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発明の名称 光電変換素子および光電気化学電池ならびに新規スクアリリウムシアニン色素
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−76773(P2001−76773A)
公開日 平成13年3月23日(2001.3.23)
出願番号 特願平11−246558
出願日 平成11年8月31日(1999.8.31)
代理人 【識別番号】100080012
【弁理士】
【氏名又は名称】高石 橘馬
【テーマコード(参考)】
4H056
5F051
5H032
【Fターム(参考)】
4H056 CA02 CA05 CB01 CC02 CC08 CE03 CE06 DD03 FA05 
5F051 AA11 AA14
5H032 AA06 AS16 EE16 EE20 HH04
発明者 塚原 次郎 / 窪田 忠彦
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 少なくとも感光層を有する光電変換素子であって、前記感光層が、下記一般式(1):【化1】

(一般式(1)中、R11〜R16はそれぞれ水素原子、置換または無置換のアルキル基またはアリール基を、A11およびA12は置換基を、EDGは電子供与性基を、n11は1〜4の整数を、n12は0〜3の整数を、およびn13は0〜4の整数を表す。)により表されるスクアリリウムシアニン色素によって増感された半導体微粒子を含有する事を特徴とする光電変換素子。
【請求項2】 請求項1に記載の光電変換素子において、前記一般式(1)におけるEDGがアミノ基である事を特徴とする光電変換素子。
【請求項3】 請求項1に記載の光電変換素子において、前記一般式(1)におけるEDGがジアリールアミノ基である事を特徴とする光電変換素子。
【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の光電変換素子において、前記一般式(1)におけるR13〜R16が、置換または無置換のアルキル基である事を特徴とする光電変換素子。
【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の光電変換素子において、前記一般式(1)により表される色素が、少なくとも1つの酸性基を有する事を特徴とする光電変換素子。
【請求項6】 請求項5に記載の光電変換素子において、前記酸性基がカルボキシル基、ヒドロキシ基、ホスホニル基、およびホスホリル基からなる群より選ばれた少なくとも1つの基である事を特徴とする光電変換素子。
【請求項7】 請求項5または6に記載の光電変換素子において、前記一般式(1)においてA12が酸性基または酸性基を有する置換基であり、n13が1以上の整数である事を特徴とする光電変換素子。
【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載の光電変換素子において、前記感光層の厚みが9μm以下であることを特徴とする光電変換素子。
【請求項9】 請求項1〜8のいずれかに記載の光電変換素子を有する光電気化学電池。
【請求項10】 下記一般式(1):【化2】

(一般式(1)中、R11〜R16はそれぞれ水素原子、置換または無置換のアルキル基またはアリール基を、A11およびA12は置換基を、EDGは、アリールアミノ基、1-ピロリジノ基、1-ピペリジノ基、4-モルホリノ基、2-アルコキシビニル基、2-アミノビニル基、4-アルコキシフェニル基または4-アミノフェニル基を、n11は1〜4の整数を、n12は0〜3の整数を、およびn13は0〜4の整数を表す。)により表されることを特徴とするスクアリリウムシアニン色素。
【請求項11】 請求項10に記載のスクアリリウムシアニン色素において、下記一般式(2):【化3】

(一般式(2)中、R21〜R26はそれぞれ炭素数1〜6の置換または無置換のアルキル基を、R27及びR28は置換基を、Xはカルボキシル基またはホスホニル基を、n21およびn22はそれぞれ0〜3の整数を表す。) により表されることを特徴とするスクアリリウムシアニン色素。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、吸収波長領域の広い新規シアニン色素、かかる色素によって増感された半導体微粒子を用いた光電変換効率の高い光電変換素子、ならびにそれからなる電気化学電池に関する。
【0002】
【従来の技術】光電変換素子は各種の光センサー、複写機、光発電装置に用いられている。光電変換素子には金属を用いたもの、半導体を用いたもの、有機顔料や色素を用いたもの、あるいはこれらを組み合わせたものなどの様々な方式が実用化されている。
【0003】米国特許4927721号、同4684537号、同5084365号、同5350644号、同5463057号、同5525440号の各明細書および特開平7-249790号公報には、色素によって増感された半導体微粒子を用いた光電変換素子(以後、色素増感光電変換素子と略す)、もしくはこれを作成するための材料および製造技術が開示されている。この方式の利点は、二酸化チタン等の安価な酸化物半導体を高純度に精製することなく用いることができるため、比較的安価な光電変換素子を提供できる点にある。
【0004】欧州特許第911841号、およびソーラーエナジーマテリアルズアンドソーラーセルズ第58巻173〜183頁(1999年)にはスクアリリウムシアニン色素を用いた色素増感光電変換素子が開示されている。スクアリリウムシアニン色素を用いる利点として、色素の吸光係数が高い事、色素が安価である事、単色光変換効率が高い事などが挙げられる。しかしながらスクアリリウムシアニン色素は吸収がシャープであるため、作用スペクトルもこれに対応してシャープであり、可視光線の広い波長領域にわたって光電変換することができない。このため太陽エネルギーを電気に変換することを目的とした光電変換素子(いわゆる太陽電池)にはスクアリリウムシアニン色素は必ずしも適当でなかった。このような理由から、作用スペクトルがブロードで太陽光に対する光電変換効率の高い色素の開発が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、吸収波長領域の広いスクアリリウムシアニン色素、およびこれを用いた変換効率の高い光電変換素子もしくは光電気化学電池を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者等は、下記一般式(1):【化4】

(一般式(1)中、R11〜R16はそれぞれ水素原子、置換または無置換のアルキル基またはアリール基を、A11およびA12は置換基を、EDGは電子供与性基を、n11は1〜4の整数を、n12は0〜3の整数を、およびn13は0〜4の整数を表す。)により表されるスクアリリウムシアニン色素は、広い波長領域にわたって光を吸収するため半導体微粒子を効率良く増感しうること、及びかかる色素を用いた光電変換素子は、高い光電変換効率を示し、良好な光電気化学電池となりうることを見出し、本発明に想到した。
【0007】本発明は、また下記条件を満たすことにより、光電変換効率の一層優れた光電変換素子及び光電気化学電池が得られる。
【0008】(1) 一般式(1)におけるEDGはアミノ基である事が好ましい。
【0009】(2) 一般式(1)におけるEDGはジアリールアミノ基である事が好ましい。
【0010】(3) 前記一般式(1)におけるR13〜R16は、いずれも炭素数1〜4のアルキル基である事が好ましい。
【0011】(4) 一般式(1)により表される色素は、少なくとも1つの酸性基を有する事が好ましい。
【0012】(5) 前記酸性基は、カルボキシル基、ヒドロキシ基、ホスホニル基、およびホスホリル基からなる群より選ばれた少なくとも1つの基である事が好ましい。
【0013】(6) 一般式(1)においてA12は酸性基または酸性基を有する置換基であり、n13は1以上の整数である事が好ましい。
【0014】(7) 一般式(1)により表されるスクアリリウムシアニン色素は、下記一般式(2):【化5】

(一般式(2)中、R21〜R26はそれぞれ炭素数1〜6の置換または無置換のアルキル基を、R27及びR28は置換基を、Xはカルボキシル基またはホスホニル基を、n21およびn22はそれぞれ0〜3の整数を表す。) により表されることが好ましい。
【0015】(8) 感光層の厚みは9μm以下であることが好ましい。
【0016】
〔発明の詳細な説明〕
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の光電変換素子は、導電性支持体上に感光層を有するものであり、感光層にはスクアリリウムシアニン色素によって増感された半導体微粒子を含有している。
【0018】〔1〕スクアリリウムシアニン色素本発明に用いるスクアリリウムシアニン色素は、下記一般式(1)で表される化合物である。
【化6】

