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発明の名称 狭帯域光フィルタおよびその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−215325(P2001−215325A)
公開日 平成13年8月10日(2001.8.10)
出願番号 特願2000−26424(P2000−26424)
出願日 平成12年2月3日(2000.2.3)
代理人 【識別番号】100066153
【弁理士】
【氏名又は名称】草野 卓 (外1名)
【テーマコード(参考)】
2H048
【Fターム(参考)】
2H048 GA04 GA13 GA44 GA56 GA57 GA60 GA62 
発明者 上原 昇
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 高屈折率層と低屈折率層を交互に積層して形成した誘電体多層膜の間にスペーサ層を介在させて構成したN段のキャビティ型光フィルタより成る狭帯域光フィルタにおいて、誘電体多層膜Fは、高屈折率物質A、低屈折率物質B、およびスペーサ層を構成する物質Cを、F1 =[(HL)M N S(LH)M L]N2 =[(LH)M N S(HL)M H]Nの何れかで記述される膜厚に積層形成され、スペーサ層を構成する物質Cは、高屈折率物質Aの短波長側吸収端波長λa および低屈折率物質Bの短波長側吸収端波長λb の何れよりも大きい短波長側吸収端波長λc を有し、更に、λa 、λb <λp <λcの関係を満足する波長λpなる光の照射を受けて色中心を発生する物質より成ることを特徴とする狭帯域光フィルタ。
但し、λ0 :設計波長H:高屈折率物質Aの層および光学的膜厚=λ0 /4nAL:低屈折率物質Bの層および光学的膜厚=λ0 /4nBS:スペーサ層および構成する物質Cの光学的膜厚=λ0 /4nCM:HおよびLの繰り返しペアー数、正の整数N:キャビティ型光フィルタの段数、正の整数fN:正の整数【請求項2】 請求項1に記載される狭帯域光フィルタにおいて、高屈折率物質AはTa2 5 より成り、低屈折率物質BはSiO2 より成り、スペーサ層を構成する物質Cは(Pb1-xLax)(ZrYTi1-Y1-X/43より成ることを特徴とする狭帯域光フィルタ。
【請求項3】 高屈折率層と低屈折率層を交互に積層して形成した誘電体多層膜の間にスペーサ層を介在させて構成したキャビティ型光フィルタより成る狭帯域光フィルタの製造方法において、高屈折率物質Aと低屈折率物質Bを基板の表面に交互に蒸着して誘電体多層膜を積層形成し、この誘電体多層膜の表面にスペーサ層を蒸着して形成し、スペーサ層の表面に低屈折率物質Bと高屈折率物質Aを交互に蒸着して誘電体多層膜を積層形成してキャビティ型光フィルタを構成し、スペーサ層を構成する物質Cとし、高屈折率物質Aの短波長側吸収端波長λaおよび低屈折率物質Bの短波長側吸収端波長λb の何れよりも大きい短波長側吸収端波長λc を有する物質を使用し、ここで、λa 、λb <λp <λc の関係を満足する波長λp なる光によりキャビティ型光フィルタを上面から照射してスペーサ層の屈折率を変化させることを特徴とする狭帯域光フィルタの製造方法。
【請求項4】 請求項3に記載される狭帯域光フィルタの製造方法において、キャビティ型光フィルタの複数段を順次に積層構成し、キャビティ型光フィルタを1段構成する度毎に最終段のキャビティ型光フィルタを上面から照射してスペーサ層の屈折率を変化させることを特徴とする狭帯域光フィルタの製造方法。
【請求項5】 請求項3および請求項4の内の何れかに記載される狭帯域光フィルタの製造方法において、積層されたキャビティ型光フィルタの光透過特性を計測して光を照射することを特徴とする狭帯域光フィルタの製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、狭帯域光フィルタおよびその製造方法に関し、特に、狭帯域光フィルタを構成する誘電体多層膜の膜厚に対する要求精度を緩和する多層膜構造を有する狭帯域光フィルタおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】誘電体多層膜を成膜して構成した狭帯域光フィルタの従来例は、屈折率の異なる2種類の誘電体薄膜を成膜して構成している。ここで、2の誘電体の内の一方を物質A、他方を物質Bとし、それぞれの屈折率をnA 、nB とすると、3 =[(HL)M sH(LH)M L]N (7)
