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発明の名称 位置決め制御装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−6305(P2001−6305A)
公開日 平成13年1月12日(2001.1.12)
出願番号 特願平11−170168
出願日 平成11年6月16日(1999.6.16)
代理人 【識別番号】100099830
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 征生
【テーマコード(参考)】
5D096
【Fターム(参考)】
5D096 NN03 NN07 NN10 
発明者 石川 潤
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 粗動アクチュエータと、この粗動アクチュエータにより駆動される粗動部の一端に固定された微動アクチュエータとを協調制御することにより、微動アクチュエータの一端に取り付けられた微動部の位置決めを行う位置決め制御装置において、前記微動部から供給される位置誤差信号に基づいて、前記微動部を位置決めするための微動制御信号を生成する微動制御手段と、前記微動制御信号を前記微動アクチュエータの可動範囲に対応した制限内になるように飽和処理して前記微動アクチュエータに供給する飽和処理手段と、前記飽和処理手段の出力信号と前記微動制御信号との差に基づいて、前記微動制御信号を補正するための補正信号を生成する補正手段とを備えてなることを特徴とする位置決め制御装置。
【請求項2】 前記微動制御手段は、前記微動制御信号を積分補償する積分補償手段を有し、前記補正信号に基づいて、前段積分補償手段の内部状態を変更することを特徴とする請求項1記載の位置決め制御装置。
【請求項3】 前記微動制御手段は、前記微動制御信号を位相補償する位相補償手段を有し、前記補正信号に基づいて、前段位相補償手段の内部状態を変更することを特徴とする請求項2記載の位置決め制御装置。
【請求項4】 前記補正手段は、前記飽和処理手段の出力信号と前記微動制御信号との差を求める減算器と、該減算器の減算結果に所定定数を乗算して乗算結果を前記補正信号とする乗算器とからなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載の位置決め制御装置。
【請求項5】 前記補正信号の符号は、前記微動制御信号が前記飽和処理手段の出力信号より大きい場合には、前記積分補償手段の内部状態が減少する方向でフィードバックがかかるように設定され、前記微動制御信号が前記飽和処理手段の出力信号より小さい場合には、前記積分補償手段の内部状態が増加する方向でフィードバックがかかるように設定されていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1に記載の位置決め制御装置。
【請求項6】 前記微動制御信号又は前記飽和処理手段の出力信号に基づいて、前記粗動アクチュエータに供給するための粗動制御信号を生成する粗動制御手段を備えてなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1に記載の位置決め制御装置。
【請求項7】 前記粗動アクチュエータはボイスコイル・モータからなり、前記微動アクチュエータは電歪素子からなり、前記粗動部はキャリッジアームからなり、前記微動部は磁気ヘッドからなることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1に記載の位置決め制御装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、粗動アクチュエータと、この粗動アクチュエータにより駆動される粗動部の一端に固定された微動アクチュエータとを協調制御することにより、微動アクチュエータの一端に取り付けられた微動部の位置決めを行う位置決め制御装置に関し、特に、光ディスク装置や磁気ディスク装置等のヘッドの位置決め制御を行う位置決め制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】光ディスク装置や磁気ディスク装置等のディスク装置の中には、最近、近年の記憶容量の大容量化に伴う高記録密度化に対処するため、例えば、特開平6−96545号公報や特開平9−251739号公報に開示されているように、2ステージ協調位置決め機構、あるいは2段アクチュエータと呼ばれるヘッド移動機構により、光ディスクや磁気ディスクの所定の位置にヘッドが位置決めされるものがある。