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発明の名称 多層回路基板
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−217544(P2001−217544A)
公開日 平成13年8月10日(2001.8.10)
出願番号 特願2000−245650(P2000−245650)
出願日 平成12年8月14日(2000.8.14)
代理人 【識別番号】100080687
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 順三 (外1名)
【テーマコード(参考)】
5E317
5E346
【Fターム(参考)】
5E317 AA24 BB01 BB02 BB03 BB12 CC25 CC33 CC53 CD32 GG14 
5E346 AA04 AA05 AA06 AA12 AA22 AA32 AA43 AA51 BB15 BB16 CC02 CC04 CC09 CC32 DD02 DD12 DD25 DD32 DD33 DD44 EE06 EE09 EE13 EE15 EE19 EE33 EE38 FF06 FF07 FF09 FF10 FF12 FF18 FF24 FF35 FF45 GG15 GG17 GG18 GG19 GG22 GG25 GG27 GG28 HH11 HH22 HH25
発明者 浅井 元雄 / 苅谷 隆
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 内層に導体回路を有する多層化基板の一方の表面上には、層間樹脂絶縁層と導体層とが交互に積層され、各導体層間がビアホールにて接続されたビルドアップ配線層が形成されてなる多層回路基板において、上記多層化基板は、絶縁性硬質基材の片面または両面に導体回路を有し、この絶縁性硬質基材を貫通して前記導体回路に達する孔内に、導電性物質が充填されてなるビアホールを有する回路基板の複数枚が、接着剤層を介して積層され、一括して加熱プレスされることで形成され、さらに、上記ビルドアップ配線層の最も外側の導体層表面には、ビアホール直上に位置して、LSI等の半導体チップを含む電子部品に接続されるはんだバンプが配設され、また前記多層化基板の他方の表面に露出する導体回路上には、前記充填ビアホールの直上に位置して、マザーボードに接続される導電性ピンまたは導電性ボールが配設されていることを特徴とする多層回路基板。
【請求項2】 上記導電性物質は、金属粒子と、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂とからなる導電性ペーストであることを特徴とする請求項1に記載の多層回路基板。
【請求項3】 上記導電性物質層は、電解めっき処理によって形成された電解銅めっきであることを特徴とする請求項1に記載の多層回路基板。
【請求項4】 上記多層化基板を構成する各回路基板は、そのビアホール位置に対応して、そのビアホールに電気的接続された突起状導体が形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の多層回路基板。
【請求項5】 上記突起状導体は、導電性ペーストから形成されることを特徴とする請求項4に記載の多層回路基板。
【請求項6】 上記ビルドアップ配線層のビアホールの一部は、上記多層化基板に形成されたビアホールの直上に位置して、そのビアホールに直接接続されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の多層回路基板。
【請求項7】上記多層化基板を構成する各回路基板の絶縁性基材は、ガラス布エポキシ樹脂基材、ガラス布ビスマレイミドトリアジン樹脂基材、ガラス布ポリフェニレンエーテル樹脂基材、アラミド不織布−エポキシ樹脂基材、アラミド不織布−ポリイミド樹脂基材、から選ばれるいずれかの硬質基材から形成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の多層回路基板。
【請求項8】 上記多層化基板を構成する各回路基板の絶縁性基材は、厚さが20〜100μmのガラス布エポキシ樹脂基材から形成され、前記充填ビアホール径は50〜250μmであることを特徴とする請求項7に記載の多層回路基板。
【請求項9】 上記多層化基板を構成する各回路基板のビアホールは、パルスエネルギーが0.5〜100mJ、パルス幅が1〜100μs、パルス間隔が0.5ms以上、ショット数が3〜50の条件で、ガラス布エポキシ樹脂基材の表面に照射される炭酸ガスレーザによって形成された開口に対して形成されたことを特徴とする請求項8に記載の多層回路基板。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ベースとなる多層化基板の片面にビルドアップ配線層が形成された多層回路基板に係り、とくに、ベースとなる基板の多層化が、充填ビアホールを備えた複数の片面または両面回路基板を積層し、接着剤を介して一括加熱プレスすることにより行なわれ、その多層化基板内の導体回路と多層化基板の片面に形成したビルドアップ配線層との電気的接続が、多層化基板に形成した充填ビアホールと、その直上に形成したビルドアップ配線層内のビアホールとを介して確保できる高密度配線化に有利な多層回路基板について提案する。
【0002】
【従来の技術】近年、LSI等の半導体チップを含む電子部品を実装するパッケージ基板は、電子工業の進歩に伴う電子機器の小型化あるいは高速化に対応し、ファインパターンによる高密度化および信頼性の高いものが求められている。このようなパッケージ基板として、1997年、1月号の「表面実装技術」には、多層化基板の両面にビルドアップ多層配線層が形成されたものが開示されている。
【0003】ところが、上掲の従来技術に係るパッケージ基板では、多層化基板内の導体層とビルドアップ配線層との接続は、多層化基板の表面にスルーホールから配線した内層パッドを設け、この内層パッドにビアホールを接続させて行っていた。このため、スルーホールのランド形状がダルマ形状あるいは鉄アレイ形状となり、その内層パッドの領域がスルーホールの配置密度の向上を阻害し、スルーホールの形成数には一定の限界があった。それ故に、配線の高密度化を図るためにコア基板を多層化すると、外層のビルドアップ配線層は、多層化基板内の導体層と十分な電気的接続を確保することができないという問題があった。
【0004】なお、このような問題点については、本発明らは先に、特願平第10−15346号(特開平第11−214846号)としてその改善方法を提案した。このような改善提案による多層回路基板は、内層に導体層を有する多層化基板上に、層間樹脂絶縁層と導体層とが交互に積層されて各導体層間がビアホールにて接続されたビルドアップ配線層が形成されてなる多層回路基板において、多層化基板には、スルーホールが形成され、そのスルーホールには充填材が充填されるとともに該充填材のスルーホールからの露出面を覆って導体層が形成され、その導体層にはビアホールが接続された構成であり、それによってスルーホールの配置密度が向上し、高密度化したスルーホールを介して多層化したコア基板内の導体回路との接続が確保できるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる構成の多層回路基板におけるスルーホールは、多層化されたコア基板にドリル等で貫通孔を明け、その貫通孔の壁面および基板表面に無電解めっきを施して形成されるため、その開口性や経済性を考慮すると、形成され得るスルーホール開口径の下限は300μm程度であり、現在の電子産業界の要請を満足するような超高密度配線を実現するためには、50〜250μm程度のより小さな開口径と、より狭いスルーホールランドピッチを得るための技術開発が望まれている。
【0006】そこで、本発明者らは、硬質材料からなるコア材の片面または両面に導体回路を有し、その片面からコア材を貫通して導体回路に達する開口内に導電性物質を充填したビアホールを形成してなる回路基板の複数枚を互いに積層し、接着剤を介して一括して加熱プレスすることにより多層化基板を形成すれば、多層化基板にスルーホールを設けることなく、多層化基板内の導体回路同士、および多層化基板内の導体回路と多層化基板上に形成したビルドアップ配線層との電気的接続が、多層化基板に形成した充填ビアホールと、その直上に形成したビルドアップ配線層内のビアホールとを介して十分に確保できることを知見し、さらに、ビルドアップ配線層の最も外側に位置する導体回路の一部をはんだパッドに形成し、そのはんだパッドに対してLSI等の半導体チップを含んだ電子部品に接続できる導電性バンプを配設し、さらに、多層化基板の外側に露出するビアホール直上の導体回路に対して、あるいはビアホールから露出する導電性物質の一部をはんだパッドに形成しそのはんだパッドに対して、マザーボードに直接的に接続できる導電性ピンまたは導電性ボールを配設することによって高密度配線および電子部品の高密度実装化が可能となることを知見した。本発明の目的は、このような高密度配線および高密度実装化に有利な多層回路基板を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記目的の実現に向け鋭意研究した結果、以下に示す内容を要旨構成とする発明に想到した。すなわち、(1) 本発明の多層回路基板は、内層に導体回路を有する多層化基板の片面上に、層間樹脂絶縁層と導体層とが交互に積層され、各導体層間がビアホールにて接続されたビルドアップ配線層が形成されてなる多層回路基板において、上記多層化基板は、絶縁性硬質基材の片面または両面に導体回路を有し、この絶縁性硬質基材を貫通して前記導体回路に達する孔内に、導電性物質が充填されてなるビアホールを有する回路基板の複数枚が、接着剤層を介して積層され、一括して加熱プレスされることで形成され、さらに、上記ビルドアップ配線層の最も外側の導体層表面には、ビアホール直上に位置して、LSI等の半導体チップを含む電子部品に接続されるはんだバンプが配設され、前記多層化基板の他方の表面に露出する導体回路の表面には、前記充填ビアホールの直上に位置して、マザーボードに接続される導電性ピンまたは導電性ボールが配設されていることを特徴とする。上記多層化基板を構成する各回路基板のビアホール形成用開口内に充填される導電性物質は、金属粒子と、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂とからなる導電性ペースト、もしくは電解めっき処理によって形成された電解銅めっきであることが望ましい。
