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原子線ホログラフィ用のホログラム板およびそれを用いた原子線ホログラフィによるパターン形成方法 - 日本電気株式会社
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発明の名称 原子線ホログラフィ用のホログラム板およびそれを用いた原子線ホログラフィによるパターン形成方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−42757(P2001−42757A)
公開日 平成13年2月16日(2001.2.16)
出願番号 特願平11−213579
出願日 平成11年7月28日(1999.7.28)
代理人 【識別番号】100082935
【弁理士】
【氏名又は名称】京本 直樹 (外2名)
【テーマコード(参考)】
2K008
【Fターム(参考)】
2K008 AA08 AA09 CC01 CC03 EE01 FF27 HH01 KK00 
発明者 藤田 淳一 / 清水 富士夫
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 支持枠とメンブレンとから構成されて,コヒーレントな原子線を用いて行なわれる原子線ホログラフィ用のホログラム板において、元絵をフーリェ変換して得られる複素透過関数の実数部における第1のしきい値以上の正値を符号化(エンコード)してなる複数の第1の通過穴(ピクセル)と、該実数部における第2のしきい値以下の負値をエンコードしてなる複数の第2のピクセルとが、全ての該第1のピクセルを通過する原子線の線量と全ての該第2のピクセルを通過する原子線の線量とが概ね等しくなるように、前記メンブレンに設けられ、前記メンブレンは前記第1のピクセルを通過する原子線に対する前記第2のピクセルを通過する原子線の位相差がπとなる電界変調手段を有することを特徴とする原子線ホログラフィ用のホログラム板。
【請求項2】 前記メンブレンの表面が保護膜により覆われていることを特徴とする請求項1記載の原子線ホログラフィ用のホログラム板。
【請求項3】 前記支持枠の底面を加熱する手段を有することを特徴とする請求項1記載の原子線ホログラフィ用のホログラム板。
【請求項4】 前記電界変調手段が前記メンブレンの表面および裏面のうちの一方にのみに設けられており、該電界変調手段が第1の電圧に印加された第1の電極と第2の電圧に印加された第2の電極とからなり、複数の第1の分岐電極が前記第1の電極に接続され、複数の第2の分岐電極が前記第2の電極に接続されており、隣接した前記第1の分岐電極と前記第2の分岐電極と間の間隔が所要の値に設定され、前記第1および第2のピクセルのうちの一方のみが前記第1の分岐電極と前記第2の分岐電極との間に設けられて、該第1および第2のピクセルのうちの一方には前記第1の電圧および前記第2の電圧と前記所要の値とで規定される電界が前記ホログラム板の表面に平行に加えられ、前記第1および第2のピクセルのうちの他方には0の値の電界が加えられていることを特徴とする請求項1,請求項2もしくは請求項3記載の原子線ホログラフィ用のホログラム板。
【請求項5】 隣接した2つの前記第1の分岐電極の間と間隔と、隣接した2つの前記第2の電極の間の間隔とがそれぞれ前記所要の値であり、前記第1の分岐電極の本数と前記第2の分岐電極の本数との差が、1もしくは−1であり、前記第1および第2のピクセルのうちの他方が、隣接した2つの前記第1の分岐電極の間(第1の空隙部)と、隣接した2つの前記第2の分岐電極の間(第2の空隙部)とに設けられていることを特徴とする請求項4記載の原子線ホログラフィ用のホログラム板。
【請求項6】 前記第1および第2の分岐電極がそれぞれ一定方向(列方向)に平行に設けられていることを特徴とする請求項5記載の原子線ホログラフィ用のホログラム板。
【請求項7】 前記第1の分岐電極は該第1の分岐電極あるいは前記第2の分岐電極に隣接し、該第2の分岐電極は該第1の分岐電極あるいは該第2の分岐電極に隣接して配置されていることを特徴とする請求項6記載の原子線ホログラフィ用のホログラム板。
【請求項8】 隣接した一対の前記第1の分岐電極と、隣接した一対の前記第2の分岐電極とが交互に配置されていることを特徴とする請求項7記載の原子線ホログラフィ用のホログラム板。
【請求項9】 前記第1および第2のピクセルのうちの他方の一部は周辺が前記第1の分岐電極に取り囲まれて設けられ、該第1および第2のピクセルのうちの他方の残部は周辺が前記第2の分岐電極に取り囲まれて設けられていることを特徴とする請求項4記載の原子線ホログラフィ用のホログラム板。
【請求項10】 前記第1および第2のピクセルは、一辺が前記所要の値からなる正方形を含んでなることを特徴とする請求項9記載の原子線ホログラフィ用のホログラム板。
【請求項11】 前記第1並びに第2のピクセルは、それぞれ前記正方形と、短辺が前記所要の値からなる長方形とからなることを特徴とする請求項10記載の原子線ホログラフィ用のホログラム板。
【請求項12】 前記第1および第2の分岐電極が、それぞれ一定方向(列方向)に平行に設けられていることを特徴とする請求項9,請求項10もしくは請求項11記載の原子線ホログラフィ用のホログラム板。
【請求項13】 前記メンブレンの膜厚が、所要膜厚からなり、前記電界変調手段が、前記メンブレンの表面および裏面のうちの一方に設けられた第1および第2の電極と、該メンブレンの表面および裏面のうちの他方に設けられた1つの第3の電極とからなり、前記第1第2および第3の電極はそれぞれ第1,第2および第3の電圧に印加され、複数の第1の分岐電極が該第1の電極に接続され、複数の第2の分岐電極が該第2の電極に接続されており、前記第1のピクセルは第1の短辺および第1の長辺を有した第1の矩形からなり,該第1のピクセルの周辺が前記第1の分岐電極と前記第3の電極とに取り囲まれて設けられ、前記第2のピクセルは第2の短辺および第2の長辺を有した第2の矩形からなり,該第2のピクセルの周辺が前記第2の分岐電極と該第3の電極とに取り囲まれて設けられており、前記第1のピクセルには、前記第1の電圧と前記第3の電圧との電位差,前記所要膜厚,前記第1の短辺の長さおよび前記第1の長辺の長さにより規定される第1の電界が、前記メンブレンの表面に垂直に加えられ、前記第2のピクセルには、前記第2の電圧と前記第3の電圧との電位差,前記所要膜厚,前記第2の短辺の長さおよび前記第2の長辺の長さにより規定される第2の電界が、前記メンブレンの表面に垂直に加えられることを特徴とする請求項1,請求項2もしくは請求項3記載の原子線ホログラフィ用のホログラム板。
【請求項14】 前記第1および第2の矩形の少なくとも一方が正方形であることを特徴とする請求項13記載の原子線ホログラフィ用のホログラム板。
【請求項15】 前記メンブレンの膜厚が、所要膜厚からなり、前記電界変調手段が、前記メンブレンの表面に設けられた1つの第1の電極と、該メンブレンの裏面に設けられた1つの第2の電極とからなり、前記第1および第2の電極はそれぞれ第1および第2の電圧に印加されており、前記第1のピクセルは第1の短辺および第1の長辺を有した第1の矩形からなり、前記第2のピクセルは第2の短辺および第2の長辺を有した第2の矩形からなり、前記メンブレンの表面において該第1および第2のピクセルの周辺は前記第1の電極に取り囲まれ、該メンブレンの裏面において該第1および第2のピクセルの周辺は前記第2の電極に取り囲まれており、前記第1のピクセルには、前記第1の電圧と前記第2の電圧との電位差,前記所要膜厚,前記第1の短辺の長さおよび前記第1の長辺の長さにより規定される第1の電界が、前記メンブレンの表面に垂直に加えられ、前記第2のピクセルには、前記第1の電圧と前記第2の電圧との電位差,前記所要膜厚,前記第2の短辺の長さおよび前記第2の長辺の長さにより規定される第2の電界が、前記メンブレンの表面に垂直に加えられることを特徴とする請求項1,請求項2もしくは請求項3記載の原子線ホログラフィ用のホログラム板。
【請求項16】 前記第1および第2の矩形の少なくとも一方が正方形であることを特徴とする請求項15記載の原子線ホログラフィ用のホログラム板。とする請求項16記載の原子線ホログラフィ用のホログラム板。
【請求項17】 放電部分により原子を励起し、ゼーマン減速器と冷却レーザと磁気光学トラップおよびトラップレーザとを用いて該原子を冷却してトラップし、さらに、該原子にトランスファレーザを照射してコヒーレントな原子線を発生し、支持枠およびメンブレンから構成されたホログラム板を通過した該原子線により基板に再生像を形成する原子線ホログラフィによるパターン形成方法において、元絵をフーリェ変換して得られる複素透過関数の実数部における第1のしきい値以上の正値をエンコードしてなる複数の第1のピクセルと、該実数部における第2のしきい値以下の負値をエンコードしてなる複数の第2のピクセルとを、全ての該第1のピクセルを通過する原子線の線量と全ての該第2のピクセルを通過する原子線の線量とが概ね等しくなるように、メンブレンに形成し、さらに、前記第1のピクセルを通過する原子線と前記第2のピクセルを通過する原子線との位相差がπとなる電界変調手段を前記メンブレンに形成し、前記ホログラム板を用いて、該ホログラム板を通過する前記原子線の0次光を消去することを特徴とする原子線ホログラフィによるパターン形成方法。
