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発明の名称 免振装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2001−263414(P2001−263414A)
公開日 平成13年9月26日(2001.9.26)
出願番号 特願2000−79369(P2000−79369)
出願日 平成12年3月16日(2000.3.16)
代理人 【識別番号】100094053
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 隆久
【テーマコード(参考)】
2D046
3J048
3J069
【Fターム(参考)】
2D046 DA12 
3J048 AA05 AA07 AB11 AC05 AD01 BE03 BE09 BG02 CB11 DA01 EA38
3J069 BB07 DD25 EE35
発明者 田村 譲
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】基盤と構造体との間に設けられ、当該基盤と構造体との間の所定の平面に沿った相対運動を許容する支持手段と、前記基盤と構造体との間に粘性力を作用させて当該基盤と構造体との相対運動を制動可能な制動手段と、前記粘性力を制御して前記制動手段を作動させる制御手段とを有する免振装置。
【請求項2】前記基盤側に作用する振動を検出する基盤側振動検出手段を有し、前記制動手段は、前記基盤側に前記振動が作用しない状態において前記相対運動を前記粘性力によって制動し、前記制御手段は、前記基盤側振動検出手段による前記基盤側への振動の検出に応じて、前記粘性力を低下させて前記制動手段による制動を解除させる請求項1に記載の免振装置。
【請求項3】前記制動手段は、前記構造体側に設けられ、前記基盤側に対向する第1の対向面を備えた第1の対向部と、前記基盤側に設けられ、前記第1の対向面に所定の隙間をもって対向する第2の対向面を備えた第2の対向部と、前記第1の対向面と前記第2の対向面との隙間に介在する磁性粘性流体と、前記磁性粘性流体に一定の磁界を印加する永久磁石と、前記永久磁石の磁界を打ち消す向きに磁界を発生可能な電磁石と、前記電磁石に電流を供給する電源とを有する請求項2に記載の免振装置。
【請求項4】前記第2の対向部は、底面が前記第2の対向面を構成する前記磁性粘性流体を収容する収容凹部を備え、前記第1の対向部は、頂面が前記第1の対向面を構成する前記収容凹部に対して突出する突出部を備え、前記永久磁石および電磁石は、前記突出部に設けられている請求項3に記載の免振装置【請求項5】前記構造体側の振動を検出する構造体側振動検出手段をさらに有し、前記制御手段は、前記構造体側振動検出手段および前記基盤側振動検出手段の検出信号に基づいて、前記制動手段の作動を制御する請求項2〜4のいずれかに記載の免振装置。
【請求項6】前記構造体側に作用する外力を検出する外力検出手段を有し、前記制動手段は、前記構造体側に前記外力が作用しない状態において前記相対運動の制動を解除しており、前記制御手段は、前記外力検出手段による外力の検出に応じて、前記制動手段の粘性力を上昇させて前記相対運動を制動させる請求項1に記載の免振装置。
【請求項7】前記制動手段は、前記構造体側に設けられ、前記基盤側に対向する第1の対向面を備えた第1の対向部と、前記基盤側に設けられ、前記第1の対向面に所定の隙間をもって対向する第2の対向面を備えた第2の対向部と、前記第1の対向面と前記第2の対向面との隙間に介在する磁性粘性流体と、前記磁性粘性流体に磁界を印加可能な電磁石と、前記電磁石に電流を供給する電源とを有する請求項6に記載の免振装置。
【請求項8】前記第2の対向部は、底面が前記第2の対向面を構成する前記磁性粘性流体を収容する収容凹部を備え、前記第1の対向部は、頂面が前記第1の対向面を構成する前記収容凹部に対して突出する突出部を備え、前記電磁石は、前記突出部に設けられている請求項7に記載の免振装置【請求項9】前記相対運動を許容しつつ前記第2の対向部の収容凹部と前記第1の対向部の突出部との間をシールするシーリング手段を有する請求項4または8に記載の免振装置。
