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発明の名称 フォトマスク、該フォトマスクの製造方法、該フォトマスクを扱う投影露光装置、及び投影露光方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−117213(P2001−117213A)
公開日 平成13年4月27日(2001.4.27)
出願番号 特願2000−49802(P2000−49802)
出願日 平成12年2月25日(2000.2.25)
代理人 【識別番号】100077919
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 義雄 (外1名)
【テーマコード(参考)】
2H095
【Fターム(参考)】
2H095 BA01 BC19 BC31 BC33 BC38 
発明者 高橋 哲男
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 被露光基板へ転写するための転写パターンが形成され、該転写パターンが形成されるパターン面に照射される所定の露光ビームを、前記パターンの像を形成するための投影光学系へ導くフォトマスクにおいて、前記パターン面に対して所定の間隔だけ隔離して配置されて、所定の厚さと、前記露光ビームに対する透過性とを有する透過性基板を有し、該透過性基板は、ほぼ方形状であり、かつ以下の条件を満足することを特徴とするフォトマスク。

ただし、h:前記透過性基板の厚さ(cm),n:前記透過性基板の露光ビームに対する屈折率,β:前記投影光学系の倍率,λ:前記露光ビームの波長(cm),ρ:前記透過性基板の密度(g/cm3),であり、Eを前記透過性基板のヤング率とし、σを前記透過性基板のポアソン比とするとき、F=E/(12・(1−σ2)) (2)
である。
【請求項2】 以下の条件(a)乃至(c)のうち、少なくとも一つの条件を満足することを特徴とする請求項1記載のフォトマスク。
(a)|ΔT|≦0.1λ;
(b)|ΔΦ|≦0.1λ;
(c)|Δn|×h<0.1λ;
ただし、λ:前記露光ビームの波長(cm),ΔT:前記透過性基板の厚さの最大値と最小値との差(cm),ΔΦ:前記透過性基板に平面波を入射させたとき、前記透過性基板を透過した前記平面波の等位相面の最大値と最小値との差(cm),Δn:前記透過性基板の前記露光ビームに対する屈折率の最大値と最小値との差,h:前記透過性基板の厚さ(cm)
【請求項3】 以下の条件を満足することを特徴とする請求項1又は2の何れか一項記載のフォトマスク。

ただし、A:前記透過性基板が有する欠陥の大きさ(cm),d0:前記パターン面と前記透過性基板との距離(cm),NA:前記投影光学系の像側での開口数,β:前記投影光学系の倍率,d:前記透過性基板の厚さ(cm),n:前記透過性基板の前記露光ビームに対する屈折率【請求項4】 請求項1乃至3の何れか一項記載のフォトマスクに対して,200nm以下の露光光で照明する工程と、前記露光光に基づいて、前記フォトマスク上の前記パターンを感光性基板上に転写する工程とを含むことを特徴とする露光方法。
【請求項5】 転写用のパターンが形成され、所定の露光ビームに照射されるフォトマスクにおいて、前記パターンが形成されたパターン面に対して所定の間隔だけ隔離して配置されて、前記露光ビームに対して透過性を有する透過性基板を有し、該透過性基板は、所定の厚さを有すると共に、それぞれ前記露光ビームを通過させる第1面と第2面とを有し、該第1面と第2面は、ほぼ平面又は所定の屈折力を有する曲面であり、前記第1面と前記第2面とがなす角度をθ(単位:度)、前記第1面の屈折力をφ1(単位:1/mm)、前記第2面の屈折力をφ2(単位:1/mm)とするとき、 12.4″≦θ<3′ (20)
−1/6940<φ1+φ2<1/5000 (21)
なる2つの条件式のうち、少なくとも何れか一方の条件式を満足することを特徴とするフォトマスク。
【請求項6】 照明光学系からの露光ビームによりフォトマスクのパターン面上に形成された転写用のパターンを照明し、投影光学系を介して該パターンの像を感光性基板上に形成する投影露光装置において、前記照明光学系と前記投影光学系との間の光路中に前記フォトマスクを位置決めするためのマスクステージ部と、前記パターン面と前記投影光学系との間隔が所定の値となるように前記マスクステージ部を移動させるマスクステージ駆動部とを備え、前記フォトマスクは、前記パターン面に対して所定の間隔だけ隔離されて前記露光ビームに対する透過性を有する透過性基板を有し、前記所定の値は、前記フォトマスクの前記透過性基板の厚みに応じて決定されることを特徴とする投影露光装置。
【請求項7】 照明光学系からの露光ビームによりフォトマスクのパターン面上に形成された転写用のパターンを照明し、投影光学系を介して該パターンの像を感光性基板上に形成する投影露光方法において、前記照明光学系と前記投影光学系との間の光路中に前記フォトマスクを設定する工程と、前記パターン面と前記投影光学系との間の間隔を所定の値に設定する工程とを備え、前記フォトマスクは、前記パターン面に対して所定の間隔だけ隔離されて前記露光ビームに対する透過性を有する透過性基板を有し、前記所定の値は、前記フォトマスクの前記透過性基板の厚みを考慮して決定されることを特徴とする投影露光方法。
【請求項8】 露光ビームに基いてパターン面上の転写用のパターンの像を感光性基板上へ投影露光する投影露光装置に載置されるフォトマスクにおいて、前記パターン面に対して所定の間隔だけ隔離して配置されて、前記露光ビームに対して透過性を有する透過性基板と、前記投影露光装置のマスクステージ部によって支持される被載置面とを備え、前記フォトマスクの前記被載置面と前記パターン面とは前記透過性基板の厚み方向において所定距離だけ離れて設定され、前記所定距離は、前記透過性基板の前記厚みを考慮して設定されることを特徴とするフォトマスク。
【請求項9】 露光ビームに基いてパターン面上の転写用のパターンの像を感光性基板上へ投影露光する投影露光装置に載置されるフォトマスクにおいて、前記パターン面に対して所定の間隔だけ隔離して配置されて、前記露光ビームに対して透過性を有する透過性基板を備え、前記透過性基板には、フッ化物を有する反射防止コート層が設けられることを特徴とするフォトマスク。
【請求項10】 前記フッ化物は、LaF3とMgF2との少なくとも何れか一方を含むことを特徴とする請求項9記載のフォトマスク。
【請求項11】 前記照明光学系からの前記露光ビームによって請求項5,8,9,または10記載のフォトマスクを照明する工程と、前記投影光学系を介して前記フォトマスク上の前記転写用のパターンの像を感光性基板上に形成する工程とを含むことを特徴とする投影露光方法。
【請求項12】 以下の条件(a’),(b’)及び(c)のうち、少なくとも一つの条件を満足することを特徴とする請求項5,8,9,または10記載のフォトマスク。
(a’)|ΔTc’|≦0.1λ;
(b’)|ΔΦc’|≦0.1λ;
(c)|Δn|×h<0.1λ;
ただし、λ:前記露光ビームの波長(cm),ΔTc’:前記透過性基板の厚さを直線近似したときの、該厚さの直線近似からの偏差の最大幅(cm),ΔΦc’:前記透過性基板に平面波を入射させ、前記透過性基板を透過した前記平面波の等位相面を直線近似したときの、該等位相面の直線近似からの偏差の最大幅(cm),Δn:前記透過性基板の前記露光ビームに対する屈折率の最大値と最小値との差,h:前記透過性基板の厚さ(cm).
【請求項13】 転写用のパターンが形成され、所定の露光ビームにより照射されるフォトマスクの製造方法において、前記露光ビームに対して透過性を有する透過性基板を準備する工程と、前記フォトマスクに前記転写用のパターンを形成する工程と、前記転写用のパターンが形成される面に対して所定の間隔だけ隔離するように前記透過性基板を前記フォトマスクに装着する工程とを含み、前記透過性基板を準備する工程では、前記透過性基板の検査を行う補助工程を有することを特徴とするフォトマスクの製造方法。
【請求項14】 前記透過性基板の検査を行う補助工程では、以下の条件(a’),(b’)及び(c)のうち、少なくとも一つの条件について前記検査を行うことを特徴とする請求項13記載のフォトマスクの製造方法。
(a’)|ΔTc’|≦0.1λ;
(b’)|ΔΦc’|≦0.1λ;
(c) |Δn|×h≦0.1λ;
ただし、λ:前記露光ビームの波長(cm),ΔTc’:前記透過性基板の厚さを直線近似したときの、該厚さの直線近似からの偏差の最大幅(cm),ΔΦc’:前記透過性基板に平面波を入射させ、前記透過性基板を透過した前記平面波の等位相面を直線近似したときの、該等位相面の直線近似からの偏差の最大幅(cm),Δn:前記透過性基板の前記露光ビームに対する屈折率の最大値と最小値との差,h:前記透過性基板の厚さ(cm),である。
【請求項15】 転写用のパターンが形成され、所定の露光ビームにより照射されるフォトマスクの製造方法において、前記露光ビームに対して透過性を有する透過性基板を準備する工程と、前記フォトマスクに前記転写用のパターンを形成する工程と、前記転写用のパターンが形成される面に対して所定の間隔だけ隔離するように前記透過性基板を前記フォトマスクに装着する工程とを含み、前記透過性基板は、所定の厚さを有するとともに、それぞれ前記露光ビームを通過させる第1面と第2面とを有し、該第1面と該第2面とは、ほぼ平面又は所定の屈折力を有する曲面であり、前記第1面と前記第2面とがなす角度をθ(単位:度)、前記第1面の屈折力をφ1(単位:1/mm)、前記第2面の屈折力をφ1(単位:1/mm)とするとき、12.4″≦θ<3′ (20)
−1/6940<φ1+φ2<1/5000 (21)
なる2つの条件式のうち、少なくとも何れか一方の条件式を満足することを特徴とするフォトマスクの製造方法。ただし、条件式(21)を満足する場合には、φ1≠0及びφ2≠0の少なくとも何れか一方を満足する。
【請求項16】 前記透過性基板を準備する工程では、前記透過性基板の検査を行う補助工程を有し、該補助工程では、前記透過性基板が条件式(20)及び(21)のうちの少なくとも一方について前記検査を行うことを特徴とする請求項15記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項17】 転写用のパターンが形成され、波長200nm以下の露光ビームにより照射されるフォトマスクの製造方法において、前記露光ビームに対して透過性を有する透過性基板を準備する工程と、前記フォトマスクに前記転写用のパターンを形成する工程と、前記転写用のパターンが形成される面に対して所定の間隔だけ隔離するように前記透過性基板を前記フォトマスクに装着する工程とを含み、さらに前記透過性基板にフッ化物を含む反射防止コート層を設ける工程を含むことを特徴とするフォトマスクの製造方法。
【請求項18】 転写用のパターンが形成され、所定の露光ビームにより照射されるフォトマスクの製造方法において、前記露光ビームに対して透過性を有する透過性基板を準備する工程と、前記フォトマスクに前記転写用のパターンを形成する工程と、前記転写用のパターンが形成される面に対して所定の間隔だけ隔離するように前記透過性基板を前記フォトマスクに装着する工程と、前記転写用のパターンの前記露光ビームの進行方向に沿った位置を変更するための手段を前記フォトマスクに設ける工程とを含むことを特徴とするフォトマスクの製造方法。
【請求項19】 転写用のパターンがパターン面内に形成され、所定の露光ビームにより照射されるフォトマスクにおいて、所定の厚さと前記露光ビームに対する透過性とを有する透過性基板と、該透過性基板を前記パターン面に対して所定の間隔だけ隔離して配置するための保持部材とを有し、前記保持部材は、前記透過性基板の光透過面と前記フォトマスクの面とのなす角が1°以内となるように前記透過性基板を保持することを特徴とするフォトマスク。
【請求項20】 転写用のパターンがパターン面内に形成され、所定の露光ビームにより照射されるフォトマスクの製造方法において、前記露光ビームに対して透過性を有する透過性基板を準備する工程と、前記フォトマスクに前記転写用のパターンを形成する工程と、前記転写用のパターンが形成される面に対して所定の間隔だけ隔離するように前記透過性基板を前記フォトマスクに装着する工程とを含み、前記透過性基板を準備する工程では、前記透過性基板の厚みの指定値に対して±2μm以内の厚みを有する前記透過性基板を準備することを特徴とするフォトマスクの製造方法。
【請求項21】 前記透過性基板を準備する工程では、前記透過性基板の検査を行う補助工程を有し、該補助工程では、前記透過性基板の厚みについて検査することを特徴とする請求項20記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項22】 請求項20又は21に記載の製造方法により製造されたことを特徴とするフォトマスク。
【請求項23】 転写用のパターンがパターン面内に形成され、所定の露光ビームにより照射されるフォトマスクにおいて、前記パターン面に対して所定の間隔だけ隔離して配置され、所定の厚さを有するとともに、それぞれ前記露光ビームを通過させる第1面と第2面とを有し、前記第1面と前記第2面との局所的な角度は0.4″以内であり、前記第1及び第2面と前記パターン面との局所的な角度は12″以内であることを特徴とするフォトマスク。
【請求項24】 転写用のパターンが形成され、所定の露光ビームにより照射されるフォトマスクの製造方法において、前記露光ビームに対して透過性を有する透過性基板を準備する工程と、前記フォトマスクに前記転写用のパターンを形成する工程と、前記転写用のパターンが形成される面に対して所定の間隔だけ隔離するように前記透過性基板を前記フォトマスクに装着する工程とを含み、前記透過性基板は、所定の厚さを有するとともに、それぞれ前記露光ビームを通過させる第1面と第2面とを有し、前記透過性基板を準備する工程は、前記透過性基板を検査する補助工程を含み、該補助工程では、前記第1面と前記第2面との局所的な角度と、所定の基準面に対する前記第1及び第2面の局所的な角度とに関して検査することを特徴とするフォトマスクの製造方法。
【請求項25】 前記第1面と前記第2面との局所的な角度0.4″以内であり、前記所定の基準面に対する前記第1及び第2面の局所的な角度は12″以内であることを特徴とする請求項24記載のフォトマスクの製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体集積回路、撮像素子(CCD等)、液晶ディスプレイ、又は薄膜磁気ヘッド等のデバイスを製造するためのリソグラフィエ程で基板上に転写されるパターンの原版パターンが形成されたフォトマスクに関する。
【0002】
【従来の技術】半導体集積回路等のデバイスを製造する際に、形成すべき回路パターンを例えば4〜5倍程度に拡大した原版パターンが形成されたフォトマスクを使用して、このフォトマスクのパターンを縮小投影光学系を介してウエハ又はガラスプレート等の被露光基板上に縮小投影する転写方式が用いられている。このようなフォトマスクのパターンの転写の際に使用されるのが投影露光装置であり、ステップ・アンド・リピート方式又はステップ・アンド・スキャン方式の縮小投影型露光装置で使用されるフォトマスクは、レチクルとも呼ばれている。
【0003】そのようなフォトマスクのパターンの転写に際して、パターン面上に許容範囲を超える大きさの塵埃等の異物が付着していると、その異物の像もウエハ等の基板上に転写されてしまい、最終的に製造される集積回路等が誤動作するおそれがある。そこで、従来より1〜10μm程度の厚さの有機系材料からなり露光光を透過するペリクルと呼ばれる薄膜を,フォトマスクのパターン面から5mm程度離れた位置に張設し、このペリクルによって異物がパターン面に付着することを防止している。また、ペリクルは、フォトマスクのパターン面に接着されたペリクルフレームと呼ばれる金属の支持枠上に張設され、フォトマスクのパターン面とペリクルとの間の空間は、外気からほぼ遮断されており、外気に含まれる異物が、そのパターン面に付着することが無いように構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の如く従来のフォトマスクのパターン面には有機系材料の薄膜よりなるペリクルが張設され、このペリクルによって防塵が行われている。また、フォトマスクを使用する投影露光装置の露光光として、従来は主に水銀ランプのi線(波長365nm)が使用されていたが、この程度の波長の露光光に対しては従来のペリクルでも十分な耐久性を備えている。
【0005】これに対して、最近は半導体集積回路の一層の微細化に対応するために、投影露光装置の露光波長の更なる短波長化が行われており、最近はKrFエキシマレーザ光(波長248nm)が主流となりつつある。そして、現在は、より短波長のArFエキシマレーザ光(波長193nm)も実用化段階に入りつつある。また、更に短波長のF2レーザ光(波長157nm)を使用する投影露光装置の研究も行われている。
【0006】このような露光波長の短波長化に伴って、従来の有機系のペリクルでは十分な耐久性を得ることが困難となってきている。即ち、より短波長の露光光は、光子1個当たりについてより高いエネルギーを持つため、露光光によってペリクルを構成する有機分子の化学結合が破壊されてしまう。このため、短波長の露光光に対して十分な耐久性を有する有機系材料よりなるペリクルを備えることは困難となりつつある。
【0007】しかしながら、ペリクルを使用しない場合には、フォトマスクのパターン面に対する異物の付着を防止できず、製造される半導体集積回路等の歩留まりが低下するという不都合がある。
【0008】そのため、有機系材料よりなるペリクル以外の物質を従来ペリクルがあった位置付近に設置することが望ましい。従来のペリクルは非常に薄く加工することができ、しかも柔らかい為に張力をかけてたわみを取ってやれば光学的影響は殆ど無視することができる。しかし、200nm以下の露光光で従来のペリクルと同じ性質を持ち、しかも、透過率を確保できる物質は殆ど知られていない。
【0009】また、200nm以下の露光光を用いる場合、水分や有機物等の不純物があると、透過面が汚染されたり、空間中の透過率が低下することが知られている。そのため、マスクのパターン面や、ペリクルと同じ光路上の位置に設けられるペリクル相当の物の透過面も汚染に対して細心の注意を払う必要がある。加えて、WO99/49366号公報には、露光光の短波長化に対して従来のペリクルに変わって透過性基板を用いることが提案されている。しかし、上記透過性基板を実現する場合いくつかの問題が生ずる。まず、透過性基板は、ペリクルに比べてかなりの厚さを有しているため、レチクル側及び投影レンズ側の面精度を測定することが必要となる。しかし、面精度を測定するときに、両面が平面でかつほぼ平行である場合は、面に光を入射させると等厚干渉縞が発生する。この等厚干渉縞の影響で、面精度を測定するための干渉縞が解析し難くなるという問題がある。また、透過性基板が存在しない状態で諸収差が極めて良好に補正された縮小投影光学系に対して、光路中に厚さを有する透過性基板が挿入されることで、収差が発生するという問題もある。この問題に対してはWO99/49366号公報では、透過性基板の厚さにあわせて縮小投影光学系のレンズ間隔を調整する方法が提案されている。この方法は、透過性基板の厚さが予め決まっているときに誤差(収差)を調整する場合などは、レンズ成分の移動量も比較的少なくて済むので、容易であり有効である。しかし、様々な厚さの透過性基板を有するような複数のレチクルを用いる場合、レンズ成分の移動量が多くなり、レンズの可動範囲である調整ストロークを超える可能性がある。また、調整可能な範囲であっても、残存収差が残ることもありうる。さらに、透過性基板を光学系に挿入した場合、透過性基板によって透過率を極力低下させないようにすること、即ち低反射であることが好ましい。加えて、フレアーなども極力少なくすることが好ましい。
【0010】本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、短波長の露光ビームに対しても十分な耐久性を有すると共に、転写用のパターンに対する異物の付着を防止できるフォトマスクを提供することを目的とする。さらに、本発明は、透過性基板を含むフォトマスクにおいて、前記透過性基板の面精度を容易に測定することができ、かつ前記透過性基板が低反射であるフォトマスクを提供すると共に、透過性基板が色々な厚さを持つ場合でも諸収差を低減できるフォトマスク及び投影露光装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、第1の発明は、被露光基板へ転写するための転写パターンが形成され、該転写パターンが形成されるパターン面に照射される所定の露光ビームを、前記パターンの像を形成するための投影光学系へ導くフォトマスクにおいて、前記パターン面に対して所定の間隔だけ隔離して配置されて、所定の厚さと、前記露光ビームに対する透過性とを有する透過性基板を有し、該透過性基板は、ほぼ方形状であり、かつ以下の条件を満足することを特徴とするフォトマスクを提供する。
【0012】
【数1】

