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発明の名称 光電変換素子及び光電気化学電池
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−43906(P2001−43906A)
公開日 平成13年2月16日(2001.2.16)
出願番号 特願平11−214045
出願日 平成11年7月28日(1999.7.28)
代理人 【識別番号】100073874
【弁理士】
【氏名又は名称】萩野 平 (外4名)
【テーマコード(参考)】
5F051
5H032
【Fターム(参考)】
5F051 AA14 
5H032 AA06 AS16 EE02 EE16 EE20
発明者 渡辺 哲也 / 塚原 次郎
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】隣り会う2個の炭素上にそれぞれ一個以上の酸性基が置換している部分を含有するメチン色素によって増感された半導体微粒子を用いる事を特徴とする光電変換素子。
【請求項2】前記メチン色素がシアニン色素、メロシアニン色素またはオキソノール色素である事を特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。
【請求項3】前記メチン色素が下記一般式(I)で表されるメチン色素である事を特徴とする請求項1または2に記載の光電変換素子。
【化1】

式中、L1 、L2 は置換または無置換のメチン基を表す。lは0または1であり、Zは含窒素複素環を形成するに必要な非金属原子群を表す。Rは置換または無置換の、アルキル基またはアリール基である。Qは一般式(I)で表される化合物がメチン色素を形成するのに必要なメチン基又はポリメチン基を表す。V1、V2はそれぞれ同じでも良く、異なっても良い酸性基であり、互いに隣接する炭素に置換していることを特徴とする。Wは電荷を中和させるのに必要な場合の対イオンを表す。
【請求項4】一般式(I)においてZによって形成される含窒素複素環が置換されても良いインドレニン核、置換されても良いベンゾチアゾール核、置換されても良いベンゾオキサゾール核、または置換されても良いキノリン核である事を特徴とする請求項1、2または3に記載の光電変換素子。
【請求項5】一般式(I)においてV1、V2がそれぞれ独立にカルボン酸基またはヒドロキシル基であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光電変換素子。
【請求項6】一般式(I)においてQがスクアリリウム環を形成するメチン基を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光電変換素子。
【請求項7】前記半導体微粒子が酸化チタン微粒子であることを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載の光電変換素子【請求項8】1〜7いずれかに記載の光電変換素子を用いる事を特徴とする光電気化学電池。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は色素により増感された半導体微粒子を用いた光電変換素子に関する。更には、これを用いた光電気化学電池に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、太陽光発電は単結晶シリコン太陽電池、多結晶シリコン太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池およびテルル化カドミウムやセレン化インジウム銅等の化合物太陽電池の改良が、実用化の主力技術となっており、発電効率として10%を超える太陽光エネルギー変換効率が得られている。しかし、将来に向けてこれらを普及させる上では、素材製造にかかるエネルギーコストが高く製品化への環境負荷が大きいこと、ユーザーにとってエネルギーペイバックタイムが長い等の問題点を克服する必要がある。一方、低価格化を目指し、大面積化も容易な有機材料をシリコンに替わる感光材料として用いた太陽電池がこれまでに多く提案されてきたが、エネルギー変換効率が1%以下と低く、耐久性も悪いという問題があった。こうした状況の中で、Nature(第353 巻、第737 〜740 頁、1991年)および米国特許4927721号等に、色素によって増感された半導体微粒子を用いた光電変換素子および太陽電池、ならびにこの作製に必要な材料および製造技術が開示された。提案された電池は、ルテニウム錯体によって分光増感された二酸化チタン多孔質薄膜を作用電極とする湿式太陽電池である。この方式の第一の利点は二酸化チタン等の安価な酸化物半導体を高純度まで精製する必要なしに用いることができるため、安価な光電変換素子として提供できる点であり、第二には用いられる色素の吸収がブロードであり、広い可視光の波長域にわたって太陽光を電気に変換できることであり、第三にはエネルギー変換効率が最適条件では10%に近く高いことである。色素増感光電変換素子の改良が求められる点の一つに増感色素として高価なルテニウム錯体色素を用いる事が挙げられる。安価な有機色素によって増感される光電変換素子の開発が望まれていたが、有機色素は二酸化チタンへの吸着性が低く、吸着量が小さかったために高い増感効率を得ることができなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は二酸化チタンとの親和性の高い有機色素を用いることによって、高い変換効率を有する色素増感光電変換素子を提供する事である。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の課題は以下に示す光電変換素子及び光電気化学電池により達成された。
1、隣り会う2個の炭素上にそれぞれ一個以上の酸性基が置換している部分を含有するメチン色素によって増感された半導体微粒子を用いる事を特徴とする光電変換素子。
2、前記メチン色素がシアニン色素、メロシアニン色素またはオキソノール色素である事を特徴とする1に記載の光電変換素子3、前記メチン色素が下記一般式(I)で表されるメチン色素である事を特徴とする1または2に記載の光電変換素子。
【0005】
【化2】

