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発明の名称 ハイブリッド車両の変速機ユニット
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−263461(P2001−263461A)
公開日 平成13年9月26日(2001.9.26)
出願番号 特願2000−79528(P2000−79528)
出願日 平成12年3月22日(2000.3.22)
代理人 【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟 (外1名)
【テーマコード(参考)】
3J063
【Fターム(参考)】
3J063 AA02 AB12 AB22 AB43 AB52 AC03 BA15 BB42 CD45 XH02 XH13 XH42 
発明者 菅野 拓 / 長谷川 幸世
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 ユニットハウジング内を、電磁クラッチを収装するクラッチ室と、ロータとステータから構成されたモータを収装するモータ室と、変速機を収装する変速機室とに画成し、前記ステータが収装されたモータ室の外周に備えられ、ユニットハウジング内の中空円環状回路であって、水流入口と水流出口を個々に有するウォータジャケットにより前記ステータを冷却するハイブリッド車両の変速機ユニットにおいて、前記ウォータジャケットに、流路断面積を一定としつつ、流路断面の断面形状の略縦横長さ比を変更することで変速機ユニットの動力伝達部材である他の構成要素を回避する凹凸部を形成し、該凹凸部におけるウォータジャケット内の形状変化をなし得る断面の変化を、縦横比を徐々に変化させることにより構成したことを特徴とするハイブリッド車両の変速機ユニット。
【請求項2】 請求項1に記載のハイブリッド車両の変速機ユニットにおいて、前記ウォータジャケットの水流入口に流入した水を、水流入口を挟んで水流出口に至る円環状の右側流路と左側流路に分流し、該2つの流路を流れた水は、水流出口にそれぞれ同一流量で到達することを特徴とするハイブリッド車両の変速機ユニット。
【請求項3】 請求項2に記載のハイブリッド車両の変速機ユニットにおいて、前記2つの流路は、一方の流路を他方の流路よりも長い流路とし、該長い流路は前記凹凸部の形状変化による流路抵抗を小さくしたことを特徴とするハイブリッド車両の変速機ユニット。
【請求項4】 請求項3に記載のハイブリッド車両の変速機ユニットにおいて、前記ウォータジャケットに水を送流する送流路を前記ウォータジャケットの接線方向に設け、前記長い流路の水流入口近傍での流れ方向を前記接線方向とし、前記短い流路は水流入口近傍で送流方向と略直角な方向に分流し、両流路への分流流量が等しくなる様に配設したことを特徴とするハイブリッド車両の変速機ユニット。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンと、発電機を兼ねるモータとを有し、これらの出力トルクを変速装置に伝達することにより、エンジンおよびモータのいずれか一方又は双方で走行駆動力を得るようにしたハイブリッド車両に搭載される変速機ユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、地球環境の保護、及び有限資源の節約の観点から、自動車の燃費向上が求められている。この燃費向上の要求に対する1つの手段としてハイブリッド車両が考えられている。このハイブリッド車両は、エンジンとモータを直列もしくは並列に配置し、エンジン出力のアシストや、減速時には発電機として作用させ、自動車の運動エネルギを電気エネルギに変換することにより、この電気エネルギを用いて再度出力をアシストするよう構成されているものである。
