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発明の名称 輝尽性蛍光体シートおよびその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−296394(P2001−296394A)
公開日 平成13年10月26日(2001.10.26)
出願番号 特願2000−110442(P2000−110442)
出願日 平成12年4月12日(2000.4.12)
代理人 【識別番号】100074675
【弁理士】
【氏名又は名称】柳川 泰男
【テーマコード(参考)】
2G083
【Fターム(参考)】
2G083 AA03 BB01 CC02 DD16 EE02 
発明者 田崎 誠二 / 幸田 勝博
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 放射線画像を潜像として記録させた後、励起光を照射することにより該潜像から輝尽発光光を放出させ、次いで該輝尽発光光を電気的に処理することにより放射線画像を再生することからなる放射線像記録再生方法に用いる輝尽性蛍光体シートであって、そのシートを平面方向に沿って細分区画する隔壁と該隔壁により区画された輝尽性蛍光体領域とからなる輝尽性蛍光体シートを製造する方法であって、下記の工程からなる輝尽性蛍光体シートの製造方法:1)実質的に輝尽性蛍光体からなるフィルムを形成する工程;
2)輝尽性蛍光体フィルムに一定幅の溝を一定の間隔で多数設け、各溝に隔壁材料を分散含有する液を充填し、そして固化させて、一次元構造の隔壁を有するストライプ蛍光体フィルムAを複数枚形成する工程;および3)複数枚のストライプ蛍光体フィルムAを隣接するフィルムのストライプが互いに交差するように積層し、加熱圧着する工程。
【請求項2】 工程2)において、輝尽性蛍光体フィルムに多数の溝を設けたのち、各溝に隔壁材料を分散含有する液を充填する請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】 工程2)において、輝尽性蛍光体フィルムの表面に隔壁材料を分散含有する液を塗布したのち、該隔壁材料分散液が固化する前に多数の溝を設け、同時に各溝に隔壁材料分散液を充填する請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】 工程3)において、複数枚のストライプ蛍光体フィルムAを隣接するフィルムのストライプが互いに直交するように積層する請求項1乃至3のうちのいずれかの項に記載の製造方法。
【請求項5】 工程3)において、複数枚のストライプ蛍光体フィルムAを隣接するフィルムのストライプが互いに約60゜の角度で交差するように積層する請求項1乃至3のうちのいずれかの項に記載の製造方法。
【請求項6】 請求項1乃至5のうちのいずれかの項に記載の方法により製造された輝尽性蛍光体シート。
【請求項7】 放射線画像を潜像として記録させた後、励起光を照射することにより該潜像から輝尽発光光を放出させ、次いで該輝尽発光光を電気的に処理することにより放射線画像を再生することからなる放射線像記録再生方法に用いる輝尽性蛍光体シートであって、そのシートを平面方向に沿って細分区画する隔壁と該隔壁により区画された輝尽性蛍光体領域とからなる輝尽性蛍光体シートを製造する方法であって、下記の工程からなる輝尽性蛍光体シートの製造方法:1)実質的に輝尽性蛍光体からなるフィルムを形成する工程;
2)輝尽性蛍光体フィルムに一定幅の溝を一定の間隔で多数設け、各溝に隔壁材料を分散含有する液を充填し、更に輝尽性蛍光体フィルム表面にも該隔壁材料分散液を塗布し、次いで固化させて、一次元構造の隔壁を有し、かつ片面に隔壁層が設けられたストライプ蛍光体フィルムBを複数枚形成する工程;
3)複数枚のストライプ蛍光体フィルムBを隣接するフィルムのストライプが互いに平行になるように積層し、加熱圧着して、積層体ブロックを形成する工程;および4)積層体ブロックをストライプが現れている積層面に沿ってスライスする工程。
【請求項8】 工程2)において、輝尽性蛍光体フィルムに多数の溝を設けたのち、各溝に隔壁材料を分散含有する液を充填する請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】 工程2)において、輝尽性蛍光体フィルムの表面に隔壁材料を分散含有する液を塗布したのち、該隔壁材料分散液が固化する前に多数の溝を設け、同時に各溝に隔壁材料分散液を充填する請求項7に記載の製造方法。
【請求項10】 請求項7乃至9のうちのいずれかの項に記載の方法により製造された輝尽性蛍光体シート。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、輝尽性蛍光体の輝尽発光を利用する放射線像記録再生方法に用いられる輝尽性蛍光体シートの製造方法、および該方法により製造された輝尽性蛍光体シートに関する。
【0002】
【従来の技術】放射線写真フィルムと増感スクリーンとを組み合わせて用いる放射線写真法に代る方法として、輝尽性蛍光体を用いる放射線像記録再生方法(放射線像変換方法ともいう)が知られている。この方法は、輝尽性蛍光体を含有する輝尽性蛍光体シート(放射線像変換パネルともいう)を利用するもので、被写体を透過した、あるいは被検体から発せられた放射線をシートの輝尽性蛍光体に吸収させ、その後、その輝尽性蛍光体に可視光線あるいは赤外線などの電磁波(励起光)を照射して輝尽性蛍光体を励起することにより、該輝尽性蛍光体中に蓄積されている放射線エネルギーを蛍光(輝尽発光光)として放出させ、この蛍光を光電的に読み取って電気信号に変え、この電気信号から被写体あるいは被検体の放射線画像を可視像として再生する方法である。読み取りを終えた輝尽性蛍光体シートは、輝尽性蛍光体中に残存する放射線エネルギーを消去した後、同様な放射線像記録再生方法に繰り返し使用される。
