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光電変換素子および太陽電池 - 富士写真フイルム株式会社
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発明の名称 光電変換素子および太陽電池
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−85713(P2001−85713A)
公開日 平成13年3月30日(2001.3.30)
出願番号 特願平11−260557
出願日 平成11年9月14日(1999.9.14)
代理人 【識別番号】100080012
【弁理士】
【氏名又は名称】高石 橘馬
【テーマコード(参考)】
4C023
4C071
5F051
5H032
【Fターム(参考)】
4C023 GA07 
4C071 AA01 BB01 CC12 CC21 EE13 FF16 HH19 JJ01 JJ05 LL05
5F051 AA14
5H032 AA06 AS17 EE16 HH00
発明者 白土 健太郎 / 滝沢 裕雄
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 少なくとも導電性支持体、色素を吸着した半導体微粒子含有層、正孔輸送層および対極を備えた光電変換素子において、前記正孔輸送層が芳香族アミン残基および含硫黄複素環を両方有する化合物を含み、かつ前記化合物は分子内にスピロ構造を有さないことを特徴とする光電変換素子。
【請求項2】 請求項1に記載の光電変換素子において、前記含硫黄複素環がチオフェンまたはチオフェン誘導体であることを特徴とする光電変換素子。
【請求項3】 請求項1に記載の光電変換素子において、前記芳香族アミン残基および含硫黄複素環を有する化合物が、下記一般式(A):【化1】

(一般式(A)において、X1およびX2はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜24のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または-OR1基(ただし、R1は水素原子または炭素原子数1〜24のアルキル基を表す)を表し、Z1、Z2、Z4〜Z7、Z9〜Z12、Z14〜Z17、Z19、Z20はそれぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜24のアルキル基を表し、Z3、Z8、Z13、Z18はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、-OR2基(ただし、R2は水素原子または置換もしくは無置換の炭素原子数1〜24のアルキル基を表す)、置換もしくは無置換のジフェニルアミノ基または9-カルバゾール基を表し、X1とX2Z5とZ6、Z15とZ16は共に環を形成していてもよく、n1は1〜100の整数を表す。)により表される化合物であることを特徴とする光電変換素子。
【請求項4】 請求項1に記載の光電変換素子において、前記芳香族アミン残基および含硫黄複素環を有する化合物が、下記一般式(B):【化2】

(一般式(B)において、X3〜X8はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜24までのアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基または-OR3基(ただし、R3は水素原子または炭素原子数1〜24のアルキル基を表す)を表し、Y1〜Y3はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜24のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表し、Z21〜Z32はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基を表し、X3とX4、X5とX6、X7とX8Z22とZ23、Z26とZ27、Z30とZ31は共に環を形成していてもよく、n2、n3およびn4はそれぞれ独立に1〜100の整数を表す。)により表される化合物であることを特徴とする光電変換素子。
【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の光電変換素子において、前記導電性支持体と半導体微粒子含有層との間に、酸化物半導体からなる下塗り層が設けられていることを特徴とする光電変換素子。
【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の光電変換素子において、前記色素がルテニウム錯体色素又はポリメチン色素であることを特徴とする光電変換素子。
【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の光電変換素子において、前記半導体微粒子含有層が二酸化チタン微粒子から構成されることを特徴とする光電変換素子。
【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載の光電変換素子を用いる事を特徴とする太陽電池。
【請求項9】 請求項1〜7のいずれかに記載の光電変換素子から構成されることを特徴とする太陽電池モジュール。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、比較的容易に合成することのできる有機正孔輸送材料を用いてなる、光電変換特性および耐久性に優れた乾式の色素増感光電変換素子に関する。さらには、これを用いた太陽電池および太陽電池モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】太陽光発電は単結晶シリコン太陽電池、多結晶シリコン太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池、テルル化カドミウムやセレン化インジウム銅等の化合物太陽電池が実用化もしくは主な研究開発の対象となっているが、普及させる上で製造コスト、原材料確保、エネルギーペイバックタイムが長い等の問題があった。一方、大面積化や低価格化を指向した有機材料を用いた太陽電池もこれまでにも多く提案されているが、変換効率が低く、耐久性も悪いという問題があった。
【0003】こうした状況の中で、Nature(第353巻、第737〜740頁、1991年)および米国特許4927721号等に、ルテニウム錯体によって分光増感された二酸化チタン多孔質薄膜を作用電極とする光電変換素子および太陽電池、ならびにこれを作成するための材料および製造技術が提案された。この方式の第一の利点は二酸化チタン等の安価な酸化物半導体を高純度に精製することなく用いることができるため、製造コストを安く抑えられる点であり、第二の利点は用いられる色素の吸収がブロードなため、可視光線のほぼ全波長領域の光を電気に変換できる点である。
【0004】しかし、この素子は、対極との電気的接続を電解質溶液によって行う湿式太陽電池であるため、長期にわたって使用すると電解液の枯渇により光電変換効率が著しく低下したり、素子として機能しなくなることがあり信頼性に欠ける。
【0005】一方、湿式太陽電池における経時での電解液の枯渇を防ぐため、Chem. Lett.,5, 471-472, 1997や Synthetic Metals, 89, 215-220(1997)およびNature,Vol.395, 8 October 1998, p583-585には有機正孔輸送材料を用いて固体化した光電変換素子が提案されているが、固体電解質を用いた光電変換素子は、湿式太陽電池と比べ光電変換特性が大幅に劣っており、耐久性も不十分である。
【0006】これに対し、WO97/10617号は、光電変換特性および耐久性に優れた乾式太陽電池として、特定のスピロ構造を有するスピロビフルオレン誘導体化合物を正孔輸送層に用いた光電変換素子を開示しており、この誘導体の置換基の例として、芳香族アミン残基と含硫黄複素環を挙げているが、当該スピロ化合物は合成が複雑であり、コストパフォーマンス等の観点から汎用品として用いるには問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、比較的容易に合成することのできる有機正孔輸送材料を用いて、光電変換特性および耐久性に優れた乾式の色素増感光電変換素子および太陽電池を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、導電性支持体、色素を吸着した半導体微粒子含有層、正孔輸送層および対極を備えた光電変換素子において、正孔輸送層に、芳香族アミン残基および含硫黄複素環を両方有し、かつスピロ構造を有さない化合物を用いることにより、光電変換特性および耐久性に優れた色素増感光電変換素子が得られることを見出し、本発明に想到した。
【0009】すなわち本発明の光電変換素子および太陽電池は、正孔輸送層に、比較的容易に合成することができ、かつ、優れた光電変換特性、耐久性を与える化合物を用いたことを特徴とする。また、本発明の太陽電池は上記光電変換素子を用いたことを特徴とする。
【0010】本発明はまた下記条件を満たすことにより、一層優れた光電変換特性および耐久性を有する光電変換素子ならびに太陽電池が得られる。
【0011】(1) 芳香族アミン残基および含硫黄複素環を有する化合物において、芳香族アミン残基と含硫黄複素環とは、直接結合していても、連結基を介して結合していてもよいが、直接単結合しているのが好ましい。
【0012】(2) 芳香族アミン残基および含硫黄複素環を有する化合物において、前記含硫黄複素環がチオフェンまたはチオフェン誘導体であることが好ましい。
【0013】(3) 芳香族アミン残基および含硫黄複素環を有する化合物が、下記一般式(A):【化3】

(一般式(A)において、X1およびX2はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜24のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または-OR1基(ただし、R1は水素原子または炭素原子数1〜24のアルキル基を表す)を表し、Z1、Z2、Z4〜Z7、Z9〜Z12、Z14〜Z17、Z19、Z20はそれぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜24のアルキル基を表し、Z3、Z8、Z13、Z18はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、-OR2基(ただし、R2は水素原子または置換もしくは無置換の炭素原子数1〜24のアルキル基を表す)、置換もしくは無置換のジフェニルアミノ基または9-カルバゾール基を表し、X1とX2Z5とZ6、Z15とZ16は共に環を形成していてもよく、n1は1〜100の整数を表す。)により表される化合物であることが好ましい。
【0014】(4) 芳香族アミン残基および含硫黄複素環を有する化合物が、下記一般式(B):【化4】