【0019】一般式(1)において、R11〜R16は好ましくは、水素原子、総炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルキル基(例えばメチル、エチル、イソブチル、n-ドデシル、シクロヘキシル、ビニル、アリル、ベンジル等)、または総炭素数6〜20の置換もしくは無置換のアリール基(例えばフェニル、トリル、ナフチル等)を表す。置換基の例としてはハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素)、アルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、ベンジルオキシ等)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ等)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ、エチルチオ等)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ等)、ヒドロキシ基および酸素陰イオン、ニトロ基、シアノ基、アミド基(例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、スルホンアミド基(例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノ等)、ウレイド基(例えば、3-フェニルウレイド等)、ウレタン基(例えばイソブトキシカルボニルアミノ、カルバモイルオキシ等)、エステル基(例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシ、メトキシカルボニル、フェノキシカルボニル等)、カルバモイル基(例えばN-メチルカルバモイル、N,N-ジフェニルカルバモイル等)、スルファモイル基(例えばN-フェニルスルファモイル等)、アシル基(例えばアセチル、ベンゾイル等)、アミノ基(アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N-メチルアニリノ、ジフェニルアミノ等)、スルホニル基(例えばメチルスルホニル等)等が挙げられる。置換基の炭素原子上にはさらに上記の置換基があっても良い。R13とR14、R15とR16は互いに結合して3〜8員環を形成しても良い。
【0020】R11〜R16は置換もしくは無置換のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がさらに好ましい。R13〜R16は炭素数1〜4の置換もしくは無置換のアルキル基が特に好ましい。
【0021】EDGは電子供与性基を表す。「電子供与性基」とは、ハメットのシグマ値が0より小さい基を意味する。ハメットのシグマ値は有機化学の分野では広く認知されており、例えば稲本直樹著「ハメット則」(丸善)等多くの参考文献が知られている。電子供与性基の中では、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、1-ピロリジノ基、1-ピペリジノ基、4-モルホリノ基、2-アルコキシビニル基、2-アミノビニル基(例えば2-ジメチルアミノビニル、2-ジフェニルアミノビニル等)、4-アルコキシフェニル基、4-アミノフェニル基が好ましく、このうちアミノ基が特に好ましい。アミノ基の中ではジアリールアミノ基(たとえばジフェニルアミノ、ジトリルアミノ、4,4'-ジメトキシジフェニルアミノ等)が最も好ましい。n11は1〜4の整数を表す。
【0022】A11およびA12は置換基を表す。置換基の例は前述のR11〜R16の置換基と同様である。n12は0〜3の整数を、およびn13は0〜4の整数を表す。n12が2以上のとき複数のA11は同じでも異なっていても良く、複数のA11同士が互いに結合して環を形成しても良い。また、A11とEDGが互いに結合して環を形成しても良い。n13が2以上のとき複数のA12は同じでも異なっていても良く、複数のA12同士が互いに結合して環を形成しても良い。
【0023】一般式(1)で表される化合物は半導体微粒子に吸着させて用いるので、分子内に少なくとも1個の酸性基を有するのが好ましい。「酸性基」とは水−テトラヒドロフラン混合溶媒(体積比50対50)中のpKaが10以下のブレンステッド酸を有する基のことであって、好ましくはカルボキシル基、ヒドロキシ基、ホスホニル基、ホスホリル基である。このうちカルボキシル基が最も好ましい。これらの基はアルカリ金属等と塩を形成したものであってもよい。また分子内塩を形成していてもよい。
【0024】酸性基の置換位置としては一般式(1)におけるR11、R12、A11、A12上にあるか、A11、A12そのものが酸性基であることが好ましい。酸性基がA12上にあるかA12そのものが酸性基であることが最も好ましい。
【0025】一般式(1)で表されるスクアリリウムシアニン色素のうち、最も好ましいものは、下記一般式(2)で表される。
【0026】
【化7】

【0027】一般式(2)において、R21〜R26はそれぞれ独立に炭素数1〜6の置換または無置換のアルキル基を、R27およびR28は置換基を、Xはカルボキシル基またはホスホニル基を、n21およびn22は0〜3の整数を表す。R27、R28の例としては前述のR11〜R16の置換基と同様の基が挙げられ、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数1〜6のアルコキシ基である。Xはカルボキシル基が好ましい。n21およびn22は0または1が好ましい。
【0028】一般式(1)および(2)で表される化合物は分子全体の電荷に応じて対イオンを有してもよい。また分子内塩を形成していてもよい。対イオンとしては特に制限はなく有機、無機のいずれでもよい。代表的な例としてはハロゲンイオン(フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン)、水酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、メタンスルホン酸イオン、パラトルエンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等のアニオン、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム等)、アンモニウム、アルキルアンモニウム(例えばジエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等)、ピリジニウム、アルキルピリジニウム(例えばメチルピリジニウム)、グアニジニウム、テトラアルキルホスホニウム等のカチオンが挙げられる。
【0029】なお、一般式(1)および(2)において、各結合はすべて共有結合(―で表す)として表記されているが、置換基の種類によって配位結合を意味する場合もあり、当該表記法は絶対的なものではない。
【0030】以下に一般式(1)および(2)で表される化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0031】
【化8】

