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発明の名称 変速機のドレーン油路構造
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−263465(P2001−263465A)
公開日 平成13年9月26日(2001.9.26)
出願番号 特願2000−79549(P2000−79549)
出願日 平成12年3月22日(2000.3.22)
代理人 【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟 (外1名)
【テーマコード(参考)】
3J063
【Fターム(参考)】
3J063 AA01 AB21 BA01 BA11 BB48 CD02 CD42 CD43 XA37 XD42 XE15 XF01 
発明者 菅野 拓 / 長谷川 幸世
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 潤滑油を供給する軸内油路を有する回転軸と、前記回転軸を回転可能に支持するシールベアリングと、前記シールベアリングを支持する支持部材と、前記軸内油路に対し径方向に形成され、前記軸内油路からの冷却用の潤滑油を前記シールベアリングへ供給する潤滑油供給油路と、前記支持部材に形成され、軸方向に対し垂直に設けられた径方向ドレーン油路と軸方向に設けられた軸方向ドレーン油路から構成されたドレーン油路と、を備え、前記潤滑油供給油路から前記シールベアリングに対して供給された潤滑油が溜まることなく適宜前記ドレーン油路から排出される変速機ユニットにおいて、前記径方向ドレーン油路を、前記支持部材の周方向に長く、軸方向に短い溝状油路としたことを特徴とする変速機のドレーン油路構造。
【請求項2】 請求項1に記載の変速機のドレーン油路構造において、前記径方向ドレーン油路を、スロッタ加工により形成した三日月状の溝状油路とし、該溝状油路の下端部に前記軸方向ドレーン油路を形成したことを特徴とする変速機のドレーン油路構造。
【請求項3】 ユニットハウジング内を、電磁クラッチを収装する第1ドライ室と、モータを収装する第2ドライ室と、変速機を収装するウエット室とに画成したハイブリッド車両の変速機ユニットにおいて、前記回転軸として、前記第1ドライ室と第2ドライ室とウエット室を貫通し、前記電磁クラッチからの回転を前記モータ及び前記変速機へ入力する1軸構造の入力軸を設け、前記支持部材として、前記第2ドライ室とウエット室を画成する隔壁にベアリング支持部を設けると共に、該ベアリング支持部から前記第2ドライ室側に立ち上げ部を形成し、該立ち上げ部にオイルシール支持部を設けたことを特徴とする変速機のドレーン油路構造。
【請求項4】 請求項3に記載の変速機のドレーン油路構造において、前記シールベアリングと前記立ち上げ部の間に隙間を設けると共に、前記シールベアリングのアウタレースにスナップリングを備え、該スナップリングは前記入力軸及び前記シールベアリングの軸方向モータ室側への動きを規制していることを特徴とする変速機のドレーン油路構造。
【請求項5】 請求項1ないし4に記載の変速機のドレーン油路構造において、前記ベアリング支持部と前記アウタレースの摺動部に耐摩耗性スリーブを鋳込んだことを特徴とする変速機のドレーン油路構造。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回転軸をシールベアリングにより支持する変速機ユニットにおいて、そのシールベアリングの冷却用潤滑油供給構造に関する。
【0002】
【従来の技術】自動変速装置を備えた変速機ユニットとしては、特開2000−9213号公報に記載の装置が知られている。この装置は図5に示すように、第1ハウジング113及び第1隔壁116により形成されるクラッチ室101と、第2ハウジング114,第1隔壁116及び第2隔壁117により形成されるモータ室102と、第3ハウジング115及び第2隔壁117により形成される変速機室103から構成されている。エンジンからの回転は、クラッチ室101の電磁クラッチ110に入力され、電磁クラッチ110からの出力は、モータ室102内のモータ111と変速機室103内の変速機112へ入力軸100により伝達される。この入力軸100は、冷却を必要とするシールベアリング120,121を介して支持されている。このとき、入力軸100内に設けられた潤滑油路130から冷却用の潤滑油がシールベアリング121に供給され、この潤滑油は第2隔壁117に設けられたドレーン油路を通って排出される。
