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アクチュエータおよびマイクロポンプ - 株式会社日本触媒
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発明の名称 アクチュエータおよびマイクロポンプ
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−343005(P2001−343005A)
公開日 平成13年12月14日(2001.12.14)
出願番号 特願2000−169088(P2000−169088)
出願日 平成12年6月1日(2000.6.1)
代理人 【識別番号】100080034
【弁理士】
【氏名又は名称】原 謙三
【テーマコード(参考)】
3H077
3H082
【Fターム(参考)】
3H077 AA01 AA20 BB10 CC03 CC12 DD06 EE01 FF01 FF06 FF12 FF14 FF21 FF36 FF45 FF60 
3H082 AA25 CC05 DE04 EE20
発明者 中野 政身
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】少なくとも一方の電極がその電極面の法線方向に移動可能に備えられた1対の電極間に、これら両電極の電極面と接するように電気粘性流体を配置し、上記電気粘性流体に上記電極面と平行な方向に剪断流れを生じさせることなく、上記電極間に電圧を印加して、上記電気粘性流体に電極面の法線方向に生じる法線応力を発生させることにより、電極が駆動することを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】少なくとも一方の電極がその電極面の法線方向に移動可能に備えられた1対の電極と、上記電極間に、これら両電極の電極面と接するように配置された電気粘性流体とを備えており、移動可能に設けられた上記電極は、上記電気粘性流体に上記電極面と平行な方向に剪断流れを生じさせることなく、上記電極間に電圧を印加した場合に、上記電極間の電気粘性流体において発生する電極面の法線方向に生じる法線応力によって駆動されることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項3】上記電気粘性流体が、上記電極間に液柱として配置されることを特徴とする請求項1または2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】流路を形成する壁面の一部にダイアフラムを設け、該ダイアフラムの流路前後に配置された弁の開閉との連携動作により流体の搬送を行なうマイクロポンプにおいて、上記請求項1ないし3の何れかに記載のアクチュエータを用いて上記ダイアフラムを駆動することを特徴とするマイクロポンプ。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気粘性流体を用いたアクチュエータ、および該アクチュエータを用いたマイクロポンプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ER流体(Electro Rheoligical Fluid:電気粘性流体)に関して、該ER流体を用いたアクチュエータや、ER流体を作動流体とするマイクロポンプ等が開発されている。ここで、上記ER流体とは、誘電体の微粒子である分散相粒子を絶縁性の液媒中に分散させてなる流体であり、通常は上記分散相粒子が液媒中を自由に移動できるため低粘度の状態を示しているが、該ER流体に電圧を印加した場合には、剪断流れに対して剪断応力が発生するという特性を有する。
【0003】上記ER流体を用いたアクチュエータとしては、特開平8−270615号公報に記載のものがある。上記公報におけるアクチュエータは、図11に示すように、2つの駆動源部101・101と出力部102とを流体流路103にて結合した構成であり、上記駆動源部101においては、その内部にくし形の電極104を配置すると共にER流体105を留置している。そして、上記電極間に電圧を印加することにより静電引力によって、動作流体であるER流体105を電極面に平行に吸引することができる。また、上記出力部102は、シリンダ106およびピストン107からなり、上記シリンダ106およびピストン107の間の空間にはER流体105が満たされている。それゆえ、上記駆動源部101における上記ER流体105の移動に伴って、上記出力部102内のER流体105が流体流路103を通じて駆動源部101側へ移動し、この移動をシリンダ106およびピストン107によって取り出すことで変位出力を得ることができる。
