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発明の名称 半導体製造・検査装置用セラミック基板
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−189372(P2001−189372A)
公開日 平成13年7月10日(2001.7.10)
出願番号 特願平11−372164
出願日 平成11年12月28日(1999.12.28)
代理人 【識別番号】100086586
【弁理士】
【氏名又は名称】安富 康男 (外2名)
【テーマコード(参考)】
3K092
4M106
5F031
【Fターム(参考)】
3K092 PP20 QA05 RF03 RF11 SS02 SS12 SS34 VV31 
4M106 AA01 BA01 CA04 CA31 DD30
5F031 CA02 HA02 HA03 HA13 HA16 HA18 HA37 MA28 MA32 MA33
発明者 平松 靖二 / 伊藤 康隆
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 レーザラマンスペクトルによる分析において、1580cm-1付近のピークと1355cm-1付近のピークとのピーク強度比:I(1580)/I(1355)が、3.0を超えてなるカーボンを含有するセラミック基板に、導電体を配設してなることを特徴とする半導体製造・検査装置用セラミック基板。
【請求項2】 前記1355cm-1付近のピークの半値幅(半値全幅)が、20cm-1以上であるカーボンを含有する請求項1に記載の半導体製造・検査装置用セラミック基板。
【請求項3】 前記導電体は、静電電極であって、前記セラミック基板が静電チャックとして機能する請求項1または2に記載の半導体製造・検査装置用セラミック基板。
【請求項4】 前記導電体は、抵抗発熱体であって、前記セラミック基板がホットプレートとして機能する請求項1または2に記載の半導体製造・検査装置用セラミック基板。
【請求項5】 前記導電体は、セラミック基板の表面および内部に形成され、前記内部の導電体は、ガード電極またはグランド電極のいずれか少なくとも一方であって、前記セラミック基板がウエハプローバとして機能する請求項1または2に記載の半導体製造・検査装置用セラミック基板。
【請求項6】 前記カーボンの含有量は、200〜5000ppmである請求項1〜5のいずれか1に記載の半導体製造・検査装置用セラミック基板。
【請求項7】 前記セラミック基板中に、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物および希土類酸化物のいずれか少なくとも1種からなる焼結助剤を含む請求項1〜6のいずれか1に記載の半導体製造・検査装置用セラミック基板。
【請求項8】 JIS Z 8721に規定される明度がN4以下である請求項1〜7のいずれか1に記載の半導体製造・検査装置用セラミック基板。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主に、ホットプレート、静電チャック、ウエハプローバなど、半導体の製造用や検査用の装置として用いられるセラミック基板に関し、特に電極パターン等の隠蔽性、高温での体積抵抗率および熱伝導率、ならびに、サーモビュアによる温度測定精度に優れる半導体製造・検査装置用セラミック基板に関する。
【0002】
【従来の技術】エッチング装置や、化学的気相成長装置等を含む半導体製造、検査装置等においては、従来、ステンレス鋼やアルミニウム合金などの金属製基材を用いたヒータや、ウエハプローバ等が用いられてきた。しかしながら、金属製のヒータでは温度制御特性が悪く、また厚みも厚くなるため重く嵩張るという問題があり、腐食性ガスに対する耐蝕性も悪いという問題を抱えていた。
【0003】これに対し、特開平11−40330号公報等では、金属製のものに代えて、窒化アルミニウムなどのセラミックを使用したヒータが提案されている。ところが、このヒータを構成する基材の窒化アルミニウム自体は、一般に白色または灰白色であることから、ヒータやサセプタとしては好ましくない。むしろ、黒色の方が輻射熱量が大きいため、この種の用途には適しており、また、電極パターンの隠蔽性が高いため、ウエハプローバや静電チャックには特に好適であった。さらに、ヒータの表面温度の測定は、サーモビュア(表面温度計)で行われるが、白色や灰白色の場合、輻射熱も測定されてしまうため、正確な温度測定が不可能であった。
【0004】このような求めに応じて開発された特開平9─48668号公報等に記載の従来の発明の中には、セラミック基材中にX線回折チャート上の44〜45°の位置にピークが検出されるような結晶質のカーボンを添加したものが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような結晶質のカーボン(グラファイト)を添加した従来のセラミック基材は、高温時での体積抵抗率が、例えば、200℃以上の高温領域で108 Ω・cm未満に低下するという問題点があった。また、セラミック基材自体が、高温領域で熱伝導率が低下するという問題もあり、これも解決する必要があった。さらに、高温時での体積抵抗率と熱伝導率を維持したまま、破壊靱性値を低下させないようにする必要があった。
【0006】本発明の目的は、上述した従来技術が抱えている問題点を解決することにあり、200℃以上(例えば500℃付近)の高温領域における体積抵抗率が少なくとも108 Ω・cm以上で、しかも高温時の熱伝導率60W/m・k以上、破壊靱性値2.5MPam1/2 以上を確保でき、さらには隠蔽性、大輻射熱量およびサーモビュアによる測定精度を保証することができる半導体製造・検査装置用セラミック基板を提供することにある。また、本発明の他の目的は、ホットプレート、静電チャック、ウエハプローバ、サセプタ等として有用な半導体製造・検査装置用セラミック基板を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の要請に応えるために開発された半導体製造・検査装置用セラミック基板であり、レーザラマンスペクトルによる分析において、1580cm-1付近および1355cm-1付近にピークが出現し、かつ1580cm-1付近のピークと1355cm-1付近のピークとのピーク強度比:I(1580)/I(1355)が、3.0を超えてなるカーボンを含有するセラミック基板に、導体層を配設してなることを特徴とする半導体製造・検査装置用セラミック基板である。また、上記1355cm-1付近のピークの半値幅(半値全幅)が、20cm-1以上であることが望ましい。
【0008】上記半導体製造・検査装置用セラミック基板(以下、単に半導体装置用セラミック基板ともいう)において、上記導電体は、静電電極であって、上記セラミック基板が静電チャックとして機能するか、上記導電体は、抵抗発熱体であって、上記セラミック基板がホットプレートとして機能することが好ましい。