【請求項18】 前記メンブレンの表面が保護膜により覆われたホログラム板を用いることを特徴とする請求項17記載の原子線ホログラフィによるパターン形成方法。
【請求項19】 前記支持枠の底面を加熱する手段を有したホログラム板を用いることを特徴とする請求項17記載の原子線ホログラフィによるパターン形成方法。
【請求項20】 それぞれの原子の応じて、前記ゼーマン減速器と磁気光学トラップとの磁気分布をそれぞれ設定し、前記冷却レーザ並びにトラップレーザとトランスファレーザとの波長をそれぞれ設定して、それぞれの原子線を形成し、それぞれの原子線に応じて、前記第1のピクセルおよび第2のピクセルに形成される電界を設定し、同一のホログラム板を用いて、複数の種類からなる原子線により再生像を形成することを特徴とする請求項17,請求項18もしくは請求項19記載の原子線ホログラフィによるパターン形成方法。
【請求項21】 前記電界変調手段が前記メンブレンの表面および裏面のうちの一方にのみに形成され、前記電界変調手段により、前記1および第2のピクセルのうちの一方には、前記メンブレンの面に平行(横方向)に所定の電界が加えられて、該1および第2のピクセルのうちの一方を通過する前記原子線の位相がπだけ変調され、さらに、前記電界変調手段により、前記第1および第2のピクセルのうちの他方には、前記メンブレンの面に平行に0の値の電界が加えられることを特徴とする請求項17,請求項18,請求項19もしくは請求項20記載の原子線ホログラフィによるパターン形成方法。
【請求項22】 前記電界変調手段が第1および第2の電極から形成され、該第1の電極には複数の第1の分岐電極が接続され,第1の電圧に印加され、該第2の電極には複数の第2の分岐電極が接続され,第2の電圧に印加され、さらに、隣接した該第1の分岐電極と該第2の分岐電極と間の間隔が所要の値に設定され、さらに、前記1および第2のピクセルのうちの一方が、前記第1の分岐電極と前記第2の分岐電極との間に形成されて、前記原子線と前記所要の値とに応じて、前記第1の電圧と前記第2の電圧との間の電位差が設定されて、前記所定の電界が決定されることを特徴とする請求項21記載の原子線ホログラフィによるパターン形成方法。
【請求項23】 前記第1の分岐電極の本数と前記第2の分岐電極の本数との差が、1もしくは−1であり、前記第1および第2のピクセルのうちの他方の一部が、隣接した2つの前記第1の分岐電極の間(第1の空隙部)に形成され、さらに、前記第1および第2のピクセルのうちの他方の残部が、隣接した2つの前記第2の分岐電極の間(第2の空隙)に形成されていることを特徴とする請求項22記載の原子線ホログラフィによるパターン形成方法。
【請求項24】 前記第1および第2のピクセルのうちの他方の一部のピクセルの周辺が、前記第1の分岐電極に取り囲まれて形成され、さらに、前記第1および第2のピクセルのうちの他方の残部のピクセルの周辺が、前記第2の分岐電極に取り囲まれて形成されていることを特徴とする請求項22記載の原子線ホログラフィによるパターン形成方法。
【請求項25】 前記メンブレンの膜厚が所要膜厚からなり、前記第1のピクセルが第1の短辺および第1の長辺を有した第1の矩形からなり、前記第2のピクセルが第2の短辺および第2の長辺を有した第2の矩形からなり、前記電界変調手段の一部が前記メンブレンの表面に形成され、該電界変調手段の残部が該メンブレンの裏面に形成され、前記電界変調手段により、前記1のピクセルには前記メンブレンの表面に垂直に第1の電界を加え,前記第2のピクセルには該メンブレンの表面に垂直に第2の電界を加えて、該第1のピクセルと第2のピクセルとを通過するそれぞれの前記原子線の位相差をπにすることを特徴とする請求項17,請求項18,請求項19もしくは請求項20記載の原子線ホログラフィによるパターン形成方法。
【請求項26】 前記電界変調手段が、前記メンブレンの表面および裏面のうちの一方に設けられた第1および第2の電極と該メンブレンの表面および裏面のうちの他方に設けられた1つの第3の電極とからなり、該第1,第2および第3の電極はそれぞれ第1,第2および第3の電圧に印加され、複数の第1の分岐電極が該第1の電極に接続され、複数の第2の分岐電極が該第2の電極に接続されており、前記第1のピクセルの周辺が前記第1の分岐電極と前記第3の電極とに取り囲まれ、前記第2のピクセルの周辺が前記第2の分岐電極と該第3の電極とに取り囲まれており、前記第1の電界が、前記第1の電圧と前記第3の電圧との電位差,前記所要膜厚,前記第1の短辺の長さおよび前記第1の長辺の長さにより規定され、、前記第2の電界が、前記第2の電圧と前記第3の電圧との電位差,前記所要膜厚,前記第2の短辺の長さおよび前記第2の長辺の長さにより規定されることを特徴とする請求項25記載の原子線ホログラフィによるパターン形成方法。
【請求項27】 前記電界変調手段が、前記メンブレンの表面に設けられた1つの第1の電極と該メンブレンの裏面に設けられた1つの第2の電極とからなり、該第1および第2の電極にはそれぞれ第1および第2の電圧に印加され、前記メンブレンの表面において前記第1および第2のピクセルの周辺は前記第1の電極に取り囲まれ、該メンブレンの裏面において該第1および第2のピクセルの周辺は前記第2の電極に取り囲まれており、第1の電界が、前記第1の電圧と前記第2の電圧との電位差,前記所要膜厚,前記第1の短辺の長さおよび前記第1の長辺の長さにより規定され、第2の電界が、前記第1の電圧と前記第2の電圧との電位差,前記所要膜厚,前記第2の短辺の長さおよび前記第2の長辺の長さにより規定されることを特徴とする請求項25記載の原子線ホログラフィによるパターン形成方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原子線ホログラフィに用いるホログラム板の構造と、それを用いた原子線ホログラフィによるパターン形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ホログラフィを利用して微細パターンの再生像を例えば半導体基板上へ転写する技術が、注目を浴びつつある。例えば超LSI製造の分野では、ホログラフィによるパターン転写技術は、超微細リソグラフィの一手法として位置づけられている。
【0003】従来より超LSI製造に使用されるリソグラフィはステッパ・リソグラフィであり、レジストが塗布された半導体基板に対して光露光を行なってフォト・マスクのパターン転写を行なっている。このようなリソグラフィでは、その光学系に多くのレンズを用いることから複雑な調整作業が必要であり、フォト・マスクに付着した1つの「ゴミ」が転写パターンに「欠陥」を形成してしまうという致命的な欠点がある。
【0004】これに対してホログラフィによる再生像を利用したパターン転写では、複雑なレンズ系を必要とせずに実行することが可能である。また、ホログラフィでは、ホログラム板に通過穴(ピクセル)として記録されたパターン情報はホログラム板の全面に分散して設けられているため、ホログラム板に多少の物理的欠格が発生しても、再生像に致命的な欠陥を生じることは極めて少なくなる。すなわち、ホログラフィによるパターン転写技術は、「欠陥」に強いという特徴を有している。
【0005】さらに、ホログラフィによるパターン転写技術では、記録した時と同じ光学系を用いて再生像を形成する場合、収差が無くなる特徴がある。この場合、最終的なパターンの分解能は波長により決定される。縮小光学系を用いる現行のステッパ・リソグラフィではレンズ収差によりパターンの分解能が決定している。このようなことから、ホログラフィを用いるならば、ステッパ・リソグラフィに比べて、簡単な光学系を用いて理想的には波長限界での高分解能のパターン形成が可能になる。
【0006】しかしながら、「光」あるいは電子線によるホログラフィをリソグラフィに利用する場合、レジスト内での散乱等(による分解能の実質的な低下)を回避することは不可能であり、レンズ収差による影響よりは低いものの波長限界程度の高分解能は得られにくくなる。この課題を解決するために、本発明者等は、ネイチャー(Nature),第380巻,691〜694頁(1996年)、フィジカル・レビュー・レターズ(Phys.Rev.Lett.),第77巻,第5号,802〜805頁(1996年)、または、応用物理誌,第65巻,第9号,912〜918頁(1996年)において報告し、さらには、米国特許第5,838,468号明細書(1998年,11月,17日)において、以下の手法を開示した。ここでは、バイナリ・ホログラムン板を用い,(原子のド・ブロイ波である)コヒーレントな原子線を利用したインテンシティ・ホログラフィにより、基板表面に「原子」を直接の堆積して再生像(パターン)形成を行なっている(第1の従来技術)。このような原子線ホログラフィによりパターン形成は、レジスト・パターンの形成を介せずに行なうことからも画期的なパターン形成方法であり、単に、半導体装置におけるリソグラフィとしてのみ機能するものではなく、他の産業分野での微細パターンの形成あるいは微細加工用のパターンの形成などに広く適用できる方法である。
