米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 電気素子 -> イビデン株式会社

発明の名称 多層配線板の層間樹脂絶縁材用の樹脂複合体
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−148572(P2001−148572A)
公開日 平成13年5月29日(2001.5.29)
出願番号 特願2000−282726(P2000−282726)
出願日 平成5年10月5日(1993.10.5)
代理人 【識別番号】100080687
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 順三 (外1名)
発明者 王 東冬 / 浅井 元雄
要約 目的
感光性基を付与した熱硬化性樹脂や感光性樹脂が示す感光特性や耐熱性を具えると共に、複合化させる熱硬化性樹脂本来の優れた物性をも併せて具える新規な樹脂複合体およびその製造技術を開発すること。

構成
官能基の一部が感光性基で置換された熱硬化性樹脂あるいは感光性樹脂と、熱可塑性樹脂とからなる樹脂複合体であって、前記熱硬化性樹脂あるいは感光性樹脂と熱可塑性樹脂とが、球状ドメイン構造を形成してなる樹脂複合体であり、多層配線板の層間樹脂絶縁材用に有利に適用される。このような構造を有する樹脂複合体は、前記熱硬化性樹脂あるいは感光性樹脂と、熱可塑性樹脂とを溶媒中で個別分散させて非相溶状態とし、光硬化ならびに熱硬化することにより製造される。
特許請求の範囲
【請求項1】 官能基の一部が感光性基で置換された熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とからなる樹脂複合体であって、上記の熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とが、球状ドメイン構造である分散状態を形成してなる多層配線板の層間樹脂絶縁材用の樹脂複合体。
【請求項2】 感光性樹脂と熱可塑性樹脂とからなる樹脂複合体であって、感光性樹脂と熱可塑性樹脂とが、球状ドメイン構造である分散状態を形成してなる多層配線板の層間樹脂絶縁材用の樹脂複合体。
【請求項3】 前記熱硬化性樹脂は、その官能基の5〜70%が感光性基で置換されている請求項1に記載の多層配線板の層間樹脂絶縁材用の樹脂複合体。
【請求項4】 前記樹脂複合体は、球状ドメイン構造を構成する球状粒子の平均粒径が、0.1μmを超え、5μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の多層配線板の層間樹脂絶縁材用の樹脂複合体。
【請求項5】 上記樹脂複合体における熱硬化性樹脂あるいは感光性樹脂と熱可塑性樹脂の配合比は、熱可塑性樹脂の含有量で15〜50wt%である請求項1〜4のいずれか1つに記載の多層配線板の層間樹脂絶縁材用の樹脂複合体。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、官能基の一部が感光性基で置換された熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂、あるいは感光性樹脂と熱可塑性樹脂とからなる新規な樹脂複合体に関し、特に、多層配線板の層間樹脂絶縁材用の樹脂複合体についての提案である。
【0002】
【従来の技術】露光により硬化できる,いわゆる感光特性を具えた樹脂は、工業的な用途が広く、例えば、写真製版や、半導体,プリント配線板の緻密な描画などで使われるフォトレジストなどに用いられている。特に、プリント配線板製造の分野において、この感光特性を具えた樹脂は、高密度な導体パターンを形成するのに有用な絶縁材として好適に用いられる。
【0003】しかしながら、上記感光特性を具えた樹脂は、それ自体の靱性値が低いために実用化に問題があった。このような問題について、従来、樹脂の靱性を改善する技術としては、熱硬化性樹脂に熱可塑性樹脂を混合して複合させる技術が提案されている。例えば、エポキシ樹脂とポリエーテルスルホン(以下、「PES」で示す)との混合系(PES変成エポキシ樹脂)において、エポキシ樹脂とPESとが形成する共連続構造により、エポキシ樹脂の靱性を改善する技術がそれである(Keizo Yamanaka and Takasi Inoue, Polymer,1989,vol.30,p662参照)。
