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発明の名称 炭化珪素・金属複合体からなる放熱板及びモジュール用基板
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−185665(P2001−185665A)
公開日 平成13年7月6日(2001.7.6)
出願番号 特願平11−366703
出願日 平成11年12月24日(1999.12.24)
代理人 【識別番号】100086586
【弁理士】
【氏名又は名称】安富 康男 (外2名)
【テーマコード(参考)】
5F036
【Fターム(参考)】
5F036 AA01 BB08 BD01 BD13 
発明者 馬嶋 一隆 / 辻 昌宏
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 炭化珪素結晶によって構成される多孔質組織中に開放気孔が存在し、その開放気孔中に金属が含浸された炭化珪素・金属複合体からなる放熱板であって、前記炭化珪素結晶の平均粒径が20μm以上、気孔率が30%以下、熱伝導率が100W/m・K以上であり、炭化珪素100重量部に対して15〜50重量部の金属が含浸されていることを特徴とする炭化珪素・金属複合体からなる放熱板。
【請求項2】 平均粒径が0.1〜1.0μmの細かい炭化珪素結晶を10〜50体積%含み、かつ、平均粒径が25〜150μmの粗い炭化珪素結晶を50〜90体積%含む請求項1記載の炭化珪素・金属複合体からなる放熱板。
【請求項3】 一主面に導体回路が形成された絶縁性基板と、前記絶縁性基板の他の主面に金属層を介して接合された放熱板とを備えた、半導体素子を搭載するためのモジュール用基板であって、前記放熱板には、請求項1記載の放熱板が用いられていることを特徴とするモジュール用基板。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、放熱特性に優れた放熱板、及び、該放熱板が用いられた、発熱量の大きな半導体素子を搭載するためのモジュール用基板に関する。
【0002】
【従来の技術】IGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)やSIT(静電誘導トランジスタ)のような動作時に多量の発熱を伴う電力用半導体素子を実装する基板として、絶縁性基板と放熱板とを備えた放熱特性に優れるモジュール用基板が用いられている。
【0003】図5は、この種のモジュール用基板が用いられたパワーモジュールを模式的に示した断面図である。このパワーモジュール20では、絶縁性基板12の一主面に導体回路15が形成され、この導体回路15の一部に半導体素子16が搭載されており、他の導体回路15と半導体素子16とは、ワイヤー15aを用いたワイヤーボンディングにより接続されている。また、導体回路15の一端には、外部端子19が半田層18を介して接続されている。
【0004】一方、絶縁性基板12の底面には、ほぼ全面に金属層13が形成され、この金属層13には、半田層14を介して放熱板21が接合されている。
【0005】このパワーモジュール20では、スイッチング等の動作により半導体素子16に多量の熱が発生するが、この熱は、絶縁性基板12、金属層14及び放熱板11を介して外部に放散されるため、半導体素子16の過度の温度上昇を防止することができる。
【0006】従来より、この導体回路15や金属層13を構成する材料として、銅が用いられており、一方、絶縁性基板12を構成する材料として、アルミナ等のセラミックが用いられていた。
【0007】しかし、このような材料を用いたパワーモジュール20では、半導体素子16の半田付け等の工程や使用時の半導体素子16の発熱等により温度サイクルを受けたとき、銅とセラミックとの熱膨張差に起因する熱応力により、絶縁性基板12に割れが発生してしまうという問題があった。
【0008】このような問題を解決するため、導体回路用の金属として、変形抵抗の小さいアルミニウムを使用し、かつ、絶縁性基板12として、熱伝導率に優れる窒化アルミニウム基板が使用されたパワーモジュールが開発されている。また、このパワーモジュールでは、放熱板11として、炭化珪素多孔質体中にアルミニウムを含浸させた、いわゆるAlSiCが使用されている。
