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発明の名称 放射線像変換パネル
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−42094(P2001−42094A)
公開日 平成13年2月16日(2001.2.16)
出願番号 特願平11−214821
出願日 平成11年7月29日(1999.7.29)
代理人 【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳 (外3名)
【テーマコード(参考)】
2G083
【Fターム(参考)】
2G083 AA03 BB01 BB02 CC02 DD14 DD20 EE02 EE07 
発明者 小川 博
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 輝尽性蛍光体および熱可塑性樹脂を含有する蛍光体層を有する放射線像変換パネルにおいて、前記熱可塑性樹脂が30〜150℃の軟化点または融点を有するとともに、1.0kgf/mm2以下の弾性率を有し、且つ前記熱可塑性樹脂が精製処理されたことを特徴とする放射線像変換パネル。
【請求項2】 精製処理が、熱可塑性樹脂を溶解しない溶媒により熱可塑性樹脂を洗浄する工程を含む請求項1に記載の放射線像変換パネル。
【請求項3】 精製処理が、熱可塑性樹脂の溶液と貧溶媒とを混合し熱可塑性樹脂を再沈殿させる工程を含む請求項1または請求項2に記載の放射線像変換パネル。
【請求項4】 蛍光体層が、輝尽性蛍光体および熱可塑性樹脂を含有するシートを、50kgf/cm2以上の圧力、および前記熱可塑性樹脂の軟化点または融点より高い温度で、支持体上に熱圧着して形成されたことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の放射線像変換パネル。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、輝尽性蛍光体の特性を利用した放射線像変換パネルに関する。
【0002】
【従来の技術】従来の放射線写真法に代わる方法として、例えば、特開昭55−12145号公報に記載されているような輝尽性蛍光体を用いる放射線像変換方法が知られている。この方法は、輝尽性蛍光体を含有する放射線像変換パネル(蓄積性蛍光体シート)を利用するもので、被写体を透過した、あるいは被検体から発せられた放射線を該パネルの輝尽性蛍光体に吸収させ、その後、輝尽性蛍光体を可視光線、赤外線などの電磁波(励起光)で時系列的に励起することにより、該輝尽性蛍光体中に蓄積されている放射線エネルギーを蛍光(輝尽発光光)として放出させ、この蛍光を光照射側から光電的に読み取って電気信号を得、次いで得られた電気信号に基づいて被写体あるいは被検体の放射線画像を可視像として再生するものである。この方法は、従来の放射線写真法と比較して、はるかに少ない被曝線量で、情報量の豊富な放射線画像を得ることができるという利点を有する。従って、この方法は、特に、医療診断を目的とするX線撮影等において、非常に利用価値が高い。さらに、従来の放射線写真法では、用いる放射線写真フィルムを一回の撮影ごとに消費するのに対して、この放射線像変換方法では、再生された可視像を消去することが可能であるので、放射線像変換パネルを繰り返し使用でき、資源保護、経済効率の面からも有利である。
【0003】放射線像変換方法に用いられる放射線像変換パネルは、基本構造として、支持体とその片面に設けられた輝尽性蛍光体層とを有する。輝尽性蛍光体層は一般に、輝尽性蛍光体と、これを分散状態で含有支持する結合剤とをからなる層であり、輝尽性蛍光体はX線などの放射線を吸収したのち励起光の照射を受けると輝尽発光を示す性質を有する。従って、被写体を透過したあるいは被検体から発せられた放射線は、その放射線量に比例して放射線像変換パネルの輝尽性蛍光体層に吸収され、パネルには被写体あるいは被検体の放射線像が放射線エネルギーの蓄積像として形成される。この蓄積像は、上記励起光を照射することにより輝尽発光光として放出させることができ、この輝尽発光光を光電的に読み取って電気信号に変換することにより放射線エネルギーの蓄積像を画像化することが可能となる。
