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発明の名称 光散乱膜、反射型液晶表示装置用電極基板、及び反射型液晶表示装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−194514(P2001−194514A)
公開日 平成13年7月19日(2001.7.19)
出願番号 特願2000−266682(P2000−266682)
出願日 平成12年9月4日(2000.9.4)
代理人
発明者 星 久夫 / 渋谷 和道 / 前田 忠俊 / 田口 貴雄
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】第1の屈折率を有する透明樹脂と前記透明樹脂中に分散され第2の屈折率を有する複数の透明粒子とを具備する光散乱膜であって、前記第1及び第2の屈折率の一方に対する他方の比は1より大きく且つ1.08以下であり、前記複数の透明粒子の実質的に全ては表面が滑らかであり、前記滑らかな表面は凸面及び凸面と平面との組み合わせのいずれか一方からなることを特徴とする光散乱膜。
【請求項2】前記複数の透明粒子の少なくとも一部は、それぞれ、対称中心を有していることを特徴とする請求項1に記載の光散乱膜。
【請求項3】前記対称中心を有している透明粒子の前記複数の透明粒子に対する割合は80質量%以上であることを特徴とする請求項2に記載の光散乱膜。
【請求項4】前記対称中心を有している透明粒子は、それぞれ、球状、楕円の短軸を回転軸とした回転楕円体状、及び円盤状からなる群より選ばれるいずれか1種の形状を有していることを特徴とする請求項2または3に記載の光散乱膜。
【請求項5】前記複数の透明粒子は、それぞれ、樹脂及び無機化合物のいずれか一方で構成されたことを特徴とする請求項1、2、3または4に記載の光散乱膜。
【請求項6】前記複数の透明粒子は、それぞれ、光学的に等方性の材料からなることを特徴とする請求項1、2、3、4または5に記載の光散乱膜。
【請求項7】前記第2の屈折率は前記第1の屈折率よりも高いことを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6に記載の光散乱膜。
【請求項8】表面が滑らかであり、その滑らかな表面が凸面及び凸面と平面との組み合わせのいずれか一方から構成された前記透明粒子は、それぞれ、0.7μm以上であり且つ3.5μm未満の粒径を有していることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6または7に記載の光散乱膜。
【請求項9】前記複数の透明粒子は、前記光散乱膜内で、単層構造、二層構造、及び三層構造のいずれかの構造を形成していることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7または8に記載の光散乱膜。
【請求項10】前記複数の透明粒子の容積の前記透明樹脂の容積に対する比は、0.2以上であり且つ0.8未満であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9に記載の光散乱膜。
【請求項11】前記光散乱膜の膜厚は4μm未満であり、前記光散乱膜の一方の主面側に反射板を配置し且つ前記光散乱膜の他方の主面側から前記光散乱膜に光を照射した場合に、前記光の前記光散乱膜への入射角αが0°〜75°の範囲内のいずれの角度であっても、正反射光の進行方向に対して−30°〜+30°の範囲内の角度をなして進行する反射光の光量と前記正反射光の光量との差が全反射光の光量と前記正反射光の光量との差の85%以上であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10に記載の光散乱膜。
【請求項12】前記入射角αが0°〜75°の範囲内のいずれの角度であっても、前記反射光のうち反射角φ1が(α−15)°である反射光成分の強度I1は、前記光散乱膜に照射したのと同一の光を前記入射角αで硫酸バリウム標準白色板に照射した際に生じ且つ反射角が(α−15)°である反射光成分の強度I5の2.5倍以上であり、前記反射光のうち反射角φ2が(α+15)°である反射光成分の強度I2は、前記光散乱膜に照射したのと同一の光を前記入射角αで硫酸バリウム標準白色板に照射した際に生じ且つ反射角が(α+15)°である反射光成分の強度I6の2.5倍以上であり、前記反射光のうち反射角φ3が(α−30)°である反射光成分の強度I3は、前記強度I5の1/2倍以下であり、前記反射光のうち反射角φ4が(α+30)°である反射光成分の強度I4は、前記強度I6の1/2倍以下であることを特徴とする請求項11に記載の光散乱膜。
【請求項13】第1の屈折率を有する透明樹脂と前記透明樹脂中に分散され前記第1の屈折率とは異なる第2の屈折率を有する複数の透明粒子とを具備する光散乱膜であって、前記光散乱膜の膜厚は4μm未満であり、前記光散乱膜の一方の主面側に反射板を配置し且つ前記光散乱膜の他方の主面側から前記光散乱膜に光を照射した場合に、前記光の前記光散乱膜への入射角αが0°〜75°の範囲内のいずれの角度であっても、正反射光の進行方向に対して−30°〜+30°の範囲内の角度をなして進行する反射光の光量と前記正反射光の光量との差が全反射光の光量と前記正反射光の光量との差の85%以上であることを特徴とする光散乱膜。
【請求項14】透明基板と前記透明基板の一方の主面上に設けられた光散乱膜と前記光散乱膜上に設けられた透明電極とを具備する反射型液晶表示装置用電極基板であって、前記光散乱膜は、第1の屈折率を有する透明樹脂と前記透明樹脂中に分散され第2の屈折率を有する複数の透明粒子とを備え、前記第1及び第2の屈折率の一方に対する他方の比は1より大きく且つ1.08以下であり、前記複数の透明粒子の実質的に全ては表面が滑らかであり、前記滑らかな表面は凸面及び凸面と平面との組み合わせのいずれか一方からなることを特徴とする反射型液晶表示装置用電極基板。
【請求項15】前記複数の透明粒子の少なくとも一部は、それぞれ、対称中心を有していることを特徴とする請求項14に記載の反射型液晶表示装置用電極基板。
【請求項16】前記対称中心を有している透明粒子の前記複数の透明粒子に対する割合は80質量%以上であることを特徴とする請求項15に記載の反射型液晶表示装置用電極基板。
【請求項17】前記対称中心を有している透明粒子は、それぞれ、球状、楕円の短軸を回転軸とした回転楕円体状、及び円盤状からなる群より選ばれるいずれか1種の形状を有していることを特徴とする請求項15または16に記載の反射型液晶表示装置用電極基板。
【請求項18】前記複数の透明粒子は、それぞれ、樹脂及び無機化合物のいずれか一方で構成されたことを特徴とする請求項14、15、16または17に記載の反射型液晶表示装置用電極基板。
【請求項19】前記複数の透明粒子は、それぞれ、光学的に等方性の材料からなることを特徴とする請求項14、15、16、17または18に記載の反射型液晶表示装置用電極基板。
【請求項20】前記第2の屈折率は前記第1の屈折率よりも高いことを特徴とする請求項14、15、16、17、18または19に記載の反射型液晶表示装置用電極基板。
【請求項21】表面が滑らかであり、その滑らかな表面が凸面及び凸面と平面との組み合わせのいずれか一方から構成された前記透明粒子は、それぞれ、0.7μm以上であり且つ3.5μm未満の粒径を有していることを特徴とする請求項14、15、16、17、18、19または20に記載の反射型液晶表示装置用電極基板。
【請求項22】前記複数の透明粒子は、前記光散乱膜内で、単層構造、二層構造、及び三層構造のいずれかの構造を形成していることを特徴とする請求項14、15、16、17、18、19、20または21に記載の反射型液晶表示装置用電極基板。
【請求項23】前記複数の透明粒子の容積の前記透明樹脂の容積に対する比は、0.2以上であり且つ0.8未満であることを特徴とする請求項14、15、16、17、18、19、20、21または22に記載の反射型液晶表示装置用電極基板。
【請求項24】前記光散乱膜の膜厚は4μm未満であり、前記光散乱膜に対向して反射板を配置し且つ前記透明基板側から前記光散乱膜に光を照射した場合に、前記光の前記光散乱膜への入射角αが0°〜75°の範囲内のいずれの角度であっても、正反射光の進行方向に対して−30°〜+30°の範囲内の角度をなして進行する反射光の光量と前記正反射光の光量との差が全反射光の光量と前記正反射光の光量との差の85%以上であることを特徴とする請求項14に記載の反射型液晶表示装置用電極基板。
【請求項25】前記入射角αが0°〜75°の範囲内のいずれの角度であっても、前記反射光のうち反射角φ1が(α−15)°である反射光成分の強度I1は、前記光散乱膜に照射したのと同一の光を前記入射角αで硫酸バリウム標準白色板に照射した際に生じ且つ反射角が(α−15)°である反射光成分の強度I5の2.5倍以上であり、前記反射光のうち反射角φ2が(α+15)°である反射光成分の強度I2は、前記光散乱膜に照射したのと同一の光を前記入射角αで硫酸バリウム標準白色板に照射した際に生じ且つ反射角が(α+15)°である反射光成分の強度I6の2.5倍以上であり、前記反射光のうち反射角φ3が(α−30)°である反射光成分の強度I3は、前記強度I5の1/2倍以下であり、前記反射光のうち反射角φ4が(α+30)°である反射光成分の強度I4は、前記強度I6の1/2倍以下であることを特徴とする請求項24に記載の反射型液晶表示装置用電極基板。
【請求項26】一方の主面に金属反射層が設けられた背面側電極基板と、前記背面側電極基板と対向して配置され且つ前記背面側電極基板と対向する面に透明電極層が設けられた観察者側電極基板と、前記背面側電極基板と前記観察者側電極基板との間に挟持された液晶層とを具備する反射型液晶表示装置であって、前記背面側電極基板及び前記観察者側電極基板の少なくとも一方は、第1の屈折率を有する透明樹脂と前記透明樹脂中に分散され第2の屈折率を有する複数の透明粒子とを備えた光散乱膜を具備し、前記第1及び第2の屈折率の一方に対する他方の比は1より大きく且つ1.08以下であり、前記複数の透明粒子の実質的に全ては表面が滑らかであり、前記滑らかな表面は凸面及び凸面と平面との組み合わせのいずれか一方からなることを特徴とする反射型液晶表示装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光散乱膜、反射型液晶表示装置用電極基板、及び反射型液晶表示装置に係り、特には、主として反射型液晶表示装置で使用される光散乱膜、並びにそのような光散乱膜を用いた反射型液晶表示装置用電極基板及び反射型液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置は、一般的に、それぞれに偏光膜及び液晶駆動用の透明電極が設けられ且つ対向して配置された一対の電極基板と、これら電極基板間に封入された液晶物質とで主に構成されている。また、カラー画像を表示するカラー液晶表示装置では、上記一対の電極基板のいずれか一方にカラーフィルタ層が設けられている。
