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発明の名称 発光素子及びその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−143864(P2001−143864A)
公開日 平成13年5月25日(2001.5.25)
出願番号 特願平11−324872
出願日 平成11年11月16日(1999.11.16)
代理人 【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳 (外3名)
【テーマコード(参考)】
3K007
【Fターム(参考)】
3K007 AB00 AB13 AB14 AB18 BB01 BB05 CA01 CA05 CB01 CB03 DA00 DB03 EA01 EB00 FA01 FA02 FA03 
発明者 平井 博幸
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 非透水性の透明支持体上に、陽極と、発光層を含む有機化合物層と、陰極とを有する積層体素子と、中空部を有してなり、前記陽極と電気的に接続される陽極接点と、該陽極接点と導通し外部の駆動回路に電気的に接続可能な陽極ピンアウトと、前記陰極と電気的に接続される陰極接点と、該陰極接点と導通し外部の駆動回路に電気的に接続可能な陰極ピンアウトとを備え、前記積層体素子における少なくとも前記有機化合物層を前記中空部内に密封するようにして該積層体素子の透明支持体に固着されるカバー部材と、を有することを特徴とする発光素子。
【請求項2】 カバー部材が両端開口の筒状部材であり、その一端開口部に積層体素子の透明支持体が固着され、他端開口部にカバー板が固着される請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】 固着が、紫外線硬化型接着剤を用いて行われる請求項1又は2に記載の発光素子。
【請求項4】 陽極と陽極接点とが、及び、陰極と陰極接点とが、ワイヤーボンディングで結線される請求項1から3のいずれかに記載の発光素子。
【請求項5】 積層体素子の透明支持体により閉塞されたカバー部材の中空部内に、吸湿剤及び吸熱剤の少なくとも一方が収容される請求項1から4のいずれかに記載の発光素子。
【請求項6】 カバー部材が絶縁性であり、その少なくとも外部に露出する表面が非透水性である請求項1から5のいずれかに記載の発光素子。
【請求項7】 積層体素子が、非透水性の透明支持体上に、陽極と、発光層を含む有機化合物層と、陰極とをこの順に有してなる請求項1から6のいずれかに記載の発光素子。
【請求項8】 非透水性の透明支持体上に、陽極と、発光層を含む有機化合物層と、陰極とを有する積層体素子を形成する積層体素子形成工程と、中空部を有してなり、前記陽極と電気的に接続可能な陽極接点と、該陽極接点と導通し外部の駆動回路に電気的に接続可能な陽極ピンアウトと、前記陰極と電気的に接続可能な陰極接点と、該陰極接点と導通し外部の駆動回路に電気的に接続可能な陰極ピンアウトとを備えるカバー部材を形成するカバー部材形成工程と、前記陽極と前記陽極接点とを電気的に結線し、前記陰極と前記陰極接点とを電気的に結線し、前記積層体素子における少なくとも前記有機化合物層を前記中空部内に密封するようにして該積層体素子の透明支持体を前記カバー部材に固着する固着工程と、を有することを特徴とする発光素子の製造方法。
【請求項9】 積層体素子の透明支持体をカバー部材に固着する前に、該カバー部材の中空部内に吸湿剤及び吸熱剤の少なくとも一方を収容させる請求項8に記載の発光素子の製造方法。
【請求項10】 積層体素子形成工程及び固着工程を乾燥した不活性ガス雰囲気下で行う請求項8又は9に記載の発光素子の製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発光素子及びその製造方法に関し、更に詳しくは、発光による画像が鮮明であり、耐久性に優れ、電気的接続構造が簡単で量産可能な発光素子、及び該発光素子を効率的に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】有機発光素子は、厚みが1μm以下の有機化合物層を二つの電極で挟持し、該二つの電極間に電圧を印加することにより、一方の電極(陰極)から電子が注入され、もう一方の電極(陽極)からはホールが注入され、両者が該有機化合物層中で再結合し付近の発光材料を励起することにより発光する、自発光型の素子であり、近年活発な研究開発が進められている。有機発光素子の応用としては、ディスプレイの他、LCD用バックライト、照明用光源、光通信用光源、情報ファイル用読み取り/書き込みヘッドなどが考えられている。
【0003】有機発光素子は、通常、透明基板上に、酸化錫、酸化錫インジウム(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)などの透明電極を設け、その上に発光層を含む少なくとも1層の有機化合物層を設け、更にその上に陰極を設けてなる。これらの内、前記陰極は、仕事関数の低いLi、Kなどのアルカリ金属、Mg、Caなどのアルカリ土類金属及びこれらの金属とAgやAlなどとの合金・混合物から形成されるため、水分や酸素の影響を受け易い。このため、有機発光素子には、耐久性に劣るという問題がある。
【0004】従来においては、有機発光素子の耐久性を改善するために、ガラス、セラミック、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)シート、あるいは金属の封止缶を用いて、該有機発光素子自体を封入することが検討され行われてきた。しかし、この場合、画素数が多くなると封止が不完全となったり、電極の電気的接続が容易でないという問題があった。