【0013】ただし、h:前記透過性基板の厚さ(cm),n:前記透過性基板の露光ビームに対する屈折率,β:前記投影光学系の倍率,λ:前記露光ビームの波長(cm),ρ:前記透過性基板の密度(g/cm3),であり、Eを前記透過性基板のヤング率とし、σを前記透過性基板のポアソン比とするとき、F=E/(12・(1−σ2)) (2)
である。なお、方形状とは長方形状、正方形状を含む形状をいう。
【0014】また、また、第2の発明は、上記第1の発明において、以下の条件(a)乃至(c)のうち、少なくとも一つの条件を満足することが望ましい。
(a)|ΔT|≦0.1λ;
(b)|ΔΦ|≦0.1λ;
(c)|Δn|×h<0.1λ;
ただし、λ:前記露光ビームの波長(cm),ΔT:前記透過性基板の厚さの最大値と最小値との差(cm),ΔΦ:前記透過性基板に平面波を入射させたとき、前記透過性基板を透過した前記平面波の等位相面の最大値と最小値との差(cm),Δn:前記透過性基板の前記露光ビームに対する屈折率の最大値と最小値との差,h:前記透過性基板の厚さ(cm)である。
また、第3の発明は、転写用のパターンが形成されたパターン面を有し、所定の露光ビームに照射されるフォトマスクにおいて、前記パターン面に対して所定の間隔だけ隔離して配置された透過性基板を有し、該透過性基板は、上記条件式(a)〜(c)のうち、少なくとも一つの条件式を満足する。
【0015】また、第4の発明は、上記第1乃至第3の発明において、以下の条件を満足することが望ましい。
【0016】
【数2】

【0017】ただし、A:前記透過性基板が有する欠陥の大きさ(cm),d0:前記パターン面と前記透過性基板との距離(cm),NA:前記投影光学系の像側の開口数,β:前記投影光学系の倍率,d:前記透過性基板の厚さ(cm),n:前記透過性基板の前記露光ビームに対する屈折率,である。また、第5の発明は、被露光基板へ転写するための転写パターンが形成され、該転写パターンが形成されるパターン面に照射される所定の露光ビームを、前記パターンの像を形成するための投影光学系へ導くフォトマスクであって、前記パターン面に対して所定の間隔だけ隔離して配置された透過性基板を有し、該透過性基板は、上記条件式(13)を満足する。
【0018】また、第6の発明は、前記第1の発明乃至第3の何れかに記載のフォトマスクに対して,200nm以下の露光光で照明する工程と、前記露光光に基づいて、前記フォトマスク上の前記パターンを感光性基板上に転写する工程とを含むことを特徴とする露光方法を提供する。
【0019】また、第7の発明は、上記第1の発明において、前記透過性基板は単純支持されており、【0020】
【数3】