【0004】また、ER流体を輸送するポンプとしては、特開平9−264284号公報や特開平11−13677号公報に記載のものがある。
【0005】上記特開平9−264284号公報に記載のポンプは、例えば、図12(a)または(b)に示すように、ローラ電極111と固定電極112(若しくは、2つのローラ電極111A・111B)を対向させ、上記電極間に電界を印加することでER流体中の分散相粒子113に架橋構造を形成させ、電極間に該架橋構造を維持したまま、上記ローラ電極111(若しくは、ローラ電極111A・111Bの両方)をモータによって回転駆動することで、上記ER流体を搬送する構成である。
【0006】また、特開平11−13677号公報に記載のポンプは、図13に示すように、一対の電極群114・114間にER流体を満たし、上記各電極群114を構成する各電極において流路の一端側から他端側へ順次電圧を印加することで見かけ上の電極の移動を生じさせ、ER流体中の分散相粒子115に生じる架橋構造をこの見かけ上の電極の移動に沿って移動させることにより上記ER流体を搬送する構成である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の構成では、以下に述べるような問題が生じる。
【0008】上記特開平8−270615号公報に記載のアクチュエータは、駆動源部101と出力部102とを別個に備えていると共に、ER流体の体積移動を変位出力に変換する構成であるため、駆動源部101や出力部102においてある程度の容積を必要とし、装置の大型化に繋がり易いといった問題がある。
【0009】上記特開平9−264284号公報に記載のポンプは、ローラ電極111の駆動にモータ等の駆動源を必要とするため、装置が大型化し易く、さらに、ローラ電極111の摺動部において、ER流体中の分散相粒子に破損や磨耗が生じたり、あるいは、分散相粒子によって上記摺動部における磨耗が促進されるなどの問題が生じる。
【0010】上記特開平11−13677号公報に記載のポンプは、電界を印加するための電極対において、複数の電極に電界を切り替えて印加する必要が有り、印加タイミングの制御が複雑になるといった問題がある。
【0011】また、上記各公報における装置は、何れも、ER流体に電界を印加した時に生じる架橋構造の剪断方向(すなわち、電界方向に直交する方向)に対する抗力を利用して、ER流体の移動(剪断流れ)が生じている。
【0012】これに対し、特開平6−185565号公報は、電極間のER流体に電界を印加した時に、剪断方向のみならず、電極面の法線応力が生じることに着目し、上記電極面の法線応力を用いて、外部からの振動等による外力を吸収するダンパーを提案している。
【0013】上記特開平6−185565号公報に記載のダンパーは、図14に示すように、内部にER流体121を保留する室122内において、移動電極123と固定電極124とを対向させ、これら電極間にER流体が存在する状態で配置した構成である。
【0014】上記ダンパーでは、移動電極123と固定電極124との電極間に電圧を印加することで、電極間におけるER流体121に架橋構造を生じさせている。そして、上記ダンパーの外部から伝達される振動等によって移動電極123に電極面の法線方向の強制駆動力が作用した場合、上記ER流体121に発生する法線応力によって振動等の外力を吸収することができる。
【0015】ここで、本願発明者は、鋭意研究の結果、電極間に保持されたER流体に電圧を印加した場合に、該ER流体に対して上述のような剪断流れを生じさせることなく、かつ、電極面の法線方向に電極同士を引きつける方向に作用する法線応力が発生するという知見を得た。
【0016】このような知見は、従来、知られていなかったことであり、このようなER流体の特性をアクチュエータ等の駆動力等に応用した発明はなかった。
