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発明の名称 光情報記録媒体およびその読み取り方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−250237(P2001−250237A)
公開日 平成13年9月14日(2001.9.14)
出願番号 特願2000−58703(P2000−58703)
出願日 平成12年3月3日(2000.3.3)
代理人
発明者 戸田 敏貴
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】回折格子から成るセルを、情報記録の構成要素として基板表面に複数配置することにより形成される情報記録部を有し、情報記録部に照射した光が回折されて出射する再生光を光学的に読み取る際に、回折格子の空間周波数および/または方向に応じた回折光を、対応する受光素子により検出して記録された情報を読み取る光情報記録媒体において、情報記録部を構成する殆どのセルでは、セルの外形を規定する線分の方向と、内部の回折格子の方向が異なっていることを特徴とする光情報記録媒体。
【請求項2】回折格子からの回折光の回折効率により、回折格子の空間周波数および/または方向による情報とは異なる別の情報を記録していることを特徴とする請求項1記載の光情報記録媒体。
【請求項3】回折格子から成るセルの大きさにより、回折格子の空間周波数および/または方向による情報とは異なる別の情報を記録していることを特徴とする請求項1または2に記載の光情報記録媒体。
【請求項4】セルの外形が平行四辺形であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の光情報記録媒体。
【請求項5】セルの外形を規定する線分が隣接するセル同士では、それぞれ異なる空間周波数および/またはそれぞれ異なる方向の回折格子を有することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の光情報記録媒体。
【請求項6】カード類の表面に、請求項1〜5の何れかに記載の情報記録部を担持させて、光情報記録媒体を構成するにあたり、カード類の外形を規定する辺に対して平行な方向に、情報記録部を構成するセルが並んでおり、セルの外形を規定する線分とカードの外形を規定する辺とは、方向が異なることを特徴とする光情報記録媒体。
【請求項7】請求項1〜6の何れかに記載の光情報記録媒体に記録された情報を読み取るにあたり、情報記録部に読み取り用の光を照射し、情報記録部を構成する回折格子から出射する回折光を受光する検出器を、セルの外形を規定する線分に依存して出射する0次回折光が伸びる方向とは重ならないように配置して行なうことを特徴とする光情報記録媒体の読み取り方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学的に記録情報を読み取る情報記録媒体に関し、特に、回折格子からなるセル(以下、回折格子セルと称する)が基板表面に配置されて構成されるタイプの光情報記録媒体の新規な構成に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、光学式記録は、磁気式記録と比較して記録媒体とヘッドとが非接触であり、かつ高密度の記録が可能である等の利点がある。この光学式記録媒体としては、読み出し専用のもの、追加書き込み可能なもの、消去再書き込み可能なもの等、種々のものが知られている。
【0003】この種の光学式記録媒体としては、既に例えば、光学式記録ディスク(CD,CD−ROM,CD−I,レーザ−ディスク,追記型および書き込み可能型ディスク,光磁気ディスク等)や、光力一ド(ROM型カード,追記型および書き換え可能型カード,光磁気カード等)等の形で、いろいろな分野で実用に供されてきている。
【0004】ところで、従来の読み出し専用、あるい追加書き込み可能な光学式記録ディスクは、半導体レーザー等の光源から出たレーザー光を、ディスク面上において1〜2μmの径のスポットに集光して、ディスク面上での当該部分の表面状態を、その反射光を利用して検出するものである.
