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発明の名称 反射防止光学部材
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−4804(P2001−4804A)
公開日 平成13年1月12日(2001.1.12)
出願番号 特願平11−178705
出願日 平成11年6月24日(1999.6.24)
代理人
発明者 大久保 透 / 大畑 浩一 / 富川 典俊 / 渡辺 二郎
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】透明基材の少なくとも片面に、反射防止膜および防汚層が形成された反射防止光学部材において、防汚層と反射防止膜との間に、金属層を設けることを特徴とする反射防止光学部材。
【請求項2】金属層がMg,Ca,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Al,Si,Mo,Snの一種類以上を含むことを特徴とする請求項1記載の反射防止光学部材。
【請求項3】金属層が真空蒸着法、反応性蒸着法、イオンビームアシスト蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法を用い形成されることを特徴とする請求項1、2何れかに記載の反射防止光学部材。
【請求項4】防汚層がパーフルオロポリエーテル基を含有する有機シラン化合物からなる防汚剤であることを特徴とする請求項1〜3何れかに記載の反射防止光学部材。
【請求項5】請求項4記載のパーフルオロポリエーテル基を含有する有機シラン化合物が、一般式[Rf−(OC36n −O−(CF2m −(CH2l −O−(CH2s c Si[OR]a [O−(CH2l −(CF2m −O−(OC36n −Rf]b [(CH2s −X]d (但し、Rfは炭素数1〜16の直鎖状または分岐状パーフルオロアルキル基、nは1〜50の整数、mは0〜3の整数、lは0〜3の整数、sは0〜6の整数、aは0〜3の整数、bは0〜3の整数、cは0〜1の整数、dは0〜1の整数、但し、6≧m+l>0、a+b=3,c+d=1、Rは炭素数1〜10のアルキル基、Xはハロゲン元素を示す。)で示される有機シラン化合物からなることを特徴とする請求項1〜4何れかに記載の反射防止光学部材。
【請求項6】請求項5記載の一般式において、a,b,c,dの値が異なる2種類以上の有機シラン化合物からなる防汚剤であることを特徴とする防汚層が形成された請求項1〜5何れかに記載の反射防止光学部材。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ディスプレイの表示画面表面に適用される反射防止光学部材に関するものであり、さらに詳しくは、防汚層が形成された反射防止光学部材の層構成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】多くのディスプレイは、室内外を問わず外光などが入射するような環境下で使用される。この外光などの入射光は、ディスプレイ表面等において正反射され、反射像が表示光と混合し表示品質を低下させ、表示画像を見にくくしている。
【0003】表示品質を向上させる為の例として、透明基材の表面に、金属酸化物などからなる高屈折率層と低屈折率層を積層した、或いは無機や有機フッ素化合物などの低屈折率層を単層で形成した、可視光の広範囲にわたる反射防止効果を有する反射防止光学部材をディスプレイ表面に張り合わせる等して利用することが知られている。
【0004】一方、上記反射防止光学部材には、人が使用することによって、指紋、皮脂、汗、化粧品などの汚れが付着する場合が多い。一般に、反射防止膜の表面エネルギーは約60J/m2 と大きいために、そのような汚れが付着しやすく、かつ、微細な凹凸があるため除去することが容易ではない。また、そのような汚れが付着した部分だけ高反射となり、汚れが目立つため問題があった。
【0005】そこで、これら汚れの問題を解決する手段として、汚れが付着しにくく、付着しても拭き取りやすい性能を持つ防汚層を反射防止光学部材の表面に設ける工夫が考案されている。
【0006】例えば、特開昭64−86101号公報には、基材の表面に、主として二酸化ケイ素からなる反射防止膜を設け、更にその表面に有機ケイ素置換基を含む化合物で処理した耐汚染性、耐擦傷性の反射防止膜物品が提案されている。特開平4−338901号公報には、同様に基材表面に末端シラノール有機ポリシロキサンを皮膜した耐汚染性、耐擦傷性のCRTフィルターが提案されている。