【0004】たしかに、2種の樹脂を混合してなる上記PES変成エポキシ樹脂では、エポキシ樹脂単独のものに比べて、樹脂の靱性が改善される。それは、このPES変性エポキシ樹脂が、PESマトリックス中にエポキシ球状ドメインが互いに連結しあって規則正しく分散している状態の構造,いわゆる共連続構造を形成するからである。この共連続構造は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂とPESとの混合系において、エポキシ樹脂を高温で硬化すると、エポキシ樹脂とPESとが完全に溶け合った状態(相溶状態)とはならず、スピノーダル分解を起こして熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂が分離状態で混合している状態(相分離状態)となるために形成される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来技術は、熱硬化のみによって球状ドメイン構造もしくは共連続構造を形成する、いわゆる熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との複合化技術に関するものであり、感光特性を具えた樹脂の複合化技術ではない。それ故に、靱性の悪い感光特性を具えた樹脂を使ってもなお、靱性に優れた樹脂複合体を合成する方法についてまでは、未だ研究されていない。すなわち、感光特性を具えた樹脂と熱可塑性樹脂との複合化は、未だ実用化されていないのが実情である。
【0006】本発明の目的は、このような実情に鑑みてなされたものであり、特に、部分アクリル化エポキシ樹脂やアクリル系樹脂などの感光特性を具えた樹脂の物性,例えば耐熱性や感光特性を具えると共に、PESなどの熱可塑性樹脂本来の優れた物性(優れた靱性)をも併せて具える新規な樹脂複合体およびその製造技術を確立することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】さて、エポキシ樹脂/PES混合系において、エポキシ樹脂とPESは、図1に示すように、低温では相溶するが高温では2相に分離する,いわゆるLCST型(Low Critical Solution Temperature )の相図を示すことが知られている。しかし、エポキシ樹脂のエポキシ基の一部をアクリル基で置換すると、エポキシ樹脂とPESは、低温でも相溶しにくくなり相分離を起こしやすくなることが判った。一方、エポキシ樹脂のエポキシ基の一部をアクリル基で置換した場合、露光により硬化させることができるので、低温で見られる相溶状態を維持したままでエポキシ樹脂の硬化ができるようになり、相分離は抑制される。すなわち、感光性基を有する熱硬化性樹脂を用いると、露光後は、分子運動が凍結されるために相分離状態にならない。それは、相分離するには分子の運動,拡散が必要だからである。このように、感光性基の付与は、相分離を促進する面とこれを抑制する面との両面の効果を有するのである。
【0008】発明者らは、このような事実に着目してさらに鋭意研究を行った結果、官能基が感光性基で置換された熱硬化性樹脂あるいは感光性樹脂と熱可塑性樹脂とを適度に相分離させることにより、明確な共連続構造や球状ドメイン構造を形成できることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0009】すなわち、本発明は、第1に、官能基の一部が感光性基で置換されている熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とからなる樹脂複合体であって、上記の熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とが、球状ドメイン構造である分散状態を形成してなる多層配線板の層間樹脂絶縁材用の樹脂複合体であり、前記熱硬化性樹脂は、その官能基の5〜70%が感光性基で置換されていることが望ましい。第2に、感光性樹脂と熱可塑性樹脂とからなる樹脂複合体であって、感光性樹脂と熱可塑性樹脂とが、球状ドメイン構造である分散状態を形成してなる多層配線板の層間樹脂絶縁材用の樹脂複合体である。ここで、これらの樹脂複合体は、球状ドメイン構造を構成する球状粒子の平均粒径が、それぞれ0.1 μmを超え、5μm以下であることが望ましく、また、これらの樹脂複合体において、熱硬化性樹脂あるいは感光性樹脂と熱可塑性樹脂の配合比が、熱可塑性樹脂の含有量で15〜50wt%であることが望ましい。