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発明の名称 画像表示装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−166148(P2001−166148A)
公開日 平成13年6月22日(2001.6.22)
出願番号 特願平11−351630
出願日 平成11年12月10日(1999.12.10)
代理人
発明者 高橋 進
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】白色照明光源と、ホログラム・アレイがマトリクス状に配置された構成のホログラフィック・カラーフィルターと、表示パターンを規定する空間変調手段、とを少なくとも具備する画像表示装置において、ホログラフィック・カラーフィルターが、特定の偏光方向の光に対しては高い回折効率で回折光を生じる機能を有する偏光ホログラムを要素(アレイ)とし、偏光ホログラムの回折機能として、ホログラム面に略垂直な方向に、可視波長域の光のうち、緑成分の光を特定焦点に集光するように透過回折し、白色照明光源は、特定角度でホログラフィック・カラーフィルターに、略直線偏光成分の白色光を照射する構成であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】空間変調手段が、入射光を反射させて表示パターンを出射する手段を持つ反射型の空間変調手段であることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項3】白色光が、ホログラフィック・カラーフィルターに対して、電場ベクトルが入射平面内方向であるp偏光として入射することを特徴とする請求項1または2に記載の画像表示装置。
【請求項4】白色光が、ホログラフィック・カラーフィルター面の法線方向に対して40°〜60°の角度で入射することを特徴とする請求項3記載の画像表示装置。
【請求項5】ホログラフィック・カラーフィルターと空間変調手段の間に、位相差板を配置した構成であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項6】ホログラフィック・カラーフィルターと位相差板とが密着して一体化した構成であることを特徴とする請求項5記載の画像表示装置。
【請求項7】ホログラフィック・カラーフィルター以外に、光路上に2つ以上の偏光素子を有することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の画像表示装置。
【請求項8】偏光素子のうち少なくとも一つが、白色照明光源とホログラフィック・カラーフィルターの間に位置し、かつ偏光素子から出射する光が略直線偏光であり、その偏光成分が、ホログラフィック・カラーフィルターから最も強く回折光が出射するように、偏光方向がほぼ一致した配置となっていることを特徴とする請求項7に記載の画像表示装置。
【請求項9】白色照明光源とホログラフィック・カラーフィルターの間に位置する偏光素子のうち少なくとも一つが、ホログラフィック・カラーフィルターと密着しないように配置されていることを特徴とする請求項8記載の画像表示装置。
【請求項10】ホログラフィック・カラーフィルターを構成する偏光ホログラムが、体積位相透過型ホログラムであって、前記ホログラムの厚みが4μm〜20μmの範囲内にあり、前記ホログラムの屈折率変調度が0.01以上であることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項11】ホログラフィック・カラーフィルターを構成する偏光ホログラムが、複屈折性を有する領域と複屈折性を有しない領域を有することを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項12】ホログラフィック・カラーフィルターを構成する偏光ホログラムが、80℃における熱変形率が0.2%以下であることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項13】ホログラフィック・カラーフィルターを構成する偏光ホログラムが、光硬化型接着剤により基材に接着された構成であることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項14】表示映像を投射するプロジェクション式の装置であることを特徴とする請求項1〜13の何れかに記載の画像表示装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ホログラフィック・カラーフィルター(以下、HCFと称する)を用いた画像表示装置に関し、特に、液晶表示素子,デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)型表示素子などの空間光変調手段とHCFとを組み合わせてなる画像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、顔料,染料などによる吸収カラーフィルターを用いたカラー液晶表示装置においては、表示のためにバックライトは必要不可欠なものである。しかしながら、カラー液晶表示装置の背後から白色光をそのまま照射しただけでは、その利用効率は非常に低い。その原因として、主に下記に示す理由があげられる。
【0003】(1) 各色のセル以外のブラック・マトリックスが占める面積が広く、そこに当たった光は無駄になる。
(2) 各画素へ入射する白色光の中、R(赤),G(緑),B(青)のカラーフィルターを透過する色成分が制限されてしまうので、その他の補色成分は無駄となってしまう。
(3) カラーフィルターでの吸収による損失が伴う。
【0004】このような問題を解決すべく、例えばマイクロレンズアレーをカラーフィルターの前面に設置し、白色光のバックライトをそれぞれカラーフィルターセルR,G,Bへ集光させるようにすることにより、バックライトの利用効率を上げる方法が従来より知られている。
【0005】しかしながら、この方法でも、白色光3を各カラーフィルターセルR,G,Bへ分光して照射することはできないために、上記(2) に示す問題の解決はできない。
【0006】さらに、このようなカラーフィルターを用いずに、ダイクロイックミラー3枚とマイクロレンズアレーを用いて、光の利用効率を向上させた液晶プロジェクターが特開平4−60538号において提案されている。この場合、上記のような顔料、染料などによる吸収カラーフィルターが不要になり、上記の(1) 〜(3) の問題が解決され、カラー映像の輝度は向上するが、3枚のダイクロイックミラーを必要とするため、光学系・装置が大きくなり嵩張ってしまう。また、コストも高いものになってしまう問題がある。
【0007】これらの問題点を解決するために、特願平5−12170号などにおいて、液晶表示用バックライトなどの利用効率を大幅に向上させるために、ホログラムを利用したカラーフィルター(HCF)およびそれを用いた液晶表示装置が提案されている。上記の提案に係るHCFは、回折波長に選択性のない(少ない)ホログラムにより、白色バックライトを、分光を伴って透過回折させ、R,G,Bの波長域の成分の光を、それぞれ対応する色の液晶セルに入射させるべく機能する。すなわち、上記の液晶表示装置は、「透過型」の液晶表示装置に関する。
【0008】一方、液晶表示素子として、特開平10−177176号や特開平9−152597号に示されるような、背面の電極を反射電極とすることによって、液晶の開口率を向上させ、光の利用効率を向上させるタイプが存在する。これらの液晶表示素子は、その光の利用効率の高さから、表示映像を投影するプロジェクション式の表示装置や、周辺光(バックライトやエッジライトなどの装置内の特殊光源でなく、日光や室内照明光などの環境光)を利用する直視型の表示装置に多く利用されるようになってきている。
【0009】また、微小なミラーの変形によって、2次元表示が可能な表示素子としてデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)も提案されている。これは、図6(a)に斜視図を示すように、各画素に対応する微小なミラーMが2次元的に配置され、所定アドレスのミラーM’を対角線を軸にして傾けることにより、ミラーM’に一定方向から入射する光を傾いていないミラーとは異なる方向へ反射させるようにして、2次元パターンを表示するようにしたものである("IEEE Spectrum Vol.30,No.11,pp.27-31参照)。図6(b)に各ミラーMの支持駆動構造を示すが、ミラーM各々は、1つの対角方向の角でシリコン基板S上に立てられた一対の支持ポストPによりヒンジTを介して支持されており、ミラーMの裏側の基板S上に設けられた一対の電極Eの一方に電圧を印加することにより、静電力によりヒンジT間の対角線を軸にしてミラーMの面が回転されるものである。