【0007】また、特公平6−29332号公報には、プラスチック表面にポリフルオロアルキル基を含むモノ及びジシラン化合物およびハロゲン、アルキルまたはアルコキシのシラン化合物とからなる反射防止膜を有する低反射率および防汚性のプラスチックが提案されている。
【0008】更に、特開平7−16940号公報には、パーフルオロアルキル(メタ)アクリレートとアルコキシシラン基を有する単量体との共重合体を二酸化ケイ素を主とする光学薄膜上に形成した光学物品が提案されている。
【0009】上記の防汚層は、防汚剤と反射防止膜表面の活性基が化学的に結合することによって定着し、防汚機能が発現すると考えられている。このため、防汚層形成プロセスにおいては、この化学反応を促進するために、防汚層形成後にエージング処理が一般的に行われる。しかし、エージング処理は高温かつ高湿下、あるいは長時間にわたって行われるため、結露の発生、基材の変形、ブロッキング、プロセスの長時間化などの問題が伴う。このためエージング処理を必要としない何らかの手法の開発が強く望まれてきている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従来の防汚層形成プロセスでは、防汚層形成後のエージング処理が不可欠であり、結露の発生、基材の変形、ブロッキング、プロセスの長時間化などの上記の問題点を抱えてきた。
【0011】本発明は、以上のような従来技術の課題を解決しようとするものであり、エージング処理を短く、または必要としない、反射防止光学部材の新規層構成を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため請求項1の発明は、透明基材上の少なくとも片面に反射防止層を有する反射防止光学部材において、防汚層と反射防止膜との間に、金属層が設けられた反射防止光学部材である。
【0013】本発明の請求項2の発明は、請求項1記載の発明において、金属層がMg,Ca,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Al,Si,Mo,Snの一種類以上を含むことを特徴とする反射防止光学部材である。
【0014】本発明の請求項3の発明は、請求項1,2記載のの発明において、金属層が真空蒸着法、反応性蒸着法、イオンビームアシスト蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法を用い形成されることを特徴とする反射防止光学部材である。
【0015】本発明の請求項4の発明は、請求項1〜3記載の発明において、防汚層がパーフルオロポリエーテル基を含有する有機シラン化合物であることを特徴とする反射防止光学部材である。
【0016】本発明の請求項5,6の発明は、請求項1〜4記載の発明において、最表面上に一般式[Rf−(OC36n −O−(CF2m −(CH2l −O−(CH2s c Si[OR]a [O−(CH2l −(CF2m −O−(OC36n −Rf]b [(CH2s −X]d (但し、Rfは炭素数1〜16の直鎖状または分岐状パーフルオロアルキル基、nは1〜50の整数、mは0〜3の整数、lは0〜3の整数、sは0〜6の整数、aは0〜3の整数、bは0〜3の整数、cは0〜1の整数、dは0〜1の整数、但し、6≧m+l>0、a+b=3,c+d=1、Rは炭素数1〜10のアルキル基、Xはハロゲン元素を示す。)で表される有機ケイ素化合物あるいは上記一般式においてa,b,c,dの値が異なる複数種の有機ケイ素化合物の混合物から構成されることを特徴とする防汚剤からなる防汚層が形成された反射防止光学部材である。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0018】透明基材の少なくとも片面に反射防止膜および防汚層が形成された反射防止光学部材において、防汚層と反射防止膜との間に金属層を設けることを特徴とする反射防止部材である。金属層はMg,Ca,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Al,Si,Mo,Snの1種類以上を含む。
【0019】なお、ここで言う金属層は、これらの純金属の他、それらの酸化物、水酸化物、またはそれらの混合物などが用いられ、純度も防汚剤と縮重合できる程度であれば高い必要はない。また、一般的にこれらの炭化物、窒化物は含まないが、上記縮重合に支障がない程度含有する場合を排除するものではない。
