため、リフレクタ部だけで(1−0.84 )×100=59%と6割弱のイオンロスが発生する。一方、一段リフレクタ型は一枚のメッシュがあり、リフレクタ部のイオンロスは(1−0.82 )×100=36%に緩和でき、イオン透過率の観点から二段型よりも有利である。
【0004】現在質量分析計は、主として4種類のものが市販されている。TOFMSが磁場型MSや四重極型MSおよびサイクロトロン共鳴型MSに対して、優れた特徴の1つに、(電荷数が1価(z=1)のイオン(M/z)でも測定できるイオンの)質量範囲が広いという特徴がある(原理上は質量範囲は無限大である)。
【0005】特にMALDI/TOFMSでは、質量数Mが数万〜十万の生体高分子も容易にイオン化でき、簡単に質量分析できるようになっており、小型蛋白の1次構造解析に不可欠な分析装置として定着している。このようなTOFMSのイオン検出器としては、2次電子増倍管である電子増倍管(EM管)やマイクロチャンネルプレート(MCP)が使用される。
【0006】しかし、10,000を越える高質量イオンを、EM管やMCPのイオン検出器を使用して効率よく検出し、イオン電子変換して適切な感度で測定するには、飛来してくるイオンの飛行速度を104 m/s以上でイオン検出器表面に打ち込む必要がある。例えば、質量Mの一価(z=1)のイオンM/sの速度v0 はイオン加速電圧U0 で加速された場合、(1)式0 =1.4×104 (U0 /M)1/2 ……(1)
(U0 :ボルト,M:ダルトン)で与えられ、質量Mが大きくなるほどv0 は小さくなる。(1)式から、例えばM/z≒10,000のイオンはU0 ≧5000ボルトで、M/z≒100,000のイオンはU0 ≧50,000ボルト(50kV)で加速されることが望ましい。
【0007】しかしながら、イオン加速部を50kVの極めて高電位に保つことは実用的な装置設計上必ずしも得策ではない。即ち、イオン加速部には当然試料導入部が付属しており、これらを含めた各部品の放電対策コストが大きくなる。特に汎用装置では、イオン加速部はできる限り低い電圧にしたい。その代償にイオン検出部のイオン検出器をイオンの極性と逆極性の高電位に保ち、一旦、比較的低い電圧でもってイオン加速部で加速されたイオンの速度をイオン検出器のごく近傍で再加速する方法(ポストアクセル法)が知られており、すでに磁場型や4重極型MSでは高感度イオン検出器として、また高質量イオン検出器として多用されており、ポストアクセル検出器、あるいは単に高感度イオン検出器と呼ばれることもある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ポストアクセル検出器を考慮した2次イオン光学計は提案されているが、実用上の観点からTOFMS装置についてはまだ提案されていない。即ち、イオン検出器近傍で再加速するためのポストアクセル電圧Udを高くすればする程、より高質量イオンがより感度よく測定できるが、イオン加速部と同様に、ポストアクセル部の放電の問題がある。特にイオン検出部で放電が生ずると、高価なイオン検出器や、後続の高速電気回路の破壊を招くことになる。
【0009】また、更に近年特に注目されている液体クロマトグラフとTOFMSとを結合した場合、TOFは垂直加速型TOFMSが用いられる。この場合、特に外部イオン源から試料や移動相溶媒由来の大量の中性分子やイオンが直接飛来してくる2段加速部領域は勿論のこと、常時高真空を維持したい分光部およびイオン検出部も真空度が低下する。このため分析対象となる試料の質量や、維持できる真空度、質量由来の周辺の汚れの程度に応じてイオン検出部のポストアクセル電圧を増減できることが望ましい。特に、分析対象となる試料イオンの質量に過剰なポストアクセル電圧は不要であり、分析対象に応じて適切なポストアクセル電圧を簡便に選定できる機能を有することが望ましい。しかし、単にポストアクセル電圧を勝手に変えることは、イオン光学上の制約から必然的に分解能を低下させる(2次収束条件が崩れる)。