【0007】原子線ホログラフィの概略図である図15(a)と、Ne原子のエネルギー準位の変化の図である図15(b)とを参照して、本発明者等による上記報告類の概要を説明する。
【0008】Ne原子は、放電部分451によるグロー放電により最低励起状態(1s5 )のNe原子(Ne* )として放出され、偏向器452によりイオン等が除去される。これらのNe原子は、ゼーマン減速器453により第1段の冷却が行なわれる。続いて、1S5 状態と2p9 状態との間の遷移を利用して、冷却レーザ455の照射によるフォトンとの衝突により、Ne* は減速して第2段の冷却が行なわれる。さらに、磁気光学トラップ454による4重極磁場と上記冷却レーザ455を含めたこれと同一波長の(4方向からの)トラップレーザ456とによりNe* はトランプされる。この状態でトランスファレーザ457が照射されて、Ne* はトラップ状態から開放されて、重力場を自由落下するNe原子線になる。このトラップ状態からの開放により、Ne* は、1s5 状態から2p5 状態に遷移し,さらにフォトンの放出して、1s3 状態になる。
【0009】所要の通過穴(ピクセル)が形成されたホログラム板402を通過した原子線Ne* 1s3 は、基板421に(Ne原子が堆積してなる)再生像421のパターンを形成する。同時に、(再生像の)虚像422とホログラム板402の(支持枠に設けられた)窓の形状に対応したホログラム・シャドー423とが形成される。この場合のホログラム・シャドー423は原子線の非回折光からなり、特に「0次光」と称される。この0次光であるホログラム・シャドー423は、光軸が基板と交差する部分を含めてその近傍に形成される。
【0010】ホログラム板402に設けられるピクセルは、次のようにして設定される。まず、元絵をフーリェ変換して複素透過関数g(x,y)が得られる。このg(x,y)の実数部が、g(x,y)とこれの共役複素透過関数g* (x,y)との和の1/2から得られる。この実数部におけるしきい値(正数)以上の正値が(100%通過と0%通過とに)2値化されて、ホログラム板402(の窓)に設けられたメンブレンにピクセルとして設けられる。
【0011】上記方法によるNe原子線の発生時のドブロイ波長は約7nmとなり、基板到達時には加速されて0.1nmオーダの波長になる。このことから、上記ホログラフィによるパターン形成では、0.1nm程度(オングストローム・オーダ)の高分解能が得られる。また、この原子線ホログラフィは、Ne原子線のみに適用されるものではなく、上記ゼーマン減衰器と磁気光学トラップとのそれぞれの磁気分布,上記冷却レーザ並びにトラップ・レーザとトランスファレーザとのそれぞれの波数を適宜選択制定することにより、例えばNa,Al,Si,Ni,Ag等の金属原子、Cl,F等のハロゲン原子、B,P,As等の原子、その他の原子など、Ne以外の原子の原子線を得ることが可能である。
【0012】さらに本発明者等は、特許公報第2830849号(1998年9月25日)に上記方法とは相違した(フェイズ・ホログラフィを利用した)原子線ホログラフィの手法(第2の従来技術)を開示した。この原子線ホログラフィでは、ホログラム板の表面に1次元もしくは2次元に規則的にピクセルを配置し、一対の電極もしくは1本の配線をそれぞれのピクセルに独立に設けて、(透過関数による情報をピクセル位置に置き換えるのではなく)ホログラム板のそれぞれの電極もしくは配線に接続さたCPUを元絵にもとずいて駆動して、それぞれのピクセルの位置に対応した電界もしくは磁界を加えることにより、基板表面に原子線をフォーカスさせて再生像を形成する。
【0013】この方法は2次のシュタルク(Stark)効果による電界変調もしくは磁界変調を利用したものであり、原子線の位相が電界もしくは磁界の2乗で変調されて再生像が形成される。この手法を用いるならば、原理的には0次光の形成が回避される。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】インテンシティ・ホログラフィによる上記第1の従来技術は、ホログラム板の構成自体は簡潔であるが、0次光の発生を回避することが不可能である。このため、基板表面における光軸に交差する近辺への再生像を形成を回避しなければならない。しかしながら、通常、基板表面における光軸に交差する近辺は、最も高精度,高密度のパターンを形成したい場所である。
【0015】一方、フェイズ・ホログラフィによる上記第2の従来技術によれば、CPUを介してホログラム板に伝達する電気情報をさらに加工することにより、0次光を発生することなく再生像を得ることが原理的には可能になる。ところが、これに用いるホログラム板では、個々のスリット・アレイに属する電極対をそれぞれ独立して設ける必要があることから、ホログラム板の電極の形成が極めて複雑になる。
【0016】したがって本発明の目的は、(バイナリ・ホログラフィであり,インテンシティ・ホログラフィである原子線ホログラフィに用いるホログラム板において)0次光の消去が可能な手段を有したホログラム板を提供し、そのホログラム板を用いた原子線ホログラフィによるパターン形成方法を提供することにある。さらに本発明の目的は、フェイズ・ホログラフィに供するホログラム板より簡単な構造の電極から構成された電界変調手段を有するホログラム板を提供し、それを用いた原子線ホログラフィによりパターン形成方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明の原子線ホログラフィ用のホログラム板の特徴は、支持枠とメンブレンとから構成されて,コヒーレントな原子線を用いて行なわれる原子線ホログラフィ用のホログラム板において、元絵をフーリェ変換して得られる複素透過関数の実数部における第1のしきい値以上の正値を符号化(エンコード)してなる複数の第1のピクセルと、この実数部における第2のしきい値以下の負値をエンコードしてなる複数の第2のピクセルとが、全てのこれらの第1のピクセルを通過する原子線の線量と全てのこれらの第2のピクセルを通過する原子線の線量とが概ね等しくなるように、上記メンブレンに設けられ、上記メンブレンは上記第1のピクセルを通過する原子線に対する上記第2のピクセルを通過する原子線の位相差がπとなる電界変調手段を有することにある。
【0018】好ましくは、上記メンブレンの表面が保護膜により覆われている。あるいは、上記支持枠の底面を加熱する手段を有している。
【0019】本発明の原子線ホログラフィ用のホログラム板の好ましい第1の態様は、上記電界変調手段が上記メンブレンの表面および裏面のうちの一方にのみに設けられており、この電界変調手段が第1の電圧に印加された第1の電極と第2の電圧に印加された第2の電極とからなり、複数の第1の分岐電極が上記第1の電極に接続され、複数の第2の分岐電極が上記第2の電極に接続されており、隣接した上記第1の分岐電極と上記第2の分岐電極と間の間隔が所要の値に設定され、上記第1および第2のピクセルのうちの一方のみが上記第1の分岐電極と上記第2の分岐電極との間に設けられて、これらの第1および第2のピクセルのうちの一方には上記第1の電圧および上記第2の電圧と上記所要の値とで規定される電界が上記ホログラム板の表面に平行に加えられ、上記第1および第2のピクセルのうちの他方には0の値の電界が加えられている。
【0020】本発明の原子線ホログラフィ用のホログラム板の好ましい第2の態様は、上記メンブレンの膜厚が所要膜厚からなり、上記電界変調手段が、上記メンブレンの表面および裏面のうちの一方に設けられた第1および第2の電極と、このメンブレンの表面および裏面のうちの他方に設けられた1つの第3の電極とからなり、上記第1,第2および第3の電極はそれぞれ第1,第2および第3の電圧に印加され、複数の第1の分岐電極がこの第1の電極に接続され、複数の第2の分岐電極がこの第2の電極に接続されており、上記第1のピクセルは第1の短辺および第1の長辺を有した第1の矩形からなり,これらの第1のピクセルの周辺が上記第1の分岐電極と上記第3の電極とに取り囲まれて設けられ、上記第2のピクセルは第2の短辺第2の長辺を有した第2の矩形からなり,これらの第2のピクセルの周辺が上記第2の分岐電極とこの第3の電極とに取り囲まれて設けられており、上記第1のピクセルには、上記第1の電圧と第3の電圧との電位差,上記所要膜厚,上記第1の短辺の長さおよび上記第1の長辺の長さにより規定される第1の電界が上記メンブレンの表面に垂直に加えられ、上記第2のピクセルには、上記第2の電圧と上記第3の電圧との電位差,上記所要膜厚,上記第2ピクセルの短辺の長さおよび上記第1の長辺の長さにより規定される第2の電界が、上記メンブレンの表面に垂直に加えられている。
【0021】本発明の原子線ホログラフィ用のホログラム板の好ましい第3の態様は、上記メンブレンの膜厚が所要膜厚からなり、上記電界変調手段が、上記メンブレンの表面に設けられた1つの第1の電極と、このメンブレンの裏面に設けられた1つの第2の電極とからなり、上記第1および第2の電極はそれぞれ第1および第2の電圧に印加されており、上記第1のピクセルは第1の短辺を有した矩形からなり、上記第2のピクセルは第2の短辺を有した矩形からなり、上記メンブレンの表面においてこれらの第1および第2のピクセルの周辺は上記第1の電極に取り囲まれ、このメンブレンの裏面においてこれらの第1および第2のピクセルの周辺は上記第2の電極に取り囲まれており、上記第1のピクセルには、上記第1の電圧と上記第2の電圧との電位差,上記所要膜厚,上記第1の短辺の長さおよび上記第1の長辺の長さにより規定される第1の電界が、上記メンブレンの表面に垂直に加えられ、上記第2のピクセルには、上記第1の電圧と上記第2の電圧との電位差,上記所要膜厚,上記第2の短辺の長さおよび上記第2の長辺の長さにより規定される第2の電界が、上記メンブレンの表面に垂直に加えられている。