【0021】の条件を満足することが望ましい。
【0022】また、第8の発明では、前記第1の発明にかかるフォトマスクにおいて、前記透過性基板は周辺支持されていることが望ましい。
【0023】また、第9の発明では、前記1,2,3,5、6,7または8の発明の何れかに記載のフォトマスクにおいて、前記露光ビームは偏光光であり、前記透過性基板の歪みが全面にわたって0.1λ以下であることが望ましい。
【0024】また、第10の発明では、前記第1,2,3,5、6,7,8又は9の発明の何れかに記載のフォトマスクにおいて、前記透過性基板は、前記パターンが形成されている領域外においてオプティカルコンタクトの状態で接着されていることが望ましい。
【0025】また、第11の発明は、転写用のパターンが形成され、所定の露光ビームにより照射されるフォトマスクの製造方法であって、前記露光ビームに対して透過性を有する透過性基板を準備する第1工程と、前記フォトマスクに前記転写用のパターンを形成する第2工程と、前記パターンのディストーションを計測する第3工程と、前記第3工程の計測結果に基づいて、前記ディストーション成分を実質的に相殺するような前記透過性基板の面形状を算出する第4工程と、前記フォトマスクを前記第4工程で算出された形状となるように加工する第5工程と、前記転写用のパターンが形成される面に対して所定の間隔だけ隔離するように前記透過性基板を前記フォトマスクに装着する第6工程とを含む。
【0026】また、第12の発明は、転写用のパターンを投影光学系を介して感光性基板へ投影露光する投影露光装置に載置されるフォトマスクの製造方法であって、前記露光ビームに対して透過性を有する透過性基板を準備する第1工程と、前記フォトマスクに前記転写用のパターンを形成する第2工程と、前記透過性基板及び前記投影光学系を介した前記パターンからの光に基づいて、ディストーション成分を計測する第3工程と、該第3工程の計測結果に基づいて、前記ディストーション成分を実質的に相殺するような前記透過性基板の表面形状を算出する第4工程と、前記第1工程で準備された前記透過性基板を前記第4工程で算出された形状となるように加工する第5工程と、前記転写用のパターンが形成される面に対して所定の間隔だけ隔離するように、前記第5工程で加工された前記透過性基板を前記フォトマスクに装着する第6工程とを含む。また、第13の発明では、転写用のパターンが形成され、所定の露光ビームに照射されるフォトマスクであって、前記パターンが形成されたパターン面に対して所定の間隔だけ隔離して配置されて、前記露光ビームに対して透過性を有する透過性基板を有し、該透過性基板は、所定の厚さを有すると共に、それぞれ前記露光ビームを通過させる第1面と第2面とを有し、該第1面と第2面は、ほぼ平面又は所定の屈折力を有する曲面であり、前記第1面と前記第2面とがなす角度をθ(単位:度)、前記第1面の屈折力をφ1(単位:1/mm)、前記第2面の屈折力をφ2(単位:1/mm)とするとき、 12.4″≦θ<3′ (20)
−1/6940<φ1+φ2<1/5000 (21)
なる2つの条件式のうち、少なくとも何れか一方の条件式を満足することを特徴とするフォトマスクを提供する。なお、条件式(21)を満足する場合には、φ1≠0及びφ2≠0の少なくとも何れか一方を満足する。条件式(20),(21)は等厚干渉縞を少なくし、面精度測定を容易にするための条件を規定している。かかる条件式を満足しない場合は、等厚干渉縞が多く発生してしまい面精度の測定精度が低下してしまう。また、条件式(20)と(21)との少なくともいずれか一方を満足すると、偏心収差発生量は微小または容易に補正可能な量となる。また、第14の発明では、照明光学系からの露光ビームによりフォトマスクのパターン面上に形成された転写用のパターンを照明し、投影光学系を介して該パターンの像を感光性基板上に形成する投影露光装置において、前記照明光学系と前記投影光学系との間の光路中に前記フォトマスクを位置決めするためのマスクステージ部と、前記パターン面と前記投影光学系との間隔が所定の値となるように前記マスクステージ部を移動させるマスクステージ駆動部とを備え、前記フォトマスクは、前記パターン面に対して所定の間隔だけ隔離されて前記露光ビームに対する透過性を有する透過性基板を有し、前記所定の値は、前記フォトマスクの前記透過性基板の厚みに応じて決定されることを特徴とする投影露光装置を提供する。また、第15の発明では、照明光学系からの露光ビームによりフォトマスクのパターン面上に形成された転写用のパターンを照明し、投影光学系を介して該パターンの像を感光性基板上に形成する投影露光方法において、前記照明光学系と前記投影光学系との間の光路中に前記フォトマスクを設定する工程と、前記パターン面と前記投影光学系との間の間隔を所定の値に設定する工程とを備え、前記フォトマスクは、前記パターン面に対して所定の間隔だけ隔離されて前記露光ビームに対する透過性を有する透過性基板を有し、前記所定の値は、前記フォトマスクの前記透過性基板の厚みを考慮して決定されることを特徴とする投影露光方法を提供する。また、第16の発明では、露光ビームに基いてパターン面上の転写用のパターンの像を感光性基板上へ投影露光する投影露光装置に載置されるフォトマスクにおいて、前記パターン面に対して所定の間隔だけ隔離して配置されて、前記露光ビームに対して透過性を有する透過性基板と、前記投影露光装置のマスクステージ部によって支持される被載置面とを備え、前記フォトマスクの前記被載置面と前記パターン面とは前記透過性基板の厚み方向において所定距離だけ離れて設定され、前記所定距離は、前記透過性基板の前記厚みを考慮して設定されることを特徴とするフォトマスクを提供する。また、第17の発明では、露光ビームに基いてパターン面上の転写用のパターンの像を感光性基板上へ投影露光する投影露光装置に載置されるフォトマスクにおいて、前記パターン面に対して所定の間隔だけ隔離して配置されて、前記露光ビームに対して透過性を有する透過性基板を備え、前記透過性基板には、フッ化物を有する反射防止コート層が設けられることを特徴とするフォトマスクを提供する。また、第18の発明では、前記フッ化物は、LaF3とMgF2との少なくとも何れか一方を含むことが望ましい。また、第19の発明では、前記照明光学系からの前記露光ビームによって第7〜10,13,16〜18の発明の何れかのフォトマスクを照明する工程と、前記投影光学系を介して前記フォトマスク上の前記転写用のパターンの像を感光性基板上に形成する工程とを含むことを特徴とする投影露光方法を提供する。また、第20の発明では、以下の条件(a’),(b’),及び(c)のうち、少なくとも一つの条件を満足することを特徴とする第7〜10,13,16〜18の発明の何れかのフォトマスクを提供する。
(a’)|ΔTc’|≦0.1λ;
(b’)|ΔΦc’|≦0.1λ;
(c)|Δn|×h<0.1λ;
ただし、λ:前記露光ビームの波長(cm),ΔTc’:前記透過性基板の厚さを直線近似したときの、該厚さの直線近似からの偏差の最大幅(cm),ΔΦc’:前記透過性基板に平面波を入射させ、前記透過性基板を透過した前記平面波の等位相面を直線近似したときの、該等位相面の直線近似からの偏差の最大幅(cm),Δn:前記透過性基板の前記露光ビームに対する屈折率の最大値と最小値との差,h:前記透過性基板の厚さ(cm)である。
また、第21の発明は、転写用のパターンが形成されたパターン面を有し、所定の露光ビームに照射されるフォトマスクにおいて、前記パターン面に対して所定の間隔だけ隔離して配置された透過性基板を有し、該透過性基板は、上記条件式(a’),(b’),及び(c)のうち、少なくとも一つの条件式を満足する。ここで、ΔTc’は以下の手順で求める。まず、透過性基板の厚さを1次直線で近似する。次に、この透過性基板の実際の厚さと前記1次直線との偏差の最大幅の絶対値を算出する。そして、この最大幅の絶対値をΔTc’とする。ΔΦc’についても同様に、まず透過性基板に平面波を入射させ、前記透過性基板を透過した前記平面波の等位相面を1次直線で近似する。そして、等位相面と前記1次直線との偏差の最大幅の絶対値をΔΦc’とする。また、第22の発明は、転写用のパターンが形成され、所定の露光ビームにより照射されるフォトマスクの製造方法であって、前記露光ビームに対して透過性を有する透過性基板を準備する工程と、前記フォトマスクに前記転写用のパターンを形成する工程と、前記転写用のパターンが形成される面に対して所定の間隔だけ隔離するように前記透過性基板を前記フォトマスクに装着する工程とを含み、前記透過性基板を準備する工程では、前記透過性基板の検査を行う補助工程を有する。また、第23の発明は、第22の発明のフォトマスク製造方法において、前記透過性基板の検査を行う補助工程では、以下の条件(a’),(b’),及び(c)のうち、少なくとも一つの条件について前記検査を行う。
(a’)|ΔTc’|≦0.1λ;
(b’)|ΔΦc’|≦0.1λ;
(c) |Δn|×h≦0.1λ;
ただし、λ:前記露光ビームの波長(cm),ΔTc’:前記透過性基板の厚さを直線近似したときの、該厚さの直線近似からの偏差の最大幅(cm),ΔΦc’:前記透過性基板に平面波を入射させ、前記透過性基板を透過した前記平面波の等位相面を直線近似したときの、該等位相面の直線近似からの偏差の最大幅(cm),Δn:前記透過性基板の前記露光ビームに対する屈折率の最大値と最小値との差,h:前記透過性基板の厚さ(cm),である。また、第24の発明は、転写用のパターンが形成され、所定の露光ビームにより照射されるフォトマスクの製造方法であって、前記露光ビームに対して透過性を有する透過性基板を準備する工程と、前記フォトマスクに前記転写用のパターンを形成する工程と、前記転写用のパターンが形成される面に対して所定の間隔だけ隔離するように前記透過性基板を前記フォトマスクに装着する工程とを含み、前記透過性基板は、所定の厚さを有するとともに、それぞれ前記露光ビームを通過させる第1面と第2面とを有し、該第1面と該第2面とは、ほぼ平面又は所定の屈折力を有する曲面であり、前記第1面と前記第2面とがなす角度をθ(単位:度)、前記第1面の屈折力をφ1(単位:1/mm)、前記第2面の屈折力をφ1(単位:1/mm)とするとき、12.4″≦θ<3′ (20)
−1/6940<φ1+φ2<1/5000 (21)
なる2つの条件式のうち、少なくとも何れか一方の条件式を満足する。ただし、条件式(21)を満足する場合には、φ1≠0及びφ2≠0の少なくとも何れか一方を満足する。また、第25の発明は、転写用のパターンが形成され、波長200nm以下の露光ビームにより照射されるフォトマスクの製造方法であって、前記露光ビームに対して透過性を有する透過性基板を準備する工程と、前記フォトマスクに前記転写用のパターンを形成する工程と、前記転写用のパターンが形成される面に対して所定の間隔だけ隔離するように前記透過性基板を前記フォトマスクに装着する工程とを含み、さらに前記透過性基板にフッ化物を含む反射防止コート層を設ける工程を含む。また、第26の発明は、第25の発明の製造方法において、前記フッ化物は、LaF3とMgF2との少なくとも何れか一方を含むものである。また、第27の発明は、転写用のパターンが形成され、所定の露光ビームにより照射されるフォトマスクの製造方法であって、前記露光ビームに対して透過性を有する透過性基板を準備する工程と、前記フォトマスクに前記転写用のパターンを形成する工程と、前記転写用のパターンが形成される面に対して所定の間隔だけ隔離するように前記透過性基板を前記フォトマスクに装着する工程と、前記転写用のパターンの前記露光ビームの進行方向に沿った位置を変更するための手段を前記フォトマスクに設ける工程とを含む。また、第28の発明は、第27の発明の製造方法において、前記手段を前記フォトマスクに設ける工程は、前記フォトマスクに切り欠きを設ける補助工程を含む。また、第29の発明は、第27の発明の製造方法において、前記手段を前記フォトマスクに設ける工程は、前記フォトマスクに出っ張りを設ける補助工程を含む。また、第30の発明は、第27の発明の製造方法において、前記手段を前記フォトマスクに設ける工程は、前記フォトマスクのステージ載置部分とステージとの間に位置するスペーサを準備する補助工程を含む。また、第31の発明は、転写用のパターンがパターン面内に形成され、所定の露光ビームにより照射されるフォトマスクであって、所定の厚さと前記露光ビームに対する透過性とを有する透過性基板と、該透過性基板を前記パターン面に対して所定の間隔だけ隔離して配置するための保持部材とを有し、前記保持部材は、前記透過性基板の光透過面と前記フォトマスクの面とのなす角が1°以内となるように前記透過性基板を保持する。また、第32の発明は、第31の発明のフォトマスクにおいて、前記保持部材は、前記透過性基板の光透過面と前記フォトマスク面とのなす角度が5′以内となるように前記透過性基板を保持する。また、第33の発明は、第31の発明のフォトマスクにおいて、前記保持部材は、前記透過性基板の光透過面と前記フォトマスクの面とのなす角度が1′以内となるように前記透過性基板を保持する。また、第34の発明は、転写用のパターンがパターン面内に形成され、所定の露光ビームにより照射されるフォトマスクの製造方法であって、前記露光ビームに対して透過性を有する透過性基板を準備する工程と、前記フォトマスクに前記転写用のパターンを形成する工程と、前記転写用のパターンが形成される面に対して所定の間隔だけ隔離するように前記透過性基板を前記フォトマスクに装着する工程とを含み、前記透過性基板を準備する工程では、前記透過性基板の厚みの指定値に対して±2μm以内の厚みを有する前記透過性基板を準備する。また、第35の発明は、第32の発明の製造方法において、前記透過性基板を準備する工程では、前記透過性基板の検査を行う補助工程を有し、該補助工程では、前記透過性基板の厚みについて検査する。また、第36の発明は、第31又は第32の発明の製造方法により製造されたフォトマスクである。また、第37の発明は、転写用のパターンがパターン面内に形成され、所定の露光ビームにより照射されるフォトマスクであって、前記パターン面に対して所定の間隔だけ隔離して配置され、所定の厚さを有するとともに、それぞれ前記露光ビームを通過させる第1面と第2面とを有し、前記第1面と前記第2面との局所的な角度は0.4″以内であり、前記第1及び第2面と前記パターン面との局所的な角度は12″以内である。また、第38の発明は、転写用のパターンが形成され、所定の露光ビームにより照射されるフォトマスクの製造方法であって、前記露光ビームに対して透過性を有する透過性基板を準備する工程と、前記フォトマスクに前記転写用のパターンを形成する工程と、前記転写用のパターンが形成される面に対して所定の間隔だけ隔離するように前記透過性基板を前記フォトマスクに装着する工程とを含み、前記透過性基板は、所定の厚さを有するとともに、それぞれ前記露光ビームを通過させる第1面と第2面とを有し、前記透過性基板を準備する工程は、前記透過性基板を検査する補助工程を含み、該補助工程では、前記第1面と前記第2面との局所的な角度と、所定の基準面に対する前記第1及び第2面の局所的な角度とに関して検査する。また、第39の発明は、第36の発明の製造方法において、前記第1面と前記第2面との局所的な角度0.4″以内であり、前記所定の基準面に対する前記第1及び第2面の局所的な角度は12″以内である。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に基づいて本発明の実施の形態にかかるフォトマスクを説明する。本実施形態は、例えばArFエキシマレーザ(波長193nm)、又はF2レーザ(波長157nm)のような短波長の露光光を使用する投影露光装置において、転写用原板として使用されるマスク(レチクル)に本発明に適用したものである。
【0028】(第1実施形態)図1(A)は、本実施形態のマスク1をパターン面側から見た底面図、図1(B)は、その側面図を示し、図1(A),(B)において、マスク1は、石英ガラスや蛍石等の紫外線に対して透過性基板の底面(以下「パターン面1P」という)に矩形の枠状の遮光帯51を形成し、この遮光帯51の内側のパターン領域52に原版パターンを描画して形成されている。また、パターン面1P上に遮光帯51を挟むように1対のアライメントマーク53A,53Bが形成されている。
【0029】そして、パターン面1P上に遮光帯51、及びアライメントマーク53A,53Bを囲むように矩形の枠状の保持フレーム2がオプティカルコンタクトの状態で接着固定(単純支持)されている。オプティカルコンタクトにより接着させることで、パターン面1Pと保持フレーム2との密閉率が向上すると共に、密着度も向上するので力学的な歪みが生じにくくなる。そして、波長λの紫外線に対して透過性の厚さh、一辺の長さaの正方形の基板3が保持フレーム2と同じ部材で一体的に形成されている。ここで、透過性基板3と保持フレーム2との材質としては、例えば石英ガラス(SiO2)、螢石(CaF2)、弗化マグネシウム(MgF2)等を使用することができる。また、石英ガラスとしては合成石英を使用できる。また、短波長の光に対する耐性を強化するためにフッ素(F)をドープした石英ガラス、フッ素に加えて水素もドープされた石英ガラス、OH基を含有させた石英ガラス、フッ素に加えてOH基を含有する石英ガラス等の改良石英ガラスも用いることができる。なお、フッ素をドープした石英ガラスにおいて、フッ素濃度は100ppm以上が好ましく、500ppm〜30000ppmの範囲内であることがさらに好ましい。フッ素に加えて水素もドープされた石英ガラスにおいて、水素濃度は、5×1018molecules/cm3以下であることが好ましく、1×1016molecules/cm3以下であることがさらに好ましい。また、OH基を含有させた石英ガラスにおいて、OH基の濃度は10ppb〜100ppmの範囲内であることが好ましい。また、フッ素に加えてOH基も含有する石英ガラスにおいて、フッ素濃度は100ppm以上であり、かつOH基濃度はフッ素濃度よりも低いことが好ましい。さらにこの場合、OH基濃度は10ppb〜20ppmの範囲内であることが好ましい。これらの材料は、紫外線に対する透過性が高いばかりでなく、紫外線に対する耐久性も十分である。そして、これらの材料よりなる平板の両面を研磨して、その厚さがhとなるように加工することで基板3が形成される。
【0030】なお、透過性基板3と保持フレーム2とは一体的に形成されているものに限られず、別々に作製したものを接着剤にて接着固定しても良い。
【0031】透過性基板3はマスク1のパターン面1P上に所定の間隔を隔ててパターン面1Pと平行に配置されている。また、パターン面1P上で保持フレーム2の外側の細長い2つの領域が吸着領域4A、4Bとなっており、マスク1を後述する投影露光装置との間で搬送する際のレチクルローダ系と、及び投影露光装置のレチクルステージとにおいては、マスク1の吸着領域4A、4Bが真空吸着等によって固定される。そして、本例では、パターン面1Pと、保持フレーム2と、透過性基板3とにより囲まれた空間55は密閉されている。従って、空間55は外気とは隔離されているため、マスク1を搬送する途中等において、パターン面1P上の領域52に外気中の塵等の異物が付着することが防止されている。さらに、空間55にHe等の不活性ガスをパージしておくと、パターン面1P及び透過性基板3のマスク側の面については長期間にわたって汚染を防止できる。また、透過性基板3の少なくとも一面には後述するようなマスク誤差を補正する表面加工が施すことが望ましい。
【0032】(第2実施形態)図2(A)は、第2実施形態にかかるマスクの側面図である。底面図は上記第1実施形態と同様であるので省略する。上記第1実施形態では保持フレーム2と透過性基板3とが同じ材質で一体的に形成され、保持フレーム2とマスク1とがオプティカルコンタクトの状態で接着されており、透過性基板3はマスク1に単純支持されている。これに対して、第2実施形態では高強度なチタン合金で形成されている保持フレーム2が接着によりパターン面1Pに固定され、さらに保持フレーム2に透過性基板3が接着固定されている。即ち、本例では透過性基板3は周辺固定されている。このように第2実施形態においても、透過性基板3はマスク1のパターン面1P上に所定の間隔を隔ててパターン面1Pと平行に配置されている。なお、本例の透過性基板3の材質は上記第1実施形態と同じ材料を使用することができる。さらに、上記第1実施形態と同様に、空間55にHe等の不活性ガスをパージしておくと、パターン面1P及び透過性基板3のマスク側の面については長期間にわたって汚染を防止できる。また、透過性基板3の少なくとも一面には後述するようなマスク誤差を補正する表面加工が施すことが望ましい。さらに、透過性基板3は図2(B)に示すような構成で保持することもできる。
【0033】次に、上記各実施形態で述べたような透過性基板の単純支持と周辺固定とについて説明する。すでに上述したように、基板の厚さhは上記条件式(1)、特に周辺固定されている場合に条件式(1)を満足することが望ましく、基板が単純支持されている場合は上記条件式(3)を満足することが望ましい。
【0034】そして、マスク1に透過性基板3の自重が加わるので、マスクの保持位置と、該透過性基板がマスクにかける重力の作用点が近くなれば、マスクにかかる歪みは小さくなる。また、透過性基板、及びマスクと透過性基板とを固定するための保持部材の重量は各々小さいことが望ましいが、透過性基板自体は条件式(1)又は条件式(3)から明らかなように、ある程度の厚みを有する。従って、保持フレームの密度は5g/cm3以下であることが好ましい。さらに、保持フレームは強度が強く引っ張り強度が400MPa以上であると体積を少なくできるので好ましい。
【0035】また、厚さhの透過性基板を有するフォトマスクのパターンを投影光学系を介して被露光基板に投影露光する場合、投影光学系の収差の悪化を抑えるため、透過性基板は、以下の条件(a)乃至(c)のうち少なくとも一つの条件を満足することが望ましい。
(a)|ΔT|≦0.1λ;
(b)|ΔΦ|≦0.1λ;
(c)|Δn|×h<0.1λ;
ただし、λ:前記露光ビームの波長(cm),ΔT:前記透過性基板の厚さの最大値と最小値との差(cm),ΔΦ:前記透過性基板に平面波を入射させたとき、前記透過性基板を透過した前記平面波の等位相面の最大値と最小値との差(cm),Δn:前記透過性基板の前記露光ビームに対する屈折率の最大値と最小値との差,h:前記透過性基板の厚さ(cm)である。
【0036】条件(a)乃至(c)の少なくとも一つを満足しない場合は、投影光学系の歪曲収差及び球面収差が悪化してしまう。さらに好ましくは、条件式(a)乃至(c)のうち二つ以上の条件を満足することが望ましい。
【0037】また、本実施形態のフォトマスクは、波長200nm以下の露光光を用いる高スペックの投影露光装置に使用されるものであり、投影露光装置を他の投影露光装置と入換えた場合でも、各露光装置が有する固有の収差状態に依存しないで良好に使用できることが望ましい。従って、さらに好ましくは、以下の条件(d)乃至(f)の少なくとも一つの条件を満足することが望ましい。
(d)|ΔT|≦0.03λ(e)|ΔΦ|≦0.03λ(f)|Δn|×h<0.03λまた、特開平2−66510号公報に開示されているようなビームスプリッターを用いる光学系では、一般に2本の偏光光を使用する。この場合、透過性基板3が歪みを有していると、偏光成分が乱れてP偏光とS偏光とで良好に分離されずにフレア光の原因となってしまう。このため、透過性基板3の歪みが全面にわたって0.1λ以下であることが望ましい。
【0038】次に、単純支持(第1実施形態)と周辺支持(第2実施形態)との場合の透過性基板3のたわみと該たわみに起因するディストーションとについて図3及び4を参照して説明する。一般に、周辺が支持されている場合の正方形板(透過性基板3)の最大のたわみWmaxは面中心で生じ、次式で表される。
【0039】Wmax≒αpa4/D (4)
ここで、αは比例定数であり、単純支持(図3(A),(B))ではα=0.0041、周辺固定(図4(A),(B))ではα=0.0013である。また、aは正方形の透過性基板3の一辺の長さ、pは単位面積当たりの圧力であり、薄板ガラスでは重力に相当するので、ρを薄板ガラス(透過性基板3)の密度、hを薄板ガラス(透過性基板3)の厚みとしたとき、p=ρhである。さらに、Dは薄板ガラス(透過性基板3)の曲げ剛さであり、Eをヤング率、σをポアソン比としたとき、次式で示される。
【0040】D=Eh3/(12(1−σ2))=Fh3上式(4)から明らかなように、たわみは周辺固定(図4)の方が単純支持(図3)よりも1/3以下になるので好ましい。透過性基板3の形状が長方形の場合、αの値は上述したものと少し異なってくる。しかし、投影露光装置において実際に使用しているマスク(パターン形成領域)は殆どの場合は長方形であってもかなり正方形に近いので、αの値としては長辺の長さを用いることが好ましい。
【0041】次に、透過性基板3にたわみが生じた場合のディストーションの変化について説明する。ディストーションは主に主光線の位置ズレによって生じるので、まず主光線の位置ズレについて考える。投影光学系がマスク側にテレセントリックであるとすると、主光線のズレは透過性基板3(薄板ガラス)の面の傾きにより生ずる。
【0042】図5において、透過性基板3の両面はほぼ平面なので両面の傾き角度をθ1とすると、光線のズレ量xは、三角形ABCについて考えて、tan(θ1−θ2)=x/hより、x=h・tan(θ1−θ2)
となる。ここで、θ1,θ2≒0として、x≒h・tan(θ1−θ2) (5)
そして、スネルの法則よりθ1=nθ2(n:薄板ガラス(透過性基板3)の屈折率)を式(5)に代入して、x≒h・θ1・(n−1)/n (6)
となる。そして、たわみによる影響を考える場合、θの光線入射位置による依存性が問題となる。例えば、θが回転対称であり、正方形の中心位置を回転対称の中心として放物線状になっている場合、θは中心位置からの距離に比例する。従って、光線ずれも中心位置からの距離にのみ比例し、単に倍率成分となるにすぎない。また、より高次成分の傾きであっても回転対称な成分であれば、他のレンズ間隔等を修正することで、収差を減らことができる。
【0043】しかし、殆どの場合、薄板ガラス(透過性基板3)はマスク(マスク上のパターン形成領域または遮光帯)の形に合わせて正方形又はそれに近い長方形になるので、回転対称にはたわまない。よって、必ずいくらかの収差が生じる事になる。このような修正することができない収差は、θのバラツキにより生ずる。θの平均値θaveは中心の最大たわみwmaxより、θave=2wmax/a程度である。バラツキもθaveと同程度であろうから式(6)のθ1にθaveを代入して、次式を得る。
【0044】
【数4】