【0009】これらの材料が使用されたパワーモジュールでは、導体回路15と絶縁性基板12との熱膨張差に起因する、絶縁性基板12の割れ等を防止することができる。また、AlSiCからなる放熱板11は、その熱膨張率が比較的窒化アルミニウムに近いため、絶縁性基板12と放熱板11との接合部分にクラック等が形成されにくい。さらに、放熱板11は、熱伝導率も高いため、この放熱板と絶縁性基板等から構成される基板は、放熱特性に優れている。
【0010】しかしながら、この従来のAlSiCからなる放熱板11の熱膨張係数は、6.7×10-6(/℃)程度であるのに対し、窒化アルミニウムからなる絶縁性基板12の熱膨張率は、4.5×10-6(/℃)程度で、放熱板11の熱膨張係数の方が約1.5倍大きいため、両者の熱膨張率が一致しているとは言いがたく、また、放熱板11の熱伝導率も充分とは言えなかった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、熱伝導率が充分に高く、かつ、窒化アルミニウム基板との熱膨張率もほぼ等しいため、このような発熱量の大きい半導体素子を搭載するための基板に好適に用いることができる放熱板、及び、該放熱板が用いられたモジュール用基板を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の炭化珪素・金属複合体からなる放熱板は、炭化珪素結晶によって構成される多孔質組織中に開放気孔が存在し、その開放気孔中に金属が含浸された炭化珪素・金属複合体からなる放熱板であって、上記炭化珪素結晶の平均粒径が20μm以上、気孔率が30%以下、熱伝導率が100W/m・K以上であり、炭化珪素100重量部に対して15〜50重量部の金属が含浸されていることを特徴とするものである。
【0013】また、本発明のモジュール用基板は、一主面に導体回路が形成された絶縁性基板と、上記絶縁性基板の他の主面に金属層を介して接合された放熱板とを備えた、半導体素子を搭載するためのモジュール用基板であって、放熱板として、上記炭化珪素・金属複合体からなる放熱板が用いられていることを特徴とするものである。以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
【発明の実施の形態】まず、本発明の炭化珪素・金属複合体からなる放熱板(以下、単に放熱板ともいう)について説明する。本発明の放熱板を構成する炭化珪素・金属複合体(以下、単に複合体ともいう)は、炭化珪素結晶によって構成される多孔質組織中に開放気孔が存在し、その開放気孔中に金属が含浸された複合体であって、上記炭化珪素結晶の平均粒径が20μm以上、気孔率が30%以下、熱伝導率が100W/m・K以上であり、炭化珪素100重量部に対して15〜50重量部の金属が含浸されていることを特徴とする。
【0015】上記複合体では、炭化珪素結晶の平均粒径が20μm以上という比較的大きな値に設定されているため、熱伝導率が従来と比べてより高くなっている。これは、熱が結晶の内部を伝導する効率は、熱が結晶間を伝導する効率に比べて一般的に高いため、平均粒径が大きいほど熱伝導率が高くなるからである。また、本発明の複合体では、焼結が進行し、図2の走査型電子顕微鏡写真(SEM写真)に示したようにネック結合が大きくなっているため、さらに熱伝導率が高くなっている。しかし、図3のSEM写真に示したように、焼結が進行しない場合には、ネック結合も進行しないため、熱伝導率が高くならない。
【0016】また、多孔質組織の気孔率が30%以下という小さい値に設定されていることも、熱伝導性の向上に寄与している。すなわち、気孔率が小さくなると多孔質組織内における空隙が減少する結果、熱が伝導しやすくなるからである。さらに、炭化珪素100重量部に対して15〜50重量部の金属が含浸されていることも熱伝導率の向上に寄与している。
【0017】上記複合体は、このように構成されている結果、熱伝導率の値が100W/m・K以上と大きな値となり、温度のバラツキも生じにくくなる。熱伝導率の値は、180〜280W/m・Kであることが好ましく、200〜260W/m・Kであることがより好ましい。上記複合体では、上記開放気孔の気孔率や粒子の粒径等を、さらに好ましい範囲に設定することにより、上記した好ましい熱伝導率を達成することができる。
【0018】上記複合体を構成する炭化珪素の平均粒径は、20〜100μmが好ましく、30〜90μmがより好ましく、40〜70μmが最も好ましい。平均粒径が大きくなりすぎると、複合体が過度に緻密化されてしまうおそれがある。また、上記炭化珪素の開放気孔の気孔率は、5〜30%が好ましく、10〜20%がより好ましく、10〜20%が最も好ましい。