【0005】一方、イメージセンサーなどを水分や外傷から保護するためにセラミックパッケージに封入することが、例えば、米国特許5,865,935号明細書に記載されている。図5は、米国特許5,865,935号明細書に記載されている方法を有機発光素子に適用した場合を示す概略説明図である。この有機発光素子においては、セラミックパケージのセラミック製胴体2の底面と、有機発光素子3の陰極層14とが接着されている。しかし、この場合、発光層を含む1層以上の有機化合物層13で発光された光は、陽極層(通常透明電極である)12、透明支持体11、空隙5、カバーガラス4の順に通過して外部に発せられるため、透過率が低下したり散乱したりすることがある。その結果、画像乱れ(画像ボケ)が生ずるという問題がある。また、有機発光素子の電極の向きと、セラミックパッケージの電気的接点6とが逆向きになるため、両者の結線7が煩雑であり、構造が複雑化し破損し易いという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。本発明は、発光する光が散乱あるいは減衰等することによる画像乱れがなく、耐久性に優れ、電気的接続構造が簡単であり、画素数が多く大画面であっても簡便に量産可能な高品質の発光素子、及び該発光素子を効率的に製造することができる発光素子の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】<1> 非透水性の透明支持体上に、陽極と、発光層を含む有機化合物層と、陰極とを有する積層体素子と、中空部を有してなり、前記陽極と電気的に接続される陽極接点と、該陽極接点と導通し外部の駆動回路に電気的に接続可能な陽極ピンアウトと、前記陰極と電気的に接続される陰極接点と、該陰極接点と導通し外部の駆動回路に電気的に接続可能な陰極ピンアウトとを備え、前記積層体素子における少なくとも前記有機化合物層を前記中空部内に密封するようにして該積層体素子の透明支持体に固着されるカバー部材と、を有することを特徴とする発光素子である。
<2> カバー部材が両端開口の筒状部材であり、その一端開口部に積層体素子の透明支持体が固着され、他端開口部にカバー板が固着される前記<1>に記載の発光素子である。
<3> 固着が、紫外線硬化型接着剤を用いて行われる前記<1>又は<2>に記載の発光素子である。
<4> 陽極と陽極接点とが、及び、陰極と陰極接点とが、ワイヤーボンディングで結線される前記<1>から<3>のいずれかに記載の発光素子である。
<5> 積層体素子の透明支持体により閉塞されたカバー部材の中空部内に、吸湿剤及び吸熱剤の少なくとも一方が収容される前記<1>から<4>のいずれかに記載の発光素子である。
<6> カバー部材が絶縁性であり、その少なくとも外部に露出する表面が非透水性である前記<1>から<5>のいずれかに記載の発光素子である。
<7> 積層体素子が、非透水性の透明支持体上に、陽極と、発光層を含む有機化合物層と、陰極とをこの順に有してなる前記<1>から<6>のいずれかに記載の発光素子である。
<8> 非透水性の透明支持体上に、陽極と、発光層を含む有機化合物層と、陰極とを有する積層体素子を形成する積層体素子形成工程と、中空部を有してなり、前記陽極と電気的に接続可能な陽極接点と、該陽極接点と導通し外部の駆動回路に電気的に接続可能な陽極ピンアウトと、前記陰極と電気的に接続可能な陰極接点と、該陰極接点と導通し外部の駆動回路に電気的に接続可能な陰極ピンアウトとを備えるカバー部材を形成するカバー部材形成工程と、前記陽極と前記陽極接点とを電気的に結線し、前記陰極と前記陰極接点とを電気的に結線し、前記積層体素子における少なくとも前記有機化合物層を前記中空部内に密封するようにして該積層体素子の透明支持体を前記カバー部材に固着する固着工程と、を有することを特徴とする発光素子の製造方法である。
<9> 積層体素子の透明支持体をカバー部材に固着する前に、該カバー部材の中空部内に吸湿剤及び吸熱剤の少なくとも一方を収容させる前記<8>に記載の発光素子の製造方法である。
<10> 積層体素子形成工程及び固着工程を乾燥した不活性ガス雰囲気下で行う前記<8>又は<9>に記載の発光素子の製造方法である。
【0008】前記<1>に記載の発光素子は、非透水性の透明支持体上に、陽極と、発光層を含む有機化合物層と、陰極とを有する積層体素子と、中空部を有してなり、前記陽極と電気的に接続される陽極接点と、該陽極接点と導通し外部の駆動回路に電気的に接続可能な陽極ピンアウトと、前記陰極と電気的に接続される陰極接点と、該陰極接点と導通し外部の駆動回路に電気的に接続可能な陰極ピンアウトとを備え、前記積層体素子における少なくとも前記有機化合物層を前記中空部内に密封するようにして該積層体素子の透明支持体に固着されるカバー部材と、を有してなる。この発光素子においては、前記陽極から正孔が注入され、前記陰極から電子が注入され、これらが前記発光層において再結合し、エネルギー準位が伝導体から価電子体に戻る際に光を放出し、発光する。この発光素子においては、少なくとも前記有機化合物層が(好ましくは前記有機化合物層及び前記陰極が、より好ましくは前記有機化合物層、前記陰極及び前記陽極が)、前記透明支持体と前記カバー部材とにより密封されている。このため、該積層体素子(少なくとも該有機化合物層)は、水分を含む外気に晒されることがなく、水分により変質乃至劣化することがない。その結果、耐透水性に優れ、耐久性に富む。また、この発光素子から発光される光は、前記透明支持体を通過するのみで外部に発せられるので、散乱あるいは減衰等の弊害が少ない。その結果、画像乱れ(画像ボケ)がなく、鮮明な画像が得られる。また、この発光素子においては、電気的接続が、前記陽極接点及び前記陽極ピンアウトと、前記陰極接点と前記陰極ピンアウトとにより行われるため、電気的接点の数が多い場合であっても電気的接続構造が簡単である。その結果、製造容易性、量産性、製造安定性に優れ、破損等が少ない。
【0009】前記<2>に記載の発光素子は、前記<1>に記載の発光素子において、カバー部材が両端開口の筒状部材であり、その一端開口部に積層体素子の透明支持体が固着され、他端開口部にカバー板が固着される。このため、該発光素子における少なくとも前記有機化合物層は、前記透明支持体と、前記カバー部材と、前記カバー板とにより密封され、水分との接触がなく、極めて長期間にわたって変質乃至劣化することがない。
【0010】前記<3>に記載の発光素子は、前記<1>又は<2>に記載の発光素子において、固着が、紫外線硬化型接着剤を用いて行われる。このため、積層体素子とカバー部材との固着が容易であり、加熱の必要がないので、少なくとも前記有機化合物層の密封状態が確実に維持され、少なくとも前記有機化合物層は、該固着時を含めて極めて長期間にわたって変質乃至劣化することがない。
【0011】前記<4>に記載の発光素子は、前記<1>から<3>のいずれかに記載の発光素子において、陽極と陽極接点とが、及び、陰極と陰極接点とが、ワイヤーボンディングで結線される。このため、電気的接続構造が簡単であり、電気的接点の数が多い場合であっても、製造容易性、製造安定性に優れる。また、電気的接続が確実であり、長期にわたって安定である。