【0003】図6には、支持部121の拡大断面図を示す。隔壁117は変速機を収装するウエット室102とモータを収装する第2ドライ室103を画成している。そして、ベアリングを支持するベアリング支持部117aが形成されると共に、立ち上げ部117bが形成され、この立ち上げ部117bにオイルシール支持部117cが設けられている。このとき、隔壁117の形状を肉厚にすることなくコンパクトな構成とするには、径方向ドレーン油路を斜めに形成することが望ましい。図6に示すように、第2隔壁117には、径方向ドレーン油路131と軸方向ドレーン油路132が設けられ、潤滑油を排出するように構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の従来技術においては、以下のような問題を有していた。すなわち、油路をドリルにより形成する際、ドリルのツールパスを確保するのが困難であり、また、ドリル等で斜めに穴加工することでドリルが折れやすく、コストが上昇するという問題があった。また、ドリルによる穴加工では、図6(イ)に示すように、開口部とベアリングが重なってしまうため開口面積を確保するのが困難である。また、この問題を回避するために図6(ロ)に示すように、ベアリングと重なることなく開口面積を確保したとしても隔壁117が軸方向に長くなってしまうという問題があった。
【0005】本発明は、上述のような問題点に着目してなされたもので、変速機ユニットの潤滑構造において、加工性が良く、軸方向に延長すること無く開口面積を確保する事が出来る変速機のドレーン油路構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明では、潤滑油を供給する軸内油路を有する回転軸と、前記回転軸を回転可能に支持するシールベアリングと、前記シールベアリングを支持する支持部材と、前記軸内油路に対し径方向に形成され、前記軸内油路からの冷却用の潤滑油を前記シールベアリングへ供給する潤滑油供給油路と、前記支持部材に形成され、軸方向に対し垂直に設けられた径方向ドレーン油路と軸方向に設けられた軸方向ドレーン油路から構成されたドレーン油路と、を備え、前記潤滑油供給油路から前記シールベアリングに対して供給された潤滑油が溜まることなく適宜前記ドレーン油路から排出される変速機ユニットにおいて、前記径方向ドレーン油路を、前記支持部材の周方向に長く、軸方向に短い溝状油路としたことを特徴とする。
【0007】請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のドレーン油路構造において、前記径方向ドレーン油路を、スロッタ加工により形成した三日月状の溝状油路とし、該溝状油路の下端部に前記軸方向ドレーン油路を形成したことを特徴とする。
【0008】請求項3に記載の発明では、ユニットハウジング内を、電磁クラッチを収装する第1ドライ室と、モータを収装する第2ドライ室と、変速機を収装するウエット室とに画成したハイブリッド車両の変速機ユニットにおいて、前記回転軸として、前記第1ドライ室と第2ドライ室とウエット室を貫通し、前記電磁クラッチからの回転を前記モータ及び前記変速機へ入力する1軸構造の入力軸を設け、前記支持部材として、前記第2ドライ室とウエット室を画成する隔壁にベアリング支持部を設けると共に、該ベアリング支持部から前記第2ドライ室側に立ち上げ部を形成し、該立ち上げ部にオイルシール支持部を設けたことを特徴とする。
【0009】請求項4に記載の発明では、請求項3に記載のドレーン油路構造において、前記シールベアリングと前記立ち上げ部の間に隙間を設けると共に、前記シールベアリングのアウタレースにスナップリングを備え、該スナップリングは前記入力軸及び前記シールベアリングの軸方向モータ室側への動きを規制していることを特徴とする。
【0010】請求項5に記載の発明では、請求項1ないし4に記載のドレーン油路構造において、前記ベアリング支持部と前記アウタレースの摺動部に耐摩耗性スリーブを鋳込んだことを特徴とする。
【0011】