そして、本発明の樹脂複合体の製造方法は、第1に、熱可塑性樹脂と混合した熱硬化性樹脂を硬化することにより熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを複合化する方法において、官能基の一部が感光性基と置換されている熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを非相溶状態で混合分散させ、次いで、これを露光し、加熱することにより硬化させ、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との球状ドメイン構造を形成することを特徴とする方法である。第2に、熱可塑性樹脂と混合した感光性樹脂を硬化することにより感光性樹脂と熱可塑性樹脂とを複合化する方法において、感光性樹脂と熱可塑性樹脂とを非相溶状態で混合分散させ、次いで、これを露光することにより硬化させ、感光性樹脂と熱可塑性樹脂との球状ドメイン構造を形成することを特徴とする方法である。ここで、前記熱硬化性樹脂として、その官能基の5〜70%が感光性基で置換されているものを用いることが望ましく、また、熱硬化性樹脂あるいは感光性樹脂と熱可塑性樹脂の配合比を、熱可塑性樹脂の含有量で15〜50wt%とすることが望ましい。
【0010】
【作用】本発明にかかる多層配線板の層間樹脂絶縁材用の樹脂複合体の特徴は、その官能基の一部が感光性基で置換された熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とが、球状ドメイン構造を形成してなる点と、感光性樹脂と熱可塑性樹脂とが球状ドメイン構造を形成してなる点とにある。このような構造を形成することにより、熱硬化性樹脂が示す耐熱性や耐薬品性、感光性樹脂が示す感光特性などを保持したまま、熱可塑性樹脂の物性を付与でき、高靱性、高強度、低誘電率および低熱膨張率の樹脂複合体を得ることができる。したがって、このような球状ドメイン構造を有する樹脂複合体を、多層配線板の層間樹脂絶縁層、特に無電解めっき用接着剤の樹脂マトリックスに応用した場合には、耐熱性、耐薬品性、感光特性を保持したまま、靭性や強度が大幅に改善されるので、粗化処理によって接着剤層に形成される凹凸形状を確実に保持することができ、その結果として、より複雑な凹凸形状の粗化面であっても、その上に形成される無電解めっき膜との密着性を大幅に向上させることができる。このような樹脂複合体の構造による効果は、前記複合体における熱可塑性樹脂(例えば、PES)の含有量が固形分で15〜50wt%である場合に特に顕著となる。この理由は、熱可塑性樹脂の含有量が15wt%未満では、樹脂成分の網目に絡み合う熱可塑性樹脂分子が少ないため強靱化の効果が十分に発揮されず、一方、熱可塑性樹脂の含有量が50wt%を超えると、架橋点の減少によって熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂間との相互作用が小さくなるからである。
【0011】本発明において、球状ドメイン構造とは、熱可塑性樹脂を主とする樹脂マトリックス中に、官能基の一部が感光性基で置換された熱硬化性樹脂もしくは感光性樹脂を主とする樹脂の球状ドメインが互いに独立し、あるいは一部が連結して分散している状態の構造を指し、また、共連続構造とは、熱可塑性樹脂を主とするの樹脂マトリックス中に、官能基の一部が感光性基で置換された熱硬化性樹脂もしくは感光性樹脂を主とする樹脂からなる球状ドメインが互いに連結し合い、かつ規則正しく分散している状態の構造を指す。
【0012】すなわち、上記各構造を形成する樹脂は、それぞれが完全に分離しているのではなく、熱可塑性樹脂の中に、官能基の一部が感光性基で置換された熱硬化性樹脂もしくは感光性樹脂が含有されていて、その比率は圧倒的に熱可塑性樹脂が高く、一方、官能基の一部が感光性基で置換された熱硬化性樹脂もしくは感光性樹脂の中に、熱可塑性樹脂が含有されていて、その比率は熱硬化性樹脂もしくは感光性樹脂が高い。すなわち、それぞれの樹脂が完全に相分離しているのではなく、少しは相溶しているのである。なお、官能基の一部が感光性基で置換された熱硬化性樹脂もしくは感光性樹脂を主とする樹脂マトリックス中に、熱可塑性樹脂を主とする樹脂を分散させるようにしてもよい。
【0013】上述した球状ドメイン構造および共連続構造は、熱可塑性樹脂をジメチルホルムアミド(DMF)や塩化メチレン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ノルマルメチルピロリドン(NMP)などの溶剤で溶解し、その表面をSEMで観察することにより確認できる。
【0014】本発明において、前記熱硬化性樹脂は、その官能基の5〜70%が感光性基で置換されていることが望ましい。この理由は、5%未満では、感光性が得られず、70%を超えると熱可塑性樹脂との相溶が困難になるからである。
