米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 電気素子 -> イビデン株式会社

発明の名称 ウエハプローバおよびウエハプローバに使用されるセラミック基板
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−210686(P2001−210686A)
公開日 平成13年8月3日(2001.8.3)
出願番号 特願2000−322987(P2000−322987)
出願日 平成12年10月23日(2000.10.23)
代理人 【識別番号】100086586
【弁理士】
【氏名又は名称】安富 康男 (外2名)
発明者 伊藤 淳 / 平松 靖二 / 伊藤 康隆
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 セラミック基板の表面にチャックトップ導体層が形成されてなるウエハプローバであって、前記セラミック基板は炭素を含有していることを特徴とするウエハプローバ。
【請求項2】 前記炭素の含有量は、50〜50000ppmである請求項1に記載のウエハプローバ。
【請求項3】 前記セラミック基板のJIS Z 8721に基づく明度は、N4以下である請求項1または2に記載のウエハプローバ。
【請求項4】 炭素を含有し、その表面にチャックトップ導体層が形成されていることを特徴とするウエハプローバに使用されるセラミック基板。
【請求項5】 前記炭素の含有量は、50〜50000ppmである請求項4に記載のウエハプローバに使用されるセラミック基板。
【請求項6】 そのJIS Z 8721に基づく明度は、N4以下である請求項4または5に記載のウエハプローバに使用されるセラミック基板。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主に半導体産業において使用されるウエハプローバおよびウエハプローバに使用されるセラミック基板に関し、特には、薄くて軽く、昇温降温特性に優れるウエハプローバおよびウエハプローバに使用されるセラミック基板に関する。
〔発明の詳細な説明〕
【0002】
【従来の技術】半導体は種々の産業において必要とされる極めて重要な製品であり、半導体チップは、例えば、シリコン単結晶を所定の厚さにスライスしてシリコンウエハを作製した後、このシリコンウエハに種々の回路等を形成することにより製造される。この半導体チップの製造工程においては、シリコンウエハの段階でその電気的特性が設計通りに動作するか否かを測定してチェックするプロービング工程が必要であり、そのために所謂プローバが用いられる。
【0003】このようなプローバとして、例えば、特許第2587289号公報、特公平3−40947号公報、特開平11−31724号公報等には、アルミニウム合金やステンレス鋼などの金属製チャックトップを有するウエハプローバが開示されている。このようなウエハプローバでは、例えば、図12に示すように、ウエハプローバ501上にシリコンウエハWを載置し、このシリコンウエハWにテスタピンを持つプローブカード601を押しつけ、加熱、冷却しながら電圧を印加して導通テストを行う。なお、図12において、V3 は、プローブカード601に印加する電源33、V2 は、抵抗発熱体41に印加する電源32、V1 は、チャックトップ導体層2とガード電極5に印加する電源31であり、この電源31は、グランド電極6にも接続され、接地されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このような金属製のチャックトップを有するウエハプローバには、次のような問題があった。
【0005】まず、金属製であるため、チャックトップの厚みは15mm程度と厚くしなければならない。このようにチャックトップを厚くするのは、薄い金属板では、プローブカードのテスタピンによりチャックトップが押され、チャックトップの金属板に反りや歪みが発生してしまい、金属板上に載置されるシリコンウエハが破損したり傾いたりしてしてしまうからである。このため、チャックトップを厚くする必要があるが、その結果、チャックトップの重量が大きくなり、またかさばってしまう。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、金属製のチャックトップに代えて、剛性の高いセラミック基板の表面に導体層を設けてこれをチャックトップ導体層とすることを想起した。このセラミック基板は、剛性が高いため、その厚さを薄くすることができ、その結果、熱容量を小さくして、ある程度迅速な昇温、降温を行うことができるが、通常、使用されている焼結体をそのまま使用したのでは、昇温、降温特性が充分とは言えず、改良の余地があった。
【0007】また、この焼結体からなるセラミック基板上にシリコンウエハを載置して加熱する際、セラミック基板の赤外光透過率等が高いと、輻射熱を充分に利用することができないために熱効率が悪いという問題があった。また、明度が高すぎる場合には、ガード電極、グランド電極の形状が見えてしまうため、外観上好ましくなく、商品価値が低下するという問題があった。
【0008】そこで、本発明者らはさらに検討を重ね、セラミック基板を製造する際に、炭素材料を所定量添加することにより、高温における熱伝導率が高く、昇温、降温特性が優れたセラミック基板を得ることができることを見出した。
【0009】さらに、炭素材料を所定量添加して黒色化することにより、ガード電極、グランド電極を隠蔽することができ、かつ、シリコンウエハを加熱する際に輻射熱を利用することができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0010】即ち、本発明のウエハプローバは、セラミック基板の表面にチャックトップ導体層が形成されてなるウエハプローバであって、上記セラミック基板は炭素を含有していることを特徴とする。また、本発明のウエハプローバに使用されるセラミック基板は、炭素を含有し、その表面にチャックトップ導体層が形成されていることを特徴とする。
【0011】上記ウエハプローバおよび上記ウエハプローバに使用されるセラミック基板において、上記セラミック基板中の炭素の含有量は、50〜50000ppmであることが望ましい。また、上記セラミック基板のJIS Z 8721に基づく明度は、N4以下であることが望ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明のウエハプローバ(以下、ウエハプローバに使用されるセラミック基板も含む)は、セラミック基板の表面にチャックトップ導体層が形成されてなるウエハプローバであって、上記セラミック基板は炭素を含有していることを特徴とするウエハプローバである。また、本発明のセラミック基板は、ウエハプローバに使用され、具体的には、半導体ウエハのプロービング用ステージ(いわゆるチャックトップ)として機能する。