【0012】前記<5>に記載の発光素子は、前記<1>から<4>のいずれかに記載の発光素子において、積層体素子の透明支持体により閉塞されたカバー部材の中空部内に、吸湿剤及び吸熱剤の少なくとも一方が収容されているので、内部に微量の水分が残存していても、あるいは積層体素子を駆動する際に発熱を生じても、該水分及び/又は熱は、該吸湿剤及び/又は吸熱剤に吸収される。このため、該積層体素子(少なくとも前記有機化合物層)は、水分及び/又は熱との接触が少なく、極めて長期間にわたって変質乃至劣化することがない。
【0013】前記<6>に記載の発光素子は、前記<1>から<5>のいずれかに記載の発光素子において、カバー部材が絶縁性であるので、該カバー部材に陽極接点及び陰極接点並びに陽極ピンアウト及び陰極ピンアウトが備えられ、該カバー部材内に電気的経路が形成されていても、該カバー部材自体は絶縁性であり、電気が漏電等することがない。また、カバー部材の少なくとも外部に露出する表面が非透水性であるので、外気中の水分及び/又は熱は該カバー部材を透過することができず、該発光素子は、水分及び/又は熱との接触が効果的に抑制され、極めて長期間にわたって変質乃至劣化することがない。
【0014】前記<7>に記載の発光素子は、前記<1>から<6>のいずれかに記載の発光素子において、積層体素子が、非透水性の透明支持体上に、陽極と、発光層を含む有機化合物層と、陰極とをこの順に有してなるので、該有機化合物層は、その一方の層面が前記陽極を介して前記透明支持体により、該層面を除く層面が前記陰極を介して前記カバー部材により、密封され、水分を含む外気から遮断される。このため、該有機化合物層は、長期間、水分により変質乃至劣化することがない。
【0015】前記<8>に記載の発光素子の製造方法は、積層体素子形成工程と、カバー部材形成工程と、固着工程とを有する。前記発光素子形成工程においては、非透水性の透明支持体上に、陽極と、発光層を含む有機化合物層と、陰極とを有する積層体素子を形成する。前記カバー部材形成工程においては、中空部を有してなり、前記陽極と電気的に接続可能な陽極接点と、該陽極接点と導通し外部の駆動回路に電気的に接続可能な陽極ピンアウトと、前記陰極と電気的に接続可能な陰極接点と、該陰極接点と導通し外部の駆動回路に電気的に接続可能な陰極ピンアウトとを備えるカバー部材を形成する。前記固着工程においては、前記陽極と前記陽極接点とを電気的に結線し、前記陰極と前記陰極接点とを電気的に結線し、前記積層体素子における少なくとも前記有機化合物層を前記中空部内に密封するようにして該積層体素子の透明支持体を前記カバー部材に固着する。この発光素子の製造方法においては、形成した前記積層体素子と前記カバー部材とを、該発光素子における陽極及び陰極と、該カバー部材における陽極接点と前記陰極接点とを電気的に結線し、両者を固着するだけで発光素子が製造されるので、製造容易性、量産性、製造安定性に優れる。
【0016】前記<9>に記載の発光素子の製造方法は、前記<8>に記載の発光素子の製造方法において、積層体素子の透明支持体をカバー部材に固着する前に、該カバー部材の中空部内に吸湿剤及び吸熱剤の少なくとも一方を収容させる。このため、前記積層体素子と前記カバー部材とを固着する際に、該積層体素子における中空部内に水分が侵入乃至透過してきたとしても、更に該積層体素子を駆動する際に熱が生じても、該水分及び/又は熱は、該吸湿剤及び/又は吸熱剤に吸収される。その結果、耐久性に優れ、高品質の発光素子が安定にかつ効率的に製造される。
【0017】前記<10>に記載の発光素子の製造方法は、前記<8>又は<9>に記載の発光素子の製造方法において、積層体素子形成工程及び固着工程を乾燥した不活性ガス雰囲気下で行う。このため、発光素子における積層体素子(少なくとも前記有機化合物層)が、その製造中に酸化等されることがなく、高品質の発光素子が安定にかつ効率的に製造される。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の発光素子は、積層体素子と、カバー部材とを少なくとも有してなり、更に必要に応じてその他の部材等を有してなる。前記積層体素子は、非透水性の透明支持体上に、陽極と、発光層を含む有機化合物層と、陰極とを有してなる。前記カバー部材は、中空部を有してなり、陽極接点と陽極ピンアウトと陰極接点と陰極ピンアウトとを備え、前記積層体素子における少なくとも前記有機化合物層を前記中空部内に密封するようにして該積層体素子の透明支持体に固着される。
【0019】本発明の発光素子は、本発明の発光素子の製造方法により好適に製造される。前記本発明の発光素子の製造方法は、積層体素子形成工程と、カバー部材形成工程と、固着工程とを有する。前記発光素子形成工程においては、非透水性の透明支持体上に、陽極と、発光層を含む有機化合物層と、陰極とを有する積層体素子を形成する。前記カバー部材形成工程においては、中空部を有してなり、前記陽極と電気的に接続可能な陽極接点と、該陽極接点と導通し外部の駆動回路に電気的に接続可能な陽極ピンアウトと、前記陰極と電気的に接続可能な陰極接点と、該陰極接点と導通し外部の駆動回路に電気的に接続可能な陰極ピンアウトとを備えるカバー部材を形成する。前記固着工程においては、前記陽極と前記陽極接点とを電気的に結線し、前記陰極と前記陰極接点とを電気的に結線し、前記積層体素子における少なくとも前記有機化合物層を前記中空部内に密封するようにして該積層体素子の透明支持体を前記カバー部材に固着する。以下、本発明の発光素子の説明を通じて本発明の発光素子の製造方法についても説明する。
【0020】(積層体素子)前記積層体素子としては、発光素子として機能するものであればよく、公知の発光素子の構造を有するものが挙げられる。一般に、そのような積層体素子としては、非透水性の透明支持体上に、陽極と、発光層を含む有機化合物層と、陰極とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて、保護層等のその他の層を有してなる。
【0021】−非透水性の透明支持体−前記非透水性の透明支持体は、水分を透過させない材料又は水分透過率の極めて低い材料で形成され、また、前記発光層から発せられる光を散乱あるいは減衰等させることのない材料で形成される。このような材料としては、例えば、ガラス等の無機材料、ポリカ−ボネ−ト、ポリエ−テルスルホン、ポリエステル、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)等の合成樹脂等の有機材料などが挙げられる。前記非透水性の透明支持体は、これらの材料を、1種単独で用いて形成されていてもよいし、2種以上を併用して形成されていてもよく、また、その他の材料を用い、その表面に、窒化珪素、酸化珪素等による保護膜を被覆することにより形成されたものでもよい。本発明においては、前記カバー部材の材料としてセラミックを使用する場合には、該カバー部材との間での熱膨張率や強度の相性の観点からは、前記透明支持体の材料としてガラスが好ましい。