【0032】
【化9】

【0033】
【化10】

【0034】
【化11】

【0035】〔2〕光電変換素子本発明の光電変換素子は、感光層に上記スクアリリウムシアニン色素によって増感された半導体微粒子を有するものである。好ましくは図1に示すように、導電層10、感光層20、電荷移動層30、対極導電層40の順に積層し、前記感光層20を色素22によって増感された半導体微粒子21と当該半導体微粒子21の間の空隙に充填された電解質23とから構成する。電解質23は、電荷移動層30に用いる材料と同じ成分からなる。また光電変換素子に強度を付与するため、導電層10側および/または対極導電層40側に、基板50を設けてもよい。以下本発明では、導電層10および任意で設ける基板50からなる層を「導電性支持体」、対極導電層40および任意で設ける基板50からなる層を「対極」と呼ぶ。この光電変換素子を外部回路に接続して仕事をさせるようにしたものが光電気化学電池である。なお、図1中の導電層10、対極導電層40、基板50は、それぞれ透明導電層10a、透明対極導電層40a、透明基板50aであっても良い。
【0036】図1に示す本発明の光電変換素子において、スクアリリウムシアニン色素22により増感された半導体微粒子21を含む感光層20に入射した光は色素22等を励起し、励起された色素22等中の高エネルギーの電子が半導体微粒子21の伝導帯に渡され、さらに拡散により導電層10に到達する。このとき色素22等の分子は酸化体となっている。光電気化学電池においては、導電層10中の電子が外部回路で仕事をしながら対極導電層40および電荷移動層30を経て色素22等の酸化体に戻り、色素22が再生する。感光層20は負極として働く。それぞれの層の境界(例えば導電層10と感光層20との境界、感光層20と電荷移動層30との境界、電荷移動層30と対極導電層40との境界等)では、各層の構成成分同士が相互に拡散混合していてもよい。以下各層について詳細に説明する。
【0037】(A)導電性支持体導電性支持体は、(1)導電層の単層、または(2)導電層および基板の2層からなる。強度や密封性が十分に保たれるような導電層を使用すれば、基板は必ずしも必要でない。
【0038】(1)の場合、導電層として金属のように十分な強度が得られ、かつ導電性があるものを用いる。
【0039】(2)の場合、感光層側に導電剤を含む導電層を有する基板を使用することができる。好ましい導電剤としては金属(例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム等)、炭素、または導電性金属酸化物(インジウム−スズ複合酸化物、酸化スズにフッ素をドープしたもの等)が挙げられる。導電層の厚さは0.02〜10μm程度が好ましい。
【0040】導電性支持体は表面抵抗が低い程よい。好ましい表面抵抗の範囲は100Ω/□以下であり、さらに好ましくは40Ω/□以下である。表面抵抗の下限には特に制限はないが、通常0.1Ω/□程度である。
【0041】導電性支持体側から光を照射する場合には、導電性支持体は実質的に透明であるのが好ましい。実質的に透明であるとは光の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上であるのが好ましく、70%以上が特に好ましい。
【0042】透明導電性支持体としては、ガラスまたはプラスチック等の透明基板の表面に導電性金属酸化物からなる透明導電層を塗布または蒸着等により形成したものが好ましい。なかでもフッ素をドーピングした二酸化スズからなる導電層を低コストのソーダ石灰フロートガラスでできた透明基板上に堆積した導電性ガラスが好ましい。また低コストでフレキシブルな光電変換素子または太陽電池とするには、透明ポリマーフィルムに導電層を設けたものを用いるのがよい。透明ポリマーフィルムの材料としては、テトラアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シンジオクタチックポリスチレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAr)、ポリスルフォン(PSF)、ポリエステルスルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、環状ポリオレフィン、ブロム化フェノキシ等がある。十分な透明性を確保するために、導電性金属酸化物の塗布量はガラスまたはプラスチックの支持体1m2当たり0.01〜100gとするのが好ましい。
【0043】透明導電性支持体の抵抗を下げる目的で金属リードを用いるのが好ましい。金属リードの材質はアルミニウム、銅、銀、金、白金、ニッケル等の金属が好ましく、特にアルミニウムおよび銀が好ましい。金属リードは透明基板に蒸着、スパッタリング等で設置し、その上にフッ素をドープした酸化スズ、またはITO膜からなる透明導電層を設けるのが好ましい。また透明導電層を透明基板に設けた後、透明導電層上に金属リードを設置するのも好ましい。金属リード設置による入射光量の低下は好ましくは10%以内、より好ましくは1〜5%とする。
【0044】(B)感光層本発明のスクアリリウムシアニン色素により増感された半導体微粒子を含む感光層において、半導体微粒子はいわゆる感光体として作用し、光を吸収して電荷分離を行い、電子と正孔を生ずる。色素増感された半導体微粒子では、光吸収およびこれによる電子および正孔の発生は主として色素において起こり、半導体微粒子はこの電子を受け取り、伝達する役割を担う。
【0045】(1)半導体微粒子半導体微粒子としては、シリコン、ゲルマニウムのような単体半導体、III-V系化合物半導体、金属のカルコゲニド(例えば酸化物、硫化物、セレン化物等)、またはペロブスカイト構造を有する化合物(例えばチタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム等)等を使用することができる。
【0046】好ましい金属のカルコゲニドとして、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、またはタンタルの酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモンまたはビスマスの硫化物、カドミウムまたは鉛のセレン化物、カドミウムのテルル化物等が挙げられる。他の化合物半導体としては亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム等のリン化物、ガリウム−ヒ素または銅−インジウムのセレン化物、銅−インジウムの硫化物等が挙げられる。
【0047】本発明に用いる半導体の好ましい具体例は、Si、TiO2、SnO2、Fe2O3、WO3、ZnO、Nb2O5、CdS、ZnS、PbS、Bi2S3、CdSe、CdTe、GaP、InP、GaAs、CuInS2、CuInSe2等であり、より好ましくはTiO2、ZnO、SnO2、Fe2O3、WO3、Nb2O5、CdS、PbS、CdSe、InP、GaAs、CuInS2またはCuInSe2であり、特に好ましくはTiO2またはNb2O5であり、最も好ましくはTiO2である。
【0048】本発明に用いる半導体は単結晶でも多結晶でもよい。変換効率の観点からは単結晶が好ましいが、製造コスト、原材料確保、エネルギーペイバックタイム等の観点からは多結晶が好ましい。
【0049】半導体微粒子の粒径は一般にnm〜μmのオーダーであるが、投影面積を円に換算したときの直径から求めた一次粒子の平均粒径は5〜200nmであるのが好ましく、8〜100nmがより好ましい。また分散液中の半導体微粒子(二次粒子)の平均粒径は0.01〜100μmが好ましい。
【0050】粒径分布の異なる2種類以上の微粒子を混合してもよく、この場合小さい粒子の平均サイズは5nm以下であるのが好ましい。入射光を散乱させて光捕獲率を向上させる目的で、粒径の大きな、例えば300nm程度の半導体粒子を混合してもよい。
【0051】半導体微粒子の作製法としては、作花済夫の「ゾル−ゲル法の科学」アグネ承風社(1998年)、技術情報協会の「ゾル−ゲル法による薄膜コーティング技術」(1995年)等に記載のゾル−ゲル法、杉本忠夫の「新合成法ゲル−ゾル法による単分散粒子の合成とサイズ形態制御」、まてりあ,第35巻,第9号,1012〜1018頁(1996年)に記載のゲル−ゾル法が好ましい。またDegussa社が開発した塩化物を酸水素塩中で高温加水分解により酸化物を作製する方法も好ましい。
【0052】半導体微粒子が酸化チタンの場合、上記ゾル-ゲル法、ゲル−ゾル法、塩化物の酸水素塩中での高温加水分解法はいずれも好ましいが、さらに清野学の「酸化チタン 物性と応用技術」技報堂出版(1997年)に記載の硫酸法および塩素法を用いることもできる。さらにゾル-ゲル法として、バーブらのジャーナル・オブ・アメリカン・セラミック・ソサエティー,第80巻,第12号,3157〜3171頁(1997年)に記載の方法や、バーンサイドらのケミカル・マテリアルズ,第10巻,第9号,2419〜2425頁に記載の方法も好ましい。
【0053】(2)半導体微粒子層半導体微粒子を導電性支持体上に塗布するには、半導体微粒子の分散液またはコロイド溶液を導電性支持体上に塗布する方法の他に、前述のゾル-ゲル法等を使用することもできる。光電変換素子の量産化、半導体微粒子液の物性、導電性支持体の融通性等を考慮した場合、湿式の製膜方法が比較的有利である。湿式の製膜方法としては、塗布法、印刷法が代表的である。
【0054】半導体微粒子の分散液を作製する方法としては、前述のゾル-ゲル法の他に、乳鉢ですり潰す方法、ミルを使って粉砕しながら分散する方法、あるいは半導体を合成する際に溶媒中で微粒子として析出させそのまま使用する方法等が挙げられる。
【0055】分散媒としては、水または各種の有機溶媒(例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ジクロロメタン、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル等)が挙げられる。分散の際、必要に応じてポリマー、界面活性剤、酸、またはキレート剤等を分散助剤として用いてもよい。
【0056】塗布方法としては、アプリケーション系としてローラ法、ディップ法等、メータリング系としてエアーナイフ法、ブレード法等、またアプリケーションとメータリングを同一部分にできるものとして、特公昭58-4589号に開示されているワイヤーバー法、米国特許2681294号、同2761419号、同2761791号等に記載のスライドホッパー法、エクストルージョン法、カーテン法等が好ましい。また汎用機としてスピン法やスプレー法も好ましい。湿式印刷方法としては、凸版、オフセットおよびグラビアの3大印刷法をはじめ、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等が好ましい。これらの中から、液粘度やウェット厚さに応じて、好ましい製膜方法を選択する。
【0057】半導体微粒子の分散液の粘度は半導体微粒子の種類や分散性、使用溶媒種、界面活性剤やバインダー等の添加剤により大きく左右される。高粘度液(例えば0.01〜500Poise)ではエクストルージョン法、キャスト法、スクリーン印刷法等が好ましい。また低粘度液(例えば0.1Poise以下)ではスライドホッパー法、ワイヤーバー法またはスピン法が好ましく、均一な膜にすることが可能である。なお、ある程度の塗布量があれば低粘度液の場合でもエクストルージョン法による塗布は可能である。このように塗布液の粘度、塗布量、支持体、塗布速度等に応じて、適宜湿式製膜方法を選択すればよい。
【0058】半導体微粒子の層は単層に限らず、粒径の違った半導体微粒子の分散液を多層塗布したり、種類が異なる半導体微粒子(あるいは異なるバインダー、添加剤)を含有する塗布層を多層塗布したりすることもできる。一度の塗布で膜厚が不足の場合にも多層塗布は有効である。多層塗布には、エクストルージョン法またはスライドホッパー法が適している。また多層塗布をする場合は同時に多層を塗布しても良く、数回から十数回順次重ね塗りしてもよい。さらに順次重ね塗りであればスクリーン印刷法も好ましく使用できる。
【0059】一般に半導体微粒子層の厚さ(感光層の厚さと同じ)が厚くなるほど単位投影面積当たりの担持色素量が増えるため、光の捕獲率が高くなるが、生成した電子の拡散距離が増すため電荷再結合によるロスも大きくなる。したがって、半導体微粒子層の好ましい厚さは0.1〜100μmである。光電気化学電池に用いる場合、半導体微粒子層の厚さは1〜30μmが好ましく、2〜9μmがより好ましい。半導体微粒子の支持体1m2当たり塗布量は0.5〜400gが好ましく、5〜100gがより好ましい。
【0060】半導体微粒子を導電性支持体上に塗布した後で半導体微粒子同士を電子的に接触させるとともに、塗膜強度の向上や支持体との密着性を向上させるために、加熱処理するのが好ましい。好ましい加熱温度の範囲は40℃以上700℃未満であり、より好ましくは100℃以上600℃以下である。また加熱時間は10分〜10時間程度である。ポリマーフィルムのように融点や軟化点の低い支持体を用いる場合、高温処理は支持体の劣化を招くため、好ましくない。またコストの観点からもできる限り低温であるのが好ましい。低温化は、先に述べた5nm以下の小さい半導体微粒子の併用や鉱酸の存在下での加熱処理等により可能となる。
【0061】加熱処理後半導体微粒子の表面積を増大させたり、半導体微粒子近傍の純度を高め、色素から半導体粒子への電子注入効率を高める目的で、例えば四塩化チタン水溶液を用いた化学メッキや三塩化チタン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行ってもよい。
【0062】半導体微粒子は多くの色素を吸着することができるように表面積の大きいものが好ましい。このため半導体微粒子の層を支持体上に塗布した状態での表面積は、投影面積に対して10倍以上であるのが好ましく、さらに100倍以上であるのが好ましい。この上限は特に制限はないが、通常1000倍程度である。
【0063】(3)半導体微粒子への色素の吸着半導体微粒子にスクアリリウムシアニン色素を吸着させるには、色素の溶液中に良く乾燥した半導体微粒子層を有する導電性支持体を浸漬するか、色素の溶液を半導体微粒子層に塗布する方法を用いることができる。前者の場合、浸漬法、ディップ法、ローラ法、エアーナイフ法等が使用可能である。なお浸漬法の場合、色素の吸着は室温で行ってもよいし、特開平7-249790号に記載されているように加熱還流して行ってもよい。また後者の塗布方法としては、ワイヤーバー法、スライドホッパー法、エクストルージョン法、カーテン法、スピン法、スプレー法等があり、印刷方法としては、凸版、オフセット、グラビア、スクリーン印刷等がある。溶媒は、色素の溶解性に応じて適宜選択できる。例えば、アルコール類(メタノール、エタノール、t-ブタノール、ベンジルアルコール等)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、3-メトキシプロピオニトリル等)、ニトロメタン、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン等)、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)、ジメチルスルホキシド、アミド類(N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセタミド等)、N-メチルピロリドン、1,3-ジメチルイミダゾリジノン、3-メチルオキサゾリジノン、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、炭酸エステル類(炭酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等)、ケトン類(アセトン、2-ブタノン、シクロヘキサノン等)、炭化水素(へキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン等)、水やこれらの混合溶媒が挙げられる。
【0064】スクアリリウムシアニン色素の溶液の粘度についても、半導体微粒子層の形成時と同様に、高粘度液(例えば0.01〜500Poise)ではエクストルージョン法の他に各種印刷法が適当であり、また低粘度液(例えば0.1Poise以下)ではスライドホッパー法、ワイヤーバー法またはスピン法が適当であり、いずれも均一な膜にすることが可能である。
