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発明の名称 放射線導電性材料およびその製造方法、並びに放射線導電性材料を用いた固体センサ
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−221894(P2001−221894A)
公開日 平成13年8月17日(2001.8.17)
出願番号 特願2000−30331(P2000−30331)
出願日 平成12年2月8日(2000.2.8)
代理人 【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史 (外1名)
【テーマコード(参考)】
2G083
5C024
【Fターム(参考)】
2G083 AA04 BB01 BB04 DD01 EE03 EE09 
5C024 AX16 AX17
発明者 礒田 勇治
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 少なくとも、アルコール可溶性ナイロンと放射線吸収能を有する無機材料とからなることを特徴とする放射線導電性材料。
【請求項2】 前記無機材料がヨウ化ビスマスであることを特徴とする請求項1記載の放射線導電性材料。
【請求項3】 前記アルコール可溶性ナイロンが、ナイロン−6とナイロン−66の複合体であることを特徴とする請求項1または2記載の放射線導電性材料。
【請求項4】 ナノコンポジットを形成していることを特徴とする請求項1、2または3記載の放射線導電性材料。
【請求項5】 アルコール可溶性ナイロンと放射線吸収能を有する無機材料をアルコールに融解し、該アルコールを蒸発させてアルコール可溶性ナイロンと無機材料との高粘性複合材料とすることを特徴とする放射線導電性材料の製造方法。
【請求項6】 放射線画像情報を静電潜像として記録する、請求項1から4いずれか1項記載の放射線導電性材料からなる放射線導電層を含むことを特徴とする固体センサ。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、放射線に感応する放射線導電性材料と、放射線の照射により形成される静電電荷のパターン(静電潜像)として画像情報を記録することのできる放射線導電性材料からなる放射線導電層を含む固体センサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、医療用放射線撮影において、被験者の受ける被爆線量の減少、診断性能の向上等を図るために、放射線に感応する光導電体(例えば、a−Se(アモルファスセレン)板等)を感光体(静電記録体)として用い、セレン板に形成された放射線による静電潜像を、レーザビーム或いは多数の電極で読み取るシステムが開示されている(たとえば、米国特許第4176275号, 同第5268569号, 同第 5354982号,同第4535468号、 "23027 Method and devisce for recording and transducing an electromagnetic energy pattern";Reserch Disclosure June1983、 特開平 9-5906号、米国特許第4961209号、"X-ray imaging using amorphous selenium";Med Phys.22(12)等)。
【0003】これらは、周知の撮影法であるTV撮像管による間接撮影法と比較して高解像度であること、また、ゼロラジオグラフィ法(電子X線写真法)と比較して撮影に要する放射線照射量が少ないという点で優れている。
【0004】ところで、上記システムの光導電体に用いられる放射線導電性材料は、暗状態においては良い絶縁体であること、高電場(10〜10Vcm−1)をかけても耐久性があること、大きな放射線吸収効率を有し、高電荷を生成することが必要とされる。また、生成した電荷がトラップされることなく膜内を移動できるように、放射線導電性材料は薄膜を形成できることが必要とされる。
【0005】しかし、上記従来技術に一般に用いられている放射線導電性材料のSeは、耐久性に優れ高電荷を生成することはできるが、放射線吸収効率においては充分とはいえず、また、電荷トラップが起きないような薄膜形成は困難である。また、Seは毒・劇物取締法第2条毒物に指定されており、製造工程における安全性を確保する点からすれば、これを含有しないことが好ましい。