【0004】前記放射線像変換パネルについても、従来の放射線写真法に用いられる増感紙と同様に、高感度化、および得られる画像の高画質(鮮鋭度、粒状性など)化が望まれている。前記放射線像変換パネルの感度は、基本的には、パネルに含有されている輝尽性蛍光体の総輝尽発光量に依存し、この総発光量は、蛍光体自体の発光輝度のみならず、蛍光体層における蛍光体の含有量によっても異なる。蛍光体の含有量が多い程、X線等の放射線に対する吸収も大であるので、高い感度が得られ、同時に画質(特に、粒状性)が向上する。一方、蛍光体層における蛍光体の含有量が一定である場合は、蛍光体粒子が密に充填されている程、その層厚を薄くすることができるので、散乱による励起光の広がりを減少させることができ、相対的に高い鮮鋭度の画像を得ることができる。
【0005】例えば、特開昭59−126299号公報および特開昭59−126300号公報等には、蛍光体層を圧縮処理して、層中の蛍光体密度を高くした放射線像変換パネルが提案されている。この放射線像変換パネルは、高い鮮鋭度を有する画像を形成できる点で優れている。しかし、圧縮処理を施すことによって、蛍光体の一部が破壊され、画像の粒状性の面では、むしろ低下するという問題がある。この様な問題を解決するため、特開平2−278197号公報では、蛍光体層の結合剤として熱可塑性樹脂を用い、該熱可塑性樹脂の軟化点または融点以上の温度で、蛍光体層を圧縮して作製した放射線像変換パネルが提案されている。この放射線像変換パネルは、優れた鮮鋭度および粒状性を有する画像を形成し得る点で有用である。
【0006】ところで、放射線像変換方法の実施において、放射線像変換パネルは、放射線の照射(放射線像の記録)・励起光の照射(記録された放射線像の読出し)・消去光の照射(残存する放射線像の消去)というサイクルで繰り返し使用される。そして放射線像変換パネルの撮影装置内での各ステップへの移行は、ベルト、ローラーなどの搬送手段により行なわれる。従って、放射線像変換パネルは、搬送耐久性に優れているものが好ましい。ところが、前記の様な圧縮処理を施された放射線像変換パネルは、上記撮影装置内で繰り返し搬送されると、蛍光体層に亀裂が生じ易いという問題がある。このため、特開平8−36099号公報では、蛍光体層の結合剤として所定の軟化温度および所定の弾性率を有する熱可塑性エラストマーを用い、これを熱圧縮することにより亀裂の入り難い放射線像変換パネルを作製している。この放射線像変換パネルは、鮮鋭度の高い画像を形成できるとともに、搬送耐久性にも優れている点で有用である。近年の高画質化への要望に応えるべく、および繰り返し使用による性能の維持を担保すべく、放射線像変換方法パネルには、さらなる性能の向上が望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、搬送耐久性に優れ、しかも画質性能にすぐれた放射線像変換パネルを提供することを目的とする。詳しくは、本発明は、初期の画質が良好であるとともに、撮影装置内にて繰り返し搬送を長期間に亘って行なった場合でも、優れた画質の放射線画像を形成し得る放射線像変換パネルを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、蛍光体層に含有される結合剤中の不純物量が、放射線像変換パネルの発光特性や搬送耐久性に影響を及ぼしているとの知見を得、この知見に基づいて、本発明を完成するに至った。前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
<1> 輝尽性蛍光体および熱可塑性樹脂を含有する蛍光体層を有する放射線像変換パネルにおいて、前記熱可塑性樹脂は30〜150℃の軟化点または融点を有するとともに、1.0kgf/mm2以下の弾性率を有し、且つ前記熱可塑性樹脂は精製処理されたことを特徴とする放射線像変換パネル。
<2> 精製処理が、熱可塑性樹脂を溶解しない溶媒により熱可塑性樹脂を洗浄する工程を含む<1>に記載の放射線像変換パネル。
<3> 精製処理が、熱可塑性樹脂の溶液と貧溶媒とを混合し、熱可塑性樹脂を再沈殿させる工程を含む<1>または<2>に記載の放射線像変換パネル。
