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発明の名称 薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−84513(P2001−84513A)
公開日 平成13年3月30日(2001.3.30)
出願番号 特願平11−264263
出願日 平成11年9月17日(1999.9.17)
代理人 【識別番号】100109656
【弁理士】
【氏名又は名称】三反崎 泰司 (外1名)
【テーマコード(参考)】
5D033
【Fターム(参考)】
5D033 BA07 BA08 CA01 CA02 DA03 DA04 DA08 
発明者 佐々木 芳高
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 記録媒体に対向する記録媒体対向面の側の一部に、ギャップ層を介して対向する2つの磁極部分を含む、磁気的に互いに連結された少なくとも2つの磁性層と、前記少なくとも2つの磁性層の間に絶縁層を介して配設された薄膜コイルとを有する薄膜磁気ヘッドであって、前記2つの磁性層のうち少なくとも一方の磁性層に非磁性体領域を備えたことを特徴とする薄膜磁気ヘッド。
【請求項2】 前記非磁性体領域は、前記磁極部分の近傍位置に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の薄膜磁気ヘッド。
【請求項3】 前記非磁性体領域は、前記少なくとも一方の磁性層内における磁束の流れを制御するものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の薄膜磁気ヘッド。
【請求項4】 前記非磁性体領域は、前記少なくとも一方の磁性層に形成された穴部と、前記穴部に埋設された非磁性体とを含むことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッド。
【請求項5】 前記穴部の幅は、前記磁極部分の幅よりも大きく、かつ、前記磁極部分以外の磁性層の幅よりも小さいことを特徴とする請求項4に記載の薄膜磁気ヘッド。
【請求項6】 前記非磁性体領域は、絶縁体または導電体の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッド。
【請求項7】 前記非磁性体領域は、前記少なくとも一方の磁性層の、前記記録媒体対向面とほぼ平行な幅方向の中央部に配設されていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッド。
【請求項8】 前記非磁性体領域は、この非磁性体領域を迂回するように磁束を分流させると共に、分流させた磁束を再び合流させた上で前記2つの磁極部分の一方に導くためのものであることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッド。
【請求項9】 前記2つの磁極部分のうちの少なくとも一方の磁極部分における、前記記録媒体対向面と反対側の端縁位置は、前記絶縁層の前記記録媒体対向面側の端縁位置と一致すると共に、前記非磁性体領域は、前記磁極部分における前記記録媒体対向面と反対側の端縁の近傍に配設されていることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッド。
【請求項10】 前記少なくとも一方の磁性層は、前記2つの磁極部分のうちのいずれか一方の磁極部分と、前記一方の磁極部分と磁気的に連結されると共に、前記薄膜コイルの形成領域まで延在するように、前記一方の磁極部分と同一層として形成されたヨーク部とを含み、前記非磁性体領域は、前記ヨーク部の一部領域に配設されていることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッド。
【請求項11】 前記少なくとも一方の磁性層は、前記2つの磁極部分のうちのいずれか一方の磁極部分と、前記一方の磁極部分と磁気的に連結されると共に、前記薄膜コイルの形成領域まで延在するように、前記一方の磁極部分とは別層として形成されたヨーク部とを含み、前記非磁性体領域は、前記ヨーク部の一部領域に配設されていることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッド。
【請求項12】 前記少なくとも一方の磁性層は、前記2つの磁極部分のうちのいずれか一方の磁極部分と、前記一方の磁極部分と磁気的に連結されると共に、前記薄膜コイルの形成領域まで延在するように、前記一方の磁極部分とは別層として形成されたヨーク部とを含み、前記非磁性体領域は、前記一方の磁極部分の一部領域に配設されていることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッド。
【請求項13】 記録媒体に対向する記録媒体対向面の側の一部に、ギャップ層を介して対向する2つの磁極部分を含む、磁気的に互いに連結された少なくとも2つの磁性層と、前記少なくとも2つの磁性層の間に絶縁層を介して配設された薄膜コイルとを有する薄膜磁気ヘッドの製造方法であって、前記少なくとも2つの磁性層を形成する工程と、前記2つの磁性層のうち少なくとも一方の磁性層に非磁性体領域を形成する工程とを含むことを特徴とする薄膜磁気ヘッドの製造方法。
【請求項14】 前記非磁性体領域を前記磁極部分の近傍位置に形成することを特徴とする請求項13に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
【請求項15】 前記非磁性体領域を、それが前記少なくとも一方の磁性層内における磁束の流れを制御可能であるように形成することを特徴とする請求項13または請求項14に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
【請求項16】 前記非磁性体領域を形成する工程は、前記少なくとも一方の磁性層に穴部を形成する工程と、前記穴部に非磁性体を埋設する工程とを含むことを特徴とする請求項13ないし請求項15のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
【請求項17】 前記穴部の幅が、前記磁極部分の幅よりも大きく、かつ前記磁極部分以外の磁性層の幅よりも小さくなるように、前記穴部を形成することを特徴とする請求項16に記載の薄膜磁気ヘッド製造方法。
【請求項18】 前記非磁性体領域を、それが絶縁体または導電体の少なくとも一方を含むように形成することを特徴とする請求項13ないし請求項17のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
【請求項19】 前記少なくとも一方の磁性層の、前記記録媒体対向面とほぼ平行な幅方向の中央部に、前記非磁性体領域を形成することを特徴とする請求項13ないし請求項18のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
【請求項20】 前記非磁性体領域が、この非磁性体領域を迂回するように磁束を分流させると共にその分流させた磁束を再び合流させた上で前記2つの磁極部分の一方に導くことが可能な形状を有するように、前記非磁性体領域を形成することを特徴とする請求項13ないし請求項19のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
【請求項21】 前記2つの磁極部分のうちの少なくとも一方の磁極部分における、前記記録媒体対向面と反対側の端縁位置が、前記絶縁層の前記記録媒体対向面側の端縁位置と一致するように、前記一方の磁極部分を形成すると共に、前記非磁性体領域を、前記磁極部分における前記記録媒体対向面と反対側の端縁の近傍に形成することを特徴とする請求項13ないし請求項20のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
【請求項22】 前記少なくとも一方の磁性層が、前記2つの磁極部分のうちのいずれか一方の磁極部分と、前記一方の磁極部分と磁気的に連結されると共に前記薄膜コイルの形成領域まで延在するヨーク部とを含むように、前記一方の磁性層を単一層として形成すると共に、前記ヨーク部の一部領域に前記非磁性体領域を形成することを特徴とする請求項13ないし請求項21のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
【請求項23】 前記少なくとも一方の磁性層が、前記2つの磁極部分のうちのいずれか一方の磁極部分と、前記一方の磁極部分と磁気的に連結されると共に前記薄膜コイルの形成領域まで延在するヨーク部とを含むように、前記ヨーク部と前記一方の磁極部分とを別層として形成すると共に、前記ヨーク部の一部領域に前記非磁性体領域を形成することを特徴とする請求項13ないし請求項21のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
【請求項24】 前記少なくとも一方の磁性層が、前記2つの磁極部分のうちのいずれか一方の磁極部分と、前記一方の磁極部分と磁気的に連結されると共に前記薄膜コイルの形成領域まで延在するヨーク部とを含むように、前記ヨーク部と前記一方の磁極部分とを別層として形成すると共に、前記一方の磁極部分の一部領域に前記非磁性体領域を形成することを特徴とする請求項13ないし請求項21のいずれか1項に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
【請求項25】 記録媒体に対向する記録媒体対向面の側の一部に、ギャップ層を介して対向する2つの磁極部分を含む、磁気的に互いに連結された少なくとも2つの磁性層と、前記少なくとも2つの磁性層の間に絶縁層を介して形成された薄膜コイルとを有する薄膜磁気ヘッドであって、前記2つの磁性層のうち少なくとも一方の磁性層に、前記少なくとも一方の磁性層内における磁束の流れを制御するための磁束制御部を備えたことを特徴とする薄膜磁気ヘッド。
【請求項26】 前記磁束制御部は、前記磁極部分の近傍位置に配設されていることを特徴とする請求項25に記載の薄膜磁気ヘッド。
【請求項27】 記録媒体に対向する記録媒体対向面の側の一部に、ギャップ層を介して対向する2つの磁極部分を含む、磁気的に互いに連結された少なくとも2つの磁性層と、前記少なくとも2つの磁性層の間に絶縁層を介して形成された薄膜コイルとを有する薄膜磁気ヘッドの製造方法であって、前記少なくとも2つの磁性層を形成する工程と、前記2つの磁性層のうち少なくとも一方の磁性層に、磁束の流れを制御するための磁束制御部を形成する工程とを含むことを特徴とする薄膜磁気ヘッドの製造方法。