【0006】式中、L1 、L2 は置換または無置換のメチン基を表す。lは0または1であり、Zは含窒素複素環を形成するに必要な非金属原子群を表す。Rは置換または無置換の、アルキル基またはアリール基である。Qは一般式(I)で表される化合物がメチン色素を形成するのに必要なメチン基又はポリメチン基を表す。V1、V2はそれぞれ同じでも良く、異なっても良い酸性基であり、互いに隣接する炭素に置換していることを特徴とする。Wは電荷を中和させるのに必要な場合の対イオンを表す。
4、一般式(I)においてZによって形成される含窒素複素環が置換されても良いインドレニン核、置換されても良いベンゾチアゾール核、置換されても良いベンゾオキサゾール核、または置換されても良いキノリン核である事を特徴とする1、2または3に記載の光電変換素子。
5、一般式(I)においてV1、V2がそれぞれ独立にカルボン酸基またはヒドロキシル基であることを特徴とする1〜4のいずれかに記載の光電変換素子。
6、一般式(I)においてQがスクアリリウム環を形成するメチン基を含むことを特徴とする1〜5のいずれかに記載の光電変換素子。
7、前記半導体微粒子が酸化チタン微粒子であることを特徴とする1〜6いずれかに記載の光電変換素子8、1〜7いずれかに記載の光電変換素子を用いる事を特徴とする光電気化学電池。
【0007】
【発明の実施の形態】まず、本発明の光電変換素子および光電気化学電池の構成と材料について詳述する。本発明において色素増感した光電変換素子は導電性支持体、導電性支持体上に設置される色素等により増感した半導体膜(感光層)、電荷移動層および対極からなる。この光電変換素子を外部回路で仕事をさせる電池用途に使用できるようにしたものが光電気化学電池である。感光層は目的に応じて設計され、単層構成でも多層構成でもよい。感光層に入射した光は色素等を励起する。励起された色素等はエネルギーの高い電子を有しており、この電子が色素等から半導体微粒子の伝導帯に渡され、さらに拡散によって導電性支持体に到達する。この時色素等の分子は酸化体となっている。光電気化学電池においては導電性支持体上の電子が外部回路で仕事をしながら対極および電荷移動層を経て色素等の酸化体に戻り、色素等が再生する。半導体膜はこの電池の負極として働く。なお、本発明ではそれぞれの層の境界において(例えば、導電性支持体の導電層と感光層の境界、感光層と電荷移動層の境界、電荷移動層と対極の境界など)、各層の構成成分同士が相互に拡散して混合していてもよい。
【0008】本発明において、半導体はいわゆる感光体であり、光を吸収して電荷分離を行い電子と正孔を生ずる役割を担う。色素増感された半導体では、光吸収およびこれによる電子および正孔の発生は主として色素において起こり、半導体はこの電子を受け取り、伝達する役割を担う。
【0009】半導体としてはシリコン、ゲルマニウムのような単体半導体の他に、金属のカルコゲニド(例えば酸化物、硫化物、セレン化物等)に代表されるいわゆる化合物半導体またはペロブスカイト構造を有する化合物等を使用することができる。金属のカルコゲニドとして好ましくはチタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、もしくはタンタルの酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモン、ビスマスの硫化物、カドミウム、鉛のセレン化物、カドミウムのテルル化物等が挙げられる。他の化合物半導体としては亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム等のリン化物、ガリウムヒ素、銅−インジウム−セレン化物、銅−インジウム−硫化物等が挙げられる。
【0010】また、ペロブスカイト構造を有する化合物として好ましくはチタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウムが挙げられる。
【0011】本発明に用いられる半導体としてより好ましくは、具体的にはSi、TiO2、SnO2、Fe2O3 、WO3 、ZnO 、Nb2O5 、CdS 、ZnS 、PbS 、Bi2S3 、CdSe、CdTe、GaP、InP 、GaAs、CuInS2、CuInSe2 が挙げられる。さらに好ましくはTiO2、ZnO 、SnO2、Fe2O3 、WO3 、Nb2O5 、CdS 、PbS 、CdSe、InP 、GaAs、CuInS2、CuInSe2 であり、特に好ましくは、TiO2またはNb2O5 であり、最も好ましくはTiO2である。
【0012】本発明に用いられる半導体は、単結晶でも、多結晶でもよい。変換効率としては単結晶が好ましいが、製造コスト、原材料確保、エネルギーペイバックタイム等の点では多結晶が好ましく、特にナノメートルからマイクロメートルサイズの微粒子半導体が好ましい。
【0013】これらの半導体微粒子の粒径は、投影面積を円に換算したときの直径を用いた平均粒径で一次粒子として5〜200nmであることが好ましく、特に8〜100nmであることが好ましい。また、分散物中の半導体微粒子(二次粒子)の平均粒径としては0.01〜100μm であることが好ましい。
【0014】また、2種類以上の粒子サイズ分布の異なる微粒子を混合して用いてもよく、この場合、小さい粒子の平均サイズは5nm以下であることが好ましい。また、入射光を散乱させて光捕獲率を向上させる目的で、粒子サイズの大きな、例えば300nm程度の半導体粒子を混合してもよい。
【0015】半導体微粒子の作製法は、作花済夫の「ゾルーゲル法の科学」アグネ承風社(1988年)、技術情報協会の「ゾルーゲル法による薄膜コーティング技術」(1995)等に記載のゾルーゲル法、杉本忠夫の「新合成法ゲルーゾル法による単分散粒子の合成とサイズ形態制御」 まてりあ、第35巻、第9号 1012頁から1018頁(1996)記載のゲルーゾル法が好ましい。
【0016】またDegussa社が開発した塩化物を酸水素炎中で高温加水分解により酸化物を作製する方法も好ましい。
【0017】また酸化チタンの場合は上記のゾルーゲル法、ゲルーゾル法、塩化物を酸水素炎中で高温加水分解法がいずれも好ましいが、さらに清野学の「酸化チタン物性と応用技術」技報堂出版(1997)に記載の硫酸法、塩素法を用いることもできる。
【0018】酸化チタンの場合は上記のゾルーゲル法のうち特にバーブ等の「ジャーナル・オブ・アメリカン・セラミック・ソサエティー 第80巻、第12号、3157ページから3171ページ(1997)」記載のものと、バーンサイド等の「ケミカル・マテリアルズ 第10巻 第9号、2419ページから2425ページ」記載の方法が好ましい。
【0019】導電性支持体は、金属のように支持体そのものに導電性があるものか、または表面に導電剤を含む導電層(導電剤層)を有するガラスもしくはプラスチックの支持体を使用することができる。後者の場合好ましい導電剤としては金属(例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム等)、炭素、もしくは導電性の金属酸化物(インジウム−スズ複合酸化物、酸化スズにフッ素をドープしたもの等)が挙げられる。上記導電剤層の厚さは、0.02〜10μm 程度であることが好ましい。
【0020】導電性支持体は表面抵抗が低い程よい。好ましい表面抵抗の範囲としては100Ω/□以下であり、さらに好ましくは40Ω/□以下である。この下限には特に制限はないが、通常0.1Ω/□程度である。
【0021】導電性支持体は実質的に透明であることが好ましい。実質的に透明であるとは光の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上であることが好ましく、70%以上が特に好ましい。透明導電性支持体としてはガラスもしくはプラスチックに導電性の金属酸化物を塗設したものが好ましい。この中でもフッ素をドーピングした二酸化スズからなる導電層を低コストのソーダ石灰フロートガラスでできた透明基板上に堆積した導電性ガラスが特に好ましい。また、低コストでフレキシブルな光電変換素子または太陽電池には、透明ポリマーフィルムに上記導電層を設けたものを用いるのがよい。透明ポリマーフィルムには、テトラアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリエチレンナフタレート(PEN)、シンジオクタチックポリステレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAr)、ポリスルフォン(PSF)、ポリエステルスルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、環状ポリオレフィン、ブロム化フェノキシ等がある。透明導電性支持体を用いる場合、光はその支持体側から入射させることが好ましい。この場合、導電性金属酸化物の塗布量はガラスもしくはプラスチックの支持体1m2当たり0.01〜100g が好ましい。
【0022】透明導電性基板の抵抗を下げる目的で金属リードを用いることが好ましい。金属リードの材質はアルミニウム、銅、銀、金、白金、ニッケル等の金属が好ましく、特にアルミニウム、銀が好ましい。金属リードは透明基板に蒸着、スッパタリング等で設置し、その上にフッ素をドープした酸化スズ、またはITO膜からなる透明導電層を設けることが好ましい。また上記の透明導電層を透明基板に設けたあと、透明導電層上に金属リードを設置することも好ましい。金属リード設置による入射光量の低下は1〜10%、より好ましくは1〜5%である。
【0023】半導体微粒子を導電性支持体上に塗設する方法としては、半導体微粒子の分散液またはコロイド溶液を導電性支持体上に塗布する方法、前述のゾル−ゲル法などが挙げられる。光電変換素子の量産化、液物性や支持体の融通性を考えた場合、湿式の膜付与方式が比較的有利である。湿式の膜付与方式としては、塗布法、印刷法が代表的である。
【0024】半導体微粒子の分散液を作成する方法としては前述のゾル−ゲル法の他、乳鉢ですり潰す方法、ミルを使って粉砕しながら分散する方法、あるいは半導体を合成する際に溶媒中で微粒子として析出させそのまま使用する方法等が挙げられる。分散媒としては水または各種の有機溶媒(例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ジクロロメタン、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル等)が挙げられる。分散の際、必要に応じてポリマー、界面活性剤、酸、もしくはキレート剤などを分散助剤として用いてもよい。
【0025】塗布方法としては、アプリケーション系としてローラ法、ディップ法、メータリング系としてエアーナイフ法、ブレード法等、またアプリケーションとメータリングを同一部分でできるものとして、特公昭58−4589号公報に開示されているワイヤーバー法、米国特許2681294号、同2761419号、同2761791号等に記載のスライドホッパ法、エクストルージョン法、カーテン法等が好ましい。また汎用機としてスピン法やスプレー法も好ましく用いられる。
