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発明の名称 パラレルハイブリッド車両
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−342933(P2001−342933A)
公開日 平成13年12月14日(2001.12.14)
出願番号 特願2000−167935(P2000−167935)
出願日 平成12年6月5日(2000.6.5)
代理人 【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也 (外2名)
【テーマコード(参考)】
3D041
3G093
5H115
【Fターム(参考)】
3D041 AA09 AA15 AA59 AB00 AC15 AC16 AD02 AD04 AD31 AD32 AD41 AD51 AE02 AE14 AE33 AF03 
3G093 AA05 AA07 BA02 CA01 DA01 DA06 DB05 DB11 DB15 DB28 EA02 EA03 EB01 EB03 EB08 EC02
5H115 PA01 PC06 PG04 PI16 PI24 PI29 PU09 PU22 PU23 PU25 PU29 PV03 PV09 PV25 QN03 RB22 RE01 RE02 RE03 SE04 SE05 SE08 SE09 TB01 TB10 TD20 TE02 TE03 TO01 TO23 TO30
発明者 藤川 雅人
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 エンジンと、発電機及び電動機の両機能を備えた電動発電機と、変速装置と、少なくとも前記電動発電機の運転状態を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記エンジンの回転が停止している状態で、電動発電機のみの出力トルクで走行しているとき、前記変速装置の出力側とエンジン及び電動発電機とが分離しているときに、当該電動発電機でエンジンを始動することを特徴とするパラレルハイブリッド車両。
【請求項2】 前記エンジンの逆転を防止する逆転防止機構を、当該エンジンのフライホイール外周に設けたことを特徴とする請求項1に記載のパラレルハイブリッド車両。
【請求項3】 前記変速装置が手動変速装置であり、運転者の前記手動変速操作に、前記電動発電機でエンジンの回転を始動することを特徴とする請求項1又は2に記載のパラレルハイブリッド車両。
【請求項4】 変速レバーの位置を検出するセンサ又はスイッチで構成されるギヤ抜け検出手段を備えたことを特徴とする請求項3に記載のパラレルハイブリッド車両。
【請求項5】 前記エンジンの出力及び電動発電機の出力トルクを合成して出力するトルク合成機構を備え、このトルク合成機構は、遊星歯車機構と、当該遊星歯車機構の少なくとも二つの要素を締結することでエンジン及び電動発電機を直結する直結クラッチとを備え、前記制御手段は、前記直結クラッチを締結してエンジン及び電動発電機を直結し且つ当該電動発電機を正回転してエンジンの回転を始動することを特徴とする請求項3又は4に記載のパラレルハイブリッド車両。
【請求項6】 前記変速装置が自動変速装置であり、前記制御手段は、当該自動変速装置内のワンウエイクラッチによって、前記自動変速装置の出力側とエンジン及び電動発電機とが分離されるように当該電動発電機の運転状態を制御して、前記エンジンの回転を始動することを特徴とする請求項1又は2に記載のパラレルハイブリッド車両。
【請求項7】 前記エンジンの出力及び電動発電機の出力トルクを合成して出力するトルク合成機構を備え、このトルク合成機構は、遊星歯車機構と、当該遊星歯車機構の少なくとも二つの要素を締結することでエンジン及び電動発電機を直結する直結クラッチとを備え、前記制御手段は、車速が所定値以上であるときに、前記直結クラッチを締結してエンジン及び電動発電機を直結し且つ当該電動発電機を正回転してエンジンの回転を始動することを特徴とする請求項6に記載のパラレルハイブリッド車両。
【請求項8】 前記エンジンの出力及び電動発電機の出力トルクを合成して出力するトルク合成機構を備え、このトルク合成機構は、遊星歯車機構と、当該遊星歯車機構の少なくとも二つの要素を締結することでエンジン及び電動発電機を直結する直結クラッチとを備え、前記制御手段は、車速が所定値未満であるときに、前記直結クラッチを解放した状態で、当該電動発電機を逆回転してエンジンの回転を始動することを特徴とする請求項6又は7に記載のパラレルハイブリッド車両。
【請求項9】 前記制御手段は、自動変速装置のセレクトレバーがNレンジになったときに前記電動発電機でエンジンの回転を始動することを特徴とする請求項6乃至8の何れかに記載のパラレルハイブリッド車両。
【請求項10】 前記制御手段は、自動変速装置のセレクトレバーが、Dレンジ側方に配置されたレンジになっているときに、前記エンジンの回転が停止している状態で、電動発電機のみの出力トルクで発進することを特徴とする請求項6乃至9の何れかに記載のパラレルハイブリッド車両。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンと、発電機を兼ねる電動機とを備えたパラレルハイブリッド車両に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のパラレルハイブリッド車両としては、例えば特開平10−304513号公報に記載されるものがある。この従来例に記載されるものは、エンジンの出力トルクと、電動発電機の出力トルクとを、遊星歯車機構からなるトルク合成機構によって合成し、それを変速装置を介して駆動輪に伝達する。このパラレルハイブリッド車両では、例えば発進加速は、低回転で出力トルクが大きい電動発電機を電動機として用いて行い、その後、前述のように電動発電機の出力トルクとエンジンの出力トルクとを合成して用い、更に高速領域になると、電動発電機をオフとし、エンジンの出力トルクだけで走行する。このようなパラレルハイブリッド車両では、電動発電機の回転数がエンジンの回転数に到達したら、両者、より具体的には両者に連結されている遊星歯車機構の各要素を直結クラッチで直結し、出力トルク制御の応答性を高めるようにしている。また、車両減速時には、路面反力トルクで電動発電機を回転させ、当該電動発電機を発電機として機能させることで電力を蓄える、所謂回生作動させるように構成されている。即ち、パラレルハイブリッド車両では、電動発電機の運転状態、即ち回転数や出力トルクを制御することにより、より効率のよい走行、例えば高い加速力や低燃費を達成することを目的としている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前述したようなパラレルハイブリッド車両では、十分な電力があれば、電動発電機を電動機として用い、その出力トルクだけで走行させ続けることも可能である。このように、パラレルハイブリッド車両を電力だけで走行する、所謂EV(Electric Vehicle)モードを、前述したようなエンジンと電動発電機とを併用する通常走行モードとは個別に設けるという提案がある。しかしながら、EVモードから通常走行モードに切り替わるとき、それまで停止しているエンジンの回転を、どのようにして始動するのかは検討されていない。
【0004】また、前記従来のパラレルハイブリッド車両は、原則的に変速装置が自動変速装置である。しかしながら、車種によっては、未だ変速装置の自動化がさほど要求されていないものもあり、そうした車両では、当然ながら手動変速装置が用いられるため、このような手動変速装置搭載車量をハイブリッド化し、更に前述のEVモードを設定した場合の、前記EVモードから通常走行モードに切り替わるときのエンジンの回転始動も検討する必要がある。
【0005】本発明は、前記諸問題を解決すべく開発されたものであり、例えば前記EVモードから通常走行モードに切り替わるときのように、走行中にエンジンを回転始動できるパラレルハイブリッド車両を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に係るパラレルハイブリッド車両は、エンジンと、発電機及び電動機の両機能を備えた電動発電機と、変速装置と、少なくとも前記電動発電機の運転状態を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記エンジンの回転が停止している状態で、電動発電機のみの出力トルクで走行しているとき、前記変速装置の出力側とエンジン及び電動発電機とが分離しているときに、当該電動発電機でエンジンを始動することを特徴とするものである。
【0007】また、本発明のうち請求項2に係るパラレルハイブリッド車両は、前記請求項1の発明において、前記エンジンの逆転を防止する逆転防止機構を、当該エンジンのフライホイール外周に設けたことを特徴とするものである。また、本発明のうち請求項3に係るパラレルハイブリッド車両は、前記請求項1又は2の発明において、前記変速装置が手動変速装置であり、運転者の前記手動変速操作時に、前記電動発電機でエンジンの回転を始動することを特徴とするものである。