この種のヘッド移動機構は、可動範囲はセンチメートル・オーダと大きいが位置決め精度の低い粗動アクチュエータと、この粗動アクチュエータにより駆動されるアームの一端に固定され、可動範囲はミリメートル・オーダ又はナノメートル・オーダと小さいが位置決め精度の高い微動アクチュエータとからなり、これらを協調制御することにより、センチメートル・オーダの大きな可動範囲とナノメートル・オーダの高い位置決め精度とを両立させている。
【0003】このうち、光ディスク装置においては、粗動アクチュエータ及び微動アクチュエータのいずれにもボイスコイル・モータを使用しているため、微動アクチュエータを構成するボイスコイル・モータの可動範囲は数mmであり、30nm程度の位置決め精度を実現している。これに対し、磁気ディスク装置においては、粗動アクチュエータにはボイスコイル・モータを使用しているが、微動アクチュエータにはピエゾ素子等の電歪素子を使用しているため、微動アクチュエータを構成する電歪素子の可動範囲は500nm前後と非常に狭く、50nm以下の位置決め精度を実現している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記したディスク装置のヘッドの位置決め制御においては、通常、ヘッドの目標位置と実際の位置との誤差がなくなるように、フィードバック制御を行うと共に、外部からの影響を抑圧するために、そのフィードバック・ループに積分器を挿入している。この積分器が挿入された制御系は、応答が遅い傾向がある。したがって、ヘッドを目標位置に追従させている状態において、外部から加えられる振動や衝撃が微動アクチュエータの可動範囲を越えた場合、応答の遅い上記積分器がいわゆるワインドアップを起こして制御系が発振し、ヘッドが暴走してしまう場合がある。この制御系が発振するという不都合は、ディスク装置のヘッドの位置決め制御だけでなく、微動アクチュエータの可動範囲が実用上制限される機構の位置決め制御において、一般的に起こり得ることがよく知られている。
【0005】この点、特開平8−142886号公報には、電動パワーステアリング装置におけるステアリングホイールの位置決め制御について、制御系を構成する積分器の内部状態に補正を加えるアンチ・ワインドアップ制御が開示されている。しかし、この技術は、1ステージの一般的な位置決め制御に関するものであり、光ディスク装置や磁気ディスク装置等のディスク装置のヘッドの位置決め制御のように、2個のアクチュエータを協調させてヘッドの位置決めを制御する場合には適用できない。
【0006】これに対し、「アンチワインドアップ制御による磁気ディスク装置の外乱抑圧特性向上」(日本機械学会IIP、’98情報・知能・精密機器部門講演会講演論文集、No.98−26、pp.27−29)には、制御系を構成する積分器の内部状態そのものを観測し、積分器の出力信号をリミッタを用いて修整することにより、磁気ディスク装置のヘッドが目標位置近傍に移動した後の過渡応答の整定を速くする技術が開示されている。しかし、この技術は、ヘッドを目標位置に追従させている状態において、外部から加えられた振動や衝撃が微動アクチュエータの可動範囲を越えることにより、上記積分器がワインドアップを起こした場合には、適用できない。
【0007】この発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、粗動アクチュエータと、この粗動アクチュエータにより駆動される粗動部の一端に固定された微動アクチュエータとを協調制御して、微動アクチュエータの一端に取り付けられた微動部を位置決めする場合、外部から加えられる振動や衝撃が微動アクチュエータの可動範囲を越えても、振動や衝撃の影響を低減して高精度な位置決め制御をすることができる位置決め制御装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、粗動アクチュエータと、この粗動アクチュエータにより駆動される粗動部の一端に固定された微動アクチュエータとを協調制御することにより、微動アクチュエータの一端に取り付けられた微動部の位置決めを行う位置決め制御装置に係り、上記微動部から供給される位置誤差信号に基づいて、上記微動部を位置決めするための微動制御信号を生成する微動制御手段と、上記微動制御信号を上記微動アクチュエータの可動範囲に対応した制限内になるように飽和処理して上記微動アクチュエータに供給する飽和処理手段と、上記飽和処理手段の出力信号と上記微動制御信号との差に基づいて、上記微動制御信号を補正するための補正信号を生成する補正手段とを備えてなることを特徴としている。