【0026】湿式印刷方法としては、従来から凸版、オフセット、グラビアの3大印刷法をはじめ、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等が好ましい。
【0027】前記方法の中から、液粘度やウェット厚みにより好ましい膜付与方式を選択する。
【0028】液粘度は半導体微粒子の種類や分散性、使用溶媒種、界面活性剤やバインダー等の添加剤により大きく左右される。高粘度液(例えば0.01〜500Poise)ではエクストルージョン法やキャスト法が好ましく、低粘度液(例えば0.1Poise以下)ではスライドホッパー法もしくはワイヤーバー法もしくはスピン法が好ましく、均一な膜にすることが可能である。
【0029】なお、エクストルージョン法による低粘度液の塗布の場合でも塗布量がある程度の量あれば塗布は可能である。
【0030】また半導体微粒子の高粘度ペーストの塗設にはしばしばスクリーン印刷が用いられており、この手法を使うこともできる。
【0031】このように塗布液の液粘度、塗布量、支持体、塗布速度等のパラメータに対応して、適宜ウェット膜の付与方式を選択すればよい。
【0032】さらに、半導体微粒子含有層は単層と限定する必要はない。微粒子の粒径の違った分散液を多層塗布することも可能であり、また半導体の種類が異なる、あるいはバインダー、添加剤の組成が異なる塗布層を多層塗布することもでき、また一度の塗布で膜厚が不足の場合にも多層塗布は有効である。多層塗布には、エクストルージョン法またはスライドホッパー法が適している。また多層塗布をする場合は同時に多層を塗布しても良く、数回から十数回順次重ね塗りしてもよい。さらに順次重ね塗りであればスクリーン印刷法も好ましく使用できる。
【0033】一般に、半導体微粒子含有層の厚みが増大するほど単位投影面積当たりの担持色素量が増えるため光の捕獲率が高くなるが、生成した電子の拡散距離が増すため電荷再結合によるロスも大きくなる。したがって、半導体微粒子含有層には好ましい厚さが存在するが、典型的には0.1〜100μm である。光電気化学電池として用いる場合は1〜30μm であることが好ましく、2〜25μm であることがより好ましい。半導体微粒子の支持体1m2当たりの塗布量は0.5〜400g、さらには5〜100g が好ましい。
【0034】半導体微粒子は導電性支持体に塗布した後に粒子同士を電子的にコンタクトさせるため、および塗膜強度の向上や支持体との密着性を向上させるために加熱処理することが好ましい。好ましい加熱処理温度の範囲は40℃以上700℃未満であり、より好ましくは100℃以上600℃以下である。また加熱処理時間は10分〜10時間程度である。ポリマーフィルムなど融点や軟化点の低い支持体を用いる場合は、高温処理は支持体の劣化を招くため、好ましくない。また、コストの観点からもできる限り低温であることが好ましい。低温化は、先に述べた5nm以下の小さい半導体微粒子の併用や鉱酸の存在下での加熱処理等により可能である。
【0035】また、加熱処理後、半導体粒子の表面積を増大させたり、半導体粒子近傍の純度を高め、色素から半導体粒子への電子注入効率を高める目的で、例えば四塩化チタン水溶液を用いた化学メッキや三塩化チタン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行ってもよい。
【0036】半導体微粒子は多くの色素を吸着することができるように表面積の大きいものが好ましい。このため半導体微粒子層を支持体上に塗設した状態での表面積は、投影面積に対して10倍以上であることが好ましく、さらに100倍以上であることが好ましい。この上限には特に制限はないが、通常1000倍程度である。
【0037】以下に本発明で好ましく用いられる色素を具体的に説明する。本発明で好ましく用いられる色素はその化学構造において、隣り会う2個の炭素上(互いに結合を形成している2個の炭素上)にそれぞれ一個以上の酸性基が置換している部分構造を含有するポリメチン色素であり、なかでも隣り会う2個の炭素上にそれぞれ一個以上の酸性基が置換している部分を含有するシアニン色素、メロシアニン色素もしくはオキソノール色素が好ましい。ここで酸性基とは解離することが出来る水素原子を有している基を指し、カルボン酸基、ヒドロキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基などが挙げられるが、好ましくはカルボン酸基、ヒドロキシル基であり、特に好ましくはヒドロキシル基である。これらの酸性基は互いに隣接する炭素に置換していることを特徴としており、この隣り会う炭素は2重結合を形成しているか、芳香族性の環状構造を形成する原子群(例えば、ベンゼン環)の一部分であることが好ましい。
【0038】また隣り会う2個の炭素上にそれぞれ一個以上の酸性基が置換している部分を含有するポリメチン色素としてさらに好ましくは前記の一般式(I)で表されるポリメチン色素が挙げられる。一般式(I)中、L1 、L2 は置換または無置換のメチン基を表す。置換基としては下記の置換基群X及びアルキル基が挙げられるが、好ましくは無置換メチン基である。lは0または1であり、Zは含窒素複素環を形成するに必要な非金属原子群を表す。Zの形成する含窒素複素環が由来する核としては、色素を形成する際に公知の塩基性核、酸性核が挙げられ、具体的にはチアゾリン核、チアゾール核、ベンゾチアゾール核、オキサゾリン核、オキサゾール核、ベンゾオキサゾール核、セレナゾリン核、セレナゾール核、ベンゾセレナゾール核、3,3−ジアルキルインドレニン核(例えば3、3−ジメチルインドレニン)、イミダゾリン核、イミダゾール核、ベンゾイミダゾール核、2ーピリジン核、4ーピリジン核、2ーキノリン核、4ーキノリン核、1ーイソキノリン核、3ーイソキノリン核、イミダゾ[4、5ーb]キノキザリン核、オキサジアゾール核、チアジアゾール核、テトラゾール核、ピリミジン核などを挙げることができるが、好ましくはベンゾチアゾール核、ベンゾオキサゾール核、3,3−ジアルキルインドレニン核(例えば3、3−ジメチルインドレニン)、ベンゾイミダゾール核、2ーピリジン核、4ーピリジン核、2ーキノリン核、4ーキノリン核、1ーイソキノリン核、3ーイソキノリン核であり、さらに好ましくは3,3−ジアルキルインドレニン核(例えば3、3−ジメチルインドレニン)、ベンゾチアゾール核、ベンゾオキサゾール核、2ーキノリン核、4ーキノリン核である。
【0039】Rは置換または無置換の、アルキル基またはアリール基である。Rがアルキル基の場合、例えば炭素数1〜20のアルキル基{例えば、メチル、エチル、nープロピル、nーブチル、nーペンチル、nーヘキシル、nーヘプチル、nーノニル、iープロピル、iーブチル、iーペンチル、tーブチルなどであり、置換されていてもよい。置換基としては例えばアルキルチオ基(たとえばメチルチオ基、エチルチオ基)、アリールチオ基(たとえばフェニルチオ基)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子)、ニトロ基、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ)、アリール基(例えば、フェニル)、アリーロキシ基(例えば、フェノキシ)、アミド基、カルバモイル基、スルホ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、リン酸基、リン酸エステル基などが挙げられる。以下、これらを置換基群Xという。}を挙げることができ、アリール基の場合、例えば炭素数6〜20のアリール基(例えば、フェニル、チエニル、1ーナフチル、2ーナフチルなどであり、置換されていてもよい。置換基としてはアルキル基及び上記の置換基群Xが挙げられる。)を挙げることができる。Rとして特に好ましくはアルキル基である。
【0040】Qは一般式(I)で表される化合物がメチン色素を形成するのに必要なメチン基又はポリメチン基を表す。Qにより、いかなるメチン色素を形成することも可能であるが、好ましくはシアニン色素、メロシアニン色素、ロダシアニン色素、3核メロシアニン色素、アロポーラー色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素などが挙げられる。この際、シアニン色素には色素を形成するメチン鎖上の置換基がスクアリウム環やクロコニウム環を形成したものも含んでいる。これらの色素の詳細については、エフ・エム・ハーマー(F.M.Harmer)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズーシアニンダイズ・アンド・リレィティド・コンパウンズ(Heterocyclic Compounds-Cyanine Dyes and Related Compounds) 」、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons) 社ーニューヨーク、ロンドン、1964年刊、デー・エム・スターマー(D.M.Sturmer) 著「ヘテロサイクリック・コンパウンズースペシャル・トピックス・イン・ヘテロサイクリック・ケミストリー(Heterocyclic Compounds-Special topics in heterocyclic chemistry) 」、第18章、第14節、第482から515貢などに記載されている。 シアニン色素、メロシアニン色素、ロダシアニン色素の一般式は、米国特許第5、340、694号第21〜22欄の(XI)、(XII)、(XIII)に示されているものが好ましく、特には色素を形成するメチン鎖上の置換基がスクアリウム環を形成するものが好ましい。
【0041】V1、V2はそれぞれ同じでも良く、異なっても良い酸性基である。酸性基とは解離することが出来る水素原子を有している基を指し、カルボン酸基、ヒドロキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基などが挙げられるが、好ましくはカルボン酸基、ヒドロキシル基であり、特に好ましくはヒドロキシル基である。
【0042】Wは電荷を中和させるのに必要な場合の対イオンを表す。ある化合物が陽イオン、陰イオンであるか、あるいは正味のイオン電荷を持つかどうかは、その置換基に依存する。典型的な陽イオンはアンモニウムイオン及びアルカリ金属イオンであり、一方陰イオンは無機イオンあるいは有機イオンのいずれであってもよい。陽イオンとしては、たとえば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン、1ーエチルピリジニウムイオンであり、陰イオンとしては、たとえば、ハロゲン陰イオン(例えば、塩素イオン、臭素イオン、フッ素イオン、ヨウ素イオン)、置換アリールスルホン酸イオン(例えば、パラトルエンスルホン酸イオン)、アルキル硫酸イオン(例えば、メチル硫酸イオン)、硫酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、酢酸イオンなどが挙げられる。
【0043】以下に本発明の一般式(I)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0044】
【化3】