【0013】本発明では、上記セラミック基板は、炭素を含有しているので、特に高温における熱伝導率が高くなり、迅速な昇温、降温を行うことができる。さらに、チャックトップの厚さを金属に比べて薄くすることができるため、熱容量が小さくなり、昇温、降温特性をより向上させることができる。
【0014】また、上記セラミック基板は、炭素を含有しており、その含有量を一定以上とすることにより、黒色化され、ガード電極、グランド電極を隠蔽することができる。また、セラミックは一般的に、高温になると熱伝導率が低下するのであるが、炭素を含有させることにより、高温での熱伝導率の低下を抑制して、高温でも高い熱伝導率を維持することができる。
【0015】また本発明では、剛性の高いセラミックからなる基板を使用しているため、プローブカードのテスタピンによりチャックトップが押されてもチャックトップが反ることはなく、チャックトップの厚さを金属に比べて薄くすることができる。
【0016】図1は、本発明のウエハプローバの一実施形態を模式的に示した断面図であり、図2は、その平面図であり、図3は、その底面図であり、図4は、図1に示したウエハプローバにおけるA−A線断面図である。
【0017】このウエハプローバ101では、平面視円形状のセラミック基板3の表面に同心円形状の溝7が形成されるとともに、溝7の一部にシリコンウエハを吸引するための複数の吸引孔8が設けられており、溝7を含むセラミック基板3の大部分にシリコンウエハの電極と接続するためのチャックトップ導体層2が円形状に形成されている。
【0018】一方、セラミック基板3の底面には、シリコンウエハの温度をコントロールするために、図3に示したような平面視同心円形状の発熱体41が設けられており、発熱体41の両端には、外部端子ピン191が接続、固定されている。また、セラミック基板3の内部には、ストレイキャパシタやノイズを除去するためにガード電極5とグランド電極6とが設けられているが、このセラミック基板3は、所定量の炭素を含有しているため黒色化し、ガード電極5とグランド電極6とが隠蔽されている。
【0019】本発明のウエハプローバは、例えば、図1〜4に示したような構成を有するものである。以下において、上記ウエハプローバを構成する各部材、および、本発明のウエハプローバの他の実施形態について、順次詳細に説明していくことにする。
【0020】本発明では、セラミック基板が炭素を含有しているため、高温における熱伝導率が高く、昇温、降温特性が優れている。なお、所定量以上の炭素を含有させることにより、セラミック基板を黒色化して、ガード電極、グランド電極等を隠蔽することができ、また、黒体輻射熱を利用して効率よくシリコンウエハを加熱することができる。
【0021】セラミック基板中の炭素の含有量は、50〜50000ppmが好ましい。炭素含有量が50ppm未満ではセラミック基板の高温における熱伝導率が低下し、昇温、降温特性が悪化する。さらに、セラミック基板の白色化、透明化が進行し、色ムラも発生しやすい。一方、炭素含有量が50000ppmを超えると、炭素を均一に分散させるのが難しく、炭素が焼結を阻害するため、焼結密度が低下し、高温における熱伝導率が逆に低下してしまう。
【0022】炭素含有量が50000ppm以下であっても、体積抵抗率が低く、セラミック基板中にそのままガード電極、グランド電極、抵抗発熱体等を形成すると、絶縁破壊が発生するおそれがある場合もある。しかしながら、ガード電極、グランド電極、抵抗発熱体等の周囲を被覆するように、ガラス層等からなる絶縁層を形成することにより、抵抗発熱体等の内部や電極相互、電極と抵抗発熱体との間に絶縁破壊が発生するおそれはなくなり、ウエハプローバ(ウエハプローバ用セラミック基板)としての機能を確保することが可能となる。炭素の含有量は、100〜5000ppmが望ましく、500〜2000ppmがより望ましい。ガード電極やグランド電極等を充分に隠蔽することができ、高温時の熱伝導率の低下を防止することができる。
【0023】炭素(カーボン)は、グラファイトやアセチレンブラックなどのX線回折で検出可能な結晶性のものでもよく、石油等を不完全燃焼させることにより製造したカーボンブラック等のX線回折で検出不能の非晶質のものでもよく、両者の混合物でもよい。また、生成形体を脱脂する際、アクリル樹脂等からなるバインダを非酸化性雰囲気で脱脂することにより、炭素として焼結体中に残留させる方法を用いてもよい。このようにして炭素をセラミック基板中に含有させることにより、セラミック基板の高温熱伝導率を向上させることができる。特に、結晶質の炭素を用いると、高温の熱伝導率をより向上させることができる。一方、非晶質の炭素を用いると、高温における体積抵抗率の低下を抑制することができる。
【0024】図13は、炭素を800ppm含有したセラミック基板の温度と体積抵抗率との関係を模式的に示したグラフであるが、温度が上昇するに従って、体積抵抗率が低下している。また、結晶質の炭素(カーボン)を使用した場合には、非晶質の炭素(カーボン)を使用した場合よりも体積抵抗率が低下している。また、図14は、炭素を800ppm含有したセラミック基板の温度と熱伝導率との関係を模式的に示したグラフである。図14に示したように、結晶質の炭素を使用した方が高温熱伝導率が高くなっている。従って、体積抵抗率と熱伝導率のどちらを優先するかで、結晶性の炭素と非晶質の炭素との配合量を調整する。ただし、非晶質の炭素を使用しても、無添加のものと比較すると、高温における熱伝導率の低下は小さくなる。
【0025】上記セラミック基板のJIS Z 8721に基づく明度は、N4以下であることが望ましい。明度とは、物体表面の反射率が大きいか、小さいかを判定する視覚の属性を示す尺度である。JIS Z 8721に基づく明度は、無彩色を基準としており、理想的な黒の明度を0とし、理想的な白の明度を10とする。理想的な黒と理想的な白との間で、その色の明るさの知覚が等歩度となるように各色を10分割し、N0〜N10の記号で表示する。実際の窒化アルミニウム焼結体の明度を測定する際には、N0〜N10に対応する各標準色票と、窒化アルミニウム焼結体の表面色とを比較し、窒化アルミニウム焼結体の明度を決定する。この際、原則として小数点一位まで明度を決定し、かつ小数点一位の値は0または5とする。