【0003】このハイブリッド車両を構成する際、従来の変速装置の基本的なレイアウトの変更を行うことなくモータ等を新たに構成することで、コストを抑えつつ、従来の車両にそのまま適用することが考えられる。そのような観点から、例えば、従来の変速装置として特開平9−329228号公報に記載の遊星歯車を有する変速装置が知られている。この装置は図7(イ)に示すように、第1ハウジング113及び第1隔壁116により形成されるトルクコンバータ室101と、第2ハウジング114と第1隔壁116及び第2隔壁117により形成される遊星歯車室102と、第3ハウジング115及び第2隔壁117により形成される変速機室103から構成されている。エンジンからの回転は、トルクコンバータ室101のトルクコンバータ110に入力され、トルクコンバータ110からの出力は、遊星歯車室102内へ入力され、さらに変速機室103内の変速機112へ入力される。
【0004】このような従来の変速機の基本的なレイアウトを変えることなくモータを遊星歯車室に構成し、ハイブリッド車両用の変速機ユニットとする際、モータは駆動・発電を繰り返すため、コイルが加熱されやすく、モータの性能を維持するために効率よく冷却する必要があり、その方法の1つとしてウォータジャッケットを設けて冷却することが考えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】例えば、上述の従来技術にモータを構成し、ハイブリッド車両用の変速機ユニットとした場合の従来技術として特開2000−9213号公報に記載の技術が知られている。この従来技術は、図7(イ)に示すように、トルクコンバータ室101に電磁クラッチを設け、遊星歯車室102にモータを設けたものである。
【0006】しかしながら、上述の従来技術をハイブリッド車両用変速機ユニットとして構成する場合、例えば、図7(イ),(ロ)に示すように、変速機入力軸120,従動軸121,アイドラ軸123及びディファレンシャル124との軸間距離を維持つつ構成しなければならないため、ウォータジャッケットを構成する部位が限られているという問題があった。図8には、図7(ロ)の変速機ユニットのウォータジャケットが構成されるハウジング部分の正面図を示す。例えばモータ収装部aの周囲を見ると、避けなければならない部位として、従動プーリが構成される従動プーリ収装部b、ディファレンシャルが構成されるディファレンシャル収装部c、そしてパーキングポールサポートが構成されるパーキングサポート収装部dが挙げられる。
【0007】また、ウォータジャッケットの性能は流量によって決定されるため、ウォータジャッケットの流量は全周にわたって一定である必要がある。
【0008】本発明は、上述のような問題点及び要請に着目してなされたもので、従来の変速機ユニットの基本的なレイアウトを維持しつつモータを構成し、更にモータを確実に冷却することのできるウォータジャケットを備えたハイブリッド車両用変速機ユニットを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明においては、ユニットハウジング内を、電磁クラッチを収装するクラッチ室と、ロータとステータから構成されたモータを収装するモータ室と、変速機を収装する変速機室とに画成し、前記ステータが収装されたモータ室の外周に備えられ、ユニットハウジング内の中空円環状回路であって、水流入口と水流出口を個々に有するウォータジャケットにより前記ステータを冷却するハイブリッド車両の変速機ユニットにおいて、前記ウォータジャケットに、流路断面積を一定としつつ、流路断面の断面形状の略縦横長さ比を変更することで変速機ユニットの動力伝達部材である他の構成要素を回避する凹凸部を形成し、該凹凸部におけるウォータジャケット内の形状変化をなし得る断面の変化を、縦横比を徐々に変化させることにより構成したことを特徴とする。
【0010】請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のハイブリッド車両の変速機ユニットにおいて、前記ウォータジャケットの水流入口に流入した水を、水流入口を挟んで水流出口に至る円環状の右側流路と左側流路に分流し、該2つの流路を流れた水は、水流出口にそれぞれ同一流量で到達することを特徴とする。
【0011】請求項3に記載の発明では、請求項2に記載のハイブリッド車両の変速機ユニットにおいて、前記2つの流路である右側流路と左側流路は、一方の流路を他方の流路よりも長い流路とし、該長い流路は凹凸部の形状変化による流路抵抗を小さくしたことを特徴とする。