(一般式(B)において、X3〜X8はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜24までのアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基または-OR3基(ただし、R3は水素原子または炭素原子数1〜24のアルキル基を表す)を表し、Y1〜Y3はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜24のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表し、Z21〜Z32はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基を表し、X3とX4、X5とX6、X7とX8Z22とZ23、Z26とZ27、Z30とZ31は共に環を形成していてもよく、n2、n3およびn4はそれぞれ独立に1〜100の整数を表す。)により表される化合物であることが好ましい。
【0015】(5) 導電性支持体と半導体微粒子含有層との間に、酸化物半導体からなる下塗り層が設けられていることが好ましい。
【0016】(6) 色素がルテニウム錯体色素又はポリメチン色素であることが好ましい。
【0017】(7) 半導体微粒子含有層が二酸化チタン微粒子から構成されることが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】〔1〕光電変換素子本発明の光電変換素子は、正孔輸送層に上述の芳香族アミン残基および含硫黄複素環を有する化合物を有するものである。好ましくは図1に示すように、導電層10、感光層20、正孔輸送層30、対極導電層40の順に積層し、前記感光層20を色素22によって増感された半導体微粒子21と当該半導体微粒子21の間の空隙に浸透した電解質23(ただし、電解質23は導電層10まで達していない)とから構成する。電解質23は、正孔輸送層30に用いる材料と同じ成分からなる。また光電変換素子に強度を付与するため、導電層10側および/または対極導電層40側に、基板50を設けてもよい。以下本発明では、導電層10および任意で設ける基板50からなる層を「導電性支持体」、対極導電層40および任意で設ける基板50からなる層を「対極」と呼ぶ。この光電変換素子を外部回路に接続して仕事をさせるようにしたものが太陽電池である。なお、図1中の導電層10、対極導電層40、基板50は、それぞれ透明導電層10a、透明対極導電層40a、透明基板50aであっても良い。
【0019】図1に示す本発明の光電変換素子において、色素22により増感された半導体微粒子21を含む感光層20に入射した光は色素22等を励起し、励起された色素22等中の高エネルギーの電子が半導体微粒子21の伝導帯に渡され、さらに拡散により導電層10に到達する。このとき色素22等の分子は酸化体となっている。太陽電池においては、導電層10中の電子が外部回路で仕事をしながら対極導電層40および正孔輸送層30を経て色素22等の酸化体に戻り、色素22が再生する。感光層20は負極として働く。それぞれの層の境界(例えば導電層10と感光層20との境界、感光層20と正孔輸送層30との境界、正孔輸送層30と対極導電層40との境界等)では、各層の構成成分同士が相互に拡散混合していてもよい。以下各層について詳細に説明する。
【0020】(A)正孔輸送層正孔輸送層は色素の酸化体を迅速に還元し、色素との界面で注入された正孔を対極に輸送する機能を担う層である。本発明の光電変換素子は、正孔輸送層に、芳香族アミン残基および含硫黄複素環を両方含む化合物を主成分として用いたことを特徴とするものである。当該化合物は、分子内にスピロ構造を有しないため、WO97/10617号に記載の化合物に比べて容易に合成することができる。
【0021】本発明で用いる芳香族アミン残基および含硫黄複素環を有する化合物において、芳香族アミン残基と含硫黄複素環とは、直接結合していても、連結基を介して結合していてもよいが、直接単結合しているのが好ましい。また、含硫黄複素環としてはチオフェンもしくはチオフェン誘導体であることが好ましい。本発明で好ましく用いられる芳香族アミン残基および含硫黄複素環を両方含む化合物は下記一般式(A)または一般式(B)により表される。
【0022】
【化5】

【0023】一般式(A)において、X1およびX2はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜24のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または-OR1基を表す。ここで、R1は水素原子、炭素原子数1〜24のアルキル基を表すが、好ましくはメチル基およびn-ブチル基である。好ましいX1とX2としては水素原子、メチル基、ブチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-デシル基、n-ドデシル基、n-オクタデシル基、メトキシ基、n-ブトキシ基が挙げられる。X1とX2は共に環を形成しても構わないが、その場合、X1とX2 がエチレンジオキシ基を形成することが特に好ましい。
【0024】Z1、Z2、Z4〜Z7、Z9〜Z12、Z14〜Z17、Z19、Z20はそれぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜24のアルキル基を表すが、好ましくは水素原子である。ここで、Z5とZ6、Z15とZ16は共に環を形成しても構わない。
【0025】Z3、Z8、Z13、Z18はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、-OR2基、置換もしくは無置換のジフェニルアミノ基または9-カルバゾール基を表す。ここで、R2は水素原子または置換もしくは無置換の炭素原子数1〜24までのアルキル基を表すが、好ましくはメチル基である。好ましく用いられる置換基としては、アルキル基(例えばメチル、エチル、イソプロピル、t-ブチル、アリル、シクロヘキシル、ベンジル等)、アリール基(例えばフェニル、ナフチルなど)、アシル基(例えばアセチル、ピバロイル、ベンゾイル等)、エチレン性不飽和結合を含有する基(エチニル基、スチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基)、オキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニルt-ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル、フェノキシカルボニル等)、スルホニル基(例えばメチルスルホニル、フェニルスルホニル、p-トルエンスルホニル等)、アルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、ベンジルオキシなど)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ等)、アミノ基(例えばジメチルアミノ、ジフェニルアミノ、ジ(4-メトキシフェニル)アミノ基など)、フッ素、メルカプト基(例えばメチルチオ、フェニルチオなど)、シアノ基、アミド基(例えばN-メチルアセトアミド等)、カルバモイル基(例えばN,N-ジメチルカルバモイル等)、アシルオキシ基(たとえばアセトキシ、ベンジルオキシ等)、スルホンアミド基(N-メチルスルホンアミド等)、スルファモイル基(N,N-ジメチルスルファモイル等)、ウレタン基(N-メチルメトキシカルボニルアミノ等)、ウレイド基(例えばN,N,N'-リメチルウレイド等)が挙げられる。この中でもアルキル基、アリール基、アルコキシ基、エチレン性不飽和結合を含む1価の基、芳香族アミノ基が置換基として好ましい。好ましいZ3、Z8、Z13、Z18は水素原子、メチル基、メトキシ基、ジ(4-メトキシフェニル)アミノ基である。
【0026】n1は1〜100の整数を表すが、好ましい範囲は1〜30である。
【0027】
【化6】

【0028】一般式(B)において、X3〜X8はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜24までのアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基または-OR3基を表す。ただし、R3は水素原子または炭素原子数1〜24のアルキル基を表すが、好ましくはメチル基およびn-ブチル基である。好ましいX3〜X8としては水素原子、メチル基、ブチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-デシル基、n-ドデシル基、n-オクタデシル基、メトキシ基、n-ブトキシ基が挙げられる。ここでX3とX4、X5とX6、X7とX8は共に環を形成しても構わないが、その場合、X3とX4、X5とX6、X7とX8がエチレンジオキシ基を形成することが特に好ましい。
【0029】Y1〜Y3はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜24のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を表す。好ましいY1〜Y3は水素原子、メチル基、ブチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-デシル基、n-ドデシル基、n-オクタデシル基である。
【0030】Z21〜Z32はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基を表す。好ましいZ21〜Z32は水素原子である。ここで、Z22とZ23、Z26とZ27、Z30とZ31は共に環を形成しても構わない。
【0031】n2、n3、n4はそれぞれ独立に1〜100の整数を表すが、好ましい範囲は1〜30である。
【0032】本発明で用いられる芳香族アミン残基および含硫黄複素環を両方含む化合物のイオン化ポテンシャルは4.5〜6.0eVであることが好ましく、さらに好ましくは4.8〜5.4eVである。また、本発明の正孔輸送層の好ましいホール移動度は10-6〜102 cm2/V・secであり、さらに好ましくは10-4〜10 cm2/V・secである。さらに、本発明の正孔輸送層の好ましい導電率は10-8〜102 S/cmであり、さらに好ましくは10-6〜10S/cm未満である。
【0033】一般式(A)および(B)で表される本発明の芳香族アミン残基および含硫黄複素環を両方含む化合物はTetrahedron Letters, 39, 617(1998)に記載されているようにPd触媒を用いた芳香族求核置換反応を用いて合成することができる。
【0034】本発明に好ましく使用できる芳香族アミン残基および含硫黄複素環を両方含む化合物を以下に示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0035】
【化7】