【0019】また、上記複合体は、平均粒径が0.1〜1.0μmの細かい炭化珪素結晶(以下、細結晶という)を10〜50体積%含み、かつ、平均粒径が25〜150μmの粗い炭化珪素結晶(以下、粗結晶という)を50〜90体積%含むものであることが好ましい。
【0020】上記のように、細結晶と粗結晶とが適宜の比率で含まれる複合体の場合、図4のSEM写真で示したように、粗結晶間に形成される空隙が細結晶で充填された状態となりやすく、実質的な空隙の比率が小さくなる。その結果、複合体の熱抵抗がいっそう小さくなり、このことが熱伝導率の向上に大きく貢献しているものと考えられる。一方、図5のSEM写真で示したように、粗結晶の回りに細結晶が存在しないと、ネック結合がある程度進行しても、空隙の比率が大きくなるため、熱伝導率が余り向上しない。
【0021】細結晶の平均粒径は、0.1〜1.0μmが好ましく、0.2〜0.9μmがより好ましく、0.3〜0.7μmが最も好ましい。
【0022】細結晶の平均粒径を極めて小さくしようとすると、高価な微粉末の使用が必要となるため、材料コストの高沸につながるおそれがある。逆に、細結晶の平均粒径が大きくなりすぎると、粗結晶間に形成された空隙を充填することができなくなり、複合体の熱抵抗を充分に低減することができなくなるおそれがある。
【0023】この複合体において、細結晶は、10〜50体積%含まれていることが好ましく、15〜40体積%含まれていることがより好ましく、20〜40体積%含まれていることが最も好ましい。細結晶の含有比率が小さくなりすぎると、粗結晶間に形成される空隙を充填するのに充分な量の細結晶が確保されにくくなり、複合体の熱抵抗を確実に低減することができなくなるおそれがある。逆に、細結晶の含有比率が大きくなりすぎると、上記空隙を充填する細結晶がむしろ過剰になり、本来、熱伝導性の向上に必要な程度の粗結晶が確保されなくなる。従って、却って複合体の熱抵抗が大きくなるおそれがある。
【0024】上記複合体において、粗結晶の平均粒径は、25〜150μmが好ましく、40〜100μmがより好ましく、60〜80μmが最も好ましい。粗結晶の平均粒径を小さくしようとすると、上記細結晶粒子との粒径差が小さくなる結果、細結晶と粗結晶との混合による熱抵抗低減効果を期待することができなくなるおそれがある。逆に、粗結晶の平均粒径が大きくなりすぎると、粗結晶間に形成される個々の空隙が大きくなることから、たとえ充分な量の細結晶があったとしても、当該空隙を充分に充填することが困難になる。よって、複合体の熱抵抗を充分に低減することができなくなるおそれがある。
【0025】上記複合体において粗結晶は、50〜90体積%含まれていることが好ましく、60〜85体積%含まれていることがより好ましく、60〜80体積%含まれていることが最も好ましい。粗結晶の含有比率が小さくなりすぎると、本来、熱伝導率の向上に必要な程度の粗結晶が確保されなくなり、却って複合体の熱抵抗が大きくなるおそれがある。逆に、粗結晶の含有比率が大きくなりすぎると、相対的に細結晶の含有比率が小さくなってしまい、粗結晶間に形成される空隙を充分に充填することができなくなる。よって、複合体の熱抵抗を確実に低減することができなくなるおそれがある。
【0026】本発明の放熱板を構成する複合体では、炭化珪素100重量部に対して15〜50重量部の金属が含浸されている。金属含浸を行うことにより、金属が焼結体の開放気孔内に充填され、見かけ上は緻密体となり、結果として熱伝導性及び強度の向上が図られる。
【0027】上記含浸用金属としては、特に金属シリコンが好ましい。金属シリコンは、炭化珪素との馴染みがよい物質であることに加え、それ自体が高い熱伝導性を有している。ゆえに、金属シリコンを焼結体の開放気孔内に充填することによって、熱伝導性及び強度の向上を確実に達成することができる。
【0028】この場合、金属シリコンは、炭化珪素100重量部に対して15〜45重量部含浸されていることが好ましく、15〜39重量部含浸されていることがより好ましい。含浸量が15重量部未満であると、開放気孔を充分に充填することができなくなり、複合体の熱抵抗を確実に低減することができなくなるおそれがある。逆に、含浸量が30重量部を超えると、結晶部分の比率が相対的に低下してしまう結果、場合によっては却って熱伝導率が低下してしまう可能性がある。