【0010】そこで、これらの「反射型」の表示素子にHCFを応用した例が、特開平9−281917号公報や特開平9−281477号公報などに提案されている。
【0011】以下、HCFを用いた「反射型」の画像表示装置の一例について説明する。図3に、HCFを用いた反射型の画像表示装置の一実施例についての断面図を模式的に示す。この実施例では、空間光変調手段として反射型液晶表示素子56を用いている。同図において、規則的に画素57に区切られた液晶表示素子56の前面側(観察側)に、HCF66が離間して配置される。液晶表示素子56の背面の電極にはアルミニウム膜のような反射層58が配置されている。なお、HCF66と反射層58の間の距離は、微小ホログラム65’(アレイ)の集光距離(焦点距離)に略等しく選ばれる。
【0012】HCF66は、液晶表示素子56のR,G,Bの色成分の画素(「分色画素」と称することとする)が繰り返される周期、すなわち、液晶表示素子56の紙面内の方向(左右)に隣接する画素の組それぞれに対応して、その繰り返しピッチと同じピッチでアレー状に配置された微小ホログラム65’からなる。微小ホログラム65’は、液晶表示素子56の紙面内の方向(左右)に隣接する分色画素57が3つ(R,G,B)で1組となる1画素に対応して、1個ずつ配置されており、各微小ホログラム65’は、HCF66の法線に対して角度θをなして入射する照明光55の中の緑色の成分の光51Gを、その微小ホログラム65’に対応する画素(1組)のうち、中心の分色画素G近傍に集光するようにフレネルゾーンプレート状に形成されている。
【0013】微小ホログラム65’は、回折効率の波長依存性がないかもしくは少ない、レリーフ型,位相型,振幅型などの透過型ホログラムからなる。ここで、回折効率の波長依存性がないかもしくは少ないとは、リップマンホログラムのように、特定の波長だけを回折し、他の波長はほとんど回折しないタイプのものではなく、1つの回折格子で何れの波長も回折するものを意味し、この回折効率の波長依存性が少ない回折格子は、波長に応じて異なる回折角で回折する。
【0014】このような配置であるので、HCF66の前面側から、HCF66面の法線に対して角度θで白色照明光55を入射させると、HCF66により波長分散され、各波長に対する集光位置はHCF66面に平行な方向に分散される。その中の、赤の波長成分51Rは、赤を表示する画素Rの位置の反射層58の表面近傍に、緑の成分51Gは、緑を表示する画素Gの位置の反射層58の表面近傍に、青の成分51Bは、青を表示する画素Bの反射層58の表面近傍にそれぞれ回折集光するように、HCF66を構成配置することにより、それぞれの色成分はブラック・マトリックスでほとんど減衰されずに各画素57に入射し、下部の反射層58で反射されて、再度HCF66に入射し、この際はHCF66では回折されずに、表示光を構成する透過光52R,52G,52Bとして、観察者の眼に入射する。透過光52R,52G,52Bは、それぞれ赤,緑,青を表示する画素57R,57G,57Bで、それぞれの表示状態に応じた強度変調を受けており、表示光として観察者の眼に達する際には、それらの組み合わせによるフルカラー映像となっている。
【0015】反射光52R,52G,52Bが、HCFによって回折されずに透過するためには、入射光(51R,51G,51B)と反射光(52R,52G,52B)の光軸が異なっていることが重要である。この入射光(51R,51G,51B)と反射光(52R,52G,52B)の光軸が近いと、ホログラムの持つ回折角度選択性の機能が利用できない。すなわち、入射光と反射光の光軸が近いということは、ホログラムからの回折光である入射光(51R,51G,51B)が出射して来た方向と等しい方向に反射光(52R,52G,52B)が戻ることを意味するが、このような場合は、液晶表示素子56面の法線方向に、入射光・反射光がそれらの光軸を中心として通ることになる。
