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発明の名称 撮像装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−24950(P2001−24950A)
公開日 平成13年1月26日(2001.1.26)
出願番号 特願平11−191171
出願日 平成11年7月6日(1999.7.6)
代理人 【識別番号】100087273
【弁理士】
【氏名又は名称】最上 健治
【テーマコード(参考)】
5C024
【Fターム(参考)】
5C024 AA01 BA01 CA10 CA12 CA17 DA04 FA01 GA11 HA14 HA17 HA23 HA24 
発明者 菅原 卓郎 / 吉田 英明
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 撮像素子と、該撮像素子の出力をディジタル信号に変換するA/Dコンバータと、該A/Dコンバータの出力に基づいて映像信号を生成する映像信号生成手段と、前記撮像素子における電荷蓄積時間を制御する蓄積時間制御手段と、該蓄積時間制御手段を制御して複数回の連続した露光を与えると共に得られた複数の映像信号を加算して一つの撮像画像信号を生成する撮像画像生成手段と、前記撮像素子の有効出力画素のうち最大の暗出力を生ずる画素の暗出力信号レベルである最大暗出力レベルが前記A/Dコンバータの所定量子化レベルに達しない範囲に前記蓄積時間制御手段における最大蓄積時間を設定し、且つ必要な露光時間が該最大蓄積時間を超える場合には、前記撮像画像生成手段による複数回の連続した露光の各回の蓄積時間を、少なくとも前記最大蓄積時間以下であるという制限条件を満たすように制御する長時間露光制御手段とを有したことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】 前記撮像画像生成手段による複数回の連続した露光は、該露光の各回の蓄積時間が前記制限条件を満たす条件下における最少の露光回数で行われることを特徴とする請求項1に係る撮像装置。
【請求項3】 前記A/Dコンバータの所定量子化レベルは、該A/Dコンバータの最小量子化レベルであることを特徴とする請求項1又は2に係る撮像装置。
【請求項4】 前記撮像素子の最大暗出力レベルを測定する暗出力測定手段を有し、該暗出力測定手段の測定結果に基づいて前記最大蓄積時間を設定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に係る撮像装置。
【請求項5】 前記最大蓄積時間に関するデータを記憶する記憶手段を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に係る撮像装置。
【請求項6】 前記記憶手段に記憶される最大蓄積時間に関するデータは、温度に依存する関数データ又はテーブルデータであることを特徴とする請求項5に係る撮像装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、撮像装置、詳しくは長時間露光機能を有する撮像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ビデオカメラなどの撮像装置は、従来より広く利用されている。近年主として静止画を撮像記録する電子スチルカメラも、特にディジタルカメラとして普及するに至り、主として動画記録用であったビデオムービーにおいても、静止画撮影記録機能を有するようになってきた。そして主として静止画撮影に際して使用される長時間露光は、撮像素子における電荷蓄積時間を長くすることによって露光時間を長くし、これによって低照度下でもストロボなどの補助照明を使用することなく撮影できるようにする技術として知られている。
【0003】一方、撮像素子においては、いわゆる暗電流の存在などによる暗出力が存在し、これが画像信号に重畳されるため、画質劣化を来す。この暗出力レベルが大きい画素が存在する場合は画素欠陥と称され、その画素の出力情報は用いず、近隣の画素の出力情報を用いて情報を補完することが広く実用化されている。本明細書においては、以下このような処理を画素欠陥の補償と称することとする。しばしば使用されるフレームレートにおける動画駆動を前提に決められる所定の(例えばNTSCでは1/60秒の、あるいはこれに基づいて所定のマージンを見た、例えば4倍マージンだと1/15秒の)標準露光時間で暗出力を評価し、そのレベルが大きい画素については欠陥画素と見做して、上記画素欠陥補償を適用する。当然ながら欠陥画素の情報は欠落しているから、実用的に画質は確保できるものの局所解像度劣化が生じる。