<4> 蛍光体層が、輝尽性蛍光体および熱可塑性樹脂を含有するシートを、50kgf/cm2以上の圧力、および前記熱可塑性樹脂の軟化点または融点より高い温度で、支持体上に熱圧着して形成されたことを特徴とする<1>から<3>までのいずれかに記載の放射線像変換パネル。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の放射線像変換パネルは、輝尽性蛍光体および熱可塑性樹脂を含有する蛍光体層を有する。該熱可塑性樹脂は、30〜150℃の軟化点または融点を有するとともに、1.0kgf/mm2以下の弾性率を有する。さらに、蛍光体層に含有される前記熱可塑性樹脂は、着色性成分や低分子成分等の不純物の量が精製処理によって低減されている。
【0010】本発明の放射線像変換パネルに、所定のエネルギーの放射線が入射されると、放射線は蛍光体層中に含有される輝尽性蛍光体に吸収される。その後、可視光または赤外光等の励起光を照射すると、輝尽性蛍光体は、吸収した放射線のエネルギーを蛍光として放出する。放出された蛍光は、集光装置に読み取られ、電気信号に変換され、該電気信号に基づいて、放射線による像は可視像へと変換される。本発明の放射線像変換パネルでは、蛍光体層の結合剤として含有される熱可塑性樹脂が、精製処理されているので、蛍光体層の着色の原因になる着色性成分等の量が低減されている。その結果、蛍光体層の発光特性は、着色性成分等の不純物による低下が少なく、本発明の放射線像変換パネルは高い発光特性を示し、形成画像は高画質化する。
【0011】また、蛍光体層に含有される熱可塑性樹脂は、所定の弾性率を有するとともに、精製処理によって、蛍光体層の膜強度を低下させる原因となる低分子成分等の不純物の量が低減されている。従って、本発明の放射線像変換パネルは高い搬送耐久性を有し、ベルト、ローラーなどの搬送手段により繰り返し搬送された場合も、蛍光体層に亀裂の発生等が起こり難く、前記性能を維持し得る。
【0012】以下、本発明の放射線像変換パネルに用いられ得る材料について説明する。蛍光体層に含有される熱可塑性樹脂は、蛍光体層の結合剤として機能し、輝尽性蛍光体を分散支持する。前記熱可塑性樹脂は、30〜150℃の軟化点または融点を有する。軟化点または融点が30℃未満であると、高温度環境下の使用が困難になる。一方、軟化点または融点が150℃を超えると、蛍光体層の高密度化に不都合になり、得られる放射線画像の高画質化が困難になる。熱可塑性樹脂の軟化点または融点は、好ましくは50〜100℃であり、より好ましくは60〜90℃である。尚、本明細書において、軟化点とはビカット軟化温度をいい、荷重がかかった標準圧子が試料(ポリマー)表面から所定量侵入した時の温度を測定することにより求められる。
【0013】前記熱可塑性樹脂は1.0kgf/mm2以下の弾性率を有する。前記熱可塑性樹脂の弾性率が1.0kgf/mm2を超えると、蛍光体層に亀裂等が発生し易くなり、搬送耐久性が低下する。前記熱可塑性樹脂の弾性率は、好ましくは、0.001〜0.8kgf/mm2である。また、前記熱可塑性樹脂の引張り強度は、好ましくは0.1〜20kgf/mm2であり、より好ましくは1〜15kgf/mm2であり、さらに好ましくは1〜10kgf/mm2である。前記熱可塑性樹脂の引張り伸度は、好ましくは10〜2000%であり、より好ましくは100〜1500%であり、さらに好ましくは200〜1500%である。
【0014】前記物性を有する熱可塑性樹脂としては、ポリウレタン、ポリエステル、アクリル系共重合体、ポリアミド、ポリブタジエン、エチレン酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、天然ゴム、フッ素ゴム、ポリイソプレン、塩素化ポリエチレン、スチレン−ブタジエン系ゴム、シリコンゴム等を挙げることができる。中でも、ポリウレタン、ポリエステル及びアクリル系共重合体が好ましく、特にポリウレタンが好ましい。
【0015】さらに、前記熱可塑性樹脂は、精製処理されたことを特徴とする。精製処理された熱可塑性樹脂を用いることによって、着色性成分や低分子成分等の不純物の量を低減することができ、放射線画像の高画質化および搬送高耐久性を同時に達成することができる。精製処理は、前記熱可塑性樹脂を溶解しない溶媒(貧溶媒)で、前記熱可塑性樹脂を洗浄修理することによって行うことができる。また、前記熱可塑性樹脂を溶媒に溶解した溶液と貧溶媒とを混合し、前記熱可塑性樹脂を再沈殿修理することにより行うこともできる。さらに、双方の処理を行うこともできる。