【0008】また、本発明のうち請求項4に係るパラレルハイブリッド車両は、前記請求項3の発明において、変速レバーの位置を検出するセンサ又はスイッチで構成されるギヤ抜け検出手段を備えたことを特徴とするものである。また、本発明のうち請求項5に係るパラレルハイブリッド車両は、前記請求項3又は4の発明において、前記エンジンの出力及び電動発電機の出力トルクを合成して出力するトルク合成機構を備え、このトルク合成機構は、遊星歯車機構と、当該遊星歯車機構の少なくとも二つの要素を締結することでエンジン及び電動発電機を直結する直結クラッチとを備え、前記制御手段は、前記直結クラッチを締結してエンジン及び電動発電機を直結し且つ当該電動発電機を正回転してエンジンの回転を始動することを特徴とするものである。
【0009】また、本発明のうち請求項6に係るパラレルハイブリッド車両は、前記請求項1又は2の発明において、前記変速装置が自動変速装置であり、前記制御手段は、当該自動変速装置内のワンウエイクラッチによって、前記自動変速装置の出力側とエンジン及び電動発電機とが分離されるように当該電動発電機の運転状態を制御して、前記エンジンの回転を始動することを特徴とするものである。
【0010】また、本発明のうち請求項7に係るパラレルハイブリッド車両は、前記請求項6の発明において、前記エンジンの出力及び電動発電機の出力トルクを合成して出力するトルク合成機構を備え、このトルク合成機構は、遊星歯車機構と、当該遊星歯車機構の少なくとも二つの要素を締結することでエンジン及び電動発電機を直結する直結クラッチとを備え、前記制御手段は、車速が所定値以上であるときに、前記直結クラッチを締結してエンジン及び電動発電機を直結し且つ当該電動発電機を正回転してエンジンの回転を始動することを特徴とするものである。
【0011】また、本発明のうち請求項8に係るパラレルハイブリッド車両は、前記請求項6又は7の発明において、前記エンジンの出力及び電動発電機の出力トルクを合成して出力するトルク合成機構を備え、このトルク合成機構は、遊星歯車機構と、当該遊星歯車機構の少なくとも二つの要素を締結することでエンジン及び電動発電機を直結する直結クラッチとを備え、前記制御手段は、車速が所定値未満であるときに、前記直結クラッチを解放した状態で、当該電動発電機を逆回転してエンジンの回転を始動することを特徴とするものである。
【0012】また、本発明のうち請求項9に係るパラレルハイブリッド車両は、前記請求項6乃至8の発明において、前記制御手段は、自動変速装置のセレクトレバーがNレンジになったときに前記電動発電機でエンジンの回転を始動することを特徴とするものである。また、本発明のうち請求項10に係るパラレルハイブリッド車両は、前記請求項6乃至9の発明において、前記制御手段は、自動変速装置のセレクトレバーが、Dレンジ側方に配置されたレンジになっているときに、前記エンジンの回転が停止している状態で、電動発電機のみの出力トルクで発進することを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明のパラレルハイブリッド車両駆動装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態を示す概略構成図であり、エンジン1及び発電機及び電動機として作用する電気的回転駆動源としての3相誘導モータ/発電機で構成される交流式のモータ/発電機(電動発電機)2の出力側が、夫々、トルク合成機構である差動装置3の入力側に連結され、この差動装置3の出力側がトルクコンバータ等の発進装置を搭載していない手動変速装置4の入力側に接続され、変速装置4の出力側が終減速装置20(図2参照)を介して駆動輪5に連結されている。なお、本実施形態では、手動変速装置4を搭載しているが、後述のようにして手動変速装置4の入力軸とエンジン1及びモータ/発電機2とを直結した状態で、手動変速できるので、当該手動変速装置4の入力軸にクラッチなどの締結要素を配置していない。
【0014】ここで、エンジン1はエンジン用コントローラECによって制御され、モータ/発電機2は、ステータとロータとを有し、充電可能なバッテリやコンデンサで構成される蓄電装置6に接続されたモータ/発電機駆動回路7によって駆動制御される。モータ/発電機駆動回路7は、蓄電装置6に接続されたチョッパ7aと、このチョッパ7aとモータ/発電機2との間に接続された例えば6つのサイリスタを有し直流を3相交流に変換するインバータ7bとで構成され、チョッパ7aに後述するモータ/発電機用コントローラ12からのデューティ制御信号DSが入力されることにより、このデューティ制御信号DSに応じたデューティ比のチョッパ信号をインバータ7bに出力する。このインバータ7bは、図示しないモータ/発電機2のロータの回転位置を検出する位置センサの回転位置検出信号に基づいて、モータ/発電機2の正回転時には電動機として作用させ、逆回転時には発電機として作用させるように、その回転に同期した周波数で駆動する3相交流を形成するように、例えば前記各サイリスタのゲート制御信号を形成する。ちなみに、モータ/発電機2はエンジン1同様、車両を駆動するためにも用いられるので、車両を駆動する側への回転方向を正回転とし、その逆方向への回転方向を逆回転と定義する。
【0015】また、差動装置3は、図2に示すように、トルク合成機構として遊星歯車機構21を備えて構成されている。この遊星歯車機構21は、エンジン1とモータ/発電機2との間で差動機能を発現しながらトルク合成機構をなすものである。そして、サンギヤSと、その外周側に等角間隔で噛合する複数のピニオンPと、各ピニオンPを連結するピニオンキャリアCと、ピニオンPの外側に噛合するリングギヤRとを備え、この遊星歯車機構21のリングギヤRがエンジン1(図ではENG)に連結され、同じく遊星歯車機構21のサンギヤSがモータ/発電機2のロータに連結され、同じく遊星歯車機構21のピニオンキャリアCが手動変速装置4(図ではT/M)の入力軸22に連結されている。
【0016】また、前記遊星歯車機構21のサンギヤS、即ちモータ/発電機2とキャリアC、即ち手動変速装置4との間には、両者を締結することでモータ/発電機2とエンジン1とを直結する直結クラッチ36が介装されている。なお、前記直結クラッチ36の締結解放は、当該直結クラッチ36への作動流体圧を制御する圧力制御弁のソレノイド36aへの制御信号によって制御されており、当該ソレノイド36aへの直結クラッチ制御信号CSが高レベルにあるとき、直結クラッチ36が締結され、当該直結クラッチ制御信号CSが低レベルにあるとき、直結クラッチ36が解放される。また、前記直結クラッチ制御信号CSは、前記低レベルと高レベルとの間で無段階に調整可能であり(実質的にはディジタル化される)、直結クラッチ36の締結状態は、半締結の状態で、種々の締結力を発現することができる。また、前記遊星歯車機構21のピニオンキャリヤC、即ち変速装置4の入力側とケース14との間には、当該ピニオンキャリヤC、及び変速装置4の回転方向を正回転にのみ規制し、逆回転では締結して、当該逆回転を許容しないワンウエイクラッチOWCが介装されている。
【0017】また、本実施形態では、エンジン1内での爆発振動を抑制するために、本実施形態では、エンジン1の出力側にダンパー17を介装している。また、本実施形態では、エンジン1の出力軸部分、より具体的にはフライホイールFWの外周に、当該エンジン1の逆転を防止する逆転防止機構として、ワンウエイクラッチ35が設けられている。図3に、ワンウエイクラッチ35の一例を示す。この図のものは、フライホイールFWが元来円板状のものであることから、当該フライホイールFWの外周面に複数の係止溝41を形成し、これに係止爪42を係止して逆転を防止する、所謂ノッチ・ラッチタイプのものである。具体的に、図示反時計周りがエンジン1の正転方向であるとすると、係止溝41の正転方向面はなだらかで、逆転方向面は急峻になっている。係止爪42は、リターンスプリング43によって、常時はフライホイールFWから離間する方向に付勢されているが、アーム44の端部に設けられているソレノイド45に通電すると、当該アーム44が吸引され、係止爪42がフライホイールFWの外周面に押当する。係止爪42がフライホイールFWの外周面に押当しても、当該フライホイールFWが正転するときには、係止爪42は係止溝41のなだらかな正転方向面に沿って移動し、当該フライホイールFW、即ちエンジン1の正転を阻害しない。一方、フライホイールFWが逆転しようとすると、係止爪42が係止溝41の急峻な逆転方向面に係止し、もってフライホイールFW、即ちエンジン1の逆転を防止する。
【0018】フライホイールFWの外周には、一般にスタータモータピニオンが噛合するリングギヤが形成されているが、本実施形態では、前記モータ/発電機2がスタータモータの代用となるので、フライホイールの外周にリングギヤを形成する必要がない。そこで、当該フライホイールFWの外周にエンジン逆転防止機構であるワンウエイクラッチを配設するようにすれば、特にエンジン逆転防止機構を設ける新たなスペースが必要とならず、大変更を必要としない。