【0009】また、上記導電体は、セラミック基板の表面および内部に形成され、上記内部の導電体は、ガード電極またはグランド電極のいずれか少なくとも一方であって、上記セラミック基板がウエハプローバとして機能することが好ましい。
【0010】また上記半導体装置用セラミック基板においては、カーボン量は、200〜5000ppm含有することが好ましい。また、このセラミック基板中には、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物及び希土類酸化物のいずれか少なくとも一種を含有することが好ましく、JIS Z 8721に規定される明度がN4以下であることが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】さて、発明者らの研究によれば、X線回折チャート上において、特に2θ=44〜45°の位置でピークが検出されるようなカーボンを含有するセラミック基板は、高温(500℃)における体積抵抗率が、0.5×107 Ω・cmまで低下するために、加熱時に発熱体パターン間や電極パターン間で短絡が発生したり、リーク電流が生じてしまうことがわかった。
【0012】この理由は、セラミック基板は、高温で体積抵抗率が低下することに加え、結晶質カーボンは、金属結晶に類似した結晶構造を持ち、かつ、高温での電気伝導性が大きいため、この2つの特性が相乗的に作用し合って上記のような短絡を招くものと考えられる。
【0013】そこで、本発明者らは、このような短絡を防止することが可能な体積抵抗率の大きいセラミック基板を得るためにさらに研究を続けた結果、セラミック基板の高温での体積抵抗率を増大させるには、結晶性を低下させた非晶質のカーボンを添加すればよいことを知見した。
【0014】ただし、セラミック基板に結晶性の低下したカーボンを添加すると、高温での熱伝導率が低下するという問題が発生することも見いだした。これは、おそらく非晶質カーボンが粒子界面に介在して熱の伝搬を阻害する障壁となるためと推定している。そこで、発明者らは、結晶質と非晶質の両方の性質を合わせ持つカーボンを使用することにより、このような問題を解決できることを見出した。
【0015】そして、このような結晶質と非晶質の両方の性質を合わせ持つカーボンを含有させた場合に、焼結体が高温時の体積抵抗率や熱伝導率等の諸特性に優れ、破壊靱性値の低下が見られないこと、および、上記焼結体のレーザラマンスペクトルによる分析において、1580cm-1付近のピークと1355cm-1付近のピークとのピーク強度比:I(1580)/I(1355)が3.0を超えることを見いだし、本発明を完成させたものである。なお、「1580cm-1付近」「1355cm-1付近」という表現を使用しているが、これはラマンシフトに誤差を見込んでいるためであり、1580cm-1、1355cm-1に出現するピークの意である。
【0016】ここで、まず、カーボン材料のレーザラマンスペクトル分析について説明することにする。ラマンスペクトルとは、ラマン効果によって現れる散乱光のスペクトルをいい、このラマン効果とは、物質に一定の振動数の単色光を照射した際、散乱光にその照射した光とは別の波長の光が含まれることをいう。
【0017】カーボン材料に所定波長のレーザ光を照射するとラマン効果が発生し、レーザラマンスペクトルが観察されるが、このラマンスペクトルは、結晶振動等に関連して発生する光であるため、その材料の結晶性に依存した波長のスペクトルを検出することができる。
【0018】すなわち、結晶性のカーボン(グラファイト等)では、1580cm-1付近にスペクトルが検出され、結晶性カーボンの結晶格子の一部が非晶質化しているか、あるいは結晶性カーボンに非晶質カーボンが混入すると1355cm-1付近でも、ピークが検出されるようになる。従って、1580cm-1付近および1355cm-1付近の両方でピークが検出されるようなカーボンは、比較的結晶性の低いカーボンであるということができる。
【0019】そして、1580cm-1付近のピークと1355cm-1付近のピークとのピーク強度比:I(1580)/I(1355)が大きい方が結晶性は高くなる。また、1355cm-1付近のピークは非晶質性を表し、この半値幅が大きいほど非晶質性が高くなる。本発明では、カーボンの結晶性の下限をピーク強度比:I(1580)/I(1355)で3.0とし、結晶性と非晶質性を両方の性質を合わせ持たせつつ、若干結晶性を高くしてある。また、非晶質性の上限を上記1355cm-1付近のピークの半値幅(半値全幅)で20cm-1とすることで結晶性が高く成り過ぎないようにすることができるのである。
【0020】このように、結晶質と非晶質の両方の性質を合わせ持つカーボンを含有させると、高温時の体積抵抗率を少なくとも108 Ω・cm以上に、また高温時の熱伝導率を60W/m・k以上にすることができ、従来技術の問題を克服することができる。さらに、ピーク強度比:I(1580)/I(1355)で3.0以上であるため、結晶性がやや高く、破壊靱性値の低下を抑制できる。破壊靱性値の低下を抑制できる理由は定かではないが、クラックの進展を結晶性の高いカーボンで抑制するのではないか推定している。
【0021】レーザラマンスペクトルによる分析において、1580cm-1付近および1355cm-1付近でピークが検出され、ピーク強度比:I(1580)/I(1355)が3.0を超えるカーボンを含有するセラミック基板を得る具体的な方法としては、特に限定されるものではないが、以下の方法が好ましい。
【0022】つまり、酸価が0.3〜1.0KOHmg/gのアクリル系樹脂をセラミック原料と混合し、これを成形した後、不活性雰囲気(窒化ガス、アルゴンガス)下で350℃以上の温度で分解させて炭化させて熱分解させる。熱分解させた後、加熱加圧して窒化アルミニウム焼結体とするのである。このようなアクリル系樹脂を使用することにより、結晶性と非晶質性を合わせ持つカーボンが得られる理由は定かではないが、酸価が0.3〜1.0KOHmg/gのアクリル系樹脂は、熱分解しやすく、カーボン化しやすいため、アクリル系樹脂の非晶質な骨格を切断しながら炭化が進行するため結晶性が高くなりやすいのではないかと推定している。さらに、酸価が0.3〜1.0KOHmg/gのアクリル系樹脂は、熱分解しやすいために配合量を原料粉体に対して8〜20重量%に調整することが望ましい。上記酸価が0.3〜1.0KOHmg/gのアクリル系樹脂は、40℃〜60℃のTg点を持つことが望ましい。また、重量平均分子量は1〜5万であることが望ましい。
【0023】さらに、アクリル系樹脂は、アクリル酸、アクリル酸のエステルのいずれか一種以上および/または、メタクリル酸、メタクリル酸のエステルのいずれか1種以上からなる共重合体が望ましい。このようなアクリル系樹脂の市販品としては、三井化学社製SA−545シリーズがある。このシリーズは酸価が0.5〜1.0KOHmg/gのものがそろっている。
【0024】また、本発明の半導体装置用セラミック基板は、レーザラマンスペクトルによる分析において、1580cm-1付近のピークと1355cm-1付近のピークとのピーク強度比:I(1580)/I(1355)が3.0を超えるような結晶質カーボンと非晶質のカーボンとを含有し、かつ、25〜500℃における体積抵抗率が108 Ω・cm以上となる新たな物性を有する焼結体であるため、特開平9−48668号公報などの従来の技術を理由に本発明の新規性、進歩性がなんら阻却されるものでない。