【0065】このようにスクアリリウムシアニン色素の塗布液の粘度、塗布量、導電性支持体、塗布速度等に応じて、適宜色素の吸着方法を選択すればよい。塗布後の色素吸着に要する時間は、量産化を考えた場合、なるべく短い方がよい。
【0066】未吸着のスクアリリウムシアニン色素の存在は素子性能の外乱になるため、吸着後速やかに洗浄により除去するのが好ましい。湿式洗浄槽を使い、アセトニトリル等の極性溶剤、アルコール系溶剤のような有機溶媒で洗浄を行うのが好ましい。またスクアリリウムシアニン色素の吸着量を増大させるため、吸着前に加熱処理を行うのが好ましい。加熱処理後、半導体微粒子表面に水が吸着するのを避けるため、常温に戻さずに40〜80℃の間で素早く色素を吸着させるのが好ましい。
【0067】スクアリリウムシアニン色素の全使用量は、導電性支持体の単位表面積(1m2)当たり0.01〜100mmolが好ましい。またスクアリリウムシアニン色素の半導体微粒子に対する吸着量は、半導体微粒子1g当たり0.01〜1mmolであるのが好ましい。このような色素の吸着量とすることにより、半導体における増感効果が十分に得られる。これに対し、色素が少なすぎると増感効果が不十分となり、また色素が多すぎると、半導体に付着していない色素が浮遊し、増感効果を低減させる原因となる。
【0068】光電変換の波長域をできるだけ広くするとともに変換効率を上げるため、二種類以上の色素を混合することもできる。この場合、光源の波長域と強度分布に合わせるように、混合する色素およびその割合を選ぶのが好ましい。
【0069】会合のような色素同士の相互作用を低減する目的で、無色の化合物を半導体微粒子に共吸着させてもよい。共吸着させる疎水性化合物としてはカルボキシル基を有するステロイド化合物(例えばケノデオキシコール酸)等が挙げられる。また紫外線吸収剤を併用することもできる。
【0070】余分な色素の除去を促進する目的で、色素を吸着した後にアミン類を用いて半導体微粒子の表面を処理してもよい。好ましいアミン類としてはピリジン、4-t-ブチルピリジン、ポリビニルピリジン等が挙げられる。これらが液体の場合はそのまま用いてもよいし、有機溶媒に溶解して用いてもよい。
【0071】(C)電荷移動層電荷移動層は金属錯体色素の酸化体に電子を補充する機能を有する層である。電荷移動層に用いることのできる代表的な材料として、酸化還元対を有機溶媒に溶解した液体(電解液)、酸化還元対を有機溶媒に溶解した液体をポリマーマトリクスに含浸したいわゆるゲル電解質、酸化還元対を含有する溶融塩等が挙げられる。さらに固体電解質や正孔(ホール)輸送材料を用いることもできる。
【0072】本発明で使用する電解液は電解質、溶媒および添加物からなるのが好ましい。電解質としては、(a)I2とヨウ化物(LiI、NaI、KI、CsI、CaI2等の金属ヨウ化物、またはテトラアルキルアンモニウムヨーダイド、ピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイド等の4級アンモニウム化合物のヨウ素塩等)との組み合わせ、(b)Br2と臭化物(LiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBr2等の金属臭化物、またはテトラアルキルアンモニウムブロマイド、ピリジニウムブロマイド等の4級アンモニウム化合物の臭素塩等)との組み合わせ、(c)フェロシアン酸塩−フェリシアン酸塩やフェロセン−フェリシニウムイオン等の金属錯体、(d) ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール−アルキルジスルフィド等の硫黄化合物、(e)ビオロゲン色素、ヒドロキノン−キノン等を用いることができる。なかでも、I2とLiIやピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイド等の4級アンモニウム化合物のヨウ素塩とを組み合わせた電解質が好ましい。上記電解質は混合して用いてもよい。また電解質EP718288、WO95/18456、J. Electrochem. Soc., Vol.143,No.10, 3099 (1996)、Inorg. Chem., 35, 1168〜1178(1996)に記載された室温で溶融状態の塩(溶融塩)を使用することもできる。溶融塩を電解質として使用する場合、溶媒は使用しなくても構わない。
【0073】好ましい電解質濃度0.1〜15Mであり、さらに好ましくは0.2〜10Mである。また電解質にヨウ素を添加する場合の好ましいヨウ素の添加濃度は0.01〜0.5Mである。
【0074】電解質用溶媒としては、低粘度でイオン移動度が高いか、高誘電率で有効キャリアー濃度を高めるか、あるいはその両方であるために、優れたイオン伝導性を発現できる化合物を使用するのが望ましい。このような溶媒の例として、例えば下記のものが挙げられる。
【0075】(a)炭酸エステル類例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート等が好ましい。
【0076】(b)ラクトン類例えばγ- ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、γ-カプリロラクトン、クロトラクトン、γ-カプロラクトン、δ-バレロラクトン等が好ましい。
【0077】(c)エーテル類例えばエチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、トリメトキシメタン、エチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、1,3-ジオキソラン、1,4-ジオキサン等が好ましい。
【0078】(d)アルコール類例えばメタノール、エタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル等が好ましい。
【0079】(e)グリコール類例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等が好ましい。
【0080】(f)グリコールエーテル類例えばエチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル等が好ましい。
【0081】(g)テトラヒドロフラン類例えばテトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン等が好ましい。
【0082】(h)ニトリル類例えばアセトニトリル、グルタロジニトリル、プロピオニトリル、メトキシアセトニトリル、ベンゾニトリル等が好ましい。
【0083】(i)カルボン酸エステル類例えばギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル等が好ましい。
【0084】(j)リン酸トリエステル類例えばリン酸トリメチル、リン酸トリエチル等が好ましい。
【0085】(k)複素環化合物類例えばN-メチルピロリドン、4-メチル-1,3-ジオキサン、2-メチル-1,3-ジオキソラン、3-メチル-2-オキサゾリジノン、1,3-プロパンサルトン、スルホラン等が好ましい。
【0086】(l)その他ジメチルスルホキシド、ホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ニトロメタン等の非プロトン性有機溶媒、水等が好ましい。
【0087】これらの中では、炭酸エステル系、ニトリル系、複素環化合物系の溶媒が好ましい。これらの溶媒は必要に応じて二種以上を混合して用いてもよい。
【0088】また本発明では、J. Am. Ceram. Soc., 80(12), 3157〜3171(1997)に記載されているようなt-ブチルピリジンや、2-ピコリン、2,6-ルチジン等の塩基性化合物を添加することもできる。塩基性化合物を添加する場合の好ましい濃度範囲は0.05〜2Mである。
【0089】電解質はポリマーやオイルゲル化剤の添加、共存する多官能モノマー類の重合、ポリマーとの架橋反応等の方法により、ゲル化(固体化)させて使用することもできる。ポリマーの添加によりゲル化させる場合は、"Polymer Electrolyte Reviews-1,2" (J. R. MacCaLLumとC. A. Vincentの共編、ELSEIVER APPLIED SCIENCE) に記載された化合物を使用することができるが、特にポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデンを使用するのが好ましい。オイルゲル化剤の添加によりゲル化させる場合は、J. Chem. Soc. Japan, Ind. Chem. Sec., 46,779 (1943),J. Am. Chem. Soc., 111, 5542 (1989), J. Chem. Soc., Chem. Commun., 1993, 390, Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 35,1949 (1996), Chem. Lett., 1996,885, J. Chem. Soc., Chem. Commun., 545(1997)に記載されている化合物を使用することができる。なかでも好ましい化合物は分子構造中にアミド構造を有する化合物である。
【0090】電解質に共存させた多官能モノマー類の重合によりゲル電解質を形成する場合、多官能モノマー類、重合開始剤、電解質および溶媒から溶液を調製し、キャスト法、塗布法、浸漬法、含浸法等の方法により色素増感半導体微粒子層(感光層20)上に塗布する。図1に示すように、色素増感半導体微粒子21間の空隙にゾル状電解質を充填するとともに、感光層20上にゾル状電解質層を形成し、その後ラジカル重合することによりゲル化させる方法が好ましい。
【0091】多官能性モノマーはエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物であるのが好ましく、例えばジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等が好ましい。
【0092】ゲル電解質は、上記多官能性モノマー以外に単官能モノマーを含んでいてもよい。単官能モノマーとしては、アクリル酸またはα-アルキルアクリル酸(例えばメタクリル酸等)類から誘導されるエステル類またはアミド類(例えばN-イソプロピルアクリルアミド、アクリルアミド、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、メチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、N-プロピルアクリレート、N-ブチルアクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート等)、ビニルエステル類(例えば酢酸ビニル)、マレイン酸またはフマル酸から誘導されるエステル類(例えばマレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジエチル等)、有機酸塩類(例えばマレイン酸、フマル酸、p-スチレンスルホン酸のナトリウム塩等)、ニトリル類(アクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、ジエン類(例えばブタジエン、シクロペンタジエン、イソプレン等)、芳香族ビニル化合物類(例えばスチレン、p-クロルスチレン、スチレンスルホン酸ナトリウム等)、含窒素複素環を有するビニル化合物類、4級アンモニウム塩を有するビニル化合物類、N-ビニルホルムアミド、N-ビニル-N-メチルホルムアミド、ビニルスルホン酸、ビニルスルホン酸ナトリウム、ビニリデンフルオライド、ビニリデンクロライド、ビニルアルキルエーテル類(例えばメチルビニルエーテル等)、オレフィン類(エチレン、プロピレン、1-ブテン、イソブテン等)、N-フェニルマレイミド等が好ましい。モノマー全量に対する多官能性モノマーの割合は0.5〜70重量%であるのが好ましく、さらに好ましくは1.0〜50重量%である。
【0093】上記ゲル電解質用モノマーは、大津隆行・木下雅悦共著の「高分子合成の実験法」(化学同人)や、大津隆行著の「講座重合反応論1ラジカル重合(I)」(化学同人)に記載された一般的な高分子合成法であるラジカル重合法により重合することができる。ゲル電解質用モノマーのラジカル重合は加熱、光、紫外線、電子線によりまたは電気化学的に行うことができるが、特に加熱によりラジカル重合させるのが好ましい。
【0094】加熱により架橋高分子を形成する場合、好ましい重合開始剤は、例えば2,2'-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2'-アゾビス(ジメチルバレロニトリル)、ジメチル-2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオネート)等のアゾ系開始剤、ベンゾイルパーオキシド等の過酸化物系開始剤等である。重合開始剤の好ましい添加量は、モノマー総量に対して0.01〜20重量%であり、さらに好ましくは0.1〜10重量%である。
【0095】ゲル電解質に占めるモノマー類の重量組成範囲は0.5〜70重量%であるのが好ましく、さらに好ましくは1.0〜50重量%である。
【0096】ポリマーの架橋反応により電解質をゲル化させる場合、架橋性反応基を有するポリマーおよび架橋剤を併用するのが望ましい。好ましい架橋性反応基は、含窒素複素環(例えばピリジン環、イミダゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、トリアゾール環、モルホリン環、ピペリジン環、ピペラジン環等)であり、また好ましい架橋剤は、窒素原子に対して求電子反応可能な2官能性以上の試薬(例えばハロゲン化アルキル、ハロゲン化アラルキル、スルホン酸エステル、酸無水物、酸クロライド、イソシアネート等)である。
【0097】電解質の代りに有機および/または無機の正孔輸送材料を使用することもできる。本発明に好ましく用いることのできる有機正孔輸送材料としては、以下のものが挙げられる。
【0098】(a)芳香族アミン類N,N'-ジフェニル-N,N'-ビス(4-メトキシフェニル)-(1,1'-ビフェニル)-4,4'-ジアミン(J. Hagen et al., Synthetic Metal 89, 2153〜220, (1997) )、2,2',7,7'-テトラキス(N,N-ジ-p-メトキシフェニルアミン)−9,9'-スピロビフルオレン(Nature, Vol.395, 8 Oct. 1998, pp. 583-585 およびWO97/10617)、1,1-ビス{4-(ジ-p- トリルアミノ)フェニル}シクロヘキサンの3 級芳香族アミンユニットを連結した芳香族ジアミン化合物(特開昭59-194393号)、4,4'-ビス[(N-1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニルのように、2個以上の3級アミンを含み、2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に結合した芳香族アミン(特開平5-234681号)、トリフェニルベンゼンの誘導体でスターバースト構造を有する芳香族トリアミン(米国特許第4,923,774 号、特開平4-308688号)、N,N'-ジフェニル-N,N'-ビス(3-メチルフェニル)-(1,1'-ビフェニル)-4,4'-ジアミン等の芳香族ジアミン(米国特許第4,764,625号)、α,α,α',α'-テトラメチル-α,α'-ビス{4-(ジ-p-トリルアミノ)フェニル}-p-キシレン(特開平3-269084号)、p-フェニレンジアミン誘導体、分子全体が立体的に非対称なトリフェニルアミン誘導体(特開平4-129271号)、ピレニル基に芳香族ジアミノ基が複数個置換した化合物(特開平4-175395号)、エチレン基で3 級芳香族アミン単位を連結した芳香族ジアミン(特開平4-264189号)、スチリル構造を有する芳香族ジアミン(特開平4-290851号)、ベンジルフェニル化合物(特開平4-364153号)、フルオレン基で3 級アミンを連結したもの(特開平5-25473号)、トリアミン化合物(特開平5-239455号)、ビス(ジピリジルアミノ)ビフェニル(特開平5-320634号)、N,N,N-トリフェニルアミン誘導体(特開平6-1972号)、フェノキザジン構造を有する芳香族ジアミン(特願平5-290728号)、ジアミノフェニルフエナントリジン誘導体(特願平6-45669号)等。