【0016】回折角度選択性を持つホログラムに対して、回折して出射する方向と正反対の方向から光が入射する場合は、その入射光はホログラムによる回折を受けることになる。上記の場合、HCF66面の法線方向の入射光(51R,51G,51B)と正反対の方向から再度HCF66面に入射する反射光(52R,52G,52B)は、再度HCF66による回折を受けて、白色照明光55の方向に透過回折して出射する。よって、入射光と反射光の光軸が近い場合は、反射光(52R,52G,52B)は、再度HCF66による回折を受けて、反射光の大半の部分が、光源方向に回折してしまい、表示光としての利用効率が低下してしまうことになる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、HCFでは、一般的に照明光は、カラーフィルター面に対して斜めに入射させる必要がある。そのため、HCFの表面で反射する光の成分が多く、光の利用効率の低下や、ノイズ光の発生によるS/Nの低下の原因となっている。
【0018】さらに、従来のHCFを用いる「反射型」の表示装置では、反射型表示素子で反射した光がHCFで再度回折し、照明光源方向に戻ることを防ぐため、装置に入射させる照明光の光軸と、表示素子で反射される光(既に回折を受けている)の光軸が異なるようにする必要がある。
【0019】一方、液晶表示素子では、液晶の旋光性によって光の強度を変調しているため、液晶層に斜めに光が透過すると液晶層を透過する光の光路長が設計値と異なり、表示パターンのコントラストや色の再現性を低下させる原因となっている。そのため、一般に液晶表示素子では、光は液晶面に対して垂直に透過するものが望ましい。直視型の表示装置では、観察者は表示装置に対して、表示画面の正面から視覚する場合が一般的であり、最も歪みなく画像を観察できる条件である。
【0020】また、プロジェクター式(装置から投射された映像を視覚する方式)の表示装置では、表示素子面から斜めに出射する光をスクリーン上に結像するためには、特殊な光学系が必要で、光学系が大きくなったり、光学系のコストがかさむ上、光学系の収差が大きくなってしまうため、やはり、表示素子面に対して垂直に光が出射することが望ましい。
【0021】このように、一般の表示素子では、表示素子面に対して垂直な方向に光が出ることが望ましいが、「反射型」の表示素子の場合、反射面は表示素子面に平行に位置するため、HCFを採用する際は、回折されて分光されているR,G,Bの光が表示素子に入射した後、反射して表示光として出射する時に、表示素子面に垂直に出射させることは出来なかった。
【0022】本発明は、HCFを用いる「反射型」の表示装置において、液晶表示素子などの表示素子面に対して、カラーフィルターで分光された各色の光(光軸の中心)を垂直に入射させ、表示素子で反射して出射する表示光(光軸の中心)を、HCFで再度回折することなく、適正な観察位置である画面の正面(表示素子面およびHCF面に対して垂直な方向)に出射させることが可能な表示装置を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するためには、HCFで回折して出射する光(光軸の中心)がHCF面に垂直であると共に、再度HCF面に垂直に入射する光についてはHCFで回折を生じない特性が要求される。本発明では、HCFとして、特定の偏光成分の光に対しては高い回折効率で回折光を生じる機能を有する偏光ホログラムを要素(アレイ)とするHCFを採用する。
【0024】本発明は、白色照明光源と、ホログラム・アレイがマトリクス状に配置された構成のHCFと、表示パターンを規定する空間変調手段、とを少なくとも具備する画像表示装置において、HCFが、特定の偏光方向の光に対しては高い回折効率で回折光を生じる機能を有する偏光ホログラムを要素(アレイ)とし、偏光ホログラムの回折機能として、ホログラム面に略垂直な方向に、可視波長域の光のうち、緑成分の光を特定焦点に集光するように透過回折し、白色照明光源は、特定角度でHCFに、略直線偏光成分の白色光を照射する構成であることを特徴とする。
【0025】<作用>特定の(直線)偏光成分の光に対しては高い回折効率で回折光を生じる機能を有する偏光ホログラムを要素(アレイ)としたHCFを採用すると共に、特定角度でHCFに、略直線偏光成分の白色光を照射する白色照明光源を採用することにより、HCF表面での表面反射を低減し、また、HCFに入射した光線の殆ど全部を回折して分光させることが可能になるため、照明光の利用効率が向上し、ノイズ光の成分を低減させることが可能になる。