【0003】このような偏光膜を用いた液晶表示装置によると、光源からの光を透過と不透過との間で切り替えることにより表示が行われる。すなわち、対向する透明電極間に電圧を印加することにより液晶物質の配向状態を変化させて、液晶物質からなる液晶層を透過する光の偏光面を制御する。上述のように、これら電極基板にはそれぞれ偏光膜が配設されているので、上記偏光面の制御により、光源からの光を透過と不透過との間で切り替えることができる。
【0004】ところで、液晶表示装置は、低消費電力であり且つ軽量化が可能であるという特徴を潜在的に有しており、携帯機器等の表示装置としての利用が期待されている。
【0005】しかしながら、現在、広く普及している液晶表示装置は、背面側の電極基板(以下、上記一対の基板のうち、観察者側の電極基板を観察者側電極基板と記し、液晶物質からなる液晶層を挟んで観察者側の反対に位置する電極基板を背面側電極基板と記す)の裏面若しくは側面に光源(ランプ)が配置され、光源から照射された光を利用して表示を行うバックライト型若しくはライトガイド型のランプ内蔵式透過型液晶表示装置である。ランプ内蔵式透過型液晶表示装置では、内蔵した光源の消費電力が極めて大きい。例えば、ランプ内蔵式透過型液晶表示装置で消費される電力は、CRTやプラズマディスプレイ等の表示装置の消費電力よりも少ないものの、ほぼ同程度に達することがある。そのため、大容量の電池を搭載しなければならず、その結果、表示装置並びに携帯機器等の重量及びサイズが増加する。
【0006】すなわち、ランプ内蔵式透過型液晶表示装置では、液晶表示装置が潜在的に有している優れた特徴を充分に発揮することができない。このため、光源を内蔵しない反射型液晶表示装置が注目されている。
【0007】反射型液晶表示装置は、背面側電極基板に、光反射機能を有する反射板若しくは液晶駆動用電極の機能と光反射板の機能とを兼ね備えた反射電極を配設した構造を有している。この反射型液晶表示装置によると、観察者側電極基板側から室内光や自然光等の外光を液晶層内に入射させ、この入射光を上記光反射板若しくは反射電極で反射させ、この反射光を観察者側電極基板から出射させることにより表示が行われる。このように、反射型液晶表示装置は光源を内蔵していないので、低消費電力を実現することができる。また、反射型液晶表示装置によると、光源のための電源を搭載する必要がないのに加え、光源を搭載することによるサイズや重量の増加が排除されるため、装置の小型化及び薄型化が可能となる。すなわち、反射型液晶表示装置は、携帯機器等の表示装置として適していると言える。
【0008】この反射型液晶表示装置では、ランプ内蔵式透過型液晶表示装置とは異なり、上述のように室内光や自然光等の外光を利用して表示が行われるため、室内光や自然光等の外光が、全ての方向から反射型液晶表示装置に入射する場合及び特定の方向のみから反射型液晶表示装置に入射する場合の双方を想定しなければならない。それゆえ、明るく鮮明で適度な視野角を有する表示を実現するためには、装置に入射した光を効率よく液晶層へと入射させること及び背面側電極基板で反射した光を効率よく観察者の位置に導くことが必要となる。したがって、そのような目的を達成するために、反射型液晶表示装置に入射光を散乱させる機能を与えることが提案されている。
【0009】図1〜図3は、それぞれ、光散乱機能を有する従来の反射型液晶表示装置を概略的に示す断面図である。
【0010】図1に示す反射型液晶表示装置100aは、背面側電極基板101aと観察者側電極基板102aとで液晶層103を挟持し、背面側電極基板101aの背面側に光散乱膜104及び反射板105を順次設けた構造を有している。なお、背面側電極基板101aは、透明基板106及びその一方の主面に形成された透明電極107aで構成されており、観察者側電極基板102aは、透明基板108とその一方の主面に順次形成されたカラーフィルタ層109及び透明電極110とで構成されている。
【0011】この反射型液晶表示装置100aは、製造が容易である。しかしながら、この反射型液晶表示装置100aでは、観察者側電極基板102a側から液晶層103に入射した入射光111は、背面側電極基板101a及び光散乱膜104を順次透過し、反射板105で反射され、光散乱膜104及び背面側電極基板101aを順次透過して、散乱光112として液晶層103に再度入射する。すなわち、光散乱機能を担う光散乱膜104と光の透過及び不透過を制御する液晶層103との間には、数十μm程度である画素サイズに比べて遥かに大きな数百μm程度の厚さを有する透明基板106が介在する。そのため、図1に示す反射型液晶表示装置100aは、解像性に劣っている。
【0012】図2に示す反射型液晶表示装置100bは、背面側電極基板101bと観察者側電極基板102bとで液晶層103を挟持した構造を有している。この反射型液晶表示装置100bにおいて、背面側電極基板101bは、透明基板106及びその一方の主面に形成された反射電極107bで構成されている。また、観察者側電極基板102bは、透明基板108と、透明基板108の背面側に順次形成されたカラーフィルタ層109及び透明電極110と、透明基板108の観察者側に設けられた光散乱膜104とで構成されている。なお、背面側電極基板101bの反射電極107bは、平坦な表面を有しており、液晶層103に入射した光を正反射させる。すなわち、反射電極107は、液晶駆動用の電極としての機能と反射板の機能とを兼ね備えたものである。
【0013】図2に示す反射型液晶表示装置100bでは、光源からの光111は、まず、光散乱膜104に入射して光散乱を生ずる。この散乱光には、入射光111の進行方向前方に出射する散乱光である前方散乱光113と、入射光111の進行方向後方に出射する散乱光である後方散乱光114とがあり、反射型液晶表示装置100bにおいては、前方散乱光113の一部のみが表示に寄与する。すなわち、前方散乱光113は、透明基板108、カラーフィルタ層109、及び液晶層103を順次透過し、反射電極107bで正反射され、液晶層103、カラーフィルタ層109、及び透明基板108を順次透過して、光散乱膜104に再度入射する。この光散乱膜104に入射した反射電極107bからの反射光113のうち、前方散乱した光115のみが観察者側へ出射されて表示に寄与するのである。一方、後方散乱光114は液晶層103に入射することなく観察者側に戻る光であり、表示に寄与しないばかりでなく、表示コントラストを低下させる原因になる。このように、図2に示す反射型液晶表示装置100bでは、外光を有効利用することができず、高い表示コントラストを実現することができない。また、図2に示す反射型液晶表示装置100bは、図1に示す反射型液晶表示装置100aと同様に、光散乱膜104と液晶層103との間に比較的厚い透明基板108が介在する構造を有しているため、解像性に劣っている。
【0014】図3に示す反射型液晶表示装置100cは、背面側電極基板101cと観察者側電極基板102aとで液晶層103を挟持した構造を有している。この反射型液晶表示装置100cにおいて、背面側電極基板101cは、透明基板106及びその一方の主面に形成された反射電極107cで構成されている。なお、この背面側電極基板101cの反射電極107cは、表面に微細な凹凸パターンを有しており、液晶駆動用の電極としての機能と反射板の機能と光散乱膜の機能とを兼ね備えたものである。
【0015】この反射型液晶表示装置100cでは、観察者側電極基板102a側から液晶層103に入射した入射光111は、反射電極107cで反射され、散乱光116として液晶層103を再度透過する。この光散乱方式では、入射光111の一部が反射電極107cで吸収されること以外は光の損失を生ずることがないため、反射型液晶表示装置100cによると、高い光利用効率及びコントラストを実現することができる。また、この反射型液晶表示装置100cでは、光散乱膜の機能を有する反射電極107cと液晶層103との間に比較的厚い透明基板106或いは透明基板108は介在していないため、優れた解像性を実現することができる。
【0016】しかしながら、表面に凹凸パターンを有する反射電極107cを得るためには、感光性樹脂の塗布、露光、現像、及び焼成を行って表面に凹凸パターンを有する下地層を形成し、この下地層上に真空蒸着法やスパッタリング法等を用いて金属薄膜を形成しなければならない。そのため、図3に示す構造を採用した場合、製造工程数の増加や製造歩留まりの低下等は避けられず、その結果、製造コストが上昇することとなる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、後方散乱が抑制された光散乱膜、並びにそのような光散乱膜を用いた反射型液晶表示装置用電極基板及び反射型液晶表示装置を提供することを目的とする。
【0018】また、本発明は、表示性能に優れた反射型液晶表示装置を実現し得る光散乱膜及び反射型液晶表示装置用電極基板、並びに表示性能に優れた反射型液晶表示装置を提供することを目的とする。
【0019】さらに、本発明は、表示性能に優れ且つ比較的低いコストで製造可能な反射型液晶表示装置を実現し得る光散乱膜及び反射型液晶表示装置用電極基板、並びに表示性能に優れ且つ比較的低いコストで製造可能な反射型液晶表示装置を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行い、本発明に至ったものである。すなわち、本発明の請求項1においては、第1の屈折率を有する透明樹脂と前記透明樹脂中に分散され第2の屈折率を有する複数の透明粒子とを具備する光散乱膜であって、前記第1及び第2の屈折率の一方に対する他方の比は1より大きく且つ1.08以下であり、前記複数の透明粒子の実質的に全ては表面が滑らかであり、前記滑らかな表面は凸面及び凸面と平面との組み合わせのいずれか一方からなることを特徴とする光散乱膜としたものである。