【0009】また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の位置決め制御装置に係り、上記微動制御手段は、上記微動制御信号を積分補償する積分補償手段を有し、上記補正信号に基づいて、前段積分補償手段の内部状態を変更することを特徴としている。
【0010】また、請求項3記載の発明は、請求項2記載の位置決め制御装置に係り、上記微動制御手段は、上記微動制御信号を位相補償する位相補償手段を有し、上記補正信号に基づいて、前段位相補償手段の内部状態を変更することを特徴としている。
【0011】また、請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1に記載の位置決め制御装置に係り、上記補正手段は、上記飽和処理手段の出力信号と上記微動制御信号との差を求める減算器と、該減算器の減算結果に所定定数を乗算して乗算結果を上記補正信号とする乗算器とからなることを特徴としている。
【0012】また、請求項5記載の発明は、請求項2乃至4のいずれか1に記載の位置決め制御装置に係り、上記補正信号の符号は、上記微動制御信号が上記飽和処理手段の出力信号より大きい場合には、上記積分補償手段の内部状態が減少する方向でフィードバックがかかるように設定され、上記微動制御信号が上記飽和処理手段の出力信号より小さい場合には、上記積分補償手段の内部状態が増加する方向でフィードバックがかかるように設定されていることを特徴としている。
【0013】また、請求項6記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか1に記載の位置決め制御装置に係り、上記微動制御信号又は上記飽和処理手段の出力信号に基づいて、上記粗動アクチュエータに供給するための粗動制御信号を生成する粗動制御手段を備えてなることを特徴としている。
【0014】また、請求項7記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか1に記載の位置決め制御装置に係り、上記粗動アクチュエータはボイスコイル・モータからなり、上記微動アクチュエータは電歪素子からなり、上記粗動部はキャリッジアームからなり、上記微動部は磁気ヘッドからなることを特徴としている。
【0015】
【作用】この発明の構成によれば、外部から加えられる振動や衝撃が微動アクチュエータの可動範囲を越えた場合でも、振動や衝撃の影響を低減して高精度な位置決め制御をすることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、この発明の実施の形態について説明する。説明は、実施例を用いて具体的に行う。図1は、この発明の一実施例である磁気ディスク装置のヘッド移動機構1の位置決め制御装置2の電気的構成を示すブロック図である。ヘッド移動機構1は、図2に示すように、キャリッジアームからなる粗動部11と、ボイスコイル・モータからなる粗動アクチュエータ12と、ピエゾ素子等の電歪素子からなる微動アクチュエータ13と、サスペンション付きの磁気ヘッドからなる微動部14とから概略構成されている。また、粗動部11は、その一端に粗動アクチュエータ12が固定されていると共に、その他端に微動アクチュエータ13を介して微動部14が取り付けられている。粗動アクチュエータ12は、位置決め制御装置2から供給される制御信号SC1に基づいて、粗動部11を駆動することにより、微動アクチュエータ13及び微動部14をピボット11aを中心に図中X方向(図示せぬ磁気ディスクの半径方向)に移動させる。また、微動アクチュエータ13は、位置決め制御装置2から供給される制御信号SC2に基づいて図中Y方向に伸縮して、微動部14を図中X方向に微動させる。微動部14は、位置決めの対象である磁気ヘッドの位置と目標のトラックの位置との誤差を示す位置誤差信号Sを出力し、位置決め制御装置2に供給する。
