米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 機械工学 -> リンナイ株式会社

発明の名称 水素吸蔵合金を利用した熱利用システム
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−208444(P2001−208444A)
公開日 平成13年8月3日(2001.8.3)
出願番号 特願2000−330691(P2000−330691)
出願日 平成12年10月30日(2000.10.30)
代理人 【識別番号】100080045
【弁理士】
【氏名又は名称】石黒 健二
【テーマコード(参考)】
3L093
【Fターム(参考)】
3L093 NN05 PP03 RR01 
発明者 丸橋 勤
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】水素吸蔵合金の水素の放出時の吸熱、あるいは水素の吸蔵時の放熱を利用した水素吸蔵合金を利用した熱利用システムであって、水素吸蔵合金を封入するセルは、筒状のスティックパイプと、このスティックパイプ内に挿入された水素が素通りできるパイプフィルタと、前記スティックパイプと前記パイプフィルタとの間の長手方向に封入される同一平衡水素圧で水素平衡温度が異なる水素吸蔵合金をそれぞれ別々に封入するための仕切壁であるセパレータとから構成されるスティック状のものであり、前記スティック状のセルが多数用いられたことを特徴とする水素吸蔵合金を利用した熱利用システム。
【請求項2】請求項1の水素吸蔵合金を利用した熱利用システムにおいて、前記スティックパイプは、多数が一体に設けられていることを特徴とする水素吸蔵合金を利用した熱利用システム。
【請求項3】請求項1または請求項2の水素吸蔵合金を利用した熱利用システムにおいて、前記セルは、前記スティックパイプと前記パイプフィルタとの間に、内側と外側との間で水素移動が可能な熱伝導性材のフィンを備えることを特徴とする水素吸蔵合金を利用した熱利用システム。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水素吸蔵合金の水素の吸蔵と放出とを繰り返して行わせ、水素の放出時に生じる吸熱作用を利用して冷熱出力を得る、あるいは水素の吸蔵時に生じる放熱作用を利用して熱出力を得る水素吸蔵合金を利用した熱利用システムに関する。
【0002】
【従来の技術】水素吸蔵合金を利用した熱利用システムとして、特開昭10−220908号公報に開示された技術が知られている。例えば、この公報に開示されるセルは、図13に示すように、同一平衡水素圧で水素平衡温度が異なる高温、低温度水素吸蔵合金(以下、高温、低温合金)をそれぞれ封入する独立したセルパート(第1、第2容器J1、J2)を備え、各容器の一辺側を水素通路で連通した構造を採用したものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、公報で示したような従来の構造では、例えば第1容器J1内の水素が第2容器J2に移動する例において、第1容器J1内のA部で放出された水素は、矢印Bで示すように、長い経路を通って第2容器J2へ導かれることになる。特に、第1容器J1の内部には比較的多くの水素吸蔵合金が充填されているため、水素移動のための圧力損失が大きく、結果的に単位時間当りの水素移動量が少なくなってしまう。
【0004】また、従来のセルは、1つのセルパートにおける熱の温度変化が大きく(例えば温度変化幅が6°)、それに対応して水素吸蔵合金の温度変化幅も大きい。このため、1つのセルパートの内部に温度分布が形成され、それに従い水素圧の圧力分布が大きくなる。このような温度変化と圧力変化とにより各セルパート間での水素移動速度が劣化してしまう不具合が生じる。さらに、従来のセルは、構造が複雑であり、製造コストを下げるために、簡素な構造が望まれていた。