【請求項10】前記シーリング手段は、ダイアフラムである請求項9に記載の免振装置。
【請求項11】前記制御手段は、前記基盤側振動検出手段による振動の検出または前記外力検出手段による外力の検出に応じて前記電源による前記電磁石への電流の供給および遮断を制御する請求項3または7に記載の免振装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、家屋、小型のビル等の構造体に好適な免振装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ビル等の大型構造物の地振等に対する免振装置としては、基盤とビルとの間に免振体を介在させて、免振効果を得るものが知られている。上記の免振体としては、たとえば、金属板等の硬質板とゴム等の軟質板とを交互に積層したものが知られており、中低層のビルや橋梁等の大型構造物に適用されている。ところで、上記のような硬質板と軟質板とを積層した積層構造の免振体に使用される軟質板を形成するゴム等の弾性体の剛性は、大型構造物に適用するために比較的大きい。このため、個人住宅、小型のビル等の構造物に上記の積層構造の免振体を適用して効果的な免振作用を得るためには、ゴム等の弾性体の剛性を構造物の質量に合わせて小さくする必要がある。しかしながら、弾性体の剛性を小さくすると、構造物に作用する風力等の外力によって容易に揺れが発生しやすくなり、構造物の安定性が低下しやすいという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のような積層構造の免振体に代えて、構造体と当該構造体が設置される基盤との間に、球体やローラ等の転動体を介在させて、構造体と基盤との間の水平方向の相対運動を許容して構造体を地震等の振動から保護する免振装置が知られており、地震等の振動によって基盤が横揺れしても構造体を横揺れさせないことで構造体の破壊や損傷を防止する。上記のような免振装置では、基本的に構造体と基盤とを拘束していないので、風等の外力が構造体に作用すると、構造体は基盤に対して運動するので構造体が破壊、損傷する恐れがあるため、構造体と基盤とを拘束するブレーキ装置が必要である。
【0004】従来、上記の免振装置のブレーキ装置としては、たとえば、地震等の振動が発生していない通常時には構造体と基盤とを拘束し、地震等の振動の発生に応じて拘束を解除するタイプのものと、地震等の振動が発生していないときには構造体と基盤とを拘束せず、風等の外力が構造体に作用する場合にのみ構造体と基盤とを拘束するタイプのものとが知られている。これらのブレーキ装置は、住宅等に適用するため、低コストであり構造が簡易であること等が要求されるが、これらの要求に加えて、突発的に発生する地震等の振動や突風に対して即座に応答できる高い応答性が要求される。
【0005】本発明は、上述の問題に鑑みて成されたものであって、構造が比較的簡素化され、低コスト化が可能で、応答性が高いブレーキ装置を備えた免振装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の免振装置は、基盤と構造体との間に設けられ、当該基盤と構造体との間の所定の平面に沿った相対運動を許容する支持手段と、前記基盤と構造体との間に粘性力を作用させて当該基盤と構造体との相対運動を制動可能な制動手段と、前記粘性力を制御して前記制動手段を作動させる制御手段とを有する。
【0007】また、本発明の免振装置は、前記基盤側に作用する振動を検出する基盤側振動検出手段を有し、前記制動手段は、前記基盤側に前記振動が作用しない状態において前記相対運動を前記粘性力によって制動し、前記制御手段は、前記基盤側振動検出手段による前記基盤側への振動の検出に応じて、前記粘性力を低下させて前記制動手段による制動を解除させる。
【0008】前記制動手段は、前記構造体側に設けられ、前記基盤側に対向する第1の対向面を備えた第1の対向部と、前記基盤側に設けられ、前記第1の対向面に所定の隙間をもって対向する第2の対向面を備えた第2の対向部と、前記第1の対向面と前記第2の対向面との隙間に介在する磁性粘性流体と、前記磁性粘性流体に一定の磁界を印加する永久磁石と、前記永久磁石の磁界を打ち消す向きに磁界を発生可能な電磁石と、前記電磁石に電流を供給する電源とを有する。
