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発明の名称 ウェハ研磨装置用テーブル、セラミックス構造体
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−102336(P2001−102336A)
公開日 平成13年4月13日(2001.4.13)
出願番号 特願平11−277118
出願日 平成11年9月29日(1999.9.29)
代理人 【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣 (外1名)
【テーマコード(参考)】
3C058
【Fターム(参考)】
3C058 AA14 AB08 AC04 BA02 BA08 DA17 
発明者 辻 昌宏 / 馬嶋 一隆
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】ウェハ研磨装置を構成しているウェハ保持プレートの保持面に保持されている半導体ウェハが摺接される研磨面を有するテーブルにおいて、被接着面の表層にある加工変質層の厚さが30μm以下に設定されたセラミックス基材を複数枚積層した状態で、各基材同士が有機系接着剤層を介して接着されるとともに、前記基材の接着界面に流体流路が配設されているウェハ研磨装置用テーブル。
【請求項2】前記有機系接着剤層の厚さは10μm〜50μmであることを特徴とする請求項1に記載のウェハ研磨装置用テーブル。
【請求項3】前記各セラミックス基材は、いずれも炭化珪素焼結体製基材であることを特徴とする請求項1または2に記載のウェハ研磨装置用テーブル。
【請求項4】セラミックス基材同士を有機系接着剤層を介して接着した構造体であって、前記基材の被接着面にある加工変質層の厚さが30μm以下に設定されていることを特徴とするセラミックス構造体。
【請求項5】前記有機系接着剤層の厚さは10μm〜50μmであることを特徴とする請求項4に記載のセラミックス構造体。
【請求項6】前記各セラミックス基材は、いずれも炭化珪素焼結体製基材であることを特徴とする請求項4または5に記載のセラミックス構造体。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ウェハ研磨装置用テーブル、セラミックス構造体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般的に、鏡面を有するミラーウェハは、単結晶シリコンのインゴットを薄くスライスした後、それをラッピング工程及びポリッシング工程を経て研磨することにより得ることができる。特にラッピング工程後かつポリッシング工程前にエピタキシャル成長層形成工程を行った場合には、エピタキシャルウェハと呼ばれるものを得ることができる。そして、これらのベアウェハに対しては、続くウェハ処理工程において酸化、エッチング、不純物拡散等の各種工程が繰り返して行われ、最終的に半導体デバイスが製造されるようになっている。
【0003】上記の一連の工程においては、半導体ウェハのデバイス形成面を何らかの手段を用いて研磨する必要がある。そこで、従来から各種のウェハ研磨装置(ラッピングマシンやポリッシングマシン等)が提案されるに至っている。
【0004】通常のウェハ研磨装置は、テーブル、プッシャプレート、冷却ジャケット等を備えている。ステンレス等の金属からなるテーブルは、冷却ジャケットの上部に固定されている。冷却ジャケット内に設けられた流路には冷却水が循環される。プッシャプレートの保持面には、半導体ウェハが熱可塑性ワックスを用いて貼付けられる。回転するプッシャプレートに保持された半導体ウェハは、テーブルの研磨面に対して上方から押し付けられる。その結果、研磨面に半導体ウェハが摺接し、ウェハの片側面が均一に研磨される。そして、このときウェハに発生した熱は、テーブルを介して冷却ジャケットに伝導し、かつ流路を循環する冷却水により装置の外部に持ち去られる。