【0016】前記洗浄処理に使用され得る貧溶媒としては、熱可塑性樹脂に混入している不純物をより多く溶解する溶媒が好ましい。溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、n−ヘキサン、n−オクタン、石油エーテル等の炭化水素類、トリクロルエタン、フルオルトリクロルメタン、等のハロゲン化炭化水素類等が挙げられる。中でも、アルコール類が取り扱い易いので好ましい。また、再沈殿処理に使用され得る熱可塑性樹脂を溶解し得る溶媒(良溶媒)と貧溶媒とを、前記熱可塑性樹脂が溶解しない割合で混合した混合溶媒を使用することもできる。前記混合溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、ジエチルケトンなどのケトン類、およびまたは酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル類等(良溶媒)と、アルコール類、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類等(貧溶媒)との混合溶剤が好ましく用いられる。混合割合は、用いる熱可塑性樹脂の種類、および溶媒の種類によって調整される。
【0017】前記再沈殿処理に使用し得る熱可塑性樹脂の良溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル類;ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類;およびそれらの混合物等を挙げることができる。貧溶媒としては、前記洗浄処理に使用し得る貧溶媒と同様の溶媒を使用できる。
【0018】蛍光体層に含有される結合剤として、前記熱可塑性樹脂の1種類を単独で使用してもよいし、2種以上の混合物を使用してもよい。また、結合剤として、熱可塑性樹脂以外の樹脂(例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、およびポリイミド樹脂)を併用してもよい。但し、前記熱可塑性樹脂が結合剤の主成分であるのが好ましく、結合剤を構成している樹脂中、前記熱可塑性樹脂は30〜100重量%を占めているのが好ましく、60〜100重量%を占めているのがより好ましく、80〜100重量%を占めているのが特に好ましい。
【0019】蛍光体層に含有される輝尽性蛍光体とは、放射線を照射した後、励起光を照射すると輝尽発光を示す蛍光体をいう。実用的な面からは、波長400〜900nmの励起光によって、波長300〜500nmの輝尽性発光を示す蛍光体であるのが好ましい。本発明の放射線像変換パネルに用いられる輝尽性蛍光体としては、二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロゲン化物系蛍光体、セリウム付活アルカリ土類金属ハロゲン化物系蛍光体、およびセリウム付活希土類オキシハロゲン化物系蛍光体が、高輝度の輝尽性発光を示すので好ましい。
【0020】本発明の放射線像変換パネルは、一般的には、支持体上に蛍光体層が形成された構成である。支持体としては、プラスチック材料からなるフィルムまたはシート等を広く使用することができる。例えば、ガラス、金属の板、あるいは従来の放射線写真法における増感紙(または増感用スクリーン)の支持体として用いられている各種の材料、あるいは放射線像変換パネルの支持体として公知の材料から任意に選ぶことができる。例えば、セルロースアセテート、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、トリアセテート、ポリカーボネートなどのプラスチック物質のフィルム、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔などの金属シート、通常の紙、バライタ紙、レジンコート紙、二酸化チタンなどの顔料を含有するピグメント紙、ポリビニルアルコールなどをサイジングした紙、アルミナ、ジルコニア、マグネシア、チタニアなどのセラミックスの板あるいはシート等が挙げられる。支持体は、支持体としての充分な強度を有し、蛍光体層と充分な密着性を有する限り、いかなる材料からなっていてもよいが、放射線像変換パネルを、両面集光読み取り用のパネルとして用いる場合は、支持体は透明である必要がある。尚、支持体の厚みは、通常、10μm〜2mmであり、100μm〜1mmであるのが好ましい。