【0005】
【発明の目的】本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は簡素な構造で、且つ単位時間当りの水素移動量を多くすることのできる水素吸蔵合金を利用した熱利用システムの提供にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】〔請求項1の手段〕水素吸蔵合金を利用した熱利用システムは、水素吸蔵合金の水素の放出時の吸熱、あるいは水素の吸蔵時の放熱を利用したものであって、水素吸蔵合金を封入するセルは、筒状のスティックパイプと、このスティックパイプ内に挿入された水素が素通りできるパイプフィルタと、前記スティックパイプと前記パイプフィルタとの間の長手方向に封入される同一平衡水素圧で水素平衡温度が異なる水素吸蔵合金をそれぞれ別々に封入するための仕切壁であるセパレータとから構成されるスティック状のものであり、前記スティック状のセルが多数用いられたことを特徴とする。
【0007】〔請求項2の手段〕請求項1の水素吸蔵合金を利用した熱利用システムにおいて、前記スティックパイプは、多数が一体に設けられていることを特徴とする。
【0008】〔請求項3の手段〕請求項1または請求項2の水素吸蔵合金を利用した熱利用システムにおいて、前記セルは、前記スティックパイプと前記パイプフィルタとの間に、内側と外側との間で水素移動が可能な熱伝導性材のフィンを備えることを特徴とする。
【0009】
【発明の作用および効果】〔請求項1の作用および効果〕水素吸蔵合金を封入するセルは、筒状のスティックパイプと、このスティックパイプ内に挿入されたパイプフィルタと、種類の異なる水素吸蔵合金を区画するセパレータとから構成される単純なスティック状のものであるため、セルの製造コストを下げることができる。水素吸蔵合金を封入するセルのスティックパイプは、耐圧性の確保が容易なパイプ構造であるため、薄肉化が可能であり、熱容量を低減でき、熱交換効率を向上させることができる。同一のスティックパイプ内で水素移動が成される構造であるため、セルパート間の水素の漏れの可能性が容易に抑えられる。
【0010】スティック状のセルが多数用いられるものであるため、1つのセル当りに充填される水素吸蔵合金の充填量が減り、結果的に熱媒体と熱交換して素早く温度変化できる。また、1つのセルパート(セパレータで区切られた部分のセル)における温度変化が小さくなり、それに対応して水素吸蔵合金の温度変化幅も小さくなる。このため、1つのセルパートの内部に温度分布が形成されにくく、それに従い水素圧の圧力分布が形成されにくい。このような温度変化と圧力変化が生じないため、各セルパート間での水素移動速度の劣化を防ぐことができる。
【0011】さらに、スティックパイプの内部にパイプフィルタを配置した構造であるため、スティックパイプの内部においてパイプフィルタによってスムーズに水素が移動でき、結果的にセルの内部におけるセルパート間においてスムーズに水素の吸蔵や放出を行うことができる。
【0012】〔請求項2の作用および効果〕多数のスティックパイプを一体に設けることにより、スティックパイプが単体でバラバラな場合に比較して組付け性が向上するため、製造コストを抑えることができる。
【0013】〔請求項3の作用および効果〕水素吸蔵合金が封入されるスティックパイプとパイプフィルタとの間に熱伝導性材のフィンが配置されることにより、スティックパイプ内における水素吸蔵合金の熱の伝わりが良くなる。これによってセルパート内における水素吸蔵合金の熱の分布がさらに良くなり、セルパート間での水素移動速度の劣化を防ぐことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、3つの実施例および変形例に基づき説明する。