【0004】一方、暗出力による画質劣化を補う方法として、その画素の出力情報を用いて暗出力レベル分を当該画素信号出力レベルから差し引いて信号成分だけを取り出すことは、例えば特開平9−18793号公報にも記載されており公知である。該公開公報においては、暗出力を固定パターン雑音と見做して、このような処理を雑音の補正除去と称している。本明細書においては、このような劣化画素の信号出力から暗出力分を除去する処理を、単に(欠陥あるいは劣化等の)補正と称することとする。この画素劣化の補正は、劣化画素の暗出力レベルが小さい場合に特に有効で、解像度劣化等を生じず、本来の画素情報が得られる点で優れている。
【0005】また、高画質な長時間露光画像を得るために、一つの長時間露光を複数の比較的短時間の露光の複数画像の加算で得る技術も、本出願人による特開平5−236422号公報(特公平7−95841号)などにより公知である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記したような欠陥や劣化のない画素であっても、高温の場合には暗電流が増加するため、また特に標準露光時間を超える長時間露光の場合には、暗電流の蓄積によって画素の暗出力レベルが大きくなるため、その撮像条件の下では新たに劣化画素となる場合がある。そこで上記特開平9−18793号公報においても「撮像素子の露出時間を長くしすぎると、暗電流増が生じることで固定パターン雑音が増大し、画像品質が悪化する。これを防ぐため、撮像素子の露出時間を暗電流増が問題にならない時間内に短縮し」という記載があり、更に一つの長時間露光を複数の比較的短時間の露光の複数画像の加算で得る技術も記載されている。しかしながら、その際の「暗電流増が問題にならない時間」に関する判断根拠は示されていない。また、その実施例においては、「その所定の露出時間の1/nの露出時間でn回の撮影を行ない」と述べられているだけであるから、現実に使用する撮像素子各々によってばらつきをもつ異なる暗出力特性に対して、充分な画質の確保ができる適正な露光時間制御を行なうことができないという問題があった。すなわち、実際の各短時間露光の露光時間の設定基準が明確ではなく、A/Dコンバータを用いたデジタイズを考慮した場合に画質劣化の一要因となる。
【0007】この点に関しては、本出願人による上記特開平5−236422号公報についても同様であって、加算の結果得られた画像の画像信号の最大値により総合露光時間を決定しているのみであって、画質確保のための毎回の露光時間制御条件については考慮がなされていない。
【0008】本発明は、従来の撮像装置における上記問題点を解決するためになされたもので、請求項1に係る発明は、画質劣化の少ない長時間露光画像を撮像することが可能な撮像装置を提供することを目的とする。請求項2に係る発明は、量子化ノイズの小さい長時間露光撮像が可能な撮像装置を提供することを目的とする。請求項3に係る発明は、画質劣化のない長時間露光撮像が可能な撮像装置を提供することを目的とする。請求項4に係る発明は、温度変化や経時変化を含めた実使用状況下における情報をもとに、画質劣化の少ないあるいは量子化ノイズの小さい長時間露光撮像が可能な撮像装置を提供することを目的とする。請求項5に係る発明は、必ずしも暗出力測定手段を用いることなく、最大蓄積時間を設定できるようにした撮像装置を提供することができる。請求項6に係る発明は、温度変化に対応した最大蓄積時間を容易に設定できるようにした撮像装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するため、請求項1に係る発明は、撮像素子と、該撮像素子の出力をディジタル信号に変換するA/Dコンバータと、該A/Dコンバータの出力に基づいて映像信号を生成する映像信号生成手段と、前記撮像素子における電荷蓄積時間を制御する蓄積時間制御手段と、該蓄積時間制御手段を制御して複数回の連続した露光を与えると共に得られた複数の映像信号を加算して一つの撮像画像信号を生成する撮像画像生成手段と、前記撮像素子の有効出力画素のうち最大の暗出力を生ずる画素の暗出力信号レベルである最大暗出力レベルが前記A/Dコンバータの所定量子化レベルに達しない範囲に前記蓄積時間制御手段における最大蓄積時間を設定し、且つ必要な露光時間が該最大蓄積時間を超える場合には、前記撮像画像生成手段による複数回の連続した露光の各回の蓄積時間を、少なくとも前記最大蓄積時間以下であるという制限条件を満たすように制御する長時間露光制御手段とで撮像装置を構成するものである。