【0009】好適には、前記第2の対向部は、底面が前記第2の対向面を構成する前記磁性粘性流体を収容する収容凹部を備え、前記第1の対向部は、頂面が前記第1の対向面を構成する前記収容凹部に対して突出する突出部を備え、前記永久磁石および電磁石は、前記突出部に設けられている。
【0010】さらに好適には、前記構造体側の振動を検出する構造体側振動検出手段をさらに有し、前記制御手段は、前記構造体側振動検出手段および前記基盤側振動検出手段の検出信号に基づいて、前記制動手段の作動を制御する。
【0011】また、本発明の免振装置は、前記構造体側に作用する外力を検出する外力検出手段を有し、前記制動手段は、前記構造体側に前記外力が作用しない状態において前記相対運動の制動を解除しており、前記制御手段は、前記外力検出手段による外力の検出に応じて、前記制動手段の粘性力を上昇させて前記相対運動を制動させる。
【0012】前記制動手段は、前記構造体側に設けられ、前記基盤側に対向する第1の対向面を備えた第1の対向部と、前記基盤側に設けられ、前記第1の対向面に所定の隙間をもって対向する第2の対向面を備えた第2の対向部と、前記第1の対向面と前記第2の対向面との隙間に介在する磁性粘性流体と、前記磁性粘性流体に磁界を印加可能な電磁石と、前記電磁石に電流を供給する電源とを有する。
【0013】本発明の免振装置では、基本的に、基盤側が地震等により振動すると、構造体は基盤上に支持手段を介して設置されているので、基盤側が振動しても構造体は振動せず免振作用が得られる。また、基盤と構造体との相対運動は粘性力によって制動され、制御手段により粘性力を変化させることで、基盤と構造体との相対運動の制動およびその解除が行われる。
【0014】また、本発明の第1の観点に係る制動手段では、基盤側に地震等の振動が作用しない状態で粘性力によって構造体を制動している。構造体が制動された状態で、地震等の振動が発生すると、たとえば、地震計を含む基盤側振動検出手段はこの振動を検出する。制御手段は、基盤側振動検出手段による振動の検出に応じて、粘性力を低下させて制動を解除する。これにより、地震等の振動によって相対運動を開始し、構造体は免振される。具体的には、磁性粘性流体を用いることで構造体と基盤とに粘性力を作用させ、永久磁石により磁界を磁性粘性流体に常時印加しておくことで、粘性力は高い状態に維持され、基盤と構造体との相対運動が制動される。基盤側振動検出手段による振動の検出に応じて、磁性粘性流体に電磁石から永久磁石の磁界を打ち消す向きに磁界が印加されると、即座に磁性粘性流体の粘性が低下し、基盤と構造体との制動が解除される。
【0015】また、本発明の第2の観点に係る制動手段では、基盤側に地震等の振動が作用しない状態で構造体を制動しておらず、地震等の振動が発生すると相対運度して免振される。構造体に風力等の外力が作用すると、外力検出手段によって外力が検出され、この検出に応じて、制御手段は、粘性力を上昇させて構造体を制動する。これにより、構造体に風力等の外力が作用しても、構造体は運動しない。具体的には、磁性粘性流体を用いることで構造体と基盤とに粘性力を作用させるが、基盤側に地震等の振動が作用しない状態では磁性粘性流体には磁界が印加されておらず、粘性力は小さい。外力検出手段が外力を検出して電磁石から磁性粘性流体に磁界が印加されると、即座に磁性粘性流体の粘性が上昇し、基盤と構造体とが制動される。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
第1実施形態図1は、本発明の一実施形態に係る免振装置の概略構成を示す構成図であり、(a)は側面図であり、(b)は平面図である。図1において、本実施形態に係る免振装置は、たとえば、住宅や小型のビル等の構造体の底面を構成する構造体側部材2と構造体側部材2に対向して設けられ、地面GR上に設置される基盤側部材4との間に設けられた支持機構部6およびブレーキ部11とを備える。なお、支持機構部6は本発明の支持手段を構成しており、ブレーキ部11は本発明の制動手段を構成している。