【0099】(b)オリゴチオフェン化合物α-オクチルチオフェンおよびα,ω-ジヘキシル-α-オクチルチオフェン(Adv. Mater.,Vol.9, No.7, 5578(1997))、ヘキサドデシルドデシチオフェン(Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 34, No.3, 303-307 (1995)) 、2,8-ジヘキシルアンスラ[2,3-b:6,7-b']ジチオフェン(JACS, Vol.120, N0.4,664〜672 (1998)) 等。
【0100】(c) 導電性高分子ポリピロール(K. Murakoshi et al., Chem. Lett. 1997, p.471)、およびポリアセチレンおよびその誘導体、ポリ(p-フェニレン)およびその誘導体、ポリ(p-フェニレンビニレン)およびその誘導体、ポリチエニレンビニレンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリアニリンおよびその誘導体、およびポリトルイジンおよびその誘導体等(それぞれ「Handbook of Organic Conductive Molecules and Polymers」,Vol.1〜4(NALWA 著、WILEY出版)に記載されている)。
【0101】有機正孔(ホール)輸送材料に、Nature, Vol.395, 8 Oct. 583〜585(1998)に記載されているように、ドーパントレベルをコントロールするためにトリス(4-ブロモフェニル)アミニウムヘキサクロロアンチモネートのようなカチオンラジカルを含有する化合物を添加したり、酸化物半導体表面のポテンシャル制御(空間電荷層の補償)を行うためにLi[(CF3SO2)2N]のような塩を添加しても良い。
【0102】有機正孔輸送材料は真空蒸着法,キャスト法,塗布法,スピンコート法、浸漬法、電解重合法、光電解重合法等の手法により電極内部に導入することができる。また正孔輸送材料を電解液の替わりに使用するときは、短絡防止のためElectorochem. Acta 40, 643〜652 (1995)に記載されているスプレーパイロリシス等の手法を用いて、二酸化チタン薄層を下塗り層として塗設するのが好ましい。
【0103】無機固体化合物を電解質の代りに使用する場合、ヨウ化銅(p-CuI)(J. Phys.D:Appl. Phys. 31, 1492〜1496(1998))、チオシアン化銅(Thin Solid Films 261 (1995), 307〜310、J. Appl. Phys. 80(8),15 October 1996, 4749〜4754、Chem. Mater. 1998, 10, 1501〜1509、SemiCond. Sci. Technol. 10, 1689〜1693)等を、キャスト法、塗布法、スピンコート法、浸漬法、電解メッキ法等の手法により電極内部に導入することができる。
【0104】電荷移動層を形成するには以下の2通りの方法を利用できる。1つは、色素増感した半導体微粒子層の上にスペーサーを介して対極を貼り合わせておき、両者の開放端を電解質溶液に浸漬することにより、半導体微粒子層内および半導体微粒子層と対極との空隙に電解質溶液を浸透させる方法である。もう1つは、半導体微粒子層に電解質溶液を塗布することにより、半導体微粒子層内に電解質溶液を浸透させるとともに、半導体微粒子層上に電荷移動層を形成し、最後に対極を設ける方法である。
【0105】前者の場合、半導体微粒子層と対極との空隙に電解質溶液を浸透させる方法として、毛管現象を利用する常圧法と、半導体微粒子層と対極との上部開放端(電解質溶液に浸漬していない方の開放端)から吸い上げる減圧法がある。
【0106】後者の場合、湿式の電荷移動層のときには未乾燥のまま対極を付与し、エッジ部の液漏洩防止措置を施す。またゲル電解質の場合には、湿式で塗布して重合等の方法により固体化した後に対極を設けてもよいし、対極を設けた後に固体化してもよい。電解液の他に湿式有機正孔輸送材料やゲル電解質の層を形成する方法としては、半導体微粒子層の形成や色素吸着の場合と同様に、浸漬法、ローラ法、ディップ法、エアーナイフ法、エクストルージョン法、スライドホッパー法、ワーヤーバー法、スピン法、スプレー法、キャスト法、各種印刷法等を利用できる。固体電解質や固体の正孔(ホール)輸送材料の場合には、真空蒸着法やCVD法等のドライ成膜処理で電荷移動層を形成し、その後対極を設けても良い。
【0107】固体化できない電解液や湿式の正孔輸送材料の場合には塗布後速やかにエッジ部分を封止するのが好ましく、また固体化可能な正孔輸送材料の場合には湿式付与により正孔輸送層を膜形成した後、例えば光重合や熱ラジカル重合等の方法により固体化するのが好ましい。このように膜付与方式は電解液物性や工程条件により適宜選択すればよい。
【0108】なお、電荷移動層中の水分量は10,000ppm以下が好ましく、さらに好ましくは2,000ppm以下であり、特に好ましくは100ppm以下である。
【0109】(D)対極対極は、光電変換素子を光電気化学電池としたとき、光電気化学電池の正極として作用するものである。対極は前記の導電性支持体と同様に、導電性材料からなる対極導電層の単層構造でもよいし、対極導電層と支持基板から構成されていてもよい。対極導電層に用いる導電材としては、金属(例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム等)、炭素、または導電性金属酸化物(インジウム−スズ複合酸化物、酸化スズにフッ素をドープしたもの等)が挙げられる。対極の好ましい支持基板の例は、ガラスまたはプラスチックであり、これに上記の導電剤を塗布または蒸着して用いる。対極導電層の厚さは特に制限されないが、3nm〜10μmが好ましい。対極導電層が金属製である場合は、その厚さは好ましくは5μm以下であり、さらに好ましくは5nm〜3μmの範囲である。
【0110】導電性支持体と対極のいずれか一方または両方から光を照射してよいので、感光層に光が到達するためには、導電性支持体と対極の少なくとも一方が実質的に透明であれば良い。発電効率の向上の観点からは、導電性支持体を透明にして、光を導電性支持体側から入射させるのが好ましい。この場合対極は光を反射する性質を有するのが好ましい。このような対極としては、金属または導電性の酸化物を蒸着したガラスまたはプラスチック、あるいは金属薄膜を使用できる。
【0111】(E)その他の層電極として作用する導電性支持体および対極の一方または両方に、保護層、反射防止層等の機能性層を設けても良い。このような機能性層を多層に形成する場合、同時多層塗布法や逐次塗布法を利用できるが、生産性の観点からは同時多層塗布法が好ましい。同時多層塗布法では、生産性および塗膜の均一性を考えた場合、スライドホッパー法やエクストルージョン法が適している。これらの機能性層の形成には、その材質に応じて蒸着法や貼り付け法等を用いることができる。
【0112】(F)光電変換素子の内部構造の具体例上述のように、光電変換素子の内部構造は目的に合わせ様々な形態が可能である。大きく2つに分ければ、両面から光の入射が可能な構造と、片面からのみ可能な構造が可能である。図2〜図8に本発明に好ましく適用できる光電変換素子の内部構造を例示する。
【0113】図2は、透明導電層10aと透明対極導電層40aとの間に、感光層20と、電荷移動層30とを介在させたものであり、両面から光が入射する構造となっている。図3は、透明基板50a上に一部金属リード11を設け、さらに透明導電層10aを設け、下塗り層60、感光層20、電荷移動層30および対極導電層40をこの順で設け、さらに支持基板50を配置したものであり、導電層側から光が入射する構造となっている。図4は、支持基板50上にさらに導電層10を有し、下塗り層60を介して感光層20を設け、さらに電荷移動層30と透明対極導電層40aとを設け、一部に金属リード11を設けた透明基板50aを、金属リード11側を内側にして配置したものであり、対極側から光が入射する構造である。図5は、透明基板50a上に一部金属リード11を設け、さらに透明導電層10aを設けたものの上に下塗り層60と感光層20と電荷移動層30とを介在させたものであり、両面から光が入射する構造である。図6は、透明基板50a上に透明導電層10aを有し、下塗り層60を介して感光層20を設け、さらに電荷移動層30および対極導電層40を設け、この上に支持基板50を配置したものであり導電層側から光が入射する構造である。図7は、支持基板50上に導電層10を有し、下塗り層60を介して感光層20を設け、さらに電荷移動層30および透明対極導電層40aを設け、この上に透明基板50aを配置したものであり、対極側から光が入射する構造である。図8は、透明基板50a上に透明導電層10aを有し、下塗り層60を介して感光層20を設け、さらに電荷移動層30および透明対極導電層40aを設け、この上に透明基板50aを配置したものであり、両面から光が入射する構造となっている。
【0114】〔3〕光電気化学電池本発明の光電気化学電池は、上記光電変換素子に外部回路で仕事をさせるようにしたものである。光電気化学電池は構成物の劣化や内容物の揮散を防止するために、側面をポリマーや接着剤等で密封するのが好ましい。導電性支持体および対極にリードを介して接続される外部回路自体は公知のもので良い。
【0115】〔4〕色素増感型太陽電池本発明の光電変換素子をいわゆる太陽電池に適用する場合、そのセル内部の構造は基本的に上述した光電変換素子の構造と同じである。以下、本発明の光電変換素子を用いた太陽電池のモジュール構造について説明する。
【0116】本発明の色素増感型太陽電池は、従来の太陽電池モジュールと基本的には同様のモジュール構造をとりうる。太陽電池モジュールは、一般的には金属、セラミック等の支持基板の上にセルが構成され、その上を充填樹脂や保護ガラス等で覆い、支持基板の反対側から光を取り込む構造をとるが、支持基板に強化ガラス等の透明材料を用い、その上にセルを構成してその透明の支持基板側から光を取り込む構造とすることも可能である。具体的には、スーパーストレートタイプ、サブストレートタイプ、ポッティングタイプと呼ばれるモジュール構造、アモルファスシリコン太陽電池などで用いられる基板一体型モジュール構造等が知られている。本発明の色素増感型太陽電池も使用目的や使用場所および環境により、適宜これらのモジュール構造を選択できる。
【0117】代表的なスーパーストレートタイプあるいはサブストレートタイプのモジュールは、片側または両側が透明で反射防止処理を施された支持基板の間に一定間隔にセルが配置され、隣り合うセル同士が金属リードまたはフレキシブル配線等によって接続され、外縁部に集電電極が配置されており、発生した電力を外部に取り出される構造となっている。基板とセルの間には、セルの保護や集電効率向上のため、目的に応じエチレンビニルアセテート(EVA)等様々な種類のプラスチック材料をフィルムまたは充填樹脂の形で用いてもよい。また、外部からの衝撃が少ないところなど表面を硬い素材で覆う必要のない場所において使用する場合には、表面保護層を透明プラスチックフィルムで構成し、または上記充填樹脂を硬化させることによって保護機能を付与し、片側の支持基板をなくすことが可能である。支持基板の周囲は、内部の密封およびモジュールの剛性を確保するため金属製のフレームでサンドイッチ状に固定し、支持基板とフレームの間は封止材料で密封シールする。また、セルそのものや支持基板、充填材料および封止材料に可撓性の素材を用いれば、曲面の上に太陽電池を構成することもできる。
【0118】スーパーストレートタイプの太陽電池モジュールは、例えば、基板供給装置から送り出されたフロント基板をベルトコンベヤ等で搬送しながら、その上にセルを封止材料−セル間接続用リード線、背面封止材料等と共に順次積層した後、背面基板または背面カバーを乗せ、外縁部にフレームをセットして作製することができる。
【0119】一方、サブストレートタイプの場合、基板供給装置から送り出された支持基板をベルトコンベヤ等で搬送しながら、その上にセルをセル間接続用リード線、封止材料等と共に順次積層した後、フロントカバーを乗せ、周縁部にフレームをセットして作製することができる。
【0120】本発明の光電変換素子を基板一体型モジュール化した構造の一例を図9に示す。図9は、透明な基板50aの一方の面上に透明な導電層10aを有し、この上にさらに色素吸着TiO2を含有した感光層20、電荷移動層30および金属対極導電層40を設けたセルがモジュール化されており、基板50aの他方の面には反射防止層70が設けられている構造を表す。このような構造とする場合、入射光の利用効率を高めるために、感光層20の面積比率(光の入射面である基板50a側から見たときの面積比率)を大きくした方が好ましい。
【0121】図9に示した構造のモジュールの場合、基板上に透明導電層、感光層、電荷移動層、対極等が立体的かつ一定間隔で配列されるように、選択メッキ、選択エッチング、CVD、PVD等の半導体プロセス技術、あるいはパターン塗布または広幅塗布後のレーザースクライビング、プラズマCVM(Solar Energy Materials and Solar Cells, 48, p373-381等に記載)、研削等の機械的手法等によりパターニングすることで所望のモジュール構造を得ることができる。
【0122】以下にその他の部材や工程について詳述する。
【0123】封止材料としては、耐候性付与、電気絶縁性付与、集光効率向上、セル保護性(耐衝撃性)向上等の目的に応じ液状EVA(エチレンビニルアセテート)、フィルム状EVA、フッ化ビニリデン共重合体とアクリル樹脂の混合物等、様々な材料が使用可能である。モジュール外縁と周縁を囲むフレームとの間は、耐候性および防湿性が高い封止材料を用いるのが好ましい。また、透明フィラーを封止材料に混入して強度や光透過率を上げることができる。
【0124】封止材料をセル上に固定するときは、材料の物性に合った方法を用いる。フィルム状の材料の場合はロール加圧後加熱密着、真空加圧後加熱密着等、液またはペースト状の材料の場合はロールコート、バーコート、スプレーコート、スクリーン印刷等の様々な方法が可能である。
【0125】支持基板としてPET、PEN等の可撓性素材を用いる場合は、ロール状の支持体を繰り出してその上にセルを構成した後、上記の方法で連続して封止層を積層することができ、生産性が高い。
【0126】発電効率を上げるために、モジュールの光取り込み側の基板(一般的には強化ガラス)の表面には反射防止処理が施される。反射防止処理方法としては、反射防止膜をラミネートする方法、反射防止層をコーティングする方法がある。
【0127】また、セルの表面をグルービングまたはテクスチャリング等の方法で処理することによって、入射した光の利用効率を高めることが可能である。
【0128】発電効率を上げるためには、光を損失なくモジュール内に取り込むことが最重要であるが、光電変換層を透過してその内側まで到達した光を反射させて光電変換層側に効率良く戻すことも重要である。光の反射率を高める方法としては、支持基板面を鏡面研磨した後、AgやAl等を蒸着またはメッキする方法、セルの最下層にAl−MgまたはAl−Tiなどの合金層を反射層として設ける方法、アニール処理によって最下層にテクスチャー構造を作る方法等がある。
【0129】また、発電効率を上げるためにはセル間接続抵抗を小さくすることが、内部電圧降下を抑える意味で重要である。セル同士を接続する方法としては、ワイヤーボンディング、導電性フレキシブルシートによる接続が一般的であるが、導電性粘着テープや導電性接着剤を用いてセルを固定すると同時に電気的に接続する方法、導電性ホットメルトを所望の位置にパターン塗布する方法等もある。
【0130】ポリマーフィルム等のフレキシブル支持体を用いた太陽電池の場合、ロール状の支持体を送り出しながら前述の方法によって順次セルを形成し、所望のサイズに切断した後、周縁部をフレキシブルで防湿性のある素材でシールすることにより電池本体を作製できる。また、Solar Energy Materials and Solar Cells, 48, p383-391記載の「SCAF」とよばれるモジュール構造とすることもできる。更に、フレキシブル支持体を用いた太陽電池は曲面ガラス等に接着固定して使用することもできる。
【0131】以上詳述したように、使用目的や使用環境に合わせて様々な形状・機能を持つ太陽電池を製作することができる。
【0132】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0133】1.スクアリリウムシアニン色素の合成(A) スクアリリウムシアニン色素(D-4)の合成下記の合成ルートにて本発明のスクアリリウムシアニン色素(D-4)を合成した。
【0134】
【化12】