【0006】このような観点からSeにかわる放射線導電性材料として、米国特許第 5556716号に、VB−VIB、VB−VIIB、IIB−VIB、IIB−VB、IIIB−VB、IIIB−VIB、IB−VIB、IVB−VIIBの無機材料と有機材料を組み合わせたものの一例として、BiI、PbI、PbI、Biと11−ナイロン、PVK(N−ポリビニルカルバゾール)、PMMA(メタクリル樹脂)の無機/有機複合材料からなる放射線導電性材料が記載されている。
【0007】また、Science,273(1996),632には、BiIと11−ナイロン(50/50重量%)の放射線導電性材料が、良好な放射線フォトコン特性を示すことが記載されている。
【0008】これらの技術は、放射線吸収能には優れているが、大きな面積で高品位の膜の形成が困難であり、また、室温における暗電流が大きく、高電場に耐えられないといった種々の問題があって放射線導電性材料としては不向きとされていたBiI等の重元素化合物を、高品位の薄膜を形成することができ、暗電流が低く、良い誘電特性を有する有機材料(高分子)との複合体を形成させることにより、放射線導電性材料として利用することを実現させたものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の無機/有機複合材料からなる放射線導電性材料は、無機材料と有機材料を複合させたものであるため、無機材料(無機微粒子)の分散性が悪くなりやすい。すなわち、無機/有機複合材料からなる放射線導電性材料は、図8に示すように、ホットプレート82上で加温された基板83上で有機材料81を融解し、この融解した有機材料81に無機微粒子を添加して、スパチュラ等で攪拌し膜を形成する、いわゆる融液析出法による製造であるため、無機微粒子を有機材料中に均一に分散させることは困難である。無機微粒子の分散性が悪いと、形成した薄膜中には無機微粒子の塊状物が存在するために、放射線フォトコン特性が悪くなり、またそのような無機微粒子の塊状部分があるために、高電場に耐えられなかったり、あるいは電荷トラップが生じやすくなる。
【0010】また、無機/有機複合材料からなる放射線導電性材料は、放射線導電性を有する無機材料を有機材料でいわば希釈することになるため、充分に高い放射線吸収を確保するためには複合材料中の無機材料の含有率を高くすることが必要であるが(BiI/ナイロン11の場合、通常の医療用放射線撮影条件でSeと同等の放射線吸収を得るためには、65wt%のBiIが必要である)、従来の有機材料との組合せでは、このような高い含有率の無機材料を均一に分散させることはできないため、得られた放射線導電性材料の放射線フォトコン特性は低下してしまうことになる。
【0011】本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、有機材料中に無機材料を均一に分散させた、放射線フォトコン特性が良好で、高電場に耐える放射線導電性材料およびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0012】また、本発明は、放射線の照射により形成される画像情報を静電潜像として記録することのできる放射線フォトコン特性が良好で、高電場に耐え、電荷トラップが生じることがない放射線導電層を含む固体センサを提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の放射線導電性材料は、少なくとも、アルコール可溶性ナイロンと放射線吸収能を有する無機材料とからなることを特徴とするものである。
【0014】ここにいう、放射線とはX線、γ線などを意味するものである。前記無機材料はヨウ化ビスマスであることが好ましい。前記アルコール可溶性ナイロンとは、アルコール系溶媒に可溶な常温で固体のナイロンであって、各種の二塩基酸やジアミンなどを共重合して得られる共重合ナイロンおよびナイロンのポリアミド結合にN−アルコキシメチル基が導入されたナイロン等を意味し、ナイロン−6とナイロン−66の複合体であることが好ましい。また、本発明の放射線導電性材料は、ナノコンポジットを形成していることが好ましい。
【0015】本発明の放射線導電性材料の製造方法は、アルコール可溶性ナイロンと放射線吸収能を有する無機材料をアルコールに融解し、該アルコールを蒸発させて高粘性複合材料とすることを特徴とするものである。なお、以下、この製造方法のことを、「液層析出法」という。このように製造された高粘性複合材料は、膜状等に形成して用いる。