【0022】前記非透水性の透明支持体の形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、発光素子の用途、目的等に応じて適宜選択することができる。一般的には、前記形状としては、板状である。前記構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、また、単一部材で形成されていてもよいし、2以上の部材で形成されていてもよい。前記非透水性の透明支持体は、無色透明であってもよいし、有色透明であってもよいが、前記発光層から発せられる光を散乱あるいは減衰等させることがない点で、無色透明であるのが好ましい。
【0023】−陽極−前記陽極としては、前記有機化合物層に正孔を供給する機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的等に応じて適宜選択することができる。前記陽極の材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、有機導電性化合物、これらの混合物等が好適に挙げられ、仕事関数が4.0eV以上の材料が好ましい。前記材料の具体例としては、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化インジウム錫(ITO)等の導電性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル等の金属、更にこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロ−ル等の有機導電性材料、これらとITOとの積層物、などが挙げられる。
【0024】前記陽極の形成は、特に制限はなく、公知の方式に従って行うことができ、例えば、印刷方式、コ−ティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ−ティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式、などの中から前記材料との適性を考慮して適宜選択した方式に従って行うことができる。例えば、前記陽極の材料としてITOを選択する場合には、該陽極の形成は直流あるいは高周波スパッタ法等に従って行うことができる。また、前記陽極の材料として有機導電性化合物を選択する場合には、湿式製膜法に従って行うことができる。
【0025】前記陽極の前記発光素子における形成位置としては、特に制限はなく、該発光素子の用途、目的等に応じて適宜選択することができるが、前記非透水性の透明支持体上に形成されるのが好ましい。この場合、該陽極は、前記非透水性の透明支持体における一方の表面の全部に形成されていてもよいし、その一部に形成されていてもよい。
【0026】前記陽極の厚みとしては、前記材料に応じて適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常10nm〜50μmであり、50nm〜20μmが好ましい。前記陽極の抵抗値としては、103Ω/□以下が好ましく、102Ω/□以下がより好ましい。前記陽極は、透明であってもよいし、不透明であってもよいが、該陽極側から発光(蛍光)を取り出すためには、その透過率としては、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。この透過率は、分光光度計等を用いた公知の方法に従って測定することができる。
【0027】−有機化合物層−前記有機化合物層は、発光層のみからなる単層構造であってもよいし、該発光層を2層以上有する、あるいは、該発光層の外に、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層等のその他の層を適宜有する積層構造であってもよい。なお、これらの各層を形成するための具体的な化合物例については、例えば「月刊ディスプレイ '98 10月号別冊の『有機ELディスプレイ』(テクノタイムズ社発行)」などに記載されている。
【0028】前記有機化合物層の前記発光素子における形成位置としては、特に制限はなく、該発光素子の用途、目的等に応じて適宜選択することができるが、前記陽極上に又は前記陰極上に形成されるのが好ましい。この場合、該有機化合物層は、前記陽極上又は前記陰極上の全面又は一面に形成される。
【0029】前記有機化合物層が積層構造の場合、例えば、前記陽極と前記発光層との間に前記正孔注入層及び前記正孔輸送層を形成することができ、また、後述する陰極と前記発光層との間に前記電子注入層及び前記電子輸送層を形成することができる。具体的には、陽極/発光層/陰極、陽極/正孔注入層・正孔輸送層/発光層/陰極、陽極/発光層/電子注入層・電子輸送層/陰極、陽極/正孔注入層・正孔輸送層/発光層/電子注入層・電子輸送層/陰極、等の積層構造が挙げられる。
【0030】前記発光層の形状、大きさ、厚み等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記発光層の材料としては、発光可能な化合物(蛍光を発する化合物)であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ベンゾオキサゾ−ル誘導体、ベンゾイミダゾ−ル誘導体、ベンゾチアゾ−ル誘導体、スチリルベンゼン誘導体、ポリフェニル誘導体、ジフェニルブタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、ナフタルイミド誘導体、クマリン誘導体、ペリレン誘導体、ペリノン誘導体、オキサジアゾ−ル誘導体、アルダジン誘導体、ピラリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体、キナクリドン誘導体、ピロロピリジン誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、スチリルアミン誘導体、芳香族ジメチリデン化合物、8−キノリノ−ル誘導体の金属錯体や希土類錯体に代表される各種金属錯体、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等の高分子化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0031】前記正孔注入層及び前記正孔輸送