〔第1実施例〕第1実施例を図1〜図7を用いて説明する。なお、図1はセルの断面図、図2はセルの外観を示す斜視図、図3は熱交換ユニット内における熱媒体の流れを示す説明図、図4は多数のセルを使用した熱交換ユニットの要部斜視図、図5は熱交換ユニットの斜視図である。
【0015】スティック形状に設けられたセルSは(図1、図2参照)、図3に示すように熱媒体が流れる熱媒体通路T内に多数並べられて使用されるものであり、例えば冷房装置として使用する場合は、セルSの内部に封入した水素吸蔵合金の水素放出作用によって生じた吸熱によって、熱媒体通路T内を流れる冷熱出力用熱媒体(例えば、水)を冷却し、その冷却された冷熱出力用熱媒体で室内に吹き出される空気を冷却して室内を冷房するものである。
【0016】この実施例では、2段サイクルを示すものであり、熱媒体通路Tの連通によって構成されるセルグループGが少なくとも3つ用いられるものである。つまり、水素駆動を行うセルグループGと、第1冷熱出力を行うセルグループGと、第2冷熱出力を行うセルグループGとが用いられるものである。なお、連続出力を得る場合は、3つのセルグループGよりなる冷凍サイクルを複数用いることによって構成できる。つまり、3つのセルグループGの整数倍のセルグループGを用いることによって連続出力を得ることができる。
【0017】2段サイクルを構成するものでは、1つのセルSの内部には水素平衡圧力が異なる3種の水素吸蔵合金が封入される。この3種の水素吸蔵合金は、高温合金HM(同一平衡水素圧で水素平衡温度が最も高い高温度水素吸蔵合金の粉末)と、中温合金MM(中温度水素吸蔵合金の粉末)と、低温合金LM(同一平衡水素圧で水素平衡温度が最も低い低温度水素吸蔵合金の粉末)とに分類されるものであり、図1に示すように、1つのスティック状セルSの内部に、長手方向に沿ってそれぞれ別々に封入されるものである。つまり、セルSの内部には、高温合金HMが封入される第1セルパートS1 と、中温合金MMが封入された第2セルパートS2 と、低温合金LMが封入された第3セルパートS3 とが設けられる。なお、各合金種の関係を図7のPT冷凍サイクル線図を用いて説明すると、水素吸蔵合金の特性が、相対的に高温側(図示左側)にあるのが高温合金HM、低温側(図示右側)にあるのが低温合金LM、両者の中間にあるのが中温合金MMである。
【0018】セルSは、図1に示すように、筒状のスティックパイプ1と、このスティックパイプ1内に挿入された水素が素通りできるパイプフィルタ2と、スティックパイプ1とパイプフィルタ2との間に封入される高温、中温、低温合金HM、MM、LMをそれぞれ別々に封入するための仕切壁であるセパレータ3とから構成されるスティック状のものであり、両端は蓋材4あるいは塑性加工等によって気密に閉塞されるものである。また、スティックパイプ1とパイプフィルタ2との間には、内側と外側との間で水素移動が可能な熱伝導性材よりなる筒状のフィン5が配置されている。
【0019】スティックパイプ1は、セルSの外殻を構成するものであり、ステンレス、アルミニウム、銅など、耐圧性、熱伝導性、耐久性、加工性などに優れた材料によって構成される円筒パイプよりなる。なお、スティックパイプ1の表面に凹凸を設けて熱媒体や水素吸蔵合金との接触面積を増大させて伝熱性能を向上させるように設けても良く、ロール成形や液圧成形等によって作製される。
【0020】パイプフィルタ2は、スティックパイプ1内において水素の移動を自由にするものであり、スティックパイプ1の全長に亘って配置されている。パイプフィルタ2は、水素が素通りできるパイプ状のフィルタであり、パイプに形成された多数の微小穴によって水素が素通りでき、且つ水素吸蔵合金がパイプ内に進入するのを阻止するように設けられている。この微小穴を有するパイプフィルタ2は、金属パイプ(ステンレス、アルミニウム、銅など)にエッチング処理して形成されたものなどを用いている。なお、スティックパイプ1に対するパイプフィルタ2の位置決めは、セパレータ3によってなされる。