【発明の作用及び効果】請求項1記載の変速機のドレーン油路構造においては、変速機ユニットに、潤滑油を供給する軸内油路を有する回転軸と、回転軸を回転可能に支持するシールベアリングと、このシールベアリングを支持する支持部材と、軸内油路に対し径方向に形成され、前記軸内油路からの冷却用の潤滑油を前記シールベアリングへ供給する潤滑油供給油路と、支持部材に形成され、軸方向に対し垂直に設けられた径方向ドレーン油路と軸方向に設けられた軸方向ドレーン油路から構成されたドレーン油路とが備えられている。そして、潤滑油供給油路からシールベアリングに対して供給された潤滑油が必要以上溜まることなく適宜前記ドレーン油路から排出されるよう構成されている。このとき、径方向ドレーン油路が、支持部材の周方向に長く、軸方向に短い溝状油路とされている。よって、供給された潤滑油を排出するドレーン油路の開口部の面積を軸方向に長くすることなく確保することが可能となり、効率よく潤滑油を排出することができる。
【0012】請求項2に記載の変速機のドレーン油路構造においては、径方向ドレーン油路が、スロッタ加工により形成した三日月状の溝状油路とされ、この溝状油路の下端部に軸方向ドレーン油路が形成されている。すなわち、図4(ロ)の斜視図に示すように、三日月状の溝状油路とすることで、円弧に沿って下端部に形成された軸方向ドレーン油路に流れ込み、これにより効率よく冷却及び潤滑油を排出することができる。
【0013】請求項3に記載の変速機のドレーン油路構造は、ハイブリッド車両の変速機ユニット適用され、この変速機ユニットは、ユニットハウジング内を、電磁クラッチを収装する第1ドライ室と、モータを収装する第2ドライ室と、変速機を収装するウエット室とに画成している。このとき、回転軸として、前記第1ドライ室と第2ドライ室とウエット室を貫通し、前記電磁クラッチからの回転を前記モータ及び前記変速機へ入力する1軸構造の入力軸が設けられ、支持部材として、第2ドライ室とウエット室を画成する隔壁にベアリング支持部が設けられると共に、このベアリング支持部から第2ドライ室側に立ち上げ部が形成され、この立ち上げ部にオイルシール支持部が設けられている。
【0014】すなわち、図3に示すように、隔壁45は変速機を収装するウエット室43とモータを収装するモータ室44を画成している。そして、シールベアリング63を支持するベアリング支持部45aが形成されると共に、立ち上げ部45bが形成され、この立ち上げ部45cにオイルシール支持部45bが設けられている。このとき、隔壁45の形状を肉厚にすることなくコンパクトな構成とするには、径方向ドレーン油路を斜めに形成することが望ましい(図6参照)。
【0015】しかしながら、ドリルのツールパスを確保するのが困難であり、また、ドリル等で斜めに穴加工することでドリルが折れやすく、コストが上昇するという問題があった。また、ドリルによる穴加工では、図6(イ)に示すように、開口部とシールベアリングが重なってしまうため開口面積を確保するのが困難である。また、この問題を回避するために図6(ロ)に示すように、シールベアリングと重なることなく開口面積を確保したとしても隔壁117が軸方向に長くなってしまうという問題があった。よって、請求項1または2記載の発明を適用することで、軸方向に長くなることなく、ドレーン油路の開口面積を確保することができる。
【0016】請求項4に記載の変速機のドレーン油路構造においては、シールベアリングと前記立ち上げ部の間に隙間が設けられると共に、シールベアリングのアウタレースにスナップリングが備えられ、このスナップリングは入力軸及びベアリングの軸方向モータ室側への動きが規制されている。
【0017】すなわち、潤滑油が供給される部分には、入力軸とオイルシールと立ち上げ部及びシールベアリングによって油室が形成されている。ここで、シールベアリングと立ち上げ部の間に隙間が確保されなければ、入力軸に形成された潤滑油供給油路からの油がシールベアリングを冷却できないだけでなく、効率よくドレーン油路に排出することができない。しかしながら、スナップリングにより隙間を確保することで、潤滑油の通路が確保され、シールベアリングを確実に冷却しつつ、ドレーン油路へ効率よく潤滑油を排出することができる。