【請求項28】 前記磁束制御部を、前記磁極部分の近傍位置に形成することを特徴とする請求項27に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、少なくとも書き込み用の誘導型磁気変換素子を有する薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ハードディスク装置の面記録密度の向上に伴って、薄膜磁気ヘッドの性能向上が求められている。薄膜磁気ヘッドとしては、書き込み用の誘導型磁気変換素子を有する記録ヘッドと読み出し用の磁気抵抗(以下、MR(Magneto Resistive )と記す。)素子を有する再生ヘッドとを積層した構造の複合型薄膜磁気ヘッドが広く用いられている。MR素子としては、異方性磁気抵抗(以下、AMR(Anisotropic Magneto Resistive )と記す。)効果を有する膜を用いたAMR素子と、巨大磁気抵抗(以下、GMR(Giant Magneto Resistive )と記す。)効果を有する膜を用いたGMR素子とがあり、AMR素子を用いた再生ヘッドはAMRヘッドあるいは単にMRヘッドと呼ばれ、GMR素子を用いた再生ヘッドはGMRヘッドと呼ばれている。AMRヘッドは面記録密度が1Gbits/in2 を超える再生ヘッドとして利用され、GMRヘッドは面記録密度が3Gbits/in2 を超える再生ヘッドとして利用されている。
【0003】一般的に、AMR膜は、MR効果を示す磁性体を膜としたもので、単層構造になっている。これに対して、多くのGMR膜は、複数の膜を組み合わせた多層構造になっている。GMR効果が発生するメカニズムにはいくつかの種類があり、そのメカニズムによってGMR膜の層構造が変わる。GMR膜としては、超格子GMR膜、スピンバルブ膜、グラニュラ膜等が提案されているが、比較的構成が単純で、弱い磁界でも大きな抵抗変化を示し、量産を前提とするGMR膜としては、スピンバルブ膜が有力である。
【0004】再生ヘッドの性能を決定する要因としては、パターン幅、特に、MRハイトの加工精度がある。MRハイトはMR素子のエアベアリング面(ABS )側の端部から反対側の端部までの長さ(高さ)をいう。このMRハイトは、本来、エアベアリング面の加工の際の研磨量によって制御されている。なお、ここにいうエアベアリング面は、薄膜磁気ヘッドの磁気記録媒体に対向する面であり、トラック面ともいう。
【0005】一方、再生ヘッドの性能向上に伴って、記録ヘッドの性能向上も求められている。記録ヘッドの性能のうち、記録密度を高めるには、磁気記録媒体におけるトラック密度を上げる必要がある。そのためには、記録ギャップ(write gap)を挟んでその上下に形成された下部磁極(ボトムポール)および上部磁極(トップポール)のエアベアリング面でのトラック幅を数ミクロンからサブミクロンオーダーまで狭くした狭トラック構造の記録ヘッドを実現する必要があり、この実現には半導体加工技術が利用されている。
【0006】記録ヘッドの性能を決定するその他の要因としては、スロートハイト(ThroatHeight:TH) の加工精度がある。スロートハイトは、エアベアリング面から、薄膜コイルを電気的に分離する絶縁層のエッジまでの部分(磁極部分)の長さ(高さ)をいう。記録ヘッドの性能向上のためには、スロートハイトの縮小化が望まれている。このスロートハイトも、エアベアリング面の加工の際の研磨量によって制御されていた。
【0007】薄膜磁気ヘッドの性能の向上のためには、上述のような記録ヘッドと再生ヘッドとをバランスよく形成することが重要である。
【0008】ここで、図30ないし図35を参照して、従来の薄膜磁気ヘッドの一例として複合型薄膜磁気ヘッドの製造方法を説明する。図36は従来の複合型薄膜磁気ヘッドの平面図である。なお、図30ないし図35において、(A)は図36のXXXVA−XXXVA切断線で切った工程断面図、(B)は図36のXXXVB−XXXVB切断線で切った工程断面図である。
【0009】(1)まず、図30に示したように、例えばアルティック(Al2 3 TiC)よりなる基板101上に、例えばアルミナ(酸化アルミニウム: Al2 3)よりなる絶縁層102を、約5μm〜10μm程度の厚みで形成する。続いて、絶縁層102上に例えばパーマロイ(NiFe)からなる再生ヘッド用の下部シールド層103を形成する。
【0010】(2)図31に示したように、下部シールド層103上に、例えばアルミナを100nm〜200nmの厚みで堆積し、シールドギャップ膜104を形成する。続いて、シールドギャップ膜104上に、再生用のMR素子を構成するためのMR膜105を数十nmの厚みで形成し、高精度のフォトリソグラフィで所望の形状とする。続いて、このMR膜105の両端に一対のリード端子層106をリフトオフ法により形成する。続いて、シールドギャップ膜104上、MR膜105上およびリード端子層106上に、シールドギャップ膜107を形成し、MR膜105およびリード端子層106をシールドギャップ膜104と107との間に埋設する。続いて、シールドギャップ膜107上に、再生ヘッドと記録ヘッドの双方に用いる磁気材料、例えばNiFeからなる膜厚3μmの上部シールド兼下部磁極(以下、単に下部磁極と記す。)108を形成する。
【0011】(3)図32に示したように、下部磁極108上に、絶縁層例えばアルミナ膜よりなる膜厚200nmの記録ギャップ層109を形成する。更に、この記録ギャップ層109をフォトリソグラフィによりパターンニングし、下部磁極108とこの上層に後に形成される上部磁極(116)との接続用の開口109aを形成する。続いて、めっき法によりNiFeや窒化鉄(FeN)からなる磁気材料により磁極先端部(ポールチップ)110を形成すると共に、上部磁極と下部磁極108との間を磁気的に接続する磁極連結部110aを形成する。この磁極連結部110aを予め形成しておくことにより、絶縁層111を形成し、その表面をCMP(Chemical and Mechanical Polishing : 化学的機械研磨)工程で平坦化した後に、あえて双方の接続のための開口(スルーホール)を形成しなくても、下部磁極108と上部磁極との間を磁気的に簡易に接続することができる。
【0012】(4)図33に示したように、磁極先端部110をマスクとしてイオンミリングによって約0.3μm〜0.5μm程度のエッチングを行い、記録ギャップ層109および下部磁極108の表面の一部を取り除く。下部磁極108までエッチングしてトリム構造とすることにより、実効書き込みトラック幅の広がりが防止される(すなわち、データの書き込み時において、下部磁極108における磁束の広がりが抑制される)。続いて、基板全面に、膜厚約3μmの例えばアルミナからなる絶縁層111を形成した後、絶縁層111の全面をCMPにより平坦化する。
【0013】(5)図34に示したように、絶縁層111上に、例えばめっき法により銅(Cu)からなる誘導型の記録ヘッド用の第1層目の薄膜コイル112を選択的に形成する。続いて、絶縁層111および薄膜コイル112上に、フォトレジスト膜113を高精度のフォトリソグラフィで所定のパターンに形成する。続いて、フォトレジスト膜113の平坦化および薄膜コイル112間の絶縁化のために所定の温度の熱処理を行う。更に、第1層目の薄膜コイル112と同様の条件で、フォトレジスト膜113上に第2層目の薄膜コイル114を形成する。そして、第2層目の薄膜コイル114上にフォトレジスト膜115を形成し、フォトレジスト膜115の平坦化および薄膜コイル114間の絶縁化のために所定の温度の熱処理を行う。
【0014】(6)図35に示したように、磁極先端部110、フォトレジスト膜113、および115上に、記録ヘッド用の磁気材料、例えばNiFeからなる上部ヨーク兼上部磁極(以下、単に上部磁極と記す。)116を形成する。この上部磁極116は、図36に示したように薄膜コイル112、114のそれぞれの中心部分において、磁極連結部110aを介在させて下部磁極108に接触し、かつ磁気的に連結される。続いて、上部磁極116上に、例えばアルミナよりなるオーバーコート層117を形成する(図35参照。)。最後に、スライダによる機械加工により、記録ヘッドおよび再生ヘッドのトラック面(エアベアリング面)118を形成して、薄膜磁気ヘッドが完成する。
【0015】図35および図36において、符号THはスロートハイトを表し、MR−HはMRハイトをそれぞれ表している。また、符号P2Wはトラック(磁極)幅を表している。薄膜磁気ヘッドの性能を決定する要因として、スロートハイトTHやMRハイトMR−H等の他に、同図35においてθで示したようなエイペックスアングル(Apex Angle)がある。このエイペックスアングルは、フォトレジスト膜113、115のそれぞれのトラック面側の側面の角部を結ぶ直線と上部磁極116の上面とのなす角度をいう。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】この種の薄膜磁気ヘッドにおいては、近い将来、面記録密度が10Gbits/in2 〜20Gbits/in2 の高密度に達し、300MHz〜500MHzの高周波帯域での使用が予測されており、スロートハイトTHが零の近傍における磁気ボリュームをいかに最適に確保できるかが重要な課題になっている。
【0017】当然ながら、スロートハイトTHが零の近傍で大きな磁気ボリュームが得られれば、オーバーライト特性を向上させることができる。特開平10−320963号公報には、スロートハイトTHが零の近傍においてトラック幅P2Wから90度に広がりを有する上部磁極が開示されており、このような上部磁極においてはオーバーライト特性を向上させ易いことが明らかにされている。
【0018】しかしながら、スロートハイトTHが零の近傍で磁束が集中した場合、磁極先端部から磁気記録媒体に漏れる磁束が多くなってしまう。このため、磁気記録媒体において、本来、記録データが書き込まれる記録トラックの隣の記録トラックに記録データが書き込まれてしまうサイドライトや、記録データの書き滲み等の不具合を生じる問題がしばしば見受けられた。
【0019】さらに、薄膜磁気ヘッドにおいて、磁極先端部から過度に磁束が流れ、エアベアリング面近傍で極端に磁束の流れが制限された場合には、低周波特性、高周波特性のそれぞれの磁気的な実効書き込みトラック幅が極端に異なるトラブルが生じ、またエアベアリング面近傍に過度の磁束が流れた場合には、記録データを書き込む記録トラックの隣の記録トラックに既に書き込まれた記録データを消去してしまうサイドトラックイレーズを起こしてしまうトラブルが生じる問題がしばしば見受けられた。特に、ハードディスク装置に組み込まれた薄膜磁気ヘッドにおいては、サイドトラックイレーズは、磁気ディスク板を左右にスキューさせた時に、磁気ディスク板のセンターや外周で発生することが多かった。
【0020】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、磁極(磁極先端部)や磁性層に流れる磁束を最適に制御することが可能な(最適なフラックスコントロールが可能な)薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法を提供することにある。
【0021】本発明の第2の目的は、磁束の飽和を回避して磁極への十分な磁束の供給を確保することでオーバーライト特性を向上させることができるとともに、磁極への過剰な磁束の流入を抑制して、サイドライト、記録データの書き滲み、およびサイドトラックイレーズ等の不都合を防止することが可能な薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法を提供することにある。
