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発明の名称 トロイダル型無段変速機の油圧回路
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−99284(P2001−99284A)
公開日 平成13年4月10日(2001.4.10)
出願番号 特願平11−279855
出願日 平成11年9月30日(1999.9.30)
代理人 【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也 (外2名)
【テーマコード(参考)】
3J051
3J052
【Fターム(参考)】
3J051 AA03 BA03 BB02 BE09 CA05 
3J052 AA01 CA21 FB01 FB22 FB23 FB27 HA13 KA01 LA01
発明者 吉田 武雄
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 摩擦ローラと入力ディスク及び出力ディスクとの接触点を変更することにより変速比を調整可能としたトロイダル型無段変速機の油圧回路であって、車両の前進又は後退のために入出力軸を接続する摩擦要素に調圧した油圧を供給する油路中に、チョーク絞りを介装したことを特徴とするトロイダル型無段変速機の油圧回路。
【請求項2】 前記チョーク絞りは、前記摩擦要素への油圧を蓄圧するアキュームレータの上流側に配設したことを特徴とする請求項1に記載のトロイダル型無段変速機の油圧回路。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、入力ディスクと出力ディスクとの間に摩擦ローラを配設し、この摩擦ローラの傾転状態を変更することで入出力間の変速比を変更できるようにしたトロイダル型無段変速機の油圧回路に関し、特に車両の前進又は後退のために入出力軸を接続する摩擦要素の油圧を供給する部分の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のトロイダル型無段変速機としては、例えば特開平10−148244号公報に記載されるものがある。このトロイダル型無段変速機は、同軸上に配設されて対をなす回転可能な入力ディスク及び出力ディスクの対向面間に形成されたトロイド状の溝内に、パワーローラと称する摩擦ローラを配設し、この摩擦ローラをトラニオンと称する支持機構で傾転可能に支持する。一方、この支持機構は、油圧シリンダによって、例えば前記摩擦ローラの軸線方向と直交し且つ入出力ディスクの軸線方向と直交する方向に駆動される。ここで、例えば摩擦ローラの軸線と入出力ディスクの軸線とがずれると、摩擦ローラの回転方向と入力ディスクからの入力方向とにずれが生じ、そのずれの力の成分が摩擦ローラを傾転し、これにより両ディスクに摩擦接触している摩擦ローラと入力ディスクとの接触半径及び出力ディスクとの接触半径が変わるので、入出力間の変速比が変化する。
【0003】このようなトロイダル型無段変速機の油圧回路としては、例えば特開平11−30317号公報に記載されるものなどがあるが、何れにしても自動変速機であることから、油圧制御の応答性が変速制御等の応答性に関わる。油圧制御の応答性は、周知のように作動油の粘度によって変化し、当該作動油の粘度は温度に依存することが知られている。このように作動油粘度の温度依存性を考慮した自動変速機の油圧制御装置としては、例えば特開平2−42251号公報や特開平2−62468号公報に記載されるものがある。このうち、前者は、低温時に作動油の粘度が高いことから、当該低温時の応答性を向上するため、作動油圧を高く設定するものであり、後者は、作動油粘度の温度依存性に対応するため、作動油温度検出手段で作動油の温度を検出し、その作動油温度に応じて、例えば設定油圧を調整するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記トロイダル型無段変速機の油圧回路のうち、最も重要な油圧供給先は前記摩擦ローラを傾転するために前記支持機構を駆動する油圧シリンダである。この油圧シリンダは、入出力ディスクと摩擦ローラとの間の伝達トルクを支持するものであるから、相応に大きな油圧が必要となる。自動変速機の油圧回路中、調圧された最も高い油圧をライン圧と称するが、トロイダル型無段変速機の場合、通常の自動変速機よりもライン圧の設定が高い。ライン圧の設定が高い場合、特別に減圧しない限り、その他の供給先に供給される油圧も全般に高い。従って、車両を前進又は後退するために、入出力軸を接続するクラッチなどの摩擦要素に供給される油圧も高い。