【0017】図1において、支持機構部6は、構造体側部材2を支持するとともに、構造体側部材2と基盤側部材4との水平面に沿った相対運動を許容している。ここで、図2は支持機構部6の概略的な構造を示す断面図である。図2に示すように、支持機構部6は、構造体側部材2および基盤側部材4に対して転動可能な複数の転動体RL、たとえば、球体、円柱体等を備えている。このように、転動体RLが構造体側部材2および基盤側部材4に対していずれにも転動可能であることにより、たとえば、基盤側部材4が地震等により矢印B1およびB2の向きに横揺れすると、基盤側部材4と構造体側部材2との相対運動が発生し、構造体側部材2に基盤側部材4の横揺れが伝達されることがない、あるいは、伝達されてもその力は非常に小さくなる。
【0018】また、風力等の外力が構造体側部材2に設けられた住宅等の構造体に作用すると、構造体側部材2は基盤側部材4に対して、矢印A1およびA2の向きに移動する。基盤側部材4が停止した状態で構造体側部材2が矢印A1およびA2の向きに移動すると、構造体側部材2に設けられた住宅等の構造体が破壊、損傷するおそれがある。
【0019】ブレーキ部11は、上記の基盤側部材4が停止した状態での構造体側部材2の移動を制動する。このブレーキ部11は、構造体側部材2とこれに対向する基盤側部材4の四隅に設けられており、基盤側部材4に振動が作用しない状態において構造体側部材2の基盤側部材4に対する相対運動を粘性力によって制動している。
【0020】図3は、ブレーキ部11の構造を示す図であって、(a)は断面図であり、(b)は(a)の矢印D方向から見た平面図である。図3に示すように、ブレーキ部11は、構造体側部材2の基盤側部材4に対向する面に設けられた突出部材16と、基盤側部材4の突出部材16に対向する位置に設けられた対向部材13とを備えている。
【0021】突出部材16は、たとえば、強磁性体材料から形成された円盤状の部材である。この突出部材16の対向部材13に対向する対向面16a側には、中央部に永久磁石18が設けられており、この永久磁石18の周囲にはコイル17が設けられている。突出部材16の頂面である対向面16aおよび永久磁石18の表面18aは、対向部材13の対向面13aとの間に所定の隙間dを形成している。
【0022】対向部材13は、たとえば、強磁性体材料から形成されており、外周の壁部13cによって形成された収容凹部13bを備えている。この対向部材13の収容凹部13b内には、磁性粘性流体MRが所定量収容されている。この磁性粘性流体MRは、突出部材16の対向面16aと対向部材13の収容凹部13bの底面である対向面13aとの間の隙間dに介在している。
【0023】磁性粘性流体MRは、たとえば、ミクロンオーダの鉄または鉄系合金の微粒子に界面活性剤を被覆し、水、シリコンオイルあるいは炭化水素系オイルに分散させた流体である。この磁性粘性流体MRは、磁場下においては、上記の微粒子が鎖状に連なり、外力に抗する構造をとるため、見かけ上の粘性が変化する。
【0024】突出部材16の側面と対向部材13の壁部13cの上面との間には、ダイアフラム15が設けられており、このダイアフラム15は収容凹部13bに収容された磁性粘性流体MRが収容凹部13b外へ漏れないように、突出部材16と壁部13cとの間をシーリングしている。また、ダイアフラム15は、突出部材16と対向部材13とが相対運動したときに、これに応じて弾性変形し、突出部材16と対向部材13との相対運動を許容している。
【0025】永久磁石18は、表面18aが磁性粘性流体MRに接触しており、磁性粘性流体MRに一定の磁界を印加する。これにより、磁性粘性流体MRは粘性が高い状態となる。
【0026】コイル17は、突出部材16とによって電磁石を構成しており、このコイル17に所定の向きの電流を供給すると、永久磁石18の磁界を打ち消す向きに磁界を発生する。