【0022】本発明の第3の目的は、本発明の第2の目的を達成しつつ、周波数特性の違いによる磁気的な実効書き込みトラック幅の変化量を減少することが可能な薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法を提供することにある。
【0023】さらに、本発明の第4の目的は、簡易な構造または簡単な製造方法で、第1の目的ないし第3の目的の少なくともいずれか1つを達成することができる薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法を提供することにある。
【0024】さらに、本発明の第5の目的は、製造工程数を削減しつつ、第1の目的ないし第4の目的を達成することができる薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】本発明による薄膜磁気ヘッドは、記録媒体に対向する側の一部に記録ギャップ層を介して対向する2つの磁極部分を含む、磁気的に互いに連結された少なくとも2つの磁性層と、少なくとも2つの磁性層の間に絶縁層を介して形成された薄膜コイルとを有し、2つの磁性層のうち少なくとも一方の磁性層に非磁性体領域を備えたものである。
【0026】本発明による薄膜磁気ヘッドの製造方法は、記録媒体に対向する記録媒体対向面の側の一部に、記録ギャップ層を介して対向する2つの磁極部分を含む、磁気的に互いに連結された少なくとも2つの磁性層と、少なくとも2つの磁性層の間に絶縁層を介して形成された薄膜コイルとを有する磁気ヘッドの製造方法であって、少なくとも2つの磁性層を形成する工程と、2つの磁性層のうち少なくとも一方の磁性層に非磁性体領域を形成する工程とを含むようにしたものである。
【0027】本発明による薄膜磁気ヘッドまたはその製造方法では、2つの磁性層のうちの少なくとも一方の磁性層に非磁性体領域が存在することになるので、磁束は、この非磁性体領域を通過することができない。すなわち、非磁性体領域は、磁束の流れに対して一種の障害物として機能する。
【0028】本発明による薄膜磁気ヘッドまたはその製造方法において、特に、「非磁性体領域」を磁極部分の近傍位置に配設するようにした場合には、磁極部分以外の部分から磁極部分に流れ込む磁束を効果的にコントロール可能である。また、「非磁性体領域」は、少なくとも一方の磁性層に形成された穴部と、この穴部に埋設された非磁性体とを備えるように構成可能である。ここにいう「穴部」とは、磁性層を完全に貫通する貫通穴のほかに、底部に磁性層の一部を残した止め穴をも含む意である。穴部の幅は、磁極部分の幅よりも大きく、かつ磁極部分以外の磁性層の幅よりも小さいことが好ましい。
【0029】また、「非磁性体領域」は、絶縁体または導電体の少なくとも一方を含むように構成可能である。「非磁性体領域」は、磁性層の幅方向中央部に配設するのが好ましい。この場合には、磁極部分に向かう磁束が一旦受け止められて、その流れの勢いが緩和される。この場合には、さらに、受け止められた磁束が「非磁性体領域」を迂回するように分流されたのち再び合流して磁極部分に導かれるようにするのが好ましい。
【0030】また、本発明による薄膜磁気ヘッドまたはその製造方法では、少なくとも一方の磁極部分における記録媒体対向面と反対側の端縁位置が、絶縁層の記録媒体対向面側の端縁位置と一致すると共に、非磁性体領域が、磁極部分における記録媒体対向面と反対側の端縁の近傍に位置することが好ましい。
【0031】また、本発明による薄膜磁気ヘッドの製造方法では、非磁性体領域を形成する工程が、少なくとも一方の磁性層に穴部を形成する工程と、穴部に非磁性体を埋設する工程とを含むようにするのが好ましい。この場合において、例えば、磁性層の形成と同時に穴部を形成し、磁性層を覆う絶縁体の形成と同時に穴部に同一の絶縁体を埋設して非磁性体領域を形成するようにした場合には、磁性層の形成工程と絶縁体の形成工程とを利用して非磁性体領域が形成されるので、非磁性体領域を形成するための特別の工程を必要としない。
【0032】また、本発明による薄膜磁気ヘッドまたはその製造方法では、少なくとも一方の磁性層が、2つの磁極部分のうちのいずれか一方の磁極部分と、この一方の磁極部分と磁気的に連結されると共に薄膜コイルの形成領域まで延在するヨーク部とを含むように構成可能である。この場合には、上記一方の磁極部分とヨーク部とが単一層をなし、かつ、非磁性体領域がヨーク部の一部に配設されるように構成することが可能である。あるいは、上記一方の磁極部分とヨーク部とが別層をなし、かつ、非磁性体領域がヨーク部の一部に配設されるようにしてもよい。あるいは、上記一方の磁極部分とヨーク部とが別層をなし、かつ、非磁性体領域が上記一方の磁極部分の一部に配設されるようにしてもよい。
【0033】本発明の他の薄膜磁気ヘッドは、記録媒体に対向する記録媒体対向面の側の一部に、ギャップ層を介して対向する2つの磁極部分を含む、磁気的に互いに連結された少なくとも2つの磁性層と、少なくとも2つの磁性層の間に絶縁層を介して形成された薄膜コイルとを有する薄膜磁気ヘッドであって、2つの磁性層のうち少なくとも一方の磁性層に、少なくとも一方の磁性層内における磁束の流れを制御するための磁束制御部を備えたものである。
【0034】本発明の他の薄膜磁気ヘッドは、記録媒体に対向する記録媒体対向面の側の一部に、ギャップ層を介して対向する2つの磁極部分を含む、磁気的に互いに連結された少なくとも2つの磁性層と、少なくとも2つの磁性層の間に絶縁層を介して形成された薄膜コイルとを有する薄膜磁気ヘッドの製造方法であって、少なくとも2つの磁性層を形成する工程と、2つの磁性層のうち少なくとも一方の磁性層に、磁束の流れを制御するための磁束制御部を形成する工程とを含むようにしたものである。
【0035】これらの場合において、磁束制御部は、磁極部分の近傍位置に配設するのが好ましい。
【0036】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0037】(第1の実施の形態)本発明の第1の実施の形態は、再生ヘッドと、磁束発生用の1層の薄膜コイルを有する記録ヘッドとを同時に備えた複合型薄膜磁気ヘッド(以下、単に薄膜磁気ヘッドという。)に、本発明を適用した例を説明するものである。図1は本発明の第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの要部断面図、図2は本発明の第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの記録ヘッド部分の平面図である。図1中、(A)は図2に示すトラック面(またはエアベアリング面)に垂直なIA−IA切断線で切った要部断面図、(B)は同図2に示すトラック面に平行なIB−IB切断線で切った要部断面図である。
【0038】図1および図2に示したように、本発明の第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドは、再生用の磁気抵抗効果読み出しヘッド部(以下、単に再生ヘッド部という。)1Aと、記録用のインダクティブ記録ヘッド部(以下、単に記録ヘッド部という。)1Bとを備え、再生ヘッド部1A上に記録ヘッド部1Bを配設している。
【0039】図1に示したように、再生ヘッド部1Aは、例えばアルティック(Al2 3 TiC)からなる基板11上に、例えばアルミナ(酸化アルミニウム: Al23 )により形成された絶縁層12、例えば珪化鉄アルミニウム(FeAlSi)により形成された下部シールド層13、例えばアルミナにより形成されたシールドギャップ層14のそれぞれを順次介して所定パターンの磁気抵抗効果膜(以下、単にMR膜という。)15を備えている。
【0040】さらに、再生ヘッド部1Aにおいては、シールドギャップ層14上に、例えばタンタル(Ta)やタングステン(W)等のMR膜に拡散しない材料により形成された一対のリード端子層15aおよび15bが形成されており、リード端子層15aがMR膜15の一端に電気的に接続され、リード端子層15bがMR膜15の他端に電気的に接続されている。MR膜15は、例えばパーマロイ(NiFe合金)やニッケル(Ni)−コバルト(Co)合金など磁気抵抗効果を有する各種材料により形成されている。MR膜15上、リード端子層15a上および15b上には例えばアルミナよりなるシールドギャップ層17が積層されている。つまり、MR膜15、リード端子層15aおよび15bはシールドギャップ層14と17との間に埋設されている。なお、MR膜15は、特に限定されるものではなく、AMR膜や、自由層(磁性層)と固定層(磁性層)との間に非磁性層を介在させたGMR膜や、TMR膜等の磁気抵抗効果を示す磁気抵抗効果膜で形成してもよい。
【0041】記録ヘッド部1Bはこの再生ヘッド部1A上に積層されて配設されている。記録ヘッド部1Bは、互いに磁気的に連結された下部磁極(下部ポール)18および下部磁極先端部(下部ポールチップ)19aを含む下部磁性層と、互いに磁気的に連結された上部磁極(上部ポールまたはヨークポール)23および上部磁極先端部(上部ポールチップ)23aを含む上部磁性層と、磁束発生用の薄膜コイル21を備えている。下部磁極先端部(下部ポールチップ)19aと上部磁極先端部23aとは、記録ギャップ層22を介して対向している。上部磁極先端部23aの一部領域には、磁束の流れを制御する非磁性体領域200が形成されている。ここで、下部磁性層および上部磁性層が本発明における「少なくとも2つの磁性層」の一具体例に対応し、上部磁極23が本発明における「ヨーク部」の一具体例に対応する。
【0042】ここで、下部磁極先端部19aおよび上部磁極先端部23aは本発明に係る「2つの磁極部分」の一具体例に対応するものである。さらに、非磁性体領域200は本発明に係る「非磁性体領域」の一具体例に対応するものである。
【0043】下部磁極18はMR膜15に対する上部シールド層を兼ねている。本実施の形態において、下部磁極先端部19aは、下部磁極18の上にこれと別層として形成されると共に、下部磁極18と磁気的に連結されている。上部磁極先端部23aと上部磁極23とは同一の磁性層として一体的に形成されている。また、下部磁極18と上部磁極23との間は磁気接続部19bを通して磁気的に連結されている。この磁気接続部19bは下部磁極先端部19aと同一の磁性層で形成されている。下部磁極18よりも後方(エアベアリング面から遠ざかる方向の)の領域は、絶縁層8によって、下部磁極18と同じ高さまで埋め込まれている。
【0044】以上の下部磁極18、下部磁極先端部19a、磁気接続部19b、上部磁極先端部23aおよび上部磁極23は、それぞれ、例えば高飽和磁束密度材料(Hi−Bs材)、具体的にはNiFe(Ni:50重量%、Fe:50重量%)、NiFe(Ni:80重量%、Fe:20重量%)、FeN、FeZrNP、CoFeN等で形成することが実用的である。
