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発明の名称 バルブポジショナ
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−75651(P2001−75651A)
公開日 平成13年3月23日(2001.3.23)
出願番号 特願平11−253271
出願日 平成11年9月7日(1999.9.7)
代理人
発明者 井上 晃
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】制御対象であるバルブの弁開度を設定するための入力信号SPを受信することができる受信手段と、前記弁開度を計測して電気信号に変換するステム変位センサ手段と、該ステム変位センサ手段からのステム変位信号PVと、前記入力信号SPとの偏差とに基づいて弁開度位置を制御するための制御量URを演算出力する制御演算手段と、前記制御量URに基づいて前記バルブの弁開度を制御する電空変換手段とからなるバルブポジショナであって、前記制御演算手段は、前記制御対象の不感帯を演算し、該不感帯を低減する一定の操作量を予め演算しておき、前記ステム変位信号PVと前記入力信号SPとに偏差が生じた時に、前記操作量を前記制御量URに重畳させるようにしたことを特徴とするバルブポジショナ。
【請求項2】前記操作量を、前記制御量URに重畳させる時並びに重畳を解除する時の条件は、前記偏差の値に基づくことを特徴とする請求項1に記載のバルブポジショナ。
【請求項3】前記操作量を、前記制御量URに重畳させる時の条件は、前記入力信号SPが変化した時であり、前記制御量URへの重畳を解除する時の条件は、前記偏差の値に基づくことを特徴とする請求項1に記載のバルブポジショナ。
【請求項4】バルブで制御することができる流体の流体流量を電気信号に変換して得られた入力信号SPと、バルブステムの変位を電気信号に変換して得られたステム変位信号PVとをPID制御アルゴリズムで演算して制御量URを生成するデジタル演算手段と、前記制御量URに基づいて前記バルブに供給する気体流量を制御する電空変換手段とからなるバルブポジショナであって、前記デジタル演算手段は、予めバルブのヒステリシス情報を蓄積してあるバルブヒステリシス情報手段と、前記制御量URと前記入力信号SPと前記ヒステリシス情報と前記ステム変位信号PVとからヒステリシス加算量Hurを算出するヒステリシス演算手段と、前記ヒステリシス加算量Hurと前記制御量URとを加算してヒステリシス制御量UR’を算出して前記電空変換手段に供給するヒステリシス加算手段とを備えたことを特徴とするバルブポジショナ。
【請求項5】前記ヒステリシス演算手段は、前記ステム変位信号PVからバルブの動きを検出するバルブステム状態検出手段と、前記入力信号SPが変化した方向を検知する入力信号状態検出手段とを備え、前記バルブが動いていた方向と、前記入力信号SPとによりこれからバルブが動こうとしている方向とが逆の場合に、バルブのヒステリシスをキャンセルするヒステリシス加算量Hurを前記制御量URに加算することを特徴とする請求項4に記載のバルブポジショナ。
【請求項6】前記バルブのヒステリシスをキャンセルする量は、前記バルブヒステリシス情報手段に蓄積されているヒステリシス情報に基づいて設定することを特徴とする請求項5に記載のバルブポジショナ。
【請求項7】前記ヒステリシス演算手段は、前記ステム変位信号PVからバルブの動きを検出するバルブステム状態検出手段と、前記入力信号SPが変化した方向を検知する入力信号状態検出手段と、前記バルブが静止した状態の時の制御量URを記憶する第1の記憶手段と、前記入力信号SPが変化した時の制御量URを記憶する第2の記憶手段とを備え、第2の記憶手段の値から前記第1の記憶手段の値を差し引いたヒステリシス補正値を算出し、該ヒステリシス補正値に基づいたバルブのヒステリシス加算量Hurを前記制御量URに加算することを特徴とする請求項4に記載のバルブポジショナ。
【請求項8】前記ヒステリシス加算量Hurは、前記バルブヒステリシス情報手段に蓄積されているヒステリシス情報に基づいて算出することを特徴とする請求項7に記載のバルブポジショナ。
【請求項9】バルブで制御することができる流体の流体流量を電気信号に変換して得られた入力信号SPと、バルブステムの変位を電気信号に変換して得られたステム変位信号PVとをPID制御アルゴリズムで演算して制御量URを生成するデジタル演算手段と、前記制御量URに基づいてバルブに供給する気体流量を制御する電空変換手段と、該電空変換手段における気体流量を検出する圧力センサ手段と、からなるバルブポジショナであって、前記デジタル演算手段は、予めバルブのヒステリシス情報を蓄積してあるバルブヒステリシス情報手段と、前記入力信号SPと前記ヒステリシス情報と前記ステム変位信号PVと前記圧力センサ手段からの信号とからヒステリシス加算量Hurを算出するヒステリシス演算手段と、前記ヒステリシス加算量Hurと前記制御量URとを加算してヒステリシス制御量UR’を生成して前記電空変換手段に供給するヒステリシス加算手段とを備えたことを特徴とするバルブポジショナ。
【請求項10】前記ヒステリシス演算手段は、前記バルブの静止した時の前記圧力センサ手段からの信号を記憶する第1の圧力記憶手段と、前記入力信号が変化した時の前記圧力センサ手段からの信号を記憶する第2の圧力記憶手段とを備え、該第2の圧力記憶手段の値から前記第1の圧力記憶手段の値を差し引いた値をヒステリシス補正値とし、該値に基づいてヒステリシス加算量Hurを算出することを特徴とする請求項9に記載のバルブポジショナ。
【請求項11】前記ヒステリシス加算量Hurは、前記バルブヒステリシス情報手段に蓄積されているヒステリシス情報に基づいて設定することを特徴とする請求項9に記載のバルブポジショナ。
【請求項12】バルブで制御することができる流体の流体流量を電気信号に変換して得られた入力信号SPと、バルブステムの変位を電気信号に変換して得られたステム変位信号PVとをPID制御アルゴリズムで演算して制御量URを生成するデジタル演算手段と、前記制御量URに基づいてバルブに供給する気体流量を制御する電空変換手段とからなるバルブポジショナであって、前記デジタル演算手段は、前記バルブのヒステリシス情報を計測するヒステリシス計測手段と、該ヒステリシス計測手段により算出したバルブのヒステリシス情報を蓄積するバルブヒステリシス情報手段と、前記制御量URと前記入力信号SPと前記ヒステリシス情報と前記ステム変位信号PVとからヒステリシス加算量Hurを算出するヒステリシス演算手段と、前記ヒステリシス加算量Hurと前記制御量URとを加算してヒステリシス制御量UR’を算出して前記電空変換手段に供給するヒステリシス加算手段とを備えたことを特徴とするバルブポジショナ。
【請求項13】前記ヒステリシス計測手段は、通常運転に入る前に、制御量URがバルブの時定数の影響を受けないように充分ゆっくりした速度で可変し、該バルブが動いた時の制御量URの順方向初期値と、該バルブが逆方向に動いた時の制御量URの逆方向初期値とを算出し、前記順方向初期値から逆方向初期値とを差し引いた値をバルブのヒステリシス情報とすることを特徴とする請求項12に記載のバルブポジショナ。
【請求項14】前記ヒステリシス演算手段は、前記ステム変位信号PVからバルブの動きを検出するバルブステム状態検出手段と、前記入力信号SPが変化した方向を検知する入力信号状態検出手段とを備え、前記バルブが動いていた方向と、前記入力信号SPとによりこれからバルブが動こうとしている方向とが逆の場合に、バルブのヒステリシスをキャンセルするヒステリシス加算量Hurを制御量URに加算することを特徴とする請求項12に記載のバルブポジショナ。
【請求項15】前記バルブのヒステリシスをキャンセルする量は、前記バルブヒステリシス情報手段に蓄積されているヒステリシス情報に基づいて設定することを特徴とする請求項12に記載のバルブポジショナ。
【請求項16】バルブで制御することができる流体の流体流量を電気信号に変換して得られた入力信号SPと、バルブステムの変位を電気信号に変換して得られたステム変位信号PVとをPID制御アルゴリズムで演算して制御量URを生成するデジタル演算手段と、前記制御量URに基づいてバルブに供給する気体流量を制御する電空変換手段と、該電空変換手段における気体流量を検出する圧力センサ手段と、からなるバルブポジショナであって、前記デジタル演算手段は、前記バルブのヒステリシス情報を計測するヒステリシス計測手段と、該ヒステリシス計測手段により算出したバルブのヒステリシス情報を蓄積してあるバルブヒステリシス情報手段と、前記入力信号SPと前記ヒステリシス情報と前記ステム変位信号PVと前記圧力センサ手段からの信号とからヒステリシス加算量Hurを算出するヒステリシス演算手段と、前記ヒステリシス加算量Hurと前記制御量URとを加算してヒステリシス制御量UR’を算出して前記電空変換手段に供給するヒステリシス加算手段とを備えたことを特徴とするバルブポジショナ。