【0015】本発明の樹脂複合体は、球状ドメイン構造を構成する球状粒子の平均粒径が、それぞれ0.1 μmを超え、5μm以下であることが望ましい。この理由は、官能基の一部が感光性基と置換された熱硬化性樹脂あるいは感光性樹脂と熱可塑性樹脂を均一に相溶させることは難しく、それ故に、平均粒径を、0.1 μm未満に調整することは困難であり、一方、5μmを超えると、靱性の改善を図ることができず、しかも、感光特性や耐熱性も低下するからである。なお、樹脂複合体の上記平均粒径は、主にSEM観察による計測による。
【0016】次に、本発明の樹脂複合体を製造する方法について説明する。官能基の一部が感光性基で置換された熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを複合化する第1の方法は、例えば、熱硬化性樹脂の熱硬化に関与する官能基と感光性基との置換率を制御することにより、混合する熱可塑性樹脂との相溶性を変え、非相溶の度合いを調整し、これを露光したのち加熱することにより硬化する点に特徴がある。感光性樹脂と熱可塑性樹脂とを複合化する第2の方法は、例えば、感光性樹脂の種類、分子量を調整することにより、混合する熱可塑性樹脂との相溶性を変え、非相溶の度合いを調整し、これを露光して硬化する点にある。このようにして、混合する樹脂の非相溶の度合いの大小によって、共連続構造もしくは球状ドメイン構造を形成することができる。以下にそれの具体的な製造方法について説明する。
【0017】第1の方法は、まず最初に、官能基の一部が感光性基で置換された熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを、必要に応じて溶媒中に混合分散させて非相溶状態とする。官能基の一部が感光性基で置換された熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とは、相溶しにくく、非相溶状態で分散状態となる。次に、溶媒を用いた場合には乾燥により溶媒を除去した後、これを露光することにより、熱硬化性樹脂中の感光性基を硬化させ、その後、熱硬化性樹脂中に残留する熱硬化型の官能基を加熱反応させることにより、完全に硬化させ、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との球状ドメイン構造を形成する。ここで、熱硬化を行う時点では、すでに感光性基の反応で分子鎖の運動が凍結されているので、熱硬化による相分離は、殆ど起こらない。したがって、官能基の一部が感光性基で置換された熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とは、最初の分散状態において、非相溶の度合いが大きければ球状ドメイン構造となり、非相溶の度合いが小さいと共連続構造となる。この非相溶の度合いは、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂の種類や分子量などによって異なるが、樹脂の種類や分子量が同じであれば、熱硬化性樹脂の官能基を感光性基で置換することにより、その置換率で制御することができる。なお、熱硬化性樹脂中に残留する熱硬化型の官能基を硬化反応させることにより、耐酸化剤特性が向上するので、官能基の一部が感光性基で置換された熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との球状ドメイン構造の樹脂複合体は、無電解めっき用接着剤の樹脂マトリックスに応用する場合に好適である。
【0018】第2の方法は、まず最初に、感光性樹脂と熱可塑性樹脂とを、必要に応じて溶媒中に混合分散させて非相溶状態とする。感光性樹脂と熱可塑性樹脂とは、相溶しにくく、非相溶状態で個別分散状態となる。次に、溶媒を用いた場合には乾燥により溶媒を除去した後、これを露光することにより感光性樹脂を硬化させ、感光性樹脂と熱可塑性樹脂との球状ドメイン構造を形成する。感光性樹脂と熱可塑性樹脂とは、最初の分散状態において、非相溶の度合いが大きければ球状ドメイン構造となり、非相溶の度合いが小さいと共連続構造となる。この非相溶の度合いは、熱可塑性樹脂および感光性樹脂の種類や分子量などにより制御することができる。この方法は、露光により硬化を行うため、硬化時の相分離が抑制でき、最初の分散状態がそのまま硬化物に反映される。