【0005】前述のように低温時には作動油の粘度が高いので、トロイダル型無段変速機でもライン圧を高く設定して、応答性を確保するようにしている。すると、例えば作動油の温度が低いときに、停車状態で、NレンジやPレンジ等の非走行レンジセレクト状態から、DレンジやRレンジ等の走行レンジをセレクトすると、前記車両を前進又は後退するために入出力軸を接続する摩擦要素に、高い作動油圧が瞬時に供給される。一般にクラッチなどの摩擦要素は、ディッシュプレートが完全に密着してトルクを伝達するまでの必要時間を見込んで、シリンダ室の容積を設定しているが、高い作動油圧が瞬時に供給されると、シリンダ室が即座に作動油で満たされ、摩擦要素が短時間に締結して瞬間的に大きなトルクが発生し、それがショックになる恐れがある。
【0006】本発明はこれらの諸問題に鑑みて開発されたものであり、作動油の低温時に非走行レンジから走行レンジがセレクトされたような場合にも、前進又は後退用摩擦要素の短時間の締結を抑制防止することにより、瞬間的に大きなトルクの発生を防止することができるトロイダル型無段変速機の油圧回路を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記諸問題を解決するために、本発明のうち請求項1にかかるトロイダル型無段変速機の油圧回路は、摩擦ローラと入力ディスク及び出力ディスクとの接触点を変更することにより変速比を調整可能としたトロイダル型無段変速機の油圧回路であって、車両の前進又は後退のために入出力軸を接続する摩擦要素に調圧した油圧を供給する油路中に、チョーク絞りを介装したことを特徴とするものである。
【0008】なお、チョーク絞りとは、流路を絞って流量抵抗を大きくする絞りのうち、径に対する長さの比が2以上になる絞りをいい、長さの短いオリフィス絞りに対して、図7に示すように、温度の低い領域で流量を抑えられるという効果を有する。また、本発明のうち請求項2にかかるトロイダル型無段変速機の油圧回路は、前記請求項1の発明において、前記チョーク絞りは、前記摩擦要素への油圧を蓄圧するアキュームレータの上流側に配設したことを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明のトロイダル型無段変速機の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。まず、本実施形態のトロイダル型無段変速機の概略構成について、図1を用いて、入力側から出力側の順に簡潔に説明する。図示されない発動機であるエンジンの回転力は、ミッションケース1内のトルクコンバータ4を介してインプットシャフト2に入力される。このインプットシャフト2の図示右方には、動力伝達用回転軸としてCVTシャフト3が同軸に配設されている。前記インプットシャフト2は、ミッションケース1に取付けられたオイルポンプ5に回転可能に支持されており、そのオイルポンプ5の図示右方には、遊星歯車機構8の固定要素切換えによってCVTシャフト3への入力回転方向を切換えるための前進クラッチ機構6及び後進クラッチ機構7を備えた前後進切換機構9が配設されている。また、前記CVTシャフト3には、トロイド状の二つのキャビティ,つまり溝部を構成する第1及び第2トロイダル変速機構10,11が互いに軸線方向に離間して配設されている。なお、前記トルクコンバータ4は、所謂ロックアップ機構付きのものである。
【0010】前記インプットシャフト2及びCVTシャフト3間には、前記インプットシャフト2にブッシュ12を介して回転自在に支持されて前記前後進切換機構9の遊星歯車機構8を構成するサンギヤ13と、このサンギヤ13に形成されている爪部13aに係合し且つCVTシャフト3に回転自在に支持されたローディングカム14と、このローディングカム14に係合ローラ15を介して連結され且つCVTシャフト3にボールスプライン16を介して支持された入力ディスク17とが介装されている。また、前記係合ローラ15は保持器41で回転自在に保持されている。従って、前記インプットシャフト2に伝達されたエンジンからの回転力は、前後進切換機構9を介してサンギヤ13の爪部13aからローディングカム14、係合ローラ15、入力ディスク17及びボールスプライン16を順次経由してCVTシャフト3に伝達されるようになっている。