【0017】ここで、図3及び図4にヘッド移動機構1の周波数特性の一例を示す。図3は、粗動アクチュエータ12の入力端から微動部14の出力端(トラックランナウトを零とした場合は磁気ヘッドの位置に相当)までの周波数特性の一例であり、(a)はゲイン特性の一例、(b)は位相特性の一例である。図3(a)及び(b)から分かるように、低周波数域のゲイン特性が−40dB/decの傾きを有し、位相特性が略−180度であるので、制御信号SC1は、磁気ヘッドの位置の加速度の次元に相当している。したがって、制御信号SC1の振幅に制限があった場合でも、それは加速度に対する制限であり、物理的にストッパーなどにぶつかるまでが粗動アクチュエータ12の可動範囲となるだけであり、事実上、磁気ヘッドの位置の変位には制限が加わらない。図4は、微動アクチュエータ13の入力端から微動部14の出力端(トラックランナウトを零とした場合は磁気ヘッドの位置に相当)までの周波数特性の一例であり、(a)はゲイン特性の一例、(b)は位相特性の一例である。図4(a)及び(b)から分かるように、低周波数域のゲイン特性が略水平であり、位相特性が略0度であるので、制御信号SC2は、直接、磁気ヘッドの位置の次元に対応していることがわかる。したがって、制御信号SC2の振幅に電源電圧等により制限があった場合には、それがそのまま微動アクチュエータ13の可動範囲の制限となる。以上説明したように、典型的な磁気ディスク装置の場合では、電源電圧(例えば、±30Vなど)等による制御信号SC2の振幅の制限は、微動アクチュエータ13の可動範囲の制限(例えば、±500nm)となり、非常に狭い。
【0018】また、位置決め制御装置2は、図1に示すように、サンプラ21と、A/D変換器22と、符号反転器23と、微動コントローラ24と、粗動コントローラ25と、リミッタ26と、減算器27と、乗算器28と、D/A変換器29及び30と、フィルタ31及び32とから概略構成されている。これらのうち、符号反転器23、微動コントローラ24、粗動コントローラ25、リミッタ26、減算器27及び乗算器28は、いずれもデジタル回路で構成されている。サンプラ21は、ヘッド移動機構1の微動部14から供給される位置誤差信号Sを所定周期でサンプリングしてA/D変換器22に供給する。A/D変換器22は、サンプラ21の出力信号を離散的な位置誤差データDにデジタル変換して符号反転器23に供給する。符号反転器23は、位置誤差データDの符号を反転して微動コントローラ24に供給する。
【0019】微動コントローラ24は、位置誤差データ(−D)に基づいて、磁気ヘッドを磁気ディスクの目標のトラックに位置決めするための出力データDC1を生成するものであり、図5に示すように、積分補償器41と、位相補償器42と、加算器43とから概略構成されている。積分補償器41は、加算器44と、ユニット・ディレイ45と、乗算器46とから概略構成されている。加算器44は、乗算器28の出力データDAと、位置誤差データ(−D)と、ユニット・ディレイ45の出力データとを加算して加算結果をユニット・ディレイ45に供給する。ユニット・ディレイ45は、加算器44の出力データを所定時間(1/z)遅延した後、加算器44及び46に供給する。乗算器46は、ユニット・ディレイ45の出力データに所定定数(KiF)を乗算して乗算結果を加算器43に供給する。
【0020】位相補償器42は、乗算器47〜50と、加算器51及び52と、ユニット・ディレイ53とから概略構成されている。乗算器47及び48は、それぞれ位置誤差データ(−D)に所定定数(BF)及び(DF)を乗算して乗算結果を加算器51及び52に供給する。加算器51は、乗算器47の出力データと、乗算器49の出力データとを加算して加算結果をユニット・ディレイ53に供給する。ユニット・ディレイ53は、加算器51の出力データを所定時間(1/z)遅延した後、乗算器49及び50に供給する。乗算器49及び50は、それぞれユニット・ディレイ53の出力データに所定定数(AF)及び(CF)を乗算して乗算結果を加算器51及び52に供給する。乗算器49の所定定数(AF)は、位相補償器42の極を決定するフィードバック・ゲインである。加算器52は、乗算器48の出力データと、乗算器50の出力データとを加算して加算結果を加算器43に供給する。加算器43は、積分補償器41の出力データと、位相補償器42の出力データとを加算して加算結果を出力データDC1として粗動コントローラ25、リミッタ26及び減算器27に供給する。図6は、微動コントローラ24の周波数特性の一例であり、(a)はゲイン特性の一例、(b)は位相特性の一例である。図6から分かるように、微動コントローラ24は、積分補償を基本的な役割としている。