【0012】請求項4に記載の発明では、請求項3に記載のハイブリッド車両の変速機ユニットにおいて、前記ウォータジャケットに水を送流する送流路を前記ウォータジャケットの接線方向に設け、前記長い流路の水流入口近傍での流れ方向を前記接線方向とし、前記短い流路は水流入口近傍で送流方向と略直角な方向に分流し、両流路への分流流量が等しくなる様に配設したことを特徴とする。
【0013】
【発明の作用及び効果】請求項1記載のハイブリッド車両の変速機ユニットにおいては、ユニットハウジング内が、電磁クラッチを収装するクラッチ室と、ロータとステータから構成されたモータを収装するモータ室と、変速機を収装する変速機室とに画成されている。そして、ステータが収装されたモータ室外周に備えられ、ユニットハウジング内の中空円環状回路であって、水流入口と水流出口を個々に有するウォータジャケットにより前記ステータが冷却される。このとき、ウォータジャケットの流路断面積が一定とされつつ、流路断面の断面形状の略縦横長さ比を変更することで変速機ユニットの動力伝達部材である他の構成要素を回避する凹凸部が形成され、この凹凸部におけるウォータジャケット内の形状変化をなし得る断面の変化が、縦横比を徐々に変化させることにより構成されている。すなわち、ウォータジャケットの冷却能力は水の流量によって決定される。この水の流量は、流速や流路断面積等によって決定されるため、流路断面積を一定にすることで、全周において偏り無く安定した冷却性能を発揮することができる。また、流路断面積を一定にしつつ断面形状を変更することで他の構成要素を回避する構造としたことにより、設計自由度が向上し、よりコンパクトな構成を取ることができる。また、流路抵抗は流路の形状によって決定されるが、凹凸部の形状変化を曲面により構成することで流路抵抗を低減することができる。これにより、流速を確保することが可能となり、効率よく冷却することができる。
【0014】請求項2に記載のハイブリッド車両の変速機ユニットでは、ウォータジャケットの水流入口に流入した水が、水流入口を挟んで水流出口に至る円環状の右側流路と左側流路に分流され、この2つの流路を流れた水が、水流出口にそれぞれ同一流量で到達されるように構成されている。すなわち、水流入口と水流出口を離れた位置に設けると、設計自由度は向上するものの、必ず2つの流路を経由しなければならない。このとき、2つの流路を流れた水が、水流出口に同一流量で到達することで、安定した冷却性能を発揮することができる。
【0015】請求項3に記載のハイブリッド車両の変速機ユニットでは、2つの流路である右側流路と左側流路において、一方の流路が他方の流路よりも長い流路を備えており、この長い流路は凹凸部の形状変化による流路抵抗が小さくされている。すなわち、2つの流路に分流する場合、それぞれの流路の長さを同じにすることなく自由に設定し、それぞれの流路の流路抵抗を変える(例えば、長い流路の流路抵抗<短い流路の流路抵抗)ことで同一流量を確保することで、設計自由度が更に増し、かつ、安定した冷却性能を発揮することができる。
【0016】請求項4に記載のハイブリッド車両の変速機ユニットでは、ウォータジャケットに水を送流する送流路がウォータジャケットの接線方向に設けられ、長い流路の水流入口近傍での流れ方向が接線方向とされ、また短い流路は水流入口近傍で送流方向と略直角な方向に分流されている。つまり、一般に長い流路は短い流路に比べ流路抵抗が大きい。そこで、水の送流方向と長い流路の流入方向を一致させることで、水の流れ方向の変化によるエネルギ損失を低減させる。また、短い流路においては、水流入口近傍で送流方向と略直角な方向に分流することで、水の流れ方向の変化によるエネルギ損失を発生させる。これにより、長い流路の流路抵抗と短い流路の流路抵抗を等しくする事が可能となり、同一流量を確保することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。図1は実施の形態におけるハイブリッド車両の主要ユニットの構成を示す図である。1は変速機ユニット、2はエンジン、3は発電/始動用のBモータ、4はインバータ、5はバッテリ、6は電動式パワーステアリング、7はハイブリッド制御ユニット、8はチェーンである。