【0019】図4に、エンジン逆転防止機構としてのワンウエイクラッチ35の他の例を示す。このワンウエイクラッチ35は、フライホイールFWの外周部を立ち上げて縁部47を形成し、その縁部47の軸線方向端面に係止溝41を形成している。係止溝41の形状は、前記と同様に、正転方向面がなだらかで、逆転方向面が急峻になっている。そして、係止爪42並びにその駆動機構は、従来のスタータモータのあった部分に設けている。この例では、係止爪42の延長部を、そのままアーマチャ46とし、リターンスプリング43でフライホイールFWから離間する方向に付勢しながら、ソレノイド45に通電するとアーマチャ46が吸引され、係止爪42が縁部47の端面に押当する。係止爪42が縁部37の端面に押当しても、当該フライホイールFWが正転するときには、係止爪42は係止溝41のなだらかな正転方向面に沿って移動し、当該フライホイールFW、即ちエンジン1の正転を阻害しない。一方、フライホイールFWが逆転しようとすると、係止爪42が係止溝41の急峻な逆転方向面に係止し、もってフライホイールFW、即ちエンジン1の逆転を防止する。
【0020】さらに、前記手動変速装置4は、この実施形態では、5つの前進用ギヤ段と、1つの後退用ギヤ段とを有する。なお、この手動変速装置4は、後述するように運転席近傍に設けられた変速レバーを手動操作することにより、ギヤを入れたり(ギヤ段を選択する)、ギヤを抜いたり(ギヤ段の選択を外す、又はギヤ段を選択しない)して手動変速操作する。
【0021】また、エンジン1及びモータ/発電機2には、その出力軸の回転数を検出するエンジン回転数センサ8及びモータ/発電機回転数センサ9が設けられており、これら回転数センサ8及び9の回転数検出値NE 及びNM/G は、前記モータ/発電機2及び直結クラッチ36を制御するモータ/発電機用コントローラ12に供給される。また、後述する変速レバー位置検出スイッチ10の検出信号並びに変速レバー入力方向検出スイッチ15の検出信号も、このモータ/発電機用コントローラ12に供給される。また、本実施形態では、運転席近傍にEVモードと通常走行モードとを切り替えるモード切替スイッチ14が設けられており、このモード切替スイッチ14のモード切替信号MSも前記モータ/発電機用コントローラ12に供給される。
【0022】また、このモータ/発電機用コントローラ12は、前記エンジン用コントローラECとも相互通信を行い、例えばエンジン1の運転状態、即ちスロットル開度TVOや吸入空気量、空燃比、点火時期、冷却水温、或いはエンジン1の爆発状態などの情報を、エンジン信号ESとして入力するように構成されている。また、このエンジン用コントローラECは、前記モータ/発電機用コントローラ12からエンジントルクの要求があった場合には、その要求に応じてエンジントルクを制御するように構成されている。なお、前記モータ/発電機回転数センサ9では、モータ/発電機2の正回転、逆回転も検出することができる。
【0023】前記変速レバー位置検出スイッチ10は、例えば図5に示すように、選択可能なギヤ段として、図示左側上段に1速段、左側下段に2速段、中側上段に3速段、中側下段に4速段、右側上段に5速段、右側下段に後退段が配置してあるとき、上段の1速段位置、3速段位置、5速段位置をロッドで連結し、そのロッドに取付けられた上段完全変速位置変速レバー位置検出スイッチ10Aと、下段の2速段位置、4速段位置、後退段位置をロッドで連結し、そのロッドに取付けられた下段完全変速位置変速レバー位置検出スイッチ10Bと、左側中段部、つまりニュートラル位置の左方に設けられた左側不完全変速位置変速レバー位置検出スイッチ10Lと、中側中段部、つまりニュートラル位置の中央に設けられた中側不完全変速位置変速レバー位置検出スイッチ10Cと、右側中段部、つまりニュートラル位置の右方に設けられた右側不完全変速位置変速レバー位置検出スイッチ10Rとで構成される。
【0024】つまり、例えば1速段から2速段に手動シフトアップ操作する場合には、まずON状態にある上段完全変速位置変速レバー位置検出スイッチ10AがOFFとなり、次いで左側不完全変速位置変速レバー位置検出スイッチ10LがOFFから一時的にONになって更にOFFとなり、次に下段完全変速位置変速レバー位置検出スイッチ10BがONとなる。また、例えば4速段から5速段に手動シフトアップ操作する場合には、まずON状態にある下段完全変速位置変速レバー位置検出スイッチ10BがOFFとなり、次いで中側不完全変速位置変速レバー位置検出スイッチ10CがOFFから一時的にONになって更にOFFとなり、次いで右側不完全変速位置変速レバー位置検出スイッチ10RがOFFから一時的にONになって更にOFFとなり、次に上段完全変速位置変速レバー位置検出スイッチ10AがONとなる。また、例えば4速段から3速段に手動シフトダウン操作する場合には、まずまずON状態にある下段完全変速位置変速レバー位置検出スイッチ10BがOFFとなり、次いで中側不完全変速位置変速レバー位置検出スイッチ10CがOFFから一時的にONになって更にOFFとなり、次に上段完全変速位置変速レバー位置検出スイッチ10AがONとなる。
【0025】これに対して、前記変速レバー入力方向検出スイッチ15は、図6に示すように、変速レバーの握り部30の内部に、当該握り部30を運転者が握り、変速レバーを前記図3のギヤ段に向けて操作したとき、それと同じ方向に縦横に配設された4つのスイッチ15A、15B、15L、15Rからなる。このうち、上方変速レバー入力方向検出スイッチ15Aは、変速レバーを図示上方(図5にも同様に対応)に操作しようとするときにONとなり、同様に下方変速レバー入力方向検出スイッチ15Bは変速レバーを図示下方に操作しようとするときにONとなり、左方変速レバー入力方向検出スイッチ15Lは変速レバーを図示左方に操作しようとするときにONとなり、右方変速レバー入力方向検出スイッチ15Rは変速レバーを図示右方に操作しようとするときにONとなる。
【0026】従って、例えば前記1速段から2速段に手動シフトアップ操作するとき、まず前記上段完全変速位置変速レバー位置検出スイッチ10AがONの状態で、前記下方変速レバー入力方向検出スイッチ15BがONになれば、運転者はこれから1速段をギヤ抜きしようとしている、つまり変速しようとしていると判定でき、更に前記左側不完全変速位置変速レバー位置検出スイッチ10LがOFFから一時的にONになった後、前記下方変速レバー入力方向検出スイッチ15BがONであれば、運転者はこれから2速段を選択(要求)しようとしていると判定できる。また、例えば前記4速段から5速段に手動シフトアップ操作するとき、まず前記下段完全変速位置変速レバー位置検出スイッチ10BがONの状態で、前記上方変速レバー入力方向検出スイッチ15BがONになれば、運転者はこれから4速段をギヤ抜きしようとしている、つまり変速しようとしていると判定でき、更に前記右側不完全変速位置変速レバー位置検出スイッチ10RがOFFから一時的にONになった後、前記上方変速レバー入力方向検出スイッチ15AがONであれば、運転者はこれから5速段を選択(要求)しようとしていると判定できる。また、例えば前記4速段から3速段に手動シフトダウン操作するとき、まず前記下段完全変速位置変速レバー位置検出スイッチ10BがONの状態で、前記上方変速レバー入力方向検出スイッチ15BがONになれば、運転者はこれから4速段をギヤ抜きしようとしている、つまり変速しようとしていると判定でき、更に前記中側不完全変速位置変速レバー位置検出スイッチ10CがOFFから一時的にONになった後、前記上方変速レバー入力方向検出スイッチ15AがONであれば、運転者はこれから3速段を選択(要求)しようとしていると判定できる。なお、運転者が選択(要求)使用としているギヤ段の判定(検出)方法は、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、前記4速段から5速段に手動シフトアップ操作するとき、前記中側不完全変速位置変速レバー位置検出スイッチ10CがOFFから一時的にONになった後、前記左方変速レバー入力方向検出スイッチ15RがONであれば、運転者はこれから5速段を選択(要求)しようとしていると判定できる。
【0027】前記モータ/発電機用コントローラ12は、少なくとも入力側インタフェース回路12a、演算処理装置12b、記憶装置12c及び出力側インタフェース回路12dを有するマイクロコンピュータ12eで構成されている。入力側インタフェース回路12aには、エンジン回転数センサ8のエンジン回転数検出値NE 、モータ/発電機回転数センサ9のモータ/発電機回転数検出値NM/G 、変速レバー位置検出スイッチ10の変速レバー位置検出信号RS、変速レバー入力方向検出スイッチ15の変速レバー入力方向検出信号DS、モード切替スイッチ14のモード切替信号MS、及びエンジン用コントローラECのエンジン信号ESが入力されている。
【0028】演算処理装置12bは、例えばキースイッチ(図示せず)がオン状態となって所定の電源が投入されることにより作動状態となり、先ず初期化を行って、モータ/発電機2への駆動デューティ制御信号MS及び発電デューティ制御信号GSをオフ状態とすると共に、直結クラッチ36へのクラッチ制御信号CSもオフ状態とし、その後、発進加速時や減速時にエンジン回転数検出値NE 、モータ/発電機回転数検出値NM/G 、変速レバー位置検出信号RS及び変速レバー入力方向検出信号DS等に基づいてモータ/発電機2及び直結クラッチ36を制御する。