【0010】このように構成した撮像装置においては、最大蓄積時間を、有効出力画素(全有効信号期間の画素から補償の対象である欠陥画素を除いたもの)の中で暗黒時における暗出力が最大の画素の出力レベルを基準にして設定し、信号劣化度合いを小さく保った複数の画像を加算することで長時間露光画像を生成するようになっているので、画質劣化の小さい長時間露光撮像が可能になる。すなわち、最大蓄積時間(長時間シャッタ)を、最大暗出力を生じる画素の最大暗出力レベルがA/Dコンバータの所定量子化レベル(特に1LSB)未満の値になるように設定し、その制限時間による連続撮影を実行し、得られた複数画像を加算するようにしているので、デジタイズを考慮した最適な露光時間設定により各画像に画質劣化が生じないため、画像加算によってより高画質な長時間露光画像が得られる。
【0011】請求項2に係る発明は、請求項1に係る撮像装置において、前記撮像画像生成手段による複数回の連続した露光は、該露光の各回の蓄積時間が前記制限条件を満たす条件下における最少の露光回数で行われることを特徴とするものである。このように、信号レベルを極力大きく保った画像をもとに、最小回数の露光で長時間露光画像を生成するようにしているので、量子化ノイズが小さい長時間露光撮像が可能になる。
【0012】請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る撮像装置において、前記A/Dコンバータの所定量子化レベルは、該A/Dコンバータの最小量子化レベルであることを特徴とするものである。このように構成した撮像装置においては、最大蓄積時間を、有効出力画素の中で暗黒時における暗出力が最大の画素の出力レベルを基準にして、これがA/Dコンバータの最小量子化レベル未満となるように設定しているので、画質劣化のない長時間露光撮像を行うことが可能となる。
【0013】請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれか1項に係る撮像装置において、前記撮像素子の最大暗出力レベルを測定する暗出力測定手段を有し、該暗出力測定手段の測定結果に基づいて前記最大蓄積時間を設定することを特徴とするものである。このように構成した撮像装置においては、暗出力測定手段の測定結果に基づいて上記最大蓄積時間を設定するようにしているので、温度変化又は経時変化を含めた実使用状況下における情報をもとに、画質劣化の少ないあるいは量子化ノイズの小さい長時間露光撮像が可能になる。
【0014】請求項5に係る発明は、請求項1〜3のいずれか1項に係る撮像装置において、前記最大蓄積時間に関するデータを記憶する記憶手段を有していることを特徴とするものである。このように構成した撮像装置においては、記憶手段に記憶された最大蓄積時間に関するデータに基づいて最大蓄積時間を設定するようにしているので、必ずしも暗出力測定手段を用いることなく、最大蓄積時間を設定することができる。
【0015】請求項6に係る発明は、請求項5に係る撮像装置において、前記記憶手段に記憶される最大蓄積時間に関するデータは、温度に依存する関数データ又はテーブルデータであることを特徴とするものである。このように構成した撮像装置においては、記憶手段に記憶された最大蓄積時間に関するデータを温度に依存する関数データ又はテーブルデータとしているので、温度変化に対応した最大蓄積時間を容易に設定することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】次に、実施の形態について説明する。図1は、本発明に係る撮像装置の主たる実施の形態のディジタルカメラを示すブロック構成図である。図1において、1はレンズ系、2はレンズ駆動機構、3は露出制御機構、4はフィルタ系、5はCCD撮像素子、6はCCDドライバ、7はA/Dコンバータを含むプリプロセス回路、8はディジタルプロセス回路で、ハードとしてメモリを含み、全てのディジタルプロセス処理を行うものである。9はメモリカードインターフェース、10はメモリカード、11はLCD画像表示系、12は主たる構成としてマイコンを含むシステムコントローラ、13は操作スイッチ系、14は表示用LCDを含む操作表示系、15はストロボ、16はレンズドライバ、17は露出制御ドライバ、18はEEPROMである。