【0003】上記の放射線像記録再生方法にて用いられる輝尽性蛍光体シートは一般に、その下側表面に支持体が設けられ、上側表面に保護膜が設けられた基本構成を有する。また、輝尽性蛍光体シート(放射線像変換パネルにおいては輝尽性蛍光体層と称する)は通常、輝尽性蛍光体粒子とこれを分散状態で含有支持する結合剤とからなる。ただし、輝尽性蛍光体シートとしては、蒸着法や焼結法などによって形成される結合剤を含まないで輝尽性蛍光体の凝集体からなるものや、この輝尽性蛍光体の凝集体の間隙に高分子物質を浸透させたものも知られている。これらの輝尽性蛍光体シートはいずれも、前記の放射線像記録再生方法に使用することができる。
【0004】上記の輝尽性蛍光体シートは高感度であって、かつ高画質の放射線画像を再生できることが望ましい。すなわち、放射線像記録再生方法の代表的な用途として、X線を用いる医療診断用の放射線画像の形成があるが、この用途に於いては特に、少ないX線照射量で高い画質(特に高い解像力に結びつく高い鮮鋭度)を持つ放射線画像を得ることが望まれるからである。
【0005】放射線像記録再生方法において形成される放射線画像の鮮鋭度は、主として輝尽性蛍光体シート中での励起光の拡散に依存している。すなわち、輝尽性蛍光体シートに記録された放射線エネルギーの潜像は、シートの表面にビーム状の励起光を移動させながら時系列的に照射し、その励起光の照射によって発せられる輝尽発光光を順次集光することによって読み出されるが、照射された励起光がシートの内部で拡散する(特に平面方向に拡散する)と、その励起光は照射領域を越えて、その周囲の放射線エネルギーを持つ蛍光体粒子をも励起する結果となり、そのような照射領域の外の蛍光体の持つ放射線エネルギーもが照射領域内の蛍光体の持つ放射線エネルギーと一緒に輝尽発光光として取り出されてしまうためである。
【0006】この励起光の拡散を避けるために輝尽性蛍光体シート(または放射線像変換パネルの輝尽性蛍光体層)に、そのシートを平面方向に沿って細分区画する励起光反射性隔壁を設けること、すなわちセル化することは既に知られている。特開昭59−202100号公報には、基板に輝尽性蛍光体層を設けた放射線画像変換パネルに、隔壁部材によって多数個に区切った小房からなるハニカム構造を設け、その各小房に輝尽性蛍光体を充填することが記載されている。特開昭62−36599号公報には、支持体の片面に、開口部の口径と深さとの比率が1:3.5以上である凹部が規則的に多数個設けられ、かつ該凹部に輝尽性蛍光体が充填された構造を有する放射線画像変換パネルが記載されている。
【0007】また、本出願人による特願平11−68963号明細書には、上記励起光反射性隔壁が格子状に設けられた輝尽性蛍光体シートの製造法として、実質的に輝尽性蛍光体からなるフィルムと隔壁形成用フィルムとを交互に多数枚積層して積層体ブロックを形成した後、その積層体ブロックを積層面に沿ってスライスしてストライプ状の蛍光体フィルムを得、次いでこのストライプ蛍光体フィルムと隔壁形成用フィルムとを再度、交互に多数枚積層して積層体ブロックを形成し、そして積層面に沿って再度スライスする方法(積層スライス法)が記載されている。
【0008】上記のいずれの輝尽性蛍光体シート(あるいは放射線像変換パネル)も、そのセル化構造の加工および製造工程が煩雑となっている。その上、前者の微細な孔または凹部に輝尽性蛍光体を充填する場合には、孔または凹部ごとに蛍光体の充填量が異なってしまって一定になりにくいという問題がある。また、後者の積層体ブロックをスライスする場合には、薄膜フィルムの積層とスライスを二回繰り返さなければならず、複雑で高度な技術を要する不安定な工程が含まれている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高画質の輝尽性蛍光体シートを平易な工程で安定して製造する方法を提供することにある。また本発明は、製造が比較的容易であって、かつ画質の優れた放射線画像を与える輝尽性蛍光体シートを提供することにもある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記の隔壁が設けられたセル化構造を有する輝尽性蛍光体シートの製造方法について検討した結果、輝尽性蛍光体からなるフィルムに予め溝を設け、そこに隔壁材料を充填、固化させてストライプ状に隔壁が形成されたフィルムを得、このフィルムを多数枚単に積層することにより、あるいは積層体を1回だけスライスすることにより、実質的に隔壁が二次元構造で設けられた輝尽性蛍光体シートを得ることができることを見い出した。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は第一に、放射線画像を潜像として記録させた後、励起光を照射することにより該潜像から輝尽発光光を放出させ、次いで該輝尽発光光を電気的に処理することにより放射線画像を再生することからなる放射線像記録再生方法に用いる輝尽性蛍光体シートであって、そのシートを平面方向に沿って細分区画する隔壁と該隔壁により区画された輝尽性蛍光体領域とからなる輝尽性蛍光体シートを製造する方法であって、下記の工程からなる輝尽性蛍光体シートの製造方法にある:1)実質的に輝尽性蛍光体からなるフィルムを形成する工程;