【0010】本発明は上記課題を解決するためのもので、ポストアクセル型イオン検出器を組み込み、常時安定して高分解能TOFMSスペクトルを取得できるようにすることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、多段加速場によりイオン溜からイオンを飛行させ、イオン検出器近傍で再加速して検出する飛行時間型質量分析計であって、再加速電圧に応じて2次収束条件を満たす各加速場の電圧を設定するようにして、再加速しない場合と同等の分解能が得られるようにしたことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0013】図1は本発明の飛行時間型質量分析の基本構成を示す図、図2は分析対象イオンが正の場合に各部に供給する電圧および電源を示す基本構成図である。図1において、EI,CI,FAB,ESI,APCI等の外部イオン源1で生成し、加速されたイオンビームをX方向に飛行させてイオン溜2に導入するか、あるいはMALDIで生成されたイオンがイオン溜2内に存在している。このイオン溜2はプッシュアウトプレート3とグリッドG1で構成されている。イオンビームを外部イオン源1からイオン溜2内にドリフトさせる場合は、プッシュアウトプレートとグリッドG1は同電位に保つようにする。イオン溜2と高真空に維持されているTOFMS分光部6の光軸(Y方向)とは直交している。従って、TOFMS分光部にイオンを走行させる場合には、ドリフト走行するイオンビームがイオン溜2をある一定時間充満させた後、プッシュアウトプレート3にイオンと同極性の電圧を印加してグリッドG1との間に電位差U1を与える。同時にグリッドG1(4)とグリッドG2(5)間に電位差U2を与えてTOFMS分光部6を飛行させ、グリッドG3(7)を通ってリフレクタ部9で180度反射した後、グリッドG5(10)を通した後、イオン検出器11でイオン信号を検出し、質量分析を行う。なお、グリッドG4(8)はリフレクタ部で過剰な運動エネルギーを持ったイオンを外部に廃棄する作用をするが、本発明においては、必要不可欠なものではない。
【0014】分析対象イオンの電荷が正の場合は、各部に供給する電圧および電源は図2に示す通りである。即ち、グリッドG2(5)、グリッドG3(7)を接地電位とし、これに対してプッシュアウトプレート3の電圧をU1、グリッドG1(4)の電圧をU2、イオン検出器11の電圧をU5、グリッドG4(8)の電圧をU4とする。分析対象イオンの極性が負の場合には、U1〜U5は全て図2と逆極性の電圧となる。一段加速部のギャップd1 、二段加速場のギャップd2 、グリッドG2(5)とグリッドG3(7)間の距離d3 /2(ドリフト空間距離d3)、リフレクタ長d4 である。
【0015】また、SW1はプッシュアウトプレート3に印加する電圧の切替え用スイッチで、SW1がU1を供給した場合、イオンはTOFMS分光部6の方向に加速排出される。質量Mダルトンの1価のイオン(M+ )が(1)式に従って加速エネルギーeU0 を与えられ、グリッドG5(10)をv0 の速度で通過した後、ポストアクセルされ、最終的なイオン検出器11上での速度をvd とすると、vdは(2)式で与えられる。
【0016】
d =1.4×104 (|U0 −U5 |)1/2 /M(m/s) ……(2)
(U0 ,U5 :ボルト,M:ダルトン)
0 は固定とすると、逆極性の電圧U5 をユーザーの希望条件にそって可変することになる。
【0017】次にポストアクセル時の2次収束条件を満たすための各パラメータの設定について説明する。ポストアクセルを考慮した場合と、考慮しない場合とそれぞれの場合に一義的に決まる2次収束条件を満足するTOFMSのイオン光学パラメータは必然的に異なる。また、ポストアクセルの電圧をリニアに変化させた場合、新たに2次収束条件を一義的に決定するイオン光学パラメータはどのように変化するかを検討する。各パラメータを以下のように設定する。
全飛行時間:T=T(k)
中心イオン加速電圧:U0 一段加速部電圧:U1 =αU0 、一段加速場のギャップ:d1 二段加速部の電圧:U1 =βU0 、二段加速場のギャップ:d2 一段加速場内のイオンビームの中心位置の係数:f(0<f<1)
0 =(fα+β)U0 、即ちfα+β=1、fα=α1、よってα1+β=1一段加速場内のビーム中心位置からの広がり係数:k=(1+δ)
一段加速場内のイオンビーム位置の広がり:δ×f×d1 ドリフト空間距離:d3 中心ビームのドリフト空間飛行速度:v0 (k=1におけるイオンの最終速度)
リフレクタ電圧:U4 =ρU0 、リフレクタ長:d4 ポストアクセル部電圧:Ud =U5 =γU0 (γは再加速係数として与える)
ポストアクセル部空間距離:d5 このようなパラメータから計算されるイオン出射点からポストアクセルを考慮したイオン検出器までの全飛行時間Tは(3)式で与えられる。
【0018】
【数1】