【0029】記憶装置12cは、演算処理装置12bの演算処理に必要な処理プログラムを予め記憶していると共に、演算処理装置12bの演算過程で必要な各種データを記憶する。出力側インタフェース回路12dは、演算処理装置12bの演算結果である駆動デューティ制御信号MS及び発電デューティ制御信号GSと直結クラッチ制御信号CSとをモータ/発電機駆動回路7及びソレノイド36aに供給する。ちなみに、前記モータ/発電機2では、逆起電圧を利用することにより、車両に制動力を付与することも可能である。このモータ/発電機2の制動トルク増加制御は、モータ/発電機2が発電機として作用しているときにはモータ/発電機駆動回路7のチョッパ7aに供給するデューティ制御信号DSのデューティ比を大きくして発生する逆起電圧を増加させることにより制動トルクを増加させる。また、モータ/発電機2が電動機として作用しているときには、デューティ制御信号DSのデューティ比を小さくして駆動トルクを減少させることにより制動トルクを増加させる。また、モータ/発電機2の制動トルク減少制御は、上記とは逆に、モータ/発電機2が発電機として作用しているときには、デューティ制御信号DSのデューティ比を小さくして発生する逆起電力を減少させることにより制動トルクを減少させ、モータ/発電機2が電動機として作用しているときには、デューティ制御信号DSのデューティ比を大きくして駆動トルクを増加させることにより制動トルクを減少させる。
【0030】次に、前記モータ/発電機用コントローラ12内で行われる数ある演算処理のうちから、エンジン回転始動時に行われる演算処理について、図7のフローチャートを伴って説明する。この演算処理は、前記モータ/発電機用コントローラ12内の演算処理装置12bで、所定制御時間ΔT毎のタイマ割込によって行われる。また、このフローチャートでは特に通信のステップを設けていないが、必要な情報やプログラムは随時入力インターフェース12aを介して外部や記憶装置12cから読込まれ、演算処理中の情報は随時記憶装置12cに記憶される。
【0031】この演算処理では、まずステップS1で、エンジン完爆フラグF8 が“0”のリセット状態であるか否かを判定し、当該エンジン完爆フラグF8 がリセット状態である場合にはステップS2に移行し、そうでない場合にはステップS3に移行する。前記ステップS2では、モータ/発電機低回転フラグF7 が“0”のリセット状態であるか否かを判定し、当該モータ/発電機低回転フラグF7 がリセット状態である場合にはステップS4に移行し、そうでない場合にはステップS5に移行する。
【0032】前記ステップS4では、ギヤ抜け完了フラグF6 が“0”のリセット状態であるか否かを判定し、当該ギヤ抜け完了フラグF6 がリセット状態である場合にはステップS6に移行し、そうでない場合にはステップS7に移行する。前記ステップS6では、同ステップ内で行われる個別の演算処理に従って、例えば前記モード切替信号MSによってEVモードから通常走行モードへの切り替えが要求されているとか、或いは前記蓄電装置6の容量が低減しているなどから、エンジン回転始動が必要か否かを判定し、エンジン回転始動が必要な場合にはステップS8に移行し、そうでない場合にはメインプログラムに復帰する。
【0033】前記ステップS8では、同ステップ内で行われる個別の演算処理に従って、例えば前記完全変速位置の変速レバー位置検出スイッチ10がすべてOFF状態であることなどを用いて、ギヤ抜けが完了したか否かを判定し、ギヤ抜けが完了している場合にはステップS9に移行し、そうでない場合にはメインプログラムに復帰する。具体的には、前記二つの完全変速位置の変速レバー位置検出スイッチ10が何れもOFF状態であることは、運転者が変速レバーを操作して、ギヤを抜いてしまったことに他ならないから、それを用いてギヤ抜けの完了を判定すればよい。なお、ギヤを抜く際には、変速装置入力軸のトルクが“0”であればよいので、例えばモータ/発電機2の出力トルクだけで走行しているときには、当該モータ/発電機2のトルクを“0”にするとか、或いはモータ/発電機2とエンジン1とを併用して走行しているときには、当該モータ/発電機2のトルクをエンジン1のトルクと同じ大きさで逆向きにすればよい。すると、変速装置入力軸とエンジン1やモータ/発電機2が直結されていても、例えば手動変速装置内のギヤスプラインとスリーブスプラインとの歯面圧が“0”となってギヤを抜くことができる。
【0034】前記ステップS9では、前記ギヤ抜け完了フラグF6 を“1”にセットしてから前記ステップS7に移行する。前記ステップS7では、同ステップ内で行われる個別の演算処理に従って、前記モータ/発電機2の回転数NM/G を“0”とする制御を行ってからステップS10に移行する。
【0035】前記ステップS10では、前記モータ/発電機回転数NM/G が、“0”に近い所定低回転数NM/G0以下であるか否かを判定し、当該モータ/発電機回転数NM/G が所定低回転数NM/G0以下である場合にはステップS11に移行し、そうでない場合にはメインプログラムに復帰する。前記ステップS11では、前記モータ/発電機低回転フラグF7 を“1”にセットしてから前記ステップS5に移行する。
【0036】前記ステップS5では、同ステップ内で行われる個別の演算処理に従って、前記高レベルの直結クラッチ制御信号CSを前記ソレノイド36aに供給するなどにより、直結クラッチ36を締結してからステップS12に移行する。前記ステップS12では、同ステップ内で行われる個別の演算処理に従って、モータ/発電機2を正回転し、エンジン1が回転始動するように、モータ/発電機トルクTM/G を制御してからステップS13に移行する。具体的には、手動変速装置4のギヤが抜けているときには、モータ/発電機2は、エンジン1の慣性トルク相当以上のトルクを発生すれば、エンジン1を回転、所謂クランキングすることができるので、そのようにモータ/発電機トルクTM/G を制御してエンジン1を回転始動させる。
【0037】前記ステップS13では、同ステップ内で行われる個別の演算処理に従って、例えば前記エンジン信号ESから、エンジン1の完爆が確認されたか否かを判定し、エンジン完爆確認した場合にはステップS14に移行し、そうでない場合にはメインプログラムに復帰する。前記ステップS14では、前記エンジン完爆フラグF8 を“1”にセットしてから前記ステップS3に移行する。
【0038】前記ステップS3では、同ステップ内で行われる個別の演算処理に従って、例えば前記不完全変速位置の変速レバー位置検出スイッチ10及び変速レバー入力方向検出スイッチ15の検出信号を用いて、運転者の次の要求ギヤ段を検出してからステップS15に移行する。要求ギヤ段の検出方法は前述の通りである。前記ステップS15では、同ステップ内で行われる図8の演算処理に従って、エンジン回転数、モータ/発電機回転数を、要求ギヤ段、車速に応じた変速装置入力軸回転数にシンクロ(同期)させてからステップS16に移行する。このように回転数のシンクロ制御を行うことにより、変速装置入力軸とエンジン1及びモータ/発電機2とが直結状態にあっても、後述するように運転者はギヤを入れることができるのである。
【0039】前記ステップS16では、同ステップ内で行われる個別の演算処理に従って、例えば前記完全変速位置及び不完全変速位置の変速レバー位置検出スイッチ10の検出信号から、ギヤ入りが完了したか否かを判定し、ギヤ入りが完了している場合にはステップS17に移行し、そうでない場合にはメインプログラムに復帰する。
【0040】前記ステップS17では、前記ギヤ抜け完了フラグF6 及びモータ/発電機低回転フラグF7 及びエンジン完爆フラグF8 を共に“0”にリセットしてからステップS18に移行する。前記ステップS18では、同ステップ内で行われる個別の演算処理に従って、エンジントルクTE 、モータ/発電機トルクTM/G を通常制御に戻してからメインプログラムに復帰する。このトルク通常制御とは、例えば前述のように、運転者によるアクセル開度から要求する駆動トルクを求め、その駆動トルクを、車速に応じて、エンジンとモータ/発電機とにどのように配分すべきかを求め、夫々のトルクが得られるように制御すると共に、それらの出力トルクの組合せの割合を、前記差動装置3の直結クラッチ36の締結力で制御して、所望する駆動トルクが得られるようにする。
【0041】次に、前記ステップS15で行われる個別の演算処理について、図8を用いて説明する。図8は、演算処理の内容をブロック化したものである。この演算処理では、前記要求ギヤ段から次の目標変速比が得られるから、この目標変速比を用い、それを車速に乗じ、更に二次減速比(最終減速比)を乗じたものを、タイヤ転がり動半径で除して変速装置入力軸目標回転数が得られる。本実施形態では、停止しているエンジン1の回転始動の際、前記直結クラッチ36を締結して、エンジン1、モータ/発電機2、手動変速装置4の入力軸を直結状態に維持しているので、実際の変速装置入力軸実回転数はエンジン回転数NE 又はモータ/発電機回転数NM/G と同じであり、これを前記変速装置入力軸目標回転数から減じて変速装置入力軸回転数差を得る。