【0017】このように構成されているディジタルカメラにおいては、システムコントローラ12が全ての制御を統括的に行なっており、特に露出制御機構3に含まれるシャッタ装置と、CCDドライバ6によるCCD撮像素子5の駆動を制御して、露光(電荷蓄積)及び信号の読み出しを行ない、それをA/Dコンバータを含むプリプロセス回路7を介してディジタルプロセス回路8に格納した出力レベル情報を用いて、以下で説明する画素劣化に関する判断や、本撮像時における画像信号の劣化補正、複数の画像信号の加算による長時間露光画像の生成等を行なうものである。また本実施の形態に係るディジタルカメラは、従来公知の画素欠陥補償手段を有しており、EEPROM18に格納された欠陥画素アドレスデータに基づいて、ディジタルプロセス回路8においてこの処理がなされる。すなわち、露光時間にかかわらず上記欠陥画素として登録された画素については画素欠陥補償がなされるようになっている。
【0018】次に、本実施の形態に係るディジタルカメラにおける劣化補正に直接係わる処理を中心に、システムコントローラ12によるカメラ制御の説明を行なう。但し、この実施の形態に係るディジタルカメラにおいて、信号レベルのディジタル処理は8ビット(0〜255)で行われるものとする。
【0019】まず、撮影に先立って、マニュアル設定又は測光結果に基づいて撮影に必要な露光時間Ttotal が設定される。これが本カメラにおける標準露光時間Tstd (任意に設定可能であるが、この実施の形態では1/15秒とする)よりも長いかどうかを判断し、Ttotal ≦Tstd の場合は、特に従来技術と変わりなく本撮像の撮影トリガー指令を待機し、トリガー指令を受けて所定の露出値に基づいた露光を行ない、撮像信号を読み出して所定の信号処理を施した後に、メモリカード10に記録する。その際上記画素欠陥補償処理を伴なう。
【0020】一方、Ttotal >Tstd の場合は、まず実際の撮影に先立って露出制御機構3に含まれるシャッタ装置で撮像素子の受光面を遮光した状態でテスト撮像を行なう。すなわち、暗黒下でCCDドライバ6により所定露出時間Ttest=5×Tstd の電荷蓄積動作を行なってテスト撮像信号(暗出力信号)を読み出し、ディジタルプロセス回路8に格納する。格納された全データ〔以下Stest(i,j)と記す。但し(i,j) は画素アドレス〕のうち欠陥画素を除いた有効出力画素に関して出力レベルを調べ、その最大値Mtestによって最長露出時間Tlimit を次のように定める。
(1)Mtest=0の場合:Tlimit =50×Ttest(= 250×Tstd =16.7秒)
(2)1≦Mtest≦250 の場合:Tlimit =50×Ttest/Mtest(= 250×Tstd /Mtest=1/15秒〜16.7秒)
(3)251 ≦Mtest≦255 の場合:Tlimit =Tstd【0021】テスト撮像による調査対象は欠陥画素を除いた有効出力画素であるから、通常の場合は標準露光時間Tstd の5倍の露光時間Ttestでレベルが最大付近に達することはないため、本来(1),(2)のケースしか起こり得ないが、撮像素子の経時変化や温度等によって(3)のケースも生じ得るものである。
【0022】このTlimit を判断基準に用いて、カメラの動作は以下のように場合分けされる。
(甲)Ttotal ≦Tlimit の場合には、本撮像の露出時間Texp =Ttotal に設定して通常の1回の露光を行ない撮像信号を読み出す。そして後述の劣化補正処理、欠陥補償処理を施した後に、適宜各種信号処理を経てメモリカード10に記録する。
(乙)Ttotal >Tlimit の場合には、本撮像を複数回(n回とする)の連続した露光に分けて行ない、各回毎に得られた撮像信号に対して後述の劣化補正処理を行なった上で、これらを公知のディジタル演算技術により加算して一つの長時間露光画像とし、更に欠陥補償処理を施した後に適宜各種信号処理を経てメモリカード10に記録する。
【0023】この際、露光回数n、及び各回の露光時間Texp(k)については、次のように設定する。