【0011】また、前記ローディングカム14及び入力ディスク17の係合ローラ15当接面は、互いに逆向きで、次第にスラスト方向に高くなるカム面が形成されており、係合ローラ15がこれらのカム面のリードに沿って移動することで入力トルクに比例したトルク伝達用CVTシャフト3の軸線方向への推力,つまりスラスト力を発生するようになっている。また、前記入力カムであるローディングカム14と出力カムである入力ディスク17との間には、両者を離反させる方向に力を作用させ、予圧を付与するための皿バネ42が介装されている。また、このローディングカム14と入力ディスク17との間に所定の油圧を供給することで、前記軸線方向への推力,つまりスラスト力を調整できるようにもなっている。なお、前記ローディングカム14は、ボールベアリング44によってCVTシャフト3に回転可能に支持されている。
【0012】第1及び第2トロイダル変速機構10,11から先に説明すると、第1トロイダル変速機構10は、前記係合ローラ15に接する面と反対側の面にトロイド面17aが形成される上述の入力ディスク17と、この入力ディスク17の対向面にトロイド面18aが形成され、二つのトロイド面で第1のキャビティを構成する,CVTシャフト3に回転自在に支持される出力ディスク18と、前記入力ディスク17のトロイド面17aと出力ディスク18のトロイド面18aとで構成される溝部,つまりキャビティに対して傾転可能に接触するパワーローラ(摩擦ローラ)29とを備えている。前記パワーローラ29は、トラニオンと称する支持機構によって傾転可能に支持されており、このトラニオンを、ステップモータによってサーボ作動する油圧シリンダで操作することにより、当該パワーローラ29と入力ディスク17及び出力ディスク18との夫々の径方向の接触位置,即ち接触半径を変え、入力ディスク17と出力ディスク18との間の回転速度比,即ち変速比を連続的に変化させることができるようになっている。
【0013】また、前記第2トロイダル変速機構11は、前記第1トロイダル変速機構10と同様に入力ディスク19,出力ディスク20,パワーローラ(摩擦ローラ)30,支持機構及び油圧駆動装置を有するが、CVTシャフト3にボールスプライン21を介して外嵌されている入力ディスク19が、前記第1トロイダル変速機構10から遠い側に配置されると共に、出力ディスク20は第1トロイダル変速機構10に近い側に配置されている。つまり、第1トロイダル変速機構10と第2トロイダル変速機構11とは、図面上で線対称となるように構成されている。また、第1トロイダル変速機構10の出力ディスク18とCVTシャフト3との間にはローラベアリング38が、第2トロイダル変速機構11の出力ディスク20とCVTシャフト3との間にはローラベアリング39が夫々介装されている。
【0014】互いに対向する前記出力ディスク18,20の背面の間には出力合成ギヤ22が配設されており、この出力合成ギヤ22の中心部両端から軸線方向に突設された筒軸部18b,20bが、各出力ディスク18,20の内部でそれらとスプライン結合されている。また、出力合成ギヤ22は、トランスミッションケース1の内周壁に固着されたギヤハウジング23a,23bにベアリング24を介して回転自在に支持されている。また、出力合成ギヤ22はドリブンギヤ25に噛合しており、このドリブンギヤ25は前記ギヤハウジング23bにベアリング26を介して回転自在に支持されている。また、ドリブンギヤ25の中心部にはカウンターシャフト27の一端がスプライン結合されており、このカウンターシャフト27の他端はローラベアリング35を介してトランスミッションケース1に回転自在に支持されていることから、両者は一体に回転するようになっている。従って、前記CVTシャフト3に伝達されたエンジンからの回転力は、前記第1及び第2トロイダル変速機構10,11の入力ディスク17,19に分解され、前述したパワーローラ29,30の傾転動作による所定の変速比で各トロイダル変速機構10,11の出力ディスク18,20に伝達された後、この出力合成ギヤ22で合成され、ドリブンギヤ25,カウンターシャフト27及びギヤ列28を順次経由してアウトプットシャフト33に伝達される。なお、前記第2トロイダル変速機構11の入力ディスク19の背面には皿バネ43が介装されており、その出力側に螺合したナット40の締付けトルクを調整することで、前記皿バネ42との間で発生するスラスト力の予圧状態を調整することができるようになっている。また、前記カウンターシャフト27のドリブンギヤ25側端部に、バルブを切り替えるためのリバースセンサが取付けられている。