4 =[(LH)M sL(HL)M H]N (8)
5 =[(HL)M HsLH(LH)M L]N (9)
6 =[(LH)M LsHL(HL)M H]N (10)
の内の何れかの薄膜構造が採用されている。誘電体多層膜F3 、F4 、F5 或いはF6 は基板上に蒸着される。HおよびLは、それぞれ、誘電体の層および膜厚を示し、その膜厚はH=λ0 /4nA、L=λ0 /4nBである。但し、λ0 は設計波長、MはHLのペアーの繰り返し数或いはLHのペアーの繰り返し数、Nは後で説明される[]で囲われるキャビテイ型光フィルタの段数、sはスペーサである。MおよびNはそれぞれ正の整数(=1、2、3、・・・・・・)である。以上の各式の意味するところを数字を当てはめて示すと、(HL)3 はHLHLHLの如くHLの2層ペアを繰り返して3回積層することを意味する。(LH)3 は、逆に、LHLHLHの如くLHの2層ペアを繰り返して3回積層することを意味する。
【0003】ところで、光通信光フィルタの技術分野においおては、現在、設計波長1550nmにおいて通過波長幅1nmという狭帯域の光フィルタが要求されている。この狭帯域の光フィルタが式(9)のF5 の膜構成をとる場合、物質Aである屈折率2. 0のTa2 5 の膜を使用してHを形成し、他方を物質Bである屈折率1. 45のSi02 膜を使用してLを形成すると、5 =[(HL)7 8L H(LH)7 L]N (11)
において、N=3の場合に満足される。
【0004】N=1、2、3の各場合の膜構成を図2に示す。なお、図2はM=7で描かれてはいない。図2(a)はN=1の1キャビテイ型光フィルタ、(b)はN=2の2キャビティ型光フィルタ、(c)はN=3の3キャビティ型光フィルタと呼ばれている。キャビティ型フィルタの段数を1段、2段、3段と積み重ねるに従って、図11に示される如く透過特性を急峻にすることができる。ここで、図11(a)は1キャビティ型光フィルタの透過特性を示し、(b)は2キャビティ型光フィルタの透過特性を示し、(c)は3キャビティ型光フィルタの透過特性を示す。
【0005】先の光通信用狭帯域光フィルタにおいては、或る波長の信号のみ透過し、それ以外の波長成分の信号は遮断することを要求される場合がある。この場合、3個のキャビティ型光フィルタE1 の通過波長λi 、E2 の通過波長λi およびE3の通過波長λi (λi :i=1、2、3とする。)は一致することが望ましい。即ち、λ1 =λ2 =λ3 が成立する必要がある。波長1550nmにおいて通過波長幅1nmが要求される通常の狭帯域光フィルタにおいては、3個のキャビティ型光フィルタの通過波長を一致させるには、多層膜の各層の膜厚を高精度に成膜積層する必要がある。この際の要求精度は0. 01%である。これは、膜厚を1000nmとした場合、蒸着される膜厚誤差として許容されるのは僅かに0.1nmであることを意味する。現在、これ程の厳しい要求精度の元で狭帯域光フィルタの製造が実施されており、特に、高精度成膜をすることができるイオンビームスパッタ法(IBS法)、原子ビームスパッタ法(FAB−SD法)、或いはイオンアシスト蒸着法(IAD法)、およびこれら応用した高精度成膜法を採用することのみに依って、狭帯域光フィルタの製造が行われている。しかし、この種の高精度成膜法を以てしても、装置の諸条件、安定性を確保することが困難であるところから通常の膜厚精度は数%程度という低いものであり、0. 01%の要求精度を満足する成功率は低く、歩留まりは数%程度に過ぎない。従って、製造時間も長時間に亘ることとなり、製造コストは高くならざるを得なかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、1キャビティ型光フィルタをN段積み重ねて構成される狭帯域光フィルタにおいて、第1段目の1キャビティ型光フィルタを蒸着した後、その光透過特性を測定し、光透過特性が設計通過波長からずれている場合はこの波長ずれ量に相当する補正をこの第1段目の1キャビティ型光フィルタに施し、補正を施した後に第2段目の1キャビティ型光フィルタを第1段目の1キャビティ型光フィルタ上面に蒸着構成し、以降、これを繰り返すことにより上述の問題を解消した狭帯域光フィルタおよびその製造方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1:高屈折率層と低屈折率層を交互に積層して形成した誘電体多層膜の間にスペーサ層を介在させて構成したN段のキャビティ型光フィルタより成る狭帯域光フィルタにおいて、誘電体多層膜Fは高屈折率物質A、低屈折率物質B、およびスペーサ層を構成する物質Cを、F1 =[(HL)M N S(LH)M L]N2 =[(LH)M N S(HL)M H]Nの何れかで記述される膜厚に積層形成され、スペーサ層を構成する物質Cは、高屈折率物質Aの短波長側吸収端波長λa および低屈折率物質Bの短波長側吸収端波長λb の何れよりも大きい短波長側吸収端波長λc を有し、更に、λa 、λb <λp <λcの関係を満足する波長λpなる光の照射を受けて色中心を発生する物質より成る狭帯域光フィルタを構成した。
【0008】但し、λ0 :設計波長H:高屈折率物質Aの層および光学的膜厚=λ0 /4nAL:低屈折率物質Bの層および光学的膜厚=λ0 /4nBS:スペーサ層および構成する物質Cの光学的膜厚=λ0 /4nCM:HおよびLの繰り返しペアー数、正の整数N:キャビティ型光フィルタの段数、正の整数fN:正の整数そして、請求項2:請求項1に記載される狭帯域光フィルタにおいて、高屈折率物質AはTa2 5 より成り、低屈折率物質BはSiO2 より成り、スペーサ層を構成する物質Cは(Pb1-xLax)(ZrYTi1-Y1-X/43より成る狭帯域光フィルタを構成した。
【0009】ここで、請求項3:高屈折率層と低屈折率層を交互に積層して形成した誘電体多層膜の間にスペーサ層を介在させて構成したキャビティ型光フィルタより成る狭帯域光フィルタの製造方法において、高屈折率物質Aと低屈折率物質Bを基板の表面に交互に蒸着して誘電体多層膜を積層形成し、この誘電体多層膜の表面にスペーサ層を蒸着して形成し、スペーサ層の表面に低屈折率物質Bと高屈折率物質Aを交互に蒸着して誘電体多層膜を積層形成してキャビティ型光フィルタを構成し、スペーサ層を構成する物質Cとし、高屈折率物質Aの短波長側吸収端波長λa および低屈折率物質Bの短波長側吸収端波長λb の何れよりも大きい短波長側吸収端波長λc を有する物質を使用し、ここで、λa 、λb <λp <λc の関係を満足する波長λp なる光によりキャビティ型光フィルタを上面から照射してスペーサ層の屈折率を変化させる狭帯域光フィルタの製造方法を構成した。
【0010】そして、請求項4:請求項3に記載される狭帯域光フィルタの製造方法において、キャビティ型光フィルタの複数段を順次に積層構成し、キャビティ型光フィルタを1段構成する度毎に最終段のキャビティ型光フィルタを上面から照射してスペーサ層の屈折率を変化させる狭帯域光フィルタの製造方法を構成した。また、請求項5:請求項3および請求項4の内の何れかに記載される狭帯域光フィルタの製造方法において、積層されたキャビティ型光フィルタの光透過特性を計測して光を照射する狭帯域光フィルタの製造方法を構成した。
【0011】
【発明の実施の形態】この発明は、キャビティ型光フィルタを構成する多層の各誘電体薄膜が膜厚誤差を有して設計通過波長からずれた光透過特性を示すキャビティ型光フィルタが構成されたとしても、ずれ量が或る補正範囲内に収まっていれば、このキャビティ型光フィルタのずれ量を補正することができるキャビティ型光フィルタを構成する。即ち、この発明の狭帯域光フィルタを構成するキャビティ型光フィルタの膜構造は、上述した式(7)、(8)、(9)或いは(10)で与えられる2種類の物質を交互に成膜構成したキャビティ型光フィルタの従来例の膜構造とは異なり、先の誘電体物質Aおよび誘電体物質Bとは異なる第3の物質である誘電体物質Cより成るスペーサを具備する。以下、図1を参照して具体的に説明する。
【0012】図1を参照するに、この発明の狭帯域光フィルタは、ガラス基板1の上表面に屈折率nA の誘電体物質A、屈折率nB の誘電体物質Bを交互に積層して形成した誘電体多層膜の間に屈折率nC の誘電体物質Cより成るスペーサ層を介在させて構成した誘電体多層膜により構成される。誘電体多層膜Fは以下の式(1)或いは式(2)により表現される。
1 =[(HL)M N S(LH)M L]N (1)
2 =[(LH)M N S(HL)M H]N (2)