【0045】
【化4】

【0046】
【化5】

【0047】
【化6】

【0048】
【化7】

【0049】
【化8】

【0050】
【化9】

【0051】
【化10】

【0052】
【化11】

【0053】本発明の一般式(I)で表される化合物は、エフ・エム・ハーマー(F.M.Harmer)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズーシアニンダイズ・アンド・リレィティド・コンパウンズ(Heterocyclic Compounds-Cyanine Dyes and Related Compounds) 」、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons) 社ーニューヨーク、ロンドン、1964年刊、デー・エム・スターマー(D.M.Sturmer) 著「ヘテロサイクリック・コンパウンズースペシャル・トピックス・イン・ヘテロサイクリック・ケミストリー(Heterocyclic Compounds-Special topics in heterocyclic chemistry) 」、第18章、第14節、第482から515項、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons) 社ーニューヨーク、ロンドン、1977年刊、「ロッズ・ケミストリー・オブ・カーボン・コンパウンズ(Rodd's Chemistry of Carbon Compounds)」2nd.Ed.vol.IV,partB,1977刊、第15章、第369から422項、エルセビア・サイエンス・パブリック・カンパニー・インク(Elsevier Science Publishing Company Inc.)社刊、ニューヨーク、英国特許第1、077、611号などに記載の方法に基づいて合成することができる。
【0054】以下に合成例を示す。
【0055】合成例1.
(化合物S−1の合成)化合物(S−1)は下記に示したスキ−ムに従って合成することができる。
【0056】
【化12】

【0057】(A−1)0.18gと(B−1)0.15gを1-ブタノール2ml、トルエン2ml混合溶媒中に溶かし、140 ℃で5時間加熱する。反応後酢酸エチルを加えて得られた結晶を吸引ろ過によりろ別して、メタノールーアセトニトリル混合溶媒より再結晶して(S−1)を0.20g得た。(λmax=664nm(ε=3.0x105)(メタノール中))
【0058】合成例2.
(化合物S−2の合成)化合物(S−2)は下記に示したスキ−ムに従って合成することができる。
【0059】
【化13】

【0060】(A−2)0.18gと(B−2)0.18gを1-ブタノール4ml、トルエン2ml混合溶媒中に溶かし、120 ℃で5時間加熱する。反応後酢酸エチルを加えて得られた結晶を吸引ろ過によりろ別して、メタノールーアセトニトリル混合溶媒より再結晶して(S−1)を0.20g得た。(λmax=660nm(ε=3.1x105)(メタノール中))
【0061】合成例3.
(化合物S−18の合成)化合物(S−18)は下記に示したスキ−ムに従って合成することができる。
【0062】
【化14】