【0021】粗動コントローラ25は、微動コントローラ24の出力データDC1を微動アクチュエータ13の変位とみなしてこれを零とするように粗動アクチュエータ12を駆動するための出力データDC2を生成するものであり、図7に示すように、積分補償器61と、位相補償器62と、加算器63とから概略構成されている。積分補償器61は、加算器64と、ユニット・ディレイ65と、乗算器66とから概略構成されている。加算器64は、微動コントローラ24の出力データDC1と、ユニット・ディレイ65の出力データとを加算して加算結果をユニット・ディレイ65に供給する。ユニット・ディレイ65は、加算器64の出力データを所定時間(1/z)遅延した後、加算器64及び乗算器66に供給する。乗算器66は、ユニット・ディレイ65の出力データに所定定数(KiC)を乗算して乗算結果を加算器63に供給する。
【0022】位相補償器62は、乗算器67〜70と、加算器71及び72と、ユニット・ディレイ73とから概略構成されている。乗算器67及び68は、それぞれ微動コントローラ24の出力データDC1に所定定数(BC)及び(DC)を乗算して乗算結果を加算器71及び72に供給する。加算器71は、乗算器67の出力データと、乗算器69の出力データとを加算して加算結果をユニット・ディレイ73に供給する。ユニット・ディレイ73は、加算器71の出力データを所定時間(1/z)遅延した後、乗算器69及び70に供給する。乗算器69及び70は、それぞれユニット・ディレイ73の出力データに所定定数(AC)及び(CC)を乗算して乗算結果を加算器71及び72に供給する。加算器72は、乗算器68の出力データと、乗算器70の出力データとを加算して加算結果を加算器63に供給する。加算器63は、積分補償器61の出力データと、位相補償器62の出力データとを加算して加算結果を出力データDC2としてD/A変換器29に供給する。図8は、粗動コントローラ25の周波数特性の一例であり、(a)はゲイン特性の一例、(b)は位相特性の一例である。図8から分かるように、粗動コントローラ25は、周波数500Hz付近で位相を60度程度回復させる位相補償を基本的な役割としている。
【0023】また、図1に示すリミッタ26は、微動コントローラ24の出力データDC1を微動アクチュエータ13を構成するピエゾ素子の可動範囲に対応した制限内になるように処理し、処理結果を出力データDLとしてD/A変換器30及び減算器27に供給する。減算器27は、リミッタ26の出力データDLから微動コントローラ24の出力データDC1を減算して減算結果を乗算器28に供給する。また、乗算器28は、減算器27の出力データに所定定数(AWG)を乗算して乗算結果を出力データDAとして、微動コントローラ24を構成する積分補償器41の内部状態(xF2)を修整するために、微動コントローラ24にフィードバックする。このフィードバックされる出力データDAの符号は、微動コントローラ24の出力データDC1がリミッタ26の出力データDLより大きい場合には、微動コントローラ24を構成する積分補償器41の内部状態(xF2)が減少する方向でフィードバックがかかるように設定され、出力データDC1が出力データDLより小さい場合には、積分補償器41の内部状態(xF2)が増加する方向でフィードバックがかかるように設定されているものとする。
【0024】また、D/A変換器29は、粗動コントローラ25の出力データDC2を連続的な信号にアナログ変換してフィルタ31に供給する。D/A変換器30は、リミッタ26の出力データDLを連続的な信号にアナログ変換してフィルタ32に供給する。フィルタ31は、D/A変換器29の出力信号の周波数帯域を500Hz程度に制限して機械共振を減衰させた後、制御信号SC1としてヘッド移動機構1の粗動アクチュエータ12に供給する。フィルタ32は、D/A変換器30の出力信号の周波数帯域を2kHz前後に制限して機械共振を減衰させた後、制御信号SC2としてヘッド移動機構1の微動アクチュエータ13に供給する。