【請求項17】前記ヒステリシス計測手段は、通常運転に入る前に、制御量URをゆっくりした速度で可変し、前記バルブが動いた時に前記圧力センサで検出した順方向初期値と、該制御量URを逆方向に可変して該バルブが逆方向に動いた時に該圧力センサで検出した逆方向初期値とを算出し、前記順方向初期値から逆方向初期値を差し引いた値をバルブのヒステリシス情報とすることを特徴とする請求項16に記載のバルブポジショナ。
【請求項18】前記ヒステリシス演算手段は、前記バルブの静止した時の前記圧力センサ手段からの信号を記憶する第1の圧力記憶手段と、前記入力信号が変化した時の前記圧力センサ手段からの信号を記憶する第2の圧力記憶手段とを備え、該第2の圧力記憶手段の値から前記第1の圧力記憶手段の値を差し引いた値をヒステリシス補正値とし、該値に基づいてヒステリシス加算量Hurを算出することを特徴とする請求項16に記載のバルブポジショナ。
【請求項19】前記ヒステリシス加算量Hurは、前記バルブヒステリシス情報手段に蓄積されているヒステリシス情報に基づいて設定することを特徴とする請求項16に記載のバルブポジショナ。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バルブポジショナに関するものであり、特にバルブ特有のヒステリシス並びに電空変換部分に発生する不感帯を改良したバルブポジショナに関する。
【0002】
【従来の技術】従来技術における調整弁の弁開度を所定の信号に応じて制御するバルブポジショナにおいて、調整弁を制御するアルゴリズムの開発は、その製品の性能を決めることになるので極めて重要な事項になってきている。
【0003】以前においては、バルブポジショナは、機械式のものが多いため、機械機構による制御アルゴリズムが主流であり、P(比例)制御が圧倒的に多かった。逆に、P制御以外のアルゴリズムは、機械機構では実現できなかった。
【0004】しかし、近年において、特にデジタル形式のバルブポジショナが開発され、演算機能を有するポジショナが出現している。この演算機能を持つことにより、制御アルゴリズムはソフトウエアで実現できるようになるため、おおよそ全ての方式の制御演算が可能になってきている。従って、制御アルゴリズムは、P(比例)制御からPID(比例、積分、微分)制御に発達してきている。
【0005】この結果、調整弁の制御性は格段に向上した。しかし、技術革新が進めば、市場の要求も更に厳しくなるのは当然であって、現在では、更に優れた制御性を持つポジショナが求められている。
【0006】このような背景のもとにおいて、各ポジショナベンダーでは、調整弁の制御アルゴリズムの開発が活発に進められている。採用されているアルゴリズムは、PID制御アルゴリズムが最もポピュラーであるが、このPID制御アルゴリズムだけでは調整弁特有の非線形性を十分吸収することが出来ないため、PID制御に色々な機能を付加することにより、調整弁の制御性を向上させようとしている。
【0007】このようなPID動作機能を有するバルブポジショナは、図17に示すように、電気的な信号に基づいて空気流量を制御してバルブをコントロールする、所謂、電空ポジショナであり、その構成はバルブで制御する流体流量を電気信号に変換して得られた入力信号SPを入力し、且つこの入力信号SPとバルブ12位置のフィードバック信号であるステム変位信号PVに基づいて制御量URを演算出力するコントローラ11と、このコントローラ11からの制御量URに基づいて空気圧を制御するI/Pモジュール13と、I/Pモジュール13の信号によりバルブ12に供給する空気流量を制御するパイロットリレー14と、パイロットリレー14からの空気流量によりステムを変位させて流体を制御するバルブ12と、バルブ12のステム変位を検出するステム変位センサ15とから構成されている。このうち、I/Pモジュール13とパイロットリレー14とで電空変換部16を構成する。
【0008】このような構成からなるバルブポジショナの最もポピュラーなデジタルPID制御の演算アルゴリズムは、下記の式のようになる。
【0009】P(n)=SP(n)−PV(n)
I(n)=Δt/Ti*P(n)+I(n−1)
D(n)=Td/(Δt+I/γ*Td)*(P(n−1)−P(n)+1/γ*D(n−1)
U(n)=Kp*(P(n)+I(n)+D(n))
SP;目標値(入力信号)、PV(n);フィードバック値(バルブ弁開度の信号;ステム変位信号)、P(n);比例器、I(n);積分器、D(n);微分器、U(n);制御信号(制御量)、Δt;制御周期、Ti;積分時間、Td;微分時間、γ;微分ゲイン、Kp;比例ゲイン【0010】このようなPID制御アルゴリズムは、図18に示すブロック図で示すことができ、バルブポジショナのPID制御アルゴリズムの動作は、PIDの文字通り、比例器(P)、積分器(I)、微分器(D)から構成され、制御量URはそれぞれ、P、I、Dの値を加算した値に、Kpなる比例ゲインを乗算して得られる。
【0011】比例器(P)は、ポジショナの入力信号SPと、調整弁の弁開度を示すステム変位をステム変位センサ15で検出し、検出した電気信号をA/D変換器でデジタル値に変換したステム変位信号PVの値との差、即ち、偏差値で表す。
【0012】積分器(I)は、積分時間Tiで設定されるパラメータで決まる割合で、偏差値を積分するものである。
【0013】微分器(D)は、微分時間、微分ゲインで設定されるパラメータで決まる割合で、偏差値を微分するものである。最終的な、制御量URは、比例器(P)、積分器(I)、微分器(D)の値を加算したものに対し、比例ゲインKpを乗算した値で求める。
【0014】コントローラ11は、バルブステム変位信号PVを入力信号SPにすばやく、正確にトラッキングさせるため、このような演算を行わないで制御量URを求めている。例えば、入力信号SPとステム変位信号PVとに差がある場合は、コントローラ11はステム変位信号PVと入力信号SPを近づける方向に制御量URの値を変化する。又、入力信号SPとステム変位信号PVに差がない場合は、制御量URの値は変化しない。
【0015】このようなPID制御アルゴリズムは、単純であるため、本質的に優れているが、制御対象に非線形性が存在する場合、制御性が著しく悪化する場合がある。ここで、コントローラ11によって制御対象となるものは、制御量URの値を供給する電空変換部16からバルブ12までをさす。
【0016】次に、具体的な制御対象で発生する非線形性現象について述べる。制御対象の非線形性の一つは、不感帯である。不感帯とは、ヒステリシスや他の要因により制御量URを変化させても、バルブ12の弁開度に対し感度が悪い、又は制御量URの変化により、バルブ12の弁開度経の変化は生じるが制御量URに応じたバルブ12の弁開度の変化率が得られない領域のことをさす。つまり、制御量URがバルブ12の弁開度の制御を適切に行えない領域のことである。
【0017】ここでは、その不感帯の一例を示す。ポジショナの一要素としてI/Pモジュール13の出力信号を入力して空気流量を増幅するパイロットリレー14がある。このパイロットリレー14には、入力空気信号(通常ノズル背圧、以後、ノズル背圧と呼ぶ)と出力空気流量の間に、空気を制御するために発生する特有の不感帯が存在する。
【0018】イロットリレー14は、図19に示すように、筐体20内部に4つの部屋、供給圧室21、出力圧室22、排気圧室23、背圧室24とからなり、供給圧室21と出力圧室22との間に給気弁座25を設け、出力圧室22と排気圧室23との間に排気弁座26を設けた構造となっている。給気弁座25と排気弁座26との間にはポペット弁27を摺動自在に配置した構造となっている。排気弁座26の上方側には筐体20の内壁面に取付けた出力圧ダイアフラム28と、排気弁座26の基部端部側には背圧ダイアフラム29を設けた構造となっている。この両者のダイアフラム28、29によって、出力圧室22と排気圧室23と背圧室24とを隔離した構成となっている。又、ポペット弁27が、一方の端部側からバネ30により付勢されており、常時給気弁座25を閉塞するように機能している。更に、供給圧室21と出力圧室22との隔壁には、貫通孔のブリード孔31を設けた構造となっている。
【0019】このような構造からなるパイロットリレー14は、図20に示すような、ブロック線図で表すことができる。但し、原理を簡単に示すため、ポペット弁27のマス、不感帯、バネ30、ブリード孔31やメカニカルな摩擦等の影響はないものとする。
【0020】このようなブロック線図の図20を参照して、パイロットリレー14の動作は、先ず背圧室24のノズル背圧が変化することにより、排気弁座25が背圧ダイアフラム29から力を受け、排気弁座26が動く(図19において左方向)ことにより、出力圧室22に流れ込む空気流量又は、出力圧室22から排気される空気流量を調整することにより、出力圧を制御している。
【0021】ここでポペット弁27による不感帯について説明する。定常状態では、ポペット弁27は、供給圧力で給気弁座25に押し付けられているので閉まっている。従って、供給圧室21から出力圧室22には、ブリード孔31から空気が流れ込む。この出力圧は、一定なので、ブリード孔31から流れ込んだ空気は、排気されるので排気弁座26はブリード孔31から流れ込む流量を排気するだけの開口面積をポペット弁27との間に保った状態でバランスしている。