【0027】上記のコイル17、永久磁石18、磁性粘性流体MR、強磁性体材料からなる対向部材13、および、強磁性体材料からなる突出部材16とによって磁気回路を構成している。すなわち、コイル17に電流を供給しない状態では、上記の磁気回路には、永久磁石18の磁界が発生しており、隙間dに介在する磁性粘性流体MRは高粘性状態となっており、突出部材16と対向部材13との相対運動を妨げるように作用し、すなわち、ブレーキとして作用する。
【0028】コイル17に電流を供給すると、コイル17および突出部材16で構成される電磁石は、永久磁石18の磁界をキャンセルするように磁界を発生する。これにより、隙間dに介在する磁性粘性流体MRは低粘性状態となり、突出部材16と対向部材13との相対運動が制動された状態が解除される。
【0029】図4は、本実施形態に係る免振装置の制御系の構成を示す構成図である。図4において、本実施形態に係る免振装置の制御系は、コイル17に電流を供給する電源32と、電源32からのコイル17への電流の供給/遮断を制御する制御回路31と、地震計33と、加速度計34とを備える。
【0030】地震計33は、たとえば、基盤側部材4に設置され、基盤側部材4に作用する地震等の振動を検出し、その検出信号33sを制御回路31に出力する。なお、地震計33は本発明の基盤側振動検出手段の一具体例に対応している。
【0031】加速度計34は、たとえば、構造体側部材2に設けられる住宅等の構造体に設けられ、構造体側部材2の加速度(振動)を検出し、その検出信号34sを制御回路31に出力する。なお、加速度計34は本発明の構造体側振動検出手段の一具体例に対応している。
【0032】制御回路31は、地震計33の検出信号33sに基づいて、あるいは、地震計33の検出信号33sおよび加速度計34の検出信号34sに基づいて、電源32からのコイル17への電流の供給/遮断を制御し、磁性粘性流体MRの粘性を制御する。すなわち、制御回路31は、コイル17への電流の供給によって、磁性粘性流体MRの見かけ上の粘性を低下させ、コイル17への電流の遮断によって、磁性粘性流体MRの見かけ上の粘性を上昇させる。
【0033】次に、上記構成の免振装置の動作の一例について説明する。地震等の振動が発生していない通常状態においては、ブレーキ部11の突出部材16と対向部材13との隙間dに介在する磁性粘性流体MRは永久磁石18の磁界によって高粘性状態にあり、ブレーキ部11は構造体側部材2と基盤側部材4との相対運動を制動している。
【0034】上記のような状態では、たとえば、風等の外力が構造体側部材2に設けられた住宅等に作用しても構造体側部材2は、ブレーキ部11によってブレーキされているので、基盤側部材4に対して運動せず、したがって、風等の外力によって住宅が横滑りして破壊、損傷することがない。
【0035】たとえば、地震が発生すると、地震計33はこれを検出し、検出信号33sを制御回路31に出力する。制御回路では、地震計33からの検出信号33sを受けて、電源32からのコイル17への電流の供給を開始させる。コイル17に電流が供給されると、永久磁石18の磁界は、コイル17と突出部材16とで構成される電磁石の磁界によって打ち消される。これにより、磁性粘性流体MRの見かけ上の粘性は、瞬時に低下し、ブレーキ部11による制動が解除される。地震計33による振動の検出からブレーキ部11の制動が解除されるまでに要する時間は、たとえば、msのオーダであり、制動が解除されるまでの応答性は非常に速い。
【0036】ブレーキ部11の制動が解除されると、構造体側部材2と基盤側部材4とは相対運動が可能となり、地震によって横揺れする基盤側部材4に対して構造体側部材2は、略定位置に位置し、地震による横揺れが構造体側部材2に設けられた住宅に直接に作用せず、免振される。
【0037】制御回路31は、地震計33が振動を検出している間は、電源32からコイルへの電流の供給を続ける。地震が収束し、地震計33が振動を検出しなくなると、制御回路31は電源32からコイル17への電流の供給を遮断する。コイル17への電流の供給が遮断されると、ブレーキ部11による制動が再び行われる。
【0038】一方、構造体側部材2に設けられた住宅は免振されているが、地震によって住宅にも多少の揺れは発生する。この揺れは、住宅に設けられた加速度計34によって検出される。加速度計34によって検出された住宅の加速度の検出信号34sは、制御回路31に入力される。