2)輝尽性蛍光体フィルムに一定幅の溝を一定の間隔で多数設け、各溝に隔壁材料を分散含有する液を充填し、そして固化させて、一次元構造の隔壁を有するストライプ蛍光体フィルムAを複数枚形成する工程;および3)複数枚のストライプ蛍光体フィルムAを隣接するフィルムのストライプが互いに交差するように積層し、加熱圧着する工程。
【0012】本発明は第二に、放射線画像を潜像として記録させた後、励起光を照射することにより該潜像から輝尽発光光を放出させ、次いで該輝尽発光光を電気的に処理することにより放射線画像を再生することからなる放射線像記録再生方法に用いる輝尽性蛍光体シートであって、そのシートを平面方向に沿って細分区画する隔壁と該隔壁により区画された輝尽性蛍光体領域とからなる輝尽性蛍光体シートを製造する方法であって、下記の工程からなる輝尽性蛍光体シートの製造方法にある:1)実質的に輝尽性蛍光体からなるフィルムを形成する工程;
2)輝尽性蛍光体フィルムに一定幅の溝を一定の間隔で多数設け、各溝に隔壁材料を分散含有する液を充填し、更に輝尽性蛍光体フィルム表面にも該隔壁材料分散液を塗布し、次いで固化させて、一次元構造の隔壁を有し、かつ片面に隔壁層が設けられたストライプ蛍光体フィルムBを複数枚形成する工程;
3)複数枚のストライプ蛍光体フィルムBを隣接するフィルムのストライプが互いに平行になるように積層し、加熱圧着して、積層体ブロックを形成する工程;および4)積層体ブロックをストライプが現れている積層面に沿ってスライスする工程。
【0013】本発明はまた、上記の方法により製造された輝尽性蛍光体シートにもある。
【0014】本発明の輝尽性蛍光体シートの製造方法において、輝尽性蛍光体フィルムは実質的に輝尽性蛍光体粒子と結合剤とからなることが望ましい。また、隔壁材料は、低光吸収性微粒子と高分子物質とからなることが望ましい。溝は、輝尽性蛍光体フィルムを貫通するように設けてもよいし、あるいはフィルムの途中で終了するように設けてもよいが、その深さが輝尽性蛍光体フィルムの厚さの1/3乃至1/1の範囲にあることが望ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の輝尽性蛍光体シートの第一の製造方法について、以下に図面を参照しながら詳細に述べる。まず、実質的に輝尽性蛍光体からなるフィルムを形成する。輝尽性蛍光体フィルムが輝尽性蛍光体粒子と結合剤とからなる場合を例にとって説明する。
【0016】輝尽性蛍光体としては、波長が400〜900nmの範囲の励起光の照射により、300〜500nmの波長範囲に輝尽発光を示す輝尽性蛍光体が好ましい。そのような輝尽性蛍光体の例は、特開平2−193100号公報および特開平4−310900号公報に詳しく記載されている。好ましい輝尽性蛍光体としては、ユーロピウムあるいはセリウムによって付活されているアルカリ土類金属ハロゲン化物系蛍光体(例、BaFBr:Eu、およびBaF(Br,I):Eu)、そしてセリウム付活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体を挙げることができる。
【0017】これらのうちでも、基本組成式(I):IIFX:zLn ‥‥(I)
で代表される希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体は特に好ましい。ただし、MIIはBa、Sr及びCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属を表し、LnはCe、Pr、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Nd、Er、Tm及びYbからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素を表す。Xは、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンを表す。zは、0<z≦0.2の範囲内の数値を表す。
【0018】上記基本組成式(I)中のMIIとしては、Baが半分以上を占めることが好ましい。Lnとしては、特にEu又はCeであることが好ましい。また、基本組成式(I)では表記上F:X=1:1のように見えるが、これはBaFX型の結晶構造を持つことを示すものであり、最終的な組成物の化学量論的組成を示すものではない。一般に、BaFX結晶においてX-イオンの空格子点であるF+(X-)中心が多く生成された状態が、600〜700nmの光に対する輝尽効率を高める上で好ましい。このとき、FはXよりもやや過剰にあることが多い。
【0019】なお、基本組成式(I)では省略されているが、必要に応じて下記のような添加物を基本組成式(I)に加えてもよい。
bA, wNI, xNII, yNIIIただし、AはAl23、SiO2及びZrO2などの金属酸化物を表す。MIIFX粒子同士の焼結を防止する上では、一次粒子の平均粒径が0.1μm以下の超微粒子でMIIFXとの反応性が低いものを用いることが好ましい。NIは、Li、Na、K、Rb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属の化合物を表し、NIIは、Mg及び/又はBeからなるアルカリ土類金属の化合物を表し、NIIIは、Al、Ga、In、Tl、Sc、Y、La、Gd及びLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属の化合物を表す。これらの金属化合物としては、特開昭59−75200号公報に記載のようなハロゲン化物を用いることが好ましいが、それらに限定されるものではない。