【0021】セパレータ3は、スティックパイプ1とパイプフィルタ2との間に形成される容積部分を3つのセルパートS1 、S2 、S3 に仕切るものであり、この3つのセルパートS1 、S2 、S3 には、上述したように高温、中温、低温合金HM、MM、LMがそれぞれ別々に封入される。このセパレータ3は、熱の遮断に優れる樹脂(例えば、ナイロン等)によるものであり、この実施例ではスティックパイプ1とパイプフィルタ2との間にフィン5が配置されるため、このフィン5の両端に樹脂製のセパレータ3が配置される。
【0022】フィン5は、各セルパートS1 、S2 、S3 内において熱の伝わりを良くするためのものであり、フィン5を挿入することにより、各セルパートS1 、S2 、S3 内における高温、中温、低温合金HM、MM、LMの熱ムラが抑えられる。このフィン5も円筒パイプ形状を呈するものであり、水素吸蔵合金とパイプフィルタ2との間における水素の流れを阻害しないように配慮する必要から、例えば打抜き穴を多数形成した金属薄板(ステンレス、アルミニウム、銅など)を筒状に形成したものである。なお、フィン5を放射状に形成して内外方向の熱の伝達改善に用いても有効である。また、放射状のフィン5の外周端を、スティックパイプ1にろう付けや圧入し、熱の伝導性を高めるのも有効であり、アルミニウム材を利用した場合では、押し出し成形等により、スティックパイプ1とフィン5とを一体化して熱の伝導性を高めるのも効果が大きい。
【0023】2段サイクルを構成する熱交換ユニット6は、図3〜図5に示すものであり、熱媒体の切り替えによって、高温合金HMから低温合金LMへ水素を移動させる水素駆動部αと、低温合金LMから中温合金MMへ水素を移動させる第1冷熱出力部βと、中温合金MMから高温合金HMへ水素を移動させる第2冷熱出力部γとを順次切り替えるものである(符号図6参照)。
【0024】水素駆動部αは、加熱用熱媒体と高温合金HMとを熱交換して高温合金HMを加熱するとともに、冷却用熱媒体と低温合金LMとを熱交換して低温合金LMを冷却することで、高温合金HMから低温合金LMへ水素を移動させるものである。この時、中温合金MMは抑制用熱媒体と熱交換されるものではあるが、その中温合金MMを収容する合金収容室の内圧は上昇し、中温合金MMが水素を放出するように設定されている。
【0025】第1冷熱出力部βは、冷却用熱媒体と中温合金MMとを熱交換して中温合金MMを冷却することで、低温合金LMから中温合金MMへ水素を移動させるものである。この時、高温合金HMは抑制用熱媒体と熱交換されて、高温合金HMの水素の吸蔵と放出とが抑制される。また、この時、低温合金LMは、室内空気を冷房して冷熱が奪われた冷熱出力用熱媒体と熱交換されるが、その冷熱出力用熱媒体の温度(例えば10℃くらい)では、低温合金LMは水素を放出するように設けられている。
【0026】第2冷熱出力部γは、冷却用熱媒体と高温合金HMとを熱交換して高温合金HMを冷却することで、中温合金MMと低温合金LMから高温合金HMへ水素を移動させるものである。この時、中温合金MMおよび低温合金LMは、室内空気を冷房して冷熱が奪われた冷熱出力用熱媒体と熱交換されるが、その冷熱出力用熱媒体の温度(例えば13℃くらい)では、低温合金LMは水素を放出するように設けられている。
【0027】ここで、第1、第2冷熱出力部β、γで低温合金LMおよび中温合金MMに熱交換される冷熱出力用熱媒体は、低温合金LMおよび中温合金MMが水素を放出する際に熱が奪われて冷房に適した低温(約7℃)になる。上記で示した加熱用熱媒体は、図示しない加熱手段(例えば、燃焼装置)によって加熱されるものである。抑制用熱媒体は、加熱用熱媒体の一部が使用されるものである。冷却用熱媒体は、外気と熱交換されて冷却された熱媒体を使用するものであり、例えばクーリングタワー等を使用して、外気中に熱媒体の一部を蒸発させることによって冷却したものを使用するものである。