【0026】また、白色照明光源からHCFに入射する光と、HCFから出射する光の偏光方向とが異なっていれば、HCFでの回折光の光軸と反射して出射する光(表示光)の光軸が近いものであっても、HCFでの回折光の偏光方向と反射して出射する光(表示光)の偏光方向とが異なっていれば、白色照明光のみを回折・分光し、反射して出射する光(表示光)は、HCFで回折せずにそのまま透過させることが可能になる。従って、空間変調手段を構成する面に垂直に、HCFでの回折光(分光した光)を入射させることと、表示光を出射させることの双方が可能となる。
【0027】回折波長選択性のない(少ない)ホログラムによるHCFでは、ホログラムの分光作用を用いるため、ホログラム面に対して斜めに照明光が入射することになる。偏光ホログラムは、特定の偏光方向の光に強く回折作用をもつホログラムであり、特定の偏光方向に関しては、通常のホログラムと比較して高い光の利用効率を示すことが知られている。
【0028】このような高い利用効率を示すことが可能な光は、特定の方向の直線偏光であるため、偏光ホログラムに入射する光は、あらかじめ直線偏光になっていることが望ましい。(請求項1)
【0029】上記のように、回折波長選択性のない(少ない)ホログラムによるHCFでは、ホログラム面に対して斜めに照明光が入射することになるが、通常の光では、HCF面の法線から入射光の角度が大きくなる(HCF面に平行に近くなる)に従って、HCF表面での表面反射は大きくなる。
【0030】図5は、光が屈折率n1 =1.0の媒質から屈折率n2 =1.5の媒質に入射したときの、反射光の強度を示したグラフである。Rs はs偏光の場合、Rp はp偏光の場合、(Rs +Rp )/2は、2つの偏光の状態の平均、つまり、様々な偏光状態が混ざっている通常の白色照明光の状態を示している。
【0031】p偏光の光では、ある特定の角度(同図では、ψb =56.3°)で反射率が0になった後、反射率が大きくなることが、図5より分かる。そこで、HCFへの照明光をp偏光とすることにより、HCF表面での反射光を低減させ、光の利用効率を向上させるとともに、ノイズ光を低減させることができる。(請求項3)
【0032】例えば、屈折率n1 =1.0の媒質(空気)から屈折率n2 =1.5の媒質に光が入射した場合、56.3°の角度で、反射率は0となる。図5からも分かるように、入射角度が40°〜60°の範囲であれば、HCFに対して正面から照明光を入射した場合の反射率よりも低い表面反射率を示し、一層の照明光の利用効率向上と、表示光のノイズ低減の効果を期待出来ることになる。(請求項4)
【0033】上記の「反射率=0」になる角度は、「ブリュースター角」と呼ばれ、媒体の屈折率から求められる。媒質1の屈折率をn1 ,媒質2の屈折率をn2 とすると、ブリュースター角Bは、下記の関係式から求められる。
tan(B)=n2 ÷n1【0034】偏光ホログラムは、特定の偏光方向の光をほぼ完全に回折することが可能であるが、それと直交する方向の偏光面でも回折作用を持つものが多い。偏光ホログラムからなるHCFを用いた場合、空間変調手段として、液晶表示素子を用いると、特定の偏光方向と直交した偏光成分の光がコントラストを低下させる原因となる。
【0035】そこで、空間変調手段として液晶表示素子を用い、照明光源として直線偏光でない光源を用いる場合、偏光ホログラム以外に、偏光板を2枚以上利用することが望ましい。(請求項7)
【0036】この場合、照明光側に利用する偏光板の向きは、偏光ホログラムの強く作用する偏光方向に合わせるともっとも利用効率が高くなる。(請求項8)
【0037】さらに、偏光ホログラムのHCFへの利用により、空間変調手段として反射型の空間変調手段を利用した場合に、一層多くの利点を持つことになる。
【0038】上述のように、表示装置では、表示素子面に対して垂直な方向に表示光が出射することが望ましいが、「反射型」の表示素子では、反射面は表示素子面に平行に位置するため、従来のHCFを用いた表示装置では、反射して出射する表示光を表示素子面に垂直に出射させることは出来なかった。