【0025】なお、特開平9−48668号公報では、グラファイトを使用してもよいことが記載されているが、結晶性グラファイトは、レーザラマンスペクトルでは、1580cm-1にのみピークが出現するのであり、特開平9−48668号公報ではX線回折で分析される結晶性の高いグラファイトと考えられるので、本発明は、特開平9−48668号公報の発明とは全く異質である。
【0026】レーザラマンスペクトルによる分析で1580cm-1付近のピークと1355cm-1付近のピークとのピーク強度比:I(1580)/I(1355)が3.0以下であると、非晶質性のカーボンの影響を受けて500℃付近の高温領域における熱伝導率が低下してしまう。
【0027】また、レーザラマンスペクトルによる分析で1355cm-1付近のピークの半値幅(半値全幅)が、20cm-1未満であると、カーボンの結晶性の影響を受けて200℃以上の高温領域における体積抵抗率の低下を充分に抑制することができないことがある。1355cm-1付近のピークの半値幅(半値全幅)は、45cm-1以上であることが好ましい。
【0028】本発明において、上記カーボンの添加量は、200〜5000ppmにすることが望ましい。200ppm未満では、黒色とは言えず、明度がN4を超えるものとなり、一方、添加量が5000ppmを超えるとセラミック基板の焼結性が低下するからである。
【0029】本発明の半導体装置用セラミック基板を構成するセラミック材料は特に限定されるものではなく、例えば、窒化物セラミック、炭化物セラミック、酸化物セラミック等が挙げられる。
【0030】上記窒化物セラミックとしては、金属窒化物セラミック、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等が挙げられる。また、上記炭化物セラミックとしては、金属炭化物セラミック、例えば、炭化ケイ素、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン等が挙げられる。
【0031】上記酸化物セラミックとしては、金属酸化物セラミック、例えば、アルミナ、ジルコニア、コージェライト、ムライト等が挙げられる。これらのセラミックは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0032】これらのセラミックの中では、窒化物セラミック、炭化物セラミックの方が酸化物セラミックに比べて望ましい。熱伝導率が高いからである。また、窒化物セラミックの中では窒化アルミニウムが最も好適である。熱伝導率が180W/m・Kと最も高いからである。
【0033】本発明において、半導体装置用セラミック基板を構成する焼結体中には、焼結助剤を含有することが望ましい。その焼結助剤としては、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、希土類酸化物を使用することができ、特にCaO、Y23 、Na2 O、Li2 O、Rb23 が好適である。含有量としては、0.1〜10重量%が望ましい。またアルミナを添加してもよい。
【0034】そして、本発明にかかる半導体装置用セラミック基板は、明度がJIS Z 8721の規定に基づく値でN4以下のものであることが望ましい。この程度の明度を有するものが輻射熱量、隠蔽性に優れるからである。また、このようなセラミック基板は、サーモビュアにより、正確な表面温度測定が可能となる。
【0035】ここで、明度のNは、理想的な黒の明度を0とし、理想的な白の明度を10とし、これらの黒の明度と白の明度との間で、その色の明るさの知覚が等歩度となるように各色を10分割し、N0〜N10の記号で表示したものである。そして、実際の測定は、N0〜N10に対応する色票と比較して行う。この場合の小数点1位は0または5とする。
【0036】本発明の半導体装置用セラミック基板は、円板形状であり、直径200mm以上が望ましく、250mm以上が最適である。円板形状の半導体装置用セラミック基板は、温度の均一性が要求されるが、直径の大きな基板ほど、温度が不均一になりやすいからである。
【0037】本発明の半導体装置用セラミック基板の厚さは、50mm以下が好ましく、20mm以下がより好ましい。また、1〜5mmが最適である。厚みは、薄すぎると高温での反りが発生しやすく、厚すぎると熱容量が大きくなり過ぎて昇温降温特性が低下するからである。また、本発明の半導体装置用セラミック基板の気孔率は、0または5%以下が望ましい。高温での熱伝導率の低下、反りの発生を抑制できるからである。
【0038】本発明の半導体装置用セラミック基板は、半導体の製造や半導体の検査を行うための装置に用いられるセラミック基板であり、具体的な装置としては、例えば、静電チャック、ウエハプローバ、ホットプレート、サセプタ等が挙げられる。
【0039】本発明の半導体装置用セラミック基板には、導電性の金属または導電性セラミックからなる導電体が配設されているが、この導電体が静電電極である場合には、上記セラミック基板が静電チャックとして機能する。
【0040】上記金属としては、例えば、貴金属(金、銀、白金、パラジウム)、鉛、タングステン、モリブデン、ニッケルなどが好ましい。また、上記導電性セラミックとしては、例えば、タングステン、モリブデンの炭化物などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0041】図7(a)は、静電チャックを模式的に示す縦断面図であり、(b)は、(a)に示した静電チャックのA−A線断面図である。この静電チャェク20では、窒化アルミニウム基板3の内部にチャェク正負電極層22、23が埋設され、その電極上にセラミック誘電体膜40が形成されている。また、窒化アルミニウム基板3の内部には、抵抗発熱体11が設けられ、シリコンウエハ9を加熱することができるようになっている。なお、窒化アルミニウム基板3には、必要に応じて、RF電極が埋設されていてもよい。
【0042】また、(b)に示したように、静電チャック20は、通常、平面視円形状に形成されており、窒化アルミニウム基板21の内部に(b)に示した半円弧状部22aと櫛歯部22bとからなるチャック正極静電層22と、同じく半円弧状部23aと櫛歯部23bとからなるチャック負極静電層23とが、互いに櫛歯部22b、23bを交差するように対向して配置されている。
【0043】この静電チャックを使用する場合には、チャック正極静電層22とチャック負極静電層23とにそれぞれ直流電源の+側と−側を接続し、直流電圧を印加する。これにより、この静電チャック上に載置された半導体ウエハが静電的に吸着されることになる。