【0020】金属層は真空蒸着法、反応性蒸着法、イオンビームアシスト蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の公知の方法で形成可能であるが、特に膜厚制御が容易なスパッタリング法が望ましい。スパッタリングによる膜厚制御は、スパッタ出力・時間・圧力・雰囲気等の諸条件を変化させることにより可能である。
【0021】金属層の膜厚は特に制限するものではないが、エージングレス効果が発現する適正膜厚は10nm以下であり、特に反射防止膜の光学特性および防汚性への影響が無視できる1nm以下が好ましい。
【0022】また、最表面上に形成される防汚層はパーフルオロポリエーテル基を含有する有機シラン化合物である。特に、一般式[Rf−(OC36n −O−(CF2m −(CH2l −O−(CH2s c Si[OR]a [O−(CH2l −(CF2m −O−(OC36n −Rf]b [(CH2s −X]d (但し、Rfは炭素数1〜16の直鎖状または分岐状パーフルオロアルキル基であり、特にCF3 −、C25 −、C37 −が好ましい。また、nは1〜50の整数、mは0〜3の整数、lは0〜3の整数、sは0〜6の整数、aは0〜3の整数、bは0〜3の整数、cは0〜1の整数、dは0〜1の整数、但し、6≧m+l>0、a+b=3,c+d=1、Rは炭素数1〜10のアルキル基、特にCH3 −、C25 −が好ましい。Xはハロゲン元素を示す。特に、Cl−,Br−,I−が好ましい。)で表される有機ケイ素化合物、あるいは上記一般式においてa,b,c,dの値が異なる複数種の有機ケイ素化合物の混合物であることを特徴とする防汚剤より構成される。
【0023】本発明において用いられる透明基材とは、有機基材、あるいは無機基材の通常の光学部材用材料として用いられるものである。
【0024】無機基材としては、主にガラス板があげることができる。
【0025】有機基材のうち、透明プラスチック基材としては、種々の有機高分子からなる基材をあげることができる。通常、光学部材として使用される基材は、透明性、屈折率、分散などの光学特性、さらには耐衝撃性、耐熱性、耐久性などの諸物性の点から、ポリオレフィン系(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル系(ポリエチレンテレフタラ−ト、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド系(ナイロン−6、ナイロン−66等)、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、アクリル、セルロース系(トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セロファン等)等、或いはこれらの有機高分子の共重合体などからなっているが、本発明が透明基材とする透明プラスチック基材としてもこれらの基材をあげることができる。
【0026】これらの有機基材を構成する有機高分子に、公知の添加剤、例えば、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤、酸化防止剤、難燃剤等を含有させたものも使用することができる。
【0027】また、透明基材とする無機基材あるいは有機基材の形状は、特に限定されるものではないが、通常、光学部材として使用される透明プラスチック基材はフィルム状をなしており、本発明の反射防止光学部材もこれらフィルム状又はシート状のものを透明基材とすることができる。このフィルム状またはシート状の基材としては、単層、あるいは複数の有機高分子を積層したものでも良い。また、その厚みは、特に限定されるものではないが、0.01〜5mmが好ましい。
【0028】また、無機基材、あるいは有機基材上の反射防止層となる無機化合物層を形成する無機化合物としては、金属酸化物〔酸化ケイ素(二酸化ケイ素、一酸化ケイ素等)、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化トリウム、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化イットリウム、酸化セリウム、酸化亜鉛、ITO(Indium TinOxide)等〕、金属ハロゲン化物〔フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化ナトリウム、フッ化ランタン、フッ化セリウム、フッ化リチウム、フッ化トリウム等〕等をあげることができる。