(3)式において、括弧内の第1項は一段加速場での飛行距離、第2項は二段加速場での正味の飛行距離、第3項は自由空間での飛行距離、第4項はリフレクタ部での飛行距離、第5項はポストアクセル部での飛行距離で、これらの総和を中心ビームのドリフト空間飛行速度v0 で除することにより全飛行時間Tが求められる。ここで、T=T(k)と置き、T(k)をkに関して羃級数展開を行う。次にk=1とし、{dT(k)/dk}k=1 =0と、{d2 T(k)/d2 k}k=1 =0の連立方程式を解けば、完全2次収束条件が求まる。そしてγ≠0の実数値を与えれば、α1 、α、βおよびρが決まり、U0 、U1 、U2 、U4 、U5 の値が決まる。
【0019】今、TOFのイオン光学パラメータd1 =6.5mm、d2 =58.5mm、d3 =1000mm、d4 =219mm、f=0.53846とし、ポストアクセルパラメータγ=0(d5 =0)の場合と、γ=0.5〜3.0の計算例を表1に示す。
【0020】
【表1】

この表の各パラメータはイオンの一段加速部でのイオンの広がり(δ)に関して1次と2次の収束係数は必ず0になる条件である。なお、δ3 、δ4 、δ5 、に対応する行の数値はδに関する3次以上の各収差係数を示している。またLは実行飛行距離の計算結果であり、単位はmmである。
【0021】表1よりポストアクセル係数γの値の変化に対して、完全2次収束条件を満たすには、ρの値のみ変えれば良いことがわかる。また、ポストアクセル機能を付加した場合は、当然実行飛行距離Lが若干変化する。一方、γを変えたときの質量分解能{R(γ)}は表1のLとδ3 、δ4 、δ5 の係数から算出でき、図3に、γ=0(ポストアクセル機能なし)(図3(a))とγ=2.0(ポストアクセル機能付き)(図3(b))の条件でもって得られる分解能を示す。なお、図の横軸はイオンの初期広がり(mm)である。図3から分かるように、ポストアクセル機能付きであっても、所定の条件によりポストアクセル機能なしの場合と同じ分解能が得られることがわかる。また、表1に示したγ=0.5〜3.0に対して大きく連動する2種類のパラメータρ(リフレクタ電圧係数)とL(実行飛行距離)の挙動を図4に示す。表1に示したように、αとβのγに対する変化はρと比べて微小であるが、やはりγに対してリニアな関係にない。従って、ポストアクセル係数γに1:1U 対応したα、β、ρから算出できるU1 、U2 、U4 を正確に設定できなければ得られる分解能は悪化する。従って、ポストアクセル電圧U5 と連動したU1 、U2 、U4 のテーブルを予め作成しておき、測定者が希望選択したγの値に応じたU1 、U2 、U4 の電圧を速やかにまたは自動的に連動設定できる機能を持たせることにより、常時安定てた高分解能スペクトルを取得できるTOFMSを提供可能である。
【0022】なお、上記説明においては、垂直加速型の例について説明したが、本発明はこれに限定されるものでもなく、MALDI、TOFMSのような一段加速部のイオンの広がりが点光源のような場合にもそのまま適用可能である。また、上記説明では、2段加速の例について説明したが、本発明は3段以上の多段加速に適用可能であることは言うまでもない。
【0023】
【発明の効果】以上のように本発明よればα、βおよびρはγとリニアな関係でなく、またポストアクセル係数γに対応し、α、βおよびρを一義的に算出することができ、さらにα、βおよびρから導かれる各部の電圧値を正確に設定する必要があり、各部の電圧値がγに対応して正確に設定できれば、ポストアクセルイオン検出器を使用して得られるマススペクトルの分解能はポストアクセル型イオン検出器を全く考慮しない条件で得られる分解能と同等の分解能を達成することができる。このことを実際のTOFMS装置において実現するためには、選択されたポストアクセル電圧と連動したU1、U2、U4電圧を自動的に専用計算ルーチンで算出するか、または一覧テーブルを予め作成しておおき、測定者が希望するポストアクセル電圧に応じて各部電圧を自動的に連動して設定できる機能を持った電源を組み合わせ、このとによって所望の質量範囲に対して、また所望の外部イオン源が必然的に伴う分析条件での真空度の低下等を考慮しても、常時安定した高分解能TOFMSスペクトルを取得できる条件を速やかに得ることができる。




 

 


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