【0045】この記録ヘッド部1Bにおいては、上部磁極先端部23a、記録ギャップ層22、下部磁極先端部19aの表面の一部のそれぞれを所定のトラック幅に合わせて重ね切り加工したトリム(Trim)構造となっており、実効書き込みトラック幅の広がり、すなわち磁気データの書き込み時において下部磁極先端部19aにおける磁束の広がりが抑制されている。
【0046】薄膜コイル21は、下部磁極層18上において下部磁極先端部19aと磁気接続部19bとの間と、この磁気接続部19bよりも図1(A)中および図2中右側とに配設されている。すなわち、薄膜コイル21は、磁気接続部19bをほぼ中心として、この磁気接続部19bの周囲に、螺旋状に複数回周回するように配列されている。薄膜コイル21は、下部磁極層18上の絶縁層20a上に形成され、下部磁極先端部19aおよび磁気接続部19bの上面と一致するように表面が平坦化された絶縁層20bに埋設されるようになっている。このように下部磁極先端部19aと磁気接続部19bとの間に形成された凹部内に薄膜コイル21を埋設することにより、エイペックス部の段差を減少させることができる。薄膜コイル21は接続孔22aを通してコイル接続配線23cに電気的に接続されている。コイル接続配線23cは上部磁極23と同一層で形成されている。
【0047】下部磁極先端部19a上および平坦化された絶縁層20b上には記録ギャップ層22が形成されている。記録ギャップ層22の下部磁極先端部19aと上部磁極先端部23aとで挟まれた領域は本来の記録ギャップ層として使用され、それ以外の領域に形成された記録ギャップ層22は下部磁極18と上部磁極23との間の磁気的な分離層等として使用されている。下部磁極先端部19aと上部磁極先端部23aとの間は、磁気接続部19b上において記録ギャップ層22に形成された開口22aを通して、磁気接続部19bを介在させて磁気的に連結されている。
【0048】非磁性体領域200は、上部磁極先端部23aの近傍の上部磁極23に形成された貫通穴23Hと、この貫通穴23Hに埋設された非磁性体26Nとを備えて構成されている。貫通穴23Hは本発明に係る貫通穴の一具体例に対応するものであり、同様に非磁性体26Nは本発明に係る非磁性体の一具体例に対応するものである。ここで、「上部磁極先端部23aの近傍に形成された」とは、貫通穴23Hの前端縁が、上部磁極先端部23aの後端縁から例えば0.5μm〜2μmの範囲にある場合をいう。但し、これ以外の範囲の場合も含むようにしてもよい。
【0049】図2中、左側(磁気記録媒体側)の一端から右側の他端(磁気接続部19b側)に向かって、上部磁極23には、オーバーライト改善部23A、磁束収束部23Bのそれぞれが配設されている。オーバーライト改善部23Aは、上部磁極先端部23aのトラック幅P2Wよりも大きく、上部磁極23の最大幅W2よりも小さい幅W1を有しており、上部磁極23から上部磁極先端部23aにかけて十分な磁気ボリュームを確保できるようになっている。上部磁極先端部23aのトラック面からの長さ(高さ)はスロートハイトTHと等しく、上部磁極先端部23aと上部磁極23との連結部はスロートハイトTHが零の位置に等しくなる。磁束収束部23Bは、上部磁極23の最大幅W2からオーバーライト改善部23Aの幅W1まで徐々に幅が小さくなるような平面形状で形成されており、上部磁極23からオーバーライト改善部23Aを通して上部磁極先端部23aに磁束(マグネティクフラックス)を収束して流すようになっている。
【0050】非磁性体領域200の貫通穴23Hはこのように構成される上部磁極23のオーバーライト改善部23Aのほぼ幅方向中央部に配設されており、貫通穴23Hの幅W3は、同一方向のトラック幅P2Wよりも大きく、オーバーライト改善部23Aの幅W1よりも小さく設定されている。すなわち、非磁性体領域200は、磁束収束部23Bで収束されてきた磁束を、直接、上部磁極先端部23aに流すのではなく、オーバーライト改善部23Aにおいて非磁性体領域200を迂回するように分流させてから再び合流させるようにして上部磁極先端部23aに流すようになっている。
【0051】本実施の形態においては、貫通穴23Hは上部磁極23(および上部磁極先端部23a)のパターン形成と同時に形成することができ、貫通穴23Hに埋設される非磁性体26Nには絶縁体が使用されている。非磁性体26Nは上部磁極23上を覆い薄膜磁気ヘッドを保護するためのオーバーコート層26の一部を利用して(兼用して)形成されている。
【0052】本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドでは、再生ヘッド部1Aにおいて、MR膜15の磁気抵抗効果を利用して磁気記録媒体から情報の読み出しを行い、記録ヘッド部1Bにおいて、上部磁極先端部23aと下部磁極先端部19aとの間の信号磁界を薄膜コイル21に流す電流により変化させることで磁気記録媒体に情報を書き込むことができる。
【0053】次に、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法について説明する。図3ないし図7は製造方法を説明するための薄膜磁気ヘッドの工程断面図である。図3ないし図7において、(A)は図2に示すIA−IA切断線における工程断面図、(B)は同図2に示すIB−IB切断線における工程断面図である。
【0054】(1)まず、例えばアルティックからなる基板11を準備し(図3参照)、この基板11上に例えばスパッタリング法によりアルミナからなる絶縁層12を約3μm〜5μm程度の厚みで形成する。次に、絶縁層12上にフォトレジストマスクを形成し、このフォトレジストマスクを使用してめっき法によりNiFeを約3 μmの厚みで選択的に形成する。この後に、フォトレジストマスクを除去し、図3に示したようにNiFeから再生ヘッド用の下部シールド層13を形成する。図3には示されていないが、引き続き、例えばスパッタリング法またはCVD(Chemical Vapor Deposition )法により約4〜6μmの厚さのアルミナ膜を形成し、このアルミナ膜の表面を下部シールド層13の表面と一致する程度にCMP法によって平坦化する。この結果、下部シールド層13の周囲にはアルミナ膜が埋め込まれた状態になる。
【0055】(2)下部シールド層13上に、例えばアルミナ膜を100nm〜200nmの厚みでスパッタリング法により堆積し、シールドギャップ層14を形成する(図4参照)。続いて、シールドギャップ層14上に再生用のMR素子等を構成するMR膜15を数十nmの厚みに形成し、高精度のフォトリソグラフィでMR膜15を所望の形状にパターンニングする。続いて、このMR膜15に対するリード端子層15aおよび15bを例えばリフトオフ法により形成する。続いて、シールドギャップ層14上、MR膜15上、リード端子層15a上および15b上を含む基板全面にシールドギャップ層17を形成し、MR膜15、リード端子層15a,15bをシールドギャップ層14とシールドギャップ層17との間に埋設させる。そして、図4に示したように、シールドギャップ層17上に例えばNiFeよりなる下部磁極18を約1.0μm〜1.5μmの厚みで選択的に形成する。下部磁極18の後方領域には、下部磁極18と同じ厚さとなるように絶縁層8を埋め込む。下部磁極18は再生ヘッド部1Aの上部シールド層としても兼用されており、この下部磁極18を形成することにより再生ヘッド部1Aが実質的に完成する。
【0056】(3)下部磁極層18上に下部磁極先端部19aおよび磁気接続部19bを約2.0μm〜2.5μmの厚みで形成する(図5参照)。下部磁極先端部19aおよび下部接続部19bは、前述のようにNiFe等のめっき膜により形成してもよく、又FeN、FeZrNP、CoFeN等をスパッタリング法で成膜した後にイオンミリング法等で所定のパターンニングを行うことにより形成してもよい。
【0057】続いて、全体にスパッタリング法またはCVD法により絶縁材料、例えばアルミナよりなる膜厚0.3μm〜0.6μmの絶縁層20aを形成する。続いて、フォトレジストマスク16を形成し、図5に示したように、このフォトレジストマスク16を使用して下部磁極先端部19aと磁気接続部19bとの間の絶縁層20a上および磁気接続部19bの図2中右側の外周囲の絶縁層20a上に、例えば電解めっき法により例えば銅(Cu)よりなる磁束発生用の薄膜コイル21を形成する。薄膜コイル21は例えば1.0μm〜2.0μmの厚みで形成され、コイルピッチは1.2μm〜2.0μmで形成される。
【0058】(5)フォトレジストマスク16を除去した後、薄膜コイル21上を含む基板全面にスパッタリング法により絶縁材料、例えばアルミナよりなる膜厚3.0μm〜4.0μmの絶縁層20bを形成する。続いて、図6に示したように、下部磁極先端部19aの表面、磁気接続部19bの表面のそれぞれが露出する程度に、例えばCMP法により絶縁層20bの表面を平坦化する。なお、本実施の形態では、薄膜コイル21の表面は露出させていないが、必要に応じて適宜露出させるようにしてもよい。
【0059】(6)下部磁極先端部19a上を含む基板全面にスパッタリング法により絶縁材料、例えばアルミナよりなる膜厚0.2μm〜0.3μmの記録ギャップ層22を形成する(図7参照)。記録ギャップ層22には、アルミナの他、窒化アルミニウム(AlN)、シリコン酸化物(SiO2 )系、シリコン窒化物(Si34 )系のいずれかの非磁性材料を実用的に使用することができる。続いて、磁気接続部19b上、所定の薄膜コイル21上のそれぞれにおいて、記録ギャップ層22にパターンニングを行い、磁気接続部19bと上部磁極23との間を磁気的に接続するための開口22a、薄膜コイル21とコイル接続配線23cとの間を電気的に接続するための接続孔22cのそれぞれを形成する。
【0060】続いて、図7に示したように、下部磁極先端部19a上の記録ギャップ層22上に上部磁極先端部23aを形成するとともに、上部磁極23、コイル接続配線23cのそれぞれを形成する。具体的には、例えばスパッタリング法により高飽和磁束密度材料からなる膜厚2.0μm〜3.0μmの厚さの磁極層を形成し、フォトレジストマスクを使用して磁極層をアルゴン(Ar)イオンミリングによってパターンニングすることにより、上部磁極先端部23a、上部磁極23、コイル接続配線23cのそれぞれを形成することができる。そして、さらにこの上部磁極先端部23a、上部磁極23、コイル接続配線23cのそれぞれの形成工程と同一形成工程において、上部磁極先端部23aの近傍(スロートハイトTHが零の近傍)の上部磁極23に非磁性体領域200の貫通穴23Hが形成される。つまり、貫通穴23Hは上部磁極先端部23a等のパターンニングと同時に形成することができる。上部磁極23は開口22aを通してかつ磁気接続部19bを介在させて下部磁極18と磁気的に連結され、コイル接続配線23cは接続孔22cを通して薄膜コイル21に電気的に接続される。なお、フォトレジストマスクの代わりにアルミナ等の無機系絶縁膜で形成されたエッチングマスクを使用してもよい。また、磁極層の成膜はめっき法で行ってもよい。