【0018】変速機ユニット1内には、電磁クラッチ11と、駆動用モータであるAモータ15と、無段変速機(以下CVTと記す)13が収装され、Aモータ15は減速時と制動時のエネルギ回生用モータとしても機能する。また、電動式油圧ポンプを駆動するためのCモータ9が備えられている。これは、モータのみでの走行域があるハイブリッド車では、エンジンに駆動されるオイルポンプだけではモータのみ走行時の油圧(特にCVT13のプーリ油圧)が得られないからである。また、同様の理由により、パワーステアリング6のアシスト力も電動式とされており、モータによってアシストされる。
【0019】発電/始動用モータであるBモータ3は、エンジンブロックにマウントされ、エンジン2とはチェーン8でつながれており、通常は発電機、始動時はスタータとして機能する。バッテリ5,モータ3,15,エンジン2,クラッチ11,CVT13の各制御ユニット7a,7b,7c,7d,7eはそれぞれ独立され、最終的にハイブリッド制御ユニット7で統合制御されている。
【0020】次に、駆動システムの作用を説明する。本実施の形態のハイブリッド車両はパラレル方式で、Aモータ15が出力よりも燃費を優先させたエンジン2のアシスト役として機能する。またCVT13は、エンジンを最良燃費点で運転させるための調整役も担っている。クラッチ11は電磁クラッチであり、OFFすればAモータ15のみでの走行となる。クラッチ11のON/OFFは、ハイブリッド制御ユニット7から指令を受けるクラッチ制御ユニット7dで自動的かつ最適に制御される。
【0021】(システム起動時)始動時はBモータ3がスタータとして機能し、エンジン2を始動する。
【0022】(発進・低速走行時)エンジン2の燃費消費効率が低い低負荷での発進や低速走行時には、エンジン2は停止してAモータ15のみの走行となる。発進と低速走行でも、負荷が大きい(スロットル開度が大きい)場合は直ちにエンジン2が始動し、クラッチ11がONしてエンジン2+Aモータ15での走行となる。
【0023】(通常走行時)主にエンジン2による走行となる。この場合、CVT13の変速制御によりエンジン回転数を調整することで、最良燃費ライン上での運転が実現されている。
【0024】(高負荷時)エンジン2が最大出力を発生しても駆動力が不足するような高負荷時は、バッテリ5からAモータ15に積極的に電気エネルギが供給され、全体の駆動力が増強される。
【0025】(減速時)減速時、エンジン2は燃料カットされる。同時にAモータ15がジェネレータとして機能し、従来は捨てられていた運動エネルギの一部を電気エネルギに変えてバッテリ5に回収する。
【0026】(後退時)CVT13には、リバースギアは設定されていない。従って、後退時はクラッチ11を開放し、Aモータ15を逆回転させて、Aモータ15のみの走行となる。
【0027】(停止時)車両停止時は、エンジン2は停止する。但し、バッテリ5の充電が必要なときやエアコンコンプレッサの作動が必要なときと暖機中などは、エンジン2は停止しない。
【0028】図2は本発明にベルト式無段変速機(CVT)を備えたハイブリッド車両の変速機ユニットの断面図である。図2において、エンジン出力軸10には回転伝達機構として電磁式のクラッチ11が連結されるとともに、この電磁クラッチ11に電源を供給するスリップリング11aが備えられている。電磁クラッチ11の出力側は変速機入力軸12と連結されており、この入力軸12の端部にはCVT13の駆動プーリ14が設けられると共に、駆動プーリ14と電磁クラッチ11との間に位置するように走行用のAモータ(請求項記載のモータ)15が設けられている。
【0029】Aモータ15は、入力軸12に固定されたロータ16と、ハウジング側に固定されたステータ17とからなり、バッテリ5からの電力の供給を受けて入力軸12を駆動し、または減速時等の入力軸12の回転力に基づいて発電機として機能する。