【0063】(A−3)0.14gに(B−3)0.14g、ブタノール2ml、トルエン2mlを加え、脱水しつつ120 ℃で5時間加熱する。放冷後酢酸エチルエステルを加えて得られた結晶を吸引ろ過によりろ別して、メタノールーアセトニトリル混合溶媒より再結晶して(S−18)を0.15g得た。(λmax=746nm(ε=1.9x105)(メタノール中))
【0064】半導体微粒子に色素を吸着させる方法は色素溶液中によく乾燥した半導体微粒子を含有する作用電極を浸漬するか、もしくは色素溶液を半導体微粒子層に塗布して吸着させる方法を用いることができる。前者の場合、浸漬法、ディップ法、ローラ法、エアーナイフ法などが使える。後者の塗布方法としては、ワイヤーバー法、スライドホッパ法、エクストルージョン法、カーテン法、スピン法、スプレー法があり、印刷方法としては、凸版、オフセット、グラビア、スクリーン印刷等がある。
【0065】液粘度も半導体微粒子層の形成時と同様に、高粘度液(例えば0.01〜500Poise )ではエクストルージョン法の他、各種印刷法が、低粘度液(例えば0.1Poise 以下)ではスライドホッパー法もしくはワイヤーバー法もしくはスピン法が適していて、均一な膜にすることが可能である。
【0066】このように色素塗布液の液粘度、塗布量、支持体、塗布速度等のパラメータに対応して、適宜付与方式を選択すればよい。塗布後の色素吸着に要する時間は、量産化を考えた場合、なるべく短い方がよい。
【0067】未吸着の色素の存在は素子性能の外乱になるため、吸着後速やかに洗浄によって除去することが好ましい。湿式洗浄槽を使い、アセトニトリル等の極性溶剤、アルコール系溶剤のような有機溶媒で洗浄を行うのがよい。また、吸着色素量を増大させるため、加熱処理を吸着前に行うことが好ましい。加熱処理後、半導体微粒子表面に水が吸着するのを避けるため、常温に戻さず40〜80℃の間で素早く色素を吸着させることも好ましい。
【0068】色素の使用量は、全体で、支持体1m2当たり0.01〜100m モルが好ましい。また、色素の半導体微粒子に対する吸着量は半導体微粒子1g に対して0.01〜1m モルが好ましい。このような色素量とすることによって、半導体における増感効果が十分に得られる。これに対し、色素量が少ないと増感効果が不十分となり、色素量が多すぎると、半導体に付着していない色素が浮遊し増感効果を低減させる原因となる。
【0069】また、会合など色素同士の相互作用を低減する目的で無色の化合物を共吸着させてもよい。共吸着させる疎水性化合物としてはカルボキシ基を有するステロイド化合物(例えばコール酸)等が挙げられる。また、紫外線吸収剤を併用することもできる。
【0070】また、余分な色素の除去を促進する目的で、色素を吸着した後にアミン類を用いて半導体微粒子の表面を処理してもよい。好ましいアミン類としてはピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ポリビニルピリジン等が挙げられる。これらが液体の場合はそのまま用いてもよいし有機溶媒に溶解して用いてもよい。
【0071】以下、電荷移動層と対極について詳しく説明する。電荷移動層は色素の酸化体に電子を補充する機能を有する層である。本発明で用いることのできる代表的な電荷移動層の例としては酸化還元対を有機溶媒に溶解した液体(電解液)、酸化還元対を有機溶媒に溶解した液体をポリマーマトリクスに含浸したいわゆるゲル電解質、酸化還元対を含有する溶融塩などが挙げられる。さらには固体電解質や正孔(ホール)輸送材料を用いることもできる。
【0072】本発明で使用する電解液は電解質、溶媒、および添加物から構成されることが好ましい。本発明の電解質はI2 とヨウ化物の組み合わせ(ヨウ化物としてはLiI、NaI、KI、CsI、CaI2 などの金属ヨウ化物、あるいはテトラアルキルアンモニウムヨーダイド、ピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイドなど4級アンモニウム化合物のヨウ素塩など)、Br2 と臭化物の組み合わせ(臭化物としてはLiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBr2 などの金属臭化物、あるいはテトラアルキルアンモニウムブロマイド、ピリジニウムブロマイドなど4級アンモニウム化合物の臭素塩など)のほか、フェロシアン酸塩−フェリシアン酸塩やフェロセン−フェリシニウムイオンなどの金属錯体、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール−アルキルジスルフィドなどのイオウ化合物、ビオロゲン色素、ヒドロキノン−キノンなどを用いることができる。この中でもI2 とLiIやピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイドなど4級アンモニウム化合物のヨウ素塩を組み合わせた電解質が本発明では好ましい。上述した電解質は混合して用いてもよい。また、電解質はEP-718288 号、WO95/18456号、J. Electrochem. Soc., Vol.143,No.10,3099(1996)、Inorg. Chem. 1996,35,1168-1178に記載された室温で溶融状態の塩(溶融塩)を使用することもできる。溶融塩を電解質として使用する場合、溶媒は使用しなくても構わない。
【0073】好ましい電解質濃度は0.1M 以上15M 以下であり、さらに好ましくは0.2M 以上10M 以下である。また、電解質にヨウ素を添加する場合の好ましいヨウ素の添加濃度は0.01M 以上0.5M 以下である。
【0074】本発明で電解質に使用する溶媒は、粘度が低くイオン易動度を向上したり、もしくは誘電率が高く有効キャリアー濃度を向上したりして、優れたイオン伝導性を発現できる化合物であることが望ましい。このような溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート化合物、3−メチル−2−オキサゾリジノンなどの複素環化合物、ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテル化合物、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテルなどの鎖状エーテル類、メタノール、エタノール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルなどのアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール類、アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル化合物、ジメチルスルフォキシド(DMSO)、スルフォランなど非プロトン極性物質、水などを用いることができる。
【0075】また、本発明では、J. Am. Ceram. Soc .,80 (12)3157-3171(1997)に記載されているようなter-ブチルピリジンや、2−ピコリン、2,6−ルチジン等の塩基性化合物を添加することもできる。塩基性化合物を添加する場合の好ましい濃度範囲は0.05M 以上2M以下である。
【0076】本発明では、電解質はポリマー添加、オイルゲル化剤添加、多官能モノマー類を含む重合、ポリマーの架橋反応等の手法によりゲル化(固体化)させて使用することもできる。ポリマー添加によりゲル化させる場合は、¨Polymer Electrolyte Reviews-1 および2 ¨(J. R.MacCallum とC.A. Vincentの共編、ELSEVIER APPLIED SCIENCE) に記載された化合物を使用することができるが、特にポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデンを好ましく使用することができる。オイルゲル化剤添加によりゲル化させる場合はJ. Chem Soc. Japan, Ind. Chem.Soc.,46779(1943), J. Am. Chem. Soc., 111,5542(1989), J. Chem. So c., Chem. Commun., 1993, 390, Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 35,1949(1996), Chem. Lett., 1996, 885, J. Chm. Soc., Chem. Commun., 1997,545 に記載されている化合物を使用することができるが、好ましい化合物は分子構造中にアミド構造を有する化合物である。