【0022】本発明の原子線ホログラフィによるパターン形成方法の特徴は、放電部分により原子を励起し、ゼーマン減速器と冷却レーザと磁気光学トラップおよびトラップレーザとを用いてこの原子を冷却してトラップし、さらに、この原子にトランスファレーザを照射してコヒーレントな原子線を発生し、支持枠およびメンブレンから構成されたホログラム板を通過したこの原子線により基板に再生像を形成する原子線ホログラフィによるパターン形成方法において、元絵をフーリェ変換して得られる複素透過関数の実数部における第1のしきい値以上の正値をエンコードしてなる複数の第1のピクセルと、この実数部における第2のしきい値以下の負値をエンコードしてなる複数の第2のピクセルとを、全てのこれらの第1のピクセルを通過する原子線の線量と全てのこれらの第2のピクセルを通過する原子線の線量とが概ね等しくなるように、メンブレンに形成し、さらに、上記第1のピクセルを通過する原子線と上記第2のピクセルを通過する原子線との位相差がπとなる電界変調手段を上記メンブレンに形成し、上記ホログラム板を用いて、このホログラム板を通過する上記原子線の0次光を消去する点にある。
【0023】好ましくは、上記メンブレンの表面が保護膜により覆われたホログラム板が用いられる。あるいは、上記支持枠の底面を加熱する手段を有したホログラム板が用いられる。
【0024】さらに好ましくは、それぞれの原子の応じて、上記ゼーマン減速器と磁気光学トラップとの磁気分布をそれぞれ設定し、上記冷却レーザ並びにトラップレーザとトランスファレーザとの波長をそれぞれ設定して、それぞれの原子線を形成し、それぞれの原子線に応じて、上記第1のピクセルおよび第2のピクセルに形成される電界を設定し、同一のホログラム板を用いて、複数の種類からなる原子線により再生像を形成する。
【0025】本発明の原子線ホログラフィによるパターン形成方法の好ましい第1の態様は、上記電界変調手段が上記メンブレンの表面および裏面のうちの一方にのみに形成され、上記電界変調手段により、上記1および第2のピクセルのうちの一方には、上記メンブレンの面に平行(横方向)に所定の電界が加えられて、これらの1および第2のピクセルのうちの一方を通過する上記原子線の位相がπだけ変調され、さらに、上記電界変調手段により、上記第1および第2のピクセルのうちの他方には、上記メンブレンの面に平行に0の値の電界が加えられる。
【0026】上記第1の態様において、好ましくは、上記電界変調手段が第1および第2の電極から形成され、この第1の電極には複数の第1の分岐電極が接続され,第1の電圧に印加され、この第2の電極には複数の第2の分岐電極が接続され,第2の電圧に印加され、さらに、隣接したこの第1の分岐電極とこの第2の分岐電極と間の間隔が所要の値に設定され、さらに、上記1および第2のピクセルのうちの一方が、上記第1の分岐電極と上記第2の分岐電極との間に形成されて、上記原子線と上記所要の値とに応じて、上記第1の電圧と上記第2の電圧との間の電位差が設定されて、上記所定の電界が決定される。
【0027】本発明の原子線ホログラフィによるパターン形成方法の好ましい第2の態様は、上記メンブレンの膜厚が所要膜厚からなり、上記第1のピクセルが第1の短辺と第2の長辺とを有した第1の矩形からなり、上記第2のピクセルが第2の短辺と第2の長辺とを有した第2の矩形からなり、上記電界変調手段の一部が上記メンブレンの表面に形成され、この電界変調手段の残部がこのメンブレンの裏面に形成され、上記電界変調手段により、上記1のピクセルには上記メンブレンの表面に垂直に第1の電界を加え,上記第2のピクセルにはこのメンブレンの表面に垂直に第2の電界を加えて、これらの第1のピクセルと第2のピクセルとを通過するそれぞれの上記原子線の位相差をπにする。
【0028】上記第2の態様において、好ましくは、上記電界変調手段が、上記メンブレンの表面および裏面のうちの一方に設けられた第1および第2の電極とこのメンブレンの表面および裏面のうちの他方に設けられた1つの第3の電極とからなり、この第1,第2および第3の電極はそれぞれ第1,第2および第3の電圧に印加され、複数の第1の分岐電極がこの第1の電極に接続され、複数の第2の分岐電極がこの第2の電極に接続されており、上記第1のピクセルの周辺が上記第1の分岐電極と上記第3の電極とに取り囲まれ、上記第2のピクセルの周辺が上記第2の分岐電極とこの第3の電極とに取り囲まれており、上記第1および第2の分岐電極のうちの一方に取り囲まれたピクセルには、上記第1の電圧と上記第3の電圧との電位差,上記所要膜厚,上記第1の短辺の長さおよび上記第1の長辺の長さにより規定された第1の電界が上記メンブレンの表面に垂直に加えられ、上記第2のピクセルには、上記第2の電圧と上記第3の電圧との電位差,上記所要膜厚,上記第2の短辺の長さおよび上記第2の長辺の長さにより規定される第2の電界が、上記メンブレンの表面に垂直に加えられる。
【0029】上記第2の態様において、さらに好ましくは、上記電界変調手段が、上記メンブレンの表面に設けられた1つの第1の電極とこのメンブレンの裏面に設けられた1つの第2の電極とからなり、この第1および第2の電極にはそれぞれ第1および第2の電圧に印加され、上記メンブレンの表面において上記第1および第2のピクセルの周辺は上記第1の電極に取り囲まれ、このメンブレンの裏面においてこれらの第1および第2のピクセルの周辺は上記第2の電極に取り囲まれており、上記第1のピクセルには、上記第1の電圧と上記第2の電圧との電位差,上記所要膜厚,上記第1の短辺の長さおよび上記第1の長辺の長さにより規定される第1の電界が、上記メンブレンの凹面に垂直に加えられ、上記第2のピクセルには、上記第1の電圧と上記第2の電極との電位差,上記所要膜厚,上記第2の短辺の長さおよび上記第2の長辺の長さにより規定される第2の電界が、上記メンブレンの表面に垂直に加えられる。
【0030】
【発明の実施の形態】まず、具体的な本発明の実施の形態の説明を行なうに先だって、本発明の作用原理を説明する。
【0031】バイナリ・ホログラム板を用いるインテンンシティ・ホログラフィでは、上述したように、複素透過関数の実数部における(第1の)しきい値(正数)以上の正値に対応して、ホログラム板の表面に(第1の)ピクセルが設けられている。この場合、ホログラム板の表面に位相情報が付加する手段を有しないことから、ホログラム板表面の実平面上に複素透過関数の実数部の負値に対応する(負の値の振幅を有した透過関数に対応する)ピクセルを物理的に表現することは不可能になる。
【0032】上記第1の従来技術において、0次光が発生する原因は、複素透過関数における上記負値を無視してホログラム板表面に(第1の)ピクセルのみを設けたためである。0次光は、(第1の)ピクセルを透過する(正値に対応した)透過原子線の非回折光により形成される。一方、上記第2の従来技術では、上述した(ピクセルに対応する)スリット・アレイに付随する電極対等を利用して、それぞれのスリットを透過するコヒーレントな原子線をそれぞれ位相変調することから、本来負値に対応した非実体的な原子線も位相がπだけ変調されて実体化された第2の透過原子線に変換することが可能となる。結果としてこのような第2の透過原子線が形成される場合、(正値に対応した)第1の透過原子線の非干渉光と(上記負値に対応した)第2の透過原子線の非干渉光とが基板表面において干渉し、0次光が消去さることになる。
【0033】本発明では、インテンシティ・ホログラフィのホログラム板において、球面収差に対する補正を加味した複素透過関数の実数部における正数からなるしきい値(第1のしきい値)以上の正値に対応して、ホログラム板の表面には第1のピクセルが設けられる。さらに、この実数部における負数からなるしきい値(第2のしきい値)以下の負値に対応して、ホログラム板の表面に(2値化された)第2のピクセルが設けられる。このとき、第1のピクセルの開口面積の和が概ね第2のピクセルの開口面積の和に等しいように設定される。
【0034】さらに、第1,第2のピクセルにはそれぞれ電界変調手段が設けられる。このとき、全ての第1のピクセルにおいて変調される位相の値が等しくなり,全ての第2のピクセルにおいて変調される位相が等しくなり、さらに、第1のピクセルと第2のピクセルとをそれぞれ通過して変調された第1および第2の透過原子線の位相差がπになるように、電界変調手段が設定される。
【0035】その結果、第1のピクセルを通過した第1の透過原子線の非回折光と、第2のピクセルを通過した第2の透過原子線の非回折光との間の干渉により、透過原子線の0次光としてのホログラム・シャドーの形成は回避されることになる。
【0036】次に、図面を参照して本発明を説明する。