層の材料としては、前記陽極から正孔を注入可能であるか、該正孔を輸送可能であるか、あるいは、陰極から注入された電子を障壁可能であればよく、例えば、カルバゾ−ル誘導体、トリアゾ−ル誘導体、オキサゾ−ル誘導体、オキサジアゾ−ル誘導体、イミダゾ−ル誘導体、ポリアリ−ルアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリ−ルアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリデン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾ−ル)誘導体、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマ−、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマ−、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等の高分子化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0032】前記電子注入層及び前記電子輸送層の材料としては、前記陰極から電子を注入可能である、該電子を輸送可能である、あるいは、前記陽極から注入された正孔を障壁可能であればよく、例えば、トリアゾ−ル誘導体、オキサゾ−ル誘導体、オキサジアゾ−ル誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノ−ル誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾ−ルやベンゾチアゾ−ルを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等の高分子化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0033】前記有機化合物層は、真空蒸着法、スパッタ法等の乾式製膜法、ディッピング法、スピンコーティング法、キャスティング法、バーコート法、ロールコート法等の湿式製膜法、などの公知の方法を用いて形成することができる。また溶媒を使い分けることにより多層塗布も可能である。これらの方法の選択は、該有機化合物層の材料に応じて適宜行うことができる。
【0034】前記有機化合物層を前記湿式製膜法で形成する場合、該有機化合物層には、バインダ−樹脂を添加することができる。この場合、該バインダー樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ビスフェノ−ルA型ポリカ−ボネ−ト、ビスフェノ−ルZ型ポリカ−ボネ−ト、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレ−ト、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリブタジエン、ポリ(N−ビニルカルバゾ−ル)、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロ−ス、酢酸ビニル、ブチラ−ル樹脂、アセタ−ル樹脂、ABS樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0035】−陰極−前記陰極としては、前記有機化合物層に電子を注入する機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的等に応じて適宜選択することができる。前記陰極の材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混合物などが挙げられ、仕事関数が4.5eV以下のものが好ましい。前記材料の具体例としては、アルカリ金属(例えば、Li、Na、K、Cs等)、アルカリ土類金属(例えばMg、Ca等)、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、インジウム、イッテルビウム等の希土類金属、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、アルミニウム、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金などが好ましい。
【0036】前記陰極の形成は、特に制限はなく、公知の方式に従って行うことができ、例えば、印刷方式、コ−ティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ−ティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式、などの中から前記材料との適性を考慮して適宜選択した方式に従って行うことができる。例えば、前記陰極の材料として金属等を選択する場合、その1種又は2種以上を同時にスパッタ法等に従って行うことができる。
【0037】前記陰極の前記発光素子における形成位置としては、特に制限はなく、該発光素子の用途、目的等に応じて適宜選択することができるが、前記有機化合物層上に形成されるのが好ましい。この場合、該陰極は、前記有機化合物層上の全部又は一部に形成される。また、前記陰極と前記有機化合物層との間に前記アルカリ金属又は前記アルカリ土類金属のフッ化物等による誘電体層を0.1〜5nmの厚みで挿入してもよい。なお、該誘電体層は、例えば、真空蒸着法等により形成することができる。
【0038】前記陰極の厚みとしては、前記材料に応じて適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常10nm〜5μmであり、50nm〜1μmが好ましい。前記陰極は、透明であってもよいし、不透明であってもよい。なお、透明な陰極は、前記陰極の材料を1〜10nmの厚みに薄く成膜し、更に前記ITOやIZO等の透明な導電性材料を積層することにより形成することができる。
