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発明の名称 放射線像変換パネルの製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−21695(P2001−21695A)
公開日 平成13年1月26日(2001.1.26)
出願番号 特願平11−193131
出願日 平成11年7月7日(1999.7.7)
代理人 【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳 (外3名)
【テーマコード(参考)】
2G083
4H001
【Fターム(参考)】
2G083 AA03 BB01 CC02 DD11 EE10 
4H001 CA04 CA08 XA03 XA08 XA09 XA11 XA12 XA13 XA14 XA17 XA19 XA20 XA21 XA31 XA35 XA37 XA38 XA39 XA40 XA48 XA49 XA53 XA55 XA56 XA71 XA81 YA58 YA59 YA60 YA62 YA63 YA64 YA65 YA66 YA67 YA68 YA69 YA70
発明者 舟橋 真人
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 少なくとも、支持体表面に、輝尽性蛍光体とバインダーとを含有する蛍光体層塗布液を塗布および乾燥することにより、蛍光体層を形成する放射線像変換パネルの製造方法であって、前記輝尽性蛍光体の焼成物を、前記バインダーが溶解可能な分散媒に分散することによりほぐし処理を行い、スラリーを得るほぐし工程と、ほぐし工程で得られたスラリーを湿式分級することにより、スラリー中の一定粒度以上の粒子を除去する湿式分級工程と、湿式分級工程で得られた、一定粒度以上の粒子が除去されたスラリーに、少なくとも前記バインダーを添加し、前記分散媒を溶媒とする蛍光体層塗布液を調製する塗布液調製工程と、塗布液調製工程で得られた蛍光体層塗布液を、前記支持体表面に塗布および乾燥して蛍光体層を形成する蛍光体層形成工程と、を含むことを特徴とする放射線像変換パネルの製造方法。
【請求項2】 前記分散媒が、有機溶媒であることを特徴とする請求項1に記載の放射線像変換パネルの製造方法。
【請求項3】 湿式分級工程と塗布液調製工程との間に、湿式分級工程で得られた、一定粒度以上の粒子が除去されたスラリーを濃縮して、スラリー中の輝尽性蛍光体濃度を調整する蛍光体濃度調整工程を有することを特徴とする請求項1または2に記載の放射線像変換パネルの製造方法。
【請求項4】 少なくとも、支持体表面に、輝尽性蛍光体とバインダーとを含有する蛍光体層塗布液を塗布および乾燥することにより、蛍光体層を形成する放射線像変換パネルの製造方法であって、前記輝尽性蛍光体の焼成物を、分散媒に分散することによりほぐし処理を行い、スラリーを得るほぐし工程と、ほぐし工程で得られたスラリーを湿式分級することにより、スラリー中の一定粒度以上の粒子を除去する湿式分級工程と、湿式分級工程で得られた、一定粒度以上の粒子が除去されたスラリー中の前記分散媒を、前記バインダーが溶解可能な溶媒に置換える溶媒置換工程と、分散媒が溶媒に置換されたスラリーに、少なくともバインダーを添加し、蛍光体層塗布液を調製する塗布液調製工程と、塗布液調製工程で得られた蛍光体層塗布液を、前記支持体表面に塗布し乾燥して蛍光体層を形成する蛍光体層形成工程と、を含むことを特徴とする放射線像変換パネルの製造方法。
【請求項5】 溶媒置換工程において、分散媒を溶媒に置換するとともにスラリーを濃縮して、スラリー中の輝尽性蛍光体濃度を調整することを特徴とする請求項4に記載の放射線像変換パネルの製造方法。
【請求項6】 湿式分級工程における湿式分級の操作を複数回行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載の放射線像変換パネルの製造方法。
【請求項7】 湿式分級工程において用いるメッシュの最終メッシュサイズが、50μm以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1に記載の放射線像変換パネルの製造方法。
【請求項8】 前記輝尽性蛍光体が、下記組成式(I):(Ba1-a,MIIa)FX・bMI・cMIII・dA:xLn 組成式(I)
〔式中、MIIは、Sr、Ca、Mgからなる群より選択される少なくとも一種のアルカリ土類金属を表し、MIは、Li、Na、K、Rb、Csからなる群より選択される少なくとも一種のアルカリ金属の化合物を表し、MIIIは、Al、Ga、In、Tl、Sc、Y、Cd、Luからなる群より選択される少なくとも一種の三価金属の化合物(但し、Al23を除く)を表す。Xは、Cl、Br、Iからなる群より選択される少なくとも一種のハロゲンを表し、Lnは、Ce、Pr、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Nd、Er、TmおよびYbからなる群より選択される少なくとも一種の希土類元素を表す。Aは、Al23、SiO2、ZrO2からなる群より選択される少なくとも一種の金属酸化物を表す。a、b、c、d、およびxはそれぞれ、0≦a≦0.3、0≦b≦2、0≦c≦2、0≦d≦0.5、0<x≦0.2を表す。〕で表される希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1に記載の放射線像変換パネルの製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、輝尽性蛍光体を利用する放射線像変換方法に用いられる放射線像変換パネルの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の放射線写真法に代わる方法として、輝尽性蛍光体を用いる放射線像記録再生方法が知られている。この方法は、輝尽性蛍光体を含有する放射線像変換パネル(蓄積性蛍光体シート)を利用するもので、被写体を透過した、あるいは被検体から発せられた放射線を該パネルの輝尽性蛍光体に吸収させ、そののちに輝尽性蛍光体を可視光線、赤外線などの電磁波(励起光)で時系列的に励起することにより、該輝尽性蛍光体中に蓄積されている放射線エネルギーを蛍光(輝尽発光光)として放出させ、この蛍光を光電的に読み取って電気信号を得、次いで得られた電気信号に基づいて被写体あるいは被検体の放射線画像を可視像として再生するものである。読み取りを終えた該パネルは、残存する画像の消去が行われた後、次の撮影のために備えられる。すなわち、放射線像変換パネルは繰り返し使用することができる。