【0061】引き続き、上部磁極先端部23aをエッチングマスクとして使用し、その周辺の記録ギャップ層22および下部磁極先端部19aの表面の一部分を自己整合的にエッチングする。記録ギャップ層22は塩素系ガス(Cl2 、CF4 、BCl2 、SF6 等)によるRIE(Reactive Ion Etching) によりパターンニングされる。下部磁極先端部19aは例えばアルゴンイオンミリングによってパターンニングされ、下部磁極先端部19aの表面の約0.3μm〜0.6μm程度の一部がエッチングにより取り除かれる。この工程が終了した時点で、トリム構造の記録ヘッド部1Bが完成する。
【0062】(7)最後に、前述の図1および図2に示したように、全体に、例えばスパッタリング法によりアルミナよりなる膜厚約30μmのオーバーコート層26を形成する。このオーバーコート層26の形成により、オーバーコート層26の一部が貫通穴23H内部に非磁性体26Nとして埋設され、貫通穴23Hおよび非磁性体26Nを備えた非磁性体領域200が形成される。この後、スライダ機械加工を行い、記録ヘッド部1Aおよび再生ヘッド部1Bのトラック面(エアベアリング面)を形成することにより、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドを完成させることができる。
【0063】以上説明した本実施の形態では、上部磁極先端部23aの近傍、つまりスロートハイトTHが零の近傍の上部磁極23に非磁性体領域200を備えるようにしたので、上部磁極先端部23aや上部磁極23に流れる磁束を最適に制御することができる。
【0064】さらに、本実施の形態においては、非磁性体領域200が、上部磁極23における最も多くの磁束が流れる幅方向の中央部に配設されているので、図2に矢印で磁束の流れを示したように、上部磁極23から上部磁極先端部23aに流れる磁束を一旦受け止めて、非磁性体領域200を迂回するように分流させることができる。このため、上部磁極先端部23aへの急激な磁束の流入を防止することができる。したがって、上部磁極先端部23aや上部磁極23に流れる磁束が途中で飽和することのないように非磁性体領域200のサイズを適切に設定すれば、オーバーライト特性を向上させることができると同時に、上部磁極先端部23aからの過剰な磁束の流れを抑制し、サイドライト、記録データの書き滲み、およびサイドトラックイレーズ等を防止することができる。
【0065】さらに、本実施の形態では、特に、上部磁極先端部23aに流れる磁束を最適に制御することができるので、周波数特性の違いによる磁気的な実効書き込みトラック幅の変化量を減少することも可能である。
【0066】さらに、本実施の形態においては、非磁性体領域200が、貫通穴23Hと、貫通穴23Hに埋設された非磁性体26Nとで構成されているので、簡易な構造で、上部磁極先端部23aや上部磁極23に流れる磁束の流れを最適に制御することができる。
【0067】さらに、上部磁極先端部23aや上部磁極23の形成と同時に貫通穴23Hを形成し、上部磁極先端部23aや上部磁極23を覆うオーバーコート層26の形成と同時に貫通穴23Hに同一の材料の非磁性体26Nを埋設して非磁性体領域200を形成したので、上部磁極先端部23aや上部磁極23を形成する工程とオーバーコート層26を形成する工程とを利用して非磁性体領域200を形成することができる。したがって、薄膜磁気ヘッドの製造方法において、非磁性体領域200を形成する工程を新たに追加する必要がなく、製造工程の複雑化を回避できる。
【0068】なお、本実施の形態において、非磁性体領域200は、貫通穴23Hに代えて止め穴(非貫通穴)と、この止め穴に埋設された非磁性体26Nとで構成してもよい。さらに、非磁性体26Nは、必ずしも絶縁体に限定されるものではなく、磁束を通過させない導電体(例えば、銅)を用いて形成してもよい。
【0069】(第2の実施の形態)本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドにおける、記録ヘッド部1Bの下部磁極先端部19a、上部磁極23および非磁性体領域200の平面形状を変形させたものである。図8は本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの記録ヘッド部分の平面図を表すものである。
【0070】本実施の形態では、記録ヘッド部1Bの下部磁極先端部19aを薄膜コイル21の周辺の全域まで配設している。このように構成される薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法においては、薄膜コイル21の形成後に絶縁層20bを形成し、この絶縁層20bの表面をCMP法により平坦化しているが、下部磁極先端部19aが比較的広い面積で形成されているので、絶縁層20bの表面の広い範囲を均一に平坦化することができる。
【0071】さらに、本実施の形態では、上部磁極先端部23aに向かって徐々に幅が狭くなるように、オーバーライト改善部23Ab,23Aaのそれぞれが上部磁極23に配設されている。オーバーライト改善部23Abは上部磁極23の幅W2よりも小さい幅W4に設定されており、オーバーライト改善部23Aaはオーバーライト改善部23Abの幅W4よりも小さい幅W5に設定されている。幅W4、幅W5はいずれも上部磁極先端部23aに向かって徐々に狭くなっている。すなわち、オーバーライト改善部23Aa、23Abのそれぞれの平面形状はテーパ形状で形成されている。
【0072】そして、本実施の形態においては、上部磁極先端部23aの近傍の上部磁極23、詳細にはオーバーライト改善部23Aaからオーバーライト改善部23Abに跨って非磁性体領域200が配設されている。非磁性体領域200の平面形状、つまり貫通穴23Hの開口形状は、オーバーライト改善部23Aaまたは23Abの平面形状のほぼ相似形状で形成され、上部磁極先端部23aに向かって徐々に開口寸法が小さくなる台形のような平面形状で形成されている。
【0073】本実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、上部磁極先端部23aの近傍の上部磁極23に非磁性体領域200を備えているので、上部磁極先端部23aや上部磁極23に流れる磁束を最適に制御することができる。さらに、本実施の形態では、上部磁極23に二段階に幅が狭くなるオーバーライト改善部23Ab、23Aaを設けるようにしたので、上部磁極23から上部磁極先端部23aに流れる磁束を効率よく(スムースに)収束させることができる。
【0074】(第3の実施の形態)本発明の第3の実施の形態は、第1の実施の形態において、上部磁極先端部と上部磁極とを別々の磁性層で形成し、さらに磁束発生用の薄膜コイルを2層備える構成としたものである。図9は本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの要部断面図であり、図9中、(A)はトラック面に垂直な切断線で切った要部断面図、(B)はトラック面に平行な切断線で切った要部断面図をそれぞれ表すものである。
【0075】本実施の形態において、記録ヘッド部1Bは、互いに磁気的に連結された下部磁極18および下部磁極先端部19aを含む下部磁性層と、互いに磁気的に連結された上部磁極25および上部磁極先端部23aを含む上部磁性層と、磁束発生用の2層の薄膜コイル21,24とを備えている。下部磁極先端部19aと上部磁極先端部23aとは、記録ギャップ層22を介して対向している。上部磁極先端部23aの一部領域には、磁束の流れを制御する非磁性体領域200が形成されている。
【0076】下部磁極先端部19aは、下部磁極18の上に、これとは別層として形成されている。上部磁極25は、その一部が上部磁極先端部23aの一部とオーバーラップするようにして、上部磁極先端部23aとは別層として形成されている。下部磁極18と上部磁極25との間は、磁気接続部19bおよび磁気接続部23bを介して磁気的に連結されている。
【0077】1層目の薄膜コイル21は、下部磁極層18上において下部磁極先端部19aと磁気接続部19bとの間と、この磁気接続部19bよりも図9(A)中右側とに配設されている。すなわち、薄膜コイル21は、磁気接続部19bをほぼ中心として、この磁気接続部19bの周囲に、螺旋状に複数回周回するように配列されている。薄膜コイル21は、下部磁極層18上の絶縁層20a上に形成され、下部磁極先端部19aおよび磁気接続部19bの上面と一致するように表面が平坦化された絶縁層20bに埋設されるようになっている。
【0078】2層目の薄膜コイル24は、1層目の薄膜コイル21上において上部磁極先端部23aと磁気接続部23bとの間と、この磁気接続部23bよりも図9(A)中右側とに配設されている。すなわち、薄膜コイル24は、磁気接続部23bをほぼ中心として、この磁気接続部23bの周囲に、螺旋状に複数回周回するように配列されている。薄膜コイル24は、記録ギャップ層22上の絶縁層20e上に形成され、上部磁極先端部23aおよび磁気接続部23bの上面と一致するように表面が平坦化された絶縁層20dに埋設されるようになっている。
【0079】1層目の薄膜コイル21と2層目の薄膜コイル24との間は記録ギャップ層22、絶縁層20dのそれぞれに形成された接続孔22aを通して電気的に接続されている。
【0080】本実施の形態において、非磁性体領域200は、上部磁極先端部23aのスロートハイトTHが零の近傍位置に形成された貫通穴23Hと、この貫通穴23Hの内壁に沿って形成されたまたは完全に埋設された非磁性体20Nとを備えて構成されている。
【0081】本実施の形態では、貫通穴23Hは上部磁極先端部23aのパターン形成と同時に形成することができる。貫通穴23Hに埋設される非磁性体20Nには絶縁体が使用されている。この非磁性体20Nは記録ギャップ層22上の絶縁層20d,20eのそれぞれの一部を利用して形成されている。
【0082】次に、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法について説明する。図10ないし図14はこの製造方法を説明するための薄膜磁気ヘッドの工程断面図である。図10ないし図14において、(A)はトラック面に垂直な切断線における工程断面図、(B)はトラック面に平行な切断線における工程断面図をそれぞれ表している。
【0083】(1)まず、例えばアルティックからなる基板11を準備し(図10参照)、この基板11上に例えばスパッタリング法によりアルミナからなる絶縁層12を約3μm〜5μm程度の厚みで形成する。次に、絶縁層12上にフォトレジストマスクを形成し、このフォトレジストマスクを使用してめっき法によりNiFeを約3μmの厚みで選択的に形成する。この後に、フォトレジストマスクを除去し、図10に示したようにNiFeから再生ヘッド用の下部シールド層13を形成する。図10には示されていないが、引き続き、例えばスパッタリング法またはCVD法により約4〜6μmの厚さのアルミナ膜を形成し、このアルミナ膜の表面を下部シールド層13の表面と一致する程度にCMP法によって平坦化する。この結果、下部シールド層13の周囲にはアルミナ膜が埋め込まれた状態になる。