【0045】そして、式(4)のwmaxを代入して、【0046】
【数5】

【0047】を得る。このディストーション発生量xはパターン面に形成されているパターンの線幅に対して十分小さい必要があり、実用上は全ての要因を合わせても露光波長λに対してλ/10以下であることが望ましい。よって、薄板ガラス(透過性基板3)に許容されるディストーションの量はさらに小さくなりλ/30以下となる。投影光学系の収差や、マスク、ステージの移動誤差等もディストーションを発生させる原因となるので、さらに好ましくは、薄板ガラス(透過性基板3)に許容されるディストーションはλ/100以下が望ましい。すなわち、【0048】
【数6】

【0049】であるが、さらに好ましくは、【0050】
【数7】

【0051】となる。式(8)、(9)を式(7)に代入して、【0052】
【数8】

【0053】となる。式(10)は上記条件式(1)、(3)を一般的に表した式である。
【0054】そして、さらに好ましくは、次式(11)、【0055】
【数9】

【0056】を満足することが望ましい。薄板ガラス(透過性基板3)がこの厚さより薄いと、ディストーションの発生量が大きくなってしまう。
【0057】また、投影光学系の収差を悪化させない為には、薄板ガラス自体の品質(透過性基板3の材料の品質)も高精度に保つこと、即ち、所定値以上の大きさの欠陥を有さないことが望ましい。ガラス基板の欠陥のうち、特にアワ(泡)とキズ(傷)とについて述べる。マスクを射出した光線は特定のNAで広がる。ここで、図6に示すように1枚のガラスGRについて、簡単の為にガラスの厚さの中間位置で諸数値量を計算する。ガラスGRの中間厚さでの光束径(直径)Rは次式(12)で求められる。
【0058】
【数10】

【0059】ここで、NAは投影光学系のウエハ側での開口数である。一方、ガラス基板にアワ、キズ等の欠陥が存在すると、ガラスGRの欠陥部分に入射した光束は散乱等によりパターン露光に不必要な迷光となるか、又は膨大な収差を持ち露光光の収差を悪化させる原因となる。そのため、アワ、キズ等の大きさは、露光光による光束の大きさの1/100程度の大きさまでしか許容されない。このことから、アワ、キズの径の大きさをAとすると、A<R/10となる。従って、次式(13)を満足することが好ましい。
【0060】
【数11】

【0061】式(13)を満足しない場合は、結像面(ウエハ面)でコントラストが低下することや、特定のパターンを解像できないことなどの問題を生ずる。また、種々の投影光学系においても良好にマスクを使用するためには、より好ましくはアワ、キズの大きさは露光光による光束の大きさの1/1000程度の大きさであることが望ましい。この場合、A<R/(10×101/2
であるから、次式(14)を満足することが望ましい。
【0062】
【数12】