【0029】なお、金属シリコン以外のもの、例えば、金属アルミニウムを選択した場合には、その含浸量は、炭化珪素100重量部に対して20〜50重量部が好ましい。含浸量が上記範囲を逸脱すると、熱伝導率の低下及び熱膨張率の増大を来すおそれがある。
【0030】次に、このような複合体からなる放熱板を製造する方法について説明する。上記放熱板は、粗粉末に微粉末を所定割合で混合する材料調製工程、成形工程、焼成工程、及び、金属含浸工程を経て製造される。金属含浸工程は、焼成工程前に行われてもよく、焼成工程後に行われてもよい。
【0031】上記材料調製工程においては、平均粒径5〜100μmのα型炭化珪素の粗粉末に対して、平均粒径0.1〜1.0μmのα型炭化珪素の微粉末を10〜100重量部配合し、これを均一に混合する。
【0032】原料となるα型炭化珪素の粗粉末の平均粒径は、5〜100μmが好ましく、15〜75μmがより好ましく、25〜60μmがより好ましい。また、α型炭化珪素の微粉末の平均粒径は、0.1〜1.0μmが好ましく、0.1〜0.8μmがより好ましく、0.2〜0.5μmが最も好ましい。
【0033】粗粉末100重量部に対する微粉末の配合量は、10〜100重量部が好ましく、15〜65重量部がより好ましく、20〜60重量部が最も好ましい。
【0034】この材料調製工程においては、上記炭化珪素粉末のほかに、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂等の成形用バインダやアルコール、水、ベンゼン等の分散溶媒を必要に応じて配合し、これを振動ミル等により混合した後、ニーダー等を用いて混練することにより、原料スラリーを調製する。
【0035】また、上記原料スラリー中には、さらに炭素源となる有機物が炭素重量換算で1〜10重量%配合されていることが好ましく、6〜9重量%配合されていることがより好ましい。すなわち、上記有機物に由来する炭素が焼結体の炭化珪素の表面に付着することにより、侵入してきた金属シリコンと炭素とが反応し、そこで新たに炭化珪素が生成する。従って、そこに強いネッキングが起き、これにより熱伝導率及び強度の向上が図られるからである(図4参照)。
【0036】上記有機物としては、例えば、フェノールレジン、カーボンブラック、アセチレンブラック、ピッチ、タール等が挙げられる。このなかでも、フェノールレジンは、ボールミルを用いた場合に、原料を均一に混合することができるという点で有利である。
【0037】成形工程においては、この原料スラリーを用いて炭化珪素の顆粒を形成した後、金型等を用いて所定形状に成形する。炭化珪素粉末を顆粒化する方法としては、例えば、噴霧乾燥による顆粒化法(スプレードライ法)のように従来より公知の方法を用いることができる。また、成形圧力は、1.0〜1.5t/cm2 が好ましく、1.1〜1.4t/cm2 がより好ましい。また、得られる成形体の密度は、2.0g/cm3 以上が好ましく、2.2〜2.7g/cm3 がより好ましい。
【0038】焼成工程においては、得られた成形体を1700〜2400℃の温度範囲で焼成して、多孔質体を作製する。焼成温度は、2000〜2400℃が好ましく、200〜2300℃がより好ましい。この際、焼成炉の内部は、アルゴン、ヘリウム、窒素等の非酸化性雰囲気又は不活性雰囲気に保つ。なお、このとき、焼成炉内を真空状態にしてもよい。
【0039】さらに、焼成時においては、ネック部の成長を促進させるため、成形体からの炭化珪素の揮発を抑制することが好ましい。成形体からの炭化珪素の揮発を抑制する方法としては、外気の侵入を遮断可能な耐熱性の容器内に成形体を装入する方法がある。上記耐熱性の容器の形成材料としては、黒鉛又は炭化珪素が好適である。
【0040】続く金属含浸工程においては、以下のようにして多孔質体に金属を含浸する。例えば、金属シリコンを含浸する場合、前もって焼結体に炭素質物質を含浸することが好ましい。このような炭素質物質としては、例えば、フルフラール樹脂、フェノール樹脂、リグニンスルホン酸塩、ポリビニルアルコール、コーンスターチ、蜜糖、コールタールピッチ、アルギン酸塩等の各種有機物質が挙げられる。なお、カーボンブラック、アセチレンブラックのような熱分解物質も同様に使用することができる。
【0041】上記炭素質物質を予め含浸させておくことにより、焼結体の開放気孔の表面に新たな炭化珪素の膜が形成されるため、これによって溶融シリコンと多孔質体との結合が強固なものになる。また、炭素質物質の含浸により、焼結体の強度も強くなる。