【0003】上記の放射線像記録再生方法によれば、従来の放射線写真フィルムと増感紙との組合せを用いる放射線写真法による場合に比較して、はるかに少ない被曝線量で情報量の豊富な放射線画像を得ることができるという利点がある。さらに、従来の放射線写真法では一回の撮影ごとに放射線写真フィルムを消費するのに対して、この放射線像記録再生方法では放射線像変換パネルを繰返し使用するので、資源保護、経済効率の面からも有利である。
【0004】輝尽性蛍光体は、放射線を照射した後、励起光を照射すると輝尽発光を示す蛍光体であるが、実用上では、波長が400〜900nmの範囲にある励起光によって300〜500nmの波長範囲の輝尽発光を示す蛍光体が一般的に利用される。従来から放射線像変換パネルに用いられてきた輝尽性蛍光体の例としては、希土類賦活アルカリ土類金属ハロゲン化物系蛍光体を挙げることができる。
【0005】放射線像記録再生方法に用いられる放射線像変換パネルは、基本構造として、支持体とその表面に設けられた輝尽性蛍光体層(以下、単に「蛍光体層」という場合がある。)とからなるものである。ただし、蛍光体層が自己支持性である場合には、必ずしも支持体を必要としない。蛍光体層は、通常は輝尽性蛍光体と、これを分散状態で含有支持する結合剤とからなる。ただし、蛍光体層としては、蒸着法や焼結法によって形成される結合剤を含まないで輝尽性蛍光体の凝集体のみから構成されるものも知られている。また、輝尽性蛍光体の凝集体の間隙に高分子物質が含浸されている蛍光体層を持つ放射線像変換パネルも知られている。これらのいずれの蛍光体層でも、輝尽性蛍光体はX線などの放射線を吸収したのち励起光の照射を受けると輝尽発光を示す性質を有するものであるから、被写体を透過したあるいは被検体から発せられた放射線は、その放射線量に比例して放射線像変換パネルの蛍光体層に吸収され、パネルには被写体あるいは被検体の放射線像が放射線エネルギーの蓄積像として形成される。この蓄積像は、上記励起光を照射することにより輝尽発光光として放出させることができ、この輝尽発光光を光電的に読み取って電気信号に変換することにより放射線エネルギーの蓄積像を画像化することが可能となる。
【0006】前記の希土類賦活アルカリ土類金属ハロゲン化物系輝尽性蛍光体は、感度が優れ、また放射線像変換パネルとして使用した場合に鮮鋭度の高い放射線再生画像をもたらすため、実用上において優れた輝尽性蛍光体ということができる。しかしながら、放射線像記録再生方法の実用化が進むにつれて、更に高特性の輝尽性蛍光体への要望が高まっている。
【0007】ところで、一般に蛍光体層は、適当な溶剤に輝尽性蛍光体およびバインダーを添加し分散および溶解した蛍光体層塗布液を調製し、これを支持体表面に塗布および乾燥して形成されるが、この蛍光体層塗布液に用いる輝尽性蛍光体に粗大粒子が含まれると、得られる放射線像変換パネルの粒状性を低下させてしまう。粗大粒子を除去するべく、焼成後の輝尽性蛍光体を再度分散媒に分散することによりほぐし処理を行い、得られたスラリーを湿式分級することが開示されている(特開平11−106748号公報)。この方法によれば、輝尽性蛍光体の焼成による粗大粒子が大幅に低減され、粒状性の良好な放射線像変換パネルを製造することができる。しかし、この方法においても湿式分級後のスラリーを乾燥させて、再度輝尽性蛍光体の粒子を得た後に蛍光体層塗布液の調製に供するため、前記乾燥の際に、程度の差こそあれ、再度粒子同士が凝集し粗大粒子を形成してしまう可能性がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】したがって本発明は、極めて良好な粒状性を有する放射線像変換パネルの製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的は、以下の本発明により達成される。すなわち本発明は、<1> 少なくとも、支持体表面に、輝尽性蛍光体とバインダーとを含有する蛍光体層塗布液を塗布および乾燥することにより、蛍光体層を形成する放射線像変換パネルの製造方法であって、前記輝尽性蛍光体の焼成物を、前記バインダーが溶解可能な分散媒に分散することによりほぐし処理を行い、スラリーを得るほぐし工程と、ほぐし工程で得られたスラリーを湿式分級することにより、スラリー中の一定粒度以上の粒子を除去する湿式分級工程と、湿式分級工程で得られた、一定粒度以上の粒子が除去されたスラリーに、少なくとも前記バインダーを添加し、前記分散媒を溶媒とする蛍光体層塗布液を調製する塗布液調製工程と、塗布液調製工程で得られた蛍光体層塗布液を、前記支持体表面に塗布および乾燥して蛍光体層を形成する蛍光体層形成工程と、を含むことを特徴とする放射線像変換パネルの製造方法である。
【0010】<2> 前記分散媒が、有機溶媒であることを特徴とする<1>に記載の放射線像変換パネルの製造方法である。
【0011】<3> 湿式分級工程と塗布液調製工程との間に、湿式分級工程で得られた、一定粒度以上の粒子が除去されたスラリーを濃縮して、スラリー中の輝尽性蛍光体濃度を調整する蛍光体濃度調整工程を有することを特徴とする<1>または<2>に記載の放射線像変換パネルの製造方法である。
【0012】<4> 少なくとも、支持体表面に、輝尽性蛍光体とバインダーとを含有する蛍光体層塗布液を塗布および乾燥することにより、蛍光体層を形成する放射線像変換パネルの製造方法であって、前記輝尽性蛍光体の焼成物を、分散媒に分散することによりほぐし処理を行い、スラリーを得るほぐし工程と、ほぐし工程で得られたスラリーを湿式分級することにより、スラリー中の一定粒度以上の粒子を除去する湿式分級工程と、湿式分級工程で得られた、一定粒度以上の粒子が除去されたスラリー中の前記分散媒を、前記バインダーが溶解可能な溶媒に置換える溶媒置換工程と、分散媒が溶媒に置換されたスラリーに、少なくともバインダーを添加し、蛍光体層塗布液を調製する塗布液調製工程と、塗布液調製工程で得られた蛍光体層塗布液を、前記支持体表面に塗布し乾燥して蛍光体層を形成する蛍光体層形成工程と、を含むことを特徴とする放射線像変換パネルの製造方法である。
【0013】<5> 溶媒置換工程において、分散媒を溶媒に置換するとともにスラリーを濃縮して、スラリー中の輝尽性蛍光体濃度を調整することを特徴とする<4>に記載の放射線像変換パネルの製造方法である。