【0005】ところで、大口径・高品質のウェハを実現するためには、テーブル内の温度バラツキを極力小さし、テーブルの均熱性を向上させることが必要である。このため、本発明者らは、テーブル形成用材料としてセラミックスを用い、さらに冷却用ジャケットではなくテーブル自身に流路を設けることを想到した。そこで、セラミックス基材を複数枚積層した状態で各基材同士を有機系接着剤層を介して接着し、かつ基材の接着界面に流路を配設した構造をすでに提案している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のような構造を採った場合、一般的な有機系接着剤では十分な接着強度を得ることができず、接着界面にクラックや剥離が生じてテーブルが破壊しやすくなるという問題があった。また、この場合には接着界面におけるシール性が悪化し、流路を流れる水がテーブル外部に漏出するおそれもあった。
【0007】本発明は上記の課題を解決するためなされたものであり、その目的は、接着界面の強度に優れるため破壊しにくく、かつ均熱性に優れたウェハ研磨装置用テーブルを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、ウェハ研磨装置を構成しているウェハ保持プレートの保持面に保持されている半導体ウェハが摺接される研磨面を有するテーブルにおいて、被接着面の表層にある加工変質層の厚さが30μm以下に設定されたセラミックス基材を複数枚積層した状態で、各基材同士が有機系接着剤層を介して接着されるとともに、前記基材の接着界面に流体流路が配設されているウェハ研磨装置用テーブルをその要旨とする。
【0009】請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記有機系接着剤層の厚さは10μm〜50μmであるとした。請求項3に記載の発明は、請求項1または2において、前記各セラミックス基材は、いずれも炭化珪素焼結体製基材であるとした。
【0010】請求項4に記載の発明では、セラミックス基材同士を有機系接着剤層を介して接着した構造体であって、前記基材の被接着面にある加工変質層の厚さが30μm以下に設定されていることを特徴とするセラミックス構造体をその要旨とする。
【0011】請求項5に記載の発明は、請求項4において、前記有機系接着剤層の厚さは10μm〜50μmであるとした。請求項6に記載の発明は、請求項5または6において、前記各セラミックス基材は、いずれも炭化珪素焼結体製基材であるとした。
【0012】以下、本発明の「作用」について説明する。請求項1〜3に記載の発明によると、脆弱で脱落しやすい加工変質層の厚さが少なくなる結果、有機系接着剤を用いたときでも十分な接着強度が得られるようになり、接着界面にクラックや剥離が生じにくくなる。また、本発明によると、接着界面におけるシール性が維持されるため、流体流路を流れる流体の接着界面からの漏れが回避される。さらに、流体流路に流体を流して温度制御を細かく行うことができるため、テーブル内の温度バラツキが小さくなる。
【0013】請求項2に記載の発明によると、有機系接着剤層の厚さを上記好適範囲内に設定していることから、テーブル均熱性の向上を達成しつつ接着界面に十分な強度を得ることができる。即ち、同層が薄すぎると、十分な接着強度が得られなくなり、セラミックス基材同士が剥離しやすくなる。逆に、有機系接着剤はセラミックスに比べて弾性率が小さいことから、同層が厚すぎると、応力が付加したときに接着剤層にクラックが生じやすくなる。また、有機系接着剤はセラミックスに比べて熱伝導率が小さいことから、同層が厚すぎると、接着剤層における熱抵抗が大きくなり、テーブル均熱性の向上が阻害される場合がある。
【0014】請求項3に記載の発明によると、同種のセラミックス基材同士、言い換えると熱膨張係数の等しいセラミックス基材同士を接着することにより、テーブルを構成している。このため、接着界面付近において熱応力が発生しにくく、極めて高い接着強度を得ることができる。また、炭化珪素焼結体は他のセラミックス焼結体に比べ、とりわけ熱伝導性、耐熱性、耐熱衝撃性、耐摩耗性等に優れている。従って、このような基材からなるテーブルを用いて研磨を行えば、半導体ウェハの大口径化・高品質化に確実に対応することができる。
【0015】請求項4〜6に記載の発明によると、脆弱で脱落しやすい加工変質層の厚さが少なくなる結果、有機系接着剤を用いたときでも十分な接着強度が得られるようになり、接着界面にクラックや剥離が生じにくくなる。その理由は、セラミックス基材においては、脆弱で脱落しやすい加工変質層の厚さを少なくしておくことにより、好適なアンカー効果が得られるようになるからである。