【0018】請求項5に記載の変速機のドレーン油路構造では、支持部材とシールベアリングの摺動部に耐摩耗性スリーブが鋳込まれている。すなわち、シールベアリングは入力軸を回転可能に支持しているが、シールベアリング自体が入力軸と供回りしている場合がある。この時、耐摩耗性に優れた部材を鋳込むことによって、耐久性の向上を図っている。このとき、径方向ドレーン油路を軸方向に対して垂直に構成し、かつ、軸方向に短い形状としたため、この耐摩耗性スリーブと干渉することなく径方向ドレーン油路を構成することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。図1は実施の形態におけるハイブリッド車両の主要ユニットの構成を示す図である。1は変速機ユニット、2はエンジン、3は発電/始動用のBモータ、4はインバータ、5はバッテリ、6は電動式パワーステアリング、7はハイブリッド制御ユニット、8はチェーンである。
【0020】変速機ユニット1内には、電磁クラッチ11と、駆動用モータであるAモータ15と、無段変速機(CVT)13が収装され、Aモータ15は減速時と制動時のエネルギ回生用モータとしても機能する。また、電動式油圧ポンプを駆動するためのCモータ9が備えられている。これは、モータのみでの走行域があるハイブリッド車では、エンジンに駆動されるオイルポンプだけではモータのみ走行時の油圧(特にCVT13のプーリ油圧)が得られないからである。また、同様の理由により、パワーステアリング6のアシスト力も電動式とされており、モータによってアシストされる。
【0021】発電/始動用モータであるBモータ3は、エンジンブロックにマウントされ、エンジン2とはチェーン8でつながれており、通常は発電機、始動時はスタータとして機能する。バッテリ5,モータ3,15,エンジン2,クラッチ11,CVT13の各制御ユニット7a,7b,7c,7d,7eはそれぞれ独立され、最終的にハイブリッド制御ユニット7で統合制御されている。
【0022】次に、駆動システムの作用を説明する。本実施の形態のハイブリッド車両はパラレル方式で、Aモータ15が出力よりも燃費を優先させたエンジン2のアシスト役として機能する。またCVT13は、エンジンを最良燃費点で運転させるための調整役も担っている。クラッチ11は電磁クラッチであり、OFFすればAモータ15のみでの走行となる。クラッチ11のON/OFFは、ハイブリッド制御ユニット7から指令を受けるクラッチ制御ユニット7dで自動的かつ最適に制御される。
【0023】(システム起動時)始動時はBモータ3がスタータとして機能し、エンジン2を始動する。
【0024】(発進・低速走行時)エンジン2の燃費消費効率が低い低負荷での発進や低速走行時には、エンジン2は停止してAモータ15のみの走行となる。発進と低速走行でも、負荷が大きい(スロットル開度が大きい)場合は直ちにエンジン2が始動し、クラッチ11がONしてエンジン2+Aモータ15での走行となる。
【0025】(通常走行時)主にエンジン2による走行となる。この場合、CVT13の変速制御によりエンジン回転数を調整することで、最良燃費ライン上での運転が実現されている。
【0026】(高負荷時)エンジン2が最大出力を発生しても駆動力が不足するような高負荷時は、バッテリ5からAモータ15に積極的に電気エネルギが供給され、全体の駆動力が増強される。
【0027】(減速時)減速時、エンジン2は燃料カットされる。同時にAモータ15がジェネレータとして機能し、従来は捨てられていた運動エネルギの一部を電気エネルギに変えてバッテリ5に回収する。
【0028】(後退時)CVT13には、リバースギアは設定されていない。従って、後退時はクラッチ11を開放し、Aモータ15を逆回転させて、Aモータ15のみの走行となる。
【0029】(停止時)車両停止時は、エンジン2は停止する。但し、バッテリ5の充電が必要なときやエアコンコンプレッサの作動が必要なときと暖機中などは、エンジン2は停止しない。
【0030】図2は本発明にベルト式無段変速機(CVT)を備えたハイブリッド車両の変速機ユニットの断面図である。図2において、エンジン出力軸10には回転伝達機構として電磁式のクラッチ11が連結されるとともに、この電磁クラッチ11に電源を供給するスリップリング11aが備えられている。電磁クラッチ11の出力側は変速機入力軸12と連結されており、この入力軸12の端部にはCVT13の駆動プーリ14が設けられると共に、駆動プーリ14と電磁クラッチ11との間に位置するように走行用のAモータ(請求項記載のモータ)15が設けられている。
【0031】Aモータ15は、入力軸12に固定されたロータ16と、ハウジング側に固定されたステータ17とからなり、バッテリ5からの電力の供給を受けて入力軸12を駆動し、または減速時等の入力軸12の回転力に基づいて発電機として機能する。