【0030】CVT13は、上記駆動プーリ14と従動プーリ18と、駆動プーリ14の回転力を従動プーリ18に伝達するベルト19等からなっている。駆動プーリ14は、入力軸12と一体に回転する固定円錐板20と、固定円錐板20に対向配置されてV字状プーリ溝を形成すると共に駆動プーリシリンダ室21に作用する油圧によって入力軸12の軸方向に移動可能である可動円錐板22からなっている。従動プーリ18は、従動軸23上に設けられている。従動プーリ18は、従動軸23と一体に回転する固定円錐板24と、固定円錐板24に対向配置されてV字状プーリ溝を形成すると共に従動プーリシリンダ室32に作用する油圧によって従動軸23の軸方向に移動可能である可動円錐板25とからなっている。
【0031】従動軸23には駆動ギア26が固着されており、この駆動ギア26はアイドラ軸27上のアイドラギア28と噛み合っている。アイドラ軸27に設けられたピニオン29はファイナルギア30と噛み合っている。ファイナルギア30は差動装置31を介して図示しない車輪に至るドライブシャフトを駆動する。
【0032】上記のようなCVT13にエンジン出力軸10から入力された回転力は、電磁クラッチ11及び入力軸12を介してCVT13に伝達される。入力軸12の回転力は駆動プーリ14,ベルト19,従動プーリ18,従動軸23,駆動ギア26,アイドラギア28,アイドラ軸27,ピニオン29,及びファイナルギア30を介して差動装置31に伝達される。
【0033】上記のような動力伝達の際に、駆動プーリ14の可動円錐板22及び従動プーリ18の可動円錐板25を軸方向に移動させてベルト19との接触位置半径を変えることにより、駆動プーリ14と従動プーリ18との間の回転比つまり変速比を変えることができる。このような駆動プーリ14と従動プーリ18のV字状のプーリ溝の幅を変化させる制御は、CVT制御ユニット7eを介して駆動プーリシリンダ室21または従動プーリシリンダ室32への油圧制御により行われる。
【0034】ところで、このような変速機構及びモータ等を収装した変速機ハウジングは、CVT13とAモータ15とを収装した第2ハウジング41と、電磁クラッチ11を収装した第1ハウジング42とに軸方向に分割した構成となっている。第2ハウジング41はCVT13等が組み込まれる変速機室43とAモータ15が組み込まれるモータ室44とに第2隔壁45を介して仕切られている。
【0035】また、第1ハウジング42は前記第2ハウジング41が結合する一方の端面に第1隔壁46が形成されており、各ハウジング41,42を結合したときに前記各隔壁45,46間に前記モータ室44を画成すると共に、第1ハウジング42の他方の端面を図示しないエンジン2に結合したときに第1隔壁46とエンジン2との間にクラッチ室47を画成するように構成されている。
【0036】モータ室44には、Aモータ15のステータ17が焼き嵌めにより組み込まれており、これにより構造の簡素化を図る一方、ステータ17を包囲するように第2ハウジング41に形成したウォータジャケット48に冷却水を循環させることによりAモータ15を効率よく冷却できるようにしている。
【0037】図3は本願発明のウォータジャケットを適用した第2ハウジングのエンジン側から見た正面図である。この第2ハウジング41には、Aモータ15を収装するモータ収装部61と、従動プーリ18を収装する従動プーリ収装部63と、アイドラ軸27を収装するアイドラ軸収装部64と、ディファレンシャルを収装するディファレンシャル収装部65と、パーキングポールサポートを構成するパーキングサポート収装部62が設けられている。また、図中71が水流入口構成部位であり、72が水流出口構成部位である。
【0038】図4はウォータジャケット48の外形を表す図である。図に示すように、送流路73はウォータジャケット48の接線方向に設けられ、送出路74はウォータジャケット48の径方向に設けられている。また、ウォータジャケット48内には、第1流路75と第2流路76が備えられ、第1流路75の水流入口71近傍の水の流れの方向は、送流路73の水の流れの方向と一致するよう構成されており、第1流路75の流路長さは、第2流路76よりも長い流路とされている。また、第2流路76の水流入口71近傍の水の流れの方向は送流路73の水の流れの方向とおよそ直角方向に向いている。