【0019】上述したような本発明方法において使用できる溶剤としては、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF )や塩化メチレン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ノルマルメチルピロリドン(NMP )などが好適である。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂メラミン、尿素樹脂などのアミノ樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ変成ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂などが好適である。本発明では、これらの硬化に関与する官能基の一部,望ましくは5〜70%をアクリル基などの官能基に置換して使用するのである。熱可塑性樹脂としては、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、フェノキシ樹脂、ポリエーテルイミド、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオキシベンゾエート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアセタール、ポリカーボネートなどが好適である。本発明では、これらの熱可塑性樹脂の配合量を15〜50%として、上記熱硬化性樹脂あるいは感光性樹脂と複合化するのである。感光性樹脂としては、アクリル系樹脂や熱硬化性樹脂の官能基を100 %アクリル化したものなどを好適に使用することができる。硬化剤としては、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合には、イミダゾール系硬化剤やジアミン、ポリアミン、ポリアミド、無水有機酸、ビニルフェノールなどを使用することができる。一方、エポキシ樹脂以外の熱硬化性樹脂を用いる場合には、周知の硬化剤を使用することができる。なお、第1の方法では、熱硬化性樹脂とともに、硬化剤を付与してもよく、また、第2の方法では、感光性樹脂とともに光増感剤や光開始剤などを添加してもよい。
【0020】以上説明したような本発明の樹脂複合体によれば、部分アクリル化エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂特有の物性あるいはアクリル樹脂などの感光性樹脂特有の物性を具えると共に、複合化させるPESなどの熱可塑性樹脂本来の優れた物性(優れた靱性)をも併せて具えることができる。すなわち、本発明にかかるPES変性部分アクリル化エポキシ樹脂やPES変成アクリル樹脂は、感光特性を低下させず、従来にはないエポキシ樹脂やアクリル樹脂の強靱化、低誘電率化、低熱膨張率化が可能になる。
【0021】なお、本発明の樹脂複合体は、プリント配線板用接着剤などの無電解めっき用接着剤として好適に使用され、さらにプリント配線板等に用いられる基板材料,レジスト材料およびプリプレグ材料、半導体パッケージの封止材、繊維強化複合材料の母材、射出成形用材料、圧縮成形用材料などさまざまな用途に利用されることが期待される。
【0022】
【実施例】(実施例1:球状ドメイン構造)
(1) フェノールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェル製)の50%アクリル化物を80重量部、ポリエーテルスルホン(PES)20重量部、ジアリルテレフタレート15重量部、2-メチル-1-[4-( メチルチオ) フェニル]-2-モリフォリノプロパノン-1(チバ・ガイギー製)4重量部およびイミダゾール系硬化剤(四国化成製、商品名:2E4MZ-CN)4重量部を、DMF 中にて混合し、次いで、得られた混合物を80℃で1時間乾燥することにより、溶媒を除去した後、3J/cm の条件下でUV硬化し、さらに、80℃で6時間, 150℃で2時間の硬化条件にて硬化して球状ドメイン構造の樹脂硬化物を得た。
【0023】このようにして得た樹脂硬化物について、破面をポリッシングした後、塩化メチレンでエッチングし、SEM観察を行った結果、球状樹脂粒子の平均粒径が2μm前後である球状連続構造が観察された。なお、PESの部分のみが塩化メチレンでエッチングされることから、球状の連続構造がエポキシリッチな領域であり、マトリックスがPESリッチな領域であると推定される。
【0024】得られた樹脂硬化物の引張強度と引張伸び率は、それぞれ650kg/cm2 、5.8 %であり、エポキシ樹脂とPES との中間的な値を示した。なお、同じ硬化剤,硬化条件で作製したエポキシ樹脂のみからなる硬化物の引張強度と引張伸び率は、それぞれ約500kg/cm2 , 5%であった。