【0017】本発明の目的は、電極間に保持されたER流体に電圧を印加した場合に、該ER流体に剪断流れを生じさせることなく、電極面の法線方向に作用する法線応力が発生するという上記知見を利用したアクチュエータ、および該アクチュエータを適用したマイクロポンプを提供することにあり、さらに、アクチュエータについては装置の小型化を図ることを目的とし、マイクロポンプについては制御の容易さと装置の小型化を図ることを目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】請求項1のアクチュエータは、少なくとも一方の電極がその電極面の法線方向に移動可能に備えられた1対の電極間に、これら両電極の電極面と接するように電気粘性流体を配置し、上記電気粘性流体に上記電極面と平行な方向に剪断流れを生じさせることなく、上記電極間に電圧を印加して、上記電気粘性流体に電極面の法線方向に生じる法線応力を発生させることにより、電極が駆動することを特徴としている。
【0019】また、請求項2のアクチュエータは、少なくとも一方の電極がその電極面の法線方向に移動可能に備えられた1対の電極と、上記電極間に、これら両電極の電極面と接するように配置された電気粘性流体とを備えており、移動可能に設けられた上記電極は、上記電気粘性流体に上記電極面と平行な方向に剪断流れを生じさせることなく、上記電極間に電圧を印加した場合に、上記電極間の電気粘性流体において発生する電極面の法線方向に生じる法線応力によって駆動されることを特徴としている。
【0020】上記の構成によれば、電極面が互いに対向して配置された1対の電極においてその電極間に電気粘性流体が備えられ、上記電極間に電圧を印加した場合に、上記電極間の電気粘性流体において法線応力が発生して両電極を引きつけるように作用することにより、電極面の法線方向に移動可能に設けられた少なくとも一方の電極に変位を生じさせる。
【0021】これにより、電極間に保持された電気粘性流体に電圧を印加した場合に、該電気粘性流体に剪断流れを生じさせることなく、電極面の法線方向に作用する法線応力が発生するという知見を応用したアクチュエータを提供することができる。また、上記アクチュエータの駆動力は、電極間に保持された電気粘性流体の法線応力によって得られるが、上記電気粘性流体において大きな体積移動等を必要とせず、該アクチュエータにおける薄型化を実現することが容易となる。
【0022】請求項3のアクチュエータは、請求項1または2の構成に加えて、上記電気粘性流体が、上記電極間に液柱として配置されることを特徴としている。
【0023】上記の構成によれば、電圧印加時において生じる法線応力によってアクチュエータの駆動力を発生させる電気粘性流体が、電極間で液柱として配置される場合、その液柱の径を適切な大きさにすることにより、アクチュエータの変位量を増大させることができる。
【0024】請求項4のマイクロポンプは、流路を形成する壁面の一部にダイアフラムを設け、該ダイアフラムの流路前後に配置された弁の開閉との連携動作により流体の搬送を行なうマイクロポンプにおいて、上記請求項1ないし3に記載のアクチュエータを用いて上記ダイアフラムを駆動することを特徴としている。
【0025】上記の構成によれば、上記マイクロポンプにおけるダイアフロムを、薄型のアクチュエータによって駆動することができ、該マイクロポンプの小型化に寄与することとなる。また、上記アクチュエータによるダイアフラムの振動動作と、該ダイアフラムの流路前後に配置された弁の開閉動作とを連携させることが作動流体の搬送が可能であり、その動作制御が簡単である。
【0026】
【発明の実施の形態】本発明の実施の一形態について図1ないし図10に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0027】本実施の形態に係るアクチュエータに作動原理を図1を参照して説明する。
【0028】上記アクチュエータは、移動電極1と固定電極2との間にER流体3を保持し、これらの電極間に電圧を印加することによって、上記ER流体3に電極面に対して法線方向の応力(以下、法線応力と称する)を発生させ、この法線応力によって上記両電極を引きつけることによって移動電極1に変位を生じさせる。すなわち、上記アクチュエータは、上記電極間に印加する電界の電気エネルギーを上記移動電極1の変位に変換する作用を有するものである。