【0016】請求項5に記載の発明によると、有機系接着剤層の厚さを上記好適範囲内に設定していることから、接着剤層における熱抵抗の増大を回避しつつ接着界面に十分な強度を得ることができる。即ち、同層が薄すぎると、十分な接着強度が得られなくなり、セラミックス基材同士が剥離しやすくなる。逆に、有機系接着剤はセラミックスに比べて弾性率が小さいことから、同層が厚すぎると、応力が付加したときに接着剤層にクラックが生じやすくなる。また、有機系接着剤はセラミックスに比べて熱伝導率が小さいことから、同層が厚すぎると、接着剤層における熱抵抗が大きくなってしまう。
【0017】請求項6に記載の発明によると、接着界面に熱応力が発生しにくくて極めて高い接着強度を得ることができるとともに、とりわけ熱伝導性、耐熱性、耐熱衝撃性、耐摩耗性等に優れた構造体とすることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体化した一実施形態のウェハ研磨装置1を図1,図2に基づき詳細に説明する。
【0019】図1には、本実施形態のウェハ研磨装置1が概略的に示されている。同ウェハ研磨装置1を構成しているテーブル2は円盤状である。テーブル2の上面は、半導体ウェハ5を研磨するための研磨面2aになっている。この研磨面2aには図示しない研磨クロスが貼り付けられている。本実施形態のテーブル2は、冷却ジャケットを用いることなく、円柱状をした回転軸4の上端面に対して水平にかつ直接的に固定されている。従って、回転軸4を回転駆動させると、その回転軸4とともにテーブル2が一体的に回転する。
【0020】図1に示されるように、このウェハ研磨装置1は、複数(図1では図示の便宜上2つ)のウェハ保持プレート6を備えている。プレート6の形成材料としては、例えばガラスや、アルミナ等のセラミックス材料や、ステンレス等の金属材料などが採用される。各ウェハ保持プレート6の片側面(非保持面6b)の中心部には、プッシャ棒7が固定されている。各プッシャ棒7はテーブル2の上方に位置するとともに、図示しない駆動手段に連結されている。各プッシャ棒7は各ウェハ保持プレート6を水平に支持している。このとき、保持面6aはテーブル2の研磨面2aに対向した状態となる。また、各プッシャ棒7はウェハ保持プレート6とともに回転することができるばかりでなく、所定範囲だけ上下動することができる。プレート6側を上下動させる方式に代え、テーブル2側を上下動させる構造を採用しても構わない。ウェハ保持プレート6の保持面6aには、半導体ウェハ5が例えば熱可塑性ワックス等を用いて貼着される。半導体ウェハ5は、保持面6aに対して真空引きによりまたは静電的に吸着されてもよい。このとき、半導体ウェハ5における被研磨面5aは、テーブル2の研磨面2a側を向いている必要がある。
【0021】この装置1がラッピングマシン、即ちベアウェハプロセスにおけるスライス工程を経たものに対する研磨を行う装置である場合、ウェハ保持プレート6は以下のようなものであることがよい。即ち、前記プレート6は、研磨面2aに対して所定の押圧力を印加した状態で半導体ウェハ5を摺接させるものであることがよい。このようなウェハ保持プレート6(つまりプッシャプレート)により押圧力を印加しても、エピタキシャル成長層が形成されていないことから、同層の剥離を心配する必要がないからである。この装置1がミラーウェハ製造用のポリッシングマシン、即ち前記ラッピング工程を経たものに対してエピタキシャル成長工程を実施することなく研磨を行う装置である場合も、同様である。
【0022】一方、この装置1がエピタキシャルウェハ製造用のポリッシングマシン、即ち前記ラッピング工程を経たものに対してエピタキシャル成長工程を実施したうえで研磨を行う装置である場合には、プレート6は以下のようなものであることがよい。即ち、プレート6は、研磨面2aに対して押圧力を殆ど印加しない状態で半導体ウェハ5を摺接させるものであることがよい。シリコンエピタキシャル成長層は、単結晶シリコンと比べて剥離しやすいからである。この装置1が各種膜形成工程後にケミカルメカニカルポリッシング(CMP)を行うためのマシンである場合も、基本的には同様である。