【0029】これら無機化合物からなる無機化合物層は、単層または多層の薄膜等が挙げられ、これらはウェットコーティング法(ディップコーティング法、スピンコーティング法、フローコーティング法、スプレーコーティング法、ロールコーティング法、グラビアコーティング法等)、PVD(Physical VaporDeposition)法(真空蒸着法、反応性蒸着法、イオンビームアシスト蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等)、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等の公知の方法により形成される。
【0030】また、透明プラスチック基材と反射防止層となる無機化合物層との間に、ハードコート層を設けても良い。ハードコート層を設けることにより、基材表面の硬度が向上するとともに、基材表面がより平滑性になり、透明プラスチック基材と無機化合物層との密着性が向上する。このように、ハードコート層を設けることにより、鉛筆等の荷重のかかる引っ掻きによる傷を防止し、また、基材の屈曲による無機化合物層のクラック発生を抑制することができ、反射防止光学部材の機械的強度が改善できる。
【0031】ハードコート層は透明性と適度な硬度と機械的強度があれば、特に限定されるものではない。
【0032】電離放射線や紫外線の照射による硬化樹脂や熱硬化性の樹脂が使用でき、特に、紫外線照射硬化型アクリル系樹脂、有機ケイ素系樹脂、熱硬化型ポリシロキサン樹脂が好ましい。これらの樹脂は透明プラスチック基材と屈折率が同等もしくは近似していることがより好ましい。
【0033】膜厚は3μm以上あれば十分な強度となるが、透明性、塗工精度、扱い易さの点から5〜7μmの範囲が好ましい。
【0034】前記ハードコート層に平均粒子径0.01〜3μmの無機或いは有機物微粒子を混合分散させる、または表面形状を凹凸させることで一般的にアンチグレアと呼ばれる光拡散性処理を施すことができる。これらの微粒子は透明であれば特に限定されるものではないが、低屈折率材料が好ましく、酸化ケイ素、フッ化マグネシウムが安定性、耐熱性等で好ましい。これらのハードコート層は均一に塗布されるものであれば、塗布方法はいかなる方法でも構わない。
【0035】前記防汚剤を多孔性成型物中に含浸させ、真空中において、それを加熱し、蒸発させ、反射防止層上に成膜する。前記防汚剤を含浸させた多孔性成型物を加熱して防汚剤を蒸発させるための加熱方法としては、抵抗加熱法、電子線加熱法、光加熱法、イオンビーム加熱法、高周波加熱法が有効である。
【0036】多孔性成型物の成分としては、SiO2 ,TiO2 ,ZrO2 ,MgO,Al23 ,CaSO4 ,Cu,Fe,Al,ステンレス,カーボンなど、又はその混合物が挙げられる。
【0037】一方、防汚層形成方法は、作業環境や膜厚制御の点から、希釈溶媒を必要としないドライコーティング法によることが好ましく、特に、真空蒸着法によることが好ましい。ドライコーティング法によると、従来困難であった防汚層の膜厚をオングストロームオーダーで正確に制御することができ、所望の防汚層を有する光学部材を提供できる。さらに、反射防止膜を有する光学部材については、色設定が難しい反射防止層の干渉色を変化させることなく、容易に防汚性を付与することが可能である。
【0038】なお、防汚層をドライコーティング法により形成する場合、その膜厚は防汚剤の蒸発量に依存して変化する。従って、防汚層の膜厚を制御するためには、防汚剤の蒸発量を正確に制御することが必要である。防汚剤の蒸発量は、多孔性成型物中の防汚剤含浸量と、成膜時の加熱条件によって決まる。
【0039】前記防汚剤を用いて作製した防汚層の膜厚は、特に限定されるものではないが、防汚性、耐擦傷性、及び、光学部材の光学性能の点から、1〜50nmが好ましい。
【0040】本発明の反射防止光学部材と偏光板などの機能性光学部材等を、ラミネートに代表される貼り合わせ技術で貼り合わせることにより、反射防止機能を有する光学機能性部材となる。また、これらの反射防止光学部材や反射防止光学部材を貼り合わせた光学機能性部材を、粘着剤、接着剤等を用いて各種ディスプレイの表示装置の前面板のガラス板、プラスチック板、偏光板等と貼り合わせることによって、反射防止性かつ防汚性を有する画像認識性の優れた表示装置を得ることができる。