【0042】この変速装置入力軸回転数差に対し、PID制御、即ち比例・積分・微分制御の各ゲインを乗じて、変速装置入力軸目標トルクを得る。この変速装置入力軸目標トルクから、前記推定エンジントルクを減じたものが目標モータ/発電機トルクになるから、この目標モータ/発電機トルクを指令値として出力する。推定エンジントルクは、周知のように、エンジン回転数NE を変数とし、スロットル開度TVOをパラメータとするマップ検索などによって算出することができる。一方、前記変速装置入力軸回転数差に対し、個別のPID制御の各ゲインを乗じて、目標エンジントルクを得ることも可能であるので、エンジントルクを制御可能である場合には、それを指令値として出力する。
【0043】前記図7及び図8の演算処理によれば、エンジン1の回転が停止しており、モータ/発電機2の出力トルクのみで発進するときには、両者の回転数差を吸収するため、前記差動装置3内の遊星歯車機構21の締結用直結クラッチ36は解放状態にある。そして、この状態で発進した後、車両をモータ/発電機2の出力トルクのみで走行させているときのエンジン回転数、モータ/発電機回転数、変速装置入力軸回転数は図9のようになる。即ち、回転が停止しているエンジン回転数は当然ながら“0”であり、モータ/発電機回転数をギヤ比(サンギヤ歯数/リングギヤ歯数)で除した回転数で変速装置入力軸が回転している。なお、直結クラッチは、×のあるものが締結状態、ないものが解放状態を示している。
【0044】このようにしてモータ/発電機トルクだけで走行中に、前記ギヤ抜け完了フラグF6 もモータ/発電機低回転フラグF7 もエンジン完爆フラグF8 もリセットされている状態で、例えば運転者がモード切替スイッチ14を操作するなどして、エンジン回転始動が必要になり、且つ運転者が手動変速操作によってギヤを抜くと、それが前記完全変速位置の変速レバー位置検出スイッチ10で迅速且つ正確に検出され、図5の演算処理では、ステップS4からステップS6、ステップS8を経てステップS9に移行して、ギヤ抜け完了フラグをセットする。従って、これ以後は前記ステップS4からステップS7に移行するフローになる。
【0045】前記ステップS7では、前記手動変速操作のギヤ抜きにより、少なくとも終減速装置、即ち駆動輪とエンジン1及びモータ/発電機2とは分離しているので、モータ/発電機2の回転数NM/G を“0”とする。やがて、モータ/発電機回転数NM/G が、“0”に近い所定低回転数NM/G0以下になると、ステップS10からステップS11に移行し、ここでモータ/発電機低回転フラグF7 をセットする。従って、これ以後、前記ステップS2からステップS5に移行するフローになる。
【0046】このようにモータ/発電機回転数NM/G が所定低回転数NM/G0以下になると、“0”であるエンジン回転数NE と同等又は略同等となるので、前記ステップS5では、図10に示すように、前記直結クラッチ36を締結してエンジン1とモータ/発電機2とを直結する。そして、次のステップS12でモータ/発電機トルクTM/G を制御しながら、図11に示すようにモータ/発電機2を正回転し、もってエンジン1を回転始動させる。なお、エンジンの完爆が確認されるまでは、ステップS13からメインプログラムに復帰して、以上のフローを繰り返す。
【0047】やがて、エンジン1の完爆が確認されたら、ステップS13からステップS14に移行し、ここでエンジン完爆フラグF8 をセットする。従って、これ以後、前記ステップS1からステップS3に移行するフローになる。なお、このときのモータ/発電機回転数及び変速装置入力軸回転数は、図12に示すようにエンジンのアイドル回転数に等しい。
【0048】前記ステップS3では、例えば前述のように、ONとなる不完全変速位置の変速レバー位置検出スイッチ10及びその後のON状態の変速レバー入力方向検出スイッチ15から、迅速且つ正確に要求ギヤ段を検出する。次いで、ステップS15で、前記図8の演算処理に従ってモータ/発電機トルクTM/G 及びエンジントルクTE を制御することにより、エンジン回転数及びモータ/発電機回転数を変速装置入力軸回転数にシンクロさせる。前述のように、車速、目標変速比に応じた回転数に手動変速装置4の入力軸回転数を同期又は略同期すれば、例えば運転者が要求するギヤ段のギヤとスリーブとを同じ又は略同じ回転速度とし、当該スリーブスプラインをギヤスプラインに噛合可能とすることで、運転者はギヤを入れることが可能となる。
【0049】一方、前記フローを繰り返すうちに、変速装置入力軸回転数が、要求ギヤ段及び車速に応じた回転数に同期又は略同期し、運転者がギヤ入りを完了すると、前記完全変速位置或いは不完全変速位置の変速レバー位置検出スイッチ10の検出信号から、当該ギヤ入りが迅速且つ正確に検出される。そして、図5の演算処理では、ステップS16からステップS17に移行して、ギヤ抜け完了フラグF6、モータ/発電機低回転フラグF7 、エンジン完爆フラグF8 を共にリセットし、次いでステップS18でエンジントルクTE 、モータ/発電機トルクTM/G を通常制御に戻して、エンジン回転始動制御を完了する。
【0050】この通常制御により、例えばそのときの車速が、エンジンのアイドル回転数及び変速比に応じた車速より大きい場合には、図13に示すようにエンジン1とモータ/発電機2とを直結したまま、例えばエンジン回転数を増速することでそのときの車速に対応することができる。逆に、車速が小さい場合には、前記直結クラッチ36を解放し、エンジン1とモータ/発電機2とが直結していない状態で、モータ/発電機2のトルクを小さくするか、或いは逆回転させればよい。
【0051】このように、本実施形態では、終減速装置20、即ち変速装置の出力側とエンジン及びモータ/発電機2とが分離している状態でエンジン1を回転始動することにより、エンジン1の回転始動で消費されるモータ/発電機2のトルクを終減速装置20から駆動輪6に伝達しないので、車両に減速度を作用させることがない。
【0052】また、トルク合成機構である差動装置3内の直結クラッチ36、つまり遊星歯車機構締結用直結クラッチを締結することで、エンジン1、モータ/発電機2、手動変速装置4の入力軸を直結することができるので、少なくともエンジン1とモータ/発電機2との間にクラッチを介装する必要がなく、その分だけレイアウトの自由度が高まる。
【0053】以上において、変速レバー位置検出スイッチ10及び図5の演算処理のステップS6がギヤ抜け検出手段を構成している。次に、本発明のパラレルハイブリッド車両の他の実施形態について説明する。図14は、この実施形態の車両概略構成図であり、前記変速装置4が自動変速装置に変更されている。これに伴って、前記差動装置3と自動変速装置4との間に、オイルポンプ13が配設されており、このオイルポンプ13で創成される流体圧が自動変速装置4の制御に用いられる。なお、オイルポンプは専用の駆動モータで駆動してもよい。
【0054】駆動力の流れの概略は前記図2と同様であるが、前記自動変速装置4内のパワートレーンは図15のように構成されている。この自動変速装置4は、二列の遊星歯車機構を有する既存のものと同様であるので、本実施形態に関与する構成要件についてのみ説明する。図15の符号51は前遊星歯車機構、52は後遊星歯車機構であり、前遊星歯車機構51のリングギヤFRが後遊星歯車機構52のピニオンキャリアRCに連結され、この後遊星歯車機構52のピニオンキャリアRCが前記終減速装置20を介して駆動輪5に連結されている。また、後遊星歯車機構52のサンギヤRSが変速装置入力軸22に連結されている。
【0055】また、前遊星歯車機構51のサンギヤFSとケースとの間にはバンドブレーキ53が介装されている。また、後遊星歯車機構52のリングギヤRRは、フォワードワンウエイクラッチ54、フォワードクラッチ55を介して、前遊星歯車機構51のピニオンキャリアFCに連結されている。前記フォワードワンウエイクラッチ54は、入力回転数が出力回転数より大きいときに締結し、逆のとき、即ち出力回転数が入力回転数より大きいときに解放することで、駆動輪5からのバックトルクの伝達を阻止するワンウエイクラッチである。また、本実施形態では、前記EVモードでの発進時に、自動変速装置4を2速段とするが、そのとき、前記バンドブレーキ53及びフォワードクラッチ55は共に締結されるので、出力回転数が入力回転数よりも大きくなると、前記フォワードワンウエイクラッチ54の作用により、後遊星歯車機構52のリングギヤRRが前遊星歯車機構51のピニオンキャリアFCに対して空転することにより、前記後遊星歯車機構52のピニオンキャリアRC及びリングギヤRRが当該後遊星歯車機構52のサンギヤに対して相対的に空転し、前記終減速装置20と変速装置入力軸22、即ちエンジン1及びモータ/発電機2とが分離される。