【0022】この状態から、ノズル背圧を減圧すると、ノズル背圧の圧力を受け、排気弁座26への力と変換する背圧ダイヤフラム29にかかる圧力が減少し、排気弁座26はポペット弁27から離れ、出力圧室22と排気圧室23との開口面積が増え、出力圧室22から空気は流出し、出力圧室22の圧力は下がる。やがて、出力圧を受け、排気弁座26へのフイードバック力に変換する出力圧ダイアフラム28にかかる圧力も減少し、排気弁座26はブリード孔31から流れ込む流量を排気するだけの開口面積をポペット弁27との間に保った状態でバランスする。逆に、ノズル背圧を増加させると、排気弁座26はポペット弁27に近づきやがて、ポペット弁27にぶつかり、出力圧室22と排気圧室23を遮断する。この状態では、供給圧室21から出力圧室22にブリード孔31を通して流れ込む流量が出力圧室22に供給するだけで、出力圧室22の圧力変化は小さく一定である。ポペット弁27自身は、供給圧とポペット弁27を押さえるバネ30で押されているため、ポペット弁27が供給圧とバネ30から受けている力を排気弁座26が受ける力を上回らない限り、給気弁座25は開かない。従って、給気弁座25を開くためには、ある一定以上のノズル背圧の変化が必要になる。排気弁座26がポペット弁27にぶつかり、ポペット弁27を押し、給気弁座25を開くまでの間、出力圧の変化は、ブリード孔31から出力圧室22に流れ込む流量での圧力の変化となり、ノズル背圧が変化しても変わらない。ノズル背圧が増加して、ポペット弁27を給気弁座25から押し開けると、ノズル背圧の変化に応じて、給気弁座25の開口面積が広がり、出力圧室22に流入する空気流量が変化するので、出力圧力の変化率も増加する。
【0023】このような動作をするポペット弁27を使用するパイロットリレー14は、図21に示すように、ノズル背圧の変化と出力圧力の変化率(dp/dt;流量)にはノズル背圧が変化しても出力圧が変化しないという構造上特有の不感帯が存在する。又、この不感帯は、図22に示すように、給気弁座25が閉まり、ブリード孔31を介して供給圧室21側から出力圧室22側に流れる場合には、給気側にのみ圧力が存在するため、給排気の動特性に差が出てくる。つまり、出力圧の動特性に非線形性が存在する場合、給排気特性が大きく変わることになる。この非線形性は、バルブポジショナ又は電空変換器が持つコントローラが吸収することが求められており、その分制御アルゴリズムの設計を困難にしている。
【0024】又、上述の不感帯と広い意味で同じくし、一時的なバルブ12の制御不能になるものとして、制御部分をデジタル制御にし、バルブ特有のヒステリシスを考慮したバルブポジショナがある。このデジタル制御するバルブポジショナは、図23に示すように、バルブ12の弁開度をステム変位センサ15で検出し、この検出したステム変位信号PVをフィードバック信号として利用し、入力信号SPと一致するように、バルブ12の入力圧の制御量URを決定している。この場合のバルブポジショナは、一般にPID制御アルゴリズムを利用しており、所謂、制御の部分をデジタルで演算制御するデジタル演算部35を設けた構成が周知である。
【0025】このバルブポジショナの構成は、入力信号SPと、ステムからのフィードバック信号であるステム変位信号PVとを入力して演算するデジタル演算部35と、演算された制御量URをアナログ値に変換するD/A変換部(D/A)36と、アナログ値を電流信号に変換するV/I変換部(V/I)37と、この信号Iに基づいて気体流量を変換してバルブ12に供給するI/Pモジュール13、パイロットリレー(P/P)14と、バルブ12のステム変位を検出するステム変位センサ(mm/V)15と、このステム変位センサ15で検出した信号を増幅する増幅器(Amp)38と、増幅された信号をデジタル値に変換するA/D変換部(A/D)39とから構成されている。ここで、V/I変換部37と、I/Pモジュール13と、パイロットリレー14とで電空変換部16を構成する。
【0026】デジタル演算部は、入力信号SPとステム変位信号PVとを入力する偏差混合器40と、混合された信号をPID制御アルゴリズムで制御量URを算出するPID演算部41とから構成されている。
【0027】このPID演算部41は、図24に示すように、PID制御アルゴリズムを構成するものであり、入力信号SPとステム変位信号PVとを偏差混合させた信号SPーPVを積分器(I)、比例器(P)、微分器(D)にそれぞれ入力し、その出力信号を混合して比例ゲインKpの値を可変させることで制御量URを得る構成となっている。
【0028】制御対象のバルブ12の応答特性の理想は、入力信号SPに対して、無駄時間が無く、素早く応答することであるが、実際には、制御対象のバルブ12にはヒステリシス(バルブのバッキングリアクション)が存在し、微少な入力信号を与えた場合、出力圧がヒステリシスに打ち勝つまではバルブは応答しない。特に、制御対象の時定数が小さい場合には、定数の比例ゲインKpの値を大きく取ると、系が発振するため、定数の比例ゲインKpが大きく設定できず、入力信号SPを与えても、制御対象のヒステリシスに打ち勝つ迄の圧力に比例器(P)だけでの信号では達せず、積分器(I)の出力が圧力を補うまでの時間が必要である。
【0029】
【発明が解決するための課題】このように、従来技術におけるバルブポジショナにおいては、バルブ特有の不感帯及びヒステリシスという問題が存在している。
【0030】上述したような不感帯があるパイロットリレーを搭載しているバルブポジショナにおいては、以下に示すような問題点をバルブの制御に与える。
【0031】目標値である入力信号SPとフイードバック値であるステム変位信号PVが一致せず、偏差が生じた場合、図22に示すように、バルブ制御は偏差を小さくする方向に、コントローラからの制御量URの値を変化させる。偏差が大きく、制御量URの値の変化が不感帯を超える大きさであれば、パイロットリレーの流量は制御量URの値の大きさにより変化するが、やがて偏差が小さくなると不感帯に入る。不感帯内では、制御量URの値が変化してもパイロットリレーの出力流量は、ブリード孔から流れ込む流量で決まるので、バルブの調節弁に供給するか又は排気する空気流量は一定となるので、調節弁ステムの速度は一定となり制御量URの値で制御できなくなる。バルブの空気容量が小さい場合は、問題はそれほど深刻ではないが、バルブの空気容量が大きい場合は、ブリード孔という僅かな流量しか流せない穴から流れる流量でバルブを動かすことになるので、ステムの応答は極端に遅くなる(図19参照)。この間、偏差は残っているわけであるから、当然積分器はその偏差を積分している。つまり、積分器が必要以上に偏差を留めてしまい、目標値の入力信号SPでフイードバック値のバルブステム変位信号PVの値が止まらず行き過ぎが生じてしまう。一旦、行き過ぎが生じると必要以上に偏差を留めた積分器がその偏差を吐き出すまでステムは整定しない。このような問題には従来のPID制御アルゴリズムを備えた制御器であるバルブポジショナでは対応できないという問題がある。
【0032】又、上述したデジタル制御をする場合であってもポジショナの制御対象であるバルブの出力(バルブステム変位)がポジショナにフィードバックし、その値が設定値と一致するような制御を行っていた。つまり、{ポジショナ+バルブ}の制御系を観測する信号は、バルブのステム変位のみであるからこのような問題が生じるものと観測できるのである。
【0033】バルブのヒステリシスが直接影響される問題として、ポジショナのPID制御アルゴリズムそのものに問題を起因しているものと考えられる。以下、ポジショナのPID制御アルゴリズムにおいて如何にバルブのヒステリスの影響を被るかについての解析を行う。
【0034】図24より、比例器(P)、微分器(D)、積分器(I)から操作量URは、偏差値err(t)=sp(t)−pv(t)とすると、下記の式1で表すことができる。
【0035】
【式1】

【0036】このような制御アルゴリズムを備えたPID制御アルゴリズムにおいて、所謂、ステップ入力信号SPを与えると、図25に示すように、制御量UR(ur(t))は制御対象のバルブのヒステリシスが大きく且つ入力ステップ信号SPが小さい場合には、最初の微分器(D)が出力する信号も小さくなるので制御量UR(ur(t))はバルブのヒステリシス(バルブのヒステリシスの是正点)を超えられない。このような場合は、入力ステップ信号SPを与えてもバルブステムはステップ信号SPに反応せず、その後の積分器(I)の出力がバルブのヒステリシスを打ち破るまで、バルブステムは止まったままである。即ち、ステップ入力信号SPを与えてからバルブが反応するまでの無駄な時間が発生していることになる。
【0037】又、微分器(D)の出力により、制御量UR(ur(t))がバルブのヒステリシスを超えたとしても通常のヒステリシスが小さい場合のような応答はできず、最終目標値に達する時間が長くなるという問題もある。これは上述式1からもわかるように、制御を行うパラメータとして、バルブの位置情報であるステム変位信号PVの値と入力信号SPの値だけで、操作量URを決めていたためである。即ち、バルブのヒステリシスの状態が操作量URに反映されないためヒステリシスの影響を大きく受けているためである。