【0005】すなわち、ピットが存在する時には、光が乱反射して反射光が弱くなり、ピットが存在しない時には、鏡面の反射をするという現象により、この2つの状態の差(光の強弱)を利用してデータを読み取るものである。
【0006】しかしながら、この場合、レーザー光のスポット径は、1〜2μm程度が限界であり、これ以上極端に小さくすることは不可能である。
【0007】従って、従来の光学式記録ディスクの情報量は、ディスク上の一つのピットが一つの値情報を表わしているということ、およびこの限られたレーザー光のスポット径によって制限されており、結果として、ある限度以上の密度の高い情報記録を行なえないのが実情である。
【0008】一方、最近では、回折格子(グレーティング)を情報記録要素とする情報記録媒体が提案されてきている。このような光情報記録媒体では、回折格子から出射する1次回折光の方向を検出する等により、多値の情報を読み取ることが可能であり、2値の情報記録に比べて高密度な情報記録が可能などの特徴がある。この種の光情報記録媒体およびその読み取り方法に係る提案としては、本出願人による特開平3−211096号公報が例示される。
【0009】この種の光情報記録媒体での情報読み取りにあたっては、情報記録部の特定のセルからの1次回折光を受光する受光素子を複数配置して、どの受光素子が1次回折光を受光したか(場合によっては、その光強度も測定)により、そのセルに記録された情報を検出する(読み取る)。
【0010】しかしながら、この種の光情報記録媒体では、多くの場合、情報記録単位である各回折格子セルは、矩形の外形(輪郭を構成する形状)をしており、しかも、セルの外形を規定する線分の方向に対して、水平(平行)あるいは垂直な方向に複数のセルが並べられている。(図3参照)
【0011】しかし、矩形のセルにおいては、セルに情報読み取り用の照明光が入射し、セルから回折光が出射する際に、セルの外形を規定する各線分に対して垂直な方向に回折光が広がる現象がある。
【0012】一般的に、エネルギーが最も多く分配される回折光の次数は0次であるので、上記の現象は、特に0次回折光(回折格子面を直進する透過光や、回折格子面からの正反射光)に対して顕著に現れる。このとき、0次回折光の広がりは、1次回折光を主とする情報読み取りのための光成分と空間的に重なることが多い。
【0013】例えば、図4に示すように、8つの受光素子(光強度測定器)を円周状に配置した光情報読み取り方法においては、図5(右側)に示すように、回折格子セルから出射する1次回折光と、0次回折光の中心から水平方向・垂直方向へ十字に伸びる回折成分が重なることである。
【0014】1次回折光が情報読み取りに寄与する必須な光成分であるのに対し、0次回折光は光源からの光を透過もしくは反射しただけの光成分であり、情報読み取りには不必要なものである。
【0015】従って、1次回折光と空間的に重なった0次回折光の広がりは、情報読み取りの際のノイズとなり、情報読み取りの誤差の増大などに帰結することになる。これにより、1次回折光の強弱に応じた多値の情報(強弱のないオン,オフだけだと、2値の情報になる)を記録することが困難になる。
【0016】例えば、照明光を広い領域に照射し、一度に複数のセルから同時に再生される情報の和を読み取り、記録情報を一層複雑なものとし、高密度(高容量)の記録媒体とする試みも、本出願人により提案されているが、この場合、0次回折光の広がりは広く分布するため、読み取り情報全体のS/N比(情報を読み取るための1次回折光の光と0次回折光の広がり成分を主とするノイズ光の比)の低下をもたらすことになる。
【0017】さらに、一般的な情報読み取り条件下において、最も標準的な回折格子の方向はセルの外形を構成する線分に対し、垂直もしくは水平な方向であるため、情報読み取り時のノイズが最も強くなり、顕著なS/N比の低下、情報の多値表現のための光強度読み取りの誤差の増大など、多くの問題を発生する。
【0018】また、情報記録要素であるセルの大きさが小さくなるほど0次回折光の広がりが大きくなり、ノイズは一層顕著に現れるため、上記の問題は小サイズのセルにより高密度な情報記録を実現する上での妨げとなっていた。