【0014】<6> 湿式分級工程における湿式分級の操作を複数回行うことを特徴とする<1>〜<5>のいずれか1に記載の放射線像変換パネルの製造方法である。
【0015】<7> 湿式分級工程において用いるメッシュの最終メッシュサイズが、50μm以下であることを特徴とする<1>〜<6>のいずれか1に記載の放射線像変換パネルの製造方法である。
【0016】<8> 前記輝尽性蛍光体が、下記組成式(I):(Ba1-a,MIIa)FX・bMI・cMIII・dA:xLn 組成式(I)
〔式中、MIIは、Sr、Ca、Mgからなる群より選択される少なくとも一種のアルカリ土類金属を表し、MIは、Li、Na、K、Rb、Csからなる群より選択される少なくとも一種のアルカリ金属の化合物を表し、MIIIは、Al、Ga、In、Tl、Sc、Y、Cd、Luからなる群より選択される少なくとも一種の三価金属の化合物(但し、Al23を除く)を表す。Xは、Cl、Br、Iからなる群より選択される少なくとも一種のハロゲンを表し、Lnは、Ce、Pr、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Nd、Er、TmおよびYbからなる群より選択される少なくとも一種の希土類元素を表す。Aは、Al23、SiO2、ZrO2からなる群より選択される少なくとも一種の金属酸化物を表す。a、b、c、d、およびxはそれぞれ、0≦a≦0.3、0≦b≦2、0≦c≦2、0≦d≦0.5、0<x≦0.2を表す。〕で表される希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体であることを特徴とする<1>〜<7>のいずれか1に記載の放射線像変換パネルの製造方法である。
【0017】本発明は、ほぐし処理により良好に分散された輝尽性蛍光体を再度乾燥させることなく、溶液への分散状態で蛍光体層塗布液を調製し、これを塗布して蛍光体層を形成しているため、乾燥による凝集を生ずることがなく、得られる放射線象変換パネルは、極めて粒状性が高いものとなる。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の放射線像変換パネルの製造方法を、以下に詳しく説明する。
【0019】[輝尽性蛍光体の焼成物]本発明において、前記輝尽性蛍光体の焼成物としては、得ようとする放射線像変換パネルの特性に応じて、如何なるものをも選択することができる。
【0020】好ましい輝尽性蛍光体の焼成物は、下記組成式(I):(Ba1-a,MIIa)FX・bMI・cMIII・dA:xLn 組成式(I)
〔式中、MIIは、Sr、Ca、Mgからなる群より選択される少なくとも一種のアルカリ土類金属を表し、MIは、Li、Na、K、Rb、Csからなる群より選択される少なくとも一種のアルカリ金属の化合物を表し、MIIIは、Al、Ga、In、Tl、Sc、Y、Cd、Luからなる群より選択される少なくとも一種の三価金属の化合物(但し、Al23を除く)を表す。Xは、Cl、Br、Iからなる群より選択される少なくとも一種のハロゲンを表し、Lnは、Ce、Pr、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Nd、Er、TmおよびYbからなる群より選択される少なくとも一種の希土類元素を表す。Aは、Al23、SiO2、ZrO2からなる群より選択される少なくとも一種の金属酸化物を表す。a、b、c、d、およびxはそれぞれ、0≦a≦0.3、0≦b≦2、0≦c≦2、0≦d≦0.5、0<x≦0.2を表す。〕で表される輝尽性蛍光体の焼成物である。
【0021】上記組成式(I)で表される輝尽性蛍光体の焼成物は、従来公知の如何なる方法で製造してもよいが、例えば、以下に示す工程a)〜d)を経ることにより製造することができる。
a)まず、BaBr2の水溶液にEuのハロゲン化物およびCaのハロゲン化物を添加する。更に、必要に応じてアルカリ金属Mの化合物(ハロゲン化物、亜硝酸塩、硝酸塩、酢酸塩など)を添加する。なお、このアルカリ金属化合物は、必ずしもここで添加する必要はなく、後述の工程c)における蛍光体前駆体結晶と酸化物との混合時に添加してもよい。このとき、所望により更に、少量の酸、アンモニア、アルコール、水溶性高分子ポリマー、不溶性の金属酸化物微粒子粉体などを添加してもよい。この溶液(反応母液)は20〜100℃の温度に維持される。また、反応開始前のこの溶液中のBaBr2濃度は、好ましくは0.9〜1.6モル/Lである。次に、20〜100℃、好ましくは40〜80℃、特に60℃付近に維持されたこの溶液(反応母液)を撹拌しながら、無機弗化物(弗化アンモニウムの水溶液、弗化バリウムのスラリーなど)をポンプ付きのパイプなどを用いて一定の速度で注入する。この注入は、撹拌が特に激しく実施されている領域部分に行うのが好ましい。この無機弗化物の反応母液への注入によって、希土類賦活弗化臭化バリウム系蛍光体前駆体結晶(以下、BFB結晶という)が沈殿する。次いで、該BFB結晶を濾過、遠心分離などによって溶媒から分離し、メタノールなどによって充分に洗浄し、乾燥する。
【0022】b)BaI2の水溶液にEuのハロゲン化物を添加する。このとき、所望により更に少量の酸、アンモニア、アルコール、水溶性高分子ポリマー、不溶性の金属酸化物微粒子粉体などを添加してもよい。この溶液(反応母液)は20〜100℃の温度に維持される。また、反応開始前のこの溶液中のBaI2濃度は、好ましくは2.9〜4.2モル/Lである。次に、20〜100℃、好ましくは40〜80℃、特に60℃付近に維持されたこの溶液(反応母液)を撹拌しながら、無機弗化物(弗化水素の水溶液、弗化バリウムのスラリーなど)をポンプ付きのパイプなどを用いて一定の速度で注入する。この注入は、撹拌が特に激しく実施されている領域部分に行うのが好ましい。この無機弗化物の反応母液への注入によって、希土類賦活弗化沃化バリウム系蛍光体前駆体結晶(以下、BFI結晶という)が沈殿する。次いで、該BFI結晶を、濾過、遠心分離などによって溶媒から分離し、イソプロパノールなどによって充分に洗浄し、乾燥する。
【0023】c)上記のBFB結晶およびBFI結晶に、酸化物A(Al23、SiO2など)の微粒子、並びに必要に応じてアルカリ金属Mのハロゲン化物、BaF2および/またはBaBr2を撹拌しながら充分に混合する。なお、この酸化物Aは、次の工程d)における焼成の際に蛍光体前駆体結晶の焼結による粒子形状の変化や粒子間融着による粒子サイズ分布の変化を防止する目的で添加される。この混合によって酸化物Aの微粒子は結晶表面に均一に付着する。酸化物Aは、好ましくはAl23であり、その添加量は蛍光体前駆体結晶の0.1〜1.0重量%が適当である。