【0038】更に、プラントの効率を上げるため、配管に流れる流体の圧力及び温度が上がる傾向にあり、バルブからの流体の漏れを止めるため、バルブのパッキングフリクションは大きくなり、その分、バルブのヒステリシスは大きくなる傾向にあるので、上記上述した問題は更に大きくなってきている。
【0039】従って、PID制御アルゴリズムを採用しているバルブポジショナにおいて、特にパイロットリレーで発生する不感帯を削減又は減少させること、並びにバルブ特有のヒステリスに対応したフイードバック制御を適確にできるようにして、バルブの応答性を早くすることに解決しなければならない課題を有している。
【0040】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明に係るバルブポジショナは、制御対象であるバルブの弁開度を設定するための入力信号SPを受信することができる受信手段と、前記弁開度を計測して電気信号に変換するステム変位センサ手段と、該ステム変位センサ手段からのステム変位信号PVと、前記入力信号SPとの偏差とに基づいて弁開度位置を制御するための制御量URを演算出力する制御演算手段と、前記制御量URに基づいて前記バルブの弁開度を制御する電空変換手段とからなるバルブポジショナであって、前記制御演算手段は、前記制御対象の不感帯を演算し、該不感帯を低減する一定の操作量を予め演算しておき、前記ステム変位信号PVと前記入力信号SPとに偏差が生じた時に、前記操作量を前記制御量URに重畳させるようにしたことである。
【0041】又、前記操作量を、前記制御量URに重畳させる時並びに重畳を解除する時の条件は、前記偏差の値に基づくこと;前記操作量を、前記制御量URに重畳させる時の条件は、前記入力信号SPが変化した時であり、前記制御量URへの重畳を解除する時の条件は、前記偏差の値に基づくことである。
【0042】他のバルブポジショナは、バルブで制御することができる流体の流体流量を電気信号に変換して得られた入力信号SPと、バルブステムの変位を電気信号に変換して得られたステム変位信号PVとをPID制御アルゴリズムで演算して制御量URを生成するデジタル演算手段と、前記制御量URに基づいて前記バルブに供給する気体流量を制御する電空変換手段とからなるバルブポジショナであって、前記デジタル演算手段は、予めバルブのヒステリシス情報を蓄積してあるバルブヒステリシス情報手段と、前記制御量URと前記入力信号SPと前記ヒステリシス情報と前記ステム変位信号PVとからヒステリシス加算量Hurを算出するヒステリシス演算手段と、前記ヒステリシス加算量Hurと前記制御量URとを加算してヒステリシス制御量UR’を算出して前記電空変換手段に供給するヒステリシス加算手段とを備えたことである。
【0043】又、前記ヒステリシス演算手段は、前記ステム変位信号PVからバルブの動きを検出するバルブステム状態検出手段と、前記入力信号SPが変化した方向を検知する入力信号状態検出手段とを備え、前記バルブが動いていた方向と、前記入力信号SPとによりこれからバルブが動こうとしている方向とが逆の場合に、バルブのヒステリシスをキャンセルするヒステリシス加算量Hurを前記制御量URに加算すること;前記バルブのヒステリシスをキャンセルする量は、前記バルブヒステリシス情報手段に蓄積されているヒステリシス情報に基づいて設定すること;前記ヒステリシス演算手段は、前記ステム変位信号PVからバルブの動きを検出するバルブステム状態検出手段と、前記入力信号SPが変化した方向を検知する入力信号状態検出手段と、前記バルブが静止した状態の時の制御量URを記憶する第1の記憶手段と、前記入力信号SPが変化した時の制御量URを記憶する第2の記憶手段とを備え、第2の記憶手段の値から前記第1の記憶手段の値を差し引いたヒステリシス補正値を算出し、該ヒステリシス補正値に基づいたバルブのヒステリシス加算量Hurを前記制御量URに加算すること;前記ヒステリシス加算量Hurは、前記バルブヒステリシス情報手段に蓄積されているヒステリシス情報に基づいて算出することである。
【0044】他のバルブポジショナは、バルブで制御することができる流体の流体流量を電気信号に変換して得られた入力信号SPと、バルブステムの変位を電気信号に変換して得られたステム変位信号PVとをPID制御アルゴリズムで演算して制御量URを生成するデジタル演算手段と、前記制御量URに基づいてバルブに供給する気体流量を制御する電空変換手段と、該電空変換手段における気体流量を検出する圧力センサ手段と、からなるバルブポジショナであって、前記デジタル演算手段は、予めバルブのヒステリシス情報を蓄積してあるバルブヒステリシス情報手段と、前記入力信号SPと前記ヒステリシス情報と前記ステム変位信号PVと前記圧力センサ手段からの信号とからヒステリシス加算量Hurを算出するヒステリシス演算手段と、前記ヒステリシス加算量Hurと前記制御量URとを加算してヒステリシス制御量UR’を生成して前記電空変換手段に供給するヒステリシス加算手段とを備えたことである。
【0045】又、前記ヒステリシス演算手段は、前記バルブの静止した時の前記圧力センサ手段からの信号を記憶する第1の圧力記憶手段と、前記入力信号が変化した時の前記圧力センサ手段からの信号を記憶する第2の圧力記憶手段とを備え、該第2の圧力記憶手段の値から前記第1の圧力記憶手段の値を差し引いた値をヒステリシス補正値とし、該値に基づいてヒステリシス加算量Hurを算出すること;前記ヒステリシス加算量Hurは、前記バルブヒステリシス情報手段に蓄積されているヒステリシス情報に基づいて設定することである。
【0046】他のバルブポジショナは、バルブで制御することができる流体の流体流量を電気信号に変換して得られた入力信号SPと、バルブステムの変位を電気信号に変換して得られたステム変位信号PVとをPID制御アルゴリズムで演算して制御量URを生成するデジタル演算手段と、前記制御量URに基づいてバルブに供給する気体流量を制御する電空変換手段とからなるバルブポジショナであって、前記デジタル演算手段は、前記バルブのヒステリシス情報を計測するヒステリシス計測手段と、該ヒステリシス計測手段により算出したバルブのヒステリシス情報を蓄積するバルブヒステリシス情報手段と、前記制御量URと前記入力信号SPと前記ヒステリシス情報と前記ステム変位信号PVとからヒステリシス加算量Hurを算出するヒステリシス演算手段と、前記ヒステリシス加算量Hurと前記制御量URとを加算してヒステリシス制御量UR’を算出して前記電空変換手段に供給するヒステリシス加算手段とを備えたことである。
【0047】又、前記ヒステリシス計測手段は、通常運転に入る前に、制御量URがバルブの時定数の影響を受けないように充分ゆっくりした速度で可変し、該バルブが動いた時の制御量URの順方向初期値と、該バルブが逆方向に動いた時の制御量URの逆方向初期値とを算出し、前記順方向初期値から逆方向初期値とを差し引いた値をバルブのヒステリシス情報とすること;前記ヒステリシス演算手段は、前記ステム変位信号PVからバルブの動きを検出するバルブステム状態検出手段と、前記入力信号SPが変化した方向を検知する入力信号状態検出手段とを備え、前記バルブが動いていた方向と、前記入力信号SPとによりこれからバルブが動こうとしている方向とが逆の場合に、バルブのヒステリシスをキャンセルするヒステリシス加算量Hurを制御量URに加算すること;前記バルブのヒステリシスをキャンセルする量は、前記バルブヒステリシス情報手段に蓄積されているヒステリシス情報に基づいて設定することである。
【0048】他のバルブポジショナは、バルブで制御することができる流体の流体流量を電気信号に変換して得られた入力信号SPと、バルブステムの変位を電気信号に変換して得られたステム変位信号PVとをPID制御アルゴリズムで演算して制御量URを生成するデジタル演算手段と、前記制御量URに基づいてバルブに供給する気体流量を制御する電空変換手段と、該電空変換手段における気体流量を検出する圧力センサ手段と、からなるバルブポジショナであって、前記デジタル演算手段は、前記バルブのヒステリシス情報を計測するヒステリシス計測手段と、該ヒステリシス計測手段により算出したバルブのヒステリシス情報を蓄積してあるバルブヒステリシス情報手段と、前記入力信号SPと前記ヒステリシス情報と前記ステム変位信号PVと前記圧力センサ手段からの信号とからヒステリシス加算量Hurを算出するヒステリシス演算手段と、前記ヒステリシス加算量Hurと前記制御量URとを加算してヒステリシス制御量UR’を算出して前記電空変換手段に供給するヒステリシス加算手段とを備えたことである。