【0037】本発明の第1の実施の形態によるホログラム板では、ホログラム板の表面および裏面のうちの一方に設けられた電界変調手段により、第1のピクセルにはホログラム板の表面(あるいは裏面)に平行な方向に0の値の電界が加えられ、第2のピクセルにはホログラム板の表面(あるいは裏面)に平行な方向に位相変調がπになる値の電界が加えられる。電界変調手段は一対の電極(第1,第2の電極)から構成されており、第1,第2の電極にはそれぞれ複数の第1,第2の分岐電極が接続されている。
【0038】まず、ホログラム板の主要部の平面模式図である図1を参照して、本発明の本第1の実施の形態の第1の実施例のホログラム板の構成の概要を説明する。図1において、理解を容易にするために、第2のピクセルには紙面に対して斜め左下りの対角線を記してある。
【0039】本第1の実施例のホログラム板102aは、シリコン単結晶板が加工されてなる支持枠と、支持枠の表面に設けられたメンブレン131aとからなる。メンブレン102aの膜厚は、例えば100nmである(が、これに限定されるものではない)。このメンブレン102aは、例えば窒化シリコン膜のような絶縁膜、あるいは例えば酸化シリコン膜/窒化シリコン膜/酸化シリコン膜のような積層絶縁膜からなる。
【0040】第1の電極103a,第2の電極104aはそれぞれホログラム板102a(メンブレン131a)の表面にそれぞれ隔てられてX方向に平行に設けられている。ホログラム板102a(メンブレン131a)の表面にY方向に平行に設けられた例えば複数の第1の分岐電極103aaは電極103aに櫛形に接続され、ホログラム板102a(メンブレン131a)の表面にY方向に平行に設けられた例えば複数の第2の分岐電極104aaは電極104aに櫛形に接続されている。分岐電極103aaの本数と分岐電極104aaの本数との差は±1本であり、X方向の端部の一方を除いて2本の分岐電極103aaと2本の分岐電極104aaとが交互に配置されている。
【0041】電極103a,電極104a,分岐電極103aaおよび分岐電極104aaは、EBリソグラフィを用いたリフトオフにより、例えばそれぞれ白金から形成されている。なお、本第1の実施例では電極103a,電極104a,分岐電極103aaおよび分岐電極104aaをホログラム板102a(メンブレン131a)の表面に設けたが、これに限定されるものではなく、電極103a,電極104a,分岐電極103aaおよび分岐電極104aaをホログラム板102a(メンブレン131a)の裏面に設けてもよい。
【0042】ピクセル107aは隣接した2本の分岐電極103aaに挟まれた第1の空隙部と隣接した2本の分岐電極104aaに挟まれた第2の空隙部とに設けられ、ピクセル108aは隣接した分岐電極103aaと分岐電極104aaとに挟まれた第3の空隙部に設けられている。第1の空隙部の個数と第2の空隙部の個数との和は、第3の空隙部の個数に等しくなっている。ピクセル107a,108aは、EBリソグラフィを用いたメンブレン131aの異方性エッチングにより形成される。
【0043】分岐電極103aa,104aaの線幅は例えば1.0μm程度であり、第1,第2および第3の空隙部の幅はそれぞれ例えば1.0μm程度(=所要の値)である。電極103aと電極104aとの間の電位差が所要の電位差になっている。ピクセル107aには、ボログラム板102aの表面に平行に0V/cmの電界が加えられている。ピクセル108aには、ホログラム板102aの表面(のX方向)に平行に、分岐電極103aaと分岐電極104aaとの間隔と所要の電位差とにより決定される所要の値の電界が加えられる。所要の値は原子線を構成する「原子」に依存し、ピクセル107aを透過する原子線の位相の電界変動は0であり,ピクセル108aを透過する原子線の位相の電界変動はπになっている。すなわち、本第1の実施例では、X方向に0,π,0,……,πとなるように空隙部が設定されている。
【0044】ピクセル107aは、上述した(球面収差を加味した)複素透過関数の実数部における第1のしきい値以上の正値に対応した位置と、上記分岐電極103a,104aにより規定された上記第1,第2の空隙部による位置の制約との論理積から決定される。したがって、本第1の実施例におけるピクセル107aが設けられる個数(あるいはピクセル107aの開口面積の和)が上記第1の従来技術におけるピクセルの個数(あるいは開口面積の和)の約1/4程度(の残存率)になる。同様に、ピクセル108aも、複素透過関数の実数部における第2のしきい値以下の負値に対応した位置と、分岐電極103a,104aの存在による上記第3の空隙部による位置の制約との論理積から決定されて、(最大限の第2のピクセルの)約1/4程度が実体化して設けられることになる。なお、図1において、ピクセル107a,108aを1μm□の正方形として示したが、ピクセル107a,108aの形状はこれに限定されるものではなく、本第1の実施例では、X方向に短辺が設けられ、これらの短辺が1μm以下の矩形であればよい。
【0045】次に、元絵の概略図である図2(a)と、第1,第2のピクセルの配置を示す部分拡大した平面模式図である図2(b)と、再生像の模式図である図3とを参照して、本第1の実施例をNe原子線に適用した場合の適用例による原子線ホログラフィによるパターン形成方法を説明する。なお、図2(a)において、第1の電極103a,第2の電極104a,第1の分岐電極103aaおよび第2の分岐電極104aaの図示は省略してあるが、第1の分岐電極,第2の分岐電極の線幅は1.0μm程度であり、第1の分岐電極同志の間隔,第2の分岐電極同志の間隔および第1の分岐電極と第2の分岐電極との間隔はそれぞれ1.0μm程度である。
【0046】「F」と「J」とからなる元絵101aを含めて512×512に分割し,それに対応した複素透過関数により形成される上記位置と上記論理積とにより、第1のピクセル107a,第2のピクセル108aが配置される。元絵101aにおける「F」と「J」との間の間隔は、1/2次ずれた再生像との間隔に対応して配置されている。第1,第2の分岐電極は、それぞれ129本,128本ずつ設けられている。2本の第1の分岐電極の間および2本の第2の分岐電極の間に設けられた第1のピクセル107aは、一辺が1.0μmの正方形のものと、X方向に1.0μmの短辺を有した矩形とからなる。第1の分岐電極と第2の分岐電極との間に設けられた第2のピクセル108aも、一辺が1.0μmの正方形のものと、X方向に1.0μmの短辺を有した矩形とからなる〔図2(a),(b)〕。
【0047】第1の分岐電極103aaと第2の分岐電極104aaとの間の所定の電位差は1.0V程度であり、ピクセル108aにはホログラム板102aの表面のX方向に平行に104 V/cm程度の電界が加えられる。その結果、Ne原子線の場合、複素透過関数の実数部の負値に対応した原子線の位相は変調されずに、複素透過関数の実数部の負値に対応した原子線の位相のみがπだけ電界変調されることになる。ホログラム板102aのピクセル107a,108aの配置に対応して、電界変調されるNe原子線の位相差は、例えば、(ホログラム板102aの表面のX方向に)……,0,π,0,π,…,π,……となる〔図2(b)〕。
【0048】ホログラム板402の代りにホログラム板102aを用いて、上記第1の従来技術と同様の方法により、Neの原子線によるパターンが以下のとおりに形成される。
【0049】Ne原子は、放電部分によるグロー放電により最低励起状態(1s5 )のNe原子(Ne* )として放出され、偏向器によりイオン等が除去される。これらのNe原子は、ゼーマン減速器により第1段の冷却が行なわれる。ゼーマン減速器の出口でのNe原子の速度は数十m/secである。続いて、1S5 状態と2p9 状態との間の遷移を利用して、冷却レーザの照射によるフォトンとの衝突により、Ne* は減速して第2段の冷却が行なわれる。さらに、磁気光学トラップによる4重極磁場と上記冷却レーザを含めたこれと同一波長の(4方向からの)トラップレーザとによりNe* はトランプされて直径50μm以下の原子雲の状態になり、Ne原子の温度は50μK程度になる。この状態でトランスファレーザが照射されて、Ne* はトラップ状態から開放されて、重力場を自由落下するNe原子線になる。上記冷却レーザおよびトララップレーザは、例えばHe−Neレーザからなり、波長は620nmである。トランスファレーザの波長は598nmである。このトラップ状態からの開放により、Ne* は、1s5 状態から2p5 状態に遷移し,さらにフォトンの放出して、1s3 状態になる。
【0050】この状態で自由落下したNe* 原子線はホログラム板102aのピクセル107a,108aを通過して、基板120aに到達する。これにより、 基板120aの表面に、Ne* 原子線による1次の再生像121aと、±1/4次の再生像121aaと、±1/2次のホログラム・シャドー123aとが得られる。本第1の実施例の本適用例では、複素透過関数に球面収差補正を取り込んでいることから、図示は省略するが、デフォーカスされた虚像が(極めて薄く)形成される。
【0051】この方法によるNe原子線の発生時のドブロイ波長は約7nmとなり、基板120a到達時には加速されて0.1nmオーダの波長になる。このことから、上記ホログラフィによるパターン形成では、0.1nm程度(オングストローム・オーダ)の高分解能が得られる。基板120aには、荷電粒子検出機能が設けられている〔図3〕。