【0056】また、前記自動変速装置4は、変速装置用コントローラTCによって車速とスロットル開度とをもとに予め設定された変速制御マップを参照して決定された例えば1速段〜4速段の変速比に制御される。また、変速装置用コントローラTCはモータ/発電機用コントローラ12と相互通信を行っており、例えば変速装置4のギヤ比(変速段)等の情報を、変速装置信号TSとしてモータ/発電機用コントローラ12に供給する。
【0057】一方、前記モータ/発電機用コントローラ12には、前記変速レバー位置検出スイッチ10、変速レバー入力方向検出スイッチ15、モード切替スイッチ14に代えて、セレクトスイッチ26及びブレーキスイッチ27が接続され、当該セレクトスイッチ26で検出された選択レンジ信号IS及びブレーキスイッチ27のブレーキ信号BSが入力される。ブレーキスイッチ27は、従来既存のブレーキランプ点灯などに用いられるスイッチである。
【0058】本実施形態のセレクトスイッチ26は、例えば図16aのように構成されている。この配置は、そのままセレクトレバーの選択レンジを意味しているが、例えば図16aでは、通常のNレンジの側方にEVレンジが設定されており、例えばEVレンジから通常の走行レンジ、つまりDレンジや2レンジ或いは1レンジに切り替えるときには、必ずNレンジを通過しなければならない。そのため、例えばセレクトスイッチ26の選択レンジ信号がEVレンジからNレンジに変更され、且つその後にDレンジや2レンジ或いは1レンジが選択されたときにはEVモードから通常走行モードに切り替えられたと判定することができる。
【0059】セレクトレバーの選択レンジとしては、図16bのようにしてもよい。即ち、EVレンジはDレンジの側方に設定されているが、ゲート、即ち選択レンジの順序としては、Nレンジを通らないとDレンジーEVレンジ間の変更ができないようになっている。周知のように、セレクトレバーの握り部と逆側の端部は自動変速装置の流体圧回路内のマニュアル弁に接続されており、セレクトレバーを操作することによりマニュアル弁内のスプールが移動され、作動流体圧の供給先を制御するように構成されている。このとき重要なのは、セレクトレバーの縦方向への動き、つまり通常走行レンジでいえば、DレンジとNレンジとの間の動き、或いはNレンジとRレンジとの間の動きである。そこで、図16bでは、前記図16aと同様にEVモードと通常走行モードとの切り替えに必ずNレンジを通過するようにすると共に、セレクトレバーをDレンジと同じ位置まで縦方向に移動し、マニュアル弁を当該Dレンジと同じ状態に制御するように構成している。
【0060】なお、マニュアル弁の操作についてのみ着目すれば、例えば図16cのようにレイアウトしてもよい。即ち、EVレンジをDレンジの側方に配置し、DレンジからEVレンジに直接切り替えるようにしてある。但し、本実施形態では、EVモード、つまりエンジンの回転が停止している状態から、通常走行モード、つまりエンジンを回転始動する状態に切り替えるとき、加速度の途切れが発生する(実質的に減速度は発生しない)ため、これをNレンジに重ね合わせて違和感をなくすという目的に鑑みれば、例えば図16a、或いは図16bのようなレイアウトとするのが望ましい。
【0061】その他の構成は、前記した実施形態と同様である。次に、前記モータ/発電機用コントローラ12内で行われる数ある演算処理のうちから、エンジン回転始動時に行われる演算処理について、図17のフローチャートを伴って説明する。この演算処理は、前記モータ/発電機用コントローラ12内の演算処理装置12bで、所定制御時間ΔT毎のタイマ割込によって行われる。また、このフローチャートでは特に通信のステップを設けていないが、必要な情報やプログラムは随時入力インターフェース12aを介して外部や記憶装置12cから読込まれ、演算処理中の情報は随時記憶装置12cに記憶される。
【0062】この演算処理では、まずステップS101で、低速時制御フラグF4 が“0”のリセット状態であるか否かを判定し、当該低速時制御フラグF4 がリセット状態である場合にはステップS102に移行し、そうでない場合にはステップS103に移行する。前記ステップS102では、エンジン完爆フラグF3 が“0”のリセット状態であるか否かを判定し、当該エンジン完爆フラグF3 がリセット状態である場合にはステップS104に移行し、そうでない場合にはステップS105に移行する。
【0063】前記ステップS104では、モータ/発電機低回転フラグF2 が“0”のリセット状態であるか否かを判定し、当該モータ/発電機低回転フラグF2 がリセット状態である場合にはステップS106に移行し、そうでない場合にはステップS107に移行する。前記ステップS106では、モード切替フラグF1 が“0”のリセット状態であるか否かを判定し、当該モード切替フラグF1 がリセット状態である場合にはステップS108に移行し、そうでない場合にはステップS109に移行する。
【0064】一方、前記ステップS103では、低速時エンジン完爆フラグF5 が“0”のリセット状態であるか否かを判定し、当該低速時エンジン完爆フラグF5 がリセット状態である場合にはステップS110に移行し、そうでない場合にはステップS111に移行する。前記ステップS108では、同ステップ内で行われる個別の演算処理に従って、例えばセレクトスイッチ26からの選択レンジ信号ISによってEVモードから通常走行モードへの切り替えが検出されたか否かを判定し、EVモードから通常走行モードへの切り替えが検出された場合にはステップS112に移行し、そうでない場合にはメインプログラムに復帰する。
【0065】前記ステップS112では、車速Vが予め設定された所定車速値V0 以上であるか否かを判定し、車速Vが所定車速値V0 以上である場合にはステップS113に移行し、そうでない場合にはステップS114に移行する。ちなみに、所定車速値V0 は、自動変速装置のギヤ段が車両の発進時に選択される2速段であるとき、エンジンの回転数がアイドル回転数で達成される車速Vidleよりやや大きな値に設定されている。
【0066】前記ステップS113では、前記モード切替フラグフラグF1 を“1”にセットしてから前記ステップS109に移行する。前記ステップS109では、同ステップ内で行われる個別の演算処理に従って、前記モータ/発電機2の回転数NM/G を“0”とする制御を行ってからステップS115に移行する。
【0067】前記ステップS115では、前記モータ/発電機回転数NM/G が、“0”に近い所定低回転数NM/G0以下であるか否かを判定し、当該モータ/発電機回転数NM/G が所定低回転数NM/G0以下である場合にはステップS116に移行し、そうでない場合にはメインプログラムに復帰する。前記ステップS116では、前記モータ/発電機低回転フラグF2 を“1”にセットしてから前記ステップS107に移行する。
【0068】前記ステップS107では、同ステップ内で行われる個別の演算処理に従って、前記高レベルの直結クラッチ制御信号CSを前記ソレノイド36aに供給するなどにより、直結クラッチ36を締結してからステップS117に移行する。前記ステップS117では、同ステップ内で行われる個別の演算処理に従って、モータ/発電機2を正回転し、エンジン1が回転始動するように、モータ/発電機トルクTM/G を制御してからステップS118に移行する。具体的には、エンジン1の回転が停止し且つモータ/発電機2の回転数を小さくすることにより、前記自動変速装置4内のフォワードワンウエイクラッチ54が空転することによって終減速装置20、即ち駆動輪5とエンジン1及びモータ/発電機2とが分離されており、この状態で、モータ/発電機2は、エンジン1の慣性トルク相当以上のトルクを発生すれば、エンジン1を回転、所謂クランキングすることができるので、そのようにモータ/発電機トルクTM/G を制御してエンジン1を回転始動させる。なお、エンジン1は、エンジン回転数NE が前記所定回転数NT/M0以下の回転数で点火される。
【0069】前記ステップS118では、同ステップ内で行われる個別の演算処理に従って、例えば前記エンジン信号ESから、エンジン1の完爆が確認されたか否かを判定し、エンジン完爆確認した場合にはステップS119に移行し、そうでない場合にはメインプログラムに復帰する。前記ステップS119では、前記エンジン完爆フラグF3 を“1”にセットしてから前記ステップS105に移行する。
【0070】前記ステップS105では、同ステップ内で行われる個別の演算処理に従って、変速装置入力軸回転数NT/M 、即ち直結状態にあるエンジン回転数NE 及びモータ/発電機回転数NM/G が、エンジンアイドル回転数Nidleより大きい所定回転数NT/M0以下となるように、モータ/発電機トルクTM/G を制御してからステップS120に移行する。ちなみに、本実施形態では、自動変速装置4で選択されるギヤ段が2速段で、変速装置入力軸回転数NT/M が前記所定回転数NT/M0であるとき、前記所定車速値V0 となるように設定した。
【0071】前記ステップS120では、エンジン回転数NE の増速制御を行ってからステップS121に移行する。前記ステップS121では、エンジン回転数NE と変速装置入力軸回転数NT/M との差分値の絶対値|NE ーNT/M |が所定回転数差ΔN1 未満であるか否かを判定し、当該差分値の絶対値|NE ーNT/M |が所定回転数差ΔN1 未満である場合にはステップS122に移行し、そうでない場合にはメインプログラムに復帰する。