【0039】偏光ホログラムをHCFに利用し、HCFに入射する光を直線偏光とし、その方向を偏光ホログラムの強く作用する偏光方向と一致させると、入射光(照明光)は、殆ど回折・分光することになる。
【0040】液晶や位相差板によって、偏光面を回転させながら、空間変調手段で空間的に変調をかけ反射させると、偏光面が入射光と直交した方向の表示光が、再度HCFに入射することになる。HCFは偏光ホログラムであるため、この表示光の大部分は、回折せずに透過し、画像の表示に利用される。(請求項2)
【0041】上記のように、偏光ホログラムをHCFに利用すれば、ホログラムの入射角度選択性に影響されることなく、入射光(回折光)と表示光を分離することが可能になり、反射型空間変調手段を用いた反射型表示素子面に対して、垂直な方向に表示光を出射することが可能になる。
【0042】辻内順平著「ホログラフィー」(裳華房社)のp.65〜p.68に記載されるように、ホログラムの角度依存性(入射角度選択性と同義)は、ホログラム層の厚みに依存し、厚くなるほど強くなる傾向がある。そのため、ホログラムの角度依存性により、入射光と表示光とを分離しようとする場合、ホログラム層は厚いものとなる。しかしながら、ホログラム層が厚くなると、ホログラム層での光の吸収によって、光の利用効率の低下や表示光の着色が生じ、表示パターンの画質の劣化につながる。
【0043】偏光ホログラムを利用することで、ホログラム層の厚みを厚くして角度依存性を付与する必要がなく、回折効率を理論的に100%にする場合でも、その厚みにおける光路長変化量がλ/2(λは、光の波長)に達する厚みがあれば良く、実際のホログラムの縞構造の乱れを考慮しても、その厚みは、理論的な光路長変化量がλ/2の5倍あれば十分である。例えば、ホログラムの屈折率変調度が0.01以上であれば、ホログラム層の厚みは4μmから20μmあれば、十分な性能を示すことが分かっている。(請求項10)
【0044】特に偏光ホログラムとして、複屈折性のある材料と、複屈折性を持たない材料とで構成されている偏光ホログラムを用いることによって、入射角やホログラム層の厚みを限定することなく、偏光依存性を持たすことが可能になるため、これらの条件をより自由に設定することがな可能になる。(請求項11)
【0045】反射型の空間変調素子の場合、HCFでは、照明光の入射時と表示光の出射時の2回光が透過し、その際の2つの偏光面は直交している必要がある。そのため、照明光の偏光方向を決定する偏光板が、HCFに密着する位置に配置されると、出射する表示光もこの偏光板を通過してしまう。しかしながら、反射型空間変調素子に偏光ホログラムのHCFを用いる場合、カラーフィルターを透過する照明光と表示光の偏光面は直交しているため、表示光の有効な偏光成分をこの偏光板で吸収してしまうことになる。そこで、照明光の偏光方向を決定する偏光板は、カラーフィルターから出射する表示光が入らない、HCFと密着しない位置に配置することが望ましい。(請求項9)
【0046】反射型空間変調手段として、液晶表示素子ではなくDMDのような空間変調手段を用いた場合、HCFを透過後、空間変調手段で反射し、再度カラーフィルターを透過するまでに、偏光面を回転させる必要がある。そこで、カラーフィルターと空間変調手段の間に、位相差板を配置することが有効である。(請求項5)
【0047】HCFは、フィルム状に加工することが可能なため、位相差フィルムと粘着層などを介して、密着させることによって作業性が向上する。(請求項6)
【0048】また、本発明のHCFをプロジェクタータイプの表示素子として利用した場合、HCFには、強烈な照明光が当たり、かなりの高温になることが容易に想像される。しかし、本発明のHCFと表示素子の反射部とは、一定の距離が必要であり、完全に密着させることは不可能である。そのため、HCFの熱変形率は、低い値であることが重要である。
【0049】例えば、比較的許容範囲の広い要素ホログラムが500個並んだホログラムアレイの場合、1/500の変形があれば、完全に位置ズレが生じ、そのHCFは利用できない。近年、さらに多くの画素の表示装置が実用になっており、HCFの熱変形率は、0.2%以下である必要がある。(請求項12)
【0050】さらに、変形による反りを防止するために、HCFをガラスなどの基材に接着することが望ましいが、その際、光や熱による変形や劣化の少ない、光硬化型、特に紫外線で硬化するタイプの接着剤を用いることが望ましい。(請求項13)