【0015】前記ギヤ列28は、前記カウンターシャフト27の他端部に形成されたカウンターアウトプットギヤ31と、これに噛合するアイドラギヤと、このアイドラギヤに噛合し且つ前記CVTシャフト3と同軸に配設されたアウトプットシャフト33の一端に形成されたアウトプットギヤ32とからなる。これらのギヤ列28及びアウトプットシャフト33等は、前記ミッションケース1の後端部に接合されたエクステンションケース34内に収納される。また、前記カウンターシャフト27の後端部、つまり前記カウンターアウトプットギヤ31の両側は、ミッションケース1側との間に介装されたローラベアリング35及びエクステンションケース34との間に介装されたローラベアリング36によって回転自在に支持されている。また、前記アウトプットシャフト33は、そのアウトプットギヤ32側が、ミッションケース1の後面部に設けられたリヤ接合面部37との間に介装されたローラベアリング38、CVTシャフト3の後端部との間に介装されたニードルベアリング39によって回転可能に支持され、その出力端側、つまり後端側が、エクステンションケース34との間に介装されたローラベアリング45によって回転可能に支持されている。なお、図中の符号46は、前記アウトプットシャフト33にスプライン結合されたパーキングギヤ、符号47はアウトプットシャフト33に形成されたスピードメータギヤ、符号48は、エクステンションケース34との間に形成されたエアブリーザー室、符号49は、前記アウトプットシャフト33とスプライン嵌合され、車軸に連結する部材であるフランジコンパニオン50を位置決めするナットである。
【0016】次に、前記各トロイダル変速機構による変速制御について簡潔に説明する。図2は、前記第1トロイダル変速機構10のキャビティ中央部の車両後方向き縦断面を示す。図中に対向する二つのパワーローラ29は、同図中の軸線O1 上に配置した前記第2トロイダル変速機構10の入力ディスク(図示していない)と出力ディスク18との間に回転動力が伝達可能に対向配置されており、これらパワーローラ29は、夫々図示右方のトラニオン101FL,図示左方のトラニオン101FRに偏心軸102を介して回転自在に支持されていると共に、それらトラニオン101FL,101FRの上端間がアッパリンク機構103のアッパリンク104を介して横方向に連結され、下端間がロワリンク機構105のロワリンク106を介して連結されている。
【0017】このうち、パワーローラ29を回転自在に支持している図示右方のトラニオン101FLは、パワーローラ回転軸線O2 が入出力ディスク回転軸線O1 に交差している図示の中立位置から、パワーローラ回転軸線O2 と直交する首振り軸線O3 の方向へオフセットするように、この首振り軸線O3 の方向へ変位し、且つ首振り軸線O3 の周りに傾転可能となっている。
【0018】そして、前記ロワリンク106が連結しているトラニオン101FLの下部に、トラニオンシャフト107の上端部がピン108を介して閂結合されており、このトラニオンシャフト107に、油圧シリンダ109のピストン110FLのピストンボス部110aが外嵌し、トラニオンシャフト107の下端に形成した雄ねじに、ナット111を螺合してピストンボス部110aを締付けることにより、前記ピストン110FLがトラニオンシャフト107を介してトラニオン101FLに一体化されている。また、前記ピストン110FLを収容しているシリンダボディ112は、ピストン110FLよりナット111側に第1油室113aを画成し且つピストン110RLよりトラニオン101FL側に第2油室113bを画成しており、指令変速比に基づいて後述するフォワードシンクロバルブ又はリバースシンクロバルブで生成した作動油圧がそれぞれ供給される。そして、第1及び第2油室113a、113bの差圧に応じてピストン110FLが首振り軸線O3 方向に所定量だけ変位し、このピストン110FLの変位により、トラニオン76FLを入出力ディスク17、18に対して首振り軸線O3 方向に変位(オフセット)させ、このオフセットによりパワーローラ29が変速指令に対応した方向へ傾転角を変更する。