【0052】本第1の実施例の適用例では、上記第1の従来技術において発生した0次のホログラム・シャドー(0次光)423の発生は回避される。その結果、本適用例よれば、光軸が基板に直交する部分を含めてその近傍に再生像を形成するように元絵を設定することが可能になる。
【0053】0次光の発生が回避されるのは、(複素透過関数の実数部の負値に対応して横方向に104 V/cmの電界が加えられた第2のピクセル108aを通過することにより,πだけ位相が変調されて,実体化された)第2の透過原子線が存在するためである。この第2の透過原子線と、位相変調を受けずに第1のピクセル107aを透過した第1の透過原子線との干渉により、0次光が消滅する。明確な姿態を有して上記ホログラム・シャドー123aが形成されるのは、上記第1,第2,第3の空隙部の配置が、規則的に行なわれているためである。また、再生像121aaが形成されるのも、第1,第2,第3の空隙部がそれぞれY方向に平行に規則的に設けられているためである。
【0054】本第1の実施例の上記適用例は本第1の実施例をNeの原子線に適用したものであるが、本第1の実施例はこれに限定されるものではない。本第1の実施例では、「原子」の種類に応じてゼーマン減速器と磁気光学トラップとの磁気分布をそれぞれ設定し,冷却レーザ並びにトラップレーザとトランスファレーザとの波長をそれぞれ設定し、さらに、所要の値の電界を設定するこのが容易である。例えば基板をシリコン基板として、Alによる原子線を採用するならば、オングストローム・オーダーのギャップを有した極微細パターンからなる1電子トランジスタ(SET;single−electron−transistor)の形成が容易になる。また、Feの原子線によるプラスチック・フィルムからなる基板の表面へのパターン形成により、超高密度の磁気記憶装置を形成することもできる。この他、(基板を適宜選択して)他の金属原子,あるいは非金属原子によるパターン形成も容易である。さらには、同じホログラム板を採用して、複数種類の原子からなるパターン形成も可能になる。
【0055】本第1の実施例によるホログラム板102aを用い,長時間費やしてパターン形成を行なう場合、「原子」がメンブレン131aの表面に付着し、分岐電極103aaと分岐電極104aaとの間の短絡,ホログラム板102a表面のチャージ・アップ,分岐電極103aa等の腐食などが発生することがある。ホログラム板の断面模式図である図4(a),(b)は、これらを回避する手段を説明するための図である。
【0056】ホログラム板102aを構成するシリコン単結晶板からなる支持枠132の底面を例えばヒータ133等の加熱手段により加熱しておくならば、(分岐電極103aa,104aaの表面を含めて)メンブレン131aの表面に付着する「原子」は、メンブレン131aの表面において、(熱伝導による)熱エネルギーを受けて運動エネルギーが増大され、メンブレン131a表面からこれらの「原子」が解離されやすくなる〔図4(a)〕。この加熱手段により、メンブレン131aの底面を直接に加熱することは、回避することが好ましい。
【0057】また、分岐電極103aa,104aaの表面を含めてメンブレン131aの表面を保護膜134で覆っておくならば、分岐電極103aa,104aaの短絡等の回避が可能になる〔図4(b)〕。さらには、上記加熱手段とこの保護膜134の設置とを併用してもよい。
【0058】本第1の実施の形態は上記第1の実施例に限定されるものではない。上記第1の実施例によるホログラム板では、例えば、第1の空隙部,第3の空隙部,第2の空隙部…の順に第1〜第3の空隙部が規則的に配置されていた。本第1の実施の形態の第2の実施例によるホログラム板では、第1〜第3の空隙部の配置(第1,第2の分岐電極の配置)がランダムになっている。
【0059】まず、ホログラム板の主要部の平面模式図である図5を参照して、本発明の本第1の実施の形態の第2の実施例のホログラム板の構成の概要を説明する。図5においても、理解を容易にするために、第2のピクセルには紙面に対して斜め左下りの対角線を記してある。
【0060】本第2の実施例のホログラム板102bは、シリコン単結晶板が加工されてなる支持枠と、支持枠の表面に設けられたメンブレン131bとからなる。メンブレン102bの膜厚は、例えば100nmである(が、これに限定されるものではない)。
【0061】第1の電極103b,第2の電極104bはそれぞれホログラム板102b(メンブレン131b)の表面にそれぞれ隔てられてX方向に平行に設けられている。ホログラム板102b(メンブレン131b)の表面にY方向に平行に設けられた例えば複数の第1の分岐電極103baは電極103bに櫛形に接続され、ホログラム板102b(メンブレン131b)の表面にY方向に平行に設けられた例えば複数の第2の分岐電極104baは電極104bに櫛形に接続されている。本第2の実施例では、上記第1の実施例と相違して、分岐電極103ba,分岐電極104baの配置がランダムである。しかしながら、2本の分岐電極103baに挟まれた第1の空隙部の個数と2本の分岐電極104baに挟まれた第2の空隙部の個数との和は、分岐電極103baおよび分岐電極104baに挟まれた第3の空隙部の個数に等しくなっている。ピクセル107bは第1の空隙部と第2の空隙部とに設けられ、ピクセル108bは第3の空隙部に設けられている。
【0062】なお、本第2の実施例でも電極103b,電極104b,分岐電極103baおよび分岐電極104baをホログラム板102b(メンブレン131b)の表面に設けたが、これに限定されるものではなく、電極103b,電極104b,分岐電極103baおよび分岐電極104baをホログラム板102b(メンブレン131b)の裏面に設けてもよい。
【0063】分岐電極103ba,104baの線幅は例えば1.0μm程度であり、第1,第2および第3の空隙部の幅はそれぞれ例えば1.0μm程度(=所要の値)である。電極103bと電極104bとの間の電位差が所要の電位差になっている。ピクセル107bには、ボログラム板102bの表面に平行に0V/cmの電界が加えられている。ピクセル108bには、ホログラム板102bの表面(のX方向)に平行に、分岐電極103baと分岐電極104baとの間隔と所要の電位差とにより決定される所要の値の電界が加えられる。所要の値は原子線を構成する「原子」に依存し、ピクセル107bを透過する原子線の位相の電界変動は0であり,ピクセル108bを透過する原子線の位相の電界変動はπになっている。すなわち、本第2の実施例では、例えば、X方向に……,π,π,0,π,π,π,π,0,0,0,0,0,π,π,0,π,0,π,π,……となるように空隙部が設定されている。
【0064】ピクセル107bは、上述した(球面収差を加味した)複素透過関数の実数部における第1のしきい値以上の正値に対応した位置と、上記分岐電極103b,104bにより規定された上記第1,第2の空隙部による位置の制約との論理積から決定される。同様に、ピクセル108bも、複素透過関数の実数部における第2のしきい値以下の負値に対応した位置と、分岐電極103b,104bの存在による上記第3の空隙部による位置の制約との論理積から決定される。なお、図5において、ピクセル107b,108bを1μm□の正方形として示したが、ピクセル107b,108bの形状もこれに限定されるものではなく、本第2の実施例では、X方向に短辺が設けられ、これらの短辺が1μm以下の矩形であればよい。
【0065】本第2の実施例によるホログラム板102bも、ホログラム板102bを構成するシリコン単結晶板からなる支持枠の底面に加熱手段を設けることが可能であり、さらには、分岐電極103ba,104baの表面を含めてメンブレン131bの表面に保護膜を設けておいてもよい。
【0066】次に、元絵の概略図である図6(a)と、第1,第2のピクセルの配置を示す部分拡大した平面模式図である図6(b)と、再生像の模式図である図7とを参照して、本第2の実施例をNe原子線に適用した場合の適用例による原子線ホログラフィによるパターン形成方法を説明する。なお、図6(a)において、第1の電極103b,第2の電極104b,第1の分岐電極103baおよび第2の分岐電極104baの図示は省略してあるが、第1の分岐電極,第2の分岐電極の線幅は1.0μm程度であり、第1,第2および第3の空隙部の幅がそれぞれ1.0μm程度である。
【0067】「F」と「J」とからなる元絵101bを含めて512×512に分割し,それに対応した複素透過関数により形成される上記位置と上記論理積とにより、第1のピクセル107b,第2のピクセル108bが配置される。元絵101bにおける「F」と「J」との間の間隔も、1/2次ずれた再生像との間隔に対応して配置されている。第1,第2の空隙部に設けられた第1のピクセル107bは、一辺が1.0μmの正方形のものと、X方向に1.0μmの短辺を有した矩形とからなる。第3の空隙部に設けられた第2のピクセル108bも、一辺が1.0μmの正方形のものと、X方向に1.0μmの短辺を有した矩形とからなる〔図6(a),(b)〕。