【0063】式(14)を満足しないと、投影光学系によっては、所望のパターン線幅や照明条件で特定のパターンを解像できなくなってしまう。
【0064】次に、上記各実施形態にかかるフォトマスクの材質(透過性基板3の材質は螢石)の諸元値及び条件式値を表1に掲げる。
【0065】
【表1】
E=7.73×108(g/cm2
σ=0.26F=6.91×107(g/cm2
ρ=3.18(g/cm3
a=7.5(cm)
α=0.0013n=1.56|β|=4λ=157.6×10-7(cm)
条件式(1) h≧5.97×10-3(cm)=59. 7(μm)
条件式(3) h≧1.882×10-2(cm)=188.2(μm)
条件式(11) h≧1.990×10-3(cm)=199.0(μm)
(ただし、α=0.0013)
条件式(11) h≧6.275×10-2(cm)=627.5(μm)
(ただし、α=0.0041)
条件(d) |ΔT|≦0.03λ条件(e) |ΔΦ|≦0.03λ条件(f) |Δn|×h<0.03λ【0066】上記各実施形態のフォトマスクの透過性基板3の厚さは5mmであるので、条件式(1)、(3)、(11)を満足している。また、条件(d)乃至(f)についても全て満足している。
【0067】次に、アワ等の欠陥に関する諸元値を表2に掲げる。
【0068】
【表2】
0=5.5(mm)
d=5.0(mm)
NA=0.75|β|=4 n=1.56条件式(13) A<0.27(mm)
条件式(14) A<0.086(mm) (15) 【0069】本実施形態ではA<0.086(mm)を満足している。
【0070】[投影露光装置]次に、図1(A)、(B)のマスク(レチクル)1の原板パターンをウエハ等の被露光基板上に転写するために使用する投影露光装置の例について、図7に基づいて説明する。
【0071】図7において、レチクルステージRST上に図1のレチクル1の吸着領域4A,4Bが真空吸着によって保持され、レチクル1のパターン面(下面)1P上に保持フレーム2を介して所定間隔で、露光光に対して透過性の基板3が配置されている。
【0072】そして、露光時に、例えばF2レーザ光源よりなる露光光源11から射出された波長157nmの紫外パルス光よりなる露光光ILは、オプティカル・インテグレータ(ホモジナイザー)、開口絞り、視野絞り(レチクルブラインド)、コンデンサレンズ系等を含む照明系12を経て、均一な照度分布でレチクル1のパターン面1P上のパターン領域を照明する。露光光ILのもとで、レチクル1のパターン面の照明領域内のパターンの像が、両側(又はウエハ側に片側)テレセントリックな投影光学系PLを介して投影倍率β(βは例えば1/4,1/5等)で、フォトレジストが塗布されたウエハ19の露光対象のショット領域上に投影される。投影光学系PLは、鏡筒14内にレチクル側からウエハ側に順にレンズ系L1、レンズ16,17、開口絞り15、及びレンズ系L2を配置して構成されている。以下、投影光学系PLの光軸AXに平行にZ軸を取り、Z軸に垂直な平面内で図7の紙面に平行にX軸を取り、図7の紙面に垂直にY軸を取って説明する。
【0073】先ず、レチクル1は、このレチクル1をXY平面内で位置決めするレチクルステージRST上に吸着保持され、レチクルステージRSTの位置は不図示のレーザ干渉計によって計測されている。一方、ウエハ19は、不図示のウエハホルダ上に真空吸着によって保持され、このウエハホルダは試料台20上に固定され、試料台20はXYステージ21上にX方向、Y方向に移動自在に載置されている。試料台20のXY平面内での位置は、試料台20上の移動鏡22m及びレーザ干渉計22によって計測され、この計測値が主制御系24、及びウエハステージ駆動系23に供給され、ウエハステージ駆動系23は、供給された計測値及び主制御系24からの制御情報に墓づいて、XYステージ21を駆動することによって試料台20の位置決めを行う。また、試料台20の底部には、不図示のオートフォーカスセンサの計測値に基づいて、オートフォーカス方式でウエハ19の表面を投影光学系PLの像面に合わせ込む合焦機構が組み込まれている。
【0074】さらに、レチクルステージRSTの側面方向にレチクルローダ13が配置されており、主制御系24は、レチクルローダ13の動作を制御してレチクルステージRST上のレチクルの交換を行う。また、主制御系24には、露光対象のレチクルの防塵用の透過性の基板(図2では基板3)の厚さ、及びその基板とレチクルのパターン面との間隔等の情報を含む露光データが格納された磁気ディスク装置等の記憶装置25が接続されている。
【0075】本例の投影露光装置はステッパー型(一括露光型)であるため、ウエハ19上の一つのショット領域への露光が終わると、XYステージ21を介しての試料台20のステップ移動によって、ウエハ19上の次のショット領域が投影光学系PLによる露光領域に移動して、レチクル1のパターン像を露光する動作が繰り返される。
【0076】ところで、本例のレチクル1のように、結像光束内に、即ちレチクル1のパターン面1Pからウエハ19までの間に、従来のペリクルに比べて厚い防塵用の透過性の基板3が配置されていると、その基板3の平面度が理想的であっても、投影像に収差が発生してしまう。投影光学系PLが、現在一般的ないわゆる両側テレセントリックな結像光学系であるときには、厚い基板3によって発生する収差は球面収差のみとなるが、投影光学系PLがレチクル側でテレセントリックでない光学系であるときには、像の周辺位置では更に非点収差やコマ収差も生じてしまう。
【0077】そこで、本例の投影露光装置では、投影光学系PLの設計段階から、予め厚い透過性の基板3を含めて収差補正を行うようにしている。これによって、本例のレチクル1のように、結像光路中に基板3を含む場合でも、ウエハ19上に正確なパターン像を形成することができる。これに関して、本例のレチクル1に使用する透過性の基板3の厚さは、その製造時の製造誤差により多少変動する恐れがある。この厚さ変動は、基板3によって発生する収差量を変化させてしまう。その収差量の変化に対応するため、本例の投影光学系PL中の一部の光学部材としてのレンズ16,17は光軸AX方向に微動できるように構成されている。即ち、レンズ16,17はレンズ枠18B内に固定され、レンズ枠18Bは上下動機構18A内に収納され、上下動機構18Aは鏡筒14内に固定されている。上下動機構18A及びレンズ枠18Bより結像状態調整機構が構成されており、主制御系24からの制御情報に応じて、上下動機構18Aは例えば送りねじ方式でレンズ枠18Bを光軸AX方向(Z方向)に微動する。
【0078】主制御系24は、レチクルローダ13を介してレチクルステージRST上のレチクルを交換する毎に、記憶装置25内の露光データファイルより、これから露光するレチクルのパターン面上に配置された防塵用の透過性の基板(図7では基板3)の厚さhを読み出し、この厚さhによる投影光学系PLの収差の変化量を相殺するためのレンズ枠18B(レンズ16,17)の駆動量を求め、この駆動量の情報を上下動機構18Aに送出する。これによって、レンズ16,17のZ方向の位置が調整されて、理想的な結像特性が維持される。
【0079】この際に調整すべき光学状態とは主に球面収差であるため、球面収差を調整する場合には、投影光学系PLの瞳面に位置する開口絞り15の近傍の光学部材の位置を調整することが望ましい。そこで、本例では開口絞り15の近傍のレンズ16,17を微動するようにしている、このように本例では、防塵用の基板3の厚さhに応じて投影光学系PLの結像特性を補正しているため、その基板の厚さhにばらつきがあっても、レチクルのパターンの像を高精度にウエハ上に転写することができる。
【0080】なお、更に他の非点収差、及びコマ収差等も補正する場合には、対応する光学部材の駆動機構を設ければよい。更に、レチクル1のパターン面と基板3との間隔にもばらつきがある場合等には、その間隔も考慮して結像特性の補正量を決定するようにしてもよい。
【0081】[投影光学系]次に、上記投影露光装置に好適な投影光学系PLの数値実施例を説明する。図8は、透過性基板3の厚さを考慮して設計された投影光学系のレンズ構成を示す図である。本投影光学系は反射面M1、M2を含む反射屈折型の光学系である。以下の表3に諸元値を掲げる。全体諸元中のNAはウエハ側の開口数、イメージサークルは露光領域の半径をそれぞれ示し、レンズデータ中の第1カラムは物体側からのレンズ面の番号、第2カラムrはレンズ面の曲率半径、第3カラムdはレンズ面間隔をそれぞれ示している。さらに、非球面係数の欄には、以下の式で非球面を表現した場合の非球面係数を示す。
【0082】Z=(1/r)・y2/[1+(1-(1+K)(1/r)2Y2)1/2]+A・Y4+B・Y6+C・Y8+D・Y10+E・Y12+F・Y14+G・Y16【0083】但し、Zは非球面の頂点における接平面から高さYにおける非球面上の位置までの光軸方向に沿った距離、rは近軸の曲率半径、Kは円錐定数、A〜Gは非球面係数である。
【0084】
【表3】
(全体諸元値)
NA:0.75倍率:1/4イメージサークル(半径):8.2mm露光光波長:157.6nm(レンズデータ)
面番号 r d 硝材名物体面 ∞(平面) 5.5001 1 ∞(平面) 5.0000 薄板ガラス 螢石 2 ∞(平面) 60.7949 3 -281.1116 45.0000 非球面1 螢石 4 -299.5002 63.9789 5 -1017.4868 40.0000 螢石 6 -150.0000 153.5525 非球面2 7 275.1888 35.0000 非球面3 螢石 8 635.6006 28.2119 9 331.5373 29.9668 非球面4 螢石10 732.4869 49.511711 ∞(平面) 41.7982 開口絞り12 -561.5812 20.0000 螢石13 -135.2503 91.7743 非球面514 -136.1220 32.1863 非球面6 螢石15 -137.1607 14.401316 1971.3346 39.9997 非球面7 螢石17 -231.1087 53.756918 198.2050 30.0000 非球面8 螢石19 -122.98 48 69.916520 -117.1135 20.0000 螢石21 137.7481 10.000022 366.9033 223.153823 -2851.2448 45.0000 螢石24 -3642.8842 -45.0000 裏面反射面 螢石25 -2851.2448 -223.1538 主鏡26 366.9033 223.1538 螢石27 -2851.2448 45.000028 -3642.8842 10.0172像面 ∞(平面) 0.0000(非球面データ)
非球面1K= 0.00000 A=-7.15887×10-8 B=-8.48641×10-10C=-9.73476×10-12 D=+3.78058×10-19 E=-3.12830×10-22F=+9.84470×10-26 G=-1.26344×10- 29非球面2K= 0.00000 A=-1.35485×10-8 B=-1.43420×10-13C=+6.02671×10-17 D=-3.53546×10-22 E=-1.03079×10-24F=+1.82784×10-28 G=-1.08066×10-32非球面3K= 0.00000 A=-9.50000×10-8 B=-1.55999×10-11C=-9.69543×10-16 D=-6.43188×10-20 E=-8 .86774×10-24F=+1.20208×10-27 G=-8.46122×10-32非球面4K= 0.00000 A=-8.08174×10-8 B=+1.99825×10-11C=+1.75597×10-15 D=-1.77830×10-20 E=-1.15003×10-23F=-2.69584×10-27 G=+3.13958×10-31非球面5K= 0.00000 A=+1.66877×10-7 B=+1.28916×10-1 1C=+1.93761×10-15 D=-1.17318×10-19 E=-1.50670×10-22F=-3.70935×10-26 G=+9.78834×10-30非球面6K= 0.00000 A=+3.49959×10-8 B=+2.05934×10-11C=+3.48613×10-15 D=+1.27207×10-20 E=-1.14309×10-23F=+1.82360×10-27 G=-3.50697×10-31非球面7K= 0.00000 A=-2.43196×10-7 B=-2.52149×10-11C=-3.61577×10-15 D=-3.80628×10-19 E=-1.87774×10-22F=+3.81208×10-26 G=-1.36952×10-29非球面8K= 0.00000 A=-1.55943×10-7 B=-7.21850×10-13C=+1.28734×10-16 D=+8.98585×10-20 E=-2.31981×10-22F=+1.70210×10-25 G=-4.28404×10-29 【0085】図9は本投影光学系の横収差を示す図である。図からも明らかなように上記実施形態で述べたような透過性基板3を有するレチクル1を使用した場合でも、収差が良好に補正されていることがわかる。なお、投影光学系としては、上記数値実施例にかかるものの他に、例えば特開平11-354436号公報や特開平8-63502号公報に開示される反射屈折型投影光学系や、WO99/25008号公報に開示される屈折型投影光学系などを適用できる。
【0086】(フォトマスクの表面加工)次に、上述したような上記実施形態のレチクルにおいてディストーションを補正するために透過性基板3を加工する手順について説明する。透過性基板3の表面加工は、(A)レチクル(マスク)と投影光学系とを組み合せた状態で行う場合と、(B)レチクル(マスク)単独で行う場合との2通りについて説明する。
【0087】[(A)レチクル(マスク)と投影光学系とを組み合せた状態でディストーションを補正する手順]初めに、ディストーションのランダム成分の補正に先立って、投影対物レンズPLの諸収差のうち対称的な成分の補正を行う。まず、レチクルステージRST上に所定のパターンが形成されたテストレチクルTRlを載置する。このテストレチクルTR1は、例えば図10(A)に示す如く、複数のマークが設けられたパターン領域PA1と、このパターン領域PA1を囲む遮光帯LSTとを有する。そして、図10では不図示ではあるが、テストレチクルTR1には、パターン領域PA1に対して所定の間隔だけ隔離されて配置された透過性基板が設けられている。なお、この透過性基板の厚み及び面形状は既知のものである。ここで、透過性基板の厚みは実使用レチクルに設けられる透過性基板3の厚みと同じである。次に、照明系12の露光光によりテストレチクルTR1をケーラー照明する。この照明されたテストレチクルTR1からの光は、透過性基板3及び投影対物レンズPLを介して、レジスト等の感光材料が塗布されたウエハ19に達し、このウエハ19にテストレチクルTRlのパターン像を形成する。その後、ウエハ19の現像処理を行い、この現像によるレジストパターン像を座標測定機によって計測する。その後、計測されたレジストパターン像の情報に基づいて、光学部材の間隔の調整や、この光学部材のティルト・シフト調整を行い、ディストーションのランダム成分以外の諸収差を補正する。なお、諸収差の補正にあたっては、テストレチクルTR1に設けられた透過性基板(不図示)の面形状に起因する収差を考慮することが好ましい。