【0019】加えて、従来の光情報記録媒体を構成する回折格子セルにおいて、セルの外形が円形の場合には、セルの外形に起因する0次回折光は全方向に広がり、情報読み取り用の1次回折光と重なってしまい、検出される光には全てノイズを含み、上記と同様の問題がある。
【0020】このような情報記録部を表面に有する光情報記録媒体(代表的な形態は、カード)においては、一般的に、カードの外形の各辺に平行な線分の外形(もしくは円形)を持つセルが情報記録要素として配置され、カードの外形の辺に平行な方向に走査が行われて情報が読み取られる。
【0021】また、従来の光情報記録媒体では、セルを構成する回折格子の角度は走査方向に平行もしくは垂直な角度を含んでいるため、セルの外形に起因する0次回折光の広がりに起因するノイズと情報読み取り用の1次回折光との分離が困難であった。
【0022】しかも、カードの形態では、情報記録部の面積は必然的に小さく、ある程度の情報量を記録するためにはセルの大きさを小さくする必要があるが、これはノイズの増加に繋がるため、実際上、高密度で高精度な情報記録/読み取りは不可能であった。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、回折格子セルを情報記録要素として基板表面に複数配置することにより形成される光情報記録媒体、およびそれを表面に有するカードにおいて、情報読み取りのための1次回折光に、セルの外形に起因する0次回折光が広がって重なり、ノイズとなることを防止することを目的とする。特に、小サイズのセルによる高密度かつ高精度な情報読み取りを行う上でのノイズを解消することを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】請求項1の本発明は、回折格子から成るセルを、情報記録の構成要素として基板表面に複数配置することにより形成される情報記録部を有し、情報記録部に照射した光が回折されて出射する再生光を光学的に読み取る際に、回折格子の空間周波数および/または方向に応じた回折光を、対応する受光素子により検出して記録された情報を読み取る光情報記録媒体において、情報記録部を構成する殆どのセルでは、セルの外形を規定する線分の方向と、内部の回折格子の方向が異なっていることを特徴とする光情報記録媒体である。
【0025】また、上記の光情報記録媒体に記録された情報を読み取るにあたっての、請求項7の本発明は、情報記録部に読み取り用の光を照射し、情報記録部を構成する回折格子から出射する回折光を受光する検出器を、セルの外形を規定する線分に依存して出射する0次回折光が伸びる方向とは重ならないように配置して行なうことを特徴とする光情報記録媒体の読み取り方法である。
【0026】<作用>回折格子セルの外形を規定する線分として、内部の回折格子の方向と等しい(もしくは、それに近い方向の)線分を含まないようにすることにより、回折格子からの1次回折光(=情報を読み取るために必要な光;信号光)の分布する領域と、0次回折光に対してセルの外形に起因する回折光の広がる主要な領域とが重ならないようになる。
【0027】従って、本発明の光情報記録媒体(の情報記録部)に光を入射すると、主として1次回折光のみにより情報を読み取ることができ、一方、0次回折光とその広がりの主な光成分は、1次回折光の分布領域と空間的に重なることはなく、ノイズが少なく、精度の高い情報読み取りを行うことが可能となる。
【0028】特に、セルのサイズが小さい場合には情報記録密度を高くすることができるが、本発明ではノイズ成分と信号光とは重ならないため、この場合でも情報読み取りにおけるノイズが極めて少なく、より多値の情報記録や高精度な読み取りが可能となる。
【0029】この理由を、以下に詳細に説明する。回折格子は、光が入射すると、0次回折光,±1次回折光,±2次回折光,…などを出射する。
【0030】0次回折光は、通常、他の次数の回折光よりも高いエネルギーを持ち、入射光に対して透過あるいは正反射の方向に出射する。一方、1次回折光は、情報読み取りに利用される主な光成分であり、光検出器や光強度測定器,CCDなどに入射することにより、光情報記録媒体からの情報を読み取ることが可能となる。