【0042】金属シリコンを開放気孔中に充填する方法としては、例えば、金属シリコンを加熱溶融させて含浸する方法が挙げられる。また、微粉化した金属シリコンを分散媒中に分散させ、この分散液を多孔質体に含浸させた後乾燥させ、金属シリコンの溶融温度以上に加熱する方法も適用することができる。上記金属の含浸は、焼成を行う前の成形体に行われてもよい。この後、必要により焼結体に切削加工を施すとともに研磨等を施し、所定形状の板状体とすることにより放熱板を作製する。
【0043】このようにして得られた新たな構成の炭化珪素・金属複合体からなる放熱板は、熱伝導率の値が100W/m・K以上と熱伝導性に優れるとともに、金属を含有しているため、機械的強度にも優れる。さらに、製造条件によっては、熱伝導率180〜280W/m・K、200〜260W/m・Kとさらに熱伝導性に優れた放熱板とすることができる。このような放熱板は、下記するモジュール用基板等に使用する放熱板として最適である。
【0044】次に、上記放熱板が用いられたモジュール用基板について説明する。本発明のモジュール用基板は、一主面に導体回路が形成された絶縁性基板と、上記絶縁性基板の他の主面に金属層を介して接合された放熱板とを備えた、半導体素子を搭載するためのモジュール用基板であって、上記放熱板には、上記した炭化珪素・金属複合体からなる放熱板が用いられていることを特徴とする。
【0045】図1は、本発明のモジュール用基板が用いられたパワーモジュールを模式的に示す断面図である。
【0046】このパワーモジュール10では、絶縁性基板12の上面に導体回路15が形成され、この導体回路の一部に半導体素子16が半田層17を介して接続、固定されており、導体回路15の他の部分と半導体素子16とは、ワイヤー15aを用いたワイヤーボンディングにより接続されている。また、導体回路15の一端には、外部端子19が半田層18を介して接続されている。
【0047】一方、絶縁性基板12の底面には、ほぼ全面に金属層13が形成され、このアルミニウム等からなる金属層13に、本発明の複合体からなる放熱板11が直接接合され、この放熱板11がクーリングユニット20に取り付けられている。この放熱板11は、アルミニウム等と熱膨張率が近い、Al−Siが添加されたロー材を介して金属層14に接合されていてもよい。
【0048】クーリングユニット20は、空冷式であってもよく、水冷式であってもよい。水冷式の場合には、通常、放熱板11と接する部分に水等の冷媒が流されている。
【0049】このパワーモジュール10では、導体回路15と金属層13とを有する絶縁性基板12及び放熱板11が、本発明のモジュール用基板を構成する。放熱板11としては、上述した炭化珪素・金属複合体からなる放熱板を用いるが、この放熱板は、製造条件を選ぶことにより、例えば、200〜260W/m・Kと極めて高い熱伝導率を示すとともに、機械的特性にも優れている。また、この放熱板11は、室温〜800℃における熱膨張率が3.5×10-6〜5.0×10-6(/℃)と窒化アルミニウム(熱膨張率:約4.5×10-6/℃)等の絶縁性基板とほぼ等しいため、温度サイクルに対しても優れた耐久性を示す。なお、この放熱板11の厚さは、通常、3〜4mmが好ましい。
【0050】絶縁性基板12の材質は特に限定されず、例えば、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミニウム等が挙げられるが、これらのなかでは、熱伝導性に優れた窒化アルミニウムが好ましい。絶縁性基板12が窒化アルミニウムからなる場合には、窒化アルミニウム焼結体は、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、希土類酸化物等の金属酸化物を0.1〜10重量%含有していてもよい。これらの酸化物としては、例えば、Y23 、CaO、Li2 O、Rb23 等が挙げられる。
【0051】導体回路15及び金属層13の材質としては、例えば、銅、アルミニウム等が挙げられるが、比較的高い導電率を有するとともに変形抵抗の小さいアルミニウムが好ましい。特に、金属層13にアルミニウムを用いた場合には、放熱板11と直接接合することが可能となる。特に、放熱板11に含浸させる金属としてアルミニウムやシリコンを用いると、このアルミニウムと放熱板中のアルミニウムやシリコンとが、接合界面で相互に溶融、混合されるため、両者は強固に接合される。なお、絶縁性基板と導体回路等の接合は、例えば、Al−Siを含むロー材を用いて行うことができる。