【0021】支持体と蛍光体層との結合を強化するため、あるいは放射線像変換パネルとしての感度もしくは画質(鮮鋭度、粒状性)を向上させるために、蛍光体層が設けられる側の支持体表面に、ゼラチンなどの高分子物質を塗布して接着性付与層としたり、あるいは二酸化チタン、酸化ガドリニウムなどの光反射性物質からなる光反射層、もしくはカーボンブラックなどの光吸収性物質からなる光吸収層などを設けることができる。さらに、特開昭58−200200号公報に記載されているように、得られる画像の鮮鋭度を向上させる目的で、支持体の蛍光体層側の表面(支持体の蛍光体層側の表面に接着性付与層、光反射層あるいは光吸収層などが設けられている場合には、その表面を意味する)には微小の凹凸が形成されていてもよい。
【0022】本発明の放射線像変換パネルは、蛍光体層以外に、その他の層を有していてもよい。例えば、蛍光体層の上に保護層を設けると、蛍光体層を物理的および化学的に保護することができる。前記保護層は光透過性であるのが好ましい。例えば、酢酸セルロース、ニトロセルロースなどのセルロース誘導体;あるいはポリメチルメタクリレート、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリカーボネート、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、弗素系樹脂(例、フルオロオレフィン・ビニルエーテル共重合体)等の透明なポリマーから構成されているのが好ましい。また、前記ポリマーを、ポリイソシアネート等の架橋剤で架橋したポリマーを使用することができる。さらに、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド等のプラスチックシートを使用することもできる。
【0023】得られる放射線画像の鮮鋭度を向上させる目的で、蛍光体層あるいはその他の層に励起光を吸収し、輝尽発光光は吸収しないような着色剤を加えてもよい(特公昭59−23400号参照)。また、前記着色剤を含む着色層を別途設けてもよい。
【0024】本発明の放射線像変換パネルには、放射線像変換パネルの少なくとも一辺の端部(側面部)に縁貼り層を設けることができる。縁貼り層を設けると、放射線像変換パネルの耐搬送特性、特に耐衝撃性及び耐汚染性が向上するので好ましい。縁貼り層の材料としては、例えば、特開昭62−3700号公報に記載の線状ポリエステルまたは線状ポリエステルと塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体とのポリマー混合物、特開平4−2998号公報に記載の有機溶媒可溶性フッ素系樹脂等を挙げることができる。また、特開平7−140300号公報に詳細に記載されているシリコーン系ポリマーとポリイソシアネートとからなる材料も好ましく挙げらる。
【0025】本発明の放射線像変換パネルは、例えば、以下の方法により製造することができる。まず、前記輝尽性蛍光体と前記熱可塑性樹脂とを適当な溶媒に加え、これを充分に混合して熱可塑性樹脂溶液中に、輝尽性蛍光体が均一に分散した蛍光体層形成用塗布液を調製する。熱可塑性樹脂は、着色性の不純物等を除去するために精製さた後使用される。精製方法は一般的に公知な方法により行うことができるが、特に前記した熱可塑性樹脂を溶解せず不純物を溶解する有機溶媒によって洗浄する方法、および熱可塑性樹脂を溶剤で溶解後、熱可塑性樹脂の貧溶媒と混合して熱可塑性樹脂を再沈殿させ、不純物を除去する方法が好ましい。尚、塗布液の調製に用いられる溶媒としては、前記精製処理で用いる熱可塑性樹脂の良溶媒として例示した溶媒が好ましい。
【0026】前記塗布液における、結合剤(熱可塑性樹脂を含む。)と輝尽性蛍光体との混合比は、目的とする放射線像変換パネルの特性、蛍光体の種類等によって異なるが、一般的には、結合剤と蛍光体との混合比は1:1〜1:100(重量比)であるのが好ましく、特に1:8〜1:40(重量比)であるのが好ましい。