【0020】また、b、w、x及びyはそれぞれ、MIIFXのモル数を1としたときの仕込み添加量であり、0≦b≦0.5、0≦w≦2、0≦x≦0.3、0≦y≦0.3の各範囲内の数値を表す。これらの数値は、焼成やその後の洗浄処理によって減量する添加物に関しては最終的な組成物に含まれる元素比を表しているわけではない。また、上記化合物には最終的な組成物において添加されたままの化合物として残留するものもあれば、MIIFXと反応する、あるいは取り込まれてしまうものもある。
【0021】その他、上記基本組成式(I)には更に必要に応じて、特開昭55−12145号公報に記載のZn及びCd化合物;特開昭55−160078号公報に記載の金属酸化物であるTiO2、BeO、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、Y23、La23、I23、GeO2、SnO2、Nb25、Ta25、ThO2;特開昭56−116777号公報に記載のZr及びSc化合物;特開昭57−23673号公報に記載のB化合物;特開昭57−23675号公報に記載のAs及びSi化合物;特開昭59−27980号公報に記載のテトラフルオロホウ酸化合物;特開昭59−47289号公報に記載のヘキサフルオロケイ酸、ヘキサフルオロチタン酸、及びヘキサフルオロジルコニウム酸の1価もしくは2価の塩からなるヘキサフルオロ化合物;特開昭59−56480号公報に記載のV、Cr、Mn、Fe、Co及びNiなどの遷移金属の化合物などを添加してもよい。さらに、本発明においては上述した添加物を含む蛍光体に限らず、基本的に希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体とみなされる組成を有するものであれば如何なるものであってもよい。
【0022】上記基本組成式(I)で表される希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体は、通常は、アスペクト比が1.0乃至5.0の範囲にある。本発明の輝尽性蛍光体シートに用いる輝尽性蛍光体粒子は一般に、アスペクト比が1.0乃至2.0(好ましくは、1.0乃至1.5)の範囲にあり、粒子サイズのメジアン径(Dm)が1μm乃至10μm(好ましくは、2μm乃至7μm)の範囲にあり、そして粒子サイズ分布の標準偏差をσとしたときのσ/Dmが50%以下(好ましくは、40%以下)のものである。また、粒子の形状としては、直方体型、正六面体型、正八面体型、14面体型、これらの中間多面体型および不定型粉砕粒子などがあるが、それらのうちでは14面体型が好ましい。ただし、上記アスペクト比、粒子サイズおよび粒子サイズ分布を満たす輝尽性蛍光体粒子であれば、必ずしも14面体型でなくとも本発明に用いることができる。
【0023】上記粒子状の輝尽性蛍光体を結合剤と共に適当な有機溶媒に分散溶解して、塗布液を調製する。塗布液中での結合剤と蛍光体との比率は通常、1:1乃至1:100(重量比)の範囲の値となるようにする。この比率は、特に1:8乃至1:40(重量比)の範囲にあることが好ましい。輝尽性蛍光体粒子を分散支持する結合剤についても様々な種類の樹脂材料が知られており、本発明に係る輝尽性蛍光体フィルムの形成においても、それらの公知の結合剤樹脂を中心とした任意の樹脂材料から適宜選択して用いることができる。この塗布液を塗布機を用いて、ガラス板、金属板、プラスチックシートなどの仮支持体上に塗布し乾燥して、長尺状の輝尽性蛍光体フィルムを得る。蛍光体の密度を更に高めるために、得られた輝尽性蛍光体フィルムをカレンダー処理によって加熱圧縮してもよい。輝尽性蛍光体フィルムの厚さは一般には、5μm乃至2000μmの範囲にある。
【0024】なお、輝尽性蛍光体フィルムは、結合剤を使用せずに、金属板などの基板上に輝尽性蛍光体を焼結または気相堆積(蒸着)させて形成してもよい。
【0025】次に、得られた輝尽性蛍光体フィルムに多数の溝を設ける。図1の(a)は、1枚の刃の形状を示す正面図であり、(b)は(a)の刃を多数枚並べた形状を示す正面図である。図2は、長尺状の輝尽性蛍光体フィルムに多数の溝を同時に設ける工程を概略的に示す断面図である。図2において、1は長尺状の輝尽性蛍光体フィルムであり、2は図1(b)の刃であり、そして3はローラである。
【0026】図1(b)に示すように、多数枚の刃を溝の間隔と同じ間隔で並べて固定したもの(例、スリッター)を用意する。そして図2に示すように、仮支持体上の長尺状の輝尽性蛍光体フィルム1をローラ3で搬送しながら、上から刃2を押し付けることにより、溝を切ることができる。刃の先端の形状は、図1(a)に示すように先端に行くに従って薄くなっていてもよいし、あるいは刃全体が同じ厚みであってもよく、任意の形状とすることができる。また、刃全体の形状は、カッターのように先が尖っていてもよいし、あるいは円盤状など任意の形状とすることができる。
【0027】非常に狭い間隔で溝を設ける場合には、広い間隔で多数枚刃が並んだものを搬送とは直交する方向に位置をずらして複数個設置することにより、所望の間隔で多数の溝を設けることができる。あるいは、ダイソーのように回転する刃が多数枚並んだものを用いてもよい。