【0024】d)上記の混合物を、石英ボート、アルミナルツボ、石英ルツボなどの耐熱性容器に充填し、電気炉の炉芯に入れて焼成を行う。焼成温度は700〜900℃の範囲が適当であり、特に750〜900℃の範囲が好ましい。焼成雰囲気としては、微量の酸素ガスを含有する窒素ガス雰囲気が利用される。焼成時間は、混合物の充填量、焼成温度および炉からの取出し温度などによっても異なるが、一般には1〜10時間が適当であり、特に2〜6時間が好ましい。
【0025】例えば、まず、混合物を電気炉で750〜900℃の範囲の一定温度で2〜6時間焼成する。その間に、少なくとも1回は炉内を真空排気した後微量の酸素ガスを含有する窒素ガス雰囲気に置換する。次に、炉内の温度を30分以上かけて750℃以下の温度に下げた後、再度微量の酸素ガスを含有する窒素ガス雰囲気に置換する。次いで、炉内を大気に触れないようにして350℃以下の温度まで冷却した後、焼成物を大気中に取り出す。
【0026】なお、上記蛍光体前駆体結晶の全重量m(kg)と電気炉の炉内容積l(L)との比率は、m/l≧0.05(kg/L)であるのが好ましい。
【0027】[ほぐし工程]前記輝尽性蛍光体の焼成物は、ほぐし工程に供される。ほぐし工程は、適当な分散媒に分散することにより行う。ここでほぐし処理とは、前記焼成物を、前記分散媒に分散させて、攪拌し、焼成による焼結および凝集を緩和する処理を言う。
【0028】このとき用いる分散媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の各種アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類;Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+およびBa2+等の金属イオンを含む水溶液;あるいは、これらの混合液を挙げることができる。
【0029】これら分散媒の中から、得られる放射線像変換パネルに所望の特性を与えるような分散媒を適宜選択すればよい。例えば、高い分散特性を得ようとする場合には、低級アルコールを選択すればよく、輝尽性蛍光体の焼成物の組成にバリウムが含まれる場合には、該バリウムの溶解を防止すべく、バリウムよりもイオン化エネルギーが小さいもしくは同一の金属のイオン、すなわちLi+、Na+、K+、Rb+、Cs+およびBa2+等の金属イオンを少なくとも1種含む水溶液を選択すればよい。
【0030】Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+およびBa2+等の金属イオンを少なくとも1種含む水溶液を選択する場合、該水溶液の金属イオンは、一般に金属塩の状態で水に添加されたものであり、陰イオンと共存することとなるが、該陰イオンは特に限定されない。なかでも、金属塩としては、ハロゲン化物とすることが好ましく、当該ハロゲンとしては、液の安定性の観点より、Cl、BrおよびIが好ましい。金属イオンを含む水溶液は、例えば、前記焼成物の一部を用いて調製したものであってもよい。
【0031】金属イオンを含む水溶液の金属イオンは、輝尽性蛍光体の焼成物中のBaが溶液中に溶解しにくくなるような濃度であることが望ましいが、金属イオンの種類、温度、陰イオンの種類等により変動するものであり、その絶対値を一律に規定することはできない。実際には水に添加する金属塩の状態における、ほぐし処理時の温度の飽和濃度に支配される。具体的には、当該金属塩の濃度が、0より大きく、かつ当該工程における液温での飽和濃度以下であることが好ましく、当該工程における液温での飽和濃度の1/10以上であることがより好ましく、さらに好ましくは3/10以上である。上限としては、10/10以下であれば問題ないが、溶液の安定性の観点より9/10以下であることが好ましく、より好ましくは8/10以下である。
【0032】既述の分散媒の中でも、後述の蛍光体層塗布液に用いるバインダーが溶解可能な分散媒を用いれば、該分散媒がそのまま蛍光体層塗布液の溶媒ともなり、後述の溶媒置換工程を省略することができる。ここで「バインダーが溶解可能」とは、必ずしもバインダーを完全に溶解させ得る液を指すものではなく、塗布が可能な蛍光体層塗布液を調製するに十分な程度の溶解性を有した液をも含む概念とする。
【0033】前記バインダーが溶解可能な分散媒としては、バインダーの種類にもよるが、一般的には有機溶媒が挙げられ、中でも、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の各種アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル;ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル;そして、それらの混合物等が好ましく挙げられる。
【0034】ほぐし処理における分散媒に対する輝尽性蛍光体の量としては、分散媒100重量部に対して、10〜300重量部の範囲とすることが好ましい。
【0035】ほぐし処理における攪拌は、特に限定されないが、攪拌羽根による乱流攪拌とすることが、効率良くほぐし処理を行うことができる点で好ましい。また他の攪拌方法としては、ロールミル、振動ミル等の粉砕機やダブルコーン等の混合機を使用した方法によることも可能である。
【0036】攪拌の程度としては、焼成による焼結および凝集を緩和し得る程度とすればよく、攪拌装置の種類、焼成後の組成物の状態等により適宜設定すればよいが、攪拌が弱すぎると焼結や凝集の緩和は進まず、分級時の収率は下がり、攪拌が強すぎると焼成後の蛍光体の粒子がストレスにより破砕され、輝尽発光が低下してしまうため、両者の程度を見て、最適な範囲に設定することが望ましい。
【0037】攪拌時間としても、焼成による焼結および凝集を緩和し得る程度とすればよく、攪拌装置の種類、焼成後の組成物の状態、上記攪拌の程度等により適宜設定すればよいが、具体的には30分以上とすることが好ましく、より好ましくは1時間以上である。30分より短いと、焼結や凝集の緩和は進まず、分級時の収率が低下する。一方、攪拌時間をあまりに長くしすぎると、水溶液中へのBaの溶解および再析出を繰り返すことで少しずつ輝尽発光が低下するため、48時間以下とすることが好ましく、より好ましくは24時間以下とすることである。