【0077】ゲル電解質を多官能モノマー類の重合によって形成する場合、多官能モノマー類、重合開始剤、電解質、溶媒から溶液を調製し、キャスト法,塗布法,浸漬法、含浸法などの方法により色素を担持した電極上にゾル状の電解質層を形成し、その後ラジカル重合することによってゲル化させる方法が好ましい。多官能性モノマーはエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物であることが好ましく、例えばジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートが好ましい例として挙げられる。ゲル電解質を構成するモノマー類はこの他に単官能モノマーを含んでいてもよく、アクリル酸またはα−アルキルアクリル酸(例えばメタクリル酸など)類から誘導されるエステル類もしくはアミド類(例えばN−iso−プロピルアクリルアミ ド、アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、メチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレートなど)、ビニルエステル類(例えば酢酸ビニル)、マレイン酸またはフマル酸から誘導されるエステル類(例えばマレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジエチルなど)、マレイン酸、フマル酸、p−スチレンスルホン酸のナトリウム塩、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ジエン類(例えばブタジエン、シクロペンタジエン、イソプレン)、芳香族ビニル化合物(例えばスチレン、p−クロルスチレン、スチレンスルホン酸ナトリウム)、含窒素複素環を有するビニル化合物、4級アンモニウム塩を有するビニル化合物、N−ビニルホルムアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、ビニルスルホン酸、ビニルスルホン酸ナトリウム、ビニリデンフルオライド、ビニリデンクロライド、ビニルアルキルエーテル類(例えばメチルビニルエーテル)、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、N−フェニルマレイミド等を好ましく使用することができる。モノマー全量に占める多官能性モノマーの好ましい重量組成範囲は0.5 重量% 以上70重量% 以下であることが好ましく、さらに好ましくは1.0 重量%以上50重量%以下である。
【0078】上述のモノマーは、大津隆行・木下雅悦共著:高分子合成の実験法(化学同人)や大津隆行:講座重合反応論1ラジカル重合(I)(化学同人)に記載された一般的な高分子合成法であるラジカル重合によって重合することができる。本発明で使用できるゲル電解質用モノマーは、加熱、光、電子線、また電気化学的にラジカル重合することができるが、特に加熱によってラジカル重合させることが好ましい。架橋高分子が加熱により形成される場合に好ましく使用される重合開始剤は、例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(ジメチル2,2′−アゾビスイソブチレート)などのアゾ系開始剤、ベンゾイルパーオキシドなどの過酸化物系開始剤等である。重合開始剤の好ましい添加量はモノマー総量に対し0.01重量%以上20重量%以下であり、さらに好ましくは0.1重量%以上10重量%以下である。
【0079】ゲル電解質に占めるモノマー類の重量組成範囲は0.5 重量% 以上70重量% 以下であることが好ましく、さらに好ましくは1.0 重量%以上50重量%以下である。
【0080】また、ポリマーの架橋反応により電解質をゲル化させる場合、架橋可能な反応性基を含有するポリマーおよび架橋剤を併用することが望ましい。この場合、好ましい架橋可能な反応性基は、含窒素複素環(例えば、ピリジン環、イミダゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、トリアゾール環、モルホリン環、ピペリジン環、ピペラジン環など)であり、好ましい架橋剤は、窒素原子に対して求電子反応可能な2官能以上の試薬(例えば、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アラルキル、スルホン酸エステル、酸無水物、酸クロライド、イソシアネートなど)である。
【0081】本発明では、電解質の替わりに有機または無機あるいはこの両者を組み合わせた正孔輸送材料を使用することができる。本発明に適用可能な有機正孔輸送材料としては、N ,N'−ジフェニル-N、N'- ビス(4- メトキシフェニル)−(1 ,1'- ビフェニル)-4,4'−ジアミン(J.Hagen et al.,Synthetic Metal 89(1997)215-220)、2,2',7,7'-テトラキス(N,N-ジ-p- メトキシフェニルアミン)9,9'−スピロビフルオレン(Nature,Vol.395, 8 Oct. 1998,p583-585およびWO97/10617)、1,1-ビス{4-(ジ−p−トリルアミノ)フェニル}シクロヘキサンの3 級芳香族アミンユニットを連結した芳香族ジアミン化合物(特開昭59−194393号公報)、4 ,4 ,‐ビス[(N-1-ナフチル)‐N-フェニルアミノ]ビフェニルで代表される2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族アミン(特開平5 −234681号公報)、トリフェニルベンゼンの誘導体でスターバースト構造を有する芳香族トリアミン(米国特許第4 ,923 ,774 号、特開平4 −308688号公報)、N ,N '-ジフエニル-N、N'- ビス(3-メチルフェニル)- (1 ,1'- ビフェニル)-4,4'- ジアミン等の芳香族ジアミン(米国特許第4 ,764 ,625 号)、α,α,α' ,α'-テトラメチル- α,α'-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)-p- キシレン(特開平3 −269084号公報)、p-フェニレンジアミン誘導体、分子全体として立体的に非対称なトリフェニルアミン誘導体(特開平4 −129271号公報)、ピレニル基に芳香族ジアミノ基が複数個置換した化合物(特開平4 −175395号公報)、エチレン基で3級芳香族アミンユニツトを連結した芳香族ジアミン(特開平4 −264189号公報)、スチリル構造を有する芳香族ジアミン(特開平4 −290851号公報)、ベンジルフェニル化合物(特開平4−364153号公報)、フルオレン基で3 級アミンを連結したもの(特開平5−25473 号公報)、トリアミン化合物(特開平5 −239455号公報)、ピスジピリジルアミノビフェニル(特開平5 −320634号公報)、N ,N ,N −トリフェニルアミン誘導体(特開平6 −1972号公報)、フェノキザジン構造を有する芳香族ジアミン(特願平5 −290728号)、ジアミノフエニルフエナントリジン誘導体(特願平6 −45669 号)等に示される芳香族アミン類、α- オクチルチオフェンおよびα, ω- ジヘキシル- α- オクチルチオフェン(Adv. Mater. 1997,9,N0.7,p557) 、ヘキサドデシルドデシチオフェン(Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1995, 34, No.3,p303-307) 、2,8-ジヘキシルアンスラ[2,3-b:6,7-b']ジチオフェン(JACS,Vol120, N0.4,1998,p664-672) 等のオリゴチオフェン化合物、ポリピロール(K. Murakoshi et al.,;Chem. Lett. 1997, p471 )、¨ Handbook of Organic Conductive Molecules and Polymers Vol.1,2,3,4¨(NALWA 著、WILEY 出版)に記載されているポリアセチレンおよびその誘導体、ポリ(p−フェニレン) およびその誘導体、ポリ( p-フェニレンビニレン) およびその誘導体、ポリチエニレンビニレンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリトルイジンおよびその誘導体等の導電性高分子を好ましく使用することができる。また、有機正孔(ホール)輸送材料にはNature,Vol.395, 8 Oct. 1998,p583-585に記載されているようにドーパントレベルをコントロールするためにトリス(4- ブロモフェニル)アミニウムヘキサクロロアンチモネートのようなカチオンラジカルを含有する化合物を添加したり、酸化物半導体表面のポテンシャル制御(空間電荷層の補償)を行うためにLi[(CF3SO2)2N]のような塩を添加しても構わない。
【0082】有機正孔輸送材料は真空蒸着法,キャスト法,塗布法,スピンコート法、浸漬法、電解重合法、光電解重合法等の手法により電極内部に導入することができる。また、正孔輸送材料を電解液の替わりに使用するときは短絡防止のためElectorochim. Acta 40, 643-652(1995)に記載されているスプレーパイロリシス等の手法を用いて二酸化チタン薄層を下塗り層として塗設することが好ましい。