【0135】5-ブロモ-2,3,3-トリメチルインドレニン(4a)20g、ジフェニルアミン16.5g、銅粉0.1g、ヨウ素0.05g、オルトジクロロベンゼン50mlを混合し撹拌しながら20時間還流した。反応液を濾過、溶媒を減圧で留去した。残りをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(流出液はヘキサンと酢酸エチルの20:1混合物)により精製し化合物(4b)16.3gを得た。
【0136】パラトルエンスルホン酸メチル20g、化合物(4b)16.3gを混合し撹拌しながら120℃にて1時間加熱撹拌した。反応液に酢酸エチルを加え、濾過し、得られた固体(4c)を酢酸エチルで洗浄した。収量は20.4gであった。化合物(4c)10.2g、酢酸エチル50ml、水50ml、水酸化ナトリウム2gを混合し激しく撹拌したのち、2層に分離した反応液の有機層を濃縮した。これに、定法によって合成した化合物(4d)9.6g、1-ブタノール150ml、トルエン150mlを加え、120℃にて3時間加熱撹拌した。溶媒を留去し、残りをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(流出液は塩化メチレンとメタノールの6:1混合物)にて精製したのち、アセトニトリルから再結晶し、本発明のスクアリリウムシアニン色素(D-4)3.5gを得た。
【0137】(B) スクアリリウムシアニン色素(D-5)の合成前記(D-4)の合成例において、ジフェニルアミン16.5gを4,4'-ジメトキシジフェニルアミン18.2gに替える以外は全く同様の方法にて、スクアリリウムシアニン色素(D-5)2.2gを合成した。
【0138】(C) その他のスクアリリウムシアニン色素上記以外の、本発明の一般式(1)により表されるスクアリリウムシアニン色素も上記化合物と同様にして、容易に合成できる。
【0139】2.二酸化チタン粒子含有塗布液の作製オートクレーブ温度を230℃にした以外はバルベらのジャーナル・オブ・アメリカン・セラミック・ソサエティ 第80巻3157頁記載の方法と同様の方法でTiO2濃度11重量%のTiO2分散物を得た。できた二酸化チタン粒子の平均サイズは約10nmであった。この分散物にTiO2に対し30重量%のポリエチレングリコール(分子量20000、和光純薬製)を添加し、混合し塗布液を得た。
【0140】3.色素を吸着した二酸化チタン電極(光電変換素子)の作成フッ素をドープした酸化スズをコーティングした透明導電性ガラス(日本板硝子製、表面抵抗は約10Ω/□)の導電面側にこの塗布液をドクターブレードで100μmの厚みで塗布し、25℃で30分間乾燥した後、電気炉(ヤマト科学製マッフル炉FP-32型)で450℃にて30分間焼成した。TiO2の塗布量は15.5g/m2であり、膜厚は8.3μmであった。ガラスを取り出し冷却した後、表1に示す色素(3×10-5mol/L)とケノデオキシコール酸(0.04mol/L)の混合溶液(溶媒はエタノールとジメチルスルホキシドの20:1混合物)に16時間浸漬した。比較例には、下記の欧州特許第911841号に記載のスクアリリウムシアニン色素(A)を用いた。
【化13】