【0025】(実施例2:多層配線板の層間絶縁材料への適用)
(1) ガラスエポキシ銅張積層板(東芝ケミカル製)上に感光性ドライフィルム(デュポン製)をラミネートし、所望の導体回路パターンが描画されたマスクフィルムを通して紫外線露光させ画像を焼きつけた。次に、1,1,1-トリクロロエタンで現像を行い、塩化第2銅エッチング液を用いて非導体部の銅を除去したのち、塩化メチレンでドライフィルムを剥離した。これにより、基板上に複数の導体パターンからなる第1層導体回路を有する配線板を作成した。
(2) エポキシ樹脂粒子(東レ製、平均粒径:3.9 μm)200gを5lのアセトン中に分散させて得たエポキシ樹脂粒子懸濁液を、ヘンシェルミキサー内で攪拌しながら、この懸濁液中に、アセトン1lに対してエポキシ樹脂(三井石油化学製)を30g の割合で溶解させたアセトン溶液中にエポキシ樹脂粉末(東レ製、平均粒径:0.5 μm)300gを分散させて得た懸濁液を滴下することにより、上記エポキシ樹脂粒子表面にエポキシ樹脂粉末を付着せしめた後、上記アセトンを除去し、その後、150 ℃に加熱して擬似粒子を作成した。この擬似粒子は、平均粒径が約4.3 μmであり、約75重量%がこの平均粒径を中心として±2μmの範囲に存在していた。
(3) クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェル製)の30%アクリル化物を70重量部、ポリスルホン(PSF)30重量部、ジアリルテレフタレート15重量部、2-メチル-1-[4-( メチルチオ) フェニル]-2-モリフォリノプロパノン-1(チバ・ガイギー製)4重量部、イミダゾール系硬化剤(四国化成製、商品名:2E4MZ-CN)4重量部、および前記(2) で作成した擬似粒子50重量部を混合した後、ブチルセロソルブを添加しながら、ホモディスパー攪拌機で粘度250cpsに調整し、続いて、3本ロールで混練して感光性樹脂組成物の溶液を調製した。
(4) この感光製樹脂組成物の溶液を、前記(1) で作成した配線板上に、ナイフコーターを用いて塗布し、水平状態で20分間放置してから70℃で乾燥させて厚さ約50μmの感光性樹脂絶縁層を形成した。
(5) 前記(4) の処理を施した配線板に、100 μmφの黒円が印刷されたフォトマスクフィルムを密着させ、超高圧水銀灯500mj/cm2 で露光した。これをクロロセン溶液で超音波現像処理することにより、配線板上に100 μmφのバイアホールとなる開口を形成した。さらに、前記配線板を超高圧水銀灯により約3000mj/cm2で露光し、100 ℃で1時間、その後150 ℃で10時間の加熱処理を行うことによりフォトマスクフィルムに相当する寸法精度に優れた開口を有する樹脂絶縁層を形成した。
(6) 前記(5) の処理を施した配線板を、クロム酸水溶液(CrO3, 500g/l)に70℃で15分間浸漬して樹脂絶縁層の表面を粗化し、次いで、中和溶液(シプレイ製)に浸漬したのち水洗した。
(7) 樹脂絶縁層の表面を粗化した基板にパラジウム触媒(シプレイ製)を付与して絶縁層の表面を活性化させ、その後、表1に示す組成のアディティブ用無電解めっき液に11時間浸漬して、めっき膜の厚さが25μmの無電解銅めっきを施した。
(8) 前記(4) 〜(7) までの工程をさらに2回繰り返しすことにより、配線層が4層のビルドアップ多層配線板を製造した。
【0026】
【表1】

【0027】(比較例1:多層配線板の層間絶縁材料への適用)
(1) 以下に示す樹脂組成以外は実施例2と同様にして、エポキシ樹脂からなる擬似粒子含有の感光性樹脂組成物の溶液を調製し、第1層導体回路を有する配線板上に、厚さ約50μmの層間樹脂絶縁層とめっき膜の厚さが25μmの無電解銅めっき膜を交互に形成し、配線層が4層のビルドアップ多層配線板を製造した。
〔樹脂組成〕
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェル製)の 30%アクリル化物:60重量部 ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル製) :40重量部 ジアリルテレフタレート :15重量部 2-メチル-1-[4-( メチルチオ) フェニル]-2-モリフォリノ プロパノン-1(チバ・ガイギー製):4重量部 イミダゾール系硬化剤(四国化成製、商品名:2P4MHZ):4重量部【0028】実施例2および比較例1にて製造したビルドアップ多層配線板における無電解銅めっき膜のピール強度、ならびに層間樹脂絶縁層の絶縁抵抗とガラス転移点Tg を測定した。さらに、−65℃×30min 〜125 ℃×30min のヒートサイクル試験を行った。その結果を表2に示す。この表に示す結果から明らかなように、本発明の樹脂複合体をビルドアップ多層配線板の樹脂絶縁層に適用することにより、接着強度、絶縁性、耐熱性およびヒートサイクル特性が従来のもの(熱硬化性樹脂のみを樹脂絶縁層としたもの)に比べ向上することが判った。