【0023】次に、テーブル2の構成について詳細に説明する。図1,図2に示されるように、本実施形態のテーブル2は、複数枚(ここでは2枚)の基材11A,11Bを積層してなるセラミックス構造体である。上側基材11Aの裏面には、流体流路である冷却用水路12の一部を構成する溝13が所定パターン状に形成されている。2枚の基材11A,11B同士は、有機系接着層14を介して互いに接合されることにより、一体化されている。その結果、基材11A,11Bの接着界面に前記水路12が形成される。下側基材11Bの略中心部には、貫通孔15が形成されている。これらの貫通孔15は、回転軸4内に設けられた流路4aと、前記水路12とを連通させている。
【0024】水路12の一部を構成する溝13は、上側基材11Aの裏面(即ち被接着面)を生加工後かつ焼成前に研削加工することにより形成された研削溝である。溝13の深さは3mm〜10mm程度に、幅は5mm〜20mm程度にそれぞれ設定されることがよい。
【0025】下側基材11Bの略中心部には、貫通孔15が形成されている。これらの貫通孔15は、回転軸4内に設けられた流路4aと、前記水路12とを連通させている。
【0026】各々の基材11A,11Bを構成しているセラミックス材料は、珪化物セラミックスまたは炭化物セラミックスであることがよく、特には炭化珪素粉末を出発材料とする炭化珪素焼結体(SiC焼結体)であることが望ましい。炭化珪素粉末を出発材料とする炭化珪素焼結体は、他のセラミックス焼結体に比べ、とりわけ熱伝導性、耐熱性、耐熱衝撃性、耐摩耗性等に優れているからである。なお、本実施形態では、2枚の基材11A,11Bの両方について同種の材料を用いている。
【0027】上記炭化珪素粉末としては、α型炭化珪素粉末、β型炭化珪素粉末、非晶質炭化珪素粉末等が用いられる。この場合、一種の粉末のみを単独で用いてもよいほか、2種以上の粉末を組み合わせて(α型+β型、α型+非晶質、β型+非晶質、α型+β型+非晶質、のいずれかの組み合わせで)用いてもよい。なお、β型炭化珪素粉末を用いて作製された焼結体は、他のタイプの炭化珪素粉末を用いて作製された焼結体に比べて、多くの大型板状結晶を含んでいる。従って、焼結体における結晶粒子の粒界が少なく、熱伝導性に特に優れたものとなる。
【0028】基材11A,11Bの密度は2.7g/cm3以上であることがよく、さらには3.0g/cm3以上であることが望ましく、特には3.1g/cm3以上であることがより望ましい。密度が小さいと、焼結体における結晶粒子間の結合が弱くなったり気孔が多くなったりする結果、充分な耐食性、耐摩耗性を確保できなくなるからである。
【0029】基材11A,11Bの熱伝導率は30W/mK以上であることがよく、さらには80W/mK〜200W/mKであることが望ましい。熱伝導率が小さすぎると焼結体内に温度バラツキが生じやすくなり、半導体ウェハ5の大口径化・高品質化を妨げる原因となるからである。逆に、熱伝導率は大きいほど好適である反面、200W/mKを超えるものについては、安価かつ安定的な材料供給が難しくなるからである。
【0030】基材11A,11B同士を接合するための有機系接着剤層14は、エポキシ樹脂系の接着剤を用いて形成されたものであることがよい。その理由は、当該接着剤は熱に強いことに加えて接着強度にも優れるからである。具体的にいうと、本実施形態では、エポキシ樹脂に変形ポリアミン及び酸化ケイ素(SiO2)を所定割合で混合したものを用いている。この接着剤は、水に晒されても膨潤しにくいという好ましい性質を有している。なお、前記接着剤には熱硬化性が付与されていることがよい。
【0031】有機系接着剤層14の厚さは10μm〜50μm程度に設定されることがよく、特には20μm〜40μm程度に設定されることがよい。接着剤層14が薄すぎると、十分な接着強度が得られなくなり、基材11A,11B同士が剥離しやすくなる。逆に、有機系接着剤はセラミックスに比べて弾性率が小さいことから、接着剤層14が厚すぎると、応力が付加したときに接着剤層14にクラックが生じやすくなる。また、有機系接着剤はセラミックスに比べて熱伝導率が小さいことから、接着剤層14が厚すぎると、接着剤層14における熱抵抗が大きくなり、テーブル2の均熱性の向上が阻害される場合がある。