【0036】
【化8】

【0037】
【化9】

【0038】
【化10】

【0039】本発明の芳香族アミン残基および含硫黄複素環を両方含む化合物からなる正孔輸送層には導電率を向上するため、トリス(4-ブロモフェニル)アミニウムヘキサクロロアンチモネート、NOPF6、SbCl5,I2、Br2、HClO4、(n-C4H9)4ClO4、トリフルオロ酢酸、4-ドデシルベンゼンスルホン酸、1-ナフタレンスルホン酸、FeCl3、AuCl3、NOSbF6、AsF5、NOBF4、LiBF4、H3[PMo12O40]、7,7,8,8-テトラシアノキノジメタン(TCNQ)、などのアクセプタードーピング剤を添加することも好ましく行われる。該ドーピング剤の好ましい添加量は前記正孔輸送化合物に対して0〜0.3(モル比)であり、さらに好ましくは0〜0.15である。また、正孔輸送層内の正電荷による空間電荷層を補償するためにLi[(CF3SO2)2N], Li[(C2F5SO2)2N] , LiClO4等の塩を添加することも好ましい。塩を添加する場合の好ましい添加量は前記正孔輸送化合物に対して0〜1(モル比)であり、さらに好ましくは0〜0.5である。
【0040】上記芳香族アミン残基および含硫黄複素環を両方含む化合物がエチレン性不飽和結合を側鎖に有する場合、膜強度や経時安定性を向上させるため、本発明の正孔輸送層を重合により硬化させることができる。重合は、加熱および/もしくはUV光を用いたラジカル重合によって行うことが好ましい。
【0041】芳香族アミン残基および含硫黄複素環を両方含む化合物は、真空蒸着法,キャスト法,塗布法,スピンコート法、浸漬法などにより色素を吸着した半導体微粒子含有層の上に設置することができる。
【0042】真空蒸着法により正孔輸送層を形成する場合、増感色素を担持した無機酸化物電極基板上に、一般にボート加熱温度50〜400℃、真空度10-6〜10-3Pa、蒸着速度0.01〜50nm/sec、基板温度-50〜+300℃、膜厚5nm〜20μmの範囲で蒸着条件を適宜選択し、蒸着することができる。
【0043】塗布法によって正孔輸送層を形成する場合、正孔をトラップしにくいバインダー樹脂や、レベリング剤等の塗布性改良剤などの添加剤を添加し溶解した塗布溶液を調整し、スピンコート法、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、或いは、米国特許第2681294号記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法、又は米国特許第2761418号、同3508947号、同2761791号記載の多層同時塗布方法等の方法により塗布、乾煤して正孔輸送層を形成することができる。バインダー樹脂としては、チオフェン化合物を含有する高分子、ポリスチレン、ポリシラン類、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル等が挙げられる。バインダー樹脂は添加量が多いと正孔移動度を低下させることが多いので、添加する場合の好ましい添加量は50重量%以下である。
【0044】好ましい態様によれば、図1に示すように、正孔輸送層は感光層から対極導電層40との境界までの間に存在することになるが、正孔輸送層30のみの厚さ(感光層に浸透した分を含まない)は導電率の観点から薄いことが好ましく、具体的には0.005〜50μmが好ましく、0.01〜30μmがより好ましく、0.01〜10μmが特に好ましい。
【0045】(B)導電性支持体導電性支持体は、(1)導電層の単層、または(2)導電層および基板の2層からなる。強度や密封性が十分に保たれるような導電層を使用すれば、基板は必ずしも必要でない。
【0046】(1)の場合、導電層として金属のように十分な強度が得られ、かつ導電性があるものを用いる。
【0047】(2)の場合、感光層側に導電剤を含む導電層を有する基板を使用することができる。好ましい導電剤としては金属(例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム等)、炭素、または導電性金属酸化物(インジウム−スズ複合酸化物、酸化スズにフッ素をドープしたもの等)が挙げられる。導電層の厚さは0.02〜10μm程度が好ましい。
【0048】導電性支持体は表面抵抗が低い程よい。好ましい表面抵抗の範囲は100Ω/□以下であり、さらに好ましくは40Ω/□以下である。表面抵抗の下限には特に制限はないが、通常0.1Ω/□程度である。
【0049】導電性支持体側から光を照射する場合には、導電性支持体は実質的に透明であるのが好ましい。実質的に透明であるとは光の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上であるのが好ましく、70%以上が特に好ましい。
【0050】透明導電性支持体としては、ガラスまたはプラスチック等の透明基板の表面に導電性金属酸化物からなる透明導電層を塗布または蒸着等により形成したものが好ましい。なかでもフッ素をドーピングした二酸化スズからなる導電層を低コストのソーダ石灰フロートガラスでできた透明基板上に堆積した導電性ガラスが好ましい。また低コストでフレキシブルな光電変換素子または太陽電池とするには、透明ポリマーフィルムに導電層を設けたものを用いるのがよい。透明ポリマーフィルムの材料としては、テトラアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シンジオクタチックポリステレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAr)、ポリスルフォン(PSF)、ポリエステルスルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、環状ポリオレフィン、ブロム化フェノキシ等がある。十分な透明性を確保するために、導電性金属酸化物の塗布量はガラスまたはプラスチックの支持体1m2当たり0.01〜100gとするのが好ましい。
【0051】透明導電性支持体の抵抗を下げる目的で金属リードを用いるのが好ましい。金属リードの材質はアルミニウム、銅、銀、金、白金、ニッケル等の金属が好ましく、特にアルミニウムおよび銀が好ましい。金属リードは透明基板に蒸着、スパッタリング等で設置し、その上にフッ素をドープした酸化スズ、またはITO膜からなる透明導電層を設けるのが好ましい。また透明導電層を透明基板に設けた後、透明導電層上に金属リードを設置するのも好ましい。金属リード設置による入射光量の低下は好ましくは10%以内、より好ましくは1〜5%とする。
【0052】(C)感光層色素により増感された半導体微粒子を含む感光層において、半導体微粒子はいわゆる感光体として作用し、光を吸収して電荷分離を行い、電子と正孔を生ずる。色素増感された半導体微粒子では、光吸収およびこれによる電子および正孔の発生は主として色素において起こり、半導体微粒子はこの電子を受け取り、伝達する役割を担う。
【0053】(1)半導体微粒子半導体微粒子としては、シリコン、ゲルマニウムのような単体半導体、III-V系化合物半導体、金属のカルコゲニド(例えば酸化物、硫化物、セレン化物等)、またはペロブスカイト構造を有する化合物(例えばチタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム等)等を使用することができる。
【0054】好ましい金属のカルコゲニドとして、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、またはタンタルの酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモンまたはビスマスの硫化物、カドミウムまたは鉛のセレン化物、カドミウムのテルル化物等が挙げられる。他の化合物半導体としては亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム等のリン化物、ガリウム−ヒ素または銅−インジウムのセレン化物、銅−インジウムの硫化物等が挙げられる。
【0055】本発明に用いる半導体の好ましい具体例は、Si、TiO2、SnO2、Fe2O3、WO3、ZnO、Nb2O5、CdS、ZnS、PbS、Bi2S3、CdSe、CdTe、GaP、InP、GaAs、CuInS2、CuInSe2等であり、より好ましくはTiO2、ZnO、SnO2、Fe2O3、WO3、Nb2O5、CdS、PbS、CdSe、InP、GaAs、CuInS2またはCuInSe2であり、特に好ましくはTiO2またはNb2O5であり、最も好ましくはTiO2である。
【0056】本発明に用いる半導体は単結晶でも多結晶でもよい。変換効率の観点からは単結晶が好ましいが、製造コスト、原材料確保、エネルギーペイバックタイム等の観点からは多結晶が好ましい。
【0057】半導体微粒子の粒径は一般にnm〜μmのオーダーであるが、投影面積を円に換算したときの直径から求めた一次粒子の平均粒径は5〜200nmであるのが好ましく、8〜100nmがより好ましい。また分散液中の半導体微粒子(二次粒子)の平均粒径は0.01〜100μmが好ましい。
【0058】粒径分布の異なる2種類以上の微粒子を混合してもよく、この場合小さい粒子の平均サイズは5nm以下であるのが好ましい。入射光を散乱させて光捕獲率を向上させる目的で、粒径の大きな、例えば300nm程度の半導体粒子を混合してもよい。
【0059】半導体微粒子の作製法としては、作花済夫の「ゾル−ゲル法の科学」アグネ承風社(1998年)、技術情報協会の「ゾル−ゲル法による薄膜コーティング技術」(1995年)等に記載のゾル−ゲル法、杉本忠夫の「新合成法ゲル−ゾル法による単分散粒子の合成とサイズ形態制御」、まてりあ,第35巻,第9号,1012〜1018頁(1996年)に記載のゲル−ゾル法が好ましい。またDegussa社が開発した塩化物を酸水素塩中で高温加水分解により酸化物を作製する方法も好ましい。
【0060】半導体微粒子が酸化チタンの場合、上記ゾル−ゲル法、ゲル−ゾル法、塩化物の酸水素塩中での高温加水分解法はいずれも好ましいが、さらに清野学の「酸化チタン 物性と応用技術」技報堂出版(1997年)に記載の硫酸法および塩素法を用いることもできる。さらにゾル−ゲル法として、バーブらのジャーナル・オブ・アメリカン・セラミック・ソサエティー,第80巻,第12号,3157〜3171頁(1997年)に記載の方法や、バーンサイドらのケミカル・マテリアルズ,第10巻,第9号,2419〜2425頁に記載の方法も好ましい。
【0061】(2)半導体微粒子層半導体微粒子を導電性支持体上に塗布するには、半導体微粒子の分散液またはコロイド溶液を導電性支持体上に塗布する方法の他に、前述のゾル−ゲル法等を使用することもできる。光電変換素子の量産化、半導体微粒子液の物性、導電性支持体の融通性等を考慮した場合、湿式の製膜方法が比較的有利である。湿式の製膜方法としては、塗布法、印刷法が代表的である。
【0062】半導体微粒子の分散液を作製する方法としては、前述のゾル−ゲル法の他に、乳鉢ですり潰す方法、ミルを使って粉砕しながら分散する方法、あるいは半導体を合成する際に溶媒中で微粒子として析出させそのまま使用する方法等が挙げられる。
【0063】分散媒としては、水または各種の有機溶媒(例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ジクロロメタン、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル等)が挙げられる。分散の際、必要に応じてポリマー、界面活性剤、酸、またはキレート剤等を分散助剤として用いてもよい。
【0064】塗布方法としては、アプリケーション系としてローラ法、ディップ法等、メータリング系としてエアーナイフ法、ブレード法等、またアプリケーションとメータリングを同一部分にできるものとして、特公昭58-4589号に開示されているワイヤーバー法、米国特許2681294号、同2761419号、同2761791号等に記載のスライドホッパー法、エクストルージョン法、カーテン法等が好ましい。また汎用機としてスピン法やスプレー法も好ましい。湿式印刷方法としては、凸版、オフセットおよびグラビアの3大印刷法をはじめ、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等が好ましい。これらの中から、液粘度やウェット厚さに応じて、好ましい製膜方法を選択する。
【0065】半導体微粒子の分散液の粘度は半導体微粒子の種類や分散性、使用溶媒種、界面活性剤やバインダー等の添加剤により大きく左右される。高粘度液(例えば0.01〜500Poise)ではエクストルージョン法、キャスト法、スクリーン印刷法等が好ましい。また低粘度液(例えば0.1Poise以下)ではスライドホッパー法、ワイヤーバー法またはスピン法が好ましく、均一な膜にすることが可能である。なお、ある程度の塗布量があれば低粘度液の場合でもエクストルージョン法による塗布は可能である。このように塗布液の粘度、塗布量、支持体、塗布速度等に応じて、適宜湿式製膜方法を選択すればよい。
【0066】半導体微粒子の層は単層に限らず、粒径の違った半導体微粒子の分散液を多層塗布したり、種類が異なる半導体微粒子(あるいは異なるバインダー、添加剤)を含有する塗布層を多層塗布したりすることもできる。一度の塗布で膜厚が不足の場合にも多層塗布は有効である。多層塗布には、エクストルージョン法またはスライドホッパー法が適している。また多層塗布をする場合は同時に多層を塗布しても良く、数回から十数回順次重ね塗りしてもよい。さらに順次重ね塗りであればスクリーン印刷法も好ましく使用できる。
【0067】一般に半導体微粒子層の厚さ(感光層の厚さと同じ)が厚くなるほど単位投影面積当たりの担持色素量が増えるため、光の捕獲率が高くなるが、生成した電子の拡散距離が増すため電荷再結合によるロスも大きくなる。したがって、半導体微粒子層の好ましい厚さは0.1〜100μmである。太陽電池に用いる場合、半導体微粒子層の厚さは1〜30μmが好ましく、2〜25μmがより好ましい。半導体微粒子の支持体1m2当たり塗布量は0.5〜400gが好ましく、5〜100gがより好ましい。
【0068】半導体微粒子を導電性支持体上に塗布した後で半導体微粒子同士を電子的に接触させるとともに、塗膜強度の向上や支持体との密着性を向上させるために、加熱処理するのが好ましい。好ましい加熱温度の範囲は40℃以上700℃未満であり、より好ましくは100℃以上600℃以下である。また加熱時間は10分〜10時間程度である。ポリマーフィルムのように融点や軟化点の低い支持体を用いる場合、高温処理は支持体の劣化を招くため、好ましくない。またコストの観点からもできる限り低温であるのが好ましい。低温化は、先に述べた5nm以下の小さい半導体微粒子の併用や鉱酸の存在下での加熱処理等により可能となる。
【0069】加熱処理後半導体微粒子の表面積を増大させたり、半導体微粒子近傍の純度を高め、色素から半導体粒子への電子注入効率を高める目的で、例えば四塩化チタン水溶液を用いた化学メッキや三塩化チタン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行ってもよい。
【0070】半導体微粒子は多くの色素を吸着することができるように表面積の大きいものが好ましい。このため半導体微粒子の層を支持体上に塗布した状態での表面積は、投影面積に対して10倍以上であるのが好ましく、さらに100倍以上であるのが好ましい。この上限は特に制限はないが、通常1000倍程度である。
【0071】(3)色素感光層に使用する色素は金属錯体色素、フタロシアニン系の色素またはメチン色素が好ましい。光電変換の波長域をできるだけ広くし、かつ変換効率を上げるため、二種類以上の色素を混合することができる。また目的とする光源の波長域と強度分布に合わせるように、混合する色素とその割合を選ぶことができる。
【0072】こうした色素は半導体微粒子の表面に対する適当な結合基(interlocking group)を有しているのが好ましい。好ましい結合基としては、COOH基、SO3H基、シアノ基、-P(O)(OH)2基、-OP(O)(OH)2基、またはオキシム、ジオキシム、ヒドロキシキノリン、サリチレートおよびα-ケトエノレートのようなπ伝導性を有するキレート化基が挙げられる。なかでもCOOH基、-P(O)(OH)2基、-OP(O)(OH)2基が特に好ましい。これらの基はアルカリ金属等と塩を形成していてもよく、また分子内塩を形成していてもよい。またポリメチン色素の場合、メチン鎖がスクアリリウム環やクロコニウム環を形成する場合のように酸性基を含有するなら、この部分を結合基としてもよい。
【0073】以下、感光層に用いる好ましい色素を具体的に説明する。
【0074】(a)金属錯体色素色素が金属錯体色素である場合、金属原子はルテニウムRuであるのが好ましい。ルテニウム錯体色素としては、例えば米国特許4927721号、同4684537号、同5084365号、同5350644号、同5463057号、同5525440号、特開平7-249790号等に記載の錯体色素が挙げられる。
【0075】さらに本発明で用いるルテニウム錯体色素は下記一般式(I):(A1)pRu(B-a)(B-b)(B-c) ・・・(I)
により表されるのが好ましい。一般式(I)中、A1はCl、SCN、H2O、Br、I、CN、NCOおよびSeCNからなる群から選ばれた配位子を表し、pは0〜2の整数であり、好ましくは2である。B-a、B-bおよびB-cはそれぞれ独立に下記式B-1〜B-8:【化11】