【0088】上述の如きディストーションのランダム成分以外の諸収差の補正動作の後に、ディストーションのランダム成分を補正する。まず、上述の補正に用いられたテストレチクルTR1の代わりに、図10(B)に示す如きテストレチクルTR2をレチクルステージRST上に載置する。このテストレチクルTR2は、露光光を遮光する遮光帯LSTで囲まれるパターン領域PA2内にマトリックス状に配列された、すなわち正方格子の格子点上に配列された複数の十字マークM0,0〜M8,8を有し、テストレチクルTR1と同様に、パターン領域PA2に対して所定の間隔だけ隔離されて配置された透過性基板が設けられている。テストレチクルTR2の透過性基板の厚み及び面形状も既知であり、この厚みも実使用レチクルに設けられる透過性基板3の厚みと同じである。なお、テストレチクルTR1のパターン領域PA1上に、テストレチクルTR2の十字マークM0,0〜M8,8を設ける、すなわちテストレチクルTR1とテストレチクルTR2とを共用しても良い。
【0089】次に、図7に戻って、レチクルステージRST上のテストレチクルTR2を照明系12の露光光により照明する。このテストレチクルTR2からの光は、透過性基板3及び投影対物レンズPLを介して、レジスト等の感光材料が表面上に塗布されたウエハ19上の露光領域に達し、このウエハ19にテストレチクルTR2の複数の十字マークM0,0〜M8,8の像(潜像)を形成する。その後、露光されたウエハ19の現像処理を行い、露光された複数の十字マークM0,0〜M8,8をパターン化する。
【0090】ウエハ19上の露光領域EA内においてパターンされた複数の十字マークを図10(C)に示す。なお、図10(C)では、投影光学系が理想光学系(無収差の光学系)である場合の結像位置である理想結像位置を破線の交点で表している。図10(C)において、レチクル1上の十字マークM0,0の像に対応するものが十字パターンP0,0であり、レチクル1上の十字マークM1,0の像に対応するものが十字パターンP1,0であり、レチクル1上の十字マークM8,8の像に対応するものが十字パターンP8,8であり、以下の十字マークと十字パターンとは同様に対応している。
【0091】その後、ウエハ19上に形成された複数の十字パターンP0,0〜P8,8のそれぞれのXY座標を座標測定機によって測定する。本例においては、複数の十字パターンP0,0〜P8,8上に集光する複数の十字マークM0,0〜M8,8からの光束を透過性基板3の表面形状を加工することにより、複数の十字パターンP0,0〜P8,8を理想結像位置に変位させている。以下、具体的な透過性基板3の面形状の算出について説明する。
【0092】図7に示した通り、透過性基板3は、投影対物レンズPLとレチクル1との間の光路中に配置されている。この位置は、比較的に開口数(N.A.)が細い光束が通過する位置であるため、透過性基板3による結像位置の変位を行うにあたっては、透過性基板3の表面形状の変更により変位される光束のうち、代表的に主光線の変位を考えれば良い。
【0093】ここで、図10(C)に示す理想結像位置と複数の十字パターンP0,0〜P8,8とのずれ量であるディストーション量をwとし、複数の十字マークM0,0〜M8,8からの主光線が透過性基板3を通過する点である主光線通過点における透過性基板3の表面の法線の角度変化量をθとするとき、w=β・LR(n−1)・θ (16)
が成立する。なお、上記角度変化量θは、加工前の基準状態における透過性基板3の表面の法線に対するものであり、βは投影光学系の横倍率、LRはレチクル1と透過性基板3の加工される表面との光軸方向に沿った距離、nは透過性基板3の屈折率である。また、(16)式において、透過性基板3の加工される面は、ウエハ19側の面であるとしている。
【0094】従って、前述の座標測定機による複数の十字パターンP0,0〜P8,8の座標と、理想結像位置とのずれ量であるディストーション量から、透過性基板3の表面の主光線通過点における面法線を求められる。これにより、透過性基板3の面法線は各主光線通過点においては定まるが、透過性基板3の表面が連続的につながった形状にならない。従って、以下の手順では、(16)式により求められた透過性基板3の主光線通過点における面法線から曲面補完式を用いて連続的な表面形状としている。
【0095】ここで、曲面補完式としては種々のものが存在するが、本実施例に用いる曲面補完式としては、面法線が既知であり、この面法線から主光線通過点における面の接線ベクトルを求めることができるため、点の座標とその座標における接線ベクトルとから曲面を補完するクーンズ(Coons)の式によるものが好適である。しかしながら、図11(A)に示すように、例えば点Q0と点Q1との隣合う座標における接線ベクトルθ0、θ1が共に等しい場合には、補完される曲線(曲面)がうねってしまう問題が生じる。
【0096】本例において、隣合う主光線通過点を通過する主光線によるディストーション量が等しい場合には、これらの隣合う主光線通過点の間においてもディストーション量を等しくすることが効果的である。ここで、図11(A)に示すように、補完される曲線(曲面)がうねる場合には、隣合う主光線通過点の間におけるディストーションの量と方向とが逐次変化し、ディストーションのランダム成分を補正できないばかりか、測定点の間においてディストーションのランダム成分をさらに発生させてしまうおそれがある。
【0097】そこで、本例では、隣合う主光線通過点の間においてもディストーション量を等しくするために、図11(B)に示すように、座標Q0における接線ベクトルθ0のZ方向のベクトル成分を、Z方向の高さZ1として座標Q0の隣の座標Q1に加える。これにより、隣合う座標Q0,Q1の接線ベクトルが共に等しい場合においても、補完される曲線はこれらの座標Q0,Q1間においてほぼ直線となり、これらの座標Q0,Q1間を通過する主光線はほぼ等しい角度で屈折する。従って、隣合う主光線通過点を通過する主光線によるディストーション量が等しい場合には、これらの隣合う主光線通過点の間においてもディストーション量を等しくすることが可能となる。
【0098】次に、図12(A)乃至図12(E)を参照して、本例における曲面補完の手順を具体的に説明する。なお、図12(A)乃至図12(E)においては、XYZ座標系を採用している。
【0099】〔ステップ1〕まず、図12(A)に示す如く、透過性基板3の被加工面110aにXYZ座標をとる。なお、図12(A)においては、図10(B)に示す複数の十字マークM0,0〜M8,8から図12(B)に示す複数の十字パターンP0,0〜P8,8へ向かう光束の主光線が透過性基板3を通過する主光線通過点Q0,Q1を破線の交点で示している。ここで、上述の(16)式にて求められた各主光線通過点Q0,Q1における法線ベクトルをθi,j(但し本例ではi=0〜8,j=0〜8すなわちθ0,0〜θ8,8と表し、各主光線通過点Q0,0,Q8,8におけるZ方向の高さをZi,j(但し本実施例ではi=0〜8,j=0〜8,すなわちZ0,0,Z8,8)と表す。
【0100】〔ステップ2〕次に、図12(B)に示す如く、主光線通過点のうちのY軸上の端点である主光線通過点Q0,0をZ軸方向の基準として、Z0,0=0とする。
【0101】〔ステップ3〕主光線通過点Q0,0の法線ベクトルθ0,0に基づいて、Y軸上において主光線通過点Q0,0と隣合う座標の主光線通過点Q0,1におけるZ方向の高さZ0,1を次式により算出する。
【0102】
0,1=Z0,j-1+θy0,j-1(y0,j−y0,j-1) (17)
但し、θy0,j:主光線通過点Q0,jにおける法線ベクトルθ0 ,jのY軸方向のベクトル成分、y0,j:主光線通過点Q0,jにおける主光線通過点Q0,0を原点に取ったときの座標値のY軸方向の成分である。
【0103】該ステップ3において、主光線通過点Q0,1におけるZ方向の高さZ0,1は、上記(17)式に基づいて、Z0,1=Z0,0+θy0,0(y0,1−y0,0
より算出される。
【0104】〔ステップ4〕上述の(17)式に基づいて、Y軸上の主光線通過点Q0,2〜Q0,8について、Z方向の高さZ0,2〜Z0,8を算出する。
【0105】〔ステップ5〕主光線通過点Q0,0の法線ベクトルθ0,0に基づいて、X軸上において主光線通過点Q0,0と隣合う座標の主光線通過点Q1,0におけるZ方向の高さZ1,0を以下の(18)式により算出する。
【0106】
i,0=Zi-1,0+θxi-1,0(xi,0−xi-1,0) (18)
但し、θxi,0:主光線通過点Q1,0における法線ベクトルθi,0のX軸方向のベクトル成分、i,0:主光線通過点Qi,0における主光線通過点Q0,0を原点にとったときの座標値のX軸方向の成分、である。
【0107】該ステップ5において、主光線通過点Q1,0におけるZ方向の高さZ1,0は、上記(18)式に基づいて、Z1,0=Z0,0+θx0,0(x1,0−x0,0
より算出される。
【0108】〔ステップ6〕上述の(18)式に基づいて、X軸上の主光線通過点Q2,0〜Q8,0について、Z方向の高さZ2,0〜Z8,0を算出する。
【0109】〔ステップ7〕図12(C)に示す如く、X軸とY軸とに挟まれる主光線通過点Q1,1〜Q8,8のうち、原点Q0,0に近い順からそれぞれZ方向の高さZi,jを以下の(19)式に基づいて算出する。
【0110】
i,j={[Zi-1,j+θxi-1,j(xi,j−xi-1,j)]+[Zi,j-1+θyi,j-1(yi,j−yi,j-1)〕}/2 (19)
ステップ7においては、まず、原点Q0,0に最も近い主光線通過点Q1,1におけるZ方向の高さZ1,1を求める。このとき、主光線通過点Q1,1のZ方向の高さZ1,1は、上記(19)式に基づいて、Z1,1={[Z0,1+θx0,1(x1,1−x0,1)]+[Z1,0+θy1,0(y1,1−y1,0)〕}/2より算出される。ステップ7では、図12(D)に示すように、主光線通過点Q1,1のZ方向の高さZ1,1の算出後、主光線通過点Q1,2,Q2,1,Q2,2…Qi,j…Q8,8のZ方向の高さZ1,2,Z2,1,Z2,2…Zi,j…Z8,8を上記(19)式に基づいて原点Q0,0に近い順から算出する。
【0111】〔ステップ8〕上述のステップ1〜7で求められた主光線通過点Q0,0〜Q8,8におけるZ0,0〜Z8,8と、主光線通過点Q0,0〜Q8,8のXY座標と、主光線通過点Q0,0〜Q8,8での面法線ベクトルθ0,0〜θ8,8から求められる主光線通過点Q0,0〜Q8,8における接線ベクトルとに基づいて、クーンズ・パッチの手法により曲面を張る。すなわち、クーンズ・パッチの制御点を主光線通過点Q0,0〜Q8,8におけるXYZ座標とし、その接線ベクトルを主光線通過点Q0,0〜Q8,8での面法線ベクトルθ0,0〜θ8,8から求められた接線ベクトルとする。
【0112】このステップ8におけるクーンズ・パッチによる曲面補完により、例えば図12(E)に示すような曲面を得ることができる。なお、上述のステップ1〜ステップ8では、ステップ3〜ステップ6で求められるXY方向の基準線をX軸及びY軸上としているが、このXY方向の墓準線が光軸を通るように設定しても良い。このときには、上述のステップ6とステップ7との間に以下のステップAを実行すれば良い。
〔ステップA〕光軸が通過する点でのZ方向の高さを0とするように、上述のステップ3乃至ステップ6にて算出されたY軸上及びX軸上の主光線通過点におけるZ方向の高さにZ方向のオフセットをのせる。
【0113】また、ディストーションの測定点、すなわちテストレチクル上のマークが正方格子の格子点上に配列されていない場合には、各測定点の中間点にあたる正方格子の格子点でのZ方向の高さ及び面法線ベクトルを内挿する。具体的には、Z方向の高さ及び面法線ベクトルを求めるべき正方格子の格子点を囲むディストーションの測定点におけるZ方向の高さ及び面法線ベクトルに、ディストーションの測定点から正方格子の格子点までの距離をウエイト化して乗じれば良い。
【0114】なお、上述のステップ1〜ステップ8においては、ディストーションの測定点の内側の情報のみを使用しているが、より被加工部材としての透過性基板3の表面形状をより滑らかにするためには、ディストーションの測定点に対応する主光線通過点のうち最も外側(光軸から離れる側)の主光線通過点の外側に格子点をとり、この格子点におけるZ方向の高さ及び面法線ベクトルを、最も外側の主光線通過点におけるZ方向の高さ及び面法線ベクトルから外挿すれば良い。また、測定時に使用されるテストレチクルTR2の透過性基板の面形状が理想的なものであれば、上述のように測定されたディストーション量を補正するための面形状を実使用レチクルの透過性基板3へ与えれば良い。但し、テストレチクルTR2の透過性基板の面形状が理想的ではない場合には、テストレチクルTR2の透過性基板の面形状誤差に起因するディストーションがオフセットとして測定されたディストーション量に加わる。従って、テストレチクルTR2の透過性基板の面形状誤差を既知のものとし、測定されたディストーションからテストレチクルTR2の透過性基板の面形状誤差によるディストーションを減じることが好ましい。
【0115】次に、図7に示す投影光学装置から透過性基板3を有するレチクル1を取り外し、ステップ1〜ステップ8により求められた透過性基板3の面形状データに基づいて、取り外された透過性基板3の表面形状の加工を行う。ここで、本実斑例における透過性基板3は、ディストーションのランダム成分を補正するために、その表面形状がランダムで不規則にうねった形状となる。従って、本実施例では、図13に示す如き研磨装置を用いる。なお、図13においてはXZ座標系を採用している。
【0116】図13において、透過性基板3は、XY方向に移動可能なステージ121上に載置されており、その端部がステージ121上のピン121aに当接している。また、ステージ121をXY方向に沿って移動させる駆動部122は、制御部120によって制御されている。駆動部122によるステージ121の移動の際においてそのXY方向における位置を検出するために、エンコーダ、干渉計等からなる検出部130がステージ121に設けられている。この検出部130による検出信号は制御部120へ伝達される。
【0117】また、研磨皿123は,保持部124を介して回転軸125の一端に取り付けられており、図中Z方向を軸として回転可能である。この回転軸125の他端には、制御部120によって制御されるモータ126が取り付けられている。回転軸125を回転自在に支持する軸受127は、図示なき本体に固設されている支持部128に対してZ方向に移動可能に設けられている。この支持部120には、制御部120により制御されるモータ129が取り付けられており、このモータの作用によって軸受127がZ方向に沿って移動し、ひいては研磨皿123がZ方向に沿って移動する。なお、研磨皿123を保持する保持部124には、研磨皿123と透過性基板3との接触圧を検出するためのセンサ(不図示)が設けられており、このセンサからの出力は制御部120へ伝達される。
【0118】次に、図13の研磨装置の動作の説明を簡単にすると、まず、上述のステップ1〜ステップ8により求められた面形状データを制御部120へ入力する。その後、制御部120は、研磨皿123を回転させつつ、駆動部122を介してステージ121をXY方向に沿って移動させる。すなわち、研磨皿123が透過性基板3の被加工面110aをXY方向に沿ってなぞるように移動する。このとき、透過性基板3の被加工面110aにおける研磨量は、該被加工面110aと研磨皿123との接触圧、研磨皿123の滞留時間で決定される。
【0119】その後、図13の研磨装置により加工された透過性基板3に対して反射防止膜を蒸着し、図7の投影光学装置のレチクルステージRST上に加工された透過性基板3を有するレチクル1を載置する。尚、図13の研磨装置においては、研磨皿123はXY方向において固定されているが、ステージ121をXY方向へ移動させる代わりにこの研磨皿123を移動させても良い。なお、上記ではディストーションのランダム成分の補正について説明したが、この手法は、ディストーションのランダム成分の補正には限られず、非対称収差の補正について適用できる。また、上述の例ではテストレチクルTR1,TR2に透過性基板を設けたが、この透過性基板を省いても良い。この場合、後述の図15(A),(B)に示す実施例のように、実使用レチクルに設けられる透過性基板3の厚みにより発生する収差を補正するために、テストレチクルTR1,TR2のパターン形成領域PA1,PA2の光軸方向の位置を基準面から変位させることが望ましい。なお、テストレチクルTR1,TR2のパターン形成領域PA1,PA2の光軸方向の位置を変位させる代わりに、投影光学系を構成する一部の光学部材の位置・姿勢を変更しても良い。