【0141】色素を染着したガラスをエタノール、アセトニトリルで順次洗浄し暗所、窒素気流下で乾燥させた。
【0142】4.光電気化学電池の作成上述のようにして作成した色素増感したTiO2電極基板(2cm×2cm)をこれと同じ大きさの白金蒸着ガラスと重ね合わせた(図1参照)。次に、両ガラスの隙間に毛細管現象を利用して電解液(ヨウ化テトラブチルアンモニウム0.65mol/L,ヨウ素0.05mol/Lのアセトニトリル溶液)をしみこませてTiO2電極中に導入することにより、表1に示す光電気化学電池(実施例1〜4、比較例1)を得た。
【0143】これにより、図1に示すように、導電性ガラス(ガラス50a上に導電剤層10aが設層されたもの)、感光層20、電解液30、白金層40およびガラス50aが順に積層された光電気化学電池が作成された。
【0144】5.作用スペクトルの測定実施例1〜4及び比較例1の光電気化学電池をオプテル社製IPCE測定装置を用いて400〜800nmの単色光変換効率を10nm間隔で測定した。表1には実施例1〜4及び比較例1におけるIPCEの最大値、および10%を越えるIPCEが得られた波長範囲を示した。
IPCE(%)=(発生した電子数/照射された光子数)×100【0145】
【表1】