n=A+1 : k=1〜n−1に関しては、Texp(k)=Tlimit : Texp(n)=B (AはTtotal ÷Tlimit の商、Bは剰余:B≠0の場合。)
n=A : 全てのkに関して、Texp(k)=Tlimit (AはTtotal ÷Tlimit の商:剰余B=0の場合)
すなわち、必要露光時間Ttotal をTlimit 以下の露光時間を持つ最少回数の露光に分割するものである。したがって、上記(甲),(乙)いずれに於いても劣化補正処理を受ける各撮像信号に関しては、露光時間はTlimit 以下に制限されていることになる。
【0024】ここで、上記「最小回数」の意味、すなわちTlimit 以下という制限に対して極力ぎりぎり(具体例として最後の1回の端数を除いては全て=Tlimit )の長い露出時間に設定した意味については、各回の撮像信号のレベルを制限条件の許す範囲で少しでも大きく確保して、S/Nを良くすることを狙ったものである。各回の信号S/Nが悪くとも加算により劣化を抑制することは理論的には可能であるが、現実の構成に於いてはA/Dコンバータにおけるディジタイズによる量子化ノイズの発生が避けられず、これは加算によっては抑制困難であるから、この観点からは信号レベルはより大きい方が望ましい。
【0025】なお、このような条件を満たす(乙)の場合における露光設定の変形例として、次に示す各回の露光時間を等しくしたものが挙げられる。
n=A+1 :全てのkに関して、Texp(k)=Ttotal /n (AはTtotal÷Tlimit の商:Ttotal ÷Tlimit の剰余が0でない場合)
n=A :全てのkに関して、Texp(k)=Tlimit (AはTtotal ÷Tlimit の商:Ttotal ÷Tlimit の剰余が0の場合)
【0026】以上のような制限のもとに行われた本撮像信号に対して施される劣化補正処理は、以下のようなものである。すなわち、上記テスト撮像信号Stest(i,j)を用いて補正基準信号Cref(i,j)を算出し、本撮像時の撮像信号Sin(i,j) から差し引くことで、補正された撮像信号である出力信号Sout(i,j)を得る。具体的には、次式■,■に示す算出式で求められる。
Cref(i,j)=Stest(i,j)×Texp /Ttest ・・・・・・・・■ Sout(i,j) =Sin(i,j) −Cref(i,j) ・・・・・・・・・・但し、上記(乙)の場合はTexp は各回のTexp(k)に読み替える。
【0027】すなわち、■の式の右辺で乗じられているものは、テスト撮像時の電荷蓄積時間と本撮像時のそれとの比であって、同一条件の下では暗出力は蓄積時間に比例することを利用して本撮像時の暗出力成分を求めているものである。したがって、■式で求められたSout(i,j)は、本来の被写体情報のみに対応したものとなる。
【0028】このとき、上記本撮像時の露光時間Texp を最長露出時間Tlimit 以下に制限することの意味は、どの有効出力画素に関しても本撮像時の暗出力レベルが50以下、すなわちフルレンジ(255)の約1/5以下に制限されているということである。すなわち、撮像信号のレンジが無限にあれば、■式によって常に理想的な補正が可能であるが、ディジタル処理の最大値(原理的には撮像素子自身の飽和レベル)でクリップされているから、差し引かれるCref(i,j)の分だけレンジ(輝度再現域)が狭くなっている。すなわち、出力信号Sout(i,j)は 255−Cref(i,j)でクリップされた信号となっているから、仮に上記制限を設けずCref(i,j)=255 の画素が存在したとすれば、この画素の出力は実際の被写体輝度にかかわらず0となり、いわゆる黒キズの画素欠陥となる。これでは欠陥補償でなく補正を用いた意味があまりないことになる。実際には上記したようにTexp をTlimit以下に制限しているから、Sout(i,j)のレンジは最悪の画素でも、 255−50=205 と80%強確保される。この値は通常の被写体においては充分な値であり、たまたまこの画素を含む一定領域に極めて明るい一様な絵柄(例えば白紙)が存在した場合にのみキズと認識され得るが、その場合も飽和レベルより20%弱暗いだけであるから、特に精査しない状態では検知限以下であり画質劣化を事実上生じない。この際、上記(乙)の場合は毎回の露光による画像信号が加算されるので、この僅かな劣化が積算されるおそれが一応あることになるが、(乙)の場合は上記のとおり、本来の必要露光時間Ttotal がn回に分割されていることを考慮すれば、毎回の露光レベルは適正レベルの約1/n程度になっているから、上記極めて明るい一様な絵柄は、各回に関しては通常は存在しないため、結局画質劣化の畏れはほとんどないと言える。