【0019】また、パワーローラ29を回転自在に支持している図示左方のトラニオン101FRの下部にも、トラニオンシャフト107の上端部がピン108を介して閂結合されており、このトラニオンシャフト107に、油圧シリンダ109のピストン110FRのピストンボス部110a及びプリセスカム114が外嵌し、トラニオンシャフト107の下端に形成した雄ねじにナット111を螺合してピストンボス部110a及びプリセスカム114を締付けることにより、ピストン110FRがトラニオンシャフト107を介してトラニオン101FRに一体化されている。また、前記ピストン110FRを収容しているシリンダボディ112は、ピストン110FRよりトラニオン101FR側に第1油室110aを画成し且つピストン110FRよりナット111側に第2油室110bを画成しており、前記フォワードシンクロバルブ又はリバースシンクロバルブで生成した作動油圧がそれぞれ供給される。そして、第1及び第2油室110a、110bの差圧に応じてピストン110FRが首振り軸線O3 方向に所定量だけ変位し、このピストン110FRの変位により、トラニオン101FRを入出力ディスク17、18に対して首振り軸線O3 方向に変位(オフセット)させ、このオフセットによりパワーローラ29が変速指令に対応した方向へ傾転角を変更する。
【0020】ここで、前記プリセスカム114には、前記首振り軸線O3 方向に傾斜した案内溝114aが、形成されており、この案内溝114aに、図示されないステッピングモータによって駆動される変速リンク115の端部が係合して、前記トラニオン101FRに取付けられたパワーローラ29の変位(オフセット量及び傾転量)を前記フォワードシンクロバルブ又はリバースシンクロバルブにフィードバックしているが、変速リンク115の端部の上面が案内溝114aに常時接触するように、変速リンク115に係合しているばね部材(図示せず)から首振り軸線O3 方向の上方に向かう付勢力(図4の符号Fa)がピストン110FRに作用している。
【0021】なお、前記第2トロイダル変速機構11では、車両左方のパワーローラ30が、前記図2で示したパワーローラ29を支持している図示右方の支持構造と略同一の支持構造で支持されており、ピストン110RLを収容しているシリンダボディ112は、当該ピストン110RLよりトラニオン101RL側に第1油室113aを画成し、当該ピストン110RLよりナット111側に第2油室113bを画成しており、指令変速比に基づいて前記フォワードシンクロバルブ又はリバースシンクロバルブで生成した作動圧がそれぞれ供給される。そして、第1及び第2油室113a、113bの差圧に応じてピストン110RLが首振り軸線O3 方向に所定量だけ変位し、このピストン110RLの変位により、トラニオン101RLを入出力ディスク19、20に対して首振り軸線O3 方向に変位(オフセット)させ、このオフセットによりパワーローラ30が変速指令に対応した方向へ傾転角を変更する。
【0022】また、車両右方のパワーローラ30を支持する構造も、前記図2に示す図示右方のパワーローラ29のそれと同様であり、ピストン110RRを収容しているシリンダボディ112は、当該ピストン110RRよりトラニオン101RR側に第1油室113aを画成し、当該ピストン110RRよりナット111側に第2油室113bを画成している。そして、第1及び第2油室113a、113bの差圧に応じてピストン110RRが首振り軸線O3 方向に所定量だけ変位し、このピストン110RRの変位により、トラニオン101RRを入出力ディスク19、20に対して首振り軸線O3 方向に変位(オフセット)させ、このオフセットによりパワーローラ30が変速指令に対応した方向へ傾転角を変更する。