【0044】図8および図9は、他の静電チャックにおける静電電極を模式的に示した水平断面図であり、図8に示す静電チャック70では、セラミック基板71の内部に半円形状のチャック正極静電層72とチャック負極静電層73が形成されており、図9に示す静電チャック80では、セラミック基板81の内部に円を4分割した形状のチャック正極静電層82a、82bとチャック負極静電層83a、83bが形成されている。また、2枚の正極静電層82a、82bおよび2枚のチャック負極静電層83a、83bは、それぞれ交差するように形成されている。なお、円形等の電極が分割された形態の電極を形成する場合、その分割数は特に限定されず、5分割以上であってもよく、その形状も扇形に限定されない。
【0045】本発明の半導体装置用セラミック基板に埋設された導電体が、抵抗発熱体である場合には、上記セラミック基板がホットプレートとして機能する。図10は、本発明の半導体装置用セラミック基板の一実施形態であるホットプレート(以下、セラミックヒータともいう)の一例を模式的に示す底面図であり、図11は、上記セラミックヒータの一部を模式的に示す部分拡大断面図である。
【0046】セラミック基板91は、円板状に形成されており、抵抗発熱体92は、セラミック基板91のウエハ載置面の全体の温度が均一になるように加熱するために、セラミック基板91の底面に同心円状のパターンに形成されており、その表面には、金属被覆層92aが形成されている。
【0047】また、抵抗発熱体92は、互いに近い二重の同心円同士が1組として、1本の線になるように接続され、その両端に入出力の端子となる端子ピン93が接続されている。また、中央に近い部分には、支持ピン96を挿入するための貫通孔95が形成され、さらに、測温素子を挿入するための有底孔94が形成されている。
【0048】また、図11に示したように、この支持ピン96は、その上にシリコンウエハ99を載置して上下させることができるようになっており、これにより、シリコンウエハ99を図示しない搬送機に渡したり、搬送機からシリコンウエハ99を受け取ったりすることができる。図10に示した抵抗発熱体92は、セラミック基板91の底面に配設されているが、抵抗発熱体92は、セラミック基板91の内部で、その中心または中心よりウエハ載置面に偏芯した位置に形成されていてもよい。
【0049】このような構成のセラミックヒータでは、その上にシリコンウエハ等を載置した後、シリコンウエハ等の加熱や冷却を行いながら、種々の操作を行うことができる。
【0050】本発明の半導体装置用セラミック基板の表面および内部に導電体が配設され、上記内部の導電体が、ガード電極またはグランド電極のいずれか少なくとも一方である場合には、上記セラミック基板は、ウエハプローバとして機能する。
【0051】図12は、本発明のウエハプローバの一実施形態を模式的に示した断面図であり、図13は、その平面図であり、図14は、図12に示したウエハプローバにおけるA−A線断面図である。
【0052】このウエハプローバ101では、平面視円形状のセラミック基板3の表面に同心円形状の溝7が形成されるとともに、溝7の一部にシリコンウエハを吸引するための複数の吸引孔8が設けられており、溝7を含むセラミック基板3の大部分にシリコンウエハの電極と接続するためのチャックトップ導体層2が円形状に形成されている。
【0053】一方、セラミック基板3の底面には、シリコンウエハの温度をコントロールするために、図10に示したような平面視同心円形状の発熱体41が設けられており、発熱体41の両端には、外部端子ピン191(図16参照)が接続、固定されている。また、セラミック基板3の内部には、ストレイキャパシタやノイズを除去するために図14に示したような格子形状のガード電極5とグランド電極6とが設けられている。
【0054】このような構成のウエハプローバでは、その上に集積回路が形成されたシリコンウエハを載置した後、このシリコンウエハにテスタピンを持つプローブカードを押しつけ、加熱、冷却しながら電圧を印加して導通テストを行うことができる。
【0055】次に、本発明にかかる上記半導体装置用セラミック基板の製造方法の一例を説明する。(1) 酸価が0.3〜1.0KOHmg/gのアクリル系樹脂とマトリックス成分窒化アルミニウム粉末とを混合する。混合する粉末の好ましい大きさは、平均粒径で、0.1〜5μm程度の小さいものがよい。これは、微細なほど焼結性が向上するからである。なお、カーボンの添加量は焼成時に消失する分を考慮して添加する。また、上記の混合物にはさらに前述の酸化イットリウム(イットリア:Y23)の如き焼結助剤を添加してもよい。
【0056】(2) 次に、得られた粉末混合物を成形型に入れて成形体とし、この成形体を、350℃以上で熱分解して、アクリル系樹脂を炭化する。上記の(1) (2) の処理に代え、窒化アルミニウム粉末、酸価が0.3〜1.0KOHmg/gのアクリル系樹脂および溶媒を混合してグリーンシートを作製した後積層し、このグリーンシートの積層体を300〜600℃で仮焼成することにより、本発明で使用するカーボンとしてもよい。なお、溶媒としては、α−テルピネオールや、グリコールなどを用いることができる。
【0057】上記の(1) 、(2) の処理に代え、セラミック粉末、バインダー、糖類、結晶質カーボンおよび溶媒を混合してグリーンシートを作製した後積層し、このグリーンシートの積層体を300〜500℃で仮焼成することにより、糖類を非晶質カーボンとしてもよい。また、この場合に、糖類と非晶質カーボンの両方を添加してもよい。なお、溶媒としては、α−テルピネオールや、グリコールなどを用いることができる。
【0058】(3) 次に、アクリル樹脂を炭化した成形体、または、上記グリーンシートの積層体(いずれも仮焼成したもの)を、アルゴン窒素などの不活性雰囲気下に、1600〜1900℃、80〜200kg/cm2 の条件で加熱、加圧して焼結する。なお、焼結温度が1900℃に近いほど、カーボンの結晶性が高くなり、ピーク強度比I(1580)/I(1355)が大きくなるので、焼結温度でピーク強度比を調整することができる。
【0059】本発明の半導体装置用セラミック基板は、粉末混合物を成形型に入れる際に、発熱体となる金属板(箔)や金属線等を粉末混合物中に埋没したり、積層するグリーンシートのうちの1枚のグリーンシート上に発熱体となる導体ペースト層を形成することにより、内部に抵抗発熱体を有するセラミック基板とすることができる。また、焼結体を製造した後、その表面(底面)に導体ペースト層を形成し、焼成することによって、底面に発熱体を形成することもできる。
【0060】さらに、このセラミック基板の製造時には、発熱体の他、静電チャック等の電極の形状となるように、上記成形体の内部に金属板(箔)等を埋設したり、グリーンシート上に導体ペースト層を形成することにより、ホットプレート、静電チャック、ウエハプローバ、サセプタなどを製造することができる。
【0061】各種の電極や発熱体を作製するための導体ペーストとしては特に限定されないが、導電性を確保するための金属粒子または導電性セラミックが含有されているほか、樹脂、溶剤、増粘剤などを含むものが好ましい。