【0072】一方、前記ステップS114では、同ステップ内で行われる個別の演算処理に従って、例えば前記蓄電装置6の容量が低減しているなどから、エンジン回転始動が必要か否かを判定し、エンジン回転始動が必要な場合にはステップS123に移行し、そうでない場合にはメインプログラムに復帰する。前記ステップS123では、前記低速時制御フラグF4 を“1”にセットしてから前記ステップS110に移行する。
【0073】前記ステップS110では、同ステップ内で行われる個別の演算処理に従って、モータ/発電機2を逆回転し、エンジン1が回転始動するように、モータ/発電機トルクTM/G を制御してからステップS124に移行する。具体的には、エンジン1の回転が停止し且つモータ/発電機2の回転数を小さくすることにより、前記自動変速装置4内のフォワードワンウエイクラッチ54が空転することによって終減速装置20、即ち駆動輪5とエンジン1及びモータ/発電機2とが分離されており、この状態で、モータ/発電機2を逆回転させると、前記ワンウエイクラッチOWCによってエンジン1は正転され、エンジン1の慣性トルク以上のトルクが与えられることによってクランキング可能となる。
【0074】前記ステップS124では、前記低速時エンジン完爆フラグF5 を“1”にセットしてから前記ステップS111に移行する。前記ステップS111では、同ステップ内で行われる個別の演算処理に従って、モータ/発電機回転数NM/G を正方向に増速制御してからステップS122に移行する。
【0075】前記ステップS122では、前記モード切替フラグF1 及びモータ/発電機低回転フラグF2 及びエンジン完爆フラグF3 及び低速時制御フラグF4 及び低速時エンジン完爆フラグF5 を共に“0”にリセットしてからステップS128に移行する。前記ステップS128では、同ステップ内で行われる個別の演算処理に従って、エンジントルクTE 、モータ/発電機トルクTM/G を通常制御に戻してからメインプログラムに復帰する。このトルク通常制御とは、例えば前述のように、運転者によるアクセル開度から要求する駆動トルクを求め、その駆動トルクを、車速に応じて、エンジンとモータ/発電機とにどのように配分すべきかを求め、夫々のトルクが得られるように制御すると共に、それらの出力トルクの組合せの割合を、前記差動装置3の直結クラッチ36の締結力で制御して、所望する駆動トルクが得られるようにする。
【0076】前記図17の演算処理によれば、エンジン1の回転が停止しており、モータ/発電機2の出力トルクのみで発進するときには、前記差動装置3内の遊星歯車機構21の締結用直結クラッチ36は解放状態にある。そして、この状態で発進した後、車両をモータ/発電機2の出力トルクのみで走行させているときのエンジン回転数、モータ/発電機回転数、変速装置入力軸回転数は例えば図18のようになる。即ち、回転が停止しているエンジン回転数は当然ながら“0”であり、モータ/発電機回転数をギヤ比(サンギヤ歯数/リングギヤ歯数)で除した回転数で変速装置入力軸が回転している。なお、直結クラッチは、×のあるものが締結状態、ないものが解放状態を示している。また、図18では、変速装置入力軸回転数NT/M は前記所定回転数NT/M0相当であり、エンジン1のアイドル回転数Nidleより大きい。また、自動変速装置内では、バンドブレーキ53によって前遊星歯車機構51のサンギヤFS(図では前サンギヤ)は“0”であり、後遊星歯車機構52のサンギヤRS(図では後サンギヤ)が前記所定回転数NT/M0となる。ちなみに、前遊星歯車機構51のリングギヤFR(図では前リングギヤ)と後遊星歯車機構52のピニオンキャリアRC(図では後キャリア)とは連結されているために常に同じ回転数であり、この場合は、入力回転数が出力回転数より大きいので、前記フォワードワンウエイクラッチ53が締結して前遊星歯車機構51のピニオンキャリアFC(図では前キャリア)と後遊星歯車機構52のリングギヤRRとが同じ速度で回転する。
【0077】このようにしてモータ/発電機トルクだけで走行中に、前記すべてのフラグがリセットされている状態で、例えば運転者がセレクトレバーをEVレンジからNレンジを経てDレンジに操作してEVモードから通常走行モードへの切り替えが検出されると、ステップS108からステップS112に移行する。そして、この場合は、変速装置入力軸回転数NT/M が前記所定回転数NT/M0であるために、車速Vは前記所定車速値V0 相当であり、従ってステップS113に移行して、ここでモード切替フラグF1 をセットする。このため、これ以後は、前記ステップS106からステップS107に移行するフローが繰り返される。
【0078】前記ステップS107では、モータ/発電機2の回転数NM/G を“0”にする制御が行われる。やがて、モータ/発電機回転数NM/G が、“0”に近い所定低回転数NM/G0以下になると、ステップS115からステップS116に移行し、ここでモータ/発電機低回転フラグF2 をセットする。従って、これ以後、前記ステップS104からステップS107に移行するフローになる。
【0079】例えば、モータ/発電機回転数NM/G が“0”になると、図19に示すように、未だエンジン1は回転が停止したままであるから、変速装置入力軸回転数も“0”となり、前記後サンギヤの回転数も“0”になる。前述のように前リングギヤと後キャリアとは連結されており、両者の回転数は、それ以前と同じ回転数であるため、後リングギヤが前キャリアより速く回転する、つまり出力回転数が入力回転数より大きくなってフォワードワンウエイクラッチ54が空転し、終減速装置20、即ち駆動輪5とエンジン1及びモータ/発電機2とが分離される。勿論、このときには後リングギヤが前キャリアより速く回転しているので、終減速装置20から駆動輪5に駆動力は伝達されない。
【0080】そして、このようにモータ/発電機回転数NM/G が所定低回転数NM/G0以下になると、“0”であるエンジン回転数NE と同等又は略同等となるので、前記ステップS107では、前記直結クラッチ36を締結してエンジン1とモータ/発電機2とを直結する。そして、次のステップS117でモータ/発電機トルクTM/G を制御しながら、図20に示すようにモータ/発電機2を正回転し、もってエンジン1を回転始動させる。なお、エンジンの完爆が確認されるまでは、ステップS118からメインプログラムに復帰して、以上のフローを繰り返す。また、この間も、後リングギヤが前キャリアより速く回転しているので、終減速装置20から駆動輪5に駆動力は伝達されない。
【0081】やがて、エンジン1の完爆が確認されたら、ステップS118からステップS119に移行し、ここでエンジン完爆フラグF3 をセットする。従って、これ以後、前記ステップS102からステップS105に移行するフローになる。前記ステップS105では、前記変速装置入力軸回転数NT/M が前記所定回転数NT/M0以下となるように、主として負のトルクがでるようにモータ/発電機トルクTM/G を制御する。これは、エンジン1の完爆後に、エンジントルクTE がオーバシュートして変速装置入力軸回転数NT/M が前記所定回転数NT/M0を越え、前記前キャリアが後リングギヤと同等又はそれ以上に速く回転し、駆動力が終減速装置20から駆動輪5に伝達されてしまうのを防止するためである。そうして、且つ次のステップS120では、エンジン回転数NE を少しずつ増速する制御を行う。これにより、図21に示すように、エンジン回転数、モータ/発電機回転数、変速装置入力軸回転数は次第に正に領域で回転数が増速するが、未だ後リングギヤが前キャリアより速く回転しているので、終減速装置20から駆動輪5に駆動力は伝達されない。
【0082】その後、やがてエンジン回転数NE と変速装置入力軸回転数NT/M との差分値の絶対値|NE ーNT/M |が所定回転数差ΔN1 未満になったら、ステップS121からステップS122に移行してすべてのフラグをリセットし、次のステップS128でエンジントルクTE 、及びモータ/発電機トルクTM/G を通常制御に戻す。これにより、図22に示すように、前記2速アイドル回転車速Vidleより大きい所定車速値V0 に対応すべく、エンジン1とモータ/発電機2とを直結したまま、例えばエンジン回転数を増速することでそのときの車速に対応することができる。そして、これにより前リングギヤを後リングギヤと同等又はそれより速く回転し、駆動力が終減速装置20から駆動輪に伝達される。
【0083】なお、本実施形態では、前記直結クラッチ締結前に、モータ/発電機2の回転数NM/G を停止中のエンジン回転数NE と同じ“0”にする、或いはそれに近づけているが、両者の回転数差が或る程度小さければ、そのまま直結クラッチを締結しても、結果的には両者の慣性トルクに応じて、前記図20のようにエンジンを回転始動することは可能である。