【0027】尚、前記塗布液には、該塗布液中における蛍光体の分散性を向上させるため、分散剤、および形成後の蛍光体層中における結合剤と蛍光体との間の結合力を向上させるための可塑剤等の種々の添加剤が混合されていてもよい。そのような目的に用いられる分散剤の例としては、フタル酸、ステアリン酸、カプロン酸、親油性界面活性剤などを挙げることができる。そして可塑剤の例としては、燐酸トリフェニル、燐酸トリクレジル、燐酸ジフェニルなどの燐酸エステル;フタル酸ジエチル、フタル酸ジメトキシエチルなどのフタル酸エステル;グリコール酸エチルフタリルエチル、グリコール酸ブチルフタリルブチルなどのグリコール酸エステル;トリエチレングリコールとアジピン酸とのポリエステル、ジエチレングリコールとコハク酸とのポリエステルなどのポリエチレングリコールと脂肪族二塩基酸とのポリエステル;等を挙げることができる。
【0028】次に、前記の様にして調製した蛍光体層形成用塗布液を、シート形成用の仮支持体の表面に均一に塗布することにより、前記塗布液の塗膜を形成する。塗布は、例えば、ドクターブレード、ロールコーター、ナイフコーター等の一般的な塗布操作により行なうことができる。前記仮支持体としては、前記支持体と同様なものが挙げられる。前記仮支持体上に蛍光体層形成用塗布液を塗布し、乾燥して塗膜を形成した後、該塗膜を仮支持体から剥離して、放射線像変換パネルの蛍光体層となる蛍光体シートを得る。前記仮支持体の表面に、予め離型剤を塗布して、形成された塗膜が仮支持体から剥離し易いようにしておくのが好ましい。
【0029】次に、得られた蛍光体シートを適当な支持体上に載せ、前記熱可塑性樹脂の軟化点または融点より高い温度で、且つ50kgf/cm2以上の圧力(好ましくは200〜700kgf/cm2圧力)で、支持体上に熱圧着する。熱圧着処理は、カレンダーロール、ホットプレス等を用いて実行できる。例えば、カレンダーロールを用いた場合、前記蛍光体シートを支持体上に載せた状態で、一対のカレンダーロール間を一定の速度で通過させて、蛍光体シートを支持体上に熱圧着することができる。前記一対のカレンダーロールは、前記熱可塑性樹脂の軟化点または融点より高い温度に設定され、且つ、支持体と蛍光シートに50kgf/cm2以上の圧力が加圧される様に配置される。
【0030】熱圧着は、前記熱可塑性樹脂の軟化点または融点より10〜50℃高い温度で行うのが好ましい。前記温度範囲で熱圧着を行うと、搬送耐久性および画質性能により優れた放射線像変換パネルになるので好ましい。また、一対のカレンダーロール上下のロール温度は、一般には、同じ温度に設定されているのが好ましい。また、ロール間の送り速度は、0.1〜5.0m/分であるのが好ましい。この様に、蛍光体層を前記条件で熱圧着により形成すると、蛍光体層の密度が高くなり、より鮮鋭度の高い画像が得られるので好ましい。尚、蛍光体層の厚みは、通常、20μm〜1mmであり、50μm〜500μmであるのが好ましい。
【0031】尚、前記蛍光体シートが自己支持性を有する場合には、本発明の放射線像変換パネルは蛍光体シートのみから構成されていてもよい。
【0032】本発明の放射線像変換パネルが保護層を有する場合は、保護層の材料を溶媒中に溶解して調製した保護層形成用塗布液を、蛍光体層上に塗布し、乾燥することによって、保護層を形成する。また、保護層は、保護層形成用シートを別に形成して蛍光体層の表面に適当な接着剤を用いて接着する等の方法によっても形成することができる。尚、保護層の厚みは、一般的に、約0.1〜20μmであるのが好ましい。
【0033】
【実施例】以下、実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例によって、なんら制限されるものではない。尚、文中「部」とあるのは、特に断りのない限り「重量部」を意味するものとする。
[実施例1]
・熱可塑性樹脂の精製1ポリウレタン樹脂(大日本インキ化学工業製、「パンデックスT5265H」(米粒状固形))を100部とメタノールを300部、容器中で24時間ゆっくりと撹拌してポリウレタン樹脂中の不純物を抽出した。その後、ポリウレタン樹脂とメタノールとを分離し、ポリウレタン樹脂を室温で24時間乾燥し、その後、約5Torrで24時間減圧乾燥して、精製ポリウレタン樹脂を得た。分離したメタノールはやや黄色く着色していた。