(ただし、R11は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜12の置換または無置換のアルキル基、炭素原子数7〜12の置換または無置換のアラルキル基、あるいは炭素原子数6〜12の置換または無置換のアリール基を表し、アルキル基およびアラルキル基のアルキル部分は直鎖状でも分岐状でもよく、またアリール基およびアラルキル基のアリール部分は単環でも多環(縮合環、環集合)でもよい。)により表される化合物から選ばれた有機配位子を表す。B-a、B-bおよびB-cは同一でも異なっていても良い。
【0076】金属錯体色素の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0077】
【化12】

【0078】
【化13】

【0079】
【化14】

【0080】(b)メチン色素本発明で感光層に使用するメチン色素としては、下記一般式(II)、(III)、(IV)または(V)により表される色素が好ましい。
【0081】1.一般式(II)により表される色素【化15】

一般式(II)中、R21およびR25はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表し、R22〜R24はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R21〜R25は互いに結合して環を形成してもよく、L11およびL12はそれぞれ独立に窒素原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子またはテルル原子を表し、n1およびn3はそれぞれ独立に0〜2の整数を表し、n2は1〜6の整数を表す。この色素は分子全体の電荷に応じて対イオンを有してもよい。
【0082】上記アルキル基、アリール基および複素環基は置換基を有していてもよい。アルキル基は直鎖であっても分岐鎖であってもよく、またアリール基および複素環基は、単環でも、多環(縮合環、環集合)でもよい。またR21〜R25により形成される環は置換基を有していてもよく、また単環でも縮合環でもよい。
【0083】2.一般式(III)により表される色素【化16】

一般式(III)中、Zaは含窒素複素環を形成するために必要な非金属原子群を表し、R31はアルキル基またはアリール基を表す。Qaは一般式(III)で表される化合物がメチン色素として機能するために必要なメチン基またはポリメチン基を表し、Qaを介して多量体を形成してもよい。X3は対イオンを表し、n4は0〜10の整数である。
【0084】上記Zaで形成される含窒素複素環は置換基を有していてもよく、単環であっても縮合環であってもよい。またアルキル基およびアリール基は置換基を有していてもよく、アルキル基は直鎖でも分岐鎖でもよく、またアリール基は単環でも多環(縮合環、環集合)でもよい。
【0085】一般式(III)により表される色素のうち、下記一般式(III-a)〜(III-d):【化17】