【0038】[湿式分級工程]ほぐし工程で得られたスラリーは、湿式分級することにより、スラリー中の一定粒度以上の粒子を除去する湿式分級工程に供される。湿式分級する方法としては、通常の濾過や振動篩などが挙げられる。湿式分級の条件としては、いわゆる粗大粒子が除去できる程度であれば問題ない。
【0039】湿式分級は、メッシュの目詰まりによる分級効率低下を防止すべく、湿式分級の操作を複数回行うことが好ましい。すなわち、大径のメッシュサイズから順次小径のメッシュサイズになるように複数段の分級工程を設け(例えば、徐々にメッシュサイズが小さくなるように濾過工程を設け)、最終的に所望のメッシュサイズにして、目的の分級を達することとすることが好ましい。
【0040】最終メッシュサイズとして、50μm以下とすることが好ましく、より好ましくは30μm以下である。ここで、「最終メッシュサイズ」とは、湿式分級の操作が1回のみ行われる場合には、その操作に用いるメッシュのメッシュサイズを、湿式分級の操作を複数回行う場合には、最終の操作に用いるメッシュのメッシュサイズを意味する。湿式分級による濾過においては、メッシュの目詰まりによる分級効率低下を防止すべく、加圧濾過することが好ましい。
【0041】[溶媒置換工程]湿式分級工程で得られた、一定粒度以上の粒子が除去されたスラリーは、分散媒として後述の蛍光体層塗布液に用いるバインダーが溶解可能な分散媒を用いていない場合、溶媒置換工程に供される。勿論、分散媒として後述の蛍光体層塗布液に用いるバインダーが溶解可能な分散媒を用いている場合にも、塗布適性をより向上すべく、溶媒置換工程に供してもよい。
【0042】溶媒置換工程は、一定粒度以上の粒子が除去されたスラリー中の前記分散媒を、前記バインダーが溶解可能な溶媒に置換える操作であり、具体的には、スラリーを一定時間静置して上澄み液を廃棄するいわゆるデカンテーション法、濾過あるいは遠心分離法等により、前記スラリーを濃縮した後に、前記バインダーが溶解可能な溶媒を添加することによって置換えて行われる。中でもデカンテーション法は、スラリー中の輝尽性蛍光体の粒子を再凝集させることがほとんどないため好ましい。
【0043】分散媒に代えて添加すべき溶媒としては、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル;ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル;そして、それらの混合物を挙げることができる。
【0044】溶媒置換工程における上記分散媒を溶媒に置換える操作をデカンテーション法によって行う場合には、スラリーの静置時間としては、スラリーが分散媒のみからなる層(上澄み層)と、混合状態となっている層とがある程度明確になるまでとすることが好ましく、用いる分散媒、溶媒、輝尽性蛍光体の種類や濃度等にもよるが、3分〜24時間の範囲とすることが好ましく、より好ましくは3分〜360分の範囲とすることである。
【0045】溶媒置換工程における上記分散媒を溶媒に置換える操作は、より高い置換効率を達すべく、複数回行うことが好ましい。特にデカンテーション法による場合には、1回の操作では置換効率があまり高くないため、3回以上行うことが好ましい。
【0046】溶媒置換工程における上記分散媒を溶媒に置換える操作は、分散媒と置換しようとする溶媒との相溶性が悪い場合に、一旦分散媒を、該分散媒および前記溶媒の双方と相溶性の良好な溶液に、以上のようにして置換する操作を行った上で、当該溶液を前記溶媒に置換する操作を行うことが好ましい。例えば、分散媒が水系媒体であり、置換しようとする溶媒が有機溶媒である場合には、水系媒体を一旦メタノール等のアルコールに置換した上で、当該アルコールを有機溶媒に置換することが望ましい。この場合の置換回数等の考え方は、上記同様である。
【0047】溶媒置換工程においては、廃棄する分散媒の量に対して、添加する溶媒の量を少なめにすることによりスラリーを濃縮して、スラリー中の輝尽性蛍光体濃度を蛍光体層塗布液の塗布適性が良好となるように調整することが望ましい。分散媒に分散された状態のスラリーにおける輝尽性蛍光体の濃度は、ほぐし処理に最適な濃度とした場合、蛍光体層塗布液の塗布に適した濃度に対して、一般的にかなり低目となることから、上記輝尽性蛍光体濃度を調整することが有効となる。
【0048】濃縮後のスラリー中の輝尽性蛍光体の含有量としては、得られる放射線像変換パネルの所望とする特性、用いる分散媒、溶媒、輝尽性蛍光体の種類等にもよるが、スラリー全重量中30〜90重量%の範囲とすることが好ましく、50〜90重量%の範囲とすることがより好ましい。
【0049】[蛍光体濃度調整工程]溶媒置換工程を有しない場合には、湿式分級工程と塗布液調製工程との間に、独立した蛍光体濃度調整工程を配することが好ましい。上記溶媒置換工程で述べたと同様、分散媒に分散された状態のスラリーにおける輝尽性蛍光体の濃度は、ほぐし処理に最適な濃度とした場合、蛍光体層塗布液の塗布に適した濃度に対して、一般的にかなり低目となることから、当該工程が有効となる。
【0050】蛍光体濃度調整工程は、一定粒度以上の粒子が除去されたスラリーを濃縮して、スラリー中の輝尽性蛍光体濃度を調整する工程であり、具体的には、スラリーを一定時間静置して上澄み液を廃棄するいわゆるデカンテーション法、濾過あるいは遠心分離法等により行われる。中でもデカンテーション法は、スラリー中の輝尽性蛍光体の粒子を再凝集させることがほとんどないため好ましい。
【0051】蛍光体濃度調整工程をデカンテーション法によって行う場合には、スラリーの静置時間としては、スラリーが分散媒のみからなる層(上澄み層)と、混合状態となっている層とが明確になり、かつ、混合状態となっている層中の(すなわち、最終的には濃縮後のスラリー中の)輝尽性蛍光体の含有量が所望の濃度になるまでとすることが好ましく、該所望の濃度や、用いる分散媒、溶媒、輝尽性蛍光体の種類等にもよるが、3分〜24時間の範囲とすることが好ましく、より好ましくは3分〜360分の範囲とすることである。
【0052】濃縮後のスラリー中の輝尽性蛍光体の含有量としては、得られる放射線像変換パネルの所望とする特性、用いる分散媒、溶媒、輝尽性蛍光体の種類等にもよるが、スラリー全重量中30〜90重量%の範囲とすることが好ましく、50〜90重量%の範囲とすることがより好ましい。