【0062】上記金属粒子としては、例えば、貴金属(金、銀、白金、パラジウム)、鉛、タングステン、モリブデン、ニッケルなどが好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの金属は、比較的酸化しにくく、発熱するに充分な抵抗値を有するからである。上記導電性セラミックとしては、例えば、タングステン、モリブデンの炭化物などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0063】これら金属粒子または導電性セラミック粒子の粒径は、0.1〜100μmが好ましい。0.1μm未満と微細すぎると、酸化されやすく、一方、100μmを超えると、焼結しにくくなり、抵抗値が大きくなるからである。
【0064】上記金属粒子の形状は、球状であっても、リン片状であってもよい。これらの金属粒子を用いる場合、上記球状物と上記リン片状物との混合物であってよい。上記金属粒子がリン片状物、または、球状物とリン片状物との混合物の場合は、金属粒子間の金属酸化物を保持しやすくなり、発熱体とセラミック基板との密着性を確実にし、かつ、抵抗値を大きくすることができるため有利である。
【0065】導体ペーストに使用される樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。また、溶剤としては、例えば、イソプロピルアルコールなどが挙げられる。増粘剤としては、セルロースなどが挙げられる。
【0066】発熱体用の導体ペーストをセラミック基板の表面に形成する際には、導体ペースト中に金属粒子のほかに金属酸化物を添加し、金属粒子および金属酸化物を焼結させたものとすることが望ましい。このように、金属酸化物を金属粒子とともに焼結させることにより、セラミック基板と金属粒子とを密着させることができる。
【0067】金属酸化物を混合することにより、セラミック基板と密着性が改善される理由は明確ではないが、金属粒子表面や非酸化物からなるセラミック基板の表面は、わずかに酸化されて酸化膜が形成されており、この酸化膜同士が金属酸化物を介して焼結して一体化し、金属粒子とセラミックとが密着するのではないかと考えられる。また、セラミック基板を構成するセラミックが酸化物の場合は、当然に表面が酸化物からなるので、密着性に優れた導体層が形成される。
【0068】上記金属酸化物としては、例えば、酸化鉛、酸化亜鉛、シリカ、酸化ホウ素(B23 )、アルミナ、イットリアおよびチタニアからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0069】これらの酸化物は、発熱体の抵抗値を大きくすることなく、金属粒子とセラミック基板との密着性を改善することができるからである。
【0070】上記酸化鉛、酸化亜鉛、シリカ、酸化ホウ素(B23 )、アルミナ、イットリア、チタニアの割合は、金属酸化物の全量を100重量部とした場合、重量比で、酸化鉛が1〜10、シリカが1〜30、酸化ホウ素が5〜50、酸化亜鉛が20〜70、アルミナが1〜10、イットリアが1〜50、チタニアが1〜50であって、その合計が100重量部を超えない範囲で調整されていることが望ましい。これらの範囲で、これらの酸化物の量を調整することにより、特にセラミック基板との密着性を改善することができる。
【0071】上記金属酸化物の金属粒子に対する添加量は、0.1重量%以上10重量%未満が好ましい。また、このような構成の導体ペーストを使用して発熱体を形成した際の面積抵抗率は、1〜45mΩ/□が好ましい。
【0072】面積抵抗率が45mΩ/□を超えると、印加電圧量に対して発熱量は大きくなりすぎて、表面に発熱体を設けたセラミック基板では、その発熱量を制御しにくいからである。なお、金属酸化物の添加量が10重量%以上であると、面積抵抗率が50mΩ/□を超えてしまい、発熱量が大きくなりすぎて温度制御が難しくなり、温度分布の均一性が低下する。
【0073】発熱体がセラミック基板の表面に形成される場合には、発熱体の表面部分に、金属被覆層が形成されていることが望ましい。内部の金属焼結体が酸化されて抵抗値が変化するのを防止するためである。形成する金属被覆層の厚さは、0.1〜10μmが好ましい。
【0074】金属被覆層を形成する際に使用される金属は、非酸化性の金属であれば特に限定されないが、具体的には、例えば、金、銀、パラジウム、白金、ニッケルなどが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのなかでは、ニッケルが好ましい。なお、発熱体をセラミック基板の内部に形成する場合には、発熱体表面が酸化されることがないため、被覆は不要である。
【0075】また、セラミック基板の表面に金属層を形成する場合や、その金属層の上に被覆層を形成する場合には、上記導体ペーストの塗布以外に、スパッタリング等の物理的蒸着手段やめっき等の化学的な被覆手段を採ることができる。
【0076】
【実施例】(実施例1)
(1)窒化アルミニウム粉末(トクヤマ社製、平均粒径1.1μm)100重量部、酸化イットリウム(Y23 :イットリア、平均粒径0.4μm)4重量部、アクリル系樹脂バインダ(三井化学社製SA−545 酸価0.5KOHmg/g)12重量部を混合し、成形型に入れて成形体とした。
(2)成形体を窒素雰囲気中で350℃、4時間加熱してアクリル系樹脂バインダを熱分解させた。
(3)成形体を、1890℃、圧力150kg/cm2 の条件で3時間ホットプレスして窒化アルミニウム焼結体を得た。焼結体中のカーボン量の測定は、焼結体を粉砕し、これを500〜800℃で加熱して発生するCOx ガスを捕集することにより行った。この方法による測定の結果、窒化アルミニウム焼結体中に含まれるカーボン量は800ppmであった。また、明度はN=3.5であった。
(4)上記(3)で得た焼結体の底面に、スクリーン印刷にて導体ペーストを印刷した。印刷パターンは、図10に示したような同心円状のパターンとした。導体ペーストとしては、プリント配線板のスルーホール形成に使用されている徳力化学研究所製のソルベストPS603Dを使用した。
【0077】この導体ペーストは、銀−鉛ペーストであり、銀100重量部に対して、酸化鉛(5重量%)、酸化亜鉛(55重量%)、シリカ(10重量%)、酸化ホウ素(25重量%)およびアルミナ(5重量%)からなる金属酸化物を7.5重量部含むものであった。また、銀粒子は、平均粒径が4.5μmで、リン片状のものであった。
【0078】(5)次に、導体ペーストを印刷した焼結体を780℃で加熱、焼成して、導体ペースト中の銀、鉛を焼結させるとともに焼結体に焼き付け、発熱体92を形成した。銀−鉛の発熱体92は、厚さが5μm、幅2.4mm、面積抵抗率が7.7mΩ/□であった。
(6)硫酸ニッケル80g/l、次亜リン酸ナトリウム24g/l、酢酸ナトリウム12g/l、ほう酸8g/l、塩化アンモニウム6g/lを含む水溶液からなる無電解ニッケルめっき浴に上記(4)で作製した焼結体を浸漬し、銀−鉛の発熱体92の表面に厚さ1μmの金属被覆層92a(ニッケル層)を析出させた。
(7)電源との接続を確保するための端子を取り付ける部分に、スクリーン印刷により、銀−鉛半田ペースト(田中貴金属社製)を印刷して半田層を形成した。ついで、半田層の上にコバール製の端子ピン93を載置して、420℃で加熱リフローし、端子ピン93を発熱体92の表面に取り付けた。