【0028】刃の厚みは、要求される溝の幅によって決まるが、輝尽性蛍光体フィルムが軟性や弾力性を有する場合には、切られた溝の幅は刃の厚みよりも小さくなりがちであるので、フィルムの状態に応じて10〜200μmの範囲で適宜選択する必要がある。
【0029】図3の(a)および(b)は、多数の溝が切られた状態の輝尽性蛍光体フィルムを示す部分概略断面図である。図3において、1は輝尽性蛍光体フィルムであり(仮支持体は図示なし)、4は溝である。溝4は、図3(a)に示すように、輝尽性蛍光体フィルム1を貫通してしていてもよいし、あるいは(b)に示すようにフィルム1の途中で終了していてもよい。ただし、溝の深さはフィルムの厚さの1/3乃至1/1の範囲にあることが好ましい。また、溝の幅(上部の幅)は画質性能上必要とされる隔壁の厚みに依存するが、一般には2μm乃至100μmの範囲にあり、好ましくは5μm乃至60μmの範囲にある。溝と溝との間隔(上部の間隔)は20μm乃至500μmの範囲にあることが好ましい。
【0030】次に、切られた溝に隔壁材料を分散含有する液を充填した後、固化させる。隔壁材料としては一般に、低光吸収性の微粒子およびそれを分散状態で含有支持する高分子物質が用いられる。低光吸収性微粒子の例としては、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化チタン、酸化イットリウム、酸化ジルコン、酸化ガドリニウム、酸化テルル、酸化ルテチウム、酸化鉛など無機物の白色微粒子を挙げることができる。また、上記輝尽性蛍光体の微粒子(球状または板状であってもよい)を用いることもできる。これらのうちで特に好ましいのはアルミナおよび酸化イットリウムである。低光吸収性微粒子の粒子径は一般に0.01〜5.0μmの範囲にあるのが望ましい。
【0031】高分子物質(結合剤樹脂)については、特段の制限はなく前記輝尽性蛍光体フィルムの結合剤として使用可能なものの中から任意に選択して用いることができる。好ましい高分子物質の例としては、ポリウレタン、ポリアクリル、ポリエチレン、ポリスチレンおよびフッ素系樹脂を挙げることができる。
【0032】上記の低光吸収性微粒子および高分子物質を溶剤に加え、これを充分に混合して、隔壁材料を分散含有する液を調製する。分散液調製用の溶剤としては、前述の輝尽性蛍光体フィルム形成用塗布液に用いる溶剤の中から任意に選択して用いることができる。あるいは隔壁材料分散液は、低光吸収性微粒子と熱軟化性樹脂を混合して熱混練した液であってもよい。さらに所望により、隔壁材料分散液には励起光を選択的に吸収するような着色剤を含有させてもよい。高分子物質と低光吸収性微粒子との混合比は、目的とする輝尽性蛍光体シートの特性、低光吸収性微粒子の種類などによっても異なるが、一般には1:80乃至1:3(重量比)の範囲から選ばれ、そして特に1:20乃至1:10(重量比)の範囲から選ぶのが好ましい。
【0033】この隔壁材料分散液を、例えば輝尽性蛍光体フィルムの溝が切られた側の表面に塗布することにより各溝に充填する。そののち、有機溶剤を使用した場合には乾燥することにより、熱軟化性樹脂を使用した場合には冷却することにより、隔壁材料を固化させる。溝以外のフィルム表面に隔壁材料を残さないようにするために、塗布後ドクターブレード等でフィルム表面から余分な隔壁材料を掻き落としてもよい。
【0034】あるいは、溝を切る前にまず、輝尽性蛍光体フィルム表面に隔壁材料分散液を塗布し、次いで分散液が固化する前にその表面に刃を押し付けて溝を切り、溝に分散液を充填してもよい。隔壁材料分散液は、溝を切ると同時に溝の中に導入される。この操作によれば、隔壁材料分散液中で溝切りが行われるので、刃により開かれた溝には分散液のみが入り込み(通常は、空気も入り込む)、溝中の分散液の充填率を高めることができる。特に、溝の幅が狭い場合には有効な手段である。
【0035】得られた長尺状の輝尽性蛍光体フィルムを所望の大きさに裁断することにより、輝尽性蛍光体領域と隔壁とが交互に並んだ構成、すなわち一次元構造の隔壁を有するストライプ蛍光体フィルムAを複数枚得ることができる。本発明に係る上記方法によれば、どちらの操作手順であっても、輝尽性蛍光体フィルムの塗布形成、溝切り、隔壁材料分散液の充填を連続して実施することができるという利点がある。
【0036】図4の(a)および(b)は、多数の溝に隔壁材料が充填されたストライプ蛍光体フィルムAを示す部分概略断面図であり、図4の(c)は(a)に対応した概略斜視図である。図4(a)〜(c)において、斜線部分5が充填固化された隔壁材料であり、隔壁を構成し、白抜き部分6は輝尽性蛍光体領域である。
【0037】次に、得られた複数枚のストライプ蛍光体フィルムAを、仮支持体より剥ぎ取った後、隣接するフィルムのストライプが互いに交差するように積層し、加熱圧着する。ストライプ蛍光体フィルムAの積層は一般に、2枚以上の枚数で行う。各蛍光体フィルムAの厚さは同一であってもよいし、あるいは異なっていてもよい。フィルムの厚さが異なる場合には、下層側で厚く、上層側で薄いことが好ましい。また、隣接するフィルムは、ストライプが互いに直交する(90゜の角度で交差する)ように、もしくは約60゜(特に、60゜±1゜)の角度で交差する(約60゜の角度で順に回転する)ように積層するのが好ましい。