【0026】上記セラミック基板のJIS Z 8721に基づく明度がN4以下であれば、黒色化度が大きいので、加熱の際に黒体輻射熱を充分に利用することができ、また、内部のガード電極やグランド電極等を充分に隠蔽することができる。
【0027】セラミック基板に炭素を含有させるために、セラミック基板の原料であるセラミック粉末を混合してグリーンシートを作製する際に炭素粉末を添加するが、その際には、例えば、ショ糖等の糖や炭化させやすい高分子物質等を炭化させたものやカーボンブラック等を使用することができる。
【0028】本発明のウエハプローバで使用されるセラミック基板は、窒化物セラミック、炭化物セラミックおよび酸化物セラミックに属するセラミックから選ばれる少なくとも1種であることが望ましい。
【0029】上記窒化物セラミックとしては、金属窒化物セラミック、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等が挙げられる。また、上記炭化物セラミックとしては、金属炭化物セラミック、例えば、炭化ケイ素、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タンタル、炭化タンステン等が挙げられる。
【0030】上記酸化物セラミックとしては、金属酸化物セラミック、例えば、アルミナ、ジルコニア、コージェライト、ムライト等が挙げられる。これらのセラミックは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0031】これらのセラミックの中では、窒化物セラミック、炭化物セラミックの方が酸化物セラミックに比べて望ましい。熱伝導率が高いからである。また、窒化物セラミックの中では窒化アルミニウムが最も好適である。熱伝導率が180W/m・Kと最も高いからである。
【0032】本発明におけるチャックトップのセラミック基板の厚さは、チャックトップ導体層より厚いことが必要であり、具体的には1〜10mmが望ましい。また、本発明においては、シリコンウエハの裏面を電極として使用するため、セラミック基板の表面にチャックトップ導体層が形成されている。
【0033】上記チャックトップ導体層の厚さは、1〜20μmが望ましい。1μm未満では抵抗値が高くなりすぎて電極として働かず、一方、20μmを超えると導体の持つ応力によって剥離しやすくなってしまうからである。
【0034】チャックトップ導体層としては、例えば、銅、チタン、クロム、ニッケル、貴金属(金、銀、白金等)、タングステン、モリブデンなどの高融点金属から選ばれる少なくとも1種の金属を使用することができる。
【0035】チャックトップ導体層は、金属や導電性セラミックからなる多孔質体であってもよい。多孔質体の場合は、後述するような吸引吸着のための溝を形成する必要がなく、溝の存在を理由としたウエハの破損を防止することができるだけでなく、表面全体で均一な吸引吸着を実現できるからである。このような多孔質体としては、金属焼結体を使用することができる。また、多孔質体を使用した場合は、その厚さは、1〜200μmで使用することができる。多孔質体とセラミック基板との接合は、半田やろう材を用いる。
【0036】チャックトップ導体層としては、ニッケルを含むものであることが望ましい。硬度が高く、テスタピンの押圧に対しても変形等しにくいからである。チャックトップ導体層の具体的な構成としては、例えば、初めにニッケルスパッタリング層を形成し、その上に無電解ニッケルめっき層を設けたものや、チタン、モリブデン、ニッケルをこの順序でスパッタリングし、さらにその上にニッケルを無電解めっきもしくは電解めっきで析出させたもの等が挙げられる。
【0037】また、チタン、モリブデン、ニッケルをこの順序でスパッタリングし、さらにその上に銅およびニッケルを無電解めっきで析出させたものであってもよい。銅層を形成することでチャックトップ電極の抵抗値を低減させることができるからである。
【0038】さらに、チタン、銅をこの順でスパッタリングし、さらにその上にニッケルを無電解めっきもしくは無電解めっきで析出させたものであってもよい。また、クロム、銅をこの順でスパッタリングし、さらにその上にニッケルを無電解めっきもしくは無電解めっきで析出させたものとすることも可能である。
【0039】上記チタン、クロムは、セラミックとの密着性を向上させることができ、また、モリブデンはニッケルとの密着性を改善することができる。チタン、クロムの厚みは0.1〜0.5μm、モリブデンの厚みは0.5〜7.0μm、ニッケルの厚みは0.4〜2.5μmが望ましい。
【0040】上記チャックトップ導体層の表面には、貴金属層(金、銀、白金、パラジウム)が形成されていることが望ましい。貴金属層は、卑金属のマイグレーションによる汚染を防止することができるからである。貴金属層の厚さは、0.01〜15μmが望ましい。
【0041】本発明においては、セラミック基板に温度制御手段を設けておくことが望ましい。加熱または冷却しながらシリコンウエハの導通試験を行うことができるからである。
【0042】上記温度制御手段としては図1に示した発熱体41のほかに、ペルチェ素子であってもよい。発熱体を設ける場合は、冷却手段としてエアー等の冷媒の吹きつけ口などを設けておいてもよい。発熱体は、複数層設けてもよい。この場合は、各層のパターンは相互に補完するように形成されて、加熱面からみるとどこかの層にパターンが形成された状態が望ましい。例えば、互いに千鳥の配置になっている構造である。
【0043】発熱体としては、例えば、金属または導電性セラミックの焼結体、金属箔、金属線等が挙げられる。金属焼結体としては、タングステン、モリブデンから選ばれる少なくとも1種が好ましい。これらの金属は比較的酸化しにくく、発熱するに充分な抵抗値を有するからである。
【0044】また、導電性セラミックとしては、タングステン、モリブデンの炭化物から選ばれる少なくとも1種を使用することができる。さらに、セラミック基板の外側に発熱体を形成する場合には、金属焼結体としては、貴金属(金、銀、パラジウム、白金)、ニッケルを使用することが望ましい。具体的には銀、銀−パラジウムなどを使用することができる。上記金属焼結体に使用される金属粒子は、球状、リン片状、もしくは球状とリン片状の混合物を使用することができる。
