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発明の名称 非接触ICカード記録媒体及びその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−222698(P2001−222698A)
公開日 平成13年8月17日(2001.8.17)
出願番号 特願2000−366790(P2000−366790)
出願日 平成12年12月1日(2000.12.1)
代理人
発明者 張 松弟
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】少なくとも熱可塑性高分子樹脂からなる表面基材1、内面基材2、非接触ICモジュール、熱可塑性高分子樹脂からなる内面基材3及び表面基材4を順次に積層してなる非接触ICカードであって、内面基材2及び内面基材3となる熱可塑性高分子樹脂は非晶体熱可塑性高分子樹脂であり、内面基材2と内面基材3の総厚さはICモジュールの最大厚さより厚いことを特徴とする非接触ICカード記録媒体。
【請求項2】表面基材1及び表面基材4となる熱可塑性高分子樹脂のビカット軟化温度は、前記基材2及び基材3となる熱可塑性高分子樹脂非晶体のビカット軟化温度より、10°C以上高いことを特徴とする請求項1記載の非接触ICカード記録媒体。
【請求項3】表面基材1及び表面基材4は熱可塑性高分子樹脂の結晶体からなり、且つ高分子が基材面内の一定方向に沿って配向され、表面基材1の高分子配向方向と表面基材4の高分子配向方向がそれぞれ鏡像対称となり、お互いに鏡像関係にあることを特徴とする請求項1又は2記載の非接触ICカード記録媒体。
【請求項4】前記表面基材1及び表面基材4はポリエチレンテレフタレートの高分子樹脂結晶性フィルムシートであり、二軸延伸処理により、高分子が基材面内に縦方向(MD方向)と横方向(TD方向)とに二軸配向され、表面基材1高分子の縦及び横方向の配向方向と、表面基材4高分子の縦及び横方向の配向方向がそれぞれ鏡像対称となり、お互いに鏡像関係にあることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の非接触ICカード記録媒体。
【請求項5】前記表面基材1と内面基材2の間、および内面基材3と表面基材4の間に厚さが0.1μm〜10μmの接着層を形成させたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の非接触ICカード記録媒体。
【請求項6】前記請求項1ないし5のいずれか1項に記載の非接触ICカード記録媒体の、表面基材1と表面基材4の縦と横の高分子配向方向を揃え、それぞれの配向方向を鏡像対称にする方法として、表面基材1上に内面基材2、ICモジュール、内面基材3を順次に積層し、さらに表面基材1と同じ高分子配向を有する表面基材4を、表面基材1と同じ向き及び配置で重ね、一体化してなることを特徴とする非接触ICカード記録媒体の製造方法。
【請求項7】前記請求項1ないし5のいずれか1項に記載の非接触ICカード記録媒体の、表面基材1と表面基材4の高分子の配向がお互いに鏡像対称となるように、表面基材1と表面基材4の高分子の配向を揃える方法として、表面基材1及び表面基材4に用いられる二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムシートは、同じ一定幅のロール状の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムから採取し、表面基材1と表面基材4が二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムにおける位置が左右一致の前後位置(非隣接の前後を含む)にあることを特徴とする非接触ICカード記録媒体の製造方法。
【請求項8】前記請求項1ないし5のいずれか1項に記載の非接触ICカード記録媒体の、表面基材1と表面基材4の高分子の配向がお互いに鏡像対称となるよう、表面基材1と表面基材4の高分子配向を揃える方法として、表面基材1及び表面基材4に用いる一定幅の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを所定長さで断裁し、断裁されたフィルムシートを表面基材1及び表面基材4の基材とし、表面基材1と表面基材4のそれぞれのシートの断裁方向及び幅方向を一致させるよう、内面基材2と内面基材3、ICモジュルールと合わせて積層して一体化する方法であることを特徴とする非接触ICカード記録媒体の製造方法。