【0041】(作用)本発明は、防汚層と反射防止層との間に金属層を導入することにより、エージング処理を不要化しようとするものである。導入された金属層表面は反射防止層の最表層よりも活性が高く、防汚剤の基材表面への吸着とそれに続く基材と防汚剤の反応が迅速に生じる結果、エージング処理が大幅に短縮化され、最終的に従来技術の課題であるエージング処理に伴う結露の発生や、基材の変形、ブロッキング等の諸問題が解決される。
【0042】その結果、本発明の反射防止光学部材は、従来の反射防止光学部材とは異なり防汚層形成プロセにおけるエージング処理を必要とせず、従来の反射防止性能・防汚性を保ったままエージング処理に伴う結露の発生や、基材の変形、ブロッキング、プロセスの長時間化などの諸問題を回避することが可能である。
【0043】
【実施例】以下、本発明の実施例について詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0044】〈実施例1〉〔(1)反射防止膜付きTACフィルムの作製〕TACフィルム(厚さ:80μm)上に、単官能性アクリル樹脂をマイクログラビア法を用いて塗布し、120Wのメタハライドランプを20cmの距離から10秒間照射することにより、ハードコート層を形成させた。その後、ハードコート層付きTACフィルム上にプラズマアシスト蒸着法により、TiO2 ,SiO2 ,TiO2 ,SiO2 の順序に成膜し、反射防止層を作製した。
【0045】各層の屈折率n、形状膜厚d、及び光学膜厚ndは、TACフィルム(n=1.49)、ハートコート層(n=1.51,d=約5mm)、TiO2 (n=2.30,nd=60nm)、SiO2 (n=1.46,nd=40nm)、TiO2 (n=2.30,nd=110nm)、SiO2 (n=1.46,nd=140nm)とした。光学膜厚は、光学式膜厚モニターにより監視し、目的光量値に達した時に成膜を止め、所定の光学膜厚を得た。
【0046】〔(2)金属層の形成〕バッチ式スパッタ装置に上記(1)で作成された反射防止膜付きTACフィルムを導入し、5*10-6Torr以下に真空排気した後、Arガスフローを導入した。装置内圧力が5*10-3Torrの定常状態を示した後、50Wの出力で10秒間スパッタリングを行い膜厚約1nmのTi層を形成した。
【0047】〔(3)多孔性成型物の作製〕粒径1〜10μmのAl23 を水圧プレスを使って直径6mm、高さ4mmのペレットに成形した。次にこのペレットを1200℃で14時間にわたり焼結した。この焼結体は約40%の空孔率を有する。
【0048】〔(4)防汚剤の作製〕一般式[C37 −(OC3624−O−(CF22 −C24 −O−CH2c Si(OCH3a [O−C24 −(CF22 −O−(OC3624−C37b (CH2 −Cl)d で表される有機シラン化合物5gをパーフルオロヘキサンで10wt%に希釈し、防汚剤を作製した。これに上記多孔性成型物を浸し、飽和状態になるよう含浸させた後、溶剤を蒸発させた。このペレットは約2wt%の防汚剤を含有している。
【0049】〔(5)防汚層の作製〕前記ペレットをモリブデンボート上に乗せ、真空蒸着法(抵抗加熱法)により、前記反射防止膜付TACフィルム上に成膜し、防汚層を作製した。真空蒸着機内を5×10-5Torr以下に真空排気した後、ボートを400℃に加熱し、防汚剤を蒸発させた。
【0050】〈比較例1〉実施例1から金属層の形成操作を省いた以外は、全て実施例1と同様に反射防止膜付きTACフィルム上に防汚層を作製した。
【0051】上記の実施例、比較例において、各種物性評価方法と結果(表1)を以下に示す。
(a)接触角測定:接触角計〔CA−X型:協和界面科学(株)製〕を用いて、乾燥状態(20℃−65%RH)で直径1.0mmの液滴を針先に作り、これを基材の表面に接触させて液滴を作った。接触角とは、基材と液体が接する点における液体表面に対する接線と固体表面がなす角で、液体を含む方の角度で定義した。液体は蒸留水を使用した。
【0052】(b)転落角測定:転落角計〔CA−X型:協和界面科学(株)製〕を用いて、乾燥状態(20℃−65%RH)で直径1.0mmの液滴を針先に作り、これを水平な基材表面上に接触させて液滴を作った。次にこの基材を徐々に傾けていくと、液滴は徐々に変形し、傾斜角度がある角度に達したとき、液滴は下方へ滑り出す。このときの傾斜角度を転落角とした。液体は蒸留水を使用した。
【0053】(c)油性ペンの付着性:基材表面に油性ペン(マジックインキ(登録商標):細書き用no.500)を用いて、長さ1cmの直線を書き、その付き易さあるいは目立ち易さについて目視判定を行った。判定基準を以下に示す。