【0049】又、前記ヒステリシス計測手段は、通常運転に入る前に、制御量URをゆっくりした速度で可変し、前記バルブが動いた時に前記圧力センサで検出した順方向初期値と、該制御量URを逆方向に可変して該バルブが逆方向に動いた時に該圧力センサで検出した逆方向初期値とを算出し、前記順方向初期値から逆方向初期値を差し引いた値をバルブのヒステリシス情報とすること;前記ヒステリシス演算手段は、前記バルブの静止した時の前記圧力センサ手段からの信号を記憶する第1の圧力記憶手段と、前記入力信号が変化した時の前記圧力センサ手段からの信号を記憶する第2の圧力記憶手段とを備え、該第2の圧力記憶手段の値から前記第1の圧力記憶手段の値を差し引いた値をヒステリシス補正値とし、該値に基づいてヒステリシス加算量Hurを算出すること;前記ヒステリシス加算量Hurは、前記バルブヒステリシス情報手段に蓄積されているヒステリシス情報に基づいて設定することである。
【0050】このように制御対象のバルブ特有の不感帯を考慮し、この不感帯を低減する一定の操作量を予め演算しておき、ステム変位信号と入力信号に偏差が生じた時に、予め演算しておいた操作量を、制御量URに重畳させるようにしたことにより、不感帯の削減又は縮小をすることが可能になる。
【0051】又、バルブ特有のヒステリシスにおいては、その特有な特徴から発生するバルブヒステリシス情報を、バルブ制御の条件環境に合わせて追加及び補正をすることにより、バルブのヒステリシスを抹消した状態にして迅速なバルブ応答性を可能にすることができる。
【0052】
【発明の実施の形態】次に、本発明に係るバルブポジショナの種々の実施の形態について図面を参照して説明する。尚、従来技術で説明したものと同じものには、同一符号を付けて説明する。
【0053】本発明に係る第1の実施の形態のバルブポジショナは、従来技術で説明したパイロットリレー14(図19参照)と同じ構成となっており、そのバルブ特有の不感帯を低減する手法に関するものである。従って従来技術での図17及び図19はそのまま引用する。
【0054】パイロットリレー14における不感帯は、供給圧と大気圧とポペット弁27の形状によりほぼ決まるため、どのような状態でもほぼ一定である事が考えられる。従って、不感帯がある方向にバルブ12を駆動する時に、不感帯の量は予め解っているので不感帯を打ち消す方向に制御量URを算出すれば不感帯を軽減できるはずである。
【0055】このような、バルブ12特有の不感帯を考慮し、且つ不感帯の影響を軽減するに適切な制御量URに適宜重畳するブーストBoost機能(操作量)を有するようにしたバルブポジショナの動作について、図1に示すブロックフロー及び図2に示すタイミングチャートを参照して説明する。
【0056】先ず、制御演算手段を備えているコントローラ11は、偏差の方向は、バルブの不感帯が発生する方向か否かを検出する(ステップST11)。
【0057】もし、偏差の方向が不感帯を存在する方向である場合には、偏差の量はBoost機能が必要な大きさであるかを検討する(ステップST12)。即ち、図2に示すように、Boostが必要な一定の偏差値と、Boostが不必要な一定の偏差値とを予め設定しておき、偏差量が、Boostが必要な偏差値を超える場合には、Boostをオンにする。
【0058】もし、Boost機能が不必要であれば、制御量{UR=UR{の処理(ステップST13、ST14)をし、Boost機能が必要な場合には、制御量{UR=UR+Boost}の処理をして制御量URにBoostを重畳させる処理を行う(ステップST15)。この制御量URに重畳させると、図2に示すように、制御量URがBoost分だけ加わるから急激に大きくなり、下降勾配して減少し、Boostが不必要な偏差値までくると、制御量URはなくなる。
【0059】尚、このように、Boostが必要な偏差値とBoostが不必要な偏差値との2個のしきい値により重畳動作を行わせているが、1つのしきい値であってもよい。しかし、ステム変位信号PVの値のバラツキやノイズの影響等を考えると2段階のしきい値でBoostの判断を行うほうがより安定した制御をすることができる。
【0060】次に、Boostにより重畳する他の具体例について、図3のフローチャート、及び図4のタイミングチャートを参照して説明する。この手法は、Boostの判断を全て偏差で行わないで、入力信号SPの値で行う手法である。
【0061】先ず、制御演算手段において、入力信号SPの変化は不感帯が存在する方向か否かを判断する(ステップST21)。
【0062】もし、不感帯が存在する方向である場合には、その入力変化量は、Boostが必要な大きさか否かを判断する(ステップST22)。もし、不感帯が存在する方向でない場合には、現在Boost機能を使用しているか否かを判断する(ステップST23)。既に、Boost機能を搭載している場合には、現実の偏差の量がBoost機能が不必要な大きさであるか否かを判断する(ステップST24)。ステップST22に戻って、Boostが必要な大きさまたはBooostが必要である場合には、図4に示すように、入力信号SPの値がBoostを必要とする入力信号SPの変化量(しきい値)を超えた場合であり、且つ偏差の値がBoostが不必要な偏差値を超えた状態である。この条件を満足すると、Boostがオンになり、制御量URが必要な値に急激に上昇する。
【0063】即ち、Boostが必要と判断すると、制御量{UR=UR+Boost}の処理をする(ステップST25)。Boostが必要でない場合には、制御量{UR=UR}の処理をする(ステップST26)。
【0064】このように、入力信号SPの変化量に応じてBoostを重畳させるようにすることにより、不感帯を減少又はなくして、正確且つ精巧なバルブ制御を達成することができるのである。
【0065】尚、実施例においては、パイロットリレー14の不感帯の例を扱ったが、これに限定されることなく通常電空変換部は、ポジショナ内部に持っている要素、例えばI/P変換機構、パイロットリレー、ステム変位センサ等に加え、制御のターゲットであるバルブを含んだ制御対象の中には様々な不感帯がある。これらの不感帯を演算、又は予測することにより、上述したパイロットリレー14の不感帯軽減と同様の効果を得ることができる。
【0066】次に、第2の実施の形態のバルブポジショナについて図面を参照して説明する。第2の実施の形態のバルブポジショナは、バルブのヒステリシスをフイードバック制御して、バルブの応答性を早めるようにしたことであり、以下その種々の実施例について説明する。
【0067】第1の実施例のバルブポジショナは、ポジショナの入力信号SPが変化した場合、ポジショナは入力信号SPの変化とバルブの弁開度が一致するように制御するが、バルブにヒステリシスがあるため無駄な時間が生じる。従って、バルブのヒステリシスの情報を予め入力又は測定により記憶しておき、入力信号SPが変化した時にヒステリシスに相当するバルブの操作量をバイアスとして制御量URに加算することにより、バルブのヒステリシスを見かけ上キャンセルできる。この方法により、無駄な時間を短縮し、入力信号SPの変化に対して機敏な応答特性が得られる。
【0068】このような機能を有するバルブポジショナの構成は、図5に示すように、バルブ12が制御する流体量を電気信号に変換して得られた入力信号SPとバルブ12からのフィードバック信号とから制御量URを算出するデジタル演算部35Aと、ヒステリシス制御量UR’をアナログ信号に変換するD/A変換部36と、アナログ信号Vに基づいてバルブ12に供給する空気流量を制御する電空変換部16と、バルブ12と、バルブ12のステム変位を検出するステム変位センサ(mm/V)15と、ステム変位センサ15からの信号を増幅するアンプ(Amp)38と、増幅された信号をデジタル値に変換してステム変位信号PVを生成するA/D変換器39とから構成されている。電空変換部16はヒステリシス制御量UR’を電流Iに変換する変換部(V/I)37と、電流Iに基づいて空気流量を制御する入力モジュール(I/P)13と、空気流量をバルブ12に供給するパイロットリレー(P/P)14とから構成されている。
【0069】デジタル演算部35Aは、バルブ12のヒステリシス情報を格納するメモリ機能を有するバルブヒステリシス情報部45と、バルブ12のヒステリシスをキャンセルする方向を検知するためのバルブステム状態検出部46と、入力信号SPが変化した方向を検知する入力信号状態検出部47と、バルブ12が動いていた方向と入力信号SPとにより、これからバルブ12が動こうとしている方向が逆である場合、バルブ12のヒステリシスをキャンセルさせることを判断するヒステリシス演算部48と、バルブ12のヒステリシスをキャンセルさせるだけの操作量に相当するヒステリシス加算量Hurをバルブヒステリシス情報部45から抽出し、操作量URに加算するヒステリシス加算器49とから構成されている。
【0070】このような構成からなるバルブポジショナは、図6に示すように、バルブヒステリシスの情報を制御量URに加算する条件は、■入力信号SPが変化した時、■バルブステムが動いている方向又は動いていた方向が入力信号SPが変化した方向と逆である時、の2条件が同時に成り立つ時にバルブヒステリシス操作量換算値VHを制御量URに換算する制御をする。ここで、バルブヒステリシスを加算する方向とは、ステム変位信号PVが増加する方向がバルブステムが開く方向であり、ステム変位信号PVが減少する方向がバルブステムが閉まる方向とする。
【0071】このような特性を有するバルブポジショナの動作について、図7に示すフローチャートを参照にして以下説明する。