【0016】本発明の固体センサは、放射線画像情報を静電潜像として記録する、本発明の放射線導電性材料からなる放射線導電層を含むことを特徴とするものである。
【0017】
【発明の効果】本発明の無機/有機複合材料からなる放射線導電性材料は、有機材料としてアルコール可溶性ナイロンを用いたので、無機材料の分散性が格段によくなり、放射線フォトコン特性を向上させることができる。
【0018】すなわち、従来の無機/有機複合材料からなる放射線導電性材料は、無機微粒子を有機材料中に均一に分散させることが極めて困難であったが、本発明の放射線導電性材料は、有機材料としてアルコール可溶性ナイロンを用いたので、有機材料をアルコールに融解させることが可能となり、これによって有機材料中に無機材料を均一に分散させることができる。
【0019】また、無機材料を放射線導電性材料中に均一に分散させることができるので、放射線吸収能に優れた無機材料の特性と、暗電流が低く、良好な誘電特性を有し、高品位の薄膜を形成することのできる有機材料(アルコール可溶性ナイロン)の特性をあわせもった放射線導電性材料とすることができる。従って、この放射線導電性材料により形成された薄膜(放射線導電層など)は、無機微粒子の塊状物が存在するといったことがないので、放射線フォトコン特性が向上し、電荷トラップが生じにくくなり、また、放射線照射をしていないときに流れる暗電流を小さく抑えることが可能となる。さらに、無機材料の含有率を高くしても、無機材料を有機材料中に均一に分散させることができるため、放射線フォトコン特性を向上させることができる。
【0020】また、本発明の放射線導電性材料の製造方法は、アルコール可溶性ナイロンと放射線吸収能を有する無機材料をアルコールに融解し、融解溶液からアルコールを蒸発させてアルコール可溶性ナイロンと無機材料との高粘性複合材料とするので、製造ハンドリング特性が向上し、また製造される放射線導電性材料の安定性を極めて良好なものとすることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態について説明する。本発明の放射線導電性材料は、アルコール可溶性ナイロンと放射線吸収能を有する無機材料とからなることを特徴とするものである。
【0022】放射線吸収能を有する無機材料としては、VB−VIB、VB−VIIB、IIB−VIB、IIB−VB、IIIB−VB、IIIB−VIB、IB−VIB、IVB−VIIBの無機材料、たとえば、Bi3 、 BiSe、BiI、BiBr、CdS、CdSe、CdTe、HgS、Cd、InAs、InP、In、InSe、AgS、PbI、PbI2− などを用いることができるが、特にBiI(ヨウ化ビスマス)が好ましい。
【0023】アルコール可溶性ナイロンは、上述したように、アルコール系溶媒に可溶な常温で固体のナイロンであれば、各種の二塩基酸やジアミンなどを共重合して得られる共重合ナイロンおよびナイロンのポリアミド結合にN−アルコキシメチル基が導入されたナイロン等を用いることができる。
【0024】共重合ナイロンは、2種類以上のジアミンおよび/または2種類以上の二塩基酸を共重合させて得られるものである。ジアミンとしては、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、p−ジ−アミノメチルシクロヘミサン、ビス(p−アミノシクロヘキシル)メタン、m−キシレンジアミン、1,4−ビス(3−アミノプロポキシ)シクロヘキサン、ピペラジン、イソホロンジアミンなどが、二塩基酸としては、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、ウンデカン酸、ダイマー酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、5−スルホイソフタル酸ナトリウムなどがあげられる。また、ナイロンの製造には、アミノカルボン酸なども使用することができ、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、4−アミノメチル安息香酸、4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸、7−アミノエナント酸、9−アミノノナン酸などのアミノカルボン酸や、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタム、α−ピロリドン、α−ピペリドンなどのラクタムも使用することができる。このような化合物から得られるアルコール可溶性ナイロンとしては、ナイロン−6/ナイロン−66、ナイロン−6/ナイロン6−10、ナイロン−6/ナイロン−66/ナイロン6−10、ナイロン−6/ナイロン−66/11−ナイロン、ナイロン−6/ナイロン−66/ナイロン−12、ナイロン−6/ナイロン6−10/ナイロン6−11、ナイロン−6/ナイロン6−10/ナイロン6−12、ナイロン−6/11−ナイロン/イソホロンジアミン、ナイロン−6/ナイロン−66/p−ジ(アミノシクロヘキシル)メタンなどの構成のナイロンがあげられ、特にナイロン−6とナイロン−66の複合体が好ましい。