【0021】次いで、請求項2においては、前記複数の透明粒子の少なくとも一部は、それぞれ、対称中心を有していることを特徴とする請求項1に記載の光散乱膜としたものである。
【0022】次いで、請求項3においては、前記対称中心を有している透明粒子の前記複数の透明粒子に対する割合は80質量%以上であることを特徴とする請求項2に記載の光散乱膜としたものである。
【0023】上記対称中心を有している透明粒子としては、例えば、球状の透明粒子や、楕円の短軸を回転軸とした回転楕円体のように回転軸の径よりも回転軸に垂直な径がより長い回転体状の透明粒子等を挙げることができる。透明粒子の形状を扁平な回転体状とした場合、その回転軸が光散乱膜の膜面に対して実質的に垂直となるように、それぞれの透明粒子を配向させることが好ましい。そこで、請求項4においては、前記対称中心を有している透明粒子は、それぞれ、球状、楕円の短軸を回転軸とした回転楕円体状、及び円盤状からなる群より選ばれるいずれか1種の形状を有していることを特徴とする請求項2または3に記載の光散乱膜としたものである。
【0024】次いで、請求項5においては、前記複数の透明粒子は、それぞれ、樹脂及び無機化合物のいずれか一方で構成されたことを特徴とする請求項1、2、3または4に記載の光散乱膜としたものである。
【0025】次いで、請求項6においては、前記複数の透明粒子は、それぞれ、光学的に等方性の材料からなることを特徴とする請求項1、2、3、4または5に記載の光散乱膜としたものである。
【0026】次いで、本発明において、第1の屈折率と第2の屈折率とは異なっていることが必要である。そこで請求項7においては、前記第2の屈折率は前記第1の屈折率よりも高いことを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6に記載の光散乱膜としたものである。
【0027】次いで、請求項8においては、表面が滑らかであり、その滑らかな表面が凸面及び凸面と平面との組み合わせのいずれか一方から構成された前記透明粒子は、それぞれ、0.7μm以上であり且つ3.5μm未満の粒径を有していることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6または7に記載の光散乱膜としたものである。
【0028】次いで、請求項9においては、前記複数の透明粒子は、前記光散乱膜内で、単層構造、二層構造、及び三層構造のいずれかの構造を形成していることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7または8に記載の光散乱膜としたものである。
【0029】次いで、請求項10においては、前記複数の透明粒子の容積の前記透明樹脂の容積に対する比は、0.2以上であり且つ0.8未満であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9に記載の光散乱膜としたものである。
【0030】次いで、請求項11においては、前記光散乱膜の膜厚は4μm未満であり、前記光散乱膜の一方の主面側に反射板を配置し且つ前記光散乱膜の他方の主面側から前記光散乱膜に光を照射した場合に、前記光の前記光散乱膜への入射角αが0°〜75°の範囲内のいずれの角度であっても、正反射光の進行方向に対して−30°〜+30°の範囲内の角度をなして進行する反射光の光量と前記正反射光の光量との差が全反射光の光量と前記正反射光の光量との差の85%以上であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10に記載の光散乱膜としたものである。
【0031】次いで、請求項12においては、前記入射角αが0°〜75°の範囲内のいずれの角度であっても、前記反射光のうち反射角φ1が(α−15)°である反射光成分の強度I1は、前記光散乱膜に照射したのと同一の光を前記入射角αで硫酸バリウム標準白色板に照射した際に生じ且つ反射角が(α−15)°である反射光成分の強度I5の2.5倍以上であり、前記反射光のうち反射角φ2が(α+15)°である反射光成分の強度I2は、前記光散乱膜に照射したのと同一の光を前記入射角αで硫酸バリウム標準白色板に照射した際に生じ且つ反射角が(α+15)°である反射光成分の強度I6の2.5倍以上であり、前記反射光のうち反射角φ3が(α−30)°である反射光成分の強度I3は、前記強度I5の1/2倍以下であり、前記反射光のうち反射角φ4が(α+30)°である反射光成分の強度I4は、前記強度I6の1/2倍以下であることを特徴とする請求項11に記載の光散乱膜としたものである。
【0032】次いで、請求項13においては、第1の屈折率を有する透明樹脂と前記透明樹脂中に分散され前記第1の屈折率とは異なる第2の屈折率を有する複数の透明粒子とを具備する光散乱膜であって、前記光散乱膜の膜厚は4μm未満であり、前記光散乱膜の一方の主面側に反射板を配置し且つ前記光散乱膜の他方の主面側から前記光散乱膜に光を照射した場合に、前記光の前記光散乱膜への入射角αが0°〜75°の範囲内のいずれの角度であっても、正反射光の進行方向に対して−30°〜+30°の範囲内の角度をなして進行する反射光の光量と前記正反射光の光量との差が全反射光の光量と前記正反射光の光量との差の85%以上であることを特徴とする光散乱膜としたものである。
【0033】次いで、請求項14においては、透明基板と前記透明基板の一方の主面上に設けられた光散乱膜と前記光散乱膜上に設けられた透明電極とを具備する反射型液晶表示装置用電極基板であって、前記光散乱膜は、第1の屈折率を有する透明樹脂と前記透明樹脂中に分散され第2の屈折率を有する複数の透明粒子とを備え、前記第1及び第2の屈折率の一方に対する他方の比は1より大きく且つ1.08以下であり、前記複数の透明粒子の実質的に全ては表面が滑らかであり、前記滑らかな表面は凸面及び凸面と平面との組み合わせのいずれか一方からなることを特徴とする反射型液晶表示装置用電極基板としたものである。
【0034】次いで、請求項15においては、前記複数の透明粒子の少なくとも一部は、それぞれ、対称中心を有していることを特徴とする請求項14に記載の反射型液晶表示装置用電極基板としたものである。
【0035】次いで、請求項16においては、前記対称中心を有している透明粒子の前記複数の透明粒子に対する割合は80質量%以上であることを特徴とする請求項15に記載の反射型液晶表示装置用電極基板としたものである。
【0036】次いで、請求項17においては、前記対称中心を有している透明粒子は、それぞれ、球状、楕円の短軸を回転軸とした回転楕円体状、及び円盤状からなる群より選ばれるいずれか1種の形状を有していることを特徴とする請求項15または16に記載の反射型液晶表示装置用電極基板としたものである。
【0037】次いで、請求項18においては、前記複数の透明粒子は、それぞれ、樹脂及び無機化合物のいずれか一方で構成されたことを特徴とする請求項14、15、16または17に記載の反射型液晶表示装置用電極基板としたものである。
【0038】次いで、請求項19においては、前記複数の透明粒子は、それぞれ、光学的に等方性の材料からなることを特徴とする請求項14、15、16、17または18に記載の反射型液晶表示装置用電極基板としたものである。
【0039】次いで、請求項20においては、前記第2の屈折率は前記第1の屈折率よりも高いことを特徴とする請求項14、15、16、17、18または19に記載の反射型液晶表示装置用電極基板としたものである。
【0040】次いで、請求項21においては、表面が滑らかであり、その滑らかな表面が凸面及び凸面と平面との組み合わせのいずれか一方から構成された前記透明粒子は、それぞれ、0.7μm以上であり且つ3.5μm未満の粒径を有していることを特徴とする請求項14、15、16、17、18、19または20に記載の反射型液晶表示装置用電極基板としたものである。
【0041】次いで、請求項22においては、前記複数の透明粒子は、前記光散乱膜内で、単層構造、二層構造、及び三層構造のいずれかの構造を形成していることを特徴とする請求項14、15、16、17、18、19、20または21に記載の反射型液晶表示装置用電極基板としたものである。
【0042】次いで、請求項23においては、前記複数の透明粒子の容積の前記透明樹脂の容積に対する比は、0.2以上であり且つ0.8未満であることを特徴とする請求項14、15、16、17、18、19、20、21または22に記載の反射型液晶表示装置用電極基板としたものである。
【0043】次いで、請求項24においては、前記光散乱膜の膜厚は4μm未満であり、前記光散乱膜に対向して反射板を配置し且つ前記透明基板側から前記光散乱膜に光を照射した場合に、前記光の前記光散乱膜への入射角αが0°〜75°の範囲内のいずれの角度であっても、正反射光の進行方向に対して−30°〜+30°の範囲内の角度をなして進行する反射光の光量と前記正反射光の光量との差が全反射光の光量と前記正反射光の光量との差の85%以上であることを特徴とする請求項14に記載の反射型液晶表示装置用電極基板としたものである。
【0044】次いで、請求項25においては、前記入射角αが0°〜75°の範囲内のいずれの角度であっても、前記反射光のうち反射角φ1が(α−15)°である反射光成分の強度I1は、前記光散乱膜に照射したのと同一の光を前記入射角αで硫酸バリウム標準白色板に照射した際に生じ且つ反射角が(α−15)°である反射光成分の強度I5の2.5倍以上であり、前記反射光のうち反射角φ2が(α+15)°である反射光成分の強度I2は、前記光散乱膜に照射したのと同一の光を前記入射角αで硫酸バリウム標準白色板に照射した際に生じ且つ反射角が(α+15)°である反射光成分の強度I6の2.5倍以上であり、前記反射光のうち反射角φ3が(α−30)°である反射光成分の強度I3は、前記強度I5の1/2倍以下であり、前記反射光のうち反射角φ4が(α+30)°である反射光成分の強度I4は、前記強度I6の1/2倍以下であることを特徴とする請求項24に記載の反射型液晶表示装置用電極基板としたものである。
【0045】次いで、請求項26においては、一方の主面に金属反射層が設けられた背面側電極基板と、前記背面側電極基板と対向して配置され且つ前記背面側電極基板と対向する面に透明電極層が設けられた観察者側電極基板と、前記背面側電極基板と前記観察者側電極基板との間に挟持された液晶層とを具備する反射型液晶表示装置であって、前記背面側電極基板及び前記観察者側電極基板の少なくとも一方は、第1の屈折率を有する透明樹脂と前記透明樹脂中に分散され第2の屈折率を有する複数の透明粒子とを備えた光散乱膜を具備し、前記第1及び第2の屈折率の一方に対する他方の比は1より大きく且つ1.08以下であり、前記複数の透明粒子の実質的に全ては表面が滑らかであり、前記滑らかな表面は凸面及び凸面と平面との組み合わせのいずれか一方からなることを特徴とする反射型液晶表示装置としたものである。