(ただし、R41〜R45、R51〜R54、R61〜R63、およびR71〜R73はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表し、L21、L22、L31、L32、L41〜L45およびL51〜L56はそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子、-CRR'-または-NR-(RおよびR'は水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)を表し、L33はO-、S-、Se-、Te-または-N-Rを表す。Y11、Y12、Y21、Y22、Y31およびY41はそれぞれ独立に置換基を表し、n5、n6およびn7はそれぞれ独立に1〜6の整数を表す。)により表される色素がより好ましい。
【0086】一般式(III-a)〜(III-d)により表される化合物は、分子全体の電荷に応じて対イオンを有していてもよく、上記アルキル基、アリール基および複素環基は置換基を有していてもよく、またアルキル基は直鎖でも分岐鎖でもよく、さらにアリール基および複素環基は単環でも多環(縮合環、環集合)でもよい。
【0087】以上のようなポリメチン色素の具体例は、M.Okawara, T.Kitao, T.Hirashima, M.Matsuoka著のOrganic Colorants(Elsevier)等に詳しく記載されている。
【0088】3.一般式(IV)により表される色素【化18】

一般式(IV)中、Qbは5または6員の含窒素ヘテロ環を形成するために必要な原子団を表し、Zbは3〜9員環のいずれかを形成するために必要な原子団を表し、L61、L62、L63、L64およびL65はそれぞれ独立に任意に置換基を有するメチン基を表し、n8は0〜4の整数であり、n9は0または1であり、R81は置換基を表し、X4は電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。
【0089】Qbにより形成される環は縮環していてもよく、また置換基を有していてもよい。含窒素ヘテロ環の好ましい例としては、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾセレナゾール環、ベンゾテルラゾール環、2-キノリン環、4-キノリン環、ベンゾイミダゾール環、チアゾリン環、インドレニン環、オキサジアゾール環、チアゾール環、イミダゾール環が挙げられる、さらに好ましくはベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾセレナゾール環、2-キノリン環、4-キノリン環、インドレニン環であり、特に好ましくはベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、2-キノリン環、4-キノリン環、インドレニン環である。
【0090】含窒素ヘテロ環上の置換基の例としては、カルボキシル基、ホスホニル基、スルホニル基、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I等)、シアノ基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基等)、アリーロキシ基(フェノキシ基等)、アルキル基(メチル基、エチル基、シクロプロピル基、シクロへキシル基、トリフルオロメチル基、メトキシエチル基、アリル基、ベンジル基等)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基等)、アルケニル基(ビニル基、1-プロペニル基等)、アリール基、複素環基(フェニル基、チエニル基、トルイル基、クロロフェニル基等)等が挙げられる。
【0091】Zbは炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子および水素原子から選ばれる原子により構成される。Zbにより形成される環は、好ましくは4〜6個の炭素により骨格が形成される環であり、より好ましくは以下()〜():【化19】

のいずれかであり、最も好ましくは()である。
【0092】L61、L62、L63、L64およびL65がそれぞれ独立に任意に有する置換基としては、置換または無置換のアルキル基(好ましくは炭素原子数1〜12、さらに好ましくは炭素原子数1〜7であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、2-カルボキシエチル基、ベンジル基等)、置換または無置換のアリール基(好ましくは炭素原子数6、8ないし10、より好ましくは炭素原子数6ないし8のものであり、例えばフェニル基、トルイル基、クロロフェニル基、o-カルボキシフェニル基等)、複素環基(例えばピリジル基、チエニル基、フラニル基、バルビツール酸等)、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子等)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基等)、アミノ基(好ましくは炭素原子数1〜12、より好ましくは炭素原子数6〜12のものであり、例えばジフェニルアミノ基、メチルフェニルアミノ基、4-アセチルピペラジン-1-イル基等)、オキソ基等が挙げられる。これらの置換基は互いに連結してシクロペンテン環、シクロヘキセン環、スクアリリウム環等の環を形成してもよく、助色団と環を形成してもよい。なおn8は0〜4の整数であり、好ましくは0〜3である。またn9は0または1である。
【0093】置換基R81は好ましくは芳香族基(置換基を有してもよい)または脂肪族基(置換基を有してもよい)である。芳香族基の炭素原子数は好ましくは1〜16、より好ましくは5〜6である。脂肪族基の炭素原子数は好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6である。無置換の脂肪族基および芳香族基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0094】色素が陽イオンまたは陰イオンであるか、あるいは正味のイオン電荷を持つかどうかは、その助色団および置換基に依存し、分子全体の電荷は対イオンX4により中和される。対イオンX4として典型的な陽イオンは無機または有機のアンモニウムイオン(テトラアルキルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン等)およびアルカリ金属イオンであり、一方、陰イオンは無機または有機の陰イオンのいずれであってもよく、ハロゲン化物イオン(フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等)、置換アリールスルホン酸イオン(p-トルエンスルホン酸イオン、p-クロロベンゼンスルホン酸イオン等)、アリールジスルホン酸イオン(1,3-ベンゼンジスルホン酸イオン、1,5-ナフタレンジスルホン酸イオン、2,6-ナフタレンジスルホン酸イオン等)、アルキル硫酸イオン(メチル硫酸イオン等)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等である。
【0095】さらに電荷均衡対イオンとして、イオン性ポリマー、あるいは色素と逆電荷を有する他の色素を用いてもよいし、例えばビスベンゼン-1,2-ジチオラトニッケル(III)のような金属錯イオンを使用してもよい。
【0096】4.一般式(V)により表される色素【化20】

一般式(V)中、Qcは少なくとも4官能以上の芳香族基を表し、L71およびL72はそれぞれ独立に硫黄原子、セレン原子またはCRR'(ただし、RおよびR'はそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基であり、同じでも異なっていてもよい。)を表し、同一でも異なっていも良く、好ましくはそれぞれ独立に硫黄原子またはCRR'であり、より好ましくはCRR'である。またR91およびR92はそれぞれ独立にアルキル基または芳香族基を表し、Y51およびY52はそれぞれ独立にポリメチン色素を形成するのに必要な非金属原子群を表す。X5は対イオンを表す。
【0097】芳香族基Qcの例としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素から誘導されるものや、アントラキノン、カルバゾール、ピリジン、キノリン、チオフェン、フラン、キサンテン、チアントレン等の芳香族へテロ環から誘導されるものが挙げられ、これらは連結部分以外に置換基を有していても良い。Qcは好ましくは芳香族炭化水素の誘導基であり、より好ましくはベンゼンまたはナフタレンの誘導基である。
【0098】Y51およびY52によりいかなるメチン色素を形成することも可能であるが、好ましくはシアニン色素、メロシアニン色素、ロダシアニン色素、3核メロシアニン色素、アロポーラー色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素等が挙げられる。シアニン色素には色素を形成するメチン鎖上の置換基がスクアリウム環やクロコニウム環を形成したものも含まれる。これらの色素の詳細については、F.M.Harmer著「Heterocyclic Compounds-Cyanine Dyes and Related Compounds」,John Wiley & Sons社,ニューヨーク,ロンドン,1964年刊、D.M.Sturmer著「Heterocyclic Compounds-Special Topics in Heterocyclic Chemistry」,第18章,第14節,482〜515頁等に記載されている。またシアニン色素、メロシアニン色素およびロダシアニン色素は、米国特許第5,340,694号,第21〜22頁の(XI)、(XII)および(XIII)に示されているものが好ましい。またY51およびY52により形成されるポリメチン色素の少なくともいずれか一方のメチン鎖部分にスクアリリウム環を有するものが好ましく、両方に有するものがさらに好ましい。
【0099】R91およびR92は芳香族基または脂肪族基であり、これらは置換基を有していてもよい。芳香族基の炭素原子数は好ましくは5〜16、より好ましくは5〜6である。脂肪族基の炭素原子数は好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6である。無置換の脂肪族基、芳香族基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0100】R91、R92、Y51およびY52のうち少なくとも一つは酸性基を有するのが好ましい。ここで酸性基とは解離性のプロトンを有する置換基であり、例としてはカルボン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基、ホウ酸基等が挙げられ、好ましくはカルボン酸基である。またこのような酸性基上のプロトンは解離していても良い。
【0101】一般式(II)〜(V)により表されるポリメチン色素の具体例(1)〜(43)およびS-1〜S-42を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0102】
【化21】