【0025】また、ナイロン中のポリアミド結合に、ホルマリンとアルコールを付加させたN−アルコキシメチル基を導入することによってもアルコール可溶性ナイロンを得ることができる。具体的には、ナイロン−6、ナイロン−66などをアルコキシメチル化したものがあげられる。N−アルコキシメチル基の導入は、融点の低下、可撓性の増大、溶解性の向上に寄与するものである。
【0026】このようなアルコール可溶性ナイロンは広く知られており、ナイロン樹脂ハンドブック、Journal of American Chemical Society 71,651(1949)などに記載の方法で製造できるものである。
【0027】アルコール可溶性ナイロン/無機材料の混合比は、用いるアルコール可溶性ナイロン、無機材料によって異なる。たとえば、アルコール可溶性ナイロンとしてナイロン−6/ナイロン−66複合体、無機材料としてヨウ化ビスマスを用いた場合の混合比(ナイロン/BiI)は、50〜10/50〜90重量%であることが好ましく、35〜15/65〜85重量%であることがより好ましい。
【0028】ヨウ化ビスマスとナイロン−6とナイロン−66の複合体を融解させるアルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、イソブチルアルコール、n−ブチルアルコールなどを用いることができるが、融解させたあとアルコールを蒸発させて高粘性複合材料とするため、メタノール、エタノールが好ましい。また、アルコールを用いる場合には、モレキュラシーブ等で脱水することが好ましい。アルコールの使用量は、融解するアルコール可溶性ナイロンと無機材料との混合比や、用いるアルコールの種類によって異なるため、一概にはいえないが、アルコール可溶性ナイロンが溶け、無機材料が充分分散できる状態で用いることが好ましい。
【0029】本発明の放射線導電性材料は、液層析出法により作製することができる。無機材料としてヨウ化ビスマス、アルコール可溶性ナイロンとしてナイロン−6/ナイロン−66複合体を例にとり、図1を参照して具体的に説明する。図1は放射線導電性材料の作製手順を示した模式図である。ヨウ化ビスマスとナイロン−6/ナイロン−66複合体をそれぞれ65〜50/35〜50重量%の割合で秤量し、アルコールの入ったビーカ101 に、秤量したヨウ化ビスマスとナイロン−6/ナイロン−66複合体を入れ、加温装置(ホットプレートなど)102 上で完全に溶解させる。攪拌溶解温度は、用いるアルコールの種類によっても異なるが、室温(25℃前後)〜60℃とすることが好ましい。混合比は、たとえばヨウ化ビスマス:ナイロン−6/ナイロン−66複合体:メタノール=1g:1g:100ml程度とする。60℃加温攪拌で溶媒をさらに蒸発させて、高粘性のヨウ化ビスマス/ナイロン−6/ナイロン−66複合体とする。この高粘性のヨウ化ビスマス/ナイロン−6/ナイロン−66複合体をアルミまたはITOなどからなる基板103 の上に滴下し、室温にてスパチュラで製膜し、メタノール入りシャーレ中に膜化したヨウ化ビスマス/ナイロン−6/ナイロン−66複合体の付いた基板を静置して徐乾して、放射線導電性材料を作製することができる。なお、放射線導電性材料を作成するときには、何らかの機能を付与する目的でその他の物質(たとえば添加剤など)を適宜添加してもよい。
【0030】次に、本発明の放射線導電性材料を含む放射線導電層を有する放射線画像情報を静電潜像として記録する固体センサおよびその読み出し方法について説明する。
【0031】図2は本発明の放射線導電性材料を含む光導電層を有する固体センサの一実施の形態を示す断面図を示すものである。この固体センサ10は、後述する記録用の放射線L1に対して透過性を有する第1の導電層1、この導電層1を透過した放射線L1の照射を受けることにより導電性を呈する記録用放射線導電層2、導電層1に帯電される電荷(潜像極性電荷;例えば負電荷)に対しては略絶縁体として作用し、かつ、電荷と逆極性の電荷(輸送極性電荷;上述の例においては正電荷)に対しては略導電体として作用する電荷輸送層3、後述する読取用の読取光L2の照射を受けることにより導電性を呈する読取用光導電層4、電磁波L2に対して透過性を有する第2の導電層5を、この順に積層してなるものである。