【0029】このように、上記例における最長露出時間Tlimit は、劣化補正を行なった際にも全ての有効画素に関して、出力信号Sout(i,j)のレンジを 205/255(80%強)保証するという意味を有しているのである。無論、この保証するレンジの数値自体は一例であり、どの程度の画質劣化を画質保証の許容限とするかによって、任意の値をとり得るものであるが、最長露出時間Tlimit については、この(設計者の意図や判断に基づいて任意に設定され得る)与えられた「保証するレンジ」に対して、適用カメラの有する劣化補正手段における処理の具体的内容に従って一意的に定めたものであるから、上記従来例における漠然たる「暗電流増が問題にならない時間」等とは全く異なるものであることは明らかである。
【0030】さて補正された後の撮像信号である出力信号Sout(i,j)は、上記のとおり(甲)の場合にはそのまま、(乙)の場合には加算処理を施されてから、更に公知の画素欠陥補償処理を施された後に、適宜各種信号処理を経てメモリカード10に記録される。なお、このように欠陥補償は上記補正処理の後に実行されるが、この順番を単純に逆にすると、補償された画素の出力は補正処理を受ける前の暗出力を含んだものとなり好ましくなく、したがって何らかの理由で逆順処理を行なう場合は、暗出力信号Stest(i,j)に関しても同様に欠陥補償を施してから補正処理を行なう構成とする必要があり、これを本実施の形態の変形例として挙げておく。
【0031】なお、上記実施の形態の説明においては説明を簡単にするために、電荷蓄積時間と露光時間とを同一視しているが、厳密にはメカニカルシャッタを用いて露光開始前から電荷蓄積を開始する場合や、あるいは露光完了してから所定時間後に電荷を転送路に移送したり、蓄積電荷を転送路に移送した後所定時間後に転送開始するいわゆる遅延読み出しの手法を用いる場合などにおいては、この両者は必ずしも一致しないことがある。しかし、この両者の差はいずれもシステムコントローラが管理認識しているものであるから、必要に応じてこの差を具体的に考慮して上記実施の形態を適用すれば良いものである。
【0032】更に上記実施の形態以外にも様々な実施の形態が考えられる。まずTtestの時間設定については、上記実施の形態では5×Tstd =1/3秒という値を示したが、これは任意に設定できる。上記実施の形態の場合、この程度の短時間にしておけば、使用者に意識させることなく、通常のカメラシーケンス中で本撮像の直前にテスト撮像を行なうことが可能であり、カメラの操作性を全く低下させることなく本発明を適用できる利点がある。これに対して画質性能を優先すれば、Ttestをもっと長い任意の時間に設定したり、テスト撮像を複数回異なるTtest値で行なったり、また固定値ではなくTtest=Ttotal とすることで任意の露光時間に関して画質判定ができるように構成することができるなど、それぞれが好適な実施の形態となる。
【0033】また、これとは別の実施の形態としては、上記実施の形態におけるTlimit を定めるケース(1),(2),(3)を、次のように変更したものがある。
(1’)Mtest=0の場合:Tlimit =Ttest(2’)1≦Mtest≦254 の場合:Tlimit =Ttest/(2×Mtest)
(3’)Mtest=255 の場合:エラーとして処理し、撮影禁止【0034】この実施の形態は、本撮影時の有効画素の暗出力レベルが、A/Dコンバータの最小量子化レベル未満であることを保証することになるから、劣化補正が不要となると共に撮像レンジの低下が生じないことになる。なお、ここで言うA/Dコンバータの最小量子化レベルとは、現実のA/Dハードウェアの最小量子化レベルと一致していることは必ずしも必要でなく、その時の画像処理系における実質的量子化に関する最小量子化レベルのことを指していることは言うまでもない。上記(乙)における加算処理を前提にした場合、必要露光時間Ttotal が長くても、各回の露光時間が短い複数の露光時間に分割して実現することができるから、量子化ノイズを別にすれば、画質劣化が一切生じないこの実施の形態は特に大きな意義を有するものである。