【0053】[塗布液調製工程]湿式分級工程で得られた、あるいは、さらに溶媒置換工程または蛍光体濃度調整工程を経たスラリー(以下、「塗布液調製用スラリー」という。)は、塗布液調製工程に供されて、蛍光体層塗布液が調製される。ここで塗布液調製工程汚とは、前記塗布液調製用スラリーに、少なくともバインダーを添加し、蛍光体層塗布液を調製する工程である。なお、蛍光体層塗布液中には更に、他の輝尽性蛍光体および/または着色剤などの添加剤が含まれていてもよい。
【0054】使用することのできるバインダーとしては、特に限定されるものではないが、例としては、ゼラチン等の蛋白質、デキストラン等のポリサッカライド、またはアラビアゴムのような天然高分子物質;および、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ビニリデン・塩化ビニルコポリマー、ポリアルキル(メタ)アクリレート、塩化ビニル・酢酸ビニルコポリマー、ポリウレタン、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルアルコール、線状ポリエステル、エポキシ樹脂などような合成高分子物質などにより代表されるバインダーや、これらの混合物を挙げることができる。このようなバインダーのなかで特に好ましいものは、ニトロセルロース、線状ポリエステル、ポリアルキル(メタ)アクリレート、ポリウレタン、ニトロセルロースと線状ポリエステルとの混合物、およびニトロセルロースとポリアルキル(メタ)アクリレートとの混合物である。
【0055】蛍光体層塗布液におけるバインダーと輝尽性蛍光体との混合比(重量比)は、目的とする放射線像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体の種類などによって異なるが、一般には、1:1乃至1:100の範囲から選ばれ、特に1:8乃至1:40の範囲から選ぶのが好ましい。
【0056】なお、蛍光体層塗布液には、該塗布液中における蛍光体の分散性を向上させるための分散剤、形成後の蛍光体層中におけるバインダーと蛍光体との間の結合力を向上させるための可塑剤等、種々の添加剤が混合されていてもよい。そのような目的に用いられる分散剤の例としては、フタル酸、ステアリン酸、カプロン酸、親油性界面活性剤などを挙げることができる。同様に可塑剤の例としては、燐酸トリフェニル、燐酸トリクレジル、燐酸ジフェニルなどの燐酸エステル;フタル酸ジエチル、フタル酸ジメトキシエチルなどのフタル酸エステル;グリコール酸エチルフタリルエチル、グリコール酸ブチルフタリルブチルなどのグリコール酸エステル;そして、トリエチレングリコールとアジピン酸とのポリエステル、ジエチレングリコールとコハク酸とのポリエステルなどのポリエチレングリコールと脂肪族二塩基酸とのポリエステルなどを挙げることができる。
【0057】[蛍光体層形成工程]塗布液調製工程で得られた蛍光体層塗布液は、支持体表面に塗布および乾燥して蛍光体層を形成する蛍光体層形成工程に供される。この塗布操作は、均一に行うことが望まれ、通常の塗布手段、たとえば、ドクターブレード、ロールコーター、ナイフコーターなどを用いることにより行うことができる。
【0058】前記支持体としては、従来より放射線像変換パネルの支持体の材料として公知のものから任意に選ぶことができる。公知の放射線像変換パネルにおいて、支持体と蛍光体層との結合を強化するため、あるいは放射線像変換パネルとしての感度もしくは画質(鮮鋭度、粒状性)を向上させるために、蛍光体層が設けられる側の支持体表面にゼラチンなどの高分子物質を塗布して接着性付与層を設けたり、あるいは二酸化チタンなどの光反射性物質からなる光反射層、もしくはカーボンブラックなどの光吸収性物質からなる光吸収層などを設けることが知られている。本発明において用いられる支持体についても、これらの各種の層を設けることができ、それらの構成は所望の放射線像変換パネルの目的、用途などに応じて任意に選択することができる。さらに特開昭58−200200号公報に記載されているように、得られる画像の鮮鋭度を向上させる目的で、支持体の蛍光体層側の表面(支持体の蛍光体層側の表面に接着性付与層、光反射層または光吸収層などが設けられている場合には、その表面を意味する)には微小凹凸が形成されていてもよい。
【0059】上記のようにして支持体上に塗膜を形成したのち該塗膜を乾燥して、支持体上に蛍光体層を形成する。蛍光体層の層厚は、目的とする放射線像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体の種類、結合剤と輝尽性蛍光体との混合比などによって異なるが、通常は20μm乃至1mmとする。該層厚は50乃至500μmとするのが好ましい。なお、蛍光体層は、必ずしも上記のように支持体上に塗布液を直接塗布して形成する必要はなく、たとえば、別に仮支持体上に塗布液を塗布し乾燥することにより蛍光体層となる蛍光体シートを形成したのち剥がし取り、これを支持体上に押圧するか、あるいは接着剤を用いるなどして支持体と蛍光体層とを接合してもよい(本発明において、「支持体表面に、蛍光体層塗布液を塗布および乾燥することにより、蛍光体層を形成する」とは、このような場合をも含む概念とする。)。
【0060】蛍光体シートを一旦形成した後、これを支持体に転写する場合の詳細について説明する。上記のようにして調製された蛍光体層塗布液を、蛍光体シート形成用の仮支持体の表面に均一に塗布することにより塗布液の塗膜を形成する。この塗布操作は、通常の塗布手段、たとえば、ドクターブレード、ロールコーター、ナイフコーターなどを用いることにより行うことができる。
【0061】仮支持体は、例えば、ガラス、金属の板、あるいは従来の放射線写真法における増感紙(または増感用スクリーン)の支持体として用いられている各種の材料、あるいは放射線像変換パネルの支持体として公知の材料から任意に選ぶことができる。そのような材料の例としては、セルロースアセテート、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、トリアセテート、ポリカーボネートなどのプラスチック物質のフィルム;アルミニウム箔、アルミニウム合金箔などの金属シート;通常の紙、バライタ紙、レジンコート紙、二酸化チタンなどの顔料を含有するピグメント紙、ポリビニルアルコールなどをサイジングした紙などの紙;アルミナ、ジルコニア、マグネシア、チタニアなどのセラミックスの板あるいはシート;などを挙げることができる。
【0062】仮支持体上に蛍光体層塗布液を塗布し、乾燥したのち、仮支持体から剥がして放射線像変換パネルの蛍光体層となる蛍光体シートとする。従って、仮支持体の表面には予め離型剤を塗布しておき、形成された蛍光体シートが仮支持体から剥がし易くなるようにしておくことが好ましい。