【0023】そして、エンジンを駆動した通常の前進走行中では、後述するフォワードシンクロバルブからの供給圧により前記各油圧シリンダ109の第1油室113aの油圧を高くし、相対的に第2油室113bの油圧を低くして両者間に差圧を生じさせると、ピストン110FR〜110RRが首振り軸線O3 方向に沿う実線矢印SU にストロークする。これにより、前記パワーローラ29,30の軸線O2と入出力ディスクの軸線O1 とがずれ、その結果、例えばパワーローラ29,30の回転方向と入力ディスク17,19からの入力方向とにずれが生じ、このずれの力の成分がパワーローラ29,30を前記トラニオン101FL〜101RRの首振り軸線O3 を中心として傾転させ、これによりパワーローラ29,30と入力ディスク17,19及び出力ディスク18,20との接触半径が変化し、入出力間の変速比が変化し、この場合は、車両減速比が小さくなる方向,即ち変速比をハイ側に変更してアップシフトする。逆に、前記各油圧シリンダ109の第1油室113aの油圧を低くし、相対的に第2油室113bの油圧を高くして両者間に差圧を生じさせると、ピストン110FR〜110RRが破線矢印SDにストロークし、その結果、前述と逆向きにパワーローラ29,30が傾転して、この場合は、車両減速比が大きくなる方向,即ち変速比をロー側に変更してダウンシフトする。
【0024】このパワーローラ29,30の傾転方向やトラニオン101FL〜101RRの変位方向は、前記回転軸3を挟む一対のパワーローラ29,30間で全く逆方向となり、そのバランスを前記アッパリンク装置103やロワリンク装置105でとるようにしている。また、前述のように第1トロイダル変速機構10の入力ディスク17と第2トロイダル変速機構11の入力ディスク19とが回転軸3と共に同期回転し且つ第1トロイダル変速機構10の出力ディスク18と第2トロイダル変速機構11の出力ディスク20とは出力ギヤ22で連結されているので、各トロイダル変速機構10,11のパワーローラ29,30の傾転は完全に同期して傾転しなければならない。従って、前述した各油圧シリンダへの作動油圧の供給は、図示されないサーボ機構を介して、油圧制御弁から同時に行われる。
【0025】次に、この無段変速機の油圧制御装置について図3を用いて説明する。この油圧制御装置の基本的な構造は、例えば特開平5−39847号公報に記載されるものと同等であり、また回路を構成するバルブなどの構成要素も、従来既存の自動変速機と同等であることから、図中の符号と名称、及び簡単な機能の説明に止める。
【0026】オイルポンプ吐出側(図ではO/P吐出)からの供給圧は、ライン圧リリーフバルブ201を介して、プレッシャーレギュレータバルブ202に供給される。このプレッシャーレギュレータバルブ202は、後述するライン圧ソレノイドバルブからの出力圧、つまりスロットル圧をパイロット圧として、オイルポンプからの吐出圧を、走行状態に応じた最適なライン圧PL に調圧するものである。
【0027】図中の符号211は、前記ライン圧を調圧して、各バルブ駆動に適したパイロット圧を創成するパイロットバルブである。このパイロットバルブ211で創成されたパイロット圧の一部をロックアップソレノイドバルブ212で調圧し、ロックアップコントロールバルブ213のパイロット圧として供給する。そして、ロックアップコントロールバルブ213は、ライン圧の分圧をロックアップ圧に調圧して、前記トルクコンバータ4のロックアップ機構の締結(図ではT/CAPP)側又はその解除(図ではT/C REL)側に供給する。なお、図中の符号214は、ロックアップレギュレータバルブであり、前記スロットル圧に基づいて前記ロックアップコントロールバルブ213を駆動し、前記ロックアップ圧を調圧するものである。また、符号215は、トルコンレギュレータバルブであり、前記ロックアップレギュレータバルブ214の出力圧に応じて、前記ロックアップコントロールバルブ213への供給圧を調圧するものである。また、符号216は、前記トルコンレギュレータバルブ215を介して前記ロックアップコントロールバルブ213への供給圧を抜圧するトルコンリリーフバルブである。また、符号217,218はチェックバルブである。