【0029】上記図1(a)は、上記移動電極1および固定電極2の電極間に電圧を印加していない状態を示すものであり、この時、ER流体3中の分散相粒子に架橋構造が生じておらず、該ER流体3における法線応力は生じていない。一方、図1(b)は、上記移動電極1および固定電極2の電極間に電圧を印加した状態を示すものであり、この時、ER流体3中の分散相粒子に架橋構造が生ずることによってER流体3に法線応力が生じ、該法線応力によって移動電極1および固定電極2が引き寄せられ移動電極1の変位が生じる。
【0030】図1に示す上記アクチュエータにおいて、移動電極1および固定電極2の電極間に電圧を印加した場合に該移動電極1を変位させる力はER流体3に生じる法線応力によって得られる。しかしながら、逆に、上記電極間に印加されていた電圧をOFFした場合に、変位が生じていた移動電極1を電圧無印加時の元の位置(ホームポジション)に戻す力は上記ER流体3からは得られない。
【0031】このため、上記図1の構成において、電極間の電圧をOFFした場合にそれまで移動電極1に生じていた変位を無くし、該移動電極1をホームポジションに戻すためには、該移動電極1自身を弾性部材として固定部材に対して取り付けるか、あるいは、該移動電極1にバネ等の弾性部材を取り付けて電圧印加時に上記ER流体3に生じる法線応力の発生方向と逆方向の弾性力を移動電極1に付与する必要がある。
【0032】すなわち、この場合、上記電極間に電圧を印加した場合には、ER流体3に生じる法線応力によって移動電極1が変位し、電圧をOFFにした場合には、該移動電極1に作用する弾性力によって該移動電極1がホームポジションに戻る構成となる。つまり、上記移動電極1は、電圧ON時におけるER流体の法線応力と、電圧OFF時における弾性力とにより、それぞれ異なる方向に移動する。
【0033】また、上述のように弾性力を用いずに、移動電極1を異なる方向に移動可能とするためには、図2に示すように、移動電極1の両側に固定電極2A・2Bを配置し、移動電極1と固定電極2Aとの間、および移動電極1と固定電極2Bとの間の両方にER流体3A・3Bを保持させる構成とすることができる。この構成においては、上記ER流体3A・3Bに対して交互に電圧を印加することによって移動電極1を異なる方向へ移動させることができる。
【0034】また、上記図2における構成は、図1に示す構成に比べて移動電極1の変位幅を大きくすることができるという利点がある。
【0035】すなわち、図1のアクチュエータでは、移動電極1の変位は、ER流体3の法線応力が作用しないホームポジション状態と、法線応力の作用による強制変位が生じた状態との間で移動する。これに対し、図2のアクチュエータでは、ER流体3A・3Bのそれぞれにおける法線応力が作用する強制変位状態の間で移動するため、図1のアクチュエータに比べて変位幅が大きくなる。
【0036】また、図1のアクチュエータでは、電極間に電圧を印加してER流体3の法線応力によって移動電極1を変位させる場合であっても、該移動電極1に弾性力が作用するため変位量が減少する。一方、図2のアクチュエータでは、移動電極1に対し弾性力の作用が無い(若しくは、小さい)ため、変位量の減少が生じない。
【0037】ここで、上記アクチュエータにおいて、ER流体3は、移動電極1および固定電極2の電極間において、該電極間の全面を満たすように保持されるものではなく、電極面に対してその一部で液柱を形成するように配置される。これについては、詳しくは後述するが、上記移動電極1の変位量は、電極間に保持されるER流体3の量を増やせば単純に増加するものではなく、ER流体3を液柱として配置し、その直径を細くした方が移動電極1の変位量が大きくなる場合があるとの知見が得られたためである。
【0038】尚、上記ER流体を電極間で液柱形状とした場合、該ER流体3の周囲に空間が存在するため、電圧OFF時において、該ER流体3の分散相粒子の架橋構造がなくなり粘性が低下することによって該ER流体3が電極間から流れ出し、電極間にER流体3を保持できなくなるといった懸念がある。しかしながら、上記懸念については、電圧ON時の電圧よりも弱い電圧をOFF電圧として印加することで解決できる。すなわち、電圧OFF時においても、0でない弱電圧を電極間に印加することにより、移動電極1に変位を生じさせることなく、かつ、電極間でER流体3を保持できる程度の架橋構造を形成することが可能である。
【0039】ここで、上記アクチュエータの作動特性を調べるために行なった実験の結果を図3〜8を参照して説明する。