【0120】以上は、レチクル(マスク)と投影光学系とを組み合せた状態でディストーションを補正するように透過性基板3の表面加工を行う場合について説明した。次に、レチクル(マスク)単独でディストーションを補正するように表面加工を行う場合について説明する。
【0121】[(B)レチクル(マスク)単独でディストーションを補正する手順]まず、図10(B)に示すテストレチクルTR2の十字マークM0,0〜M8,8のそれぞれのXY座標を座標測定器で測定する。次に、透過性基板3を介した状態で得られる複数の十字パターンP0,0〜P8,8のそれぞれのXY座標を座標測定機によって測定する。そして、上述の手順に従って透過性基板3の表面形状を加工することにより、複数の十字パターンP0,0〜P8,8を理想位置に変位させる。なお、テストレチクルが図10(A)のようなパターンを有する場合は、パターンのどの位置を測定するかを決定することは一般に困難である。そこで、このような場合には、上述したテストレチクル上のマークが正方格子の格子点上に配列されていない場合に内挿する手順に従って各パターン位置を求めることが望ましい。なお、上記ではテストレチクルTR2のパターン位置誤差を補正したが、この手法は実使用レチクルにも適用できる。
【0122】(第3実施形態)図14(A)〜(C)に基づいて、本発明の第3実施形態について説明する。なお、図14(A)〜(C)においては、フォトマスクのパターン形成面側に該形成面から所定距離だけ離間配置される透過性基板3のみを図示している。ここで、透過性基板3のフォトマスクへの支持方法としては、上述の第1及び第2実施形態の手法を用いることができる。フォトマスクが有する透過性基板3の両面がほぼ平面の場合は、両面の互いになす角度をθとすれば、λ/4n≦θ (22)
を満足すると等厚干渉縞が少なくなる。ここで、λは面の平面度の測定時に用いる光の波長、nは上記波長における該透過性基板3の屈折率をそれぞれ表している。
【0123】このことを図14(A)を用いて説明する。図14(A)において、X=0で暗線であったとき、X=XmのときのXが0からXmまでの縞本数mは、次式で示される。
m・λ=2n・hm=2n・Xm・θ (23)
ここで、縞のピッチが多くなると、干渉縞の間隔が密になり次第に観測できなくなる。人間の肉眼の分解能を考慮すると、観測できなくなる縞のピッチは1本/2mm以上であろうと考えられる。これより、m/Xm=2θ・n/λ(mm)≧1/2(本/mm)
となる。従って、λ/4n≦θ (22)
が等厚干渉縞を観測出来なくなる条件となる。
【0124】ここで、平面度測定用の光は可視光である必要はない。しかし、実用性を考えると、λの下限値は、λ=360nmと考えられる。また、200nm以下の露光光で透過率が確保でき、屈折率が高い材料としては、例えばBaF2が知られている。BaF2の360nmでの屈折率は、バラツキも考慮すると、n(BaF2,360nm)≦1.50である。よって、
となる。このことから、上述の条件式(20)の下限値は12.4″であることが望ましい。
【0125】図14(B),(C)は第3実施形態にかかるフォトマスクが有する透過性基板3に傾斜がついている様子を示している。透過性基板3の材料は石英であり、厚さは0.1mmである。また、傾斜の規格は、25″≦θ≦1′ (24)
となっている。面精度の測定波長が633nmの場合、透過性基板3の波長λ=633nmにおける屈折率nは1.4571である。従って、
となる。このため、本実施形態における規格(24)は条件式(20)を満足していることがわかる。
【0126】また、透過性基板3は両面とも反射防止コート層を有しており、フォトマスク側、投影レンズ側の面とも基板からLaF3/MgF2の2層膜で構成されている。
【0127】(第4実施形態)図14(D),(E)は、第4実施形態にかかるフォトマスクが有する透過性基板3の構成を示す図である。なお、図14(D),(E)においては透過性基板3のみを図示しており、フォトマスク及び保持フレームは図示省略している。なお、透過性基板3のフォトマスクへの支持方法としては、上述の第1及び第2実施形態の手法を用いることができる。第4実施形態の透過性基板3にも傾斜が施されている。この透過性基板3の材料は螢石であり、厚さは0.3mmである。この透過性基板の傾斜規格は、30″≦θ≦1′ (25)
である。
【0128】面精度の測定波長が550nmの場合、透過性基板3(螢石)のλ=550nmにおける屈折率nは1.4349である。従って、
となる。このため、本実施形態における規格(25)は条件式(20)を満足していることがわかる。また、透過性基板3は両面とも反射防止コート層を有しており、フォトマスク側、投影レンズ側の面とも基板からMgF2/LaF3/MgF2/LaF3/MgF2の5層膜で構成されている。なお、反射防止コート層の層数は2層や5層の多層膜には限られず、単層膜であっても良い。
【0129】(第5実施形態)次に、図14(F)を参照して、フォトマスクが有する透過性基板3の面が曲率を有している第5実施形態について説明する。図14(F)に示すように、透過性基板3の上面が曲率φを有している場合を考える。ここで、上面で凸の曲率を正の曲率とする。緩やかな曲率を仮定しているので、図14(F)において、球と、下面に平行な接平面との交点からの距離をxとすれば、hは従来より知られている次のニュートンリングの式で近似することができる。
h=−x2φ/2 (26)
ここで、この透過性基板3において、干渉縞が観察できる可能性があり、面に傾斜が必要となるのは、第3実施形態において上述したように、x=2mmにおいて、λ≧2nh (27)
である。ただし、nは測定波長λ中での透過性基板3の屈折率である。式(26)でx=2mmとして式(27)に代入すれば、φ≧−λ/(4n) (28)
となる。
【0130】また、逆に透過性基板3の上面に凸の曲率φがついている場合も上述と同様の議論が成立し、式(28)と合わせて、−λ/(4n)≦φ≦λ/4 (29)
となる。なお、ここでは透過性基板3の上面に曲率がある場合を仮定したが、下面が曲率を有していても良い。要するに、透過性基板3の上面と下面とのパワーの差が重要となる。上面のパワーをφ1、下面のパワーをφ2とすると(凸面の場合φ>0)、式(29)は次のように一般化される。
−λ/(4n)≦φ1+φ2≦λ/4 (30)
式(30)の下限値と上限値とを定める場合、波長λを可視光とすれば、λ≦800nmとなる。また、200nm以下の波長で透過率を確保でき、かつ低屈折率の材料としてLiFが知られ、その屈折率はn≧1.388である。従って、式(30)は、−1/6940≦φ1+φ2≦1/5000(単位:1/mm) (21)
となる。
【0131】(第6実施形態)次に、図15(A),(B)を参照して、本発明の第6実施形態について説明する。上記図7に示した実施形態では、透過性基板3の厚みによって発生する収差を補正するために、投影光学系を厚い透過性基板3を含めて収差補正し、透過性基板3の製造誤差に起因する収差変動を投影光学系を構成する光学部材の一部の位置・姿勢を調整していた。以下に説明する第6実施形態では、投影光学系とマスク1との距離を変更することによって、透過性基板3の製造誤差に起因する収差変動を補正する。図15(A),(B)は、第6実施形態のマスク1の側面図である。なお、第6実施形態において、透過性基板3のマスク1への支持方法としては、上述の第1及び第2実施形態の手法を用いることができる。図15(A)に示すフォトマスク1は、原板パターンが形成されるパターン領域1Pと、投影露光装置のレチクルステージと接触する部分(レチクルステージによる吸着領域)に設けられた切り欠き面Kとを有する。フォトマスク1の下面(パターン領域1P側の面)におけるパターン領域1Pを囲む位置には、矩形の枠状の保持フレーム2が設けられている。そして、保持フレーム2によって、透過性基板3が固定されている。なお、保持フレーム2及び透過性基板3の材質は上記実施形態と同じものを使用でき、保持フレーム2のフォトマスク1への取り付け手法及び透過性基板3の保持フレーム2への取り付け手法は、上記第1及び第2実施形態と同様な手法を用いることができる。図15(A)のフォトマスク1の切り欠き面Kとパターン領域1Pとの段差(パターン形成面の法線方向の距離)ΔGによって、パターン領域1Pは、レチクルステージによって定められるマスク基準面よりも下側(投影光学系側(ウエハ側))に設定される。この段差ΔGの決定手法について以下に説明する。透過性基板3の厚みhが変動すると、パターン形成面1Pと投影光学系との間の光路長が変化する。ここで、パターン形成面1Pから投影光学系までの光路における波面は、何も収差が発生していない。従って、パターン形成面1Pから投影光学系までの光路長を一定に維持すれば、投影光学系へ入射する波面の状態は変わらず、投影光学系の収差は変動しない。本実施形態では、段差ΔGを設けることにより、パターン形成面1Pと投影光学系との距離を変化させ、透過性基板3の厚みhの変動による光路長変化を補償して収差変動を防いでいる。図15(A)の例では、投影光学系が透過性基板3が存在しない状態(すなわちh=0)で収差補正されている場合に対応するものであり、透過性基板3の厚みhに起因する光路長の増加分を相殺するために、パターン面1Pの投影光学系に対する距離をΔGだけ狭めている。ここで、パターン形成面1Pと投影光学系との間の光路中の雰囲気の露光波長における屈折率をn0とし、透過性基板3の露光波長での屈折率をnとすると、ΔG=(n0・h)−(n・h)
となる。上記図15(A)の例では、透過性基板3の厚みhが0である場合を想定して投影光学系が収差補正されているとき、またはパターン形成面1Pと投影光学系との間隔が設定されているときを考えたが、図15(B)の例は、透過性基板3の厚みhが所定値である場合を想定して、投影光学系が収差補正されているとき、またはパターン形成面1Pと投影光学系との間隔が設定されているときの例である。図15(B)の例では、透過性基板3の厚みhが0.5mmである場合に、投影光学系が収差補正されている、或いはパターン形成面1Pと投影光学系との間隔が設定されているときを前提としている。図15(B)の例において、透過性基板3の厚みhが0.5mmよりも薄くなっているため、フォトマスク1の投影露光装置のレチクルステージと接触する部分(レチクルステージによる吸着領域)に出っ張りDを設けている。この出っ張りDの段差(パターン形成面の法線方向におけるステージ接触部分とパターン形成面との間の距離)ΔGは、透過性基板3の厚み基準値0.5mmからの変動量をΔhとするとき、ΔG=(n0・Δh)−(n・Δh)
となる。なお、図15(B)の例では、出っ張りDをフォトマスク1と一体に設けたが、一体の部材である必要はなく、別部材のスペーサであっても良い。ここで、フォトマスク1のレチクルステージへの吸着(真空吸着、静電吸着等)を考慮すると、別部材のスペーサは接着やオプティカルコンタクトの手法によりフォトマスクに固定されていることが好ましい。
(第7実施形態)図15(A),(B)に示した第6実施形態では、フォトマスク1に切り欠きKや出っ張りDを設けることによって、フォトマスク1のパターン形成面1Pと投影光学系との光路長を一定に保つようにしたが、フォトマスク1を支持するレチクルステージに、パターン形成面1Pと投影光学系との間隔を変更する機構を設けることによっても上記光路長を一定に維持できる。図16は、第7実施形態にかかる投影露光装置の構成を示す図であり、図7と同様の機能を有する部材には同じ符号を付してある。なお、以下においては、説明を簡単にするために、図7と同じ構成についての説明は省略する。図16の投影露光装置において、図7の構成と異なる部分は、フォトマスク1を支持するレチクルステージRSTに、フォトマスク1のZ方向の位置を調整可能とするためのレチクルステージ上下機構部Mを設けた点である。図7の投影露光装置では、フォトマスク1の透過性基板3の厚さ変動に起因する収差量の変動を投影光学系PL中の一部の光学部材の位置・姿勢を調整することにより補正していたが、図16の例では、フォトマスク1のパターン形成面1Pと投影光学系PLとの間隔を調整することにより補正している。図16において、主制御系24は、レチクルローダ13を介してレチクルステージRST上のフォトマスク1を交換する毎に、記憶装置25内の露光データファイルより、これから露光するフォトマスク1のパターン面1P上に配置された防塵用の透過性基板3の厚さhに関する情報を読み出し、この厚さhによる投影光学系PLの収差の変化量を相殺するためのレチクルステージ上下機構部Mの駆動量を求め、この駆動量の情報をレチクルステージ上下機構部Mへ送出する。これにより、フォトマスク1のパターン形成面1Pと投影光学系PLとの間隔が調整されて、理想的な結像特性が維持される。なお、レチクルステージ上下機構部Mの駆動量は、上述の第6実施形態と同様に算出することができる。なお、図16の例において、記憶装置25内の露光データファイルに、透過性基板3の厚さhに関する情報だけではなく、透過性基板3の例えば曲率や傾き等の面形状に関する情報を記憶させておき、この面形状に関する情報も利用しても良い。この場合、主制御系24は、透過性基板3の面形状による投影光学系PLの収差の変化量を相殺するための投影光学系PL中の一部の光学部材(例えばレンズ16,17)の位置及び姿勢の変更量を求め、この変更量の情報を当該光学部材を駆動する駆動機構(例えば18A)へ送出する。これにより、当該光学部材の位置・姿勢が調整されて投影光学系PLの理想的な結像特性が維持される。さて、上述の実施形態図7、図16では、光源として波長157nmF2レーザを使用したが、光源としては、波長193nmの光を供給するArFエキシマレーザ、波長146nmの光を供給するKr2レーザ、波長134nmの光を供給するKrArレーザ、波長126nmの光を供給するAr2レーザ等の200nm以下の露光光を供給するものを用いることができる。また、投影光学系PLの倍率は、縮小倍率のみならず、等倍及び拡大倍率のいずれでも良い。
(第8実施形態)図17(A),(B)は、第8実施形態のフォトマスクの側面図であり、図17では図1及び図2と同様の座標系を採用している。図17(A)において、フォトマスク1のパターン面1Pの外側には、XY平面において矩形枠状の外形を有する保持フレーム2が取り付けられており、この保持フレーム2の−Z方向の端面(保持フレーム2のパターン面1Pと反対側の端面)には、露光ビームに対して透過性を有する透過性基板3が取り付けられている。図17(B)において、パターン面1Pと平行な面を基準面Lとすると、透過性基板3の基準面Lとなす角度εは1°以内であることが好ましい。ここで、角度εが1°を越える場合には、この透過性基板3から偏心コマ収差が発生するため好ましくない。なお、上記実施例のように、露光波長として200nm以下の光を用いる場合には、パターン像の線幅が細くなるため許容される偏心コマ収差量も小さくなる。従って、このような場合、角度εは5′以内であることが好ましい。さらに、透過性基板3の取り付けの角度誤差εを他のバジェットに振り分けられないことを想定すると、角度εは1′以内であることが好ましい。上記の角度誤差εは、像面での偏心コマ収差量をΔY、投影光学系の像側開口数をNA、像面上での瞳近軸光線の入射高を1で規格化したときの該瞳近軸光線の透過性基板3での入射高をhp、投影光学系の投影倍率をα、透過性基板3の露光波長での屈折率をN、透過性基板3の軸上厚をdとするとき、以下の式(31)で表される。
【数13】