ここで、Hは誘電体物質Aより成る誘電体膜およびその膜厚を示し、Lは誘電体物質Aより成る誘電体膜およびその膜厚を示し、Sはスペーサである。fN Sは誘電体物質Cより成るスペーサの膜厚である。そして、 H=λ0 /4nA (3)
L=λ0 /4nB (4)
S=λ0 /4nC (5)
である。
【0013】但し、λ0 は設計波長、M、N、fN はそれぞれ正の整数(=1、2、3、・・・・)である。ここで、誘電体物質A、誘電体物質B、誘電体物質Cの短波長側の吸収端波長をそれぞれλa 、λb 、λc とすると、誘電体物質Cとして、 λa 、λb <λc (6)
を満足する誘電体物質を使用する。
【0014】ここで、図2を参照して説明する。図2(a)は、ガラス基板1の上表面に蒸着形成された設計波長1550nm用1キャビティ型光フィルタを示す。ガラス基板1の上表面に1キャビティ型光フィルタを蒸着して構成後、この1キャビティ型光フィルタについて図3に示される透過特性評価装置によりその光透過特性を測定する。透過特性評価装置は、光波長分析器23、平行ビーム受光用光ファイバコリメータ25、白色光源装置20、平行ビーム出射用光ファイバコリメータ22により構成される。光波長分析器23と光ファイバコリメータ25とは光ファイバ24を介して接続されている。白色光源装置20と光ファイバコリメータ22は光ファイバ21を介して接続されている。光波長分析器としては光スペクトラムアナライザが使用される。
【0015】図4を参照するに、図3に示される第1段目の狭帯域光フィルタの実測透過特性は、通過波長が1549nmの点線により示される特性であるものとする。ここで、実線は設計波長1550nmの透過特性を示している。点線で示される実測された通過波長は、設計波長と比較して0. 1%だけ短かいことになる。これはスペーサ層の光学的膜厚が0. 1%だけ設計よりも短いことを意味している。ところで、或る誘電体物質について、これをその吸収端波長より短い光により照射することにより、この誘電体物質内に色中心或いはカラーセンターと称されている格子欠陥が発生し、誘電体物質内に色中心を発生させることによりその屈折率が変化する。一般に、誘電体物質においては、吸収端波長より短い波長の紫外線により照射すると、屈折率は増加する傾向を示すことが知られている。
【0016】この発明はこの色中心効果を利用する。即ち、先の式(6)を満足する誘電体物質Cより成るスペーサ層を含むキャビティ型光フィルタを構成し、このキャビティ型光フィルタに対して、 λa 、λb <λp <λc (12)
を満足する波長λp の紫外線であるレーザ光を照射し、スペーサ層のみにレーザ光を吸収作用させる。誘電体物質Aおよび誘電体物質Bより成る部分はこの波長λp のレーザ光は透明であるので何らの影響も蒙らない。図3に示される透過特性評価装置を使用し、キャビティ型光フィルタを波長λp のレーザ光により照射してその透過特性を測定しながら、色中心効果によりスペーサ層の屈折率を変化させる。スペーサ層の屈折率が変化すると、この変化に比例してキャビティ型光フィルタの通過波長も変化するので、設計通過波長からのずれ量を補正して設計透過特性を有する 光フィルタに調整することができる。色中心効果は照射される波長および照射強度により単位時間当たりの屈折率変化量が異なるので、高精度に補正したい場合は照射強度を低下して徐々に補正を実施する。なお、この発明において採用する色中心効果は、屈折率を増加させる方向、即ち光フィルタの通過波長を長波長側へ補正することはできるが、短波長側へ補正することは困難である。しかし、光通信分野においては、国際電気通信連合ITU(Internationa1 TeleCommunication Union)により定められた複数のチャンネルが使用され、図5に示されるが如き複数のチャンネルが光周波数193. 1THz を基準に100GHz (波長0. 8nm)間隔で各チャンネルが割り当てられている。従って、製造された光フィルタは、長波長側にある何れかのITUチャンネル用に補正して利用することができる。
【0017】光通信用の狭帯域光フィルタとして、3キャビティ型光フィルタが使用されるが、この様な多段のキャビティ型光フィルタにおいては、以下の工程を採用して設計通りの狭帯域光フィルタを製造することができる。
(工程1) 第1段目のキャビティ型光フィルタをIBS法により製造する。