【0046】
【発明の実施の形態】以下、本発明について図面を参照しながらより詳細に説明する。なお、各図において、同様の構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0047】まずは、本発明の原理並びに本発明の光散乱膜について順次説明する。図4は、従来の光散乱膜を概略的に示す断面図である。図4に示す光散乱膜104は、透明樹脂121と、この透明樹脂121中に分散された透明粒子122とで構成されている。これら透明粒子122の形状は、一定ではなく不定形である。すなわち、これら粒子は、表面形状が不規則で滑らかではなく、凹部と凸部とを有している。また、優れた光散乱性を得るために、一般的に、透明樹脂121と透明粒子122とには、互いに屈折率が異なる材料が用いられる。
【0048】上述したように、光散乱膜104に光111を照射すると、光111の進行方向前方に出射する散乱光である前方散乱光113と、光111の進行方向後方に出射する散乱光である後方散乱光114とが生ずる。なお、参照番号117は直進光を示している。また、後方散乱光114は、透明樹脂121と透明粒子122との界面で生じる反射により入射側に戻る反射光と、透明粒子122の内部に入射した光が透明粒子122の内部で全反射を繰り返した後に入射側に戻る光との和で構成されている。
【0049】光散乱膜104に入射する光111の一部が後方散乱を生ずることは避けられない。しかしながら、本発明者は、後方散乱光を減少させることは可能であると考えて鋭意検討を行った結果、透明粒子122の形状が後方散乱光の発生に大きな影響を与えていることを見出した。すなわち、透明樹脂121中に分散させた透明粒子122の形状が不定形であると、入射光111が透明粒子122の界面に衝突する回数が増加し、それら衝突のつど反射光成分が発生するため、後方散乱が多くなるのである。
【0050】また、透明粒子122が不定形であり且つ透明粒子122の屈折率が透明樹脂121の屈折率よりも大きい場合は、透明粒子122内に入射した光は透明粒子122の内部で全反射を繰り返して後方へと戻る機会が増加する。この場合、光散乱性を高めるために透明樹脂121の屈折率に対する透明粒子122の屈折率の比を大きくすると、透明粒子122の界面での反射率が高くなり且つ透明粒子122の内部での全反射に起因して後方に戻る光が増加するため、後方散乱はさらに増加することとなる。
【0051】一方、透明粒子122が不定形であり且つ透明樹脂121の屈折率が透明粒子122の屈折率よりも大きい場合は、透明粒子122の内部での全反射は生じない。しかしながら、光が透明樹脂121から透明粒子122に入射する際に透明粒子122への光の入射角が臨界角以上であった場合、その光は透明粒子122の表面で全反射される。透明樹脂121の屈折率が透明粒子122の屈折率よりも大きい場合は、このような全反射が他の透明粒子122でさらに2回以上繰り返されることにより後方散乱が生ずるのである。
【0052】以上の知見から、本発明者らは、光散乱膜に光を入射させた際に後方散乱が発生するのを抑制するには、[1]透明粒子の形状及び[2]透明樹脂の屈折率と透明粒子の屈折率との比を制御することが特に重要であり、[3]光の入射方向から見た透明粒子の断面積及び[4]光散乱膜中の透明粒子の密度を制御することも重要であることに想達した。
【0053】そこで、本発明者らは、まず、後方散乱の発生を抑制し得る透明粒子の形状について検討を行った。その結果、透明粒子の表面が滑らかであり、その滑らかな表面は凸面及び凸面と平面との組み合わせのいずれか一方から構成されていれば、後方散乱が著しく減少することを見出した。本発明者らは、透明粒子の形状についてさらに検討を進めたところ、透明粒子が対称中心を有している場合、換言すれば、透明粒子の外形が点対称である場合、後方散乱の発生を効果的に抑制することができ、特に、透明粒子が、真球状、楕円の短軸を回転軸とした回転楕円体状、または円盤状である場合に、後方散乱の発生を効果的に抑制することができることを見出した。
【0054】透明粒子がそのような形状であり且つ透明粒子の屈折率が透明樹脂の屈折率よりも高い場合、透明粒子は凸レンズとして機能して、透明粒子の後方から入射した光を透明粒子の前方に集光させる。一方、透明粒子が上述した形状であり且つ透明粒子の屈折率が透明樹脂の屈折率よりも低い場合、透明粒子は凹レンズとして機能して、透明粒子の後方に焦点があるかのように光を透明粒子の前方に向けて散乱させる。すなわち、いずれの場合においても、不定形な透明粒子を用いた場合に比べて、後方散乱を著しく減少させることができる。
【0055】ところで、図2に示したように光散乱膜を観察者側電極基板に配設した場合、外光は光散乱膜に入射して1回目の散乱を生ずる。光散乱膜を透過した光は、次に、背面側電極基板に配設された反射板若しくは反射電極で反射される。その後、この反射光は、光散乱膜に入射して2回目の散乱を生じ、装置外に出射する。
【0056】このように、外光が上記反射型液晶表示装置に入射して表示光として出射するまでの間に2回の光散乱が生じるが、それら2回の光散乱の双方において光の散乱角が45°以上である場合、装置から出射する光の装置に入射する光に対する散乱角は90°以上となる。そのような散乱光は、表示には殆ど寄与しないので、反射型液晶表示装置で使用する光散乱膜に関しては、2回の光散乱のそれぞれにおいて散乱角を45°以下とすることが重要である。
【0057】光の散乱角は、透明粒子の屈折率と透明樹脂の屈折率との比に応じて変化する。本発明では、散乱角を45°以下とするために、透明粒子の屈折率及び透明樹脂の屈折率のより高い屈折率のより低い屈折率に対する比を1.08以下とする。以下に、これについて詳細に説明する。
【0058】図5は、本発明の第1の態様に係る光散乱膜の断面構造を概略的に示す図である。図5に示す光散乱膜14は、透明樹脂21と、この透明樹脂21中に分散された真球状の透明粒子22とで構成されている。また、図5に示す光散乱膜14では、透明粒子22の屈折率をn1、透明樹脂21の屈折率をn2とすると、不等式n1>n2に示す関係が満たされている。なお、図5では、透明粒子22は1個のみ描かれているが、実際には、光散乱膜14は多数個の透明粒子22を含んでいる。また、図5において、各破線は、以下の説明のために描かれた線であって、例えば、破線25は透明粒子22の中心23を通り且つ入射光31a〜31cと直交する直線である。
【0059】図5に示すように、透明樹脂21に入射した入射光31a〜31cのうち、透明粒子22の中心線上を進行する入射光31aは、散乱されることなく透明粒子22を透過し、直進光32として出射される。
【0060】一方、透明粒子22の中心線から離れて及び平行に進行する入射光、例えば入射光31bの一部は透明粒子22に入射して前方散乱光33bとして出射され、残りは透明粒子22の界面で反射されて前方或いは後方散乱光34として進行する。このとき、前方散乱光33bの散乱角(出射角)をθ、透明粒子22に対する入射光31bの入射角をx、及び透明粒子22に入射した入射光31bの屈折角をyとすると、下記等式(1)に示す関係が成り立つ。
θ=2×(x−y) …(1)
【0061】ここで、散乱角θが最大となるのは、入射角x=(90−0)°=90°の場合である。すなわち、図5において参照符号31cで示すように、入射光が透明粒子22に対し、その表面に接するように入射した場合に散乱角θが最大となる。換言すれば、破線25と透明粒子22の表面との交点から入射光31cが入射した場合に散乱角θが最大となる。
【0062】上述のように、散乱光を表示に有効利用するためには、散乱角θを45°以下とすることが重要である。したがって、下記等式(2)に示すように、散乱角θとして境界値である45°を及び入射角xとして散乱角θが最大となる90°を上記等式(1)に代入することにより、屈折角yの境界値を得ることができる。
45=2×(90−y) …(2)
【0063】この等式(2)から得られる屈折角yの境界値である67.5°と散乱角θの境界値である45°とを用いて下記等式(3)に示す計算を行うことにより、屈折率n1と屈折率n2との比の境界値を得ることができる。
1/n2=1/sin67.5°=1.0824 …(3)
【0064】以上から、透明粒子22が真球状であり且つ屈折率n1及びn2が不等式n1>n2に示す関係を満たしている場合は、比n1/n2を1.0824以下とすればよいことが分かる。
【0065】次に、透明粒子22が真球状であり且つ屈折率n1及びn2が不等式n2>n1に示す関係を満たしている場合について説明する。
【0066】図6は、本発明の第2の態様に係る光散乱膜の断面構造を概略的に示す図である。図6に示す光散乱膜14は、図5に示す光散乱膜14とは、透明粒子22の屈折率n1と透明樹脂21の屈折率n2とが不等式n2>n1に示す関係を満たしている点でのみ異なっている。なお、図6において、破線26は、破線25と直交する直線である。
【0067】屈折率n1と屈折率n2とが不等式n2>n1に示す関係を満たしている場合、散乱角θは下記等式(4)から算出され得る。
θ=2×(y−x) …(4)
【0068】また、屈折率n1と屈折率n2とが不等式n2>n1に示す関係を満たしている場合、入射光31d及び散乱光33dに示すように、入射光の一部は透明粒子22の界面で全反射する。したがって、屈折率n1と屈折率n2との比の境界値を求めるためには、入射光31bの入射角xが臨界角であり且つ散乱角θが45°である場合を考慮すればよい。この場合、上記等式(4)から得られる入射角xの臨界角は67.5°であるので、下記等式(5)に示す計算を行うことにより、屈折率n1と屈折率n2との比の境界値を得ることができる。
2/n1=1/sin67.5°=1.0824 …(5)
【0069】以上から、透明粒子22が真球状であり且つ屈折率n1及びn2が不等式n2>n1に示す関係を満たしている場合は、比n2/n1を1.0824以下とすればよいことが分かる。
【0070】次に、透明粒子22が楕円の短軸を回転軸とした回転楕円体状であり且つ屈折率n1及びn2が不等式n1>n2に示す関係を満たしている場合について説明する。