なお、式(31)において、角度εの単位はラジアン[rad]である以下に数値例を掲げる。
【表4】
ε=1°NA=0.75α=1/4hp=4d=0.3mmN=1.56ΔY=26nmなお、パターン像の解像線幅に応じて許容偏心コマ収差ΔYを定めれば、上記(31)式により許容角度誤差εを算出することができる。
(第9実施形態)図18(A)は、第9実施形態にかかるフォトマスクの透過性基板を示す図である。図18(A)において、フォトマスク及び保持フレームは図示省略しているが、透過性基板3は、上記第1、第2又は第8実施形態の何れかにかかる手法で保持されている。図18(A)において、透過性基板3の厚みをhとし、設計上の透過性基板3の厚み(透過性基板3の指定値)をHとするとき、厚み公差Δh(Δh=h−H)が±2μm以内であることが好ましい。ここで、厚み公差Δhが±2μmを上回ると、投影光学系の瞳収差(フォトマスク1側における各物体高でのテレセントリック性に対応)に起因して発生するディストーションが無視し得ない値となるため好ましくない。なお、この厚み公差Δhは、透過性基板3の設計上の厚みHとは無関係に定まる。
(第10実施形態)図18(B),(C)は、第10実施形態にかかるフォトマスクの透過性基板を示す図である。図18(B),(C)において、フォトマスク及び保持フレームは図示省略しているが、透過性基板3は、上記第1、第2又は第8実施形態の何れかにかかる手法で保持されている。図18(B)において、所定の基準面をLとする(典型的に基準面Lはパターン面と平行である)。このとき、透過性基板3の光透過面の接平面と基準面Lとのなす角度Wは、当該光透過面の何れの箇所に対応する角度Wであっても、0.4″以内であることが好ましい。ここで、角度Wが0.4″を上回る場合には、透過性基板3により発生するディストーションが大きくなり過ぎるため好ましくない。また、図18(C)において、透過性基板3の第1面と第2面とが平行である場合、これら第1面の接平面L1及び第2面の接平面L2と基準面Lとのなす角度Tは、当該光透過面の何れの箇所に対応する角度Tであっても、12″以内であることが好ましい。ここで、角度Tが12″を上回る場合は、透過性基板3により発生するディストーションが大きくなり過ぎるため好ましくない。
【0132】また、本発明は、ウエハ上の1つのショット領域ヘマスクパターン像を一括的に転写した後に、投影光学系の光軸と直交する面内でウエハを逐次二次元的に移動させて次のショット領域にマスクパターン像を一括的に転写する工程を繰り返すステップ・アンド・リピート方式(一括露光方式)や、ウエハの各ショット領域への露光時にマスクとウエハとを投影光学系に対して投影倍率βを速度比として同期走査するステップ・アンド・スキャン方式(走査露光方式)の双方に適用することができる。なお、ステップ・アンド・スキャン方式では、スリット状(例えば、細長い矩形状)の露光領域内で良好な結像特性が得られればよいため、投影光学系を大型化することなく、ウエハ上のより広いショット領域に露光を行うことができる。
【0133】さて、本発明のフォトマスクは以下の工程で製造することができる。以下、フォトマスクの製造工程を図19のフローチャートを参照して説明する。図19において、ステップS100においてマスクパターンのデータを作成する。また、このステップS100とは並列に、ステップS201において光透過性基板からなるマスク基板を作成する。このステップS201では、例えば石英や上記改良石英等のマスク基板材料を研削・研磨した後、クロム等の遮光膜を蒸着やスパッタで表面に形成する。また、一般的には、このステップS201において、感光性樹脂(レジスト)をマスク基板に塗布しておく。なお、上記第6実施形態のようにマスクの周囲(ステージに載置される位置)に切り欠きを設ける場合には、このステップS201で行うことが好ましい。ステップS202では、ステップS100にて形成されたマスクパターンデータに基づいて、感光性樹脂が塗布されたマスク基板にパターン描画を行った後、現像、ポストベーク、デスカム、エッチング、レジスト除去等のプロセス処理を行い、マスク基板上にパターンを形成する。なお、マスク基板へのパターン描画手法としては、電子線露光装置を用いたリソグラフィの手法のみならず、例えばWO99/34255号、WO99/50712号、WO99/66370号などに開示されるマザーレチクルからガラス基板などへ回路パターンを転写する露光装置を用いたリソグラフィの手法を用いることができる。ステップS203では、ステップS100にて形成されたマスクパターンデータ(マスク設計データ)と、ステップS202で作成されたパターンとを、パターン寸法精度、パターン位置精度、そして外観品質の観点で比較検査する。ステップS204では、ステップS203の検査結果に基づいて、スポット露光法、シフトオフ法、レーザビーム法、レーザCVD法、イオンビーム法等を用いてマスクパターンの白欠陥や黒欠陥、半透明欠陥等の欠陥の修正を行う。上記のステップS201〜S204とは並列に、ステップS300では、防塵用透過性基板の作成を行う。この防塵用基板の作成にあたっては、まず、石英や上記改良石英等の基板材料を研削・研磨し、この基板材料の厚み、面形状(面の平面度)、内部欠陥、屈折率分布等が上記実施形態で説明した規格内に入っているか否かを検査し、その表面に反射防止コートを施す。ステップS205においては、フォトマスクに付着している異物を精密洗浄で取り除いた後、上記ステップS300で作成された防塵用透過性基板を保持フレームを介してフォトマスクに装着する。なお、防塵用透過性基板の2つの光透過面に傾斜角が設けられている場合、この傾斜の方向を各フォトマスクでそろえておくことが好ましい。また、上記第6実施形態のようにマスクの周囲(ステージに載置される位置)に出っ張りを設ける場合には、このステップS205で行うことが好ましい。そして、防塵用透過性基板が装着されたフォトマスクの異物検査等の最終品質確認を行うことにより、本発明にかかるフォトマスクが製造される。ところで、上述の各実施例では、半導体素子の製造に用いられる投影露光装置に本発明を適用している。しかしながら、半導体素子の製造に用いられる露光装置だけでなく、液晶表示素子などを含むディスプレイの製造に用いられる、デバイスパターンをガラスプレート上に転写する露光装置、薄膜磁気ヘッドの製造に用いられる、デバイスパターンをセラミックウエハ上に転写する露光装置、撮像素子(CCDなど)の製造に用いられる露光装置などにも本発明を適用することができる。また、レチクルまたはマスクを製造するためにガラス基板またはシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも、本発明を適用することができる。
【0134】なお、本発明は上述の実施の形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得ることはいうまでもない。
【0135】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のフォトマスクによれば、短波長の露光ビームに対しても十分な耐久性を有すると共に、転写用のパターンに対する異物の付着を防止できるフォトマスクを提供できる。また、本発明によれば、透過性基板の面精度を容易に測定することができ、かつ透過性基板が低反射であるフォトマスクを提供すると共に、この透過性基板が色々な厚さを持つ場合でも諸収差を低減できるフォトマスクを提供できる。さらに本発明の投影露光装置及び投影露光方法によれば、微細な転写用パターンを高精度にかつ収差なく、高スループットで投影露光することができる。




 

 


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