【0045】金属焼結体中には、金属酸化物を添加してもよい。上記金属酸化物を使用するのは、窒化物セラミックまたは炭化物セラミックと金属粒子を密着させるためである。上記金属酸化物により、窒化物セラミックまたは炭化物セラミックと金属粒子との密着性が改善される理由は明確ではないが、金属粒子表面および窒化物セラミックまたは炭化物セラミックの表面はわずかに酸化膜が形成されており、この酸化膜同士が金属酸化物を介して焼結して一体化し、金属粒子と窒化物セラミックまたは炭化物セラミックが密着するのではないかと考えられる。
【0046】上記金属酸化物としては、例えば、酸化鉛、酸化亜鉛、シリカ、酸化ホウ素(B23 )、アルミナ、イットリア、チタニアから選ばれる少なくとも1種が好ましい。これらの酸化物は、発熱体の抵抗値を大きくすることなく、金属粒子と窒化物セラミックまたは炭化物セラミックとの密着性を改善できるからである。
【0047】上記金属酸化物は、金属粒子に対して0.1重量%以上10重量%未満であることが望ましい。抵抗値が大きくなりすぎず、金属粒子と窒化物セラミックまたは炭化物セラミックとの密着性を改善することができるからである。
【0048】また、酸化鉛、酸化亜鉛、シリカ、酸化ホウ素(B23 )、アルミナ、イットリア、チタニアの割合は、金属酸化物の全量を100重量部とした場合に、酸化鉛が1〜10重量部、シリカが1〜30重量部、酸化ホウ素が5〜50重量部、酸化亜鉛が20〜70重量部、アルミナが1〜10重量部、イットリアが1〜50重量部、チタニアが1〜50主部が好ましい。但し、これらの合計が100重量部を超えない範囲で調整されることが望ましい。これらの範囲が特に窒化物セラミックとの密着性を改善できる範囲だからである。
【0049】発熱体をセラミック基板の表面に設ける場合は、発熱体の表面は、金属層410で被覆されていることが望ましい(図11(e)参照)。発熱体は、金属粒子の焼結体であり、露出していると酸化しやすく、この酸化により抵抗値が変化してしまう。そこで、表面を金属層で被覆することにより、酸化を防止することができるのである。
【0050】金属層の厚さは、0.1〜10μmが望ましい。発熱体の抵抗値を変化させることなく、発熱体の酸化を防止することができる範囲だからである。被覆に使用される金属は、非酸化性の金属であればよい。具体的には、金、銀、パラジウム、白金、ニッケルから選ばれる少なくとも1種以上が好ましい。なかでもニッケルがさらに好ましい。発熱体には電源と接続するための端子が必要であり、この端子は、半田を介して発熱体に取り付けるが、ニッケルは半田の熱拡散を防止するからである。接続端子しては、コバール製の端子ピンを使用することができる。なお、発熱体をヒータ板内部に形成する場合は、発熱体表面が酸化されることがないため、被覆は不要である。発熱体をヒータ板内部に形成する場合、発熱体の表面の一部が露出していてもよい。
【0051】発熱体として使用する金属箔としては、ニッケル箔、ステンレス箔をエッチング等でパターン形成して発熱体としたものが望ましい。パターン化した金属箔は、樹脂フィルム等ではり合わせてもよい。金属線としては、例えば、タングステン線、モリブデン線等が挙げられる。
【0052】温度制御手段としてペルチェ素子を使用する場合は、電流の流れる方向を変えることにより発熱、冷却両方行うことができるため有利である。ペルチェ素子は、図7に示すように、p型、n型の熱電素子440を直列に接続し、これをセラミック板441などに接合させることにより形成される。ペルチェ素子としては、例えば、シリコン・ゲルマニウム系、ビスマス・アンチモン系、鉛・テルル系材料等が挙げられる。
【0053】本発明では、温度制御手段とチャックトップ導体層との間に少なくとも1層以上の導電層が形成されていることが望ましい。図1におけるガード電極5とグランド電極6が上記導体層に相当する。ガード電極5は、測定回路内に介在するストレイキャパシタをキャンセルするための電極であり、測定回路(即ち、図1のチャックトップ導体層2)の接地電位が与えられている。また、グランド電極6は、温度制御手段からのノイズをキャンセルするために設けられている。これらの電極の厚さは、1〜20μmが望ましい。薄すぎると、抵抗値が高くなり、厚すぎるとセラミック基板が反ったり、熱衝撃性が低下するからである。
【0054】これらのガード電極5、グランド電極6は、図4に示したような格子状に設けられていることが望ましい。即ち、円形状の導体層51の内部に矩形状の導体層非形成部52が多数整列して存在する形状である。このような形状としたのは、導体層上下のセラミック同士の密着性を改善するためである。本発明のウエハプローバのチャックトップ導体層形成面には図2に示したように溝7と空気の吸引孔8が形成されていることが望ましい。吸引孔8は、複数設けられて均一な吸着が図られる。シリコンウエハWを載置して吸引孔8から空気を吸引してシリコンウエハWを吸着させることができるからである。
【0055】本発明におけるウエハプローバとしては、例えば、図1に示すようにセラミック基板3の底面に発熱体41が設けられ、発熱体41とチャックトップ導体層2との間にガード電極5の層とグランド電極6の層とがそれぞれ設けられた構成のウエハプローバ101、図5に示すようにセラミック基板3の内部に扁平形状の発熱体42が設けられ、発熱体42とチャックトップ導体層2との間にガード電極5とグランド電極6とが設けられた構成のウエハプローバ201、図6に示すようにセラミック基板3の内部に発熱体である金属線43が埋設され、金属線43とチャックトップ導体層2との間にガード電極5とグランド電極6とが設けられた構成のウエハプローバ301、図7に示すようにペルチェ素子44(熱電素子440とセラミック基板441からなる)がセラミック基板3の外側に形成され、ペルチェ素子44とチャックトップ導体層2との間にガード電極5とグランド電極6とが設けられた構成のウエハプローバ401等が挙げられる。いずれのウエハプローバも、溝7と吸引孔8とを必ず有している。
【0056】本発明では、図1〜7に示したようにセラミック基板3の内部に発熱体42、43が形成され(図5〜6)、セラミック基板3の内部にガード電極5、グランド電極6(図1〜7)が形成されるため、これらと外部端子とを接続するための接続部(スルーホール)16、17、18が必要となる。スルーホール16、17、18は、タングステンペースト、モリブデンペーストなどの高融点金属、タングステンカーバイド、モリブデンカーバイドなどの導電性セラミックを充填することにより形成される。
【0057】また、接続部(スルーホール)16、17、18の直径は、0.1〜10mmが望ましい。断線を防止しつつ、クラックや歪みを防止できるからである。このスルーホールを接続パッドとして外部端子ピンを接続する(図11(g)参照)。