【0028】上記で示した水素駆動部α、第1冷熱出力部β、第2冷熱出力部γは、各セルパートS1 、S2 、S3 ごとにおける水素吸蔵合金(高温合金HM、中温合金MM、低温合金LM)と熱交換される熱媒体を切り替えることによって実行されるものであり、熱媒体の切り替えは、図示しない分配器によって成される。つまり、この図示しない分配器によって、3つ以上のセルグループGは、水素駆動部α→第1冷熱出力部β→第2冷熱出力部γの順で切り替えられる。
【0029】各セルグループGは、上述したように、熱媒体通路Tの連通によって構成される。この実施例における熱媒体通路Tは、この熱媒体通路Tを構成する樹脂製のブロックケース7の前面から熱媒体を供給し、再びブロックケース7の前面から熱媒体を排出するものであり、各熱媒体通路Tはブロックケース7の背面側でUターンするように設けられている。ブロックケース7は、水素駆動部αを実行するための熱媒体通路Tと、第1冷熱出力部βを実行するための熱媒体通路Tと、第2冷熱出力部γを実行するための熱媒体通路Tとを形成するものであり、Uターン形状を呈するそれぞれの熱媒体通路Tには、図3、図4に示すようにセルグループGを構成する多数(例えば38本)のセルSが挿通配置される。
【0030】なお、この実施例の熱媒体通路Tは、各実行部(水素駆動部α、第1冷熱出力部β、第2冷熱出力部γ)毎に直列に流れるように設けているが、圧力損失の軽減等の目的のために並列に流れるように設けたり、部分的に並列に流れるように設けても良い。また、この実施例では、各セルSは熱媒体通路Tにおける熱媒体の流れ方向に対して直交するように配置されるものであるが、熱媒体の流れ方向に対して斜めに配置したり、熱媒体の流れ方向に沿うように配置しても良い。
【0031】各熱媒体通路Tへの熱媒体の供給は、図6に示すようになされる。各熱媒体通路Tには、それぞれ38本のセルSが配置されている。このため、加熱水は、例えば、95℃で供給され、熱交換後92℃で排出される。この加熱水は、水素駆動部αにおいて直列に配置された38個の第1セルパートS1 と次々と熱交換されるものであり、第1セルパートS1 の1個当りの温度変化幅は0.079°と小さい{(95℃−92℃)/38個}。
【0032】また、放熱水は、例えば、32℃で供給され、熱交換後35℃で排出される。この放熱水は、第2冷熱出力部γにおいて直列に配置された38個の第1セルパートS1 と次々と熱交換された後に、第1冷熱出力部βにおいて直列に配置された38個の第2セルパートS2 と次々と熱交換され、さらに水素駆動部αにおいて直列に配置された38個の第3セルパートS3 と次々と熱交換されるものであり、第1〜第3セルパートS1 〜S3 の各1個当りの温度変化幅は0.026°と小さい{(35℃−32℃)/114個}。
【0033】さらに、冷熱出力水は、例えば、13℃で供給され、熱交換後7℃で排出される。この冷熱出力水は、第2冷熱出力部γにおいて直列に配置された38個の第2セルパートS2 と次々と熱交換された後に、第1冷熱出力部βにおいて直列に配置された38個の第3セルパートS3 と次々と熱交換されるものであり、第2、第3セルパートS2 、S3 の各1個当りの温度変化幅は0.079°と小さい{(13℃−7℃)/76個}。
【0034】次に、水素駆動部α、第1冷熱出力部β、第2冷熱出力部γの各作動を数値を用いた一例を用いて説明する。水素駆動部αに切り替えられたセルグループGは、高温合金HMが加熱用熱媒体と熱交換され、中温合金MMが抑制用熱媒体と熱交換され、低温合金LMが放熱用熱媒体と熱交換される。高温合金HMが加熱用熱媒体(95℃)と熱交換されることにより、高温合金HMを収容する合金収容室の内圧が上昇し、高温合金HMが水素を放出する。中温合金MMが抑制用熱媒体(65℃)と熱交換されることにより、中温合金MMを収容する合金収容室の内圧が上昇し、中温合金MMが水素を放出する。低温合金LMが放熱用熱媒体(33℃)と熱交換されることにより、低温合金LMを収容する合金収容室の内圧が下がり、低温合金LMが水素を吸蔵する。