【0038】図5は、4枚のストライプ蛍光体フィルムAを互いにストライプが直交するように積層する工程を概略的に示す斜視図である。このようにして、厚さ方向にストライプが交互に交差した隔壁構造を有する輝尽性蛍光体シートを得ることができる。輝尽性蛍光体シートの厚さは一般に50μm乃至1500μmの範囲にある。上記本発明の第一の方法によれば、輝尽性蛍光体フィルム形成のための塗布、溝切り、溝充填(または溝切り同時充填)、積層からなる三乃至四工程で輝尽性蛍光体シートを製造することができる。
【0039】本発明の第二の製造方法においては、まず上記と同様にして仮支持体上に長尺状の輝尽性蛍光体フィルムを形成する。
【0040】次いで、上記と同様にして、輝尽性蛍光体フィルムに多数の溝を一定の間隔で設けた後、各溝に隔壁材料分散液を充填する。更に、この隔壁材料分散液を輝尽性蛍光体フィルム表面にも塗布し、固化させて、フィルム上に隔壁層を形成する。隔壁層の形成は具体的には、例えば溝の切られた輝尽性蛍光体フィルム表面に隔壁材料分散液を塗布する際に、充分な液量で塗布して掻き落としをしないことにより、分散液の溝への充填とフィルム表面への塗布を同時に行うことができ、容易に実施できる。隔壁層の厚さは、一般には2μm乃至100μmの範囲にあり、好ましくは5μm乃至60μmの範囲にある。
【0041】あるいは、溝を切る前にまず、輝尽性蛍光体フィルム表面に隔壁材料分散液を充分な液量で塗布し、次いで分散液が固化する前にその表面に刃を押し付けて溝を切ることにより、溝切りと分散液の溝への充填を同時に行ってもよい。
【0042】得られた長尺状の輝尽性蛍光体フィルムを所望の大きさに裁断することにより、輝尽性蛍光体領域と隔壁とが交互に並んだ、すなわち一次元構造の隔壁を有し、かつ片面に隔壁層が設けられた構成のストライプ蛍光体フィルムBを複数枚得ることができる。本発明に係る上記方法によれば、どちらの操作手順であっても、輝尽性蛍光体フィルムの塗布形成、溝切り、隔壁材料分散液の充填および隔壁層の形成を連続した操作で実施できるという利点がある。
【0043】図6は、ストライプ蛍光体フィルムBを示す部分概略断面図である。図6において、蛍光体フィルムBは隔壁5、輝尽性蛍光体領域6および隔壁層7から構成されている。
【0044】次に、得られた複数枚のストライプ蛍光体フィルムBを、仮支持体より剥ぎ取った後、各フィルムの隔壁層が上側となり、かつ隣接するフィルムのストライプが互いに平行になるように、すなわちストライプ方向が一致するように積層し、加熱圧着して、積層体ブロックを形成する。図7は、5枚のストライプ蛍光体フィルムBからなる積層体ブロックを示す部分概略断面図である。
【0045】次に、この積層体ブロックをストライプが現れている積層面に沿ってスライスする。このようにして、二次元構造の隔壁を有する輝尽性蛍光体シート(シートの上面図は図7と同じである)を得ることができる。輝尽性蛍光体シートの厚さは一般に50μm乃至1500μmの範囲にある。上記本発明の第二の方法によれば、輝尽性蛍光体フィルム形成のための塗布、溝切り、溝充填(または溝切り同時充填)、積層、スライスからなる四乃至五工程で輝尽性蛍光体シートを製造することができる。
【0046】上述のようにして製造された輝尽性蛍光体シートは、特に支持体や保護膜を備えている必要はないが、輝尽性蛍光体シートの搬送や取扱い上の便宜や特性変化の回避のために、支持体と保護膜とを備えていてもよい。また、感度を高めるために、輝尽性蛍光体シートの片側(支持体を設ける場合にはシートと支持体の間)に光反射層を備えていてもよい。さらに、支持体は透明であってもよく、その場合には輝尽発光光の取り出しを輝尽性蛍光体シートの両側から行う両面集光方式による読取方法に適している。
【0047】支持体は通常、柔軟な樹脂材料からなる厚みが50μm乃至1mmのシートあるいはフィルムである。支持体は透明であってもよく、あるいは支持体に、励起光もしくは輝尽発光光を反射させるための光反射性材料(例、アルミナ粒子、二酸化チタン粒子、硫酸バリウム粒子)を充填してもよく、あるいは空隙を設けてもよい。または、支持体に励起光もしくは輝尽発光光を吸収させるため光吸収性材料(例、カーボンブラック)を充填してもよい。支持体の形成に用いることのできる樹脂材料の例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アラミド樹脂、ポリイミド樹脂などの各種樹脂材料を挙げることができる。必要に応じて、支持体は金属シート、セラミックシート、ガラスシートなどであってもよい。
【0048】保護膜は、励起光の入射や輝尽発光光の出射に殆ど影響を与えないように、透明であることが望ましく、また外部から与えられる物理的衝撃や化学的影響から輝尽性蛍光体シートを充分に保護することができるように、化学的に安定でかつ高い物理的強度を持つことが望ましい。保護膜としては、セルロース誘導体、ポリメチルメタクリレート、有機溶媒可溶性フッ素系樹脂などのような透明な有機高分子物質を適当な溶媒に溶解して調製した溶液を蛍光体層の上に塗布することで形成されたもの、あるいはポリエチレンテレフタレートなどの有機高分子フィルムや透明なガラス板などの保護膜形成用シートを別に形成して蛍光体層の表面に適当な接着剤を用いて設けたもの、あるいは無機化合物を蒸着などによって蛍光体層上に成膜したものなどが用いられる。また、保護膜中には酸化マグネシウム、酸化亜鉛、二酸化チタン、アルミナ等の光散乱性微粒子、パーフルオロオレフィン樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末等の滑り剤、およびポリイソシアネート等の架橋剤など各種の添加剤が分散含有されていてもよい。保護膜の膜厚は一般に約0.1〜20μmの範囲にある。