【0008】また、上記多層化基板を構成する各回路基板は、そのビアホール位置に対応して、そのビアホールに電気的接続された突起状導体が形成されていることが望ましく、その突起状導体は、導電性ペーストから形成されることが望ましい。
【0009】さらに、上記ビルドアップ配線層のビアホールの一部は、上記多層化基板に形成されたビアホールの直上に位置して、そのビアホールに直接接続されていることが望ましい。
【0010】また、上記多層化基板を構成する各回路基板の絶縁性基材は、ガラス布エポキシ樹脂基材、ガラス布ビスマレイミドトリアジン樹脂基材、ガラス布ポリフェニレンエーテル樹脂基材、アラミド不織布−エポキシ樹脂基材、アラミド不織布−ポリイミド樹脂基材、から選ばれるいずれかの硬質基材から形成されることが望ましく、厚さが20〜100μmのガラス布エポキシ樹脂基材から形成されることがさらに望ましい。
【0011】このようなガラス布エポキシ樹脂基材から形成された絶縁性基材に形成される充填ビアホール径は、50〜250μmであることが望ましい。
【0012】上記ビアホールは、パルスエネルギーが0.5〜100mJ、パルス幅が1〜100μs、パルス間隔が0.5ms以上、ショット数が3〜50の条件で、ガラス布エポキシ樹脂基材の表面に照射される炭酸ガスレーザによって形成された開口に対して形成されることが望ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明は、絶縁性硬質基材の片面または両面に導体回路を有し、この絶縁性硬質基材を貫通して前記導体回路に達する貫通孔に導電性物質が充填されてなる回路基板の複数枚を接着剤層を介して互いに積層し、かつ一括して加熱プレスすることにより形成した多層化基板の一方の表面に、絶縁層層と導体層とが交互に積層され、導体層間の電気的接続がビアホールを介して行われるようなビルドアップ配線層が形成されてなる多層回路基板において、ビルドアップ配線層の最も外側の導体層表面には、ビアホール直上に位置してLSI等の半導体チップを含む電子部品に接続されるはんだバンプが配設され、またビルドアップ配線層が形成されない多層化基板の他方の表面に露出する導体回路上には、充填ビアホールの直上に位置して、マザーボードに接続される導電性ピンまたは導電性ボールが配設されている点に特徴がある。
【0014】このような本発明の構成によれば、コア基板にスルーホールを設けることが不要となるので、従来技術に比べてランドなどのパッド配設の自由度が向上する。その結果、充填ビアホールを高密度に設けることができるので、多層化基板内における配線の高密度化が可能となり、こうして高密度化されたビアホールを介して、外層のビルドアップ配線層は、多層化基板内の導体回路と十分な接続を確保することが可能になり、高密度配線化が可能となる。
【0015】また、ビルドアップ配線層内に高密度に形成されたビアホールのうち、最も外側に位置するソルダーレジスト層に形成された開口内に露出する導体回路(導体パッド)に対して導電性バンプを配設し、多層化基板のビルドアップ配線層が形成されない側の表面に露出するビアホール直上の導体パッドに対して導電性ピンまたは導電性ボールを配設するので、ビルドアップ配線層は、このような導電性バンプ、導電性ピンまたは導電性ボールを介して、LSI等の半導体チップを含んだ電子部品やマザーボードに最短の配線長で接続され、高密度配線化および電子部品の高密度実装化が可能となる。
【0016】本発明において、多層化基板を構成する各回路基板は、従来のような半硬化状態のプリプレグではなく、完全に硬化した硬質の樹脂材料から形成された絶縁性樹脂基材から形成されるのが望ましい。
【0017】このような絶縁性基材としては、ガラス布エポキシ樹脂基材、ガラス布ビスマレイミドトリアジン樹脂基材、ガラス布ポリフェニレンエーテル樹脂基材、アラミド不織布−エポキシ樹脂基材、アラミド不織布−ポリイミド樹脂基材から選ばれるリジッド(硬質)な積層基材が使用され、ガラス布エポキシ樹脂基材が最も望ましい。
【0018】上記絶縁性基材上に導体回路を形成する場合に、絶縁性基材上に銅箔を加熱プレスによって圧着させる工程において、プレス圧による絶縁性基材の最終的な厚みの変動がなくなるので、ビアホールの位置ずれが最小限度に抑えられ、ビアランド径を小さくでき、その結果、配線ピッチを小さくして配線密度を向上させることができる。
【0019】また、硬化された樹脂基材を絶縁性基材として用いるので、基材の厚みを実質的に一定に保つことができ、ひいてはビアホール形成用開口を形成する際のレーザ加工条件の設定が容易となる。
【0020】上記絶縁性基材の厚さは、20〜600μmが望ましい。その理由は、絶縁性を確保するためである。20μm未満の厚さでは強度が低下して取扱が難しくなるとともに、電気的絶縁性に対する信頼性が低くなるからであり、600μmを超えると微細なビアホール形成用開口が難くなると共に、基板そのものが厚くなるためである。
【0021】また、上記範囲の厚さを有するガラスエポキシ基板上に形成されるビアホール形成用開口は、パルスエネルギーが0.5〜100mJ、パルス幅が1〜100μs、パルス間隔が0.5ms以上、ショット数が3〜50の条件で照射される炭酸ガスレーザによって形成されることが好ましく、その開口径は、50〜250μmの範囲であることが望ましい。その理由は、50μm未満では開口に導電性物質を充填し難くなると共に、接続信頼性が低くなるからであり、250μmを超えると、高密度化が困難になるからである。
【0022】このような炭酸ガスレーザによる開口形成の前に、絶縁性基材の導体回路形成面と反対側の面に樹脂フィルムを粘着させ、あるいは必要に応じて、半硬化状態の樹脂接着剤層を介して樹脂フィルムを粘着させ、その樹脂フィルム上からレーザ照射を行うのが望ましい。前者の方法は、片面に予め銅箔を貼り付けた絶縁性基材に銅箔の反対側からレーザ照射を行なうことによって、非貫通孔を設け、その非貫通孔内に銅箔をめっきリードとして電解めっき層を充填した後、エッチング処理することによって片面回路基板を製作する場合、あるいは片面銅張積層板をエッチング処理して導体回路を予め形成した絶縁性基材にレーザ照射により非貫通孔を設け、その非貫通孔内に銅箔をめっきリードとして電解めっき層を充填することによって片面回路基板を製作する場合に採用され、後者は、絶縁性基材に予めレーザ照射により貫通孔を設け、その貫通孔を導電性ペーストで充填した後に、絶縁性基材の両面に銅箔を貼り付け、エッチング処理することによって両面回路基板を製作する場合に採用される。この樹脂接着剤は、銅箔を絶縁性基材の表面に接着するためのものであり、たとえば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂から形成され、その厚みは10〜50μmの範囲が好ましい。
【0023】上記絶縁性基材上にあるいはその絶縁性基材上に形成した樹脂接着剤層の上に貼付けられた樹脂フィルムは、ビアホール形成用の開口内に電解めっきを充填してビアホールを形成する際の保護フィルムとして、あるいは開口内に導電性ペーストを充填してビアホールと突起状導体を形成する際の、あるいは電解めっき層の上に導電性ペーストを充填して電解めっき層の直上に突起状導体(バンプ)を形成する際の印刷用マスクとして機能し、導電性物質の充填後は、絶縁性基材あるいは接着剤層から剥離されるような粘着剤層を有する。この樹脂フィルムは、たとえば、粘着剤層の厚みが1〜20μmであり、フィルム自体の厚みが10〜50μmであるPETフィルムから形成されるのが好ましい。
【0024】その理由は、PETフィルムの厚さに依存して後述する突起状導体の高さが決まるので、10μm未満の厚さでは突起状導体が低すぎて接続不良になりやすく、逆に50μmを超えた厚さでは、接続界面で突起状導体が拡がりすぎるので、ファインパターンの形成ができないからである。
【0025】上記絶縁性基材に形成した開口内部に充填される導電性物質としては、電解めっき処理によって形成される金属めっきや導電性ペーストが好ましい。導電性ペーストは、工程をシンプルにして、製造コストを低減させ、歩留まりを向上させる点では好ましいが、接続信頼性の点から金属めっきがより好ましい。