【0072】先ず、ヒステリス加算量{Hur=0}、バルブ移動方向{pvd=1}にプリセットする(ステップST11)。
【0073】そして、ステム変位信号PV{pv(n)}が前の状態と比較して正の状態になった時は、バルブステム移動方向{pvd=1}にセットする(ステップST13)。負の場合にはバルブステム移動方向{pvd=−1}にセットする(ステップST14、ST15)。
【0074】次に、入力信号SPがゼロの時は、ステップST12に戻ってバルブ移動方向pvdを検出するようにし、もし、入力信号SPに変化が生じて正の状態の時は入力信号変化方向{spd=1}にセットし、負の場合には入力信号変化方向{spd=−1}にセットする(ステップST16、ST17、ST18、ST19)。
【0075】この状態で、次に入力信号変化方向spdとバルブステム移動方向pvdの積が負の場合、即ち、バルブステムが逆方向に動いたか又は入力信号SPが以前よりマイナスの場合である(ステップST20)。この状態で、バルブステムが逆方向に動いた場合には、ヒステリシス加算量Hurはバルブヒステリシス操作量換算値VHを差し引いた値にする(ステップST21、ST22)。バルブステムが順方向に動いた場合には、ヒステリシス加算量Hurはバルブヒステリシス操作量換算値VHを加算した値にする(ステップST23)。
【0076】そして、このヒステリシス加算量HurをPID演算部41の出力値である制御量UR{ur(n)}に加算したヒステリシス制御量UR’(ヒステリシス操作量ur’(n))を生成する(ステップst24)。
【0077】このようにして、バルブステムの動き及び入力信号SPの変化に対応させてバルブヒステリシスを加減させることによってバルブ12の応答性が迅速になるように制御することができるのである。
【0078】次に、第2の実施例のバルブポジショナについて図面を参照して説明する。
【0079】第2の実施例のバルブポジショナは、上述した第1の実施例で説明した図5に示す構成と同じであり、相違するのはヒステリシス演算部48で制御する手法が異なる。即ち、ヒステリシス演算部48はバルブ12のヒステリシス状態を勘案してヒステリシス量を補正して、バルブヒステリシス加算量Hurをヒステリシス加算器49に与えるようにしたことである。
【0080】即ち、バルブステムが停止している状態で、ステム変位信号PVの値が完全に入力信号SPの値と完全に一致していない場合、PID演算部41の積分器の出力は変化し、それに応じて制御量URは変化する。つまり、ヒステリシス内にバルブステムが入り込むことにより、制御量URが変化しても、バルブ12は動かない。いずれは、積分器の出力がヒステリシスを打ち破る値になりバルブ12は動くのだが長い時間がかかる。このような状態で入力信号SPが変化した場合、加算するヒステリシスの量が多くなりすぎ、正確な制御ができない場合がある。従って、ヒステリシス演算部48は、バルブが静止した状態を検知するバルブステム状態検出部46でバルブステムが静止した状態を知り、その時の制御量URの値を入力信号状態検出部47で検出し、その時の制御量UR(ur1)を第1の記憶手段に記憶する。また、入力信号SPが変化した時の制御量UR(ur2)を第2の記憶手段に記憶する。そして、この第2の記憶手段の値から第1の記憶手段の値とを差し引いた値(ur2ーur1)をヒステリシス補正値(=ヒステリシス加算量Hur)として、バルブ12のヒステリシスを制御量URに加算してヒステリシス制御量UR’とする。
【0081】このヒステリシスの情報をヒステリシス制御量UR’に加算する条件は、図8に示すように、■入力信号SPが変化した時、■バルブステムが動いている時、■バルブステムが停止している時、■バルブステムが動いている方向又は動いた方向と入力信号SPが変化した方向と逆である時、■バルブステムが動いている方向又は動いた方向と入力信号SPが変化した方向が同じである時である。
【0082】そして、■、■、■の条件が同時に成り立つ時は、ヒステリシス加算量{Hur=Hur±VH(±は方向により+又は−となる)}の計算をする。■、■、■の条件が成り立つ時は、ヒステリシス加算量{Hur=Hur±VH−(ur2−ur1)}の計算をする。■、■、■の条件が成り立つ時は、ヒステリシス加算量{Hur=Hur−(ur2−ur1)}の計算をする。これら以外の時は、ヒステリシス加算量{Hur=Hur(何も行わない)}の計算をしてバルブヒステリシスを加算する方向に制御する。ここでステム変位信号PVの値が増加する方向がバルブステムが開く方向、ステム変位信号PVの値が減少する方向がバルブステムが閉まる方向とする。
【0083】このような特性を有するバルブポジショナの動作について、図9に示すフローチャートを参照して以下説明する。
【0084】先ず、ヒステリス加算量{Hur=0}、バルブ移動方向{pvd=1}にプリセットする(ステップST31)。
【0085】そして、ステム変位信号PV{バルブステム値pv(n)}を前の状態と比較して正の状態になった時は、バルブステム移動方向{pvd=1、pvz=0}にセットする(ステップST32、ST33)。負の場合にはバルブステム移動方向{pvd=−1、pvz=0}にセットする(ステップST34、ST35)。そして、フラグを{flag1=0}にセットする(ステップST36)。
【0086】ステム変位信号PV(バルブステム値pv(n))を前の状態と比較した時に正でも負でもない状態、即ち、ステム変位信号PVに変化がなかった時には、{pvz=0}にセットする(ステップST37)。
【0087】次に、{pvz=1およびflag=0}の時、即ち、ステム変位信号PVの値に変化があった時には、第1の制御量URを{ur1=ur(n)、flag=1}にセットする(ステップST38、ST39)。
【0088】この状態で、入力信号SP{入力信号値sp(n)}が変化しない時には、ステップ32に戻り、バルブステムの変化を検出する(ステップST40)。正の方向に動いた場合には入力信号変化方向を{spd=1}にセットする(ステップST41、ST42)。もし、入力信号値sp(n)が負の方向に動いた場合には、入力信号変化方向を{spd=−1}にセットする(ステップST43)。
【0089】そして、PID演算部41の出力である第2の制御量UR{ur2=ur(n)}にセットする(ステップST44)。入力信号変化方向spdとバルブステム移動方向pvdのどちらかがマイナス方向である場合において、バルブ12が停止している時の{pvz=1}である時であって、入力信号変化方向spdが正の場合には、ヒステリシス加算量Hur{Hur=Hur+VH−(ur2−ur1)}の計算をし、ヒステリシス制御量UR’{ur’=ur+Hur}を算出してステップST32に戻る(ステップST45、ST46、ST47、ST48、ST49)。
【0090】ステップST46において、バルブ12が動作している時に、入力信号変化方向spdが正の方向の時は、ヒステリシス加算量Hur{Hur=Hur+VH}の計算をし、入力信号変化方向spdが負の方向の場合には、ヒステリシス加算量Hur{Hur=Hur−VH}の計算をして、ヒステリシス制御量UR’{ur’=ur+Hur}を算出してステップST32に戻る(ステップST46、ST52、ST53、ST54、ST49)。
【0091】ステップST45において、入力信号変化方向spdとバルブステム移動方向pvdとの両者とも正の方向である場合において、バルブが停止している時の{pvz=1}には、ヒステリシス加算量Hur{Hur=Hur−(ur2−ur1)}の計算をし、ヒステリシス制御量UR’{ur’=ur+Hur}を算出してステップST32に戻る(ステップST45、ST50、ST51、ST49)。
【0092】このようにして、バルブヒステリシスの量を補正するようにすると制御状態に対応させたヒステリシスを補正してフイードバックすることができるのである。
【0093】次に、第3の実施例のバルブポジショナについて図面を参照して説明する。
【0094】第3の実施例のバルブポジショナは、ヒステリシス量を補正していたものに加えて、バルブに供給する空気量を検出する圧力センサを備え、制御量URが変化しなくともバルブの入力圧が変化する場合を検出して、正確なヒステリシスの補正分を計算し、フィードバック制御するようにしたものである。
【0095】このバルブポジショナの構成は、図10に示すように、バルブ12が制御する流体量を電気信号に変換した入力信号SPとバルブ12からのフィードバック信号とから制御量URを算出するデジタル演算部35Bと、ヒステリシス制御量UR’をアナログ信号に変換するD/A変換部36と、アナログ信号Vに基づいてバルブ12に供給する空気流量を制御する電空変換部16と、バルブ12と、バルブ12のステム変位を検出するステム変位センサ(mm/V)15と、ステム変位センサ15からの信号を増幅するアンプ(Amp)38と、増幅された信号をデジタル値に変換するA/D変換器39とから構成されている。電空変換部16はヒステリシス制御量UR’を電流Iに変換する変換部(V/I)37と、電流Iに基づいて空気流量を制御する入力モジュール(I/P)13と、空気流量をバルブ12に供給するパイロットリレー(P/P)14とから構成されている。このパイロットリレー(P/P)14に供給される空気流量の圧力を検出する圧力センサ51と、この圧力センサ51のアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器52と、このA/D変換器52で変換されたデジタル値である圧力信号poutがデジタル演算部35Bのヒステリシス演算部48とバルブヒステリシス情報部45に入力される構成となっている。