(工程2) 第1段目のキャビティ型光フィルタの透過特性を測定しながら、ずれがある場合には波長λpのレーザ光を照射して、色中心効果を用いて所望の設計波長に一致するまで照射を続ける。
【0018】(工程3) 補正完了後、第2段目のキャビティ型光フィルタを第1段目の光フィルタの上に積層する。
(工程4) 第2段目のキャビティ型光フィルタの透過特性を測定しながら、レーザ光が第2段目のキャビティ型光フィルタで吸収されるように、図3のように光フィルタの表層側からレーザ光を照射させる。ずれがある場合には波長λpのレーザ光を照射して、所望の設計波長に一致するまで照射を続ける。
【0019】(工程5) 補正完了後、第3段目のキャビティ型光フィルタを第2段目の光フィルタの上に積層する。
(工程6) 第3段目のキャビティ型光フィルタの透過特性を測定しながら、同じようにレーザ光が第3段目のキャビティ型光フィルタで吸収されるように、図3のように光フィルタの表層側からレーザ光を照射させる。ずれがある場合には波長λp のレーザ光を照射し、所望の設計波長に一致するまで照射を続ける。
【0020】(工程7) 必要に応じて、以上の透過特性の補正を繰り返して実施し、多段光フィルタを製造する。即ち、以上の工程において、λp のレーザ光は、図6に示される如く、スペーサ層により完全に吸収されるので、第2段目のキャビティ型光フィルタ、第3段目のキャビティ型光フィルタを対象に補正する際に常に最上層からレーザ光を照射して、目的とするスペーサ層にレーザ光を作用させることができる。
【0021】以下、多段のキャビティ型光フィルタの具体例について説明する。高屈折率物質A、低屈折率物質B先ず、図7に示されるITU規格に適合した光信号分離器について説明する。屈折率1. 50のガラス基板の上表面に、高屈折率物質Aとして屈折率nA =2. 0の誘電体である五酸化タンタル(Ta2 5 )と、低屈折率物質Bとして屈折率nB =1. 45の誘電体である二酸化珪素(SiO2 )の2種類の誘電体を使用する。スペーサ層を構成する物質Cとして、(Pb1-xLax)(ZrYTi1-Y1-X/43 :組成比(La/Zr/Ti)=(6/65/35):(屈折率nC =2. 7)(以下、PLZT、と称す)を使用する。これらの誘電体を使用して構成した狭帯域光フィルタにおいて、その膜構造を、E=E1 ・E2 ・E3 =[(HL)7 H 8S H(LH)7 L]3とする。ここで、H=λ0 /4nAL=λ0 /4nBS=λ0 /4nC である。
【0022】ここで、チャンネル1について、設計波長をλ0 =λ1 =1550nmとすると、H、LおよびSそれぞれの各膜厚は193. 8nm、267. 2nm、143. 5nmである。スペーサ層の膜厚は8Sであるので、1148nmである。図8を参照してイオンビームスパッタ法により狭帯域光フィルタを製造する工程を説明する。真空ポンプ8により排気減圧されている真空チャンバー9において、イオン源6より放射されたイオンビーム7はターゲットホルダ10表面に取り付けられるターゲット材料に衝突してこれをスパッタする。打ち出されたスパッタ粒子11は、ガス導入管12を介して真空チャンバー9内に導入される酸素ガスと酸化反応して酸化物を形成し、この酸化物の酸化膜を基板14表面にスパッタ蒸着する。この基板14は基板回転ホルダ13に設置され、回転駆動されることにより膜厚分布は均一にされる。供給酸素ガス圧はおよそ1×10-4Torrとする。ターゲット材料として、Ta金属板材、Si金属板材、およびPLZT板材を使用する。ターゲットホルダ10を回動してターゲット板材を交代することにより蒸着物質を変更することができる。蒸着物質の蒸着膜厚は慣用の水晶式或いは光学式の膜厚計15を使用して測定し、設計の膜厚に到達するまで蒸着を継続する。
【0023】図2を参照して多段の狭帯域光フィルタの製造および補正の仕方について説明する。これは図3を参照して先に説明した通りであるが、第1段目のキャビティ型光フィルタE1 をガラス基板1の表面に蒸着形成後、透過特性測定装置を使用して、測定領域全面について透過特性を測定する。ここで、高屈折率物質AとしてTa2 5 を使用し、低屈折率物質BとしてSiO2 を使用しているが、それぞれの膜の吸収端波長は、λa =350nm、λb =180nmである。一方、スペーサ層を構成する物質Cとして使用されるPLZTは、λc =370nmである。依って、励起用レーザ光源としては、λa 、λb <λp <λc を満足するネオジウムヤグレーザ(Nd:YAGレーザ、基本波長:1064nm)の第3高調波である波長355nmのレーザ光を使用する。