(8)温度制御のための熱電対を有底孔に挿入し、ポリイミド樹脂を充填し、190℃で2時間硬化させ、セラミックヒータ90(図10参照)を得た。
【0079】図3は、本実施例1で得られた焼結体に含まれるカーボンのレーザラマン分光分析の結果を示すレーザラマンスペクトルであり、測定条件は、顕微ラマン(JOBIN YVON RAMANOR U-100)を使用し、レーザーパワー:200mW、レーザビーム径:20μm、励起波長:514.5nm、スリット幅:1000μm、gate time:1、repeat time:4、温度:25.0℃である。図3に示したレーザラマンスペクトルより明らかなように、1580cm-1付近および1355cm-1付近にはっきりとピークが観察され、結晶性が低下したカーボンであることがわかる。ピーク強度比I(1580)/I(1355)=4.0で、1355cm-1のピークの半値幅が70cm-1である。
【0080】(実施例2)
(1)窒化アルミニウム粉末(トクヤマ社製、平均粒径1.1μm)100重量部、酸化イットリウム(Y23 :イットリア、平均粒径0.4μm)4重量部、アクリル系樹脂バインダ(三井化学社製SA−545 酸価1.0KOHmg/g)10重量部を混合し、成形型に入れて成形体とした。
(2)成形体を窒素雰囲気中で600℃、1時間加熱してアクリル系樹脂バインダを熱分解させた。
(3)成形体を、1890℃、圧力150kg/cm2 の条件で3時間ホットプレスして窒化アルミニウム焼結体を得た。焼結体中のカーボン量の測定は、焼結体を粉砕し、これを500〜800℃で加熱して発生するCOx ガスを捕集することにより行った。この方法による測定の結果、窒化アルミニウム焼結体中に含まれるカーボン量は810ppmであった。また、明度はN=3.5であった。この焼結体に実施例1と同様に発熱体を設けた。
【0081】図4は、本実施例2で得られた焼結体に含まれるカーボンのレーザラマン分光分析の結果を示すレーザラマンスペクトルであり、測定条件は、顕微ラマン(JOBIN YVON RAMANOR U-100)を使用し、レーザーパワー:200mW、レーザビーム径:20μm、励起波長:514.5nm、スリット幅:1000μm、gate time:1、repeat time:4、温度:25.0℃である。図4に示したレーザラマンスペクトルより明らかなように、1580cm-1付近および1355cm-1付近にはっきりとピークが観察され、結晶系は維持しながらも、結晶の一部が壊れて非晶質化していることがわかる。ピーク強度比I(1580)/I(1355)=3.8で、1355cm-1のピークの半値幅が45cm-1である。
【0082】(実施例3)
(1)窒化ケイ素粉末(平均粒径1.1μm)45重量部、酸化イットリウム(Y23 :イットリア、平均粒径0.4μm)20重量部、Al23 (平均粒径0.5μm)15重量部、SiO2 (平均粒径0.5μm)20重量部、アクリル系樹脂バインダ(三井化学社製SA−545 酸価1.0KOHmg/g)8重量部を混合し、成形型に入れて成形体とした。
(2)成形体を窒素雰囲気中で350℃、4時間加熱してアクリル系樹脂バインダを熱分解させた。
(3)成形体を、1600℃、圧力150kg/cm2 の条件で3時間ホットプレスして窒化ケイ素焼結体を得た。窒化ケイ素焼結体中に含まれるカーボン量は800ppmであった。また、明度はN=3.5であった。本実施例4で得られた窒化アルミニウム焼結体のレーザラマン分光分析では、ピーク強度比I(1580)/I(1355)=3.9で、半値幅が45cm-1である。この焼結体について、実施例1と同様に発熱体パターンを設けた。
【0083】(比較例1)
(1)窒化アルミニウム粉末(トクヤマ社製、平均粒径1.1μm)100重量部、酸化イットリウム(Y23 :平均粒径0.4μm)4重量部を混合し、結晶性グラファイト(東洋炭素社製 GR−1200)0.10重量部を混合し、成形型に入れて成形体とした。
(2)成形体を、1900℃、圧力150kg/cm2 の条件で3時間ホットプレスして窒化アルミニウム焼結体を得た。窒化アルミニウム焼結体中に含まれるカーボン量は800ppmであった。また、明度はN=3.5であった。窒化アルミニウム焼結体のレーザラマン分光分析では、1580cm-1でのみピークが観察された。
【0084】(比較例2)
(1)窒化アルミニウム粉末(トクヤマ社製、平均粒径1.1μm)100重量部、酸化イットリウム(Y23 :平均粒径0.4μm)4重量部を混合し、成形型に入れて成形体とした。
(2)成形体を、1900℃、圧力150kg/cm2 の条件で3時間ホットプレスして窒化アルミニウム焼結体を得た。窒化アルミニウム焼結体中に含まれるカーボン量は50ppm以下であり、原料に起因するカーボンと推定された。明度はN=7.0であった。
【0085】(比較例3)
(1)窒化アルミニウム粉末(トクヤマ社製、平均粒径1.1μm)100重量部、アクリル系樹脂バインダ(共栄社製 商品名KC−600 酸価17KOHmg/g)8重量部を混合し、成形型に入れて成形体とした。
(2)成形体を窒素雰囲気中で600℃、1時間加熱してアクリル系樹脂バインダを熱分解させた。
(3)成形体を、1890℃、圧力150kg/cm2 の条件で3時間ホットプレスして窒化アルミニウム焼結体を得た。得られた窒化アルミニウム焼結体中のカーボン量は805ppmで、明度はN=3.5であった。ピーク強度比I(1580)/I(1355)=2.1で、半値幅が45cm-1である。
【0086】図6は、本比較例1で得られた焼結体に含まれるカーボンのレーザラマン分光分析の結果を示すレーザラマンスペクトルであり、測定条件は、顕微ラマン(JOBIN YVON RAMANOR U-100)を使用し、レーザーパワー:200mW、レーザビーム径:20μm、励起波長:514.5nm、スリット幅:1000μm、gate time:1、repeat time:4、温度:25.0℃である。
【0087】図5は、本比較例3で得られた焼結体に含まれるカーボンのレーザラマン分光分析の結果を示すレーザラマンスペクトルであり、顕微ラマン(JOBIN YVON RAMANOR U-100)を使用し、レーザーパワー:200mW、レーザビーム径:20μm、励起波長:514.5nm、スリット幅:1000μm、gate time:1、repeat time:4、温度:25.0℃である。
【0088】図5に示したレーザラマンスペクトルより、1580cm-1付近のピークと1355cm-1付近のピークの高さを測定し、ピーク強度比:I(1580)/I(1355)を求めると2.1であった。また、上記1355cm-1付近のピークの半値幅(半値全幅)を測定すると45cm-1であった。従って、比較例3の焼結体は大部分が非晶質のカーボンであった。
【0089】図1は、実施例1〜3および比較例1〜3のセラミックヒータにおいて、室温〜500℃までのセラミック基板(焼結体)の体積抵抗率の推移について示したものである。この図1に示すように、比較例1として示す結晶質カーボンのみが入っているセラミックヒータでは、体積抵抗率が約1/10に低下した。