【0068】第1の分岐電極103baと第2の分岐電極104baとの間の所定の電位差は1.0V程度であり、ピクセル108bにはホログラム板102bの表面のX方向に平行に104 V/cm程度の電界が加えられる。その結果、Ne原子線の場合、複素透過関数の実数部の負値に対応した原子線の位相は変調されずに、複素透過関数の実数部の負値に対応した原子線の位相のみがπだけ電界変調されることになる。ホログラム板102bのピクセル107b,108bの配置に対応して、電界変調されるNe原子線の位相差は、例えば、(ホログラム板102bの表面のX方向に)π,π,0,π,π,π,π,0,0,0,0,0,0,π,π,π,0,π,π,0,π,π,0,0,…となる〔図6(b)〕。
【0069】ホログラム板402の代りにホログラム板102bを用いて、上記第1の実施例と同様のパターン形成方法を用いるならば、基板120bの表面に、Ne* 原子線による1次の再生像121bと、±1/4次の再生像121baと、スリット状のホログラム・シャドー123bとが得られる。ホログラム・シャドー123bは、上記第1の実施例における±1/2次のホログラム・シャドー123aが形成された場所に対応した位置に形成される。ホログラム・シャドー123bの形状が上記ホログラム・シャドー123aの形状と相違するのは、本第2の実施例の本適用例ではホログラム板102bの表面におけるX方向での第1〜第3の空隙部の配置がランダムになされているためである。再生像121baが形成されるのは、Y方向では第1〜第3の空隙部の配置の規則性が残存しているためである。基板120bには、荷電粒子検出機能が設けられている〔図7〕。
【0070】本第2の実施例の適用例でも、上記第1の従来技術において発生した0次のホログラム・シャドー(0次光)423の発生は回避される。その結果上記第1の実施例の適用例と同様に、本適用例よれば、光軸が基板に直交する部分を含めてその近傍に再生像を形成するように元絵を設定することが可能になる。
【0071】本第2の実施例の上記適用例は本第2の実施例をNeの原子線に適用したものであるが、本第2の実施例もこれに限定されるものではない。本第2の実施例でも、「原子」の種類に応じてゼーマン減速器と磁気光学トラップとの磁気分布をそれぞれ設定し,冷却レーザ並びにトラップレーザとトランスファレーザとの波長をそれぞれ設定し、さらに、所要の値の電界を設定するこのが容易である。(基板を適宜選択して)他の金属原子,あるいは非金属原子によるパターン形成も容易である。さらには、同じホログラム板を採用して、複数種類の原子からなるパターン形成も可能になる。
【0072】本第1の実施の形態の上記第1,第2の実施例では、第1および第2の空隙部に第1のピクセルが設けられている。本第1の実施の形態において、第1のピクセルには0の値の電界が加えられることから、第1のピクセルを第1あるいは第2の空隙部に設ける代りに、第1のピクセルの周辺を第1あるいは第2の分岐電極で取り囲んでおいてもよい。
【0073】ホログラム板の平面模式図である図8を参照すると、本第1の実施の形態における第3の実施例によるホログラム板は、上記第1の実施例に対応したものであり、以下のとおりになっている。
【0074】本第3の実施例では、上記第1および第2の空隙部は存在しない。ホログラム板102cの表面には第1の電極103c,第2の電極104cが設けられている。第1の電極103cには複数の第1の分岐電極103caが櫛形に接続され、第2の電極104cには複数の第2の分岐電極104caが櫛形に接続されている。分岐電極103ca,104caは交互に配置され、(X方向の端部の一方に位置するものを除いて)分岐電極103ca,104caの線幅は例えば3.0μm程度であり、分岐電極103caと分岐電極104caとに挟まれた第3の空隙部の幅は例えば1.0μmである。
【0075】第1のピクセル107caの周囲は、分岐電極103caもしくは分岐電極104caに取り囲まれている。第2のピクセル108caの配置,形状は上記第1の実施例と同じである。ピクセル107caの寸法,形状は上記第1の実施例と同じでもよいが第1の実施例より自由度がある。しかしながら、ピクセル107caの総面積が概ねピクセル108caの総面積に等しいという条件は上記第1の実施例と同様である。その他は、上記第1に実施例と同様であり、本第3の実施例では上記第1の実施例の有した効果を有している。
【0076】ホログラム板の平面模式図である図9を参照すると、本第1の実施の形態における第4の実施例によるホログラム板は、上記第2の実施例に対応したものであり、以下のとおりになっている。
【0077】本第4の実施例でも、上記第1および第2の空隙部は存在しない。ホログラム板102dの表面には第1の電極103d,第2の電極104dが設けられている。第1の電極103dには複数の第1の分岐電極103daが櫛形に接続され、第2の電極104dには複数の第2の分岐電極104daが櫛形に接続されている。分岐電極103da,104daは交互に配置されている。分岐電極103da,104daの線幅はそれぞれ複数の種類からなり、それぞれ例えば1.0μmの奇数倍程度である。分岐電極103daと分岐電極104daとに挟まれた第3の空隙部の幅は例えば1.0μmである。
【0078】第1のピクセル107daの周囲は、分岐電極103daもしくは分岐電極104daに取り囲まれている。第2のピクセル108daの配置,形状は上記第2の実施例と同じである。ピクセル107daの寸法,形状は上記第2の実施例と同じでもよいが第2の実施例より自由度がある。しかしながら、ピクセル107daの総面積が概ねピクセル108daの総面積に等しいという条件は上記第2の実施例と同様である。その他は、上記第2に実施例と同様であり、本第4の実施例では上記第2の実施例の有した効果を有している。
【0079】上記第2,第4の実施例を含めて、上記第1〜第4の実施例では第1および第2の分岐電極が例えばY方向に平行に設けられている。しかしながら本第1の実施の形態ではこれに限定されるものではない。
【0080】ホログラム板の平面模式図である図10を参照すると、本第1の実施の形態における第5の実施例によるホログラム板は、以下のとおりになっている。
【0081】本第5の実施例でも、上記第1および第2の空隙部は存在しない。ホログラム板102eの表面には第1の電極103e,第2の電極104eが設けられている。第1の電極103eには複数の第1の分岐電極103eaが接続され、第2の電極104eには複数の第2の分岐電極104eaが接続されている。分岐電極103ea,104eaは交互に配置されているが、分岐電極103ea,104eaの形状は(分岐電極103da,104da等のように単純な矩形ではなく)複雑な形状をとり,例えば多角形からなる。分岐電極103eaと分岐電極104eaとに挟まれた第3の空隙部の幅は例えば1.0μmである。
【0082】第1のピクセル107eaの周囲は、分岐電極103eaもしくは分岐電極104eaに取り囲まれている。第2のピクセル108eaの寸法,形状は上記第4の実施例と同じである。ピクセル107eaの寸法,形状は上記第4の実施例と同じである。ピクセル107eaの総面積が概ねピクセル108eaの総面積に等しい。その他は、上記第4に実施例と同様であり、本第4の実施例では上記第2の実施例の有した効果を有している。さらに、本第5の実施例では、第3の空隙部の配置に不規則性を持たせることが可能であるため、上記第2,第4の実施例と相違して、±1/2次のホログラム・シャドーに対応したホログラム・シャドーの発生も極めて稀少になり、±1/4次の再生像も形成されなくなる。
【0083】なお、上記第1の実施の形態の各実施例の説明において採用した構成材料,各種寸法は、上述のものに限定されるものではない。
【0084】上記第1の実施の形態では、第1のピクセルに加えられる電界は0の値からなり、第2のピクセルにのみに0でない値の電界が加えらている。第2の実施の形態の第2のピクセルは第1,第2の分岐電極に挟まれた第3の空隙部に設けられていることから、第2のピクセルに加えられる電界は3次元的な広がりを考慮せずにほぼ平行な成分のみで近似することが可能である。これらのことから、第1の実施の形態では、例えば第2のピクセルの長辺が第1,第2の分岐電極の長手方向に平行であるならば、第2のピクセルに加えられる電界の値は長辺の長さに依存しないことになる。
【0085】本発明は上記第1の実施の形態に限定されるものではない。上記第1の実施の形態とは相違した電界変調手段を用いて、ホログラム板の表面に垂直な方向に、第1,第2のピクセルにそれぞれ第1,第2の電界を加えることにより、本発明の目的の達成が可能になる。
【0086】ホログラム板の平面模式図である図11と、図11のAA線,BB線での断面模式図である図12とを参照すると、本発明の第2の実施の形態の一実施例によるホログラム板の構成は以下のとおりになる。なお図11において、理解を容易にするために、第2のピクセルには紙面に対して斜め右下りの対角線を記してある。
【0087】ホログラム板202を構成するメンブレン231の表面には、1つの第1の電極203,1つの第2の電極204,複数の第1の分岐電極203a,複数の第2の分岐電極204aが設けられている。メンブレン231の裏面には、第3の電極206が設けられている。分岐電極203aは電極203に接続され、分岐電極204aは電極204に接続されている。第1のピクセル209は分岐電極203a,メンブレン231および電極206を貫通した姿態を有して設けられており、第2のピクセル210は分岐電極204a,メンブレン231および電極206を貫通した姿態を有して設けられている。