【0071】図7は、本発明の第3の態様に係る光散乱膜の断面構造を概略的に示す図である。図7に示す光散乱膜14は、図5に示す光散乱膜14とは、透明粒子22が真球状ではなく回転楕円体状である点でのみ異なっている。
【0072】この場合、近似的には、図5を参照して説明した透明粒子22が真球状である場合と同様の扱いが可能である。すなわち、破線25と透明粒子22の表面との交点から入射光31cが入射した場合に散乱角θが最大となり、上記等式(3)から屈折率n1と屈折率n2との比の境界値を得ることができる。以上から、透明粒子22が回転楕円体状であり且つ屈折率n1及びn2が不等式n1>n2に示す関係を満たしている場合も、比n1/n2を1.0824以下とすればよいことが分かる。
【0073】次に、透明粒子22が楕円の短軸を回転軸とした回転楕円体状であり且つ屈折率n1及びn2が不等式n2>n1に示す関係を満たしている場合について説明する。
【0074】図8は、本発明の第4の態様に係る光散乱膜の断面構造を概略的に示す図である。図8に示す光散乱膜14は、図6に示す光散乱膜14とは、透明粒子22が真球状ではなく回転楕円体状である点でのみ異なっている。
【0075】この場合、近似的には、図6を参照して説明した透明粒子22が真球状である場合と同様の扱いが可能である。すなわち、散乱角θが45°である場合について入射角xの臨界角を求め、上記等式(5)に示す計算を行うことにより屈折率n1と屈折率n2との比の境界値を得ることができる。以上から、透明粒子22が回転楕円体状であり且つ屈折率n1及びn2が不等式n21に示す関係を満たしている場合も、比n2/n1を1.0824以下とすればよいことが分かる。
【0076】上述したように、散乱角θの最大値を45°に設定した場合、透明粒子22が真球状及び回転楕円体状のいずれであるか、並びに、透明粒子22の屈折率n1及び透明樹脂21の屈折率n2のどちらがより大きな値であるかに関わらず、比n1/n2または比n2/n1の境界値は1.0824となる。すなわち、比n1/n2及び比n2/n1のいずれかが1.0824よりも1により近い値であれば、前方散乱光の散乱角が狭くなるため、特定の視野角での使用により有利となる。したがって、比n1/n2及び比n2/n1のいずれかより大きな値を1.08以下とすることにより、後方散乱が抑制された光散乱膜を得ることができる。
【0077】また、入射光を透明樹脂21と透明粒子22との界面で屈折させて光散乱を生じさせるためには、透明粒子22の屈折率n1と透明樹脂21の屈折率n2とは異なっていることが必要である。すなわち、比n1/n2及び比n2/n1が1以外の値となるように材料を選定する。特に、比n1/n2及び比n2/n1のいずれ一方を1.02以上とすることにより、優れた散乱効果を得ることができる。
【0078】上記光散乱膜14は、理想的には、透明樹脂21と、表面が滑らかであり、その滑らかな表面は凸面及び凸面と平面との組み合わせのいずれか一方から構成された透明粒子22,特には、真球状、楕円の短軸を回転軸とした回転楕円体状、または円盤状のように対称中心を有している透明粒子22,とで構成される。しかしながら、光散乱膜14の製造コストの低減、光散乱膜14を形成するのに用いる塗布液中での透明粒子22の分散安定性を向上させること、及び光散乱膜14の光散乱特性の微調整等を目的として、透明樹脂21中に分散させる透明粒子22の一部を不定形な透明粒子で置換することも可能である。
【0079】本発明者らは、対称中心を有する透明粒子22と不定形な透明粒子との比率を変えて検討を行った。その結果、対称中心を有している透明粒子22の全透明粒子に対する割合が70質量%以上であれば実用上問題を生じない程度に後方散乱の発生を抑制でき、その割合を80質量%以上とすることにより実用上充分な程度に後方散乱の発生を抑制できることが経験的に判明した。したがって、対称中心を有している透明粒子22の全透明粒子に対する割合を70質量%以上とすることが好ましく、80質量%以上とすることがより好ましい。
【0080】上述した光散乱膜14を反射型液晶表示装置に用いる場合、例えば、光散乱膜14を観察者側電極基板の観察者側の面に設けると、光散乱機能を担う光散乱膜14と光の透過及び不透過を制御する液晶層との間に厚い透明基板が介在することとなるため、優れた解像性を実現することが困難である。したがって、光散乱膜14を反射型液晶表示装置の電極基板に設ける場合は、その液晶層と対向する面に配設することが好ましい。なお、電極基板の液晶層と対向する面に光散乱膜14を配設する場合、光散乱膜14の膜厚は、観察者側電極基板と背面側電極基板とのシール強度や膜面の硬度のように反射型液晶表示装置の品質及び信頼性に影響を与える傾向にあるので、通常、最も厚くて4μmであり、望ましくは2μm以下である。
【0081】充分に薄く且つ表面が平坦な光散乱膜14を得るためには、透明粒子22の膜厚方向の径はより小さいことが好ましい。しかしながら、その反面で、透明粒子22の膜厚方向の径が可視光領域の波長に近い場合、光散乱膜14は着色性を持つようになる。したがって、透明粒子22の膜厚方向の径は、0.7μm〜3.5μmの範囲内にあることが好ましい。
【0082】一方、膜面に垂直な方向から見た透明粒子22の径は、0.7μm〜20.0μmの範囲内にあることが好ましい。これは、膜面に垂直な方向から見た透明粒子22の径が過剰に大きい場合、光散乱性が低下するためである。このことは、凸レンズの径を大きくした場合に拡大率が低下することと同様である。
【0083】光散乱膜14で効率よく光を散乱させるためには、光散乱膜14中に透明粒子22を高密度に充填する必要がある。また、上述のように、光散乱膜14は厚さが充分に薄いことが望まれる。したがって、光散乱膜14内で透明粒子22が単層構造、二層構造、または三層構造を形成するように光散乱膜14を形成することが好ましい。
【0084】上記光散乱膜14の透明樹脂21には、例えば、アクリル系透明樹脂、フッ素系アクリル樹脂、シリコーン系アクリル樹脂、エポキシアクリレート樹脂、及びフルオレン樹脂等を使用することができる。フォトリソグラフィ法等を用いて光散乱膜14を所定のパターンに形成する際には、透明樹脂21の材料として、例えば、メタクリル酸、ブチルメタクリレート、及びヒドロキシメタクリレート等からなるアクリル重合体と、アクリルモノマーと、光重合開始剤との混合物のような感光性樹脂組成物を使用することができる。
【0085】上記光散乱膜14の透明粒子22は、光学的に等方性の材料で構成することが好ましい。透明粒子22が光学的に異方性の材料で構成されている場合、すなわち、透明粒子22が屈折率異方性を有している場合、この粒子22中を進行する光線のそれぞれの偏光面に対応して、透明粒子22は互いに異なる屈折率を有することとなる。そのため、透明粒子22に入射した光は、偏光面が互いに直交する2以上の光成分に分離され、それぞれの光成分は互いに異なる速度で透明粒子22中を進行する。すなわち、透明粒子22を出射した光成分は互いに位相が異なる。そのため、それら光成分を合成してなる光の偏光面が回転する。したがって、この光散乱膜を反射型液晶表示装置に用いた場合には、偏光膜による光透過と遮光との間の制御が困難となり、表示コントラストが低下することがある。また、上記光成分の位相差は波長に応じて異なるため、偏光膜を透過した後の光強度が波長に応じて異なることなり、その結果、表示画像に不所望な着色を生じることがある。
【0086】これに対し、透明粒子22を、等軸晶系の結晶や非晶質のように光学的に等方性の材料で構成した場合、そのような材料は屈折率異方性を有していないため、上述した表示コントラストの低下や表示画像への不所望な着色を確実に防止することが可能となる。
【0087】また、上記光散乱膜14の透明粒子22の材料としては、屈折率、入手しやすさ、及び形状の制御しやすさ等を考慮すると、無機化合物や樹脂を用いることが好ましい。特に、無機化合物として無機酸化物を用いた場合或いは樹脂を用いた場合には、透明粒子22を非晶質とすることが容易である。一般に、結晶化し易い材料を用いた場合、得られる粒子はその結晶構造に影響されて不定形となり易い。そのため、結晶化し易い材料を用いて、表面が滑らかであり、その滑らかな表面が凸面及び凸面と平面との組み合わせのいずれか一方から構成された透明粒子22を得ることは困難である。それに対し、無機酸化物や樹脂のように非晶質になり易い材料を用いた場合、粒子の形状は表面張力等によって決定されるため、表面が滑らかであり、その滑らかな表面が凸面及び凸面と平面との組み合わせのいずれか一方から構成された透明粒子22を容易に得ることができる。なお、透明粒子22の結晶性は、X線回折分析法を用い、結晶面での回折に起因するピークの有無を調べることにより判別することができる。また、透明粒子22として、非晶質の透明粒子と結晶質の透明粒子との混合物を用いる場合は、全透明粒子に対する結晶質の透明粒子の割合を30質量%以下とすることが好ましい。
【0088】無機酸化物からなる透明粒子22としては、例えば、シリカやアルミナ等からなる粒子を挙げることができる。また、樹脂からなる透明粒子22としては、アクリル粒子やスチレンアクリル粒子及びその架橋体;メラミン−ホルマリン縮合物の粒子;PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(ペルフルオロアルコキシ樹脂)、FEP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、PVDF(ポリフルオロビニリデン)、及びETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体)等の含フッ素ポリマー粒子;シリコーン樹脂粒子等を挙げることができる。そのような樹脂の中でも、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、及びフッ素系アクリレート樹脂等を用いることが好ましい。また、透明樹脂21の多くは比較的屈折率が低いので、これらの中でも、シリカ粒子やシリコーン樹脂粒子は、屈折率が1.40〜1.45(ハロゲンランプD線589nm)と小さいため特に好適である。
【0089】上述した透明粒子22には、溶剤に対する分散性を向上させる目的や透明樹脂21に対する分散性を向上させる目的で、適当な表面処理を施すことができる。そのような表面処理としては、例えば、透明粒子22の表面にSiO2、ZrO2、Al23、ZnO、透明樹脂、シランカップリング剤やチタネートカップリング剤やアルミネートカップリング剤のようなカップリング剤、または界面活性剤等を塗布被覆する処理を挙げることができる。また、アルコール、アミン、または有機酸等を用いて透明粒子22の表面で反応を生じさせる処理も挙げることができる。