【0058】接続は、半田、ろう材により行う。ろう材としては銀ろう、パラジウムろう、アルミニウムろう、金ろうを使用する。金ろうとしては、Au−Ni合金が望ましい。Au−Ni合金は、タングステンとの密着性に優れるからである。
【0059】Au/Niの比率は、〔81.5〜82.5(重量%)〕/〔18.5〜17.5(重量%)〕が望ましい。Au−Ni層の厚さは、0.1〜50μmが望ましい。接続を確保するに充分な範囲だからである。また、10-6〜10-5Paの高真空で500℃〜1000℃の高温で使用するとAu−Cu合金では劣化するが、Au−Ni合金ではこのような劣化がなく有利である。また、Au−Ni合金中の不純物元素量は全量を100重量部とした場合に1重量部未満であることが望ましい。
【0060】本発明では、必要に応じてセラミック基板に熱電対を埋め込んでおくことができる。熱電対により発熱体の温度を測定し、そのデータをもとに電圧、電流量を変えて、温度を制御することができるからである。熱電対の金属線の接合部位の大きさは、各金属線の素線径と同一か、もしくは、それよりも大きく、かつ、0.5mm以下がよい。このような構成によって、接合部分の熱容量が小さくなり、温度が正確に、また、迅速に電流値に変換されるのである。このため、温度制御性が向上してウエハの加熱面の温度分布が小さくなるのである。上記熱電対としては、例えば、JIS−C−1602(1980)に挙げられるように、K型、R型、B型、S型、E型、J型、T型熱電対が挙げられる。
【0061】図8は、以上のような構成の本発明のウエハプローバを設置するための支持容器11を模式的に示した断面図である。この支持容器11には、冷媒吹き出し口12が形成されており、冷媒注入口14から冷媒が吹き込まれる。また、吸引口13から空気を吸引して吸引孔8を介してウエハプローバ上に載置されたシリコンウエハ(図示せず)を溝7に吸い付けるのである。
【0062】図9(a)は、支持容器の他の一例を模式的に示した水平断面図であり、(b)は、(a)図におけるB−B線断面図である。図9に示したように、この支持容器21では、ウエハプローバがプローブカードのテスタピンの押圧によって反らないように、多数の支持柱15が設けられている。支持容器は、アルミニウム合金、ステンレスなどを使用することができる。
【0063】次に、本発明のウエハプローバの製造方法の一例を図10〜11に示した断面図に基づき説明する。
(1)まず、酸化物セラミック、窒化物セラミック、炭化物セラミックなどのセラミックの粉体を炭素(カーボン)、バインダおよび溶剤と混合してグリーンシート30を得る。
【0064】前述したセラミック粉体としては、例えば、窒化アルミニウム、炭化ケイ素などを使用することができ、必要に応じて、イットリアなどの焼結助剤などを加えてもよい。また、炭素は、ショ糖や高分子物質を炭化させたものであってもよく、カーボンブラック等の炭素粉末であってもよい。また、カーボンは、結晶性のものであっもよく、非晶質のものであってもよい。
【0065】また、バインダとしては、アクリル系バインダ、エチルセルロース、ブチルセロソルブ、ポリビニルアルコールから選ばれる少なくとも1種が望ましい。さらに、溶媒としては、α−テルピネオール、グリコールから選ばれる少なくとも1種が望ましい。これらを混合して得られるペーストをドクターブレード法でシート状に成形してグリーンシート30を作製する。
【0066】グリーンシート30に、必要に応じてシリコンウエハの支持ピンを挿入する貫通孔や熱電対を埋め込む凹部を設けておくことができる。貫通孔や凹部は、パンチングなどで形成することができる。グリーンシート30の厚さは、0.1〜5mm程度が好ましい。
【0067】次に、グリーンシート30にガード電極、グランド電極を印刷する。印刷は、グリーンシート30の収縮率を考慮して所望のアスペクト比が得られるように行い、これによりガード電極印刷体50、グランド電極印刷体60を得る。印刷体は、導電性セラミック、金属粒子などを含む導電性ペーストを印刷することにより形成する。
【0068】これらの導電性ペースト中に含まれる導電性セラミック粒子としては、タングステンまたはモリブデンの炭化物が最適である。酸化しにくく、熱伝導率が低下しにくいからである。また、金属粒子としては、例えば、タングステン、モリブデン、白金、ニッケルなどを使用することができる。
【0069】導電性セラミック粒子、金属粒子の平均粒子径は0.1〜5μmが好ましい。これらの粒子は、大きすぎても小さすぎてもペーストを印刷しにくいからである。このようなペーストとしては、金属粒子または導電性セラミック粒子85〜97重量部、アクリル系、エチルセルロース、ブチルセロソルブおよびポリビニルアルコールから選ばれる少なくとも1種のバインダ1.5〜10重量部、α−テルピネオール、グリコール、エチルアルコールおよびブタノールから選ばれる少なくとも1種の溶媒を1.5〜10重量部混合して調製したぺーストが最適である。さらに、パンチング等で形成した孔に、導電ペーストを充填してスルーホール印刷体160、170を得る。
【0070】次に、図10(a)に示すように、印刷体50、60、160、170を有するグリーンシート30と、印刷体を有さないグリーンシート30を積層する。発熱体形成側に印刷体を有さないグリーンシート30を積層するのは、スルーホールの端面が露出して、発熱体形成の焼成の際に酸化してしまうことを防止するためである。もしスルーホールの端面が露出したまま、発熱体形成の焼成を行うのであれば、ニッケルなどの酸化しにくい金属をスパッタリングする必要があり、さらに好ましくは、Au−Niの金ろうで被覆してもよい。
【0071】(2)次に、図10(b)に示すように、積層体の加熱および加圧を行い、グリーンシートおよび導電ペーストを焼結させる。加熱温度は、1000〜2000℃、加圧は100〜200kg/cm2 が好ましく、これらの加熱および加圧は、不活性ガス雰囲気下で行う。不活性ガスとしては、アルゴン、窒素などを使用することができる。この工程でスルーホール16、17、ガード電極5、グランド電極6が形成される。また、セラミック基板は、カーボンを含んでいるので、黒色化される。
【0072】(3)次に、図10(c)に示すように、マスクを介したサンドブラスト処理等により、焼結体の表面に溝7を設ける。
(4)次に、図10(d)に示すように、焼結体の底面に導電ペーストを印刷してこれを焼成し、発熱体41を作製する。形成された発熱体41は、セラミック基板の表面にしっかりと密着する。