【0039】制御回路31では、地震計33が振動を検出しなくなっても、単に、コイル17への電流の供給を遮断してブレーキ部11による制動を行うだけでなく、加速度計34の検出信号34sに基づいて、住宅の揺れを速やかに収束させるべく、ブレーキ部11の作動を制御する。たとえば、加速度計34の検出信号34sから検出される住宅の揺れの周期に合わせてブレーキ部11をオン/オフ制御したり、あるいは、住宅の揺れが収束するまでは、コイル17に供給する電流を調整して、ブレーキ部11の制動力を小さくし、ブレーキ部11のダンピング効果を積極的に活用して住宅の揺れを速やかに収束させる。
【0040】以上のように、本実施形態に係る免振装置によれば、構造体側部材2と基盤側部材4との相対運動を制動するブレーキ部11に磁性粘性流体MRを用い、この磁性粘性流体MRの粘性を制御することで、ブレーキ部11の応答性を非常に高いものとすることができ、突発的に発生する地震に即座に対応できる。また、通常時には、永久磁石18の磁界によって磁性粘性流体MRを高い粘性状態にし、構造体側部材2と基盤側部材4との相対運動を制動しているため、風等の外力が住宅に作用しても、住宅が横滑りして破壊、損傷するのを防ぐことができる。また、通常時には、ブレーキ部11の制動に電力を必要としないため、ランニングコストを抑制することができる。
【0041】また、本実施形態に係る免振装置によれば、構造体側部材2と基盤側部材4との相対運動を拘束するのに、油圧シリンダ等の駆動手段を必要としないため、構造を簡素化でき、低コスト化を実現できる。また、本実施形態に係る免振装置によれば、構造体側部材2と基盤側部材4とが相対運動することによってブレーキ部11の突出部材16と対向部材13との位置関係が変化しても、任意の位置でブレーキを作動させることができ、たとえば、ピン等の係合により機械的に制動するブレーキと比べて自由度が大きい。なお、上述した実施形態では、地震計33と加速度計34とを備える構成としたが、地震計33のみを備える構成とすることも可能である。
【0042】第2の実施形態図5は、本発明の第2の実施形態に係る免振装置のブレーキ部の構造を示す図であり、図6は本発明の第2の実施形態に係る免振装置の制御系の構成図である。なお、図5および図6では、第1の実施形態と同一の構成部分については同一の符号で示している。また、ブレーキ部の構造体側部材2と基盤側部材4に対する配置は第1の実施形態と同様である。
【0043】本実施形態に係るブレーキ部101と第1の実施形態に係るブレーキ部11との異なる点は、図5に示すように、本実施形態に係るブレーキ部101は永久磁石18を備えていない点である。ブレーキ部101は、永久磁石18を備えていないため、コイル17に電流を供給しない状態では、隙間dに介在する磁性粘性流体MRは低粘性状態となっており、突出部材16と対向部材13との相対運動を妨げるように作用しない。
【0044】したがって、本実施形態に係る免振装置では、地震が発生していない通常時には、構造体側部材2と基盤側部材4との相対運動が可能となっており、たとえば、構造体側部材2に設置された住宅に風が作用すると、構造体側部材2は基盤側部材4に対して移動する可能性がある。
【0045】図6に示すように、本実施形態に係る免振装置の制御系は、コイル17に電流を供給する電源32と、電源32からのコイル17への電流の供給/遮断を制御する制御回路131と、風力計40と、操作スイッチ41とを備える。
【0046】風力計40は、構造体側部材2に設置された住宅に作用する外力としての風力を検出し、この検出信号40sを制御回路131に出力する。この風力計40は、たとえば、住宅の一部に設置される。
【0047】操作スイッチ41は、たとえば、住宅の居住者が操作可能なスイッチであり、操作スイッチ41を居住者が操作することで操作信号41sが制御回路131に出力される。操作スイッチ41は、住宅内に設置される。