【0025】次に、上記構成の位置決め制御装置2の動作について説明する。まず、外部から加えられた振動や衝撃等によって生じる変位が微動アクチュエータ13の可動範囲内である定常状態時の動作について説明する。ヘッド移動機構1を構成する微動部14から位置決め制御装置2に供給された位置誤差信号Sは、サンプラ21においてサンプリングされた後、A/D変換器22において位置誤差データDに変換され、さらに、符号反転器23において符号が反転されて位置誤差データ(−D)として微動コントローラ24に供給される。これにより、微動コントローラ24において、位置誤差データ(−D)に基づいて、磁気ヘッドを磁気ディスクの目標のトラックに位置決めするための出力データDC1が生成され、出力データDC1は、粗動コントローラ25、リミッタ26及び減算器27に供給される。微動コントローラ24の出力データDC1は、リミッタ26において、微動アクチュエータ13を構成するピエゾ素子の可動範囲に対応した制限内になるように処理された後、出力データDLとしてD/A変換器30及び減算器27に供給される。リミッタ26の出力データDLは、D/A変換器30において、アナログ変換された後、フィルタ32において、その周波数帯域が2kHz前後に制限され、制御信号SC2としてヘッド移動機構1の微動アクチュエータ13に供給される。これにより、微動部14を構成するサスペンション付きの磁気ヘッドは、2kHz前後の帯域で高精度に位置決め制御される。なお、今の場合、外部から加えられた振動や衝撃等によって生じた変位は微動アクチュエータ13の可動範囲内にあるので、微動コントローラ24の出力データDC1とリミッタ26の出力データDLとは等しい。したがって、減算器27の減算結果は零であり、微動コントローラ24には、乗算器28の出力データDAはフィードバックされず、微動コントローラ24を構成する積分補償器41の内部状態(xF2)は修整されない。
【0026】一方、粗動コントローラ25において、微動コントローラ24の出力データDC1に基づいて、微動アクチュエータ13の変位を零とするように粗動アクチュエータ12を駆動するための出力データDC2が生成される。粗動コントローラ25の出力データDC2は、D/A変換器29において、アナログ変換された後、フィルタ31において、その周波数帯域が500Hz程度に制限され、制御信号SC1としてヘッド移動機構1の粗動アクチュエータ12に供給される。これにより、粗動部11を構成するキャリッジアームは、微動部14を構成するサスペンション付きの磁気ヘッドを追いかけるように制御される。
【0027】このように、外部から加えられた振動や衝撃が微動アクチュエータ13を構成するピエゾ素子の可動範囲内である定常状態時においては、サスペンション付きの磁気ヘッドを磁気ディスクの目標のトラックに精密に位置決めするために移動したピエゾ素子を追いかけてボイスコイル・モータによりキャリッジアームが移動する協調制御が実現される。したがって、本来のピエゾ素子の可動範囲(キャリッジアームが固定されている場合に相当)では位置決めできないような大きなトラックの揺れに対しても、大まかな動きはボイスコイル・モータによりカバーされるので、ピエゾ素子の高精度な位置決め状態が維持できる。また、粗動コントローラ25は、微動コントローラ24の出力データDC1に基づいて予見的な制御が可能となるので、リミッタ26において飽和処理された後の出力データDLを利用する場合と比べて、はるかに制御系の安定度が向上する。
【0028】次に、外部から加えられた振動や衝撃等によって粗動アクチュエータ12を構成するボイスコイル・モータの応答速度では対応できない大きな変位が生じ、その変位が微動アクチュエータ13を構成するピエゾ素子の可動範囲を越えた場合の動作について説明する。ヘッド移動機構1から供給された位置誤差信号Sは、サンプラ21、A/D変換器22及び符号反転器23において順次処理され、その処理結果が位置誤差データ(−D)として微動コントローラ24に供給される。これにより、微動コントローラ24において、位置誤差データ(−D)に基づき出力データDが生成されるので、出力データDC1は、リミッタ26において、ピエゾ素子の可動範囲に対応した制限内になるように処理された後、出力データDLとしてD/A変換器30及び減算器27に供給される。出力データDLは、D/A変換器30において、アナログ変換された後、フィルタ32において、その周波数帯域が2kHz前後に制限され、制御信号SC2としてヘッド移動機構1の微動アクチュエータ13に供給される。これにより、微動部14を構成するサスペンション付きの磁気ヘッドは、2kHz前後の帯域で高精度に位置決め制御される。