【0096】デジタル演算部35Bは、バルブ12のヒステリシス情報を格納するメモリ機能を有するバルブヒステリシス情報部45と、バルブ12のヒステリシスをキャンセルする方向を検知するために必要な情報であるところの、バルブステムの動作状態を検知するバルブステム状態検出部46と、入力信号SPが変化した方向を検知する入力信号状態検出部47と、バルブ12が動いていた方向と入力信号SPとにより、これからバルブ12が動こうとしている方向が逆である場合、バルブ12のヒステリシスをキャンセルさせることを判断するヒステリシス演算部48と、バルブ12のヒステリシスをキャンセルさせるだけの操作量に相当するヒステリシス加算量Hurをバルブヒステリシス情報部45から抽出し、制御量URに加算するヒステリシス加算器49とから構成されている。
【0097】ヒステリシス演算部48は、入力信号状態検出部47からの信号とバルブステム状態検出部46からの信号と、電空変換部16からの空気流量を電気信号に変換した圧力信号poutとを入力してヒステリシス加算量Hurを算出する。
【0098】このような構成からなるバルブポジショナは、バルブステムが停止したことを、バルブステム状態検出部で検出し、その時のバルブの入力圧pout1を圧力センサ51で検出したアナログ信号をデジタル値の圧力信号poutにして、outp1として記憶する。そして、入力信号SPが変化したことを入力信号状態検出部47で検知し、その時のバルブの入力圧pout2を圧力センサ51から検出して、ヒステリシス演算部48で、バルブ12が静止してから入力信号SPが変化するまでに変化した圧力値{pout2−pout1}に相当する制御量URの値をヒステリシス補正値として、演算し、加算してヒステリシスを演算し、ヒステリシス加算器49に与える。
【0099】このヒステリシスの情報を制御量URに加算する条件は、図11に示すように、■入力信号SPが変化した時、■バルブステムが動いている時、■バルブステムが静止している時、■バルブステムが動いている方向又は動いていた方向と入力信号SPが変化した方向と逆である時、■バルブステムが動いている方向又は動いていた方向と入力信号SPが変化した方向が同じである時である。
【0100】そして、■、■、■の条件が同時に成り立つ時は、ヒステリシス加算量{Hur=Hur±VH(±は方向により+又は−となる)}の計算をする。■、■、■の条件が同時に成り立つ時は、ヒステリシス加算量{Hur=Hur±VH−(outp2−outp1)/Gr}の計算をする。■、■、■の条件が同時に成り立つ時は、ヒステリシス加算量{Hur=Hur−(outp2−outp1)/Gr}の計算をする。これら以外の時は、ヒステリシス加算量{Hur=Hur(何も行わない)}の計算をしてバルブヒステリシスを加算する方向に制御する。ここでステム変位信号PVの値が増加する方向がバルブステムが開く方向、ステム変位信号PVの値が減少する方向がバルブステムが閉まる方向とする。
【0101】このような特性を有するバルブポジショナの動作について、図12に示すフローチャートを参照にして以下説明する。
【0102】先ず、ヒステリス加算量{Hur=0}、バルブ移動方向{pvd=1}にプリセットする(ステップST61)。
【0103】そして、ステム変位信号PV{pv(n)}が前の状態と比較して正の状態になった時は、バルブステム移動方向{pvd=1、pvz=0}にセットする(ステップST62、ST63)。負の場合にはバルブステム移動方向{pvd=−1、pvz=0}にセットする(ステップST62、ST64)。
【0104】次に、入力信号SPがゼロの時は、{pvz=1}にセットする(ステップST67)。
【0105】ステップST66及びステップST67において、入力信号SPがゼロでない時には、{flag1=0}にセットし、バルブ12が停止している時{pvz=1及びflag=0}の場合には、{pout1=pout(n)、flag=1}にセットする(ステップST68、ST69)。
【0106】この状態で、次に入力信号SPに変化がないとステップST62に戻りバルブステムの変化を検知する(ステップST7)。
【0107】ステップST70において、入力信号SPに変化があり、その変化が正の方向である時には、{spd=1}をセットし、負の方向である時には{spd=−1}をセットし、{pout2=pout(n)}をセットする(ステップST71、ST72、ST73、ST74)。
【0108】ステップST75において、バルブステム移動方向の積が負の場合、即ち、バルブステムが逆方向に動いたか又は入力信号SPが以前よりマイナスの場合は、バルブ状態フラグ{pvz=1}である時には、入力信号変化方向が正の方向である場合には、ヒステりシス加算量{Hur=Hur+VH−(pout2−pout1)/Gr}の計算をし、ヒステリシス制御量{UR’=UR+Hur}にしてステップST62に戻る(ステップST75、ST76、ST77、ST78、ST79)。ステップST77において、入力信号変化方向が逆の場合には、ヒステリシス加算量{Hur=Hur−VH−(pout2−pout1)/Gr}の計算をし、ヒステリシス制御量{UR’=UR+Hur}にしてステップST62に戻る(ステップST77、ST80)
【0109】ステップST75において、バルブステム移動方向又は入力信号変化方向が負の場合には、バルブ状態フラグ{pvz=1}の時に、ヒステリシス加算量{Hur=Hur−(pout2−pout1)/Gr}の計算をし、ヒステリシス制御量{UR’=UR+Hur}にしてステップST62に戻る(ステップST75、ST81、ST82、ST79)。
【0110】ステップST76において、バルブ12が動作している時には、入力信号変化方向が正の時には、ヒステリシス加算量{Hur=Hur+VH}の計算をし、ヒステリシス制御量{UR’=UR+Hur}にしてステップST62に戻る(ステップST83、ST84)。ステップST83において、入力信号変化方向が負の場合には、ヒステリシス加算量{Hur=Hur−VH}の計算をし、ヒステリシス制御量{UR’=UR+Hur}にしてステップST62に戻る(ステップST83、ST85)。
【0111】このようにして、バルブステムの動き及び入力信号SPの変化、並びに圧力センサ51の変化に基づいてバルブヒステリシスを加減させることによってバルブの応答性が迅速になるように制御することができるのである。
【0112】次に、第4の実施例のバルブポジショナについて図面を参照して説明する。
【0113】第4の実施例のバルブポジショナは、上述した第1の実施例のバルブポジショナと同様の機能であり、入力信号SPが変化した時にヒステリシスに相当するバルブ2の操作量をバイアスとして制御量URに加算するようにしたものに加えて、バルブ12のヒステリシス情報は、予め計数(キャリブレーション)して求め、その値をバルブヒステリシス情報部45に記憶するようにしたことである。
【0114】このような機能を付加したバルブポジショナの構成は、図13に示すように、バルブ12が制御する流体量を電気信号に変換して得られた入力信号SPとバルブ12からのフィードバック信号とからヒステリシス制御量UR’を算出するデジタル演算部35Cと、ヒステリシス制御量UR’をアナログ信号に変換するD/A変換部36と、アナログ信号Vに基づいてバルブ12に供給する空気流量を制御する電空変換部16と、バルブ12と、バルブ12のステム変位を検出するステム変位センサ(mm/V)15と、ステム変位センサ15からの信号を増幅するアンプ(Amp)38と、増幅された信号をデジタル値に変換してステム変位信号PVを生成するA/D変換器39とから構成されている。電空変換部16はヒステリシス制御量UR’を電流Iに変換する変換部(V/I)37と、電流Iに基づいて空気流量を制御する入力モジュール(I/P)13と、空気流量をバルブ12に供給するパイロットリレー(P/P)14とから構成されている。
【0115】デジタル演算部35Cは、バルブ12のヒステリシス情報を格納するメモリ機能を有するバルブヒステリシス情報部45と、バルブ12のヒステリシスをキャンセルする方向を検知するためのバルブステム状態検出部46と、入力信号SPが変化した方向を検知する入力信号状態検出部47と、バルブ12が動いていた方向と入力信号SPとにより、これからバルブ12が動こうとしている方向が逆である場合、バルブ12のヒステリシスをキャンセルさせることを判断するヒステリシス演算部48と、バルブ12のヒステリシスをキャンセルさせるだけの操作量に相当するヒステリシス加算量Hurをバルブヒステリシス情報部45から抽出し、操作量URに加算するヒステリシス加算器49と、バルブ12を駆動する前に、バルブ12のヒステリシスを測定するバルブヒステリシス計数手段(キャリブレーション機能)55とから構成されている。