【0039】図5には、ウォータジャケット48の展開図を示す。図3にも示したように、ディファレンシャル収装部65と従動プーリ収装部63とパーキングサポート収装部62を回避しつつ、流路断面の縦横比を変えることで流路断面積を一定として確保している。
【0040】図6はウォータジャケット48の形状変化部の角度をそれぞれ変更した場合の流速シミュレーションを表す図である。図に示すように、流速が0.6(m/sec)以上の領域(以下この領域をM領域という)を各モデルについて比較してみると、モデル1では、ある断面での第1流路75でのM領域が狭く、これは、第1流路75の流量が第2流路76の流量よりも少ないことを表しており、Aモータ15を全体にバランス良く冷却できないことを表している。モデル2,3では第1及び第2流路75,76それぞれの流量は同じ程度であっても、従動プーリ収装部63を十分に回避できていない。
【0041】ここで、モデル4を見ると、第1流路75及び第2流路76の両流路の断面におけるM領域はほぼ同じ程度に現れており、第1流路75と第2流路76の流量がほぼ等しいことが判り、Aモータ15をバランス良く冷却することができる。
【0042】以上説明したように、本実施の形態のハイブリッド車両の変速機ユニットにおいては、ウォータジャケット48の流路断面積が一定とされつつ他の構成要素であるディファレンシャル収装部65と従動プーリ収装部63とパーキングサポート収装部62を回避する凹凸部が形成され、この凹凸部における形状変化が滑らかにされている。すなわち、ウォータジャケット48の冷却能力は水の流量によって決定される。この水の流量は、流速や流路断面積等によって決定されるため、流路断面積を一定にすることで、全周において偏り無く安定した冷却性能を発揮することができる。また、流路断面積を一定にしつつ他の構成要素を回避する構造としたことにより、設計自由度が向上し、よりコンパクトな構成を取ることができる。また、流路抵抗は流路の形状によって決定されるが、凹凸部の形状変化を滑らかにすることで流路抵抗を低減することができる。これにより、流速を確保することが可能となり、効率よく冷却することができる。
【0043】また、ウォータジャケット48の水流入口71と水流出口72が、Aモータ15を挟んで対向する位置に設けられ、水流入口71から流入した水が第1流路75と第2流路76に分流され、この2つの流路を流れた水が、水流出口72にそれぞれ同一流量で到達されるように構成されている。すなわち、水流入口71と水流出口72を離れた位置に設けると、設計自由度は向上するものの、必ず2つの流路を経由しなければならない。このとき、第1流路75と第2流路76を流れた水が、水流出口72に同一流量で到達することで、安定した冷却性能を発揮することができる。
【0044】また、第1流路75が第2流路76よりも長い流路を備えており、この第1流路75は凹凸部の形状変化による流路抵抗が小さくされている。すなわち、2つの流路に分流する場合、それぞれの流路の長さを同じにすることなく自由に設定し、それぞれの流路の凹凸部の形状変化による流路抵抗を変える(例えば、長い流路の流路抵抗<短い流路の流路抵抗)ことで同一流量を確保することで、設計自由度が更に増し、かつ、安定した冷却性能を発揮することができる。
【0045】また、ウォータジャケット48に水を送流する送流路73がウォータジャケット48の接線方向に設けられ、第1流路75の水流入口71近傍での流れ方向が接線方向とされ、また第2流路76は水流入口71近傍で送流方向と略直角な方向に分流されている。つまり、一般に長い流路は短い流路に比べ流路抵抗が大きい。そこで、水の送流方向と第1流路75の流入方向を一致させることで、水の流れ方向の変化によるエネルギ損失を低減させる。また、第2流路76においては、水流入口71近傍で送流方向と略直角な方向に分流することで、水の流れ方向の変化によるエネルギ損失を発生させる。これにより、第1流路75の流路抵抗と第2流路76の流路抵抗を等しくする事が可能となり、同一流量を確保することができる。




 

 


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