【0035】このように、高温合金HMが加熱用熱媒体と熱交換され、中温合金MMが抑制用熱媒体と熱交換され、低温合金LMが放熱用熱媒体と熱交換されることにより、高温合金HMの合金収容室内が92℃:約1.9MPa、中温合金MMの合金収容室内が65℃:約1.9MPa、低温合金LMの合金収容室内が33℃:約1.8MPaとなり、高温合金HMが水素を放出(図7の■)するとともに、中温合金MMも少量の水素を放出(図7の■’)し、低温合金LMは高温、中温合金HM、MMから放出された水素を吸蔵する(図7の■)。そして、水素駆動部αが実行されたセルグループGは、分配器によって第1冷熱出力部βへ切り替えられる。
【0036】第1冷熱出力部βに切り替えられたセルグループGは、高温合金HMが抑制用熱媒体と熱交換され、中温合金MMが放熱用熱媒体と熱交換され、低温合金LMが冷熱出力用熱媒体と熱交換される。高温合金HMが抑制用熱媒体(65℃)と熱交換されることにより、高温合金HMを収容する合金収容室の内圧が高温合金HMが水素の吸蔵および放出を行わない圧力に設定される。中温合金MMが放熱用熱媒体(34℃)と熱交換されることにより、中温合金MMを収容する合金収容室の内圧が下がり、中温合金MMが水素を吸蔵し、低温合金LMが水素を放出する。低温合金LMが水素を放出するため、低温合金LMの合金収容室内で吸熱が生じ、低温合金LMと熱交換された冷熱出力用熱媒体が例えば7℃に冷やされる。なお、低温合金LMは、室内空気へ吹き出される空気と熱交換して温度上昇した冷熱出力用熱媒体の温度が例えば10℃くらいでは、低温合金LMを収容する合金収容室の内圧が中温合金MMを収容する合金収容室の内圧より高くなるように設けられている。
【0037】このように、高温合金HMが抑制用熱媒体と熱交換され、中温合金MMが放熱用熱媒体と熱交換され、低温合金LMが冷熱出力用熱媒体と熱交換されることにより、高温合金HMの合金収容室内が65℃:約0.6MPa、中温合金MMの合金収容室内が34℃:約0.5MPa、低温合金LMの合金収容室内が7℃:約0.55MPaとなり、低温合金LMが水素を放出(図7の■)し、中温合金MMが水素を吸蔵(図7の■)する。低温合金LMが水素を放出する際、吸熱作用により低温合金LMと熱交換される冷熱出力用熱媒体から熱を奪い冷熱出力用熱媒体の温度を低下させる。なお、高温合金HMは、抑制用熱媒体と熱交換されて水素の吸蔵および放出は行わない。そして、第1冷熱出力部βが実行されたセルグループGは、分配器によって第2冷熱出力部γへ切り替えられる。
【0038】第2冷熱出力部γに切り替えられたセルグループGは、高温合金HMが放熱用熱媒体と熱交換され、中温合金MMおよび低温合金LMが冷熱出力用熱媒体と熱交換される。高温合金HMが放熱用熱媒体(35℃)と熱交換されることにより、高温合金HMを収容する合金収容室の内圧が下がり、高温合金HMが水素を吸蔵する。中温合金MMおよび低温合金LMが水素を放出するため、中温合金MMおよび低温合金LMの合金収容室内で吸熱が生じ、中温合金MMおよび低温合金LMと熱交換された冷熱出力用熱媒体が例えば10℃に冷やされる。なお、中温合金MMも、冷熱出力用熱媒体が13℃くらいでは、中温合金MMを収容する合金収容室の内圧が高温合金HMを収容する合金収容室の内圧より高くなるように設けられている。
【0039】このように、高温合金HMが放熱用熱媒体と熱交換されることにより、高温合金HMの合金収容室内が35℃:約0.12MPa、中温合金MMの合金収容室内が10℃:約0.16MPa、低温合金LMの合金収容室内が7℃:約0.55MPaとなり、中温合金MMが水素を放出(図7の■)するとともに、低温合金LMも水素を放出(図7の■’)し、高温合金HMが水素を吸蔵する(図7の■)。中温合金MMおよび低温合金LMが水素を放出する際、吸熱作用により中温合金MMおよび低温合金LMと熱交換される冷熱出力用熱媒体から熱を奪い冷熱出力用熱媒体の温度を低下させる。そして、第2冷熱出力部γが実行されたセルグループGは、分配器によって水素駆動部αへ切り替えられる。