【0026】上記導電性ペーストとしては、銀、銅、金、ニッケル、半田から選ばれる少なくとも1種以上の金属粒子からなる導電性ペーストを使用できる。上記金属粒子としては、金属粒子の表面に異種金属をコーティングしたものも使用できる。具体的には銅粒子の表面に金、銀から選ばれる貴金属を被覆した金属粒子を使用することができる。このような導電性ペーストとしては、金属粒子に、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂と、ポリフェニレンスルフイド(PPS)などの熱可塑性樹脂とを加えた有機系導電性ペーストが望ましい。
【0027】上記絶縁性基材の片面または両面に形成される導体回路は、厚さが5〜18μmの銅箔を半硬化状態に保持された樹脂接着剤層を介して熱プレスした後、適切なエッチング処理をすることによって形成されるのが好ましい。このような熱プレスは、適切な温度および加圧力のもとで行なわれる。より好ましくは、減圧下において行なわれ、半硬化状態の樹脂接着剤層のみを硬化することによって、銅箔を絶縁性基材に対してしっかりと接着され得るので、従来のプリプレグを用いた回路基板に比べて製造時間が短縮される。
【0028】このような導体回路が絶縁性基材の両面に形成されるような回路基板は、多層コア基板のコアとして適切であるが、各ビアホールに対応した基板表面には、導体回路の一部としてのビアランド(パッド)が、その口径が50〜250μmの範囲に形成されるのが好ましい。
【0029】また、導体回路が絶縁性基材の片面に形成されるような回路基板は、それらの複数枚を順次重ね合わせて多層化基板とすることができるだけでなく、両面回路基板をコアとし、その両側に積層される積層用回路基板として適切であり、ビアホールに充填された導電性物質の位置の真上に突起状導体が形成されることが好ましい。
【0030】上記突起状導体は、導電性ペーストや低融点金属から形成されることが好ましく、各回路基板を積層して、一括して加熱プレスする工程において、導電性ペーストあるいは低融点金属が熱変形するので、前記ビアホール内に充填される導電性物質の高さのばらつきを吸収することができ、それ故に、接続不良を防止して接続信頼性に優れた多層コア基板を得ることができる。このような突起状導体は、ビアホール内に充填される導電性ペーストと同一の材料で、しかも同一の充填工程によって形成することもできる。
【0031】さらに、多層コア基板上に形成するビルドアップ配線層を、後述するような樹脂の塗布および硬化によって形成する場合には、多層コア基板表面に設けた導体回路の表面には、粗化層が形成されていることが有利である。その理由は、多層コア基板上に積層されるビルドアップ配線層内の層間樹脂絶縁層やビアホールとの密着性を改善することができるからである。とくに、導体回路の側面に粗化層が形成されていると、その導体回路側面と層間樹脂絶縁層との密着不足によってこれらの界面を起点として層間樹脂絶縁層に向けて発生するクラックを抑制することができる。
【0032】一方、ビルドアップ配線層を、後述するような樹脂フィルムの積層および加熱加圧による硬化によって形成する場合には、粗化層の形成は必ずしも必要でない。
【0033】このような導体回路の表面に形成される粗化層の厚さは、 0.1〜10μmがよい。この理由は、厚すぎると層間ショートの原因となり、薄すぎると被着体との密着力が低くなるからである。この粗化層としては、有機酸と第二銅錯体の混合水溶液で処理して形成したもの、あるいは銅−ニッケル−リン針状合金のめっき処理にて形成したものがよい。
【0034】これらの粗化処理のうち、有機酸−第二銅錯体の混合水溶液を用いた処理では、スプレーやバブリングなどの酸素共存条件下で次のように作用し、導体回路である銅などの金属箔を溶解させる。
Cu+Cu(II)A →2Cu(I)An/22Cu(I)An/2 +n/4O +nAH (エアレーション)→2Cu(II)A +n/2HOAは錯化剤(キレート剤として作用)、nは配位数である。
【0035】この処理で用いられる第二銅錯体は、アゾール類の第二銅錯体がよい。このアゾール類の第二銅錯体は、金属銅などを酸化するための酸化剤として作用する。アゾール類としては、ジアゾール、トリアゾール、テトラゾールがよい。なかでもイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾールなどがよい。このアゾール類の第二銅錯体の含有量は、1〜15重量%がよい。この範囲内にあれば、溶解性および安定性に優れるからである。
【0036】また、有機酸は、酸化銅を溶解させるために配合させるものである。具体例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、アクリル酸、クロトン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、安息香酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、スルファミン酸から選ばれるいずれか少なくとも1種がよい。この有機酸の含有量は、0.1〜30重量%がよい。酸化された銅の溶解性を維持し、かつ溶解安定性を確保するためである。なお、発生した第一銅錯体は、酸の作用で溶解し、酸素と結合して第二銅錯体となって、再び銅の酸化に寄与する。また、有機酸に加えて、ホウフッ酸、塩酸、硫酸などの無機酸を添加してもよい。
【0037】この有機酸−第二銅錯体からなるエッチング液には、銅の溶解やアゾール類の酸化作用を補助するために、ハロゲンイオン、例えば、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオンなどを加えてもよい。このハロゲンイオンは、塩酸、塩化ナトリウムなどを添加して供給できる。
【0038】ハロゲンイオン量は、0.01〜20重量%がよい。この範囲内にあれば、形成された粗化層は層間樹脂絶縁層との密着性に優れるからである。この有機酸−第二銅錯体からなるエッチング液は、アゾール類の第二銅錯体および有機酸(必要に応じてハロゲンイオン)を、水に溶解して調製する。
【0039】また、銅−ニッケル−リンからなる針状合金のめっき処理では、硫酸銅1〜40g/l、硫酸ニッケル 0.1〜6.0 g/l、クエン酸10〜20g/l、次亜リン酸塩10〜100 g/l、ホウ酸10〜40g/l、界面活性剤001〜10g/lからなる液組成のめっき浴を用いることが望ましい。
【0040】本発明においては、多層コア基板は、上記片面回路基板の複数枚を積層して、それらを一括して加熱加圧することによって形成されるが、その多層コア基板上に形成されるビルドアップ配線層を構成する層間樹脂絶縁層は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、あるいは熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の複合体を用いることができる。
【0041】熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、熱硬化性ポリフェニレンエーテル(PPE)などが使用できる。熱可塑性樹脂としては、フェノキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスルフォン(PSF)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、熱可塑型ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンスルフォン(PPES)、4フッ化エチレン6フッ化プロピレン共重合体(FEP)、4フッ化エチレンパーフロロアルコキシ共重合体(PFA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリオレフィン系樹脂などが使用できる。熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の複合体としては、エポキシ樹脂−PES、エポキシ樹脂−PSF、エポキシ樹脂−PPS、エポキシ樹脂−PPES、エポキシ樹脂−フェノキシ樹脂、フェノール樹脂−フェノキシ樹脂などが使用できる。
【0042】また本発明において、ビルドアップ配線層を構成する層間樹脂絶縁層は、ポリオレフィン系樹脂等の所望枚数の樹脂フィルムを積層し、加熱プレスした後、熱硬化させて一体化させて形成することができる。ポリオレフィン系樹脂層の厚さは、5〜200μmの範囲が望ましい。その理由は、5μm未満では層間絶縁の確保が難しく、200μmを超えるとレーザ加工による開口を形成し難くなるからである。
【0043】また本発明において、ビルドアップ配線層を構成する層間樹脂絶縁層としては、無電解めっき用接着剤を用いることができる。この無電解めっき用接着剤としては、硬化処理された酸あるいは酸化剤に可溶性の耐熱性樹脂粒子が、硬化処理によって酸あるいは酸化剤に難溶性となる未硬化の耐熱性樹脂中に分散されてなるものが最適である。この理由は、酸や酸化剤で処理することにより、耐熱性樹脂粒子が溶解除去されて、表面に蛸つぼ状のアンカーからなる粗化面が形成できるからである。粗化面の深さは、0.1〜20μmがよい。密着性を確保するためである。また、セミアディティブプロセスにおいては、 0.1〜5μmがよい。密着性を確保しつつ、無電解めっき膜を除去できる範囲だからである。