【請求項9】前記表面基材1及び表面基材4に用いる二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの加工について、一定幅の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを所定長さで断裁して、断裁方向及び幅方向の左右を揃えるように積み重ねて、積み重ねたフィルムシートのコーナーの少なくとも一か所をカットし、表面基材1及び表面基材4とし、積層一体化する際、表面基材1と表面基材4のコーナーカット部分を一致させるように積層して一体化することを特徴とする請求項6ないし8のいずれか1項に記載の非接触ICカード記録媒体の製造方法。
【請求項10】前記表面基材1及び表面基材4に用いる二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの加工について、一定幅の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを所定長さで断裁して、断裁方向及び幅方向の左右を揃えるように積み重ねて、積み重ねたフィルムシートの少なくとも一辺に切り口を入れ、表面基材1及び表面基材4とし、積層一体化する際、表面基材1と表面基材4の切り口部分を一致させるように積層して一体化することを特徴とする請求項6ないし8のいずれか1項に記載の非接触ICカード記録媒体の製造方法。
【請求項11】前記、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の非接触ICカード記録媒体の積層、一体化手段として、加熱加圧手段を用いることを特徴とする非接触ICカード記録媒体の製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非接触ICカードの記録媒体及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体技術の進歩に伴って、カード記録媒体としてカード素材にマイクロプロセッサやRAM、ROM等の半導体メモリを含むICモジュールを搭載してなるいわゆるICカードが、情報記録容量が非常に大きいこと、および高セキュリティ性を有することから開発され、使用されることになった。
【0003】このようなICカード記録媒体においては、記録媒体が端末とのアクセス方法によって、接触型ICカードと非接触ICカードの2種類記録媒体がある。接触型ICカード記録媒体は端末と通信する際、記録媒体の接点を端末の接点と合わせ、接触し合う必要があるので、通信作業が面倒であり、通信速度が遅い。更に記録媒体の接点が記録媒体の表面に露出しているので、接点が汚され、壊され易い欠点がある。
【0004】一方、非接触ICカード記録媒体は電磁結合、電磁誘導またはマイクロ波を用いて、端末と情報通信するので、接点を持たない。よって、通信作業が容易であり、接点が壊されて通信が出来なくなるような心配がない。そのため、非接触ICカード記録媒体の開発が最近盛んに行われている。
【0005】この種のICカードを製造する方法としては、熱ラミネートまたは樹脂充填、樹脂射出成形等の方法によるカード化が採用されている。そのうち熱ラミネートによるカード化方法は従来の熱ラミネートによる一般なプラスチックカードの製造技術の応用ができ、できあがるカードの物性も従来のカードと近いこと等から、特に開発されている。
【0006】熱ラミネート方式は例えば、所定のカード厚さより、薄いプラスチックシートの基材の上に、予め積載しようとするモジュール上の電気部品の形状を削り出し、そこにモジュールを埋め込んでから、もう一枚の基材と貼り合わせて熱ラミネート方式により、作製する方法である。このような方法では熱ラミネート温度が高い方がより平滑なカード表面が得られるため、一般融着用のラミネート温度である100°C〜150°Cよりも高いラミネート温度が好ましい。
【0007】しかし、この方法では、生産効率が悪く、プラスチック上にモジュールの形状を削り出すには、手間及びコストがかかり、出来上がったカードの製造コストが高くなるという問題がある。