【0040】なお、第1、第2冷熱出力部γで低温合金LMおよび中温合金MMが水素を放出する際に熱が奪われて低温になった冷熱出力用熱媒体は、図示しない室内空調機の室内熱交換器に供給されて、室内に吹き出される空気と熱交換されて室内を冷房する。
【0041】〔実施例の効果〕セルSは、筒状のスティックパイプ1と、このスティックパイプ1内に挿入されたパイプフィルタ2と、種類の異なる水素吸蔵合金を区画するセパレータ3とから構成される単純なスティック状のものであるため、従来の技術に比較してセルSの製造コストを下げることができる。また、セルSの部品点数が少なく、各部品の形状も単純であるため、組付け工程数が少なく、生産性に優れる。また、セルSを製造する生産機械も小型化、単純化できるため、機械化による自動組付けを実施し易い。
【0042】1本のセルSにおける水素吸蔵合金の充填量が少なく、水素吸蔵合金の充填性を高めることができ、信頼性を高めることができる。また、水素吸蔵合金の活性化における真空度合を高めることが容易になるとともに、充填水素の供給圧等も高めることができ、水素吸蔵合金の性能を高く引き出すことができる。セルSにおける漏れ防止や耐圧確保のための部品は、スティックパイプ1の端部のみであり、また封止部の構造が単純で接合長が短いため、高い信頼性を得ることができる。
【0043】水素吸蔵合金を封入するセルSの外殻となるスティックパイプ1は、耐圧性の確保が容易な円筒パイプであるため、薄肉化が可能であり、熱容量を低減でき、熱交換効率を向上させることができる。同一のスティックパイプ1内で水素移動が成される構造であるため、各セルパートS1 〜S3 間の水素の漏れの可能性が容易に抑えられる。
【0044】スティック状のセルSが多数用いられるものであるため、1つのセルS当りに充填される水素吸蔵合金の充填量が減り、結果的に熱媒体と熱交換して素早く温度変化できる。各セルパートS1 〜S3 毎における温度変化が小さいため、それに対応して水素吸蔵合金の温度変化幅も小さくなる。このため、各セルパートS1 〜S3 毎の温度分布が形成されにくく、それに従い水素圧の圧力分布が形成されにくい。このような温度変化と圧力変化が生じないため、各セルパートS1 〜S3 間での水素移動速度の劣化を防ぐことができる。
【0045】スティックパイプ1の内部にパイプフィルタ2を配置した構造であるため、スティックパイプ1の内部においてパイプフィルタ2によってスムーズに水素が移動でき、結果的にセルSの内部における各セルパートS1 〜S3 間においてスムーズに水素の吸蔵や放出を行うことができる。スティックパイプ1とパイプフィルタ2との間に熱伝導性材のフィン5が配置されるため、スティックパイプ1内における水素吸蔵合金の熱のまわりが良くなる。これによって各セルパートS1 〜S3 内における水素吸蔵合金の熱の分布がさらに良くなり、各セルパートS1 〜S3 間での水素移動速度の劣化を防ぐことができる。
【0046】多数のセルSが用いられるものであるため、例え一部のセルSに水素漏れ等が発生しても、大きな性能の劣化を招く不具合がない。また、補修に関して、漏れの発生したセルSのみを交換すればよく、補修に要するコストを抑えることができる。
【0047】〔第2実施例〕第2実施例を図8〜図10を用いて説明する。なお、図8は1つのセルグループGを示す熱交換ユニット6の要部斜視図、図9は熱交換ユニット6の斜視図、図10はセルSの外観を示す斜視図である。