【0035】なお、上記A/Dハードウェアの量子化レベルに関して特に補足すると、現実には、A/Dコンバータハードウェアの有する誤差特性の存在や、仮にそれがないとしても原理的に最小量子化レベル付近においては、量子化誤差は相対的には100%にも相当することを考慮すれば、この実施の形態のみならず全ての実施の形態に関して実際の量子化に用いるA/Dコンバータは、画像処理系の量子化ビット数(上記各実施の形態では8ビット)よりも多い、例えば10ビットあるいは12ビット程度のものを使用することがより好適であり、これによって上記各演算式の演算に際して誤差の影響を充分低減することができる。
【0036】更に別の実施の形態としては、上記のように本撮像直前のテスト撮像によらず、予め別途調べた使用撮像素子に関するTlimit の値をEEPROM18に記憶しておくものが挙げられる。この実施の形態は、撮像素子の暗出力特性の経時変化には対応できないものの、Tlimit の値を求めるためのテスト撮像を実行する必要がないという大きな利点を有している。この場合、使用時の温度によって暗出力が変化することに対応するため、撮像素子近傍に図示しない温度センサも設けておく。そして、EEPROM18に記憶させておくTlimit の値は、各温度に対応した連続的関数(温度−Tlimit 関数:ディジタル処理であるから、実際には離散値として処理される)か、又はいくつか選択した温度ポイントに対応する複数の値(温度−Tlimit テーブル)とする。後者の場合には、テーブルに該当する温度ポイント以外については補間によって処理すれば良い。いずれの場合も、温度センサによって温度を検出して、上記温度−Tlimit 関数又はテーブルを参照してTlimit の値を求めるものである。
【0037】この実施の形態は、上記主たる実施の形態に適用する場合には、劣化補正を実行するためには結局テスト撮像を行なう必要が生じるものの、その場合にも事前にTlimit の値が判っているので、これに基いて最適なTtestを設定できるという利点を有している。また特に上記(1’),(2’),(3’)の判定基準を用いた劣化補正が不要となる実施の形態と組み合わせた場合には、テスト露光が全く不要となるという大きな利点を有している。
【0038】以上本発明のいくつかの実施の形態並びにそれらの変形例について具体的に説明を行ったが、本発明はこれらに限られることなく、特許請求の範囲に記載の限りにおいて如何なる態様をも取り得るものであることは言うまでもない。
【0039】
【発明の効果】以上実施の形態に基づいて説明したように、本発明によれば、長時間露光時においても画質劣化の少ない画像を得ることができる撮像装置を実現することができる。特に請求項1に係る発明によれば、最大蓄積時間を有効出力画素の中で暗黒時における暗出力が最大の画素の出力レベルを基準にして設定し、信号劣化度合を小さく保った複数の画像を加算することで長時間露光画像を生成するようにしているので、画質劣化の小さい長時間露光撮像が可能になる。また請求項2に係る発明によれば、信号レベルを極力大きく保った画像をもとに、最小回数の露光で長時間露光画像を生成するようにしているので、量子化ノイズが小さい長時間露光撮像が可能になる。また請求項3に係る発明によれば、最大蓄積時間を有効出力画素の中で暗黒時における暗出力が最大の画素の出力レベルを基準にして、これがA/Dコンバータの最小量子化レベル未満となるように設定しているので、画質劣化のない長時間露光撮像を行なうことが可能となる。また請求項4に係る発明によれば、暗出力測定手段の測定結果に基づいて最大蓄積時間を設定するようにしているので、温度・経時変化を含めた実使用状況下における情報をもとに、画質劣化の少ないあるいは量子化ノイズの小さい長時間露光撮像が可能となる。また請求項5に係る発明によれば、記憶手段に記憶された最大蓄積時間に関するデータに基づいて最大蓄積時間を設定するようにしているので、必ずしも暗出力測定手段を用いることなく、最大蓄積時間を設定することができる。また請求項6に係る発明によれば、記憶手段に記憶された最大蓄積時間に関するデータを温度に依存する関数データ又はテーブルデータとしているので、温度変化に対応した最大蓄積時間を容易に設定することができる。




 

 


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