【0052】本発明のモジュール用基板に搭載する半導体素子は特に限定されないが、該モジュール用基板は、放熱特性に優れているため、動作時に発熱量が多い半導体素子の搭載用として最適である。このような半導体素子としては、例えば、IGBT、SIT等が挙げられる。このように本発明のモジュール用基板は、放熱特性に優れるとともに、温度サイクル等の熱衝撃に対しても優れた耐久性を有している。
【0053】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0054】実施例1まず、出発材料として、平均粒径30μmのα型炭化珪素の粗粉末(#400)と、平均粒径0.3μmのα型炭化珪素の微粉末(GMF−15H2)とを準備した。そして、上記粗粉末100重量部に対して、上記微粉末30重量部を配合し、これを均一に混合した。
【0055】次に、この混合物100重量部に対し、ポリビニルアルコール5重量部、フェノールレジン3重量部、水50重量部を配合した後、ボールミル中にて5時間混合することにより、均一な混合物を得た。
【0056】この混合物を所定時間乾燥させて水分をある程度除去した後、その乾燥混合物を適量採取し、顆粒化した。このとき、顆粒の水分含有量を約0.8重量%になるように調整した。次いで、この混合物の顆粒を、金属製押し型を用いて1.3t/cm2 のプレス圧力で成形した。得られた板状の生成形体の密度は、2.6g/cm3 であった。
【0057】次いで、上記成形体を黒鉛製ルツボに入れ、タンマン型焼成炉を使用してその焼成を行った。焼成は、1気圧のアルゴン雰囲気中において実施した。また、焼成時においては、10℃/分の昇温速度で最高温度である2200℃まで加熱し、その後は、その温度で4時間保持した。
【0058】次いで、得られた多孔質焼結体にフェノール樹脂(炭化率:30重量%)を予め真空含浸した後、乾燥を行った。その後、上記多孔質焼結体の表面に、金属シリコンを含むスラリーをコーティングした。ここでは、上記スラリーとして、平均粒径が20μm、純度が99重量%以上の金属シリコン粉末100重量部と、5%アクリル酸エステル・ベンゼン溶液60重量部とが混合されたものを用いた。そして、金属シリコンをコーティングした多孔質焼結体をアルゴンガス気流中で450℃/時間の昇温速度で加熱し、最高温度1450℃で約1時間保持した。このような処理により、金属シリコンを多孔質焼結体中に浸透させて、炭化珪素・金属複合体を得た。なお、ここでは、炭化珪素100重量部に対する金属シリコンの含有量を30重量部に設定した。
【0059】得られた炭化珪素・金属複合体からなる基材は、多孔質組織における開放気孔の気孔率が20%、全体として熱伝導率が210W/m・K、全体としての密度が3.0g/cm3 であった。また、炭化珪素結晶の平均粒径は、30μmであった。具体的には、平均粒径が1.0μmの細結晶を20体積%含み、かつ、平均粒径が40μmの粗結晶を80体積%含んでいた。
【0060】続いて、従来公知の手法により上記基材に面出し加工を施した後、研磨加工等を施し、縦:70mm、横:130mm、厚さ:3mm放熱板の作製を完了した。
【0061】次に、導体回路等を有する絶縁性基板として、一面に厚さ0.4mmのアルミニウムからなる導体回路が、Al−Siを含有するロー材を用いて接合され、他の一面にアルミニウム板が同様のロー材を用いて接合された厚さ4mmの窒化アルミニウム製基板を用い、得られた放熱板と上記窒化アルミニウム製基板とを、アルミニウム板を挟んで加熱、圧着することにより接合し、モジュール用基板の作製を完了した。
【0062】得られたモジュール用基板を、−55℃に保った後、150℃に保つヒートサイクルを1000回繰り返すヒートサイクル試験に供した後、該モジュール用基板を縦に切断し、放熱板と絶縁性基板との接合状態や導体回路や金属層と絶縁性基板との接合状態を顕微鏡で観察したが、クラック等は全く観察されなかった。
【0063】次に、このモジュール用基板に、IGBT素子を搭載し、クーリングユニットに取り付けた後、パワーモジュールを実際に作動させ、IGBT素子の温度を測定したが、IGBT素子は、素子として充分に機能し得る温度を保持していた。
【0064】実施例2平均粒径35μmのα型炭化珪素の粗粉末(#360)を用いるとともに、上記粗粉末100重量部に対して、上記微粉末40重量部を配合し、これを均一に混合した。それ以外の条件については、基本的に実施例1と同様とした。