【0048】この実施例は、ブロックケース7をセルグループG毎に分割して設け、その分割ケース7aごとにセルグループGを組付け(図8参照)、それを図9に示すように積層して熱交換ユニット6を構成したものである。なお、熱交換ユニット6の天板7bと底板7cは、積層された分割ケース7aを挟み込むための板であり、この実施例では複数のボルト7dによって積層された各分割ケース7aを挟み込む構造を採用している。
【0049】また、この実施例では、図8に示すように、各セルSは熱媒体の流れ方向に対して斜めに配置した例を示すものである。さらに、この実施例では、図10に示すように、スティックパイプ1におけるセルパートS1 、S2 、S3 の分割部分に窪み1aを設けたものである。
【0050】〔第3実施例〕第3実施例を図11、図12を用いて説明する。なお、図11は1つのセルグループGの斜視図、図12は図11のセルグループGを蓋材4側から見た図である。
【0051】上記の各実施例では、多数のスティックパイプ1が独立したものであったが、図11、図12に示すように多数のスティックパイプ1を一体化して設けても良い。多数のスティックパイプ1を一体化する技術として、アルミニウムやアルミニウム合金等を押し出し成形する技術を用いても良い。なお、多数のスティックパイプ1は外形的に集合して一体化したものではあるが、水素吸蔵合金、パイプフィルタ2、セパレータ3等が配置される内部空間はそれぞれ独立したものである。
【0052】この第3実施例のように、多数のスティックパイプ1を一体化することにより、スティックパイプ1が単体でバラバラな場合(例えば、第1、第2実施例)に比較して、熱交換ユニット6等への組付け性が向上する。このように、生産性が向上するため、製造コストが抑えられる。なお、この第3実施例のスティックパイプ1の表面に、多数の凹凸を設けて熱媒体との接触面積を増大させても良い。この第3実施例では、多数のスティックパイプ1が一体化されているため、スティックパイプ1の表面に多数の凹凸を容易に形成することができる。
【0053】〔変形例〕上記の第1、第2実施例では独立した多数のスティックパイプ1を集合させて用いたが、独立した多数のスティックパイプ1を密着配置しても良い。上記の実施例では、スティックパイプ1が円筒形状を呈する例を示したが、円筒以外の形状であっても良い。すなわち、例えば外形形状が断面矩形形状であっても良い。もちろん、その場合は、内部空間も断面矩形形状であっても良い。この変形例を第3実施例に適用すると、例えば多数のスティックパイプ1が一体化されたものの外形形状が、プレート形状を呈する場合であっても良い。
【0054】上記の実施例では、セルグループGを固定し、熱媒体を分配器で切り替えて供給する例を示したが、例えば分配器をセルグループGと一体化し、セルグループG内で分配器を回転させたり、分配器の周囲でセルグループGを回転させたり、分配器の内部でセルグループGを回転させるなど、他の手段で各セルグループGに供給される熱媒体を切り替えても良い。
【0055】上記の実施例では、室内を冷房する例を示したが、冷熱出力用の熱媒体で冷蔵運転や冷凍運転に用いるなど、他の冷却装置として用いても良い。上記の実施例では、室内を冷房する例を示したが、冷暖房装置に適用しても良い。具体的な一例を示すと、燃焼装置で加熱された加熱用熱媒体を室内空調機の室内熱交換器に導いて室内暖房を行うように設けても良い。また、燃焼装置で加熱された加熱用熱媒体を床暖房マット、浴室乾燥機などに接続し、加熱用熱媒体の供給によって床暖房、浴室暖房などを行うように設けても良い。
【0056】上記の実施例では、各熱媒体の一例として水を用いたが、不凍液やオイルなど他の液体の熱媒体を用いても良いし、空気など気体の熱媒体を用いても良い。上記の実施例では、2段サイクルを例に示したが、1段あるいは3段以上のサイクルに本発明を適用しても良い。




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013