【0090】図2は、実施例1および比較例3のセラミックヒータにおいて、セラミック基板(焼結体)の熱伝導率の温度依存性を示すものであるが、実施例1のセラミックヒータでは、600℃でも熱伝導率が70W/m・kと余り低下しなかった。
【0091】また、実施例1〜3および比較例1〜3のセラミックヒータについて、ホットプレート上で500℃まで加熱し、表面温度をサーモビュア(日本データム株式会社製 IR 162012−0012)、JIS−C−1602(1980)K型熱電対で測定し、両者の温度差を調べた。なお、熱電対で測定した温度とのずれ量が大きいほど、サーモビュアの温度誤差が大きいと言える。その結果、実施例1では温度差0.8℃、実施例2では温度差0.9℃、実施例3では温度差1℃、比較例1では温度差0.8℃、比較例2では温度差8℃、比較例3では温度差0.9℃であった。
【0092】上記測定において、体積抵抗率と熱伝導率とは次のように測定した。
(1) 体積抵抗率:焼結体を切削加工することにより、直径10mm、厚さ3mmの形状に切出し、三端子(主電極、対電極、ガード電極)を形成し、直流電圧を加え、1分間充電した後のデジタルエレクトロメーターに流れる電流(I)を読んで、試料の抵抗(R)を求め、抵抗(R)と試料の寸法から体積抵抗率(ρ)を下記の計算式(1)で計算した。
【0093】
【数1】

【0094】上記計算式(1)において、tは試料の厚さ(mm)である。また、Sは、下記の計算式(2)および(3)により与えられる。
【0095】
【数2】

【0096】
【数3】

【0097】なお、上記計算式(2)および(3)において、r1 は主電極の半径、r2 はガード電極の内径(半径)、r3 はガード電極の外径(半径)、D1 は主電極の直径、D2 はガード電極の内径(直径)、D3 はガード電極の外径(直径)であり、本実施例においては、2r1 =D1 =1.45cm、2r2 =D2 =1.60cm、2r3 =D3 =2.00cmである。
【0098】(2) 熱伝導率:a.使用機器リガクレーザーフラッシュ法熱定数測定装置LF/TCM−FA8510Bb.試験条件温度・・・常温、200℃、400℃、500℃、700℃雰囲気・・・真空c.測定方法・比熱測定における温度検出は、試料裏面に銀ペーストで接着した熱電対(プラチネル)により行った。
・常温比熱測定はさらに試料上面に受光板(グラッシーカーボン)をシリコングリースを介して接着した状態で行い、試料の比熱(Cp)は、下記の計算式(4)により求めた。
【0099】
【数4】

【0100】上記計算式(4)において、ΔOは、入力エネルギー、ΔTは、試料の温度上昇の飽和値、CpG.c は、グラッシーカーボンの比熱、WG.c は、グラッシーカーボンの重量、CpS.G は、シリコングリースの比熱、WS.G は、シリコングリースの重量、Wは、試料の重量である。
【0101】また、実施例1、2および比較例1〜3のセラミックヒータについて破壊靱性値を測定した。結果を表1に示した。上記測定において、破壊靱性値は、ビッカーズ硬度計(明石製作所社製 MVK−D型)により、圧子を表面に圧入し、発生したクラック長さを測定し、これを以下の計算式(5)を用いて計算した。
【0102】
破壊靱性値=0.026×E1/2 ×0.5×P1/2 ×a×C-3/2 ・・・(5)
【0103】上記計算式(5)において、Eは、ヤング率(3.18×1011Pa)、Pは、押し込み荷重(98N)、aは、圧痕対角線平均長さの半分(m)、Cは、クラックの長さの平均の半分(m)である。
【0104】
【表1】

【0105】(実施例4) 応用例、ウエハプローバ(図15、図16)
(1)窒化アルミニウム粉末(トクヤマ社製、平均粒径1.1μm)100重量部、イットリア(平均粒径0.4μm)4重量部、アクリル系樹脂バインダ(三井化学社製SA−545 酸価1.0KOHmg/g)10重量部および1−ブタノールおよびエタノールからなるアルコール53重量%を混合した組成物を用い、ドクターブレード法を用いて成形することにより厚さ0.47mmのグリーンシート30を得た。
(2)このグリーンシート30を80℃で5時間乾燥した後、パンチングを行い、発熱体と外部端子ピンと接続するためのスルーホール用貫通孔を設けた。
【0106】(3)平均粒子径1μmのタングステンカーバイド粒子100重量部、アクリル系バインダ3.0重量部、α−テルピネオール溶媒3.5重量部、分散剤0.3重量部を混合して導電性ペーストAを調製した。また、平均粒子径3μmのタングステン粒子100重量部、アクリル系バインダ1.9重量部、α−テルピネオール溶媒3.7重量部、分散剤0.2重量部を混合して導電性ペーストBを調製した。
【0107】(4)グリーンシート30の表面に、上記導電性ペーストAをスクリーン印刷法により印刷し、格子状のガード電極用印刷層50およびグランド電極用印刷層60を形成した。また、外部端子接続用ピンと接続するための上記スルーホール用貫通孔に導電性ペーストBを充填してスルーホール用充填層160、170を形成した。そして、導電性ペーストが印刷されたグリーンシート30および印刷がされていないグリーンシート30′を50枚積層し、130℃、80kg/cm2 の圧力で一体化した(図15(a))。
(5)一体化させた積層体を600℃で1時間熱分解し、その後、1890℃、圧力150kg/cm2 の条件で3時間ホットプレスし、厚さ3mmの窒化アルミニウム板状体を得た。この板状体を直径230mmの円状に切り出してセラミック基板3とした(図15(b))。なお、スルーホール16、17の大きさは直径0.2mm、深さ0.2mmであった。また、ガード電極5、グランド電極6の厚さは10μm、ガード電極5の焼結体厚み方向での形成位置は発熱体から1mmのところ、一方、グランド電極6の焼結体厚み方向での形成位置は、チャック面1aから1.2mmであった。
【0108】
(6)上記(4)で得たセラミック基板3を、ダイアモンド砥石で研磨した後、マスクを載置し、ガラスビーズのブラスト処理によって、表面に熱電対取付け用凹部(図示せず)およびウエハ吸着用の溝7(幅0.5mm、深さ0.5mm)を形成した(図15(c))。
(7)さらに、溝7を形成したチャック面1aに対向する裏面に導電性ペーストを印刷して発熱体用のペースト層を形成した。この導電性ペーストは、プリント配線板のスルーホール形成に用いられている徳力化学研究所製のソルベストPS603Dを使用した。すなわち、この導電性ペーストは、銀/鉛ペーストであり、酸化鉛、酸化亜鉛、シリカ、酸化ホウ素、アルミナからなる金属酸化物(それぞれの重量比率は、5/55/10/25/5)を銀の量に対して7.5重量%含むものである。なお、この導電性ペースト中の銀としては、平均粒径4.5μmのリン片状のものを用いた。