【0073】(5)次に、図11(e)に示すように、ウエハ載置面(溝形成面)にチタン、モリブデン、ニッケル等をスパッタリングした後、無電解ニッケルめっき等を施し、チャックトップ導体層2を設ける。このとき同時に、発熱体41の表面にも無電解ニッケルめっき等により保護層410を形成する。
【0074】(6)次に、図11(f)に示すように、溝7から裏面にかけて貫通する吸引孔8、外部端子接続のための袋孔180を設ける。袋孔180の内壁は、その少なくとも一部が導電化され、その導電化された内壁は、ガード電極5、グランド電極6などと接続されていることが望ましい。
【0075】(7)最後に、図11(g)に示すように、発熱体41表面の取りつけ部位に半田ペーストを印刷した後、外部端子ピン191を乗せて、加熱してリフローする。加熱温度は、200〜500℃が好適である。
【0076】また、袋孔180にも金ろうを介して外部端子19、190を設ける。さらに、必要に応じて、有底孔を設け、その内部に熱電対を埋め込むことができる。半田は銀−鉛、鉛−スズ、ビスマス−スズなどの合金を使用することができる。なお、半田層の厚さは、0.1〜50μmが望ましい。半田による接続を確保するに充分な範囲だからである。
【0077】なお、上記説明ではウエハプローバ101(図1参照)を例にしたが、ウエハプローバ201(図5参照)を製造する場合は、発熱体をグリーンシートに印刷すればよい。また、ウエハプローバ301(図6参照)を製造する場合は、セラミック粉末中にガード電極、グランド電極として金属板を、また金属線を発熱体にして埋め込み、焼結すればよい。さらに、ウエハプローバ401(図7参照)を製造する場合は、ペルチェ素子を溶射金属層を介して接合すればよい。
【0078】
【実施例】以下、本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1)ウエハプローバ101(図1参照)の製造(1)まず、ショ糖を空気中、500℃で加熱することによりカーボンを得た。次に、窒化アルミニウム粉末(トクヤマ社製、平均粒径1.1μm)100重量部、イットリア(平均粒径0.4μm)4重量部、上記のカーボン0.09重量部、および、1─ブタノールおよびエタノールからなるアルコール53重量部を混合して得た混合組成物を、ドクターブレード法を用いて成形し、厚さ0.47mmのグリーンシートを得た。
【0079】(2)次に、このグリーンシートを80℃で5時間乾燥させた後、パンチングにて発熱体と外部端子ピンと接続するためのスルーホール用の貫通孔を設けた。
(3)平均粒子径1μmのタングステンカーバイド粒子100重量部、アクリル系バインダ3.0重量部、α─テルピネオール溶媒3.5重量および分散剤0.3重量部を混合して導電性ペーストAとした。また、平均粒子径3μmのタングステン粒子100重量部、アクリル系バインダ1.9重量部、α─テルピネオール溶媒を3.7重量部、分散剤0.2重量部を混合して導電性ペーストBとした。
【0080】次に、グリーンシートに、この導電性ペーストAを用いたスクリーン印刷で、格子状のガード電極用印刷体50、グランド電極用印刷体60を印刷印刷した。また、端子ピンと接続するためのスルーホール用の貫通孔に導電性ペーストBを充填した。
【0081】さらに、印刷されたグリーンシートおよび印刷がされていないグリーンシートを50枚積層して130℃、80kg/cm2 の圧力で一体化することにより積層体を作製した(図10(a)参照)。
【0082】(4)次に、この積層体を窒素ガス中で600℃で5時間脱脂し、1890℃、圧力150kg/cm2 で3時間ホットプレスし、厚さ3mmの窒化アルミニウム板状体を得た。得られた板状体を、直径230mmの円形状に切り出してセラミック製の板状体とした(図10(b)参照)。スルーホール16、17の大きさは、直径0.2mm、深さ0.2mmであった。また、ガード電極5、グランド電極6の厚さは10μm、ガード電極5の形成位置は、ウエハ載置面から1mm、グランド電極6の形成位置は、ウエハ載置面から1.2mmであった。また、ガード電極5およびグランド電極6の導体非形成領域(方形)の1辺の大きさは、0.5mmであった。
【0083】(5)上記(4)で得た板状体を、ダイアモンド砥石で研磨した後、マスクを載置し、SiC等によるブラスト処理で表面に熱電対のための凹部(図示せず)およびウエハ吸着用の溝7(幅0.5mm、深さ0.5mm)を設けた。(図10(c))。
【0084】(6)さらに、ウエハ載置面に対向する面に発熱体41を印刷した。印刷は導電ペーストを用いた。導電ペーストは、プリント配線板のスルーホール形成に使用されている徳力化学研究所製のソルベストPS603Dを使用した。この導電ペーストは、銀/鉛ペーストであり、酸化鉛、酸化亜鉛、シリカ、酸化ホウ素、アルミナからなる金属酸化物(それぞれの重量比率は、5/55/10/25/5)を銀100重量部に対して7.5重量部含むものであった。また、銀の形状は平均粒径4.5μmでリン片状のものであった。
【0085】(7)導電ペーストを印刷したヒータ板を780℃で加熱焼成して、導電ペースト中の銀、鉛を焼結させるとともにセラミック基板3に焼き付けた。さらに硫酸ニッケル30g/l、ほう酸30g/l、塩化アンモニウム30g/lおよびロッシェル塩60g/lを含む水溶液からなる無電解ニッケルめっき浴にヒータ板を浸漬して、銀の焼結体41の表面に厚さ1μm、ホウ素の含有量が1重量%以下のニッケル層410を析出させた。この後、ヒータ板は、120℃で3時間アニーリング処理を施した。銀の焼結体からなる発熱体は、厚さが5μm、幅2.4mmであり、面積抵抗率が7.7mΩ/□であった(図10(d))。
【0086】(8)溝7が形成された面に、スパッタリング法により、順次、チタン層、モリブデン層、ニッケル層を形成した。スパッタリングのための装置は、日本真空技術株式会社製のSV−4540を使用した。スパッタリングの条件は気圧0.6Pa、温度100℃、電力200Wであり、スパッタリング時間は、30秒から1分の範囲内で、各金属によって調整した。得られた膜の厚さは、蛍光X線分析計の画像から、チタン層は0.3μm、モリブデン層は2μm、ニッケル層は1μmであった。
【0087】(9)硫酸ニッケル30g/l、ほう酸30g/l、塩化アンモニウム30g/lおよびロッシェル塩60g/lを含む水溶液からなる無電解ニッケルめっき浴に、上記(8)で得られたセラミック板を浸漬し、スパッタリングにより形成された金属層の表面に厚さ7μm、ホウ素の含有量が1重量%以下のニッケル層を析出させ、120℃で3時間アニーリングした。発熱体表面は、電流を流さず、電解ニッケルめっきで被覆されない。