【0051】
【発明の実施の形態】以下、本発明のHCFを用いた画像表示装置の実施形態について説明する。図1に、偏光ホログラムから構成されるHCFを用いる反射型の画像表示装置の一例について、模式的な断面図を示す。この例では、空間光変調手段として、反射型液晶表示素子56を用いている。同図において、規則的に画素57に区切られた液晶層56の表側(観察側)に、偏光ホログラムから構成されるHCF65が離間して配置される。液晶素子56は、背面に反射電極58を配置しており、同図には記載していないが、前面側に透明電極を配置している。なお、HCF65と反射電極58の間の距離は、微小ホログラム65′の集光距離(焦点距離)に略等しく設定される。
【0052】この場合も、HCF65は、画素57のR,G,Bの分色画素の繰り返し周期、すなわち、液晶表示装置の画素の紙面内の方向(左右)に隣接する3つの分色画素の1組それぞれに対応して、その繰り返しピッチと同じピッチでアレー状に、そして各微小ホログラム65’の中心とG用の液晶画素との中心が重なるように配置されており、各微小ホログラム65’は、HCF65面の法線に対して角度θをなして入射する照明光55の中の緑成分の光51Gを、その微小ホログラム65’に対応する3つの分色画素R,G,Bの中心の画素G近傍に集光するようにフレネルゾーンプレート状に形成されているものである。
【0053】微小ホログラム65’は、回折効率の波長依存性がないかもしくは少ない、レリーフ型,位相型,振幅型などの透過型ホログラムからなる。さらに、微小ホログラム65’は、偏光ホログラムであり、特定の偏光面に強い回折効率を示すものである。
【0054】偏光ホログラムは、特開平6−300921号公報の図5に示されているように、基板として、複屈折結晶であるニオブ酸リチウム基板を用いてプロトン交換領域と誘電体の位相補償膜により格子層を形成する方法や、特開平10−265531号公報に示されるような液晶高分子を用いる方法、さらには、液晶のような複屈折性のある材料と複屈折性のない材料とで層構造をなすことにより、体積ホログラムを実現する方法などが考えられる。
【0055】これらの偏光ホログラムは、入射角やホログラムの構造などに依存せず、偏光依存性の強い(特定の偏光面に強い回折効率を示す)ホログラムを実現することが可能である。また、このほかにも複屈折材料を用いない通常の体積ホログラムで、特殊な条件で照明光を与えることによって偏光依存性のある偏光ホログラムを実現することも可能である。
【0056】このような配置であるので、HCF65の表面側から入射角θでHCFの最も強く回折作用を持つ偏光方向の直線偏光の白色照明光55を入射させると、HCF65での回折によりにより波長分散され、各波長に対する集光位置はHCF65面に平行な方向に分散される。波長分散された光の中で、中心波長であるGの光は、HCF面に対して法線方向に回折するように、HCFは設計されている。上述のように、装置正面(表示画面に垂直な方向)に表示光を出射させることが望ましいためである。
【0057】そして、赤の波長成分51Rは、赤を表示する画素Rの位置の反射電極58の表面近傍に、緑の成分51Gは、緑を表示する画素Gの位置の反射電極58の表面近傍に、青の成分51Bは、青を表示する画素Bの反射電極58の表面近傍にそれぞれ回折集光するように、HCF65を構成配置することにより、それぞれの色成分はほとんど減衰されずに液晶層56を通過し、反射電極58で反射されて、対応する液晶層56を裏面側からもう一度透過する。
【0058】液晶層56を2度透過する際に、照明光は、入射したときとは直交した方向に偏光面を回転される。そのため、反射電極58で反射してHCF65に入射する光は、HCF65の回折効率の低い偏光方向の光であるため、ほとんど回折されずに透過光52R,52G,52Bとなり、観察者の眼に入射する。また、透過光52は、HCF面に対してほぼ垂直に出射することになる。各色の成分51R,51G,51Bは、それぞれ赤,緑,青を表示する画素R,G,Bに入射して、それらの画素の表示状態に応じた強度変調を受けて観察者の眼に達するので、画素R,G,Bの変調状態の組み合わせによって、カラー画像表示が可能になる。