【0109】(8)裏面に導電性ペーストを印刷して発熱体41を形成したセラミック基板(ヒータ板)3を780℃で加熱焼成して、導電ペースト中の銀、鉛を焼結させるとともにセラミック基板3に焼き付け、発熱体41を形成した(図15(d))。次いで、このセラミック基板3を、硫酸ニッケル30g/l、ほう酸30g/l、塩化アンモニウム30g/l、ロッシェル塩60g/lを含む水溶液からなる無電解ニッケルめっき浴中に浸漬して、上記導電性ペーストからなる発熱体41の表面に、さらに厚さ1μm、ホウ素の含有量が1重量%以下であるニッケル層410を析出させて発熱体41を肥厚化させ、その後120℃で3時間の熱処理を行った。こうして得られたニッケル層410を含む発熱体41は、厚さが5μm、幅2.4mmであり、面積抵抗率が7.7mΩ/□であった。
(9)溝7が形成されたチャック面1aに、スパッタリング法にてTi、Mo、Niの各層を順次積層した。このスパッタリングは、装置として日本真空技術株式会社製のSV−4540を用い、気圧:0.6Pa、温度:100℃、電力:200W、処理時間:30秒〜1分の条件で行い、スパッタリングの時間は、スパッタリングする各金属によって調整した。得られた膜は、蛍光X線分析計の画像からTiは0.3μm、Moは2μm、Niは1μmであった。
【0110】(10)上記(9)で得られたセラミック基板3を、硫酸ニッケル30g/l、ほう酸30g/l、塩化アンモニウム30g/l、ロッシェル塩60g/lを含む水溶液からなる無電解ニッケルめっき浴に浸漬して、チャック面1aに形成されている溝7の表面に、ホウ素の含有量が1重量%以下のニッケル層(厚さ7μm)を析出させ、120℃で3時間熱処理した。さらに、上記セラミック基板3表面(チャック面側)にシアン化金カリウム2g/l、塩化アンモニウム75g/l、クエン酸ナトリウム50g/l、次亜リン酸ナトリウム10g/lからなる無電解金めっき液に93℃の条件で1分間浸漬して、セラミック基板3のチャック面側のニッケルめっき層上に、さらに厚さ1μmの金めっき層を積層してチャックトップ導体層2を形成した(図16(e))。
【0111】(11)次いで、溝7から裏面に抜ける空気吸引孔8をドリル加工して穿孔し、さらにスルーホール16、17を露出させるための袋孔180を設けた(図16(f))。この袋孔180にNi−Au合金(Au81.5wt%、Ni18.4wt%、不純物0.1wt%)からなる金ろうを用い、970℃で加熱リフローさせてコバール製の外部端子ピン19、190を接続させた(図16(g))。また、上記発熱体41に半田合金(錫9/鉛1)を介してコバール製の外部端子ピン191を形成した。
(12)温度制御のために、複数の熱電対を上記凹部に埋め込み(図示せず)、ウエハプローバ付きヒータとした。
【0112】(13)この後、通常は、上記ウエハプローバ付きヒータをステンレス鋼製の支持台上にセラミックファイバー(イビデン社製、商品名、イビウール)からなる断熱材を介して固定し、その支持台上には冷却ガスの噴射ノズルを設けて該ウエハプローバの温度調製を行うようにする。なお、このウエハプローバ付きヒータは、空気吸引孔8からの空気を吸引して、該ヒータ上に載置されるウエハを吸着支持する。なお、このようにして製造したウエハプローバつきヒータは、明度がN=3.5を示し、輻射熱量が多く、熱伝導率も高く、しかも、内部のガード電極5やグランド電極6の隠蔽性にも優れる。また、高温での体積抵抗率の低下を抑制でき、作動中に短絡が発生せず、またリーク電流を低減できる。
【0113】(実施例5)応用例、発熱体および静電チャック用静電電極を内部に有するセラミックヒータ(図7)
(1) 窒化アルミニウム粉末(トクヤマ社製、平均粒径1.1μm)100重量部、イットリア(平均粒径:0.4μm)4重量部、アクリルバインダ11.5重量部、分散剤0.5重量部、ショ糖0.2重量部、グラファイト0.05重量部および1−ブタノールとエタノールとからなるアルコール53重量部を混合したペーストを用い、ドクターブレード法による成形を行って、厚さ0.47mmのグリーンシートを得た。
【0114】(2) 次に、このグリーンシートを80℃で5時間乾燥させた後、パンチングにより直径1.8mm、3.0mm、5.0mmの半導体ウエハ支持ピンを挿入する貫通孔となる部分、外部端子と接続するためのスルーホールとなる部分を設けた。
【0115】(3) 平均粒子径1μmのタングステンカーバイト粒子100重量部、アクリル系バインダ3.0重量部、α−テルピネオール溶媒3.5重量部および分散剤0.3重量部を混合して導体ペーストAを調製した。平均粒子径3μmのタングステン粒子100重量部、アクリル系バインダ1.9重量部、α−テルピネオール溶媒3.7重量部および分散剤0.2重量部を混合して導体ペーストBを調製した。この導電性ペーストAをグリーンシートにスクリーン印刷で印刷し、導体ペースト層を形成した。印刷パターンは、同心円パターンとした。また、他のグリーンシートに図7に示した形状の静電電極パターンからなる導体ペースト層を形成した。
【0116】さらに、外部端子を接続するためのスルーホール用の貫通孔に導体ペーストBを充填した。上記処理の終わったグリーンシートに、さらに、タングステンペーストを印刷しないグリーンシートを上側(加熱面)に37枚、下側に13枚、130℃、80kg/cm2 の圧力で積層した。
【0117】(4) 次に、得られた積層体を窒素ガス中、600℃で5時間脱脂し、1890℃、圧力150kg/cm2 で3時間ホットプレスし、厚さ3mmの窒化アルミニウム板状体を得た。これを230mmの円板状に切り出し、内部に厚さ6μm、幅10mmの発熱体および静電電極を有するセラミック製の板状体とした。
【0118】(5) 次に、(4) で得られた板状体を、ダイヤモンド砥石で研磨した後、マスクを載置し、SiC等によるブラスト処理で表面に熱電対のための有底孔(直径:1.2mm、深さ:2.0mm)を設けた。
【0119】(6) さらに、スルーホール用の貫通孔の一部をえぐり取って凹部とし、この凹部にNi−Auからなる金ろうを用い、700℃で加熱リフローしてコバール製の外部端子を接続させた。なお、外部端子の接続は、タングステンの支持体が3点で支持する構造が望ましい。接続信頼性を確保することができるからである。
【0120】(8) 次に、温度制御のための複数の熱電対を有底孔に埋め込み、静電チャック付きセラミックヒータの製造を完了した。このようにして製造した静電チャック付きヒータは、明度がN=3.5を示し輻射熱量が多く、熱伝導率も高く、しかも、内部の抵抗発熱体や静電電極の隠蔽性にも優れる。
【0121】また、高温での体積抵抗率の低下を抑制でき、作動中に短絡やリーク電流が発生しない。本実施例では、400℃で1kVの電圧でリーク電流を10mA未満にすることができた。
【0122】
【発明の効果】以上説明したように、本発明にかかる半導体製造・検査装置用セラミック基板は、相互補完的な2種のカーボンを含有することから、電極パターンの隠蔽性およびサーモビュアによる温度測定精度に優れる他、高温での体積抵抗率および熱伝導率にも優れ、かつ、明度の低いセラミック基板となる。。さらに破壊靱性値を低下させることもない。従って、本発明の半導体製造・検査装置用セラミック基板は、例えば、ホットプレート、静電チャック、ウエハプローバ、サセプタなどの基板として有用である。




 

 


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