【0088】さらに、表面にシアン化金カリウム2g/l、塩化アンモニウム75g/l、クエン酸ナトリウム50g/lおよび次亜リン酸ナトリウム10g/lを含む無電解金めっき液に、93℃の条件で1分間浸漬し、ニッケルめっき層15上に厚さ1μmの金めっき層を形成した(図11(e)参照)。
【0089】(10)溝7から裏面に抜ける空気吸引孔8をドリル加工により形成し、さらにスルーホール16、17を露出させるための袋孔180を設けた(図10(f)参照)。この袋孔180にNi−Au合金(Au81.5重量%、Ni18.4重量%、不純物0.1重量%)からなる金ろうを用い、970℃で加熱リフローしてコバール製の外部端子ピン19、190を接続させた(図11(g)参照)。また、発熱体に半田(スズ90重量%/鉛10重量%)を介してコバール製の外部端子ピン191を形成した。
【0090】(11)次に、温度制御のための複数熱電対を凹部に埋め込み、ウエハプローバヒータ101を得た。
【0091】(実施例2)(4)の工程において、グリーンシートを積層することにより作製した積層体を酸素を含有する窒素ガス雰囲気中、300℃で6時間脱脂を行ったほかは、実施例1と同様にしてウエハプローバを製造した。
【0092】(実施例3)(1)の工程において、カーボンを0.6重量部添加したほかは、実施例1と同様にしてウエハプローバを製造した。
【0093】(実施例4)
(1)炭化珪素粉末(屋久島電工社製 ダイヤシック C−1000、平均粒径1.1μm)100重量部、イットリア(平均粒径0.4μm)4重量部、および、1−ブタノールおよびエタノールからなるアルコール53重量部を混合して得た混合組成物を、ドクターブレードを用いて成形し,厚さ0.47mmのグリーンシートを得た。炭化珪素粉末中には、5重量%の炭素が原料段階で含有されている。
【0094】(2)次に、このグリーンシートに絶縁のためのガラスペーストを塗布した後、80℃で5時間乾燥させ、続いてパンチングにて発熱体と外部端子とを接続するためのスルーホール用の貫通孔を設けた。
【0095】(3)平均粒子径1μmのタングステンカーバイド粒子100重量部、アクリル系バインダ3.0重量部、α−テルピネオール溶媒3.5重量部および分散剤0.3重量部を混合して導体ペーストAとした。また、平均粒子径3μmのタングステン粒子100重量部、アクリル径バインダ1.9重量部、α−テルピネオール溶媒3.7重量部および分散剤0.2重量部を混合して導体ペーストBとした。
【0096】次に、グリーンシートのガラスペースト塗布面に、この導体ペーストAを用いたスクリーン印刷で、格子状のガード電極用印刷体、グランド電極用印刷体を印刷した。印刷後、さらにガラスペーストを塗布して電極を被覆した。また、外部端子と接続するためのスルーホール用の貫通孔に導体ペーストBを充填した。
【0097】さらに、上記工程により導体ペーストが印刷されたグリーンシートおよび導体ペーストが印刷されていないグリーンシートを50枚積層して130℃、80kg/cm2 の圧力で一体化することにより積層体を作製した。
【0098】(4)次に、この積層体を窒素ガス中、600℃で5時間脱脂し、1890℃、圧力150kg/cm2 で3時間ホットプレスし、厚さ3mmの窒化アルミニウム板状体を得た。得られた板状体を、直径300mmの円形状に切り出してセラミック製の板状体とした。スルーホールの大きさは、直径0.2mm、深さ0.2mmであった。また、ガード電極、グランド電極の厚さは10μm、ガード電極の形成位置は、ウエハ載置面から1mm、グランド電極の形成位置は、ウエハ載置面から1.2mmであった。また、ガード電極およびグランド電極の導体非形成領域の1辺の大きさは、0.5mmであった。
【0099】(5)上記(4)で得た板状体を、ダイアモンド砥石で研磨した後、テトラエチルシリケート25重量部、エタノール37.6重量部および塩酸0.3重量部からなる混合液を24時間、攪拌しながら加水分解重合させたゾル溶液をスピンコートで塗布し、ついで80℃で5時間乾燥させ、1000℃で1時間焼成してセラミック基板11の表面に厚さ2μmのSiO2 膜からなる絶縁層を形成した。さらに、この絶縁層を有するセラミック基板に、マスクを載置し、SiC等によるブラスト処理で表面に熱電対のための凹部およびウエハ吸着用の溝(幅0.5mm、深さ0.5mm)を設けた。
【0100】(6)さらに、ウエハ載置面に対向する面に発熱体を形成するための層を印刷した。印刷は導体ペーストを用いた。この導体ペーストは、プリント配線板のスルーホール形成に使用されている徳力化学研究所社製のソルベストPS603Dを使用した。この導体ペーストは、銀/鉛ペーストであり、酸化鉛、酸化亜鉛、シリカ、酸化ホウ素、アルミナからなる金属酸化物(それぞれの重量比率は、5/55/10/25/5)を銀100重量部に対して7.5重量部含むものであった。また、銀の形状は平均粒径4.5μmでリン片状のものであった。
【0101】(7)導体ペーストを印刷したヒータ板を780℃で加熱焼成して、導体ペースト中の銀、鉛を焼結させるとともにセラミック基板に焼き付けた。さらに硫酸ニッケル30g/l、ほう酸30g/l、塩化アンモニウム30g/lおよびロッシェル塩60g/lを含む水溶液からなる無電解ニッケルめっき浴にヒータ板を浸漬して、銀の焼結体の表面に厚さ1μm、ホウ素の含有量が1重量%以下のニッケル層を析出させた。この後、ヒータ板は、120℃で3時間アニーリング処理を施した。銀の焼結体からなる発熱体は、厚さが5μm、幅2.4mmであり、面積抵抗率が7.7mΩ/□であった。
【0102】(8)溝が形成された面に、スパッタリング法により、順次、チタン層、モリブデン層、ニッケル層を形成した。スパッタリングのための装置は、日本真空技術社製のSV−4540を使用した。スパッタリングの条件は気圧0.6Pa、温度100℃、電力200Wであり、スパッタリング時間は、30秒から1分の範囲内で、各金属によって調整した。得られた膜の厚さは、蛍光X線分析計の画像から、チタン層は0.3μm、モリブデン層は2μm、ニッケル層は1μmであった。