【0103】
【化22】

【0104】
【化23】

【0105】
【化24】

【0106】
【化25】

【0107】
【化26】

【0108】
【化27】

【0109】
【化28】

【0110】
【化29】

【0111】
【化30】

【0112】
【化31】

【0113】
【化32】

【0114】
【化33】

【0115】
【化34】

【0116】
【化35】

【0117】
【化36】

【0118】
【化37】

【0119】
【化38】

【0120】
【化39】

【0121】
【化40】

【0122】
【化41】

【0123】一般式(II)、(III)で表される化合物は、F.M.Harmer著「Heterocyclic Compounds-Cyanine Dyes and Related Compounds」,John Wiley & Sons社,ニューヨーク,ロンドン,1964年刊、D.M.Sturmer著「Heterocyclic Compounds-Special Topics in Heterocyclic Chemistry」,第18章,第14節,第482〜515頁,John Wiley & Sons社,ニューヨーク,ロンドン,1977年刊、「Rodd's Chemistryof Carbon Compounds」,2nd.Ed., vol.IV, part B,第15章,第369〜422頁,Elsevier Science Publishing Company Inc.社,ニューヨーク,1977年刊、英国特許第1,077,611号等に記載の方法により合成することができる。
【0124】式(IV)により表される化合物は、Dyes and Pigments,第21巻,227〜234頁等の記載を参考にして合成することができる。また式(V)により表される化合物は、Ukrainskii Khimicheskii Zhurnal,第40巻,第3号,第253〜258頁、Dyes and Pigments,第21巻,第227〜234頁およびこれらの文献中に引用された文献の記載を参考にして合成することができる。
【0125】(4)半導体微粒子への色素の吸着半導体微粒子に色素を吸着させるには、色素の溶液中に良く乾燥した半導体微粒子層を有する導電性支持体を浸漬するか、色素の溶液を半導体微粒子層に塗布する方法を用いることができる。前者の場合、浸漬法、ディップ法、ローラ法、エアーナイフ法等が使用可能である。なお浸漬法の場合、色素の吸着は室温で行ってもよいし、特開平7-249790号に記載されているように加熱還流して行ってもよい。また後者の塗布方法としては、ワイヤーバー法、スライドホッパー法、エクストルージョン法、カーテン法、スピン法、スプレー法等があり、印刷方法としては、凸版、オフセット、グラビア、スクリーン印刷等がある。溶媒は、色素の溶解性に応じて適宜選択できる。例えば、アルコール類(メタノール、エタノール、t-ブタノール、ベンジルアルコール等)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、3-メトキシプロピオニトリル等)、ニトロメタン、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン等)、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)、ジメチルスルホキシド、アミド類(N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセタミド等)、N-メチルピロリドン、1,3-ジメチルイミダゾリジノン、3-メチルオキサゾリジノン、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、炭酸エステル類(炭酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等)、ケトン類(アセトン、2-ブタノン、シクロヘキサノン等)、炭化水素(へキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン等)やこれらの混合溶媒が挙げられる。
【0126】色素の溶液の粘度についても、半導体微粒子層の形成時と同様に、高粘度液(例えば0.01〜500Poise)ではエクストルージョン法の他に各種印刷法が適当であり、また低粘度液(例えば0.1Poise以下)ではスライドホッパー法、ワイヤーバー法またはスピン法が適当であり、いずれも均一な膜にすることが可能である。
【0127】このように色素の塗布液の粘度、塗布量、導電性支持体、塗布速度等に応じて、適宜色素の吸着方法を選択すればよい。塗布後の色素吸着に要する時間は、量産化を考えた場合、なるべく短い方がよい。
【0128】未吸着の色素の存在は素子性能の外乱になるため、吸着後速やかに洗浄により除去するのが好ましい。湿式洗浄槽を使い、アセトニトリル等の極性溶剤、アルコール系溶剤のような有機溶媒で洗浄を行うのが好ましい。また色素の吸着量を増大させるため、吸着前に加熱処理を行うのが好ましい。加熱処理後、半導体微粒子表面に水が吸着するのを避けるため、常温に戻さずに40〜80℃の間で素早く色素を吸着させるのが好ましい。
【0129】色素の全使用量は、導電性支持体の単位表面積(1m2)当たり0.01〜100mmolが好ましい。また色素の半導体微粒子に対する吸着量は、半導体微粒子1g当たり0.01〜1mmolであるのが好ましい。このような色素の吸着量とすることにより、半導体における増感効果が十分に得られる。これに対し、色素が少なすぎると増感効果が不十分となり、また色素が多すぎると、半導体に付着していない色素が浮遊し、増感効果を低減させる原因となる。
【0130】光電変換の波長域をできるだけ広くするとともに変換効率を上げるため、二種類以上の色素を混合することもできる。この場合、光源の波長域と強度分布に合わせるように、混合する色素およびその割合を選ぶのが好ましい。
【0131】会合のような色素同士の相互作用を低減する目的で、無色の化合物を半導体微粒子に共吸着させてもよい。共吸着させる疎水性化合物としてはカルボキシル基を有するステロイド化合物(例えばケノデオキシコール酸)等が挙げられる。また紫外線吸収剤を併用することもできる。
【0132】余分な色素の除去を促進する目的で、色素を吸着した後にアミン類を用いて半導体微粒子の表面を処理してもよい。好ましいアミン類としてはピリジン、4-t-ブチルピリジン、ポリビニルピリジン等が挙げられる。これらが液体の場合はそのまま用いてもよいし、有機溶媒に溶解して用いてもよい。
【0133】(D)対極対極は、光電変換素子を太陽電池としたとき、太陽電池の正極として作用するものである。対極は前記の導電性支持体と同様に、導電性材料からなる対極導電層の単層構造でもよいし、対極導電層と支持基板から構成されていてもよい。対極導電層に用いる導電材としては、金属(例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、マグネシウム、ロジウム、インジウム等)、炭素、または導電性金属酸化物(インジウム−スズ複合酸化物、酸化スズにフッ素をドープしたもの等)が挙げられる。この中でも白金、金、銀、銅、アルミニウム、マグネシウムを対極層として好ましく使用することができる。対極の好ましい支持基板の例は、ガラスまたはプラスチックであり、これに上記の導電剤を塗布または蒸着して用いる。対極導電層の厚さは特に制限されないが、3nm〜10μmが好ましい。対極導電層が金属製である場合は、その厚さは好ましくは5μm以下であり、さらに好ましくは5nm〜3μmの範囲である。対極層の表面抵抗は低い程よい。好ましい表面抵抗の範囲としては80Ω/□以下であり、さらに好ましくは20Ω/□以下である。
【0134】導電性支持体と対極のいずれか一方または両方から光を照射してよいので、感光層に光が到達するためには、導電性支持体と対極の少なくとも一方が実質的に透明であれば良い。発電効率の向上の観点からは、導電性支持体を透明にして、光を導電性支持体側から入射させるのが好ましい。この場合対極は光を反射する性質を有するのが好ましい。このような対極としては、金属または導電性の酸化物を蒸着したガラスまたはプラスチック、あるいは金属薄膜を使用できる。
【0135】対極は、正孔輸送層上に直接導電材を塗布、メッキまたは蒸着(PVD、CVD)するか、導電層を有する基板の導電層側を貼り付ければよい。また、導電性支持体の場合と同様に、特に対極が透明の場合には、対極の抵抗を下げる目的で金属リードを用いるのが好ましい。なお、好ましい金属リードの材質および設置方法、金属リード設置による入射光量の低下等は導電性支持体の場合と同じである。
【0136】(E)その他の層本発明では対極と導電性支持体の短絡を防止するため、予め導電性支持体の上に緻密な半導体の薄膜層を下塗り層として塗設しておくことが好ましい。下塗り層として好ましいのはTiO2、SnO2、Fe2O3、WO3、ZnO、Nb2O5であり、さらに好ましくはTiO2である。下塗り層はElectrochimi. Acta 40, 643-652(1995)に記載されているスプレーパイロリシス法により塗設することができる。下塗り層の好ましい膜厚は5〜1000nm以下であり、10〜500nmがさらに好ましい。
【0137】また、電極として作用する導電性支持体および対極の一方または両方に、保護層、反射防止層等の機能性層を設けても良い。このような機能性層を多層に形成する場合、同時多層塗布法や逐次塗布法を利用できるが、生産性の観点からは同時多層塗布法が好ましい。同時多層塗布法では、生産性および塗膜の均一性を考えた場合、スライドホッパー法やエクストルージョン法が適している。これらの機能性層の形成には、その材質に応じて蒸着法や貼り付け法等を用いることができる。
【0138】(F)光電変換素子の内部構造の具体例上述のように、光電変換素子の内部構造は目的に合わせ様々な形態が可能である。大きく2つに分ければ、両面から光の入射が可能な構造と、片面からのみ可能な構造が可能である。図2〜図9に本発明に好ましく適用できる光電変換素子の内部構造を例示する。