【0049】保護膜の表面にはさらに、保護膜の耐汚染性を高めるためにフッ素樹脂塗布層を設けてもよい。フッ素樹脂塗布層は、フッ素樹脂を有機溶媒に溶解(または分散)させて調製したフッ素樹脂溶液を保護膜の表面に塗布し、乾燥することにより形成することができる。フッ素樹脂は単独で使用してもよいが、通常はフッ素樹脂と膜形成性の高い樹脂との混合物として使用する。また、ポリシロキサン骨格を持つオリゴマーあるいはパーフルオロアルキル基を持つオリゴマーを併用することもできる。フッ素樹脂塗布層には、干渉むらを低減させて更に放射線画像の画質を向上させるために、微粒子フィラーを充填することもできる。フッ素樹脂塗布層の層厚は通常は0.5μm乃至20μmの範囲にある。フッ素樹脂塗布層の形成に際しては、架橋剤、硬膜剤、黄変防止剤などのような添加成分を用いることができる。特に架橋剤の添加は、フッ素樹脂塗布層の耐久性の向上に有利である。
【0050】光反射層としては、例えば、アルミナ、二酸化チタンあるいは硫酸バリウムなどの白色顔料、または輝尽発光を示さない蛍光体粒子を結合剤で分散支持させて層状としたものを用いることができる。
【0051】さらに、輝尽性蛍光体シートと支持体との間には、光吸収層、接着層、導電層などの補助機能層を設けてもよく、また支持体表面には多数の凹部を形成してもよい。一方、支持体の輝尽性蛍光体シートを設けない側の表面には、搬送性を向上させたり、耐傷性を向上させたりするために、摩擦低減層や耐傷層を設けてもよい。
【0052】
【実施例】[実施例1]
1)メジアン径5μmの輝尽性蛍光体粒子(BaF(Br,I):Eu)と熱可塑性高分子量ポリエステル樹脂とを重量比5:1で有機溶剤中に分散させて、蛍光体分散液を得た後、この蛍光体分散液を、剥離性表面を有する仮支持体(厚さ:500μm)の表面に塗布機により塗布し、乾燥して、厚さが約100μmの輝尽性蛍光体フィルムを得た。
【0053】2)仮支持体上の輝尽性蛍光体フィルムを、図2に示したようにローラで搬送しながら、図1(b)に示したような刃をその上から押し付けて多数の溝を切った。溝と溝との間隔は210μmであった。また、刃の先端とローラとのクリアランスを300μmに設定して、刃の先端がフィルムを貫通して仮支持体に約200μm食い込むようにした。切られた溝の断面形状は、図3(a)に示したような台形であった。
【0054】3)平均粒子径0.5μmのアルミナ微粒子と高分子量アクリル樹脂を重量比15:1で有機溶剤中に分散させて、隔壁材料分散液を調製した。この隔壁材料分散液を、溝の切られた輝尽性蛍光体フィルムの表面にドクターコーターにより塗布して、溝に隔壁材料分散液を充填した。次いで、ドクターブレードにより溝以外のフィルム表面に残っている隔壁材料分散液をこそぎ落とした。溝中の隔壁材料分散液を乾燥し、固化させて、ストライプ蛍光体フィルムAを得た(図4(a)、(c)参照、平均溝間隔:210μm、平均溝幅:25μm)。
【0055】4)得られたストライプ蛍光体フィルムA6枚をそれぞれ仮支持体より剥ぎ取って、隣り合うフィルムのストライプが互いに直交するように積層し(図5参照)、加熱圧着して、一次元ストライプ構造の隔壁を厚さ方向に交互に直交して有する輝尽性蛍光体シート(厚さ:約600μm)を得た。
【0056】[実施例2]
1)実施例1の2)で得られた溝の切られた輝尽性蛍光体フィルムに、実施例1の3)と同様にして隔壁材料分散液を塗布、充填した。ただし、ドクターコーターとローラとのクリアランスを充分に取って、溝のみならずフィルム表面にも分散液が塗布されるようにした。このフィルムを乾燥して、隔壁層(厚さ:25μm)を有するストライプ蛍光体フィルムBを得た(図6参照、平均溝間隔:210μm、平均溝幅:25μm)。
【0057】2)得られたストライプ蛍光体フィルムB300枚をそれぞれ仮支持体より剥ぎ取って、隣り合うフィルムのストライプ方向が一致するように積層して積層体を得た後、その積層体を約1kg/cm2の圧力および100℃の温度下に1時間置いて加熱圧着処理を行い、積層体ブロックを形成した(図7参照)。
【0058】3)積層体ブロックを広幅ミクロトームを用いて、ストライプが現れている積層断面に沿って、厚み600μmでスライスすることにより、二次元構造の隔壁を有する輝尽性蛍光体シートを得た。
【0059】[実施例3]
1)実施例1の1)で得られた輝尽性蛍光体フィルムの表面全体に、実施例1の隔壁材料分散液を均一に塗布した。その後直ちに、図2に示したようにローラで搬送しながら、図1(b)に示したような刃をその上から押し付けて、多数の溝を切ると同時に溝に隔壁材料分散液を充填した。次いで、ドクターブレードにより溝以外のフィルム表面に残っている隔壁材料分散液をこそぎ落とした。溝中の隔壁材料分散液を乾燥し、固化させることにより、実施例1の3)で得られたものと同様のストライプ蛍光体フィルムAを得た。
2)このストライプ蛍光体フィルムAを用いて、実施例1の4)と同様にして積層、加熱圧着して、一次元ストライプ構造の隔壁を厚さ方向に交互に直交して有する輝尽性蛍光体シート(厚さ:約600μm)を得た。
【0060】[実施例4]
1)実施例1の1)で得られた輝尽性蛍光体フィルムの表面全体に、実施例1の隔壁材料分散液を均一に塗布した。その後直ちに、図2に示したようにローラで搬送しながら、図1(b)に示したような刃をその上から押し付けて、多数の溝を切ると同時に溝に隔壁材料分散液を充填した。次いで、ドクターブレードにより余分な隔壁材料分散液をこそぎ落としたが、その際にドクターブレードとローラとのクリアランスを充分に取ってフィルム表面に分散液の塗膜が残るようにし、これを乾燥することにより、実施例2の1)で得られたものと同様の隔壁層を有するストライプ蛍光体フィルムBを得た。