【0084】(2)下部シールド層13上に、例えばアルミナ膜を100nm〜200nmの厚みでスパッタリング法により堆積し、シールドギャップ層14を形成する(図11参照)。続いて、シールドギャップ層14上に再生用のMR素子等を構成するMR膜15を数十nmの厚みに形成し、高精度のフォトリソグラフィでMR膜15を所望の形状にパターンニングする。続いて、このMR膜15に対するリード端子層15a,15bを例えばリフトオフ法により形成する。続いて、シールドギャップ層14、MR膜15およびリード端子層15a,15b上を含む基板全面にシールドギャップ層17を形成し、MR膜15、リード端子層15a,15bをシールドギャップ層14とシールドギャップ層17との間に埋設させる。そして、図11に示したように、シールドギャップ膜17上に例えばNiFeよりなる下部磁極18を約1.0μm〜1.5μmの厚みで形成する。下部磁極18は再生ヘッド部1Aの上部シールド層としても兼用されており、この下部磁極18を形成することにより再生ヘッド部1Aが実質的に完成する。
【0085】(3)下部磁極層18上に下部磁極先端部19aおよび磁気接続部19bを約2.0μm〜2.5μmの厚みで形成する(図12参照)。下部磁極先端部19aおよび下部接続部19bは、第1の実施の形態と同様に、NiFe等のめっき膜により形成してもよく、又FeN、FeZrNP、CoFeN等をスパッタリング法で成膜した後にイオンミリング法等で所定のパターンニングを行うことにより形成してもよい。
【0086】続いて、下部磁極先端部19a上および下部接続部19上bを含む基板全面にスパッタリング法またはCVD法により絶縁材料、例えばアルミナよりなる膜厚0.3μm〜0.6μmの絶縁層20aを形成する。続いて、フォトレジストマスク16を形成し、図12に示したように、このフォトレジストマスク16を使用して下部磁極先端部19aと磁気接続部19bとの間の絶縁層20a上および磁気接続部19bの外周囲の絶縁層20a上に、例えば電解めっき法により例えばCuよりなる磁束発生用の1層目の薄膜コイル21を形成する。薄膜コイル21は例えば1.0μm〜2.0μmの厚みで形成され、コイルピッチは1.2μm〜2.0μmで形成される。
【0087】(5)フォトレジストマスク16を除去した後、薄膜コイル21上を含む基板全面にスパッタリング法により絶縁材料、例えばアルミナよりなる膜厚3.0μm〜4.0μmの絶縁層20bを形成する。続いて、図13に示したように、下部磁極先端部19aの表面、磁気接続部19bの表面のそれぞれが露出する程度に、例えばCMP法により絶縁層20bの表面を平坦化する。
【0088】(6)下部磁極先端部19a上を含む基板全面にスパッタリング法により絶縁材料、例えばアルミナよりなる膜厚0.2μm〜0.3μmの記録ギャップ層22を形成する(図14参照)。記録ギャップ層22には、第1の実施の形態で説明したように、アルミナの他の非磁性材料を実用的に使用することができる。続いて、磁気接続部19b上において、記録ギャップ層22にパターンニングを行い、磁気接続部19bとその上に形成される磁気接続部23bとの間を磁気的に接続するための開口22aを形成する。
【0089】続いて、下部磁極先端部19a上の記録ギャップ層22上に上部磁極先端部23aを形成するとともに、磁気接続部23bを形成する。具体的には、例えばスパッタリング法により高飽和磁束密度材料からなる膜厚2.0μm〜3.0μmの厚さの磁極層を形成し、フォトレジストマスクを使用して磁極層をアルゴンイオンミリングによってパターンニングすることにより、上部磁極先端部23a、磁気接続部23bのそれぞれを形成することができる。また、上部磁極先端部23a、磁気接続部23bのそれぞれはめっき法で形成してもよい。そして、さらにこの上部磁極先端部23a、磁気接続部23bのそれぞれの形成工程と同一形成工程において、上部磁極先端部23a(スロートハイトTHが零の近傍)に非磁性体領域200の貫通穴23Hが形成される(図14参照)。つまり、貫通穴23Hは上部磁極先端部23a等のパターンニングと同時に形成することができる。磁気接続部23bは開口22aを通してかつ磁気接続部19bを介在させて下部磁極18と磁気的に連結される。なお、フォトレジストマスクの代わりにアルミナ等の無機系絶縁膜で形成されたエッチングマスクを使用してもよい。
【0090】引き続き、上部磁極先端部23aをエッチングマスクとして使用し、その周辺の記録ギャップ層22および下部磁極先端部19aの表面の一部分を自己整合的にエッチングする。記録ギャップ層22は塩素系ガスによるRIEによりパターンニングされる。下部磁極先端部19aは例えばアルゴンイオンミリングによってパターンニングされ、下部磁極先端部19aの表面の約0.3μm〜0.6μm程度の一部がエッチングにより取り除かれる。この工程を行うことにより、トリム構造の記録ヘッド部1Bを形成することができる。
【0091】続いて、上部磁極先端部23a上、磁気接続部23b上を含む基板全面に、例えばスパッタリング法またはCVD法により、膜厚約0.3μm〜0.6μmの例えばアルミナからなる絶縁層20eを形成する。この絶縁層20eの形成により、絶縁層20eの一部が貫通穴23H内部に非磁性体20Nとして埋設され、貫通穴23Hおよび非磁性体20Nを備えた非磁性体領域200が形成される(図14参照)。なお、非磁性体領域200の非磁性体20Nには、後に形成される絶縁層20dと同一工程で形成され、絶縁層20eを介在させて貫通穴23H内に埋設される絶縁層を含めてもよい。
【0092】続いて、絶縁層20e、記録ギャップ層22および絶縁層20bを選択的にエッチングし、薄膜コイル21のコイル接続部の表面部分を露出させる。図14に示したように、絶縁層20e上において上部磁極先端部23aと磁気接続部23bとの間の凹部領域に、例えば電解めっき法により例えばCuよりなる2層目の薄膜コイル24を例えば1.0μm〜2.0μmの厚み、コイルピッチ1.2μm〜2.0μmで形成する。2層目の薄膜コイル24は表面部分が露出されたコイル接続部22cを通して1層目の薄膜コイル21に電気的に接続される。
【0093】(7)2層目の薄膜コイル24上を含む基板全面に、例えばスパッタリング法またはCVD法により、膜厚約3μm〜4μmの例えばアルミナからなる絶縁層20dを形成する。なお、この絶縁層20dや絶縁層20eは、アルミナに限らず、二酸化珪素(SiO2 )や窒化珪素(Si3 4 )等の他の絶縁材料により形成してもよい。続いて、上部磁極先端部23aおよび磁気接続部23bの表面が露出するように、例えばCMP法により絶縁層20dおよび絶縁層20eを取り除き、絶縁層20e,20dのそれぞれの表面と上部磁極先端部23a、磁気接続部23bのそれぞれの表面とが同一面を構成するように平坦化される。
【0094】続いて、例えば上部磁極先端部23aと同じ材料を用いて、例えば電解めっき法やスパッタリング法等により、上部磁極層25を約2μm〜3μmの厚みに形成する。この上部磁極層25は磁気接続部23b、磁気接続部19bのそれぞれを通して下部磁性層18に磁気的に連結される。上部磁極層25を形成することにより、記録ヘッド部1Aが完成する。
【0095】(8)最後に、前述の図9に示したように、上部磁極25上を含む基板全面に、例えばスパッタリング法によりアルミナよりなる膜厚約30μmのオーバーコート層26を形成する。この後、スライダ機械加工を行い、記録ヘッド部1Aおよび再生ヘッド部1Bのトラック面(エアベアリング面)を形成することにより、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドを完成させることができる。
【0096】本実施の形態においては、第1の実施の形態と同様に、上部磁極先端部23aに、つまりスロートハイトTHが零の近傍位置に非磁性体領域200を備えているので、上部磁極先端部23aや上部磁極25に流れる磁束を最適に制御することができる。
【0097】さらに、本実施の形態においては、上部磁極先端部23aの形成と同時に貫通穴23Hを形成し、絶縁層20e,20dのそれぞれの形成と同時に貫通穴23Hに同一の材料の非磁性体26Nを埋設して非磁性体領域200を形成するようにしたので、製造工程数を減少させることができる。
【0098】なお、本実施の形態においては、従来例のようにフォトレジストパターンの傾斜部が存在せず、1層目の薄膜コイル21および2層目の薄膜コイル24がいずれも平坦部に形成されているので、傾斜部によるコイル外周部端とスロートハイトTHが零の位置までの距離が磁路長縮小の妨げとはならない。従って、磁路長を短くすることができ、記録ヘッドの高周波特性を著しく向上させることができる。ちなみに、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドは、フォトリソグラフィの位置合わせ誤差0.1μm〜0.2μmの範囲で設計できるので、従来例の30〜40%以下に磁路長を縮小することが可能になる。また、薄膜コイルの巻数が同じ場合には、その分コイルの厚さを薄くすることができる。図15、図16のそれぞれに、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの磁路長と従来例の薄膜磁気ヘッドの磁路長との違いを一例のデザイン寸法を付して示す。ここで、図15は本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの要部断面図、図16は磁路長の比較のための従来例の薄膜磁気ヘッドの要部断面図である。
【0099】なお、本実施の形態では、磁束の流れを制御する非磁性体領域200を上部磁極先端部23aの一部領域に形成するようにしたが、これに限られるものではない。例えば、非磁性体領域200を上部磁極25の一部領域に形成するようにしてもよい。この場合には、本実施の形態における非磁性体領域200の形成領域に対応する上部磁極25の一部領域に、非磁性体領域200を設けるようにするのが好ましい。
【0100】(第4の実施の形態)本発明の第4の実施の形態は、第3の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドにおいて、1層目の薄膜コイル21と2層目の薄膜コイル24との間にスロートハイトTHを決めるフォトレジスト絶縁膜を形成したものである。図17は本発明の第4の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの要部断面図であり、図17中、(A)はトラック面に垂直な切断線で切った要部断面図、(B)はトラック面に平行な切断線で切った要部断面図をそれぞれ表している。
【0101】図17に示したように、本実施の形態において、記録ヘッド部1Bは、互いに磁気的に連結された下部磁極18および下部磁極先端部19aを含む下部磁性層と、互いに磁気的に連結された上部磁極25および上部磁極先端部23aを含む上部磁性層と、磁束発生用の2層の薄膜コイル21,24とを備えている。下部磁極先端部19aと上部磁極先端部23aとは、記録ギャップ層22を介して対向している。上部磁極先端部23aの一部領域には、磁束の流れを制御する非磁性体領域200が形成されている。