【0044】上記無電解めっき用接着剤において、特に硬化処理された前記耐熱性樹脂粒子としては、■平均粒径が10μm以下の耐熱性樹脂粉末、■平均粒径が2μm以下の耐熱性樹脂粉末を凝集させた凝集粒子、■平均粒径が2〜10μmの耐熱性樹脂粉末と平均粒径が2μm以下の耐熱性樹脂粉末との混合物、■平均粒径が2〜10μmの耐熱性樹脂粉末の表面に平均粒径が2μm以下の耐熱性樹脂粉末または無機粉末のいずれか少なくとも1種を付着させてなる疑似粒子、■平均粒径が0.1〜0.8μmの耐熱性樹脂粉末と平均粒径が 0.8μmを超え2μm未満の耐熱性樹脂粉末との混合物、■平均粒径が0.1〜10 μmの耐熱性樹脂粉末、から選ばれるいずれか少なくとも1種を用いることが望ましい。また上記樹脂粒子の代わりに金属粒子や無機粒子を用いてもよく、さらにそれらの複数種類を適宜混合して用いてもよい。より複雑なアンカーを形成できるからである。上記無電解めっき用接着剤で使用される耐熱性樹脂は、前述の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の複合体を使用できる。
【0045】本発明において、多層コア基板上に形成された導体回路とビルドアップ配線層内の導体回路との電気的接続は、層間樹脂絶縁層内に形成したビアホールで接続することができる。この場合、ビアホールは、めっき膜や充填材で充填してもよい。
【0046】以下、本発明の多層回路基板を製造する一例について、添付図面を参照にして具体的に説明する。なお、以下に述べる方法において、多層化基板上へのビルドアップ配線層の形成は、セミアディティブ法によって行うが、フルアディティブ法やマルチラミネーション法、ピンラミネーション法を採用することもできる。
【0047】(A) 多層化基板の形成(1)まず多層化基板を構成する両面回路基板を形成する。そのコア材としては、完全に硬化した絶縁性基材が使用される。この絶縁性基材は、たとえば、ガラス布エポキシ樹脂基材、ガラス布ビスマレイミドトリアジン樹脂基材、ガラス布ポリフェニレンエーテル樹脂基材、アラミド不織布−エポキシ樹脂基材、アラミド不織布−ポリイミド樹脂基材から選ばれるリジッド(硬質)な積層基材が使用され、ガラス布エポキシ樹脂基材が最も好ましい。上記絶縁性基材10の厚さは、20〜600μmが望ましい。その理由は、絶縁性を確保するためである。20μm未満の厚さでは強度が低下して取扱いが難しくなり、600μmを超えると微細なビアホールの形成および導電性物質の充填が難しくなるからである。
【0048】このような絶縁性基材10の両面に半硬化状態の接着剤、すなわちBステージの接着剤層12を設け(図1(a)参照)、さらに、その接着剤層12の上に保護フィルム14を貼付ける(図1(b)参照)。上記接着剤12は導体回路を形成する銅箔を接着するためのものであり、たとえば、エポキシ樹脂ワニスが使用され、その層厚は10〜50μmの範囲が好ましい。また上記保護フィルム14は、後述する導電性ペーストの印刷用マスクとして使用され、たとえば、表面に粘着層を設けたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが使用され得る。前記PETフィルム14は、粘着剤層の厚みが1〜20μm、フィルム自体の厚みが10〜50μmであるようなものが使用される。
【0049】(2) ついで、絶縁性基材10上に貼付けられたPETフィルム14上からレーザ照射を行って、絶縁性基材を貫通するビアホール形成用開口16を形成する(図1(c)参照)。このレーザ加工は、パルス発振型炭酸ガスレーザ加工装置によって行われる。加工条件は、、パルスエネルギーが0.5〜100mJ、パルス幅が1〜100μs、パルス間隔が0.5ms以上、ショット数が3〜50の範囲内であることが望ましい。このような加工条件のもとで形成され得る開口16の開口径は、50〜250μmであることが望ましい。その後、開口16の内壁面に残留する樹脂を取り除くために、酸素プラズマ放電処理、コロナ放電処理等のデスミア処理を行うことが、接続信頼性確保の点で望ましい。
【0050】(3)次に、前記(2)の工程においてPETフィルム14に形成された開口からビアホール形成用開口16内に、導電性ペースト18を印刷によって充填し、あるいは基板上の金属箔をめっきリードとして電解めっき処理を施して、開口16内に電解めっき層を充填してビアホール20を形成する(図1(d)参照)。この際、PETフィルム14は、印刷用マスクあるいはめっき保護フィルムとして機能する。
【0051】上記導電性物質の充填方法には、■絶縁性基材を貫通して形成された開口16の上部をわずかに残して開口内の隙間のほとんど全てに、めっき処理による金属めっきを充填した後、PETフィルム14を貫通して形成された開口および接着剤層12を貫通して形成された開口内の隙間の全てに導電性ペーストを充填するやり方と、■絶縁性基材を貫通して形成された開口16と、PETフィルム14を貫通して形成された開口と、接着剤層12を貫通して形成された開口内の隙間の全てに導電性ペーストを充填するやり方があるが、この実施形態においては、■の方法を採用する。上記めっき処理としては電解めっき処理が好ましく、とくに、電解銅めっき処理によって形成された電解銅めっきが好ましい。また上記導電性ペーストは、銀、銅、金、ニッケル、半田から選ばれる少なくとも1種以上の金属粒子からなる導電性ペーストを使用できる。上記金属粒子としては、金属粒子の表面に異種金属をコーティングしたものも使用できる。具体的には銅粒子の表面に金、銀から選ばれる貴金属を被覆した金属粒子を使用することができる。このような導電性ペーストとしては、金属粒子に、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリフェニレンスルフイド(PPS)などの熱可塑性樹脂を加えた有機系導電性ペーストが望ましい。
【0052】また、上記導電性ペーストに代えて、低融点金属である半田ペーストを用いて印刷する方法、半田めっきを行う方法、あるいは半田溶融液に浸漬する方法により、導電性物質を開口内に形成することもでき、低融点金属としては、Pb−Sn系はんだ、Ag−Sn系はんだ、インジウムはんだ等を使用することができる。
【0053】(4)その後、PETフィルム14を接着剤層12の表面から剥離させたのち(図1(e)参照)、銅箔22を樹脂接着剤層12を介して絶縁性基材10の両面に熱プレスによって圧着して、樹脂接着剤12を硬化させる(図1(f)参照)。その際、銅箔22は硬化した樹脂接着剤12を介して絶縁性基材10に接着され、導電性ペースト18と銅箔22とが電気的に接続される。銅箔22の厚さは、5〜18μmが望ましい。その理由は、レーザ加工で絶縁性基材にビアホール形成用開口を形成する際に、薄すぎると貫通してしまうからであり、逆に厚すぎるとエッチングにより、回路パターンにアンダーカットが形成されるためファインパターンを形成し難いからである。
【0054】(5)ついで、銅箔22上にエッチング保護フィルムを貼付して、所定パターンのマスクを披覆した後、エッチング処理を行って導体回路24(ビアランドを含む)を形成する(図1(g)参照)。この処理工程においては、先ず、銅箔22の表面に感光性ドライフィルムレジストを貼付するか、液状感光性レジストを塗布した後、所定の回路パターンに沿って露光、現像処理してエッチングレジストを形成した後、エッチングレジスト非形成部分の金属層をエッチングして、ビアランドを含んだ導体パターン24を形成する。エッチング液としては、硫酸一過酸化水素、過硫酸塩、塩化第二銅、塩化第二鉄の水溶液から選ばれる少なくとも1種の水溶液が望ましい。上記銅箔22をエッチングして導体回路24を形成する前処理として、ファインパターンを形成しやすくするため、あらかじめ、銅箔22の表面全面をエッチングして厚さを1〜10μm、より好ましくは2〜8μm程度まで薄くすることができる。導体回路の一部としてのビアランドは、その内径がビアホール径とほぼ同様であるが、その外径は、50〜250μmの範囲に形成されることが好ましい。
【0055】(6)エッチング処理の後、(5)の工程において形成した導体回路24の表面を粗化処理して(粗化層の表示は省略する)、コア用回路基板30を形成する。この粗化処理は、多層化する際に、接着剤層との密着性を改善し、剥離(デラミネーション)を防止するためである。粗化処理方法としては、例えば、ソフトエッチング処理や、黒化(酸化)一還元処理、銅−ニッケルーリンからなる針状合金めっき(荏原ユージライト製:商品名インタープレート)の形成、メック社製の商品名「メックエッチボンド」なるエッチング液による表面粗化がある。
【0056】この実施形態においては、上記粗化層の形成は、エッチング液を用いて形成されるのが好ましく、たとえば、導体回路の表面を第二銅錯体と有機酸の混合水溶液からエッチング液を用いてエッチング処理することによって形成することができる。かかるエッチング液は、スプレーやバブリングなどの酸素共存条件下で、銅導体回路を溶解させることができ、反応は、次のように進行するものと推定される。
Cu+Cu(II)A →2Cu(I)An/22Cu(I)An/2 +n/4O +nAH (エアレーション)→2Cu(II)A +n/2HO式中、Aは錯化剤(キレート剤として作用)、nは配位数を示す。
【0057】この式に示されるように、発生した第一銅錯体は、酸の作用で溶解し、酸素と結合して第二銅錯体となって、再び銅の酸化に寄与する。本発明で用いられる第二銅錯体は、アゾール類の第二銅錯体がよい。この有機酸−第二銅錯体からなるエッチング液は、アゾール類の第二銅錯体および有機酸(必要に応じてハロゲンイオン)を、水に溶解して調製することができる。またエッチング液は、たとえば、イミダゾール銅(II)錯体 10重量部、グリコール酸 7重量部、塩化カリウム 5重量部を混合した水溶液から形成される。