【0103】(9)硫酸ニッケル30g/l、ほう酸30g/l、塩化アンモニウム30g/lおよびロッシェル塩60g/lを含む水溶液からなる無電解ニッケルめっき浴に、上記(8)で得られたセラミック板を浸漬し、スパッタリングにより形成された金属層の表面に厚さ7μm、ホウ素の含有量が1重量%以下のニッケル層を析出させ、120℃で3時間アニーリングした。発熱体表面は、電流を流さず、電解ニッケルめっきで被覆されない。
【0104】さらに、表面にシアン化金カリウム2g/l、塩化アンモニウム75g/l、クエン酸ナトリウム50g/lおよび次亜リン酸ナトリウム10g/lを含む無電解金めっき液に、93℃の条件で1分間浸漬し、ニッケルめっき層上に厚さ1μmの金めっき層を形成した。
【0105】(10)溝から裏面に抜ける空気吸引孔をドリル加工により形成し、さらにスルーホールを露出させるための袋孔を設けた。この袋孔にNi−Au合金(Au81.5重量%、Ni18.4重量%、不純物0.1重量%)からなる金ろうを用い、970℃で加熱リフローしてコバール製の外部端子を接続させた。また、発熱体に半田(スズ90重量%/鉛10重量%)を介してコバール製の外部端子を設けた。
【0106】(11)次に、温度制御のための複数熱電対を凹部に埋め込み、ウエハプローバヒータを得た。このウエハプローバヒータのガード電極およびグランド電極は、ガラスからなる絶縁層により被覆されている。
【0107】(実施例5)(4)の工程において、酸素を含有する窒素ガスを還流させ、グリーンシートを積層することにより作製した積層体を300℃で6時間脱脂を行ったほかは、実施例1と同様にしてウエハプローバを製造した。
【0108】(実施例6)(1)の工程において、さらに、2重量%のグラファイトを添加したほかは、実施例4と同様にしてウエハプローバを製造した。
【0109】(比較例1)(4)の工程において、酸素を含有する窒素ガスを還流させ、グリーンシートを積層することにより作製した積層体を300℃で24時間脱脂し、全炭素分析で検出できない程度まで炭素量を減少させたほかは、実施例1と同様にしてウエハプローバを製造した。
【0110】評価方法(i)カーボン含有量の測定セラミック基板を砕いて粉末状にした後800℃に加熱し、発生するCO量を測定することにより、カーボン含有量の測定を行った。
(ii)熱伝導率、体積抵抗率の測定製造したウエハプローバから柱状のサンプルを切り出し、レーザフラッシュ法で200℃における熱伝導率を測定した。また、200℃における体積抵抗率は、三端子法で測定した。
【0111】(iii) 明度の測定JIS Z 8721に準拠して明度を測定した。
(iv)最高温度と最低温度との差の測定ウエハプローバを200℃まで昇温し、熱電対が15ヶ所に設けられたシリコンウエハをウエハプローバ上に載置してシリコンウエハの温度を測定し、最高温度と最低温度との差を調べた。これらの結果を、下記の表1に示した。
【0112】
【表1】

【0113】表1に示したように、実施例1〜4に係るウエハプローバでは、炭素の含有量が50〜50000ppmの範囲にあり、200℃における熱伝導率は、100W/m・K以上と良好であった。また、実施例4の場合は、セラミック基板の材料に、窒化アルミニウムよりも熱伝導率が低い炭化珪素を使用したが、炭素の含有量を増加したことにより、熱伝導率を向上させることができた。実施例5の場合は、炭素の含有量が45ppmと少ないため、200℃における熱伝導率が98W/m・Kと低かった。また、実施例6の場合は、炭素の含有量が60000ppmと多すぎるため、炭素が焼結を阻害し、200℃における熱伝導率が90W/m・Kと低かった。一方、比較例1に係るウエハプローバでは、上述のカーボン含有量の測定方法により炭素を検出することができない程度に炭素量が少なく、その結果、200℃における熱伝導率は80W/m・Kと、さらに低下した。
【0114】また、実施例1、2、5では、炭素の含有量は5000ppm以下であり、200℃での体積抵抗率は1.0×1012Ω・cm以上と大きいが、実施例3のように、炭素の含有量が5000ppmを超えると、200℃での体積抵抗率が1.0×1011Ω・cmに低下してしまった。従って、高い体積抵抗率を確保したい場合は、炭素の含有量を5000ppm以下に調製することが最も望ましい。さらに、実施例4、6の場合には、炭素の含有量が50000ppm以上であり、体積抵抗率が1.0×104 Ω・cmと低いため、そのままセラミック基板の内部に電極を形成しようとすると、セラミック基板に絶縁破壊が発生するおそれがある。しかし、電極の周囲を絶縁層で被覆すれば、セラミック基板が絶縁破壊するおそれはなくなり、ウエハプローバとして、充分に機能させることができる。
【0115】また、実施例1〜6に係るウエハプローバでは、電極等をぼぼ隠蔽することができる。即ち、実施例1、3、4、6に係るウエハプローバは、黒色であり、実施例2に係るウエハプローバは、淡いあずき色であった。いずれもJIS Z 8721に基づく明度は4以下であり、ガード電極等を充分に隠蔽することができた。さらに、実施例5に係るウエハプローバは、むらがある褐色がかった色であり、明度は5.5であったが、ガード電極等をほぼ隠蔽することができた。一方、比較例1に係るウエハプローバは、乳白色であり、明度は8.5と高いため、ガード電極等の輪郭がセラミック基板の裏側から見えてしまっていた。
【0116】また、最高温度と最低温度との差(温度分布)に関しては、実施例1〜4に係るウエハプローバ、すなわち、炭素の含有量が50〜50000ppmであるウエハプローバで、1℃以内と小さく、また、実施例5、6に係るウエハプローバでも、2℃以内と小さい。しかし、比較例1に係るウエハプローバにおいて、温度差は8℃と大きくなった。これは、セラミック基板が炭素を全く含有せず、高温での熱伝導率が低いため、温度差が大きくなったのではないかと推定している。
【0117】
【発明の効果】以上説明のように、本願発明のウエハプローバでは、セラミック基板が炭素を含有しているので、高温における熱伝導率が高く、昇温、降温特性に優れている。また、セラミック基板が炭素を所定量以上含有していると、黒色化され、ガード電極、グランド電極を隠蔽することができ、また、高温での熱伝導率も確保される。
【0118】また、その体積抵抗率が、高温において余り低下しなければ、絶縁破壊が生じることはないので、セラミック基板内に電極等を形成することができ、たとえ、体積抵抗率が低くなっても、低下の程度が小さければ、電極や抵抗発熱体の周囲に絶縁層を形成することにより、セラミック基板に絶縁破壊が発生するのを防止することができる。




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013