【0116】このような構成からなるバルブポジショナにおける基本的なバルブの開く方向等は、図6に示すものと同じであり、その動作について、図14に示すフローチャートを参照にして以下説明する。
【0117】先ず、制御量URに「urinit」なる初期値を与えた後、バルブステムが静止した事を確認し、制御量URを徐々に増加(Δur)させる(ステップST91、ST92、ST93、ST94、ST95)。
【0118】ステム変位信号PV(バルブステム値pv(n))が動いた時に、制御量URの増加を止め、その時の制御量URの値をur3とする(ステップST96、ST97)。
【0119】バルブステムが止まった事を確認して、制御量URを徐々に減少(Δur)させる(ステップST98)。
【0120】バルブステムpv(n)が動いたときの制御量URの値をur4とする(ステップST99、ST100)。
【0121】そして、このようにして得られた制御量UR(ur4−ur3)がバルブヒステリシス操作量換算値VHとして、バルブヒステリシス情報部45に記憶する(ステップST101)。
【0122】このようにして、バルブ12の駆動前に実際のバルブヒステリシス情報を取得するようにすると、予めバルブ12のヒステリシス情報を設定する必要がなくなるばかりでなく、正確なバルブヒステリシス情報を得ることができるのである。
【0123】次に、第5の実施例のバルブポジショナについて説明する。
【0124】第5の実施例のバルブポジショナは、上述した第4の実施例で説明した図13に示す構成である、予め計数したバルブのヒステリシス情報を算出した後に、このヒステリシス量を補正して、ヒステリシス加算量Hurをヒステリシス加算器49に与えるようにしたことである。
【0125】先ず、バルブのヒステリシス情報をバルブヒステリシス計測手段55により取得してから、このヒステリシス情報を利用してヒステリシスの補正を行うものである。このバルブヒステリシス計測手段55によりヒステリシス情報を得る手法は第4の実施例において図14のフローチャートで説明したのでその説明は省略する。
【0126】そして、ヒステリシス情報を得た後に、ヒステリシスの補正を行う、このヒステリシスの補正を行う手法は、バルブステムが停止している状態で、ステム変位信号PVの値が完全に入力信号SPの値と完全に一致していない場合、PID演算部41の積分器の出力は変化し、それに応じて制御量URが変化することを利用したものであり、上述の第2の実施例と同様である。つまり、ヒステリシス内にバルブステムが入り込むことにより、制御量URが変化しても、バルブ12は動かない。このような状態で入力信号SPが変化した場合、加算するヒステリシスの量が多くなりすぎ、正確な制御ができない場合がある。従って、バルブ12が静止した状態を検知するバルブステム状態検出部46でバルブステムが静止した状態を知り、その時の制御量URの値を入力信号状態検出部47で検出し、その時の制御量UR(ur1)を第1の記憶手段(ヒステリシス演算部41に存在する)に記憶する。また、入力信号SPが変化した時の制御量UR(ur2)を第2の記憶手段(ヒステリシス演算部41に存在する)に記憶する。そして、この第2の記憶手段の値から第1の記憶手段の値を差し引いた値(ur2ーur1)をヒステリシス補正値として、バルブのヒステリシスをヒステリシス制御量UR’に加算する。このヒステリシスの補正については、第2の実施例の図9のフローチャートで説明したので詳細な説明は省略する。
【0127】次に、第6の実施例のバルブポジショナについて図面を参照して説明する。
【0128】第6の実施例のバルブポジショナは、バルブ駆動時において、バルブのヒステリシス情報を検出した後に、この検出したヒステリシス情報に基づいてヒステリシス量を補正する。そして、バルブに供給する空気量を検出する圧力センサからの検知情報により、制御量URが変化しなくともバルブの入力圧は変化する場合を検出して、正確なヒステリシスの補正分を計算してフィードバック制御するようにしたものである。
【0129】このバルブポジショナの構成は、図15に示すように、バルブ12が制御する流体量を電気信号に変換して得られた入力信号SPとバルブ12からのフィードバック信号とからヒステリシス制御量UR’を算出するデジタル演算部35Dと、ヒステリシス制御量UR’をアナログ信号に変換するD/A変換部36と、アナログ信号Vに基づいてバルブ12に供給する空気流量を制御する電空変換部16と、バルブ12と、バルブ12のステム変位を検出するステム変位センサ(mm/V)15と、ステム変位センサ15からの信号を増幅するアンプ(Am)38と、増幅された信号をデジタル値(ステム変位信号PV)に変換するA/D変換器39とから構成されている。電空変換部16はヒステリシス制御量UR’を電流Iに変換する変換部(V/I)37と、電流Iに基づいて空気流量を制御する入力モジュール(I/P)13と、空気流量をバルブ12に供給するパイロットリレー(P/P)14とから構成されている。加えて、このパイロットリレー(P/P)14に供給される空気流量の圧力を検出する圧力センサ51と、この圧力センサ51のアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器52と、このA/D変換器52で変換されたデジタル値(圧力信号pout)がデジタル演算部35Dのヒステリシス演算部48とバルブヒステリシス情報部45に入力される構成となっている。
【0130】デジタル演算部35Dは、バルブ12のヒステリシス情報を格納するメモリ機能を有するバルブヒステリシス情報部45と、バルブ12のヒステリシスをキャンセルする方向を検知するために必要な情報であるところの、バルブステムの動作状態を検知するバルブステム状態検出部46と、入力信号SPが変化した方向を検知する入力信号状態検出部47と、バルブ12が動いていた方向と入力信号SPとにより、これからバルブ12が動こうとしている方向が逆である場合、バルブ12のヒステリシスをキャンセルさせることを判断するヒステリシス演算部48と、バルブ12のヒステリシスをキャンセルさせるだけの操作量に相当するヒステリシス加算量Hurをバルブヒステリシス情報部45から抽出し、制御量URに加算するヒステリシス加算器49と、バルブ12を駆動する前にバルブ12のヒステリシスを測定するバルブヒステリシス計数手段(キャリブレーション機能)55とから構成されている。
【0131】このような構成からなるバルブポジショナにおける基本的な動作は、上述した第3の実施例と同じであるので、異なるところのバルブ12を駆動する直前においてバルブ12のヒステリシス情報を得るところについて、図16に示すフローチャートを参照にして以下説明する。
【0132】先ず、制御量URに「urinit」なる初期値を与えた後、バルブステムが静止した事を確認し、制御量URを徐々に増加(Δur)させる(ステップST111、ST112、ST113)。
【0133】ステム変位信号PV(バルブステムpv(n))が動いた時に、制御量URの増加を止め、再びバルブ12が静止した時のpout1(順方向初期値)をpout(n)とする(ステップST114、ST115、ST116、ST117)。
【0134】この状態で、制御量URを徐々に減少させる。バルブステムpv(n)が動いた時のpout2(逆方向初期値)をpout(n)とする。そしてバルブヒステリシス操作量換算値VHは{|pout1−pout2|/Gr}で求め、この値VHはバルブヒステリシス情報部に記憶される(ステップST118、ST119、ST120、ST121)。ゲインGrで割ることによりデイメンジョンを制御量URに合わせることができる。
【0135】このようにして、バルブ12の駆動前に実際のバルブヒステリシス情報を取得するようにすると、予めバルブ12のヒステリシス情報を設定する必要がなくなるばかりでなく、正確なバルブヒステリシス情報を得ることができ、この情報に基づいてヒステリシスの補正制御を行えばさらに正確なバルブのヒステリシスに対応したヒステリシス制御量UR’を供給することができるのである。
【0136】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るバルブポジショナは、制御対象の不感帯を演算により求める、若しくは、その制御をポジショナに与えることにより、不感帯を軽減するのに必要な操作量を演算し、その操作量をポジショナが演算した制御量URに重畳することにより、制御対象の不感帯を軽減でき、制御性の良いバルブポジショナを実現できるという効果がある。
【0137】又、バルブのヒステリシス情報を制御量URにフイードバックさせるようにしたことによりバルブのヒステリシスで受ける影響を低減できるので、バルブの応答性が改善できるという効果がある。




 

 


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