【0048】制御回路131は、風力計40の検出信号40sまたは操作スイッチ41の操作信号41sに基づいて、電源32からのコイル17への電流の供給/遮断を制御し、磁性粘性流体MRの粘性を制御する。すなわち、制御回路131は、コイル17への電流の供給によって、磁性粘性流体MRの見かけ上の粘性を上昇させ、コイル17への電流の遮断によって、磁性粘性流体MRの見かけ上の粘性を低下させる。
【0049】具体的には、制御回路131は、風力計40によって検出された風力が一定の大きさ以上の場合には、コイル17への電流の供給を行い、風力が一定の値以下になった場合には、コイル17への電流の供給を遮断する。また、制御回路131は、操作スイッチ41の操作信号41sが入力されるとコイル17への電流の供給を行い、操作信号41sの入力が停止すると、コイル17への電流の供給を遮断する。
【0050】次に、本実施形態に係る免振装置の動作の一例について説明する。地震等の振動が発生していない通常状態においては、ブレーキ部101の突出部材16と対向部材13との隙間dに介在する磁性粘性流体MRは低粘性状態にあり、ブレーキ部101は構造体側部材2と基盤側部材4との相対運動を制動していない。
【0051】上記のような状態では、たとえば、風等の外力が構造体側部材2に設けられた住宅に作用すると構造体側部材2は、ブレーキ部101によってブレーキされていないので、基盤側部材4に対して運動可能となっており、ブレーキ部101を作動させないと、風等の外力によって住宅が横滑りして破壊、損傷する可能性がある。
【0052】たとえば、地震が発生すると、磁性粘性流体MRの粘性は低い状態にあるので、構造体側部材2と基盤側部材4とは相対運動し、地震によって横揺れする基盤側部材4に対して構造体側部材2は、略定位置に位置し、地震による横揺れが構造体側部材2に設けられた住宅に直接に作用せず、免振される。
【0053】たとえば、地震が発生していない状態で、強風が吹くと、風力計40はその風力を検出し、制御回路131に出力する。制御回路131は、一定の値以上であれば、電源32からコイル17へ電流を供給する。コイル17に電流が供給されると、磁性粘性流体MRに磁界が印加され、磁性粘性流体MRの見かけ上の粘性は、瞬時に上昇し、ブレーキ部101による制動が行われる。風力計40による強風の検出からブレーキ部101の制動が開始されるまでに要する時間は、たとえば、msのオーダであり、応答性は非常に速い。
【0054】ブレーキ部101の制動が開始されると、構造体側部材2と基盤側部材4の運動は制動され、住宅の風による揺れは瞬時に抑制される。
【0055】また、たとえば、住宅の居住者は、住宅の強風による揺れを感知すると、操作スイッチ41を操作する。これにより、制御回路131は、電源32からコイル17へ電流を供給し、ブレーキ部101の制動によって住宅の風による揺れは瞬時に抑制される。
【0056】以上のように、本実施形態によれば、構造体側部材2と基盤側部材4との相対運動を制動するブレーキ部101に磁性粘性流体MRを用い、この磁性粘性流体MRの粘性を制御することで、ブレーキ部101の応答性を非常に高いものとすることができ、突然発生する風等の外力に即座に対応でき、強風等の外力による住宅が横滑りして破壊、損傷するのを防ぐことができる。さらに、本実施形態に係る免振装置によれば、構造体側部材2と基盤側部材4との相対運動を拘束するのに、油圧シリンダ等の駆動手段を必要としないため、構造を簡素化でき、低コスト化を実現できる。
【0057】以上、種々の実施形態を挙げて本発明の免振装置を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されない。上述した実施形態では、構造体側部材2と基盤側部材4との間に作用させる粘性力として磁性粘性流体MRの粘性を用いる場合について説明したが、磁性粘性流体MR以外にも、たとえば、電気粘性流体等の粘性を制御可能な流体あれば使用することができる。
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、免振装置のブレーキ装置の構造を比較的簡素化でき、低コスト化が可能となり、応答性を向上させることができる。




 

 


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