【0146】本発明の色素を用いた実施例1〜4は、比較用色素(A)を用いた比較例1に比べて、10%を超えるIPCEを与える波長範囲が広い、すなわち作用スペクトルがブロードであり、太陽光の捕獲率が高いことがわかる。これは太陽光を光電変換するのに重要な特性であり、本発明の目的にかなうものである。
【0147】6.太陽光光電変換効率の測定500Wのキセノンランプ(ウシオ製)の光を分光フィルター(Oriel社製AM1.5)を通すことにより模擬太陽光を発生させた。この光の強度は垂直面において85mW/cm2であった。
【0148】光電気化学電池の導電性ガラスの端部に銀ペーストを塗布して負極とし、この負極と白金蒸着ガラス(正極)を電流電圧測定装置(ケースレーSMU238型)に接続した。模擬太陽光を垂直に照射しながら、発生電流を測定した。表2には実施例1〜4及び比較例1の光電気化学電池の太陽電池特性を示した。
【0149】
【表2】

【0150】本発明の色素を用いた実施例1〜4は、比較用色素(A)を用いた比較例1に比べて、模擬太陽光に対する光電変換効率が高い事がわかる。
【0151】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の新規スクアリリウムシアニン色素は吸収波長領域が広いため、当該色素によって増感した光電変換素子は、光電変換効率に優れている。かかる光電変換素子からなる光電気化学電池は、太陽電池として極めて有用である。




 

 


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