【0102】1層目の薄膜コイル21上には、記録ギャップ層22、フォトレジスト絶縁膜30のそれぞれを介在させて2層目の薄膜コイル24が配設されている。フォトレジスト絶縁膜30は、その塗布後に適度な熱処理を行うことで表面の平坦化を行うことができ、しかも記録ギャップ層22と上部磁極先端部23aとの接触位置を決定してスロートハイトTHが零の位置を決定できるようになっている。
【0103】次に、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法について説明する。図18ないし図23は製造方法を説明するための薄膜磁気ヘッドの工程断面図である。図18ないし図23において、(A)はトラック面に垂直な切断線における工程断面図、(B)はトラック面に平行な切断線における工程断面図をそれぞれ表している。
【0104】(1)まず、例えばアルティックからなる基板11を準備し(図18参照)、この基板11上に例えばスパッタリング法によりアルミナからなる絶縁層12を約3μm〜5μm程度の厚みで形成する。次に、絶縁層12上にフォトレジストマスクを形成し、このフォトレジストマスクを使用してめっき法によりNiFeを約3μmの厚みで選択的に形成する。この後に、フォトレジストマスクを除去し、図18に示したようにNiFeから再生ヘッド用の下部シールド層13を形成する。図18には示されていないが、引き続き、例えばスパッタリング法またはCVD法により約4〜6μmの厚さのアルミナ膜を形成し、このアルミナ膜の表面を下部シールド層13の表面と一致する程度にCMP法によって平坦化する。この結果、下部シールド層13の周囲にはアルミナ膜が埋め込まれた状態になる。
【0105】(2)下部シールド層13上に、例えばアルミナ膜を100nm〜200nmの厚みでスパッタリング法により堆積し、シールドギャップ層14を形成する(図19参照。)。続いて、シールドギャップ層14上に再生用のMR素子等を構成するMR膜15を数十nmの厚みに形成し、高精度のフォトリソグラフィでMR膜15を所望の形状にパターンニングする。続いて、このMR膜15に対するリード端子層15a,15bを例えばリフトオフ法により形成する。続いて、シールドギャップ層14、MR膜15およびリード端子層15a,15b上を含む基板全面にシールドギャップ層17を形成し、MR膜15、リード端子層15a,15bをシールドギャップ層14とシールドギャップ層17との間に埋設させる。そして、図19に示したように、シールドギャップ膜17上に例えばNiFeよりなる下部磁極18を約1.0μm〜1.5μmの厚みで形成する。下部磁極18は再生ヘッド部1Aの上部シールド層としても兼用されており、この下部磁極18を形成することにより再生ヘッド部1Aが実質的に完成する。
【0106】(3)下部磁極層18上に下部磁極先端部19aおよび磁気接続部19bを約2.0μm〜2.5μmの厚みで形成する(図20参照)。下部磁極先端部19aおよび下部接続部19bは、第1の実施の形態と同様に、NiFe等のめっき膜により形成してもよく、または、FeN、FeZrNP、CoFeN等をスパッタリング法で成膜した後にイオンミリング法等で所定のパターンニングを行うことにより形成してもよい。
【0107】(4)続いて、下部磁極先端部19a上および下部接続部19b上を含む基板全面にスパッタリング法またはCVD法により絶縁材料、例えばアルミナよりなる膜厚0.3μm〜0.6μmの絶縁層20aを形成する。続いて、フォトレジストマスク16を形成し、図20に示したように、このフォトレジストマスク16を使用して下部磁極先端部19aと磁気接続部19bとの間の絶縁層20a上および磁気接続部19bの外周囲の絶縁層20a上に、例えば電解めっき法によりCuよりなる磁束発生用の1層目の薄膜コイル21を形成する。薄膜コイル21は例えば1.0μm〜2.0μmの厚みで形成され、コイルピッチは1.2μm〜2.0μmで形成される。
【0108】(5)フォトレジストマスク16を除去した後、薄膜コイル21上を含む基板全面にスパッタリング法により絶縁材料、例えばアルミナよりなる膜厚3.0μm〜4.0μmの絶縁層20bを形成する。続いて、図21に示したように、下部磁極先端部19aの表面、磁気接続部19bの表面のそれぞれが露出する程度に、例えばCMP法により絶縁層20bの表面を平坦化する。
【0109】(6)下部磁極先端部19a上を含む基板全面にスパッタリング法により絶縁材料、例えばアルミナよりなる膜厚0.2μm〜0.3μmの記録ギャップ層22を形成する(図22参照)。記録ギャップ層22には、第1の実施の形態で説明したように、アルミナの他の非磁性材料を実用的に使用することができる。続いて、磁気接続部19b上において、記録ギャップ層22にパターンニングを行い、磁気接続部19bとその上に形成される磁気接続部23bとの間を磁気的に接続するための開口22a、1層目の薄膜コイル21と2層目の薄膜コイル24またはコイル接続配線と電気的に接続するための接続孔22c等を形成する。
【0110】続いて、少なくともトラック面からスロートハイトTHが零までの領域、開口22aの領域、接続孔22cの領域のそれぞれを除き、記録ギャップ層22上にフォトレジスト絶縁膜30を選択的に形成する。フォトレジスト絶縁膜30は、例えば1.0μm〜1.5μmの厚さで塗布された後、所定の形状になるように露光し、現像を行うことで形成することができる。必要に応じて熱処理を行う。このフォトレジスト絶縁膜30はスロートハイトTHが零の位置を高い精度で決めることができる。
【0111】続いて、下部磁極先端部19a上の記録ギャップ層22上に上部磁極先端部23aを形成するとともに、磁気接続部19b上に開口22aを通して磁気接続部23bを形成し、1層目の薄膜コイル21上に接続孔22cを通してコイル接続配線23cを形成する。具体的には、例えばスパッタリング法により高飽和磁束密度材料からなる膜厚2.0μm〜3.0μmの厚さの磁極層を形成し、フォトレジストマスクを使用して磁極層をアルゴンイオンミリングによってパターンニングすることにより、上部磁極先端部23a、磁気接続部23b、コイル接続配線23cのそれぞれを形成することができる。また、上部磁極先端部23a、磁気接続部23b、コイル接続配線23cのそれぞれはめっき法で形成してもよい。そして、さらにこの上部磁極先端部23aの形成工程と同一形成工程において、上部磁極先端部23aのスロートハイトTHが零の近傍位置に非磁性体領域200の貫通穴23Hが形成される(図22参照)。つまり、貫通穴23Hは上部磁極先端部23a等のパターンニングと同時に形成することができる。磁気接続部23bは開口22aを通してかつ磁気接続部19bを介在させて下部磁極18と磁気的に連結される。なお、フォトレジストマスクの代わりにアルミナ等の無機系絶縁膜で形成されたエッチングマスクを使用してもよい。
【0112】引き続き、上部磁極先端部23aをエッチングマスクとして使用し、その周辺の記録ギャップ層22および下部磁極先端部19aの表面の一部分を自己整合的にエッチングする。記録ギャップ層22は塩素系ガスによるRIEによりパターンニングされる。下部磁極先端部19aは例えばアルゴンイオンミリングによってパターンニングされ、下部磁極先端部19aの表面の約0.3μm〜0.6μm程度の一部がエッチングにより取り除かれる。この工程を行うことでトリム構造の記録ヘッド部1Bを形成することができる。
【0113】続いて、上部磁極先端部23a上、磁気接続部23b上を含む基板全面に、例えばスパッタリング法またはCVD法により、膜厚約0.3μm〜0.6μmの例えばアルミナからなる絶縁層20eを形成する。この絶縁層20eの形成により、絶縁層20eの一部が貫通穴23H内部に非磁性体20Nとして埋設され、貫通穴23Hおよび非磁性体20Nを備えた非磁性体領域200が形成される(図22参照。)。なお、非磁性体領域200の非磁性体20Nには、後に形成される絶縁層20dと同一工程で形成され、絶縁層20eを介在させて貫通穴23H内に埋設される絶縁層を含めてもよい。
【0114】続いて、図22に示したように、絶縁層20e上において上部磁極先端部23aと磁気接続部23bとの間の凹部領域に、例えば電解めっき法により例えばCuよりなる2層目の薄膜コイル24を例えば1.0μm〜2.0μmの厚み、コイルピッチ1.2μm〜2.0μmで形成する。
【0115】(7)2層目の薄膜コイル24上を含む基板全面に、例えばスパッタリング法またはCVD法により、膜厚約3μm〜4μmの例えばアルミナからなる絶縁層20dを形成する。なお、この絶縁層20dや絶縁層20eは、アルミナに限らず、SiO2 やSi3 4 等の他の絶縁材料により形成してもよい。続いて、上部磁極先端部23aおよび磁気接続部23bの表面が露出するように、例えばCMP法により絶縁層20dおよび絶縁層20eを取り除き、絶縁層20e、20dのそれぞれの表面と上部磁極先端部23a、磁気接続部23bのそれぞれの表面とが同一面を構成するように平坦化される。
【0116】続いて、例えば上部磁極先端部23aと同じ材料を用いて、例えば電解めっき法やスパッタリング法等により、上部磁極層25を約2μm〜3μmの厚みに形成する。この上部磁極層25は磁気接続部23b、磁気接続部19bのそれぞれを通して下部磁性層18に磁気的に連結される。上部磁極層25を形成することにより、記録ヘッド部1Aが完成する。
【0117】(8)最後に、前述の図17に示したように、上部磁極25上を含む基板全面に、例えばスパッタリング法によりアルミナよりなる膜厚約30μmのオーバーコート層26を形成する。この後、スライダ機械加工を行い、記録ヘッド部1Aおよび再生ヘッド部1Bのトラック面(エアベアリング面)を形成することにより、本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドを完成させることができる。
【0118】図24には一例のデザイン寸法を付した本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドを示す。図24中、(A)は薄膜磁気ヘッドの平面図、(B)は(A)のXXIVB−XXIVB切断線で切った薄膜磁気ヘッドの要部断面図である。図24に示す薄膜磁気ヘッドは、前述のように記録ヘッド部1Aの上部磁極先端部23aであってスロートハイトTHが零の近傍に非磁性体領域200を備えており、200MHz〜300MHzの高周波帯域と20MHz〜30MHzの低周波帯域とで磁気的な実効書き込みトラック幅の違いを極力減少できるようになっている。
【0119】以上説明したように、本実施の形態の薄膜磁気ヘッドによれば、第3の実施の形態と同様に、上部磁極先端部23aに、つまりスロートハイトTHが零の近傍に非磁性体領域200を備えているので、上部磁極先端部23aや上部磁極25に流れる磁束を最適に制御することができる。
【0120】(第5の実施の形態)本発明の第5の実施の形態は、第2の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッド(上部磁極先端部と上部磁極とが同一の1層の磁性層で形成される場合)において、上部磁極23の平面形状を代えた構成としたものである。図25(A)は本発明の第5の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドにおける記録ヘッド部の上部磁極の平面図、図25(B)は図25(A)に示す上部磁極の製造マスクの平面図をそれぞれ表している。