【0040】図3は、実験装置の概略構成を示す図である。上記実験装置は、片持ち梁11の先端部分において、その両面に移動電極12A・12Bを設け、移動電極12Aと対向するように固定電極13Aを、移動電極12Bと対向するように固定電極13Bを配置した構成である。そして、移動電極12Aおよび固定電極13Aの電極間と、移動電極12Bおよび固定電極13Bの電極間とにおいて、各電極のほぼ中央付近にER流体14の液柱を形成している。また、実験開始の電圧無印加時(移動電極12Aおよび固定電極13Aの電極間距離と、移動電極12Bおよび固定電極13Bの電極間距離とが等しい状態)において、上記ER流体14の液柱の径をd〔mm〕、液柱高さをH〔mm〕とする。
【0041】d=2mm、H=3mmの条件で、電圧1.5kVの矩形波を周波数0.5Hzで印加した場合の結果を図4に示す。尚、図4において、(a)は片持ち梁11の先端での変位を示し、(b),(c)は移動電極12Aおよび固定電極13Aの電極間、移動電極12Bおよび固定電極13Bの電極間に生じる電界を示す。(b),(c)からも分かるように、移動電極12Aおよび固定電極13Aの電極間、移動電極12Bおよび固定電極13Bの電極間には、常に逆極性の電圧が印加されている。
【0042】また、同じくd=2mm、H=3mmの条件で、電圧3kVの矩形波を周波数0.5Hzで印加した場合の結果を図5に示す。図5においても、(a)は片持ち梁11の先端での変位を、(b),(c)は移動電極12Aおよび固定電極13Aの電極間、移動電極12Bおよび固定電極13Bの電極間に生じる電界を示す。
【0043】図4(a)のグラフと図5(a)のグラフとを比較することにより、図5(a)のグラフの方が変位量が大きくなっていることが容易に読み取れる。これより、本発明のアクチュエータにおいては、ER流体14を保持する電極間において、印加電圧を増大させることに伴って変位量の増大が生じることが分かる。
【0044】また、同じくd=2mm、H=3mmの条件で、電圧1.5kVの矩形波を周波数10Hzで印加した場合の結果を図6に示す。図6においても、(a)は片持ち梁11の先端での変位を、(b),(c)は移動電極12Aおよび固定電極13Aの電極間、移動電極12Bおよび固定電極13Bの電極間に生じる電界を示す。
【0045】図4(a)のグラフと図6(a)のグラフとを比較すると、図4(a)のグラフでは、その変位が印加電圧と同じく矩形波に近い形状を示しているのに対し、図6(a)のグラフでは、変位が矩形波となっていない。これは、印加電圧の周波数を上げた場合、電極の変位が印加電圧の変化に十分に追従できないためと考えられる。一方、図4(a)および図6(a)のグラフにおいて変位量を比較してみると、変位量についてはあまり差が生じていないことが分かる。すなわち、印加電圧の周波数は、電極の変位量に対してはその影響が極めて小さいことが分かる。
【0046】次に、図7および図8を参照し、電極間に保持されるER流体14の液柱の径が変位量に与える影響を考察する。
【0047】図7は、d=2mm、H=3mmの条件で、電圧3kVの正弦波を周波数15Hzで印加した場合の結果であり、図8は、d=4mm、H=3mmの条件で、同じく電圧3kVの正弦波を周波数15Hzで印加した場合の結果である。尚、図7、図8において、(a)は片持ち梁11の先端での変位を示し、(b),(c)は移動電極12Aおよび固定電極13Aの電極間、移動電極12Bおよび固定電極13Bの電極間に生じる電界を示す。(b),(c)からも分かるように、移動電極12Aおよび固定電極13Aの電極間、移動電極12Bおよび固定電極13Bの電極間には、常に逆極性の電圧が印加されている。
【0048】図7(a)のグラフと図8(a)のグラフとを比較すると、図7(a)のグラフでは、変位の幅が約0.6mmでノイズも小さい挙動を示しているのに対し、図8(a)のグラフでは、変位の幅が約0.01mmと極めて小さく、且つノイズも多く発生していることが分かる。
【0049】これは、電極間に保持されるER流体14の液柱径が太くなったことにより、電圧印加時において該ER流体14に生じるの法線応力が大幅に減少したためと考えられる。すなわち、電極間に保持されるER流体14の液柱径が太くなることによって上記法線応力が減少する場合があることを示している。