【0032】CVT13は、上記駆動プーリ14と従動プーリ18と、駆動プーリ14の回転力を従動プーリ18に伝達するベルト19等からなっている。駆動プーリ14は、入力軸12と一体に回転する固定円錐板20と、固定円錐板20に対向配置されてV字状プーリ溝を形成すると共に駆動プーリシリンダ室21に作用する油圧によって入力軸12の軸方向に移動可能である可動円錐板22からなっている。従動プーリ18は、従動軸23上に設けられている。従動プーリ18は、従動軸23と一体に回転する固定円錐板24と、固定円錐板24に対向配置されてV字状プーリ溝を形成すると共に従動プーリシリンダ室32に作用する油圧によって従動軸23の軸方向に移動可能である可動円錐板25とからなっている。
【0033】従動軸23には駆動ギア26が固着されており、この駆動ギア26はアイドラ軸27上のアイドラギア28と噛み合っている。アイドラ軸27に設けられたピニオン29はファイナルギア30と噛み合っている。ファイナルギア30は差動装置31を介して図示しない車輪に至るドライブシャフトを駆動する。
【0034】上記のようなCVT13にエンジン出力軸10から入力された回転力は、電磁クラッチ11及び入力軸12を介してCVT13に伝達される。入力軸12の回転力は駆動プーリ14,ベルト19,従動プーリ18,従動軸23,駆動ギア26,アイドラギア28,アイドラ軸27,ピニオン29,及びファイナルギア30を介して差動装置31に伝達される。
【0035】上記のような動力伝達の際に、駆動プーリ14の可動円錐板22及び従動プーリ18の可動円錐板25を軸方向に移動させてベルト19との接触位置半径を変えることにより、駆動プーリ14と従動プーリ18との間の回転比つまり変速比を変えることができる。このような駆動プーリ14と従動プーリ18のV字状のプーリ溝の幅を変化させる制御は、CVT制御ユニット7eを介して駆動プーリシリンダ室21または従動プーリシリンダ室32への油圧制御により行われる。
【0036】ところで、このような変速機構及びモータ等を収装した変速機ハウジングは、CVT13とAモータ15とを収装した第2ハウジング41と、電磁クラッチ11を収装した第1ハウジング42とに軸方向に分割した構成となっている。第2ハウジング41はCVT13等が組み込まれる変速機室43とAモータ15が組み込まれるモータ室44とに第2隔壁45を介して仕切られている。
【0037】また、第1ハウジング42は前記第2ハウジング41が結合する一方の端面に第1隔壁46が形成されており、各ハウジング41,42を結合したときに前記各隔壁45,46間に前記モータ室44を画成すると共に、第1ハウジング42の他方の端面を図示しないエンジン2に結合したときに第1隔壁46とエンジン2との間にクラッチ室47を画成するように構成されている。
【0038】モータ室44には、Aモータ15のステータ17が焼き嵌めにより組み込まれており、これにより構造の簡素化を図る一方、ステータ17を包囲するように第2ハウジング41に形成した冷却水ジャケット48に冷却水を循環させることによりAモータ15を効率よく冷却できるようにしている。
【0039】次に、本発明を適用した入力軸12を支持するシールベアリングの冷却用潤滑構造について説明する。図3はシールベアリング63部分の拡大断面図である。まず構成を説明すると、入力軸12内には軸心油路61が設けられ、この軸心油路61から供給された冷却用の潤滑油をシールベアリング63へ供給する径方向潤滑油路67が設けられている。
【0040】第2隔壁45は、ベアリング支持部45aと立ち上げ部45cとオイルシール70を支持するオイルシール支持部45bから構成されている。これにより、入力軸12を支持すると共に、ウエット室である変速機室43とドライ室であるモータ室44を画成している。
【0041】ベアリング支持部45aには、軸方向ドレーン油路72が設けられると共に、耐摩耗性スリーブ65が鋳込まれている。また、径方向にはスロッタ加工された三日月状の径方向ドレーン溝状油路71が設けられている(図4参照)。
【0042】シールベアリング63は、入力軸と接するインナレース63aと、ベアリング支持部45aの耐摩耗性スリーブ65と接するアウタレース63bと、ボール63c及びこのボール63cの間隔を保持する保持器63dから構成されている。また、アウタレース63bには、溝が設けられ、この溝にスナップリング64が設けられている。このスナップリング64により、シールベアリング63及びこのシールベアリング63に支持された入力軸12のモータ室44側への軸方向の動きが規制されていると同時に、立ち上げ部45cとシールベアリング63との間に隙間73が確保され、これにより潤滑油が確実に供給されるよう構成されている。