【0121】図25(A)に示したように、本実施の形態においては、上部磁極先端部23aに向かって徐々に幅が狭くなるように、オーバーライト改善部23Ab,23Aaのそれぞれが上部磁極23に配設されている。オーバーライト改善部23Abは上部磁極23の幅W2よりも小さい幅W4に設定されている。オーバーライト改善部23Abのトラック面側には例えば30〜60度の範囲で面取りが施されており、さらに幅が絞り込まれている(磁束が集束する)。オーバーライト改善部23Aaはオーバーライト改善部23Abの幅W4よりも小さい幅W5に設定されている。オーバーライト改善部23Aaのトラック面側にはほぼ円弧に近い滑らかな曲率の面取りが施されており、さらにトラック幅と一致するまで幅が絞り込まれている。
【0122】本実施の形態では、非磁性体領域200は、オーバーライト改善部23Abの幅方向中央部に配設されている。非磁性体領域200の平面形状は、オーバーライト改善部23Abの平面形状の相似形状に近い形状で形成されており、トラック面側が面取りされた方形形状で形成されている。
【0123】このような上部磁極23は、図25(B)に示す製造マスク(レチクルまたはフォトマスク)40を使用したフォトリソグラフィにより形成することができる。製造マスク40は、例えばポジティブタイプのフォトレジスト膜を使用する場合、透明ガラス基板41と、この透明ガラス基板41上の例えばクロム(Cr)からなる遮蔽膜42とを備えて構成されている。遮蔽膜42においては、オーバーライト改善部23Aaの滑らかな曲率の面取りを形成するために、パターンの転写ぼけを考慮してくさび形状のような遮光パターン41Aが形成されている。なお、遮光パターン41Hは非磁性体領域200、詳細にはその貫通穴23Hのパターンを転写するための遮光パターンである。
【0124】本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法においては、第2の実施の形態と同様に、上部磁極先端部23aの近傍の上部磁極23に非磁性体領域200を備えるようにしたので、上部磁極先端部23aや上部磁極23に流れる磁束を最適に制御することができる。さらに、本実施の形態では、上部磁極23に二段階に幅が狭くなるオーバーライト改善部23Ab、23Aaのそれぞれを備えたので、上部磁極23から上部磁極先端部23aに流れる磁束を徐々に集束させることができ、磁束の流れをスムースにすることができる。特に、オーバーライト改善部23Ab,23Aaのそれぞれのトラック面側に面取りが施されているので、上部磁極23から上部磁極先端部23aに流れる磁束をより自然に集束させることができ、磁束の流れをより一層スムースにすることができる。
【0125】(第6の実施の形態)本発明の第6の実施の形態は、第3の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッド(上部磁極先端部と上部磁極とが別々の2層の磁性層で形成される場合)において、上部磁極先端部23aの平面形状を代えた構成としたものである。図26(A)、図27(A)、図28(A)は本発明の第6の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドにおける記録ヘッド部の上部磁極先端部の平面図、図26(B)、図27(B)、図28(B)は上部磁極先端部の製造マスクの平面図、図26(C)、図27(C)、図28(C)は上部磁極先端部を形成するためのフォトレジスト膜の平面図をそれぞれ表すものである。
【0126】まず、図26(A)に示す上部磁極先端部23aには、トラック面に向かって徐々に幅が狭くなるように、オーバーライト改善部23Bが配設されている。オーバーライト改善部23Bは、上部磁極先端部23aの最大幅W6よりも小さい幅W7に設定されている。オーバーライト改善部23BはスロートハイトTHが零の位置からほぼ90度に広がり、平面形状が方形形状で形成されている。さらに、オーバーライト改善部23Bは全体的に角部が取れ丸みを帯びた平面形状で形成されている。この上部磁極先端部23aは図26(B)に示す製造マスク40で形成することができる。製造マスク40は図26(C)に示したようにフォトレジスト膜50に上部磁極先端部23aのパターンを転写し、このパターンが転写されたフォトレジスト膜50をマスクとして使用して図26(A)に示す上部磁極先端部23aを形成することができる。
【0127】図27(A)に示す上部磁極先端部23aには、トラック面に向かって徐々に幅が狭くなるように、オーバーライト改善部23Bが配設されている。オーバーライト改善部23Bのトラック面側には、第5の実施の形態で説明したような滑らかな曲率の面取りが形成されている。図27(B)に示す製造マスク40には、このような曲率の面取りを形成するために、くさび形状のような遮光パターン41Aが形成されている。製造マスク40は図27(C)に示したようにフォトレジスト膜50に上部磁極先端部23aのパターンを転写し、このパターンが転写されたフォトレジスト膜50をマスクとして使用して図27(A)に示す上部磁極先端部23aを形成することができる。
【0128】図28(A)に示す上部磁極先端部23aには、トラック面に向かって徐々に幅が狭くなるように、オーバーライト改善部23Bが配設されている。オーバーライト改善部23Bのトラック面側には、図27(A)に示す曲率よりも小さい曲率の面取りが形成されている。図28(B)に示す製造マスク40には、このような曲率の面取りを形成するために、先端が鋭角なくさび形状のような遮光パターン41Bが形成されている。製造マスク40は図28(C)に示したようにフォトレジスト膜50に上部磁極先端部23aのパターンを転写し、このパターンが転写されたフォトレジスト膜50をマスクとして使用して図28(A)に示す上部磁極先端部23aを形成することができる。
【0129】本実施の形態では、第3の実施の形態と同様に、上部磁極先端部23aの近傍の上部磁極23に非磁性体領域200を備えるようにしたので、上部磁極先端部23aや上部磁極23に流れる磁束を最適に制御することができる。さらに、本実施の形態では、上部磁極先端部23aにオーバーライト改善部23Bを備えたので、そこに十分な磁気ボリュームが確保され、上部磁極先端部23aに流入する部分での磁束飽和を回避することができる。特に、図27(A)、図28(A)のそれぞれに示すオーバーライト改善部23Bは、トラック面側に面取りが施されているので、上部磁極先端部23aに流れる磁束をより一層スムースに集束させることができる。
【0130】(第7の実施の形態)本発明の第7の実施の形態は、第2の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッド(上部磁極先端部と上部磁極とが同一の1層の磁性層で形成される場合)において、上部磁極23の平面形状を代えた構成としたものである。図29(A)は本発明の第7の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの要部断面図、図29(B)は図29(A)に示す薄膜磁気ヘッドの記録ヘッド部の平面図をそれぞれ表している。
【0131】図29(A),(B)に示したように、本実施の形態では、上部磁極先端部23aに向かって徐々に幅が狭くなるように、オーバーライト改善部23Ab,23Aaのそれぞれが上部磁極23に配設されている。オーバーライト改善部23Abと23Abとを合わせた平面形状は凸型形状で形成されている。
【0132】非磁性体領域200はオーバーライト改善部23Abの幅方向中央部に配設されており、非磁性体領域200の平面形状はオーバーライト改善部23Ab,23Abを合わせた凸型形状の相似形状に近い形状で形成されている。
【0133】本実施の形態においては、第3の実施の形態と同様に、上部磁極先端部23aの近傍の上部磁極23に非磁性体領域200を備えるようにしたので、上部磁極先端部23aや上部磁極23に流れる磁束を最適に制御することができる。
【0134】以上複数の実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく種々変形可能である。例えば、上記実施の形態において、上部磁極先端部23a、上部磁極層25等は、NiFe、FeN、FeCoZr等の高飽和磁束密度材料を用いる例について説明したが、本発明は、必ずしも単層である必要はなく、2種類以上の高飽和磁束密度材料を積層した構造としてもよい。
【0135】また、上記実施の形態では、アルミナ等の絶縁層をスパッタリング法やCVD法で成膜する場合を説明したが、本発明は表面の平坦性に優れたスピンオングラス法(Spin On Glass)膜を用いて形成するようにしてもよい。
【0136】さらに、上記実施の形態では、上部磁極23または上部磁極先端部23aの一部に非磁性体領域を形成する場合について説明したが、下部磁極18または下部磁極先端部19aの一部に非磁性体領域を形成するようにしてもよい。
【0137】さらに、上記実施の形態では、再生ヘッド部と記録ヘッド部とを備えた複合型薄膜磁気ヘッドについて説明したが、本発明は、記録ヘッド部のみを備えた薄膜磁気ヘッドにも適用可能である。
【0138】
【発明の効果】以上説明したように本発明の薄膜磁気ヘッドまたはその製造方法によれば、磁性層の一部に非磁性体領域を設けるようにしたので、この非磁性体領域を、磁束の流れに対する一種の障害物として機能させることができるという効果を奏する。特に、非磁性体領域を、一方の磁極の近傍位置に配設するようにした場合には、磁性層に流れる磁束の流れを効果的に制御することができる。
【0139】また、本発明の薄膜磁気ヘッドまたはその製造方法によれば、非磁性体領域を磁性層の幅方向中央部に配設させるようにした場合には、磁束の流れを非磁性体領域の両側にほぼ均等に分流し、絶縁層の記録媒体対向面側の端縁位置(スロートハイト零位置)の近傍からそれよりも記録媒体側への磁束の急激な突入をバランスよく緩和することができるので、サイドライト、記録データの書き滲み、およびサイドトラックイレーズ等を防止できるという効果を奏する。さらに、周波数特性の違いによる磁気的な実効書き込みトラック幅の変化量を減少させることもできる。また、磁束の流れを適正に制御するための非磁性体領域を、穴部とこの穴部に埋設された非磁性体とで形成するようにした場合には、高性能の薄膜磁気ヘッドを簡易な構造により実現できるという効果を奏する。
【0140】さらに、本発明の薄膜磁気ヘッドの製造方法によれば、磁束の流れを適正に制御する非磁性体領域を、磁性層を形成する工程等と同一工程で形成するようにした場合には、製造工程数を削減することができるという効果を奏する。




 

 


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