【0032】また、被接着面である上側基材11Aの裏面及び下側基材11Bの表層における加工変質層L1の厚さt1は、30μm以下に設定される必要があり、さらには10μm以下、特には1μm以下に設定されることがよい(図2(b)参照)。ちなみに、上記のような加工変質層L1は、焼成工程後に面出し加工を行うことにより、基材11A,11Bの表層に数十μm程度発生する。
【0033】有機系接着剤を用いた場合においてL1の厚さt1が30μmを超えるようになると、加工変質層L1が脱落する確率が高くなり、十分な接着強度を得ることができなくなるからである。勿論、可能であるならば、図2(c)に示されるように、加工変質層L1は完全に除去されていることがよい。この場合、結晶粒子の粒界が基材表層に露出し、そこに有機系接着剤層14が埋まり込んだ状態となる結果、極めて高いアンカー効果が得られるものと推定される。
【0034】ここで、テーブル2を製造する手順を簡単に説明する。まず、炭化珪素粉末に少量の焼結助剤を添加したものを均一に混合する。焼結助剤としては、ほう素及びその化合物、アルミニウム及びその化合物、炭素などが選択される。この種の焼結助剤が少量添加されていると、炭化珪素の結晶成長速度が増加し、焼結体の緻密化・高熱伝導化につながるからである。
【0035】次いで、上記混合物を材料として用いて金型成形を行うことにより、円盤状の成形体を作製する。続いて、後に上側基材11Aとなるべき成形体の底面を研削加工することにより、同面のほぼ全域に所定幅・所定深さの溝13を形成する。さらに、この成形体を1800℃〜2400℃の温度範囲内で焼成することにより、炭化珪素焼結体製の基材11A,11Bを2枚作製する。この場合において焼成温度が低すぎると、結晶粒径を大きくすることが困難となるばかりでなく、焼結体中に多くの気孔が残ってしまう。逆に焼成温度が高すぎると、炭化珪素の分解が始まる結果、焼結体の強度低下を来してしまう。
【0036】焼成工程の後、面出し加工を行い、さらに上側基材11Aの裏面及び下側基材11Bの上面における加工変質層L1を薄くする(または完全に除去する)処理を行う。かかる薄層化処理や除去処理の例としては、研削加工機を用いた表面研削加工のような機械的処理が挙げられる。なお、このような機械的処理を行う代わりに、化学的処理を行ってもよい。本実施形態においては、炭化珪素を溶解しうる酸性のエッチャントを用いたエッチングが、前記化学的処理に該当する。より具体的にいうと、ふっ硝酸に所定量の弱酸を混合したエッチャントを用いたエッチングを指す。弱酸としては、例えば酢酸などの有機酸が挙げられる。ふっ硝酢酸における各成分の重量比は、ふっ酸:硝酸:酢酸=1:2:1であることが好ましい。
【0037】続いて、下側基材11Bの上面に有機系接着剤をあらかじめ塗布したうえで、2枚の基材11A,11B同士を積層する。この状態で2枚の基材11A,11Bを樹脂の硬化温度に加熱し、両者11A,11Bを接着する。そして最後に、上側基材11Aの表面を研磨加工することにより、半導体ウェハ5の研磨に適した面粗度の研磨面2aを形成する。このような表面研磨工程は、接着工程または溝加工工程の前に実施されてもよい。本実施形態のテーブル2は、以上の手順を経て完成する。
【0038】以下、本実施形態をより具体化したいくつかの実施例を紹介する。
[実施例1]実施例1の作製においては、94.6重量%のβ型結晶を含む炭化珪素粉末として、イビデン株式会社製「ベータランダム(商品名)」を用いた。この炭化珪素粉末は、1.3μmという結晶粒径の平均値を有し、かつ1.5重量%のほう素及び3.6重量%の遊離炭素を含有していた。
【0039】まず、この炭化珪素粉末100重量部に対し、ポリビニルアルコール5重量部、水300重量部を配合した後、ボールミル中にて5時間混合することにより、均一な混合物を得た。この混合物を所定時間乾燥して水分をある程度除去した後、その乾燥混合物を適量採取しかつ顆粒化した。次いで、前記混合物の顆粒を、金属製押し型を用いて50kg/cm2のプレス圧力で成形した。得られた生成形体の密度は1.2g/cm3であった。