【0050】次に、上記アクチュエータの応用例として、図9に示すマイクロポンプを説明する。ポンプを用いてのER流体の輸送において通常のポンプを利用すると、輸送されるER流体と接する接液部分に摺動部が存在する場合、ER流体中の分散相粒子に破損や磨耗が生じたり、あるいは、分散相粒子によって上記摺動部における磨耗が促進されるなどの問題が生じる。このため、従来より、ER流体の輸送にはダイアフラムを用いたポンプが用いられることが多い。
【0051】本実施の形態に係るマイクロポンプは、図9(a)〜(c)に示すように、流路を形成する壁面の一部にダイアフラム21を設け、該ダイアフラム21の流路前後に弁22・23を配置した構成である。また、上記ダイアフラム21の略中央に移動電極24が設けられ、流路外において上記移動電極24と対向するように固定電極25が設けられている。さらに、上記移動電極24と固定電極25との電極間には、ER流体の液柱26が保持されている。
【0052】すなわち、上記マイクロポンプは、移動電極24、固定電極25、およびER流体の液柱26によって構成される本発明のアクチュエータによって、上記ダイアフラム21を駆動する構成であり、上記アクチュエータへの電圧印加によるダイアフラム21の往復運動と、弁22・23の開閉動作との連携により流体の搬送を行なうようになっている。
【0053】上記構成のマイクロポンプにおいて、ダイアフラム21は弾性力を有する部材として備えられており、上記アクチュエータに電圧を印加した時のER流体26に生じる法線応力と、該ダイアフラム21自身の弾性力とによって変位する。
【0054】また、上記弁22・23は、該ポンプにて搬送される作動流体をER流体とする場合には、流路断面を挟むように配置される電極対にて形成することができる。この構成では、該電極に電圧印加を行なうことによって流路中のER流体に架橋構造が誘起され、この架橋構造によって流路を閉鎖することができる。これにより、上記弁22・23を電磁弁等で構成する場合に比べ、弁の構造を簡略化することができ、装置の小型化に寄与する。
【0055】吸込動作時においては、流出側の弁22を閉じて流入側の弁23を開くと共に、上記電極間にON電圧を印加してダイアフラム21を変位させることによって、該ダイアフラム21が配置された流路内の容積を増す。この動作によって、流入側から流路内に作動流体であるER流体が流れ込む。
【0056】一方、排出動作時には、流出側の弁22を開いて流入側の弁23を閉じると共に、上記電極間にOFF電圧を印加してダイアフラム21を弾性力によってホームポジションに変位させることによってダイアフラム21が配置された流路内の容積を減ずる。この動作によって、作動流体であるER流体が流路内から流れ出す。
【0057】上記図9(b)および(c)の動作を交互に繰り返すことにより、作動流体であるER流体の搬送が行なえる。尚、上記マイクロポンプはER流体の搬送に好適なものではあるが、搬送される作動流体は特にER流体に限定されるものでなく、他の流体搬送にも用いることができる。但しER流体以外の作動流体を搬送する場合には、上記弁22・23には、機械的に開閉を行なう電磁弁等を用いる必要がある。
【0058】また、上記図9に示すマイクロポンプは、ダイアフラム21を駆動するアクチュエータが作動流体の流路外に設けられており、このため、流路外にER流体の液柱26が配されている。これに対し、ER流体を作動流体とするマイクロポンプでは、作動流体であるER流体を利用してダイアフラムを駆動するアクチュエータを構成することも可能である。ダイアフラムの駆動に作動流体であるER流体を利用可能とするマイクロポンプの構造を図10に示す。
【0059】図10に示すマイクロポンプは、(a)〜(c)に示すように、互いに平行な2層構造の流路を有しており、これら2つの流路を分割する壁面の一部にダイアフラム31が配置されている。上記ダイアフラム31の略中央に移動電極32が設けられ、上記2層の流路のそれぞれにおいて、流路を挟んで上記移動電極321と対向するように固定電極33・34が設けられている。この構成においては、移動電極32と固定電極33または34との電極間にON電圧を印加した場合、電極間に存在する作動流体であるER流体に架橋構造が生じ、その法線応力によってダイアフラム31に変位が生じる。
【0060】また、上記マイクロポンプにおいて、一方の流路(図中、上層側の流路)には該ダイアフラム31の流路前後に弁35・36が配置され、他方の流路(図中、下層側の流路)には該ダイアフラム31の流路前後に弁37・38が配置されている。