【0028】一方、前記パイロット圧の一部は、ライン圧ソレノイドバルブ221でスロットル圧PTHに調圧される。このスロットル圧PTHの一部はスロットルアキュームレータ222に蓄圧される。図中の符号231は、前記フォワードシンクロバルブであり、前記ステッピングモータによって駆動される変速リンクでパワーローラの変位をフィードバックしながら、前記ライン圧PL 元に、前記油圧シリンダ109の第1油室113a(図中のA)へのアップシフト圧PHi又は第2油室113b(図中のB)へのダウンシフト圧PLOを調圧し、変速比を制御するものである。また、符号232は、前記リバースシンクロバルブであり、前記ステッピングモータによって駆動される変速リンクでパワーローラの変位をフィードバックしながら、前記ライン圧PL を元に、前記油圧シリンダ109の第1油室113aへのアップシフト圧PHi又は第2油室113bへのダウンシフト圧PLOを調圧し、変速比を制御するものである。また、符号233は、リバースドライブバルブであり、前記リバースセンサで駆動され、車両の後退時に前記ライン圧PL を前記リバースシンクロバルブ232に供給し、前記フォワードシンクロバルブ231で調圧されたアップシフト圧PHi及びダウンシフト圧PLOを遮断し、前記リバースシンクロバルブ232を前記油圧シリンダ109の第1油室113a又は第2油室113bに接続するものである。また、符号234はチェックバルブ、符号235はチェックボールである。
【0029】また、前記ライン圧PL の一部は、クラッチリデューシングバルブ241で、前後進切換機構9のクラッチ必要最高圧を超える圧力について減圧される。この減圧されたクラッチ圧は、セレクトレバーで操作されるマニュアルバルブ242によって、前記前進クラッチ機構6(図ではFWD/C)又は後退クラッチ機構7(図ではREV/C)の何れかに切替えられる(但し、Pレンジ或いはNレンジでは遮断)。なお、前記のクラッチ必要最高圧をライン圧最高圧に設定すれば、減圧される圧力域はなくなり、実質的にクラッチ圧はライン圧PL に等しい。
【0030】前記マニュアルバルブ242で切替えられたフォワードクラッチ圧PFWD/C は、フォワードクラッチチョーク251を介して前進クラッチ機構6に供給される。なお、図中の符号253は圧力センサである。また、符号254はフォワードクラッチアキュームレータ、符号252はチェックボールである。一方、前記マニュアルバルブ242で切替えられたリバースクラッチ圧PREV/C は、リバースクラッチチョーク261を介して後退クラッチ機構7に供給される。なお、図中の符号263はリバースクラッチアキュームレータ、符号262はチェックボールである。
【0031】また、前記フォワードクラッチアキュームレータ254、リバースクラッチアキュームレータ263の背圧は、前記スロットル圧PTH、つまりライン圧PL の状態に応じてアキュームコントロールバルブ223によって調圧される。そのため、ライン圧が高いときは背圧が高くなり、セレクト時のアキューム棚が高くなる。
【0032】この油圧回路中、前記クラッチリデューシングバルブ241で調圧されたフォワードクラッチ圧PFWD/C を前記前進クラッチ機構6に供給する油路の詳細を図4に示す。なお、前記チェックボール252は図示していない。前進クラッチ機構6は、所謂ドライブ側とドリブン側の摩擦プレート601,602を互いに強く押圧して締結する摩擦要素であり、それらを押圧するピストン603と、当該ピストン603を作動する油室604とを備えている。この油室604に供給される前記フォワードクラッチ圧PFWD/C が所定の容積になると、ピストン603は、リターンスプリング605及びディシュ606を潰しながらストロークし、ディシュ606の潰れ代に比例して、摩擦プレート601,602同士が係合して締結状態となる。この油室604が作動油で満たされる時間は、油路の流量抵抗と油圧、即ち前記フォワードクラッチ圧PFWD/C 自体とに依存している。つまり、油路の流量抵抗が小さいほど、或いはフォワードクラッチ圧PFWD/C が高いほど、油室604は早く満たされる。
【0033】一方、前記クラッチリデューシングバルブ241は単なる減圧弁であり、実質的にフォワードクラッチ圧PFWD/C はライン圧PL に等しいから、前記ライン圧PL が高ければフォワードクラッチ圧PFWD/C も高い。前述のように、低温時には作動油の粘度が高いので、変速制御に係る各種の応答性を確保するため、ライン圧PL を高く設定しているから、フォワードクラッチ圧PFWD/C も高い。従来は、この油路中に、セパレートプレートからなるオリフィスを介装して全温度域で同じ流動抵抗を有している。このため、低温での非走行レンジから走行レンジへのセレクト時に、高いフォワードクラッチ圧PFWD/C によって前記油室604に作動油が流れ込むのを抑制しようとしても、絞り部分が短いオリフィスでは、作動油が油室604を満たす時間を長くすることができない。図5に破線で、そのときの油圧の状態を示す。