【0040】続いて、後に上側基材11Aとなるべき成形体の底面を研削加工することにより、深さ5mmかつ幅10mmの溝13を底面のほぼ全域に形成した。次いで、外気を遮断することができる黒鉛製ルツボに前記生成形体を装入し、タンマン型焼成炉を使用してその焼成を行なった。焼成は1気圧のアルゴンガス雰囲気中において実施した。また、焼成時においては10℃/分の昇温速度で最高温度である2300℃まで加熱し、その後はその温度で2時間保持することとした。得られた基材11A,11Bを観察してみたところ、板状結晶が多方向に絡み合った極めて緻密な三次元網目構造を呈していた。また、基材11A,11Bの密度は3.1g/cm3 であり、熱伝導率は150W/mKであった。基材11A,11Bに含まれているほう素は0.4重量%、遊離炭素は1.8重量%であった。
【0041】続いて、従来公知の手法による面出し加工を行った後、さらに薄層化処理としての表面研削加工を行うことにより、上側基材11Aの裏面及び下側基材11Bの表層にある加工変質層L1の厚さt1を、ともに約1μmとなるように調整した。その後、エポキシ樹脂系接着剤(商品名「EP−160」、セメダイン社製)を用いて2枚の基材11A,11Bを接着して一体化した。有機系接着剤層14の厚さは約20μmに設定した。硬化温度は160℃、硬化時間は90分、接着時の荷重は10g/cm2にそれぞれ設定した。
【0042】さらに、上側基材11Aの表面に研磨加工を施すことにより、最終的に、半導体ウェハ5の研磨に適した面粗度の研磨面2aを有するテーブル2を完成した。このようにして得られた実施例1のテーブル2を上記各種の研磨装置1にセットし、水路12内に冷却水Wを常時循環させつつ、各種サイズの半導体ウェハ5の研磨を行なった。その結果、いずれのタイプについても、テーブル2自体に熱変形は認められなかった。また、有機系接着剤層14にクラックが生じることもなく、基材11A,11Bの接着界面には高い強度が確保されていた。従来公知の手法によりテーブル2の破壊試験を行って該界面における曲げ強度をJIS R1624による方法で測定したところ、その平均値は約10(?)kgf/mm2であった。勿論、接着界面からの冷却水Wの漏れも全く認められなかった。
【0043】そして、各種の研磨装置1による研磨を経て得られた半導体ウェハ5を観察したところ、ウェハサイズの如何を問わず、ウェハ5に傷が付いていなかった。また、ウェハ5に大きな反りが生じるようなこともなかった。つまり、本実施例のテーブル2を用いた場合、極めて高精度かつ高品質の半導体ウェハ5が得られることがわかった。
[実施例2]実施例2の作製においては、β型の炭化珪素粉末の代わりに、α型の炭化珪素粉末(具体的には屋久島電工株式会社製「OY15(商品名)」)を用いた。その結果、得られた基材11A,11Bの密度は3.1g/cm3、熱伝導率は125W/mKとなった。基材11A,11Bに含まれているほう素は0.4重量%、遊離炭素は1.8重量%であった。ここでも、上記の面だし加工及び表面研削加工を行うことにより、被接着面の表層にある加工変質層L1の厚さt1を、ともに約5μmとなるように調整した。
【0044】実施例1と同じ手順でテーブル2を完成させた後、それを上記各種の研磨装置1にセットし、各種サイズの半導体ウェハ5の研磨を行なったところ、前記実施例1とほぼ同様の優れた結果が得られた。また、有機系接着剤層14にはクラックが生じることもなく、基材11A,11Bの接着界面には高い強度が確保されていた。実施例1と同じくJIS R 1624による曲げ強度を測定したところ、その平均値は約8kgf/mm2であった。つまり、α型炭化珪素粉末を出発材料とした本実施例のほうが、α型炭化珪素粉末を出発材料とした実施例1よりも、接着強度がよくなる傾向がみられた。
[実施例3〜5]実施例3,4,5においても、基本的には実施例1と同様の手順を経てテーブル2を完成させた。ただし、実施例3では、表面研削加工を経た時点での前記加工変質層L1の厚さt1を、約10μmとなるように調整した。実施例4では、表面研削加工を経た時点での前記加工変質層L1の厚さt1を、約20μmとなるように調整した。実施例5では、表面研削加工を経た時点での前記加工変質層L1の厚さt1を約0μmとなるように調整(即ち加工変質層L1を完全に除去)した。