【0029】今の場合、外部から加えられた振動や衝撃等によって生じた変位は微動アクチュエータ13の可動範囲外にあるので、微動コントローラ24の出力データDの絶対値は、リミッタ26の出力データDLの絶対値より大きい。したがって、減算器27において、リミッタ26の出力データDLから微動コントローラ24の出力データDC1が減算され、この減算結果は、乗算器28において、所定定数(AWG)が乗算された後、その乗算結果が出力データDAとして微動コントローラ24を構成する積分補償器41の内部状態(xF2)を修整するために、微動コントローラ24にフィードバックされる。上記したように、微動コントローラ24の出力データDC1がリミッタ26の出力データDLより大きい場合には、微動コントローラ24を構成する積分補償器41の内部状態(xF2)が減少する方向でフィードバックがかかるように、出力データDAの符号が設定されているので、このフィードバックにより積分補償器41の内部状態(xF2)が減少し、微動コントローラ24の出力データDC1が小さくなる。以上説明した一連の動作は、減算器27の減算結果が零となるまで繰り返される。これにより、外部から加えられた振動や衝撃等によって生じた変位がヘッド移動機構1の微動アクチュエータ13を構成するピエゾ素子の可動範囲外となることにより発生する積分補償器41のワインドアップが抑制される。したがって、ヘッド移動機構1の微動部14を構成する磁気ヘッドの暴走を防止することができる。
【0030】一方、粗動コントローラ25において、微動コントローラ24の出力データDC1に基づいて、微動アクチュエータ13の変位を零とするように粗動アクチュエータ12を駆動するための出力データDC2が生成される。粗動コントローラ25の出力データDC2は、D/A変換器29において、アナログ変換された後、フィルタ31において、その周波数帯域が500Hz程度に制限され、制御信号SC1としてヘッド移動機構1の粗動アクチュエータ12に供給される。これにより、粗動部11を構成するキャリッジアームは、微動部14を構成するサスペンション付きの磁気ヘッドを追いかけるように制御される。
【0031】ここで、図9に、上記構成の磁気ディスク装置のヘッド移動機構1の位置決め制御装置2における実験結果の一例を示す。図9(a)はヘッド移動機構1の微動アクチュエータ13から出力される位置誤差信号Sの特性の一例、図9(b)はヘッド移動機構1の微動アクチュエータ13に供給される制御信号SC2の特性の一例である。この実験においては、時刻0からその約0.01秒後までの間に、磁気ディスク装置の筐体を叩くなどして人為的に数回衝撃が加えられている。図9(b)からも分かるように、制御信号SC2の制限は電圧換算で±30Vであるので、粗動アクチュエータ12を構成するボイスコイル・モータは、上記衝撃による微動アクチュエータ13を構成するピエゾ素子の大きな変位を吸収できない。したがって、上記衝撃が加えられることにより発生した磁気ヘッドの大きな位置誤差は、ピエゾ素子を駆動することによってすべて吸収されなければならず、微動コントローラ24は値の大きな出力データDC1(制御信号SC2の電圧に換算して±30V相当以上の値)を出力する。これにより、上記出力データDC1はリミッタ26によって±30Vに制限されるので、図9(b)から分かるように、制御信号SC2は、衝撃が加えられた直後瞬時にして、±30Vに飽和してしまう。また、今の場合、外部から加えられた衝撃によって生じた変位は微動アクチュエータ13の可動範囲外にあるので、位置決め制御装置2は当然本来の位置決め精度を維持することはできず、離散的な位置誤差データDは、図9(a)から分かるように、3μm以上の誤差を生じている。しかし、衝撃が加えられた直後から乗算器28の出力データDAに基づいて微動コントローラ24を構成する積分補償器41のワインドアップが抑制されるので、衝撃が加えられた後0.02秒経過したあたりからは、本来の位置決め精度100nm以下に復帰していることが分かる。