【0008】また、カード記録媒体上にID情報及びデザインの絵柄等の印刷層を設けるため、あらかじめ基材上に印刷層を形成してから、積層熱ラミネートを行ってカード化する際、基材樹脂の流れにより、印刷層の絵柄などが変形してしまうことがある。絵柄の変形を防ぐため、熱ラミネートをしてから印刷層を形成することもできるが、この場合には、印刷時の印圧などによりICチップが破損してしまうことがある。また、ICモジュールは高価な部品であり、印刷不良を生じると多額なロスに繋がる危険がある。
【0009】更により平滑なカード表面を得るため、一般融着用のラミネート温度よりも高い、基材樹脂の塑性流動の温度まで基材を加熱して、圧力を加えることにより基材樹脂を流してICモジュールを埋め込む必要がある。ビカット軟化点の高い樹脂の基材を用いて、記録媒体の耐熱温度を上げる場合、より高い熱ラミネート温度が必要となり、ICモジュールの受ける影響も大きくなり、高温によりモジュールが壊れる可能性がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は以上のような問題点に着目してなされたもので、各種のモジュール及びカードへの対応ができ、耐性良く、しかも低コストで品質のよい非接触ICカード記録媒体とその製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の請求項1に記載の発明は、少なくとも熱可塑性高分子樹脂からなる表面基材1、内面基材2、非接触ICモジュール、熱可塑性高分子樹脂からなる内面基材3及び表面基材4を順次に積層してなる非接触ICカードであって、内面基材2及び内面基材3となる熱可塑性高分子樹脂は非晶体熱可塑性高分子樹脂であり、且つ内面基材2と内面基材3の総厚さはICモジュールの最大厚さより厚いことを特徴とする非接触ICカード記録媒体である。
【0012】請求項2に記載の発明は、前記表面基材1及び表面基材4となる熱可塑性高分子樹脂のビカット軟化温度は、前記基材2及び基材3となる熱可塑性高分子樹脂非晶体のビカット軟化温度点より、10°C以上高いことを特徴とする請求項1記載の非接触ICカード記録媒体である。なお、ビカット軟化温度とは、JIS K7206の測定方法に基づいて測定した熱可塑性高分子樹脂の軟化温度をいう。
【0013】請求項3に記載の発明は、表面基材1及び表面基材4は熱可塑性高分子樹脂の結晶体からなり、且つ高分子が基材面内の一定方向に沿って配向され、表面基材1の高分子配向方向と表面基材4の高分子配向方向がそれぞれ鏡像対称となり、お互いに鏡像関係にあることを特徴とする請求項1又は2記載の非接触ICカード記録媒体である。
【0014】請求項4に記載の発明は、前記表面基材1及び表面基材4はポリエチレンテレフタレートの高分子樹脂結晶性フィルムシートであり、二軸延伸処理により、高分子が基材面内に縦方向(MD方向)と横方向(TD方向)とに二軸配向され、表面基材1高分子の縦及び横方向の配向方向と、表面基材4高分子の縦及び横方向の配向方向がそれぞれ鏡像対称となり、お互いに鏡像関係にあることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の非接触ICカード記録媒体である。
【0015】請求項5に記載の発明は、前記表面基材1と内面基材2の間、および内面基材3と表面基材4の間に厚さが0.1μm〜10μmの接着層を形成させたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の非接触ICカード記録媒体である。
【0016】請求項6に記載の発明は、前記請求項1ないし5のいずれか1項に記載の非接触ICカード記録媒体の、表面基材1と表面基材4の縦と横の高分子配向方向を揃え、それぞれの配向方向を鏡像対称にする方法として、表面基材1上に内面基材2、ICモジュール、内面基材3を順次に積層し、さらに表面基材1と同じ高分子配向を有する表面基材4を、表面基材1と同じ向き及び配置で重ね、一体化してなることを特徴とする非接触ICカード記録媒体の製造方法である。