【0045】得られたテーブル2を上記各種の研磨装置1にセットし、各種サイズの半導体ウェハ5の研磨を行なったところ、前記実施例1とほぼ同様の優れた結果を得ることができた。また、有機系接着剤層14にはクラックが生じることもなく、基材11A,11Bの接着界面には高い強度が確保されていた。実施例1と同じくJIS R 1624による曲げ強度を測定したところ、その平均値は実施例3において約7kgf/mm2、実施例4において約6kgf/mm2、実施例5において約12kgf/mm2であった。
[比較例1,2]比較例1では、焼成工程後に面出し加工のみを行う反面、続く表面研削加工を省略するとともに、上記エポキシ樹脂系接着剤「EP−160」を用いて基材11A,11B同士の接着を行った。
【0046】比較例2では、焼成工程後に面出し加工のみを行う反面、続く表面研削加工を省略するとともに、各実施例とは異なるタイプのエポキシ樹脂系接着剤(商品名「セメダイン110」)を用いて基材11A,11B同士の接着を行った。なお、被接着面の表層にある加工変質層L1の厚さは、ともに約35μmであって、前記各実施例よりも相当大きかった。
【0047】得られたテーブル2について実施例1と同じくJIS R 1624による曲げ強度を測定したところ、その平均値は比較例1において約4kgf/mm2、比較例2において約1kgf/mm2であった。つまり、前記実施例1〜5のような高い接着強度を得ることができなかった。従って、比較例1,2のテーブル2を研磨装置1にセットし、半導体ウェハ5の研磨を行なった場合、熱や応力の付加によって接着界面に破壊が生じやすいであろうことが示唆された。
【0048】従って、本実施形態の前記実施例によれば以下のような効果を得ることができる。
(1)このウェハ研磨装置1のテーブル2は、被接着面の表層にある加工変質層L1の厚さt1が30μm以下に設定された基材11A,11Bを用い、それらを有機系接着剤を用いて接着することにより構成されている。このため、有機系接着剤層14に十分な強度を付与することができ、接着界面にクラックや剥離が生じにくくなる。従って、破壊しにくくて実用に耐えうるウェハ研磨装置用テーブル2とすることができる。
【0049】また、接着界面におけるシール性が維持されるため、水路12を流れる冷却水Wが接着界面から漏れるようなことが未然に回避される。
(2)このテーブル2の場合、基材11A,11Bの接着界面に存在する水路12に冷却水Wを流すことができる。そのため、半導体ウェハ5の研磨時に発生した熱をテーブル2から直接かつ効率よく逃がすことができ、しかも温度制御を細かく行うことができる。よって、冷却ジャケットにテーブル2を載せて間接的に冷却を行う従来装置に比べ、テーブル2内の温度バラツキが小さくなり、均熱性も確実に向上する。ゆえに、この装置1によれば、ウェハ5が熱による悪影響を受けにくくなり、ウェハ5の大口径化に対応することができるようになる。しかも、ウェハ5を高い精度で研磨することが可能となるため、高品質化にも対応することができるようになる。
【0050】(3)このテーブル2には、2枚の基材11A,11Bからなる積層構造が採用されている。よって、水路12となる構造(即ち溝13)をあらかじめ上側基材11Aの裏面に形成した後で、基材11A,11B同士を接着することができる。従って、接着界面に水路12を比較的簡単に形成することができる。よって、テーブル2の製造に特に困難を伴うことがないという利点がある。さらに、この構造であると、接合界面に配管構造を追加する必要もないので、構造の複雑化や高コスト化も回避される。
【0051】(4)本実施形態のテーブル2では、有機系接着剤層14の厚さを上記好適範囲内に設定している。このため、テーブル均熱性の向上を達成しつつ接着界面に十分な強度を得ることができる。
【0052】(5)このテーブル2は、同種のセラミックス焼結体からなる2枚の基材11A,11B、言い換えると熱膨張係数の等しい2枚の基材11A,11Bを用いて構成されている。そのため、接着界面付近に熱応力が発生しにくく、極めて高い接着強度を得ることができる。従って、極めて破壊しにくいテーブル2とすることができる。