【0058】(7)次に、前記(6)の工程にて形成したコア用回路基板に積層される片面回路基板を製造する。この積層用片面回路基板の製造に当たって、片面に金属層42の形成された絶縁性基材40を出発材料として用いる。使用する絶縁性基材40としては、コア用回路基板と同様に、完全に硬化した樹脂材料から形成され、たとえば、ガラス布エポキシ樹脂基材、アラミド不織布−エポキシ樹脂基材、アラミド不織布−ポリイミド基材、ビスマレイミド−トリアジン樹脂基材から選ばれるリジッド(硬質)な積層基材が使用される。特に、ガラス布エポキシ樹脂基材が好ましい。また、絶縁性基材40の一方の表面に形成された金属層42は、銅箔を使用できる。銅箔は密着性改善のため、マット処理されていてもよく、また絶縁性基材40の表面に、金属を蒸着した後、電解めっき処理を施して形成した銅めっきを、金属層42とすることもできる。
【0059】上記絶縁性基材40の厚さは、20〜600μmが望ましい。その理由は、絶縁性を確保するためである。20μm未満の厚さでは、強度が低下して取扱が難しくなるとともに電気的絶縁性に対する信頼性が低くなり、600μmを超えると、微細なビアホールの形成および導電性物質の充填が難しくなるからである。一方、金属層42の厚さは、5〜18μmが望ましい。その理由は、レーザ加工で絶縁性基材にビアホール形成用開口を形成する際に、薄すぎると貫通してしまうからであり、逆に厚すぎるとエッチングにより、ファインパターンを形成し難いからである。上記絶縁性基材40および金属層42としては、特に、エポキシ樹脂をガラスクロスに含潰させてBステージとしたプリプレグと、銅箔とを積層して加熱プレスすることにより得られる片面銅張積層板を用いることが好ましい。その理由は、金属層42がエッチングされた後の取扱中に、配線パターンやビアホールの位置がずれることがなく、位置精度に優れるからである。
【0060】(8)次に、絶縁性基材40の金属層42形成面と反対側の表面に保護フィルム44を貼付する(図2(a)参照)。この保護フィルム44は、表面に粘着層を設けたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが使用され得る。
【0061】(9)ついで、絶縁性基材40の保護フィルム44上からレーザ照射を行って、保護フィルム44および絶縁性基材40を貫通して金属層42に至るビアホール形成用開口46を形成する(図2(b)参照)。この開口46の形成は、パルス発振型炭酸ガスレーザ加工装置によって行われる。このようなビアホール形成用開口46の加工条件は、、パルスエネルギーが0.5〜100mJ、パルス幅が1〜100μs、パルス間隔が0.5ms以上、ショット数が3〜50の範囲であることが望ましく、このような加工条件のもとで形成される開口46の開口径は、50〜250μmであることが望ましい。その後、開口46の内壁面に残留する樹脂を取り除くために、酸素プラズマ放電処理、コロナ放電処理等のデスミア処理を行うことが、接続信頼性確保の点で望ましい。
【0062】(10)次に、レーザ加工で形成したビアホール形成用開口46内に、導電性物質48を充填してビアホール49を形成する。このような導電性物質48は、上記(3)の工程と同様に、導電性ペーストの充填あるいは電解めっき処理による金属めっきの充填により形成されるのが好ましい。
【0063】(11)その後、絶縁性基材40に貼付した保護フィルム44の上に、さらにエッチング保護フィルム50を貼付し(図2(c)参照)、一方、金属層42には所定パターンのマスクで披覆した後、上記(5)の工程にしたがうエッチングを行って、導体回路52を形成する(図2(d)参照)。この処理工程においては、先ず、金属層42の表面に感光性ドライフィルムレジストを貼付するか、液状感光性レジストを塗布した後、所定の回路パターンに沿って露光、現像処理してエッチングレジストを形成した後、エッチングレジスト非形成部分の金属層42をエッチングして導体パターン52を形成する。
【0064】(12)エッチング処理の後、保護フィルム44および50を剥離し(図2(e)参照)、必要に応じて、導体回路52の表面を粗化処理する。この粗化処理は、多層化する際に、接着剤層との密着性を改善し、剥離(デラミネーション)を防止するためであり、その粗化処理方法は、上記(6)の工程にしたがって行う。
【0065】絶縁性基板40から保護フィルム50を剥離した状態においては、開口46内に充填した導電性物質48は、絶縁性基板40の表面から保護フィルム44の厚さ分だけ突出しており、この突出部分53(以下、「突起状導体」という)の高さは、10〜40μmの範囲が望ましい。その理由は、10μm未満では、接続不良を招きやすく、40μmを越えると抵抗値が高くなると共に、加熱プレス工程において突起状導体が熱変形した際に、絶縁性基板の表面に沿って拡がりすぎるので、ファインパターンが形成できなくなるからである。また、上記導電ペーストから形成される突起状導体は、プレキュアされた状態であることが望ましい。その理由は、突起状導体は半硬化状態でも硬いので、後述するような積層プレスの段階で軟化した有機系接着剤層を貫通し、積層される他の回路基板のビアホールと電気的接触が可能となるからである。また、加熱プレス時に変形して接触面積が増大し、導通抵抗を低くすることができるだけでなく、突起状導体の高さのばらつきを是正することができる。
【0066】(13)次いで、絶縁性基材40の突起状導体53側の表面に樹脂接着剤54を塗布する(図2(f)参照)。上記積層用回路基板は、それらの複数枚が相互に積層接着されたり、予め製造されたコア用回路基板に積層接着されて多層化されるが、接着剤はこのような積層段階で使用される。例えば、絶縁性基材40の突起状導体53側の表面全体および/または導体回路52側の表面全体に塗布され、乾燥化された状態の未硬化樹脂からなる接着剤層54として形成される。この接着剤層は、取扱が容易になるため、プレキュアしておくことが好ましく、その厚さは、5〜50μmの範囲が望ましい。
【0067】前記接着剤層54は、有機系接着剤からなることが望ましく、有機系接着剤としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、熱硬化型ポリフェノレンエーテル(PPE)、エポキシ樹脂と熱可塑性樹脂との複合樹脂、エポキシ樹脂とシリコーン掛脂との複合樹脂、BTレジンから選ばれる少なくとも1種の樹脂であることが望ましい。有機系接着剤である未硬化樹脂の塗布方法は、カーテンコータ、スピンコータ、ロールコータ、スプレーコート、スクリーン印刷などを使用できる。また、接着剤層の形成は、接着剤シートをラミネートすることによってもできる。
【0068】上記導体回路の形成直後に、その導体回路52やビアホール49の検査が可能であり、積層する前に不良個所の有無を検査することかできる。上記コア用片面回路基板に対する積層段階では、不良のない片面回路基板のみを用いることができるので、多層化基板、ひいては多層回路基板を高い歩留まりで製造することができる。
【0069】(B)上記(1)〜(13)の工程によって製造された複数の両面および片面回路基板、たとえば4枚の回路基板を相互に積層して多層化基板を製造する。
(1)まず、コア用両面回路基板30と積層用片面回路基板32、34および36を互いに対向するように積層する(図3参照)。この重ね合わせは、隣接する片面回路基板の突起状導体53と導体回路52とが、対向するような位置に配置することにより行なわれる、すなわち、各回路基板の周囲に設けられたガイドホールにガイドピン(図示せず)を挿通することにより、位置合わせしながら行なわれる。また、位置合わせは、画像処理にて行ってもよい。
【0070】(2)上記積層された4層基板を、熱プレスを用いて150〜200℃で加熱し、0.5〜10MPa、望ましくは2〜5MPaで加熱プレスすることにより、回路基板30〜36を、1度のプレス成形により一体化し、多層化基板60を得る(図4参照)。ここでは、先ず、加圧されることで、積層用片面回路基板32の突起状導体53が、未硬化の接着剤54を周囲に押し出し、その突起状導体53がコア用両面回路基板30の導体回路52に当接して両者の電気的接続がなされる。同様に、積層用片面回路基板34の突起状導体53が積層用片面回路基板36の導体回路52と当接して両者の電気的接続がなされ、積層用片面回路基板36の突起状導体53は、コア用両面回路基板30の導体回路52に当接して両者の電気的接続がなされる。
【0071】更に、加圧と同時に加熱することで、各回路基板30〜36の接着剤層54が硬化し、隣接する片面回路基板との間で強固な接着が行われる。なお、熱プレスとしては、真空熱プレスを用いることが好適である。このように、積層された4層の回路基板を一括して加熱加圧しながら、各回路基板の突起状導体を接着剤層に嵌入・貫通せしめて、その突起状導体と対向する前記導体回路に接続させて一体化することにより、多層化基板60が製造される。上述した実施形態では、4層の回路基板を用いて多層化したが、3層、5層あるいは6層を超える多層化基板の製造にも適用できる。