【0088】メンブレン231は所要膜厚(=d)を有している。電極203,204,206,分岐電極203a,204aの構成材料は例えばPtである。電極203,204,206にはそれぞれ第1の電圧(=VA ),第2の電圧(=VB ),第3の電圧(VC )が印加されている。ピクセル209,210は例えばそれぞれ一辺が400nmの正方形からなる。本一実施例では、複素透過関数の実数部の第1のしきい値以上の正値(および第2のしきい値以上の負値)に対応してピクセル209(およびピクセル210)をホログラム板202の表面に設けるに際して、高密度に存在する部分でのピクセル209(およびピクセル210)のみを残し,低密度に存在する部分でのピクセルを消去してある。ピクセル209,210の存在に対応して、分岐電極203a,204aが設けられている〔図11,図12〕。
【0089】ピクセル209に加えられる第1の電界(=E1 )は、VA −VC ,d,400nm,400nmの値から決定される。ピクセル209を通過することにより原子線が受ける位相差は、E1 2 の(主として垂直(Z)方向の)積分値に比例する。同様に、ピクセル210に加えられる第2の電界(=E2 )は、VB −VC ,d,400nm,400nmの値から決定される。ピクセル210を通過することにより原子線が受ける位相差は、E2 2 の(主として垂直(Z)方向の)積分値に比例する。したがって、原子線を構成する「原子」に応じて、VA ,VB ,VC を適宜選択することにより、ピクセル209を通過する原子線とピクセル210を通過する原子線との位相差をπにすることが可能になる。
【0090】このホログラム板202を用い,上記第1の実施の形態の上記第1の実施例と同様の方法により、Ne* 原子線によるパターン形成を行なうならば、0次光の発生を回避して再生像を得ることができる。さらに、本一実施例では、ピクセル209,210が、上記第1の実施の形態の上記第1〜第4の実施例と相違し,上記第5の実施例と同様に、規則性を有さずに配置することが可能なことから、±1/4次の再生像の発生と±1/2次のホログラム・シャドーの発生とを抑制することが容易になる。また、上記第1のの実施の形態の上記第5の実施例(第2のピクセルを第3の空隙部に配置)に比べて、本一実施例の第1,第2の分岐電極の配置設計の自由度は増大する。さらにまた、本一実施例ではピクセル209,210の残存率を1/4以上にすることが可能なことから、上記第1の実施の形態より再生像の強度が増すことになる。
【0091】本第2の実施の形態は上記一実施例に限定されるものではない。第1,第2の電極(および第1,第2の分岐電極)をメンブレンの裏面に設け、第3の電極をメンブレンの表面に設けてもよい。上記第1の実施の形態と同様に、ホログラム板を構成する支持枠の底面に加熱手段を設けることも可能であり、メンブレンの表面を保護膜で覆うことも可能である。また、本第2の実施の形態においても、上記第1の実施の形態と同様に、「原子」の種類に応じて、ゼーマン減速器,磁気光学トランプの磁気分布、冷却レーザ,トラップレーザ,トランスファレーザの波長、第1の電圧と第3の電圧との電位差、第2の電圧と第3の電圧との電位差等を適宜選択することが可能なことから、多種の「原子」の原子線によるパターン形成が可能になり、さらに、複数種類の原子線による同一パターンの形成も可能になる。
【0092】また、本第2の実施の形態における第1,第2のピクセルの形状は上記一実施例のピクセル209,210の形状に限定されるものではない。第1の電圧(VA )=第3の電圧(VC )の場合を除いて、本第2の実施の形態では、上記第1の実施の形態と相違して、全ての第1のピクセル,全ての第2のピクセルの形状がそれぞれ同一であることが好ましく、第1のピクセルは第1の短辺と第1の長辺とを有した第1の矩形からなり、第2のピクセルは第2の短辺と第2の長辺とを有した第2の矩形からなる。これは第1,第2の電界がホログラム板の表面に垂直方向に加えられているためであり、各第1のピクセル,各第2のピクセルに加えられる第1,第2の電界が同一であることが好ましいためである。
【0093】ただし、第1の電圧(VA )=第3の電圧(VC )の場合、本第2の実施の形態における第1のピクセルの形状に対する制約のみは緩やかになる。しかしこの場合においても、第1のピクセルの総面積が、概ね、第2のピクセルの総面積に等しいことが好ましい。
【0094】本発明の第3の実施の形態は、上記第2の実施の形態の技術思想を発展させたものである。上記第2の実施の形態では、例えば第1,第2の電極は(ホログラム蟠を構成する)メンブレンの表面に設けられ、第3の電極はメンブレンの裏面に設けられている。本第3の実施の形態では、第1,第2の電極はメンブレンの表面,裏面に(それぞれ概ね全面に)設けられているが、第1,第2の分岐電極は設けられていない。
【0095】元絵の概略図である図13(a)と、部分拡大したホログラム板の平面模式図である図13(b)と、再生像の模式図である図14とを参照すると、本第3の実の形態の一実施例を適用した原子線ホログラフィによるパターン形成方法は、以下のとおりになっている。
【0096】「F」からなる元絵301を含めた分割に対応して、さらに、球面収差補正を施して、複素透過関数が得られる。この複素透過関数の実数部の第1のしきい値以上の正値と第2のしきい値以下の負値とに対応して、第1のピクセル311,第2のピクセル312が、第1の電圧(=VA )が印加されてメンブレン331の表面に設けらた第1の電極305と,メンブレン331と,第2の電圧(=VB )が印加されてメンブレン331の裏面に設けられた第2の電極306とを貫通して、ホログラム板302に設けられる。メンブレン331は500nm程度の膜厚からなり、ピクセル311は一辺が160nm程度の正方形からなり、ピクセル312は80nm×320nm程度の長方形からなる〔図13(a),(b)〕。
【0097】このホログラム板302を用いて、VA −VB =1Vにして、上記第1の実施の形態の上記第1の実施例と同様の方法によりNe* 原子線を発生させるならば、基板320には1次の再生像321が形成される。基板320には、荷電粒子検出機能が設けられている。本一実施例では上記第1の実施の形態の上記第5の実施例,上記第2の実施の形態の上記一実施例と同様に、0次光,±1/2次のホログラム・シャドーおよび±1/4次の再生像の発生は抑制される。本一実施例おいてもデフォーカスされた虚像322も形成されるが、(多少誇張した表示になってはいるものの)虚像322の強度は再生像321の強度より極めて低いものである〔図14〕。
【0098】本一実施例は、上記第2の実施の形態の上記一実施例より、電極の形成が簡潔になる。また本一実施例では第1,第2のピクセルがそれぞれ高密度に存在する部分のみを選択的に残置させる必要がないことから、上記第2の実施の形態の上記一実施例に比べて、第1,第2のピクセルの残存率が高くなり、再生像の強度が高くなり、電極形成とともにピクセルの形成も簡潔になる。
【0099】本第3の実施の形態の上記一実施例では、第1のピクセルの面積と第2のピクセルの面積とが等しくなっていたが、本第3の実施の形態は第1,第2のピクセルの形状をも含めてこれに限定されるものではない。本第3の実施の形態における第1,第2のピクセルは、上記第2の実施の形態における第1の電圧が第3の電圧に等しくない場合と同じであり、全ての第1のピクセル,全ての第2のピクセルの形状がそれぞれ同一であることが好ましく、第1のピクセルは第1の短辺と第1の長辺とを有した第1の矩形からなり、第2のピクセルは第2の短辺と第2の長辺とを有した第2の矩形からなり、第1のピクセルの総面積と第2のピクセルの総面積とが概ね等しければよい。
【0100】本第3の実施の形態では、上記第1,第2の実施の形態と同様に、ホログラム板を構成する支持枠の底面に加熱手段を設けることも可能であり、メンブレンの表面を保護膜で覆うことも可能である。また、本第3の実施の形態においても、上記第1,第2の実施の形態と同様に、「原子」の種類に応じて、ゼーマン減速器,磁気光学トランプの磁気分布、冷却レーザ,トラップレーザ,トランスファレーザの波長、第1の電圧と第3の電圧との電位差、第2の電圧と第3の電圧との電位差等を適宜選択することが可能なことから、多種の「原子」の原子線によるパターン形成が可能になり、さらに、複数種類の原子線による同一パターンの形成も可能になる。
【0101】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によるホログラム板には、元絵をフーリェ変換して得られる複素透過関数の実数部における第1のしきい値以上の正値をエンコードしてなる複数の第1のピクセルと、この実数部における第2のしきい値以下の負値をエンコードしてなる複数の第2のピクセルと、第1のピクセルを通過する原子線に対する第2のピクセルを通過する原子線の位相差がπとなる電界変調手段とが設けられている。このため、このホログラム板を用いた原子線ホログラフィによるパターン形成方法では、0次光の消去が可能になる。




 

 


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