【0039】−その他の層−前記その他の層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、保護層などが挙げられる。前記保護層としては、例えば、特開平7−85974号公報、同7―192866号公報、同8―22891号公報、同10―275682号公報、同10―106746号公報等に記載のものが好適に挙げられる。前記保護層は、前記積層体素子において、その最表面に、例えば、前記非透水性の透明支持体、前記陽極、前記有機化合物層、及び前記陰極がこの順に積層される場合には、該陰極上に形成され、前記非透水性の透明支持体、前記陰極、前記有機化合物層、及び前記陽極がこの順に積層される場合には、該陽極上に形成される。前記表面層の形状、大きさ、厚み等については、適宜選択することができ、その材料としては、水分や酸素等の発光素子を劣化させ得るものを該発光素子内に侵入乃至透過させるのを抑制する機能を有していれば特に制限はなく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、酸化ゲルマニウム、二酸化ゲルマニウム、等が挙げられる。
【0040】前記保護層の形成方法としては、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシ法、クラスタ−イオンビ−ム法、イオンプレ−ティング法、プラズマ重合法、プラズマCVD法、レ−ザ−CVD法、熱CVD法、コ−ティング法、などが挙げられる。
【0041】なお、本発明においては、前記積層体素子として、微小光共振器構造(マイクロキャビティ)を有する有機発光素子を用いることができる。前記微小光共振器構造(マイクロキャビティ)を有する有機発光素子については、例えば「月刊ディスプレイ '98 10月号別冊の『有機ELディスプレイ』(テクノタイムズ社発行)」の105頁、特開平9−180883号等に記載されている。
【0042】本発明において前記積層体素子は、単一の画素でも使用できるが、ドットアレイ又はマトリックス配列として使用するのが好ましい。1画素のサイズとしては、10〜500μmが好ましく、50〜300μmがより好ましい。画素間には非発光部が形成されているのが好ましく、該非発光部の幅としては、通常1μm〜1mm程度であり、5μm〜300μmが好ましい。この場合、該非発光部を電気絶縁性の遮光材料を用いて平坦に形成すると、遮光が抑制される点で好ましい。
【0043】以上により、積層体素子が形成されるが、この積層体素子を形成する工程が本発明の発光素子の製造方法における前記積層体形成工程である。前記積層体形成工程は、前記有機化合物層への水分、酸素等の接触を可能な限り少なくさせる観点からは、乾燥した、窒素、アルゴンガス等の不活性ガス中で行われるのが好ましい。
【0044】(カバー部材)前記カバー部材としては、中空部を有してなり、陽極接点と陽極ピンアウトと陰極接点と陰極ピンアウトとを備え、前記積層体素子における前記有機化合物層を前記中空部内に密封することができる限り特に制限はなく、目的に応じてその大きさ、形状、構造等を適宜選択することができる。
【0045】前記カバー部材の大きさ及び形状については、上述の通り、目的に応じて適宜選択することができるが、本発明においては、該カバー部材が前記積層体素子における透明支持体に固着された際、該カバー部材と該透明支持体とにより、少なくとも前記積層体素子における少なくとも前記有機化合物層を密閉することができるように選択することが必要である。
【0046】前記カバー部材の構造としては、単独の部材で形成された構造であってもよいし、2以上の部材を併用して形成された構造であってもよい。
【0047】前者の構造としては、例えば、前記積層体素子における前記有機化合物層を内部に収容可能な中空部を有する一部開口容器などが挙げられ、該一部開口容器としては、例えば一端開口の筒状容器などが挙げられる。
【0048】後者の構造としては、例えば、前記積層体素子における前記有機化合物層を内部に収容可能な中空部を有し、開口部を少なくとも2つ有する開口容器と該開口部を閉塞するカバー板との組合せなどが挙げられ、該開口容器としては、例えば両端開口の筒状容器などが挙げられる。この開口容器の場合、その開口部の一つは、前記積層体素子における透明支持体により閉塞され、他の開口部は前記カバー板などにより閉塞される。前記カバー板の形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記カバー板としては、一般に平板が使用される。
【0049】なお、該筒状容器の開口部の形状等については、特に制限はなく、円形、四角形等の任意の形状にすることができる。
【0050】前記カバー部材は、無色透明であってもよいし、有色透明であってもよく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0051】前記カバー部材は、前記積層体素子における陽極と電気的に接続される陽極接点と、該陽極接点と導通し外部の駆動回路に電気的に接続可能な陽極ピンアウトと、前記積層体素子における陰極と電気的に接続される陰極接点と、該陰極接点と導通し外部の駆動回路に電気的に接続可能な陰極ピンアウトとを備える。
【0052】前記陽極接点及び前記陰極接点の材質、形状、構造、大きさ等については、前記陽極及び陰極と電気的に接続でき、導通可能であれば特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができる。
【0053】前記陽極接点及び前記陰極接点は、前記カバー部材において、通常、該カバー部材の中空部内であって、該カバー部材の開口部にそれを閉塞するようにして固着される透明支持体に隣接して設けられる。この場合、前記積層体素子における陽極及び陰極と、該陽極接点及び該陰極接点との接続距離が短く、両者の接続が容易であり、かつ確実である点で有利である。
【0054】前記陽極ピンアウト及び前記陰極ピンアウトの材質、形状、構造、大きさ等については、前記陽極接点及び陰極接点と電気的に接続でき、導通可能であれば特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができる。なお、前記陽極ピンアウトと前記陽極接点との電気的接続、及び、陰極ピンアウトと前記陰極接点との電気的接続は、公知の方法、手段、例えば金属線等にて結線すること等により行うことができる。
【0055】前記陽極ピンアウト及び前記陰極ピンアウトは、前記カバー部材において、どの位置に設けられていてもよいが、通常、前記発光層で生ずる光が発せられる向き(光の進行向き)とは逆向きに、即ち前記積層体素子における透明支持体が固着された側と反対側に設けられる。
【0056】前記カバー部材の材料としては、前記陽極ピンアウトと前記陽極接点との電気的接続、及び、陰極ピンアウトと前記陰極接点との電気的接続を個々に独立させることができ、互いに導通させることがない材料が好ましく、絶縁性材料が特に好ましい。また、前記積層体素子(少なくとも前記有機化合物層)に水分等を接触させるのを防止する観点からは、少なくともその外部に露出する表面が非透水性であるのが好ましく、その全部が非透水性であるのがより好ましく、前者の場合には、少なくともカバー部材における外部に露出する表面が、後者の場合にはカバー部材における全部が、水分を透過させない材料又は水分透過率の極めて低い材料で形成されているのが好ましい。