低温時には、ライン圧PL が高いのでフォワードクラッチ圧PFWD/C も高く(実質的に同じ)、最高ライン圧PLMAXになっている。オリフィスでは、粘度による流量抵抗の変化が殆どないので、作動油がどんどん油室604に流れ込んで、油室604内を満たしてしまうため、その所要時間(図中のDISH棚)が短く、その結果、DISH棚内で締結完了せず、DISH棚が終わったところで、前進クラッチ機構6が即座に締結され、図5に破線で示すように出力軸トルクが瞬間的に大きくなってしまい、これがショックとなって感じられる。なお、この間、フォワードクラッチアキュームレータ254の背圧であるライン圧PL が高くなっているため、クラッチアキュームレータは作動しない(図中のaccm棚)。
【0034】これに対して、本実施形態では、前記フォワードクラッチ圧PFWD/C の供給油路中に、フォワードクラッチチョーク251を介装した。具体的には、プラグ255中に狭くて長い油路256を形成し、その部分をチョーク絞りとし、それを、バルブボディに形成された凹陥部257に挿入し、セパレートプレート258との間にOリング259を介装して密閉した。このフォワードクラッチチョーク251により、フォワードクラッチ圧PFWD/C 、即ちライン圧PL が高い低温時の非走行レンジから走行レンジへのセレクト時にも、図5に実線で示すように、前記前進クラッチ機構6の油室604に作動油が満たされる時間(DISH棚)を長くすることができる。このように油室604が満たされる時間が長くなると、前進クラッチ機構6の摩擦プレート601,602は、本来あるべきように、互いに滑っている状態から締結状態にゆっくりと移行するので、DISH棚内で締結することができ、出力軸トルクも、実線で示すように、急激に大きくなることがなく、滑らかに立ち上がって所定値に安定する。
【0035】また、チョーク絞りは、一般に、作動油の温度が高くなり、その粘度が低くなるとオリフィス絞りと同じ機能となる。また、作動油の温度が高い常温時にあって、停車中のような低負荷時には、ライン圧PL の設定圧が低くなるから、フォワードクラッチ圧PFWD/C も低い。また、アキューム背圧が低いために、前記フォワードクラッチアキュームレータ254も早期から作動する。従って、このような常温時の非走行レンジから走行レンジへのセレクト時には、チョーク絞りを備えた本実施形態の油圧回路にあっても、図6に示すように、前記フォワードクラッチアキュームレータ254の作動期(DISH+accm棚)を含めて、前記前進クラッチ機構6の油室604が作動油で満たされる時間(前記DISH+accm棚を含む二つのDISH棚)を長くすることができ、この間に、前進クラッチ機構6の摩擦プレート601,602は、互いに滑っている状態から締結状態にゆっくりと移行するので、出力軸トルクも、実線で示すように、急激に大きくなることがなく、滑らかに立ち上がって所定値に安定する。
【0036】なお、本実施形態では、内部にチョーク絞りを備えたプラグを油路中に介装するようにしたが、例えば図4に示す油路の一部を長く絞り込んで、その部分をチョーク絞りとしてもよい。また、前進クラッチ機構とクラッチリデューシングバルブとの間のフォワードクラッチチョークの機能について説明したが、前記後退クラッチ機構7とクラッチリデューシングバルブとの間にはリバースクラッチチョークが介装されており、後退クラッチ機構7に対しても、つまり非走行レンジからRレンジへのセレクト時にも同様の作用があるのはいうまでもない。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のトロイダル型無段変速機の油圧回路によれば、前進又は後退用摩擦要素の油路中にチョーク絞りを介装したことにより、低温で粘度の高い作動油が摩擦要素に供給される時間を長くすることができるから、応答性を確保するため、設定油圧が高い低温時の停車中に非走行レンジから走行レンジがセレクトされたときの摩擦要素の短時間の締結が抑制防止され、瞬間的に大きなトルクが発生するのを防止することができると共に、常温時には作動油の粘度が低いので、チョーク絞りはオリフィスとして機能し、アキュームレータへの流量を絞って摩擦要素を滑らかに締結させることができる。




 

 


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