【0090】透明樹脂21と透明粒子22との組み合わせに特に制限はないが、光散乱膜14としては、以下の組み合わせを有するもの:(1)屈折率が1.55のアクリル系透明樹脂中に平均粒径が2μmであり屈折率が1.45のシリコーン樹脂粒子が分散された構造の光散乱膜、(2)屈折率が1.45のフッ素系アクリル系透明樹脂中に平均粒径が2μmであり屈折率が1.55のメラミン粒子が分散された構造の光散乱膜、(3)屈折率が1.44のシリコーン系アクリル系透明樹脂中に平均粒径が2μmであり屈折率が1.55のメラミン粒子が分散された構造の光散乱膜、(4)屈折率が1.563のアクリル系透明樹脂中に平均粒径が2μmであり屈折率が1.45のシリコーン樹脂粒子が分散された構造の光散乱膜、(5)屈折率が1.55のアクリル系透明樹脂中に平均粒径が2μmであり屈折率が1.44のシリカ粒子と平均粒径が2.5μmであり屈折率が1.45のシリコーン樹脂粒子とが分散された構造の光散乱膜、(6)屈折率が1.604のフルオレン樹脂を主成分とする混合樹脂中に平均粒径が1.8μmであり屈折率が1.49のアクリル系粒子が分散された構造の光散乱膜、(7)硬化時の屈折率が1.55のエポキシアクリレート樹脂溶液と硬化時の屈折率が1.45のフッ素系アクリレート樹脂溶液とを樹脂分の質量比が4:6となるように混合してなる塗布液を塗布し、さらにその塗膜を硬化することにより得られる光散乱膜、及び(8)硬化時の屈折率が1.55のエポキシアクリレート樹脂溶液と硬化時の屈折率が1.45のフッ素系アクリレート樹脂溶液とを樹脂分の質量比が7:3となるように混合してなる塗布液を塗布し、さらにその塗膜を硬化することにより得られる光散乱膜、等を挙げることができる。
【0091】上記(1)〜(6)の光散乱膜14は、未硬化の透明樹脂21中に透明粒子22を分散させてなる粒子分散型の塗布液を用いて形成することができる。一方、上記(7)及び(8)の光散乱膜14は、互いに非相溶性(相分離性)を有する樹脂を混合してなる塗布液を調製し、この塗布液を塗布し、それにより得られる塗膜を硬化することにより形成することができる。
【0092】なお、これら塗布液は、有機溶剤や、分散助剤、レベリング剤、及びカップリング剤のような添加剤を含有することができる。
【0093】また、光散乱膜14は、色材のような微量の添加剤を含有することができる。この場合、透明樹脂21及び透明粒子22のいずれが添加剤を含有していてもよく、或いは透明樹脂21及び透明粒子22の双方が添加剤を含有していてもよい。
【0094】以上説明した光散乱膜14は、どのような用途で用いられてもよいが、好ましくは反射型液晶表示装置で使用される。以下、上記光散乱膜を用いた反射型液晶表示装置用電極基板及び反射型液晶表示装置について説明する。
【0095】図9は、本発明の第1〜第4の態様に係る光散乱膜14を用いた反射型液晶表示装置を概略的に示す断面図である。図9に示す反射型液晶表示装置10は、背面側電極基板11と観察者側電極基板12とでネマチック液晶のような液晶物質を含有する液晶層13を挟持した構造を有している。
【0096】背面側電極基板11は、基板16及びその一方の主面に形成された反射電極17で主に構成されている。一般に、基板16としてはガラス基板等が用いられ、反射電極17としては鏡面反射性のアルミニウム電極等が用いられる。背面側電極基板11には、通常、基板16の一方の主面上には反射電極17を覆うようにして配向膜(図示せず)が形成され、基板16の他方の主面には偏光膜(図示せず)が配設される。また、反射型液晶表示装置10がアクティブマトリクス方式で駆動される場合、通常、基板16と反射電極17との間には、基板16側から、各種配線、第1の絶縁層、TFTのようなスイッチング素子、及び第2の絶縁層(いずれも図示せず)が順次設けられる。なお、図9に示す背面側電極基板11では反射電極17が用いられているが、基板16として透明基板を及び反射電極17の代わりに透明電極を用い、基板16の背面側に反射板を配設してもよい。
【0097】観察者側電極基板12は、透明基板18と、その一方の主面に順次形成されたカラーフィルタ層19と、例えば厚さが2μmの光散乱膜14と、透明電極20とで主に構成されている。一般に、透明基板18としてはガラス基板等が用いられ、透明電極20としてはITO(酸化インジウムと酸化スズとの混合酸化物)膜等が用いられる。また、カラーフィルタ層19は、公知の顔料分散法または染色法等により透過光を着色するものであり、通常、赤、緑、青の色領域を並置した構造を有している。図9に示す反射型液晶表示装置10では、カラーフィルタ層19は観察者側電極基板12に設けられているが、背面側電極基板11に設けることも可能である。また、場合によっては、反射型液晶表示装置10にカラーフィルタ層19を設けなくともよい。この観察者側電極基板12も背面側電極基板11と同様に、透明基板18の一方の主面上には透明電極20を覆うようにして配向膜(図示せず)が形成され、透明基板18の他方の主面には偏光膜(図示せず)が配設される。
【0098】図9に示す反射型液晶表示装置10は光散乱膜14を用いているため、反射電極17の表面に凹凸パターンを形成する必要がない。したがって、この反射型液晶表示装置10は、比較的低いコストで製造可能である。
【0099】また、図9に示す反射型液晶表示装置10は、観察者側電極基板12の液晶層13と対向する面に上述した光散乱膜14が設けられているため表示性能に優れている。これについては、図10を参照しながら説明する。
【0100】図10は、図9に示す反射型液晶表示装置10の一般的な使用形態を概略的に示す図である。
【0101】反射型液晶表示装置10の用途として、多人数により同時に視覚される据え置き型のテレビとは異なり携帯機器のように個人に利用される場合を想定すると、反射型液晶表示装置10に広い視野角は要求されない。この場合、広視野角よりはむしろ、明るい表示が求められる。すなわち、例えば、図10に示すように反射型液晶表示装置10の一主面に垂直な方向を基準として−30°の入射角で外光31が反射型液晶表示装置10に入射し且つ+15°の方向から散乱光である表示光36を視覚する場合、表示光36は+15°及びその近傍の方向に選択的に出射することが望まれる。
【0102】ここで、上述したのと同様の原理を利用すること、換言すれば、光散乱膜14中の透明粒子22の形状及び透明樹脂21の屈折率と透明粒子22の屈折率との比を適宜制御することにより、入射光(外光)31に対する前方散乱光33の散乱角θを所定値以内とすることが可能である。したがって、上記反射型液晶表示装置10によると、実用上充分に広い視野角及び明るい表示の双方を実現することができる。
【0103】図11は、図9に示す反射型液晶表示装置10の図10に示す条件下で観測される光散乱特性を示すグラフである。図11において、横軸は反射型液晶表示装置10の一主面に垂直な方向を基準とした角度を示し、縦軸は反射光強度を示している。
【0104】図11に示す曲線41及び42は、それぞれ、液晶層13に屈折率が1.45の擬似液晶物質を用い、図10に示すように反射型液晶表示装置10に−30°の入射角で外光31を入射させた場合に観測される表示光36の強度を示すデータである。また、曲線43は、硫酸バリウム標準白色板に−30°の入射角で外光31を入射させた場合に得られる比較用のデータである。
【0105】なお、曲線41及び42に示すデータは、+30°及びその近傍の角度領域において特に高い値を示しているが、これは、図9に示すように外光が大気中から透明基板18に入射する際に生じる透明基板18の表面からの正反射光35によるものである。また、曲線41及び42に示す反射光強度のデータは、光散乱膜14に入射することにより生じ且つ表示に寄与する前方散乱光(表示光)36の強度と、光散乱膜14に入射することにより生じ且つ表示に寄与しない後方散乱光34の強度と、光散乱膜14に入射することなく透明基板18の表面で反射した正反射光35の強度とを含むものであるが、後方散乱光34の強度は前方散乱光33の強度の1%未満であり無視することが可能である。
【0106】図11に示すように、硫酸バリウム標準白色板によると、曲線43に示すように、広い範囲の角度にわたってほぼ一定の反射光強度が得られるものの、+15°及びその近傍の角度領域における反射光強度はそれほど高くはない。それに対し、図9に示す反射型液晶表示装置10では、曲線41及び42に示すように、+15°及びその近傍の角度領域において高い反射光強度が得られている。このように、反射型液晶表示装置10によると、表示光36を+15°及びその近傍の方向に選択的に出射させることができる。
【0107】特に、図11に示すように、0°〜+60°の範囲内の角度で進行する表示光36の光量が全表示光36の光量の85%以上である場合、すなわち、正反射光35の進行方向に対して−30°〜+30°の範囲内の角度をなして進行する反射光の光量と正反射光35の光量との差が、−90°〜+90°の範囲内の全反射光の光量と正反射光35の光量との差の85%以上である場合、実用上充分に広い視野角及び明るい表示の双方を実現することができる。なお、ここで、正反射光35の光量とは、正反射角に対して−3°〜+3°の範囲内の角度をなす反射光の光量を意味する。また、図11では、外光31の入射角を−30°としたが、入射角を0°に近づけるように変化させると、曲線41及び42は図中左方向にシフトする。一方、入射角を−75°に近づけるように変化させると、曲線41及び42は図中右方向にシフトし、−90°とすると、曲線41及び42は完全に左右非対称となる。したがって、上記条件は、外光31の入射角が−75°〜0°の範囲内において満足されればよい。
【0108】また、入射角αで外光31を照射させた場合、反射角φ1が正反射角に対して−15°である表示光36の強度I1、反射角φ2が正反射角に対して+15°である表示光36の強度I2、反射角φ3が正反射角に対して−30°である表示光36の強度I3、及び反射角φ4が正反射角に対して+30°である表示光36の強度I4は、同一条件下での硫酸バリウム標準白色板からの反射角がφ1である反射光の強度I5及び反射角がφ2である反射光の強度I6に対して下記不等式に示す関係を満足することが好ましい。