【0072】(C)ビルドアップ配線層の形成上記(A)および(B)の工程によって形成された多層化基板60の片面に、ビルドアップ配線層を形成する。図5においては、多層化基板60を構成する両面および片面回路基板の図示は、簡単化の目的ですべて省略する(図5(a)参照)。
(1)多層化基板60の片面にある導体回路52の表面に銅−ニッケル−リンからなる粗化層62を形成する(図5(b)参照)。この粗化層62は、無電解めっきにより形成される。この無電解めっき水溶液の液組成は、銅イオン濃度、ニッケルイオン濃度、次亜リン酸イオン濃度が、それぞれ2.2×10−2〜4.1×10−2 mol/l、 2.2×10−3〜4.1×10−3 mol/l、0.20〜0.25mol/lであることが望ましい。この範囲で析出する被膜の結晶構造は針状構造になるため、アンカー効果に優れるからである。この無電解めっき水溶液には上記化合物に加えて錯化剤や添加剤を加えてもよい。粗化層の形成方法としては、前述したように、銅−ニッケル−リン針状合金めっきによる処理、酸化−還元処理、銅表面を粒界に沿ってエッチングする処理にて粗化面を形成する方法などがある。
【0073】(2) 次に、前記(1)で作製した粗化層を有する多層化基板60の上に、層間樹脂絶縁層64を形成する(図5(c))。特に本発明では、後述するビアホール70を形成する層間樹脂絶縁材として、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の複合体を樹脂マトリックスとした無電解めっき用接着剤を用いることが望ましい。また、半硬化状態の樹脂フィルムを積層して用いてもよい。
【0074】(3) 前記(2)で形成した無電解めっき用接着剤層を乾燥した後、ビアホール形成用の開口部65を設ける(図5(d))。感光性樹脂の場合は、露光,現像してから熱硬化することにより、また、熱硬化性樹脂の場合は、熱硬化したのちレーザー加工することにより、前記接着剤層64にビアホール形成用の開口部65を設ける。
【0075】(4) 次に、硬化した前記接着剤層64の表面に存在するエポキシ樹脂粒子を酸あるいは酸化剤によって分解または溶解して除去し、接着剤層表面に粗化処理を施して粗化面66とする(第1図(e))。ここで、上記酸としては、リン酸、塩酸、硫酸、あるいは蟻酸や酢酸などの有機酸があるが、特に有機酸を用いることが望ましい。粗化処理した場合に、ビアホールから露出する金属導体層を腐食させ難いからである。一方、上記酸化剤としては、クロム酸、過マンガン酸塩(過マンガン酸カリウムなど)を用いることが望ましい。
【0076】(5) 次に、接着剤層64表面の粗化面66に触媒核を付与する。触媒核の付与には、貴金属イオンや貴金属コロイドなどを用いることが望ましく、一般的には、塩化パラジウムやパラジウムコロイドを使用する。なお、触媒核を固定するために加熱処理を行うことが望ましい。このような触媒核としてはパラジウムがよい。
【0077】(6) さらに、(無電解めっき用)接着剤層64の表面に無電解めっきを施し、粗化面全域に追従するように、無電解めっき膜67を形成する(図5(f))。このとき、無電解めっき膜67の厚みは、0.1〜5μmの範囲が好ましく、より望ましくは 0.5〜3μmとする。次に、無電解めっき膜67上にめっきレジスト68を形成する(図6(a))。めっきレジスト組成物としては、特にクレゾールノボラック型エポキシ樹脂やフェノールノボラック型エポキシ樹脂のアクリレートとイミダゾール硬化剤からなる組成物を用いることが望ましいが、他に市販品のドライフィルムを使用することもできる。
【0078】(7) さらに、無電解めっき膜67上のめっきレジスト非形成部に電解めっきを施して、上層導体回路72を形成すべき導体層を設けると共に開口65内部に電解めっき膜69を充填してビアホール70を形成する(図6(b))。この時、開口5の外側に露出する電解めっき膜9の厚みは、5〜30μmが望ましい。ここで、上記電解めっきとしては、銅めっきを用いることが望ましい。
【0079】(8) さらに、めっきレジスト68を除去した後、硫酸と過酸化水素の混合液や過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどのエッチング液でめっきレジスト下の無電解めっき膜を溶解除去して、独立した上層導体回路72と充填ビアホール70とする。
【0080】(9) 次に、上層導体回路72の表面に粗化層74を形成する。粗化層74の形成方法としては、エッチング処理、研磨処理、酸化還元処理、めっき処理がある。これらの処理のうち、酸化還元処理は、NaOH(20g/l)、NaClO2(50g/l)、NaPO(15.0g/l)を酸化浴(黒化浴)とし、NaOH(2.7g/l)、NaBH(1.0g/l)を還元浴とする。また、銅−ニッケル−リン合金層からなる粗化層は、無電解めっき処理による析出により形成される。
【0081】この合金の無電解めっき液としては、硫酸銅1〜40g/l、硫酸ニッケル0.1 〜6.0g/l、クエン酸10〜20g/l、次亜リン酸塩10〜100g/l、ホウ酸10〜40g/l、界面活性剤0.01〜10g/lからなる液組成のめっき浴を用いることが望ましい。さらに、この粗化層74の表面をイオン化傾向が銅より大きくチタン以下である金属もしくは貴金属の層にて被覆する。スズの場合は、ホウフッ化スズ−チオ尿素、塩化スズ−チオ尿素液を使用する。このとき、Cu−Snの置換反応により0.1〜2μm程度のSn層が形成される。貴金属の場合は、スパッタや蒸着などの方法が採用できる。
【0082】(10) 次に、この基板上に層間樹脂絶縁層として、無電解めっき用接着剤層76を形成する。
(11) さらに、前記工程(3)〜(9)を繰り返して、ビアホール70の真上に他のビアホール80を設けると共に上記上層導体回路72よりもさらに外側に上層導体回路82および粗化層84を設ける(図6(c)参照)。このビアホール80の表面は、はんだパッドとして機能する導体パッドに形成される。
【0083】(12) 次いで、こうして得られた配線基板の外表面に、ソルダーレジスト組成物90を塗布し、その塗膜を乾燥した後、この塗膜に、開口部を描画したフォトマスクフィルムを載置して露光、現像処理することにより、導体層のうちはんだパッド(導体パッド、ビアホールを含む)部分を露出させた開口91を形成する(図7(a)参照)。ここで、露出する開口の開口径は、はんだパッドの径よりも大きくすることができ、はんだパッドを完全に露出させてもよい。また、逆に前記開口の開口径は、はんだパッドの径よりも小さくすることができ、はんだパッドの縁周をソルダーレジスト層90で被覆することができる。この場合、はんだパッドをソルダーレジスト層90で抑えることができ、はんだパッドの剥離を防止できる。
【0084】(13) さらに、前記ソルダーレジスト層90の開口部91から露出した前記はんだパッド部上に「ニッケル−金」からなる金属層を形成する。ニッケル層92は1〜7μmが望ましく、金層は0.01〜0.06μmがよい。この理由は、ニッケル層92は、厚すぎると抵抗値の増大を招き、薄すぎると剥離しやすいからである。一方金層94は、厚すぎるとコスト増になり、薄すぎるとはんだ体との密着効果が低下するからである。
【0085】(14)さらに、多層化基板の片面に形成したビルドアップ配線層の最も外側に位置するソルダーレジスト層の一方に形成した開口部91(上方に位置する開口部)から露出する導体回路(はんだパッド)上には、はんだ体を供給してはんだバンプ96を形成するとともに、多層化基板のビルドアップ配線層が形成されない側の表面に露出した導体回路52(はんだパッド)上には、はんだ体を供給してTピン96又ははんだボール100を形成することによって、多層回路基板が製造される(図7(b)参照)。
【0086】はんだ体の供給方法としては、はんだ転写法や印刷法を用いることができる。ここで、はんだ転写法は、プリプレグにはんだ箔を貼合し、このはんだ箔を開口部分に相当する箇所のみを残してエッチングすることにより、はんだパターンを形成してはんだキャリアフィルムとし、このはんだキャリアフィルムを、基板のソルダーレジスト開口部分にフラックスを塗布した後、はんだパターンがパッドに接触するように積層し、これを加熱して転写する方法である。一方、印刷法は、パッドに相当する箇所に貫通孔を設けた印刷マスク(メタルマスク) を基板に載置し、はんだペーストを印刷して加熱処理する方法である。はんだとしては、スズ−銀、スズ−インジウム、スズ−亜鉛、スズ−ビスマスなどが使用できる。
【0087】なお、導電性バンプ96を形成するはんだ体としては、融点が比較的に低いスズ/鉛はんだ(融点183℃)やスズ/銀はんだ(融点220℃)を用い、導電性ピン98や導電性ボール100を接続するはんだ体としては、融点が230℃〜270℃と比較的融点の高いスズ/アンチモンはんだ、スズ/銀はんだ、スズ/銀/銅はんだを用いることが好ましい。
【0088】
【実施例】(実施例1)
(1)エポキシ樹脂をガラスクロスに含潰させてBステージとしたプリプレグと、銅箔とを積層して加熱プレスすることにより得られる片面銅張積層板を基板として用いて、両面回路基板を製作する。この絶縁性基材10の厚さは75μm、銅箔12の厚さは、12μmであった。この積層板の銅箔形成面と反対側の表面に、厚みが10μmの粘着剤層を有し、フィルム自体の厚みが12μmのPETフィルム14をラミネートする。
【0089】(2)次いで、PETフィルム14上からパルス発振型炭酸ガスレーザを照射して銅箔12に達するビアホール形成用の非貫通孔16を形成し、さらに銅箔12をめっきリードとして電解銅めっき処理を施して、非貫通孔16上部にわずかの隙間を残してその非貫通孔内部に電解銅めっき18を充填して、充填ビアホール20を形成する。