【0029】
【表2】

【0030】(実施例3:感光性基で置換されたエポキシ以外の樹脂と熱可塑性樹脂)エポキシ変性ポリイミド樹脂/PSF系において、エポキシ変性ポリイミド樹脂(三井石油化学工業製、商品名:TA-1800 )のエポキシ基の30%をアクリル化した感光性付与のオリゴマーとPSF、イミダゾール系硬化剤(四国化成製、商品名:2E4MZ-CN)、感光性モノマーであるトリメチルトリアクリレート(TMPTA)、光開始剤の I-907(チバガイギー製)を用い、下記組成でDMFを用いて樹脂を混合し、次いで、得られた混合物を80℃で30分間乾燥することにより、溶媒を除去した後、3J/cm の条件下でUV硬化し、さらに、 150℃で5時間の条件下で熱硬化し樹脂硬化物を得た。
樹脂組成:TA-1800 /PSF /TMPTA /I-907 /イミダゾール系硬化剤=70/30/10/5/5【0031】得られた樹脂硬化物の引張強度と引張伸び率は、それぞれ750kg/cm2 、6.2 %であった。なお、同じ硬化剤、硬化条件で作製した30%アクリル化されたエポキシ樹脂のみからなる硬化物の引張強度と引張伸び率は、それぞれ550kg/cm、4.3 %であった。
【0032】(実施例4:感光性樹脂/PES系)
(1) 感光性樹脂/PES系において、感光性樹脂としてクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の100%アクリル化物、感光性モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社油脂製)およびネオペンチルグリコール変成トリメチロールプロパンジアクリレート(日本化薬製)、光開始剤としてベンゾフェノン(関東化学製)、促進剤としてミヒラーケトン(関東化学製)を用い、下記の組成、硬化条件にて樹脂硬化物を得た。
〔樹脂組成〕
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェル製)の 100%アクリル化物:70重量部PES :30重量部ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社油脂製):10重量部ネオペンチルグリコール変成 トリメチロールプロパンジアクリレート(日本化薬製):5重量部ベンゾフェノン :5重量部ミヒラーケトン :0.5 重量部〔硬化条件〕
■乾燥:80℃、1時間■光硬化:3J/cm■熱硬化:150 ℃、 2時間【0033】得られた樹脂硬化物の引張強度と引張伸び率は、それぞれ750kg/cm2 、5.0 %であり、エポキシ樹脂とPES との中間的な値を示した。なお、同じ硬化剤,硬化条件で作製した感光性樹脂のみからなる硬化物の引張強度と引張伸び率は、それぞれ約560kg/cm2 , 3.1 %であった。
【0034】なお、上記ピール強度、絶縁抵抗、ガラス転移点Tg およびヒートサイクル試験の方法または評価方法を説明する。
(1)ピール強度JIS−C−6481(2)絶縁抵抗基板に層間絶縁層を形成し、粗化したのち触媒付与を行い、次いで、めっきレジストを形成してレジストパターンを作成した。その後、無電解めっきを施し、パターン間の絶縁抵抗を測定した。なお、パターン間絶縁性は、L/S=75/75 μmのくしばパターンにて、80℃/85%/24V,1000時間後の値を測定した。
(3)ガラス転移点Tg動的粘弾性測定により測定した。
(4)ヒートサイクル試験−65℃×30min 〜125 ℃×30min のヒートサイクル試験を行い、クラックの発生と層間絶縁層の剥離の有無を調べ、その耐久サイクル数で評価した。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、熱硬化性樹脂特有の物性あるいは感光性樹脂特有の物性、例えば耐熱性や感光特性を具えると共に、複合化させる熱可塑性樹脂本来の優れた物性をも併せて具える新規な樹脂複合体を提供することができ、層間樹脂絶縁材(無電解めっき用接着剤)用に好適に用いることができる。




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013