1≧2.5×I52≧2.5×I63≦0.5×I54≦0.5×I6【0109】この場合、より明るい表示が可能となる。なお、上記不等式に示す関係も、外光31の入射角が−75°〜0°の範囲内において満足されればよい。
【0110】図11に示す反射光強度プロファイルは、光散乱膜14中の透明粒子22の形状、透明粒子22の粒径、及び透明樹脂21の屈折率と透明粒子22の屈折率との比を適宜変更することにより制御することができる。例えば、透明粒子22の屈折率n1と透明樹脂21の屈折率n2との差を大きくすると、反射光強度プロファイルは曲線41から曲線42へと変化する。また、透明粒子22の粒径を小さくすると散乱効果が高められるため、反射光強度プロファイルは曲線41から曲線42へと変化する。同様に、光散乱膜14に対する透明粒子22の割合が増加すると散乱効果が高められるため、反射光強度プロファイルは曲線41から曲線42へと変化する。但し、光散乱膜14に対する透明粒子22の割合が反射光強度プロファイルに与える影響は、屈折率n1と屈折率n2との差や透明粒子22の粒径が与える影響に比べれば僅かである。
【0111】通常、上記の関係を満足する反射光強度プロファイルを得るには、透明粒子22の粒径を0.7μm以上であり且つ3.5μm未満とすることが好ましく、1.0μm以上であり且つ3.0μm未満とすることがより好ましく、1.5μm以上であり且つ3.0μm未満とすることが最も好ましい。
【0112】また、上記の関係を満足する反射光強度プロファイルを得るには、透明樹脂21の容積に対する透明粒子22の容積の比は、0.2以上であり且つ1.2未満とすることが実用的であり、0.6以上であり且つ1.2未満とすることが好ましい。
【0113】なお、図9に示す反射型液晶表示装置10では、光散乱膜14は、カラーフィルタ層19に対して充分な接着性を有していることが必要である。また、光散乱膜14には、通常、耐湿性、耐溶剤性、及び耐薬品性のように信頼性を得る特性に優れていることも要求される。一般に、これら特性に優れた光散乱膜14を得るためには、光散乱膜14中の透明粒子22の割合を低減すればよい。このような観点から、透明樹脂21の容積に対する透明粒子22の容積の比は、1.0未満とすることが好ましく、0.8未満とすることがより好ましい。
【0114】また、透明樹脂21の容積に対する透明粒子22の容積の比は、光散乱膜14の成膜性にも影響を与える。透明樹脂21の材料である透明樹脂溶液の比重と透明粒子22との比重とは、ほぼ一致することもある。しかしながら、透明粒子22の粒径は粉体としては比較的大きいため、透明粒子22の比重が1.5を超える場合には、透明樹脂溶液中で透明粒子22の沈降を生じ易い。また、透明樹脂溶液中で透明粒子22の割合を高めると、光散乱膜14の平坦性が低下する。したがって、光散乱膜14の成膜性の観点からは、透明樹脂21の容積(透明樹脂溶液の固形分の容積)に対する透明粒子22の容積の比は、1.2以下とすることが好ましい。
【0115】以上を纏めると、透明樹脂21の容積に対する透明粒子22の容積の比は、0.2以上であり且つ0.8未満とすることが望ましく、0.5以上であり且つ0.8未満とすることがより望ましい。
【0116】
【実施例】次に、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)図9に示す反射型液晶表示装置10を以下の方法により作製した。
【0117】まず、ガラス基板18の一方の主面上に、公知の顔料分散法により、赤、緑、青の色領域を並置してなるカラーフィルタ層19を形成した。
【0118】次に、カラーフィルタ層19上に、透明樹脂21中の透明微粒子22が分散された構造の光散乱膜14を形成した。なお、本実施例では、光散乱膜14は、非相溶性の樹脂を混合してなる塗布液を用いて形成した。
【0119】すなわち、まず、以下に示すA液、B液、及びC液を44:60:1.2の重量比で混合することにより塗布液を調製した。なお、A液を230℃で60分間焼成することにより得られる透明材料の屈折率は1.55であった。また、B液とC液とを60:1.2の重量比で混合してなる塗布液を用いて得られる塗膜を乾燥させ、さらに230℃で60分間焼成することにより得られる透明薄膜の屈折率は1.45であった。
A液: JSR社製のJSS−319B液: トリフルオロメタクリレート、ヒドロキシプロピル、メタクリル酸共重合体の固形分20質量%溶液C液: メラミン樹脂【0120】次に、上記塗布液をカラーフィルタ層19上に滴下し、ガラス基板18を毎分800回転の回転速度で5秒間回転させて塗膜を形成した。さらに、この塗膜を乾燥させ、230℃で60分間焼成することにより、厚さ2.0μmの光散乱膜14を形成した。
【0121】このような方法により形成した光散乱膜14の表面はきわめて平坦であり、その平坦性は0.1μm以下であった。また、この光散乱膜14は、B液とC液とを原料とし硬化後の屈折率が1.45の透明樹脂21中に、A液を原料とし直径が1μm〜4μmであり硬化後の屈折率が1.55の透明粒子22が分布した構造を有しており、この光散乱膜14のより詳細な観察により、粒径が1μm〜2μmの真球状の透明粒子22と、短径が2μm程度であり長径が2μm〜4μmの回転楕円体状の透明粒子22とが分布していることが分かった。なお、回転楕円体状の透明粒子22は、いずれも、その長径が膜面に平行となるように配向していた。
【0122】さらに、上述した方法により得られた光散乱膜14上に、スパッタリング法によりITOからなる透明電極20を形成した。以上のようにして、観察者側電極基板12を得た。
【0123】この観察者側電極基板12を用いることにより、観察者側電極基板12と別途形成した背面側電極基板11とで液晶層13を挟持した構造の図9に示す反射型液晶表示装置10を作製した。なお、背面側電極基板11及び観察者側電極基板12のそれぞれの対向面には配向膜を設けた。また、反射型液晶表示装置10には、その両面に偏光膜を設けた。
【0124】(実施例2)図9に示す反射型液晶表示装置10を以下の方法により作製した。
【0125】まず、ガラス基板18の一方の主面上に、公知の顔料分散法により、赤、緑、青の色領域を並置してなるカラーフィルタ層19を形成した。
【0126】次に、カラーフィルタ層19上に、透明樹脂21中の透明微粒子22が分散された構造の光散乱膜14を形成した。なお、本実施例では、光散乱膜14は、樹脂溶液中に透明粒子22を分散させてなる塗布液を用いて形成した。すなわち、まず、以下に示すA液、D粉末、及びE液を100:6:30の重量比で混合することにより塗布液を調製した。
A液: JSR社製のJSS−319D粉末:東芝シリコーン社製のトスパール120E液: シクロヘキサノン【0127】次に、上記塗布液をカラーフィルタ層19上に滴下し、ガラス基板18を毎分800回転の回転速度で5秒間回転させて塗膜を形成した。さらに、この塗膜を乾燥させ、230℃で60分間焼成することにより、厚さ3.2μmの光散乱膜14を形成した。このような方法により形成した光散乱膜14は、A液を原料とし硬化時の屈折率が1.55の透明樹脂21中に、透明粒子22として平均粒径が2μmであり屈折率が1.45のD粉末が分布した構造を有していた。
【0128】さらに、上述した方法により得られた光散乱膜14上に、スパッタリング法によりITOからなる透明電極20を形成した。以上のようにして、観察者側電極基板12を得た。
【0129】この観察者側電極基板12を用いることにより、観察者側電極基板12と別途形成した背面側電極基板11とで液晶層13を挟持した構造の図9に示す反射型液晶表示装置10を作製した。なお、背面側電極基板11及び観察者側電極基板12のそれぞれの対向面には配向膜を設けた。また、反射型液晶表示装置10には、その両面に偏光膜を設けた。
【0130】(実施例3)図9に示す反射型液晶表示装置10を以下の方法により作製した。
【0131】まず、ガラス基板18の一方の主面上に、公知の顔料分散法により、赤、緑、青の色領域を並置してなるカラーフィルタ層19を形成した。
【0132】次に、カラーフィルタ層19上に、透明樹脂21中の透明微粒子22が分散された構造の光散乱膜14を形成した。なお、本実施例では、光散乱膜14は、非相溶性の樹脂を混合してなる塗布液を用いて形成した。
【0133】すなわち、まず、実施例1で用いたのと同様のA液、B液、及びC液を70:30:0.6の重量比で混合することにより塗布液を調製した。次に、上記塗布液をカラーフィルタ層19上に滴下し、ガラス基板18を毎分650回転の回転速度で5秒間回転させて塗膜を形成した。さらに、この塗膜を乾燥させ、230℃で60分間焼成することにより厚さ2.5μmの光散乱膜14を形成した。
【0134】このような方法により形成した光散乱膜14の表面はきわめて平坦であり、その平坦性は0.1μm以下であった。また、この光散乱膜14は、A液を原料とし硬化時の屈折率が1.55の透明樹脂21中に、B液とC液とを原料とし直径が1μm〜4μmであり硬化時の屈折率が1.45の透明粒子22が分布した構造を有しており、この光散乱膜14のより詳細な観察により、粒径が1μm〜2μmの真球状の透明粒子22と、短径が2.5μm程度であり長径が4μmの回転楕円体状の透明粒子22とが分布していることが分かった。なお、回転楕円体状の透明粒子22は、いずれも、その長径が膜面に平行となるように配向していた。
【0135】さらに、上述した方法により得られた光散乱膜14上に、スパッタリング法によりITOからなる透明電極20を形成した。以上のようにして、観察者側電極基板12を得た。
【0136】この観察者側電極基板12を用いることにより、観察者側電極基板12と別途形成した背面側電極基板11とで液晶層13を挟持した構造の図9に示す反射型液晶表示装置10を作製した。なお、背面側電極基板11及び観察者側電極基板12のそれぞれの対向面には配向膜を設けた。また、反射型液晶表示装置10には、その両面に偏光膜を設けた。
【0137】上記実施例1〜3で作製した反射型液晶表示装置10の光散乱膜14の特性を調べるために、以下のサンプルA〜Cを作製した。
【0138】すなわち、サンプルAは、ガラス基板18上に、実施例1で調製した塗布液を滴下し、ガラス基板18を毎分800回転の回転速度で5秒間回転させて、厚さ2.0μmの光散乱膜14を形成した後、この光散乱膜14上に屈折率が1.45の油層を介してガラス基板18と同質のガラス基板を貼り合わせることにより作製した。