【0031】次に、セルの外形を規定する線分に起因する回折光について考える。前記線分による回折光は、主としてセルの外形を構成する線分に垂直な方向に広がる。また、この回折光の広がりは、セルを構成する回折格子による0次回折光・1次回折光にそれぞれ同様の傾向を持って発生する。
【0032】従って、回折格子セルからの0次回折光・1次回折光などは、本来の回折格子のみ(外形を規定する線分がない場合)の回折光よりも広がった分布を持つことになる。
【0033】一般的には、0次回折光のエネルギーが最も大きいため、0次回折光の広がりが最も大きな問題となる。回折格子の空間周波数や方向の種類が増えると、光情報記録部全面からの1次回折光の分布領域が広がることになるが、この1次回折光の分布領域と0次回折光の主な広がりとが重ならないようにセルの外形を設定しておけば、1次回折光(信号光)を極めて低ノイズの状態で検出/測定することが可能となる。
【0034】ここで、セルの内部を構成する回折格子の回折効率および/あるいはセルの大きさにより別の情報を記録することにより、より多くの情報を1つのセルに記録することが可能となり、より高密度な情報記録が可能となる(請求項2,3)。特に、セルの内部を構成する回折格子の回折効率により情報を記録している場合、セルの大きさは一定とすることができ、複数のセルを空間的に隙間なく並べることが可能となり、表面レリーフ型回折格子などの形態として本発明の光情報記録媒体を作製する場合において成形性が良いなどの効果がある。一方、セルの大きさにより情報を記録するには、回折格子としてはバイナリー回折格子で良いため、簡便な作製が可能である。
【0035】また、セルの外形を平行四辺形とすることによって、上述のような効果を持つ回折格子セルを比較的容易に実現できる(請求項4)。平行四辺形においては、それぞれ相対する2辺は同方向であるため、0次回折光の広がりは2方向に限定され、1次回折光の分布可能な領域を(前記の2方向以外に)広くとることができる。このとき、1次回折光の空間的な位置が情報に対応するため、分布可能な領域が広いほど多くの値を表現することが出来、高密度な情報記録が可能となる。
【0036】記録情報の読み取りにあたっては、1次回折光を検出する各位置(検出素子)の間隔を広げるほど、各位置での信号光の分離がしやすいため、情報読み取りの高精度化が容易となる。
【0037】さらに、セルの外形を規定する線分が隣接するセル同士においては、それぞれのセルが、異なる空間周波数および/または方向を有する回折格子から構成することにより、複数のセルが存在する領域からの0次回折光の主要な広がり方向が少ない方向に限定され、上記のような効果(高密度・高精度)を持ったまま、2次元的に配置された複数のセルからの情報を同時に読み取ることが可能となる(請求項5)。
【0038】特に、情報記録部全体が同形の平行四辺形のセルから成る場合には、0次回折光の主要な広がりは2方向になり、複数のセルからの情報を極めて少ないノイズ状態で同時に読み取ることが可能な光情報記録媒体を容易に実現できる。
【0039】一方、本発明においては、0次回折光の広がり方も特徴を持つことになるため、これを検出することにより、一層高いセキュリティ性を持たせることが可能となる。
【0040】カード類の表面に、以上の情報記録部を担持させて、光情報記録媒体を構成するにあたり、カード類の外形を規定する辺に対して平行な方向に、情報記録部を構成するセルを並ばせ、セルの外形を規定する線分とカードの外形を規定する辺との方向が異なるようにすることで、上述と同様の効果を有したカードが実現できる。
【0041】カードの形態である情報記録媒体に対する情報読み取りは、一般的には、カードの外形を規定する辺に平行な方向に走査することにより行われる。このとき、上記走査方向に垂直に並んだセルの情報は、走査方向に垂直な方向に広がった線状光を用いるなどして、読み取り範囲を広げるように走査して一度に読み取り、光情報記録媒体上の全情報を読み取ることが最も効率が良い。
【0042】この場合でも、本発明の光情報記録媒体においては、回折格子セルの外形に依存する0次回折光の広がりのノイズを信号光から分離できるため、読み取られる情報はS/N比が高く、高精度な情報読み取りが可能となる。しかも、セルの大きさが小さくても、ノイズ光との分離ができるため、高いS/N比で情報を読み取ることができるとともに、光情報記録媒体の小さい面積に比較的多くの情報量を記録することが可能である。