【0032】一方、図10は、上記構成の位置決め制御装置2において、乗算器28の出力データDAを微動コントローラ24にフィードバックせず、上記と同様の実験を行った場合の結果の一例を示している。図10(a)はヘッド移動機構1の微動アクチュエータ13から出力される位置誤差信号Sの特性の一例、図10(b)はヘッド移動機構1の微動アクチュエータ13に供給される制御信号SC2の特性の一例である。乗算器28の出力データDAを微動コントローラ24にフィードバックしないと、衝撃が加えられた直後に積分補償器41においてワインドアップが発生し、これにより、ピエゾ素子が可動範囲内に入っている間に、積分補償器41は積分した内部状態(xF2)を放出しきれないために、図10(b)から分かるように、制御信号SC2が±30Vの間で激しく変動するので、制御系が発振し、磁気ヘッドが暴走してしまう。
【0033】このように、この例の構成によれば、磁気ヘッドの暴走の原因となる微動コントローラ24を構成する積分補償器41のワインドアップを抑制するために、減算器27及び乗算器28からなるアンチ・ワインドアップ手段を設けているので、微動部14を駆動する微動アクチュエータ13の可動範囲が狭い場合でも、外部からの衝撃などに強い位置決め制御装置を提供することができる。また、この例の構成によれば、リミッタ26により飽和処理される前の出力データDC1を粗動コントローラ25による粗動アクチュエータ12の予見的な制御に使用しているので、アンチ・ワインドアップ制御を行う乗算器28の設計範囲を広くすることができ、安定余裕が大きい。
【0034】以上、この発明の実施例を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれる。例えば、上述の実施例においては、微動コントローラ24の出力データDC1を粗動コントローラ25に供給する例を示したが、これに限定されず、リミッタ26の出力データDLを粗動コントローラ25に供給するように構成しても良い。また、上述の実施例においては、乗算器28の出力データDAを微動コントローラ24を構成する積分補償器41だけに供給する例を示したが、これに限定されず、微動コントローラ24の位相補償器42を構成する乗算器49の所定定数(AF)が1に近い場合には、位相補償器42の内部状態(xF1)の修整を行うために乗算器28の出力データDAを位相補償器42に供給するように構成しても良い。
【0035】さらに、上述の実施例においては、符号反転器23、微動コントローラ24、粗動コントローラ25、リミッタ26、減算器27及び乗算器28をデジタル回路で構成する例を示したが、これに限定されず、これらをいずれもアナログ回路で構成しても良い。この場合には、A/D変換器22、D/A変換器29及び30は不要となる。また、上述の実施例においては、この発明を磁気ディスク装置のヘッド移動機構の位置決め制御装置に適用する例を示したが、これに限定されない。この発明は、粗動アクチュエータと、この粗動アクチュエータにより駆動される粗動部の一端に固定された微動アクチュエータとを協調制御することにより、微動アクチュエータの一端に取り付けられた微動部の位置決めを行う位置決め制御装置であればどのようなものにも適用することができる。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の構成によれば、微動部から供給される位置誤差信号に基づいて、微動部を位置決めするための微動制御信号を生成する微動制御手段と、微動制御信号を微動アクチュエータの可動範囲に対応した制限内になるように飽和処理して微動アクチュエータに供給する飽和処理手段と、飽和処理手段の出力信号と微動制御信号との差に基づいて、微動制御信号を補正するための補正信号を生成する補正手段とを備えているので、外部から加えられる振動や衝撃が微動部の可動範囲を越えても、振動や衝撃の影響を低減して高精度な位置決め制御をすることができる。また、この発明の別の構成によれば、微動制御信号に基づいて、粗動アクチュエータに供給するための粗動制御信号を生成する粗動制御手段を備えているので、粗動アクチュエータの予見的な制御が可能となり、補正手段を構成する乗算器の設計範囲を広くすることができ、安定余裕が大きい。




 

 


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