【0017】請求項7に記載の発明は、前記請求項1ないし5のいずれか1項に記載の非接触ICカード記録媒体の、表面基材1と表面基材4の高分子の配向がお互いに鏡像対称となるように、表面基材1と表面基材4の高分子の配向を揃える方法として、表面基材1及び表面基材4に用いられる二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムシートは、同じ一定幅のロール状の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムから採取し、表面基材1と表面基材4が二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムにおける位置が左右一致の前後位置(非隣接の前後を含む)にあることを特徴とする非接触ICカード記録媒体の製造方法である。
【0018】請求項8に記載の発明は、前記請求項1ないし5のいずれか1項に記載の非接触ICカード記録媒体の、表面基材1と表面基材4の高分子の配向がお互いに鏡像対称となるよう、表面基材1と表面基材4の高分子配向を揃える方法として、表面基材1及び表面基材4に用いる一定幅の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを所定長さで断裁し、断裁されたフィルムシートを表面基材1及び表面基材4の基材とし、表面基材1と表面基材4のそれぞれのシートの断裁方向及び幅方向を一致させるよう、内面基材2と内面基材3、ICモジュルールと合わせて積層して一体化する方法であることを特徴とする非接触ICカード記録媒体の製造方法である。
【0019】請求項9に記載の発明は、請求項6ないし8のいずれか1項に記載の非接触ICカード記録媒体の製造方法において、前記表面基材1及び表面基材4に用いる二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの加工について、一定幅の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを所定長さで断裁して、断裁方向及び幅方向の左右を揃えるように積み重ねて、積み重ねたフィルムシートのコーナーの少なくとも一か所をカットし、表面基材1及び表面基材4とし、積層一体化する際、表面基材1と表面基材4のコーナーカット部分を一致させるように積層して一体化することを特徴とする請求項6ないし8のいずれか1項に記載の非接触ICカード記録媒体の製造方法である。
【0020】請求項10に記載の発明は、前記表面基材1及び表面基材4に用いる二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの加工について、一定幅の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを所定長さで断裁して、断裁方向及び幅方向の左右を揃えるように積み重ねて、積み重ねたフィルムシートの少なくとも一辺に切り口を入れ、表面基材1及び表面基材4とし、積層一体化する際、表面基材1と表面基材4の切り口部分を一致させるように積層して一体化することを特徴とする請求項6ないし8のいずれか1項に記載の非接触ICカード記録媒体の製造方法である。
【0021】請求項11に記載の発明は、前記、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の非接触ICカード記録媒体の積層、一体化手段として、加熱加圧手段を用いることを特徴とする非接触ICカード記録媒体の製造方法である。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照し、本発明を詳細に説明する。図1及び図2は本発明の実施例に係わる非接触ICカード記録媒体10、20の構成を各加工工程毎に示す説明図である。
【0023】図1に示す本発明の非接触ICカード記録媒体10は、印刷層8、表面基材1、内面基材2、非接触ICモジュール7、内面基材3、表面基材4、印刷層8が順次積層されて構成されている。
【0024】次に、各構成について説明する。表面基材1、4は、強度のある合成紙、PET、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリ(3ヒドロキシブチレート−3ヒドロキシヴァリレート)、ポリビニルアルコール、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)等の合成樹脂類、天然樹脂類、またはそれらの樹脂の変性樹脂などを単独または組み合わせた複合体、アロイ体、ブレンド体などを使用することができる。さらにそれらの樹脂に有機顔料、無機顔料または有機染料、無機染料、安定剤、表面活性剤などの添加剤を加え、樹脂を改質することも可能である。