【0057】このような材料としては、例えば、ガラス、セラミックス等の無機材料、ポリカ−ボネ−ト、ポリエ−テルスルホン、ポリエステル、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)等の合成樹脂等の有機材料などが挙げられる。これらの中でも、上記特性を十分に満足し耐久性に優れる点でセラミックスが特に好ましい。なお、前記カバー板の材料としては、これらの外に更に金属等も挙げられる。
【0058】以上により、カバー部材が形成されるが、このカバー部材を形成する工程が本発明の発光素子の製造方法における前記カバー部材形成工程である。
【0059】そして、本発明の発光素子は、前記積層体素子における前記陽極と前記カバー部材における前記陽極接点とが電気的に結線され、前記積層体素子における前記陰極と前記カバー部材における前記陰極接点とが電気的に結線され、前記積層体素子における前記有機化合物層を前記カバー部材における中空部内に密封するようにして該積層体素子の透明支持体を前記カバー部材に固着されて得られる。
【0060】この工程が前記本発明の発光素子の製造方法における前記固着工程である。前記固着工程は、前記有機化合物層への水分、酸素等の接触を可能な限り少なくさせる観点からは、乾燥した、窒素、アルゴンガス等の不活性ガス中で行われるのが好ましい。
【0061】前記結線は、電気的な接続が可能であれば特に制限はなく、公知の方法、手段の中から適宜選択することができ、例えば、短絡等の危険が少なく、製造が容易である等の点で、ワイヤーボンディングで行われるのが特に好ましい。
【0062】前記固着は、例えば、封止材を用いての接着、シーム溶接法、ハンダ付け法、レーザ・電子ビーム溶接法、冷間圧接法、低融点ガラス法等による接着、などにより行うことができる。これらの中でも、前記発光素子は熱により劣化し得るので、できるだけ発光素子に熱を印加させない方法が好ましく、例えば、樹脂を封止材として用いる封止方法、シ−ム溶接法などが好ましく、前記固着を容易にかつ確実に行うことができる点で特に前者が好ましい。なお、前記シ−ム溶接法による場合、その温度としては、前記積層体素子が劣化乃至変質しない温度以下である必要があり、1500℃以下が好ましい。
【0063】前記固着は、具体的には、例えば以下のようにして行われる。即ち、前記不活性ガス中に前記積層体素子を配置する。該積層体素子における、前記透明支持体との接着部に、前記封止材を適量塗設した後、該積層体素子における前記有機化合物層を覆うようにしてこれに前記カバー部材を配置する。そして、紫外線、熱等により前記封止材を硬化させることにより行われる。なお、前記封止材を硬化させる際、発光素子における発光領域、即ち有機化合物層上については、該封止剤は塗布せず、遮光、遮熱等しておくのが好ましい。
【0064】前記封止材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、エポキシ系やアクリル系等の紫外線硬化型樹脂やエポキシ系、ウレタン系、ウレア系、不飽和エステル系等の熱硬化型樹脂、シリコン系、シアノアクリレート系等の水分硬化型樹脂、ポリエステル、ポリアミド、酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の熱可塑性型樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、また、適宜調製したものであってもよいし、市販品を使用してもよい。また、これらは、一液型、二液型のいずれのであってもよい。
【0065】前記封止材の固化方法としては、例えば、紫外線照射法、加熱法、水分硬化法などが挙げられる。これらの中でも、加熱による場合には、前記発光素子が劣化しない温度条件を選択する必要がある。本発明においては、これらの中でも、前記有機化合物層を劣化を防止することができる点で、前記封止材の中でも紫外線硬化型樹脂を用い、前記紫外線照射法により、該紫外線硬化型樹脂を硬化させることにより、前記固着を行うのが好ましい。
【0066】本発明においては、積層体素子の透明支持体により閉塞されたカバー部材の中空部内に、吸湿剤及び吸熱剤の少なくとも一方が収容されているのが好ましい。このように発光素子を設計すると、該中空部内に残存するあるいは外部から侵入する水分を前記積層体素子(少なくとも前記有機化合物層)に接触させるのを効果的に防ぐことができ、更に積層体素子の駆動時発生する熱を積層体素子から除去することができる点で有利である。この点を発光素子の製造方法についていえば、前記積層体素子の透明支持体を前記カバー部材に固着する前に、該カバー部材の中空部内に吸湿剤及び吸熱剤の少なくとも一方を収容させておくのが好ましい。この場合、該固着の際、該積層体素子における中空部内に水分が侵入乃至透過してきたとしても、該水分は、該吸湿剤に吸収され、前記積層体素子(少なくとも前記有機化合物層)を該固着工程中に劣化させることがない点で有利である。
【0067】前記吸湿剤及び吸熱剤としては、例えば、特開平9−148066号公報、同4−296381号公報などに記載のBaO等の乾燥剤やゲッター、特開平10−134959号公報、同9−35868号公報、同8−78159号公報などに記載の撥水性及び/又は絶縁性の不活性液体(例えば3M社製のフロリナート)などが挙げられる。なお、前記吸湿剤の具体例としては、酸化バリウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、五酸化燐、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化銅、フッ化セシウム、フッ化ニオブ、臭化カルシウム、臭化バナジウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、酸化マグネシウム、などが挙げられる。
【0068】前記吸湿剤及び前記吸熱剤は、そのいずれか一方のみを使用してもよいし、両方を使用してもよく、また、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0069】
【実施例】以下に、本発明の発光素子及びその製造方法の実施例について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の発光素子の一例を示す断面概略説明図である。図1に示すように、発光素子1は、積層体素子10とカバー部材20とを有してなる。