【0063】次に、上記のように形成した蛍光体シートとは別に、放射線像変換パネルの支持体を用意する。この支持体は、既述の通りである。
【0064】公知の放射線像変換パネルにおいて、支持体と蛍光体層の結合を強化するため、あるいは放射線像変換パネルとしての感度もしくは画質(鮮鋭度、粒状性)を向上させるために、蛍光体層が設けられる側の支持体表面にゼラチンなどの高分子物質を塗布して接着性付与層としたり、あるいは二酸化チタン、酸化ガドリニウムなどの光反射性物質からなる光反射層、もしくはカーボンブラックなどの光吸収性物質からなる光吸収層などを設けることが知られている。本発明において用いられる支持体についても、これらの各種の層を設けることができ、それらの構成は所望の放射線像変換パネルの目的、用途などに応じて任意に選択することができる。
【0065】さらに、特開昭58−200200号公報に記載されているように、得られる画像の鮮鋭度を向上させる目的で、支持体の蛍光体層側の表面(支持体の蛍光体層側の表面に接着性付与層、光反射層あるいは光吸収層などが設けられている場合には、その表面を意味する)には微小の凹凸が形成されていてもよい。
【0066】支持体表面に、先に得られた蛍光体シートを載せ、好ましくは結合剤の軟化温度または融点以上の温度で圧縮(熱圧着)しながら支持体表面に接着する。この圧縮処理に使用される圧縮装置の例としては、カレンダーロール、ホットプレスなど一般に知られているものを挙げることができる。たとえば、カレンダーロールによる圧縮処理は、支持体表面に上記蛍光体シートを載せ、結合剤の軟化温度または融点以上に加熱したローラーの間を一定の速度で通過させることにより行われる。ただし、本発明において圧縮装置はこれらのものに限られるものではなく、上記のような蛍光体シートを加熱しながら圧縮することのできるものであればいかなるものであってもよい。
【0067】圧縮処理の際の圧力は、50kgw/cm2以上が一般的で、200〜700Kgw/cm2が好ましい。加熱温度(カレンダーロールによる圧縮処理の場合には、上下のロール温度)は、上記のように軟化温度または融点以上とすることが一般的であり、軟化温度または融点より10〜50℃高い温度で行うことがより好ましい。また、一般に圧力をかける双方の加圧体(カレンダーロールによる圧縮処理の場合には、双方のロール)を同じ温度とすることが好ましい。さらにカレンダーロールによる圧縮処理の場合の送り速度は、0.1〜5.0m/分の範囲とすることが好ましい。
【0068】以上のようにして、支持体表面に蛍光体層が形成され、放射線像変換パネルの基本構造が完成するが、通常は、さらに蛍光体層の上に保護膜が付設される。保護膜としては、セルロース誘導体やポリメチルメタクリレートなどのような透明な有機高分子物質を適当な溶媒に溶解して調製した溶液を蛍光体層の上に塗布することで形成されたもの、ポリエチレンテレフタレートなどの有機高分子フィルムや透明なガラス板などの保護膜形成用シートを別に形成して蛍光体層の表面に適当な接着剤を用いて設けたもの、あるいは無機化合物を蒸着などによって蛍光体層上に成膜したもの、などが用いられる。また、有機溶媒可溶性のフッ素系樹脂の塗布膜により形成され、パーフルオロオレフィン樹脂粉末もしくはシリコーン樹脂粉末を分散、含有させた保護膜であってもよい。
【0069】なお、得られる画像の鮮鋭度を向上させることを目的として、放射線像変換パネルを構成する上記各層の少なくとも一つの層が励起光を吸収し、輝尽発光光は吸収しないような着色剤によって着色されていてもよく、独立した着色中間層を設けてもよい(特公昭54−23400号公報参照)。
【0070】以上のようにして、本発明の製造方法による放射線像変換パネルを製造することができる。
【0071】
【実施例】[実施例1]
1:焼成物の製造(原料組成)
BaFBr:Eu(Eu濃度5.0×10-3モル比、平均粒径6.5μm)・・・12,480gBaFI:Eu(Eu濃度5.0×10-3モル比、平均粒径7.1μm)・・・2,640gBaF2・・・248gアルミナ−C・・・76g上記合計15,444gの原料を十分に混合した。
【0072】上記の混合物を4等分して、それぞれ焼成容器(石英ガラス製のボート、長さ30cm、幅15cm、厚さ5mm)に充填した。これらを、炉内雰囲気温度850℃に設定された電気炉(焼成空間100リットルの管状炉)の焼成空間に入れ、2時間加熱した(このときの焼成空間は、窒素ガス雰囲気)。その後焼成空間を酸素1.3%の弱酸化性雰囲気に変え、さらに1時間加熱した。次いで、冷却空間に移し、大気から遮断された状態で200℃以下まで冷却した後、焼成物を大気中に取り出した。
【0073】2:ほぐし工程50リットルの攪拌槽に収容されたメチルエチルケトン(MEK)20リットルに、上記得られた焼成物15kgを入れ、プロペラ攪拌機を用い、攪拌羽根を50rpmで回転させ、15時間攪拌しほぐし処理を行い、スラリーを得た。
【0074】3:湿式分級工程ほぐし工程で得られたスラリーを、20μmサイズのナイロンメッシュを張った振動篩機にかけて、湿式分級を行った。
【0075】4:蛍光体濃度調整工程湿式分級を行ったスラリーを直径30cm、高さ250cmの円筒状容器に入れ、30分間静置して、上澄み液15.9リットルを廃棄(デカンテーション)することにより、スラリー中の輝尽性蛍光体の濃度を80重量%となるようにした。なお、当該濃度は、ほぐし工程で投入した焼成物の全量(15kg)から、湿式分級工程において分級残渣となった輝尽性蛍光体の重量k(kg)を差し引いた上での理論上の濃度とした。具体的には、以下に示す計算式により求められる。なお、式中Vは、濃縮後の分散媒(後に溶媒となるMEK)の量(kg)を表す。
蛍光体の濃度(重量%)=(15−k)/[(15−k)+V]×100【0076】5:塗布液調製工程上記蛍光体濃度調整工程で得られた濃縮後のスラリー1kgにポリウレタン(大日本インキ(株)製、バンデックスT−5265H)30.0g、エポキシ樹脂(油化シエルエポキシ(株)製EP1001[固形])7.8g、およびポリイソシアネート(日本ポリウレタン(株)製コロネートHX)2.3gを加え、プロペラミキサーで分散し、粘度40psの蛍光体層塗布液を調製した。
【0077】6:蛍光体層形成工程■蛍光体シートの作製上記得られた蛍光体層塗布液をシリコン系離型剤が塗布されているポリエチレンテレフタレート(仮支持体、厚み180μm)上に塗布し、乾燥した後、仮支持体から剥離して蛍光体シート(厚み320μm)を作製した。