【0061】上記構成のマイクロポンプにおいて、図10(b)に示す状態は、図中の上層の流路において流出側の弁35を閉じて流入側の弁36を開き、下層の流路において流出側の弁37を開いて流入側の弁38を閉じると共に、移動電極32および固定電極34の電極間にON電圧を印加している。この時、上記ダイアフラム31の変位は、上層の流路容積を増し、下層の流路容積を減ずるように生じるので、上層の流路では吸込動作が行なわれ、下層の流路では排出動作が行なわれる。
【0062】一方、上記マイクロポンプにおける図10(c)の状態は、上層の流路において流出側の弁35を開いて流入側の弁36を閉じ、下層の流路において流出側の弁37を閉じて流入側の弁38を開くと共に、移動電極32および固定電極33の電極間にON電圧を印加している。この時、上記ダイアフラム31の変位は、上層の流路容積を減じ、下層の流路容積を増すように生じるので、上層の流路では排出動作が行なわれ、下層の流路では吸込動作が行なわれる。
【0063】したがって、上記図10(b)および(c)の動作を交互に繰り返すことにより、上層および下層の流路の両方において、作動流体であるER流体の搬送が行なえる。
【0064】上述のような2層構造のマイクロポンプにおいては、図10(b)および(c)の両方の状態において、ダイアフラム31の変位を、ER流体の法線応力によって生じさせることができる。このため、上記ダイアフラム31を弾性力の小さい部材によって構成することが可能であり、図2で説明した理由によってダイアフラム31の変位量を大きくとることができるので、よって、該マイクロポンプの作動流体の搬送能力を向上させることができる。
【0065】尚、ダイアフラムの駆動に作動流体であるER流体を利用するマイクロポンプは、必ずしも図10に示すような2層構造とする必要はなく、1層構造のポンプであってもよい。但し、その場合には、電圧OFF時のダイアフラムの変位は、該ダイアフラム自身の弾性力によって生じさせる構造とする必要がある。
【0066】
【発明の効果】請求項1の発明のアクチュエータは、以上のように、少なくとも一方の電極がその電極面の法線方向に移動可能に備えられた1対の電極間に、これら両電極の電極面と接するように電気粘性流体を配置し、上記電気粘性流体に上記電極面と平行な方向に剪断流れを生じさせることなく、上記電極間に電圧を印加して、上記電気粘性流体に電極面の法線方向に生じる法線応力を発生させることにより、電極が駆動する構成である。
【0067】請求項2の発明のアクチュエータは、以上のように、少なくとも一方の電極がその電極面の法線方向に移動可能に備えられた1対の電極と、上記電極間に、これら両電極の電極面と接するように配置された電気粘性流体とを備えており、移動可能に設けられた上記電極は、上記電気粘性流体に上記電極面と平行な方向に剪断流れを生じさせることなく、上記電極間に電圧を印加した場合に、上記電極間の電気粘性流体において発生する電極面の法線方向に生じる法線応力によって駆動される構成である。
【0068】それゆえ、電極間に保持された電気粘性流体に電圧を印加した場合に、該電気粘性流体に剪断流れを生じさせることなく、電極面の法線方向に作用する法線応力が発生するという知見を応用し、薄型化を実現したアクチュエータを提供することができるという効果を奏する。
【0069】請求項3の発明のアクチュエータは、以上のように、請求項1または2の構成に加えて、上記電気粘性流体が、上記電極間に液柱として配置される構成である。
【0070】それゆえ、請求項1または2の構成による効果に加えて、電極間に配置される電気粘性流体の液柱の径を適切な大きさにすることにより、アクチュエータの変位量を増大させることができるという効果を奏する。
【0071】請求項4の発明のマイクロポンプは、以上のように、流路を形成する壁面の一部にダイアフラムを設け、該ダイアフラムの流路前後に配置された弁の開閉との連携動作により流体の搬送を行なうマイクロポンプにおいて、上記請求項1ないし3に記載のアクチュエータを用いて上記ダイアフラムを駆動する構成である。
【0072】それゆえ、上記マイクロポンプにおけるダイアフロムを、薄型のアクチュエータによって駆動することができ、該マイクロポンプの小型化を実現できるという効果を奏する。




 

 


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