【0043】次に作用を説明する。径方向潤滑油路67から供給された潤滑油は、隙間73を通ってシールベアリング63を冷却し、この潤滑油は、スロッタ加工された径方向ドレーン溝状油路71へ流れ込む。このとき、図4に示すように、この径方向ドレーン溝状油路71は軸方向の幅は小さいが、三日月状になっているため、外周方向の長さが確保されており、潤滑油流入口71aの開口面積は、潤滑油排出口72aの開口面積と同じ程度確保されている。また、三日月状の径方向ドレーン溝状油路の下端部に軸方向ドレーン油路72が形成されている。これにより、潤滑油が円弧に沿って軸方向ドレーン油路72に流れ込むよう構成されている。よって、効率よく潤滑油を排出することができる。
【0044】以上説明したように、本実施の形態においては、図3に示すように、隔壁45は変速機を収装するウエット室43とモータを収装するモータ室44を画成している。そして、シールベアリング63を支持するベアリング支持部45aが形成されると共に、立ち上げ部45cが形成され、この立ち上げ部45cにオイルシール支持部45bが設けられている。このとき、隔壁45の形状を肉厚にすることなくコンパクトな構成とするには、径方向ドレーン油路を斜めに形成することが望ましい(図6参照)。
【0045】しかしながら、ドリルのツールパスを確保するのが困難であり、また、ドリル等で斜めに穴加工することでドリルが折れやすく、コストが上昇するという問題があった。また、ドリルによる穴加工では、図6(イ)に示すように、開口部とシールベアリングが重なってしまうため開口面積を確保するのが困難である。また、この問題を回避するために図6(ロ)に示すように、シールベアリングと重なることなく開口面積を確保したとしても隔壁117が軸方向に長くなってしまうという問題があった。
【0046】しかしながら、径方向ドレーン油路が、スロッタ加工により形成した三日月状の溝状油路とされ、この溝状油路の下端部に軸方向ドレーン油路が形成されている。よって、供給された潤滑油を排出するドレーン油路の開口部の面積を軸方向に長くすることなく確保することが可能となり、効率よく冷却し、潤滑油を排出することができる。
【0047】また、図4(ロ)の斜視図に示すように、三日月状の溝状油路とすることで、円弧に沿って下端部に形成された軸方向ドレーン油路に流れ込み、これにより効率よく潤滑油を排出することができる。
【0048】また、シールベアリング63と立ち上げ部45cの間に隙間73が設けられると共に、シールベアリング63のアウタレース63bにスナップリング64が備えられ、このスナップリング64は入力軸12及びシールベアリング63の軸方向モータ室44側への動きを規制している。
【0049】すなわち、潤滑油が供給される部分には、入力軸12とオイルシール70と立ち上げ部45c及びシールベアリング63によって油室が形成されている。ここで、シールベアリング63と立ち上げ部45cの間に隙間73が確保されなければ、入力軸12に形成された潤滑油供給油路67からの油がシールベアリング63を冷却できないだけでなく、効率よくドレーン油路71,72に排出することができない。しかしながら、スナップリング64により隙間73を確保することで、潤滑油の通路が確保され、シールベアリング63を確実に冷却しつつ、ドレーン油路71,72へ効率よく潤滑油を排出することができる。
【0050】また、ベアリング支持部45aとアウタレース63bの摺動部に耐摩耗性スリーブ65が鋳込まれている。すなわち、シールベアリング63は入力軸12を回転可能に支持しているが、シールベアリング63自体が入力軸12と供回りしている場合がある。この時、耐摩耗性に優れた部材を鋳込むことによって、耐久性の向上を図っている。このとき、径方向ドレーン溝状油路71を軸方向に対して垂直に構成し、かつ、軸方向に短い形状としたため、この耐摩耗性スリーブ65と干渉することなく径方向ドレーン溝状油路71を構成することができる。




 

 


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