【0139】サンプルBは、ガラス基板18上に、実施例2で調製した塗布液を滴下し、ガラス基板18を毎分800回転の回転速度で5秒間回転させて、厚さ3.2μmの光散乱膜14を形成した後、この光散乱膜14上に屈折率が1.45の油層を介してガラス基板18と同質のガラス基板を貼り合わせることにより作製した。
【0140】また、サンプルCは、ガラス基板18上に、実施例3で調製した塗布液を滴下し、ガラス基板18を毎分650回転の回転速度で5秒間回転させて、厚さ2.5μmの光散乱膜14を形成した後、この光散乱膜14上に屈折率が1.45の油層を介してガラス基板18と同質のガラス基板を貼り合わせることにより作製した。
【0141】以上のようにして作製したサンプルA〜Cの光学的特性について、日本電色工業株式会社製の濁度計NOH2000を用いて調べた。また、比較のため、上述したガラス基板18の光学的特性も調べた。その結果を以下の表1に示す。
【0142】
【表1】

【0143】上記表1に示すように、ガラス基板とサンプルA〜Cとで全透過光を比較すると、サンプルA〜Cではガラス基板に比べて高い数値が得られている。すなわち、光散乱膜14を設けることにより、後方散乱が低減されることが分かる。
【0144】(実施例4)図9に示す反射型液晶表示装置10を以下の方法により作製した。
【0145】まず、ガラス基板18の一方の主面上に、公知の顔料分散法により、赤、緑、青の色領域を並置してなるカラーフィルタ層19を形成した。
【0146】次に、カラーフィルタ層19上に、透明樹脂21中の透明微粒子22が分散された構造の光散乱膜14を形成した。なお、本実施例では、光散乱膜14は、樹脂溶液中に透明粒子22を分散させてなる塗布液を用いて形成した。すなわち、まず、メディアレス分散機を用いて、以下に示すF液及びG粉末を3時間混合攪拌し、その後、H液及びI液を添加して粘度が23.5cp/25℃の塗布液を調製した。なお、F液、G粉末、H液、及びI液の重量比は15:2.57:5.2:8とした。また、F液とH液とを混合してなる混合液を用いて形成した塗膜を230℃で60分間焼成することにより得られる透明薄膜の屈折率は1.604(D線:589nm)であった。
F液: グリシジル基を有するフルオレン樹脂とシクロヘキシルマレイミド樹脂との質量比3:1の混合樹脂を含有する固形分40質量%溶液G粉末:綜研化学(株)製のMX180H液: 12質量%の多価カルボン酸溶液(硬化剤)
I液: 溶剤【0147】次に、上記塗布液をカラーフィルタ層19上に滴下し、ガラス基板18を毎分900回転の回転速度で10秒間回転させて塗膜を形成した。さらに、この塗膜を乾燥させ、230℃で60分間焼成することにより光散乱膜14を形成した。このような方法により形成した光散乱膜14は、F液とH液とを原料とし硬化時の屈折率が1.604の透明樹脂21中に、透明粒子22として屈折率が1.49のG粉末が分布した構造を有していた。
【0148】さらに、上述した方法により得られた光散乱膜14上に、スパッタリング法によりITOからなる透明電極20を形成した。以上のようにして、観察者側電極基板12を得た。
【0149】この観察者側電極基板12を用いることにより、観察者側電極基板12と別途形成した背面側電極基板11とで液晶層13を挟持した構造の図9に示す反射型液晶表示装置10を作製した。なお、背面側電極基板11及び観察者側電極基板12のそれぞれの対向面には配向膜を設けた。また、反射型液晶表示装置10には、その両面に偏光膜を設けた。
【0150】(実施例5)図9に示す反射型液晶表示装置10を以下の方法により作製した。
【0151】まず、ガラス基板18の一方の主面上に、公知の顔料分散法により、赤、緑、青の色領域を並置してなるカラーフィルタ層19を形成した。
【0152】次に、カラーフィルタ層19上に、透明樹脂21中の透明微粒子22が分散された構造の光散乱膜14を形成した。なお、本実施例では、光散乱膜14は、樹脂溶液中に透明粒子22を分散させてなる塗布液を用いて形成した。すなわち、まず、メディアレス分散機を用いて、以下に示すJ液及びK粉末を3時間混合攪拌し、その後、H液及びI液を添加して粘度が10.5cp/25℃の塗布液を調製した。なお、J液、K粉末、H液、及びI液の重量比は15:4:6:8とした。また、J液とH液とを混合してなる混合液を用いて形成した塗膜を230℃で60分間焼成することにより得られる透明薄膜の屈折率は1.518(D線:589nm)であった。
J液: グリシジル基を有するシクロヘキシルマレイミド樹脂を含有する固形分40質量%溶液K粉末:GE東芝シリコーン社製のトスパール120H液: 12質量%の多価カルボン酸溶液(硬化剤)
I液: 溶剤【0153】次に、上記塗布液をカラーフィルタ層19上に滴下し、ガラス基板18を毎分750回転の回転速度で5秒間回転させて塗膜を形成した。さらに、この塗膜を乾燥させ、230℃で60分間焼成することにより光散乱膜14を形成した。このような方法により形成した光散乱膜14は、J液とH液とを原料とし硬化時の屈折率が1.518の透明樹脂21中に、透明粒子22として屈折率が1.45のK粉末が分布した構造を有していた。
【0154】さらに、上述した方法により得られた光散乱膜14上に、スパッタリング法によりITOからなる透明電極20を形成した。以上のようにして、観察者側電極基板12を得た。
【0155】この観察者側電極基板12を用いることにより、観察者側電極基板12と別途形成した背面側電極基板11とで液晶層13を挟持した構造の図9に示す反射型液晶表示装置10を作製した。なお、背面側電極基板11及び観察者側電極基板12のそれぞれの対向面には配向膜を設けた。また、反射型液晶表示装置10には、その両面に偏光膜を設けた。
【0156】(実施例6)図9に示す反射型液晶表示装置10を以下の方法により作製した。
【0157】まず、ガラス基板18の一方の主面上に、公知の顔料分散法により、赤、緑、青の色領域を並置してなるカラーフィルタ層19を形成した。
【0158】次に、カラーフィルタ層19上に、透明樹脂21中の透明微粒子22が分散された構造の光散乱膜14を形成した。なお、本実施例では、光散乱膜14は、樹脂溶液中に透明粒子22を分散させてなる塗布液を用いて形成した。すなわち、まず、メディアレス分散機を用いて、以下に示すL液及びK粉末を3時間混合攪拌し、その後、H液及びI液を添加して粘度が9.8cp/25℃の塗布液を調製した。なお、L液、K粉末、H液、及びI液の重量比は21.4:4:6:2とした。また、L液とH液とを混合してなる混合液を用いて形成した塗膜を230℃で60分間焼成することにより得られる透明薄膜の屈折率は1.553(D線:589nm)であった。
L液: グリシジル基を有するフェニルマレイミド樹脂を含有する固形分25質量%溶液K粉末:GE東芝シリコーン社製のトスパール120H液: 12質量%の多価カルボン酸溶液(硬化剤)
I液: 溶剤【0159】次に、上記塗布液をカラーフィルタ層19上に滴下し、ガラス基板18を毎分750回転の回転速度で5秒間回転させて塗膜を形成した。さらに、この塗膜を乾燥させ、230℃で60分間焼成することにより光散乱膜14を形成した。このような方法により形成した光散乱膜14は、L液とH液とを原料とし硬化時の屈折率が1.553の透明樹脂21中に、透明粒子22として屈折率が1.45のK粉末が分布した構造を有していた。
【0160】さらに、上述した方法により得られた光散乱膜14上に、スパッタリング法によりITOからなる透明電極20を形成した。以上のようにして、観察者側電極基板12を得た。
【0161】この観察者側電極基板12を用いることにより、観察者側電極基板12と別途形成した背面側電極基板11とで液晶層13を挟持した構造の図9に示す反射型液晶表示装置10を作製した。なお、背面側電極基板11及び観察者側電極基板12のそれぞれの対向面には配向膜を設けた。また、反射型液晶表示装置10には、その両面に偏光膜を設けた。
【0162】上記実施例4〜6で作製した反射型液晶表示装置10の光散乱膜14の特性を調べた。なお、光散乱膜14の特性を調べるに当たり、アルバ株式会社製の膜厚計デクタック−1600、日本電色工業株式会社製の濁度計NOH2000、及び(株)村上色彩研究所製の自動変角光度計GP−200型を使用した。その結果を以下の表2に示す。
【0163】
【表2】

【0164】なお、上記表2において、xは、反射型液晶表示装置10に関して得られた、全反射光量に対する反射角が30°以内の反射光量の百分率を示している。また、yは、入射光の入射角を30°とした場合に得られた、硫酸バリウム標準白色板からの反射角が15°の反射光の強度に対する、反射型液晶表示装置10からの反射角が15°の反射光の強度の比を示している。さらに、zは、反射型液晶表示装置10に関して得られた、反射角が15°の反射光の強度に対する、反射角が30°の反射光の強度の百分率を示している。
【0165】上記表2に示すデータから、実施例4〜6の反射型液晶表示装置10では、適度な視野角を有していることが分かる。すなわち、実施例4〜6の反射型液晶表示装置10では、適度な視野角及び明るい表示の双方が実現されている。
【0166】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、光散乱膜を透明樹脂と透明粒子とで構成し、透明粒子の形状及び透明樹脂の屈折率と透明粒子の屈折率との比の双方を適宜制御している。そのため、本発明によると、後方散乱の発生を効果的に抑制することが可能となり、したがって、反射型液晶表示装置において、高コントラストの表示を実現すること、並びに、適度な視野角及び明るい表示の双方を実現することができる。また、このような光散乱膜は電極基板の液晶層と対向する面に設けることができるので、優れた解像性を実現することができる。さらに、このような光散乱膜は、製造が容易である。
【0167】すなわち、本発明によると、後方散乱が抑制された光散乱膜、並びにそのような光散乱膜を用いた反射型液晶表示装置用電極基板及び反射型液晶表示装置が提供される。また、本発明によると、表示性能に優れた反射型液晶表示装置を実現し得る光散乱膜及び反射型液晶表示装置用電極基板、並びに表示性能に優れた反射型液晶表示装置が提供される。さらに、本発明によると、表示性能に優れ且つ比較的低いコストで製造可能な反射型液晶表示装置を実現し得る光散乱膜及び反射型液晶表示装置用電極基板、並びに表示性能に優れ且つ比較的低いコストで製造可能な反射型液晶表示装置が提供される。
【0168】




 

 


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