【0078】
■反射(下塗)層の形成(反射層の組成)
・酸化ガドリニウム(Gd23)の微細粒子(全粒子の90重量% の粒子の粒子径が1〜5μmの範囲にあるもの) 30部・結合剤:軟質アクリル樹脂(クリスコートP−1018GS:2 0%溶液;大日本インキ化学工業(株)) 30部・フタル酸エステル 3.5部・導電剤:ZnOウイスカー 10部・着色剤:群青 0.4部【0079】上記組成の材料に、MEK(メチルエチルケトン)を適量加え、ディゾルバーを用いて分散、混合して、粘度が10PS(20℃)の反射(下塗)層形成用塗布液を調製した。厚さ300μmのポリエチレンテレフタレート(支持体)をガラス板上に水平に置き、当該支持体表面に、ドクターブレードを用いて上記下塗層形成用塗布液を均一塗布した後、塗布膜を乾燥し、支持体表面に反射層(厚み20μm)を形成した。
【0080】■蛍光体層の形成さらに、支持体表面に形成された反射層上に、先に作製しておいた蛍光体シートを載せ、熱圧着を行った。熱圧着は、カレンダーロールを用いて、500Kgw/cm2の圧力、上ロール温度を90℃、下ロール温度を75℃、そして送り速度を1.0m/分の条件にて連続的に行った。この熱圧着により、支持体表面に形成された反射層と蛍光体シートとは完全に融着し、蛍光体層が形成された。融着後の蛍光体層の厚さは220μmであった。
【0081】
7:保護膜の形成(保護膜の組成)
・フッ素系樹脂:フルオロオレフィン・ビニルエーテル共重合体(ル ミフロンLF−504X(40%溶液)、旭硝子(株)製) 50部・架橋剤:ポリイソシアネート(オレスターNP38−70S(70 %溶液)、三井東圧(株)製) 9部・滑り剤:アルコール変性シリコーン(X−22−2809(66% 溶液)、信越化学工業(株)製) 0.5部・触媒:ジブチルチンジラウレート(KS1260、共同薬品(株)製) 3部【0082】上記組成の材料を、メチルエチルケトン/シクロヘキサン(2/8、容積比)適量に溶解して、粘度0.3PSの保護膜形成用塗布液を調製した。この保護膜形成用塗布液を上記の蛍光体層上にドクターブレートを用いて塗布した後、120℃で30分間熱処理して熱硬化させるとともに乾燥し、厚さ3μmの保護膜を設けた。
【0083】以上のようにして、支持体、下塗層、蛍光体層および保護膜から構成された実施例1の放射線像変換パネルを製造した。
【0084】[実施例2]実施例1において、「3:ほぐし工程」で用いた分散媒をメチルエチルケトン(MEK)から以下のようにして得られたBaBr2水溶液に変更し、「4:蛍光体濃度調整工程」を以下に示す「4:溶媒置換工程」に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例2の放射線像変換パネルを製造した。
【0085】(BaBr2水溶液の調製)純水1000mlに対し、BaBr2を1200gの割合で入れ、室温にてマグネチックスターラーで1時間攪拌し、濾紙にて不溶解成分を除去し、金属イオンを含む水溶液として、BaBr2の飽和水溶液20リットル(Ba濃度=0.32mol/リットル)を調製した。
【0086】(4:溶媒置換工程)湿式分級を行ったスラリーを、「30分間静置して、上澄み液18リットルを廃棄(デカンテーション)し、廃棄分と同量のメタノールを添加する」、この一連の操作を10回繰り返し、一旦分散媒としての水をメタノールに置換した。さらにメタノールに置換後のスラリーを、「30分間静置して、上澄み液17リットルを廃棄(デカンテーション)し、廃棄分と同量のMEKを添加する」、この一連の操作を3回繰り返し、一旦メタノールを溶媒としてのMEKに置換した。この際、最終のデカンテーションにおいて、MEKの添加量を調整することにより、スラリー中の輝尽性蛍光体の濃度を80重量%となるようにした。スラリー中の輝尽性蛍光体濃度の計算は、実施例1と同様にして行った。
【0087】[比較例1]実施例1において、「4:蛍光体濃度調整工程」および「5:塗布液調製工程」を、以下に示す「4−1:固液分離工程」、「4−2:乾燥工程および乾式分級工程」および「5’:塗布液調製工程」に変更した以外は、実施例1と同様にして比較例2の放射線像変換パネルを製造した。
【0088】(4−1:固液分離工程)湿式分級工程を経たスラリーを、加圧濾過(圧縮空気2.0kgf/cm2で加圧)により濾過して固液分離した。その際、スラリーを濾過した後に、メタノール500mlを入れて再度濾過する操作を2回行い、メタノールによる洗浄を行った。
【0089】(4−2:乾燥工程および乾式分級工程)110℃の乾燥機で10時間乾燥した。その後、再度振動篩(ナイロンメッシュ;#460)にかけて乾式分級を行った。このようにして、ユーロピウム賦活弗化臭化バリウム系蛍光体粒子を得た。
【0090】(5’:塗布液調製工程)上記得られたユーロピウム賦活弗化臭化バリウム系蛍光体粒子800g、ポリウレタン(大日本インキ(株)製、バンデックスT−5265H)30.0g、エポキシ樹脂(油化シエルエポキシ(株)製EP1001[固形])7.8g、およびポリイソシアネート(日本ポリウレタン(株)製コロネートHX)2.3gにMEK(メチルエチルケトン)を200g加え、プロペラミキサーで分散し、粘度40psの蛍光体層塗布液を調製した。
【0091】[評価試験]上記のようにして製造した各々の放射線像変換パネルの画質を、次に記載する方法により評価した。すなわち、放射線像変換パネルに、管電圧80KVpのX線を照射したのち、He−Neレーザー光(632.8nm)で走査して蛍光体を励起し、蛍光体層から放射される輝尽発光を受光して電気信号に変換し、これを画像再生装置によって画像として再生して表示装置上に画像を得た。得られた画像の変調伝達関数(MTF)(空調周波数:2サイクル/mm)により鮮鋭度を、また0.1mRの線量における粒状性(RMS)を測定した。結果を下記表1に示す。
【0092】
【表1】

【0093】以上に示すように、鮮鋭度においては実施例−比較例間の差は見られないが、粒状性に関し、実施例は比較例に比べ20%前後向上しており、本発明によれば画質が向上することがわかる。
【0094】
【発明の効果】以上に示すように、本発明によれば、極めて良好な粒状性を有する放射線像変換パネルの製造方法を提供することができる。




 

 


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