【0090】この実施例においては、ビアホール形成用の非貫通孔の形成には、三菱電機製の高ピーク短パルス発振型炭酸ガスレーザ加工機を使用し、全体として厚さ22μmのPETフィルムを樹脂面にラミネートした、基材厚75μmのガラス布エポキシ樹脂基材に、マスクイメージ法でPETフィルム側からレーザビーム照射して100穴/秒のスピードで、150μmφのビアホール形成用の開口を形成した。
【0091】(3)PETフィルム14を印刷用マスクとして、レーザ照射により形成された開口から、充填ビアホール20の上部に残った隙間に導電性ペースト22を充填した。
【0092】(4)PETフィルム14を絶縁性基材10の表面から剥離すると、絶縁性基材10のビアホール20側の表面に、ビアホール20の真上に突起状導体24が形成される。さらに、エポキシ樹脂接着剤を突起状導体側の全面に塗布し、100℃で30分間の乾燥を行って厚さ20μmの接着剤層26を形成した後、厚さ12μmの銅箔28を、加熱温度180℃、加熱時間70分、圧力2MPa、真空度2.5×10Paの条件のもとで、接着剤層26上に加熱プレスする。
【0093】(5)その後、基板両面の銅箔12および28に適切なエッチング処理を施して、導体回路30および32(ビアランドを含む)を形成して、コア用両面回路基板34を作製した。
【0094】(6)次に、積層用の片面回路基板を作製する。この回路基板は両面回路基板と同様に、片面銅張積層板を基板として用いる。絶縁性基材10の厚さは75μm、銅箔12の厚さは、12μmである。この積層板の銅箔形成面と反対側の表面に、厚みが10μmの粘着剤層を有し、フィルム自体の厚みが12μmのPETフィルム14をラミネートする。
【0095】(7)ついで、上記(2)および(3)の工程にしたがった処理を行って、充填ビアホール20のわずかな隙間に導電性ペースト22を充填して、突起状導体44を形成する。
【0096】(8)上記PETフィルム14を覆って、エッチング保護フィルムとしての厚さ22μmのPETフィルム25を貼付けた後、絶縁性基材10の充填ビアホール20と反対側の表面に貼付けた銅箔12に適切なエッチング処理を施して、導体回路40を形成する。
【0097】(9)その後、PETフィルム14および25をすべて絶縁性基材10から剥離すると、絶縁性基材10のビアホール20側の表面に、ビアホール20の真上に突起状導体44が形成される。さらに、エポキシ樹脂接着剤を突起状導体側の全面に塗布してプレキュアして、多層化のための接着剤層46を形成する。このような積層用片面回路基板を3枚作製する。
【0098】(10)上記(1)〜(9)の処理によって形成された、1層の両面回路基板34をコアとして、その両面に対して3層の片面回路基板50、52および54を所定の位置にスタックし(図3参照)、真空熱プレスを用いて180℃の温度で積層プレスして全層がIVH構造を有する多層コア基板60を作成した(図4参照)。このように製造された多層コア基板60においては、L/S=75μm/75μm、ランド径が250μm、ビアホール口径が150μm、導体層の厚みが12μm、そして絶縁層の厚みが75μmであった。本発明の多層回路基板は、上記多層コア基板60の片面にビルドアップ配線層を形成することによって製作されるので、ビルドアップ配線層の形成前に、多層コア基板60の片面に保護フィルム(図示を省略)を貼り付けておく。
【0099】(11)次に、片面に保護フィルムを貼り付けた多層コア基板60を、硫酸銅8g/l、硫酸ニッケル0.6g、クエン酸15g/l、次亜リン酸ナトリウム29g/l、ホウ酸31g/l、界面活性剤 0.1g/lからなるpH=9の無電解めっき液に浸漬して、多層コア基板60の片側の導体回路40の表面に厚さ3μmの銅−ニッケル−リンからなる粗化層62を形成した。次いで、その基板を水洗いし、0.1mol/lホウふっ化スズ−1.0mol/lチオ尿素液からなる無電解スズ置換めっき浴に50℃で1時間浸漬し、前記粗化層63の表面に 0.3μmのスズ層を設けた(図5(b) 参照、但し、スズ層については図示しない)。
【0100】(12) 下記■〜■で得た組成物を混合撹拌して、無電解めっき用接着剤を調製した。
■クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製、分子量2500)の25%アクリル化物を35重量部(固形分80%)、感光性モノマー(東亜合成製、アロニックスM315 )4重量部、消泡剤(サンノプコ製、S−65)0.5 重量部、NMP 3.6重量部を撹拌混合した。
■ポリエーテルスルフォン(PES)8重量部、エポキシ樹脂粒子(三洋化成製、ポリマーポール)の平均粒径0.5μmのものを 7.245重量部、を混合した後、さらにNMP20重量部を添加し撹拌混合した。
■イミダゾール硬化剤(四国化成製、2E4MZ-CN)2重量部、光開始剤(チバガイギー製、イルガキュア I−907 )2重量部、光増感剤(日本化薬製、DETX-S)0.2重量部、NMP1.5重量部を撹拌混合した。
【0101】(13) 前記(12)で調製した無電解めっき用接着剤を上記(11)の処理を施した基板60に塗布し(図5(c) 参照)、乾燥させて接着剤層を形成したその基板60の両面に、85μmφの黒円が印刷されたフォトマスクフィルムを密着させ、超高圧水銀灯により 500mJ/cmで露光した。これをDMDG(ジエチレングリコールジメチルエーテル)溶液でスプレー現像することにより、接着剤層に85μmφのビアホールとなる開口65を形成した。さらに、当該基板を超高圧水銀灯により3000mJ/cmで露光し、100 ℃で1時間、その後 150℃で5時間の加熱処理をすることにより、フォトマスクフィルムに相当する寸法精度に優れた開口を有する厚さ35μmの層間絶縁材層64(接着剤層)を形成した(図5(d) 参照)。なお、ビアホールとなる開口65には、スズめっき層を部分的に露出させた。
【0102】(14)ビアホール形成用開口65を形成した基板を、クロム酸に20分間浸漬し、接着剤層表面に存在するエポキシ樹脂粒子を溶解除去して、当該接着剤層64の表面をRmax=1〜5μm程度の深さで粗化して粗化面66を形成し、その後、中和溶液(シプレイ社製)に浸漬してから水洗した。
【0103】(15)接着剤層表面の粗化層66(粗化深さ 3.5μm)に対し、パラジウム触媒(アトテック製)を付与することにより、接着剤層64およびビアホール形成用開口65の表面に触媒核を付与した。
【0104】(16)以下の組成の無電解銅めっき浴中に基板を浸漬して、粗化面全体に厚さ0.6 μmの無電解銅めっき膜67を形成した(図5(f)参照)。このとき、その無電解めっき膜67は、薄いために、その膜表面には、接着剤層64の粗化面66に追従した凹凸が観察された。
〔無電解めっき水溶液〕
NiSO :0.003mol/l酒石酸 :0.20mol/l硫酸銅 :0.03mol/lHCHO :0.05mol/lNaOH :0.10mol/lα、α’−ビピリジル :40mg/lポリエチレングリコール(PEG):0.1g/l〔無電解めっき条件〕
33℃の液温度【0105】(17) 前記(16)で形成した無電解銅めっき膜67上に市販の感光性ドライフィルムを張り付け、マスクを載置して、100mJ/cmで露光、0.8%炭酸ナトリウムで現像処理し、厚さ15μmのめっきレジスト68を設けた(図6(a)参照)。
【0106】(18) 次に、以下の条件にて、めっきレジスト非形成部分に電解めっきを施し、厚さ20μmの電解めっき膜69を設けて上層導体回路72を形成すべき導体層を設けると同時に、開口部内をめっき膜69で充填してビアホール70を形成した(図6(b) 参照)。
〔電解めっき水溶液〕
硫酸銅・5水和物 :60g/lレベリング剤(アトテック製、HL) :40ml/l硫酸 :190g/l光沢剤(アトテック製、UV) :0.5 ml/l塩素イオン :40ppm〔電解めっき条件〕
バブリング :3.0リットル/分電流密度 :0.5A/dm設定電流値 : 0.18 Aめっき時間 : 130分【0107】(19) めっきレジスト68を剥離、除去した後、硫酸と過酸化水素の混合液や過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどのエッチング液でめっきレジスト下の無電解めっき膜67を溶解、除去して、無電解めっき膜67と電解銅めっき膜69からなる厚さ約20μm、L/S=25μm/25μmの上層導体回路72を形成した。このとき、ビアホール70の表面は平坦であり、導体回路表面とビアホール表面のレベルは同一であった。
【0108】(20)この基板に上記(11)と同様の処理を行って粗化層84を形成し、さらに上記(12)〜(19)の手順を繰り返して、さらに上層の層間樹脂絶縁層76と導体回路82(ビアホール80を含む)を1層積層し、片面3層のビルドアップ配線層を得た(図7(a)参照)。なお、ここでは、導体回路82の表面に銅−ニッケル−リンからなる粗化層84を設けるが、この粗化層84表面にはスズ置換めっき層を形成しない。