【0070】(積層体素子10)積層体素子10は、非透水性の透明支持体11の一方の表面上の一部に、陽極12、発光層を含む有機化合物層13及び陰極14をこの順に有する。積層体素子10は、例えば、透明支持体11上に、ITO等による透明電極である陽極12を積層し、陽極12上に、蒸着法、塗布法等により、発光層を含む有機化合物層13を積層し、有機化合物層13上に、金属電極である陰極14を積層することにより、形成される。以上が本発明の発光素子の製造方法における積層体素子形成工程であり、例えば乾燥した不活性ガス中で行われる。
【0071】(カバー部材20)カバー部材20は、中空部27を有してなり、陽極接点21、陰極接点22、陽極ピンアウト23及び陰極ピンアウト24を備えている。カバー部材20は、両端開口の筒状容器であり、両端に位置する開口部の大きさが異なっている。即ち、該筒状容器の一端側の開口部には突出部20aが形成されているため、該一端側の開口部は、他端側の開口部よりも小さくなっている。以下、該一端側の開口部を小開口部と称し、該他端側の開口部を大開口部と称することにする。なお、カバー部材20は、セラミック製である。前記小開口部においては、非透水性の透明支持体11、陽極12、有機化合物層13及び陰極14が中空部27に収容されるようにして積層体素子10が配置される。なお、このとき、この実施例においては、積層体素子10は、図1に示すように、前記小開口部から、中空部27側とは反対側には脱落しないように設計されている。また、積層体素子10は、図2に示すように、前記小開口部における、中空部27とは反対側の表面、即ち突出部20aにおける、中空部27とは反対側の表面に配置されるように設計してもよい。
【0072】前記小開口部には、積層体素子10における透明支持体11が配置されることから、前記小開口部における中空部27側に臨む表面、即ち突出部20aにおける中空部27側の表面には、図3に示すように、多数の陽極接点21及び陰極接点22が透明支持体11の周囲に(互いに略平行に対向する位置に)配置されている。また、このとき、図4に示すように、多数の陽極接点21及び陰極接点22が透明支持体11の全周囲に配置されていてもよい。なお、陽極接点21及び陰極接点22の数は、発光素子1における画素数に応じて選択される。
【0073】カバー部材20においては、前記大開口部には、陽極ピンアウト23及び陰極ピンアウト24が脱落不能に設けられている。また、陽極接点21と陽極ピンアウト23とは、及び、陰極接点22と陰極ピンアウト24とは、カバー部材20の内部に配置された導線25により電気的に接続されている。
【0074】カバー部材20は、例えば、所定の成形型にセラミック粉末、焼結助剤等の混合粉末を充填し、また、所定の位置に、陽極接点21、陰極接点22、陽極ピンアウト23及び陰極ピンアウト24を導線で正しく接続したものを配置して、焼結等を行うことにより、形成される。以上が本発明の発光素子の製造方法におけるカバー部材形成工程である。
【0075】(固着)積層体素子10をカバー部材20における前記小開口部の所定位置に配置させる。このとき、透明支持体11上であってカバー部材20と接触する所定の位置には、予め、前記封止材として紫外線硬化型樹脂(エポキシ系化合物、長瀬チバ社製:NXR−5493T)を適量塗布しておく。
【0076】次に、積層体素子10の陽極12とカバー部材20における陽極接点21とを、及び、積層体素子10の陰極14とカバー部材20における陰極接点22とを、ワイヤーボンディング30により結線する。このとき、積層体素子10における陽極12及び陰極14と、カバー部材20における陽極接点21及び陰極接点22とは同じ向きであるので、その結線が容易である。
【0077】次に、カバー部材20における中空部27内に吸湿剤(図示せず)を挿入する。そして、カバー部材20における前記大開口部の開口端に前記封止材を適量塗布した後、該大開口部にカバー板26を配置する。その後、有機化合物層13には、紫外線を照射しないようにしつつ前記封止材に紫外線を照射することにより、該封止材を硬化させ、積層体素子10とカバー部材20とカバー板26とが、強固に固着される。以上が、本発明の発光素子の製造方法における前記固着工程であり、乾燥した不活性ガス中で行われる。
【0078】以上により発光素子1が製造される。発光素子1においては、陽極ピンアウト23、導線25及び陽極接点21をこの順に介して陽極12から正孔が注入され、陰極ピンアウト24、導線25及び陰極接点22をこの順に介して陰極14から電子が注入され、これらが発光層を含む有機化合物層13において再結合し、エネルギー準位が伝導体から価電子体に戻る際に光を放出し、発光する。発光素子1においては、積層体素子10(少なくとも有機化合物層13)が、透明支持体11とカバー部材20とにより密封されている。このため、積層体素子10(少なくとも有機化合物層13)は、水分を含む外気に晒されることがなく、水分により変質乃至劣化することがない。その結果、耐透水性に優れ、耐久性に富む。また、発光素子1から発光される光は、透明支持体11を通過するのみで外部に発せられるので、散乱あるいは減衰等の弊害が少ない。その結果、画像乱れ(画像ボケ)がなく、鮮明な画像が得られる。また、この発光素子においては、電気的接続が、陽極接点21及び陽極ピンアウト23と、陰極接点22と陰極ピンアウト24とにより行われるため、電気的接点の数が多い場合であっても電気的接続構造が簡単である。その結果、製造容易性、量産性、製造安定性に優れ、破損等が少ない。
【0079】また、発光素子1においては、積層体素子10の透明支持体11により閉塞されたカバー部材20における中空部27には、前記吸湿剤が存在しているので、、水分が、カバー部材20の外から内部に侵入乃至透過してきたとしても、該水分は該吸湿剤に吸収される。このため、積層体素子10(少なくとも有機化合物層13)は、水分との接触がなく、極めて長期間にわたって変質乃至劣化することがない。
【0080】
【発明の効果】本発明によると、前記従来における諸問題を解決することができ、発光する光が散乱あるいは減衰等することによる画像乱れがなく、耐久性に優れ、電気的接続構造が簡単であり、画素数が多く大画面であっても簡便に量産可能な高品質の発光素子、及び該発光素子を効率的に製造することができる発光素子の製造方法を提供することができる。




 

 


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