【0032】ここで、導電層1および5としては、例えば、透明ガラス板上に導電性物質を一様に塗布したもの(ネサ皮膜等)が適当である。電荷輸送層3としては、導電層1に帯電される負電荷の移動度と、その逆極性となる正電荷の移動度の差が大きい程良く(例えば10以上、望ましくは10以上)ポリN−ビニルカルバゾール(PVK)、N,N'−ジフェニル−N,N'−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1'−ビフェニル〕−4,4'−ジアミン(TPD)やディスコティック液晶等の有機系化合物、或いはTPDのポリマー(ポリカーボネート、ポリスチレン、PUK)分散物,Clを10〜200ppmドープしたa−Se等の半導体物質が適当である。特に、有機系化合物(PVK,TPD、ディスコティック液晶等)は光不感性を有するため好ましく、また、誘電率が一般に小さいため電荷輸送層3と読取用光導電層4の容量が小さくなり読み取り時の信号取り出し効率を大きくすることができる。
【0033】読取用光導電層4には、a−Se,Se−Te,Se−As−Te,無金属フタロシアニン,金属フタロシアニン,MgPc( Magnesium phtalocyanine),VoPc(phaseII of Vanadyl phthalocyanine),CuPc(Cupper phtalocyanine)等のうち少なくとも1つを主成分とする光導電性物質が好適である。
【0034】電荷輸送層3と光導電層4との厚さは記録用放射線導電層2の厚さの1/2以下であることが望ましく、薄ければ薄いほど(例えば、1/10以下、さらには1/20以下等)後述の読取時の応答性が向上する。
【0035】記録用放射線導電層2には、本発明のアルコール可溶性ナイロンと放射線吸収能を有する無機材料とからなる放射線導電性材料を使用する。放射線L1を十分に吸収できるようにするためには、記録用放射線導電層2の厚さを 100μm〜2000μmとすることが好ましく、500〜1000μmとすることがより好ましい。
【0036】放射線画像情報を静電潜像として記録した固体センサから静電潜像を読み取る読取手段としては、静電潜像を読み取るために光を用いる方式と画素毎にトランジスタを用いる方式などを利用することができる。まず、静電潜像を読み取るために光を用いる方式について簡単に説明する。
【0037】図3は固体センサ10を用いた記録読取システム(静電潜像記録装置と静電潜像読取装置を一体にしたもの)の概略構成図を示すものである。この記録読取システムは、固体センサ10、記録用照射手段90、電源50、電流検出手段70、読取用露光手段92並びに接続手段S1、S2とからなり、静電潜像記録装置部分は固体センサ10、電源50、記録用照射手段90、接続手段S1とからなり、静電潜像読取装置部分は固体センサ10、電流検出手段70、接続手段S2とからなる。
【0038】固体センサ10の導電層1は接続手段S1を介して電源50の負極に接続されるとともに、接続手段S2の一端にも接続されている。接続手段S2の他端の一方は電流検出手段70に接続され、固体センサ10の導電層5、電源50の正極並びに接続手段S2の他端の他方は接地されている。電流検出手段70はオペアンプからなる検出アンプ70a と帰還抵抗70b とからなり、いわゆる電流電圧変換回路を構成している。
【0039】導電層1の上面には被写体9が配設されており、被写体9は放射線L1に対して透過性を有する部分9aと透過性を有しない遮断部(遮光部)9bが存在する。記録用照射手段90は放射線L1を被写体9に一様に爆射するものであり、読取用露光手段92は赤外線レーザ光等の読取光L2を図3中の矢印方向へ走査露光するものであり、読取光L2は細径に収束されたビーム形状をしていることが望ましい。
【0040】以下、上記構成の記録読取システムにおける静電潜像記録過程について電荷モデル(図4)を参照しつつ説明する。図4において接続手段S2を開放状態(接地、電流検出手段70の何れにも接続させない)にして、接続手段S1をオンし導電層1と導電層5との間に電源50による直流電圧Edを印加し、電源50から負の電荷を導電層1に、正の電荷を導電層5に帯電させる(図4(A)参照)。これにより、固体センサ10には導電層1と5との間に平行な電場が形成される。