【0083】無機固体化合物を電解質の替わりに使用する場合、ヨウ化銅(p-CuI) (J. Phys. D:Appl. Phys. 31(1998)1492-1496)、チオシアン化銅(Thin Solid Films 261(1995)307-310 、J. Appl. Phys. 80(8),15 October 1996, p4749-4754、Chem. Mater. 1998, 10, 1501-1509、Semicond. Sci. Technol. 10, 1689-1693 )等をキャスト法,塗布法,スピンコート法、浸漬法、電解メッキ法等の手法により電極内部に導入することができる。
【0084】電荷移動層の形成方法に関しては2通りの方法が考えられる。1つは増感色素を担持させた半導体微粒子含有層の上に先に対極を貼り合わせておき、その間隙に液状の電荷移動層を挟み込む方法である。もう1つは半導体微粒子含有層上に直接電荷移動層を付与する方法で、対極はその後付与することになる。
【0085】前者の場合の電荷移動層の挟み込み方法として、浸漬等による毛管現象を利用する常圧プロセスと常圧より低い圧力にして気相を液相に置換する真空プロセスが利用できる。
【0086】後者の場合、湿式の電荷移動層においては未乾燥のまま対極を付与し、エッジ部の液漏洩防止措置も施すことになる。またゲル電解質の場合には湿式で塗布して重合等の方法により固体化する方法もあり、その場合には乾燥、固定化した後に対極を付与することもできる。電解液のほか湿式有機正孔輸送材料やゲル電解質を付与する方法としては、半導体微粒子含有層や色素の付与と同様に、浸漬法、ローラ法、ディップ法、エアーナイフ法、エクストルージョン法、スライドホッパー法、ワーヤーバー法、スピン法、スプレー法、キャスト法、各種印刷法等が考えられる。固体電解質や固体の正孔(ホール)輸送材料の場合には真空蒸着法やCVD法等のドライ成膜処理で電荷移動層を形成し、その後対極を付与することもできる。
【0087】量産化を考える場合、固体化できない電解液や湿式の正孔輸送材料の場合には、塗設後速やかにエッジ部分を封止することで対応も可能であるが、固体化可能な正孔輸送材料の場合は湿式付与により正孔輸送層を膜形成した後、例えば光重合や熱ラジカル重合等の方法により固体化することがより好ましい。このように膜付与方式は液物性や工程条件により適宜選択すればよい。
【0088】なお、電荷移動層中の水分としては10,000ppm以下が好ましく、さらに好ましくは2,000ppm以下であり、特に好ましくは100ppm以下である。
【0089】対極は、光電変換素子を光電気化学電池としたとき、光電気化学電池の正極として働くものである。対極は通常前述の導電性支持体と同様に導電性層を有する支持体を用いることもできるが、強度や密封性が十分に保たれるような構成では支持体は必ずしも必要でない。具体的に対極に用いる導電性の材料としては金属(例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム等)、炭素、または導電性の金属酸化物(インジウム−スズ複合酸化物、酸化スズにフッ素をドープしたもの等)が挙げられる。対極の厚さは、特に制限はないが、3nm以上10μm以下であることが好ましい。金属材料である場合は、その膜厚は好ましくは5μm 以下であり、さらに好ましくは5nm以上3μm以下の範囲である。
【0090】感光層に光が到達するためには、前述の導電性支持体と対極の少なくとも一方は実質的に透明でなければならない。本発明の光電気化学電池においては、導電性支持体が透明であって太陽光を支持体側から入射させるのが好ましい。この場合対極は光を反射する性質を有することがさらに好ましい。本発明において対極としては金属または導電性の酸化物を蒸着したガラスまたはプラスチック、あるいは金属薄膜を使用できる。
【0091】対極の塗設については電荷移動層の付与で記したように、電荷移動層の上に付与する場合と先に半導体微粒子含有層上に付与する場合の2通りある。いずれの場合も、対極材の種類や電荷移動層の種類により、適宜、電荷移動層上または半導体微粒子含有層上に対極材を塗布、ラミネート、蒸着、貼り合わせなどの方法により形成可能である。例えば、対極を貼り合わせる場合は、上記の導電性材料を塗布、蒸着、CVD等の手法により導電層として設けられた基板を貼り合わせることができる。また、電荷移動層が固体の場合には、その上に直接、前述の導電性材料を塗布、メッキ、PVD、CVD等の手法で対極を形成することができる。
【0092】さらに、作用電極の導電性支持体または対極に保護層、反射防止膜など、必要な他の機能の層を設けることも可能である。このような層を多層にて機能分離させる場合、同時多層塗布や逐次で塗布することが可能であるが、生産性を優先させると同時多層塗布がより好ましい。同時多層塗布では、生産性および膜付与均一性を考えた場合、スライドホッパー法やエクストルージョン法が適している。また、これらの機能層はその材料により、蒸着や貼り付けなどの手法を用いて設けることもできる。
【0093】本発明の光電気化学電池では構成物の劣化や内容物の揮散を防止するために電池の側面をポリマーや接着剤等で密封するのが好ましい。
【0094】次に本発明の光電変換素子をいわゆる太陽電池に適用する場合のセル構造およびモジュール構造について説明する。
【0095】色素増感型太陽電池のセル内部の構造は、基本的には上述した光電変換素子や光電気化学電池と同じであるが、図2または図3に示すように目的に合わせ様々な形態が可能である。大きく二つに分ければ、両面から光の入射が可能な構造[図2(a)(d)、図3(g)]と、片面からのみ可能なタイプ[図2(b)(c)、図3(e)(f)(h)]である。
【0096】図2(a)は、透明導電層12間に、色素吸着半導体微粒子含有層である色素吸着TiO2 層10と、電荷移動層11とを介在させた構造である。図2(b)は、透明基板13上に一部金属リード9を設け、さらに透明導電層12を設け、下塗り層14、色素吸着TiO2 層10、電荷移動層11および金属層8をこの順で設け、さらに支持基板15を配置した構造である。図2(c)は、支持基板15上にさらに金属層8を有し、下塗り層14を介して色素吸着TiO2 層10を設け、さらに電荷移動層11と透明導電層12とを設け、一部に金属リード9を設けた透明基板13を、金属リード9側を内側にして配置した構造である。図2(d)は、透明基板13上に一部金属リード9を設け、さらに透明導電層12を設けたものの間に下塗り層14と色素吸着TiO2 層10と電荷移動層11とを介在させた構造である。図3(e)は、透明基板13上に透明導電層12を有し、下塗り層14を介して色素吸着TiO2 層10を設け、さらに電荷移動層11および金属層8を設け、この上に支持基板15を配置した構造である。図3(f)は、支持基板15上に金属層8を有し、下塗り層14を介して色素吸着TiO2 層10を設け、さらに電荷移動層11および透明導電層12を設け、この上に透明基板13を配置した構造である。図3(g)は、透明導電層12を有する透明基板13間に、透明導電性層12を内側にして、下塗り層14、色素吸着TiO2 層10および電荷移動層11を介在させた構造である。図3(h)は、支持基板15上に金属層8を設け、下塗り層14を介して色素吸着TiO2 層10を設け、さらに固体の電荷移動層16を設け、この上に一部金属層8または金属リード9を有する構造である。
【0097】本発明の色素増感型太陽電池のモジュール構造は、従来の太陽電池モジュールと基本的には同様の構造をとりうる。一般的には、金属・セラミック等の支持基板の上にセルが構成され、その上を充填樹脂や保護ガラス等で覆い、支持基板の反対側から光を取り込む構造とすることができるが、支持基板に強化ガラス等の透明材料を用い、その上にセルを構成してその透明の支持基板側から光を取り込むことも可能である。具体的には、スーパーストレートタイプ、サブストレートタイプ、ポッティングタイプと呼ばれるモジュール構造あるいはアモルファスシリコン太陽電池などで用いられる基板一体型などのモジュール構造が可能である。これらのモジュール構造は使用目的や使用場所(環境)により適宜選択できる。本発明の素子を基板一体型でモジュール化した例を図4に示す。
【0098】図4の構造は、透明基板13の一方の面上に透明導電層12を有し、この上にさらに色素吸着TiO2 層10、固体の電荷移動層16および金属層8を設けたセルをモジュール化したものであり、透明基板13の他方の面には反射防止層17が設けられている。この場合、入射光の利用効率を高めるために、感光部である色素吸着TiO2 層10の面積比率( 光の入射面である透明基板13側から見たときの面積比率)を大きくした方が好ましい。