【0084】一方、前述のようにモータ/発電機トルクだけで走行中に、前記すべてのフラグがリセットされている状態で、例えば運転者がセレクトレバーをEVレンジからNレンジを経てDレンジに操作してEVモードから通常走行モードへの切り替えたときの車速Vが前記所定車速値V0 未満である、つまり図23に示すように変速装置入力軸回転数NT/M が前記所定回転数NT/M0未満であるときには、前記ステップS108からステップS112を経てステップS114に移行する。そして、このステップS114で、例えば前記蓄電装置6の容量が少ないなど、エンジンを回転始動する必要がある場合にはステップS123に移行し、ここで低速時制御フラグF4 をセットする。従って、これ以後、前記ステップS101からステップS103を経てステップS110に移行するフローが繰り返される。
【0085】前記ステップS110では、モータ/発電機トルクTM/G を制御しながら、図24に示すようにモータ/発電機2を逆回転し、もってエンジン1を回転始動させる。つまり、変速装置入力軸は前記ワンウエイクラッチOWCによって、それぞれ逆転防止されているため、モータ/発電機2を逆回転させると、エンジン1は正回転され、これによりエンジン1をクランキングすることができる。なお、エンジンの完爆が確認されるまでは、ステップS124からメインプログラムに復帰して、以上のフローを繰り返す。また、この間、後リングギヤが前キャリアより速く回転しているので、終減速装置20から駆動輪5に駆動力は伝達されない。
【0086】やがて、エンジン1の完爆が確認されたら、ステップS124からステップS125に移行し、ここで低速時エンジン完爆フラグF5 をセットする。従って、これ以後、前記ステップS102からステップS103を経てステップS111に移行するフローになる。前記ステップS111では、モータ/発電機2の回転数NM/G を正方向に増速し、図25に示すように、アイドル回転状態にあるエンジン回転数NE との差を小さくする。図は、前キャリアと後リングギヤとが同じ速度になった状態を示しているので、これ以後、終減速装置20から駆動輪に駆動力が伝達される。
【0087】その後、ステップS122に移行してすべてのフラグをリセットし、次のステップS128でエンジントルクTE 、及びモータ/発電機トルクTM/G を通常制御に戻す。このように、本実施形態では、終減速装置20、即ち変速装置4の出力側とエンジン及びモータ/発電機2とが分離している状態でエンジン1を回転始動することにより、エンジン1の回転始動で消費されるトルクを終減速装置20から駆動輪6に伝達しないので、車両に減速度を作用させることがない。
【0088】また、トルク合成機構である差動装置3内の直結クラッチ36、つまり遊星歯車機構締結用直結クラッチを締結することで、エンジン1、モータ/発電機2、手動変速装置4の入力軸を直結することができるので、少なくともエンジン1とモータ/発電機2との間にクラッチを介装する必要がなく、その分だけレイアウトの自由度が高まる。
【0089】また、車速Vが前記所定車速値V0 以上であるときに、前記直結クラッチ36を締結し、エンジン1及びモータ/発電機2が直結されている状態で、モータ/発電機2を正回転してエンジン1を回転始動する構成としたため、エンジン回転始動後にエンジン回転数NE を増速するだけで必要な変速装置入力軸回転数NT/M に対応することができる。従って、エンジン始動後にモータ/発電機2側では大きなパワーが必要なくなり、小型化が可能であると共に、直結クラッチの再締結に伴うショックの発生を防止し、乗心地の悪化を防止できる。
【0090】また、車速Vが前記所定車速値V0 未満であるときに、前記直結クラッチ36を解放し、エンジン1とモータ/発電機2とが直結していない状態で、モータ/発電機2を逆回転してエンジン1を回転始動する構成としたため、トルク合成機構である差動装置3と自動変速装置4とが分離した状態で、エンジン回転数NEをアイドル回転数以上に保持してエンジンを回転状態に維持することができると共に、エンジン回転始動後にはモータ/発電機2を正回転側に増速して必要な変速装置入力軸回転数NT/M に対応することができる。
【0091】また、自動変速装置4のセレクトレバーがNレンジになったときに、モータ/発電機2でエンジン1を回転始動するようにしたので、前記駆動力が駆動輪5に伝達されない時間、つまり加速度の途切れをNレンジに重ね合わせて違和感をなくすことができる。なお、前記各実施形態では、コントローラにマイクロコンピュータを用いた場合について説明したが、これに代えて各種の演算回路を使用することも可能である。
【0092】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のうち請求項1に係るパラレルハイブリッド車両によれば、エンジンの回転が停止している状態で、電動発電機のみの出力トルクで走行しているとき、変速装置の出力側とエンジン及び電動発電機とが分離しているときに、当該電動発電機でエンジンの回転を始動する構成としたため、例えば走行中にEVモードから通常走行モードに切り替わるときに、エンジンを回転始動するためにエンジンで消費されるトルクが駆動輪に伝達されることがなく、車両に著しい減速度が作用することがなく、また、電動発電機のトルクはエンジンの回転始動のために使用されるため、電動発電機を小型化できる。
【0093】また、本発明のうち請求項2に係るパラレルハイブリッド車両によれば、エンジンの逆転を防止する逆転防止機構を、当該エンジンのフライホイール外周に設けたことにより、電動発電機のみのトルクで走行しながらエンジンを始動するときに、当該エンジンの逆転を防止することができると共に、従来スタータモータ並びにスタータモータピニオン及びリングギヤのあった部位に逆転防止機構を収納することができるので余分なスペースや大変更を必要としない。
【0094】また、本発明のうち請求項3に係るパラレルハイブリッド車両によれば、運転者の手動変速操作時に、電動発電機でエンジンの回転を始動する構成としたため、エンジンの回転始動時における加速度の途切れを手動変速操作に重ね合わせて違和感をなくすことができる。また、本発明のうち請求項4に係るパラレルハイブリッド車両によれば、変速レバーの位置を検出するセンサ又はスイッチでギヤ抜けを検出する構成としたため、ギヤ抜けを迅速且つ正確に検出することができ、変速という短い時間で、エンジンを回転始動させることが可能となる。
【0095】また、本発明のうち請求項5に係るパラレルハイブリッド車両によれば、トルク合成機構の遊星歯車機構締結用直結クラッチを締結してエンジン及び電動発電機を直結し且つ当該電動発電機を正回転してエンジンの回転を始動する構成としたため、エンジン回転始動後にエンジン回転数を増速するか、又は直結クラッチを解放して電動発電機回転数を減速するだけで必要な変速装置入力軸回転数に対応することができる。
【0096】また、本発明のうち請求項6に係るパラレルハイブリッド車両によれば、自動変速装置内のワンウエイクラッチによって、変速装置の出力側とエンジン及び電動発電機とが分離されるように当該電動発電機の運転状態を制御して、エンジンの回転を始動する構成としたため、エンジンの出力軸にクラッチなどの締結要素を設ける必要がない。
【0097】また、本発明のうち請求項7に係るパラレルハイブリッド車両によれば、車速が所定値以上であるときに、トルク合成機構の遊星歯車機構締結用直結クラッチを締結してエンジン及び電動発電機を直結し且つ当該電動発電機を正回転してエンジンの回転を始動する構成としたため、前記車速所定値がエンジンのアイドル回転数及び変速比で決まる車速相当以上であれば、エンジン回転始動後にエンジン回転数を増速するだけで必要な変速装置入力軸回転数に対応することができる。従って、エンジン始動後に、電動発電機側では大きなパワーが必要なくなり、小型化できると共に、直結クラッチ再締結に伴うショックの発生を防止することができ、乗心地の悪化を防止できる。
【0098】また、本発明のうち請求項8に係るパラレルハイブリッド車両によれば、車速が所定値未満であるときに、トルク合成機構の遊星歯車機構締結用直結クラッチを解放した状態で、当該電動発電機を逆回転してエンジンの回転を始動する構成としたため、前記車速所定値がエンジンのアイドル回転数及び変速比で決まる車速以下であるときでも、トルク合成光と自動変速装置とが分離した状態で、エンジンの回転数をアイドル回転数以上に保持してエンジンを始動することができる。
【0099】また、本発明のうち請求項9に係るパラレルハイブリッド車両によれば、例えばNレンジを通過しないとEVモードから通常走行モードに移行できないようにするなどして、自動変速装置のセレクトレバーがNレンジになったときに電動発電機でエンジンの回転を始動する構成としたため、エンジンの回転始動時における加速度の途切れをNレンジに重ね合わせて違和感をなくすことができる。
【0100】また、本発明のうち請求項10に係るパラレルハイブリッド車両によれば、自動変速装置のセレクトレバーが、Dレンジ側方に配置されたレンジになっているときに、エンジンの回転が停止している状態で、電動発電機のみの出力トルクで発進する構成としたため、セレクトレバーによって自動変速装置内のマニュアル弁を操作し、Dレンジと同様に、作動流体圧を自動変速装置に供給することができる。




 

 


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