【0139】図2は、透明導電層10aと透明対極導電層40aとの間に、感光層20と、正孔輸送層30とを介在させたものであり、両面から光が入射する構造となっている。図3は、透明基板50a上に一部金属リード11を設け、さらに透明導電層10aを設け、下塗り層60、感光層20、正孔輸送層30および対極導電層40をこの順で設け、さらに支持基板50を配置したものであり、導電層側から光が入射する構造となっている。図4は、支持基板50上にさらに導電層10を有し、下塗り層60を介して感光層20を設け、さらに正孔輸送層30と透明対極導電層40aとを設け、一部に金属リード11を設けた透明基板50aを、金属リード11側を内側にして配置したものであり、対極側から光が入射する構造である。図5は、透明基板50a上に一部金属リード11を設け、さらに透明導電層10aを設けたものの上に下塗り層60と感光層20と正孔輸送層30とを介在させたものであり、両面から光が入射する構造である。図6は、透明基板50a上に透明導電層10aを有し、下塗り層60を介して感光層20を設け、さらに正孔輸送層30および対極導電層40を設け、この上に支持基板50を配置したものであり導電層側から光が入射する構造である。図7は、支持基板50上に導電層10を有し、下塗り層60を介して感光層20を設け、さらに正孔輸送層30および透明対極導電層40aを設け、この上に透明基板50aを配置したものであり、対極側から光が入射する構造である。図8は、透明基板50a上に透明導電層10aを有し、下塗り層60を介して感光層20を設け、さらに正孔輸送層30および透明対極導電層40aを設け、この上に透明基板50aを配置したものであり、両面から光が入射する構造となっている。図9は、支持基板50上に導電層10を設け、下塗り層60を介して感光層20を設け、さらに固体の正孔輸送層30を設け、この上に一部対極導電層40または金属リード11を有するものであり、対極側から光が入射する構造となっている。
【0140】〔2〕太陽電池本発明の太陽電池は、上記光電変換素子に外部回路で仕事をさせるようにしたものである。太陽電池は構成物の劣化や内容物の揮散を防止するために、側面をポリマーや接着剤等で密封するのが好ましい。導電性支持体および対極にリードを介して接続される外部回路自体は公知のもので良い。本発明の光電変換素子をいわゆる太陽電池に適用する場合、そのセル内部の構造は基本的に上述した光電変換素子の構造と同じである。以下、本発明の光電変換素子を用いた太陽電池のモジュール構造について説明する。
【0141】本発明の色素増感型太陽電池は、従来の太陽電池モジュールと基本的には同様のモジュール構造をとりうる。太陽電池モジュールは、一般的には金属、セラミック等の支持基板の上にセルが構成され、その上を充填樹脂や保護ガラス等で覆い、支持基板の反対側から光を取り込む構造をとるが、支持基板に強化ガラス等の透明材料を用い、その上にセルを構成してその透明の支持基板側から光を取り込む構造とすることも可能である。具体的には、スーパーストレートタイプ、サブストレートタイプ、ポッティングタイプと呼ばれるモジュール構造、アモルファスシリコン太陽電池などで用いられる基板一体型モジュール構造等が知られている。本発明の色素増感型太陽電池も使用目的や使用場所および環境により、適宜これらのモジュール構造を選択できる。
【0142】代表的なスーパーストレートタイプあるいはサブストレートタイプのモジュールは、片側または両側が透明で反射防止処理を施された支持基板の間に一定間隔にセルが配置され、隣り合うセル同士が金属リードまたはフレキシブル配線等によって接続され、外縁部に集電電極が配置されており、発生した電力を外部に取り出される構造となっている。基板とセルの間には、セルの保護や集電効率向上のため、目的に応じエチレンビニルアセテート(EVA)等様々な種類のプラスチック材料をフィルムまたは充填樹脂の形で用いてもよい。また、外部からの衝撃が少ないところなど表面を硬い素材で覆う必要のない場所において使用する場合には、表面保護層を透明プラスチックフィルムで構成し、または上記充填樹脂を硬化させることによって保護機能を付与し、片側の支持基板をなくすことが可能である。支持基板の周囲は、内部の密封およびモジュールの剛性を確保するため金属製のフレームでサンドイッチ状に固定し、支持基板とフレームの間は封止材料で密封シールする。また、セルそのものや支持基板、充填材料および封止材料に可撓性の素材を用いれば、曲面の上に太陽電池を構成することもできる。
【0143】スーパーストレートタイプの太陽電池モジュールは、例えば、基板供給装置から送り出されたフロント基板をベルトコンベヤ等で搬送しながら、その上にセルを封止材料−セル間接続用リード線、背面封止材料等と共に順次積層した後、背面基板または背面カバーを乗せ、外縁部にフレームをセットして作製することができる。
【0144】一方、サブストレートタイプの場合、基板供給装置から送り出された支持基板をベルトコンベヤ等で搬送しながら、その上にセルをセル間接続用リード線、封止材料等と共に順次積層した後、フロントカバーを乗せ、周縁部にフレームをセットして作製することができる。
【0145】本発明の光電変換素子を基板一体型モジュール化した構造の一例を図10に示す。図10は、透明な基板50aの一方の面上に透明な導電層10aを設けた後、下塗り層60を設置し、この上にさらに色素吸着TiO2を含有した感光層20、正孔輸送層30および金属対極導電層40を設けたセルがモジュール化されており、基板50aの他方の面には反射防止層70が設けられている構造を表す。このような構造とする場合、入射光の利用効率を高めるために、感光層20の面積比率(光の入射面である基板50a側から見たときの面積比率)を大きくした方が好ましい。
【0146】図10に示した構造のモジュールの場合、基板上に透明導電層、感光層、正孔輸送層、対極等が立体的かつ一定間隔で配列されるように、選択メッキ、選択エッチング、CVD、PVD等の半導体プロセス技術、あるいはパターン塗布または広幅塗布後のレーザースクライビング、プラズマCVM(Solar Energy Materials and Solar Cells, 48, p373-381等に記載)、研削等の機械的手法等によりパターニングすることで所望のモジュール構造を得ることができる。
【0147】以下にその他の部材や工程について詳述する。
【0148】封止材料としては、耐候性付与、電気絶縁性付与、集光効率向上、セル保護性(耐衝撃性)向上等の目的に応じ液状EVA(エチレンビニルアセテート)、フィルム状EVA、フッ化ビニリデン共重合体とアクリル樹脂の混合物等、様々な材料が使用可能である。モジュール外縁と周縁を囲むフレームとの間は、耐候性および防湿性が高い封止材料を用いるのが好ましい。また、透明フィラーを封止材料に混入して強度や光透過率を上げることができる。
【0149】封止材料をセル上に固定するときは、材料の物性に合った方法を用いる。フィルム状の材料の場合はロール加圧後加熱密着、真空加圧後加熱密着等、液またはペースト状の材料の場合はロールコート、バーコート、スプレーコート、スクリーン印刷等の様々な方法が可能である。
【0150】支持基板としてPET、PEN等の可撓性素材を用いる場合は、ロール状の支持体を繰り出してその上にセルを構成した後、上記の方法で連続して封止層を積層することができ、生産性が高い。
【0151】発電効率を上げるために、モジュールの光取り込み側の基板(一般的には強化ガラス)の表面には反射防止処理が施される。反射防止処理方法としては、反射防止膜をラミネートする方法、反射防止層をコーティングする方法がある。
【0152】また、セルの表面をグルービングまたはテクスチャリング等の方法で処理することによって、入射した光の利用効率を高めることが可能である。
【0153】発電効率を上げるためには、光を損失なくモジュール内に取り込むことが最重要であるが、光電変換層を透過してその内側まで到達した光を反射させて光電変換層側に効率良く戻すことも重要である。光の反射率を高める方法としては、支持基板面を鏡面研磨した後、AgやAl等を蒸着またはメッキする方法、セルの最下層にAl−MgまたはAl−Tiなどの合金層を反射層として設ける方法、アニール処理によって最下層にテクスチャー構造を作る方法等がある。
【0154】また、発電効率を上げるためにはセル間接続抵抗を小さくすることが、内部電圧降下を抑える意味で重要である。セル同士を接続する方法としては、ワイヤーボンディング、導電性フレキシブルシートによる接続が一般的であるが、導電性粘着テープや導電性接着剤を用いてセルを固定すると同時に電気的に接続する方法、導電性ホットメルトを所望の位置にパターン塗布する方法等もある。
【0155】ポリマーフィルム等のフレキシブル支持体を用いた太陽電池の場合、ロール状の支持体を送り出しながら前述の方法によって順次セルを形成し、所望のサイズに切断した後、周縁部をフレキシブルで防湿性のある素材でシールすることにより電池本体を作製できる。また、Solar Energy Materials and Solar Cells, 48, p383-391記載の「SCAF」とよばれるモジュール構造とすることもできる。更に、フレキシブル支持体を用いた太陽電池は曲面ガラス等に接着固定して使用することもできる。
【0156】以上詳述したように、使用目的や使用環境に合わせて様々な形状・機能を持つ太陽電池を製作することができる。
【0157】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0158】1.二酸化チタン分散液の調製内側をテフロンコーティングした内容積200mlのステンレス製ベッセルに二酸化チタン(日本アエロジル社 Degussa P-25)15g、水45g、分散剤(アルドリッチ社製、Triton X-100)1g、直径0.5mmのジルコニアビーズ(ニッカトー社製)30gを入れ、サンドグラインダーミル(アイメックス社製)を用いて1500rpmにて2時間分散した。分散物からジルコニアビーズをろ過して除いた。この場合の二酸化チタンの平均粒径は2.5μmであった。このときの粒径はMALVERN社製マスターサイザーにて測定したものである。
【0159】2.色素を吸着したTiO2電極の作成素子構造が図1の態様となるようフッ素をドープした酸化スズをコーティングした導電性ガラス(日本板硝子製;25mm×100mm)の導電面側の一部を亜鉛/4N-塩酸によりエッチング除去した後、Electrochimi. Acta 40, 643-652(1995)に記載されているスプレーパイロリシス法により二酸化チタン薄膜(膜厚60nm)を形成した。導電面側の一部(端から3mm)に粘着テープを張ってスペーサーとし、この上にガラス棒を用いて上記の二酸化チタン分散液を塗布した。塗布後、粘着テープを剥離し、室温で1時間風乾した。次に、このガラスを電気炉(ヤマト科学製マッフル炉FP-32型)に入れ、450℃にて30分間焼成した。ガラスを取り出し、7分間冷却した後、表1に示す色素のエタノール溶液(3×10-4mol/L)に室温で12時間浸漬した。色素吸着済みガラスをアセトニトリルで洗浄し自然乾燥し、25mm×10mm幅に切断加工した。このようにして得られる感光層(色素の吸着した二酸化チタン層)の厚さは1.9μmであり、半導体微粒子の塗布量は3g/m2であった。色素の吸着量は、色素の種類に応じ、適宜0.01〜10mmol/m2の範囲から選択した。なお、導電性ガラスの表面抵抗は約10Ω/cm2であった。
【0160】
【表1】