【0025】非接触ICカードに高耐熱性及び高耐久性を持たせるために、二軸延伸処理を施した熱可塑性高分子樹脂の結晶性フィルムシートを表面基材として用いたほうが望ましい。本発明では表面基材1、4に縦方向(MD方向)と横方向(TD方向)の二軸延伸処理を施したPETフィルムを用いることを推奨する。しかし、二軸延伸PETフィルムのガラス転移温度(Tg )が100°C以下であり、カード加工及びカード使用時に表面基材1及び4がTg 以上に加熱されると、高分子の配向性により、縦方向と横方向において、それぞれ異なる変形を生じる。この場合、表面基材1の縦と横の高分子配向と表面基材4の縦及び横の高分子配向をそれぞれ揃えないと、非接触ICカードがツイスト、反りなどの変形を生じてしまう。
【0026】そこで、本発明が、表面基材1と表面基材4の高分子の縦方向(MD方向)と横方向(TD方向)の配向をそれぞれ鏡像対称となるように揃えさせることによって、非接触ICカードの変形問題を防ぐ。ここでの鏡像対称は表面基材1と表面基材4が向かい合わせる位置にあることを指しているものではなく、表面基材1と表面基材4の高分子の配向を情報記録媒体であるカードの正面から見ると、配向が一致であることを指している。
【0027】二軸延伸PETフィルムは一般的にPET樹脂がダイから押し出され、さらに機械によって横方向(TD方向)と縦方向(MD方向)に配向されながら、幅が1メーター以上に達するフィルムとしてロール状に巻き取られる。フィルムを機械の流れ方向に沿って巻き取りながら横(TD方向、即ちマシンの横切る方向)と縦(MD方向、即ちマシンの方向)に高分子の配向をするため、高分子が縦方向の配向(MD)においてはほぼ真っ直ぐに揃っているが、横方向の配向(TD)においては必ず真っ直ぐに横並びに揃っていることではなく、高分子がフィルムの幅方向中心処において、巻き取り方向へ偏ってやや円弧状に並んでいる。
【0028】PETフィルムをカードの表面基材1及び表面基材4として使用する際には、フィルムの幅方向からシート状に断裁し、左右隣接のシートを積み重ねて縦方向(MD方向)及び横方向(TD方向)の配向を揃えようとしても、横方向(TD方向)の高分子の配向が一直線ではなく、やや曲線(やや円弧状の一部)であるため、表面基材1と4の高分子の配向方向を完全に揃えることができない。よって、加熱によりカードがツイストしたり、反ったりすることがある。
【0029】このような問題を解決するため、本発明が提唱したようにPETフィルムの縦方向(MD方向)、因みにフィルムの巻き取りの前後方向(非隣接の前後を含む)から表面基材1及び表面基材4とする基材シートを取り、それぞれの高分子の縦方向(MD方向)及び横方向(TD方向)の配向を揃えるように積層することが重要である。この場合、例えばロール状のPETフィルムの外側表面を表面基材1の外側表面(カードの外側表面に当たる)にすれば、表面基材4の外側表面(カードのもう一方の外側表面に当たる)はロール状PETフィルムの内側表面に当たる。
【0030】上述した二軸延伸処理が施されたPETフィルム面内に、高分子が縦と横に配向され、縦方向の配向がほぼ直線であるが、横方向の配向がやや円弧状である。フィルムが安定して加工される際、時間軸において高分子配向の変化が少ないので、フィルム上の左右同じ位置の前後(非隣接の前後を含む)から、採取した表面基材1と表面基材4のPETフィルムシートを同じ向き及び配置で重ね合わせれば、表面基材1と表面基材4の高分子配向がほぼ一致となり、ほぼお互いに鏡像対称にある。熱冷を加えることにより、カードの上下方向に同じような変形が生じるので、カード全体がツイストや反りを発生しない。本発明はこのような左右同じ位置の前後(非隣接の前後を含む)の基材を配向が揃うように重ね合わせることによって生じたほぼ鏡像対称を鏡像対称という。