【0065】その結果、得られた炭化珪素・金属複合体からなる基材は、多孔質組織における開放気孔の気孔率が17%、全体としての熱伝導率が220W/m・K、全体としての密度が3.0g/cm3 であった。また、炭化珪素結晶の平均粒径は、36μmであった。具体的には、平均粒径が1.0μmの細結晶を20体積%含み、かつ、平均粒径が45μmの粗結晶を80体積%含んでいた。
【0066】この炭化珪素・金属複合体を用い、実施例1と同様にモジュール用基板を作製しし、ヒートサイクル試験を行った後、放熱板と絶縁性基板との接合状態や導体回路の接合状態を観察したが、クラック等は全く観察されなかった。
【0067】また、このモジュール用基板に、IGBT素子を搭載し、これをクーリングユニットに取り付けて作動させ、IGBT素子の温度を測定したが、IGBT素子は、素子として充分に機能し得る温度を保持していた。
【0068】実施例3平均粒径57μmのα型炭化珪素の粗粉末(#240)を用いるとともに、上記粗粉末100重量部に対して、上記微粉末40重量部を配合し、これを均一に混合した。それ以外の条件については、基本的に実施例1と同様とした。
【0069】その結果、得られた炭化珪素・金属複合体からなる基材は、多孔質組織における開放気孔の気孔率が15%、全体としての熱伝導率が230W/m・K、全体としての密度が3.1g/cm3 であった。また、炭化珪素結晶の平均粒径は、65μmであった。具体的には、平均粒径が1.0μmの細結晶を20体積%含み、かつ、平均粒径が80μmの粗結晶を80体積%含んでいた。
【0070】この炭化珪素・金属複合体を用い、実施例1と同様にモジュール用基板を作製しし、ヒートサイクル試験を行った後、放熱板と絶縁性基板との接合状態や導体回路の接合状態を観察したが、クラック等は全く観察されなかった。
【0071】また、このモジュール用基板に、IGBT素子を搭載し、これをクーリングユニットに取り付けて作動させ、IGBT素子の温度を測定したが、IGBT素子は、素子として充分に機能し得る温度を保持していた。
【0072】比較例1平均粒径10μmのα型炭化珪素の粗粉末を用いるとともに、上記粗粉末100重量部に対して、平均粒径が0.7μmのα型炭化珪素の微粉末45重量部を配合し、これを均一に混合した。
【0073】この混合物100重量部に対し、ポリビニルアルコール5重量部、水50重量部を配合した後、ボールミル中にて5時間混合することにより、均一な混合物を得た。
【0074】この混合物を所定時間乾燥させて水分をある程度除去した後、その乾燥混合物を適量採取し、顆粒化した。次いで、この混合物の顆粒を、金属製押し型を用いて0.6t/cm2 のプレス圧力で成形した。得られた板状の生成形体の密度は、2.0g/cm3 であった。この後、この成形体に実施例1と同様の条件金属シリコンの含浸を行った。
【0075】次いで、上記成形体を黒鉛製ルツボに入れ、タンマン型焼成炉を使用してその焼成を行った。焼成は、1気圧のアルゴン雰囲気中において実施した。また、焼成時においては、10℃/分の昇温速度で最高温度である1700℃まで加熱し、その後は、その温度で4時間保持した。
【0076】得られた炭化珪素・金属複合体からなる基材は、多孔質組織における開放気孔の気孔率が38%、全体として熱伝導率が80W/m・K、全体としての密度が2.8g/cm3 であった。また、炭化珪素結晶の平均粒径は、10μmであった。
【0077】この炭化珪素・金属複合体を用い、実施例1と同様にモジュール用基板を作製しした。また、このモジュール用基板に、IGBT素子を搭載し、これをクーリングユニットに取り付けて作動させ、IGBT素子の温度を測定したが、IGBT素子は、時間の経過とともに温度が上昇し、素子として充分に機能し得る温度を超えてしまった。
【0078】
【発明の効果】本発明の炭化珪素・金属複合体からなる放熱板は、上記のように構成されているので、熱伝導率が充分に高く、かつ、窒化アルミニウム基板との熱膨張率もほぼ等しいため温度サイクルに対する耐久性に優れ、発熱量の大きい半導体素子を搭載するためのモジュール用基板として好適に用いることができる。また、本発明のモジュール用基板は、上記のように構成されているので、放熱特性及び耐久性に優れる。




 

 


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