○:油性ペンを球状にはじいている。
×:油性ペンをはじかず、書ける。
【0054】(d)油性ペンの拭き取り性:基材表面に付着した油性ペンをセルロース製不織布〔ベンコットM−3:旭化成(株)製〕で拭き取り、その取れ易さについて目視判定を行った。判定基準を以下に示す。
○:油性ペンを完全に拭き取ることができる。
△:油性ペンの拭き取り跡が残る。
×:油性ペンを拭き取ることができない。
【0055】(e)指紋の付着性:基材表面に指を数秒押しつけて、指紋を付着させ、その付き易さあるいは目立ち易さについて目視判定を行った。
判定基準を以下に示す。
○:指紋の付着が少なく、付いた指紋が目立たない。
×:指紋の付着が認識できる。
【0056】(f)指紋の拭き取り性:基材表面に付着した指紋をセルロース製不織布〔ベンコットM−3:旭化成(株)製〕で拭き取り、その取れ易さについて目視判定を行った。判定基準を以下に示す。
○:指紋を完全に拭き取ることができる。
△:指紋の拭き取り跡が残る。
×:指紋の拭き取り跡が拡がり、拭き取ることができない。
【0057】(g)耐摩耗性:基材表面をセルロース製不織布〔ベンコットM−3:旭化成(株)製〕で荷重500gfで100回擦った後に前記各種物性評価を行った。
【0058】上記(a)〜(g)の評価を防汚層形成直後およびエージング後(40℃−90%RH−24h)に行った。
【0059】
【表1】

【0060】
【発明の効果】本発明の反射防止光学部材は、従来の反射防止光学部材とは異なり防汚層形成プロセスにおけるエージング処理を必要とせず、エージング処理に伴う結露の発生や、基材の変形、ブロッキング、プロセスの長時間化などの諸問題を回避することが可能である。
【0061】また、本発明の反射防止光学部材は、従来の技術で作製したものと同等に、反射防止性能が損なわれることなく優れた防汚性を有する。
【0062】また、透明プラスチック基材と反射防止層となる無機化合物層との間に、ハードコート層を設けても良い。ハードコート層を設けることにより、基材表面の硬度が向上するとともに、基材表面の平滑性が向上し、透明プラスチック基材と無機化合物層との密着性が向上する。このように、ハードコート層を設けることにより、鉛筆等の荷重のかかる引っ掻きによる傷を防止し、また、基材の屈曲による無機化合物層のクラック発生を抑制することができ、反射防止光学部材の機械的強度が改善できる。
【0063】上記の防汚層は、防汚剤と反射防止膜表面の活性基が化学的に結合することによって定着し、防汚機能が発現すると考えられている。このため、防汚層形成プロセスにおいては、この化学反応を促進するために、防汚層形成後にエージング処理が一般的に行われる。しかし、エージング処理は高温かつ高湿下、あるいは長時間にわたって行われるため、結露の発生、基材の変形、ブロッキング、プロセスの長時間化などの問題が伴う。このためエージング処理を必要としない何らかの手法の開発が強く望まれてきている。
【0064】(作用)本発明は、防汚層と反射防止層との間に金属層を導入することにより、エージング処理を短縮あるいは不要化し、従来技術の課題であるエージングに伴う諸問題を解決しようとするものである。金属層表面は反射防止層の最表層よりも活性が高く、防汚剤の基材表面への吸着および基材と防汚剤の反応が迅速に生じる結果、最終的にエージング処理が短縮化される。
【0065】(作用)本発明は、防汚層と反射防止層との間に金属層を導入することにより、エージング処理を不要化しようとするものである。導入された金属層表面は反射防止層の最表層よりも活性が高く、防汚剤の基材表面への吸着とそれに続く基材と防汚剤の反応が迅速に生じる結果、エージング処理が大幅に短縮化され、最終的に従来技術の課題であるエージング処理に伴う結露の発生や、基材の変形、ブロッキング等の諸問題が解決される。
【0066】加水分解基とより早く反応するための反応速度は、反射防止膜最表面層のSiOH基と防汚剤加水分解基の反応速度より大きく、そのため金属層を導入することにより従来技術の課題を解決しようとするものであり、その結果、防汚剤の配向が迅速に起こり、金属(M)の表面水酸基と防汚剤の加水分解基が縮重合し、M−O−Si結合が生じていると考えられ、最終的にエージング処理を短縮もしくは必要としない様にするものである。




 

 


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