【0034】・蛍光体シートの作製輝尽性蛍光体(BaFBr0.85I0.15:Eu2+)を200gと、前記精製ポリウレタン樹脂(15%メチルエチルケトン溶液)を固形分で8.0gと、黄変防止剤(エポキシ樹脂、「EP1001」;油化シエルエポキシ(株)製)を2.0gとを、メチルエチルケトン(以下、「MKE」と記す。)に加え、プロペラミキサーで分散させて、粘度が30PS(25℃)の塗布液を調製した(前記ポリウレタン樹脂/前記蛍光体比=1/20)。これをシリコン系離型剤が塗布されているポリエチレンテレフタレート(仮支持体、厚み180μm)上に塗布し、乾燥した後、仮支持体から剥離して蛍光体シート(厚み250μm)を形成した。
【0035】
・反射(下塗)層の形成 酸化ガドリニウム(Gd23)の微細粒子 30g (全粒子の90重量%の粒子の粒子径が1〜5μmの範囲にあるもの)
結合剤:軟質アクリル樹脂 30g (「クリスコートP−1018GS」20%溶液;大日本インキ化学工業( 株))
フタル酸エステル 3.5g 導電剤:ZnOウイスカー 10g 着色剤:群青 0.4g上記組成の材料を、MEKに加え、プロペラミキサーを用いて分散、混合して、粘度が10PS(20℃)の反射(下塗)層形成用塗布液を調製した。厚さ300μmのポリエチレンテレフタレート支持体上に均一塗布した後、塗布膜の乾燥を行ない、支持体上に反射層(層厚:20μm)を形成した。
【0036】次に、支持体上に形成された反射層上に、先に作製しておいた蛍光体シートをカレンダーロールを用いて熱圧着した。熱圧着時の条件は、圧力500kgf/cm2、上ロール温度90℃、下ロール温度75℃、送り速度を1.0m/分に設定した。この操作により、蛍光体シートと支持体(反射層)とは完全に融着し、支持体上に厚さ220μmの蛍光体層が形成された。
【0037】
・保護層の形成 フッ素系樹脂:フルオロオレフィン・ビニルエーテル共重合体 50g (ルミフロン LF−504X (40% 溶液)、旭硝子(株)製)
架橋剤:ポリイソシアネート 9g (スミジュールN3500、住友化学(株)製)
滑り剤:アルコール変性シリコーン 0.5g (「X−22−2809」の66%溶液;信越化学工業(株)製)
触媒:ジブチルチンジラウレート 3mg (KS1260、 共同薬品(株)製)
エポスターS6:メラミン樹脂粒子 10g上記組成の材料を、MEKに溶解して、粘度0.3PSの塗布液を調製した。この塗布液を9μのポリエチレンテレフタレート上に塗布した後、120℃で30分間熱処理して熱硬化させるとともに乾燥した後、裏面にポリエステル系の接着剤層を設けて接着剤層と蛍光体層を100℃50kgf/cm2で熱圧着させて保護層を形成した。
【0038】
・縁貼り層の形成 シリコーン系ポリマー 70g (ポリジメチルシロキサン単位を有するポリウレタン、「ダイアロマーSP −3023」の15重量%溶液(溶媒:MEKとトルエンの混合溶媒));
大日精化(株)製)
架橋剤:ポリイソシアネート 3g (「クロスネートD−70」(50wt% 溶液);大日精化(株)製)
黄変防止剤:エポキシ樹脂 0.6g (「EP1001」[固形];油化シエルエポキシ(株)製)
滑り剤:アルコール変性シリコーン 0.2g (「X−22−2809」(66% 溶液);信越化学工業(株)製)
上記組成の材料を、MEK15gに加え、溶解させて、縁貼り形成用塗布液を調製した。先に作製した支持体、下塗層、蛍光体層及び保護層から構成されたパネルの各側面に塗布し、室温で充分乾燥させて、膜厚25μmの縁貼り層を形成した。
【0039】前記の様にして、支持体、下塗層、蛍光体層、保護層及び縁貼り層から構成された放射線像変換パネルを製造した。
【0040】[実施例2]実施例1において使用した精製ポリウレタン樹脂に代えて、以下の熱可塑性樹脂の精製2で得られた精製軟質アクリル樹脂を使用した以外は、実施例1と同様にして支持体、下塗層、蛍光体層、保護層及び縁貼り層から構成された放射線像変換パネルを製造した。
・熱可塑性樹脂の精製2軟質アクリル樹脂(大日本インキ化学工業製、「クリスコートP1018A」(20%トルエン溶液))100部を、メタノール500部中にゆっくりと滴下し、樹脂を再沈殿させた。沈殿した樹脂を溶媒と分離し、室温で24時間、減圧下で24時間乾燥し、精製軟質アクリル樹脂を得た。