【0031】PETフィルムのシートを加工する際に、高分子の配向方向を間違えないため、PETフィルムをまず一定幅にスリットして、スリットされたPETフィルムを縦方向(MD方向)、因みにフィルムの巻き取りの前後方向から、表面基材1及び表面基材4の基材シートを取り、それぞれの高分子の縦方向(MD方向)及び横方向(TD方向)の配向を揃えるように積み重ねてから、その積み重ねた配向の揃ったPETフィルムシートのコーナーをカットするか、あるいはシートの縁部に切り口を入れ、または他の考えられる目印の付けた方でシートに目印を付ける。積層一体化する際には、表面基材1と表面基材4のコーナーカット部、または切り口部、または他の印部を合わせるように、表面基材1、内面基材2、ICモジュール、内面基材3、表面基材4を積層させれば良い。
【0032】または、PETフィルムのシートを加工する際に、PETフィルムをまず一定幅にスリットして、スリットされたPETフィルムの巻き取りロールをフィルムの長さから二つのロールに分け、それぞれを表面基材1と表面基材4の基材フィルムとして使用する。積層及び一体化する際、表面基材1と表面基材4の左右を合わせ、さらにフィルムの流れ方向を合わせるように積み重ねることにより、同じく表面基材1と表面基材4の高分子の縦方向及び横方向の配向を揃えることができる。表面基材の表面に印刷層、可視記録層などの機能層を設ける場合、表面基材1と表面基材4のそれぞれのフィルムをロールじょうで加工することができる。
【0033】そしてこのような表面基材1、4の外側の全面または一部の面には、ID情報及び絵柄デザイン等の印刷層8が設けられている。表面基材と印刷層との接着性を向上させるために、表面基材の表面に易接着処理、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、樹脂塗布等を施しても良い。さらに、表面基材の表面または印刷層の表面に、ほかの機能性薄膜層、例えば、保護層、磁気記録層、可視記録層等を全面または一部に設けても良い。
【0034】内面基材2、3は熱可塑性樹脂の非晶体からなり、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリ(3ヒドロキシブチレート−3ヒドロキシヴァリレート)、ポリビニルアルコール、ABS等の合成樹脂類、天然樹脂類、またはそれらの樹脂の変性樹脂などを単独または組み合わせた複合体、アロイ体、ブレンド体等の非晶性固体を使用することができる。さらにそれらの樹脂に有機顔料、無機顔料または有機染料、無機染料、安定剤、表面活性剤などの添加剤を加え、樹脂を改質することも可能である。
【0035】内面基材2と3の間にICモジュール7を配置する。記録媒体の信頼性を保つため、内面基材2または内面基材3とICモジュール7の間に、接着層(図示せず)を設けた方が好ましい。接着層を構成する接着剤としては、例えば、酢酸ビニル系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ポリアミド系接着剤、アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤等の熱可塑性接着剤及び熱硬化性接着剤を用いることができる。さらに表面基材1と内面基材2の間や、表面基材4と内面基材3の間に印刷層等の機能性を設け、カードに高耐久性を持たせることもできる。
【0036】ICモジュール7は、受信用また送信用のアンテナコイル(図示せず)とデータ蓄積用のメモリ(図示せず)、さらに場合によってはデータ演算用等のCPU(図示せず)、エネルギー供給用の電池(図示せず)などから成る。出来上がる非接触ICカードの外観、形状等に影響を及ぼさないため、モジュール7はなるべく薄型のものを用いた方が好ましい。また、モジュールの取扱い易さ、低コストであること等から、プリント基板型の一体型モジュールを用いても良い。
【0037】2枚の基材の間にICモジュールを挟んで、加熱、加圧方式により、非接触ICカード記録媒体を作製する際、カード記録媒体の表面を平滑にするため、加熱温度を高くし、圧力により基材樹脂をICモジュール上下から流してICモジュールを埋め込んだ方が好ましい。
【0038】しかし、温度が高くなると加熱、加圧によるICモジュール破損の危険性が増加する。そこで、カード記録媒体の耐熱性及び表面平滑性を低減することなく、加熱、加圧時のICモジュール7の破損に及ぼす影響を最小限にするため、本発明は請求項1と請求項2に記載したように、基材を表面基材と内面基材の2つにした複合構成を採用し、かつ、表面基材1、4の熱可塑性高分子樹脂の熱変形温度を、内面基材2、3の熱可塑性高分子樹脂の非晶体の熱変形温度よりも、10°C以上高く設定する。また、内面基材2、内面基材3はそれぞれ2層以上の熱可塑性高分子樹脂フィルムシートを用いることもできる。