【0041】次に記録用照射手段90から放射線L1を被写体9に向けて一様に爆射する。放射線L1は被写体9の透過部9aを透過し、さらに導電層1をも透過する。放射線導電層2はこの透過した放射線L1を受け導電性を呈するようになる。これは放射線L1の線量に応じて可変の抵抗値を示す可変抵抗器として作用することで理解され、抵抗値は放射線L1によって電子(負電荷)とホール(正電荷)の電荷対が生じることに依存し、被写体9を透過した放射線L1の線量が少なければ大きな抵抗値を示すものである(図4(B)参照)。なお、放射線L1によって生成される負電荷(−)および正電荷(+)を、図面上では−または+を○で囲んで表すものとする。
【0042】放射線導電層2中に生じた正電荷は放射線導電層2中を導電層1に向かって高速に移動し、導電層1と放射線導電層2との界面で導電層1に帯電している負電荷と電荷再結合して消滅する(図4(C),(D)を参照)。一方、放射線導電層2中に生じた負電荷は放射線導電層2中を電荷転送層3に向かって移動する。電荷転送層3は導電層1に帯電した電荷と同じ極性の電荷(本例では負電荷)に対して絶縁体として作用するものであるから、放射線導電層2中を移動してきた負電荷は放射線導電層2と電荷転送層3との界面で停止し、この界面に蓄積されることになる(図4(C),(D)を参照)。蓄積される電荷量は放射線導電層2中に生じる負電荷の量、即ち、放射線L1の被写体9を透過した線量によって定まるものである。
【0043】一方、放射線L1は被写体9の遮光部9bを透過しないから、固体センサ10の遮光部9bの下部にあたる部分は何ら変化を生じない( 図4(B)〜(D)を参照)。このようにして、被写体9に放射線L1を爆射することにより、被写体像に応じた電荷を放射線導電層2と電荷転送層3との界面に蓄積することができるようになる。尚、この蓄積せしめられた電荷による被写体像を静電潜像という。
【0044】次に静電潜像読取過程について電荷モデル(図5)を参照しつつ説明する。接続手段S1を開放し電源供給を停止すると共に、S2を一旦接地側に接続し、静電潜像が記録された固体センサ10の導電層1および5を同電位に帯電させて電荷の再配列を行った後に(図5(A)参照)、接続手段S2を電流検出手段70側に接続する。
【0045】読取用露光手段92により読取光L2を固体センサ10の導電層5側に走査露光すると、読取光L2は導電層5を透過し、この透過した読取光L2が照射された光導電層4は走査露光に応じて導電性を呈するようになる。これは上記放射線導電層2が放射線L1の照射を受けて正負の電荷対が生じることにより導電性を呈するのと同様に、読取光L2の照射を受けて正負の電荷対が生じることに依存するものである(図5(B)参照)。なお、記録過程と同様に、読取光L2によって生成される負電荷(−)および正電荷(+)を、図面上では−または+を○で囲んで表すものとする。
【0046】電荷輸送層3は正電荷に対しては導電体として作用するものであるから、光導電層4に生じた正電荷は蓄積電荷に引きつけられるように電荷輸送層3の中を急速に移動し、放射線導電層2と電荷輸送層3との界面で蓄積電荷と電荷再結合をし消滅する(図5(C)参照)。一方、光導電層4に生じた負電荷は導電層5の正電荷と電荷再結合をし消滅する(図5(C)参照)。光導電層4は読取光L2により十分な光量でもって走査露光されており、放射線導電層2と電荷輸送層3との界面に蓄積されている蓄積電荷、即ち静電潜像が全て電荷再結合により消滅せしめられる。このように、固体センサ10に蓄積されていた電荷が消滅するということは、固体センサ10に電荷の移動による電流Iが流れたことを意味するものであり、この状態は固体センサ10を電流量が蓄積電荷量に依存する電流源で表した図5(D)のような等価回路でもって示すことができる。
【0047】このように、読取光L2を走査露光しながら、静電記録体10から流れ出す電流を検出することにより、走査露光された各部(画素に対応する)の蓄積電荷量を順次読み取ることができ、これにより静電潜像を読み取ることができる。