【0041】[比較例1]実施例1において使用したポリウレタン樹脂を精製しないで使用した以外は、実施例1と同様にして支持体、下塗層、蛍光体層、保護層及び縁貼り層から構成された放射線像変換パネルを製造した。
【0042】[比較例2]実施例2において使用した軟質アクリル樹脂を精製しないで使用した以外は、実施例2と同様にして支持体、下塗層、蛍光体層、保護層及び縁貼り層から構成された放射線像変換パネルを製造した。
【0043】(1)使用した熱可塑性樹脂の物性値の測定上記実施例および比較例の放射線像変換パネルの製造に使用したウレタン樹脂、軟質アクリル樹脂の物性を下記の様にして求めた。
■ 弾性率、引張強度、および引張伸度の測定樹脂をMEKに溶解して13重量%溶液を調製する。この溶液を表面に離型層を有するベースに塗布、乾燥して、得られた皮膜(膜厚100μm)をベースから剥離した。得られた皮膜をカミソリで切断して5mm×25mm(内、つかみ部は両端の5mm)の寸法の試験片を作製した。試験装置として、JIS−B−7721に準ずる引張試験機であるテンシロンUTM−II−20(東洋ボールドウィン(株)製)を使用して、前記試験片の両端の5mmを、試験機のつかみ具(つかみ具間隔15mm)に取りつけて固定し、40mm/分(25℃、50%RHの環境下)の引張速度で引張試験を実施し、応力−歪み(伸び)曲線(S−Sカーブ)を得た。その他の条件は、JIS−K−6251に準じて行なった。応力−伸び曲線より前記物性値を得た。
■ 軟化点の測定同様の試験片を用い、ビカット軟化温度測定器として島津製作所(株)製の「TMA−50」を使用し、軟化点を測定した。加重500gfで測定端子が250μm試料片に進入した温度を軟化点とした。測定した前記物性を以下の表1に示す。
【0044】
【表1】

【0045】(2)得られた放射線像変換パネルの評価次に、上記で得られた放射線像変換パネルについて、画質及び搬送耐久性について下記のように評価した。
■ 画質評価得られた放射線像変換パネルに、管電圧80KVpのX線を照射したのち、He−Neレ−ザ−光(632.8nm)で走査して蛍光体を励起し、蛍光体層から放射される輝尽性発光を受光して電気信号に変換し、これを画像再生装置によって画像として再生して表示装置上に画像を得た。得られた蛍光体層から輝尽性発光光量を測定し、また、得られた画像の変調伝達関数(MTF)(空間周波数:2サイクル/mm)により鮮鋭度を、また0.1mRの線量における粒状性(RM)を測定した。結果を表2に示す。表2中、鮮鋭度の値が大きいもの程、および粒状性の値が小さいもの程、形成画像の画質が高いことを示す。
【0046】■ 搬送耐久性評価得られた各試験片を、図1に示した試験用の搬送装置20内に搬送させた。まず矢印21の搬入口からシートを送り込み、ガイド板22およびニップロール23(直径:25mm)の間を通過させ、搬送用ベルト24によりゴムロール25(直径:40mm)に沿って内側に曲げ、次いでガイド板26の間を通過させ、搬送用ベルト27によりゴムロール28(直径:40mm)に沿って外側に曲げたのち、更にガイド板29およびニップロール30の間を通過させた。
【0047】その後再びニップロール30の間を、前記とは逆方向から通過させ、さらに前記とは全て逆方向にニップロール23の間まで通過させた。以上の操作を、搬送耐久性評価試験における1往復とする。この搬送操作を10000往復繰り返し実施し、1000回毎に試験片の蛍光体層の損傷(亀裂)状態を観察した。結果を表2に示す。
【0048】
【表2】

【0049】表2の結果から明らかなように、精製した熱可塑性樹脂を使用した実施例1及び2で得られた放射線像変換パネルは、精製しない熱可塑性樹脂を各々使用した比較例1および2で得られた放射線像変換パネルと比較して、パネル発光特性に優れ、しかも搬送操作を繰り返した場合も蛍光体層に亀裂等が発生し難いことが実証された。
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、搬送耐久性に優れ、しかも画質性能にすぐれた放射線像変換パネルを提供することができる。




 

 


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