【0039】また、比較的低い温度の加熱条件で、表面の平滑な記録媒体を得るため、内面基材2、3を合わせた厚さをICモジュール7よりも厚くする必要がある。さらに、カード記録媒体の表面をより平滑にするには、内面基材2または3上のICモジュール7のチップ等の電気部品を設置する個所に、ICモジュール7のチップ等の電気部品と同等の大きさの穴を穿ち、ICモジュール7をモジュールのチップ等の電気部品を穴に埋め込むようにしてから、加熱、加圧を行う方が好ましい。
【0040】加熱、加圧方式としては、表面基材1、内面基材2、ICモジュール7、内面基材3、表面基材4を順次に積層して加熱、加圧を行う一回方式と、先ず、内面基材2、ICモジュール7、内面基材3を順次に積層して第一次加熱、加圧を行い、ICモジュールと内面基材の一体化を先ず行い、ついで、この内面基材3、4のICモジュール7の接していない方の面に、表面基材1、4をそれぞれ積層して、第二次加熱、加圧を行う二回方式とがある。特に二回方式の場合、第二次加熱、加圧の温度を下げ、表面基材1及び内面基材2の印刷層への影響を最小限にすることができる。
【0041】上記のいずれの加熱、加圧方式であっても、加熱温度の低下による表面基材1と内面基材2の間、または、内面基材3と表面基材4の間のラミネート強度の低下を防ぐために、本発明の請求項5に記載したように、表面基材1と内面基材2の間、また、内面基材3と表面基材4の間に接着層を設ける方が好ましい。接着層を構成する接着剤としては、上述の熱可塑性及び熱硬化性の接着剤が使用できる。
【0042】接着層の厚さが薄くなると、接着強度が弱くなり、表面基材と内面基材の間で層間剥離が生じやすくなる。また、接着層が厚くなると、接着層の熱クリップ性が悪くなり、または、記録媒体表面への影響が出てくることがある。接着層の厚さを0.5μm〜10μmに規制することが重要である。接着層の形成方法としては、従来のスクリーン印刷機等による印刷方法、グラビアコータ等によるコーティング方法、ロールコータやナイフコータ等による塗布方法など公知の方法を用いれば良い。
【0043】
【実施例】以下、更に本発明の具体的な実施例を挙げて説明する。
〈実施例1〉図1は本発明の第1の実施例に係る非接触ICカード記録媒体10の構成を各工程毎に示す説明図である。
【0044】チップ部の最大厚さ(チップ部の封止部を含む)が480μmで、最大径が6mmであるICモジュールを実施例1のICモジュール7とする。ビカット軟化温度が180°C以上で、厚さが125μm、幅10cmの二軸延伸白色PETフィルムの巻き取りを縦方向(巻き取り方向)から、長さ10cmのシートに断裁して表面基材1、4とした。ビカット軟化温度が75°Cで、厚さが250μm、寸法が10cm×10cmの白色PETGシート基材を内面基材2、3とし、内面基材2、3のICチップを配置する個所にそれぞれ直径6mmの穴を形成させた。また、表面基材1、4である白色PETフィルムのカードの外側表側にあたる所定位置に絵柄及びIDデータの記された印刷層8を予め形成させておく。
【0045】なお、PETGは、イーストマンケミカル社の製品の商標であり、テレフタル酸とエチレングリコール及びシクロヘキサンジメタノールとの脱水縮合反応で得られるポリエステル樹脂である。上記の白色PETGシートとしては太平化学株式会社製のPG700Mを用いた。
【0046】次に、表面基材1の印刷層8が形成された面の反対面に内面基材2を重ね、その上に、ICチップを内面基材2の穴に埋め込むようにしてICモジュール7を重ね、さらに、出ているICチップを内面基材3の穴に埋め込むようにして内面基材3をICモジュール7の上に載せ、最後に、この上に印刷層8が形成された面が最上層となるように表面基材4を、表面基材1と表面基材4の高分子配向が揃うように重ねる。この場合、ロール状フィルムの外表面を表面基材1の外側表面(カードの外側表面にあたる)にして、表面基材4の外側表面(カードのもう一方の外側表面にあたる)はロール状フィルムの内側表面である。