2)このストライプ蛍光体フィルムBを用いて、実施例2の2)および3)と同様にして積層体ブロックを形成した後、スライスして、二次元構造の隔壁を有する輝尽性蛍光体シートを得た。
【0061】[比較例1]
1)実施例1の隔壁材料分散液を、剥離性表面を有する仮支持体(厚さ:500μm)の表面に塗布機により塗布し、乾燥して、厚さが約25μmの隔壁形成用フィルムを得た。
【0062】2)実施例1の1)で得られた輝尽性蛍光体フィルム150枚とこの隔壁形成用フィルム150枚をそれぞれ仮支持体より剥ぎ取った後、交互に合計300層となるように積層して積層体を得た後、その積層体を約1kg/cm2の圧力および100℃の温度下に1時間置いて加熱圧着処理を行い、積層体ブロック(1)を形成した。
【0063】3)積層体ブロック(1)を広幅ミクロトームを用いて、積層断面に沿って厚み100μmでスライスすることにより、一次元のストライプ構造を有する輝尽性蛍光体フィルムを得た。
【0064】4)得られたストライプ構造の輝尽性蛍光体フィルム150枚と隔壁形成用フィルム150枚を、交互に合計300層となるように積層して積層体を得た後、その積層体を約1kg/cm2の圧力および100℃の温度下に1時間置いて加熱圧着処理を行い、積層体ブロック(2)を形成した。
【0065】5)積層体ブロック(2)を広幅ミクロトームを用いて、ストライプの端面が現れている側の積層断面に沿って、厚み600μmでスライスすることにより、二次元構造の隔壁を有する輝尽性蛍光体シートを得た。
【0066】[輝尽性蛍光体シートの性能評価]
(1)実施例1〜4および比較例1の輝尽性蛍光体シートの製造方法における各工程数を比べることにより、製造の簡便さを評価した。その結果をまとめて表1に示す。
【0067】
【表1】
表1──────────────────────────────────── 工程内容 工程数──────────────────────────────────── 実施例1 蛍光体塗布−溝切り−溝充填−積層 4 実施例2 蛍光体塗布−溝切り−溝充填−積層−スライス 5 実施例3 蛍光体塗布−溝切り充填−積層 3 実施例4 蛍光体塗布−溝切り充填−積層−スライス 4──────────────────────────────────── 比較例1 蛍光体塗布−隔壁材料塗布−積層−スライス−積層−スライス 6────────────────────────────────────【0068】表1に示した結果から明らかなように、本発明の製造方法はいずれの方法であっても(実施例1〜4)、これまでの積層スライス法(比較例1、特願平11−68963号明細書記載の方法)と比較して、工程数が少なく、かつ高度な技術を要する薄膜の積層やスライスの回数を減らすことができる。
【0069】(2)実施例2で得られた輝尽性蛍光体シートに、管電圧80kVp、80mAのX線(線量10mR)を照射した後、He−Neレーザ光で走査してシート表面より片面集光方式にて輝尽発光光を検出し、その発光量により感度を評価した。また、輝尽性蛍光体シートにCTFチャートを介して上記X線を照射した後、同様にレーザ光で走査して画像データを得、得られた画像データから鮮鋭度を評価した。その際に、CTFチャートをシートの一層目のストライプに垂直な方向(主走査方向)と平行な方向(副走査方向)に置いた場合それぞれについて評価を行った。また、実施例1で得られた輝尽性蛍光体シートについて、シートの表裏両面より両面集光方式にて輝尽発光光を検出したこと以外は、上記と同様にして感度および鮮鋭度を評価した。比較のために、市販の隔壁が設けられていない放射線像変換パネル(ST−Vn、富士写真フィルム(株)製)についても、片面集光方式により同様に評価した。得られた結果をまとめて表2に示す。
【0070】
【表2】
表2 ──────────────────────────────── 1lpCTF(%) 発光量 主走査 副走査 ──────────────────────────────── 実施例1 80 76 112 実施例2 85 84 95 ──────────────────────────────── ST−Vn 81 80 100 ────────────────────────────────【0071】表2に示した結果から、本発明の製造方法に従って製造された実施例1の輝尽性蛍光体シートは市販の放射線像変換パネルよりも感度が高く、一方実施例2の輝尽性蛍光体シートは市販のパネルよりも鮮鋭度が高く、そして総合的な画質は本発明に係る輝尽性蛍光体シートの方が市販のパネルよりも優れていた。
【0072】
【発明の効果】本発明の輝尽性蛍光体シートの製造方法は、これまでの方法よりも平易な工程からなり、かつ工程数を減らすことができる。そして、本発明の方法に従って製造された輝尽性蛍光体シートは、公知の放射線像変換パネルよりも総合的に画質の優れた画像を与える。このため、医療診断のための放射線像記録再生方法に使用した場合に、本発明の方法により製造された輝尽性蛍光体シートは特に有利となる。




 

 


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