【0059】HCF65に入射する直線偏光の白色光55を、HCF65に対して角度θが56.3°近傍でp偏光で入射させ、HCFをp偏光の光に対して強く回折する偏光ホログラムとすれば、HCF65表面で、反射する光の成分をほぼ0にすることが可能になる。なお、直線偏光の照明光55と偏光HCF65の組み合わせによる効率やS/Nの向上と、p偏光の照明光とp偏光を強く回折する偏光ホログラムの組み合わせによる、偏光HCF65面上での反射光を防ぐ効果は、この実施形態のような反射型表示素子に限定されるものではなく、透過型液晶のような透過型表示素子でも同様な効果が期待できる。
【0060】白色光源は、直視型の画像表示装置では冷陰極管が、プロジェクター型の画像表示装置では、メタハライドランプやクリプトンランクなどが多く用いられている。これらの光源は、一般に様々な偏光方向の光が混ざったものである。
【0061】そのため、本発明のように、偏光HCFによる効果を持たせるためには、白色光源を直線偏光に変換する必要がある。図2は、偏光板を用いて、光を直線偏光に変換する白色光源を有する例に係る表示装置を示す説明図である。ランダムな偏光方向を有する白色照明光54は、偏光板62(直線偏光を取り出す機能を持つ)を透過する際、直線偏光分のみの照明光55に選択される。そして、偏光HCF65を透過後、反射型表示素子56に入射・反射し再び偏光HCF65に入射する。そして、偏光HCFをそのまま透過後、表示光52として出射する。
【0062】この際、表示光52は、最初に偏光HCFに入射したときとは偏光方向が直交した偏光面を持つ光となっている。そのため、偏光HCFを出射した表示光52が、偏光板62を透過すると、殆どの表示光が遮断されることになり、非常に暗い表示画像となってしまう。そこで、偏光板62は、表示光52が、透過しないように偏光HCF65と密着しない位置に配置される必要がある。なお、図2の例では、偏光素子として偏光板を用いたが、偏光ビームスプリッターなど、ランダムな偏光から直線偏光を作る素子であれば、本発明による効果を損なうものではない。
【0063】図4は、偏光HCF65の背面側に配置する空間光変調手段として、図6に示されるデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)68を用いた例に係る本発明の表示装置を示す説明図であり、HCFの中心とDMDの緑色用のマイクロミラーが、HCF面の法線方向で一致するように配置し、HCF65で分光された光は、位相差板69を透過後、赤色回折成分51R,緑色回折成分51G,青色回折成分51Bのそれぞれが集光する位置近傍に、DMD37の微小ミラー59(59R,59G,59B)が位置するように、HCF65が配置される。
【0064】このような配置をとると、図4に示す状態の場合は、画素BとGの位置が変調を受けているので、反射光52G,52BはHCFのほぼ法線方向に反射し、これに対し画素Rは変調されていないので、反射光52Rは反射光52G,52Bと異なる方向に出射する。位相差板69としてλ/4波長板を用いた場合、マイクロミラーによって再度位相差板69を透過した光は、直線偏光の照明光55とは偏光面が直交する方向になっているため、偏光HCF65をそのまま透過する。従って、例えばHCF面に垂直な方向へ出射した光のみをレンズによってスクリーン上に結像投影することによって、プロジェクション式によるカラー画像を表示〜観察することが可能になる。
【0065】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によって、HCFを用いる「反射型」の表示装置において、液晶表示素子などの表示素子面に対して、カラーフィルターで分光された各色の光(光軸の中心)を垂直に入射させ、表示素子で反射して出射する表示光(光軸の中心)を、HCFで再度回折することなく、適正な観察位置である画面の正面(表示素子面およびHCF面に対して垂直な方向)に出射させることが可能な表示装置が提供される。本発明の表示装置では、HCF表面での表面反射が低減され、HCFに入射した光の殆ど全部を回折して分光させることが可能になるため、照明光の利用効率が向上し、ノイズ光を低減させることが可能であり、明るく高画質な表示光(映像)が視覚される。
【0066】




 

 


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