【0047】このようにして積層された積層体を熱プレス機にセットして、温度;135°C、圧力;約1000kPaの条件で熱プレスを行い、一体化した。そして、厚さが0.8mmのICモジュールが埋設れた積層体が得られ、これをカード記録媒体の形状に断裁して実施例1の非接触ICカード記録媒体10とした。
【0048】得られた非接触ICカード記録媒体10は印刷層8の絵柄等の歪みがなく、表面平滑性が良く、通信テストをしたところ、正常に通信ができた。さらにカード記録媒体の熱撓み温度を測定したところ、熱変形温度が90°C以上という高い耐熱特性が得られた。
【0049】〈実施例2〉図2は本発明の第2の実施例に係る非接触ICカード記録媒体20の構成を各工程毎に示す説明図である。
【0050】図2に示す本発明の非接触ICカード記録媒体20は、磁気ストライプ9、オーバーシート6、印刷層8、表面基材1、接着層5、内面基材2、接着層13、非接触ICモジュール7、接着層13、内面基材3、接着層5、表面基材4、印刷層8、オーバーシート6、感熱可視記録層11及びホログラム層12が順次積層されて構成されている。
【0051】チップ部の最大厚さ(チップ部の封止部を含む)が300μmで、最大径が5mmであるICモジュールを実施例2のICモジュール7として準備した。ビカット軟化温度が105°Cで、厚さが120μm、寸法が10cm×10cmの白色ポリカーボネート/ポリエステルのアロイを表面基材1、4として準備した。ビカット軟化点が75°Cで、厚さが160μm、寸法が10cm×10cmの白色ポリエステルフィルムを内面基材2、3として準備した。さらにビカット軟化点が70°Cで、厚さが100μm、寸法が10cm×10cmの透明ポリエステルフィルムをオーバーシート6として準備した。
【0052】先ず、内面基材2、3のそれぞれICモジュール7と接する面に厚さ3μmのポリエステル系接着層13を形成させる。次に、内面基材2のポリエステル系接着層13上にICモジュール7を配置し、さらに内面基材3をポリエステル系接着層13側をICモジュール7に合わせるように重ねる。こうして積層された積層体を熱プレス機にセットして、温度;145°C、圧力;500kPaの条件で第一次熱プレスを行い、一体化し、中間積層体を作製した。なお、実施例1と同様に内面基材2、3のICチップを配置する個所にはそれぞれ直径6mmの穴を形成させた。
【0053】一体化された中間積層体の両外面にそれぞれ2μmの酢酸ビニル系接着層5を形成させた。表面基材1、4のそれぞれの表側面に絵柄及びIDデータの記された印刷層8を形成させ、中間積層体を挟むようにして印刷層8を外側にして表面基材1、4をそれぞれ重ねる。さらにその外側にオーバーシート6を積層する。積層されたオーバーシートの片側表面の所定位置に保磁力51.8kA/mの磁気ストライプ9を転写する。
【0054】このようにして得られた積層体を熱プレス機にセットして、温度;110°C、圧力;500kPaの条件で熱プレスを行い、一体化した。そして、厚さが0.8mmのICモジュールが埋設れた積層体が得られ、これをカード記録媒体の形状に断裁して、片側のみ印刷層8の上にホログラム層12、感熱可視記録層11を転写して実施例2の非接触ICカード記録媒体20とした。
【0055】得られた非接触ICカード記録媒体20は印刷層8及びホログラム層12の絵柄に歪みがなく、表面平滑性及び光沢が良く、通信テストをしたところ、正常に通信ができた。非接触ICカード記録媒体20の熱変形温度は80°Cという高い耐熱特性が得られた。また磁気ストライプ9の磁気特性は、JIS規格をクリアした。
【0056】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、比較的熱変形温度の低い熱可塑性樹脂の非晶体からなる内面基材2及び内面基材3の間にICモジュール7を設置し、外側に熱変形温度の高い熱可塑性樹脂からなる表面基材1及び表面基材4をそれぞれ積層して加熱加圧することにより、ICモジュールの破損がなく、低コストで耐熱性の有る、表面平滑性の良い、反り及びツイストが生じない非接触ICカード記録媒体を製造することができる。また、記録媒体の絵柄等の歪みの発生を防ぐことができる。




 

 


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