【0099】スーパーストレートタイプやサブストレートタイプの代表的な構造は、片側または両側が透明で反射防止処理を施された支持基板の間に、一定間隔にセルが配置され、隣り合うセル間が金属リードまたはフレキシブル配線等によって接続されており、外縁部に集電電極を配置して、発生した電力を外部に取り出す構造になっている。基板とセルの間には、セルの保護や集電効率アップのため、目的に応じ、エチレンビニルアセテート(EVA)等様々な種類のプラスチック材料をフイルムまたは充填樹脂の形で用いることができる。また、外部からの衝撃が少ないところなど表面を硬い素材で覆う必要のない場所に使う場合には、表面保護層を透明プラスチックフイルムで構成したり、または、上記充填・封止材料を硬化させることによって保護機能を付与し、片側の支持基板をなくすことも可能である。支持基板の周囲は、内部の密封およびモジュールの剛性確保のため、金属製のフレームでサンドイッチ状に固定し、支持基板とフレームの間は封止材で密封シールする。
【0100】また、セルそのものや支持基板、充填材および封止部材に可撓性の素材を用いれば、曲面の上に太陽電池を構成することもできる。このように、使用目的や使用環境に合わせて様々な形状・機能を持つ太陽電池を製作することができる。
【0101】スーパーストレートタイプの太陽電池モジュールは、例えば、基板供給装置から送り出されたフロント基板をベルトコンベヤ等で搬送しながら、その上にセルを封止材・セル間接続用リード線・背面封止材等と共に順次積層した後、背面基板または背面カバーを乗せ、外縁部にフレームをセットして作ることができる。
【0102】一方、サブストレートタイプの場合、基板供給装置から送り出された支持基板をベルトコンベヤ等で搬送しながら、その上にセルをセル間接続用リード線・封止材等と共に順次積層した後、フロントカバーを乗せ、周縁部にフレームをセットして作製することができる。
【0103】図4に示した構造のモジュールは、支持基板上に透明電極・感光層・電荷移動層・裏面電極等が立体的かつ一定間隔で配列されるように、選択メッキ・選択エッチング・CVD・PVDといった半導体プロセス技術、あるいはパターン塗布または広幅で塗布した後にレーザースクライビングやプラズマCVM(Solar Energy Materials and Solar Cells, 48, p373-381等に記載)または研削等の機械的手法などの方法でパターニングすることができ、これらにより所望のモジュール構造を得ることができる。
【0104】以下にその他の部材や工程について詳述する。封止材料としては、液状のEVA(エチレンビニルアセテート)やフッ化ビニリデン共重合体とアクリル樹脂混合物フイルム状のEVA等、耐候性付与電気絶縁性付与・集光効率向上・セル保護性(耐衝撃性)向上等の目的に応じ様々な素材が使用可能である。
【0105】これらを、セル上に固定する方法としては、封止材の物性に合わせ、フイルム状の素材ではロール加圧後加熱密着や真空加圧後加熱密着、液またはペースト状の材料ではロールコート、バーコート、スプレーコート、スクリーン印刷等の様々な方法がある。
【0106】また、透明フィラーを封止材に混入して強度を上げたり、光透過率を上げることができる。
【0107】モジュール外縁と周縁を囲むフレームとの間は、耐候性防湿性が高い樹脂を使って封止するとよい。
【0108】支持基板としてPET・PEN等の可撓性素材を用いる場合は、ロール状の支持体を繰り出してその上にセルを構成した後、上記の方法で連続して封止層を積層することができ、生産性の高い工程を造ることができる。
【0109】発電効率を上げるため、モジュールの光取り込み側の基板(一般的には強化ガラス)の表面には反射防止処理が施される。これには、反射防止膜をラミネートする方法、反射防止層をコーティングする方法がある。
【0110】また、セルの表面をグルービングまたはテクスチャリング等の方法で処理することによって入射した光の利用効率を高めることが可能である。
【0111】発電効率を上げるためには、光を損失なくモジュール内に取り込むことが最重要だが、光電変換層を透過してその内側まで到達した光を反射させて光電変換層側に効率良く戻すことも重要である。このためには、支持基板面を鏡面研磨した後、AgやAl等を蒸着またはメッキする方法、セルの最下層にAl−MgまたはAl−Tiなどの合金層を反射層として設ける方法、あるいは、アニール処理によって最下層にテクスチャー構造を作り反射率を高める方法等がある。
【0112】発電効率を上げるためには、セル間接続抵抗を小さくすることが、内部電圧降下を抑える意味で重要である。
【0113】ワイヤーボンディングや導電性のフレキシブルシートで接続するのが一般的だが、導電性粘着テープや導電性接着剤を使ってセルの固定機能と電気的な接続機能を兼ねる方法、導電性ホットメルトを所望の位置にパターン塗布する方法等が有る。
【0114】ポリマーフィルムなどのフレキシブル支持体を使った太陽電池では、ロール状の支持体を送り出しながら半導体の塗設の説明で示した方法によって、順次、セルを形成・所望のサイズに切断した後、周縁部をフレキシブルで防湿性のある素材でシールして、電池本体を作製できる。また、Solar Energy Materials andSolar Cells, 48, p383-391記載の「SCAF」とよばれるモジュール構造とすることもできる。
【0115】フレキシブル支持体の太陽電池では、更にこれを曲面ガラス等に接着固定して使用することもできる。
【0116】
【実施例】以下、本発明を比較例とともに示す実施例によって具体的に説明する。実施例および比較例で用いた色素は表1に示す通りである。
[実施例1]
1.二酸化チタン分散液の調製内側をテフロンコーティングした内容積200mlのステンレス製ベッセルに二酸化チタン(日本アエロジル社 Degussa P−25)15g、水45g、分散剤(アルドリッチ社製、Triton X−100)1g、直径0.5mmのジルコニアビーズ(ニッカトー社製)30gを入れ、サンドグラインダーミル(アイメックス社製)を用いて1500rpmにて2時間分散した。分散物からジルコニアビーズをろ過して除いた。この場合の二酸化チタンの平均粒径は2.5μmであった。このときの粒径はMALVERN社製マスターサイザーにて測定したものである。
【0117】2.色素を吸着したTiO2 電極の作製フッ素をドープした酸化スズをコーティングした導電性ガラス(旭硝子製TCOガラス- U を20mm×20mmの大きさに切断加工したもの)の導電面側にガラス棒を用いて上記の分散液を塗布した。この際、導電面側の一部(端から3mm)に粘着テープを張ってスペーサーとし、粘着テープが両端に来るようにガラスを並べて一度に8枚ずつ塗布した。塗布後、粘着テープを剥離し、室温で1日間風乾した。次に、このガラスを電気炉(ヤマト科学製マッフル炉FP−32型)に入れ、450℃にて30分間焼成し、TiO2 電極を得た。この電極を取り出し冷却した後、表1の色素をDMSO/エタノール(体積比2.5/97.5、ケノデオキシコール酸40mMを添加)に溶かした溶液(いずれの色素も3×10-4モル/リットル)に15時間浸漬した。色素の染着したTiO2 電極を4−tert−ブチルピリジンに15分間浸漬した後、エタノールで洗浄し自然乾燥させた。このようにして得られる感光層の厚さは10μm であり、半導体微粒子の塗布量は20g/m2とした。なお、導電性ガラスの表面抵抗は約30Ω/ □であった。
【0118】3.光電気化学電池作製上述のようにして作製した色増感されたTiO2 電極基板(2cm×2cm)をこれと同じ大きさの白金蒸着ガラスと重ね合わせた。次に、両ガラスの隙間に毛細管現象を利用して電解液(メトキシプロピオニトリルに電解質として1-メチル-3- ヘキシルイミダゾリウムのヨウ素塩0.65モル/リットルおよびヨウ素0.05モル/リットルを加えたもの)をしみこませ、TiO2 電極中に導入し、光電気化学電池を得た。本実施例により、図1に示したとおり、導電性ガラス1(ガラス上に導電剤層2が設層されたもの)、TiO2 層3、色素層4、電解液5、白金層6およびガラス7を順に積層しエポキシ系封止剤で封止された光電気化学電池が作製された。
【0119】4.光電変換効率の測定光電変換効率は次のようにして測定した。500Wのキセノンランプ(ウシオ製)の光を分光フィルター(Oriel社製AM1.5 )およびシャープカットフィルター(KenkoL−42)を通すことにより紫外線を含まない模擬太陽光を発生させた。この光の強度は86mW/cm2であった。作製した光電気化学電池に模擬太陽光を照射し、発生した電 気を電流電圧測定装置(ケースレーSMU 238型)にて測定した。これにより求められた光電気化学電池の変換効率(η)を表1に記載した。
【0120】
【表1】

【0121】
【発明の効果】本発明により、光電変換効率の優れた光電変換素子および光電気化学電池が得られた。




 

 


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