【0053】また、テーブル2を構成する2枚の基材11A,11Bは、いずれも炭化珪素粉末を出発材料とする炭化珪素焼結体製の緻密体である。このような緻密体は、結晶粒子間の結合が強くてしかも気孔が極めて少ない点で好適である。それに加えて、炭化珪素粉末を出発材料とする炭化珪素焼結体は、他のセラミックス焼結体に比べ、とりわけ熱伝導性、耐熱性、耐熱衝撃性、耐摩耗性等に優れている。従って、このような基材11A,11Bからなるテーブル2を用いて研磨を行えば、半導体ウェハ5の大口径化・高品質化に確実に対応することができる。
【0054】(6)このテーブル2を用いたウェハ研磨装置1の場合、冷却ジャケット自体が不要になることから、装置全体の構造が簡単になる。なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
【0055】・ 図3,図4に示される別例のテーブル21のように、接着界面に形成された溝13内に銅管16を配設し、その銅管16の内部に冷却水Wを循環させるようにしてもよい。管形成用材料として銅を選択した理由は、銅は熱伝導率が高いことに加え、安価でありかつ加工性に優れるからである。渦巻き状に屈曲形成された銅管16の両端は、下方に向かって直角に屈曲されており、それぞれ貫通孔15内に挿入されている。銅管16の両端開口は、回転軸4内に設けられた一対の流路4aにそれぞれ連結されている。
【0056】・ 図5に示される別例のテーブル31のように、有機系接着剤層14において少なくとも銅管16の周囲には、高熱伝導物質からなる粉体(例えば銅粉)17がフィラーとして混在されていることがよい。このような構成にすれば、接着界面における熱抵抗がより小さくなるため、テーブル2の均熱性をいっそう向上させることができる。
【0057】・ 2層構造をなす実施形態のテーブル2に代えて、3層構造をなすテーブルや、4層以上の多層構造をなすテーブルにしても構わない。
・ 溝13は上側基材11Aの裏面に形成されるばかりでなく、下側基材11Bの上面に形成されていてもよいほか、両方の基材11A,11Bに各々形成されていてもよい。
【0058】・ 炭化珪素以外の珪化物セラミックスとして、例えば窒化珪素(Si34)やサイアロン等を選択してもよい。また、炭化珪素以外の炭化物セラミックスとして、例えば炭化ホウ素(B4C)等を選択してもよい。さらに、珪化物セラミックスや炭化物セラミックス以外のもの、例えばアルミナ等に代表される酸化物セラミックス等を選択することも可能である。また、上側基材11A及び下側基材11Bは、必ずしも同種のセラミックス同士でなくてもよく、異種のセラミックス同士であってもよい。
【0059】・ 本実施形態のテーブル2の使用にあたって、水路12内に水以外の液体を循環させてもよく、さらには気体を循環させてもよい。
・ 本発明のセラミックス構造体は、ウェハ研磨用装置1のテーブル2として具体化されるのみならず、それ以外の用途(例えばヒータ等)に適用されても勿論よい。この場合、互いに接着されるセラミックス基材の形状は板状に限定されることはなく、例えば塊状や棒状等であってもよい。さらに、特に必要でなければ、接着界面における流路構造は省略されてもよい。
【0060】次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1) 請求項3,6において、前記有機系接着剤層は、エポキシ樹脂に変形ポリアミン及び酸化ケイ素(SiO2)を所定割合で混合したものであること。
【0061】(2) 請求項3,6、技術的思想1のいずれか1つにおいて、前記セラミックス基材はα型炭化珪素粉末を出発材料として得られた焼結体であること。従って、この技術的思想2に記載の発明によれば、接着界面により高い強度を得ることができる。
【0062】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1〜3に記載の発明によれば、接着界面の強度に優れるため破壊しにくく、かつ均熱性に優れたウェハ研磨装置用テーブルを提供することができる。特に請求項3に記載の発明によれば、極めて破壊しにくいテーブルを提供することができる。
【0063】請求項4〜6に記載の発明によれば、接着界面の強度に優れるため破壊しにくいセラミックス構造体を提供することができる。特に請求項6に記載の発明によると、極めて破壊しにくいセラミックス構造体を提供することができる。




 

 


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