【0109】(21)一方、DMDGに溶解させた60重量%のクレゾールノポラック型エポキシ樹脂(日本化薬製)のエポキシ基50%をアクリル化した感光性付与のオリゴマー(分子量4000)を46.67重量部、メチルエチルケトンに溶解させた80重量%のビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル製、エピコート1001)14.121重量部、イミダゾール硬化剤(四国化成製、2E4MZ−CN)1.6重量部、感光性モノマーである多価アクリルモノマー(日本化薬製、R604)1.5重量部、同じく多価アクリルモノマー(共栄社化学製、DPE6A)30重量部、アクリル酸エステル重合物からなるレベリング剤(共栄社製、ポリフローNo.75)0.36重量部を混合し、この混合物に対して光開始剤としてのペンゾフェノン(関東化学製)20重量部、光増感割としてのEAB(保土ヶ谷化学製)0.2重量部を加え、さらにDMDG(ジエチレングリコールジメチルエーテル)10重量部を加えて、粘度を25℃で1.4±0.3pa・sに調整したソルダーレジスト組成物を得た。なお、粘度測定は、B型粘度計(東京計器、DVL‐B型)を用いて行い、60rpmの場合はローターNo.4、6rpmの場合はローターNo.3によった。
【0110】(22)上記(20)で得られたビルドアップ配線層の表面に、前記(21)で得られたソルダーレジスト組成物を20μmの厚さで塗布した。次いで、70℃で20分間、70℃で30分間の乾燥処理を行った後、クロム層によってソルダーレジスト開口部の円パターン(マスクパターン)が描画された厚さ5mmのソーダライムガラス基坂を、クロム層が形成された側をソルダーレジスト層に密着させて1000mJ/cmの紫外線で露光し、DMTG現像処理した。さらに、80℃で1時間、100℃で1時間、120℃で1時間、150℃で3時間の条件で加熱処理し、パッド部分が開口した(開口径200μm)ソルダーレジスト層90(厚み20μm)を形成した。
【0111】(23)次に、ソルダーレジスト層90を形成した基板を、塩化ニッケル30g/1、次亜リン酸ナトリウム10g/1、クエン酸ナトリウム10g/1からなるpH=5の無電解ニッケルめっき液に20分間浸漬して、開口部に厚さ5μmのニッケルめっき層92を形成した。さらに、その基板を、シアン化金力リウム2g/1、塩化アンモニウム75g/1、クエン酸ナトリウム50g/1、次亜リン酸ナトリウム10g/1からなる無電解金めっき液に93℃の条件で23秒間浸漬して、ニッケルめっき層92上に厚さ0.03μmの金めっき層94を形成した。
【0112】(24)ついで、上記(11)の工程において多層化基板60の片面に貼りつけた保護フィルムを剥離させた後、その多層化基板60の片面に形成された導体回路40(はんだパッド)上に、融点が230℃のスズ/アンチモンはんだからなるはんだペーストを印刷し、融点近傍の雰囲気温度でリフローさせることで、はんだパッド上にTピン96又ははんだボール100を固着させ、ビルドアップ配線層のソルダーレジスト層90の開口から露出する金めっき層94(はんだパッド)上には、融点が183℃のスズ/鉛はんだからなるはんだペーストを印刷し、融点近傍の雰囲気温度でリフローさせることで、はんだパッド上にはんだバンプ96を形成して多層回路基板を製作した(図7(b)参照)。
【0113】このようにして製造した多層回路基板では、多層コア基板のビアホールのランド形状を真円とすることができ、ランドピッチを600μm程度にできるため、ビアホールを密集して形成でき、ビアホールの高密度化が容易に達成できる。しかも、多層コア基板中のビアホール数を増やすことができるので、多層コア基板内の導体回路とビルドアップ配線層内の導体回路との電気的接続を十分に確保することができる。また、ビルドアップ配線層の外側に設けたソルダーレジスト層90の開口から露出した金めっき層94(はんだパッド)に形成したはんだバンプ96を介してLSI等の半導体チップを含む電子部品に接続され、多層コア基板の片面の導体回路40(はんだパッド)に形成した導電性ピン98または導電性ボール100を介してマザーボード上の接続端子等に接続されるので、電子部品の高密度実装が可能となる。
【0114】(実施例2)多層コア基板を構成する両面回路基板および片面回路基板のビアホール形成用の非貫通孔に、導電性ペーストを充填してビアホールを形成するとともに、そのビアホール形成と同一工程によってビアホール上に導電性ペーストを充填して、突起状導体を形成したこと以外は、実施例1と同様にして多層回路基板を製作した。
【0115】(実施例3)層間樹脂絶縁層を、厚さ20μmのエポキシ樹脂フィルムを熱圧着させることにより形成し、炭酸ガスレーザを照射して直径60μmのビアホール形成用の開口を設け、その開口内壁面を含んだ層間樹脂絶縁層の表面を過マンガン酸溶液によって粗化処理を行ったこと以外は、実施例1と同様にして多層回路基板を製造した。上記エポキシ樹脂フィルムは、フェノキシ樹脂との樹脂複合体であることが望ましく、粗化層形成用の粒子を含有させている。
【0116】(実施例4)多層コア基板を構成する両面回路基板および片面回路基板のビアホール形成用の非貫通孔に、導電性ペーストを充填してビアホールを形成するとともに、そのビアホール形成と同一工程によってビアホール上に導電性ペーストを充填して、突起状導体を形成したこと以外は、実施例3と同様にして多層回路基板を製作した。
【0117】(実施例5)層間樹脂絶縁層を、厚さ20μmのポリオレフィン樹脂フィルムを熱圧着させることにより形成し、炭酸ガスレーザを照射して直径60μmのビアホール形成用の開口を設け、その後、無電解めっき膜を形成する代わりに、粗化処理を施さないで、スパッタリングによって開口内壁面を含んだ層間樹脂絶縁層の表面に厚さ0.1μmのCuスパッタ膜またはCu−Niスパッタ膜を形成したこと以外は実施例1と同様にして多層回路基板を製造した。
【0118】(実施例6)多層コア基板を構成する両面回路基板および片面回路基板のビアホール形成用の非貫通孔に、導電性ペーストを充填してビアホールを形成するとともに、そのビアホール形成と同一工程によってビアホール上に導電性ペーストを充填して、突起状導体を形成したこと以外は、実施例5と同様にして多層回路基板を製作した。
【0119】(比較例)
(1) 厚さ0.8μmの両面銅張積層板からなる絶縁基板をコア基板とし、そのコア基板に直径300μmの貫通孔をドリルで削孔し、その後、無電解めっき、電解めっき処理を施してスルーホールを含む導体層を形成し、さらに、スルーホールを含む導体層の全表面に粗化層を設け、スルーホール内に非導電性の穴埋め用充填材を充填し、乾燥、硬化させた。
(2) 次いで、スルーホールからはみ出した充填材を取り除いて平坦化し、その表面に無電解めっき、電解めっき処理を施して厚付けして導体回路、およびスルーホールに充填された充填材を覆う導体層となる部分を形成した。
(3) 導体回路およびスルーホールに充填された充填材を覆う導体層となる部分を形成した基板の表面に、エッチングレジストを形成し、そのエッチングレジスト非形成部分のめっき膜をエッチング除去し、さらにエッチングレジストを剥離除去して、独立した導体回路および充填材を覆う導体層を形成した。さらに、実施例1の(11)〜(23)と同様の工程に従って多層回路基板を製造した。
【0120】上記実施例1〜6および比較例について、ICチップからはんだバンプ、BGA(ボールグリッドアレイ)またはPGA(ピングリッドアレイ)までの配線長およびコアのランド形成数を調べた結果、配線長を10〜25%短縮させ、単位面積(cm)当りのコアランド数を10〜30%増加させることができ、電気特性や信頼性に悪影響をもたらすものは確認されなかった。
【0121】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の多層回路基板によれば、レーザ加工により形成した微細な充填ビアホールおよび導体回路を有する多数の回路基板を積層して一括熱プレスすることによって形成した多層化基板の片面にビルドアップ配線層を形成したので、多層化基板内の配線を高密度化できるとともに、従来のようなスルーホールを設けることなく、ビルドアップ配線層との電気的接続が充填ビアホールを介して十分に確保することができる。
【0122】さらに、ビルドアップ配線層の層数を少なくできるので、配線板上に載置されるLSI等の半導体チップを含む電子部品を含めた配線板全体としての厚みを薄くすることができるという効果を得ることができる。
【0123】さらにまた、ビルドアップ配線層のソルダーレジスト層に設けた開口内に露出する導体パッド、すなわちビアホール直上のはんだパッド上に、導電性バンプを配設し、多層化基板のビルドアップ配線層が形成されない側の表面に露出する導体回路(はんだパッド)上には、導電性ピンまたは導電性ボールが配設されるので、ビルドアップ配線層内の配線層は、ビアホール直上にある導電性バンプを介して、LSI等の半導体チップを含んだ電子部品に接続され、多層化基板内の配線層は、充填ビアホール直上の導電性ピンまたは導電性ボールを介してマザーボードに最短の配線長で接続され、高密度配線化および電子部品の高密度実装化が可能となる。
【0124】更に、多層化基板は、片面あるいは両面回路基板を同一材料で形成し、それらを積層した構造なので、熱膨張に起因する界面を起点とするクラックや剥離が起きにくく、したがって、温度サイクル試験に対する信頼性も向上する。また、片面回路基板だけを用いて多層化基板を構成した場合には、配線形成の有無に関わらず反りが発生し難くなるという効果も得られる。




 

 


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