【0161】3.正孔輸送層を含有する光電変換素子の作製(A) 正孔輸送材料(P-3)の合成(1)2,2"-ジブロモ-2,2':5',2"-ターチオフェン撹拌装置、温度計、還流冷却管を装着した100mlのガラス製三口フラスコに、クロロホルム15ml、酢酸15ml、2,2"-ジブロモ-2,2':5',2"-ターチオフェン1.04g(4.2mmol)をそれぞれ添加し、室温で撹拌する。N-ブロモサクシンイミド(NBS)1.58gを反応系に添加した。直ちに結晶が析出した後、クロロホルム15ml、酢酸15mlを添加し、そのまま1時間攪拌を継続して反応を行った。反応液を濾過して得られた粉体をエタノール/テトラヒドロフランで再結晶して、黄色結晶の2,2"-ジブロモ-2,2':5',2"-ターチオフェンを0.96g(収率約56%)を得た。
【0162】(2)P-3の合成撹拌装置、温度計、還流冷却管を装着した100mlのガラス製三口フラスコに、2,2"-ジブロモ-2,2':5',2"-ターチオフェン0.406g(1mmol)、ジ(p-メトキシフェニル)アミン0.459g(2mmol)、o-キシレン3.3ml、ナトリウムt-ブトキシド0.231g(2.4mmol)をそれぞれ添加し、窒素気流下で撹拌する。反応系を120℃に昇温した後、酢酸パラジウム(II)2.25mg、トリ-tert-ブチルフォスフィン8.09mgを反応系に添加した。そのまま5時間攪拌を継続して反応を行った。反応液を冷却し、セライト濾過して得られた濾液を乾燥し、シリカゲルクロマトグラフィー(移動相;ヘキサン/酢酸エチル=8/2,v/v)により精製し、黄色結晶のP-3を0.18g(収率約26%)を得た。
【0163】(B) 他の正孔輸送材料の合成P-3以外の正孔輸送材料も、上記P-3の合成方法と同様にして、容易に合成できる。
【0164】3−2.正孔輸送層および対極の形成以下の方法のいずれかを用いて、表1記載の本発明の化合物から正孔輸送層、対極層を形成し、光電変換素子を作製した。
【0165】(塗布法)表1記載の本発明の化合物のクロロベンゼン/アセニトリル=100/5溶液(濃度15wt%)に、添加剤としてトリス(4-ブロモフェニル)アミニウムヘキサクロロアンチモネート0.33mM、Li[(CF3SO2)2N] 15mMを加えた塗布液30μLを調整し、色素を吸着したTiO2電極上にスピンコートした(3000rpm, 60sec)。この後、金を蒸着し、対極層を形成し、光電変換素子を得た。
【0166】(蒸着法)色素を吸着したTiO2電極を真空蒸着装置〔日本真空技術(株)製〕の基板ホルダーに固定し、モリブデン製の抵抗加熱ボートに表1記載の化合物600mgを入れた。真空チャンバー内を1×10-4Paまで減圧したのち、該化合物入りのボートを加熱して0.1〜0.3nm/秒の速度で堆積させ、膜厚700nmの正孔輸送層を製膜した。この後、白金を蒸着し、対極層を形成し、光電変換素子を得た。
【0167】これにより、図6に示したとおり、ガラス50a、導電層10a、TiO2下塗り層60、色素の吸着したTiO2電極層20、正孔輸送層30、白金もしくは金からなる対極層40が順に積層された太陽電池が作成された。
【0168】4.光電変換効率の測定500Wのキセノンランプ(ウシオ製)の光を分光フィルター(Oriel社製AM1.5)およびシャープカットフィルター(Kenko L-42)を通すことにより紫外線を含まない模擬太陽光を発生させた。この光の強度は86mW/cm2であった。
【0169】前述の太陽電池の導電性ガラスと対極層にそれぞれ、ワニ口クリップを接続し、模擬太陽光を照射し、発生した電気を電流電圧測定装置(ケースレーSMU238型)にて測定した。これにより求められた太陽電池の開放電圧(Voc)、短絡電流密度(Jsc)、形状因子(FF)、および変換効率(η)と24時間連続照射後の短絡電流密度および短絡電流密度の低下率を一括して表2に記載した。
【0170】比較例1前述の実施例で作製した色増感されたTiO2電極基板(電極A;1cm×2.5cm)をこれと同じ大きさの白金蒸着ガラスと重ねあわせた(図1参照)。次に、両ガラスの隙間に毛細管現象を利用して電解液(アセトニトリルと3-メチル-2-オキサゾリジノンの体積比90対10の混合物を溶媒とした沃素0.05mol/L、沃化リチウム0.5mol/Lの溶液)を染み込ませて比較例1の太陽電池を作製した。
【0171】比較例2 (Nature,Vol.395, 8 October 1998, p583-585との比較)前述の実施例と同様に色増感されたTiO2電極基板(電極A;1cm×2.5cm)上に、2,2',7,7'-テトラキス(N,N-ジ-p-メトキシフェニルアミン)9,9'-スピロフルオレン0.17M、トリス(4-ブロモフェニル)アミニウムヘキサクロロアンチモネート0.33mM、Li[(CF3SO2)2N] 15mMのクロロベンゼン/アセニトリル=100/5溶液を30μLに加え、スピンコート(1000rpm、60秒)した。この後、室温で減圧乾燥し、さらに金蒸着し比較例2の太陽電池を得た。
【0172】比較例3 (Synthetic Metals, 89, 215-220(1997)との比較)
前述の実施例と同様に色増感されたTiO2電極基板(電極A;1cm×2.5cm)をN,N'-ジフエニル- N,N'-ビス4-(メトキシフェニル)-(1,1'-ビフェニル)-4,4'-ジアミンを100nmの膜厚となるよう蒸着し、さらに金を20nmの膜厚となるよう蒸着し比較例3の太陽電池を得た。
【0173】比較例4 (Chem. Lett., 5, 471-472, 1997との比較)前述の実施例と同様に色増感されたTiO2電極基板(電極A;1cm×2.5cm)、白金線対極およびAg/AgCl参照電極をピロール50mM、過塩素酸リチウム0.1Mのアセトニトリル溶液20mlの入った光電気化学セルに浸漬した。TiO2電極基板、対極、参照電極をPOTENTIOSTAT/GALVANOSATAT HA-505(HOKUTO DENKO Ltd.製)に接続し、重合量が100mC/cm2となるまで500Wのキセノンランプ(ウシオ製)の光を分光フィルター(Oriel社製AM1.5)およびシャープカットフィルター(Kenko L-42)を通すことにより生成させた紫外線を含まない模擬太陽光を照射した(22mW/cm2)。重合後の電極は過塩素酸リチウム0.1Mのアセトニトリル溶液に浸積し、-300mVで脱ドーピングした。この後、電極を乾燥し、金を蒸着して対極層を形成し、比較例4の太陽電池を得た。
【0174】
【表2】

【0175】湿式太陽電池である比較例1と比べ、実施例では経時劣化が少なく、また乾式太陽電池である比較例2〜4と比べ、実施例は光電変換特性が高く、また経時劣化も少ないことが明らかである。
【0176】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の光電変換素子は、芳香族アミン残基および含硫黄複素環を有する化合物を含む正孔輸送層を有するため、優れた光電変換特性を有し、経時での特性劣化が少ない。また、本発明に用いる芳香族アミン残基および含硫黄複素環を有する化合物は、比較的容易に合成することができるので、コストパフォーマンスに優れている。したがって、かかる光電変換素子からなる太陽電池は、汎用性の高い太陽電池として極めて有効である。




 

 


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