【0043】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明を詳細に説明する。図1は、本発明の光情報記録媒体(情報記録部およびそれを構成する回折格子セル)の一例を示す説明図である。
【0044】本発明では、同図の左側に拡大して示すような回折格子セルを情報記録要素として光情報記録媒体を構成している。回折格子セルは、光情報記録媒体上に複数並べて配置され、各セルを構成する回折格子の空間周波数および/または方向により情報を記録している。すなわち、1つの回折格子セルからの1次回折光の出射方向を検出することにより、一義的にそのセルを構成する回折格子の空間周波数および方向を決定することができ、簡便に記録情報を読み取ることができる。
【0045】本発明では、回折格子セルの外形を規定する各線分の角度(γ1〜γ4)は、セルを構成する回折格子の角度θに近い角度は含まないことが原則である。
【0046】このとき、セル毎に、回折格子の回折効率あるいはセルの大きさによって、別の情報を記録することができる。この場合、セルから出射する1次回折光の強度として多値情報を読み取ることが可能である。回折格子の回折効率を変えるためには、振幅型回折格子の場合には、記録濃度を変調する、位相型回折格子の場合には、位相変調量(例えば、表面レリーフ型回折格子の場合は、回折格子の溝の深さ)を変える、などすればよい。
【0047】図2は、反射型の回折格子から成る光情報記録媒体に照明光を入射した場合の0次回折光と1次回折光の出射方向を示す断面図である。
【0048】任意の波長に関して、回折格子による基本的な回折現象は、以下の式で表される。
d=mλ/(sin α−sin β)
ただし、dは着目した方向における格子間隔(空間周波数の逆数),mは回折次数,λは照明光の波長,αは当該方向における0次回折光(透過光や正反射光)の出射角度,βは当該方向におけるm次回折光の出射角度である。通常は、1次回折光(すなわち、m=1)の場合を考える。0次回折光の出射角度は、照明光の入射角度と同じ、もしくは符号が反転するだけである。
【0049】透過型の回折格子の場合も、0次回折光、m次回折光について同様の取り扱いが可能である。ここでは、主として1次回折光を用いての情報読み取りについて説明するが、もちろん、2次以上の回折光でも同様の効果が得られる。以下の説明では、これらの情報を読み取るための回折光を「信号光」と呼ぶことにする。
【0050】一方、本発明で問題としているように、回折格子セルからの回折光には、セルの外形に起因する回折光の成分も含まれる。光情報記録媒体における多くの場合、情報記録要素であるセルは小さく、光検出器(光強度測定器)までの距離はそれに比べて十分大きいため、セルの外形に起因する回折は、フラウンホーファー回折として取り扱うことができる。
【0051】フラウンホーファー回折による回折光の広がりは、セルの外形を構成する各線分に対して垂直な方向に強く現れる。
【0052】図1に示すセルからは、各線分に対して、それぞれ角度γ1〜γ4に直交する方向に光が広がることになるが、前記線分の角度は回折格子の角度θとは異なるため、セル自身の外形形状に起因する回折による0次回折光の広がりと、回折格子からの信号光が空間的に重なることはない。
【0053】図4は、図1に示される光情報記録媒体(反射型回折格子形態)に、単色光源からの照明光を入射して、1次回折光(信号光)により情報読み取りを行う様子を示す説明図である。同図では、光情報記録媒体の表面に対して垂直にビーム状の照明光が入射し、0次回折光が正反射方向(光源の方向)に出射し、その周囲に信号光が出射している。
【0054】信号光の出射する範囲には予め設計した位置に光強度測定器が配置され、光が入射したセルからの信号光が特定の光強度測定器に検出される。光が検出された光強度測定器の位置により、記録情報が読み取られる。また、信号光の強度からも別の情報を読み取ることが可能である。
【0055】図5は、光強度読み取り面における、従来の光情報記録媒体の読み取りにおける前記媒体から出射する回折光の分布の例を示し、1次回折光の存在可能な位置と、0次回折光の中心から伸びる回折成分が重なる状態(上下左右の○印が、十字と重なっている)を表している。