【0048】また、本発明の放射線導電性材料は、電荷の読みだしのためにトランジスタを用いるタイプ(TFT方式)の固体センサにも用いることが可能である。図6はこのような電荷の読みだしのためにトランジスタを用いた固体センサの断面図、図7はこの固体センサの読取装置の概略構成図である。この固体センサは、一枚の誘電性支持体61と、この支持体61上に設けられた複数のアレイ状のトランジスタ62と、同じく支持体61上に設けられた複数のアレイ状の電荷蓄積キャパシタ63と、トランジスタ62およびキャパシタ63のさらに上に設けられた放射線導電層64と、放射線導電層64の上に設けられたバリアー誘電層65と、さらにその上に設けられた上部電極66とからなり、それぞれのキャパシタ63はトランジスタ62に接続された導電性のインナーマイクロプレート67を有し、さらに個々のインナーマイクロプレート67の表面には電荷バリアー層68が設けられているものであるが、この固体センサ60の放射線導電層64にも、本発明の放射線導電性材料を用いることができる。
【0049】固体センサ60の読み出しは、図7に示すように、固体センサ60から流れ出す電荷を時系列でマルチプレクサ76で取り出し、順次電荷を検出器75で検出することにより、蓄積電荷量を順次読み取ることができ、これにより静電潜像を読み取ることができる。この読み出し方法はの詳細は、SPIEVol.2432/237等に記載されている。
【0050】以下に本発明の放射線導電性材料作製の例として、X線導電性材料からなる膜作製の実施例を示す。
【0051】
【実施例】(実施例1)モレキュラシーブで脱水したメタノール100mlに、ヨウ化ビスマスとナイロン−6/ナイロン−66複合体であるナイロンCM4000(会社名:東レ(株))をそれぞれ1g加え、攪拌溶解温度60℃で完全に溶解させた。溶解後、60℃加温攪拌でメタノールを蒸発させて、高粘性のヨウ化ビスマス/ナイロンCM4000とした。この高粘性のヨウ化ビスマス/ナイロンCM4000をアルミ基板(基板温度0〜50℃)の上に滴下し、室温にてスパチュラで製膜した。製膜後、メタノール入りシャーレ中に、膜化したヨウ化ビスマス/ナイロンCM4000の付いた基板を静置し徐乾し、X線導電性材料からなる膜を得た。得られた膜厚は、200μmであった。
【0052】(比較例1)ヨウ化ビスマスとナイロン−6/ナイロン−66複合体であるナイロンCM400を50/50重量%の割合でそれぞれ秤量した。ナイロンCM4000を180〜210℃に加温したアルミ基板の上で溶解し、溶解したナイロンCM4000の上に、秤量したヨウ化ビスマスを添加し、スパチュラで数分間攪拌したのち、スパチュラで製膜し、これを室温まで放冷し、X線導電性材料からなる膜を得た。得られた膜厚は、200μmであった。
【0053】(比較例2)比較例1において、ナイロンCM4000のかわりに、11−ナイロンを用いた以外は、比較例1と同様にしてX線導電性材料からなる膜を得た。得られた膜厚は、200μmであった。
【0054】(評価)実施例および比較例で得られたX線導電性材料のヨウ化ビスマスの密度、およびX線フォトコン信号を測定した。X線フォトコン信号は、得られたX線導電性材料上に、金を5mm×5mm×600Åスパッタし、D1フォトコン評価装置(X−ray:80kV−10〜100mR、検出:ピコアンメータ)およびD6フォトコン評価装置(X−ray:80、120kV−20mR、検出:デジタルオシロスコープ)を用いて、単位体積当たりのX線フォトコン電流として測定した。また、暗電流は、最大X線フォトコン電流を示した印加電圧にて測定した。結果を表1に示す。
【0055】
【表1】

表1から明らかなように、ナイロン−6/ナイロン−66複合体であるナイロンCM4000を用いた場合(実施例1)には、アルコールに不溶の11−ナイロンを用いた場合(比較例2)に比較して、無機材料であるヨウ化ビスマスの密度が高く、X線フォトコン信号が4.4倍(単位体積当たりでは2.8倍)も大きくなった。また、暗電流も格段に良化した。なお、X線導電性材料の製造方法を比較すると、液層析出法(実施例1)の方が、融液析出法(比較例1)に比較して1.3倍X線フォトコン信号が良く、また製造ハンドリング特性が良好でしかも製造安定性が高かった。
【0056】以上の結果から明らかなように、本発明のアルコール可溶性ナイロンと放射線吸収能を有する無機材料とからなる放射線導電性材料により形成された薄膜は、従来の放射線導電性材料により形成された薄膜に比較して、格段に無機材料が均一に有機材料中に分散されているので、無機微粒子の塊状物が存在するといったことがなく、放射線フォトコン特性が向上し、電荷トラップが生じにくく、また、放射線照射をしていないときに流れる暗電流を小さく抑えることが可能となった。




 

 


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