【0024】透過特性を測定してみて、設計値からのずれ量が−0. 1%の場合、スペーサ層の屈折率を+0. 1%だけ変化させることが必要となる。諸条件としてレーザ照射強度10mW/cm2 、照射時間1〜30分とすることにより、膜厚1148nmのスペーサ層の屈折率を+0. 1%増加して先の−0. 1%のずれ量を補正することができる。第1段目のキャビティ型光フィルタE1 の補正後、第1段目のキャビティ型光フィルタE1 の表面に第2段目のキャビティ型光フィルタE2 積層構成し、同様に補正し、次いで、第2段目のキャビティ型光フィルタE2 の表面に第3段目のキャビティ型光フィルタE3 を積層構成し、補正する。以上の通りに設計波長をチャンネル1用の波長に補正してチャンネル1用の狭帯域光フィルタを製造することができる。他チャンネルλ2 ・・・・・・λn 用の狭帯域光フィルタも同様に設計波長をそれぞれのチャンネル用波長に補正して製造することができる。
【0025】図9を参照して他の具体例を説明するに、これは光ファイバ31の端面に狭帯域光フィルタEを成膜して構成した光波長分離器30である。32は光ファイバ31のコアを示す。この狭帯域光フィルタEは先に説明した製造工程を採用して製造することができる。この光波長分離器30は、光ファイバ31の端面に狭帯域光フィルタEを成膜形成することにより構成されたものであり、結局、光コネクタの端面に波長選択性を持たせたものに相当する。ここで、複数本の光ファイバの端面に波長の相異なるチャンネルに適した狭帯域光フィルタを成膜形成した波長選択光ファイバを準備しておき、光ファイバのcomポートより入力される複数の波長の異なる信号成分λ1 ・・・・λn の内の必要なチャンネルの信号成分λi に適した波長選択光ファイバを接続することにより、該当信号のみを通過させ他の信号成分は反射させる用途に供することができる。
【0026】図10を参照して更に他の具体例を説明するに、これは光導波路41の端面に狭帯域光フィルタEを成膜して構成した光波長分離器40である。この狭帯域光フィルタEも先に説明した製造工程を採用して製造することができる。この光波長分離器40においては、光集積化回路において使用される光導波路端面に狭帯域光フィルタを構成することにより、comポートより入力される複数の光波長の異なる信号成分の内の必要な波長信号成分のみを通過させ他の信号成分は反射させる用途に使用される。
【0027】
【発明の効果】以上の通りであって、この発明に依れば、或る特定の通過波長をほぼ設計通過波長に正確に一致させて多段のキャビティ型光フィルタを設計製造することができる。即ち、従来はキャビティ型光フィルタを構成する多層膜の各層において膜厚精度0. 01%が要求されており、蒸着途中において1層でもその精度を満足しない場合には、その時点で光フィルタの製造は失敗とされていた。ところが、光フィルタの1キャビティ分の多層膜を蒸着成膜したところでその透過特性を測定し、測定結果が必要な通過波長からずれていれば、色中心効果を採用してこのずれ量を補正することにより、通過波長の揃ったN段の多段キャビティ型光フィルタより成る狭帯域光フィルタを製造することができる。
【0028】そして、光フィルタの製造においては、基板に蒸着成膜される誘電体膜厚はその面内における各場所により異なって形成される。ここで議論の対象とされている狭帯域光フィルタにおいては、膜厚分布誤差も歩留まり低下の要因となる。膜厚分布誤差は、通常、±1%程度は生起するので、これだけで歩留まりは著しく低下する。この発明に依れば、基板に形成されたキャビティ型光フィルタの表面内の各場所の透過特性を測定しながら、その場所毎の波長ずれをレーザ照射により補正するので、膜厚分布誤差に起因する透過特性の設計値からのずれも解消することができる。
【0029】以上により、要求される多層膜の各層において膜厚精度は緩和され、歩留まりは向上し、安価な狭帯域光フィルタを製造することができる。




 

 


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