【0056】図5の左に示す従来の一般的な形状の回折格子セルにおいて、回折格子の角度θは任意であるが、典型的には、0゜,45゜,90゜,135゜の4種類のθによる情報記録を採用することが多い。回折格子の角度θにより、右図の1次回折光のどの位置に該当するかが決定する。このとき、例えば、y軸と重なる位置(上下に配置した光強度測定器)に出射した1次回折光(回折格子の角度θ=0゜に対応)による情報を読み取ろうとすると、0次回折光の広がり成分との分離が困難であり、信号光はノイズを含んだまま検出されていた。
【0057】図6は、光強度読み取り面における、本発明の光情報記録媒体の読み取りにおける前記媒体から出射する回折光の分布の例を示している。本発明による光情報記録媒体の読み取りでは、回折格子セルから出射する1次回折光(信号光)と、0次回折光の中心から斜めに十字に伸びる回折成分は重ならず、光検出器には極めてノイズ(0次回折光)の少ない信号光が検出される。
【0058】図7は、本発明の光情報記録媒体をカードの形態にする場合、情報記録要素である回折格子セルを隙間なく並べる状態を示す説明図である。(図7の左)
【0059】同図に示すように、直交するマトリクス状ではないセルの配置とすることにより、光情報記録媒体の偽造・模造が困難になる。また、回折格子セルを隙間なく並べることにより、情報の高密度な記録が実現できる。さらに、セル間の間隙を排除することは、同じ密度で情報記録する場合でも、間隙がある場合に比べてセルの外形が大きくできるため、セルの外形による回折の広がりを抑えることが可能となる。これは、セルの大きさとセルの外形による広がりとが反比例の関係にあるためである。
【0060】さらに、図7のようなカード形態で使用する場合、一般的には、カードの外形のうち、長い辺に平行な方向で走査が行われて情報が読み取られる。このとき、光情報記録媒体上の走査方向に対して垂直に並んだセルの情報は、走査方向に対して垂直に広がった線状光を用いるなどして一度に読み取り、読み取り範囲を走査方向に走査して光情報記録媒体上での全情報を読み取ると最も効率が良い。
【0061】従来の光情報記録媒体では、セルの外形自体がカードの外形の辺と平行な線分から構成されることが多いため、1度に読み取る際に、並んだ複数のセルからの情報全てに対して、セルの外形に起因する0次回折光の広がりによるノイズの混在を避けることができない。
【0062】しかし、図7の左側に示すような本発明の光情報記録媒体においては、セルの外形に依存する0次回折光の広がりのノイズを信号光から分離できるため、1度に読み取る情報はS/N比が高く、高精度な情報読み取りが可能となる。すなわち、カードの外形(長い辺)に平行な方向で走査が行われる場合は、1度に複数のセルからの情報を読み取るため、同図の上下方向に広がった線状光を用いて、同図の上下方向に並んだ複数のセルに読み取り光を照射しても、1度に照射される複数のセルは、何れも外形に起因する0次回折光の広がりによるノイズの混在を避けることができる。
【0063】しかも、セルの大きさが小さくてもノイズ光との分離ができるため、高いS/N比で情報を読み取ることができると共に、小さい光情報記録媒体に比較的多くの情報を記録することが可能である。
【0064】図8は、図7の菱形とは異なる形状の回折格子セルの例と、それらを隙間なく並べる配置(他のセルを点線の領域に配置する)について示す説明図である。図8(a) は、セルの外形として別の平行四辺形(ただし、水平方向に近い線分は含まない)を用いることにより、上述のような効果を持つ回折格子セルを比較的容易に実現している。図8(b) は、6辺から成る多角形の例であり、辺を多くすることにより、回折光の広がり成分を多方向に分散させている。もちろん、分散させる方向は信号光と重ならないようにする必要がある。セルの外形を複雑にすることにより、偽造・模造の防止に一層の効果がある。
【0065】ここで、回折格子セルが小さいほど、高密度な情報記録が可能である。しかし、セルのサイズが小さい場合、従来の矩形のセルでは0次回折光の広がり成分が強くなり、ノイズ成分(0次回折光の広がり)は大きな光強度を持って信号光と重なってしまっていたが、本発明による光情報記録媒体においてはこれらのノイズ成分は信号光と重ならない。従って、ノイズの少ない状態で情報読み取りが可能な、高密度な情報記録が実現できる。
【0066】図9は、本発明の光情報記録媒体において、セルの外形を規定する線分が隣接するセル同士においては、それぞれ異なる空間周波数および/または方向を有する回折格子から成る例に係る説明図である。図9の左側には、この例の特定領域内にある回折格子セルを拡大して示している。この例では、空間周波数,角度の異なる3種類の回折格子から成るセルが、それぞれ同種のセルは、外形を規定する線分を共有した隣接はしないように並んでいる。
【0067】このような光情報記録媒体に光を入射すると、図10に示すように、3種類の回折格子に対応した3つの方向に1次回折光(信号光)が分配される。このとき、それぞれの信号光の出射方向に予めCCDカメラを配置しておくと、各CCDカメラには図11に示すようにそれぞれパターンが検出される。
【0068】それぞれのパターンは、図9における回折格子セルの種類と位置に依存している。それぞれの回折格子セルの回折効率が異なれば、それは検出されたパターンの各点の濃度変化として情報の読み取りに供される。セルのサイズが異なる場合も同様である。
【0069】このようにして、図11のようなパターンから、それぞれ情報を読み取ることが可能である。また、CCDカメラの解像度が光情報記録媒体に対して荒くても、少なくともCCDカメラの解像度がセルを分離するのに十分であれば、それぞれのCCDカメラに検出されたパターンは正確に検出できる。従って、ある程度は、CCDカメラの解像度に依存せず、高密度な情報記録が可能である。
【0070】一方、検出されたパターンのうちの1つ(例えば、CCD(b) で検出されたパターン)をトラッキング用の信号とし、より高精度な読み取りに利用することも可能である。
【0071】このとき、CCDカメラを配置した面(光強度読み取り面)において、光は図12に示すように分布している。すなわち、図9に示しているような菱形のセルの外形を構成する線分に垂直な方向に0次回折光が広がっているが、それとは空間的に重複しないように、十分な余裕を持って複数の1次回折光の分布領域が並んでいる。
【0072】従って、0次回折光の広がり成分を主成分とするノイズ光が著しく少ない条件を満たしつつ、3つの空間的に離れた位置でそれぞれ信号光を検出でき、多くの情報を同時に読み取ることができる。もちろん、より多くの種類の回折格子セルを用いることも可能であり、その場合は更に多くの情報を同時に読み取ることも可能である。
【0073】以上、説明の簡便化のため、ノイズ成分としては、0次回折光の広がり成分を主として述べたが、情報記録に用いる信号光である回折光の次数以外の全ての回折次数について、同様の効果がある。
【0074】また、以上の説明では、回折格子セルが平行四辺形の場合,6辺から成る多角形の場合についてのみ説明したが、これに限らず、任意の辺の数,任意の形状の多角形の回折格子セルを用いても良い。ただし、情報の読み取りやすさ等から、0次回折光の広がりが2方向に限定される平行四辺形が好ましい。また、0次回折光の広がりを検出して真偽判定を行なうような場合には、多くの辺を持つ回折格子セルを用いるのも有効である。
【0075】なお、本発明の回折格子パターンは、表面レリーフ型に代表される位相型回折格子、濃度表現による振幅型回折格子など、どのような種類の回折格子でも適用される。
【0076】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の如く、回折格子セルを情報記録要素として基板表面に複数配置することにより形成される光情報記録媒体、およびそれを表面に有するカードにおいて、情報記録要素である回折格子セルの外形を改良することによって、主に情報読み取りに使用する1次回折光に、セルの外形に起因する0次回折光が広がって重なり、ノイズとなることが防止される。特に、小サイズのセルによる高密度情報記録を行う上でのノイズを解消する上で、本発明は有効である。
【0077】




 

 


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